政権交代

2013年08月02日

 民主党の岡田克也議員がかつての外相時代を振り返って「毒入りギョーザ事件結審―日中の食の安全のため外相時代に注力」というブログ記事を書かれていたので、これについて少し。


1 記事の紹介

 議員は当時の情勢として、「当時の日中関係は比較的良い状況だったと思います」と述べた上で、いわゆる「毒入りギョーザ事件」について、議員は「私が外務大臣として特に力を入れて取り組んだ問題の1つ」としています。

 中国外相と議論したときも、「客観的に見て、これは中国で毒が盛られた可能性が高い」ということと、「こういう問題をきちんとしないと、中国の食品に対する日本国民の心配は益々高まって、それは中国にとっても決して良くない。」と述べられたそうです。

 「したがって、徹底的な捜査、そして、その捜査結果に基づいた司法的な手順を尽くすべきだ、ということを強調した」ともしています。

 「お互いメンツの問題もあって、この問題はなかなか進まなかった」としながらも、「やがて、中国政府が被疑者を逮捕」したこと、「最終的に結審に至ったということは、私は、中国側の努力に対しても多としたいと思います」と述べています。

 そして悪いことばかりではなく、「この事件をきっかけに、より前向きな話として、日中間で食品の安全について協議する場もでき、双方向で食品が輸出入される際の安全性の確保について、より厳しいルールが定められたということもありました」としています。


2 意見公表

 昔から欧米だと政治家が回顧録を書くことがあり、当時を振り返って、こういう考えで、行動をしたのだという話を後で聞くことがありました。

 しかし、現在ではネットの普及により自分から意見を述べることができるようになったので、橋下市長などが典型ですが、現在のことについても自分から説明を行うことが可能となっています(橋下市長の大阪市立桜宮高校の入試中止に関するコメントについて橋下市長が慰安婦問題について会見した意義)。

 個人的はこうした傾向は大変良いことだと考えています。というのも、どうしてもマスコミを通すと編集などの問題があり、本人が話した内容をどこまで正確に伝えているのか検証したうえでないと、信用できないとう問題があるからです(パソコン遠隔操作事件容疑者の再逮捕と情報の公開)。

 自分から発信したものについてはそうした問題は生じません。むろん誤解を与える書き方という話はあるでしょうが、それは発表した本人の表現の問題であり、自己責任の問題に帰結できるかと考えます。


3 自己主張

 ただ、何事にも長所と短所があるように、この問題についても、良いことばかりでないのは言うまでもありません。

 おそらく最大の問題は行為者が自分の視点から書いたものなので、どうしても自分に都合の良い話が多くなるということです。

 例えば、最近話題になることが多い『終戦のエンペラー』の主要人物マッカーサーが書いた回顧録についても、史実すら変えているところがある等、意図的な改変としか思えないところがあったと記憶しております。



4 対中印象悪化

 実際、この「毒入りギョーザ事件」については相手側のあることであったとは言え、正直もう少しうまく交渉ができなかったのかというのが私の偽らざるを得ない思いです。

 確かに元記事にあるとおり、「メンツ」の問題もあったでしょうが(今回の「反日デモ」のまとめのようなもの)、頑強に否定する姿は中国に対する印象を悪化させました。それだけでなく、こうした中国に対して強くでることができない民主党政権に対しても批判が強まったと考えています。

 こうしたことを見ても、典型的な民主党の政策で、「中途半端」でしかなかったというのが私の印象です。ある程度相手をおだてて融和策をとるか、反対に強硬策をとるかしていれば、少なくとも対中印象、対民主党印象のどちらかはそれほど悪化しなかったと考えます。


5 最後に

 政治は結果責任なので、こうした結果をして、「特に力を入れて取り組んだ問題の1つ」と言われても私は評価しません。

 何度か書いておりますが民主党は理想を掲げすぎたところがあり、虻蜂取らずになってしまった感が否めないと思っております(細野幹事長と民主党と理想論)。

 外交も同じで、全てと仲良くなどというのが無理な以上は、時には切り捨てる分野も出てくるのはやむを得なかったのではないかと考えます。



凜amuro001 at 02:31│コメント(0)トラックバック(0)

2013年06月25日

 ブログの名前が『政治学に関係するものらしきもの』でありながら、ここのところ、あまり政治と関係の薄いネタばかり取り扱ってきたので、今日は都議選も行われたばかりなので、これまで何度か触れている(日本の総選挙は美人コンテスト?)、選挙のことについて少し。


1 細野幹事長の発言

 都議会議員選挙は結局、大方の予想通り、自民党の圧勝、民主党の惨敗となったわけですが、これを典型的に表していた記事に『The Huffington Post』に掲載されていた「選挙に細野豪志民主党幹事長の「訳がわからない」発言は「表現の自由」を指摘したもの【党幹部の動き】」という記事があるかと思っております。

 この記事は、民主党の細野豪志幹事長が、19日「ニコニコ生放送」の中にある民主党チャンネル「において行われたアンケートで、自民党の支持率が73.9%だったことについて、『訳がわからない』と述べた」という記事です。

  番組内のアンケートで、この結果が公表されると、細野幹事長は、「いきなりかましますけどね、わたしねー、これがわけわからないんですけれどもね、だって、最も、表現の自由を規制しようとしている政党でしょ?  まず憲法。(自民党の改憲案では)憲法21条で、公益及び、公の秩序のために、制限できると書いてあるわけですよね。こんな憲法、ネットの人認めるんですかね。私ね、そこは、考えたほうがいいと思いますよ。我々は、言論の自由を守ります。」と発言したそうです。


2 選挙の焦点

 自民党などが進めている児童ポルノ禁止法改正案に関して、細野幹事長は、「表現の自由を萎縮することがないようにという配慮は必要だと思う」と述べ反対の立場を示しております。

 そして、記事では、「細野氏がネットユーザーに言いたかったことは、アベノミクスや外国人参政権などの問題で自民党を支持している人が多いようだけれども、自分が活動しようとしている分野に規制をかけようとしているのが自民党政権ではないのかという点であろう。それなのに、支持率が多いというのに対して『訳がわからない』。」としております。

 幹事長は選挙の陣頭指揮を取る立場な訳ですが、これを見た瞬間に細野幹事長は残念ながら国民が何を望んでいるか全くわかっておらず、格好良いことを言っていれば、国民がついて来ると思っている、いわゆる「秀才型」の政治家のままだと失望してしまったものです。


3 政党支持

 私自身も児童ポルノの改正には消極的ですが(児童ポルノ改正で日本アニメはダメになってしまうのか?)、残念ながらそれだけで民主党を支持するつもりは毛頭ありません。

 政権交代を成し遂げた総選挙では、良い意味で小沢一郎のどぶ板選挙とこうした民主党の「理想派」と言っては失礼かもしれませんが、耳障りの良い政策が合わさって、あれだけの大勝となったのかと考えます。

 しかし、既に小沢一郎はおらず、また、かつての「理想論」も実際口だけで、実現する方策がないことが露呈してしまった現在(田中眞紀子議員を例にした民主党の敗因)、相変わらず「表現の自由」といった、直接生活にどこまで関係するかわからない「理想論」だけを掲げてどうなるのかという話かと考えます。

 念のため補足しておくと、当然「表現の自由」は大事で、それは守られるべきかと思いますが、具体的にどう制限されるかもよくわからない段階で、自民党は「表現の自由」を制限していると述べても、それだけで誰が支持をするかという話です。


4 成果

 国民が求めているものは、実際に良くなったという変化と、「安定」かと考えます。いろいろ批判はありますが、アベノミクスで株価は回復し、雇用もそれなりに回復しております。

 確かに民主党は「変化」はもたらしましたが、閣僚や政務三役などの発言が食い違っていたりして、誰の発言を信用して良いか分かりませんでした。更に、「政治主導」という「理想論」を掲げて、官僚と衝突するだけで、成果という面では充分なものを挙げることができませんでした(橋下市長の政策が人気のあるワケ(民主党の人件費削減と比較して))。

 何事にも理想は大事で、それは政治も同じですが、政治とは、利益の再配分だと私は考えているので、必要とされるのは、より具体的な成果となります。それを示すことなしに未だに抽象論、理想論だけを唱えている幹事長に少し呆れたが故の今日のエントリーでした。



凜amuro001 at 20:54│コメント(10)トラックバック(0)

2012年02月24日

 『中国新聞網』が「港媒:中国外交动向受到全世界瞩目」(香港マスコミ:中国の外交が世界の注目を集める)という記事を掲載しており、いろいろ思うところがあったので、これについて少し。


1 記事の内容

 これは香港の『文匯報』の記事を転載したもので、今年、アメリカやロシアなど世界各国で国のトップを決める選挙が相次いで行われることを受けて書かれたものですが、この標題はあまり適切ではないと考えております。

 とりあえず、最初に記事の紹介をさせていただきます。

 世界政治は膠着して、経済は揺れ動いている現在、中国の外交は各方面の注目を集めている。現在各国の選挙戦は依然として混沌としているが、全世界が総選挙を迎える今年、中国が直面する外部の挑戦は複雑で、スケープゴートになることを用心深く防がなくてはならない。

 各国のメディア、特に欧米のメディアを見ると、中国の話題が各党の候補者の争点となっている。貿易摩擦だけではなく、人権などを使って中国に対して圧力をかけており、候補者が互いに相手を攻撃する論点となっている。

 実際、大国の選挙において、中国はいつも非がないのに巻き込まれ、各国の総選挙の争奪戦の口実やスケープゴートとされる。特に欧米国家では候補者は、功を奪うために矛盾を中国の責任に転嫁し、中国を攻撃することに慣れている。

 中国国際問題研究所の曲星所長は、世界中で選挙が行われる今年、中国はこうした国々とも安定的につきあうことを望んでいるが、西側諸国の選挙、特にアメリカは、2党が互いに中国を攻撃し、それを外交政策とすると指摘している。

 北京大学国際関係学院王逸舟副学院長は大国で選挙が行われれると、国際社会に影響を与えたり、国家間の緊張を呼ぶことがあるので、これに対し中国はきちんと準備をしておかなくてはならないと述べている。

 現在、欧米の債務危機は世界中の経済に影響を与えており、楽観視できず、下手をすれば再度危機に陥りかねない。このような時、中国は中国問題が政治問題化、感情的になることに警戒し、対中関係が各国の国家国内の政治の“人質”になることを防がなくてはならない。

 

2 選挙の否定

 なかなかおもしろい指摘です。何と言っても最初に指摘すべきは、中国では原則実施されていない各国の選挙について言及していることです。

 中国では、中国共産党がしっかり人民を指導しているし、人民の声はきちんと聴いているので、選挙などしなくても問題ないという立場で、選挙を否定しています。

 そのため、これもそうした考えを踏まえており、選挙のために、各国の外交(対中)政策がおかしくなってしまったのであり、斯様に選挙とはロクでもないという前提で書かれております。


3 中国に対する批判

 次に各国に中国に対する批判ですが、これも中国が悪いわけでなく、各国が一時的におかしくなっているしまっているだけだという、なかなか「うまい」説明をしております。

 各国が中国を批判しているのであれば、普通そのまま考えれば、中国がおかしいことをしているためという結論に達してしまいます。しかし、あくまで選挙のために「一次的」に、おかしくなって中国を批判しているのであればそうした結論には至りません。

 そういう意味で中国政府の嫌いな選挙の批判をしつつ、中国に対する批判をかわす説明をしているなかなか、見事な記事と感心したわけです。

 そういう意味で最初に述べた様に、もっとうまい記事の標題があったのではないかと思ったわけですが、「世界の注目を集める」という言葉は中国人の自尊心をくすぐる言葉なので、そういう意味ではこういう見出しもやむを得ないのかもしれません。



凜amuro001 at 20:46│コメント(4)トラックバック(0)