領土問題

2014年05月13日

 以前書いた「中国の孔子学院と水道水パニックに関する疑問」で、『産経新聞』の記事について批判的に書かせていただきました。


1 記者の方からの意見

 それについて、実際に記事を書かれた方から以下のような説明をいただいたので、紹介させていただきます。

 確かに中国在住の日本人や大都市のサラリーマンの家庭で、水道水を飲まないのが常識になっていますが、地方都市、月収2000元以下の家庭では、まだ水道水を中心に生活しています。

 今回の取材で、5人の蘭州市民を取材しましたが、そのうち3人は水道水を加熱して毎日、飲んでいます。

 四川新聞ネットの調査では、成都市の約9割の市民は水道水を使って料理をしているとのデータもあります。中国のネットを調べれば、関連記事は多くあります。

2 貧富の差

 この説明にあるとおり、そのまま飲めない水道水を加熱して飲む方は確かにおられます。中国と言えばお茶ですが、そのお茶を飲むためには当然お湯が必要で、お湯のために水道水を沸かして飲む方が結構おられます。

 私自身、確かにそうしたことを知っていた(散々見聞きした)はずなのですが、記事を読んだとき、頭に浮かんだのが、実際私の周りにいた中国人の方も水を買ってサーバーで飲むのが普通となっている様子でした。

 中国では貧富の差が激しいので(中国で忘れ去られた人々(写真)中国のいかにも成金といった人たちの写真)、自分の周りにいる中国人の行動様式だけでそれが一般的だと判断すると、いろいろ考え違いをしてしまうという話で、今回の私のエントリーもそうしたものの1つと思っていただければ幸いです。

 私ごときのブログにわざわざ説明を書いていただいた『産経新聞』の記者の方には手間を取らせてしまったこと及び、私の勘違いの面もなきにしもあらずですので、この場を借りて謝罪させていただきます。


3 ASEAN

 これだけで終わっても良いのですが、それだけでは何なので、ベトナム絡みで中国が今もめている東南アジアとの関係について少し。

 『日本経済新聞』では、「中国とベトナムなどが領有権を争う南シナ海問題で、関係当事国に自制と武力の不行使を促すことを盛り込んだ『ネピドー宣言』を採択した。宣言では中国を名指しすることは避けたものの、会議では首脳から中国を批判する声が相次いだもようだ。」としております(「ASEAN首脳、中国批判相次ぐ 南シナ海問題」)。

 これがおそらく典型でしょうが、中国を名指しで批判することを避けたことに重点を置くか、そうは言ってもASEAN各国で中国に対する不満が高まっていることについて重点を置くかによって大分印象が異なってきます。

 私的には以前書いたようにASEANは中国に偏ることはない反面、アメリカ(日本)に偏ることもないところかと考えています(中国とベトナムのにらみ合いの行方


4 分断

 コメントでもASEANの分断という意見をいただきましたが、中国がASEANの団結(一致して中国に反対すること)をもっとも危惧しているのは間違いないかと考えます。

 今回、10日に開催された外相会談でも、フィリピンやベトナムはかなり中国に批判的だったのに、領有権問題を有しないシンガポールやタイは冷徹で、カンボジアはいつもどおりの親中的態度だったという報道もありました。

 おそらくかつての様にインドネシアが反中国の音頭をとれば、また少しは雰囲気も違うのでしょうが、ミャンマーは確かに「親日」の面を見せているとはいえ、日本と中国となったら、まず中国よりであるのは間違いなく、こうした個々の国の状況を考えてもASEANが一致団結して中国にあたるというのはかなり難しいと考えます。


5 最後に

 ただ、今回の事件が中国のイメージ悪化に拍車をかけたのは間違いなく、ただでさえ、東シナ海(尖閣諸島)で労力を割かなければならないときに、南シナ海までというのはどう考えても戦略ミスとしか思えません。

 前回のエントリーで私の見方が楽観的すぎるとの意見もいただきましたが、軍事面で考えてもこうした二正面作戦を行えるだけの戦力を中国が保持していないことは明らかです。


 それに、これ以上事を荒立てると、ASEANがそれなりに団結して事に当たる可能性も否定できず、私的にはどうか考えてもこれ以上中国がこの問題で突っ張るメリットがあると思えないと考えているという話です。

 ただ、面子を重んじる国なので、簡単には自分の非を認めるとは思えず、それなりに時間をかけて、いろいろ理屈をつけて、自然消滅の様な形で鎮静化するではないかと私は思っております。



凜amuro001 at 23:42│コメント(12)トラックバック(0)

2014年05月12日

 ある意味昨日の続き(ベトナム絡みで中国紙が報道していたことです。


1 ASEAN

 たまたま環球網を見ていたら今日はベトナム絡みでまさにそのものの記事が掲載されておりました(中方:南海不是中国东盟间问题 反对个别国搞破坏)。

 ただ、すごく短い記事で、外務省の華春瑩スポークスマンが「南シナ海の問題は中国とASEANとの問題ではない。中国は別の国が南シナ海の問題を利用して中国とASEANとの関係を壊そうとしていることに一貫して反対している。」と述べたというものです。

 これを見てやはりよくわかるのは、中国にしてみれば、ASEANすべてが中国と敵対するということを一番恐れているということです。

 ただ、ASEAN的にみれば、中国とアメリカ(日本)との関係はどちらも大事で、結果として両天秤にかける形で、どちらかと明確に敵対する戦略をとるとは思えません(防空識別圏を念頭においた日アセアン共同声明は意味があったか)。


2 中国包囲網

 中国外務省スポークスマンが言っている「別の国」というのが具体的にどこの国を差しているのは何とも言えない面がありますが、推察するにアメリカ(日本)が行っているとされる「中国包囲網」のこと(中国封じ込め政策?中国包囲網?)を念頭においての会見かと思います。

 ただ、これで興味深かったのが、夕刊フジが「日米による中国制圧作戦 共同声明の狙いは『対中包囲網』の構築」という記事を配信していたことです。

 これは、ベトナムと中国の対立の背景として「先月の日米首脳会談の成果に注目が集まっている。安倍晋三首相とオバマ大統領による共同声明には、中国と領有権問題を抱える東南アジア諸国への海洋安全保障支援をうたっていたのだ。日米が二人三脚で『対中包囲網の構築』を目指したもので、中国は焦燥感を強めている」という記事です。

 ただ、その根拠として、出されているのが、「中国英字紙チャイナ・デーリーは8日、南シナ海での中越緊張に絡み、最近のオバマ氏アジア歴訪による防衛態勢強化の動きが『ベトナムを勇気づけた』と批判。中国社会科学院の許利平研究員も『ベトナムは日米と協力し武器を増強している』と非難した。」というものです。

 つまり、中国でよく主張される「中国包囲網」を逆手にとって、だから日米会談は意味があったとしているわけで、私的にはこれを自分(日本)から主張するかという感じがしないでもありません。


3 ロシア

 あとコメントでいただいて興味深いと思ったのが「ロシア」という観点で、確かに今クリミア問題で四面楚歌のロシアにしてみれば、中国がいろいろしでかして、ロシアに対する注意力が分散されるのは確かに願ってもないことかと思います。

 そうするとまたしても中国とロシアという話になるわけですが、いくらアメリカでもこの2国を相手に「悪の枢軸」と言い切ることはできず、さてどうするかというところでしょうか。

 もっとも効果的なのは分断して1国づつ落としていくことですが、そうなると既にクリミアを併合してしまったロシアより、未だにらみ合いレベルで済んでいる中国の方が懐柔しやすいのは間違いないかと考えます。


4 最後に

 そういうことを考えると、今回のにらみ合いをして、東南アジアの国が中国と敵対しているという状況が生まれたことをして、いろいろ勇ましいことを主張する人もおりますが、私はそうはなりなりえないと考えているという話です。

 先に見たようにASEANが中国と本気で敵対する気があるとは思えませんし、アメリカも現在の国際情勢を見れば中国と本気で敵対することにどれだけのメリットがあるかという話です。

 中国でも勇ましい議論はあるようですが、そんなことをしたら、ASEANだけでなく、アメリカ(日本)との関係悪化も覚悟しなくてはならず、私の予想としてはそうした戦略をとるとは思えません(ただ、昨日も書いたとおり、中国は私の予想の斜め上を行くことが多いので、何ともいえませんが)。

 そのため、私的にはにらみ合いが続いたまま、自然消滅という形で紛争が収まるものの、(領土)問題は先送りという形しかないのではないかと思っております。



凜amuro001 at 05:34│コメント(9)トラックバック(0)

2014年01月24日

 『新華経済』が掲載していた「中日開戦で世界はどう変わるのか?いずれも悲劇的な『起こりうる5つの可能性』―中国メディア」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。


1 記事の紹介

 元々は中国メディア・前瞻網に掲載された記事を紹介しているもので、日中が尖閣諸島をめぐって軍事衝突を起こした場合の影響は以下のとおりとしています。

1.日中は新たな全面抗争に向かう。双方の沿岸都市は戦火を免れない。制裁に次ぐ制裁で日中間の経済関係は致命的な打撃を受ける。

2.中国は西側世界から制裁を受けて、社会、経済が全面的に後退、計画経済が再び中国社会をリードすることになる。世界経済も金融、石油、金属、化学などあらゆる面で大打撃を受ける。

3.世界が2つの陣営に再編される。戦争が拡大して米国と全面的に敵対することになれば、中国は「非同盟外交」を捨てて北朝鮮、シリア、イラン、ロシア、ドイツ、ベネズエラ、キューバ、アルゼンチンなどと軍事同盟を結はざるを得なくなる。

4.中国は核政策を転換し、ピンチになったら一切の代価を惜しまずに核兵器で自国の利益を守るようになる。日本や韓国も全力で核兵力を拡大させる。

5.国連などの国際組織は役割を失い、戦後秩序が全面的に崩壊する。米国1人勝ちの構図はロシア、インド、ドイツなどの中堅勢力に打破され、北朝鮮やイランなど西側に抑圧されてきた国は自己の生存と利益のために重大な行動に出る。

2 軍事衝突

 一概に「軍事衝突」といっても、局地的なものに限定されるのか、全面的戦争になるのかによって大分状況は違ってくるので、その部分について言及せずに、こうしたことを論じても何の意味もありません。

 現実問題として、全面戦争になるということは、日米安保の関係で米中戦争という話ですから、本来そういう想定で考えていかなくてはならないわけですが、当然中国にそこまでの覚悟はありません(アメリカが尖閣問題で日本支持を表明したことに対する中国の反応)。 

 一般国民レベルでも日本に対しては勇ましいことは言えても、アメリカとなると大分発言内容が変わってくるのが実情なので、そうしたことを考慮して記事としてもそれを全面に出すことはしなかったというところでしょうか。

 例えば、元記事の「3」で「日本や韓国も全力で核兵力を拡大させる」としておりますが、日本や韓国にある核がどこの国の核かはいうまでもありません。


3 都合の良い解釈

 例えば、「2」では、中国の「社会、経済が全面的に後退」する一方、「世界経済も金融、石油、金属、化学などあらゆる面で大打撃を受ける」としておりますが、どこまでの「大打撃」かは疑問です。 

 例えば、中国の場合石油の輸入依存度が高いので、経済制裁を受けると真っ先に干上がってしまうのは中国で、石油の面で世界経済が影響を受けるとは思えません。

 確かに中国は「世界の工場」となり、世界各国を安価な中国産が席巻している感がありますが、組み立てがメインであることは間違いなく、部品供給がなければ製品をつくることもできませんし、売ることもできません(人件費の高騰により、変わらざるを得ない中国企業)。

 北朝鮮、シリア、イラン、ロシア、ドイツ、ベネズエラ、キューバ、アルゼンチンと軍事同盟という話ですが、まず何故ここにドイツが挙がっていて、パキスタンが挙がっていないのか理解できません。 

 それにロシアが中国と軍事同盟という話は、今の対米、対西欧という形での中国とロシアとの連携という観点でみるとありそうだと思う人が多いかと思いますが、私はまずありえないと思っています(中国がロシアとの友好を強調しているワケ)。 

 下手に中国と軍事同盟を結べば、アメリカとの全面戦争が待っているわけで、ロシアがそんなことをするとは思えませんし、中国をそれほど信頼してもいないと考えます。 おそらくロシアは様子見を決め込んで、一番おいしいところを食べるためにはどうしたら良いか最後の最後まで考えて行動するという選択肢をとると考えます。


4 最後に

 それに何と言っても中国にとって都合の良い話となっているのが、「米国1人勝ちの構図」がなくなるという見方で。中国は伝統的に、アメリカ一強から多極化への移行を支持してきており、結局最後はそこかというのが今回の記事を見ての正直な感想です。

 最近は本気で、米中二強を考えている人もいるようですが、「平和国家」として覇権を求めないということを建前にしている中国ということを考えた際にはこの位の方が無難なのでしょう。

 そういうわけで、いつものプロパガンダ記事の枠組みを出るような記事ではありませんが、いろいろ突っ込みどころがあり、おもしろいと思ったが故の今日のエントリーでした。



凜amuro001 at 00:30│コメント(7)トラックバック(0)

2013年12月05日

 『夕刊フジ』が掲載していた「韓国・朴政権の外交は破綻寸前 中国側から見下され、ネットでも『打倒韓国』」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。


1 記事の紹介

 「韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権による、中国重視外交が岐路に立たされている」という記事です。

 「朴氏はこれまで、経済関係や北朝鮮への影響力を重視して中国に接近した。歴史問題でも対日共闘を呼びかけ」てきました。

 しかし、「中国が一方的に設定した東シナ海上空の防空識別圏に、中韓両国が管轄権を争っている海中岩礁・離於島(イオド)が含まれてい」たため、いろいろおかしくなっているというものです。

 「韓国政府は当日に「遺憾の意」を表明しないなど初動は抑制的だった」ものの、「韓国海軍が先月26日、中国への通報なしにP3C哨戒機を離於島上空で飛行させる」ると、同28日開催の中韓国防次官級戦略対話では、この問題で「中国側は韓国側の要求や提案を拒否・黙殺する“ゼロ回答”」となっています。

 結果「中国のネット世論も「反韓国」「打倒韓国」で盛り上がって」おり、「中国国営新華社通信系の情報サイトは同28日、「日本に向けての措置なのに、なんで韓国がしゃしゃり出てくるんだ?」などと」いうネットユーザーの声も紹介しています。

 しかし、朴政権の支持率は、当初より下落したとはいえ、現在も「56%と高水準を維持して」おり、「対中外交の“成功”がその要因であり、朴氏の命綱」である以上、「対中重視外交を簡単に修正でき」ません。

 しかし、「朴政権としては、米国に同調すれば中国の怒りを買い、中国に融和的な態度を示せば米国から裏切りとみなされる『コリア・パラドックス』(朝鮮日報)に陥って」しまっており「コウモリ外交」だとも評されています。


2 韓国のジレンマ

 アメリカと中国との間で揺れる韓国のジレンマについては、私も以前同じようなことを書いたことがあります(反日で中国寄りとなるも、徹底できない韓国のジレンマ)。

 本来韓国は米中両国とはそれなりに距離をとりながら、漁夫の利をとる作戦が最も効果的だったかと思いますが、アメリカとの関係を強めるとどうしても東アジアで日本の下になるという発想が許さなかったのかどうかわかりませんが、中国への傾斜を必要以上に強めてきました。

 結果、中国と問題が起こると味方がなくなってしまうという話です。中国と韓国の領土問題は以前から存在していたわけで(中国と韓国の領土紛争(蘇岩礁問題))、今回急に出てきたわけではありません。

 単に両国が友好関係を重視した結果、文字通り「棚上げ」してきたわけですが、領土問題を原理原則に従って処理すると、こうなるという話に過ぎません。


3 領土問題

 ある意味、日本の北方領土も同じで、米ソ冷戦華やかなりし頃は、日本の「領土問題」と言えば北方領土問題しか存在しないような感じでしたが、それが今では竹島、尖閣諸島の方が話題となっています(韓国大統領の竹島上陸に日本が強い拒否反応を示した理由)。

 中国にしても多分同じ発想で、誰がどう考えても多方面作戦は得策でないので、とりあえず日本に焦点を絞ってというところだったはずですが、いろいろなところから批判の声が挙がってきて、以外だといったところでしょうか。

 かといって、メンツを重んじる中国としては(今回の「反日デモ」のまとめのようなもの)、今さら全てなかったことにするのも、難しいので、とりあえずこのままにしておいて、有名無実化を図るのではないかと勝手に推察しています。

 とりあえず、設定した防空識別圏を解除しなければメンツは保たれるわけです。他国の飛行機(民間機)が飛んで来ても現実問題何もできないわけですが、それはそれで原則かまわないという形にしておいて、日本等との関係が悪化した時に嫌がらせの様にスクランブルを使うということかと考えています。


4 最後に

 一国に依存する外交が危険なのは韓国に限らず、日本も同じです。そういう意味で尖閣諸島問題等で中国に対抗する際に、アメリカ以外に日本側に立ってくれる国を見つけておくことが大事かと思います。 

 その点で最も可能性が高いのが同じく中国と領土問題を抱えている東南アジアの国々で、特にそうした国と友好な関係を保持しておくということは、中国や韓国が主張する歴史認識に対するけん制にもなります。

 「軍国主義」日本という主張を実際に行っている国々がどれだけあるのか、それを見せつける意味でもこうした歴史的に日本と関係のある国々を味方につけておくことは極めて有効だと考えます。



凜amuro001 at 04:25│コメント(12)トラックバック(0)

2013年12月02日

 『新華経済』が掲載していた「1000年後の日本は『国家』ではないかもしれない―中国メディア」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。


1 記事の紹介

 『BWCHINESE中文網』によると「東北大学グループは、現在の状況が続くと1000年後の日本は国家ではなくなっているかもしれないと予測した」そうです。

 「アベノミクスは一定の効果が出ているが、債務残額は国内総生産の239%に上り、先進国で最高となって」おり、更に「高齢化が日本列島を覆い、イノベーションを失い、国力の後退は免れない」そうです。

 「6年間で7人の首相が誕生したのも、立ち行かない国の状況を反映して」おり、「バブル崩壊とともに長期低迷に陥り」、「『失われた20年』になり、いまだに明るい光は見え」ず、「その間に、日本が優勢を誇った産業は韓国や中国に追いつかれた」としています。

 結果「国際信用格付け会社も日本国債の格付けをA+に下げ」、「日本が『東洋のギリシャ』になるかもしれないと」いう声も聞こえるそうです。

 その理由が「かつて世界トップに立った製造業では、多くの企業が過去の栄光にあぐらをかき、その成功法則から抜け出せず、世界の変化に追いつけなくなった」ためで、「1990年代のIT革命」では、「半導体、コンピュータ、ソフトなどが国家の競争力を決める」たが「鉄鋼や自動車などで成功した日本は、ソフト分野においては米国の先行を許した」としています。


2 成功体験

 記事の内容としては、一理なくはありません。特に最後に「成功法則から抜け出せず」というところは、私自身もその通りだと思っております。

 「二匹目のどじょう」というと笑い話ですませる人が多い様ですが、人は良くも悪くもかつての経験を元にして生きているので、かつてうまくいったといったとなると、どうしても同じことをやりたくなります。

 実際、成功するためには今までと同じように努力するというのは、誰からも批判を受けにくく、失敗する可能性は低いと考えてしまうのはわからないではありません。

 ただ、これだけ時代が変わって、新しいものが出てくると、どうしても以前と同じことをやっているだけでは、「成功」しないわけですが、新しいものを柔軟に受け入れるというのは(年をとってくると特に)簡単なことではありません。


3 1000年後の国家

 それと元記事を読んでもあまり良くわからないのですが、「1000年後の日本は国家ではなくなっているかもしれない」というのが、かなり興味深く思いました。

 おそらく元記事の意図としては、このままいくと日本は大変なことになってしまうという意味で書かれたのかと思います。

 しかし、政治学を学んだものとしては、近代「国家」はウェストファリア条約後に初めて成立したもので、それ以前には存在していなかったわけで、「主権」とか「領土」などという概念もそれ以降のものにすぎません(元外務省局長が尖閣諸島は「日本固有の領土」であることを否定)。

 そのため、「国家」などという形態が今後何百年持つかという話で、実際中国紙が掲載していた記事ですが、1000年前中国という「国家」が存在していたのか、「領土」はどうだったのか考えてみると面白いと思った次第です。


4 領土紛争

 日本と中国と言うと今は防衛識別圏の問題でいろいろありますが(自分たちで設定した防空識別圏で、苦悩する中国)、こうした領土問題も1000年後から見ると「どうかな」とふと思ってしまった面もあります。

 今日があっての明日なので、1000年後等考えても仕方がないのも事実です。ただその一方で、今をどうするかを考えるのも大事ですが、あまり今だけを考えるのもどうかという話で、ある意味「森」と「木」の話になるのかもしれません。

 そういう意味で、外交だけでなく、日本の将来ということを考える際にもう少し遠くを見るのもたまには悪くないかと思ったが故の今日のエントリーでした。



凜amuro001 at 05:18│コメント(9)トラックバック(0)