2013年12月09日
『サーチナ』が掲載していた「世界汚職指数で中国は順位を上げるも非難多数=中国版ツイッター」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。
1 記事の紹介
「世界各国の汚職の度合いを調査しているドイツのNGOがこのほど、2013年の『汚職指数・国別ランキング』を発表し」ました。この中で、「中国は清潔度100点満点中で40ポイントを獲得し、177の国や地域のうち80位とな」りました。
これを受けて「中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は『3年連続の上昇』と評価し、政府の反腐敗キャンペーンが功を奏していると自画自賛した」そうです。
これについて簡易投稿サイト・微博を見ると「わが政府は恥知らずとしか言いようがない」「など、80位であることを誇らしげに報じたことに対する非難のコメントが多く見られた」としています。
「そもそも、このランキングの結果ですら、『金で買ったに違いない』という意見が出るほど、中国人にとって汚職や腐敗、賄賂といった問題は非常に深刻であるといえるのではないだろうか」ともしています。
2 中国の腐敗
何度か中国の官僚の汚職などについては触れていますが、中国の場合、「関係」と呼ばれるコネが人間関係を維持していくうえで、極めて大事です(開店祝いとコネ、「私の父親は村長よ」事件)。
そのため、贈り物文化が日本以上に盛んで、自分もしてもらった以上はいろいろしてあげなくてならず、便宜を図りあうのが当たり前と思っている人もいる位なので、下手をすると汚職行為をしても「汚職」という認識がない方もいるかもしれません。
実際、こうしたことは至るところで見られ、医者なら先に診てやるただで検査をしてやる、教師なら知り合いの子にはそれなりの便宜を図るといったことはよく聞きます。
皆こうした便宜の図り合いを行っているわけで、これら全てが「汚職」だとなると、中国の社会そのものが立ちいかなくなってしまいかねずいろいろ厄介です。
実際、パソコンが起動しなくなった、配線がおかしくなって電気がつかなくなったときなども業者を頼むのではなく、知り合いの詳しい人に頼むこということはよくあります。
3 社会背景
どこかで全てをリセットしてしまうか、線を引いてしまえれば良いのでしょうが、物事はそれほど単純ではないかと思います。
貧富の格差が激しい国なので(中国で忘れ去られた人々(写真)と中国のいかにも成金といった人たちの写真)、貧しく何のコネもない人たちにしてみれば、益々もって不利益を被るようになるという話です。
日本の場合も採用の時にコネなどの話はよく聞きますが、一般的にこうした関係は少なくなっており、何かしようと思ったら金を払って業者を呼ぶというのが一般的になっています。こうした社会背景も汚職とは無関係ではないのではないでしょうか。
4 発展途上国
おそらくこうしたことに影響を与えたのが、中国は発展途上国だったという事実で、実際物資の流通が今ほど便利ではなかった時代、慢性的な物資不足で、デパートに行っても、「没有」と断られたことは数知れません。
斯様に金を持っていてもモノが手に入らないことは以前は良くあり、そうなると金よりコネが重要視されたのはわからないではありません。
それが急激な高度経済成長で、物資が溢れるようになり、金を出しさえすれば何でも手に入るとなれば、かつてのコネが金にとった変わられるわけで、結果、皆が皆金を求めるようになり、拝金主義となるのもわからないではありません(中国の拝金主義(『朝日新聞』記事より))。
5 最後に
それに共産党一党独裁が結びつくと、言論の自由が制限され、官僚に対する批判も(相手の官僚の地位が高ければ高いほど)自由にはできないとなると、益々腐敗に拍車がかかるのは当然の話かと思います(中国の縁故採用)。
当然こうしたことは一般論としては、中国政府も認めている話で、汚職撲滅キャンペーンなどを行っているわけですが、(中国の「反腐敗」に世界が注目している?)個別具体論となると自分のくびも関係してくるので、いろいろ難しいというのが実情です。
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この記事へのコメント
しかし日本や欧州で仕事して、かなり稼ぐようになってくると、じゃあ日本や欧州は金を稼ぐ側の人間にとって中国よりマシなのかは疑問。
日本では「大きな政府=官僚利権と公共事業と福祉」のために、合法的にカネを搾取される。いわば、明文化された搾取国家。欧州では酷い場合は7割以上も、収入を税その他で没収される。はたして、「汚職ではない(明文化された官僚利権や公共事業バラマキや福祉バラマキのための)搾取」が、汚職よりマシだと言えるだろうか。
多数決で合法的に民主的に搾取体制を決めれば、高所得者(少数派)でかつ政治権力や利権団体を持たない人々が搾取されるに決まっている。これが少数者による専制よりマシだと言えるだろうか。
中国やロシアのそれは不文律による搾取。しかし、税を含めて、中露の搾取が日米欧の搾取より救泣ければ、頑張って稼ぐ人にとってはよりマシなのでは。
旧聞に属することだが、フランスの国民的俳優が75%最高税率に耐え兼ねてロシアに亡命し、「ロシアは(フランスより)自由な国だ」と言って左翼フランス人を激怒させたが、はたして働いて稼ぐ人の所得を75%も没収する国がロシアより自由と言えるだろうか。
ロシアはいくら稼いでも所得税13%。我々西側の国民は、政治的自由のために自称先進福祉国のために奴隷労働するべきなのだろうか。
「日本は汚職を制度化(合法化)しただけ」(だから統計上の汚職=違法行為は少ない)
確かに汚職というのは見方によって大分変ってくると思います。
何をして公平か、幸せかというのも考え方を変えれば大分変ってくるわけですが、中国の貧困層の生活や社会保障の現状などを見れば、改善するところはかなり多いのは間違いないかと思います。
そしてそうした人達が、豊かな暮らしをしている人をみるとどういう感情を持つかというのもわからないではないという話かと思います。
確かにそういう風に見えるところはあるのかもしれません。
ただ、発展途上国の状況とは一線を画しているのは間違いないかと思います。
小日本人 さんへ
だが日本も欧米も、福祉水準は高いです。中国もロシアもそうではない。やはり日米欧は中露より良かった。
後進国というよりは、共産国特有のものなのかもしれません。
小日本人さんが、中ロの方がまだよいという趣旨のことを書かれていますが、これはロシアを専門にしてきた私にしてみれば、ちょっと面映いですね。
税率が高いかどうかよりも、法と処罰に透明性がない方が遥かに大きな問題で、そしてそれはロシアや中国などの強権国家などの最大の問題です。
税率が安くても、ある日突然こじつけた理由で逮捕されて強制収容所送りになる国(残念ながらロシアはいまだにそうです)より、税率が明らかになっている国の方が遥かに健康的だと思います。
そもそも税率が高いだけで搾取されているとは断定できませんし。(chongov さんが仰るように福祉の大小でも違いますし、累進課税がどの程度かでも違います。)
おっしゃるとおり、物事は一面だけでは判断できないという話かと思います。
いろいろな要素を複合的に判断して、これは我慢できるがこれはできないということを積み重ねて判断していくしかないと思います。
その中で税金が最も大事だという人がいても不思議ではありませんが、私も多少異なって考え方を持っているという話です。

