商業主義

2014年12月23日

 渋谷では、「クリスマス粉砕デモ」が行われたそうですが、環球網に「加媒:西方“软实力”侵入成功 中国人疯狂迎圣诞节」という記事があっていろいろ興味深かったので、これについて少し。


1 記事の紹介

 大した内容ではないので、簡単に概要だけ説明させてもらいます。カナダのマスコミの記事といっておりますが、転載元が『温哥华太阳报』の電子版なので、在カナダ中国人向けのネット記事を翻訳したものです。

 カナダでもクリスマスは宗教的色彩というより、プレゼントなどの世俗的意味合いが強くなっているようですが、中国も同じで、商業主義が主流となっているとしています。

 何でも「クリスマスに大量にものを買うのは、金があることを示すため」で、中国人の学生がクリスマスソングを歌うのが好きなのは英語を勉強するためだそうです。

 ただ、その一方で、多くの中国人がクリスマスの侵入を心配しており、知識階級に言わせると西側の「ソフトパワー」の侵入で、100年前に伝道師がなしえなかったことともしています。

 そうは言いつつも、民族の文化に凝り固まって外国の文化を否定すべきではないという意見も紹介しており、既に中国では、クリスマスツリーがいたるところにあり、これこそが国際都市だともしています。


2 クリスマス

 日本の変化もかなりのものがありますが、中国の変化も本当に早く、以前は全くなかったクリスマスがいつの間にか定番のイベントとなっております。

 そして、記事のあるとおり、経済発展に伴い、金を持つ人が増えたので、街には商品があふれています。ただ輸入品などをみると品ぞろえは今一統一感がなく、ここいらはやはり一朝一夕にはどうにもならないのかと思ったりします。

 そうは言っても、本当に金を持っている人が増えたので、元からプレゼントには金を惜しまない中国人は、かなり派手に贈り物合戦を繰り広げているという印象です。

 
3 ソフトパワー

 渋谷の粉砕デモでは、商業主義として広告代理店が批判の対象となったようですが、中国では欧米のソフトパワーが批判の対象となるのが如何にも中国的です。

 ただ、どこまで本気なのかはどちらも似たりよったりで、欧米文化を全否定しては生活が成り立たないことは中国人が一番よく知っています。

 ただ、それでもいろいろ言いたくなるのが悠久の歴史(いろいろ伸びたり縮んだりするようですが)を持ち、アメリカと2大大国になったと自負する中国の中国たる所以なのでしょう。


4 最後に

 私的に、確かに商業主義的な、売れれば何でも良いという風潮に全面的な賛成するつもりはありませんが、
その一方で楽しければそれで良いというのもわからないではありません。

 人間、楽しいことは大ければ多いほど良いと思っているので、あまり目くじらを立てずに楽しめれば、それにこしたことはなく、クリスマスも楽しめたらそれはそれで楽しい(良い)ことだと思っております。



凜amuro001 at 07:01│コメント(5)トラックバック(0)

2013年08月07日

 『人民網日本語版』が掲載していた「オリンピック精神の原点とはかけ離れた東京の五輪招致」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。


1 記事の紹介

 
普段だと要約をさせてもらうのですが、興味深いところの引用の方が面白そうなので、引用で紹介させてもらいます。

 周知のように、戦後の日本経済のテイクオフは3段階を経た。まず1954年から1961年の第1期は設備投資が経済発展を牽引した。

 1962年から1965年の第2期では経済モデルの転換に成功した。1965年から1973年の第3期には輸出が経済を牽引し、1968年には西ドイツを抜いて世界第2の経済大国となった。この座は2010年に中国に追い抜かれるまで42年間維持した。

 ・・・

 日本経済は1990年代初めのバブル崩壊以降再起不能となり、1955年から長期政権の座にあった自民党も1993年に下野した。日本は経済、政治両面で不安定な状況に陥った。これがいわゆる「失われた10年」、より正確に言えば失われた20年である。

 1964年の東京五輪は多くの日本人の心の中で、戦後の高度経済成長を象徴する記念碑的な意義を持つ。そして長期的な経済低迷にある日本は庶民を再び奮い立たせる契機を必要としている。そこでオリンピックは、一部政治屋によって手中の「政治資源」と見なされるようになった。

 昨年末、自民党内の保守派を中心とする政治勢力が衆議院総選挙で勝利し、政治舞台の中心に返り咲いた。まさに自民党の選挙スローガン「日本を、取り戻す」のように、昔日の威風を取り戻すことが保守勢力共通の目標となったようだ。

 ・・・

 近代オリンピックの趣旨は「平和、友情、進歩」だ。ビジネスとリンクせず、政治利用されないオリンピックこそがオリンピックの精神と原則を真に体現することができる。

 2008年北京五輪のスローガンは「One World,One Dream」、2012年ロンドン五輪のスローガンは「Inspire a generation」だった。

 両五輪の舞台は主催側が世界各国に提供し、世界各国が共同で創造し、最終的に全世界の認可を得られたものであることは明らかだ。「オリンピックの夢」は全世界の夢、全人類共通の夢であるべきだ。

2 日本に対する認識

 典型的な中国人の日本に対する理解です。つまり、日本はかつて高度経済成長を謳歌し、世界第2位の経済大国となりましたが、バブル崩壊後、「失われた20年」と呼ばれる長期低落傾向に陥り、第2位の地位を中国に明け渡し、それが日本の中国に対する大きなコンプレックスになっているという発想です。

 こうした経済低迷やコンプレックスが日本の保守化の根本的な原因という発想もかなり根強いものがあります(不景気に苦しみ政治に失望している日本はファシズムが台頭している?)。そして、「保守化」であるが故に、かつての栄光を取り戻すために日本はオリンピックを誘致しようと考えているとなります。

 これは裏を返せば、それだけ中国が世界第2位の経済大国になったこと(GDPで日本を抜いたこと)を如何に誇らしいことと思っているかという話で(中国の軍事費の増加は他国に恐怖を与えていない?)、私的にはそちらの方が興味深いということになります。


3 オリンピックに対する認識

 中国で保守派の代表とされる石原都知事(自民党と日本維新の会が連携して日本は軍国主義の道を歩む?)がどのような思いであれほどオリンピックに拘ったのか私はわかりませんが、こうした懐古主義的風潮からオリンピック誘致を考えておられる方はそう多くはないのではないかと考えます。

 オリンピックが開催されれば経済効果がある、お祭りはやはり近くで開催された方が楽しい位の認識で(「バルス」とアイドルとお祭り)賛成されている方が多いのではないでしょうか。

 ただ、その一方でオリンピック開催に伴う負の部分、長野オリンピック後の財政赤字など、必ずしも地域経済に貢献しないことなども広く知られるようになってきており、そうしたことがオリンピック誘致が今一盛り上がりに欠ける原因となっていると思います。


4 中国の認識

 オリンピックの政治利用、商業利用は既に周知のことであり、これを今更きれいごとで日本を批判する中国の態度も何とも言えません(中国も署名しない声明に日本が署名しないことで憤る中国人)。

 こうした本音と建て前のかい離は中国で結構良く見られる話で、売春などもあれだけ蔓延している実態(本音)がありながら、法律では禁止されており(建て前)、恣意的に買春者を捕まえることもよくあります(日本人売春容疑で逮捕?)。

 ま、(実際に中国が行っている)実態を無視しながら、建前論で日本を批判するというのは中国の良く使う手段で、いつまでこうしたことを続けるのかと思ったが故の今日のエントリーでした。



凜amuro001 at 02:55│コメント(4)トラックバック(0)