2013年10月30日

 いつもいろいろお世話になっている『BLOGOS』で、板垣英憲氏が「北京市天安門で小型四輪駆動車炎上、車の3人と観光客2人死亡事件は新たな『天安門事件』、中国崩壊前兆か」という記事を、天木直人氏が「中国天安門前で起きた自動車爆破事件の衝撃」という記事を書かれていたので、これについて少し。


1 板垣氏の意見

 「『不条理を強いられる』『理不尽な格差から逃れられない』など文字通り『閉塞感』から絶対絶命の窒息しそうな境遇のなかで、人民大衆が取り得る最終的な道は、『自爆』だ」としています。

 そして、「もちろん、いまの中国では、イスラム世界のような「ジハード」を叫びながら、「自爆テロ」を敢行するような人民がいるとは思えないけれど」としながら、春秋戦国時代に王に進言して意見を聞きいれてもらえず、自殺した「楚の政治家、詩人であった屈原・・・を生んだ国である」としています。

 「いまの中国は、共産党1党独裁の下で、共産党幹部の汚職がはびこり、貧富の格差を生み、環境汚染に悩まされ、子どもたちが誘拐されて売られ、しかも、マスメディアに対する弾圧が厳しく、本当に救いのない社会に成り果てている」そうです。

 そのため、「こんな状況に対して、『自爆』を覚悟して抗議の死を図ろうとする人民が現れてもおかしくはな」く、今回の事件は「新たなる『天安門事件』として、中国北京政府の習近平国家主席、李克強首相ら「チャイナ・セブン」の最高指導部に重大決意を迫るインパクトになる可能性が大だ。中国崩壊の前兆か」としています。


2 天木氏の意見

 「中国政府はもとより、米国政府も日本政府も内心では大きな衝撃を受けているだろう。自爆テロだとしたら大事件だ。その自爆テロがシリア情勢や中東問題と関連していたら更に大事件だ」だとしています。

 その上で、「この事件をきょうの邦字主要紙のなかで一番大きく報道したのは中国嫌いの産経新聞である。中国の政情不安、治安不安を喜びたいのかもしれない。しかしそのような観点からこの問題を捉えていては見誤る」としています。

 その理由は「この問題は安倍政権にとっても深刻な悪影響を及ぼすことになりかねない。テロとの戦いで米中が、そしてロシアが協力するような事にでもなると、今度こそ日米同盟関係など吹っ飛んでしまう」からだとしています。


3 中国の問題点

 私も、これまでも中国の汚職問題(不正を追及する中国人記者も「同じ穴のむじな」?)、環境問題(大気汚染問題で中国人が政府を批判しない理由)、格差(中国で忘れ去られた人々(写真)中国のいかにも成金といった人たちの写真)については何度か触れたことがあります。

 そういう意味で、板垣氏が指摘されているとおり、中国が多くの問題を書かれていることは事実ですし、そういう社会に不満を持っている中国人がいることも事実です。

 ただ、問題は、だったら直ぐに「中国崩壊」に結びつくかという話です。天安門事件の昔から、何かあると「中国崩壊」に結びつける方がおりますが、一向に中国は崩壊しておりません。

 というのは、まともに考えればわかる話ですが、今の中国の体制から利益を得ている者と、不利益を被る者がどの位いるかという話で、いろいろ問題はあってもそれなりの経済成長を維持し、衣食住も保障されている現在の体制を破壊しようと思っている人が中国人の何割にのぼるかという話です。

 実際、過去にも指摘したことがありますが、板垣氏は話を盛る傾向がある様で(中国体制維持のために日本アイドルを利用?)、今回の事件だけで、いきなりも「中国崩壊の前兆か」と言われてもまたかとしか思いません。

 なお、こうした主張の最大の利点は、常に「中国崩壊」を言い続けていれば、いつかはおかしくなる可能性があるという話で、過去に外れた話をせずに、当たった時だけ、自分はかつてこう言っていたと言えば、信じる方が出てくるという点です。


4 テロを中心とした関係改善

 そういう意味で、天木氏が述べている様に、「そのような観点からこの問題を捉えていては見誤る」というのは、その通りかと思います。

 だた、「テロとの戦いで米中が、そしてロシアが協力する」というのはいつの議論をしているのだという話で、とても受容できるものとは、思えません。

 というのは、これはアメリカ同時多発テロ(9.11)の時に、散々問題とされたもので、当時、中国の人権問題は棚上げされ、アメリカと中国の関係関係改善が進み、チェチェンなどの問題を問題を抱えていたロシアもアメリカに同調しました。

 結果、それで良いのかという批判は散々起こったわけで(ボストンテロを利用してアメリカとの関係改善を図りたい中国)、そうした過去の経緯を無視していきなり、「日米同盟関係など吹っ飛んでしまう」という物言いをするのも如何なものと考えます。


5 最後に

 どうしても、ブログでも新聞記事でも人目を集まるために、過激(極端)なことや、多少奇抜なことを言う方がおられる様です。

 私もアクセス数ほしさに、いろいろ試行錯誤しているような状態で、他人のことをどうこう言えるような状態でありませんが、かなり思うところが有ったが故の今日のエントリーでした。



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凜amuro001 at 04:21│コメント(8)トラックバック(0)中国 | 中国格差

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この記事へのコメント

1. Posted by gulf   2013年10月30日 20:22
チベットとウイグル地区は 中国が侵略して中国になった地区と考えられます。 侵略後 両地区でどのような事が行われていたでしょうか。中国に民族を絶滅されようとしています。テロ行為は方法として間違っていると思いますが 両地区の人々には他の方法が無いように思えます。
中国の両地区に対する行動が このような行動を起こさせていると感じています。
世界は中国の行動に目を背けていますが 中国の行動が問題なのは 世界の国々は解かっていて行動を起こしません。
中国って 厄介な国と理解しているから行動を起こさないのです。
このままで良いのでしょうか?
国連も当てになりません。
いろいろな国と問題を起こしている中心に必ず中国がいます。
現状 中国の問題を解決する良い方法が見えません
今回は 内政問題とも言えます 人権問題と言うと中国が口出しするな内政問題だと決め付けます。

日本は 何もしない 距離を置くのが一番の方法ではないでしょうか?
中国と韓国は係わりを持ってよい結果を出したでしょうか?一時的にはあったかも知れません 今後 関係を持ったままで 本当に良いか真剣に考える事です。

私 個人は関係したくありません。
2. Posted by とほ   2013年10月30日 22:47
単なるテロと小さく片付けられそうですね。反政府の人が意見を表明できる機会があれば、こういう行為が起こらなかったかもと楽観論ですが想像します。近くの国で苦しむ人がいるのに無関心でいい訳ないと思いますが、情報が身近でなく、自分に何か出来ることがあるのかと考えることさえできません。すべて情報統制の成果でしょうか?
3. Posted by    2013年10月31日 05:36
>gulf 様

 別に関係を持たないですめばそれもありかと思っています。

 日本人同士でも、気の合わない人や、嫌いな人というのは、どうしてもおり、そうした方と無理に付き合ってもロクなことはないというのが私の経験則です。

 ただ、中国といってもいろいろな中国人がいるのも確かで、最初から決めつけたり、一概にどうこうというのは如何なものかと思っているに過ぎません。
4. Posted by    2013年10月31日 05:38
>とほ 様

 本当、中国は批判に対して度量がせまく、少数民族も中国政府に感謝こそすれ、批判しているはずがないという態度しか認めません。

 それでは、いろいろ不満がたまるのも当たり前で、もう少し、批判に対して中国政府は謙虚になるべきかと思っています。
5. Posted by chongov   2013年10月31日 06:25
天安門広場でテロ事件。それは2001年の法輪功信者焼身自殺事件よりひどいかもしれない。2001年の時、中国マスコミは連日法輪功や「米帝国主義からの干渉」を批判した。今でも記憶があります。

今回のテロ事件はウイグル独立運動と関係があります。日本の一部テレビ局は、ラビア氏の反応を放送した。

>中国は批判に対して度量がせまく

中国は国家の崩壊を恐れ、他国からの批判に「祖国分裂の野心」扱われるから、愛国者は激しい反発した。
6. Posted by    2013年11月01日 04:21
>chongov 様

 団結を重んじる中国としては、少数民族問題は頭の痛い問題であり、今回も国外のテロ組織との関連をいろいろ強調しているようです。

 ただ、本当に「大国」なら、もう少し度量の広いところを見せても良いのではないかと考えています。
7. Posted by chongov   2013年11月01日 10:31
凜 さんへ

中国政府はそんな勇気や自信力がない。アメリカにはテキサス独立論という本がある、日本にも沖縄独立論という本があり。中国にはウイグル独立論の本がないから、本気にウイグルの独立問題を心配するから。「反乱テロ」への鎮圧も仕方ない。

2013年の時、ニコニコ動画は一度解禁されるが、その後はまたブロックられた。今の自分はアメリカ留学中ですから、そんなことを心配しないけど。
8. Posted by    2013年11月02日 04:07
>chongov 様

 それだけチベットやウイグルなどの少数民族問題で余裕がないということなのでしょう。

 「大国」なら「大国」らしくもう少しどっしり構えていても良いと思うのですが・・・

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