2024年04月13日

日本の情報の不正確さ

何だか、この国の情報は相変わらず偏っていたり、正確な情報を伝えなかったり、本当に嫌になるぐらいにいい加減な情報しか、メディアが伝えません。引退する、といって節操もありませんが、今回も記事を上げたいと思います。



植田日銀総裁の通信簿、と円安

メディアにこんな記事もありますが、就任後1年で、通信簿も何もありません。金融政策はトータルで結果が判明するもので、途中経過どころか退任してから数年後に、功罪が明らかになるものです。黒田前総裁のような、明らかに間違った政策であればよいですが、植田氏が行ったゼロ金利解除も、まだ評価するには時間が不足します。『混乱なくゼロ金利を解除した」と専らですが、そもそも金融政策が実体を映しておらず、「金融政策の市場誘導機能が損なわれている」から、混乱がなかったとみなせます。為替がサプライズで変動し、すぐにもどったように、今の政策金利が低すぎるから混乱がなかった、といえるのです。
政策金利が、一体どれぐらいがベストか? そんなことに答えはありません。あったらとっくに、その金利に合わせているでしょうから。しかしインフレにもかかわらず、エルドアン大統領の介入により、金利を引き下げつづけたトルコが一転、しばらく金利を上げたにも関わらず、他の市場が反応しなかったことをみても、政策金利が経済、市場に影響を与えるには、経済、市場に寄り添った水準である必要がある、とこのことは示しています。つまり今の日銀のゼロ金利は、実体と乖離しているとみなされているのです。

つまり円安防衛的な金利引き上げも、当面は効かない可能性が高い。個人的には1%に近づく必要があり、かつ継続して金利が引き上げられる…との市場の観測がないと円高にならない。そうなると当面、円安防衛術は介入しかありません。しかし前回の介入に効果なし、とされるように、介入の規模が小さすぎて意味がないのです。神田財務官などは「今の為替はファンダメンタルズに即していない」としますが、ファンダメンタルズに即していないのは金融政策であり、だから為替がそうなる、ということなのです。
そしてこれは盛んに報じられますが、新NISAにより海外投資が活発化した。これも円売り材料です。政府が「貯蓄から投資」を促してきた、ファンダメンタルズどころか、今はその政策効果が最大に発揮されているのです。これは貿易立国から、内需中心国家に変遷させたことも同様、貿易赤字が定着し、円売りが加速しやすくなっている。まさに日本が政治、金融両面で、政策的に円安になるよう誘導してきたことが、ここにきて花開いているのです。それこそ民主党政権時代、1$80円という時代の反省で、こぞって円安誘導してきたのです。それが未だに継続され、効果がでている、それが現代の円安ということなのです。

植田総裁が、これを防ごうと思ったら、円安誘導の金融政策を一新しないといけない。それができたら満点ですが、まずムリでしょう。金融政策に政治家、官僚による介入が増え、独立性に問題がある中で、何ができるのか? それをみて通信簿はつけるべきでしょう。そもそも金融政策の効果は、先にも述べたように数年経たないと分かりません。グリーンスパン元FRB議長のように、難解な文学を用いて魔術師とまで称されながら、後にリーマンショックの芽をつくった議長、として評価を落としたように…です。



賃金と物価の好循環?

この言葉を政治がつかい、メディアも追随しますが、ナンセンスです。特に日経で「夏ごろに実質賃金がプラス」と、経済アナリストなど複数が指摘、などという記事もでましたが、それがどうした? というレベルです。簡単に説明すると、2022年の物価を100、名目賃金を100とします。23年の物価が5%の上昇、賃上げが3%の上昇、実質賃金は2%のマイナスです。2024年に物価が5%の上昇、賃上げが5%の上昇だった場合、物価は105に対して5%がかかり、賃金は103に対して5%がかかる。パーセントで比較すると、±0とカウントされますが、実際は2.1%の差が生じている。2022年の時点で、家計が収入と支出で均衡していたとすると、2024年の時点ではまだそこにとどいていない、ということになってしまうのです。
つまり一時的に、大きな差が生じてしまうと、きちんと補正をしないと過去との比較にはならないのです。これは欧米も同じ、特に欧州のようにインフレ率が10%に達するほど大きくなると、今は2%に近づいているからといって、それは前年同月比でみた結果であって、人々の生活苦はずっとつづいていることになります。景気後退がみえているから、ECBは利下げに前向きですが、今のインフレは相当に粘着性が高いものです。一つ間違えると、上記したように物価と賃金を見誤ることもあり得るのでしょう。

問題は日本です。多少プラス転換したところで、消費が活発化する見込みがないのは、上記した通りです。昨年、インフレ率は徐々に下がる方向でしたが、実質賃金のマイナス幅はあまり変わらなかった。これは年度初めの賃金に比べ、徐々に賃下げされていったためです。春闘で5%と大きな賃上げと報じられますが、これを通年で維持できるか? むしろ連合の集計ではなく中小、零細もふくむ経済統計で、本当にこんな高い数字なのか? それが問われます。さらに、昨年の実労働時間の減少をみても、本当に人手不足なのか? 残業が減っている、というのは2024年問題を先んじて対応した、とみることもできますが、そうなると実質賃金は下がる方向かもしれない。賃金と物価の好循環は、今年もはじまらないかもしれません。
日本は円安、コストプッシュインフレが強く、ここで34年ぶりの円安水準になったことで、インフレ昂進が予想され、さらに政府の物価高対策予算が続々と消える。今年の日本は、極めて危うい水準でしか推移しないのです。コストプッシュインフレから、ディマンドプルインフレに、本当に転換できるのか? 経済学で見ると極めて困難な挑戦の年、となることは必定です。決して楽観できる状況ではありません。



岸田首相の訪米

岸田氏のジョークで笑い…など、正直どうでもいい。今、米国はイスラエルに肩入れし過ぎて世界から総スカン、そこでポチを呼び寄せて親密ぶりをアピール、という米国の思惑にまんまと嵌り、その代償として得られる成果が、マイクロソフトの4400億円の投資と、月を歩ける日本人が2人、という程度。後は米中戦争が起きたときに巻きこまれる確約と、米国の月開発に日本が多額の出費をさせられる、というだけ。もっと実のある成果がとれないと、今回の訪米は失敗、と断じられます。ジョークで笑いをとる、というのはあくまで岸田氏個人の話であり、日本として実のある成果を得たわけではないのですから。
しかも上記した通り、日本の新NISAの投資先が米国。これだけでも日本は大きな貢物をさしだしたも同然です。米経済が崩れると、日本の個人投資家などが大きな痛手を被り、それがまた日本経済を苦しめる。逆資産効果で消費が鈍化、という未来もみえます。今年、恐らく米国の利上げは一回、乃至二回が限度でしょう。私は昨年末に、今年の米国は利下げできない、と予想していますが、そのとき今の米株は正当化できない水準です。今でさえ、下げ相場になりそうなところを日本人の買いが支えた、と噂される。日本人が高値掴みをしてしまった可能性もあり、米経済にも目配せしないと、日本は大変なことになります。

そしてこの訪米、米国が国賓待遇や、議会での演説など目いっぱい親密ぶりをアピールすると、中東からの日本の見方が悪くなる可能性もあります。イスラエルを敵視し、シリアの大使館を攻撃されたイランなど、そのイスラエルに武器を供給し続ける米国と、親しい日本をどうみるか? 日本の原油は中東依存、と言われて久しいですが、米国からのシェールガス、オイルの輸入などをもっと調達しやすく…などの実をとらなければいけなかったのでしょう。もし本当に第6次中東戦争などが起きたら、日本の物価など危険な水準に一気に達してしまうことが確実なのです。逆に、そういう成果をとってきたなら、もっと大々的にアピールしてもよいでしょう。それがない、というのは逆に何のために行ったの? とすら感じるレベルです。
むしろ目に見える成果がないから、ジョークばかり取り上げられるとしたら、とんだジョークです。中東どころか、今や世界中がイスラエル、米国のことを嫌悪する。そんな米国とニコニコ付き合って、同じように恨みや、反感を買う。ジョークで笑っていられるうちが、花なのかもしれません。



半導体、AI、データセンターへの不安

今、危惧されているのが上記の設備をつくると、莫大な電力がかかる、という点です。日本では火力が中心で、本気で上記の設備をつくるときには原発を再稼働させないと、賄えないことが必定。逆にいえば、だから原発を動かす、という口実にされかねません。能登半島地震でも明らかになった、珠洲市に原発銀座をつくろうとしていた件。そんなことをしていたら、第二の福島原発事故、が石川県で起きたのかもしれません。住民の抵抗、反対運動によって原発建設が阻止されたことは、色々な意味で示唆的です。
それは原発の建設地が、決して安全だから択ばれているわけではない点。原発建設側に、ヤクザのような威圧をかける人間が雑じる点。しかも今回の地震でも、交通のマヒがおきましたが、住民の避難計画すらまともに立てられないところに、原発をつくろうとしていた点です。これをみて、新規原発など建てられるはずもなく、そうなると大電力が必要な、上記のような産業を一体、日本にどのように根付かせるのか?

さらに米国のような移民流入があれば、人手不足も緩和が可能です。でも日本は人口減少、移民もほとんどない。私は今回、春闘で賃上げが叫ばれたのも、日本で働こうと思う外国人就労者を招き入れようとする、ブラフではないか? とすら感じています。つまり日本は賃金が上がらない、給与の安い国、というイメージがあります。それを払拭し、こうした産業に必要な外国人材を獲得する。逆にいうと、そうでないと立ちいかないのです。電力に、人材まで不足する。こうなるとそうした花形産業が、日本にはない…という事態にもなるでしょう。さらに円安で、こうした不足が加速するのですから、尚更大変です。
半導体製造装置であったり、素材であったり、そういうだけでは日本への恩恵は限られます。米国に脅され、半導体産業を壊滅させたツケ。本丸がない日本が、収益性をどう確保していくか? そして電力不足をどう補っていくか? 原発再稼働、一本足で、できなければ電気が足りない、などと国民を脅すような国では、そもそも産業も入ってきません。エネルギーは過剰なほどつくる、そのために自然エネルギーを増やす、こうした方向にもっとシフトしないと、早晩日本は立ちいかないことになるのでしょう。



新NISAというもの

よく「日本もインフレになったから、運用しなくちゃ…」と語る人がいます。確かに現金をもっていると、お金の価値が下がるので増やさないと…と考えがちです。でも、一歩立ち止まった方がいい。ナゼなら、日本の投信の運用成績は、それほどよくないからです。当然、資産を増やして老後の資金が増える人もいますが、間違いなく減る人だっている。逆に、減る人の方が多い、というのが実態です。投資をすれば必ず儲かる、なんて確約もなく、大体投信の成績からみれば、七割ぐらいが損失をだして終わります。
新NISAになったからといって、この比率が大きく変わることはない。単に、非課税だから儲けが出やすい、というに過ぎないのです。NISA煽り、インフレ煽りを語る人には努々気をつけないといけません。そして上記もしましたが、NISAが外国の資産に向かいやすくなると、これで円高に切り替わればよいですが、さらに円安がすすむと資産が減ることになる。NISAの危険とは、大半が損失を抱えて老後を迎える点です。

何度か指摘してきたように、人口減少社会はデフレになりやすい。全体の消費のパイが減るからで、そこに変化がない…どころか過去最大の人口減少幅、などとされるように、こうしたものは加速度的に起きます。つまり今のようなインフレが継続するケースは、あくまで円安によるコストプッシュ型で、継続してインフレになる見込みが現時点ではない。それなのに「インフレになったから…」というのは、ガンに罹患したから風邪薬を飲もう、というのと同じです。治療に時間のかかるガンではなく、すぐ治るはずの風邪を心配して薬を飲む。長期と、短期のものの見方に、明らかに齟齬がある状態、ということなのです。
ディマンドプル型のインフレになれば、それはめでたいですが、人口減少社会では望み薄。どころか絶対にムリでしょう。NISA、NISAなどという言葉に踊らされ、今ははじめる人も多いのですが、それこそ「騙された!」という人が今後、増加するでしょう。今、私の周辺ではNISAとは「日本人(N)はいつも(I)詐欺(S)に遭い(A)やすい」の頭文字という人もいます。経済のこと、運用のこと、真にそういうことが分かって始める人ならよいですが、大半はそうでなく、何でダメだったかも分からないまま『投資は害悪』との認識が広がることになりかねないのでしょうね。



日本の株式市場

4月第1週の動き、先物は外国人投資家の売りと、個人投資家、信託経由の買いが均衡した。一方で現物は外国人投資家、個人投資家の買いと、信託経由の売りを差し引いた結果、大きな買い越しとなった。それなのに、ずるっと日本株は大きく下がりました。その主体以外の売りが大きかった、ということです。よく「4月の第1週で利益確定売りが…」と語る人もいますが、昔の話。この理屈は、年度初めに儲けをだしておくと、一年間の運用が楽だから…というものですが、例えば昨年のように外国人が一気に買って、4月に上がってしまうと儲ける機会をむざむざ失った、となります。今年、まだ確定した話はありません。
そして米株の変調もあります。それは利下げ期待が遠のいたこと、が主因ですが、3月ごろからふたたび物価が上昇することは「分かっていた」ことです。資源などが、昨年の大きな低下から、上昇局面にあるからで、それ以外で下落する要因が新たにでてくる以外、インフレは加速するはずでした。要するに、既定路線です。それに驚いて相場が下落しているわけではなく、そんな新たな物価押し下げ要因が出てこなかったことに対する失望です。しかし、日本の下落はそうした要因でもなく、あくまで年度末に支えた、その反対売買です。

結局、日本の売買代金はかなり高水準で、現状推移しますが、その大部分にこれまでとちがう資金の流れがある。いつまでも過去の資金の流れにより、相場を説明しようとすることにムリがあるのです。まだそこにはっきりとした答えはなく、私も語れる立場にありませんが、相場の裏で語られるようになったときは、もうそうした資金は出ていった後でしょう。NISAにしろ、投信にしろ、新しい資金の動きがおきて、これまでと異なる市場の動きが出てくる。これは昨年4月の外国人投資家の買いでも同じなのです。
相場は上がりもすれば、下がりもする。日経平均ばかりでなく、個別銘柄でも同じです。そこで常に勝ち続ける、というのはかなり難しい話です。これはプロも同様、逆にいえばここ最近は各国中央銀行が資金供給をつづけ、投資には好環境を生み出してきた。それがもう、限界を迎えていて、その動きだけでは相場を押し上げることが難しくなっているのが現状です。その最後に、日本の個人投資家がNISAという御旗で、世界に資金をじゃぶじゃぶと流している。今、最も危険なのが日本人となってしまっている。そこを見誤ると、次の動きでやはり日本がもっとも出遅れる、といった結果になりかねないので、注意も必要なのでしょうね。

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analyst_zaiya777 at 00:32|PermalinkComments(3)政治 | 経済

2024年03月31日

年度末を迎えて

年度が終わり、一つの締めとして記事を書きたいと思います。そう考えた一つは、以前から指摘していた『大阪がヤバい』という話。ここ数年、大阪に本社をおく、もしくはかかわりのある企業の不祥事が相次ぎます。ダイハツの検査不正、広義では宝塚歌劇団もそうでしょう。そして今回、小林製薬です。どれも問題なのは、不祥事などはどこの企業でもあるものの、その初動が明らかにまずい。小林製薬などその典型です。その結果、被害を増やし、かつ国民からの非難、バッシングが集まり、今後の事業にも影響します。
そしてもう一つ、吉本興業もそうでしょう。松本人志氏の性加害問題で、初動を完全に誤った。確認もせずに反発し、後に撤回してコンプライアンスに言及する。組織的なまずさが目立ちます。さらに、以前から松本氏を擁護するメンバーに、高須氏など統一教会と近い人物が目立ちましたが、ついに統一教会系の雑誌が『全面応援!』と銘打って、松本氏を擁護する論陣を張ってきた。もう統一教会は、松本氏との関係を隠す気もないようです。まさにそうした人物らと、歩調を合わせてきたのでしょう。

これまで安倍晋三―統一教会、安倍晋三―吉本興業、という構図があり、これで統一教会―吉本興業とつながった。以前、安倍氏と松本氏が会談を行い、その後に吉本興業が国からの広告事業を随意契約で受注するようになりました。そこに、統一教会というフィルターが入っていたと考えると、すんなりと理解できます。
さらに、松本氏を擁護する人間は、ネット上で敵とみなす相手への誹謗中傷、攻撃を苛烈に行います。これも安倍支持者と酷似する。そこにきて、松本氏の弁護士まで性加害をうけた被害者の身元を開示しろ、と異常な要求をする。恐怖で支配しようとする統一教会の手口と同じです。裁判については正直分かりません。でも、安倍氏のオトモダチの性加害事件が、司法により刑事では否定、民事では認められたというケースも鑑みると、統一教会と裁判所との、怪しい関係も見え隠れする。勿論、安倍晋三ありきのことだったでしょうが、自民党が未だに統一教会との関係をキレないように、まだ影響はつづいているはずです。

ただ、松本氏は「またお笑いをやりたい」としますが、もう『お笑い芸人』という肩書は通用せず、統一教会系の人物として、メディアに意識されることになるでしょう。そうした人物らは、一般のメディアは忌避する傾向があり、フジテレビだけが報道やコメンテーターなどに起用する程度です。そういえば、休業前の松本氏のレギュラー番組は、フジテレビが多かった。お笑いとしての力の衰えばかりでなく、統一教会の色のついた人物に、果たしてどれぐらいの需要があるか…。安倍支持層の力も衰え、純粋に統一教会の信者ぐらいしかついてきていない印象もあり、そうしたフジテレビ御用達芸人になるのかもしれません。



3月FOMC後の動き

3月のFOMC、びっくりするぐらいのハト派に転じ、市場は再度盛り上がりました。今年の経済見通し、物価も上方修正したにも関わらず、利下げは3回で据え置きです。確かに、ドットチャートの傾向は上方に推移し、必ずしも3回の利下げが平均値ではなくなり、多数派という形になりましたが、これで本当に3回の利下げができるのか? 4月からはモノのデフレが収まってきて、橋崩落も物流としては若干の不透明感があります。いくら他の港に振り分け可能といっても、物流は海運ばかりでなく、陸上輸送もある。それが一部地域に偏り、その輸送費が上がると、これもインフレ要因として効いてくることになります。
ただ、あくまで噂ですが、FRBこそ『もしトラ』をもっとも怖れる組織であり、バイデン政権の応援のため、11月までは楽観をバラマキたいのでは? とするものがあります。経済が好調なら現職が強い、これはジンクスですが、雇用も堅調、経済も好調、インフレも収まるのであれば現職に追い風となるでしょう。ただし、最後のインフレが昂進すると、いくら前の二つが調子よくても、バイデン政権は苦境に陥ります。なぜなら今の米国民はインフレに怒っており、バイデン政権よりトランプ政権の経済政策を支持するからです。トランプ政権がインフレの芽を育てたのですが、そういう認識が米国ではもてていません。

もし米国で3月以後の経済指標で、インフレ昂進が確認されると、FRBが困ったことになります。経済を下支えするための利下げ、流動性吸収の開始を、先送りせざるを得なくなるでしょう。そうなると市場はある程度、弱含むことも見えてきます。これまでも、年初の年6回の利下げ、から今は年3回の利下げ、に見通しが悪化しても市場は底堅く推移しています。それは市場の都合よさ、であってシナリオを変えて、今の市場を正当化しているためです。でもさすがに年内の利下げなし、になると耐えられるか分かりません。
これだけ米経済が強いと、利下げどころか利上げが必要です。しかもインフレが再上昇すれば、尚更でしょう。今の経済は、端的にいうと金利だけで好不調を操作できるほど、単純ではなくなった。上げ潮派が主張するマネタイゼイションが、実質的には行われていて、且つ資金調達手段が変化した。国際的に活動する企業は、自国だけで資金を調達する必要はありません。どこもより金利の低い国で調達しますし、自社株買いで担保はたっぷりあり、より有利な条件で資金調達ができる。金利が影響するのは、それこそ個人がローンを組むときなどで、影響は軽微。しかも今、不動産を転がすのは個人ではなく、組織です。

米国では中小の金融機関に、問題がのこっているとされますが、昨年の米政府、FRBの介入によって守られる、と感じています。リーマンショックの教訓で、Too Big To Fail(大きすぎて潰せない)から、Anything To Keep Alive(何でも生かしておく)に変わった。つまりショックが起きることはなくなり、FRBが怖れることは何もなく、強いていうなら破綻した金融機関の救済にかかるコストが高くなることぐらいです。
つまり多少、米経済が悪化したところで、インフレ昂進に伴う急激な景気悪化より、よほど金利を上げた方が問題も少ないといえます。でも、今はそれをするタイミングではない。それが噂の出どころだと推測しています。トランプ大統領による、金融政策への介入が怖い。これはパウエル議長が、ではなくFRBの総意なのでしょう。しかし、米国は日本のような政治家が都合よく経済指標を操作できる国ではなく、インフレ指標は否応なくそろってくるでしょう。それで夏まで耐えきれるか? が今後のカギなのでしょう。



株式市場

3月はとにかく、先物で頑張った。年金などが渋々売りをだし、それを支える必要があったためでしょう。よく「外国人投資家が4月は買う」という人がいますが、これは誤りです。正確には「3月に売った分を4月に買い戻す」です。要するに、3月はこれまで国内勢の下支えが期待でき、外国人投資家が売っても、相場が下がらない安心感があった。だから外国人投資家が利確するのに、絶好のタイミングだったのです。
しかし今年はそうすると下がるので、外国人投資家はほとんど売っていない。逆に、個人の売買が相場を動かすきっかけになるなど、例年とは異なる動きもみられました。なので、新年度入りしても例年とは違う動きとなるでしょう。昨年は、割安株を仕込むことで知られる投資の神様、バフェット氏の日本買いで大きく盛り上がりましたが、すでにバフェット氏も動いておらず、むしろ今の相場とは距離をおいています。相場が割安でなくなったから、バフェット氏の態度は明確に、今の相場は割高と示しています。

ただ、米投資運用会社のCEOが示すように、「まだ日本株はドルベースで最高値を更新していない」とする意見もあります。こんな市場にとって好環境のときに、最高値でないことがおかしい」というのが根拠です。独国など、景気低迷に喘ぎながら、市場は最高値を更新中でもあり、日本も国内景気が低迷しても、市場には関係ない、といいたいのでしょう。しかし日本は強烈なインフレと、景気の低迷が混在する。いわゆるスタグフレーションを意識する水準であり、この受け止めは相当に危険となるでしょう。
しかもここ一ヶ月、株式市場は為替との連動を強めた。円安株高です。日銀の決定会合後、円安にもどって株高にもどしたように…。ただその円安を、財務省が牽制するようになり、もうこの手法がつかえなくなります。そして、日本政府がこれほど嫌がる円安が、市場にとっても精神的に負担となってくると、非常に厄介です。以前から指摘するように、円安株安は外国人投資家が一気に逃げだす契機です。その場合、日本政府は意地でも円安を食い止めねばなりません。ただ、通貨安を食い止めるのは、どこの国も困難を極めます。まだ日本の実弾が多い、とのフラフが通用するならよいですが、そうでないときは深刻です。



政治の不作為と経済

新年度の予算が成立しました。巨大与党ですから、成立は当たり前ですが、問題はその額です。112兆円で過去2番目というのですが、これに補正予算がくっついてくるので、実体はもっと過大です。要するに日本は未だに「デフレ脱却を定着させる」ため、インフレ政策…つまり財政拡張をつづけている点が問題です。
例えばこれで、今年の実質賃金がプラス転換すれば、そのインフレ政策も是と国民が判断するかもしれない。でもプラ転せず、また小売りの縮退がつづくと、日本のインフレ政策は正しいのか? と疑問視する人が増えるでしょう。そして、安倍政権時代にインフレを目指しつつ、インフレに移行しなかった原因は増税、との指摘もあります。ただそのことで、逆に見えてくることもある。岸田政権は財政拡張をしながら、大増税を考えているとの指摘もあります。そもそも今の財政は持続不可能状態であり、実際はインフレ政策をとりつつ、インフレを抑制するつもりでないか? その結果、財政が異常に肥大化した国家ができ上がる、というのです。しかも北欧のような高負担・高福祉ではなく、高負担・中福祉国になるのです。

それは子供手当ての財源などにも顕著でしょう。よくCMで「一日コーヒー一杯分の負担で…」などとやっているのと同じです。一人数百円だろうと、国家単位で集めれば膨大です。そうしたステルス増税を岸田政権は画策する。それによって、インフレは沈静化。実質賃金のプラ転を画策する、というのです。ただし国民負担が重くなり、消費は減退。それでも財政が拡張するので、GDPは何とかプラスを維持。
これが近い将来、日本が陥る姿であって、まさに危険な国家像といえるでしょう。より国の力が強まり、個人の活動は制限され、国に阿る企業、組織がより伸長する。これこそ安倍政権がめざした、戦前戦後の社会主義体制、全体主義とよんでもいいですが、日本の姿であり、不幸と気づけないうちに国民が陥る事態です。

よく未だに「民主党政権のころは…」と嫌悪をもって語る人がいますが、実はこれ、メディアと統一教会、それに官僚などが仕組んだ世論操作に、まんまと嵌っているだけです。戦後70年近くつづいた官僚体制に、民主党政権は楔を打とうとした。混乱して当たり前です。官僚は抵抗し、そのオトモダチであるメディアが協力、共産党を敵視する統一教会がネット世論を動かし、民主党叩きを行ったのです。官僚主導では、この国はよくならない…として誕生させた民主党政権を悪し様にすることで、官僚体制を強固にしたのです。
安倍政権で唯一、評価する点があるとすれば、人事権を官僚から政治にとりもどした点です。今ならきちんとした政治が誕生すれば、官僚体制を弱体化させ、政治主導に転換できる。それでも混乱はするでしょうが、官僚に任せていてはこの国は弱体化するだけ。日本を安売りし、それで「脱デフレを定着」だのと、誤った認識を広めるばかりです。財政拡張も同じ、国民の歓心を買いたい自民の尻馬に乗っているかのようでいて、大増税による財務省の勢力拡大、という官僚の実が伴っている。非常に厄介で、危険な状況です。

今、世界の市場が沸騰して利益が利益を生む、という循環です。多少損をしても、国が大量にばら撒いているお金をアテにすればいい。さらに資金調達手法の多様化、これで今のところ万事がうまくいっている状況です。でも、これがいつまでもつづくわけではありません。特に日本は、円安頼みの経済で内需は低迷、国債依存が強い今の財政を、健全化させる見通しもたたずに増税の一本足頼みで何とかしようとしています。
このままだと、次の危機に耐えられないばかりか、日本が一番出遅れになることが必定でしょう。今のうちに次の危機にどう耐えるか? 米国はそのために金利を上げ、利下げのスタンバイ状態にあるのです。ただしインフレがその目論見通りに下がってくれるか? 今、政治が動いておかなければ、様々な点で不都合が生じるでしょう。このとき、日本の政治、経済が統一教会に足をとられ、未だにその呪縛から逃れられないのが問題です。それこそ、関西の企業に問題が頻発する、これが日本全体にも…そんな不安もあります。日本は今こそ、既存の支配体制から脱却しないと、次の成長を描くことさえできないのかもしれませんね。

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analyst_zaiya777 at 00:33|PermalinkComments(2)政治 | 経済

2024年03月19日

日銀が金融政策を変更

日銀がマイナス金利を廃止し、当座預金に付利0.1%をつけ、YCC(イールドカーブコントロール)を撤廃、ETF、J-REITの購入も停止、と金融政策を変更しました。これを「普通の金融政策にもどる」という人もいますが、「異常すぎる金融政策」が「異常な金融政策」にもどっただけで、正常化の道のりへの第一歩というだけです。何よりまだゼロ金利近傍であり、現在の日本のインフレ率に比べて、政策金利が低すぎる。またETFもREITも、購入したものを吐きだしていないですし、それは大量に買った国債も同じです。つまり量的緩和の、量を増やすことは一旦止めます、というに過ぎず、バランスシートは拡大したままなのです。
そして、長期金利から短期金利への誘導目標を変える、といいますが、金利を引き上げていく状況にないのは、このバランスシートも影響します。以前から指摘するように、引き締め段階では国債の価額が下がっていきます。日銀が大量に国債を抱えたまま、引き締めに入ると日銀の資産価値が目減りしていく。国債はバランスシート上、処分しない限り時価でカウントする必要はありません。でも、各国でも量的引き締めと、質的引き締めは同時に起きてきたのは、このバランスシートの問題が大きい。次に日銀が動くとしても、大量となった国債保有をどうするのか? その議論からスタートしなければいけなくなるでしょう。

日本株は昨日から、大幅高です。あくまで噂ですが、この大幅高を演じたのは財界。つまり政財界と日銀が仕組んで、この状況がうみだされた、とするものがあります。10-12月期のGDP改定値を、わざわざプラス転換させたのも、テクニカルリセッション、つまり景気後退に陥った中でマイナス金利政策の解除などできない。これは政治の協力です。そして財界が求めているマイナス金利の解除、だから財界も協力せざるを得なくなった。大企業の賃上げが5%を越えたのも同様です。労組の要求よりも高い賃上げ、も散見されましたが、これは経営者が心を入れ替えたわけではなく、別の思惑がある、と専らです。
ROE、企業統治改革にしろ、企業はここ数年の自社株買いを活発にしてきました。それは積み上がった内部留保の吐きだし先でもありましたが、株主還元を重視して、従業員に報いないままだと、いずれストや暴動など起こりかねません。なので利害が一致した、ここで協力しておく…が、企業の判断です。企業はそのために、日産などでも明らかになったような下請け叩き、といった原資をかき集めてきた。そして資材高以上に値上げをしてきた。その結果、日本の個人消費が停滞しようと、企業は原資を蓄えてきたのです。コロナ明けという特需で、景気が著しく失速しない昨年だから可能だった対応といえるでしょう。

そして4月になると、能登地震の影響で1-3月期の数字がかなり気がかりなものとなる。また中小の賃上げ状況など、恐らく3%にも満たないかもしれない。引き締めをしている状況か? といった疑問符も高まったでしょう。いずれにしろ政財界がおぜん立てをし、日銀も動いた。むしろ動きたかったけれど、岸田政権からは「円安を何とかしろ」とせっつかれたけれど、動けない状況がつづき、政財界に協力をお願いしてやっと達成された引き締めということです。黒田バズーカ…今では黒田バカという表現の方が適切かもしれませんが、それを終わらせるために、ここまで異常なことをしなければならなかった、という顛末です。
ただし、これは正常化ではなく、あくまで第一歩にすぎず、今年の日本経済はかなり悪い。まず物価高がつづくと、賃上げ、人手不足に耐えきれない企業の倒産が続発します。そればかりか、日本は高齢化が激しく、年金がマクロ経済スライドであるため、年金受給者の消費減退が確実に起こります。つまり物価に年金が追いつかない。さらに非正規雇用の賃上げは、すすむ見込みがない。そもそも非正規雇用は人件費でもない。下請け叩きをしている大手など、事業費として契約しているものを変える気もないでしょう。つまり実質賃金がプラス転換すれば御の字ですが、それでも小売り、消費が増えない可能性があります。物価高を吸収できるかどうか? そこはまだまだ見通せず、見通せないうちに引き締めた、というのは、それほど円安のダメージが日本に蓄積し、守りたい大企業さえ怪しくなりつつある、というのが現状なのです。



そしてこの株高、財界が協力したもう一つの理由が、年度末のこのタイミングで金融政策を変更すると年度末に株安となりかねず、そうなると企業としても困るからです。4月まで待てない、だからここで動く、財界も何とかせざるを得ず、今月に入ってから先物で市場を支えようという動きが活発でした。しかし7日辺りで米市場が変調、そこに日銀の動きが重なり、市場が大幅安となった。先物買いが負けた形です。しかしずっと反転を狙い、今週に入って仕掛けてきた。日銀が動くことで、海外勢などの一部が売りを入れていたのを、この大量の仕掛けで巻き戻さざるを得ず、今週の大幅高につながっています。なので、これは相場が織りこんだ…だの、日銀が上手くやった…わけではなく、演出された株高と考えた方がよいでしょう。
ただ、嘘からでた真ということもある。この後はじまるFOMCで、株高を正当化できれば御の字、一方で失敗するとこの先物買いをどうするか? という話になります。最近、数週間連続で信託経由の現物は大幅な売り、先物は大幅な買い、現物は年金売りが絡みますが、この先物買いは説明がつかない話です。これが国内勢の下支え。しかしいずれ吐きだしてくるでしょう。年度末までは保有するかもしれませんが、それすらFOMC次第となるかもしれません。最近、BitCoinなども話題ですが、インカムゲインのない先物は、実は保有するだけでもリスクが高いのです。国内勢の大量の先物買いは不安でしかありません。

また今日の為替は円安にふれました。そして、場中は株高を演じましたが、夜間取引では先物で下落してきた。円安株安です。当然、今日は不規則な動きで説明がつかないかもしれない。でも、こうしたことが重なると、外国人投資家の懐疑的な見方が増えます。安倍ノミクスでも、大量に買った外国人投資家が、一転して売りに回ると市場がかなり下がりました。今の市場も同様でしょう。為替変動の大きい日本は、それだけでリスクです。昨今は通貨安の国ほど株が上がる、傾向がありますが、逆回転を起こしたら大変で、日本ばかりでなくこれは全世界も同じ。でも先進国で、この構図で株高を演じるのは日本だけです。
日銀が「長く金融緩和をつづける」と強調し過ぎたせいで、逆に2000年の悪夢を想起させた面もあるでしょう。要するに00年8月にゼロ金利を解除、01年3月に復活させた。7ヶ月の悪夢です。またマイナス金利復活がありそう…市場はそちらのシナリオを強めました。それは上記したように、今年の日本の景気は危うく、スタグフの懸念すらあるのですから、当然です。そして円安に動いたことで、政財界から「どうしてくれるんだ!」の大合唱さえ、日銀を襲う。そうした経緯を踏まえたのなら、円安はすすんでいくでしょう。

国債の買い入れだけは、日銀は継続するとした。それは政治が一向にバラマキを止めないから、と読み解くこともできます。マイナス金利は、市場の貸し出しを増やさない金融機関への、懲罰的な意味合いが強かった。しかし今、金融機関の決算は絶好調。それはコロナ禍で、政府保証のついた貸出を増やしたから。それが少しずつ剥落する。これもマイナス金利を解除して欲しかった要因でしょう。あくまで「正常化へ向けた第一歩」というのは、結局こうした不都合な面を、少し抑えようとするだけでしかなく、量的緩和を少し減らしたに過ぎないからです。「がらりと変えた」という人もいますが、市場の受け止めがそうであるように、思っていたより植田総裁はチキン、という受け止めが円安に動いた要因でもあるのでしょう。
最後に、岸田首相が「潜在成長率を倍増」と息巻いて景気対策などを打ちだしていますが、恐らくここがダメな部分です。めぼしい成長戦略はなく、倍増したところで米国に遠く及ばない。潜在成長率がゼロ%近い、というのが日本の絶望的な部分なのです。結局それは少子化、経済が縮小していく国で、バラマキをしても、業務効率化や生産性を上げたところで、縮小のスピードはそれを上回ってしまうからです。そこに楔を打つ施策は、何もありません。そこに来て、これまで経済、市場を支えてきた日銀の『異常すぎる金融政策』が限界を迎えつつあり、一部を見直した、が今日の動きです。決して安泰に終わるわけでもなく、これからまだまだ紆余曲折しながら、政治が『異常すぎる』現状が代わるのを待つしかない。そうでないと日本の出直しなど、到底無理ということになるのでしょうね。



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analyst_zaiya777 at 22:32|PermalinkComments(1)政治 | 経済

2024年02月22日

日経平均が史上最高値を更新

日経平均が約34年と2ヶ月ぶりに最高値更新です。ただ以前もふれたように、大した話ではありません。当時は公定歩合など、様々に日銀の政策の失敗により急激な株高と、急落という憂き目に遭いました。今も日銀が株を買い、さらにインフレにもかかわらず実質金利を低く抑え、バブルを演出するのですから、そこは同じです。一方で、企業の稼ぐ力は落ちて、ただ企業数が増えているので時価総額のレベルでは大きく上昇。しかし内需の低迷、日本の低成長を映して稼ぐのは海外。外国に進出するか、買収して連結に組み入れるか? いずれにしろそういう形に変化しており、構造が全く当時とは異なっており、そこは違います。

当時もブラックマンデーが起こり、株が暴落。そこで日銀は引き締めるのが遅れました。今もコロナ禍とインフレ指向により引き締めが遅れています。問題は、当時は遅れたといってもすでに日銀は最高値をつけるときは引き締めに転じていた。ただ市場はそれを過信し、まだ大丈夫というシナリオを描いていたから、高値をつけたのです。今は緩和もまだつづくし、さらにつづける、という。これで世界的なショックが起きたとき、日銀は打つ手もなく傍観するしかなくなります。ショックよ、起きないで、と祈るばかりです。
今回のことで、市場が新たな局面だの、節目がないからどこまでも上がる、などという人がいますが、まったく意味不明です。チャートはただの経験則、節目を意識するのは運用担当者だけで、企業の価値とは異なります。企業の稼ぐ力が今後もつづくのか? それだけが重要です。

今日の上昇は、nVidiaの業績見通しがよかったことがきっかけですが、どう考えてもAIだけ。つまりnVidiaのようなGPUの企業しか恩恵のない話です。パソコン、スマホ、EVなどは不調で、日本の半導体株はかなり危ない状態です。ただ半導体、と今は一括りにされているから上がる、というだけ。そして問題は、nVidiaもそうですが、生成AIなどを中露が開発することを、欧米がどこまで容認するか? それによっては規制が強まり、nVidiaの売上にも影響する点。つまり政策によって紆余曲折がある点です。
以前から指摘するように、AIで儲けられるビジネスモデルをつくるのは大変です。生成AIでできた映像、などといいますが、正直きれいだし、よくできているとは思いますが、もしあの映像が映画で流れても、それを見たいとは到底思えない。人を感動させるものではありません。正直、悪用する側により便利につかえる、というだけ。使い道が極めて薄い、学校の文化祭などで自主映画をつくりたい人にはいいかもしれませんが…。そうなると、わざわざ高額のコストを払ってAIをつかうか? とは思えないのです。AIが本格的に、それをビジネスとして収益化するよりも先に、軍事や煽動といった悪意が上まわり、大きな規制がかかることも予想されます。今のAIバブルは、そこで終わるかもしれない危ういものです。

内需にもふれておきます。日本の生産性が落ちた、労働生産性が低い、などといわれます。しかしまず小泉政権で、非正規労働を拡大したので、日本の付加価値は否応なく低下しているのです。なぜなら非正規労働は、汎用性のある、誰にでもできる作業しかさせられないから。いつ人員が代わってもよいような仕事しかさせられないから。そして価格も重要で、デフレ局面で企業が機械化といった形で生産性を向上させても、価格を上げられないと付加価値としてカウントされない。こういった面が影響します。つまり政治の失敗で、日本の生産性が横ばい、もしくは下がった以上に、海外が上がってしまっているので、日本はとり残されたのです。自民党政治が、経済運営に失敗している構図が、ここに集約されます。
安倍ノミクスなどで増えた労働人口も、女性と高齢者。これでは生産性向上には寄与しません。また今はインフレだから、価格転嫁ができているじゃないか、という意見もありそうですが、今の価格転嫁は円安による資源高の転嫁ですから、これも意味がない。逆に円安のコストを転嫁できなければ生産性はさらに下がる、そういう構図です。日本の内需がぼろぼろなのも、日本のGDPが上がらないのも、労働者を蔑ろにしてきた政治の結果です。では、今の賃上げ機運とやらで何とかなるのか? そうはなりません。海外で稼いだ企業は、そのお金を国内に還流する。ただこれは海外で働く人たちにとっては裏切りです。自分たちが稼いだ金を、自分たちに還流しろ、となるでしょう。非常に危うい構図の賃上げです。

GDPは2四半期連続のマイナス、今期もマイナス予想の中での株高。つまり日本の株価は、日本の国内事情に関係ない、ということを如実に示したのが今日です。だから政治がこれを成果としたり、市場関係者が「日本の新たな夜明け」などというときは、懐疑的にみておくべきでしょう。世界の流動性バブルがつづくなら、株価も堅調ですが、そうでなくなったら急落が待つ。そのとき日本は支える力がない、と気づくはずです。よく「日本の独自材料が…」などという人もいますが、関係ありません。日本人でさえそんな事情を知っている人の方が少ないのに、何で外国人がそれを評価するの? と考えるまでもなく分かることです。ただ「今後も上がる」と考える人が多いときに上がる。これが株価の需給です。
そして供給サイドである発行済み株式も、自社株買いで減っていく。今はこうした需給の改善が、株高を指向している。これが今回の株高の主因です。日本の実質金利が大きなマイナスなので、本来であればもっと株高でもおかしくない。PER教の教祖様たちは、米国などでも実質金利が低いから、今のPERは容認される、といった言い方をします。ならば日本株は、もっと高いPERも容認されるはずですが、そうは言わない。それは日本企業、その株価が国内の金利にあまり左右されないから。経営難の企業には金利負担が重荷ですが、特に今、業績が好調な外需企業は海外で資金調達をしており、関係ないのです。残念ながら、日本の株高はあくまで米経済の堅調さを、裏映ししただけのこと、とは憶えておくべきことです。

歴史的な日であることは間違いありません。ただそれが日銀の不作為と、米国の堅調さで成し遂げられたとなると、喜びも半減どころか、一切の歓びもありません。日本経済が成長し、国民が豊かになって、その上で株高となったときが真に日本人が喜べるときです。こんな見せかけの株高で浮かれているから、日本の生産性が低下したんだろう…と、逆に暗澹たる気持ちになります。一言付け加えておくと、1989年当時は対ドルで138円、今は8%ほどの円安なので、ドルベースではまた1989年には届いていません。
一つ付言しておくと、こういう相場のときに割高だから…などの理由で逆らっても、損をするだけです。バブルは終わるまでは、どんなに割高だろうと、実体を映していなかろうと、上がるものは上がる、と腹をくくった方がいい。そして変調のサインをしっかりと見極め、タイミングを間違えないこと、です。米国もそうだったように、だらだらと上がり続ける。PER20倍を超えても上がる。PER教の人々なら割高と言うべきですが、彼らはそう言わない。ナゼならPER教とは結局、株高の理由付けをそうしているだけだから。そういう米国の例もありますから、日本株も何が、どこまでつづくかはよく分かりません。今の半導体株の上昇率だけが、異様に高い歪さをどこまでつづけるか? その先に新たな材料が見つかるかどうか? 色々と見極めポイントが多い、難しい時代になっていることもまた、間違いないのでしょうね。

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analyst_zaiya777 at 23:57|PermalinkComments(14)経済 | 

2024年02月17日

市場の動き

コメントをいただいたので回答欄で返そうと思ったのですが、長くなりそうなので記事にします。ブログを終えます…と書いておいて節操がないといわれるかもしれませんが、ご容赦を。

今週の相場の盛り上がり、これは中国が春節の休暇で、市場が開かなかったために日本に資金が流れてきたためです。そして米国の第三週、以前から指摘してきたように米国版SQ週にあたり、米株市場が堅調になる上げの特異週でもありました。そうしたことを見越し、16日は国内勢まで乗っかって史上最高値を目指した、というのが真相です。つまり需給が極端に買いにふれたことで起きたのです。
中国に投資していた人が…と語る人もいますが、中国の不動産開発会社は、今や投資組合のようです。中国の不動産市場は、建設する段階で購入資金をあずかる形で、この仕組みだと不動産開発会社が多額の融資をうける必要がありません。しかし、今や中国政府が不動産開発会社の支援のため、多額の資金をつぎ込んでいる。そのお金がどこに流れているか? それが世界の株式市場です。彼らは投資運用で得た資金を、会社の運転資金にしている。だから休んでいるわけにはいきません。春節休暇で開かない中国市場が再開するのを待つ余裕はありません。以前から指摘するように、中国人は上海に上場する日経225のETFだけを買っているわけではない。一般人はそうでしょうが、企業や団体、それこそ中国共産党系の富裕層は、様々な仕組みで外国の資産を買い漁っている。その一端が、今週は強烈にでた、ということです。

春節明けの来週、この中国人の動きは一旦止まるでしょう。ただ問題は、国内の『その気になった人たち』の動きです。史上最高値…こんなものに何の意味もありません。当時と今は、市場構成から何からまるで違います。ただ時おり「PERがあの頃と比べて…」と語る人もいますが、これも何の意味もありません。株価が下がると、予想収益を下方修正してPERの方を合わせるようなことをするのが市場関係者です。
例えば半導体株、今年は上げが顕著ですが、そもそも業績は減益との予想をだしています。それが減益幅を縮小、という報道でさらに一段高。業績の良かった昨年度より、今年度の方がかなりの株高。これは来年度の業績改善を織りこむ…などと語られますが、今のところAIぐらいしか半導体で伸びる分野がない。EVは一服してハイブリッドシフト、などと語られる。パソコンも2025年のWindows10のサポート終了をみて、買い替え需要がすすむのは来年。スマホもこれからは買い替え需要ぐらいしか見込めない。半導体株を買っておけばいい、というシナリオに酔って今は踊っているに過ぎず、先行きは不安しかありません。

残念ながら、市場のシナリオがいつ崩れるか? それは誰にも分かりません。月末のPCEデフレーターかもしれないし、もっと先かもしれない。昨年末までの「今年は円高、米国では利下げ、日本はマイナス金利解除」といったシナリオは、2ヶ月と経たずに修正を余儀なくされつつあります。市場とはかくもいい加減で、また手に負えないものです。今の株高を正当化できるような材料は何もありませんが、バブルになった今、大切なことは需給です。需給さえ崩れなければ株価はもっと上がるし、崩れたらフリーフォールとなるでしょう。そのタイミングは、中国の政策転換かもしれない。外国人投資家が買い上げる今の相場は、結局は海外の動きによって左右される、脆弱な相場でしかない、ということです。
GDPが2四半期連続でマイナス、日本経済は未曽有の危機です。岸田政権は「インフレの好循環」という言葉をつかいますが、2年間も実質賃金がマイナスで、コロナ明けという特需も消え、今年は極めて厳しくて、今さら好循環? というレベルです。これで円安インフレが再び襲うと、恐らくもう日本経済は耐えきれないでしょう。1-3月もマイナス成長が予想され、日本の景気悪化が、外国人投資家が逃げだす契機になるのかもしれません。いずれにしろ日本の政治の無策と、日銀の動きは外国人投資家にとって、失望に近いものがあるはずです。円安株安、この最悪シナリオに備えた方がよいかもしれません。今後、どれぐらい上値を追うか? それによっては崖はかなり急角度になる、と予想されますからね。

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analyst_zaiya777 at 20:41|PermalinkComments(8)経済 | 

2023年12月30日

日本の政治について

来年の政治は、非常に混沌とした状況が想定されます。しかし混沌とするのに、凪かもしれない。それは岸田首相の鈍感力が底なしだから。この人のズレは、恐らく未曾有なレベルで、福田元首相は「私はあなたとちがう」と、記者に逆ギレして有名な言葉をのこしました。しかしそれは、情勢をよく弁えていたからこそ、出た言葉です。しかし岸田氏は、情勢が全く分からずに混沌を長引かせる最悪さですが、それを本人が自覚できないから、安穏とその地位に居座り続けられる、という展開が想定されます。



岸田政権の最期

まず昨日も指摘したように、今の日本には『運が悪い』という言葉が蔓延します。西村氏の支援者がTVのインタビューで、パー券問題は『運が悪かった』と言い放つ。悪いことをしたことが問題なのに、それがバレて『運が悪い』という。最悪で、日本を腐らせる言葉です。若者が覚せい剤で逮捕されても、この言葉で済ませ、反省もない。西村氏の支援者が、みんなこんな考えなら再選も可能でしょうが、もしそうなら日本は衰退もやむなし、の国となることが確認できます。治安の悪化や、社会的なまとまりが失われるからです。
安倍派のパー券問題は、文春が検察は西村前経産相がターゲットとします。一部メディアで、100万円とその額が報じられましたが、そんなはずがありません。それ以外でも、パー券を買った人が一人も出席しない政治パーティーが報じられた。そこに出席したのは、講師を呼んでいるから、その講演を聞くために集まった官庁の職員だった、などという疑惑もある。こんなお金に汚い人が、こんな旨い汁を吸える仕組みをつかわないはずがない。これまで池田氏が4000万円、大野氏が5000万円とされますが、もっと多い可能性もあります。

検察は昨年、薗浦元議員が罰金100万円、公民権を3年停止、という略式命令をうけた、4600万円の不記載となった例を参考に、その程度の額を目途にしているようにみえます。しかし薗浦氏は、単なる不記載であって、その使途が問題にされたわけではない。今回、一部のメディアで「その使途が問題となる」といった報道もありましたが、薗浦氏はそうでなかった。色々と取り調べの状況も漏れ伝わりますが、使途まで問題にしている風はない。そもそもお金に色がついていないので、使途を明確にするのは困難が伴います。
今の風潮は、数百万円でも政治家がズルをして裏金をもらった、は赦せません。薗浦氏は一人だったし、金額が大きいので罪に問われた。しかし今回、組織的で悪質さは増す。しかも薗浦氏は3年、安倍派は20年以上、と悪質さは桁違い。それこそ額に限らず起訴は可能です。それを躊躇う唯一の理由は、政治の混乱だけでしょう。今、岸田氏は検察の動きを止めていない、といいますが、どこに線を引くか? それ次第では安倍派の議員は、全員起訴もあり得ます。まずそうはなりませんが、4000万円は一つの目安でしょう。

西村氏は岸田政権でも閣僚だった。これは打撃になりますが、首相を狙うネクストを潰す、という意味では大いに役立ちます。安倍派解体に向け、世耕氏や萩生田氏もつぶしたいところですが、そこまでやると恨みを買う。しかしこれは高市氏つぶしにもなる。ネクストどころか、ライバル潰しにも使えます。要するに、誰をつぶすか? 岸田氏はその皮算用に余念がないところでしょう。ただし国民には総スカン、結局は自民党全体の失望につながるので、その線引きが難しいところ。しかもその対策も打たなければなりませんが、年内に新組織と報じられた後、それが年始にズレこんだ。ただこの試みは失敗するでしょう。
20万円以下も名前を記載、などというお茶濁しで国民が納得すると思っている、岸田氏のおめでたさです。端的に、解決策を示すなら政治家マイナンバーをつくり、口座も登録し、その口座を通した資金のやりとりはすべて国が管理する。マイナンバーで国民にさせたことを、政治家自らしてみればいい。寄付もすべて電子記録として残り、それは公開される前提です。公開という点が異なりますが、国民がしていることなので、政治家を特権階級としないのなら、同じ目線に下ろせばいい。政治は金がかかる、などというイイワケは、このインフレ下では「国民だって生活に金がかかるんだ!」という怒りにつながる。同じ目線で、何をどうつかっているかをすべて明らかにする。そうでないとこの問題の幕をひくことはできません。

幕をひけないが、岸田氏にその幕はひけないかもしれない。ナゼなら、岸田政権そのものが幕引きとなりそうだからです。今、岸田氏は麻生派、茂木派に支えられます。しかし茂木幹事長は面従腹背、いざとなったら裏切る可能性が高い。だから二階派を切れず、二階派の閣僚は派閥離脱、という変化球をつかいました。この四派がまとまると、やっと過半数です。安倍派と無派閥、森山派が敵にまわっても戦えます。
でもこういう計算は、得てして机上の空論です。支持率20%の岸田氏なんて、支える必要がありません。恐らく麻生氏も、茂木氏も、安倍派の恨みを一身にうけた岸田政権を退陣で党内は手打ち、と考えているフシがある。安倍派から四、五人の逮捕者をだして、その責任を一身に背負って、来年の自民党総裁選ではもう岸田氏を推す派閥はいなくなる。岸田氏は全員から総スカンを喰らって、何でこうなったのかも分からないまま、総裁選で敗北するシナリオです。岸田氏の心は荒れるでしょう。安倍元首相からも、次期総裁を約束されながら反故にされつづけ、やっとなれた総裁でも、全員から総スカンで退陣させられるのですから。

でも人の心が分からない、皮算用が下手、計略も上手くない岸田氏に、総裁を続けて欲しいなんて誰も思っていない。国民も、自民党議員も。だから岸田氏の心の荒れ模様とは裏腹に、政局的には凪のまま、自民党総裁選はすすむはずです。岸田氏は、悲劇と思って総裁を去りますが、誰もがめでたしめでたし、と思う。そういう宿命を背負った人なのでしょう。誰からも愛されず、誰も愛せず、去っていく人です。



安倍派のいく末

問題は、パー券問題でガタガタにされた安倍派です。次に選挙をしたら、間違いなく安倍派の議員は安泰とされた選挙区でも、大波乱になりかねない。何となく自民党だから…で投票していた人は確実に離れます。それは他派閥でもそうであり、安倍派となったらもっと深刻です。これまで安倍派はお山の大将をめざす人ばかりで、まとまりがなかった。しかしもうまとまるしかなくなる。数は減るだろうし、このまま分裂すればじり貧です。むしろ総裁をとる、そうして検察、司法をコントロールすることを考えるでしょう。
その意味で、高市氏は好ましくない。この変節漢政治家は、安倍派に入らずに安倍派を乗っ取ろうとする。もっとも嫌われる政治家タイプで、危急存亡の時に担ぐタイプでもない。政調会長の辞任を叩きつけた萩生田氏でまとまる、との憶測も流れますが、逆に萩生田氏では他派閥が不服で、誰もが乗れる政治家でもない。加計氏とも近く、安倍政権の闇の一端を担っていた人です。安倍人気も凋落する中では心許ない。

高木前国対も、パンツ高木の悪評がまたぶり返し、世耕前参院幹事長も、松野前官房長官も今回の件で事務総長としてどういう処断が下るか分からない。西村氏も危うい。座長の塩谷氏は今回のパー券問題を白日の下に晒した戦犯。かつて次期安倍派のリーダーに育てようとした稲田氏など、今では安倍支持層から「裏切り者」呼ばわりされるぐらい、発言が乖離した。誰がなっても癖つよで、安倍派をまとめていく人が見当たりません。安倍支持層を意識するなら萩生田氏でしょうが、国民と党内の支持は得にくいでしょう。
仰天案は片山氏、丸川氏、森氏といった女性をトップに立てる。勿論、傀儡ですが、イメージ上はよくなるでしょう。松島氏、杉田氏、松川氏ではそれこそ火に油で、失敗が目に見えるので上記の三人です。ただ自民党総裁選に出すレベルの力はない。そこで誰に乗るか? 私は菅前首相ではないか? と睨んでいます。もう高齢で、最近では話もたどたどしくなり、耄碌とも伝わりますが、安倍派がまとめて乗るには安倍氏を支えた菅氏しかいない。そして菅氏がでるとなると、河野氏の出馬も難しくなります。



自民党総裁選の行方

上記したように、安倍派は菅氏に乗るかもしれない。一方で、それ以外の対抗馬は誰か? 最近、石破氏が色々と語っていますが、部外者の評論家っぽくて、自民党内では総スカンでしょう。河野氏も菅氏なら立ちにくく、辞退するとなると、対抗馬は女性となるはずです。高市氏は前回もそうだったように、党内の人気は低い。野田氏はもう無理でしょう。上川外相や林官房長官は、まだ名前が浸透していないし、何より岸田氏が哀しみの中で消えていくとなると、同じ岸田派から立っても支持が集まらない可能性が高い。
人事は紆余曲折、それこそ思惑が交錯して日々刻刻、情勢が変化するものですが、あえて大胆予想をするなら、小泉進次郎氏を立てるのでは? とみています。『小泉構文』や『ポエト』などと悪評も多いですが、期待する人も多い。岸田政権にかかわっていない点も大きい。自民党が下野する可能性もある次の参院選、そして衆院解散に向けて、仰天人事とするのなら小泉氏を立てようとするでしょう。そしてそれは、菅氏を超える期待を集める可能性があります。実は、自民党には次期衆院選を怖れる、そんな要因もあります。



次の選挙のタイミング

上記したように、次の選挙のタイミングは微妙です。政局が凪、と書いたのも、来年は自民党が選挙をするかどうか悩ましい一方で、再来年は参院選を迎え、衆院解散とからめてダブル選挙にする可能性が高い。しかしそこに16年周期の問題がある。自民党が下野したのは1993年、2009年、16年の間がありましたが、その次が2025年となるのです。来年でも、この周期問題は降りかかるし、衆院の任期となる2026年とて、16年の周期に大体合ってきます。そう、自民党は2025年前後、選挙をするのがとても怖いのです。
今年、岸田氏の解散を指摘していたのも、実はこの周期を意識し、また国民の間で話題になると、嫌が上でも自民下野というのが選挙の焦点になってくる。だからその前に、解散して選挙を先延ばしにするのでは? とみていたためでもあります。参院選では政権交代がなく、衆院選が重視される。だからこそ2025年前後、の衆院選が余計に注目されるのです。そこを乗り切るためには、人気者をトップにおきたくなる、それが自民の事情です。愈々、小泉氏の出番、となるのはそういうことです。自民としては何としても、政権交代を防がなければいけない。なりふり構っていられない。女性首相を立てるのは、その後で十分でしょう。



野党の動き

維新は大阪万博問題が直撃します。いくら国に責任を押し付けても、維新がごり押ししたことは誰でも知っている。建設費、運営費がますます予定よりかかり、国民は怒り心頭です。吉村府知事は否定しても、夢洲の開発を国費もつかってすすめ、後のIR計画をすすめようとした腹黒さは誰でも知っている。その結果、全国民にツケをまわす、こんな維新を誰も信用しません。未だに安倍支持層の一部と、橋下氏の支持者がいますが、上記した西村氏の支持者のように『運が悪い』論をぶち上げるなら、この政党は腐敗が蔓延しても宜なるかな、です。それが意識されると、全国区を夢見ますが、挫折するケースが増えるでしょう。
同じゆ党の国民民主も、微妙な立ち位置です。教育無償化を実現する会(教育会)に分裂した結果、比例の票が確実に減ります。前回は比例復活した、鈴木氏などは危なくなるし、接戦を演じた浅野氏もかなりヤバい。岸田政権に協力し、臨時国会の補正予算などに賛成した印象は強く、国民の岸田嫌いが国民民主にも向かいそうです。玉木氏、西岡氏、古川氏は地盤がしっかりしますが、それとてどうなるかは分かりません。参院選になったら、さらに参院議員の多い国民民主はかなり危ない。労組系が多いですが、その労組系が弱体化しています。岸田政権の抱き着きで、元議員が補佐官になったこともマイナスに作用するでしょう。

一方で立民、共産党と労組との綱引きが難しいですが、嫌自民党の票が集まるとしたら立民しかありません。16年前の政権交代で、政権をになった経験がのこる政党です。これは国民民主、教育会も同様ですが、数が少な過ぎて話にならない。やはり嫌自民票は立民か、共産にしかこない。共産は独裁の批判から、票は伸びにくいですし、そうなると立民だけが嫌自民票の受け皿です。ただし、党内が今は平穏。それは政権奪取という目標に向けて、一枚岩になれるから。ただしまたぞろ政権交代を果たし、党内の権力闘争などをはじめたら、今度こそ終わりです。政権交代をした暁に、小沢氏が黙っていられるか? が問題でしょう。
とにかく、今の日本は自民党的なもの、がもう限界を迎えているのです。インフレにすれば経済的なことはすべて解決、といっていたのに、なってみたら国民の生活は苦しくなるばかり。今は来年度の賃上げ、好循環ばかり語られますが、そうならなかったら? 昨年もこの時期、同じことを言っていなかったか? それで今年度は実質賃金のマイナスがずっと継続、という最悪を迎えた。来年度も同じことが起こったら、愈々国民の怒りは政治に向かいます。そのとき、立民が魅力的な政策を打ちだせるか? これが大切です。

これまで野党といったら、バラマキで国民の歓心を買うことが多かった。でもそのバラマキを安倍政権が利用し、またバラマキによって国が抱えた借金は天文学的、もうGDPの2倍以上の負債を抱えて、税金をとることばかり考えるようになりました。安倍政権から始まったツケ暮らし、その返済の段になって皆が困っているのです。そのとき、またバラマキを訴えても国民から厭きられます。メリハリのある経済、財政政策が必要です。そして少子高齢化、むしろこの対策が最重要といえ、ここに目玉をもってきてもよい。
一人親への手厚い支援や、同性婚をみとめ、養子縁組や子供を育てたい家庭への支援。また子供を育てられない、それは経済的な面ばかりでなく、例えば病気などで子育てが難しい、というケースへの対応の充実。自民は各家庭が育てろ、女性が家に入って子育てしろ、という方針ですが、そこと大きく軸を変えるのです。高齢でも、もう一度子育てをしたい。もしくは子育てをしたくとも、事情で子をもてなかった家庭など、育てたいと思う人たちを支援し、逆に育てられない人とのマッチングをすすめる。赤ちゃんポストの仕組みを、もっと日本中で活用できるようにして、産む人と育てる人を別けた考え方も必要なのでしょう。

どの道、こうした子育て政策は、安倍支持層の反発を招きます。ここの票を期待することがない、立民だからこそ打ちだせます。逆に、立民ぐらいでないと出せないのです。維新も国民民主も、安倍支持層を自民ととり合う政党だから。子育て政策とて期待ができない。そして立民がこれを打ちだせば、維新や国民民主とも決裂するでしょう。支持層からの突き上げで、維新や国民民主が撤回を求めてくるからです。
政局は、自公、維新と国民民主、そして立民と共産という三つ巴の形で推移するのでしょう。どの道今の自民は大き過ぎて、もう統制が利いておらず、悪事に手を染めても反省すらない。しかもそれを処断する人間も、悪事に手を染めているのですから始末に負えません。それでも利権団体と、これまでの付き合いで官僚は何とか自民党政権を支えようとする。しかし最早、浮動票を獲得した政党が政権をとる。そういう不安定さを増してきてもいるのです。安定した政権運営は、逆に腐敗の温床となる。常に緊張感のある政治、それを真に国民が求めるなら、逆に立民と共産に頑張ってもらうしかない。そんな事態でもあるのでしょう。



社会について

社会についても少しふれておきます。日本が良い国になるために、政治ばかりでなく、日本人がグレードアップしていかなければいけません。ハッキリ言って、宗教は停滞、安寧は促しますが、質を上げてはくれない。教え、というのはそういうことです。考えることを放棄させ、方針に従わせる、という側面は人間を育てません。統一教会、エホバの証人、社会との乖離、科学や医療との乖離も大きくなり、もはや人々に害のあるものとなってきた。アップグレードできない組織の、それが限界でもあるのです。
そして組織の腐敗も目立ってきました。企業不祥事は枚挙にいとまなく、就職しても安心して働いていられない。しかし未だに旧態依然とした労使関係や、再就職に不利な状況など、これも社会がアップグレードできず、弊害が日本の成長を押さえる要因となっています。制度がもう古臭くてつかえないのです。それを享受するから、企業はその中で不祥事に塗れますし、うまいことやった者勝ち、として社会の抜け穴、制度疲労に乗じようとする。結局、そうしたものをしっかり見ていかないと社会は上手く立ち回れません。

そして教員や、警察官、自衛官の不祥事が相次ぐことも問題です。かつて聖職とされたものが、今では性職と呼ばれる。それは不祥事を隠蔽したり、それをした者を擁護する体質が、すべての元凶であって、悪いことをしたら罰せられる、という当たり前を取り戻さないといけません。逆に、隠蔽や擁護に回った者は、同罪として断罪する。一方で罪を糾弾し、白日の下にさらした者を表彰する、ぐらいの大転換も必要です。そうして組織が是正され、マインドが刷新されればふたたび聖職としての地位を得られるでしょう。教員のなり手がいない、などともされますが、だから守る、という体質では益々なりたい人が減ります。未成年と性的な関係をむすびたい輩ばかりが目指す職場となっては、さらに疲弊していくだけなのです。
政治家が不祥事まみれの中、こうした公職まで、好色になる必要はありません。悪いことをしたら罰せられ、やり直しなんて利かない社会。失敗のやり直しが利かない、ということは問題ですが、犯罪をしてやり直し、なんて本末転倒なのです。まず犯罪をしない、バレたら『運が悪い』で済ませない社会をとりもどさないといけません。実体として、悪いことには不利益を、ということが犯罪抑止につながるのです。

それは企業も同様。今は法人として、企業は扱われますが、人格のあるものであるからこそ、もっと厳しい罰も必要です。なぜなら人間なら、詐欺的行為を働いたら実刑が与えられることも考えられる。しかし法人に実刑はない。営業停止などが関の山で、解散命令などを出したら社会的インパクトが大きく、混乱を生じます。例えば不祥事を働いた期間の、全役員クラスへの罰金、社会的地位の剥奪などをふくめ、厳しい措置を下す。社外役員を増やせば、不祥事を減らせると考えて、これまでそういう方向できましたが、結局はムダだったのです。だって社外取締役が、しっかり仕事をすれば煙たがられ、二度と企業から呼ばれなくなるから。企業の実情も知らない人間が、ちょこっと兼務するぐらいでは意味がないのです。
企業改革を訴えるなら、不祥事に対して厳しい罰を下し、むしろ不祥事の少ない企業を増やす方が早いのでしょう。そうじゃないから、今の日本株の上昇が見せ掛けにみえます。悪いことをして、一時的に利益を増やせば、今の日本取引所の企業統治改革に合致したように見えてしまうのですから。しかしそれでは国際社会では通じない。いずれその本質がバレると、外国人投資家も逃げだすことになってしまいます。そうならないためにも、早く日本型企業統治のあり様をみつけないといけない。それには一先ず厳罰化、というしかない。例え大手がつぶれても、それが日本企業の刷新につながるなら果断にすすめるべきなのです。

岸田氏に、医師会が献金を送ったことが賄賂にあたるのでは? との指摘もあります。医師会は診療報酬の改定にむけ、自身に都合の良いものを望んでいた。賄賂はその認識のあるなしで、決まるわけではない、と主張する弁護士もいます。医師の世界は二極化していて、物凄く儲けて優雅な暮らしをしている人もいれば、休みもなく働き、患者のために身を粉にして働く人もいる。前者には厳しい環境を、後者にはもっと手厚い支援をする必要があるのでしょう。少なくとも、後者の人たちが報われる社会にならないといけません。
日本は多くの点で、もう制度疲労を迎えているのです。それを安倍支持層みたいに、改憲すればすべてよくなる、というのはインフレになれば経済バラ色、というのと同じで、実体はまったく改悪になることが大半です。問題の改善どころか、酷くするばかり。大体問題の本質が分かっていないから、改憲という分かりやすさと、統一教会の主張の踏襲でお茶を濁す、といったことでしかない。それではダメなのです。きちんと一つ一つ、問題に対して向き合って答えをだしていく。何か一つを動かせば全て改善、などという安逸な方法などどこにもありません。地道に、今の社会、世界と協調できるようにアップデートしていくしかない。日本のために、そういう道を歩んでくれることを切に願って筆をおきたいと思います。



長い間、ご愛読いただいた方はありがとうございました。日本がまったく良い状態にならない、むしろ安倍政権のせいで激しく劣化したと思われる中で、リタイアするのは心苦しい限りですが、後進の方々がこれからの日本をよりよくしてくれることを信じて、このブログを閉じたいと思います。









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analyst_zaiya777 at 00:42|PermalinkComments(23)政治 | 社会

2023年12月28日

来年の経済について

今年も今日をふくめて後4日、今日明日と記事を上げ、そしてこのブログは閉じたいと思います。一応ブログは残しますが、もう記事は上げません。理由はやはり体がきついこと。そして来年、生活が変わることを考えており、その準備をはじめたいからです。新型コロナで、改めて自分の体がぎりぎりだと感じ、生きているうちに色々とやりたいこともあり、そうしたものを少しずつ始めていきたいと考えています。


来年の経済と市場

最初に、大胆予想をしておきます。来年は今年以上の円安が来ます。まずその理由をお話しします。日本はもう貿易赤字国で、恒常的に円安プレッシャーがあります。今は金利差ばかり注目されますが、為替はそれだけで決まるはずがありません。金利差をみて取引する人が多い。でも、ここにも誤解があります。

まず米国。来年のFRBは利下げ…がメインストリームですが、今は米国がソフトランディングする可能性を残し、それなのにインフレ率が低下するシナリオです。でもこれはおかしい。米国のインフレは今年、モノよりサービス。逆にモノはコロナ禍のサプライチェーンの崩壊、資源高、輸送費上昇などで高騰、その逆回転が今年は起こり、デフレ要因となってきた。それを高いサービスインフレが相殺して3%程度に下がりました。
しかし金、原油とも騰勢を強めるなど、ふたたび来年はモノのインフレが始まります。そこにサービスインフレは賃金上昇が4%以上で推移する中、つづいてしまう。来年の米インフレ率は3%台後半に上昇するとみています。すると利下げどころではなく、再利上げの検討をはじめるかもしれません。市場が早期に織りこみ過ぎている、金利低下の逆回転が起きる。それは今年の水準をかなり上回っていくことになるでしょう。

次に日銀。植田総裁になって、すぐに異常な金融政策は見直される、昨年末もこんな想定が語られましたが、結果は「チャレンジングは心構え」という腰砕けで、恐らくそれは政治に尻尾を踏まれ、前にすすめないことの証左。来年4月の緩和解除、などできるはずもありません。ナゼなら、まだ賃上げ率は大企業ぐらいしか出そろっておらず、中小零細企業の賃上げ率をみないと、日本全体の賃金上昇を計ることはできません。
やるとしても5月以後、ただしそれは政局的に無理です。今より岸田政権は追いこまれ、政局は不安定となり、そんな中で引き締めなどできるはずない。恐らくステルス引き締め、YCCはなし崩しで終了といわずに終わり。マイナス金利も当座預金の中で、その比率を変え、多くの金融機関がわざわざマイナスで積まなくてもよくなり、事実上撤廃。その程度が日銀にできるわずかな抵抗で、大風呂敷を広げて「解除」といった宣言をすることはない、とみられます。そうなると市場も金利差縮小を意識しにくくなります。

そして資金の需給情報もあります。NISAが話題ですが、その大半は既存のNISA口座をもつ人が、多少その枠を増やす程度ですが、その大半は米国投資に向かうとみています。国内はわざわざNISA枠をつかわず、ちょぼちょぼの投資になる。その心は、所詮日本の成長率は低く、円安で業績が押し上げられる程度の話だから。それより高成長がつづく米国に魅力を感じ、また今後円高に向かう予想が多い中で、今米国に資産を置いておけば、円高になった時にさらに利益が拡大できる、と安直に考える向きが多いから、です。
そうなると、その需給はさらに円安を押し進めます。金利差をみて、円買いに向かう層が事前に買いだめているなら、上記のように思惑が外れると、それも売り直して円安にすすみやすくなる。水準感は180円前後があってもおかしくない。しかも恐らくそうなると、それまでに財務省の介入が数度は入っているでしょう。しかし高々数兆円規模では、焼け石に水です。それに円買い介入をするためには米国債を売らないといけない。そうなるとさらに金利差を増すので、逆効果にすらなりかねない。安倍政権下で、外為特会に手をつけたため、余力がない日本の為替介入に、高い効果を求めることはそもそも難しくなったのです。



順番が逆になりましたが、来年の経済についてみていきます。米経済がハードか、ソフトか、ランディングがどっち? と語られますが、私はどっちもしないとみています。つまり強いまま、後退には陥らない。その理由は、中国経済がガタガタで、中国人が国内にふり向けられなくなった資金で米国投資を活発化させ、その資金流入によって下支えされるから。FRBが今年3月、地銀破綻の流れをうけて、資金の引き締めに躊躇したこともあって、市場には資金が余剰に溜まったままです。そこに中国と、日本人も今は米投資を活発化させるために、米経済は堅調。これが来年の前半はつづく、と考えています。
製造業は確かに斜陽です。半導体市況が回復した、やや上向いた、という話も喧しいですが、半導体は生産調整をすすめ、やっと回復してきた。その間、半導体関連株の上昇とは逆に、半導体企業の業績はNvidiaなど、一部の好調さに支えられましたが、全体は弱かった。来年の半導体市場は、各国で経済安保をすすめたために、つくり過ぎの状況が起こります。半導体企業は下手をすれば淘汰がすすむかもしれません。体力が弱いところは大手に飲み込まれるか? ただそうなると、経済安保の観点では本末転倒です。国営にするか、それとも国内の企業に吸収してもらうか? そういった大混乱も予想されます。

多くの製造業で、生産調整の波が襲うでしょう。それはモノよりサービスに、消費の主流がしばらく留まることによります。そして製造現場でリストラや解雇がすすみ…となれば景気後退ですが、今はそうなりにくい。多くの企業が、コロナ禍で人材を大量に切ったことで、もどってこない体験をしました。そこで労働者を抱えこみ、その一方で労働時間を減らす方向に舵を切っている。時間当たり賃金は高止まりをつづけますが、一人一人が受けとる賃金は目減りし、また失業率も上がっていかない、そうした状況です。
つまり今、見かけ上の景気後退に陥りにくい一方で、着実に経済が弱っていっています。世界中から投資資金を集め、市場は上昇する。その資産効果で、まだ労働市場にもどろうとする人も少ない。人手不足が深刻化する傾向もつづくでしょう。結局、そうした見かけ上の好調さをどう判断していくのか? そして米国でインフレが再上昇しはじめたとき、何が起きるか? それが来年前半より先で起きることです。

日本は今年の押上げ効果が剥落しますが、それより深刻なのが、『実質賃金のマイナスが、来年もつづいたとき』です。賃上げはするでしょうが、インフレ率に達成しない。そうした状況を想起させるのは、物流のコスト増。これはボディーブローのように効いてきます。さらに円高となれば儲けものですが、上記で予想したように円安となったら。しかも今年の水準を超えたら、日本はインフレの再上昇に苛まれます。
日本の余力が低下してきたことを示すように、消費も後退を始めた。今はまだ、来年への期待がありますが、それが剥落すると、国民の怒りはいよいよ政治に向かうでしょう。そしてマインドに冷え込みでさらなる消費低迷、が予想される。来年の減税をみこんで…という意見もありますが、そんな不透明な状態で、消費が加速するとは到底思えない。下手をすると日本では景気後退と、インフレが同時に共存することになります。すべて賃上げが、インフレ率を上回ることが前提の予測も多いですが、それが崩れたら大変です。



まとめると、米経済は来年も堅調。利下げどころか、再利上げを模索しなければならず、米大統領選と合わせ、マインド面を大きく冷やすことも想定されます。こうしたマインドの低下は、ある日唐突に経済をがくんと悪化させることが多い。つまりハードランディング懸念です。年前半は堅調とみていますが、後半になるとどこで起きてもおかしくありません。ぎりぎり保っている好調な経済が、どこかで突然弱くなる。それが大統領選と絡むのか? 年後半になると、米国ではその辺りが注目されることになるでしょう。
日本経済は、未だに大規模な歳出により経済を支える構図です。こんな中で、金利など上げられるはずもなく、結局は低金利の罠につかまったまま、大きく浮上することはない。しかし変な話、低金利により異常なマネーの動きが出てくるかもしれません。円キャリー取引の拡大や、不動産市場の爆謄などによって、一時的な好景気かと見間違うばかりの…。ただしそれは、あくまで一時的であって継続的なものではありません。

その一端を担うのは、中国富裕層。彼らは今、非常に困っています。不動産市場は、供給が止まらない一方で過剰在庫にどこも苦しんでいる。まだ3年は回復がムリでしょう。株式も同様、中国政府のちょぼちょぼ対策では、景気が押し上げられることはない。製造業も過剰在庫で苦しみ、中国国内で投資先がない。そのマネーが日米欧など、世界に向かっています。それが今の、世界同時株高につながっています。
そしてそのマネーはアクティブ投資に向かい、指数と大型株を押し上げる。マグニフィセント・セブンなどが今年大きく上昇したのもその一つです。中国人投資家は、これまでの常識を知らない、やり方も特殊。だからどこで、何が起きるかも不明です。米経済は来年も好調、それで投資資金を振り向けていたかとおもったら、悪くなった途端に一斉に引き上げるかもしれない。それが逆に、世界経済の不安定化につながるでしょう。この中国マネーは、悪い意味で不確定要素であり、経済的にはマイナスの作用をもたらします。



世界情勢もみておきます。恐らく来年、ウクライナはより厳しい状況におかれるでしょう。トランプ一派による、支援の反対により、もしこのままロシアがウクライナ併合などとなれば、米国はより高いコストを支払うようになりますが、そもそもロシアと結びつくトランプ氏にとって、それは収益拡大の機会にみえる。こうした錯誤により、ウクライナは危機を迎えます。米大統領選の前まで、より激しくなるでしょう。
イスラエル対ハマスも同じ。キリスト教原理主義など、ユダヤ人にシンパシーを感じる人々が、トランプ氏支持であり、イスラエル支援を止めない。でもそうなると、米国離れがより一層、世界中で加速することになります。反米国家による、世界の治安の悪化、も襲うでしょう。それは資源、食糧の調達にも様々な問題を生じてくるはずです。そしてそれは、世界のコスト増につながる。ロシアがウクライナに攻め込んだショック、ハマスがイスラエルに仕掛けたショック、以上にゆっくりと静かにつながる危機です。

エチオピアのデフォルトも話題です。世界はこの負債と経済規模のありよう、のバランスを大きく崩してしまった。中国が自国で借金をして投資をし、世界は嬉々としてそれを受け入れてきましたが、いざ返す段となってはたと困る。弱い経済規模の国は、来年も続々とこうしたことが起こるでしょう。そして国内情勢の悪化により、さらに経済破綻していく。恐らく、来年は第三次世界大戦を厭うぐらい、世界中でそうした不安定さ、戦争といった事態に苛まれるでしょう。これもじわじわと世界経済を苦しめるはずです。
来年は世界で選挙イヤー。台湾総統選もありますが、米大統領選は注目です。バイデン対トランプになったら、目も当てられません。どちらがなっても後1期で、滅茶苦茶をしてくる可能性がある。トランプ氏はより、自己利益の実現のために動くでしょう。より中国と結ぶかもしれず、露国とて同じです。彼はそうした独裁を愛し、独裁者と手を結ぶことで自身も潤う、と考える輩です。それが世界経済にとってマイナスだろうと構わない。そういう世界に突入する可能性があり、これは極めて危惧する事態だといえます。



企業の問題にもふれておきます。最近の日本企業の不祥事は、目に余るものがあります。保険会社のカルテルなど、絶対にやってはいけない話。なのに、業務改善命令だけで済んでしまいます。誰も逮捕もされません。BIG MOTORと組んでいたことも問題でしょう。顧客満足度どころか、利益第一主義。それがまかり通り、バレても大した罰がないなら、やったもん勝ち。こうした風潮が蔓延しています。
今回、自民党安倍派が関わったパー券問題で、西村氏の支持者へのインタビューで「運が悪かった」という人がいました。これが最悪です。今、日本を蝕んでいるこの『運が悪かった』論。これが関西で蔓延するなら、大阪に本社のあるダイハツの不祥事もさもありなんです。バレたら『運が悪かった』という。違います。悪いことをしてはいけないのです。悪いことをしても、バレなければ大丈夫なんて、一体いつの時代からこんな風潮になったのか? ハッキリと分かるのは、小泉政権時代からということになります。

儲けた者勝ち、その象徴が堀江氏でした。ライブドア株でぼろ儲け、株式分割をくり返し、それがまるで錬金術のようにお金が増え、それで買収先を探し回った。挙句に自民党から立候補、国政まで狙いました。それが一転、逮捕、実刑判決をうけます。ただし彼は出所後も、態度を改めることなく自分が正しいと思うことは擁護する一方、反対することや自分への攻撃は口汚く罵る。橋下元大阪府知事も同様です。そして、それを信奉する者も未だに多い。その傾向が何を生んできたか? 悪いことをしてもバレなければいい。バレたらそれは『運が悪い』と、ケロッとして改めることがない。結果間違えることも多いですが、謝罪もしない。弱みをみせたら『負け』とでも考えているようで、誰かを傷つけてもお構いなしです。
以前、大阪では企業をはじめ、組織的な不正が多い、と指摘したこともあります。まさに橋下氏などを支持する人間なら、そうすることは何ら問題ないのでしょう。逮捕されたら『運が悪い』だけで、儲けを第一にすることに躊躇いがない。それが犯罪でも、です。この根底、思想、発想は安倍氏とその支持者にも通じる。そして今の、多くの迷惑系、私人逮捕系You Tuberともつながります。他人の痛みが分からないから、異常に汚い言葉で罵っても平気です。自分さえよければいい、失敗したら『運が悪い』で済ませます。

結局、それが企業にも蔓延してきたのが現状でしょう。日本の美点だった品質管理も地に堕ち、ダイハツ問題をはじめ、自動車産業ではリコールが相次ぎます。しかも検査、品質の不祥事ですから尚のこと、質が悪い。保険会社の不正も同様。儲けた者勝ち、の思想が垣間見えます。そしてこれを助長しているのが、日本取引所によるPBR改善などの、企業改革だというのですから、尚更最悪というのが、今の日本です。
利益第一主義、株主優先の還元、といった形で日本取引所が促すので、企業も勿論そうした方向に流れます。上記の不祥事は、短期の利益率を改善させるためには、かなり役に立つ。そしてそうした企業が評価され、企業内でもそうした係長、課長などが評価される。悪いことをした方が出世する、バレても、当時の幹部が責任を問われることは少数です。やったもん勝ち、だから悪いことをみつけても見て見ぬふり、何ごともなく後任まで引き継げればよい。後は「知らぬ存ぜぬ」で逃げ切れる。これが今の日本社会の、腐敗の深淵です。この前、上場廃止となった東芝も同様、悪いことをすれば最悪、退場もあり得ますし、ダイハツとてこのままでは経営破綻。ただしトヨタグループが全面バックアップで支えるのでしょうが…。

市場も今は金余りで、不祥事をしてもそれほど下げはきつくありません。逆に下がったら買い場と資金が流入する。大企業は『大き過ぎて潰せない』し、日本の特質として大企業は守る傾向が強い。不祥事をチャンスとみる傾向が、さらに罪の意識を低くする。株価がそれほど下がらないなら、悪いことをした方がいい。バレたら『運が悪い』ので、頭を下げて謝罪すればよい。これが今、企業にも蔓延することです。
日本の株式市場では、企業利益ばかりに注目を集めようとしますが、日本企業の醜聞に嫌気がさす人も多いでしょう。エアバック問題で破綻したタカタも、『運が悪い』や『はめられた』説もありますが、日本企業の問題も露呈しました。本当に悪いこと、間違ったことをした、という自覚もないまま後手後手になる。謝って済む相手でない場合、大変なことになる。その想像力が働かない。悪いこと、間違ったことが問題なのではなく、バレたことが『運が悪い』という考え方では、そうなってしまうのでしょう。



もし突発的な危機が起きるとしたら、それは中国です。例えば、今は恒大集団や碧桂園といったところがやり玉ですが、どこも危ない。そして国内で不動産開発ができないから、その資金を海外で運用することを、この業界は画策し、今のところ成功しています。ナゼなら、世界同時株高だから。しかし今、中国で何らかのトラブルが起きて、急に資金を引き戻さなくてはいけなくなったとき、それに世界の市場が弱含んで、利益どころか損失が生じるようになったとき、資金が一斉に巻き戻されて、世界危機を引き起こすかもしれません。小国家を凌駕するぐらいの資金力をもった彼らが、マネーを大きく傾け、世界市場に参戦したことが今の世界経済を支える一因なのですが、その逆回転は非常に危険だと考えています。
しかもこの危機は、市場がまったく見逃している危機です。中国不動産問題は世界に波及しない、がコンセンサスだからです。しかしどこかで市場が弱含むとき、他の市場がまったく影響をうけない、などありえない話です。膨らんだマネーが萎むとき、それは不規則な動きが起きます。今、中国政府が不動産市場を支えようと、不動産開発業者などの資金繰りを支援していて、それが世界の市場に流れるばかりで、不動産市場は依然として低迷。この歪はいずれ、大きな動きを引き起こすはずで、それがいつ起きるか? が重要です。

また、こうした問題が起きた、もしくは起きそうとなったときの中国政府の対応は要注意です。まさか台湾有事は、米国と全面対決になるためやりにくいとしても、例えば中国債務の多い諸外国に乗りこんでいって、乗っ取ってしまうという強硬策ぐらいにはでるかもしれません。要するに、中国共産党は自分たちの資産を守ってくれる、との幻想を国民に与えるため、です。危機から目を背けさせる目的もある。民主派などへの統制も強めるでしょう。それが世界と対立することになっても、突き進まざるを得ないのです。
果たして来年、そこまでの危機的状況になるか? と言われれば疑問はありますが、いずれ規模の多寡は別にしても、起きるリスクのある話です。そして間違いなく、そのときは世界同時株安という極めて深刻な事態に晒されることも、憶えておかなければいけない。それはマネーの流れとして、今が流入という最善の状態にあって、それがいつまでつづくか? という話でもあり、必然としてこの好調さはそう長くはつづかない、という当たり前の話です。いい時もあれば、悪い時もある、それが相場というものなのです。



来年の株価は、非常に読みにくいと考えています。日米欧のインフレ低下の一服、むしろインフレ昂進がふたたび…となったときのショックは、相当なものでしょう。今が最良を織りこみ過ぎているからです。しかし実は、織りこんでいるわけではなく、資金流入で仕方なくそうなっている面もあって、本当にこんなことを信じているとしたらただのバカというレベルで、問題はその資金流入の程度問題との話もあります。
だとすれば、それがいつ転換するか? それは読めません。それを正しく先読みするのは、神か、当て推量がうまくいっただけです。しかも、今の市場に資金を流入させる方は、それほど市場に慣れておらず、常識も知らない。日本でも今年4月からの投資家をツーリズム投資家などと称しましたが、そういう層です。ハッキリ言って、こういう投資家はどう動くかも読めません。それこそバブルをどこまで深めてしまうか? ということさえ、読めないのが現状です。だから上下、どれぐらいのレンジかもはっきり読めません。

ただ時期的に、2月や3月はちょっと危ない。そして年後半はそれこそ下方向への圧力がかかるでしょう。インフレが私の読み通り、再浮上するとしたら4月から。多分、その前あたりから兆候が表れだすでしょうが、そもそもFRBの読みなんて、今回のインフレも当初「一時的」などと読み誤っていたほどです。大して信じるに値しない。しかし情報は先につかむので、FRB理事などから発信される情報には要注意です。
恐らく日経平均が上にいくとしても、3万円台後半は難しいし、定着しにくいと考えています。バブルなので、実体としてどれぐらい上がるかは予測できませんが、今度フラッシュクラッシュのようなことが起きると、中々上げにくいとみています。そして問題は、次の円安に動くときの反応です。今は円安だと株高、という流れですが、昔とちがってそれがマストでなくなった。それは円安になると外国人投資家は損をする。かつては為替と並行し、資金を動かす層もいましたが、そういうことが起きにくくなっていることもあります。

円安、株安になると外国人投資家の損失は増す。むしろそうならないため、国内勢が頑張って支えている印象で、しかし規模が小さいので、それが上手くいかないことも増えた、とみています。もし円安、株安が頻発すると、今年買い越した外国人投資家が、売りに転じるかもしれない。日本市場は儲からない、という印象になるからです。そうなったら悲惨です。貿易赤字国に転落し、もういつそうなってもおかしくないのに、頑張って支える。その支えが利かなくなったら、株安は加速度的にすすんでしまうかもしれません。
今年もそれが起きなかったように、来年も起きないかもしれない。でも株高はいずれ恐怖症となります。実体と乖離していて、いつまでそれがつづくのか? それは今の円安と、日本の物価とも当てはまります。海外からみると異常なほどの安さ、という日本の現状は、いつまで続くかも分かりません。逆に、本当にインフレ定着になったら、その差を物価高で埋めてくるかもしれません。それは高インフレとして日本への打撃となり、景気後退に一直線となるでしょう。正直、そうならないことを祈るばかりですが、異常なことはそう長くは続きません。為替が修正するのか? 物価が修正するのか? そのどちらかです。

あえてレンジを示すなら、35000円〜25000円。むしろ下抜けすると、とんでもないことが起きるのかもしれません。それは売りが売りを呼ぶ展開、ということです。ただそうなるのは、あくまで中国で何かトラブルが生じた、といった連鎖的なことが起きたときでしょう。日米欧、中国も含めて世界は大きなマネーを一気に放出した。そのことで、今の好景気は演出されましたが、その莫大な規模に、誰もそれがいつ終わるのか? といった予想ができないのです。来年かもしれないし、再来年かもしれませんが、いずれ起きます。
果たして、それを引き起こすのが世界の政変かもしれません。それは前政権の不正、悪事を調べているとき、野放図に垂れ流された資金の流れを変えた時、といったことでも起きるのです。お金をばら撒いたことで生まれた徒花、それを今は世界中が浮かれ、享受しています。しかしMMTがそうであるように、そんなバラ色の生活を、いつまでもつづけることはできません。いつか終わりを迎える。そのタイミングと、状況次第では更なる問題も生じるでしょう。今年の享楽を見るにつけ、先々の不安がより増してくるのですが、それを語る人が少ないのが残念なところですね。



明日は日本の政治について、書きたいと思います。



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analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(0)経済 | 

2023年12月23日

12月4週の動き

岸田政権の迷走

政権内から、そして党役員からも安倍派を追いだした岸田首相。でも二階派はそうしない、という。そこに違いはあるのか? 続々と二階派の志帥会を退会、との報もありますが、自見万博担当相の行き違いなど、見るに堪えないものもあります。そもそも安倍派と二階派で違いがある、とするならその情報を岸田氏は知っていなければならず、それを国民に説明しないのは不誠実に過ぎるでしょう。扱いを変える、などということをするから、岸田氏の責任は重くなります。しかし岸田派でも…と報じられ、その説明もない。もう10日以上前で、確認に時間がかかるのか? それとも捜査機関がかかわったから、もう説明できないのか? いずれにしろ、そんな状態でも岸田氏は元気で、自分が退陣するなど一顧だにしていないのが不安です。
それは国民の声が届かない、国民の気持ちが分からない人が、総理大臣をつづけることの不幸として、国民に認識されます。後任が見当たらないから、岸田政権がつづく、というのなら自民党の政党支持率に撥ね返るでしょう。それはもう総裁選をしても同じ。自民党はもう期待できないよね、となったら終わりです。野党が弱いから…といっても、野党には反自民票が乗る。つまり野党の支持率がいくら変わらず低くとも、反自民票が乗れば逆転です。そんな圧勝する選挙区は少なく、そうなるとオセロのようにくるくると情勢が逆転するでしょう。それを防ぎたいなら、自民は岸田氏をすぐに代えるか、驚愕の総裁にするしかありません。

亀井元郵政相が「上川か、高市」と女性総裁だと予想していますが、女性活躍をもっとも嫌気する安倍派が上川外相をみとめないでしょう。高市氏は統一教会系の雑誌に度々登場するなど、そちらから安倍氏の後継、との評価を得たいと躍起ですが、安倍派からはウケが悪い。なら安倍派に入れ、というところです。上川氏は岸田派、いずれにしろ退陣となった暁に、同じ岸田派から総裁候補、とはなりにくい。女性候補でないと自民はもたない、とは思いますが、だからといってそれを受け入れる土壌は自民にはまだありません。
国対に浜田氏、政調会長に渡海氏。渡海氏は前回、野田氏の20人目の推薦人となり、総裁への道筋をつけましたが、その功績で…ともされる。しかし今回まで、論功行賞が行われなかったので、それを功績とはしていなかった。しかし政治改革に前向きで、岸田氏がめざすそうした仕事をさせたい意向で、人事を行ったとします。でも、政治改革というパワーが必要なことを、岸田派と無派閥の渡海氏では、できるはずもありません。そもそも岸田派もパー券問題がある中、岸田氏がやることか? との批判もあるでしょう。二階派の小泉法務相、中野法務政務官がのこったのも、いくら派閥をでたといっても、昔の仲間を庇う、という懸念はぬぐえません。逆に、そういう岸田政権が法案を作成しても信をおけないことは論を待ちません。



安倍系メディアはパー券問題を『疑獄事件』

安倍系メディアの2月号で、安倍派のパー券問題を『疑獄事件』とし、萩生田、世耕、西村氏などのコメントを載せていました。自分たちに都合が悪いことは、相変わらず認めないどころか、それを報じるメディアの態度がおかしい、という責任転嫁。ある意味、清々しいまでのトランプ流です。しかしこの動きを見て確信するのは、安倍派は分裂などではなく、選挙で淘汰されて縮小していくのだろう、ということ。沈み行く船ですが、この強烈な支持層が離れては、もう自分たちがもたない。でもその支持層以外は離れていくので、結果として選挙をすれば負けます。寄らば大樹ですが、その根元は腐ってグラグラです。
その安倍系メディアでしか、最近お見掛けしないのが高橋洋一氏。安倍ノミクスの理論的支柱とされましたが、最近その肩書きが『数理研究者』となっています。大失敗に終わった安倍ノミクスで、経済学者を名乗るのもおこがましい、と思ったのか? それはナゾですが、いずれにしろ数字の読み方が間違っているから、安倍ノミクスも失敗に終わったのであって、肩書きは自由ですが、語るに落ちる感じが拭えません。

安倍元首相に依存していた人々の吹き溜まり、となったこのメディアですが、相変わらず産経が強い関与をします。フジサンケイグループも、安倍氏に依存していたメディア。安倍派が終焉を迎えると、ここも困るメディアです。東京五輪の不正にも産経グループが関わるなど、今ではTVや新聞そのものより、不動産やイベントで稼ぐ、とされます。今では言論なども、安倍系メディアとその支持層頼みなのでしょう。
もう死に体で、論調が国民の意思から大きく乖離する。だからその世論を形成する、とされるメディアを批判し、自分たちが正しいと主張する。しかし安倍氏に関わった人、事物が汚職まみれ、汚濁まみれとなっている現状で、一体いつまですがりつくのか? もう幹まで腐って、立っているのもやっとですが、枝葉にぶら下がる安倍派の人間たちがいるので、止められないのかもしれません。本質的な保守層とは大きく異なる、反動保守ともいうべきこの流れは、いよいよ終焉を迎える段階に来ているのでしょう。




日銀、植田総裁のトンチンカン会見

19日に日銀の政策決定会合があり、現状維持。その後の植田総裁の会見で「チャレンジングは、仕事への姿勢」だと、あくまで心構えの話だとしました。全員がずっこけ、また「ふざけるな!」と叫んだ。大手メディアは報じませんが、日銀の信用が地に堕ちた瞬間です。私が見聞きした話と、想像を交えて話すなら、従前から安倍派は金融引き締めに反対、安倍ノミクスを止めるな! と強く主張してきました。先月からパー券問題が発覚、岸田氏からは円安を何とかしろ、と言われたこともあり、FRBも引き締めに転じる前に、YCCの終焉とマイナス金利の解除、といった出口に動きだそう、と日銀はしていました。しかし7日の発言で、岸田政権から「引き締めるな!」と怒られ、19日の会見になった、という風に伝わります。
先週も指摘したように、発言一つで円安が止まった。経済を知らない政治家からみれば、もう引き締める必要がない、とみえます。しかし来年4月を解除、とみなす識者も多いですが、本当に市場予想通りなら、すでにFRBが緩和に転じた後で、事実上不可能でしょう。円高が止まらなくなる可能性もあります。市場予想が間違いで、まだFRBが動いていないなら何とか…というレベルです。植田氏は「他国の金融政策を見て…」と、そうした動きをけん制しましたが、総合判断とする中の一つであることは間違いありません。

審議委員時代と変わらない、などと言う人もいますが、植田氏は「総裁になると政治のプレッシャーが半端ない」と感じていることでしょう。しかし今後は、国際社会からのプレッシャーが圧し掛かります。今回、発言で市場を動かしておいて、なしにした。今はまだ円も動いていませんが、それは1月の会合を待つ態度だから。ただし心構えなので、動くには物足りません。大きな経済的な情勢変化もないでしょう。そうなると動かない理由しかない。またぞろ、円安に動いていたら別ですが、動くと逆に違和感がでます。
実は、この12月に米株が急に動意づいたのも、植田氏の発言から、との指摘もある。円キャリーを巻き戻すのと同時に、米株買いに動いた。本来、円キャリー取引とは安い円で資金を調達して、他の国に投資する仕組みですが、それは米国債売りで、買い戻しを引き起こした。要するに、昔の円キャリー取引とは異なり、ヘッジ目的が多かったことで米金利低下の動きを引き起こし、それが株買いを誘発した、とされます。

いずれにしろ、言質だけでここまで市場が動くとなると、実際に動いた時のインパクトは相当なものでしょう。いずれにしろ世界と逆行することになるので、どこでどんな動きを引き起こすかも不明です。長いこと緩和を、しかも異次元のレベルでつづけてしまったばかりに、どういう形を引き起こすか誰も想像できないのです。実際は、何も起こらないかもしれない。でもそれは、今回のような市場との対話に失敗すると、それも期待薄となります。コミュニケ―ション能力に欠ける、それが判明したことが今回の顛末です。
恐らく、来年度の予算案が決定しましたが、110兆円をこえ、その多くが国債頼み。こんなときに金利など上げていられないでしょう。結局、来年は日銀が動けないことを日々確認していくこととなり、どこかでタガが外れると下手をすれば今年より円安がすすむかもしれません。来年、円高予想も多いですが、日銀が動けないと逆をいく可能性もある。逆に、市場が先走って円買いなどを溜めると、驚いて逆行安、と言った局面もあるでしょう。日銀が国際的な信用を維持できるか? それが試される局面が来るかもしれません。



安倍ノミクスとは何だったのか?

以前からとり上げていますが、安倍ノミクスとは? というと、ある人は「金融政策で物価を操作することが不可能だと、壮大な実験で示した」といい、ある人は「失われた10年」と言います。今では安倍ノミクスを「意味があった」とする意見はほぼ皆無。当時礼賛していた人まで、なかったことのように扱います。それは異次元緩和をつづけ、経済成長もほとんどせず、物価目標も達成せず、残ったのは引き締めという難しい宿題だけ。結局、今の植田氏もそれをどうするか? で四苦八苦している状況です。
そもそも、世界中で物価目標2%とは、それ以上にしないためのキャップであって、日本がそれを目指す、というのもトンチンカン。円安も今は弊害が意識され、株高もその円安によって、ドルベースの日経平均が上がっていない、という。円高になると脆くも株価が急落、というオマケつきです。その間に生産性は低下し、日本は最下位レベルに沈み、少子高齢化はすすみ、GDPは独国に抜かれ4位、岸田氏は「好循環が始まりつつ…」みたいな話をしますが、とんでもありません。日本は大切なものをいっぱい失いました。

企業は不祥事まみれ、大きな国際大会でも汚職まみれ、省庁は経済統計で不正を連発、司法を牛耳って犯罪化させず、森友・加計問題も引き起こした。メディアもただの阿諛追従媒体と化し、大きな側面でいえばジャニーズ問題も、宝塚の問題でさえ安倍政権下ではあぶり出すことができなかった。統一教会も、エホバの証人も野放しでした。まともな社会の監視機能をメディアが失えば、往々にしてこういうことが起こります。
色々と経済面のことばかりでなく、こうした社会の不透明感、閉塞感と言ったものも経済には強く影響するのです。社会が何となくおかしいぞ、となると消費を控える。安倍政権では「マインドだ、マインドだ」といって、うわべの雰囲気だけを変えようとしましたが、国民はそこまでバカではない。安倍政権の浅はかな企みは、脆くも潰え、当時の経済を語っていた人は、今や一部の安倍シンパが集まるメディアにしか登場しなくなりました。結局、安倍ノミクスから脱却しないと日本は次のステージにすすめない。何にもおいてそれが優先されるべきですが、安倍政権依存体質だった者たちがそれを邪魔する。この構図が続く限り。まだまだ日本が失地、経済的にも、国際的な位置づけもそうした状況がつづいていくことになるでしょう。



ダイハツ不正

経営陣は知らなかった、などとしますが、全車種を対象にして生産停止にする、ということはほぼ全係長が何らかの形でかかわっていることになります。係長が課長、部長…と出世していくのですから、よほど外部からきて幹部にならない限り、ほとんどの幹部は一度は不正に関わっていたことになる。それで経営陣は知らなかった、は通用しません。組織ぐるみで問題があった、というのが実態なのでしょう。
問題はリコールや、改修でも安全性などが改善しなかった場合。要するに型式が廃番になったときです。その場合、車両として運行が不可能となり、資産価値もなくなり、中古でも販売できなくなる。その保障もダイハツはしないといけません。さらに死亡事故や、事故が起きていない、としますが、本当か? 安全性が劣っていて、大きな事故になったり、不要な怪我を負ったりしたケースはなかったのか? それ次第では、ダイハツのコストはさらに上がります。そしてこれは、トヨタの世界販売台数にも響く。その影響は現時点では計り知れません。むしろ国交省の立ち入り調査が入って、これから…というのが今回です。



日本製鉄によるUSスチールの買収

すでにUSスチール自体、世界の粗鋼生産量でも低下し、今さらここを買う理由は皆無です。唯一、米経済がこれから伸び、粗鋼生産が活発化するなら別ですが…。ただこの報道で最初に感じたのは、バブルの末期には起こる話だな、ということです。お金が余り、使う必要にせまられ、買収ありきで探しまわる。その結果、高値掴みをしたり、東芝のWH買収のように、多額の負債に後で気づいて大失敗という事態になります。
EVシフトで高級鋼材が…などと報じるところもありますが、EVシフトは鋼材メーカーにとってピンチです。内燃機関がなくなれば、放熱をする必要が低下し、ボディーを鋼材でつくる必要はありません。それこそプラスチックでいい。リグニンなど、木質系材料は鋼材よりも硬く、また比率によっては柔軟にもできます。今はまだ、鋼材の方が安価ですが、大量消費ができればリグニンなどの木質由来の素材も価格が低下するでしょう。むしろピンチを、スケールメリットで乗り切る、という戦略にしか見えません。果たしてそれが成功するか? 日本企業は往々にしてこういう買収は下手、というのが心配のタネではあります。



来年度予算案のへそ

昨年より2兆円以上の減少ですが、予備費というコロナ禍が過ぎたのですから、当然の削減。でも今年度は結局、その予備費を大量に補正予算にまわしているので、今年度の方が正直な予算だった、というだけ。しかし来年度は、国債の利払い費の見通しを金利1.1%から、1.9%に引き上げて、その分を多く見積もった。これを日銀を屈服させて緩和をつづけさせ、現状のままとすればそれが補正予算に回せます。財務省が算盤をたたいて、こうした仕組みをつくりだしたのでしょうが、何ともバカバカしい仕組みです。
それ以上に問題は、防衛費の8兆円弱。これで国防が充足するならまだしも、その内訳のうちローンの新規分も8兆円弱。やや予算の方が多い程度であって、今年も要するに払えないから、来年にツケをまわすのでしょう。ローン残高は14兆円以上。それでさらに防衛費を増やす、と言っているのですから増税するしかない。春頃に岸田氏が、増税、増税といっていたのもこれです。安倍政権時代のツケを支払うタイミングがきて、苦しんでいる。その中にはこの前事故をおこしたオスプレイの大人買いもあるのですから、たまったものではありません。ローンをどういう形で先送りするか、それ次第では金利負担も発生するのです。

しかももう一つ、新型アルツハイマー病治療薬は、大体年間で一人当たり298万円と試算され、それが保険適用されます。軽度に限られ、認知症患者の全体で1割程度が対象とされますが、保険が適用されても月数万円の負担を払えるのは、富裕層のみでしょう。その富裕層で、アルツハイマー病にかかった人の負担を、国民全体が負うのです。これほどバカバカしい話はなく、しかも効果は限定的。元政治家や、元経営者などが、老後を少しだけ認知症を遅らせる、というためだけに保険をつかうのですから、止めた方がいい話です。
10人に1人は副作用がでる、ともされており、それほど安全でもありません。薬としては危険な、どちらかといえば注意のいる薬。目ざましい効果、というならまだしも、ほとんどそれをする価値がありません。でも、こういうことはすんなり決まる。富裕層にとって、認知症がそれほど毛嫌いされるからでしょう。



来年の日本経済

経済評論家という肩書の人は、来年の日本経済は堅調という人が大半ですが、注意すべきは実質賃金がプラスにならないと、そうならないという点です。日本の場合、今はまだモノのインフレです。しかし米国のように、サービスのインフレは少し遅れてきますし、何より人材不足はどの業界も顕著です。そして賃金上昇は、そのまま物価上昇に直撃する。賃金が、物価に勝てるような環境が訪れるのかどうか? 米国のように、供給制約がかかって、それが解消して今年はモノのデフレが、全体のインフレを抑えてきましたが、日本のように円安インフレだと、来年のインフレ傾向も為替次第、ということになってきます。
実際、円高になれば御の字。ただしそのとき、円安で押し上げられた今年度の業績と比べ、来年の企業業績は悪化、という形になる。株式市場は、今年度よりマイナスの業績になると、嫌気して株価が大きく下がる傾向があります。今年は金余りだったため、市場に余剰資金が流れ、停滞した業績でも下げが限定的でしたが、来年も同じ環境かどうかは不明です。むしろショックが起こり、どこかの市場が軟調になると、その補填や不安といった側面が、全体相場を押し下げる。そうなるとマインドが冷えて…ということもあるでしょう。円安がよいのか、円高がよいのか、来年は悩ましい一年となってくるはずです。

恐らくインバウンドも円安の状況次第。今は誰もが「異常」というぐらい、海外との物価の乖離が強まっています。だから日本に来ますが、何年もつづくわけではありません。日本にリピートでくるのは、やはりアジア勢。それが中国の失速で、アジア圏全体に波及すれば、それこそインバウンドも潰えるはずです。インバウンドがなくなると、今好調な業界が一気に斜陽へと転落する。インバウンドの状況が日本経済に与える影響の大きさは、逆にいうとリスクでしかありません。欧米が本当に経済が失速するなら、たとえソフトランディングであっても、日本経済に与えるインパクトはかなり大きくなって響いてくるはずです。
私はあえて、来年は日銀が動かない、と考えています。すると円高もすすまず、円安のまま。しかし世界経済が今年よりも軟調となり、インバウンドもほぼ今年が天井で、来年は目減り。円安効果の業績押し上げも、今年より利かずに軟調。インフレも今年より低下するも、しつこく残って、実質賃金もゼロか、ややマイナス…といったことがつづくとみています。あくまでショックがなければ…ですが、今年のコロナ禍脱却のプラス効果が消えて、さらに財政出動効果も消え、来年はある意味で今年よりしょぼい…と感じる局面が増えそうです。逆にいうと、ここまでの野放図な拡張が一服、斜陽の入り口に立つ、となると予想しています。



今週の日本株

TOPIXでは2350ptの拘りが消え、2300ptでうろうろしていたら、日銀会合の現状維持があり、大きく跳ね上がりました。ただ元々、変化を意識して買いを抑制、もしくは一部売っていた層が買い戻しただけで、その後は急失速となりました。今度は日経225の33000円を強く意識し、週を終えましたが、これは年末のどの水準がよいか? の綱引きでしょう。今はまだ、来年の相場を堅調と見て、年始のご祝儀を期待するために買い溜める動きもあって、しばらくはそちらの思惑が強くなりそうです。ただし、ご祝儀とて今年は入らなかった。それがある、という前提は危険に過ぎます。その逆の動きもこれから出てきそうです。
しかし米国は恐らく、来年の初めをピークとするでしょう。しかも米株は年末年始の休みがほとんどない。今年は比較的、カレンダーの差はありませんが、年末年始の期間の米株の動きは要注意です。上記した通り、米国債の動きも何だか、期待値ばかりが高過ぎて、こういう状況がいつまでも続くとは到底おもえません。その動きで日本も大きく動かされる。特に、年末で国債の市場プレイヤーも減ってきます。思惑だけで動くには、逆に都合よい時期ですが、ここまでの動きが思惑がつよすぎて、逆に修正もかかりそうです。

来週までは、逆に今年の局面をどう微調整するか? にかかるのでしょう。来年を予想して買い溜めをしたり、売り溜めたり、と言ったことは逆になさそうです。しかしそれは裏を返せば、今の米株関係者による強気見通しが、いつ消えるのか? 反転するか? そしてもう買い溜めた人は、これ以上増やす必要がない以上、そうしていて、売りたい人はまだ様子見、という事情によってそうなっています。それが年をまたいでどう変わるか? その辺りは誰も読み切れていない。だから様子見、というだけです。
日本株も同様です。未だにNISAが…という人もいますが、これまでも否定してきたように、NISAで日本株が押し上げられることは、ほとんどないでしょう。ただ外国人投資家が、一体いつまで強気がつづくか? です。ただ10、11月に外国人投資家は大きく買ったので、今さら日本株をさらに買う人は少ないはず。当面、日本株は上値を追う材料もありません。業績とて、来年の日本経済を考えたところで示したように、今年以上になる業界は少ないでしょう。AIとて、日本のように半導体の製造段階に関わるところは、先行して収益がでますが、AIが本格化するころには業界の成長は限られてきます。その段階をいつとみるか? 年末までは大丈夫でしょうが、色々と考えるところが多い年末、という点は確かなのでしょうね。

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2023年12月16日

12月3週の動き

岸田政権の4閣僚交代

岸田首相の人の心の機微の分からなさ、が如実に現れた1週間でした。裏金問題で揺れる安倍派の一層に動き、猛反発をうけて政務官クラスの留任に転じた。でもそもそも、これだけの醜聞で内閣改造や、閣僚交代程度で済む、と考えている時点で岸田氏の呆れるほどの、他人の心を思い至れない感じが滲みます。松野官房長官の不信任を、否決した後で交替させるのもそう。不信任で交替させたら議員として瑕がつく、という前に、不信任をだされる前に交替させるべきだった。1週間もだらだら松野氏をひっぱった責任があります。
内閣不信任がでたときも、岸田氏は「党と話し合う」としましたが、その頭には『解散』の2文字もあったはず。でも、相談した麻生氏に怒られた。今、そんなことをしたら大敗するぞ、と。会見で「火の玉となって…」と述べましたが、恐らく「火だるまになって…」の間違いでしょう。今、選挙をしたら負ける、かといって、4閣僚を替えたぐらいで収まるものではない。岸田氏は党内事情によって、総裁の座に居続けさせられる。時事通信の世論調査で、内閣支持率が17%となりましたが、そういうことです。一度信頼を失った人が、それを取り戻すには相当に時間がかかる。1年もない総裁選に間に合うはずもなく、恐らく岸田氏はどう頑張ろうと討ち死に。まさに、火だるまの中を歩め、という話を党との話し合いで決めたのでしょう。

しかし岸田派にも不記載、と報じられる。数千万円規模、とされて安倍派の5年で5億超とされる規模にはほど遠いですが、額で決まるのは検察の基礎判断だけ。国民の意識は「同じ穴の狢」です。体質一新と岸田氏は言いますが、安倍派にあれだけ反発され、ヒヨった岸田氏には到底不可能でしょう。党内基盤も弱いし、国民の支持もない。それこそパーティー収入の不記載、裏金で資金力がある、というならまだしも、財界と深く結びつくような派閥でもない。結局、岸田氏にはできることも、できる力もありません。
新閣僚も、残念なことにどれも古い顔。答弁の安定感はありますが、専門性を無視した印象を強くする。適材適所ではなく、答弁などのできる適材を、空いたところに収めただけ。残念ながら泥舟となった岸田政権に、協力してくれる派閥も少ないから、その中で選べる人…で選んだ。官房長官となった林氏など、安定感や緊急事態でいつも…などと語られますが、要するに答弁はできるけれど、目だって活動できないから、最初から閣僚になっていない。党内に仲間も、推してくれる重鎮もいないぐらいの人望、ということです。これは岸田派で、岸田氏の権力欲が強く、閣僚の座を自分が収まってしまうから、2位の林氏が割を食ってきた、という側面があるものの、逆からみるとその程度の人物ということでもあります。

その林氏がここで官房長官をうけたのは、この人も権力欲が強くて、菅元官房長官のように禅譲を狙ったのでしょう。本来、政権が倒れると、女房役の官房長官もそろってしばらく謹慎となりますが、岸田氏が「幕引きはきちんとするから」と説得したのでしょう。やっと岸田氏が派閥と距離をおくこととなり、岸田派を引き継ぐチャンス到来と思ったら、官房長官に就任でそれどころではなくなった。でもここで顔を売ることが、総裁への近道と判断した。ただ、それを赦すほど岸田政権のおかれた現状は甘くありません。
どの道、レイムダックです。防衛増税も決め切れず、通常国会を無難に乗り切ることだけを宿命づけられた政権、だからです。岸田氏の判断力の悪さ、鈍さをカバーできるほど、林氏の能力も高くはありません。それは改造前、外相時代にも何の成果ものこしていないことでも分かります。ソツはなくともオツでない。それが林氏です。岸田氏に「増税パーティーメガネ」などと、悪名が続々と生みだされていますが、「パー税メガネ」が今は最適でしょう。増税がパーになった、という意味も含みますし、パーで税金の使い方も知らない、という意味もあります。税には『喜ぶ』という意味もありますが、『解く』という意味もある。自民党の弾除けとなって、討ち死にすることで自民党を喜ばすのか、それとも解党になるぐらい、自民党を壊すのか? それは国民の政治への関心のもち方次第、なのかもしれません。



維新のスジ違い

維新の馬場代表が「維新は馬場派」と述べ、失笑を買いました。維新では党内一致を優先し、有力な対抗馬に圧力をかけたり、脅したり、は常態化する。そんな党の、党内融和など笑ってしまうレベルです。しかも、自民のパーティー券裏金問題で、派閥解消を訴えるなど、何をかいわんや、です。300人以上を抱える政党では、どういう形であれ、グループ化する。派閥を解消したところで、別の形で成立するだけです。
必要なことは政治資金規正法の見直し、今回とて、立件できるかどうか…などという警察の弱腰。そうしたことを通して、政治に緊張感をとりもどすこと。それは野党が強くなることも同様です。ゆ党である維新、国民民主、教育無償化を実現する会ではダメで、そんな勢力が慎重しても与党には油断が生じます。政治に緊張を与える、というのは自民に何が何でも対決を挑んでいく、そんな野党が大きくなることです。



立民による内閣不信任案の提出

幹事長の岡田氏や、国対の安住氏が提出に反対した、と報じられます。解散を誘発するから、というのですが、選挙の準備不足というなら岡田氏の能力に疑問符がつきます。これだけ支持率の低い岸田政権が、破れかぶれ解散をする可能性は、自民党総裁選まで常にある。つまり常在戦場です。つまり2、3日で選挙態勢を整え、いつでも解散を待ち構える、という態度でないと、今後の国会を乗り切ることはできません。
一方で安住氏も、恐らく高木前自民国対から、そういう脅しも受けたのでしょう。でも、堂々と受けて立つ、といわねばならなかった。結局、維新と国民民主から煽られ、決断するなんて対決野党の名に恥じます。以前から指摘しているように、是々非々の野党なんて、ゆ党にしか国民には見えません。どうせ与党も野党も一緒、とみえるからです。野党は徹底的に対立姿勢でいればいい。政権を取った後、態度を変えても、安倍政権が民主から奪った後、野党時代に反対といっていたTPPに、即座に態度を翻してもメディアは何ら批判しなかった。今度、それをしたら堂々とメディア批判をすればいいのです。常に対立姿勢、というのは国民に選択肢を与える、ということ。二つに分かれる意見の片方をとれる、ということでもあるのです。

大人しく、行儀のよい野党など、ゆ党と同じです。今、世界で政権をとっているのは極端にふった政治家。それは閉塞した社会、低迷する経済に、変化を与えてくれる、と期待感を高めるから。そうした変化への期待を高めていかないといけません。それができるかどうか? 政権の支持率が17%なんていう状態で、野党への期待が高まらないのは、彼らにも責任があるのです。そのことに気付けるかどうか、でしょう。
安倍支持層のネット部隊が消え、岸田氏が「増税メガネ」などと揶揄されても、おかしな批判が起きなくなりました。今こそ政権奪取に動くかどうか。5年先、という泉代表が態度を見直せるか? それで党内をまとめられるか? 内閣不信任をだすぐらいで、党内をまとめきれないようではダメでしょう。来年はまさに政治の年、ここで自民を追い越すぐらいの、15年ぶりのチャンスと捉えないと厳しいことになります。



接待費の非課税分を5000円から10000円に

これほどバカな話はありません。まず非課税だから5000円まで、なんて扱いをされていたら、その時点でそんな会社との付き合いは止めるべきです。大切な相手なら非課税枠なんて無関係に、おもてなしの心を示すでしょう。むしろこれは、接待という名の税金逃れを助長する、またその甘い汁を吸いたい人たちを喜ばす、だけに過ぎません。例えば接待にかこつけて社内で飲み食いする、などもその一端でしょう。
物価高だから、飲食業の補助になる、今どき5000円で…という意見もありますが、今の若者は飲みニケーションもしないし、食事をするだけなら5000円で十分です。そして10000円だから、飲食店に行ってどんちゃん騒ぎ、などともならないでしょうし、そんな人間たちに補助をだす必要も感じません。むしろ、日本が世界的なコミュニケーションと整合していくなら、日本独特の接待は改めないといけないでしょう。そして、そんなことで飲食業が活性化したところで、日本経済にとって何の価値もありません。それこそ接待費の非課税を止めます、となったら、飲食業が困るとなり、国依存の体質がより強まるだけだからです。国の政策によらず、自立できるような姿にならないとどの道、そんな業界は整理、縮小となるでしょう。



非加熱式のタバコの税率を紙巻と同じに

非加熱式より、紙巻の方が味わいがある、という人もおり、紙巻に回帰するのでは? とされます。ただそうなると、恐らくタバコのポイ捨てが増えるでしょうし、寝タバコの火事も増えるでしょう。それに副流煙より、紙巻タバコだと直接その火から立ち上る煙も、非喫煙者への二次被害を広げる。どう転んでもいいことがありません。それでも税金をとりたい財務省が、画策したのでしょうが、愚策です。
タバコによる健康被害は論を待ちません。タバコだけ狙い撃ち、とされても、健康被害により病気に罹る人が増えれば、それだけ保険診療の負担が増えるので、タバコを吸う人はその負担がかかります。払いたくなければ吸わなければいい。そうした選択肢のある税制です。でもタバコには中毒性があり、止めるのは大変です。18年前から禁煙治療にも保険が適用されるようになりましたが、嗜好品であるタバコを止める、止めないで保険もかかる。タバコは残念ながら、吸うのも吸わないもお金がかかるもの、なのです。



ライドシェアと、推し活

ライドシェアの議論が活発です。小泉進次郎議員など、運転手を評価し、低評価だと択ばれなくなるから、質が維持される、とされますが、大いに間違いです。懸念すべきは、家を憶えた後です。つまり家を知られ、そのときは運転や態度もよく、高評価をつけたとします。でもその後、ストーカー被害に遭って、ライドシェアでつかった車のドライバーだったら? 評価の高さと、犯罪とは別に考えるべきなのです。
日本でこうした懸念が強いのは、執着が強い国民性も影響します。推し活などといって、アイドルやそれこそホストなど、自分が応援したいと思う相手に課金する傾向は、日本は特に強い。他の国で、こうした文化をあまり聞かないのは、いいものはいいけれど、悪いと判断したらすぐ離れる傾向も強いからです。

ストーカーも同様。粘着性が強い傾向がみとめられる。例えばそれが、ライドシェアで気に入った相手をみつけたら? 今でさえ、時おり配送サービスの人間がそうした犯罪に手を染める事件があり、玄関先で会うだけより、車に乗せてしばらく会話して…などとなったら、よりそうした事件に巻き込まれる可能性がある。これは女性ばかりでなく、男性も同様、ジャニーズ問題をみるまでもなく、昨今は男性でさえ犯罪に巻き込まれる恐れがある。こうした議論がおいてきぼり、な政治の無能が一番の問題です。
タクシーが足りないから、といいますが、それは円安で急激に海外旅行客が増えたせい。では今後もこの円安がつづくか? 海外旅行客は今の水準を維持できるのか? 海外旅行客が消えたとき、過当競争に陥ったときにどうするか? その話がありません。日銀が引き締めに転じ、円高になると今後は予想される。今足りないからと、場当たり的な対応をしていると、後に大きなしっぺ返しを食らうことになるでしょう。



イスラエルの暴走

イスラエルが地下壕に、海水の注入をはじめました。恐らくすぐ地面に染みこんでしまうので、一旦みんなが地上にでてくる、という以上の効果はないでしょう。それ以上に、地下水に塩分がしみ込んで、飲み水がつかえなくなる。地中に塩分が多くなることで、農作物が育たない、などの悪影響が心配されます。
結局、いつまでもハマスの幹部連中の暗殺に成功しないことで、イスラエル軍が成果を焦っているのでしょう。ネタニヤフ政権が右派で、強硬派ということもありますが、それ以上にイスラエル軍が前のめり過ぎる。病院や、避難所へ攻撃をしかけたり、一般人を平気で殺したり。こうした作戦の些末的なことまで、政治が関わることはないので、軍がこうした強硬策をとっている。それなのに成果がありません。何百人捕虜にした、などという、そもそも兵士かどうかも分からない捕虜の映像など、焦りしか感じません。

危惧するのは、このままだと野蛮なユダヤ人、それを滅ぼそうとしたナチスは正しかった、という国際世論が形成されることです。今でさえ、ネオナチといった話を見聞きしますが、ユダヤ人が暴走するほど、そうした動きを助長する。世界的なユダヤ人排除の動きすら起こしかねません。世界は今、気候変動以上に、政治が右傾化、左傾化しています。どちらであっても、極右、極左は何かを敵視して、自らの正当性を訴える。その敵として、ユダヤ人は昔から目の敵にされてきました。それは経済を牛耳り、そのことで政治力をもち、国を動かすほどの力をもつ。まさに今、日本でも毛嫌いされる『上級国民』なのです。
それこそ苗字も自分で選べず、またユダヤ人と一目でわかるよう名前に特別な単語をふくめるよう、強いられていた。抑圧されることが、どれだけ苦しいかをユダヤ人は知っているはずなのに、ガザの住民をそういう目に遭わせている。これではユダヤ人敵視が醸成されます。危険な兵器を使用した、との話もある。いずれにしろ、この暴走を続ける限り、ユダヤ人は自らの首を、自ら締め続けることになるのでしょう。



米FOMCによるパウエル議長の態度の変化

13日、日本時間だと14日未明にFOMCが開かれ、政策金利は維持。ただしドットチャートにより来年の金利見通しが引き下げられ、年3回の利下げが示されました。パウエル議長の記者会見でも「利下げを議論した」など、かなりハト化。それをうけて米株は沸騰、米金利は年6回の利下げを織りこむなど、市場は暴走。それは、これまでFRBがタカ派発言を繰り返してきたのは、市場の暴走を抑えるためだったから。そのタガを自ら外したのですから、市場がやりたい放題になって当然。それが今週の動きです。
ただ今週は米SQ週。いわゆる市場が上昇しやすいアノマリーもありました。要するに、FRBが利下げを3回と言っているのに、6回を織りこむなど、株式を上げるための動きを誘発したかった層もいました。来週以降、どう動くかは分かりませんが、とりあえずFRBがハト化した以上、市場は思惑一つで大きく動くことになります。注意すべきは、米株は3%動くだけで1000$以上になる、ということ。つまり変動を大きくする可能性があり、今後はこのFRBのハト化により、上にも下にも大波になり易い点は憶えておくべきです。



日本をダメにする経団連

最近、経済を考える上で、日本的なものがダメと感じることがよくあります。例えば燃料電池車、水素で動く、などとされますが、もうダメです。世界がEVにシフトした後で、今さら燃料電池車に移行することはない。併存も難しいでしょう。なぜなら水素ステーションを、世界規模で今のガソリンスタンドと同水準まで、世界的に整備することは困難だから。つまり世界ではもう、燃料電池車は通用しない。日本国内だけ運用すると、それはガラパゴス化によるコスト高で、国際的な競争力のない仕組みを温存することになりかねない。しかも水素ステーションの整備さえ、国の補助金頼みにしかならないでしょう。
日本では自動車業界が、他の業界団体ともつながり、そこで相互に利益を得る形をとろうとすることが大半です。そのとりまとめに中心的なのが、経団連。しかし利益相反でやっても、結局のところ国際競争力を落とすだけ。例えばEVでも、ルーフにペロブスカイト型の発電装置を備え、子供の送り迎えやちょっとした買い物にしか使わない、という人はコスト0で運用できる日が、そう遠くないうちに訪れるでしょう。でも、それは日本企業から出てこない。ガソリンスタンド、電力会社などの関係を考え、踏みこめないから。そんなシステムをつくれば、周りとの協調を壊す、として非難され、製品化の道すら立ちません。

自動車メーカーが売れる車を考えれば必然ですから、海外メーカーは全固体燃料電池も、ペロブスカイト型発電装置も、実用化されればすぐに搭載します。差別化できるのですから、しない手はない。そしてEVの部品点数の低さは、コストが下がる要因でもある。今はバッテリーの価格とそもそもガソリン車として開発されたものをEV化するので、コスト高ですが、やがて車は当たり前に100万円以下で買えるようになります。最高時速を80km程度に抑えれば、安全性能とて低くて済む。日常の足は安価で済むことになります。
でも日本の自動車メーカーは、そうはできないでしょう。というより、海外勢がそうなって、渋々とすすめるはずです。他の業界団体と、その利益を代弁する経団連に邪魔されて。それ以外でも、企業買収や合併には後ろ向き、日本では手を組んで、仲良くやればいいじゃないか、という雰囲気があり、敵対的買収といったことさえ少ない。収益を考えるなら、合併の方が絶対によいはずなのに、それができないのです。

鶏口牛後、日本ではこれが強く、牛の下半身より鶏の口、つまり小さくても一国の大将である方がいい、との発想があります。そして企業の数が多い方が、経団連も大きくなる。わずかなコングロマリット企業より、大企業とされながらもこじんまりとした企業を大切にした、その集合体、それが経団連の今の姿です。日本が世界と戦うために、今の日本としてそのこじんまりとした企業を、経団連や財界といった仕組みで対していくことは、もう不可能なのです。むしろ日本をダメにする組織に成り下がってしまったのです。
日本的なもの、で成功していたうちはいい。でも今はむしろそれが弊害となった。むしろ今の日本に必要なのは、経団連やら企業間のなれ合いを廃し、緊張感のある経済なのかもしれません。そしてそれは労働組合も同様。労連などで、業界ごとに賃上げ交渉をしてきましたが、企業ごとに業績が大きく異なるようになった。それは日本全体が好調で、同様に利益を享受してきた時代ではないからです。まとまれば力、しかしそれが緩いまとまりでは、もう通用しない。まとまるならより強大な力をもった組織に、そうでないならない方がマシ。賃上げ交渉とて、今後もこうした問題が付きまとうことになります。日本を経済大国に押し上げた仕組みが、今はただの足枷、マイナスでしかない。それをよく考えるべきです。



世界はインフレ退治に成功したのか?

ECBは「利下げは早い」と述べましたが、インフレ見通しは下げるなど、インフレ退治が成功したかのような雰囲気です。確かに今、供給制限はなくなりましたが、それはシェールオイルの増産など、CO2の面ではマイナスの影響を与えた上で、です。露国産が裏ででまわっているのも大きい。しかも消費より、サービス産業中心になっている点も大きい。つまり供給面の改善とは、世界的な消費の減退と、供給サイドが抜け道を確保した、という形で成し遂げられた。ただしこれは諸刃の剣、抜本的な改善ではありません。
ただし、今のインフレの中心はサービス産業です。ここは賃金の上昇をもろにうける。だからサービス産業のインフレが止まる気配は、現時点ではありません。むしろ各国で4〜5%の賃上げが達成されるなら、サービス産業は今後もその分のインフレ圧力がかかる。そして昨年までの供給制約分が、今年解消されたということは、来年はモノのインフレ押し下げ圧力が消える、ということ。来年、賃上げが継続するなら、サービス産業からのインフレで再び、インフレ圧力が昂進していくことになります。果たしてそうなるか?

米国では、来年こそ経済が弱含み、それがインフレを押し下げるとみているフシがあります。しかし本当に経済が弱含むのか? 雇用はまだ強く、人手不足感は解消されていないように見えます。大学の授業料などの負担が増え、また個人は後払いシステムなどが蔓延、隠れ負債が増えている、との指摘もある。だから労働意欲が回復して、人手不足が解消されるのか? 多分、そうはならないとみています。それは一度、楽を覚えた人間が、そう簡単に大変な生活にもどれるのか? という根本的な問題だからです。
それに、国境警備の問題を共和党に迫られ、バイデン大統領は厳しくする方向です。そうなると、また安価な労働力の供給が滞る、農業など、今やどの国もそうした安価な労働力に頼っている。今後の供給制約は、そういった方面からももたらされるでしょう。そこにきちんと答えが見いだせていないから、労働力不足はずっと各国を悩ませ続けるでしょう。結果、サービス産業は賃上げと、価格のバランスを崩すまで、この傾向はつづくのではないか、とみています。来年は愈々、それが試される年となってくるでしょう。



日本株の動き

今週は、ある意味で米国の浮かれ気味の上昇と、FTSEの銘柄入れ替えを週末に控え、何だか後者の方が影響が強い印象でした。14日で下げたのも、まさに銘柄入れ替えのときの動きです。ドルベースでは上昇していた、といいますが、そこは米株の影響でしょう。為替の急変動は、むしろ好ましくないとこれまで、企業も言ってきた。それが日本では起きていて、これは経済にとって好ましくない動きです。
ただ注意すべきは、米国のお祭り騒ぎは、バブル崩壊前夜の日本にも見える。買うから上がる、上がるから買う、すべてを楽観的にとらえ、未来をバラ色にみる。しかしFRBが利下げをする、というのはもうすでに経済が変調している、というのと同義です。もう変調しているのにも気づけず、年末までは上げつづけ、年明けになって急に何だか怖くなって、下げだすと止まらなくなった。今はその年末までの動きにみえます。これが米SQまでの動きなのかどうか、史上最高値を更新し続ける今の相場の持続力、正当性など、年末までに見極めも必要となってくるのかもしれません。そして日本では来週の日銀があります。

米紙が年末には動かない、と否定的な見方を示しましたが、植田氏の発言をみると「年末から年始にかけて…」です。「年末か、年始にかけて…」なら、12月か、1月か、という判断になりますが、年末から年始、なので、12月に動いて年末年始に様子をみる、と言っているように聞こえる。そもそも先週の段階から、判断を変えるような材料はないはず。日銀短観も、現況判断指数は製造業、非製造業とも小幅プラス。先行きはマイナスですが、判断を変えるような材料ではありません。実質賃金はずっとマイナスで、これも別に先週からの判断を変える理由がない。つまり発言をそのまま受けとるなら、来週は動くことになります。
しかし判断を変える材料が一つ。それが為替です。米国が緩和に転じた、との予想で一時140円台まで円高がすすんだ。これはインフレ圧力を弱め、政治からの圧力も緩和するでしょう。インフレになって、補助金をだしてそれを抑えて、尚も日銀がインフレをめざす、という著しい矛盾。円高になれば為替インフレは大分緩和されます。ただ、日銀としては130円の前半ぐらいが当面の水準でしょう。ただし今の速度違反は看過しにくい。そこで引き締めの転換を一旦、見送る公算が高くなります。しかしそうなると、植田総裁は会見でそのことに触れねばならず、為替操作が目的なのか? との批判をうけることにもなります。

株価を決めるのは、とにかく日銀です。中央銀行の存在が大き過ぎて、今はそれ抜きで予想をだしても虚しい限り。逆にそこを間違えると、先々で大きな乖離を生じるでしょう。しかし米国で緩和に転じると、日本株にマイナスという逆効果が生じるなど、昨今の市場は思惑が強すぎて、その思惑との乖離もまた、大きくしています。恐らく外国人投資家は、もう来週はお休みに入る人も多い。ただし昨今はアルゴリズム取引…今はAI取引といった方がいいかもしれませんが、そうしたものは入るので、一見すると売買は落ちず、通常通りにみえます。ただしその裏では、戦略の見直しなどがかかりにくくなることもまた事実です。
外国人投資家は2週連続で、現物株を売り越し。TOPIXも2350ptへのこだわりを捨て、どうも高値を追う雰囲気ではありません。外国人投資家は2ヶ月買いつづけたので、円高になった今が売り時にも感じているでしょう。どちらかというと、現物を増やし過ぎ、先物を減らし過ぎたので、その調整をしているようにも見えます。ただそれは相場を押し上げる材料ではなく、むしろ逆にみえ、2週間頑張って買った個人投資家が、節税売りを入れるタイミングをどうするのか? といった点が来週の相場の動きを決めそうです。そしてその動きを、どちら方向にするのかを決めるのが、日銀の会合という点は変わりない。円高のすすみ具合、株価の行方、日銀にかかる注目は底知れなくなってきて、逆にそれが不安を増す点でもあるのでしょうね。

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2023年12月09日

12月2週の動き

岸田政権の終焉

政治資金パーティーの裏金問題で、岸田政権が死に体です。岸田首相は派閥の長を辞し、パーティーなどを中止するよう要請していますが、何とか延命策を講じても、松野官房長官に疑惑が直撃した以上、もち堪えるのは不可能です。しかも西村経産相など、まだ続々と疑惑を抱えた政治家もいる。西村氏といえば、パソナ政治家。パソナといえば、政治家、官僚を接待攻勢で雁字搦めとし、国からの支援金、補助金事業でぼろ儲け。行政への人材派遣といった受注もパソナが多くを受けもつなど、極めて危ない企業です。その企業が通称、パソナ島と呼ばれる淡路島に本社を移した後も、頻繁に西村氏はお呼ばれしていた、と報じられます。
派閥主催のパーティーでも、このコネは存分に利いたでしょう。つまり西村氏はパソナに買ってもらうことで超過分が多くでたはずで、それが裏金にまわる。政治家、西村を応援してきたパソナだけに、裏金を送りこめるのですから、こんなあり難い仕組みはありません。松野氏の1000万円など、可愛いぐらいの金額が入っていた可能性すらあります。その他でも、続々と安倍派の議員は危ない。自民党最大派閥なので、副大臣・政務官にも多数いる。全員がその対象で、裏金の使途ですら政治家同士で融通していた、つまり政治家同士の資金のやりとりは、安倍派に限らずもっと多くなる可能性があり、事件は拡大し続けるかもしれません。

これは安倍内閣時代、杉田内閣官房副長官が元警察官僚として、行政を牛耳った、もっと悪い言い方をすれば警察を操って罪を逃れさせた、これは意趣返しとなる可能性も高い。つまり当時の警察官で忸怩たる思いを抱いた人は、多くいるでしょう。内閣の圧力で、捜査を中断させられたり、起訴できなかったり。つまり安倍派の捜査は、そのときの恨みが籠められる。心ある警察官こそ、本気でやることになります。
岸田氏の権力欲が、未だに派閥の長を辞す、などという悪あがきをみせますが、下手をすれば年内総退陣。年明けに自民総裁選、来年は別の内閣、という道すら見えてきました。しかし安倍派の一定の方向性がみえないうちに、内閣が消えたら、それこそ警察は一気呵成に捜査の輪を広げてくるでしょう。今回、いくら秘書のせいにしても額が額だけに、政治家が知らないはずがない。しかもその使途さえ、政治家が関与していないはずがない。1000万円を秘書の裁量で、右から左にできるはずもないのですから、政治家にもイイワケができない問題です。その解がみつからないから、松野氏は答弁から逃げ回っています。

いずれにしろ、もう岸田政権で選挙を戦うことはありません。来年の通常国会さえ、まともに開けるかどうか…。自民としては選挙の前に、総裁選で盛り上げて…と考えるところですが、これまでの総裁がそうであるように、自分が総裁となったのにすぐ選挙、はない。でも1年経てば支持率が低下し…のくり返し。つまり自民党重鎮が考える選挙戦術と、総裁選とはまったく合致してこなかった。その結果、麻生政権のように選挙で大敗することになります。果たして総裁選をいつやるか? 自民党は頭が痛いでしょう。
しかも自民党は、政治資金パーティーをほぼ出来ずに選挙をすることになる。実弾がない、もしくは実弾をどこかの企業にださせて…となって、それが後にバレたら今度こそ自民党は終わりです。それぐらい切羽詰まったことになる。これから裏金疑惑が、他の派閥に飛び火しても、それは同様でしょう。しかも朝日新聞が、自公国の提案した旧統一教会の財産保全法が、衆院で通過したタイミングで岸田氏と元米下院議長が面談した際に、旧統一教会の有効団体のトップが同席していた、と報じる。朝日新聞も意趣返し、経営者は事なかれ主義でも、記者の中には未だに気骨をもつ者もいて、こうした大胆な攻撃をしかけてきた。安倍政権時代から狂った歯車、それを修正する動きがそこかしこで起きてきています。岸田氏にそれを裁き切ることなど、到底不可能。いずれにしろジ・エンド。後は幕引きの姿だけが焦点です。



植田日銀総裁の『年末、年始でチャレンジング』

7日の国会で、植田氏が上記の発言をして市場は大混乱しています。これまで「賃上げの状況をみて」と発言していた人が、予定を前倒しにすると急に言い出したように聞こえるからです。円は1日で5円以上動き、神田財務官が語っていた「ファンダメンタルズをみれば1日で2円も動かない」水準から、倍以上の動きを示したのに、日銀も財務省もその発言を一切していない。「急激な変動」に対応するはずが、この変動に一切口をつぐむのですから、もうその言葉は完全に形骸化した、とみて間違いないのでしょう。
問題は、なぜ植田氏がこのタイミングでいいだしたか? 昨年も黒田日銀は、抜き打ちで12月に突然国債の金利変動枠を拡大し、市場を驚かせました。どうも日銀内では、市場参加者が少なくなるこのタイミングで、市場に変動要因を与えたいようです。今は、円売りを入れていたヘッジファンドなどが慌てて損切り、手仕舞い買いを引き起こしていますが、恐らくそれは長続きしない。ただし、問題は今後にあります。

米国では急速に利下げ観測が広がる。今の米国債市場では、3月には利下げ、年5回も利下げを織りこんでいます。そのタイミングで日銀が引き締めなど始めたら、どうなるか? 勿論その方向性は円高です。しかも加速度的です。今年、日本は現状維持、米国が急速に引き締めをする中で、大体20円の円安がすすみました。米国は速度違反の利上げをしてきましたが、恐らく米国が定常的な、利下げをしても、日銀が利上げなどをすればその倍以上の円高を引き起こす可能性があります。予断を許さなくなりました。
昨年も、岸田政権が焦って黒田日銀を動かし、1日で円は5円ほど円高、株は2日間で850円も下落しました。ただそれは事前にFOMCも、ECBも動いており、それを含めると円は5円ほどの円高で変わらないものの、日経平均は合計して1750円も下落した。だから今回、事前に織りこませにいった。それが昨日の発言だったのでしょう。同じように岸田政権が、円安インフレを国民が嫌気するので、何とかしろ、と命じた。昨年の轍を踏まぬよう、事前に行ったが、メジャーSQと重なって大混乱というのが今日の顛末です。



オスプレイは欠陥品

オスプレイが沖縄の近海に墜落した問題。米軍はついに欠陥であることを認め、世界中の運用を停止しました。日本は17機、3600億円で購入することを計画しており、1機辺りで200億円越えの超高額機種です。これは研究費もふくむもので、安倍政権時代、米国の歓心を買うために大人買いを約束したもの。それが欠陥である、と言われたのです。今後、もし致命的なものであることが判明した場合、さらなる研究、開発費がかかるかもしれず、もしかしたら日本の調達費も跳ね上がるのかもしれません。何しろ、研究・開発費も上乗せとなるからで、現在は5機の納入ですが、後12機の調達費、また現行の5機ですら、改造に費用負担がかかるかもしれません。未亡人製造機は、とんだ金食い虫になるのかもしれません。
当時から、事故の多い機体であることは知られ、米軍では陸軍も採用を見送っています。逆に、陸軍がもっとも重宝しそうな機体であるにもかかわらず、です。それは作戦遂行時、こんな事故の多き機体では必ず支障をきたすから。それが今回のように、欠陥によるものなのか? そもそもの機体設計上の問題なのか? 今はまだ分かりませんが、少なくとも運用に足るようなものでないことは間違いありません。



大谷翔平選手の移籍問題

正直、この問題でメディアが大騒ぎする愚。そもそも、大谷氏はプライベートに関して公にすることはほとんどなく、口が堅いことで有名です。さらに、トレードは秘密裡に行うもの。相手との信頼関係があるので、口にすることは憚られます。正直、1週間以上もこの問題で大騒ぎする、日本メディアの質の低さにはうんざりです。なぜなら、別に進捗もない、誰もが勝手な予想を並べ、地元のファンは期待を語る。そんなことで時間を費やす。別に世がこともなく、平穏ならいざ知らず、重大問題が山積するのに、です。
毎日、何か進展のある話ならまだしも、訳知り顔で語る人間が、一体何を知っているのか? 何も知らないのです。数分、むしろ軽く触れるぐらいで十分でしょう。ウクライナも、ガザも、国際情勢はさらに深刻度を深め、南米では大変な事態が進行中です。中国の一体一路からイタリアが離脱し、斜陽に入った。24年は国際問題が大きく動く年になりそうで、野球どころではなくなるぐらいの悪い意味で、です。



アルゼンチンのドル化政策

アルゼンチンで下院議員のミレイ氏が大統領選に勝利し、中央銀行の廃止とドル化政策を打ちだしています。要するに、通貨発行権を放棄し、すべてドルで取引する、ということ。元々、経済が破綻状態にあったアルゼンチンは、ハイパーインフレに陥っており、ペソの信認も低下して国内ではドル取引を黙認してきた。むしろドル取引でないと、経済が回らなくなっていたのです。ただし、このドル化策は問題が多い。
一般的には、経済が不調なときに自身の国でコントロールできない、ドルが調達できなくなると、結局はインフレに陥る、といった問題があります。しかもこのインフレ、ドルの価値の方が高くなってしまうため、通常はデフレになるのですが、ドルを皆が手放したくないからインフレ、という非常に厄介な問題を伴います。ドルで取引するはずが、ドルが取引にふさわしくない通貨となってしまう、ということです。

ミレイ氏は右派、これまでの左派政権はバラマキをして歓心を買い、それで財政が破綻した。その反動としての右派です。中国との関係断絶、などと報じられますが、アルゼンチンはこうして国民に阿る左派、という問題が生じてきました。果たして今の日本は? 岸田政権が相変わらずバラマキをつづけるのは、右派による国民の歓心を買う動きです。日本の未来の姿ともアルゼンチンは称され、強ち噂では済みません。
日本の債務の多さはよく指摘されますが、MMTでは通貨発行権をもつ国は、いくら借金をしても問題ない、とします。それは中央銀行がその債務を引き受け、その分通貨を発行し、経済が回せるというのがキモです。しかしアルゼンチンはそれを放棄した。経済規模の違いはあれど、通貨の信認は一度失ったら、もう元にはもどせない。物凄い痛みを伴ってそれを何年もかけて修復するしかないのです。今の日本は、間違いなくMMTに向かって一直線に進んできた中で、アルゼンチンが逆方向に動いた。この問題をよく考え、次の政権を選択しないと、本当に日本の未来がアルゼンチンとはまるで異なる、とは言い難くなります。



文春砲と大阪万博

文春砲が、大阪万博と吉村大阪府知事を直撃です。吉村氏と昵懇の企業に多額の発注、などですが、政治のムダ削減を訴える維新だけに、余計に深刻度は甚大です。それでいて関西の企業にチケット購入をして、と訴えるのですから、誰もが話がちがう、となるでしょう。2兆円の効果、などと喧伝するのも眉唾。木造の円形ドームもごり押し、など散々です。脇の甘い維新が、愈々ぼろをだしてきた、といったところ。
これまでも吉村氏の醜聞を、関西人は聞き流してきた。まるでそれはジャニーズや宝塚と同じ、ファンだから臭いものに蓋、という危険な態度です。鑑定眼を失わせ、正しく相手を評価することさえ暗くする。むしろ関西人は阪神タイガースなど、入れ込みやすい気質があるのかもしれませんが、だから阪神は滅多に優勝できない、などとされます。つまり関西全体を弱体化させることにつながりかねない、ということです。

万博は橋下元大阪府知事のブレーンだった、堺屋氏の肝いりで招致に動いた、という経緯があります。それに安倍政権が全面的に乗っかった。しかし先週も指摘したように、この招致でさえ日本の裏金が動いていたかもしれない。安倍政権ならやりかねない。つまり2兆円ぐらいの経済効果がないとペイしないぐらい、すでに予算を駄々洩れさせたのかもしれない。堺屋氏は万博ブレーンでもあり、そこへの忖度が働いた、とみてもよいでしょう。つまり当時の安倍氏と、橋下氏の強い結びつきが万博を実現させたのです。
その堺屋氏は『小さな政府』『規制緩和』という路線。それを維新も踏襲しています。しかし万博は明らかに国家事業の肥大化。逆行です。そもそも維新がこれを訴えたこと自体、矛盾なのです。本当に大阪府など、維新に毒された府県、市町村が小さな政府に移行したら、関西の経済はより縮小していくだけでしょう。つまりその矛盾が、この万博には集約されます。要するにツッコミどころ満載なのです。何となく国家のすることに反対できない空気が、これまで醸成されてきた。それは安倍政権が、統一教会の献身をつかってネット世界を牛耳り、反対する意見に対して攻撃をくり返してきたから。しかしその献身が消滅しかかる中、果たして万博をつづけられるか? 逆に維新の責任問題を重くするだけかもしれません。



安倍的なものの見直し

上記したいくつかの記事は、これまで日本を毒してきた安倍的なものの見直しです。政治では安倍派にメスが入った。今回、あまり報じられませんが、安倍元首相がもっとも裏金に関与した、とみるのが正しいでしょう。むしろ安倍氏が積極的に裏金をつくり、政治を牛耳ったからこそ、派閥もそれに倣った。そう考えた方がシンプルです。他の派閥がこれを真似しなかった、二階派でもノルマを越えた分は記載なし、としますが、それでも一定の抑えが働いたのは、この仕組みがかなりヤバいと知っていたからです。
安倍派がナゼ、ここまで野放図になったかといえば、安倍氏が主導したことと同時に、上記したように杉田氏が完全に警察をコントロールし、事件化させないようにしていたから。そこに油断が生じ、この仕組みが出来上がった。さらに安倍氏が亡くなった後、杉田氏が政治の一線から身を引いた後も、その慣行がつづいてしまったのも旨味が大きかったからです。結果的に、時限爆弾を抱えてきた派閥だったのです。

安倍政権時代の、黒田日銀がはじめた異次元緩和も、ここに来て見直しがかかりそうです。10年以上も異次元でありつづけたのですから、いい加減に正常な次元にもどす必要がある。東京五輪はコロナ禍という以上の大失敗で終わり、汚職、癒着が相次いで発覚しましたが、恐らく大阪万博も同様の構図です。その頭の名前が、安倍から吉村に変わるだけでしょう。安倍関連企業が五輪に関わり、不祥事を起こした。同じことが大阪万博で起こり、それは吉村関連企業となる。同じところに、同じように乗っかるのですから、何の不思議もありません。関西人がその構図に気づけなければ、後に大きな失望を招くだけです。
産経新聞が、臨床心理士のコラム盗用問題で、百田氏に謝罪したことが話題です。産経も百田氏も、同じ安倍支持層をターゲットにしてきた。要するに支持層が同じなので、盗用が刺さる、と判断したのかもしれませんが、同じ穴のムジナが互いの尻尾を噛みあう構図にみえます。どちらも痛みを伴い、結果的に安倍支持層が離れていく。安倍的なものを導入し、色々なことが日本では劣化した。もう取り返しがつかない部分もありますが、これからその見直しが始まるとすれば、痛みはかなり厳しいものとなるはずです。



米経済の読み方

米国では来年の利下げ、がもう既定路線のように語られます。以前も指摘したように、今の消費者物価がそこそこの下げにとどまるなら、利下げするインセンティブはありません。今日発表の雇用統計でも、農業部門の就業者数が19.9万人増となりましたが、問題は平均時給が4.0%ほど上昇する。つまりインフレ昂進のサインを示します。物価より高い賃金上昇率なのですから、消費を促すディマンドプル型のインフレです。コロナ禍でモノ消費に移行した。コロナ明けでコト消費に移行し、未だにサービス業のインフレは高いままです。よく「モノ不足が解消したからインフレが低下」という人もいますが、米国では主にサービス業の方がインフレ率が高くなっており、モノの価格下落は今のところあまり影響がありません。
原油にしても、最近ではシェールオイルが増産をつづけ、それが原油安を引き起こしています。OPECプラスなど、実は微々たる影響でしかなく、減産を維持するのも大変なのは、この米国の増産が問題だからです。これまで米民主党は、CO2排出問題もあってシェールオイル関連には後ろ向きでしたが、インフレと選挙を考えれば増産やむなし、に舵を切った。そんなこともこれは影響する問題です。

リーマンショック前と、FRBの動きがそっくりだとの指摘があります。急激に金利を上げて、一時的に停止。リーマンショックの前だと、ちょうど来年の3月に利下げが始まり、その後の夏にリーマンショック破綻、という大波が襲います。だから来年、3月の利下げが視野に入る、というのです。ただし当時と異なるのは、リーマンショックとは元々サブプライムローン問題があり、その火種が燻る中でした。今年、春先に米地銀問題がさく裂しましたが、あんなものはサブプライムローンの比ではありません。要するに、米国債が破綻の火種になる、というものですが、今はまだそこまで逼迫した状況ではないでしょう。つまりリーマンショックのような、強烈な破綻は起きにくい。取り付け騒ぎすら起きなければ問題ありません。
むしろ問題は、各国でドル調達コストが上がり、為替以上に様々な面で取引に支障が生じたとき、でしょう。今は、富裕層が自国経済に不安があり、米国に資産を積み増すことで様々な市場が支えられる構図です。しかし自国でドルをつかう必要が生じ、引きだされ始めると存外、米国は脆さを露呈するはずです。その一番のショックは、中国から起きるかもしれません。中国は人民元建て決裁を世界中に促してきました。しかしその負債の多さと、中国不動産問題の直撃により、世界中の中国をみる目が厳しくなる。そしてドル決裁への巻き戻しが起きる。そのとき、ドル不足が様々な問題を引き起こし、ひいては米国経済すら傾けることがあるかもしれません。あくまで悲観の話ですが、堅調であるがゆえに米経済の不安は、そこに生じかねないということです。



日本株の動き

今週はメジャーSQの需給要因で大きく上下しましたが、6日の大幅高は、むしろ余計だった。端的にいうとTOPIXの2350ptに拘りをもつ層がいた可能性が高い。5日にそこを割れ、6日に取り戻し、7日もそこをキープした。日経225より強い意思を感じました。今はSQの清算値より、その時々でファンドなどの締め切り、支払いのタイミングといった要因で値動きを大きくする傾向があります。月末、月初高もそう。そこである値をキープしておくこと、または利益をだしたと通告すること、が値動きを大きくする要因です。
今のように、日経225型よりTOPIX先物の方が、倍以上の取引があるのですから、尚更にTOPIXに対してのアプローチが強まる。今日でそこを割れてきましたが、そうした思惑は逆にショックに弱い。マネーは需給に関わるので、その需給が悪化するからです。安倍政権では供給サイドを増やすことをとにかく目指し、市場を押し上げることを模索してきた。しかしそうして供給を増やしたからこそ、そこが逆回転を起こすと値動きを大きくする。思惑で動く分が、それだけ大きくなってしまうからで、そこは痛し痒しなのです。

日銀はこれまで動くべき、とされながら約1年放置してきた。それが愈々これから始まる。それだけで株高は期待できなくなるでしょう。緩和し過ぎて今の水準、その引き締めがどこまですすむか? まだ予断を許しませんが、少なくとも動きだしたら一気にやらないと、景気の冷やし具合を大きくします。ダラダラ…が最悪です。インフレ率だけなら米国を上回る。来年、再来年の市場予想を、日銀は約2%にインフレ率をみているので、そうなるとその辺りまでは上げてくる。マイナス金利解除、2%までの引き締めとなると、市場的にはかなり弱く見ておいた方がよさそうです。そしてこれは企業の金利負担にも直結する。長く緩和、マイナス状態をつづけた副作用で、企業が借金体質に陥っているなら、業績も下押しされます。
まだ実際、日銀が12月に動くのか、1月に動くのか、よく分かりませんが、そこをみてから来年の業績見通しを市場関係者は変えるのでしょうが、そのとき今の株価を「安い」と言えるのか? むしろ割高に見えてくることでしょう。今はNISA期待も高いですが、残念ながらそんな投資に回す層は多くなく、それだけの余裕のある層はとっくに投資をはじめている。逆に投信などの形にしかならない運用では、そうした層は物足りないでしょう。一部をNISAに回すことはあるでしょうが、その程度の効果しかありません。

FOMC、日銀決定会合などをみないと、来年の市場予想も立てられませんが、恐らく色々な面で行き詰まりに直面するのが、来年だとみています。AIとて、今は『AIであること』が価値ですが、AIがごく当たり前の世界になると『AIでないこと』に価値を求めるようになります。その転換は意外と早く迎えるでしょう。逆にいうと、それだけAIシフトが急速に起こり、その不具合、不都合によってAI離れも早くすすむ、ということです。今はAI投資が活発ですが、その旬もそこで終わり。恐らく来年にはそれを迎えるはずです。
そしてそのとき、次の市場を押し上げる業種は? そう考えると、意外と少ないのです。恐らく世界は今よりシンプルになっていき、よりサービス業的なものに注目が集まるでしょう。ただ相場を押し上げるほどではない。市場の目玉がない世界、に突入していくと考えています。逆にここまでの好環境で、多くの業種が割高な水準まで押し上げられてしまっている。来年の中央銀行の動き方、そこに市場の今の状況を考え合わせると、色々と来年は大変になることを想定しておいた方がよいのかもしれませんね。

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analyst_zaiya777 at 00:08|PermalinkComments(0)政治 | 経済