2014年01月21日
ブログの名前が「政治学に関係するものらしきもの」なので、たまには日本政治についてもということで、今日は名護市の市長選の結果を巡って少し。
1 金
この背景には、おおざっぱに言って、基地を受け入れれば補助金など様々な地域振興策が待っているが、受け入れなければ何もなしという話があります。
何もこれは今回の基地に限った話ではなく、原発でも散々繰り返された手法で、正直だれも受けいれたくないものを受け入れてもらうために地域に迷惑料(金)を払うという話です。
理屈としてはわからない話ではありませんし、賠償にしても何にしても最後は金で決着をつけるしかないのですが、ものごとはそれほど簡単ではありません。
2 プライド
こうした姿勢は一歩間違えると、金さえ払えば何でもできるという発想になりがちですが、そうなると反発を生むこともよくあります。
また、金が絡むとその恩恵を受けることができる者とできない者との間でいろいろ感情的なもつれが発生することもよくあります。
同じ被災者でも福島県のいわき市に流入してこられた相双地区の方といわき市の間で起こった問題は、傍から見ていると何故という感じですが、実際に住んでいる人にしてみれば大きな問題かと思います(避難者を受け入れて人口が急増したいわき市の問題と移民問題)。
これと同じで、今回の名護市でも賛成反対と市が2つに分かれて選挙戦を戦ったわけですが、大きなわだかまりを残したのは間違いないと考えます。
支持政党もそうですが、おそらく考え方(価値観)そのものが異なっているので、そうした人たちが地域で和解をするとは思えませんし、今後もこの問題では争っていくのだろうという話です。
3 民主主義
今回はある種、その地方の民意が示された形で、地方自治という観点からのみ考えると「望ましい結果」となります。これらを重視するのがアメリカで、日本海呼称問題でも「東海」併記をバージニア州が支持した時もアメリカ政府は基本的に口を出せません。
そのため、今回はアメリカの防衛という観点では全く望ましくない結果となってしまったわけですが、アメリカの価値観という意味では望ましい結果となったわけで、いろいろ難しいところです。
ただ、この問題については、アルジェリアで普通選挙によりイスラム原理主義が政権を合法的に奪取した際にアメリカを初めとする西欧諸国はこれに反対に立場をとっているので、容易にダブルスタンダードになりやすいものであります(中東民主化運動が与える影響(概観))。
ただ、一概にアメリカと言っても、民主党と共和党ではいろいろ異なり、オバマ政権はこうした建前を重視する傾向があるので、痛し痒しといったところでしょうか。
4 判断
原発などがその典型ですが、原発が必要かどうか、代替は可能なのかなどについてかなり人によって見解が異なるのが現実です。
防衛についても同じで、辺野古からの移転にしても基地が必要なのかどうかというそもそも論から様々な見解が存在し、国民どうしが広く意見を交換しあっているとも思えません。
問題が大きくなると考えるべき項目が増え、簡単に結論がでなくなるのは、消費税増税問題などを見てもわかるとおりです。
そのため本来であれば、こうした基地や原発の問題は防衛・エネルギー政策という国民に大きな影響を与える問題なので、様々な情報が開示され、国民も大いに議論を戦わせるべきところなのでしょうが、どうも先に結論ありきで議論が活発化している様にも見えません。
5 最後に
実際、これは政治家などの問題だけでなく、国民一般がこうした問題についてきちんと考えようとしない傾向も大きな影響を与えていると思います。
原発がダメとなると、何が何でもダメという態度では話し合いにならないわけで、何故ダメなのか反対派も感覚だけではなくきちんとその理由を説明しそのうえで反対すべきかと思います(震災がれき受け入れ反対と新興宗教)。
賛成派も、かつての原発安全神話が典型ですが、安全だから安全という話ではなくて、絶対などということありえないので、こういう危険があるが、それに対する備えなどをきちんしていると提示したうえで話をすべきかと思います。
本来国防についてもこうした議論が必要なのですが、どうも日本では9条賛成反対と両極端しか議論が存在しないような感じで、これでは歩み寄りもなければ、議論のしようもありません。
本来話し合いとは、妥協を探すためのもので、そのため互いに長所短所を冷静に見つけることが必要なのではないでしょうか。そういう意味で名護市長の最初から移転については、聞く耳を持たないという態度も正直如何なものかと思っています。
トラックバックURL
この記事へのコメント
基地を必要と考える人と危険を回避できる両立した場所だと思う。
何故 沖縄か? 基地が必要か? に後戻りさせるのは民主主義ではない 普天間基地も最初は危険ではなかった基地の周りに学校を作り住宅を建てて危険な場所に基地反対派がした 辺野古移転が遅れたり出来ない場合は普天間基地の固定化になってしまう 名護市市民は名護市の自然と引き換えに宜野湾市の住民を危険から遠ざける選択をしたと言える。
沖縄の基地問題に関心が無い国民はいないと思う沖縄にお願いしている国民が多くいる。
日本国民が安産保障を真剣に考え最良の方法を早く出さなければならないと思う。
中国や北朝鮮を喜ばしているに過ぎないし領土の侵略を許す事になる。
コメントされている方には、なぜ沖縄か、基地が必要かに後戻りさせるのは民主主義ではないとおっしゃてますが、その意味するところは何なのでしょうか?その議論を改めて蒸し返したのは、鳩山政権時の日本政府です。今回の敗北は、その議論に応えることなく、選挙を行ったことも原因のひとつではないでしょうか。
また、基地の周りに後から街が出来たといってますが、普天間基地の位置をわかってますか?宜野湾市のど真ん中です。ましてや戦後の混乱期である上、当時は日本政府の手の届かない占領地です。基地ありきの街づくりを計画的に行うことは不可能であったと思われます。後から住みついたほうが悪いという意見には賛成できかねます。
沖縄に住んだこともあります。 現在も友達と交流もしています。その上で書いた事です。
>基地の周りに後から街が出来たといってますが、普天間基地の位置をわかってますか?宜野湾市のど真ん中です。ましてや戦後の混乱期である上、当時は日本政府の手の届かない占領地です。基地ありきの街づくりを計画的に行うことは不可能であったと思われます。後から住みついたほうが悪いという意見には賛成できかねます。
仰ることは重々承知していますが 日本政府の手の届かない占領地であった自分たちが承知で基地の周辺に住み着いた事になります それを日本政府の責任にするのはおかしい事です。日本政府は辺野古に移転し普天間の危険を取り除こうとしていると思いますが名護市の選挙結果は残念に思います。
普天間基地返還合意以降18年の経緯から、日米両政府に対して沖縄が採れる対応は辺野古への移設受け入れしかないことを、県民の大多数は重々理解しています。
補助金云々の経済メリット面はあくまで「それしかないなら」が前提の交渉ステージで扱われているもので、前提を覆せる現実的可能性があるなら意志決定判断時に優先順位の上にくることは
>Smith 様
確かにやっかいなものは自分の近くにない方が良いというのは皆思っていることですが、時にはなくてはならない施設もありその調整をどうするかというのは現実の政治では良く出てくる問題です。
ゴミ焼却施設にしても火葬場にしてもなくてはならないわけで、しかし自分の住む近くには置いてほしくない人が多いわけで、どういするかという話になります。
それが全国規模で問題になっているのが防衛エネルギー問題で、どこがその場となるかという話なわけで、今回それが図らずも全面に出てしまったというところでしょうか。
土地が少ない場所で、結果として現在のような形になってしまったわけで、皆言い分はいろいろあるかと思います。
しかし、現実問題として大変危険な状態があり、それをどうするかを考えるのが政治で、そのためにどうするか、そして今沖縄の置かれている状況がどういう状況であるのか、今回の選挙結果はそうした問題を日本国民に投げかけたと思っております。
そういう意味では、今回の選挙結果の意義はあったと考えております。
おっしゃるとおり、先に補助金ありきではなく、他に選択肢がない以上、やむを得ないという状況での補助金云々というのはそのとおりかと思います。
最後はどうしても補償の問題になるというのは原発を見ても公共事業をみてもそのとおりで、いろいろ思うところはありますが、それが現実というのも本当かと思っております。
受け入れ先当事者の名護市民は当然自らに差し迫る危険やデメリットを第一に考えるのですから、今回の選挙結果もごく自然なものでしょう。辺野古は元々山側演習地からと思われる着弾痕が居住区で見つかるような地域です。この上に普天間の一部機能代替施設(つまり有事に破壊目標とされる)が増えるとなれば、素直に考えれば反対にしかなりません。
また、そもそも地方自治体に交渉決定権がない問題が争点の首長選挙では、投票行動は観念的なものになりがちです。反対派を選出しても、できるのは地方レベルの許認可にストップがかかることでの長期化のみ、それも結局は国がやりたいことは押し通されてしまう。どんな民意を示したところで最終結果は変わらない、ならばせめて本来理想とするところをアピールする、という心理になるからです。辺野古移設に民意はNOという報道が大半ですが、沖縄の場合、選挙では民意の現実的選択がどこを向いているか図れないのでは、と思います。
実際のところ、苦渋の選択ではあるが県内移設やむなし、要因としては普天間早期移転とか補助金メリットよりも防衛面の危機感が大きい、という感触です。
本土の方以上に、沖縄は近年中国に対して強い警戒心を抱いています。
琉球王朝時代の大陸との朝貢関係からか、中国は、沖縄は親中であわよくば日本から離反させ自国に組み込める地域と考えているようですが、ありえません。沖縄県民のアイデンティティーはかなり強固に「沖縄」にあり、ついで琉球処分以降は同一国として歴史を一応同じくしてきた「日本」で、琉球時代から一貫して他国でしかない大陸側は問題外です。発想としてはアメリカに編入されるというほうがまだ受け入れやすいくらいでしょう。
地元の方の感情としてはいろいろあるという話かと思います。
ダムなどが典型ですが、過疎化した結果、ダムという話が出てきたわけですが、地元にしてみればダムができたから地域がダメになって過疎化に一層拍車がかかったと考える人も多いという話です。
本来結果論でしかないわけですが、地元にしてみればいろいろ思うところはあるという話かと思います。
おっしゃるとおり今回の選挙の結果が具体的な反対行動として、どこまで有効かとなると、多少工事の邪魔になる程度ではないかと考えます。
中国ですが、確かに中国の記事では沖縄独立を煽る記事が何度か掲載されております。
中国にしてみれば、その方が自国に有利なのでそういう活動を支援しようというところなのでしょう。
結果、沖縄県に存在する独立運動に悪影響を与えている面も否定できないと考えております。
実際問題、現在の中国の政治的価値観を受け入れられる日本人は多くはなく、おっしゃるとおりアメリカの方が価値観的には近くなってしまっているのが現実かと思います。
今回の選挙結果について、移転反対の意見は大きく2つに分かれると思います。
単純に反米、反基地の移転反対派と、普天間の危険性は認識していおり、移転には賛成するが、自分のところに置くのはイヤという人たち。ごみ処理場や火葬場設置と同じようなものですね。今回の末松氏の敗北は後者の人たちへの説得がうまくできなかったことにもあるのではないでしょうか。沖縄県民はそれほど何にでも反対している訳ではありませんよ。

