中国インフレ

2012年05月22日

1 中国の土地問題

 今日は中国の地上げについてショッキングな記事を見たので、これについて少し。最初に説明しておくと、中国の場合建前は共産主義国なので、資本主義国のような意味での土地に対する所有権は存在しません。

 あるのは、基本的に使用権だけで、中国で家をいった場合マンションを意味するわけですが、その使用権を購入するという形になります(中国の住宅所有に関する様々な不備)。

 かつての日本の地上げを連想してもらえれば良いのですが、全く同じような構図で、再開発をしてマンションを造ってそれを販売すれば、ものすごい金が手に入るわけで、こぞって開発するということになります。

 かつてのバブル時代の日本と同じで、売れるとなると投機のために購入する者が増え、それが又価格の高騰を生むという循環が形成せれ、それが不動産バブルを生み出してきておりました。ただ当然こうした手法はいつまでも続くものではありません。

 そのためさすがに不動産価格の下落などが伝えられており(中国の不動産価格の下落)、一部にはとうとうバブルの崩壊かなどいう声もないではありませんが、その一方で高度経済成長で資本は蓄積されたので、未だに結構さかんに土地開発は行われています。

 日本でもかつてあったように、自分たちの住んでいる土地を売りたくないという話にあり、暴力的に立ち退かせるということが行われたわけですが、その点中国は地方政府の開発に参画しているところもあり、かつての日本よりはるかに過激です。

 そのため、平気で1軒だけのこして周りを掘って陸の孤島の様にしたり、未だに人が住んでいるのに、一部を取り壊してしまうということが平気で行われてきました。


2 事件のあらまし

 今回の事件も同じような話で、5月15日に黒竜江省の大慶で起こったものです。老夫婦が郊外で100あまりの豚を飼って暮らしていたのですが、いきなり都市管理者の制服を着た人たちが外壁をショベルカーで壊しはじめました。

 慌てて、外に出て、頼むからせめて1、2日の時間の猶予を下さいと訴えたわけですが、訴えもむなしく、運転手は「自分は都市管理者に雇われている身で、壊せといわれたから壊している」というだけで、工事はそのまま続けられました。

 すると、いきなり隣に立っていた夫がショベルカーのショベルに挟まれてしまいました。1分の立たない内に、血を吐き始め、顔色も紫に変わってしまったそうです。

 運転手が慌てて、助け出そうとすると、ショベルがしっかり止まっていなかったため、運転手も頭を操縦室とショベルの間に挟まれてしまいました。



3 最後に

 実際、中国で命が軽んじられることが多いのは事実です、しかし、かなりこれはひどい事案だと思います。運転手も故意にやったわけではないのでしょうが、人がいてもそのまま工事を執行しようという発想にはかなり恐ろしいものを感じます。

 さて、この記事は写真投稿サイトに掲載されていたもので(老人抗强拆被挖掘机拦腰砸死 城管否认雇人拆迁)、老人はショベルカーに挟まれている写真も掲載されています(テレビで放映された映像をネットに掲載したもののようです)。

 これをテレビで放映するのもなかなかすごいと思いますが、記事ではアリの様に潰されていると表現されており、多少ドキッとさせられる写真です。例によって下の方に掲載しておきますので、見たくない方は下までスクロールしないで下さい。

(追記)
 「都市管理者」と訳しておりますが、これは「城市管理」という中国の各都市にある部局名で(広州暴動事件についての感想2(城管について))、日本語では「城管」と訳すこともあります。

 そのため、頭から再開発と決めてかかって記事をかいておりますが、城管が出てきているのであれば、不法建築の可能性も否定できません。
 

























ショベルカー




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2011年11月04日

 中国の不動産価格の上昇についてはこれまで日本でも報道されており、日本の80年代のバブルとの類似性に関する指摘もたびたびなされております。そうした中で日本である意味最大の関心事となっているのが中国のバブルがいつ崩壊するのか、そして日本はその影響をどの程度受けるのかということかと思います。

1 中国の不動産価格の下落

 これまでも幾度となく中国バブルの崩壊の前触れではないかとする記事が日本で紹介されてきましたが、これもその内の1つ位の気持ちで見ていただければ幸いです。

 今日紹介する記事は『光明網』に掲載された「全国性房企启动大幅度降价 北京频现1.3万低价房(全国規模で不動産会社は大幅割引を実施、北京では1.3万元の低価格の家も)という記事です。最初にこの記事では北京中原不動産のデータに基づいて価格の比較をしています。

    2009年10月 2010年10月 2011年10月

中古住宅 196,302  157,713  101,186
分譲住宅 143,244   84,078   69.079
合  計 339.546  241,791  170,267

 これを見てもわかるとおり、前年比29.6%、前前年比に至っては49.9%の下落です。

 ちなみにこの記事は、こうした中国全土でどこがどの位の下落となっているかということを紹介しているものです。例えば、上海の中海御景煕岸が追加で売り出した370の物件は、1平方メートルあたり、1.6~1.7万元で、前期に比べて30%の下落となったそうです。

 その他にもマンションとセットで販売された別荘にいたっては、前期は1平方メートルあたり3万元で売れたものが、今では1.75万元まで下落し、下落率は実に40%ということですから、かなりひどい状態です。

 他にもこうした事例をいくつか紹介しております。そして中原不動産によると、こうした状況は既に大都市だけでなく、地方都市にも波及しているそうで、杭州の下げ幅は10~20%、成都は5~10%、南京は約10%、天津は5~15%だそうです。

 こうした状況を受けて、不動産会社としては、販売面積を10~15%拡充し、さらに値段も以前の85%~90%位の値段で販売しているところもあるそうです。つまりこれは不動産が売れていないということを示してもいるわけで、不動産会社としては多額の在庫を抱えている状態というわけです。

 中原不動産の統計では、北京で10月に9152戸の住宅が提供されたが、そのうち売れたのはたったの8.5%にすぎなかったそうです。そして抱えている在庫は既に11.8万戸にものぼり、在庫がはけるより、商品が提供されることが多いという状態が既に22ケ月を超えているそうです。


2 不動産価格下落の原因

 さて、どうしてこんなことになってしまったのかと思われる方もいるかもしれませんが、ある意味全くかつての日本と同じ状況です。一言で言えば、家が売れて売れてしょうがないという状態が続き、当然値段は上昇の一途、そうなれば多くの者が参入してくるわけですが、とうとう供給過剰の状態になってしまったということか思います。

 それに中国の不動産販売のすごいところは、出来上がる前からマンションを販売しているところです。以前では、こんな感じのマンションが建つよという絵と模型だけ見せて、販売契約を締結し、その頭金を使って建設を始めるということも行われていました。そのため現金が手元になくても、マンションを建設してそれを売って儲けることができたという時期すらありました。

 さすが、それはひどいだろうとなって、屋根が完成していなければ販売してはいけないということになると、今度は屋根を支えるところと、屋根だけを先に完成させて販売を始めたところもあるということも聞いたことがあります。

 さて、何にしろこれまで濡れ手に粟の状態で金を儲けることができた不動産価格の下落が始まったわけで、それもこの記事にあるように局所的なものではなく、全国的にこういう動きがでてきたということは、「中国バブル」(中国政府はバブルと認めていませんが)に多大な影響を与えることは間違いないと考えます。

 実際これが「中国バブル」の崩壊につながるか断言はできませんが、日本も「中国バブル」の恩恵を受けていた部分はあり、中国に対する輸出が減るとかなりの輸出企業が損失を出すのは間違いかと思います。そうなると、ただでさえ、欧州通貨危機で世界経済が困難な時期を迎えている時に、もし中国発の経済危機が起これば、かなり困ったことになることだけは間違いないかと思います。



凜amuro001 at 21:14│コメント(2)トラックバック(0)

2011年06月15日

 中国の5月消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年比5.5%と、34ヶ月ぶりの高水準となったことが話題となっております。

 今回の上昇の最大の原因が11.7%上昇した食品価格で、特に豚肉価格は40.4%と大幅上昇したことなども大々的に報じられておりました。中国で生活したことのある者として、収入の低い中国人がどうにか暮らしているのは、食料品が安いからというのが実感です。

 従って、食料品の高騰は生活を直撃することとなるわけですが、その点に焦点を置いて記事にしたのが、『朝日新聞』の「中国物価高、生活を直撃」です。ガソリン代が値上がりして収入が減ってしまった大型車の運転手yや物価の値上がりを理由にした家賃の上昇などに苦しむ様が紹介されておりました。


 また、この記事では「内モンゴル自治区で5月に起きたデモの背景にも物価高がある。」として物価高とデモの関係に言及しておりますが、確かにその可能性は否定できません。実際、天安門事件の原因の1つとして天安門事件の前年の20%をこえるインフレを指摘するものもおります(「中国とインフレ」参照)。

 この記事を書いたのは中国在住の特派員ですが、中国で生活しているものとしてはこれが実感であり、おそらく私も特派員であれば、同じような記事を配信したと思います。しかし、これまでも何度か立場が異なると見えるものが全く異なるということをここで書かせてもらっておりますが、投資(市場)はこの数字を大分違う目で見たようです。

 実際、今回中国の消費者物価指数が14日11時に発表されると、豪ドルやユーロに加え、シンガポールドルやマレーシアリンギなどアジア通貨が買われました。つまり、市場は中国のこの数字をまずまずと認識したことになります。

 『ロイター』の配信した「ドル80円前半、中国インフレ懸念和らぎ豪ドルやユーロ上昇」でも、外為どっとコム総合研究所の植野大作社長の「北京五輪前はインフレ率が9%程度まで上昇したが、今の5-6%という水準でインフレを抑制できるのであれば、(中国当局は)金融引き締めもこれまでのペースで淡々と続けていくだろうし、人民元の高め誘導も現状を維持するだろう」という発言を紹介しています。

 マーケットなどというところに参加するのは利に目ざとい方々ばかりですから、今後公表される数字については、皆ある程度予測して動いております。そのため、数字が発表された時にそれが予想の範囲内であれば織り込み済みとして処理されることとなります。

 そうした市場の動きから判断するに、今回の中国の消費者物価指数は彼らにとってみれば想定の範囲内で、現在好景気に沸く中国にとっては、この程度の物価の上昇はやむを得ないものという風に判断されたのではないでしょうか。

 実際、14日の上海総合指数(上海証券取引所で取引される全てのA株とB株の株価指数)も反発しており、中国株は概ね堅調な動きとなりました。また、こうした動きは日本に波及し、東京株式相場も上昇することとなりました。こうしたことを見ても、今回の数字を市場では、まずますと判断したことが伺えます。

 思うにこれは(今となっては古い分類なのでしょうが)マクロで見るかミクロで見るかの違いという面もあるかと思います。個々人の生活といったミクロのレベルで見れば、今回のインフレはかなり家計を直撃するものであることは間違いありません。しかし、一国の経済としてマクロ的に俯瞰すれば、それなりにうまく国の舵取りをしていると判断されているということかと思います。

 ただ、インフレは先に見たように社会の不安定化を招きやすく、いろいろ国内に問題があり不満を持つものが相対的に多い中国にしてみれば望ましいものでないことはいうまでもありません。しかし、インフレを抑えるために、資金の流れを制限したりすると、今度は肝心要の景気が冷え込む可能性が高くなります。

 そういう意味で、矛盾するインフレ抑制策と景気維持という2つの政策の間の綱渡りをしていかなくてはならず、今後とも中国政府が難しい舵取りをしていかなければならないのは間違いないと考えます。

凜amuro001 at 20:03│コメント(4)トラックバック(0)

2011年05月12日

 日本では、まだまだ寒いところも多いですが、広い中国ではところによってはもはや(初)夏ではないかと思えるところもあります。何にしろ、これからどんどん暑くなる一方ですが、暑くなると欠かせないのが飲み物で、今日はこの飲み物について少し。

 『北方網』によると、可口可楽(コカコーラ)、百事可楽(ペプシコーラ)、康師傅の三大飲料メーカーが期せずしてビンの形を変えて、「痩身(ダイエット)」したそうです。こういう文は書いた方のセンスというかユーモアが試されるもので、なかなか面白いものがあります。大体想像はつくかと思いますが、ビンを小さくして中身を減らして販売するようになったという意味です。

 コカコーラ、ペプシコーラは言うまでもないかと思いますが、念のため書いておくと、康師傅は元々台湾の会社です。中国にいるといやでも「康師傅」の文字は目につき、飲料品でも有名ですが、何と言ってもカップラーメンが有名で、中国国内における康師傅のカップラーメン販売量はダントツの1位です。

 まともに考えれば中国は現在インフレが激しく、原材料費から人件費から何から何まで値上がりしており、その結果値段をあげるのではなく、量を減らして同じ値段で販売するようになったと考えるのが普通かと思います。ただ記者が取材にいったら、いろいろ別な理由を出してきたというのがこの記事の主題です。

 コカコーラはこれは世界的に統一した動きであると回答してきたそうです。しかし何と言っても話題となったのがペプシコーラの回答で、18ヶ月に及ぶ市場調査をした結果、消費者は500mlのビンを好むことがわかったので、600mlのビンを500mlに変更したと回答してきました。

 当然の如くネット上ではこれに意見(反論)が書き込まれることとなります。「消費者を馬鹿にしている」とか「消費者が500mlが好きだとしても、それは値段が同じで500mlに減らされることが好きなわけではない」とか、「ペプシコーラの理屈でいけば、消費者はただが一番好きなのだから、何故ただのペプシコーラを提供しないのだ」といった意見が書き込まれたそうです。

 この記事は最後に、原材料費が上がっている中で、値段をあげるより、値段を据え置いて量を減らす方が消費者にとって受け入れられやすいので、そうしたのだろうという専門家の意見を引用して終わっています。ある意味当たり前のことかと思いますが、そこはそれ専門家を持ってきて発言に重みでも持たせようとしたのでしょう(別に中国に限らず日本の新聞記事もよくとる手法です)。

 それともう1つだけ指摘しておきたかったのが、この記事で登場しているのが、コカコーラ、ペプシコーラ、康師傅といった「外国企業」(台湾もとりあえず、広い意味で「外国企業」とさせていただきます)だけで、何故娃哈哈(ワハハ)や農夫山泉といった中国企業の動きには触れていないのかということです。

 もしかしたらそうしたメーカーはまだ減量なり、値上げの措置をとっていないのかもしれませんが、原材料高騰の動きは等しく各メーカーを襲っているはずで、遅かれ早かれ同じような行動にでるしかないと考えます。もしまだ(実質的な)値上げをしていないのであれば、果たしてその時こうした批判的な記事が掲載されるのか、注視していたいと思います。



凜amuro001 at 20:56│コメント(0)トラックバック(0)

2011年04月03日

 中国では4月3日から5日まで「清明節」のお休みとなります。「清明」というのは、1年を24等分した「二十四節気」の1つで、そろそろ春風も吹きはじめ、花が咲き始める頃とされています。

 中国では一部の地方で「清明節」を「鬼節」ともいわれているように(中国語で「鬼」は死人の魂の意)、この時期に墓参りをする習慣があります。家族総出で墓を掃除したり(そのため、「掃墓節」という呼び名もあります)、供え物をしたり、「紙銭」と呼ばれる紙の紙幣を焼いたりして先祖の霊を供養します。

 そして、テレビ・新聞では「清明節」関係の記事を報道するわけですが、この時期、毎年恒例行事のように「墓不足」のニュースが取り上げられます。中国のインフレについては、かなり日本でも報道されており、不動産価格の高騰やそれに伴う政府の対策などが記事になっております。

 しかし、不動産価格が値上がりしている以上、自分たちの住むマンションだけでなく、死んでから入る墓を入手するのも大変になってきており、この時期よくその話題が取り上げられることとなります。

 例えば『南方日報』に「炒墓地堪比炒房 均价3万每平米价格直逼别墅」(墓に投資するのは家に投資するのと同じ、1平方メートルあたり平均3万元という価格は別荘に匹敵)という記事http://bnchina.news.huanqiu.com/finance/roll/2011-03/1600606.htmlが掲載されておりました。

 この記事によると、広州市の墓の価格はどれも3万元(45万円位)以上で、価格は6万~13万元の間といったところで、1平方メートル当たりの価格でみると既にマンションの価格より高いそうです。そして、中国のインフレを裏付けるものとして、ある会社によると墓の価格は会社が設立されてからの12年間で5倍になったという発言も紹介しております。

墓
              (中国の墓、上記HPより)

 こうした状況を受け、入院している老人は、生きている時は、医療費等が高く、生きることができないが、いざ死ぬとなると、墓も買うことができず、死ぬこともできないと嘆いているそうです。
 
 こうした状況を受けこの記事では、墓を買うことできない者が多いため、公共墓地の提案などをしております。上記のように毎年の恒例記事で、政府もこのことはよくわかっているため、遺灰を海など自然に帰す「散骨」(自然葬)などの推進を提唱しています。

 政府の言い分としては、墓をつくるとなると木材や石など、いろいろな資材が必要となり、限りある資源を有効に使うためにということがあるようですが、やはりそう簡単に割り切れないのが、難しいところです。また、中国の風水思想や、隣近所に対する見栄などから大きな墓をつくりたがる人もいる様でそうした面からもなかなか難しいようです。

 実際、鄧小平の散骨などは記憶に新しいところです。ただ、彼の場合は万が一、今後政変が起こった場合、墓を暴かれて辱めをうけるのを恐れてという話もありますし、当然経済的理由から散骨を選択したとは思えませんが。

 自然葬は何も海へ散骨する「海葬」だけでなく、散骨地に木や花、芝などを植える「樹葬」「花葬」「草葬」もあると聞いたことがあります。また、最近ではネット上の墓に葬ったことにして、ネット上で参拝するネット供養などもあるようです。

凜amuro001 at 17:04│コメント(0)トラックバック(0)