2015年06月05日

 「幸福の科学」の大川隆法総裁の長女が、お茶の水女子大の卒業論文で「無断引用」をしたというニュースがいろいろ興味深かったのでこれについて少し。


1 事件のあらまし

 J-castニュースの「幸福の科学総裁の長女が卒論で『無断引用』 お茶の水女子大は指導教授を厳重注意に」によると、幸福の科学出版から出版された卒論を収録した著書『神国日本の精神』を読んだ人から指摘があったのがそもそもの発端としております。

 これを受けて、大学で卒論を精査したところ、「4人の著作や論文から段落ごと計22か所で無断引用があり、全体の3分の2ほどにわたっていた。著作や論文は、参考文献にも挙げられていなかった」ということがわかったそうです。

 更に、「指導教授は、無断引用を見落とし、長女の卒論に最高評価を付けていた」わけですが、「学士については処分規定がなく、学位は取り消されない」としております。


2 盗用

 最初にことわっておきますが、私自身、苦労して書いたブログがまるパクリされたことが何度かあり(著作権の侵害について)、最初それを見た時は本当に複雑な思いを抱いたことがあります。

 更に、所詮私は遊びで書いているだけですが、これで金を稼いでいる人たちにしてみれば、死活問題となるわけで、とても許せる話ではありません。

 それに、私自身中国に滞在していた時に、嫌というほどパクリ商品を見てきており、こうした問題にはかなり心を痛めているというのが本当のところです(中国での「クレヨンしんちゃん」関連グッズ販売を巡る争い)。


3 論文

 ただ、その一方で今回の論文の「無断引用」は一概に厳しい目では見たくないというのも本当のところです。

 最初に念のため補足しておきますが、私は基本的に新興宗教が大っ嫌いで(震災がれき受け入れ反対と新興宗教)、今回の問題の当事者が「幸福の科学」の関係者だから好意的なことを書いているということは全くありません。

 前置きばかりが長くなってしまいましたが、何が言いたいかというと、自分の経験を振り返って思うのは、所詮学士レベルで書けるものなどたかがしれているという話です。

 初めて「卒論」という名の「論文」らしきものを書くわけですが、初めてなので、何をどう書いたら良いかすらわからず、参考文献を本当に「参考」にしてらしきものをまとめるというのが実際のところではないでしょうか。

 確かに今回は3分の2が「無断引用」だったわけで、多すぎるかもしれませんが、皆、似たような状態というのが本当のところかと思います。


4 引用

 実際、私自身恥ずかしながら、卒論で丸山眞男の論文を引用したことがありますが、そのままではあまりに恰好悪いので、少しなおして使おうかと思ったところ、彼の書いた文章があまりに素晴らしく、手直しができないまま、使用してしまったことがあります。

 どういうことかというと、なおすと意味が違ってしまうために、「てをには」以外殆ど手をつけられなかったというわけです。当然参考文献に挙げておいたわけですが、かなり苦い思い出です。

 私は以前書いたように、最初から個性などというものがあるとは思っておらず、最初は他人をまねるしかなく、それが「学習」だと思っております(日本と中国の大学教育)。

 そうした模倣を繰り返したのち、如何に自分らしさをだせるかが本当の勝負で、模倣なくして個性も発展もないのも確かかと思っているので、学士レベルの卒論であれば、未だ模倣の段階もやむを得ないのではないかとも思っております。


5 最後に

 そもそも論文というもの自体が如何に他人の先行研究を踏まえて自分の論を展開するかというものなので、そういう意味でもあまり厳しくしすぎるのもどうかというのが本当のところです。

 ただ、その一方で、出版という形で金儲けをするのであれば、話は別という思いもあり、金をもらうのであれば、他人の物まねは最低の行為というのも間違いないかと思います。

 それに今回の事件は参考文献としての記載すらなかったということですから、礼儀という面でも如何なものかというのは間違いなく、一般論としては擁護する気があっても、今回の個別事案としては、とても擁護する気にならないというのが本当のところです。



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凜amuro001 at 23:03│コメント(2)トラックバック(0)教育 │

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この記事へのコメント

1. Posted by 雨槍原チャ   2015年06月06日 12:53
凛さんへ

権利問題や倫理観などはちょっと置いておくとして…。
本としてベストセラーになった訳でもなく、さして多くの人が目にした訳でもないと思うのですが、「指摘する人」が居たことに驚きです。
『天網恢恢疎にして漏らさず』とは正にこの事ですね。
2. Posted by    2015年06月07日 03:26
>雨槍原チャ 様

 ま、確かに言われてみれば、注目を集める立場にある人であるが故の不幸かもしれません。

 通常の方であれば、卒論など誰も注目しないはずですから。

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