2016年05月29日

 『環球時報』が掲載していた社説「安倍弃道而玩术,终究要把自己绕进去」が如何にも中国的でいろいろ興味深かったので、これについて少し。

 これはアメリカのオバマ大統領の広島訪問を受けて書かれたものですが、大意を紹介させてもらうと以下のような感じです。


1 記事の紹介

 オバマは、「核のない世界」を提唱したが、71年前の米軍による広島、長崎への原子爆弾投下についての謝罪はなかった。

 「核のない世界」は、理念であり、実際に実現する徴候はなく、まもなく退任するオバマにとって華麗なるカーテンコールになるだろうし、世界中の人を感動させるだろう。

 しかし、オバマ広島訪問の主人は、「非核」のために呼んだのではなく、広島を通して、世界中にあの戦争の「つらい思い」を伝えるために呼んだのです。

 日本は70数年まえに戦争に負け、戦争末期には、原爆や大規模な空爆を被った。日本人にとってはあの戦争の思い出では、本土が災難にあったことで、国際社会は何度もアジア国家への侵略に対して改めて考えるように求めている。

 一部の日本人にとって、アメリカ大統領の広島訪問は、「歴史的な訪問」アメリカ政府のある種のおわびの気持ちを持参したと思う。

 オバマと安倍が一緒に広島に現れたとき、彼らの思いは全く異なっていた。オバマは「核のない世界」がすぐ現実できないことを知っていたが、自分のスピーチが残ることを望んだ。

 安倍は、歴史問題での勝利を目指し、広島の悲惨な境遇を利用して、日本の第二次世界大戦での侵略者のイメージを薄めることを狙った。

 しかし式典の力は結局は有限だ。広島と長崎の市民は日本の軍国主義が殺したので、安倍は「原子爆弾が日本の間違いが破裂させた」という勇気がない。

 また、今回の訪問に関連して、安倍は日本軍が空爆した真珠湾にいくことがあるのかと聞かれて、「その予定はない」と答えている。


2 被害者意識

 心理学の実験でありますが、人は他人がしてくれた恩(良いこと)は簡単に忘れますが、他人からされた悪いことはなかなか忘れません。

 結果、トータルで同じことをしあっていても、どうしても自分の方が余計に何かされている、自分はあれだけしてやったのに、これしか恩を返してもらっていないとの発想になりがちです。

 結果、今回の戦争問題に限らず、どうしても自分の方がこうした被害を被っている、これだけ大変な目にあったという思いにはなりがちです。


3 被害者意識2

 実際、当事者は苦労したのは間違いないわけですが、それを相手からみると単なる自業自得には見ないというのは、大変悲しいことだと思います。

 嫌な目にあうのは皆嫌なはずで、それをこうした他者の視線で一方的に見るのは私的にはどうかなという思いがあります。

 当然、これは自分の被害者意識を主張するのであれば、他人の被害者意識も尊重しなくてはならないという話で、皆が他人のことについて想像力を働かせるというのはとても大事なことと思います。

 そういう意味で、第二次世界大戦については、日本が中国に攻め込んでいるので、その部分についてどうこうつもりはありませんが、日本だけが悪い、日本が全面的に悪で、中国が全面的に正義だという発想にはとても組出来ません。


4 非核

 それに確かに現実問題として、オバマ大統領が広島を訪問したからこれから非核が進むかというと、おそらくそのようなことはないでしょう。

 ノーベル平和賞をもらったときは皆彼に期待していたわけですが、まともに考えて彼が残された任期で、この問題について何ができるかといったら、殆どないといっても過言ではないと思います。

 ただ、それでもやらないよりは良いわけで、私はそういう意味で今回のオバマ大統領の広島訪問を評価しているわけですが、それを単なる人気取りのように思うのもどうかと思った次第です。


5 最後に

 今回の『環球時報』の論説は中国のいつもの主張そのもので、特に驚くべき内容ではありません。ただ、ここまで全否定するかと思ったのが今日のエントリの動機です。

 確かに中国にとってアメリカは共にファシスト日本(悪)と戦った同盟国でありたいわけで、それが今回の訪問で少し風向きが変わったというのもあったかと思います。

 おそらくそうした思いがいろいろ積み重なった今回のような全否定の社説になったのではないかと思った次第です。



このエントリーをはてなブックマークに追加
凜amuro001 at 16:32│コメント(36)トラックバック(0)歴史認識 | 右傾化?

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by 元駐在員A   2016年05月29日 21:30
>確かに中国にとってアメリカは共にファシスト日本(悪)と戦った同盟国でありたいわけで、それが今回の訪問で少し風向きが変わったというのもあったかと思います。

そういう政治的な思惑もあるでしょうが、アメリカが大好きな中国人民の素朴な感情として、アメリカが日本と仲良くすること自体が不愉快なのではないですかね?

中国人民の憧れの国、自分たちが敬慕の念を抱いている国への片思いみたいな。

オバマ大統領の格調高い演説、やはり彼はドリーマーだなと思いました。

moralという言葉が何度も使われていましたが、あれはトランプ氏を支持するアメリカ国民へのメッセージですかね。
2. Posted by とほ   2016年05月29日 23:35
オバマ大統領の演説は素晴らしかったですが、部分的な紹介も無しですか?

あの演説の一部にでも共感を示すことができ無いとは不幸なことだと思います。警戒してしまいます…
3. Posted by chongov   2016年05月29日 23:57
結局、中国や韓国の対日批判は世界から無視された。中韓は歴史の罠にハマってる、日本はアメリカ・ASEANと一緒に美しい平和の未来に進むだろう。韓国メディアの論調は中国メディアよりも恥しらずですけどね。

オバマの広島訪問前
韓国メディア「原爆は天罰だ!日本ざまぁ」

オバマの広島訪問後
韓国メディア「在日韓国人も原爆の被害者だ」

私は、心から「韓国という厚顔無恥の国は許さない」だと思います。中国は日本という素晴らしい国と関係が悪い、むしろ韓国ような厚顔無恥の国と関係がいいことは、まさに1990年代以降、中国の国家の品格の低下問題を表現するじゃないか。
4. Posted by chongov   2016年05月30日 00:06
共同社のアンケートに、78%の日本人原爆被害者は「オバマに謝罪を求めない」という態度を表明した。日本人は「過去の恨」を残らない素晴らしい国だと思います。それは「千年恨」に拘る韓国と正反対だろう。

1270年代の頃、モンゴル軍は日本を侵略した(文永・弘安の役)。韓国の論理から見れば、日本人は2270年までモンゴルに対する嫌悪を維持すべきだ。しかし、今の日本はモンゴルと良い関係を構築できる、多い日本人やモンゴル人は相手国の文化に興味を持っています。欧州の国々も長い歴史で侵略する・侵略される歴史があるけど、今のEU諸国間は武力衝突がありません。

環球時報は日本への不満を続けるが、環球時報は全体中国人の総意を代弁できない。中国は反日派だけじゃなく、親日派もかなり多いです。中国は日本に学ぶべきですが、薄汚い韓国に学ぶべきではない。最近15年間、韓国の一人あたりGDPは日本との距離を縮まるが、日本を超えるわけではない。自分の予想といえば、10年内、韓国の主要産業は破綻するだろう。
5. Posted by fsneak   2016年05月31日 13:53
「中国が~」というタイトルでしたが、内容を見たら・・・なんだ例の環球時報でしたね。凛さんも“标题党”ですね。せめて「中国メディア」と書いてほしいものです。

あえて環球時報=中国と主張したいのなら、やはりそういう主張も加えつけた方がいいでしょう。

それと、凛さんはもうお忘れかも知れませんが、「中国人民も日本人民も一部の日本軍国主義者の被害者」というのが中国の昔の主張でしたが、凛さんを含めてなかなか日本には受け入れてもらえなかったようです。そして近年になって、実際日本の大衆が狂熱に戦争を支持していたことが判明しつつあり、そんな主張もあまり聞かれなくなったようです。

>自分の被害者意識を主張するのであれば、他人の被害者意識も尊重しなくてはならない

死刑にかけられた殺人犯は遺族に対して「俺は今の様になってもう十分可哀想だよ、俺の被害者意識を尊重してくれよ」と言ったら、凛さんは支持しますかね?

こういう、あくまで日本と中国の被害を平等に扱おうとする姿勢は非常に中国人の神経を逆なでするものであり、またその故に歴史を直視できないと言われます。暴行を振る舞ったあげくにその反動で自分が「イタイイタイ、俺も被害者だ」といった行為は「どうしても自分の方がこうした被害を被っている、これだけ大変な目にあった」という凛さんの言葉にピッタリ当てはまることで、そのままお返しします。
6. Posted by fsneak   2016年05月31日 13:55
>日本だけが悪い、日本が全面的に悪で、中国が全面的に正義だという発想にはとても組出来ません

これはなかなかの珍説ですね。(ひょっとしたら日本では普通?)

日米は互いに謝罪すべき要素があるとしても、日中間は日本にしか謝罪すべき要素がありません。
日米の戦争において、日本が原爆で「人類・人道に対する罪」において被害者の要素が強くなったとしても、中国は大量虐殺や慰安婦などの「人類・人道に対する罪」においても「日本の侵略」においても被害者であり、日本の侵略にどのように抵抗し、その結果日本人にどれだけ死傷者が出たかにかかわらず、中国とその国民が被害者であることは変わりません。

最初の殺人犯の話に戻りますが、まず全面的に自分の非を認めて遺族の許しを得たうえで初めて遺族に相手を思いやる心の余裕が生まれるんです。

それができずに、「こっちは可哀想だよ、なんで理解してくれないんだよ、冷徹なやつだ」とばかり繰り返してはその人の神経を疑うでしょう。
7. Posted by fsneak   2016年05月31日 13:55
それにしても、この種の記事をさんざん見てきましたが、結構興味深いパターンが見つかりました。

ここの記事もそうですが、こういった歴史問題に関して中国を説明する際に、常にその主体が中国政府・共産党になっています。「中国政府が何々の政治的な原因で歴史カードを切りたい」「共産党も何々をしてきたのに、その反省の素振りを見せろ」といったもので、ほとんどの中国人が記事中の歴史に関する主張を読んだら不快もしくは怒りを覚えることには触れません。仮に一般中国人のそうした反応に触れたとしても、往々にして愛国(反日)教育やプロパガンダと結びつけるもので、それが心底にあって、自発的な感情だとは認めません。そしてそれ以上書くと、中国人は「同情心がない、自己中だ、民度が低い」という差別レベルの発言になってしまいます。

一方、おそらく少一部でありながらも、中国人のそういった感情を素直に認める日本人は、常にはっきりと日本の加害行為を認識している方々のように思えます。

歴史を直視できない者=中国人の感情を直視できない者、と結論づけてもいいでしょう。
8. Posted by 謎の元郡民   2016年06月02日 18:01
中国メディアの報道が共産党の校閲下にあるわけですから信頼性に欠くのは仕方ないのでは?
9. Posted by chongov   2016年06月04日 17:59
謎の元郡民さんへ

そうかな。だから中国のメディアは世界のお笑いものですね。中国のメディアはいくら日本やアメリカを批判しても世界から無視される。

逆に、最近G7諸国の中国への非難・バッシングは一層激しくなった。日本やアメリカの国防長官は南シナ海問題で中国を名指し非難する、カナダ総理も中国の人権問題に文句を言えた。そしてG7諸国は中国の鉄鋼輸出に対するダンピング税を上げた。これから、中国政府は更に国際社会での孤立の苦境をじっくり体験するだろう。

最近数年間、中国政府は国際社会で自画自賛しすぎって、ホルホルする結果はこれだよ。まあ、失敗しても仕方ない。トウ小平政権と比べたら、今の習政権の外交力はクズです。
10. Posted by 元駐在員A   2016年06月05日 18:24
chongovさんへ

カナダの首相に不満を表明された王毅外交部長の問題発言ですが、

https://www.youtube.com/watch?v=6Zg9fdDk8l8

50秒目の所でカナダ人記者を挑発している動作を見ると、本当に怒って中国的人権の素晴らしさを唱えているのではなく、その人物像を演じているように見えるのですが、いかがでしょうか?

王毅さんは外交官としての職歴も長く、外国での記者会見の場で、こういう下品な中国人がよくやる振る舞いを何の計算もなくやる人ではないでしょう。

>共同社のアンケートに、78%の日本人原爆被害者は「オバマに謝罪を求めない」という態度を表明した。

オバマ大統領はサミットの前にベトナムを訪問し謝罪しませんでしたし、ベトナム人も忘れないが謝罪を求めないという態度です。

戦前の日本はフィリピンに対しても多大な迷惑をかけましたが、やはりフィリピン人も忘れないが謝罪は求めないという姿勢です。

何が言いたいのかというと、こういう物事に接して謝罪を求めないというのは、争いを好まず気性が穏やかなアジア人(韓国人だけが例外)に共通していて、謝罪を求めない日本人が素晴らしいというのはちょっと違うかなということです。
11. Posted by chongov   2016年06月05日 19:03
元駐在員Aさんへ

>50秒目の所でカナダ人記者を挑発している動作

中国国内にはユーチューブに対する検閲がありますから、見えることができない。残念ですね。自分は王毅外務省長の言動がわからないですが、もしこれはカナダに対する強硬姿態を表明したい言動なら、むしろ逆効果しかなれないです。

>争いを好まず気性が穏やかなアジア人

そうですか。日本だけじゃなく、それは韓国以外のアジアで普通なことですね。まあ、1930年代の日本の中国へのいじめに対しても、自分は「許そう、だが忘れない」だと思います。歴史に記憶することは将来の鏡になるが、千年恨は意味がありません。
12. Posted by chongov   2016年06月05日 19:13
別の話題ですが、台湾の民進党政権は外交で日本に全面的な協力姿態が出し、中国に嫌がらせをかけ続けるです。

5月23日、台湾外務省の報道官は「台湾政府は『沖ノ鳥島は岩』という立場を諦めた」と明言し、沖ノ鳥島EEZにおける認識問題で日本を配慮した。

6月3日、台湾の行政院長は慰安婦問題で「台湾人慰安婦は自分の意思によって慰安婦になる」と発言し、歴史問題までも日本と一致を維持してきた。

6月4日、台湾の駐日代表は「長期的な日台友好システムを構築することは大切」を言った。

最近、中日関係での外交問題に、日本は主導権を握る、やはりそのきっかけは台湾の政権交代だと思います。台湾の地政学での地位はかなり重要、東シナ海や南シナ海を連接するキーストンだと思います。今の台湾は親日政権がある限り、中国は日本との外交競争で敗走が続けるかもしれない。まあ、それも日本の実力ですね。
13. Posted by とほ   2016年06月05日 21:35
chongovさん

台湾を特集したテレビ番組を見ました。
数年前の映画(日本統治下で台湾の高校が甲子園野球大会に出た実話に基づいた話)をきっかけに、若者の間で懐日ブームだとか。また、中国政府が渡航許可の発行数を減らしていて、中国人観光客は3割減少だとか。
シャープを買収したホンハイの紹介もありましたが、全体としては、台湾が中国から離れて日本に近寄るという話で、こういうのをホルホル番組と呼ぶのかな?
http://www.tv-tokyo.co.jp/zipangu/backnumber/20160523/
14. Posted by chongov   2016年06月06日 09:31
とほさんへ

>数年前の映画

「KANO」ですか。私もこの映画を知ってるし。あの映画には当時の台湾で有名の日本人技師・八田与一まで登場した。映画監督は植民地時代の台湾に興味があるらしい。時空を超える日台の恋「海角七号」も、霧社事件での先住民の反逆「セデックバレ」もね。日本の植民地支配は台湾にとっても韓国にとっても回避できない歴史ですが、台湾人は韓国人ような反日派じゃない。

>中国政府が渡航許可の発行数を減らしていて、中国人観光客は3割減少だとか

それは中国の対台制裁ですか?でも台湾ネットでの反応から見れば、多い人はむしろ中国人観光客が来れない方がいいだと思います。まあ、もし中国政府は本気に対台経済制裁を全面実行すれば、むしろ日米にとっては嬉しくべきだろう・・・台湾の日米への依存が更に深くなるから。

>台湾が中国から離れて日本に近寄るという話
>こういうのをホルホル番組と呼ぶのかな

ホルホルの成分があるかもしれないけど、「台湾は親日政権が誕生するから、今後は中日関係での問題で日本を援護する」ということは紛れない事実です。
15. Posted by とほ   2016年06月06日 22:33
chongovさん

KANOです。いろいろと詳しいですね。私は観ていませんが、そんなに人の心を動かす物語なら観てみたいと思いました。

あと、渡航許可の発行数を減らしている、という話の実態は明確ではありません。

台湾の観光バス会社の人が仕事が無くなった、と言い、中国人観光客が、許可証発行までに時間がかかり、多数の書類提出があってたいへんだった、と言い、中国人観光客に人気の観光地に人が少ない様子が紹介され、観光客が3割減少した、とナレーションが入り、最後に、スタジオの芸能人が、これって経済制裁みたいなもの!?、と言っていたと思います。

本当に制裁しているのか、ちょっと分かりません。
16. Posted by 元駐在員A   2016年06月07日 00:54
chongovさんへ

王毅外交部長の発言は、日本では「激怒した」「激昂した」と相変わらず嫌中を煽る報道が行われていますが、youtubeの映像からは、日本語で言えば「中国式に啖呵を切った」という様に見えます。
(80年前に大日本帝国が国際連盟を脱退した時の松岡洋右が思い浮かびました。)

これに対する中国人民(五毛党らしき人を含む)のコメントは賛否両論ですが、以下の秀逸なコメントに思わず笑ってしまいました(王毅外交部長の発言のパロディです)。

「你对朝鲜充满了偏见!你到过朝鲜吗?你知道朝鲜在日占时期是如何的一穷二白,朝不保夕的吗?你见过朝鲜人民是如何拥护最高领袖的吗?如果朝鲜有人权问题,朝鲜人民怎么会如此热情的拥护最高领袖?朝鲜又怎么会取得如此大的进步?(看了评论区,我才知道真有傻子会支持王外相这种周小平式的抢答)」

私個人は、王毅さんの主張(あなた(カナダ人の記者)は中国に来たことがあるのか?住んだことがあるのか?中国の現状も苦難の歴史を知りもしないで、一律に西側の人権の基準を中国に適用して非難するのは、西側諸国の傲慢だ、といった内容)に対して、実に説得力のある主張だと思ってしまったのですが。
17. Posted by 元駐在員A   2016年06月07日 02:16
台湾住民が民進党政権を選んだのは、基本的には国民党の自滅と中国政府の下策が原因ですが、外国の影響ということで言えば日本(安倍政権=親台湾)は殆ど関係なく、オバマ政権の掌返し(G2構想の放棄→中国を敵視)の賜物ということかと思います。

アメリカのアジアに対する無理解も酷いものですが、中国の台湾に対する無理解も大概ですよ。

「セデック・バレ」は霧社事件を描いたものですが、これの鎮圧による犠牲者の数は国共内戦で台湾に落ち延びた国民党が引き起こした住民虐殺事件(2・28事件)の数を上回っており、その点からは日本の支配の方が国民党の支配よりも苛烈だったと強調することは可能なわけです。

実際、李登輝さんが総統になる前は、郷愁の念で台湾を訪ねた湾生(台湾生まれで戦後に日本に「戻った」日本人)が台湾住民から「霧社事件をどう考えるのか?」と糾弾されることもあったのですが、今では「KANO」のように台湾住民の郷愁が親日感情と一体化しています。

これは日本のソフトパワーの賜物というより、ハードパワーのみを信奉する中国人の思考の限界なのかなと思いますし、台湾の親日は韓国の反日の反対概念ではないでしょう。

台湾の親日は、中国朝鮮族の親日と近いと思います。
18. Posted by chongov   2016年06月07日 09:13
とほさんへ

本当に中国の対台経済制裁とか何とか、わからないですか。でも、このまま日本は中国を代り、台湾にとって一番大きな観光客来源国になるだろう。すべては2008年以前の状態に戻るかも。

元駐在員Aさんへ
>王毅外交部長の発言は、日本では「激怒した」「激昂した」と相変わらず嫌中を煽る報道が行われていますが

「王毅はカナダ記者に激怒」、こんなタイトルを見ても、必ず嫌中になるわけではない。「北朝鮮の報道官はフランス記者に激怒」と同じ感覚しかない。

>私個人は、王毅さんの主張は実に説得力のある主張だと思ってしまったのですが。

うーん、どう言うべきですか。確かにG7諸国は中国の人権状況に偏見があるかもしれない。自分から見れば、中国の人権状況はインドより良いです。それでも、王毅は一外交官として礼儀面が失格しました。そりゃ国際社会で中国の恥になるでしょう。
19. Posted by chongov   2016年06月07日 09:28
元駐在員Aさんへ(続)

>外国の影響ということで言えば日本は殆ど関係なく、オバマ政権の掌返しの賜物ということかと思います。

でも民進党政権樹立以降、中国メディアでは「アメリカや日本の台湾への干渉を警戒する」ような報道が増えた。それは陳水扁政権時期と同じです。CCTVー4の「海峡両岸」番組は中台関係特集の番組ですが、時々日本やアメリカを批判した。自分から見れば、この番組での日本への批判はむしろ「台湾における日本の歴史や現実的な影響力に対する警戒」を表現した。

キーワードから見れば、馬英九の就任演説と比べたら、蔡英文の就任演説に、中国や中台関係への言及はかなり少なくなった。一方、馬英九は日本・EU・ASEANへの言及がなかったが、蔡英文は日欧東南アジアとの協力を言及した。こう考えると、蔡英文政権は脱中国化を加速するかもしれない。

>G2構想の放棄

この世界の主導権を握る国々はG7です。G7の経済力は中国の四倍、ロシアの二十倍があります。中国はG20での新興大国、それはインドやブラジルと同じです。でも最近数年間の中国メディアは私の常識に違反するホルホル報道が続けるから、うざいです。

「10年後の中国製造業品質は日独のライバルになる」という夢物語まで言い出す、恥ずかしい。子供時代、自分は日独職人の実力に驚異を感じる。それは文化や伝統の「つもり」です。日本やドイツの創業200年以上の老舗企業はそれぞれ3000社や800社以上があります。中国は4000年の歴史があるけど、老舗企業は数社しかすぎない。やはり文革の破壊が大きいな。そんな状況で、中国の製造業は日独に勝てるわけない。
20. Posted by chongov   2016年06月07日 09:53
元駐在員Aさんへ(続)

>霧社事件を描いたものですが、これの鎮圧による犠牲者の数は2・28事件の数を上回っており、その点からは日本の支配の方が国民党の支配よりも苛烈だったと強調することは可能なわけです

日本の台湾に対する植民地支配は、国民党の一党独裁と性格が違います。植民地での支配や同化政策はおそらく「異民族向け」の政策ですが、一党独裁政策は自国民に向け政策です。とある意味といえば、国民党独裁時期の台湾政府も、毛沢東政権の中国政府も、「自国を植民地化した」。日本の一部右翼は「日本統治時代の朝鮮人口は倍増したから、過酷な支配なんてない」を主張したが、毛沢東政権時期の中国人口も倍増した。しかし毛沢東政権の過酷面は否定できない。

>これは日本のソフトパワーの賜物というより、ハードパワーのみを信奉する中国人の思考の限界なのか

中国人はソフトパワーよりハードパワーを重視することは、おそらく1840年以降の「百年の国辱」によるものです。19世紀や20世紀前半は帝国主義が跋扈する時代ですが、清王朝も中華民国も自国の国益を守れなかったから、中国は列強に対する敗北が続ける、世界の辺境にいる最貧国まで転落した。それによって「ハードパワーがなければいじめられる」という発想が生まれた。しかし、やっぱり私はハードパワーよりソフトパワーを重視する。だから宋王朝に対する好感があります。
21. Posted by fsneak   2016年06月09日 15:53
>chongovさん
中国の人権状況はインドより良いというのは、日米の視点から見ればなかなか納得できないかもしれませんね(笑。

製造業の話ですが、別にそれは老舗企業がどうのこうのとは関係ないと思います。
実際、この間日本大手企業のスキャンダルが相次いでおり、白物家電など日本の企業、ブランドが中国企業に買われることが増えています。
DJIという深センのドローンメーカーは国際市場で70%のシェアを占めているようですが、そこに日本メーカーの名が出ていません。
そして大いに普及しているスマホですが、やはり日本メーカーの名がありません。出荷量はサムスン、アップルが一位二位ですが、そこに次ぐのはファーウェイ、oppo、シャオミという中国メーカーです。ファーウェイは無論、スマホだけでなく、本業の電信設備で国際の大手と一位二位を争うほど強いですが、oppoでも、そのスマホやヘッドフォンの製品を絶賛する日本人が少なくありませんし、シャオミもそのビジネスモデルが話題になっています。
https://newspicks.com/news/1595667?ref=search&keyword=oppo&tab=news

何かというと、今の時代は必ずしも固定電話→フィーチャーフォン→スマホという経路を辿る必要がなく、一気に固定電話→スマホに飛躍することも可能です。製造業に関しても言える話ではないかと思います。
22. Posted by fsneak   2016年06月09日 16:06
ソフトパワーよりハードパワーを信奉するというのは、仰るとおり屈辱の歴史の影響が大きく、国際社会がジャングル法則だと思う人も多いです。ただまぁ、国力の発展につれ、それも少しずつ変わっています。昔台湾と香港は中華圏でエンタメの先端を走っていましたが、今では逆に台湾と香港のエンタメ業者は次々と大陸の番組に出演しています。そして【琅牙榜】、【甄嬛传】など大陸製のドラマが台湾に輸入されてヒット作になる一方、台湾自身のドラマではこれといったものがないという現状になっています。

それのみならず、もともと日本の艦これ(ゲーム)風格で戦艦少女という中国製のスマホゲームは日本語バージョンがなくても、独自のシステムやデザインで日本の本家と差別化が図られて日本人愛好家を集めた上、その一部が本家に逆輸入されることも起こっています。

日本人愛好家が書いた紹介文やウィキ。ググったらいろいろ出ます。
http://www49.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/33400.html
http://wikiwiki.jp/senkan-girl/

また中国のネットで流行っていた【仙侠】(カンフーファンタジー?)などのネット小説は英語の翻訳サイトが立ち上げられて北米や東南アジアで読まれているようです。
https://www.zhihu.com/question/39273810


今の中国にとっては目を凝らしてでしかその発展が見えてこないかもしれませんが、逆に言って、もしそれがいつの間にか誰の目にも明らかなようなことになったら、それこそ中国は世界の一位二位を争えるような立場になったということでしょう。
23. Posted by 元駐在員A   2016年06月09日 23:59
>この世界の主導権を握る国々はG7です。

前半のオバマ政権はまさにそれを放棄してG2構想を打ち出し、中国と共に世界の諸問題を解決しよう考えて、米中戦略経済対話を始めたのですよ。

個別の中国企業に国際市場での競争力がなくても、中国という国にはそれに応えるだけの国力があることは紛れも無い事実です。

と同時に、中国の国内事情を鑑みれば、それがどれだけ無理のある話なのか、中国が歴史的にも人民の感情からもそんな呼びかけに応じるはずもないということが理解できない程、アメリカのアジアに対する無理解は酷いものであるということなのですが。

先月の伊勢志摩サミットを見ての通り、G7は形骸化の極致で、もはやG7に結束して国際問題に対処する意思はありません。冷戦期のソビエトのような共通敵がいないのだから当然ですが。
24. Posted by 元駐在員A   2016年06月10日 00:16
>中国人はソフトパワーよりハードパワーを重視することは、おそらく1840年以降の「百年の国辱」によるものです。

これは中国に於いては頻繁に言及される話で、私も当初はそのように理解していたのですが、中国に住んで中国語を学び中国人民への理解が深まるに連れて、この問題はもっと根深く、それがある種の中国的な口上に過ぎないと思うようになりました。

中国には地大物博という日本語にはない成句がありますが、個人的には中国人の(国内的にも国外的にも)苛烈な政治思考は、これに起因する地理的な環境とそれに付随する人口過剰が元になっていると思っています。
25. Posted by 元駐在員A   2016年06月10日 00:32
あとそもそもの話、王毅外交部長の発言ですが、中国を少しでも知っている人なら、本当に王毅さんが怒り心頭して国益を度外視してカナダ人記者を挑発したと見ている人はいないでしょう。

どう見ても中国のメンツを保った中国共産党内と評価されたいがための行動であり、あのような振る舞いが評価されるのが中国共産党という組織の素質であり、またそれをやっても中国は盤石であるという自信の現れです。

100年前と比べて、政治的、軍事的に中国が実力を身に付けたという事と同時に、100年前と全く変わらず列強(西側諸国)が中国市場を熱烈に欲しているということなのですが。
26. Posted by chongov   2016年06月11日 10:15
Fsneak さんへ

あなたは製造業の本質的な問題が知らない。中国のスマホは日本より優れるというイメージが生まれるのか?でも付加価値が高い部品は相変わらず日本企業に生産されるもんだ。技術貿易収支も、知財貿易収支も、日本は世界2位です。つまり、日本は技術力で稼ぐ国です。

団藤さんの「中国の夢、技術強国化は構造的に阻まれている」という文章に、「中国の製造業品質は日本のライバルになれない」の理由を列挙した。

(1)日本より速い少子高齢化
(2)鉄道運輸量など指標の衰退
(3)多い核心部品は先進国より8~10年以上遅い
(4)中国国内の知的財産権保護やアフターサービスは未熟
(5)資源浪費・環境破壊型の発展モデルに脱出できない

まあ、彼の観点は正しいだと思います。
27. Posted by chongov   2016年06月11日 10:32
Fsneak さんへ(続)

おしゃる通り、今中国本土のソフトパワーもハードパワーも台湾や香港より遥か強い…ソフトパワーは韓国より強くなってるかもしれない。香港や台湾は同じ中国語圏にいる、しかも人口は中国本土の数十分の一だから。

しかし、今中国のソフトパワーは相変わらず日米より弱いです。先進国から見れば、中国を代表できるソフトパワーは古代からの「三国志」「西遊記」「花木蘭」くらい、そして関連の現代コンテンツを開発成功できる企業はむしろ日米の企業です。現代の小説家といえば、ノーベル賞受賞者の莫言氏の作品を読む日本人もあるけど、やはり村上春樹など日本作家の中国における影響力はそれより大きいです。

博報堂の調査に、日本製品やアメリカ製品はアジア消費者の中で「高品質」と評価されるが、中国製品は以前と同じ「低価格」と思われる、しかも東南アジアの一部都市での評価はタイ製品に負けた。
28. Posted by chongov   2016年06月11日 10:44
元駐在員Aさんへ

>個別の中国企業に国際市場での競争力がなくても、中国という国にはそれに応えるだけの国力があることは紛れも無い事実です。

中国は大国として、それなりの国力があるけど、この星にはいくつかの大国があります。ウィキペディアの記載や2014年の米報告「大国による平和やアメリカの主導権」にによると、中・日・米・英・仏・独・露は大国です。中国企業の国際競争力といえば、一部領域は強い、他の一部領域が弱いですから、単純論は難しいです。

>G7に結束して国際問題に対処する意思はありません。冷戦期のソビエトのような共通敵がいないのだから。

確かにドイツ政府はロシアに対する譲歩や制裁解消が欲しいです。だから自分はメルケル氏に反感を持ってます。自分から見れば、彼女は二次大戦の頃のチェンバレンような臆病者、クリミア併合を強行するプーチン政権に反撃する決意がないです。

でもG7諸国(イタリアやカナダは大国じゃないかもしれないけど)は相変わらず強い影響力を持ってるから、無視できないです。
29. Posted by chongov   2016年06月11日 10:58
元駐在員Aさんへ(続)

>個人的には中国人の(国内的にも国外的にも)苛烈な政治思考は、これに起因する地理的な環境とそれに付随する人口過剰が元になっていると思っています。

そうかもしれない。それは古代の優越感や近代の劣等感による欧米や日本へのコンプレックス、ということですね。日本やイギリスやドイツなど国の人口や国土は中国の一割しか過ぎないが、近代以降は列強国として中国の一部を支配し、今もあらゆる領域で中国をリードした。こういう事実に悔しいを感じても仕方ないよ。

>100年前と全く変わらず列強(西側諸国)が中国市場を熱烈に欲している

中国は人口が多いから、市場は大きい。自分は「一部中国人富裕層観光客の消費力は先進国のメディアに取り上がることは、中国国民全体の生活品質を説明できない。中国の平均年収は40万円台(都市60万円、農村20万円)しかない。先進国は大体400万円台」だと思いますけど。

中国と同じレベルの膨大な人口があるけど、インド市場はなかなか注目されない、インド人富裕層観光客の言動も目立つないです。それにおかしいを感じる私は、インターネットで2015年のインド人の平均年収を調べるが、そのデータは「15万円(都市部30万円、農村部8万円)」、15年前の中国と同じレベルです。

アチャー(ノ∀`)、それはさすが無理だわ…
30. Posted by chongov   2016年06月11日 11:13
元駐在員Aさんへ(続)

2014年のアジア諸国の一人あたり金融資産データを調べみれば、

日本 7万3547ユーロ
シンガポール 7万3328ユーロ
韓国 2万4157ユーロ
中国 7992ユーロ
インド 921ユーロ

http://topforeignstocks.com/wp-content/uploads/2015/12/Net-Households-Financial-Assets-of-Asian-Countries.png

日本やシンガポールの一人あたり金融資産は韓国の3倍・中国の9倍くらいと同時、中国の一人あたり金融資産もインドの8倍くらいがあります(つまり、日本はインドの72倍です)。こう考えみれば、インドの経済発展はまだ未熟です。でも最近数年間、インド人の年収成長率は中国を抜いたから、潜在力があります。
31. Posted by fsneak   2016年06月12日 03:10
>chongovさん

中国のスマホは日本より優れるも何も、日本のスマホと言われたら、なかなか頭に浮かぶメーカーがありません・・・ソニーですか?
付加価値が高い部品は日本からのものが多いというのは多分その通りでしょう。
ただchongovさんの言う団藤さんの「中国の夢、技術強国化は構造的に阻まれている」という文章ですが、これのことですか?
http://blogos.com/article/112774/

これなら若干賛成しかねるところがありますね。
特に「具体的な形がないモノに金を払わない」という主張ですが、それが今急速に変わっているでしょう。特にゲーム、動画配信サービスなどの分野が顕著です。知的財産に関する法整備が行われている同時に、人々が豊かになっていることも関係していますが、団藤さんは中国の急速な変化についていけずに見落としていたでしょうね。

中国大陸のソフトパワーが台湾や香港を上回るのは、別に人口が多いからだけではないでしょう。国力、財力がついたからという要素がもっと大きいと思います。

それと、今の中国のそれが日米と同様に強いとは言ってません。ソフトパワーが強くなっている兆候があるという話です。中国のゲームが日本人愛好家を集めたことや、俗っぽい(と私が思う)ネット小説が英語に訳されて欧米で読まれていることがその証です。特にゲームの話ですが、幼いころからやってきた有名なゲームはほとんど欧米や日本製で、国産ゲームなんてやりがいがないと思い込んでいましたが、まさか国産ゲームが本家の日本から愛好家を集められるとは、本当に、衝撃を覚えました。
32. Posted by chongov   2016年06月12日 03:51
Fsneakさんへ

>日本のスマホと言われたら

ソニーのXperiaはいい携帯だと思います。サムスンほどプロパガンダが上手いではないけど、品質はサムスンより高いです。

>国力、財力がついたからという要素がもっと大きいと思います

それはハードパワーと関係がありますけど、ソフトパワーはすべてハードパワーと関係があるものじゃありません。

>本当に、衝撃を覚えました

私も衝撃を覚えました。もしベトナム人やフィリピン人は中国製ゲームや中国ブランドをパクリしたら、多分中国人はそれに軽視するだろう。だから自分は最初から、日本人は「戦艦少女」ようなパクリ(?)作品を嘲笑するだけだと思います。
33. Posted by 元駐在員A   2016年06月13日 23:49
>それは古代の優越感や近代の劣等感による欧米や日本へのコンプレックス、ということですね。

中国人民の素朴な感情として、優れた古代文明に基づく「中華思想」と、そのような栄光の歴史とは対照的に、近代において列強+日本に国土を侵食され辛酸を嘗めた屈辱の歴史がある脳内に存在することについては、全く異論がありません。

ですが、私が言いたかったのは、その件ではありません。

また、それが現在の中国政府の主要な行動要因だとも考えていません。

私が言いたかったのは、日本では大和朝廷が成立してから政体が変遷を経ながらも1300年に渡って王朝が存続してきたのに、どうして一衣帯水の中国では短い期間でしかそれが存続せず、(漢族だけでなく「異民族」の)王朝の成立と反乱が繰り返されてきたのか?、中国ではそれだけ激烈な動乱の歴史が繰り広げられながら、どうして欧州のように(中国と比べれば)小規模な国家に分裂した状態が存続せず、統一国家が成立しては滅亡する歴史が繰り返されたのか?、という中国固有の特性は現代にも波及しているのではないかということです。

この様な世界史における中国大陸に固有の命題に対する根源は、現代の中国人民の思考様式、及びそれによって産出される中国政府の徹底したパワー・ポリティクス志向にも大いに繋がっているのではないかということです。

chongovさんは中国企業の創造力の低さを嘆いていますが、私にはそれは中国市場の異常な苛烈さ、信用の低さに起因している(→長期的な利益を想定したR&Dは実質的に不可能、パクリと安値と賄賂で素早く市場を制圧するのが経営上の最適解)ように見えます。

そして、その原因は中国政府、中国人民(国民ではない、中国は国民国家ではない、恐らくこれから先も)の思考様式の源と同じであり、それは端的に言ってしまえば、地大物博と過剰人口が源なのだろうというのが私が言いたかったことです。
34. Posted by chongov   2016年06月14日 09:51
元駐在員Aさんへ

あなたの思考は実に深いですね。自分から見れば、福沢諭吉や梅棹忠夫、この二人の日本学者はもうこの問題に対する解答が出すだろう。

(1)「文明論の概略」に、福沢諭吉は「日本政治は実に中国政治より進歩的。日本の天皇は実権がないけど最も尊貴な地位を持つ、将軍は実権があるけど最も尊貴な人じゃありません。一方、中国の皇帝は最も権力や地位を持つ人ですから、異論が存在しない。もし中国は社会を改革しなければ、日本と同じレベルになれないだろう(大意)」を言った。つまり日本は政治的なパワーバランスがあるけど、中国はそれがないです。今の日本、将軍は首相に変わるけど、その「実権」や「尊貴」の分離は続ける。

(2)「文明の生態史観」に、梅棹忠夫はユーラシア大陸の「第一地域」や「第二地域」という定義を作った。ちなみに、「第一地域」は日本・西欧、「第二地域」はロシア・中国・インドなど国に居るユーラシア中心部です。梅棹氏から見れば、「第二地域」は古代でいろんな文明が繁栄しているが、遊牧民の侵略による流血衝突はいつも存在している。それを防備する為に、ロシア・中国・インドは専制君主の暴政に支配され、ハードパワーを重視する膨大な帝国になった。一方、「第一地域」の日本や西欧は最初段階で「第二地域」より途上国な存在ですが、遊牧民の侵略に影響されることが少ないから、文明や理性的な社会が作り易いです。結局、近代のユーラシア史は「第二地域の没落」や「第一地域の繁栄」になりました。
35. Posted by chongov   2016年06月14日 10:04
元駐在員Aさんへ(続)

>中国市場の異常な苛烈さ、信用の低さ

それは多い中国企業の「長期成長戦略の無さ」と関係があるかもしれない。いつも短期決戦に目を付ける、時代の潮流に翻弄されるけど、結局自分のあるべき「本位意識」が失った。

>思考様式の源
>地大物博と過剰人口

うん、そうかな。中国の場合、一部の商業犯罪者は「沿岸部の人々から嫌われても、内陸部に逃げ込めれば問題は解決できるだろう」「全国民を一回騙しても、13億人分の金が入手できる。今後はみんなから信頼されなくてもいいじゃん」という発想があるから、賄賂や詐欺など道徳問題は絶えない。一方、日本は人口1.3億人の島国ですから、もし悪徳商法がバレたら、すぐに全国民から嫌われて、逃げ場もなくなったからこそ、商業道徳の養成にとって有利な環境です。

やっぱり地理環境と関係があるかもしれない。(でもインドネシアもフィリピンもスリランカも島国ですが、商業詐欺など社会問題は一応先進国より遥か厳しいですから、「地理環境だけの問題」じゃありません。)
36. Posted by chongov   2016年06月14日 10:33
元駐在員Aさんへ(続)

>どうして中国は欧州のように小規模な国家に分裂した状態が存続せず、統一国家が成立しては滅亡する歴史が繰り返されたのか

この問題について、自分の意見は以下二つです。

(1)始皇帝は自分の王朝をできるほど長く維持する為に、国家統一を強固化する政策(漢字の字体や度量衡の統一)を採択です。しかも漢字は表音文字じゃなく、表意文字ですから、各地方言での読み方がそれそれ違うても、本を読む時は相手の意味が分かるです。もし古代中国で使われる文字はラテン文字なら、多分北京語も上海語も広東語も四川語も独立言語になるだろう。二次大戦後の中国や日本はそれぞれ独立な簡体字を採択したが、台湾や香港は繁体字を維持した(例えば、TW澤・JP沢・CN泽)。だから今の中国・日本・台湾の人々は相手の漢字を読め難くなった。

(2)「欧州の海岸線は中国大陸よりも屈曲的」です。古代社会の貧弱な海軍技術を考えみれば、強い王朝があっても、欧州全土を統一することは難いです。東アジアのケースといえば、海洋国家・日本は地政学的な優位がありますから、モンゴル帝国の日本への侵略は失敗で終わった。朝鮮半島は歴代中原王朝の属国ですが、王朝の本土になれなかった。もし中原王朝は朝鮮半島を併合したいなら、鴨緑江や図満江は防備工事として使われるから。

一方、中国本土は特に屈曲的な海岸線が存在しないから、王朝の勝敗を争う時、敗北者はいつも滅びれる。それは私の独立な観点じゃないけど。「銃・病原菌・鉄」という本で中国の歴史や文化を評論する時、ジャレド・ダイアモンドも似い言葉を言ったからね。

コメントする

名前
 
  絵文字