2012年01月14日

 『羊城晩報』が「律师称大多数中国女留学生希望被包养 引发骂战」(弁護士が大多数の中国の女性留学生は愛人にあることを希望しているが、論争を呼ぶ)という記事を掲載しており、いろいろおもしろかったので、これについて少し。


1 弁護士の書き込み

 これは元ニューヨーク大学教授で中国系アメリカ人で弁護士をしている海明氏が中国版マイクロブログに書いた内容が話題になり、いろいろな意見が寄せられたというものです。彼の書いた内容は大体以下のとおりです。

 中国から来た20歳の女子大生と知り合った。彼女の英語は素晴らしく、背が高く、特技はバイオリンということだった。妹のような感じで、一緒に街を歩いて買い物をし、一夜の関係をもった。

 その後、彼女から学費を援助してくれないかという申し出があった。後で知ったのだが、彼女はかつて62歳のタイ人の愛人だったことがあるそうだ。

 アメリカでもカナダでも、シンガポールで生まれても中国人は中国人だ。何故中国本土の中国人だけがこれほどまでに道徳をなくすのか。


2 書き込みに対する批判

 この書き込みがきっかけとなって、ネットユーザーと「骂战」(「罵りあい」、上では「論争」と訳しましたが、「罵りあい」の方がニュアンス的には正確です)が始まりました。海明氏はかつて北京オリンピックの前にCNNが中国人を侮辱したとして13億の中国人を代表して、CNNに抗議し、文書で謝罪を引き出したことがあるそうです。

 それ以外にもシャローン・ストーンが四川大地震の際に中国人を侮辱したとして訴えたこともあるそうです。斯様に中国人を代表したこともある弁護士が、今回も中国人を代表して中国人の道徳観の欠如を嘆いたらいろいろ批判を受けたというわけです。
 
 因みに彼が批判を受けたのは以下のような書き込みだそうです。


 私は幸いにも、マレーシアの華僑の女子学生、アメリカの華僑の女子学生、インドネシアの華僑などと知り合ったことがある。彼女たちは中国の女子学生ほど功利的ではなかったし、野心も持っておらず、手段も選ばないということはなかった。

 実際、大部分の中国の女性留学生は愛人となることを希望している。独立できているのは少数だ。


3 ステレオタイプ

 ま、ある意味こうした書き込みをすれば、批判を受けるのは当然という面もあり、「拝金主義者はどこの国にでもいるではないか、個人の道徳の欠如がどうして、”中国本土人の道徳問題”になるのか」とか、「この弁護士先生は自分の豊かな”ナンパ経歴”を誇示しているだけだ」といった批判が寄せられたそうです。
 
 海明氏の書き込みに対し、中国人ネットユーザーが怒るのも理解できます。自分がであった女性との経験を中国人女性留学生全体に敷衍したのでは、確かに問題でしょう。ある意味中国人の窃盗犯を見たことがあるので、中国人は皆窃盗犯だと思うのと同じ位の話です。

 ただ、皆多かれ少なかれ対象に対し、ステレオタイプ化してあの人(○○人)はああいう人、こういう人と考えるのは良く行っていることです。これは必ずしも悪いことばかりではなく、場合によってはそうすることによって、相手の行動を予測する事も可能となります。

 その一方でこの記事(海明氏が中国人を代表したこと)を見て思ったのが、自分がどれだけ母集団を代表しているかという問題です。実際同じ日本人でも、右より、左よりで全く違った思考パターンをしています。ある特定の人の行為(思考)をして、「日本人」の行為(思考パターン)と考えられるのも、どうかなと思うこともよくあります。

 統計学的にはどれだけのサンプルを母集団から抽出すれば良いのかという話になるのでしょうが、いろいろ難しいところがあるのではないでしょうか。あと、余談ですが、どうしても女性には(女性だけに)こうした問題がつきまとうのは如何なものかと思った次第です。



このエントリーをはてなブックマークに追加
凜amuro001 at 10:32│コメント(6)トラックバック(0)教育 │

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by que   2012年01月14日 12:28
道徳的に上か下かを判断しようとする事、好きですよね。。。。この人に限らず。
道徳道徳っていう人間は信用できない。
Hしてから、援交の女子高生に説教してるみたいです(笑)

「中国は礼儀の国」って、中国にすんでるとあちこちで目にしますが、
華夷秩序で自分以外の国に自国の礼儀をおしつけてきただけ。そもそも、自分の国が「礼儀正しい」と思うこと自体が、他国に対する礼儀に反していると思います。
「既に存在するものへの信頼は、シナ民族のほとんど固有的な性格」と小西甚一という文学者がいっていましたが、その「あるべき中国」から、議論がスタートするので、ときどき、うんざりします。
毎年、学生に聞かれます。「なぜ日本人はラーメンを食べるとき音をたてるのか。中国ではマナー違反です」。しかし、実際には、中国人のほとんどは、ラーメンをたべるとき音を立てます。事実から出発するのではなく、「あるべき中国」から出発する・・・。

愚痴失礼しました。
あ~中国疲れ。あした一時帰国します(笑)
2. Posted by 高田 亨   2012年01月14日 15:32
確かに数字になりにくいものの傾向を口にするのは難しいですね。
たいていの場合、我々が知っているサンプルはごく一部のノイズ程度の量なので、正しい判断ができるわけがないとも思います。

一方、中国人の気質としてそういう功利的な面はやはり平均的にはあるのではないかとも感じます。
薄々そう感じる人がいるからこそ罵り合いにもなるのだと思います。

もちろん、タイ人やフィリピン人、日本人の留学生だって同じような噂があって、実際それなりに事実があるのでしょう。ただ、私が知っている中国人女性の場合、身内も含めてどうも中国本土の人は(男性もそうですが)功利的な部分でいったん割り切った時のあっさりさが凄いので、印象が特に強くなる気がします。

今、各国の愛人女性(私の愛人ではないですw)を思い出してみても、中国本土の女性で愛人をやっている女の子の割り切り方は、やはり他の人達とは差を感じます。

愛人をやっている率の問題ではなく、顧客に対する態度の問題なのかもしれません。
日本人女性、タイ人女性、フィリピン女性、本土以外の中国人女性はもう少しサービスとして心のあるふりをしてくれる傾向が強い気がします。

穿った見方をすれば、海明氏は、その「心が入っているふりをするサービス」を中国本土の女性にはしてもらえなかったので、腹立ちまぎれに行き過ぎたことをつい書いてしまった面もありえますね。
3. Posted by    2012年01月14日 17:43
>que 様

「Hしてから、援交の女子高生に説教してるみたいです」言い得て妙です。

 私自身口で偉そうなことを言う人が余り好きではなく、他人に自分の道徳観を押しつける人間はもっと嫌いです。

 皆思い描いている理想があり、各自、それを他人に強制することなく、自分だけで目指していく、それが私の理想です。

 確かにソバやラーメンをすする時の音は私も厭な顔をされたことがあります。ここいらは半分文化の問題なので難しいですね。

 一次帰国前に愚痴がでるのは良くあることです。まだまだあると思うと愚痴もでませんが、時には良いものと思っています。
4. Posted by    2012年01月14日 17:51
>高田 亨 様

 確かにおっしゃるように、そこいらの国の違いはあるのかもしれません。

 間違いなく金が目的ということはわかっているが、それにしても、もう少し心ある態度をとってくれても良いのではないか云々というところでしょうか。

 どうしてもそちらの方になると主観も入ってくるので難しい面がありますが、多分親しくなるまでの間の置き方というのもあるのではないでしょうか。

 それ以外にもアメリカに来るような女性の典型という問題もあり、本当いろいろ考えるべき因数が多い問題かと思います。
5. Posted by 高田 亨   2012年01月15日 06:42
> Hしてから、援交の女子高生に説教してるみたいです(笑)

この的確すぎる指摘に爆笑ですww

> アメリカに来るような女性の典型

確かにこの要素も考慮しないといけないですね。
6. Posted by    2012年01月15日 17:00
>高田 亨 様

 私もこの表現は言い得て妙と思い、感心すると共に、大変うけてしまいました。

 こういうのも見ると、どうしても論文を書いている時、「こういう要素は検討したのか」、「これだけで証明になっていると思っているのか」等といろいろ言われた時のことを思いだしてしまいます。

コメントする

名前
 
  絵文字