2012年12月03日

 アメリカ議会上院は、尖閣諸島について、日米安全保障条約の適用範囲内であることを明記した条項を、現在審議中の国防権限法案に盛り込むことを決めました。

 当然これについて中国側は反発しているわけですが、それについて香港の『太陽報』が「美国将点燃东亚火药桶」という記事を掲載しており、いろいろ興味深かったので、これについて少し。


1 記事の紹介

 最初にいつもの通り記事を翻訳したものを簡単に紹介させていただきます。

 アメリカ議会上院は現在審議中の国防権限法案に補充条項を入れ、アメリカが対日防衛義務のある「日米安全保障条約」の第5条に釣魚島が適用されることを明確に規定することを決定した。

 これは、もしこの条項が成立し、発効すれば、日中が釣魚島で武力衝突を起こした場合、アメリカは軍事介入をすることを意味する。これまで、アメリカはこの問題について曖昧な態度をとってきた。国防権限法案は来年度の国防予算総額を決める場であって、他国の領土問題を話題にすることは、滅多にない。

 日本はこのニュースを受けてたいへん興奮し、各大手メディアは次々と報道している。日本はアメリカという大樹に寄りかかれるのだから、もちろん興奮する理由があるわけだが、アメリカはこれにより、東アジアの火薬庫に点火することを考えなくてはならず、最後は自分で対価を支払わなくてはならない。

 第二次世界戦争の後で、アメリカは自分の利益のために、日本の軍国主義を徹底的に清算せず、日本では軍国主義の亡霊が一貫して存在している。近年、経済が低迷し、日本の右翼思潮は高まりを見せている。

 もし日本の右傾化が政治屋の言葉だけなら、まだあまりに深刻な事ではない。しかし明確になりつつあるので、警戒しなくてはならないし、近年、日本外交・国防は日に日に強硬となり、周辺国家に対して進撃性を高め、ロシア、韓国、中国などと領土紛糾を引き起こしており、しかも態度は横暴だ。

 同時に、日本は軍事力を急速に高めている。表面上、自衛隊の規模は大きくない。しかし日本の潜在軍事力は既にアメリカに次いで世界第二位であることは、周知のことであり、いわゆる平和憲法は、とっくに空文化している。

 そして、日本の多くの政治家は今なお平和憲法の廃止をわめきたてて、最後のベールを捨て明確な軍備拡張をしようとしている。これらの兆しは明らに日本の第二次世界大戦前の軌跡を繰り返しており、右翼思想が主流となり、軍国主義の亡霊が今復活しつつあることを表しているいる。

 もしこの傾向を阻止できなければ、日本は東アジアの火薬庫となり、爆発すれば、再度アジアの人民に深刻な災害をもたらす。国際情勢から見るに、唯一日本の軍国主義がアジアに厄災をもたらすのを止めることができるのは、アメリカだけだが、アメリカは反対に火に油を注ぎ、日本の右翼分子を放任している。

 このままでは、日本の軍国主義という火薬庫はアメリカに点火される。しかし、実際には、アメリカも東アジアの利益という点から見ると、日本の軍国主義が再度戦争を始めたら、アメリカも最大の被害者となり、重い代価を払うこととなる。


2 個人的感想

 何といっても一番面白かったが、日本がアメリカが尖閣諸島問題で日本支持を表明したことを受けて、日本が興奮しているというところでしょう。

 こうした考え方の後ろにあるのは、これまで(小泉首相の靖国参拝など一部の例外を除き)中国に対し弱腰だった日本がここまで強気なのは、アメリカの後ろ盾があるからだという発想があります(日本はアメリカがいるから、中国に対し強硬な態度を取っている?)。

 だからこそ、アメリカの支持が明確に示された結果、日本は沸き立つという話になるのでしょうが、私は寡聞にしてそうした話は聞いたことがありません。今回の日本側の対応は、反日デモなど中国側がやりすぎたため、日本側が呆れ返った結果であり、アメリカとはあまり関係がないと思っております。

 また、中国メディアの十八番として、日本の「右傾化」「軍国主義」があります。中国共産党にとって日本との戦争勝利は自己の正当性を維持するために必要なものなので、ファシズム研究は盛んになされており、当時の日本の経済状況(不況)と「第二次世界大戦に至る道」みたいな研究は私も読んだことがあります。

 ここいらは専門外なのであまり詳しくないので、間違ったいたら申し訳ないのですが、私の印象として、日本の歴史学者の研究をそのまま持ってきたようなものが多いと思っています。

 その結果、当時の日本における不景気や閉塞感が強調されることとなり、現在長期間に渡り、不景気で苦しんでいる日本では、閉塞感が蔓延し、対外膨張路線をとろうとしているという話になるのでしょうが(不景気に苦しみ政治に失望している日本はファシズムが台頭している?)、はっきりいって自分たちの時代錯誤の思想を押しつけているような感じしかしません。

 軍国主義もいろいろ馬鹿馬鹿しい議論をこれまで紹介してきましたが(日本が北朝鮮の人工衛星を打ち落とす目的は軍事大国化(新華社の報道))、今回も全く同じレベルの話で、日本がアメリカに次ぐ世界第二位の軍事大国というのは初めて知りました。

 ということは、日本はロシア以上の軍事力を持っていることとなるようですが、あまりに馬鹿馬鹿しくてまともに論ずる気にもなりません。



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凜amuro001 at 21:22│コメント(13)トラックバック(0)領土問題 │

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この記事へのコメント

1. Posted by とも   2012年12月03日 22:12
アメリカが尖閣を安保の対象だとはっきりと明示したのは、明示しないと中国側が理解できないと認識したからではないかと。本来であれば日米安保そのものがこんなことを明言せずとも抑止力として働いてしかるべきです。

このような負け犬の遠吠えみたいな記事を書いているところをみると今回のアメリカの決定は相当衝撃が強かったのかなとも感じました。
2. Posted by    2012年12月03日 22:16
>とも 様

 これについてはかなり早い時期に日本側に対して表明されておりましたが、それを改めて明確にしただけで、そういう意味でも日本側の受け止めは「興奮」という状態とはほど遠いものかと思っています。

 何だかんだ言って、中国にとってアメリカの影響力は間違いなく大きく、そこがこうした形で日本支持を明確に打ち出した影響は、中国にとって、かなり大きいものがあると考えます。
3. Posted by que   2012年12月03日 23:10
記者さん、脳袋進水してるんじゃないでしょうかね。まあ、書かされているのかもしれませんが、最近のわかい記者などは半ば本気で信じてるような気もします。
現在の日本の防衛費のグラフをみれば一目瞭然なんですけどね。

第2位はかつて「西側の防衛費で第2位」だったところから日本でもよく使われました。ご存知のとおり自衛官の給料水準は他の国の軍隊よりかなり高く人件費糧食費が防衛予算の半ばを占めていますので、金額が実力を表してはいません。もちろん、日本の国土防衛力はかなり高いのですが・・・。
4. Posted by kenji   2012年12月04日 11:19
おはようございます。

これほどの「アナクロ的記事」は近来稀だと思います。まるで日本共産党の某宣伝紙や北朝鮮のプロパガンダ紙を見るようで、非常に興味深く拝読しました。
ツッコミどころは多々ありますが、私が何より気になったのが、当該記事が香港紙だということです。
本土の共産党御用達の新聞ではなく、比較的民主独立系が多い香港でかくも「面白記事」が掲載されるのは、香港の対日世論もあまり良好ではないということなのでしょうか。
「太陽報」がどのような報道スタンスを持っているのかは分かりませんが、香港人は本土の中国人とは違う世界観を持っていると認識していた故に、かくも独断と偏見に満ちた記事を意外に思った次第です。
5. Posted by chongov   2012年12月05日 00:06
実際って、自民党政権の復帰による中日関係の「正常化」は期待すべき事だ。民主党時代の不正常な中日関係は終わった。このような日本脅威論も戻りました。嬉しいな。

私はちょっと知日派ですから、「今の日本は平和国家、民衆は軍国主義の復活が欲しくない」を思うです。だから、もしも中国マスコミは今でも「日本は強い脅威」を思うなら、実は良い事ですね。日本にも「中国は脅威」を思うの人がいるだし。相手国の「脅威」を認識すれば、「理性的な大国外交」は展開できるかな。

そういえば、何故香港人の対日態度は中国本土より良いけど、一部香港マスコミの反日宣伝は中国本土のマスコミより酷い、私も分からない。
6. Posted by    2012年12月05日 17:14
>que 様

 確かに、これは分かって書いているんだよなと思っていても、中には本気で信じている方もいるので何とも言えないところがあるのが中国の怖いところです。

 確かに、防衛費については「西側の防衛費で第2位」が拡大解釈した可能性も否定できませんが、あれだけ順位付けの大好きな中国でと思うと、やはり意図的なものしか感じません。
7. Posted by    2012年12月05日 17:21
>kenji 様

 確かにおっしゃるとおり、かなりの「アナクロ的記事」かと思います。

 香港では確かにそれなりの自由がありますが、中国大陸の支配が全く及んでいないということはなく、マスコミでもいわゆる「大陸系」と呼ばれるものが存在します。

 有名なところでは、『大公報』、『文匯報』といったところでしょうか。

 そうして搦め手で徐々に、と中国政府は考えているのでしょうが、最近の香港の状況を見ると、どこまでうまくいっているかは疑問です。
8. Posted by    2012年12月05日 17:25
>chongov 様

 私も無視よりは「脅威論」でも、悪いイメージでも何でも関心を持ってくれていたほうが良いと思っております。

 香港マスコミでたまに見かける激しい日本批判は上で述べたように、「大陸系」のマスコミの勇み足的報道かと考えます。

 どうしてもこうしたところは、忠誠心を示すことが何より大事になりますので、本家より激しい記事を書く傾向があり、そうした理由からたまに極端な記事が掲載されると思っております。

 
9. Posted by chongov   2012年12月05日 18:18
凜さんへ

>「大陸系」のマスコミの勇み足的報道かと考えます。

わかりました。
鳳凰テレビような中国政府の犬になってからね。
しかし、そんなマスコミは可哀想を思うです。
10. Posted by    2012年12月06日 21:56
>chongov 様

 私もそういう報道しかできないマスコミは大変可哀想だと思います。

 毎日決められたとおりのことを決められた通りに記事にすることしかできない生活というのは、かなり同情します。
11. Posted by 東澤雅晴   2013年02月09日 00:58
意外と中国の人は日本人のことを、戦争が好きで、常に中国を仮想敵国と思い、日本政府は中国の事をいろいろ悪く言っているのでは? きっとそうだ!!と、思っているのだと思います。そういうイメージがこびりついて、特に軍隊にいる人はそう思っていると思います。しかし、現実の日本人は今の景気の事、ぐらいしか真剣に考えていなくて、中国の事などいちいち付き合っていられない!と、思っています。もう自分の国のごたごたを周辺の国までもってこないでくれ!と、いうのか本音です。ハタ迷惑な国です。
12. Posted by    2013年02月09日 16:39
>東澤雅晴 様

 中国にとって、日本は未だに軍国主義で、右翼が云々という発想を持っている人がいることも事実です。

 知識階級では、こうした馬鹿げたことは信じていないわけですが、いろいろ面倒くさいので、信じているふりをする人もおり、こうしたことが事態をより複雑にしているようです。
13. Posted by 名無し   2014年04月10日 16:40
日本人が祖国防衛を意識せざるを得ないようにしている元のはシナ
妄言を振りまいて尖閣を犯そうとしているシナこそが平和の破壊者
日本はシナの思い通りにはならない国であることを思い知らせてやらねばならない
日本人は日本人としての誇りを持ってシナの横暴に立ち向かう時がきた
まずはシナ・南北半島国家に蝕まれた政治の世界から売国奴どもを一掃することから始めよう

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