TPP

2015年10月06日

 TPPが大筋で合意に達したことをうけて、中国がどう反応しているかという記事です。というわけで、いつものとおり、『人民日報』傘下の『環球時報』の社説「别想拿TPP对付中国,也做不到」を紹介させていただきます。


1 記事の紹介

 それなりにいろいろ書いてあるのですが、思いっきり意訳をさせていただきますと大体以下のとおりです。


 急進的で楽観的なアメリカのアナリストには、この協定で、中国は苦しい立場になるとしている。

 しかしTPPが中国に対する道具となるかは何ともい言えない。アメリカと交渉した11の国家の大多数はこの方面に興味がない。

 中国はアジア太平洋自由貿易を推進し、韓国やオーストラリアと協定を締結したが、オーストラリアはTPPの構成員で、オーストラリアは中国との利益を拒むはずがない。

 また、中国はアジア太平洋の最大の貿易国で、世界第二位の経済大国で、市場も大きい。更に将来、中国がTPPに参加する可能性も排除されていないので、対立関係を強めるという見方は、あまりにも独断的だ。

 TPP参加国間の差異も大きく、アメリカが当初提唱した労働問題、環境保護のなどは最終的に妥協を強いられた。

 中国のGDPはアメリカを除く11ケ国の総合計と殆ど同じで、中国の影響力は大きいし、アメリカ自身が中国と貿易拡大を希望している。2001年に中国がWTOに参加したときとは、時代が異なっている。

 今後のTPPの交渉の進展を見て、TPPに参加するか決めれば良いことだ。実際、WTOなどもアメリカなどの先進国が主導して、中国はあとで加入したのだから。

2 TPPの影響

 もともと、中国はTPPを「反中華連盟」としておりました(TPPを巡る日米中の報道)。ただ、途中からある程度方向転換し、TPPに対して反対しない(賛成だ)という中国の公式見解を伝えています

 この理由については以前書かせてもらったので(中国がTPPに賛成な立場に転じた理由)、ここでは繰り返しません。

 しかし、中国がどう判断したとしても(表面を取り繕ったとしても)、これがアメリカと日本が中国に対抗するために行ったものであるのは間違いなく、これが執行されれば、経済だけでなく、国際政治的にも大きな影響を与えることになると考えます。

 正直私は、TPPがここまで来れるかどうか五分五分だと思っておりましたし、今後アメリカ議会等の批准が必要となりますので、まだまだ予断を許さないのが本当のところです。

 ただ、ここまで来てしまえば、如何にアメリカ議会が共和党優勢とはいえ、ここまで各国が話あって何とかまとめたものをご破算にするとは考えにくく、このまま行けるのではないかと考えています。


3 参加

 そうなると、韓国あたりが、騒ぎ出したように(韓国の場合は特に貿易以前率が高いので、影響はかなりのものがあると考えます)、取り残されるという不安を持つ国が出てくるのは当然かと思います。

 確かに、中国の主張しているとおり、アメリカは中国の参加を否定してはいません。しかし、これから参加するとなると、当然条件交渉には参加できず、現加盟国各国との個別交渉が必要となってきます。

 中国は自国の影響力を持ってすれば、他国は容易に屈すると思っているようですが、参加するとなると、今度は中国独自のルールを改正することを求められることになるのは間違いありません。

 中国の場合、資本比率の問題や、特定分野を外国資本に開放しないなど、かなり独自のルールがありますし、更には今年7月に株価が暴落した際には、なりふり構わぬ政策をとったわけですが(中国の人民元切り下げの影響の見方)、それらを当初参加国がどう思っているかという話にもなります。


4 最後に

 確かに入るのは自由ですが、入るにあたって当然条件を付けられるわけで、それを中国がどう対応していけるのかとう問題もでてくることを意図的に除いているとしか思えない『環球時報』の社説です。

 そういう意味で、「排除」はされないでしょうが、中国に対する圧力になるものであることは間違いなく、そういう意味では間違いなくアメリカ・日本の意図は成功していると考えます。

 正直、昨日人民網も含めて、中国でTPP絡みの記事がないか探したのですが、殆ど見つかりませんでした。おそらく、中国内部でもどう対処(コメント)すべきか、いろいろ考慮して今日になったというところかと思います(天津爆破事故の情報公開が遅れる理由)。



凜amuro001 at 23:55│コメント(10)トラックバック(0)

2014年05月26日

 『環球網』の映像番組に「蒋述日本:安倍TPP谈判出卖“国益”讨好美国」というのがあって興味をひかれたのでこれについて少し。


1 記事の紹介

 これは、アメリカが農作物の自由化や保険分野の開放などを要求していることを受け、何故安倍首相は日本の利益にならないTPPに参加するのかという観点から論じられているものです。

 それについて3つの理由から説明しております。一つ目がアメリカとの関係で、自民党政権になって日米関係は好転したように見えるが、安倍首相はオバマ大統領との会談を拒否されたことがあることからわかるとおり、必ずしも良好ではない。

 こうした状況を受け、アメリカとの関係改善のためにもTPPには参加するとしております。ちなみに昨年3月シンガポールでのバイデン副大統領との会談もオバマにあえないから副大統領、それもあったら尖閣諸島関係で釘を刺されたと散々な言われようです。

 2つ目は、TPPの規模で、成立すれば全世界の4割におよび規模で、日米でうち9割占めることが指摘されています。しかし、ここでも中国が世界2位日本が世界3位になったことを日本は快く思っておらず、これで巻き返しを狙っているとしています。

 3つ目が中国で、TPPは中国を抑えるためのもので、先に入ったもの(創始者)が有利で、中国がいない状態で自分たちに好きに枠組みを作ってそれで中国を抑え込もうという狙いがあるそうです。また、WTOの強化版という発言もありました。


2 TPP

 中国では以前からTPPが「反中華連盟」だという考えは存在します(「TPPを巡る日米中の報道」)。かといって、やっかいなのは、本当に成立すると、これを中国が無視できるかという問題が発生することです(中国がTPPに賛成な立場に転じた理由)。

 確かにこれだけの規模の経済(貿易)圏ができるのは間違いなく日本の貿易という観点では有利ですが、オバマ大統領にアメリカ国内をまとめる能力があるのか正直疑問です。

 また、日本国内でもTPPを締結することによってどうなるのか、よくわからないという人が大半で、賛成か反対かと言われても聞かれても、良くわからないというのが本音かと思います。


3 ルール

 私が興味をひかれたものの1つに、先にルールを作った者が有利という発想で、ここは如何にも中国的だと思いました。

 中国は近代化という「ルール」に乗り遅れたため、結果として半植民地となってしまったという苦い経験を持っています。それだけなく、今でも「人権」とか「民主」といった欧米のルールに対抗して中国独自の「人権」理論を展開して反論しております(アメリカの人権に対する中国の批判エジプトの選挙結果を受け、西側に嫌みを言う中国)。

 つまり、以前も今も世界は欧米の基準を基にして動いているのであり、それに対して中国はどう対抗するか、自分たちの基準(価値観)を世界基準にするためにはどうすればよいかという発想が見え隠れしているわけです(中国の発展戦略と国際基準)。


4 最後に

 この点は正直日本も見習うべきものがあると思っています。日本の場合ルールが絶対だと思っており、その枠内で如何に頑張るかという発想が先にくるわけですが、ルールそのものを変えられてしまえばいくら頑張っても何にもなりません。

 スポーツなどが典型で、どこの国とは申しませんが、ある意味ルールである審判を買収したりするのも戦略としてはあり得る話ですし、ロビー活動で自国に有利になるようにルール改正の働きかけを行うという方法もあります(レスリング除外から見るロビー活動の重要性と日本外交)。

 確かに私もこれを是とするつもりはありませんが、戦略としてはあり得る話で、それに対して対抗する方策、こういうことをやってくるものがいるので、やられた場合にはどうするか、考えておくことだけは必要かと思っているという話です。



凜amuro001 at 05:52│コメント(59)トラックバック(0)

2014年04月26日

 オバマ大統領の訪日も終わり、彼は韓国に向かっていったわけですが、今回TPPおよび中国に対する「日米同盟」などいろいろな問題が多く、そういう意味ではかなり評価の難しい訪問だったと思っております。


1 TPP

 これについては、いろいろな意見があるかと思います。どうしても日米交渉を見ていると農産物の撤廃を求めるアメリカそれに抵抗する日本という形での報道になっており、アメリカの要求を日本がどう対処するかという観点からの報道になっています。

 この見方はそのものを否定するつもりはありませんが、こうした観点からだけとなると、結果として「アメリカの圧力」を如何に日本は跳ね除けるかということだけに重点が置かれることにもなりかねません。

 結果、中には、何も無理をしてアメリカの言うことを聴く必要もないという話になってしまうわけですが、TPPが全く日本にメリットがないというわけでありませんし、アメリカに日本が参加を強制されたわけでもありません(TPP参加と日本の政治不信)。

 そういう意味で私はTPPに全面的に反対する意見に組するつもりはありません。しかし、現実問題として、オバマ大統領がTPPをまとめきれるか疑問で、どこまで付き合う必要があるかも疑問に思っていることも確かです(オバマ大統領の来日の意義)。


2 対中国

 今回オバマ大統領は、尖閣諸島は「日米安全保障条約第5条の適用範囲内にある」と明言し、中国はこれについて反発を強めています。

 アメリカ議会上院は、尖閣諸島について、日米安全保障条約の適用範囲内であることを明記した条項を、現在審議中の国防権限法案に盛り込むことを決めましたときでさえも中国はかなりの反応をしました(アメリカが尖閣問題で日本支持を表明したことに対する中国の反応)。

 今回は大統領が明言したわけで、中国にしてみれば、そのとき以上の衝撃を受けたと考えるのが当然かと思います。

 しかし、アメリカにしてみれば、中国と決定的に関係を悪化されるつもりがあるとは思えません。それに実際シリアでもウクライナでもアメリカは強硬策をとっておらず、どこまで本気でやる気(軍事的対応)があるのか疑問です。


3 アメリカ

 オバマ大統領にしてみれば、TPPで日本に譲歩を引き出すための、リップサービスといったところでしょうが、結局日本とTPPで最終的にまとまらなかったわけで、少し言いすぎたと後悔しているのではないかとも思っています。

 ま、結局まとまらないまま韓国に向かったわけですが、韓国では北朝鮮問題と日韓関係の修復というこれまたどう考えてもまとまらない問題に直面しなくてはならないわけで、アメリカ大統領も大変だとつくづく思います。

 これが冷戦時代なら、アメリカに守ってもらっているという負い目があったので、皆アメリカの言うことを聞かざるを得なかったわけですが、そうした重しがなくなると皆勝手に動きだすという話かとも思います。


4 最後に

 中国が警戒しているようにTPPに中国包囲網的な意味合いがどこまであるかわかりませんが(TPPを巡る日米中の報道)、何にしろ環太平洋で自由貿易圏を作って中国を牽制しようという意味合いがあったのは間違いないかと考えます。

 アメリカにしてみれば、軍事的には同盟国(日米、米韓)の関係強化、経済面ではTPPの締結という二本立てで、中国に対する牽制ということを考えていたのでしょうが、日米、米韓単独ではとりあえずできたとしても、日韓がこの状態ではというところでしょうか。

 実際、有事の際に、日韓がいがみ合ったままでは、どこまで有効な手段がとれるかわからない面があり、アメリカとしても頭が痛いところでしょう。

 そして、経済面でのTPPはどうなるかわからなくなってしまったわけで、軍事面、経済面どちらの牽制もうまく機能しなくなってしまったことを意味しており、オバマ大統領にしてみれば、当初の目論見通りにいかなかったわけで、面白くないのは間違いないかと考えます。

 ただ、とりあえずオバマ大統領にしてみれば、自分のできることを精一杯行った(ている)という話なのかもしれません。



凜amuro001 at 05:18│コメント(21)トラックバック(0)

2011年11月29日

 シンガポールの国と『聯合早報』が日本のTPPの交渉参加問題について記事を掲載し、それを『中国新聞網』が転載しておりましたが(联合早报:日本纠结TPP 根源在“政治不信”)、なかなか興味深い記事だったので、これについて少し。


1 日本国内の分裂

 この記事はまずTPPの参加を巡って日本では世論の激しい対立が見られたと述べています。農協が反対の意見書を国会に提出すれば、356名もの国会議員が賛同し、民主党も自民党も賛成、反対で意見が割れたと続きます。

 そして具体的に、民主党内では、野田佳彦、前原誠司、菅直人、仙谷由人等が賛成に、鳩山由纪夫、渡边恒三、原口一博等が反対に回ったことや、自民党内では河野太郎、中川秀直等が賛成に、森喜朗、大島理森、町村信孝等が反対したと、具体的な名前を挙げて論を進めております。

 こうした意見の対立は政党内だけでなく、省庁間でも見られ、内閣府がTPPに参加すれば今後10年間で2.4~3.2兆円のGDPの増加見込まれると試算すると、農水省では11.6兆円の損失

と340万人の失業を招くことになると反論。

 そうすると、更には経産省が日本がTPPに参加しなければ、韓国がアメリカやEUとFTAを締結したことにより、日本のGDPは10.5兆円の損失を招き、失業者も81.2万に上ると反論したこと等を紹介しております。

 民間でも意見が別れ、経団連の米倉会長は「TPPに参加しなければ、日本は世界の孤児のなってしまう」と述べれば、全農協の茂木会長は全国規模の徹底的な反対を主張、日本医師会も「もしTPPに参加すればアメリカ式の市場主義が持ち込まれ、皆保険制度が破綻してしまう」と反対したことを紹介。

 学者の間でも同じで、竹中平蔵、高橋洋一、大川良文等の親米学者がTPPを推進し、竹中平蔵に至っては直ちに参加すべきと提唱したほどであるのに対し、斉藤環、中野剛志、藤井聡、三橋貴明等の学者はTPPに参加することは日本の国益をそこなうことであると主張したとしております。

 こうした記述を見るとよく調べたなという感じで、おそらく日本在住の特派員などが書いた記事でははないかと思います。


2 TPPについて

 次にTPPの分析に進むわけですが、IMFの統計によると、2010年のTPP参加国のGDP総額は全世界の27%を占めるにすぎないわけですが、日本、カナダ、メキシコが加入すると全世界の40%を占める巨大経済圏となり、特に日本とアメリカがそのうちの91%を占めているので、TPPといっても実際は日米のFTAではないかと述べています。

 そしてここからが本題ですが、日本でTPPの議論が分かれて最大の原因は「政治不信」だとしております。実際、WTOでもAPECでもFTAでも皆長所があれば短所があり、問題は参加するかしないかではなく、「政治交渉力」が強いかどうかであり、参加することはそれなりのリスクがつきまとうとしています。

 それを裏付ける資料として、『朝日新聞』の世論調査の数字を載せています。48%の者がTPP加入に賛成している一方で、84%の者が提供委された情報は「足りない」と考えている現状。そして、日本政府のアメリカとの交渉能力について「とても期待している」「比較的期待している」が25%しかおらず、「あまり期待していない」「全く期待していない」が73%もいることを挙げています。

 そして日本は日本は極めて困難な状態に置かれているとしています。アメリカのTPPはまさに黒船来航で、アメリカの市場拡大という目的はわかりきっているが、とりあえずは話し合いで解決しなくてはならない。

 これについて国内外の調整をするのは極めて難しいが、片や新しい国際体制から置いて行かれるのも困る。後者の方が困った状態となるし、「戦わずして負ける」という道を選ぶことはできないので、野田首相はTPPに参加せざるを得ないと分析しております。

 最後にTPPが日本国民にとって良いものとなるか悪いものとなるは、日本のアメリカとの交渉にかかっており、毒となると薬となるかによって日本再建の鍵となるとして記事は終わっています。


3 個人的感想

 なかなか当を得た分析で、最初の日本の分裂状況の記述といい、興味深く読ませてもらいました。確かにTPPに反対している者も全面的に反対しているわけではなく、できれば参加した方が良いのはわかっているが、今の野田政権でアメリカと対等に交渉できるか、アメリカの言いようにやりこめられてしまうのではないかと恐れるが故に反対している者もいるかと思います。

 何を隠そう私もこうした懸念を抱いており、野田首相が交渉参加を表明したこと自体がアメリカの意向を踏まえたもので、初めからこれでは交渉になるのかと心配しております。

 それに私が最も懸念しているのは、TPP参加交渉を表明して終わりではなく、これから交渉が始まるわけですから、マスコミも政治家もTPPに関する情報を積極的に提示して、議論をしていかなくてはならないはすですが、何故か交渉参加を表明したらそれで全てが終わってしまったようにTPPに関する報道が少なくなってしまっていることです。

 アメリカとの交渉はこれからなので、本当に必要なのは今直ちに国内で議論をして、方向性を示し、その上で、アメリカにどのように対抗していくか(如何に他国を日本よりに引き込むかなどの戦略)を検討すべき時期かと思うのですが、あまりそうした声が聞こえないのが不安でなりません。



凜amuro001 at 21:44│コメント(5)トラックバック(0)

2011年11月16日

 『新華網』に「外交部:中方对TPP持开放态度」(外交部:中国はTPPに対しオープンな態度を維持)という記事が掲載させており、興味深かったのでこれについて少し。

 この記事は、記事の最初に書いてあるように、「中国は対外貿易については全方位的で、中国はTPPも含む、あらゆる太平洋地区の経済融合に有利なもの、共に協力し繁栄していこうというものは、オープンな態度」だとして、TPPに対しても反対しない(賛成だ)という中国の公式見解を伝えたものです。

 記事では他に「APEC、東アジアサミット、今話し合っているTPPがある。・・・我々はこうした様々な機構が併存し、互いに補い合い、影響を及ぼしあい、共に東アジアの協力のために貢献していこう」という劉振民外務次官補の言葉も引用しております。

 さて、これはこれまで報道されてきたAPECにおけるTPPを利用して中国を牽制したいアメリカと、ASEAN+3などを利用しアメリカの影響力を排除したい中国との対立といった図式(「APECでの米中対立に関する全国紙の報道」)とは大分異なるものです。こうした見解が公表された理由を以下で考えてみたいと思います。


1 国内向けの説明

 自国民向けに対する説明では、中国は平和主義で、世界から愛(尊敬)されているということになっております。そして『環球網』等が述べていたように、TPPが「反中華連盟」だとすると(「TPPを巡る日米中の報道」)、それだけ世界から愛されているはずのその中国が太平洋の国々から反中国包囲網をつくられるというのはあってはならないことが起きることになります。

 アメリカ等特定の国が反中国政策を講じているというのであれば、まだ説明はつきますが、12ヶ国もが共同で中国に敵対する機構をつくろうとしているとなれば、かなり説明がきつくなります。そのため、ここに来て方向転換をはかったのではないかという見方が1つめです。


2 アメリカとの関係改善

 そして、これは「米中対立」という見方が広く報道されたことと無関係ではないと考えます。そういう意味で、こうした外務次官補の発言も単なる口だけの社交辞令的なアメリカとの良好な関係を演出しようとしたものという見方も可能です。

 何と言ってもアメリカは重要な貿易相手国で、国内向けに「アメリカ謀略論」を主張する分にはさほど問題がないでしょうが、海外に対しては、そんな馬鹿なことを堂々と主張するわけにもいきません。

 それにTPPの目標が自由貿易の推進となっており、第二次世界大戦の発生した原因の1つに保護貿易があり、WTOにも加盟している中国としては、表だって自由貿易を推進しようという機構に反対することはできません。

 「ブロック経済圏」という立場からTPPに対する反対するという選択肢はどうかと思われる方もいるかもしれませんが、中国は既にASEANとFTAを締結しており、こうした立場からの批判もしずらいのが現状です。


3 TPP成功の可能性

 おそらくこれが最大の原因かと思いますが、TPPはうまくいくはずがないという見通しがあるのではないでしょうか。その原因の1つが日本で、野田総理が帰国して以来、いろいろな指摘(批判)が日本国内で起こっております。

 「交渉参加」が何を意味するのか、また関税自由化の対象はどこまでなのか等いろいろな問題が山積みで、更には農業団体に代表されるように、日本国内の反対勢力もこのまますんなり参加に納得するはずはないと私も思っております。

 特に今回はあらゆる分野と言っており、農業だけでなく、医療、労働様々な問題が噴出してくるのは明らかです。それに、日本だけでなく、アメリカでも自動車業界が日本の参加に反対を打ち出しています(『読売新聞』「米自動車業界団体、日本のTPP参加に反対声明」)。

 こうしたことを考慮すると、かなりの紆余曲折を経ることは間違いなく、簡単にはまとまると思えません。下手をするとTPPそのものがおかしくなってしまう可能性も高く、そうしたことを考ると、反対してアメリカの反感を買うよりも、ここは1つ懐の深いところを見せたほうが良いという結論に達したのではないでしょうか。



凜amuro001 at 20:04│コメント(6)トラックバック(0)