2015年11月23日
ある意味前回の「フランスのテロを受けて旅行をキャンセルすること」になります。そもそも、今回のフランスのテロは何故起こったのかという疑問がふと頭をよぎったので、これについて少し。
1 紹介
産経新聞は「フランスなぜ狙われた? 『イスラム国』の理想と正反対の社会、統合求める国に反発」という記事で、ティエリー・ダナ駐日フランス大使の意見として、今回襲撃された劇場やカフェのテラス席も「、「(仏文化で重要な)自由を謳歌(おうか)でき創造性を発揮できる」場所だという意見を紹介しております。
更に、「フランスでイスラム教徒が置かれる環境も注目だ」として、河本志朗・日大教授の「差別や就職難などで不遇を感じる人物が、『欧米へのテロを呼びかける過激派の声に呼応してしまうことは十分考えられる』ともしております。
『週刊朝日』は「首謀者は『IS』? なぜパリ? 同時多発テロの不可解」という記事で、外務省関係者の「ISの欧州での勢いはまだまだ衰えていない。パリが標的になるのは、ISからの移民者が圧倒的に多いからだ」という意見を紹介しております。
他にも中東ジャーナリスト、川上泰徳氏の「フランスには、公共生活から宗教を排除する『世俗主義』がある。イスラム式のベールを規制するなど排他的なもので、以前からイスラム厳格派の反発を買っている」という意見も掲載されておりました。
2 イスラム教徒
何故フランスかということを考えると、やはり私的にはアルジェリアの問題を外して考えることができません。
フランスの植民地だったアルジェリアはかなり過酷な支配を行い、職を求めてフランスにわたる移民も増え、熾烈な独立戦争を戦うこととなりました。
1991年の総選挙ではイスラム原理主義政党のイスラム救国戦線(FIS)が圧勝しましたが、軍主導のクーデターで実質的に無効とされてしまっております。
その後、国内では数多くのテロが引き起こされております。
3 ダブルスタンダード
ここでどうしても考えなくてはならない問題は、アルジェリアでは、本来民意としてイスラム原理主義政党を選んだのに、それがなしにされてしまったことで、欧米諸国も結果としてそれを支持しました(中東民主化運動が与える影響(概観))。
イスラム式のベールについても、形の上では世俗主義とされておりますが、私的には、アルジェリアとの独立戦争の際に、ムスリムの女性がベールに武器を隠して運んだことなど影響を与えているような気がしてなりません。
それに総選挙後、アルジェリアではかなり治安が乱れ、国内で誘拐事件やテロなどで、一回に100人単位で犠牲になったわけですが、国際社会はあまり関心を払いませんでした。
4 人の命
発展途上国で暮らしてみると、先進国(日本)で生まれたありがたみというものを、多かれ少なかれ体感することとなります(現実には重さが異なる命と平等に来る死)。
それにどんなに偉そうなことを言っても、私自身自分と関係のあるところでテロが起こるとかなり狼狽してしまうわけですが(フランスのテロを受けて旅行をキャンセルすること)、まず行かないであろうアフリカでテロが起こっても「またか」位の感想しかもたないのが本音です。
中東も同じで、シリアの内戦で毎日あれだけの数の犠牲者がでていながら、数字としてしか認識しておりませんし、報道もロクにされないというのが現状です。
難民はこうした問題を直接目に見える自分たちの問題として、ヨーロッパに問いかけたわけで(難民の受け入れという理想と現実)、それを今回のテロもある意味同じ構図があるような気がしてなりません。
5 最後に
人の認識には当然限界があるわけで、どこまで自分の問題として認識できるかというとそれも限りがあります。
それに、何でもかんでも自分と関係のある問題としてとらえていたのでは、こちらの精神も身体(資金)ももたないのは当然の話です。
だから、単なる数字としての認識にとどめたりして、精神の安定を保っているわけですが、実際に今苦労してる人にしてみれば、面白くないのは確かかと思います。
結果、それが恨みつらみとなり、テロという形で表に出てくるという面もあるのかと思った次第で、実に頭の痛い問題です。
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この記事へのコメント
日本でもシリア難民を受け入れるべきだと言うストリー、例によって一部の日本人が欧州に尋ねて、日本も人道的にシリア難民を引き受けるべき!と論説する。欧州人は極東の黄色い日本人をアホな子と思わないだろうか。
それを真に受けて、シリア難民を受け入れろ!、私はパリだ!というノリは軽薄に感じますね。
アジアでの中国の近隣諸国への横暴、韓国の理不尽は遠い極東の他人事で、
中国とは経済的に懇意にする英国、ドイツは歴史の悪癖を髣髴させますよね。
シリア難民を全部引き受けろよ!、自分らのまいた種だろ! 極東では中国、韓国で手一杯なんだよと。
パリのテロで、以前よりダブルスタンダードへの指摘が多くなっている気がしますが、それも今まで無視してきた中東やアフリカの出来事に目を向けるまでのことのようで、「敵性国家」例えば中国への言及はやはり皆無のようですね。
まあ、もとより期待していませんが。
過去の歴史にいろいろ振り回されるというのはどこの国でもあるという話に過ぎないのかもしれません。
だから日本が無関係というつもりはありませんが、日本にも同様の問題があり、難しいという話です。
あくまで今回はフランス(欧米)と中東に限ってかかせてもらいました。
論文を書く際に嫌という程、訓練されたので、文章を書くときは対象を限定するというのが私のくせになっております。
結果、今回の話題で、私的には全く中国ということは念頭に置いておりませんでした。

