2014年03月04日
『NEWS ポストセブン』が配信していた「米・オバマ大統領訪日中止、ケネディ駐日大使召還の懸念出る」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。
1 記事の紹介
国務省関係者の意見として、「『何の実りも得られない日本にどうして行くのか』『訪日を取りやめろ』といった声が飛び交っています」というものを紹介しております。
ケネディ駐日大使の「着任後の日本では、オバマ政権批判が吹き荒れた。安倍首相の靖国参拝に対して、米大使館は『失望した』と発表したが、それに対し側近たちが反発。大使館側の不信をかった」ともしています。
結果、「このままではキャロライン氏の失点にもなりかねない。大使館や国務省には、『安倍政権がこれ以上米国批判を続けるなら、キャロライン氏を一時帰国させ、安倍政権に反省を促すべきだ』という声がある」そうです。
そして、「外務省関係者が愕然とした『数字』」として、外務省がアメリカで実施した世論調査を紹介しております。
それによると、「現在の日米安保条約を『維持するべき』と答えた人は67%で、昨年と比べて22ポイントの急落。この設問ができた1996年以来、最低」で、「調査時期は昨夏の7~8月。「靖国参拝を経た現在はもっと低落しているはず」と外務省関係者は」言っているそうです。
2 アンケート結果
元記事で取り上げているアンケート結果は大変興味深いもので、私もブログで取り上げたことがあります(外務省の「米国における対日世論調査」と藪の中)。
『朝日新聞』が、思いっきりこのアメリカにおける日米安保の支持率の低下に焦点を当てた記事を書いており、この原因として、尖閣諸島における日中の対立を挙げ、これに巻き込まれるのを嫌がったのではないかと述べておりました。
私も基本的に同意見で、もともと日米安保は冷戦構造でソ連に対抗するためにつくられたものですが、ソ連は日本とアメリカ両方の「敵」だったので、アメリカにしても当然という発想しかありませんでした。
しかし、中国(尖閣諸島)が相手となると、中国はアメリカの「敵」とまでは言いにくいので(アメリカの最大の「敵」は中国?)、勝手にアメリカを巻き込むなという話になります。
日米安保があるが故にアメリカが巻き込まれるのではないかと心配するアメリカ人にしてみれば当然、安保に対する肯定的な印象は減ることになります。
3 靖国神社
この理屈で言えば、アメリカは日本と中国のいざこざに巻き込まれたくないだけなので、靖国神社問題にしてもうまく対応してくれという話になるだけで、そういう意味で「失望」という発言になったのかと考えます(安倍総理の靖国参拝に対するアメリカと中国の反応)。
実際、アメリカ人が靖国神社にどれだけ関心をもって、理解しているかとなると甚だ心もとない話ですし、そもそも関心もないかと思っております。
尖閣諸島という領土問題から武力衝突ということは最も起こりやすくかつわかりやすい話ですが、神社参拝が原因で戦争になると言われてもアメリカ人にどれだけ訴えるものがあるかという話で、私は一般のアメリカ人に対してという意味ではそれほど影響がないと考えています。
いろいろな考えがあってしかるべきなので、元記事の様に考えた人がいたとしても何の不思議もないのですが、私は少し違うように考えているという話です。
4 最後に
そして、大使召還の可能性などというかなり楽しいことを書いておられますが、大使召還をするのであれば当然制裁として行う以上、確固たる理由が必要ですし、如何にアメリカが超大国とはいえ、他国との横並びも必要となります。
そのため、裏では何を思っているかは別にして表向きはアメリカの意見に唯々諾々と従っている日本に対して「米国批判」を理由にそうした制裁を行うことができるはずがないという話です。
それに、元記事では、「オバマ大統領が、大統領選の功労者で名門ケネディ家の長女を駐日大使にしたのは、同盟国の日本なら、政治未経験のキャロライン氏でも大過なく務めることができると考えたからです」とも述べております。
これは、何だかんだ言っていかにも飾り物として、大使になったという書き方で、かなりケネディ大使をバカにしている話で、私的にはこちらの方がアメリカに対して失礼ではないかと思っております。
トラックバックURL
この記事へのコメント
無視ですよ、無視。
世界でもっとも憎まれている国=日本
その日本州の主=アメリカ
ウクライナはロシアの領土、民主的選出の大統領へのテロ・迫害を止めよ
クリミアを不法に占領にする米軍工作員は撤去してください!!
北朝鮮の脱北者が日本総領事館へ駆け込んだときに、阿南惟幾の息子が中国大使になっていることにも(それに対して中国側が何の抗議もしていないことにも)驚きましたが、外交官というのはそういうものなんですかね?
ドイツでもグデーリアンやマンシュタインの息子が戦後のドイツ政界で活躍しているのかな。
日本から見ればアメリカは特別ですが、アメリカにとっては重要な国のひとつでしかないですし、何を考えているかわかりにくい感じがあるのだとおもいます。
アメリカ人の外国理解の浅さは世界に災いをもたらしているのは明らかだと思うのですが、そのアメリカ支配の恩恵を受けている日本に何ができるかというと、難しい問題ですが。
馬鹿め。お前は中国人じゃなく、チョンだろう。
日中の争いに巻き込まれたくないのは確実にあると思います。
それに加えて、そもそも日本への関心が薄れているのがあるのではないでしょうか。
アメリカ人の大半は靖国神社を知りません。ただ、「日本が中国を神社参拝で挑発している」と聞けば、それを鵜呑みにします。
アメリカのメディアは中国寄りのものが多いですから、多少知識がある人は、日本側も挑発していると思っているでしょうね。
ただ、基本的には日中の問題に関心がないことには変わりありません。
おっしゃるとおり、基本的に「無視」ですが、中には信じる人もいるのではないかと本気で心配しております。
ま、どこの国にもいろいろな考えの人がいるという話かと思います。
いろいろな考えがあるので、それを全否定するつもりはありませんが、「ウクライナはロシアの領土」というのはかなり無理があるかと思います。
彼の場合どうも先に結論ありき(安倍政権への批判)という感じで意見を表明している部分が強いので、そういう傾向があるのかと思います。
別にそれ自体は悪いことではないと思いますが、先にそうした結論があるとどうしてもそれを補強する記事やデータに目がいくこととなり、結果さらにほかの意見に耳をかかさなくなるということはよくある話かと思います。
私自身も、その傾向が全くないわけではなく、いろいろ勉強させてもらっているところです。
おっしゃるとおり、日本にとってアメリカは特別な国ですが、アメリカにとってはそうではありません。
こうした一方的な片思いが日本のアメリカ不信の背景にあるのは間違いないかと考えます。
しかし、これも勝手な話で、自分が好きでも相手はそれほどではないということはよくある話で、日本もこうした一方的な「片思い」にどれだけこたえているのかという問題もあるかと思います。
確かに、靖国参拝の意味がわからないと、中国の嫌がることをして意図的に「日本が中国と靖国参拝で挑発している」という説明をそのまま信じるアメリカ人は多いかもしれません。
ま、アメリカにとって日本と中国がいくら言い争いをしようが戦争になってアメリカを巻き込まない限りどうでもよい話ですし、(私を含め)戦争になる可能性はかなり低いと思っているので、基本的に関心がないというのは良くわかる話です。
意思は未来時制の内容であるが、時制がないので意思の内容もない。理想社会を建設する意思もない。
社会建設という大同がないので、’小異を捨てて、大同につく’ というわけにはゆかない。各国は小異が捨てられない。
意思がないので、加害者意識 (罪の意識) が生じない。罪の意識に基づく歴史に関する反省もない。反省しないので、相手の信用も得られない。
受け身の姿勢ばかりをとるので、被害者意識が積もっている。恨めしい。かたき討ちがしたい。
‘報復が報復を呼ぶ’ という悪循環がある。建設的なことは何もない。出口のない閉塞感がある。
わが国には、脱亜入欧が必要である。日本人には、時制のある考え方が必要である。
http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://3379tera.blog.ocn.ne.jp/blog/
Japan's embrace of Russia under threat with Ukraine crisis - Yahoo News
<http://news.yahoo.com/japans-embrace-russia-under-threat-ukraine-crisis-113350218--finance.html>
日本的にはだまって欧米にしっぽふっているようでも、そうは見られないということなんでしょうかね。
時制がないのは、ベトナム語もフィリピノ語もインドネシア語もタイ語もそうですよ。
そもそも厳密に言うなら、英語だって未来時制はないですよw
will は助動詞であって、時制ではないですから。
イギリスやアメリカは未来展望のない国なんですか?
言語によって人間の思考は規定されるという現代思想の主張は私も支持していますが、それは「未来時制がないから未来の思考ができない」という短絡的なものではありません。
ウィキペディアに、特定アジア三国の定義は「韓国・北朝鮮・中国」じゃないか?日本はいつかから特定アジア国家になるのか?
横からすいません。興味深い記事ですね。
ただ、この記事、「日本がロシアの味方をしている」というニュアンスではないですね。
要約すると、以下のようなものです。
日本はロシアに対する非難を控えている。
以下の2つの要因がある。
- 安倍政権は中国韓国という近隣国と関係改善しない中、ロシアとの関係だけは順調であった
- 原発停止中の日本は、エネルギー調達が重要な問題であり、ロシアはその重要な輸入先となっていた
一言で言うなら、「日本は経済的理由でロシアに対して強硬な姿勢をとれない」というものであって、「日本はロシアの味方をしている」というのとは、かなり違います。
非常に客観的で、的を得た記事かと思います。
> 日本的にはだまって欧米にしっぽふっているようでも、そうは見られないということなんでしょうかね。
日本人が思っているよりは、日本は独自の外交をしているように海外の人に思われているのは確かだと思います。
(自国の外交が頼りなく思えるのは、古今東西どこの国でも同じようですが)
その4さんがあげている元外務官僚さんのブログを教えていただけないでしょうか。
世間一般では高級官僚というのは馬鹿でモラルが低くて無能な象徴のように思われてますが、
私の場合は自分より遥かに優秀な(明晰さでもモラルでも)同級生たちがキャリア官僚になっていますので、彼らの言うことには一目を置いています。
一応読んでみたいのでご紹介いただければ幸いです。
でも日本のGDPはロシアの3倍、民用技術力もロシアより強い、しかも安倍の外交も有能と評価されるから、対露外交はあまり大きな問題がない。中韓との関係はまだ悪いが、今から見てもどうでもいい。
日本とロシアは競合相手ではなくて、経済的には補完関係にあります。
大雑把にいえば、日本は資源輸入国でロシアは資源輸出国です。
さらに、原発事故以来、日本はエネルギー資源の輸入に苦しんでいて、ロシアからの原油天然ガスの輸入が重要になっています。既に日本の輸入量の10%に達しています。
だから、日ロ関係の重要さは、どちらが経済規模が大きいかの問題ではないのです。
さらに、外交で言えば、中国の圧力がかつてなく高まっている今は日本はロシアと適度に接近して中国をけん制する意図を持っています。
この二点から、日ロ関係は今までになく日本にとっては大きなものになりつつあります。
ちなみに、日中、日韓も経済的には補完関係の部分が大きいので、実はこの二国との関係が悪いのも、日本にとって本来好ましいことではありません。
(もちろん、その逆に中国や韓国にとっても日本との関係が冷えているのは本来望ましくないのです。)
いろいろ他の方が意見を書かれてくれておりますが、確かに未来展望が大事だというのはわかります。
それに韓国等の場合、相手の「未来思考」という言葉を信じた結果、はめられた様な感じになっているので、いろいろ言いたいことがあるのは私も同じです。
ただ、「脱亜入欧」ができるかとなると現実的に考えてかなり無理があると思っています。
大変興味深い記事の紹介誠にありがとうございます。
確かに、日本はロシアに「甘い」という論調の報道はなされているようです。
個人的には紹介いただいた記事にあったTokyo is embroiled in disputes over uninhabited islands and wartime history with both countries.が興味深く、言葉は価値観が含まれているということかと思います。
駐レバノン日本国特命全権大使を勤めて、2003年に外務省を依願退職なされた天木直人氏のブログで、「天木直人のブログ」となります。
人目につくためには、過激なことも言わなくてはならないというのはわかるのですが、時々どうかということがあるというのが私の感想です。
天木直人氏のブログ、拝見しました。ありがとうございます。
元外交官それも高官のブログということで期待していたのとはかなり違い、皆さんが仰るとおりかなり情緒的でしたね。
少し驚きです。
また、この方の立ち位置にも少し驚きました。かなり強烈に米国追従ですね。外務省の中でもここまで米国追従を露骨に主張する人は珍しいのではないかと思います。
外務省のアメリカンスクール系の本音を象徴していると言ってもいいかもしれませんが。
ロジカルでないという意味ではかなり落胆しましたが、ここまで露骨な米国追従の元外交官の意見というも貴重で、まあ今後時々見てみようと思います。
キャロライン・ケネディに関しては、少しおもしろい記事を発見しました。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40100
はずれた論点が多い JBPress ですが、この記事はなかなか良いポイントをついているかと思います。
日本にはキャロライン・ケネディをやたらと礼賛するグループと、彼女の能力や彼女の立脚点である米国リベラルに懐疑的なグループがありますが、やたら礼賛する危険性を示唆していますね。
客観的な描写だと思いましたが、よければどういう点が凛さんにとって興味深く思ったか教えてもらえないでしょうか。
多分、私がいつの間にかアメリカ視点な考え方に染まってきてるのだと思います。
私が普段読んでいる外国語の記事が中国語の記事だという話です。
そうしたものを読んでいると、何かあると日本が悪い、原因は日本にあるという論調しかないわけですが、今回はbe embroiled inとなっていたので、久々にそういう観点の外国語を見て、過剰反応してしまったということです。
斯様に見方は様々なので、ますます何が「客観的」かはわからないという話でもあります。
そういう視点の違いを知るのは面白いですね。
英文記事だと、まあだいたいこういうトーンが多いですね。
今回の記事は若干日本よりなテイストですが、だいたい抑制的に「島を両国間で係争中」程度のシンプルな書き方が多いです。
お答えいただきありがとうございました。
教科書に書かれている「固有の領土」は「固有かどうか分からない争議中の領土」の略ですから、それをちゃんと教えれば良いと思います。なぜ富士山や泰山が固有の領土だと誰も言わないのかも理解できます。
中国の場合、A級戦犯がまつられているところに参拝していること自体を問題にしているので、理屈ではないところがあります。
外交で言える、言いやすいのはA級戦犯問題だと思います。色々言いすぎでは焦点が拡散しますし、内政干渉になるかも知れませんから。
問題の核心は「戦争は悪くなかった」と総理や閣僚が主張することだと思います。戦争が悪くなかったらなぜ不戦の誓いをするのでしょう。
自分は日本の組織、管理に凄く興味を持ちますが、全く理屈が通らないことを当たり前のようにみんなの前で言うリーダーが良くありますね。
戦争であれだけの被害を生んだので、戦争そのものはすべきではないという共通理解は未だに日本にあり、こうした戦争の影響が良くも悪くも未だに残っているというところでしょうか。

