2012年03月16日

 今日は以前書いた「人助けも難しい中国の現状」に関係する記事です。


1 記事の紹介

 『東方IC』が「江苏镇江一九旬老人突然倒地 路人相互作证救人」(江蘇鎮江で90歳の老人が突然地面に倒れる。他人が互いに証人となって人助け)という記事を配信していたので、これについて少し。


老人


 記事自体は極めて短いもので、3月15日に江蘇省鎮江市で起こった事件です。90歳過ぎの既に痴呆が出ている老人が外を歩いているとバス停の脇で倒れました。

 そのときに周りの人はこの人の高齢であることから、骨折などをしていたは大変だということで、助けようとしましたが、最初に市民はお互いにサインをして証拠をつくってから、老人を助けて家まで送り届けたそうです。

 記事によると、幸いなことに救助の過程で、家族の者もかけつけ、一緒に家まで送り届けたとあります。


2 彭宇事件

 ここで最初に皆でサインをして証拠をつくったのは、以前紹介したようにこれは「彭宇事件」※が大きな影響を与えております

※ 2006年に南京市で発生した事件。彭宇氏がバスを待っていると、目の前で老婦人が転んだので、親切心から病院に連れて行き、検査費用まで立て替えてあげた。

 ところが、この後この老婦人が転んだのはこの彭宇氏が突き飛ばしたからだとして訴えた。裁判では、わざわざ病院まで連れて行って費用まで立て替えたのは、後ろめたいことがあったからだとして、彭宇氏に損害賠償を命じた事件。

 実際、どちらの主張が正しいのか不明だが、これ以降類似の事件がかなり発生し、その結果、下手に見ず知らずの他人を助けると、ろくなことにならないというのが中国の常識となってしまった。

3 最後に

 何かそこまでしないと人助けもできないのは確かにせちがない様な気がしますが、それでも皆いろいろ考えてサインをしてまで人助けをしようとしたのは如何にも中国人的で大変興味深く思いました。

 中国の諺に「上に政策があれば、下に対策あり」というのがあり、上でいろいろ政策を練っても下(現場)レベルでは自分たちやりやすいように変えてしまい、政策が骨抜きになってしまうというものです。

 通常は脱法行為が多いことなどを指し、あまり良い意味に使われないようですが、ある意味で中国人の臨機応変さを表しており、今回のような場合もあるのだと、面白く感じたが故の今日のエントリーでした。



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凜amuro001 at 20:23│コメント(0)トラックバック(0)中国人論 │

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