2016年04月24日

 『環球時報』が掲載していた「日媒:许多中国人开始诚恳接受“现在的日本”」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。


1 記事の紹介

 これはもともと『週刊ダイヤモンド』に掲載された「『日本は理想郷』ネオ親日派は中国を変えるか」という記事を翻訳して紹介しているものです。

 話の内容としては、上海ではもともといわゆる「日本ファン」は少なくなかったが、それを口にするのは憚られる雰囲気があった。

 ところが、最近は世代交代の影響もあり、だいぶ自由になってきたというものです。結果、「日本が好き」「日本はいい」と、公共の場で話すこともできるようになってきたというものです。

 もともと中国には「小日本」といった蔑称が存在するが、訪日客の増加や世代交代などの影響で、多くの人が真摯に「現在の日本」を受け入れ、日本の「良いところ」を避けないようになった。

 これは、中国民衆の一大変化だと言っても良いとしています。


2 翻訳

 これまで何度か取り上げてきておりますが(園田政務官のパフォーマンスについての海外報道中国人に対する、日本人の好感度が下がった原因等)、中国マスコミの翻訳記事は中国に都合の悪いところは平気で省略されます。

 これは今回の「翻訳」記事でも例外ではありません。この記事を見ると単に中国人が世代交代したから日本を褒めているという話ですが、筆者である姫田小夏氏が述べている理由について全く触れておりません。

 彼女の見解によれば、日本の場合公務員が親切で、「日本は国民を大事にする国だと」という印象を持つようになります。

 結果、行政サービスの重要性に気付くわけですが、「表立って政府を批判できないのが中国である。そこで日本を徹底的に褒めちぎろうというわけだ。中国政府に向け皮肉たっぷりの民意を伝える」という抵抗から日本を褒めるとしております。


3 日本礼賛

 更に彼女は「もちろん、日本も一皮めくれば矛盾だらけで課題山積みではある」と単なる日本礼賛記事を書いたわけではありません。

 しかし、当然中国では、こうした政府批判を記事にできるわけもないので、ある意味彼女が最も主張したかった中国政府に対する中国民衆の不満という箇所が削除されてしまっています。

 結果、単なる日本礼賛記事になってしまっているわけで、これを読んだ中国人がどのような感想を抱くかはいうまでもありません。

 実際最初の記事についているコメントを見ても、あまり好意的なものはなく、「自己愛が強い」「面の皮が厚い」といった書き込みが見られることとなります。


4 最後に

 私も正直、単なる日本礼賛記事はあまり好きではなく、日本に来て日本の良さを書き込み中国人といった日本語記事などはかなり飽き飽きしております。

 今回、『人民日報』傘下の『環球時報』が何故このような記事を配信したのは不明です。ただ、元記事も日付まで記載されており、かなり検索しやすい状態になっていました。

 結果として、日本語のわかる方であれば、いくらでも元記事にあたることができるようになっています。

 そのため、この記事を書いた記者の意図は不明ですが、かなりいろいろ考えると面白いことになるかと思ったが故の今日のエントリーでした。



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凜amuro001 at 22:23│コメント(12)トラックバック(0)翻訳 │

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この記事へのコメント

1. Posted by fsneak   2016年04月26日 01:11
なるほど、確かに元記事の一部がカットされていますね。そこまでして何が説明したいのかよく分からないものです。

ただ、元記事で言及した日本への好感をあえて「民主」などと結びつけるのは無理を感じます。

そもそも、500万もの訪日中国人の中で日本の警察や区役員という公務員などと生で接触する人はどれだけいるでしょうか?日本はなんといっても先進国ですし、「民主的」政治体制下の行政分野などがどうこうというのではなく、全般的に日本のサービスが評価されています。そういうサービスに対して好感をもって接するのですが、そのたびに「日本が民主的だからサービスがいいな、中国が独裁的だから悪いな」みたいな感想が頭に浮かぶ人がどれだけいるか非常に疑問ですね。

また、行政サービスが悪いことが中国で何かのタブーなわけではなく、そういった不満はネットで有り触れていますし、日常生活でもよく聞かれ、マスコミにも取り上げられます。

それと「民主」と行政サービスですが、フィリピン、マレーシア、インドネシアや南米諸国が、中国と比べるなら相当に民主的な部類ですが、その行政サービスがどれだけ進んでいるかまた非常に疑問ですね。

ツッコミどころ満載の記事ですが、これを逆説的に捉えれば、経済などハード面が追い越されつつある今、日本が中国に対して優越感を持っていられるのは、「民主」ぐらいしかないという考えもできるので、その意味で興味深い記事でした。
2. Posted by とほ   2016年04月26日 23:39
日経ビジネスの鈴置氏は環球時報を引用する際にはいつも『中国共産党の対外威嚇用メディア』と称しておられますので、すっかりそういうイメージが付いていました。こういう威嚇目的ではないような記事があることが意外でした。
見知らぬ土地で困っているときに親切にされると、過大評価してしまいがちですから、良い評価でも話半分に聞いておくほうが無難かもしれないです。
3. Posted by solas   2016年04月27日 09:18
>日本の警察や区役員という公務員などと生で接触する人はどれだけいるでしょうか?

過日、カンボジア観光旅行の帰りの出国審査なんですけど、共産圏の軍服らしき威圧感の服装でボタンを外して、如何にも強面軍人風な役人が、次の人を呼ぶのに「ゥオー、ウオー」、と顎で支持するんですね、震えあがりましたよ。
若い空港職員とかはホントに物腰柔らかでしたけど、西洋人の車いすの旅行者が傍で一生懸命なにか頼んでいたのに、完全無視でした。分野によってやはり経験の積み重ねでしょうか。
一回の旅行でも色々と感じます。
4. Posted by chongov   2016年05月07日 23:49
でもそれは事実です。今の中国も反日派があるけど、彼らがいくら日本を批判しても中国は良い国になれない。それは嫉妬だけだろう。

日本の美点や優秀さを正しく認識する、中国と日本の格差を再確認する、それは中国にとって重要なことです。
5. Posted by 中国人   2016年05月08日 03:51
日本を受け入れ始めたという中国語なのに、
なぜかこのブログの主は中国に憧れるとか
わけのわからない脳内転換をしやがった。

馬鹿じゃねえのか?
6. Posted by FUCKJAP   2016年05月08日 03:52
訂正

日本を受け入れ始めたという中国語なのに、
なぜかこのブログの主は日本に憧れるとか
わけのわからない脳内転換をしやがった。

馬鹿じゃねえのか?
受け入れると憧れるじゃ意味が違いすぎるだろう
FUCKJAP
7. Posted by chongov   2016年05月08日 09:08
>もともと中国には「小日本」といった蔑称が存在するが、訪日客の増加や世代交代などの影響で、多くの人が真摯に「現在の日本」を受け入れ、日本の「良いところ」を避けないようになった。

「小日本」という罵倒用語は、むしろ一部中国人の対日劣等感を表現した。中国と比べたら、日本の国土面積や人口は小さいかもしれないが、その国はあらゆる領域で中国に凌駕した。結局、「小日本」は彼らの悔しさしか表現できない。(日本は独英仏と同じレベルの国土を持つ、そして独英仏よりも人口やGNPが高いですから、もちろん大国です。)

日本は地震・津波など天災が多い国ですが、困難を克服する、技術の進歩や革新が続けて、そして世界で良好な名誉を入手した。中日関係での問題は一応存在しているが、日本の「強さ」を認めれば、もっと理性的な対日感情を構築できる。
8. Posted by    2016年05月10日 21:24
>fsneak 様

 確かに民主と行政サービスは異なりますが、元記事ではその1つの例として使われておりました。

 実際小見出しにも「民主」という言葉が使われております。
9. Posted by    2016年05月10日 21:26
>とほ 様

 実際私が使っているのはネット版の『環球網』なので、実際の『環球時報』とは異なります。

 ネット版では、結構人集めのためか(人目を引く)写真が多様されていたり、ネット独特の投票が良く行われています。
10. Posted by    2016年05月10日 21:28
>solas 様

 確かにそういうのはありますね。

 威張っている人を見ると何故あそこまでという感じがするのですが、そうでもしないとプライドが保てなかったり、賄賂を要求できなかったりといろいろあるのかもしれませんね。
11. Posted by    2016年05月10日 21:29
>chongov 様

 国によっていろいろ良いところもあれば、悪いところもある。

 当たり前の話ですが、どうも悪いところばかりが目に付いたり、良いところだけを必死で見る人が多い様な気がします。
12. Posted by    2016年05月10日 21:30
>5 様

 日本語の元記事が「日本は理想郷」という書き方をされており、それを念頭に書かせてもらったためです。

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