2013年01月05日

 中国とミャンマーの関係についての特集を『環球網』が組んでおり、いろいろ興味深かったので、今日はこれについて少し。


1 記事の紹介

 通常であれば1つの記事の翻訳を紹介するパターンですが、今回は先に述べた様に特集となっているので、3つの記事を紹介します。ただ、1つ1つ詳しく紹介するのはスペースの関係上無理なので、概略のみの紹介とさせていただきます。


① 印度拟促进印缅军事合作 抗衡中国在缅影响力

 インドの国防大臣は今月の末頃にミャンマーを訪問する予定だ。その目的はミャンマー軍と国境管理能力について話し合うこととされている。しかし、インド国防部職員は、「ミャンマーに対する中国の影響力に対抗する」ためと語っている。

 この職員は官吏は、ミャンマーは唯一のインド及び海洋と接しているアジアの国で、両国は国境管理に協力することとしている。それ以外にも、インドはミャンマー軍に対して研修を行っているし、様々な軍事技術を供与している。

② 日副首相访缅免除千亿债务 被称意在制约中国

 麻生太郎副総理兼財務相は5日にミャンマーから帰国する。日本のミャンマーに対する5500億円の債務免除と第二次世界大戦中の日本軍の墓地を参拝したが、中国古兵の抗議と国際世論の懐疑を招いた。

 これは30年ぶりの円借款となるが、西欧と異なり、日本はミャンマー軍政下でも貿易関係と対話を維持してきた。この理由はミャンマーに対して強硬な立場をとると、ミャンマーは更に中国に接近するからだ。

 日本はミャンマーとの戦略的関係だけでなく、東南アジア経済圏を通じて経済発展する戦略を立てている。日本はアジア各国との関係を強化し、アメリカと共に、価値観の連盟で中国を制約しようとしている。

 国際世論を不安にさせているのが、日本の首相の歴史問題に関する修正発言で、副総理はミャンマーで第二次世界大戦の軍人の墓を参拝したが、分析によると、アジアに最大の面倒をもたらすのは日本だ。

2 個人的感想

 長くなってしまったので、3つめの「专家:中国应积极介入缅甸 不出手将威胁本土」はここで紹介させてもらいます。

 すごく簡単にまとめると「ミャンマー政府とカレン族の武力衝突により、3発の砲弾が中国政府に着弾した。これはゆゆしき事態だ。西側諸国はミャンマーに対しいろいろ関与しようとしているが、中国もこうした武力衝突の影響を被らない様に積極的に関与していくべきだ」という記事です。

 これを見ると見えてくるのが、インドや日本(日本の後ろにいるアメリカ)がミャンマーを通して中国包囲網を建設しようとしているという中国のこれまで何度か紹介してきた被害妄想的発想です(中国包囲網?)。

 だからこそ、中国はミャンマー対策をきちんと行っていかなくてはならないという3つめの記事に繋がるわけです。確かに、ミャンマーは以前の軍事独裁政権時代、世界から孤立しており、中国くらいしか相手いにしてくれる国がありませんでした。

 それが、多少民主化を進めた結果、欧米各国が進出始めたことを受け、これまで中国だけが独占的な地位を占めていたところが、そうではなくなりつつあることを受けた記事といったところでしょうか。

 ただ、面と向かってそうも言うのも格好悪いので、たまたま砲弾が飛んできたことを理由にいろいろ介入の理由を探しているといったところでしょうか。

 中国は自国を「平和国家」と称しているので(中国紙に見る、アメリカの「露払い」としての日本)、こうした理由でもなければ介入しずらいわけですが、チベット侵攻、朝鮮戦争への参加、ベトナム侵攻、ソ連やインドとの武力衝突などを見るととてもそうではないのが実情です。

 また②の記事が典型ですが、『環球時報』はやはり日本が嫌いらしく(中国紙『環球時報』は日本に対して批判的か?)、軍人への墓の参拝すらどうやらお気に召さない様です。

 これについてはいつか詳しく書いて見たいと思っておりますが、日本人と中国人の死生観の違いで、日本は死んだ人間に対する悪口を憚る傾向がありますが、中国では死んだ後も悪人は悪人です。こうしたことが靖国参拝を巡る意見の食い違いの背景と考えます。



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凜amuro001 at 19:14│コメント(8)トラックバック(0)中国外交 │

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この記事へのコメント

1. Posted by まさ   2013年01月06日 16:23
こんにちは、中国に危機感を持っているひとりです。
中国ウォッチを始めたばかりですが時々見させて頂きます。
2. Posted by とも   2013年01月06日 16:29
「分析によると、アジアに最大の面倒をもたらすのは日本だ。」

単純に意味のない接頭語としてみるべきだろうが、何をどういう風に誰が分析したのか知りたいところ。
3. Posted by    2013年01月06日 18:20
>まさ 様

 どこまで参考になるか、あまり自信はありませんが、今後ともご笑覧いただければ幸いです。
4. Posted by    2013年01月06日 18:24
>とも 様

 「有分析认为」となっているだけなので、具体的に誰がこのような分析をしたのかわかりません。

 しかし、「日本=軍国主義」は、日本を批判する際の決まり文句のようなもので、何が何でも日本が悪いという主張に持っていきたいだけなので、固有名詞が有っても無くても、あまり変わりないのが実態かと思います。
5. Posted by chongov   2013年01月07日 09:05
日本のミャンマー戦略は凄く速いです。
…安倍麻生コンビの能力はいいね。
6. Posted by minneko   2013年01月07日 14:07
5 はじめまして。1ヶ月ほど前にこちらのブログを発見し、ちょくちょく読ませていただいております。

>日本人と中国人の死生観の違いで

は私も以前からよく思っていた(靖国神社問題も含め)意見でしたので、とても共感いたしました。
こういった死生観も含め日本も丁寧に説明していくべきだと思うのですが、説明が下手な日本国(人)(政府)、努力してほしいところですね。

これからもよろしくお願いいたします。
7. Posted by    2013年01月07日 19:57
>chongov 様

 単にアメリカがミャンマーに進出しているから、それに倣っているだけという可能性もあり、どこまで評価できるかは、もう少し様子をみる必要がありそうです。
8. Posted by    2013年01月07日 20:00
>minneko 様

 はじめまして

 読んでいただき本当に感謝しております。

 死生観の問題というか靖国神社の問題はいつかまとめてみたいなと思ってはいるのですが、どうも機会が無く、伸び伸びになっているものの1つです。

 どこまで中国の方に理解してもらえるかは疑問ですが、説明はしていくべきだと私も思っております。

 こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。

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