2013年06月25日
ブログの名前が『政治学に関係するものらしきもの』でありながら、ここのところ、あまり政治と関係の薄いネタばかり取り扱ってきたので、今日は都議選も行われたばかりなので、これまで何度か触れている(日本の総選挙は美人コンテスト?)、選挙のことについて少し。
1 細野幹事長の発言
都議会議員選挙は結局、大方の予想通り、自民党の圧勝、民主党の惨敗となったわけですが、これを典型的に表していた記事に『The Huffington Post』に掲載されていた「選挙に細野豪志民主党幹事長の「訳がわからない」発言は「表現の自由」を指摘したもの【党幹部の動き】」という記事があるかと思っております。
この記事は、民主党の細野豪志幹事長が、19日「ニコニコ生放送」の中にある民主党チャンネル「において行われたアンケートで、自民党の支持率が73.9%だったことについて、『訳がわからない』と述べた」という記事です。
番組内のアンケートで、この結果が公表されると、細野幹事長は、「いきなりかましますけどね、わたしねー、これがわけわからないんですけれどもね、だって、最も、表現の自由を規制しようとしている政党でしょ? まず憲法。(自民党の改憲案では)憲法21条で、公益及び、公の秩序のために、制限できると書いてあるわけですよね。こんな憲法、ネットの人認めるんですかね。私ね、そこは、考えたほうがいいと思いますよ。我々は、言論の自由を守ります。」と発言したそうです。
2 選挙の焦点
自民党などが進めている児童ポルノ禁止法改正案に関して、細野幹事長は、「表現の自由を萎縮することがないようにという配慮は必要だと思う」と述べ反対の立場を示しております。
そして、記事では、「細野氏がネットユーザーに言いたかったことは、アベノミクスや外国人参政権などの問題で自民党を支持している人が多いようだけれども、自分が活動しようとしている分野に規制をかけようとしているのが自民党政権ではないのかという点であろう。それなのに、支持率が多いというのに対して『訳がわからない』。」としております。
幹事長は選挙の陣頭指揮を取る立場な訳ですが、これを見た瞬間に細野幹事長は残念ながら国民が何を望んでいるか全くわかっておらず、格好良いことを言っていれば、国民がついて来ると思っている、いわゆる「秀才型」の政治家のままだと失望してしまったものです。
3 政党支持
私自身も児童ポルノの改正には消極的ですが(児童ポルノ改正で日本アニメはダメになってしまうのか?)、残念ながらそれだけで民主党を支持するつもりは毛頭ありません。
政権交代を成し遂げた総選挙では、良い意味で小沢一郎のどぶ板選挙とこうした民主党の「理想派」と言っては失礼かもしれませんが、耳障りの良い政策が合わさって、あれだけの大勝となったのかと考えます。
しかし、既に小沢一郎はおらず、また、かつての「理想論」も実際口だけで、実現する方策がないことが露呈してしまった現在(田中眞紀子議員を例にした民主党の敗因)、相変わらず「表現の自由」といった、直接生活にどこまで関係するかわからない「理想論」だけを掲げてどうなるのかという話かと考えます。
念のため補足しておくと、当然「表現の自由」は大事で、それは守られるべきかと思いますが、具体的にどう制限されるかもよくわからない段階で、自民党は「表現の自由」を制限していると述べても、それだけで誰が支持をするかという話です。
4 成果
国民が求めているものは、実際に良くなったという変化と、「安定」かと考えます。いろいろ批判はありますが、アベノミクスで株価は回復し、雇用もそれなりに回復しております。
確かに民主党は「変化」はもたらしましたが、閣僚や政務三役などの発言が食い違っていたりして、誰の発言を信用して良いか分かりませんでした。更に、「政治主導」という「理想論」を掲げて、官僚と衝突するだけで、成果という面では充分なものを挙げることができませんでした(橋下市長の政策が人気のあるワケ(民主党の人件費削減と比較して))。
何事にも理想は大事で、それは政治も同じですが、政治とは、利益の再配分だと私は考えているので、必要とされるのは、より具体的な成果となります。それを示すことなしに未だに抽象論、理想論だけを唱えている幹事長に少し呆れたが故の今日のエントリーでした。
トラックバックURL
この記事へのコメント
元々、選挙互助会として集まった野合の衆の政党ですし、
「史上最低」、「史上最悪」と形容された、鳩山由紀夫と管直人を総理大臣にした「罪」は、万死に値する程、重いのかも知れませんね。
「国益」の為にも「政界再編」が望まれますが、しばらくは不毛なバラまき政治が続きそうでうんざりします。
自由を党名に掲げる政党の主張としては、党名と真逆のことを主張しているようにしか見えないし、自民党のカウンターである細野氏の政党も合わせ鏡のように党名と真逆の理屈を言っていますが。
階級闘争史観を否定すると、政治学的には国民政党に行き着くのは必然のことなのでしょうか?
自民党長期安定政権は第二小泉政権ようなもんかもしれない。だが、中日・日韓関係の悪化も続くできない。たぶん中韓マスコミは日本を批判するが、政府は日本と協議するかも。
・地道な小沢氏らのどぶ板選挙運動。
・官僚上がり、高学歴若手の論客を表看板にTV等でイメージつくりを展開。
した「羊頭腐肉選挙」には完全に騙されました。
そして、出て来た閣僚は若手論客なしで、カビの生えた人権やと、仕事はしたくないが一日でも閣僚の名をかぶればよい、そんな代議士が何処に居たのかと言う酷い面々、日本国民はよい勉強をしました。
階級闘争史観もすでに拘泥する社会ではないし、高度で専門的な国際社会であり、革新も変化もトコトン難しいテクニックが要る、経験も新しい知識も必要だった政権なのに、あのメンバーは無いだろう。
懲り懲りだ! 主要メンバーを払拭一掃、イメチェンしないと当分は民主党の芽はもうないかも。
鳩山政権が発足した直後の、極めて高支持率を誇っていたころですら、民主党不支持のほうが多いのです。ですから、ニコニコの特色を検討しないで、どぶ板や理想主義が失われたからニコニコでも支持が低い、という指摘は、やや的をはずしているのではないでしょうか。
あまり良い参考資料とも思えませんが、検索で見つけたものを貼っておきます。
http://www.asahi.com/digital/mediareport/TKY200911050306.html
なお細野氏に関しは個人的感想はありません。彼に限らず民主党は支持者を見失っています。党を支えていた全有権者1割の固定票すら、霧のように消えつつあるのに、その事が見えていません。
確かに民主党は今後どうなるのかという感じで、政界再編の可能性も否定できません。
しかし、どうも対抗軸が見えてきません。自民党も本来はTPPなどで一枚岩ではないはずですが、民主党より経験があるせいか、そこまで対立が見えてきません。
名前が体を表した事例は余り多くないので、その点はあまり気にしておりません(○○人民共和国が全然人民の共和国でなかった例など)。
階級闘争史観の先に何があるかは、いろいろな説があるので、何とも難しいところです。
特に政治学だけでなく、ポストモダンのような社会学的なアプローチもあり、私もよくわかりません。
ただ、既に「階級」で何でも物事が判断することができる時代は終わっているのは間違いないと考えます。
二大政党時代の幕開けと華々しく宣伝されましたが、どうも違っていたようです。
民主党はこのままでは、社会党がかつて果たした役割も果たすことができないまま、わけが分からなくなってしまうのでないかと思っています。
ただ、反自民党の受け皿が必要なのは、間違いないので、どこがその役目を勝ち取るかという話かと考えます。
確かに「懲り懲りだ」という感想は良くわかりますが、私は「無駄」ではなかったと思っております。
何だかんだいって、自分たちの一票で政権交代が成し遂げることが可能だということを学び、自分たちの選んだ政治家によって自分たちが多大な影響を被るという点を学んだだけでも、良い経験になったのではないかと考えます。
確かにメディアによって見ている層が異なり、それにより、アンケートなどに大きな影響を与えるということは良くあります。
日本では一応マスコミが「公正・中立」を謳っているので、あまり大きなズレはないようです(産経と朝日など全くないわけではありませんが)。
しかし、台湾あたりだと明らかに自分の嗜好に適した新聞を見ているので、どこの新聞社が行ったアンケート調査か確認しないと、大きな読み違いをすることもあるそうです。