2013年10月24日

 中国のPM2.5問題がかなりひどいことになっていますが、これをまともに考えれば、きちんとした環境対策をとらない政府が悪いという発想になるわけですが、どうも中国ではそういう方向にはいっておりません。

 これについてまず中国政府そのものがいろいろ責任転嫁をしているという側面は確かにあります(中国のスモッグと中国政府の責任回避)。しかし、それ以外にもいろいろ理由が考えられ、その点が如何にも中国的だったので、これについて少し。


1 責任の所在

 中国の水質汚濁や空気汚染がひどいことは既に周知の事実ですが、これについても、取り締まりをきちんとしない政府というよりも、排水等を違法に流した企業が悪いという形で処罰されておしまいです。

 ただ、大きい企業は地域の官僚と結びついているので、かなり大きな話題となって中央が直接乗り出してくるということでもない限り、内々で処理をしてしまうということもよくあるようです。

 斯様に、誤魔化せる可能性が高いとなれば、何も無理に高い金をかけて、処理施設などの整備などを行おうという発想にはなりません。

 実際問題、中国人一人一人の環境に対するモラルというか、意識が低いことも事実で、これをどうにかしなくてはならないという問題もあります(環境保護を訴える幕の下に立ち小便をする警官(写真))。

 それに、排水の場合であれば、ある程度の目安を付けることが可能ですが、大気汚染となると特定の一社だけの責任ということは難しく、また車の排気ガスも有力な原因となっています。

 そのため、責任が分散され、自分たちに帰ってくるという話で、特定の誰を追及することも難しくなります(中国の公害問題と中国人一人一人の責任)。それに、あまりこれを追及していくと、大気汚染を減らすために車に乗る回数を減らせという話にもなりかねません。

 実際、北京オリンピックの時には、北京で車のナンバーによる交通規制が行われており、自分たちに不利益が返ってくる可能性が高いので、これもあまり強く言えないようです。


2 日常の生活

 あれだけ大気汚染がひどい状態で、一般の人たちは、何もしないのかという話も聞きますが、泣き寝入りするのが殆どです。

 人は守るべきものがあると、冒険しなくなるというのは良くあることです。それなりの仕事を持って、それなりの生活をしている中国人が考えるのは如何に現在の生活を維持するかということです。

 多少水や空気に問題があっても、水は金を出して買ってくれば何とかなるし、空気は時間が経てばある程度回復します。

 それに対して、これらの不満を下手に政府にぶつけたりして、目をつけられたら仕事も今後どうなるかわかりませんし、日常生活でもいろいろ不利益を被ることは明らかです。

 これらはすぐに目に見える形で現れるわけですが、それに対して公害による被害は、長い年月をかけて少しずつ体を蝕んでいくので、今すぐどうこうということはありません。そうなると一般の方がどちらを選択するかは明らかかと思います。

 80年代バブル華やかなりし頃、日本でも地上げが盛んに行われましたが、高度経済成長が続く、中国でも再開発は盛んで、かなり安い値段で強制収用が行われています(地上げに反対する老人をショベルカーで圧死させる中国(写真))。

 こうした、強制収用で土地を無くした元農民などであれば、今更無くすものなど何もないので、デモだろうが、中央に対する抗議運動など何でもできますが、やはり普通の人はそうはいきません。


3 最後に

 もちろん中国には言論の自由がないので、政府批判が自由にできず、普段から何かあると政府を攻撃するというパターンに慣れているどこかの国とは行動様式が違うということも考慮にいれなくてはなりません。

 日本も「環境問題は政府の責任」という認識を国民が持っているから、こういう行動ができるという話で、以前(戦前から終戦直後位まで)はこういう発想そのものがなかったので、政府に賠償を求めるということを考える人もいませんでした。

 中国の場合、共産党は人民の代表であり、人民の要望を取り入れて政策を行っていることになっているので、抗議を行うということは、共産党が人民の要望をきちんと取り入れていないということにもなりかねないという側面もあるため、いろいろ難しいという側面もあります。



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凜amuro001 at 00:57│コメント(11)トラックバック(0)中国品質問題 │

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この記事へのコメント

1. Posted by 気まぐれ   2013年10月24日 08:02
つくづく民主主義国家であり、言論の自由のある国に住んでいる事が、有難いですね。(民主国家であれば国内安定とは限りませんが)
中国の一般市民には同情の念を感じます。(思い切り上から目線ですいませんが、正直同情します)

そういえば、福島原発の放射能汚染流失に対する反応ではないですが、PM2.5が気流に乗って隣国に流れた場合彼らは責任を取ってくれるのだろうか。(無論、結果は聞くまでもないが)
2. Posted by chongov   2013年10月24日 11:17
公害問題は50年前の日本と同じレベルですが、市民運動は50年前の日本より遅いじゃん。
3. Posted by ホンシツ   2013年10月25日 00:06
非常に残念だが、日本の放射線物質問題もそうじゃないか?
4. Posted by    2013年10月25日 01:18
>気まぐれ 様

 黄砂の問題でも、地球温暖化が原因と自国の責任については、認めようしない国ですから、PM2.5の問題で、中国が責任を認める可能性はほとんどないと思っております。

 それに下手に外国に対して認めると、それこそ国内に対する示しがつかなくなってしまうと考えます。
5. Posted by    2013年10月25日 01:19
>chongov 様

 各国の比較をするにあたって、何十年代の日本という例えをすることがありますが、なかなかおもしろい例えかと思います。
6. Posted by    2013年10月25日 01:21
>ホンシツ 様

 その国によって、いろいろタブーあるのは事実かと思います。

 ただ、中国の言論の自由の制限はそういうレベルではないと考えております。
7. Posted by chongov   2013年10月25日 19:46
ホンシツさんへ

いや、全然違うんです。日本の原発問題は過大評価された。IAEAや国連の調査から見れば、福島第一原発事故の影響はコントロールされるかも。海外の来日観光客もよく増える、風評被害は少ない。しかも中国に反原発デモはほどんど無いでしょう。
8. Posted by chongov   2013年10月25日 19:51
凜さんへ

日米社会20年遅延説
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%B1%B3%E7%A4%BE%E4%BC%9A20%E5%B9%B4%E9%81%85%E5%BB%B6%E8%AA%AC

それと似い、2000年代の中国に、一部親日派学者も「中日社会40年遅延説」を主張する、その論理は「中国の一人あたりGDP・自動車保有率・エネルギー効率などデータは40年前の日本と同じ、思想潮流もそうです」だ。

だが、2010年代入り後、そんな話は少なくなった。もちろん「日本に学ぶ」など言論はまだ存在するけど。
9. Posted by chongov   2013年10月25日 20:15
実際って、「中日ギャップ」なら「日本は中国より何年早い」、「中印ギャップ」なら「インドは中国より何年遅い」、そんな事は私の脳内で、常識みたいな存在になった。国内外のマスコミともそんな報道があった。だから、もしも中国は日本より先進、又はインドが中国より先進の国になったら、やはり自分は違和感や否認感しかありません。

しかし、この世界はいつも変わる。もしも明治時代の日本人も遣唐使時代ような「日本は中国より何年遅い」みたいな考え方を抱くたら、多分明治維新は成功できないんだ。
10. Posted by    2013年10月26日 01:28
>chongov 様

 中国にいたとき、今の中国は日本にしてみれば○○年代という話は本当に良く聞きました。

 確かに、まだまだ発展途上国という発想からそう聞いてきた面はあるかと思いますが、いずれ追い付くという思いは少なからず、あったのかと思います。

 実際いろいろ思うところはありますが、高度経済成長で、豊かで便利になったのは間違いないと考えています。
11. Posted by chongov   2013年10月26日 12:15
凜さんへ

事実ですから仕方ないでしょう。
少し前まで日本との距離は40年、アメリカとの距離は80年と言われるが、今の一部中国評論家は楽観すぎろ。だが油断大敵だ。

中国の少子高齢化は日本より厳しいかもしれない。

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