2011年12月26日
『人民日報』が時速500㎞の高速鉄道の試験車両がもうすぐ完成するという記事(「更高速度实验列车在南车四方落成 车尾似“火箭”」さらなる高速の実験車両を南車四方が完成、車両後尾は”ロケット”に似ている)を掲載していたので、これについて少し。
1 試験車両
なんでもこれは国家973計画(経済や社会の発展に必要な先端技術の研究を国が奨励することを定めたもの、1997年3月に定められたが故にこの名称で呼ばれている)に基づき、科学技術部と鉄道部により、中国南車四方股份有限公司に委託して進められたものだそうです。
いろいろ書いてありますが、言わんとしていることは単純明快で、中国がいろいろ苦労して国内の技術で造り上げたということです。ここまで「国内の技術」を強調されると逆にいろいろ考えてしまいたくなります(新幹線と「和諧号」)。
この車体の紹介がまたものすごく、「ベースは灰色で、中に黒色の線が入っており、そこに”CRH”の文字が記載されている。車体の先頭は宝剣の様にとがっていて、車体の後ろはロケットのような構造になっている」そうです。
写真がないのが残念ですが、おそらく500㎞の試験走行を成功させた際には、また大々的に報道されるでしょうから、そのときのお楽しみということでしょうか。ま、試験車両なので、どのような形をしていても特に問題はないのですが、すごい形だという感想を述べさせてもらうにとどめます。
2 高速鉄道事故
どうしても中国の高速鉄道というと7月に起こった事故を思いださずにはおれません。多分この記事も充分にそのことを意識して同年中に事故を挽回させるものと発表したいという意図が働いて掲載されたものかと思います。
しかし、速度を「成果」とする当たりがまさに今の中国を反映しており、本来もっとも重視されるべき「安全」がどこかにいってしまっているようなのが、中国の最大の問題点かと考えます。
3 小伊伊退院
こうしたことを考えていたときに『広州日報』が掲載していた項煒伊(愛称が「伊伊」)が退院したという記事(「温州动车事故幸存者小伊伊出院回家过年(组图)」温州鉄道事故の生存者小伊伊が退院し、家に帰り正月を迎える)を思いだしました。
彼女のことは日本でも大々的に報道されましたが、名前までは報道されなかったので誰と思うかもしれませんが、中国鉄道部が運行再開を優先するため、さっさと救助活動を打ち切った後に、20時間ぶりに発見された2才の女の子です。
彼女の発見により、捜索活動のずさんさが明るみでて、鉄道部のスポークスマンが総スカンをくらう原因にもなったことは記憶に新しいかと思います。

この写真を見ると何とも言えませんが、一番上の写真は初めて娘が高速鉄道に乗ったところを写真に撮って両親がマイクロブログに掲載したものです。その帰りに事故にあり、両親は死亡しております。
このブログにつけられていた「小さいくせに肝がすわっている、小さい宝物よ、いつになったら大きくなって、ものの道理がわかるようになるのか」「伊伊が初めて高速鉄道に乗って杭州に行く、その記念に」といった母親が最後に書いた言葉が紹介されております。
一番下の写真はリハビリをしているところです。退院したとは言ってもあくまで正月を家で過ごさせようという配慮によるもので、治療はこれからも必要だそうです。この記事に対しある方が別のところで書いていた「両親がいないのに家に帰ると言ってもどこに帰るのか」というコメントがとても印象的でした。
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この記事へのコメント
中国はまた「大躍進」の復轍を重蹈した。
7月23日の高速鉄道事故の後、
「速度」より「安全」は中国高速鉄道の主要課題になった。
人命軽視の鉄道省、未来はどこだよ。
今の世界はミニブログの世界です。言論統制もう遅いだ。
確かに「大躍進」の伝統が未だに息づいている結果かもしれません。
官僚の出世なども数字で成果を示さなくてはならない中国の現状では、この速度も1つの成果となってしまうのかもしまうのでしょう。
おっしゃるとおり言論統制の時代ではないと思うのですが、「物言えば唇寒し」の状況はあまり変わっていないかもしれません。
中国の高速鉄道は信用できない。
いつも「我々の高速鉄道は日本より遥か良い」て言うけど、実際状況は全然違うんです。
今年の夏、中国の高速鉄道関連アニメ「高鉄侠」も1998年日本の「ヒカリアン」のパクリです。
本当に自爆でした。
とりあえず、20年以内、中国の科学力は日本を抜けない。
中国の高速鉄道関連アニメ「高鉄侠」が「ヒカリアン」のパクリだということは、日本でもかなり話題になりました。
批判も受けて、作り直しという話も聞いたのですが、結局どうなったのでしょうか。
「20年以内、中国の科学力は日本を抜けない。」かどうかはわかりませんが、技術習得のため、物まねから始めるのは各国共通ですが、中国の場合ちょっとひどすぎるかもしれませんね。

