2013年10月29日

 『夕刊フジ』が掲載していた「異様な中国マスコミの実態 企業からの現金受領が常識 不正行為も横行」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。


1 記事の紹介

 中国広東省の日刊紙『新快報』の陳永洲記者は、「湖南省長沙の政府系建機大手、中聯重科の財務上の不正疑惑を昨年から相次いで報道。今月に入り、長沙の公安当局に拘束され」ました。

 「これを受け、同紙は23、24日付の紙面で記者釈放を求める異例の要求を掲げていたが、中国中央テレビは26日、拘束下の陳記者が第三者から提供された資料をもとに記事を書き、『50万元(約800万円)を受け取った』と語る映像を放送し」ました。

 「陳記者も27日までにこの事実を認め」、結果、「新快報は、同日付の1面に謝罪文を掲載する」こととなりましたが、「陳記者に誰が資料を提供し、利益供与したかなど具体的な説明はされておらず、真相は不明」としています。

 ただ、「中国メディアでは記者が取材先から『交通費』の名目で金銭を受け取ることは半ば常識」で、「企業の会見で中国人の新聞記者には数百元(数千円)、テレビ取材には数千元(数万円)の相場があるとも」しています。

 そのため、「当局は中国メディアのこうした弱点を突いたと」いう指摘も紹介しています。そして、「新快報記者の不正行為だったのか、当局の弾圧だったのか。ひとつ言えるのは『この機に乗じて政府が言論統制を強める恐れがある』」という意見を紹介して記事を終えています。


2 汚職天国

 中国は、「関係」と呼ばれるコネが最もモノを言う社会で(開店祝いとコネ「私の父親は村長よ」事件)、医者にコネがあれば、診察の順番を繰り上げてもらうなど、皆大なり小なりコネを利用して生活しています。

 特に、厄介なのが、公権力に関する場面で、役所に何か申請をするにあたって、コネがあるとないとでは大違いとなります。そうなれば、結果賄賂が横行するのは当然の話で、中国政府もこれについては無視できない程になっています(中国の「反腐敗」に世界が注目している?)。

 そのため、「政府系建機大手、中聯重科」に不正があったとしても何の不思議もないわけで、実際私も、『新快報』が一面に「釈放してください」という記事を載せたという記事を見たときは、そういう前提で見ておりました。


3 記者の不正

 ただ、今回の記事が指摘しているように、中国では、コネ社会なので、記者にコネがある人(会社)がヨイショ記事を書いてもらうということは少なくありません。

 コネがなければ、元記事で紹介しているように、金を払ってヨイショ記事を書いてもらうことも良くあります。逆に記者の方から、会社に不都合なことを書かれたくなければという形で賄賂を要求されることがあるという話も聞いたことがあります。

 そのため、中には記者の名前を騙って、会社から金品をだまし取ろうとする人もいるほどで(中国のニセ記者)、さすがは「パクリ大国」として名高い中国と逆に感心してしまうこともある程です。


4 本音と建前

 つまり、記者も「同じ穴のむじな」というわけですが、こんなことは、私ですら知っている話ですので、中国の人にしてみれば、百も承知な話です。

 ただ、普段は見て見ぬふりをして過ごしているわけですが、当然賄賂は犯罪ですので、今回の様に問題となるといくらでも立件は可能です。

 これが中国の怖いところで、普段は皆誰もが行っているので、深く考えずに行動してしまうわけですが、いざ問題となると法律という「建前」を持ち出してきて、いくらでも難癖をつけることができるわけです。

 特に日本人などであれば、日中関係が悪化していれば、売春等で狙い撃ちをすることも可能で(日本人売春容疑で逮捕?)、かなり注意が必要となります。


5 最後に

 結果、今回の事案もこうした形で報道されると、どっちもどっちという感じで、どちらが悪いかわからなくなってしまうわけで、中国政府のもくろみとしては、成功したと言えるのはではないでしょうか。

 こうしたことがなされるから、中国政府は「法治国家」と主張しても誰もそんなことは思いもしないわけですが、確かに「法による統治」には間違いありません(法学で言うところの「法による支配」と「法の支配」の違い)。



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凜amuro001 at 00:00│コメント(2)トラックバック(0)マスコミ(中国) │

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この記事へのコメント

1. Posted by chongov   2013年10月29日 10:45
やはりマスゴミも賄賂官僚もクズです。・・・
でも、いい記者もあるんだろう。
2. Posted by    2013年10月30日 04:35
>chongov 様

 共産党の宣伝機関しか存在しない中国で、どこまでというのはいろいろ難しいところがありますが、「良い記者」もいるのは確かかと思います。

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