中国・犯罪

2014年03月05日

 殆ど同時期に起こったウクライナ問題と中国昆明の「テロ」事件ですが、昆明では29名が死亡、140名以上が負傷する事態となっており、本来であればもっと大きく取り上げられても良いと思うのですが、世界的にはウクライナに目が行ってしまっているようです。


1 「テロ」

 この事件を巡っては以前にも書かせていただき(中国昆明で「テロ」を起こした弱者と犠牲になった弱者)、そこで「テロ」とカッコ書きで書いたことについていろいろ意見をいただきました。

 これだけの数の死傷者を出したことからもおそらくかなり組織的な行動の結果であると思われ、ウイグル族の分離独立派によるテロで間違いないかと思っておりますが、詳細にはわからないことが多いので、未だに「テロ」とさせてもらっております。

 これに関連して大変興味深い記事も紹介いただきましたBBC News(US says Kunming attack is 'act of terrorism')。

 それによると、アメリカは今回の事件で、当初"a horrific, senseless act of violence" といういい方をしましたが、これが国際的な反テロにおけるダブルスタンダードだという中国側からの批判があったことなど大変興味深いものとなっております。


2 テロ

 テロが具体的に何を指すかは結構難しい問題ですが、私的には特定秘密保護法第12条に規定されている「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう」というのが私の考えるテロの定義にかなりちかいものとなっております。

 そういう意味で今回の昆明の事件は私が知る限りまだどのような目的で行われたのか明らかでないので、暫定的に「テロ」という言い方をさせてもらったに過ぎません。

 しかし、上のBBCの記事にあるように中国政府としては、欧米がテロと明言しなかったことについて、いろいろ思うことがあったという話です。


3 テロを通した連携

 アメリカ同時多発テロ(9.11)が起こった際に、当時のブッシュ大統領は「戦争」という文言を使い、各国に協力を求め、各国もそれに応えました。

 それ以前の米中関係は、1999年の中国在ユーゴスラビア大使館がNATO軍による「誤爆」や、2001年の海南島でアメリカの偵察機と中国の戦闘機が空中衝突などで、米中関係はかなり悪化しておりました。

 こうした関係を一挙に変えてくれたのが9.11で(アメリカ同時多発テロ10年後の中国の見方)、これにより、国内に独立運動を抱えていた中国・ロシアは、彼らを「テロリスト」とすることが可能となりました。


4 テロの動機

 ところが時間が経ってある程度冷静になってくると(もちろん当時のブッシュとオバマの違いもかなり大きいものがあると思いますが)、アメリカと中国との齟齬が目立つようになってきました(ボストンテロを利用してアメリカとの関係改善を図りたい中国)。

 つまり中国としては、殺人という大きな事件を起こした以上テロとして国際的に批判されるべきなのに、西側諸国は中国やロシアでこうした事件がおこると、その背景だの動機だのという観点に多大な労力を注ぐのはおかしいという主張です。

 確かに、ただそこにいたというだけで、犠牲になった方にしてみれば、犯人の動機などどうでも良い話で、犯人を捕まえたり、補償をどうするのか、再発防止をどうするのか等の方が大事な点になります。

 しかし、事件から離れた立場に立てば立つほど、第三者としては動機や背景が気になるわけで、これはある意味どこの国でも同じかと考えます。実際日本でサリン事件が起こったとき、日本は大変だ大変だと騒いでいたわけですが、他国にしてみれば、何故こうした事件が起こったのか、オウム真理教とはどういう団体なのかが最大の関心となります。


5 最後に

 そういう意味で、自分の立ち位置によって見方が異なるというのはどうしても起こりうる話かと思っています。特に被害者の親族や知り合いとなれば、「憤り」しかないわけで、それはそれで仕方のない面もあるかと考えます。

 そこで急に最初の話題に戻るわけですが、欧米特にヨーロッパにしてみれば、ウクライナ問題の方が自分達にとっては大事であり、関心が高いという話で、日本にしてもそれは同じということを意味しているのかと思います。

 これを日本のアジア軽視と見る人もいるかもしれませんが、ある程度何がどうなるか予測できる中国の事後処理と全く予想できないウクライナ問題という面もあるのではないでしょうか。

 それに日本外交として、中国の問題に関与する余地は殆どありませんが、ウクライナ問題では欧米対ロシアという点で日本が関与すべき余地はあるわけで、いろいろ選択肢も用意されています(ウクライナを巡る欧米とソ連の対立を日本は利用できるか)。そういう点が両者の報道を分ける差となっているのではないかとも考えています。



凜amuro001 at 22:28│コメント(34)トラックバック(0)

2014年03月03日

 先にウクライナ情勢を巡る日本や中国の情勢について好き勝手なことを書かせてもらいました(ウクライナを巡る欧米とソ連の対立を日本は利用できるか)。

 ただ、中国は、これから全人代を迎えてただでさえ、大変な時期に、1日夜に昆明で無差別殺傷事件が起こり、29名が死亡、140名以上が負傷する事態となっており、それでどころではないというところかもしれません。


1 昆明の「テロ」

 雲南省自体が本当に気候もおだやかなところですが、昆明は一年中、春のような陽気が続くところから「春城」の愛称で親しまれる観光都市で、私も訪問したことがありますが、かなり好印象だったのを覚えています。

 中国政府はウイグル族独立派による「暴力テロ」と断定しているようですが、最初昆明で「テロ」と聞いたとき、何故誰がというのが正直な思いで、ウイグル族と聞くまで、しばらく何があったのかよくわかりませんでした。

 雲南省には漢族のほか22の少数民族が暮らしているといわれておりますが、正直彼らは観光客を相手に伝統舞踊を踊ったり、民芸品を売って生活しているというイメージしかありませんでした。

 実際、雲南省の少数民族といった場合、過度に観光化されてしまっているものを除けば、殆ど東南アジアの人たちといった感じで、ウイグル族はいないわけではありませんが、数が少なく結びつかなったというのが本当のところです。


2 テロ

 言い訳じみてしまいますが、私がこう思ったのは理由があり、これまでウイグル族がらみの事件というと、まず場所も新疆ウイグル自治区などウイグル族の多いところ、もしくは北京等で象徴的に行われたというイメージがあります(天安門事件前の自動車事故で中国崩壊?日米安保崩壊?)。

 それに、ウイグル族はこれまでどちらかというと、中国の政府組織を相手にしており、圧倒的に多かったのが、「暴徒と警官隊の衝突」というパターンです。

 そのため、今回のように、一般人が無差別に殺傷されるということはあまり聞いたことがありませんでした。


3 負の連鎖

 確かにこれをやれば、中国政府としては、守るべき対象が中国全土に広がるので、どこを防衛したら良いのか全くわからなくなってしまいます。

 そういう意味で効果(嫌な話ですが死傷者の数)は大きくなるわけですが、結果その分民族対立は深まることになります。

 更に、中国政府にしてもどこを守ったら良いのかわからないとなれば、過剰反応的に取り締まりを厳しくしたり、少数民族(ウイグル族)に対する政策も更に過酷なものとなるのは間違いないかと考えます。

 特に、今回は全人代開幕(5日)前という時期にこれだけのことが起きてしまったわけで、習近平政権にしてみれば、メンツをつぶされたような形になってしまっているので、通常よりかなり厳しい対策をとるのではないかと思っています。


4 最後に

 今回の事件は昆明駅で夜に起こっています。結果、金がなくホテル等、宿泊場所を確保がないため、駅で一晩過ごそうとしていた出稼ぎ労働者が犠牲となったおり、言って見れば、少数民族という弱者が出稼ぎ労働者という弱者を殺したという形になっております。

 以前、社会的弱者は「貧困」という共通項で連携できるかという話をする方に対して、それは難しいのではないかということを書いたことがありますが(「貧しさ」を媒介として労働者は団結できるか?)、今回のように何かあると真っ先に犠牲になるのは弱者で私はこうした連携は難しいと思っています。

 それに反日デモでも、普段の鬱憤を晴らすためにという側面があったことからもわかるとおり、弱者ほど(失うものがないが故に)こうした過激な行動をとる傾向があり、結果世間一般から乖離してしまい、連携を更に難しくしているという側面があると考えています(中国に「反日教育」は存在しない(反日デモも言うほど怖くなかった)?)。



凜amuro001 at 22:17│コメント(48)トラックバック(0)

2014年02月16日

 「性都」として知られている広東省の東莞市で性風俗の取り締まりが行われ、いろいろ思うところがあったので、これについて少し。


1 きっかけ

 最初に経過を説明しておくと、東莞市は香港に近いことから急成長を遂げた都市です。2003年には同じ広東省の珠海市で日本人の集団売春事件を契機に反日運動も盛り上がったことがあります。

 これらの都市に共通して言えることは、改革開放経済以降急成長を遂げたことで、結果急激にビジネスマンなどが訪れるようになり、彼らを目的に性風俗に従事する女性が増えたというパターンで、ある意味かつての江戸と共通するところがあります。

 ところがこうした風俗店の様子が中央電子台で報道され、それを積極的に取り締まらない公安の姿勢が批判的に報道されたことから、大きな問題となり、関係者が停職処分となるなど、省を挙げた取り締まりが行われる様になったという事案です。


2 権力争い?

 今回の摘発については、上に書いたとおり、最初にいきなり全国放送で問題が批判的に放送され、地方政府が後追いで処罰を開始するという形になっており、結果地方政府のメンツが丸つぶれという形になっております。

 こうしたことを受けて「広東省トップの胡春華・共産党委員会書記は、改革志向の共産主義青年団(共青団)出身。次期最高指導者の有力候補であるため、習氏が、共青団の影響力を排除しようとしている」との報道もなされています(『夕刊フジ』「中国『性の都』摘発劇、裏に権力闘争か… 習氏がライバルの牙城“狙い撃ち”」)。

 確かに中国の場合こうした派閥争いについては、これまでも何度か言われてきておりますが(中国の高速道路無料化と派閥争い)、日本の自民党を見ていてもわかるとおり、どこにでもある話ですし、流動的な面もあるので、私自身はあまりに重要視するのはどうかと思っております。


3 摘発

 中国では建前としては売買春は違法とされておりますが、実際いたるところで行われているという建前が幅をきかせています(中国の援助交際(売春)と建前)。

 その一方で、中国はコネ(関係)がものをいう社会なので、公安でも誰を捕まえるかはかなり裁量があり、日本人だからという理由で売春容疑で捕まる可能性も全く否定できない社会です(日本人売春容疑で逮捕?)。

 裏を返せば、公安等とコネがあれば逮捕されないという話で、公安や人民解放軍とコネをつくって摘発を受けない様にしているところがあるというのは公然の秘密の様です(レーダー照射と中国の文民統制について)。

 ただ、今回はメンツをつぶされた省の書記が本気で取り締まりに当たっており、結果公安担当者が停職処分になるくらいとなると、建前である売買春は違法が前面に出てくるという話です。


4 摘発2

 中国での摘発を見ていると本当に思うのが、犯罪者を晒しものにするという発想で、いまでこそ殆どなくなりましたが、犯罪者を市中引き回しのうえ、処罰するということが本当に行われていました(容疑者51人を見せしめのために引き回し、公開裁判も)。

 今回の摘発でもカメラが逮捕現場に入っており、男女を問わずかなり恥ずかしい場面が撮られて放送されてしまった人がいる様です。

 人権という観点でどうかと思うのですが、中国では、こうした摘発にはこういう映像がつきものとなっており、何度もこういう映像が放送されているとあまり違和感や疑問を感じないのかもしれません。


5 最後に

 確かに、犯罪行為を行ってきた人たちが悪いと言われてしまえばそれまで、私も別に彼(女)たちを積極的に擁護するつもりはありませんが、いきなりこれはないだろうというところです。

 どこまで確証のある話かわかりませんが、もしかすると、その裏には全く彼(女)たちとは関係のない権力争いやメンツがあるとすれば、そのために生活をダメにされる人が数多く存在しているという話で、なおさらだと思った次第です。



凜amuro001 at 08:05│コメント(5)トラックバック(0)

2013年11月10日

 かなり前の記事ですが、『Record china』の「『性大国』中国、売春婦の数は2000万人、建前上は違法だが…―米華字サイト」という記事をたまたま目にして、いろいろ思うところがあったので、これについて少し。


1 記事の紹介

 米華字サイト『文学城』などを基に書かれたもので、「中国の売春婦は推定2000万人に上るとされて」おり、「建前上は違法だが、売春はもはや中国の一大産業となっている」という記事です。

 「売春が中国で一大産業となっているのは周知の事実」で、「当局は頻繁に撲滅キャンペーンを行い、売春婦や客らを摘発しているが、それでも一向に撲滅する気配はない」としています。

 記事では、この原因の1つとして、一人っ子政策を挙げており、「男尊女卑の考え方が根強い中国では、一人っ子政策が始まると多くの夫婦が男の子を欲しが」り、「男女比は120対100」となった結果、「結婚適齢期の男性約3000万人が一生独身を強いられる」状況にあるとしております。

 実際、湖南省の農村で行われたった調査によると、「男性の3分の1が独身で、性の問題を解決する唯一の方法が買春だった」という結果もあるそうです。

 ネット上や新聞、雑誌には「わいせつな言葉が氾濫」しており、「権力を振りかざし愛人を何人も囲う役人」など、「最近の中国の『性大国』ぶりは空前絶後と言ってよい」とまで書いております。

 結果、「貧乏するより体を売ってまでブランド物を持つ方が良いとする風潮もはびこ」り、「上海で女子中高生20人による集団援交事件」も発覚したそうです。


2 中国の事情

 中国のいたるところで売春が行われていることは既に周知の事実で、ホテルに泊まっていても、夜中「マッサージがいらないか」などという電話がかかってくることがもあれば、売春のチラシがドアの下から入れられていることがあります。

 このチラシも最近ではいろいろな要求に応えられるように、若いのから、熟女などいろいろタイプ別に分かれていたり、女性向け(だと思うのですが、もしかすると同性愛者向けかもしれませんが)の男性を紹介するものもあったりしてびっくりしてしまいます。

 ホテルにあるマッサージとかサウナとかで売春が行われているのも公然の秘密で、ドアからチラシが入れられていることからもわかる様に、ホテルも関係しているのはまず間違いない話です。


3 代償

 斯様に既におおっぴらになっている売春ですが、怖いのは何と言っても、中国では売買春はれっきとした犯罪なので、その気になればいくらでも当局は逮捕できます。

 特にホテルに泊まるときには外国人であれば、パスポートを提示しなくてはならないので、身元はバレバレです。

 先に見たようにホテルそのものが関係しているので、宿泊客が実際に何をしたかも、筒抜けで、自分たちの点数稼ぎのために、狙った日本人を公安に差し出すといったことも可能です(日本人売春容疑で逮捕?)。


4 最後に

 こうした「本音」と「建て前」のかい離が中国の怖いところで、法律という「建て前」がありながら、実際それに縛られないコネを持った関係者や、高級官僚などがいるところが中国が「人治国家」と言われる所以でしょう(不正を追及する中国人記者も「同じ穴のむじな」?)。

 こうした現実は結構目につくわけですが、これはそうした特別な人だから可能なだけであり、一介の外国人には当然縁のない話です。

 ただ、中国では最近は外国人も珍しくなくなってきたので、それほどでもありませんが、やはり外国人というだけで、いろいろ特別扱いを受けることがあるので、それを勘違いしてしまう人も中にはいました。

 以前は「援助交際」などという言葉を聞いてびっくりする中国人がいたり、中国にはそんなことはないと当時は言われて、何とも言えない気になったものですが、あっという間に中国もそういう時代になってしまったわけで(中国の女子高校生が2400円で「援助交際」)、いろいろ思うところがあったが故の今日のエントリーでした。



凜amuro001 at 00:09│コメント(4)トラックバック(0)

2012年04月03日

 どうも昨日から体調がおもわしくないので、短めのものを。以前「人助けも難しい中国の現状」や「人助けも難しい中国の現状2」で、中国で人助けをするのはいろいろ難しいものがあるという記事を書きましたが、その続きのようなものです。


1 バス内での「色魔」事件

 1つめは広州市で起こった事件で、ある女性の方がバスの中で眠っていたところ、異変に感づいて起きてみると、体中に精液らしきものを振りかけられていたというものです(广州女子公交车遭色魔全身涂满精液,司机反让闭嘴)。

 この女性が目を覚ますとある男性がズボンのファスナーを開けた状態で側に立っていたそうです。当時周りには5~60人程の乗客がいたはずなのに、誰もこの犯人を捕まえるのを助けてくれなかったのは何と冷たいことだとニュースになっていたのものです。

 結局現在の未だに犯人は捕まっていないそうですが、運転手に対しては、適切な行動を取らなかったという理由で、この事件が報道された後、停職1日が命じられたそうです。

 状況がわからないので何とも言えませんが、「変態」はどこの国にでもいるのだなと思うと共に、確かにこんなのが目の前にいたら何をされるかわからないと恐くなってしまうかもしれないと思うと共に、あまりの大胆さにちょっとびっくりした次第です。


2 交通事故の死者の写真を撮る男性

 2つめは「街头车祸女子惨死 百姓拍照围观无人管」という記事です。

 これはある女性の方が交通事故を起こし死亡しました。しかし、問題はその時周りにいた人たちが、この女性を助けるでもなくただ単に写真を撮っていたというものです。

 日本でも、何か事故があったとき、手助けをするでもなく、ただ単に写真をとっているだけの野次馬が批判されることがありますが、全く同じものです。

 因みにこの記事は写真投稿サイト『貼貼』に掲載されていた記事なので、女性の死体も写っており、その写真を撮っている男性の写真が掲載されております(さすがに転載する気にはなりませんでした)。

 こうした写真を見ると、多分写真を撮っている人は、携帯に写真機能が付いてから位の理由で、何か深い意味があって写真を撮っているのではないのでしょう。ただ、男性がこうした写真を撮っている姿を端から見ていると、やはり人としてどうなのかと感じずにはおれませんでした。

 そうした写真を見ていたら自分がその場面に遭遇した場合、何ができるか、ふと考えてしまいました。多分何もできないのでしょうが、死者を冒涜するようなことだけはすべきではないのではないか、ふとそんなことを考えて記事でした。



凜amuro001 at 21:11│コメント(2)トラックバック(0)