マスコミ(中国)

2015年10月03日

 ここのところ、毎回少し前のネタを追いかけているパターンですが、今日も同様に少し前のネタです。


1 暴力事件

 9月26日にコンビニ店内で中国人女性が会計前に開封してアイスクリームを食べ始めたことを注意した店員にその夫が暴力を加えるという事件がありました。

 何でもこの二人は新婚旅行中で、夫は上海市の銀行員だそうです。同日札幌・中央署の警官に傷害の現行犯で逮捕されてしまいました。

 『産経新聞』によると、妻が「開封してアイスクリームを食べ始めたため、店員が外に出るように手ぶりで指示したところ、夫婦に暴行された」のですが、夫は「妻が侮辱されたと感じた。殴ったことは間違いない」と述べているそうです。


2 中国の報道

 これが中国で報道されると少し違ってニュアンスで報道されることになります(『環球時報』の「中国夫妻日本“遭辱”暴打店员 据称被示意滚出去」)。

 最初に事件のあらましを紹介するわけですが、その後で日本のネットユーザーの「中国人の資質は経済発展に追いついていない」とか「金を払ってもいないのにものを食べ始めるなど礼儀知らず」といった意見も紹介されています。

 それに続いて、中国人夫婦がこうした行動にでたのは理由があるとして、店員の指で「出ていけ」という態度をとったとされることや、日本のコンビニでは店内でものを食べることを禁止していないので、中国人に厳しすぎるのではないかとしています。

 他にもアメリカのスーパーでは、客が金を払う前に食べることは許されているし、日本の法律でも明確に禁止されているわけではないとしています。

 続けて、日本のスーパーでも金を払う前に子供にものを食べされることは、よくあり、店員も笑ってみているとしています。

 最後は店員がわざとそのような対応をしたかは別にして、人をなぐるということは絶対間違いだとして記事は終わっています。


3 習慣

 日本人にしてみれば、金を払う前にものを食べるのは論外であり、法律に規定するまでもないことだとなるでしょうし、子供と大人を一緒にするなということになるのでしょう。

 当然「郷に入っては郷に従え」という言葉もある通り、自分たちの習慣を外国で振りかざすのは馬鹿のすることです。

 最後には暴力行為は否定しつつも、如何にも日本人店員が中国人に差別的な対応をしたという書き方がされているのが少し引っかかったところです。

 実際こうした記事を見ると、中国人も当然、先に差別した日本人店員が悪いという発想をもつ人も多くなるという話かと思います。

 実際、『環球網』ではこれについてお得意のアンケートを実施しているわけですが、中国人旅行者が悪いというのが3割、日本人店員が悪いというのが7割という結果になっております。


4 最後に

 ある意味、単純な暴力事件で、『環球時報』も(少なくとも形だけは)認めているとおり、悪いのは暴力をふるった方なわけですが、それさえも見方によってはこうなるという話です。

 実際、紹介したとおり、記事はかなり日本人店員の行動を問題視した書き方になっていますし、そもそもこくしたアンケートを行うこと自体が納得していないという証拠です。

 小さな事件ではありますが、こうした行き違いがいろいろな日中間に問題を起こしている側面は否定できず、ある意味興味深いと思ったが故の今日のエントリーでした。



凜amuro001 at 23:55│コメント(26)トラックバック(0)

2015年08月17日

 最近全くと言ってよい程中国ネタを取り上げておりませんが、やはり天津の爆発事故には触れないわけにはいかないだろうということで、これについて少し。


1 人民日報の記事

 今日は2つの記事を取り上げたいと思います。以前は何だかんだいってそれなりに翻訳をしていたのですが、すいません、そこまでの時間がないため、概略のみの紹介とさせていただきます。

 1つ目の「人民日报:中央不可能对天津事故“官官相护”」という記事では、はっきりいってすばやく情報を提供しない政府の自己弁護を行っております。

 その理由というのが、より大きい事故であればあるほど世間の関心も高くいい加減なことは発表できないというものです。

 権威を持っている政府としては、きちんと情報を精査した上で発表していかなくては、ならないともしております。結果時間がなかなか情報が提供できない(時間がかかっている)ということにを言いたい様です。


2 「環球網」の社説

 2つ目は「社评:天津前几天的记者会为何质量低」で天津市の対応を否定的に書いております。記者会見であまりに提供する情報が少なすぎるが、これはどうしてだという記事です。

 その理由の1つとして厭味ったらしく、事故処理に忙しいのだから仕方がないとしておりますが、それについてもきちんと大衆に説明すべきだとしております。

 国はこうした世論対策を重視しているが、地方ではまだまだだという指摘もあります。地方の官僚はどうも仕事を重視しているが、それを公開することをあまり重視していないとしています。

 更にこうした記者発表では、発表する者の個人の責任になりがちということも、こうしたは記者発表を重視してこなかった原因の1つとしております。


3 情報公開

 こうした記事をまともに信じる人は少ないでしょうが、中国における「情報公開」とは、正しい情報を正確に公開することではありません。

 如何に政府にとって都合のよいことを広く民衆に流布するかが目的なのであって、マスコミも政府の宣伝機関(共産党の喉と舌)という位置づけにされております(日本は国際的に孤立し、経済的にも終わり?)。

 更に中国では中央集権がはっきりしているので、地方独自の見解などは存在せず、下手に何か話そうものなら、個人(その部門)の責任として切り捨てられることとなります。

 そのため、大きい事件である程、地方のマスコミは独自の取材ニュースなどは発表せずに、政府の発表を待ってそれに沿って報道してこととなります(ベトナムの海洋法成立に対する中国のプロパガンダの失敗)。

 だから結果、記事の公表が遅くなるわけですが、ま、それをオブラートに包んでいえば、1つ目のような記事になるのでしょうか。

 ちなみに1つ目のような記事を出されるとだったら、時間がたてば正確な情報が提供されるのかと嫌味の1つも言いたくなるのですが、言っても無駄というのは百も承知です。


4 地方切り捨て

 こうしたことがあるため、当然現場からの速報などはあろうはずが(できようはずがありません)。また、中央が大事なので、地方は生贄というか、見せしめのために批判されることもよくあります。

 中国の汚職は世界的にも有名ですが(副省長の視察の締めくくりは女性とホテルに入ること?、汚職の摘発などでも、中央となると権力闘争が関係してくるため、難しくなります。しかし、地方であれば、そんな心配はありません。

 小さいところであればあるほど、簡単で、そうしたところを見せしめ的に摘発するというのは良くあります。

 今回も世論の批判が高まったくれば、最後は天津に責任をおっかぶせてそれでお仕舞ということもなくはないのではないかと半分本気で思っております。



凜amuro001 at 22:27│コメント(6)トラックバック(0)

2015年06月07日

 如何にも中国という記事(「过分!外媒果然这么干了…」)が『環球網』に掲載されていたので、これについて少し。


 1 記事の紹介

 これは、長江で客船がひっくり返り、400名もの死者をだしたことを受けて報道されてものです。

 最初にCNNのサイトが紹介されており、そこには「だれも助けてくれない。船はひっくり返ったままだ」と述べている遺族の様子が紹介されております。

 それに対して記事では、乗客の家族が悲しむのはわかるとしたうえで、しかし、外国のメディアは救援活動に対する失望などを用いて、事件の対立をあおっているとしています。

 遺族は敬われなければならない、必要なのは慰めだとしたうえで、以前国内のメディアも遺族の悲しみを使って世論の批判を受けたことがあったともしております。

 何でも外国メディアは中国社会と運命を共通して必要がないので、問題を解決することを助ける必要がなく、中国社会の衝突を開示するのに熱心だそうです。


2 クルーズ

 長江の川下りは本当に有名で、私も以前経験したことがあるだけに何とも言えない思いです。正直中国での旅行というといろいろあるわけですが、船旅だと全てがパッケージされているので、かなり快適でした。

 それに外国のクルーズ旅行をそのまま持ち込んできているので、サービスも行き届いていましたし、出される料理や提供されるショーもかなり西洋化されていました。

 そのため、そうした外国料理に慣れていない中国人が戸惑っている(あまり料理が食べられない)様子さえ見受けられた位です。


3 政府の責任

 確かに今回の事故について中国政府にどれだけの責任があるかというと疑問で、確かにすぐに救助活動に入ったとしてもあれだけ巨大な船を直ぐにどうこうできるとは思えません。

 また、私自身、マスコミの取材にはいろいろ思うことが多く(『朝日新聞』の「特集」が如何にも朝日新聞的だった事)、この記事にあるように悲しみにくれる遺族に付きまとって、取材・報道し、結果注目を集め、金を稼ぐということに対してどうかという思いもないわけでありません。

 ただ、それでもこうした方がいることは事実で、それを報道することをどうこう言う中国のやり方にはそれ以上の反感を覚えるという話です。


4 マスコミ

 今回の記事で以前中国国内のマスコミも遺族の悲しみを報道して云々という部分がありましたが、おそらくこれは、2008年の四川大地震の際のことなどを念頭に書いているのではないかと思います。

 あの自身では、周りの建物が無事なのに一番安全なはずの中学校が倒壊した結果、中学生が生き埋めとなり、多数の死傷者を出したことで「おから建築」が話題となりました(開通前に橋が崩れて良かった?(中国紙の言い分))。

 中国メディアも当初建物の安全基準や遺族の声などを報道しておりましたが、下手をすると(地方)政府の責任になりかねないということになったのか、原因追及は結局のところ、うやむやとなってしまいました。


5 最後に

 何が言いたいかというと、中国政府はあまりに批判にさらされることを恐れるあまり、変なことをしているという話です。

 人である以上、間違いもあれば、失敗もあります。しかし、どうも誤謬があってはならないとでも思っているかのようで、結果「遺族の悲しみ」という報道まで制限するのかという話です。

 ま、かつて日本も同じようなことをしていたといえばそれまでですが、是非中国にはこうした「歴史」からどうあるべきか学んでいただければと思います。



凜amuro001 at 03:16│コメント(59)トラックバック(0)

2015年02月07日

 これまでも中国の独自の報道については、いろいろ書かせてもらっております。今日は中国の独自のアフリカ外交(アメリカが「見習うことができない」中国のアフリカ戦略)に関連するものについて少し。


1 ムガベ大統領

 ジンバブエのムガベ大統領と言えば、欧米諸国では「独裁者」という認識で、90歳という高齢にも関わらず、未だに権力を離さず強権政治を行っているという印象です。

 その方がアフリカ連合(AU)首脳会議から4日に帰国し、首都ハラレの空港で、帰国を記念して演説をしておりました。ところが演説を終えて演壇から下りようとした際に階段を踏み外し、転倒してしまいました。

 問題はそのあとで、そのシーンを撮影したカメラマンの中には治安当局から写真の消去を強制された方もいたそうです。

 結果、この出来事は、ムガベ政権の強硬的な一面を強調する話として、西側では報道されたわけですが、中国では単に笑い話として報道されることとなります。


2 ムカベ大統領2

 環球網の「政要摔跤的狼狈瞬间」では、ムカベ大統領だけでなく、オバマ大統領や韓国の朴槿惠大統領が転んだ様子などが写真で紹介されており、そうしたものの1つという扱いでしかありません。

 ま、下手に検閲関係のことなど取り上げるはずもないと思ってはいたのですが、中国網に掲載されていた「穆加贝当众跌倒原因是什么?」でのムカベ大統領の紹介を見ると、「独裁者」などという話は全く出てこず、学歴や受賞歴などの如何にも公平を装った賞賛記事となっています。

 ちなみに上記記事の表題では、「転んだ原因は何?」となっておりますが、別にきちんとした理由が書いてあるわけではなく、「不小心」(不注意)とだけ報道されています。


3 アフリカ政策

 こうした報道がされる最大の理由は、中国の独自のアフリカ外交にあります。つまり「独裁者」として欧米から批判されるところと積極的に手を組んで、欧米のできない外交を展開していこうという話です。

 実際2014年8月にムガベ大統領が訪中した歳には、『人民日報』はジンバブエを中国の「良い友人、よい仲間、良い兄弟」と持ち上げたことがあります。

 そのうえで、融資・観光など様々な分野で、協力関係を結ぶこととなりました。中国側の狙いは言うまでもなく、アフリカの天然資源です。

 他にもアフリカ南部では、台湾と国交のある国々が多いため、同地域での影響力を高めるという狙いもあったかと思います。


4 最後に

 こうしたアフリカの独裁国家と中国の関係はどちらにも有利な面があるから行われているわけです(中国人を大量に送りこんで鉄道を建設する中国はアフリカの「真の友人」か?)。

 ただ、結果として、こうした妥協の結果、苦労している人がいるという話で、いろいろ思うところがありますが、ここまでにしておきたいと思います。



凜amuro001 at 07:29│コメント(2)トラックバック(0)

2014年11月23日

 こんな記事ばかりを見ていると確かに日本に対していろいろ思うようになるという例を1つ。環球時報の「韩媒:安倍可能在众议院选举前后闪电参拜靖国神社」が興味深かったので、これについて少し。


1 記事の紹介

 最初に記事をかいつまんで翻訳したものを紹介させていただきます。

 衆議院が解散、総選挙となりましたが、アベノミクスの失敗に対する批判に直面し、抑えていた尖閣諸島、慰安婦などについて言いはじめ、ナショナリズムを扇動し、経済の失敗に対抗しようとしている、という記事です。

 最近の経済の低迷から批判を受けており、日本国内外のメディアは、突然衆議院を解散したのは、安倍首相が自分の政治生命の延長を目論んでとしている。安倍政権自体もアベノミクスが苦境に直面していることを知っているので、補う方法を探している。

 『東京新聞』は、自民党は、選挙広報で、経済だけでなく、安全保障関係法案を通すとしている。『共同通信』は、民主党の海江田党首の「安倍の隠れた野心は今回の選挙で過半数の議席を得、憲法を改正し、海外に自衛隊を派遣すること」という演説を紹介している。

 韓国『中央日報』は、安倍は今回の選挙で、基礎を固めるために、選挙前あるいは、選挙後に急に靖国神社を参拝すると予測している。

 APEC会議前、日本政府は中国に穏健策をとっていたのが、最近は強硬で、海上自衛隊はアメリカと、海上共同軍事演習を行った。日本メディアは演習の仮想の目標は中国だとしている。

 他にも中国が各国の防衛大臣などを招待し北京で開催した香山フォーラムに日本は招待されたが、参加しなかった。『日本経済新聞』によると、島の奪還などを目的とした「水陸機動団」の設立を目論んでいるそうである。

 中日間には、サンゴ捕獲事件が起こっていた。日本側はAPEC会議の前後はある程度制御していたが、メディアは21日から大きく取り上げ、海上保安庁は取締りを強化し始め、中国人船長を1名逮捕した。


2 見方

 ここのところ、解散総選挙ネタで書いておりましたが(解散総選挙を行う意義選挙運動の理想と現実、見方が変わると全く別の見方ができるという話です。

 中国のマスコミなので、当然中国の視点から日本の解散総選挙を見ることとなりますが、私に言わせると自意識過剰としか言いようがありません。

 確かに今回の解散総選挙は安倍政権の延命策を狙ったものでしょうが、別にナショナリズムに訴えなくても自民党の有利は動かないと考えます。

 当の安倍総理をそう思ったからこそ、今解散に打って出たのであり、そうでなければ、解散せずにそのままいれば良いだけの話です。

 実際、選挙をすると危ないとわかっていた民主党は選挙の先延ばしを必死になって画策していたわけですから。


3 正当化

 面倒だったので、翻訳しませんでしたが、この記事にはほかに中国はこんなに地域平和に貢献しているのにという話が付属しております。

 つまり、中国は地域平和のために頑張っているのに、日本は何だとなっているわけです。サンゴ漁の問題にしても、密漁しているのは誰で、誰が悪いのかは明らかですが、それについては触れられておりません。

 結果、日本が国威発揚のために中国を挑発している事例の1つにされてしまっているわけで、こうした記事だけを見ている方は、本当に日本が悪いと信用しても仕方がないという流れになっております。


4 最後に

 ま、確かにAPEC開催中は、日中融和を演出するために、強硬策をとりにくかったことは事実で、「会見」(APECでの首脳会談がもたらしたもの)も終わったので、ある程度強硬策が取れるようになったという面はあるかと思います。

 結果、中国にしてみれば、「会見」してやったのに何だという、いろいろ面白くない感情があるのは確かかと思います。

 しかし、この記事で煽っている様に、安倍首相が靖国参拝をしたら、本当に困るのは面子をなくす誰かという話で(日中合意文書は互いに敗北?、あまり調子にならない方が良いのではないかと考えます。



凜amuro001 at 22:35│コメント(7)トラックバック(0)