2013年05月17日

 『人民日報 海外版』が「日表面加强同盟意在摆脱控制 美须小心修宪意图」という記事を掲載しており、いろいろ思うところがあったので、今日はこれについて少し。


1 記事の紹介

 最初にいつものとおり、記事を翻訳したものを簡単に紹介させていただきます。

 今年7月に日本は重要な参議院選挙を迎える。この選挙の結果によって、安倍内閣は長期政権たり得るかだけではなく、安倍政権の最大の目標-「日本国憲法」の改正がどうなるかに関係している。

 日本の憲法改正を求める理由としてアメリカに「押しつけられた」というのがある。終戦直後、アメリカは日本の憲法草案が天皇の統帥権などを残していたことに満足せず、自ら草案を作成し、1947年5月3日から施行された。

 日本の憲法は侵略に対する反省と平和を体現していたと言える。例えば、第9条は戦争放棄を定めており、そのため、「平和憲法」とも称されている。

 憲法改正は日本の内政だが、問題は日本がどのように憲法を改正するかで、日本がこれからも平和の道を歩くかどうかの試金石となっている。安倍内閣は、まず憲法の第96条を改正し、憲法改正を容易にする。

 その後で、第9条を改正し、「国防軍」を憲法に明記し実現させ、現在象徴である天皇を正式な「国家元首」とする。この目的は戦後アメリカによって否定された日本側が提出した憲法草案を復活させることで、戦後の平和憲法の縛りをなくすことになる。

 昨年12月の衆議院選挙で、自民党は295席を獲得して、衆議院480議席の60%以上を占めている。そして憲法改正に積極的な日本維新の会やみんなの党と連携するなら、既に憲法改正に必要な2/3以上の議席を確保している。

 しかし、参議院では、自民党は84議席にしかすぎず、(賛成する)他党を入れても242議席の半分にも届かない。そのため、何とかして7月の参議院選挙を勝ち「改憲大連合」を形成しようとしている。

 そうなってしまえば、日本の民意もアメリカも改正を遮ることはできない。アメリカは自分で熟成した辛い結果を引き受けなければならない。現在、日本の政治は右傾化している。右翼政党、日本維新の会は参議院で3議席があるだけだが、党の指導者、石原慎太郎と橋下徹が前職の力を利用して、更に多くの議席を獲得するだろう。

 現在自民党の憲法改正に反対している民主党は、海江田万里の指導の下、支持率は少し回復している。しかし支持率から見ると自民党に対抗できない状態だ。

 護憲派が参議院で少数派になると、日本の政治は更なる右傾化が進む。そうなれば、日本は中国や韓国との関係が悪化し、アメリカの東アジア戦略や日米関係も困難に陥る。

 アメリカはアジア太平洋地域のバランスを望んでおり、日本を先兵にしたいと考えている。日本は表面上は、日米関係の強化を目指しているが、実際は憲法改正を通してアメリカの支配を抜け出そうとしている。この点についてアメリカはきちんと認識すべきだ。

2 記事の狙い

 因みにこの記事を書いたのは、清華大学の劉江永当代国際関係研究院副院長で、確かに専門家の書いたものという感じではありますが、如何せん『人民日報』に載るような記事なので、思いっきりバイアスが掛かったものとなっています。

 日本の右傾化(憲法改正)→近隣諸国との関係悪化→更にはアメリカとの関係悪化、となるのだが、アメリカはこのまま黙っているのかという感じの記事です。

 日本の右傾化、軍国主義化は中国の論調としては良く見られるもので(不景気に苦しみ政治に失望している日本はファシズムが台頭している?尖閣購入に関する中国のプロパガンダ記事)、何を今さらの感じがあります。

 韓国が日本を批判するのも同じで、これも今さらの感があります(靖国参拝で中国が韓国と日本を批判、でも他の国は)。今回新しい論調として追加されたのが、アメリカで、アメリカが作った憲法を改正することは日本がアメリカの頚木から自由になることだという主張です。

 中国としては領土問題が典型ですが、アメリカが日本に加担することを最も恐れるので(アメリカが尖閣問題で日本支持を表明したことに対する中国の反応)、希望的観測として、日本とアメリカが仲違いするという主張を入れた様な気もしないではありません。


3 憲法改正について

 丁度良い機会なので、96条の改正に関する私の考えを述べておくと、日本は国民が主権なのだから、その国民が選挙及び、国民投票という形で憲法を改正したいと考えるなら、そうすべきだと考えます。

 因みに、元記事では、おそらく意図的に国民投票のことを避けたのかと思います。以前書いた様に(ドイツの戦後処理を賞賛する中国は妥当か?)中国は一部の軍国主義者と大半の何の罪もない日本国民という分け方で、国交正常化を行ったので、日本国民の大半以上が憲法改正に賛成しては、この論拠が成り立たないこととなってしまうからです。

 話がそれましたが、もし憲法改正が容易になれば、憲法がコロコロ変わることとなり、困ったことになるという主張をする人がいます。しかし、これこそ主権者たる国民を馬鹿にした話で、国民が自己責任でそういう選択をしたのなら、日本で生活する以上、それを受け入れるしかないと思っております。

 そして改正を容易にした結果、自分たちに不利益があると国民が思ったのなら、また戻せば良いだけの話ですし、今以上に厳しく(例えば両議員の総数の3/4等)とすることも可能です。

 それをただ単に、このままではこうなってしまうという推測だけで、話を持っていき、憲法改正の議論さえ封じようとするのは、日本国民に対する侮蔑に等しいと思っております(これは、中国に対して言っているわけではありません)。



このエントリーをはてなブックマークに追加
凜amuro001 at 21:17│コメント(8)トラックバック(0)右傾化? │

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by 赤城三十郎   2013年05月17日 22:44
米国は日本が自主憲法を制定して、日本の防衛力増強を望んでいると思うのですが…


「日本国憲法」は「国民投票」と
いう手続き(洗礼?)を経て成立したという、正当性がありません。故に、この根源的な確認の意味も込めて、国民投票の権利を是非とも行使したいですね。
2. Posted by chongov   2013年05月18日 00:21
中国の一部マスコミ、反日度はかなり高いな。日本はどんなことやっても悪い。とりあえず日本は悪い。それで満足できるのか?馬鹿馬鹿しいな。

日本の憲法改正も、首相の靖国参拝も日本の内政ですから、中韓は干渉すべきではない。だが、もしも日本の軍事力は強すぎになったら、自分も日本に警戒した。…今はそんな状況ではないが。
3. Posted by    2013年05月18日 20:55
>赤城三十郎 様

 アメリカが本当に願っているのは、日本がアメリカのいうことを聞いてくれること、アメリカの手先になってくれることでしょう。

 そういう意味で安全保障の肩代わりをしてくれるのは望んでいますが、独自の戦略をねったり、アメリカの戦略をかき回すことは望んでいないと考えます。
4. Posted by    2013年05月18日 20:57
>chongov 様

 中国は「人権問題」などで内政不干渉をあれだけ主張しておきながら、日本の歴史認識や憲法改正にこれだけ口を出してくるのは正直どうかと思っております。

 ま、中国の二枚舌は今に始まったことではないので、どうとも思わなくなってしまっているのが、正直なところですが。
5. Posted by chongov   2013年05月18日 21:50
凜 さんへ

少なく日本の憲法改正や沖ノ鳥島開発は反対できないを思うです。

人権問題は中国の内政問題と言われるが、中国も「アメリカの人権報告」という武器で反撃した。国際関係に、「相手国の非難に対する反撃」は必要かもしれないけど、一部も無理だ。
6. Posted by    2013年05月19日 18:18
>chongov  様

 私も確かにそう思います。

 ただ、教科書問題でも介入してくる位だから難しいでしょう。日本ももっと韓国や中国の教科書問題には介入しても良いと思うのですが。
7. Posted by chongov   2013年05月19日 19:31
凜 さんへ

そうかな。中国も韓国も、歴史教科書は多く問題があります。一部記載はかなり主観的な内容がある。
8. Posted by    2013年05月20日 22:33
>chongov 様

 いろいろな見方があるので、中国なり、韓国なりの主観的な見方があった当然だと思うのですが、やはりものには限度があると思っております。

コメントする

名前
 
  絵文字