中国高速鉄道

2012年08月26日

 いろいろありましたが、何とか帰ってまいりましたので、今日からまた更新させていただきます。1週間留守にしていたので、訪問者数がどれだけ下がるかかなり心配だったのですが、何とかそれなりの数字を維持しており、来て下った方々に感謝申し上げます。

 とは言ってもさすがに体力的にかなりきついので、記事の翻訳は勘弁していただき、今回中国を訪問しての感想等について少し。


1 客室乗務員

 以前中国の「新幹線」とでもいうべき和諧号について書いたことがありますが(新幹線と「和諧号」)、今回たまたま初めて乗る機会があったのでが、その感想などを書かせてもらいます。

 最初びっくりしたのが、客室乗務員が若い女性のみということです。記事では見ていたはずなのですが、こうしたものはやはり頭でわかっているのと、実際に見るのとは全く異なり、結構新鮮でした。

 というのは、どうしても中国の車掌(客室乗務員)が切符の点検に来るときは、如何にも公務員という感じの、「さっさと切符を出せ」といった態度をとり、それに慣れていたからです。

 今回そうしたものとは全く異なり、如何にも教養のある女性といった感じの丁寧な態度で、言葉遣いも極めて穏やかなものでした。


2 車輌

 鉄道については、殆ど詳しくないので、具体的な違いは全くわかりませんが、基本的に新幹線と同じつくりでした。

 残念だったのが、乗ったのが夜だったので、スピード感がよくわからなかったことです。電光掲示板で数分おきに現在の速度が掲示されるのですが、結構ムラがあり、180出ているかと思うといきなり30キロにまで減速しており、速いのか遅いのかよくわかりませんでした。

 個人的に、何となく納得したのが座席のリクライニングがないことです。ただ、私の乗ったのが、2等車輌だったので、もしかすると1等車輌にはあったのかもしれません。

 思うに、1つ1つそうした施設を付けるには結構金がかかりますし、中国人は後ろに人がいても気にせずに、結構派手に座席を倒す人がいるので、無用な争いをなくすために、最初から省いてしまった方が問題がないかと勝手に想像しておりました。


3 農民

 基本的に切符の値段が高いので、それなりのクラス(身なり)の人が乗っているのですが、何故か如何にも田舎から出てきたばかりの農民という感じの人もいました。

 最初不思議に思っていたのですが、降りるとき皆同じ帽子をかぶっており、団体旅行とわかりました。申し訳ないのですが、昔流行った「ノウキョウ」という言葉を思い出してしまいました。

 日本人もかつて、農家の方々が農協主催の旅行に参加して、初めて海外に旅行をして、現地にいろいろ日本人の深い印象を残したため、当時ヨーロッパで、「ノウキョウ」という言葉が流行ったことがあるそうです。


4 水

 待合室で待っていると「贈水所」というのがあり、隣にいた人に何気なく聞いて見ると、水をもらえるということだったので、もらってきました。

 ただ、その人が言うには、はじめから切符の代金に水の代金も含まれており、もらわないと損をするだけだそうです。

 つまり、結構知らない人がいるので、水を取らない人が多ければ多いほどそれだけ、鉄道部が儲ける仕組みになっており、サービスでも何でもないというわけです。

 そのため、私が聞いた人は、「贈水所」ではなく、「取水所」と書くべきで、何を偉そうなことを言っているのだと怒っていたのが印象的でした。



凜amuro001 at 19:54│コメント(4)トラックバック(1)

2011年12月26日

 『人民日報』が時速500㎞の高速鉄道の試験車両がもうすぐ完成するという記事(「更高速度实验列车在南车四方落成 车尾似“火箭”」さらなる高速の実験車両を南車四方が完成、車両後尾は”ロケット”に似ている)を掲載していたので、これについて少し。


1 試験車両

 なんでもこれは国家973計画(経済や社会の発展に必要な先端技術の研究を国が奨励することを定めたもの、1997年3月に定められたが故にこの名称で呼ばれている)に基づき、科学技術部と鉄道部により、中国南車四方股份有限公司に委託して進められたものだそうです。

 いろいろ書いてありますが、言わんとしていることは単純明快で、中国がいろいろ苦労して国内の技術で造り上げたということです。ここまで「国内の技術」を強調されると逆にいろいろ考えてしまいたくなります(新幹線と「和諧号」)。

 この車体の紹介がまたものすごく、「ベースは灰色で、中に黒色の線が入っており、そこに”CRH”の文字が記載されている。車体の先頭は宝剣の様にとがっていて、車体の後ろはロケットのような構造になっている」そうです。

 写真がないのが残念ですが、おそらく500㎞の試験走行を成功させた際には、また大々的に報道されるでしょうから、そのときのお楽しみということでしょうか。ま、試験車両なので、どのような形をしていても特に問題はないのですが、すごい形だという感想を述べさせてもらうにとどめます。


2 高速鉄道事故

 どうしても中国の高速鉄道というと7月に起こった事故を思いださずにはおれません。多分この記事も充分にそのことを意識して同年中に事故を挽回させるものと発表したいという意図が働いて掲載されたものかと思います。

 しかし、速度を「成果」とする当たりがまさに今の中国を反映しており、本来もっとも重視されるべき「安全」がどこかにいってしまっているようなのが、中国の最大の問題点かと考えます。


3 小伊伊退院

 こうしたことを考えていたときに『広州日報』が掲載していた項煒伊(愛称が「伊伊」)が退院したという記事(「温州动车事故幸存者小伊伊出院回家过年(组图)」温州鉄道事故の生存者小伊伊が退院し、家に帰り正月を迎える)を思いだしました。

 彼女のことは日本でも大々的に報道されましたが、名前までは報道されなかったので誰と思うかもしれませんが、中国鉄道部が運行再開を優先するため、さっさと救助活動を打ち切った後に、20時間ぶりに発見された2才の女の子です。

 彼女の発見により、捜索活動のずさんさが明るみでて、鉄道部のスポークスマンが総スカンをくらう原因にもなったことは記憶に新しいかと思います。


小伊伊退院



  この写真を見ると何とも言えませんが、一番上の写真は初めて娘が高速鉄道に乗ったところを写真に撮って両親がマイクロブログに掲載したものです。その帰りに事故にあり、両親は死亡しております。

 このブログにつけられていた「小さいくせに肝がすわっている、小さい宝物よ、いつになったら大きくなって、ものの道理がわかるようになるのか」「伊伊が初めて高速鉄道に乗って杭州に行く、その記念に」といった母親が最後に書いた言葉が紹介されております。

 一番下の写真はリハビリをしているところです。退院したとは言ってもあくまで正月を家で過ごさせようという配慮によるもので、治療はこれからも必要だそうです。この記事に対しある方が別のところで書いていた「両親がいないのに家に帰ると言ってもどこに帰るのか」というコメントがとても印象的でした。



凜amuro001 at 01:01│コメント(4)トラックバック(0)

2011年09月01日

 8月13日に上海浦東国際空港で起こった事件が、ある意味で中国の現在の状況を映し出すような面があり、興味深かったのでこれについて少し(基本的に参考にしたのは中国中央電視台のニュース報道)。

 この事件は天気の関係で着陸を待っていたドーハから来たカタール航空機が救難信号である「MayDay」を発し、燃料がもう5分しかないので、着陸させてくれと言ってきました。そのため管制官は当機の前にいて既に着陸態勢に入っていた吉祥航空機に対し、道を譲るように指示をだしたというものです。

 しかし、吉祥航空(ちなみに吉祥航空というのは中国における数少ない民間航空会社です)のパイロットもこちらも残り4分しかないということで結局譲らず、仕方がないので管制官は2機をそれぞれ別の滑走路に誘導し、とりあえずは事なきをえたという事件です。

 ところが事件はこれで終わらず、中国民用航空局が調査したところ、実はこの飛行機は両方とも嘘をついており、カタール航空の燃料は5t残っており30分は飛べる状態、吉祥航空も2~3t残っており、1時間は飛べる状態だったそうです。

 とりあえず吉祥空港のパイロットは管制官の指示に対し嘘をついて従わなかったということで、中国における飛行機の操縦資格を取り消される処分を受けることとなりました。事件のあらましは以上のとおりですが、このことについて『AP』が記事を発表し、それを『環球網』が翻訳して掲載しておりました(「美媒:中国航空安全越来越令人担忧」)。

 これによると基本的にこのような事件の起こった背景には、中国の空港で離着陸をする飛行機の数が以前より圧倒的に増えたことによるという分析をしております。それによると中国の民間飛行機の数は昨年は1500機だったのが、2015年には2600機、2020年には4360機になるとしています。

 これだけの数の飛行機(加えて外国からの飛行機)が離着陸をするわけですから、当然飛行機の運行にも影響を与えることとなり、到着が遅れたり、下手をすると衝突事故を起こす可能性も高まると、国際航空交通協会は警告を発しているそうです。

 問題はそれだけではすまず、飛行機が増えたということは、それを運転する操縦士の数も急激に増えたということを意味します。中国では新たに数万名もの操縦士が必要となっており、退職する者もいることを考えると操縦士の育成が急務となっているとしております。

 中国では高速鉄道の事故を受けて、鉄道部門は最高速度を落とすなどいろいろ見直しがされております。ただし、脱線事故以降も信号トラブルなど小さい事故が起こっていることから、相対的に飛行機に対する信頼度が高まっているそうですが、こうしたことを考えると飛行機も必ず安全と言って良いのか多少不安になります。


 これは別に中国(政府)だけが悪いわけではなく、あまりに中国の発展が速すぎるためにいろいろな整備が追いつかないというやむを得ない面があるのもの確かかと思います。しかし、事は人命がかかっているだけに「やむを得ない」ですませられない問題であり、実に難しいところです。



凜amuro001 at 22:48│コメント(8)トラックバック(0)

2011年08月17日

 今日は以前書いた「中国のスポークスマンのあるべき姿」の続きのようなものです。「信じるか信じないかはあなた方の自由だが、私自身は信じる」などの迷言を残した中国鉄道部の王勇平報道官が16日に停職処分となりました。

 これを受けて『環球網』が社説「希望“王勇平悲剧”不再重演」(王勇平の悲劇が再び起こらないことを望む)を掲載していたのですが、これが興味深いものだったので、今日はこれについて少し。

 導入部は彼の停職についてです。しかし、高速鉄道の事故を受けたの記者会見で、マスコミと接したときに、一定の(スポークスマンの満たすべき)水準を満たしていなかったことが今回の解任と関係があり、彼は責任をとるのは当然だと、かなり手厳しく始まります。

 ただそれに続いて政府の他の部門でも社会から信用を無くしている状態で、彼と必ずしも異なる対応ができたか疑わしいとそれなりに擁護するとともに、スポークスマンに対し頑張ってくれと訴えています。そして、スポークスマンは中国政治が公開されていること、透明性を表してるとタテマエ論を論じます。

 そしてその後で、そうは言ってもインターネットやマイクロブログで通常に人もいろいろな情報を知ることができ、こうした世論を相手にするのは難しいことだと現実に基づいたことを書き始めます。どうも読んでいて思ったのですが、○○だけども、必ずしもそうでもないと、左右にぶれた書き方をするのが作者の特徴の様です。

 実際、鉄道部や中国赤十字(「中国赤十字に対する「醜聞」」及び「中国赤十字に対する「醜聞」2」参照)の失敗例などをみると、スポークスマンの仕事は今後益々難しくなっていくが、これを解決するには、再度「官」に対する信用を取り戻すよう努力する以外に道はないようだと、またしてもタテマエ論に戻っております。そして、信用(頼)が足りない場合は、正直になることが重要だとタテマエを続けます。

 でこのままタテマエで終わると思いきや、またしてもホンネに戻り、中国は問題が数多くあり、解決には過程と協調が必要であると始めたかと思うと、急いでもダメなことは大衆もわかっているはずであり、官僚も寸暇を惜しんで問題解決にあたっていると、官僚擁護を始めます。

 しかし、続けて官僚は社会に対し、公開したり謝ったりする勇気が欠けており、官僚は良い結果を宣伝することを勧められていると官僚批判らしきことを行います。

 先に作者の特徴として、右にいったり、左に行ったりすると述べました。しかし、もしかすると、個人的には官僚批判をしたいのですが、表だって行うといろいろ厄介なので、バランスをとって擁護しつつ、批判を行うという形態をとらざるを得なかったのかもしれません(あくまで私個人の推測の域を出るものではありません)。

 もう1つ紹介したかったのが、『環球網』にはこの社説以外に「王勇平の離任は鉄道部のイメージを改善することが出来るか?」というアンケート行っていたことです。結果は「出来る」と答えた者が5%に留まり、「出来ない」と答えたものが95%にものぼっておりました。

 「出来ない」として者が書き込んでいた意見としては、「鉄道部の改革が行われていないのだから、出来るはずがない。」といった至極当たり前のものから、鉄道部の腐敗を非難するものまでいろいろありました。当然のことですが、スポークスマン1人停職にして問題が片付くとは誰も思っていないというこどです。



凜amuro001 at 20:33│コメント(2)トラックバック(0)

2011年08月05日

 ブログを書くためだけに愛読している『環球網』に「中国式“快生活”引世界评说」(中国式の“速い生活”が世界に議論を引き起こす)という結構長い社説が掲載されており、いろいろ思うところがあったので、これについて少し。

 本当にかなり長い社説で、結構気合いを入れて書かれたものであることがわかります。それに標題に「世界」とあるように、いろいろな国の記事を引用して、現在中国は以前と比べものにならない位「速度」を追い求めているということを紹介したり、いろいろな方への取材内容が掲載されています。

 実際この記事に関わった記者の名前が上に記載してありますが、総勢8名もの者が関わっており、間違いなくかなりの気合いをいれて書かれたものです。しかし、内容は基本的に同じ話(インタビュー内容、翻訳記事)の繰り返しで、長い割にはあまり濃いものでありません。

 内容は一言で言えば中国における時間の概念は既に昔とは比べものにならない程変わっており、「時は金なり」という諺があるが、今はまさにそのとおりで、全てにおいて速さを求めるようになっている。しかし、この過程は先進国が皆通ってきたもので、その際にはいろいろな問題(矛盾)がでることがあるが、それはどこの国でも同じである、というものです。

 いうまでもないことですが、これは中国における高速鉄道の事故を受けた書かれたものであることは間違いありません。そうであれば、これだけ力をいれて書かれているのも納得できます。つまりこの記事で言いたかったのは「速度」を否定してはならないということかと思います。

 実際この記事では、広州で雨のため飛行機が遅れたが、その結果、待合室にある電話などを壊したり、係員に殴りかかるということが起こる等、速度を求めた結果中国人に自制心がなくなったことや、余裕のある生活を送ることができなくなったことなども紹介されております。

 そして速度を求める時代の負の面はどこの国でも起こりうるもので、例としてアメリカの他に、日本をあげております。日本は、6~70年代の高度経済成長時に、速度を追い求めカップラーメンを発明し、家に帰ってから自分で麺をゆでるという生活をなくしてしまいました。その結果、健康被害や、食品添加物、環境汚染などの問題が生じたとしております。

 この当時日本では公害などが社会問題化していたのは事実なので、別にこれについてどうこう言うつもりはありません。また、確かに、経済を発展させるためには「速度」が大事であるのは間違いなく、これがなければ経済が発展できないのもいうまでもありません。その上で「速度」をなくした場合どうなるということで、これまた日本の例が紹介されておりました。

 バブル崩壊後、日本は「失速」してしまい、不景気に苦しみ、失業率も増加している。その結果、例えば埼玉県で最近、中年男性が実際は失業したのに、背広を着て仕事に行くふりをして、2週間妻子を偽っていたが、嘘がばれてしまった結果、一家無理心中をするということまで起こっているという事案が紹介されておりました。

 つまり言わんとしていることは、「速度」を求める生活もいろいろ問題があるが、「失速」した生活も同じく問題があるということです。それだったら、経済を発展させるためにも「速度」を追求した方が良いのではないかと暗に述べているかと思います。

 最後に銭乗旦北京大学教授の言葉を引用してまとめております。そこでは、急速な発展段階は世界中普遍的に存在するもので、この段階がないと経済の発展は望めないと繰り返したのち、中国に必要なのは、速度が速すぎるかどうかでなく、社会の発展の調和であるとしています。

 公式見解を最後に持ってきたかという感じです。つまり悪いには速度ではなく、バランスがとれていないことであり、バランスをとるようにしなくてならないというわけです。いうまでもなくこれは胡錦涛の提唱した「和諧社会」を念頭において書かれたものと思いますが、こうしたことからも典型的な御用記事であることは見て取れるかと思います。

 この記事を読んで私が思ったのは2つです。1つが、「速度」が大事であることは私も否定しません。しかし、「速度」だけが大事なわけでなく、中国にしてみれば既に「失速」した者の負け惜しみというかもしれませんが、「速度」以外にも大事なものがあるのは間違いないのではないかということです(それは、安心だったり、心の安寧だったり、人それぞれいろいろあるかと思います)。

 2つめが、(今回の事故処理はあまりにいただけませんが)ただその一方で、確かに中国の言うことも一理あり、日本だってひたすらがむしゃらに走ってきた時代があり、その時にいろいろ問題を起こしてきたではないかということです。どうしても人は忘れやすく、豊かになるとかつての自分がどうだったか忘れてしまいます。中国を見ているといろいろな意味でかつての日本を思い出させてくれます。



凜amuro001 at 21:00│コメント(4)トラックバック(0)