2016年07月24日

鳥越氏の醜聞記事についての所感

やっと週刊文春の鳥越氏の淫行記事を目にする機会がありましたので、感想を交えて考えてみます。要点をかいつまんで説明すると、2002年に大学で講義を担当していた鳥越氏がメディア志望だった大学2年生の女の子と親しくなり、誕生パーティーと称して別荘に誘い、そこで無理やりキスをし、関係を迫った。しかし女の子は拒否、帰りの車中でも誘ったものの拒否。女の子はそのことを周りに相談しようとしたところ、鳥越氏に醜聞を流されてショックをうけた。その後、彼氏が鳥越氏と話し合いをもち、TVへの出演を辞するとの確約をうけて決着した。という流れです。ずっと既視感に苛まれていましたが、記事にも週刊新潮が先につかんでいた、と認めており、文春側は都知事選への出馬をうけ、これが社会正義だと改めてその男性を直撃。女性への取材はしないことを条件に、記事にすることを同意した、とします。

まず疑問なのが、男性は鳥越氏が都知事に出馬したのが許せない、目にする機会も増える、ことが記事の掲載に同意した理由としますが、鳥越氏はこれまでもTVへの出演を続けており、またCMにも出ている。東京五輪があるとはいえ、都知事になった方が逆に、目にする機会は減るでしょう。ニュースをよく見る、東京五輪の関連ニュースに注目しているなら別ですが、これまでは「TVに出演しない」という約束を破っていたわけで、急に都知事選に出馬するから、といって怒りが増す、ということもないでしょう。逆に考えると、文春側がこのネタはいける、と判断して追記事になろうと突っこんだとき、インパクトが弱いことに気づく。そこで「淫行」や「怒り」を付加して報じたのではないか? と推測されます。
しかしこうして報じられれば、いくら文春が奥さんには直撃しない、と約束したからといって、他のメディアの記者は当然、奥さんに話を聞きに行く。文春が記者のすべてを牛耳っているわけではないからです。しかも騒がれれば、嫌でも奥さんの耳に入る。トラウマを抱えているのなら、尚のこと記事にすることを断固拒否するべきでした。逆に、そうした事態になっても許せない、とするほど怒りがあったのなら、それは奥さんを守ることが第一ではなく、自分の感情を優先したことにもなる。奥さんのことで怒っているはずなのに、奥さんは蔑ろ、という些か行動に整合性がない点もあります。そうなった原因は文春側が、インパクトを欲したのか? それとも男性が記事の掲載料に目が眩んだか、どちらかなのでしょう。

価値観は様々ですから、キスや迫られてトラウマになる女性もいるでしょう。しかし解せないのは別荘からの帰り、車に一緒に乗っている点。トラウマになるほどショックを受けたのなら、近場の駅までは送ってもらっても、そこから一人で帰ろうとするはず。もし顔も見たくないほどなら、タクシーを呼んでその場で帰るはずです。ナゼならそんな好色男と一つ屋根の下にいる、一晩過ごすことすら不安なはずですから。それまでいくら信用があった、信じていた、といってもその段階ではそこまで崩れていなかったのなら、そもそもドン・ファンが、生娘を騙してモノにしようとした、という構図までなら、まだ女性による鳥越氏への信頼が崩れてはいなかった、ということになるのでしょう。
では鳥越氏が話し合いをもった、TV引退まで示唆した、とは何があったのか? 推測ですが、実は事件の構図として重要なのは、『隠蔽工作をはかったこと』なのではないか、と見ています。単に女性に言い寄って失敗した、というだけで、TV引退までもち出さないでしょう。強引に関係を結んでしまった、というなら肯けますが、それだと逆にTVから引退ぐらいで男性側が手を引いた理由が説明つきません。強姦罪で告発することも考えられますし、慰謝料を請求することもできた。コトを荒立てたくなかった、というなら、前回、今回と告発記事を掲載したことの説明がつかない。女性を貶める形で隠蔽工作を図ろうとした、それを男性側から追及された、というなら公人という立場を辞すことを提案し、男性も納得した、という構図がすっきりと肯けます。つまり公人の立場を利用したからこそ女性を誘え、隠蔽工作にも真実味をもったのであり、そこを外すことが最大の目的だったと考えられます。

つまりこの事件、扇情的に文春が書いた構図とは、趣をコトにするのではないか? そう考えると、すんなり受け入れることができます。つまり『淫行事件』ではなく『隠蔽事件』です。女性を口説こうとすることは、男性なら多かれ少なかれある。失敗することもある。そこまでは問題ない。しかしその事実を隠そうと、自らの地位、立場を守ろう、保身に走ったとき、女性側を悪人にして自らを正当化しようとする。そんな構図であるなら、この事件で問われるべきこと、も違ってきます。これはあくまで憶測ですから、実はまったく異なる事実が隠れているかもしれない。文春の続報でもでれば、また事情が変わってくるかもしれない。しかし今回の記事、文春の暴走ともみられる煽り記事により、逆に分かり難くなってしまっているのでしょう。もやもや感しか残っていませんが、今週で何か事情が変わるのか。もし上記の内容なら、都知事選への影響も含めて文春側のいう社会正義とは、少し異なる構図も見えてきます。文春が、新潮側から「引用」した記事、「陰謀論」とも相まって、まだまだ真実が分からない部分が多い、といえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:41|PermalinkComments(12)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | メディア

2016年07月23日

都知事選、中盤戦

G20財務相・中央銀行総裁会議が中国の成都で開幕しました。英国のEU離脱でも、国際社会は十分な準備ができている、と声明をだす一方、英国とEUに緊密な協調関係を要請するなど、言葉は悪いですが、G20が「全然大丈夫。全然平気」とするのが、やせ我慢にしか見えません。動揺を悟られないよう、平静を装う。逆にそれが危機感の強さを示すのでしょう。
独国では単独犯と見られるテロがありました。ISILとの関係、というより日本でも最近みかける自暴自棄による犯罪、とみられます。ただ日本では銃の入手が困難なため、大きな被害がでなかった。今回の独国の事件は、犯人が銃を入手したため大きな被害がでた。その差しかないのでしょう。日本でも銃や爆弾といったものが入手し易くなれば、いずれ同様の事件がおきてもおかしくない。ナゼなら世界中で景気はいい、と威勢のいいことを為政者は語る一方、自分たちに恩恵はなく貧しいまま。そうした不満を溜める層が拡大しているからです。為政者が事実を認めないから、貧困対策がすすまず、将来を悲観して犯罪に走る。どこの国でも起こりうることで、日本では増える一方なのかもしれません。やせ我慢をして「景気がいい。我々は大丈夫」と言い続ける限り、我慢の限界にきた人がでるのは必然なのですから。

都知事選が後半戦に入っています。参院選と異なり、メディアがそこそことり上げているので、注目度も高いのですが、序盤の流れを変える材料は鳥越氏の醜聞、ぐらいでしょう。ただしコメント欄ではとり上げていますが、「淫行未遂」については14年前の事件であり、また私の記憶が正しければ、既報の内容だったはずです。都知事選への出馬でネームバリューが高まり、再掲したのか? それは分かりませんが、その影響がどこまで出るかは分かりません。一部で、ジャーナリストなのだから自ら潔白を証明しろ、説明責任を果たせ、という話もでていますが、これが事実ならそれもできますが、捏造だと潔白の証明が難しいばかりか、本人には身に憶えがないので説明もできない。文春はこの事件について「自信がある」とはしますが、事実認定の難しい話であり、水掛け論にしかなりません。
小池氏の選挙活動が、前々回の都知事選に出馬した黒川氏とそっくり、との話もでています。緑のイメージカラー、透明の選挙カー、クルーザーによる選挙活動、といった具合です。恐らく選対には黒川氏の選挙にかかわった人が入って、戦略を練っているのでしょう。でなければ、これほど似ることはありません。興味深いのは、落選した選挙戦術を採用している点で、もしこれで当選すれば、黒川氏と何が違ったのか? という分析にはうってつけです。先だしジャンケン、劇場型選挙、と昔とった杵柄なのか、すべてがどこかで見たことのある内容だけに、都政でも何か新しいことを打ち出せるのか? 新規性や斬新さ、といったイメージは湧きにくく、既存の政治家の姿そのものともいえます。

驚くのが増田氏。知名度が低いことを自覚してか、積極的に有権者と写真をとり、ツイッターやフェースブックなど、ネットにアップして、とお願いしている。しかし大して知名度のある人でないだけに、会ったからと言って嬉しい、という声も聞かない。わざわざ自分の顔まで晒してネットにアップする人がどれほどいるか、は微妙です。それに、そんな写真をみたからといって、増田氏に投票したくなる人がいるか? かなり微妙です。
政策、政策と訴えていたのは、自民都連をバックにつけているから、政策論争なら自民都連からのレクチャーもあるので有利、といったところだったのでしょう。しかしメディアの討論会でも、微妙な回答が目立ったこともあって、知名度選挙に傾かざるを得なかったのでしょう。ただ結果的に、自らの知名度がないことが最大の弱点になっている。頼みの組織も小池氏に大分もっていかれている、ともされるので、浮動票をとるしかなくなった。そんな空気を『忖度』し、メディアが都知事選をとり上げやすくなっている、というなら、この都知事選の報道には『与党の事情』しかうかがえない、とも云えるのでしょう。

しかも、その報道ではこの3者以外、まったくとり上げない。「他にも都知事選には…」と名前の一覧が報じられるだけです。三者の対決であることを暗に示唆しており、これが公平というものなら、メディアの報じ方には結局、第三者が納得するような公平さはない、とも言えるのでしょう。それは「私たちは正しい」と語るメディアへの強烈なアンチテーゼとして、先の参院選からの一連の流れとともに、不公正さしか垣間見えないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:59|PermalinkComments(20)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2016年07月22日

雑感。ポケモノミクス

ポケモンGOの日本配信が始まりました。ポケモノミクスとも語られますが、個人的にはそれほど期待する波及効果はない、と感じます。基本は歩き回ってポケモンを探す。課金をする店の周辺には、レアポケモンが出やすくなる、などともされますが、だからといってお店に入らず、出入り口で溜まってポケモンをしているだけでは、店の収益にはならない。逆に営業妨害ともなります。これは提携したマクドナルドも同じ。GPSの精度、店のWi-fiの通信範囲も含めて、消費はせずに済ましてしまうケースが多いでしょう。そもそも、それだけ熱心にポケモンを追いかける人が、一箇所にとどまって消費する、ということは少ないはずです。それ以上に、事故や犯罪に巻きこまれるなどで、保険にはマイナスかもしれない。これは人が一箇所に定着し難いシステムなので、消費には大した寄与がないのです。

毎月勤労統計の5月確報で、実質賃金が前年同月比+0.4%と、速報の+0.2%から上方修正されました。実質賃金は4ヶ月連続の上昇ですが、ちょうど円高が進行し、デフレになった時期と連動しており、5月は名目賃金は-0.1%であるように手取りの金額自体は減っています。さらにこの動きと連動するかのように、小売の百貨店、スーパーの売上げは下落をつづけており、物価は下がったといっても金額は据え置きであるケースもあるので、名目賃金の目減りによって、家計がより慎重姿勢に入っている可能性があります。特に今、食料品は好調とされますが、食料品の価格高騰によってそれ以外の消費が減退する、非常に悪い形の節約であり、エンゲル係数の高まりは日本人の貧困をより強く示唆するものです。
政府の景気対策として20兆、30兆円などという話もでてきましたが、今のところでてきたのはリニア新幹線だったり、と大型公共工事の話ばかり。財投は借金にカウントされない、といってもきちんと返済が計画通りにすすまない可能性があり、人口減少社会でのインフラ整備に一体どこまでの効果があるか、分かりません。残念ながら、自民党は参院選でもそうだったように、既存の利権体制への還元という方が優先なのかもしれません。

恐らく、ポケモノミクスでそちらに課金などが集中すれば、日本では他の消費が抑えられることになる。それもこれも、賃金が上がっていないのですから仕方ないことです。参院選で、安倍氏がCMに出て訴えたのは「3年連続で賃上げ」というだけ。賃上げが行われても、ボーナスなど一時金が下がれば、家計所得は減る。賃上げは決して家計を潤さないにも関わらず、そこしかアピールできなかった。ということがそもそもの限界なのです。
消費のバランスが明らかに日本が貧困へと向かっていることを示す中、政府だけがどこか別次元のように、放漫財政をしている。しかも景気への寄与が低いことは、これまでの安倍ノミクスでも低成長、マイナス成長が頻発するように、公共工事と金融緩和を組み合わせるだけでは効果がないにも関わらず、です。東証や国会、官邸でもポケモンが出現した、という話があります。しかしそこには金くい虫、というモンスターしかいないのかもしれません。今、日本に必要なのは大型の景気対策ではなく、減税です。それはNHKの受信料などを含め、固定費として意識されるもの、それを下げることで家計に安心感を与え、消費しても大丈夫という意識を芽生えさせることです。来週はいよいよ日銀Week、ヘリマネを含む追加緩和の有無が意識されます。そのモンスターボールから何が生まれるか。歩き回って、汗をかいて見つけたものではないだけに、そのモンスターは『フアン』という名前になるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:45|PermalinkComments(12)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年07月21日

露国のドーピング問題

欧州中銀が金融政策について、現状維持を決めました。一部で、英国のEU離脱をうけて英中銀と歩調を合わせ、緩和に傾くといった観測もありましたが、大方の予想通りの内容です。来週の日銀会合にむけ、中央銀行関連の動きが気になりますが、一旦は円安傾向にも歯止めがかかった。しかしここから一週間は、日銀にらみの展開も予想されます。

スポーツ仲裁裁判所(CAS)が、ロシア陸上選手の出場停止を決めた国際陸連の判断を妥当とし、ロシア選手団の訴えを退けました。国際陸連の定める個人資格での出場資格を満たせば出場できますが、多くの選手が出場できなくなります。またCASの判断も考慮し、国際オリンピック委員会がロシア選手団全体の出場についても、これから検討するとします。露国は露国で、五輪に参加登録せず、事実上のボイコットをするのではないか、との観測も浮上し、まさに泥沼の展開へとはまりつつあります。
しかし安倍政権にとって厳しいのは、外交成果として唯一残せそうだ、としてこだわってきた北方領土交渉が難しくなった点です。国際的に孤立すれば、妥協をひきだすチャンスである一方、ウクライナ問題も膠着し、欧米の監視の目も厳しい中で、露国に接近すれば日本も厳しい批判を浴びかねない。北方領土の問題一つだけを抽出すれば、米国の大統領選がトランプ氏に決まった方が追い風、ともいえます。先のソチ五輪の開会式にも、欧米の批判の中で参加した安倍氏ですが、リオ五輪で再会するという希望ももう灯火。米国に尾を踏まれながら、交渉を継続できるか。ここからは覚悟が試されるのでしょう。

しかしそのリオ五輪を開催するブラジルは、ルセフ政権が事実上更迭され、今は暫定政権です。原油高のとき、国民に家電購入補助金などを配って支持を集めたものの、その後の原油安で国家財政が一気に疲弊、インフレなども手伝って一気に国民の支持を落としました。露国も、原油高で経済が潤い、強い露国の復活としてクリミア併合などをおしすすめ、国威発揚と云った方向でさらに国民の支持を高めた。その延長に今回のドーピング問題があるのでしょう。
しかしクーデター未遂事件がおきたトルコも、中低所得者向けに住宅をあてがう、といったことでエルドアン政権の支持は高く、今回のクーデターでも国民に「立ち上がれ」と立ち向かわせた。実に、この三国に共通するのは、購入補助や住宅の供給などで国民の人気を高め、政権基盤が強かったということです。その中で、国家財政がいち早く悪化し、倒れてしまったルセフ政権の下に、多くの国が集まって祭典が開かれる、というのが皮肉なのでしょう。

翻って、日本もほぼ同じです。上記の三国に共通するのは、あぶく銭を掴んだ、ということ。露国、ブラジルは原油高、トルコはEU加盟観測と混乱する中東におけるプレゼンスで資金が増えた。そして日本は、日銀という無尽蔵の財布に頼って景気を上向かせようとした。そして来週、さらにそれを加速させるかどうか、という判断が下されます。これらの国は経済で支持を得て、独裁、強権政治へとつなげてきた点も実によく似ています。
あぶく銭を掴むと、人は財布の紐がゆるみ、放漫財政に陥りがちですが、今日出てきた景気対策20兆円、などという話はまさに放漫の極みなのでしょう。実際、真水でそこまで出せるとは思えず、すでに通った予算などを含めた額なのでしょうが、もしこの金額がそのまま景気対策で出てくるなら、間違いなくヘリマネの導入を予感させるのでしょう。過剰流動性というあぶく銭、次にルセフ政権の二の舞を演じるのは、一体どこの国なのか? リオ五輪に注目も集まりますが、それらの国の政権の脱落レースもまた、注目が高まるところなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(29)このエントリーをはてなブックマークに追加 ロシア | 政治

2016年07月20日

川内原発と大飯原発

自民党がHP上で、参院選における「学校教育における政治的中立性についての実態調査」を6月25日から実施、自民党は「公選法に抵触するような明らかな事例も含め、相当数集まった」として、7月19日に閉鎖しました。しかし違和感だらけなのは、まず記名投稿であり、具体的な内容を入力するよう求めていたこと。これは独裁政権が行いがちな、秘密警察の前身になる可能性が高い。つまり密告社会の到来を予感させます。投稿者には素質あり、として自民は連絡をとり、こうした若者をネット巡回させて自民に厳しい意見をする者を報告させ、また自民に都合よい情報をばらまくための人材として育成、組織する気かもしれません。
次に、公選法では教育者の地位利用の選挙運動の禁止、があって、選挙運動ができない決まりである一方、啓発はしなければいけない、という矛盾があります。模擬選挙などを行う場合でも、教員が助言しただけで選挙運動と見なされかねない。逆に言えば、公選法を盾にとり、政権に都合よい教育をした場合のみ、罪には問わないとする流れを助長する恐れがあります。余計なトラブルを起こしたくなければ、与党のいうことに従えよ、という無言の圧力となって教育現場を覆う。安倍自民は日本を息苦しい国にしたいのか、とさえ感じます。町を歩いても、どこに密告者がいるか分からない北朝鮮のような国にする気かもしれません。

その参院選と同時に行われた鹿児島県知事選挙、テレビのコメンテーターを務めていた三反園氏が当選、川内原発を停止する公約を掲げていたことから、8月中にも再点検を含めて一時停止を申し入れる見込み、と伝わります。三反園氏自身、原発に対して反対とはみられていませんが、県知事選における野党共闘として、反原発を掲げる候補の主張をとり入れて、統一候補として立っていただけに注目されていました。「再点検すれば信頼性を増す」という意見は、明らかに公約を優先したもので、停止に対する思い入れはないのでしょう。しかも10月には停止して定期検査を行う予定であり、これは夏場の電力需要を考えてのこと、それを覆して2ヶ月早めに停止し、夏場の暑い時期をどう考えているのか? その判断には疑問を感じます。
そもそも川内原発は熊本地震でも注目された、列島を横断する活断層群の西端に近く、また日本でも有数の巨大噴火をおこした地帯でもある。さらにトラブル続きで、九州電力に安全に運営して行く力があるのかどうか、すら疑われる。再点検で一体、何をどう改善させていくのか、その具体策はよく分かりません。鹿児島や熊本県民の避難計画とて、中々安全に誘導できる案が策定できていない現状で、一旦止めるけど再稼動を前提、という立ち位置で本当に大丈夫か? そんな不安を禁じえません。

しかも原子力規制委員会の島崎委員長代理が、関電の大飯原発に対し、関電の計算方法では垂直に近い断層の揺れを大幅に小さく評価する、と指摘。しかもその後、原規制委が再計算した結果、関電より低い数字だったとしたものの、再度の島崎氏の指摘により、再計算はムリにだした数字だった、と認めました。つまり島崎氏が執拗に計算方法がおかしい、と言い続けなければ、関電の過小評価を、原規制委が追認しようとしていた、という異常な状態発覚しています。これは看過できない問題で、そもそも関電の計算式が誤りであるという以上に、それを規制する側もその能力を有していない、という重大な問題を含みます。原発の再稼動にむけて、原規制委のお墨付きなどザル、ということを示したのです。
原規制委員長の田中氏は「改めて協議する」と述べていますが、その前にお手盛りの計算をした、その職員と指揮命令系統について、しっかりと調査して詳らかにし、再発防止策を講じる必要があるのでしょう。そうでない限り、原規制委の存在自体が電力会社の追認機関であって、お墨付きは安全を意味しない、という認識が広まるだけです。安倍政権では「学者の判断…」云々と、原発再稼動の判断はあくまで科学的知見に基づくもの、という立場です。しかしその学者が任にふさわしくない、能力不足と同時に、恣意的に結果を改竄するのであれば、それはもう論理として破綻しているのです。教育機関における政治的中立性をいう前に、学識経験者、有識者におけるその知識の欠乏、能力的欠陥、そして政治的中立性を保って判断できる高潔な態度、そんなものが不足していることが、この国では顕著になってきているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(19)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 原子力

2016年07月19日

日経平均の6日連続上昇

日経平均が6日続伸、この間の上げ幅は1600円を越えます。いくらヘリマネ期待があるとは言え、何が起きているのか。5月から3ヶ月ごとに悲観、楽観をくり返す相場を脱し、上につき易くなりましたが、その後の展開は見えていません。ファンド勢は高い、だけでは面白くない。つまり相場の値動きが乏しいと、収益がとれないのです。そこで英国のEU離脱でも高い欧州、米国とは違って、ヘリマネなどの材料を当てこんで日本株に仕掛けてきた。要するに、日本株全体を新興国や新興企業と同じ、材料株として扱いだしたのです。
任天堂、Fリテなど、個別の企業でさえその動きが垣間見られます。日経平均全体は、市場規模も大きく動かし難いけれど、任天堂など一気に3万円を突破してきた。いくらポケモンGOが人気、といっても、収益がどこまで押し上げられるのか? それが分からなくとも、材料が出れば買う。日本株全体も、ヘリマネの材料が好感されるうちは買う。そんな流れです。

Wikileaksがトルコのクーデターに関して、情報を公開すると宣言。詳細は明らかになっていないものの、エルドアン大統領にとって不都合な内容も含まれる、とされます。しかしWikileaks側は、トルコからとみられる攻撃をうけている、と公表しており、この問題はまだまだ根深いものを含み、尾を引きそうです。トルコが投資不適格の位置づけになり、シリアへの米軍機による空爆拠点であったものが見直されると、世界全体にも動揺を与えることにもなります。今後、トルコの動静には要注意なのでしょう。
日本では経済財政諮問会議が、真水で8兆円規模の景気対策が必要、との試算をだしました。ただ、参院選期間中に読売がだした10兆円より低く、市場期待を少し下げて、いざ対策が出されたときのサプライズ感を演出したい、といった思惑であって、8兆円自体が問題ではありません。政権のポチ、とも呼ばれる榊原経団連会長が「前例にとらわれない大胆な財源確保」と述べ、ヘリマネ期待をつないだように、都知事選までは期待を繋ぎたいようです。しかし具体的な投資内容として、IoTや港湾整備など、経団連の能力不足が顕著でもあって、そうした世界全体で競争が起きているもので、勝ち上がる見込みもないまま、ほどほどの予算をかけても将来的にはすべてムダに終わるだけでしょう。

IoTではソフトバンクが半導体大手、英ARM社を3.3兆円で買収すると発表しましたが、個人的には失敗だと考えます。すでにスマホ、タブレット需要は成熟化し、IoTによる家電への半導体組み込みが期待されても、そもそもそんな未来を望まない人も多い。家電がすべてつながると、ハッカーによる一度の攻撃で家電すべてを買い換えるか、修理する必要に迫られます。また個人情報がすべて抜かれる可能性もあり、しかも下手にマイナンバーが絡んだ情報を含むと、修理すら断られる可能性がある。便利である一方、価格も高くなりますし、対応も難しくなる。そんな家電を必要とする家庭は、さほど多くないでしょう。
しかし日本の家電業界は青息吐息。そんな電機メーカーを救いたい、との思惑は経団連も政府も一緒のようです。東京地検が、不正会計事件をおこした東芝幹部を、証券取引等監視委員会は「立件できる」との見解を表明、異例の対立構図が生まれています。牙も爪も政府から抜かれた東京地検に対し、証券取引等監視委員会が気骨を示した形です。しかしこれほど明確な粉飾決算に対し、起訴できない為体は、斡旋利得が明白な甘利氏を起訴できなかった構図と極めて似ます。つまり安倍政権は、悪いことをしても自身との距離感、近さで立件しない、といった恣意的な運用があまりに目だってしまうのです。

正直、だからこそ市場がアクティブに、日本株の材料で急激な上げ、下げをする運用を仕掛けてきた、とも言えるのでしょう。つまり不正が白日の下にさらされた瞬間、大きな売りにも晒される。ヘリマネも同じ、実態が詳らかになった瞬間、破綻懸念を抱かれるほど売り込まれる可能性を感じ、相場が狙いだした。今は買いでとり、将来は売りでとる。値動きの大きさで、日本株で儲けようというのです。もし仮に、日本の実体を暴くWikileaksの暴露記事があれば、恰好の売り材料にされることでしょう。おかしなことを隠している間だけ、上昇するといった市場に、日本株はすでに堕しているのが現状なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(34)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2016年07月17日

雑感。日銀の06年議事録

トルコのクーデターで、為替市場は夢から醒めたように、円安傾向に歯止めがかかりました。楽観が現実に引き戻された形ですが、先週末、株式市場はLINEの日米同時上場に沸きました。しかしLINEも認めているように、最早無料通話の市場は成熟してきており、新たな市場の開拓は難しい。新サービスなどにより顧客を集める、といったパイの奪い合いを演じなければならない。これまでのNTTや郵政などのように、上場後にどれだけ上昇するか、それはこれからです。
一方で、任天堂がポケモンGOで活況です。これまでのバーチャルリアリティ(VR)の技術がどこか方向違いに感じるのは、ヘッドセットと呼ばれるもので視覚を覆い、没入感を楽しむといったものです。しかしそのまま動き回れば部屋の中のものを壊す可能性もあり、ケガをすることも考えられる。しかしポケモンGOのように、現実世界との融合でVRを愉しめるなら、使用者のリスクは小さいですし、すべての3Dを作りこまなくてもいいので開発費も抑えられる。ただ、町に出かけてポケモンをさがすと、犯罪を発見しやすくもなりますし、犯罪に巻きこまれる可能性も高くなる。どこで線引きするか、規制が今のところない点が課題なのでしょう。その規制が業界に広がったとき、どこまで業績を伸ばせるか、がカギです。

日銀が06年、量的緩和解除前の金融政策決定会合の議事録を公表しました。物価が3ヶ月連続で上回り、条件がととのった、として解除に踏み切っていますが、同時に物価の目安を0〜2%と定めることで金利の急上昇を抑える、といった工夫をしたことが窺えます。しかし現在、当時は60数兆円だった日銀の国債保有残高、現在は400兆円を越えてきた。しかもまだ2%の物価目標すら達していません。そもそも、もし物価が2%前後なら長期金利が2%であっても決して不思議ではない。今、-0.3%という長期金利が、日銀が緩和を停止するのと同時に急上昇することは想像に難くありません。これは、現在の緩和ペースを減速させるだけでも同様の流れを生じます。量的緩和解除の当時は、金利がゼロでも勿論、ゼロ金利にはなっていなかったので、物価の上昇率を0〜2%に固定する、と宣言することで市場に上昇期待が生じることを防ぎましたが、今はちょっとしたキッカケでも上昇しやすい地合いが生まれています。
そんな中で、日本ではヘリコプターマネーの導入が噂されていますが、ヘリマネでも金利が上昇する恐れがあります。市場に出回らない国債がある、隠れ借金がある、とは市場がもっとも敬遠すること。特にヘリマネの場合、それを一旦国庫に入れる意味がないので、景気対策なり、一般会計の予算としてすぐに計上されます。つまり隠れ借金なのに、その額がバレバレ。逆に、余計なことをして調達した資金の総額を隠すと、余計に市場に疑心暗鬼を生みます。ヘリマネは、それで経済が上向くことが確信できるとき以外、絶対につかってはいけない手だといえます。

しかも、日本でヘリマネ期待が高いのは、安倍政権、黒田日銀がサプライズ狙いをしてきたから。やらない、と宣言しても、期待値が高まってしまいがちです。しかし月末の日銀会合でヘリマネをやらないとなったら、市場は急落する可能性が高い。実際にやったらやったで、国債市場に与える動揺も大きいでしょうし、やらないならやらないで株式市場に与える動揺も大きい。量的緩和の解除のときも、日銀は相当に苦労した様子がうかがえますが、マイナス金利つき質的・量的緩和の解除には、常人では検討もつかないような様々な工夫をしない限り、金利急騰といった負の作用を引き起こしかねなくなるのです。
今の日本は、まさにVR、仮想現実のような金余りの環境にあります。個人にはまったく恩恵がないので感じ難いですが、現実にはすでに国債の8割がマイナス、という異常事態に陥っている。しかも金利がマイナスのため、国内では運用先がなく、資金が逃避して行く方向です。それでも金利差の縮小や、日銀の限界によって為替は円高方向になっていく。トルコのクーデターで楽観に傾きすぎていた市場が、冷静さを取り戻すのかどうか。そうではなく、さらにまた二度寝のように夢をみだすのなら、その仮想の世界から現実にもどってきたとき、あまりの酷さに落胆する場面が出てきても、仕方ないとなるのかもしれませんね。

明日は一日、お休みします。

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2016年07月16日

雑感。民主的体制とクーデター

トルコで軍によるクーデターがおきました。エルドアン政権の強権的な手法は、イスラムの厳格適用にまで及び、世俗派を自認する軍隊としては看過できない、として蜂起した。ただ政権側からは掌握と伝わり、首謀者は拘束ともされるので、クーデターは失敗したようです。しかしこの一連の流れ、日本にも当てはまる部分が数多くあります。まずエルドアン政権は先の選挙で50%以上の支持をうけ、国民の負託をうけたとして中央集権体制をすすめていました。しかも国民の支持が高いのは、経済政策への評価といいますから、実に現在の安倍政権に似るのです。しかしトルコは軍のクーデターによる政治の変革が、当たり前に起こってきた国。そこだけが大きく違う部分でもあるのでしょう。
しかし今回、エルドアン氏は国民にむけてクーデター軍に向けて「立ち上がれ」と呼びかけた。銃をもつ相手に国民を立ち向かわせた、極めて問題が大きい対応だったといえるのでしょう。自分が先頭に立って反抗する、のではなく、自分は後方に隠れて国民を盾にした。クーデターを鎮圧し、政権基盤が固まった、と考えているなら、この非情なやり方への国民の不満、怒りが向かうことにもなるのでしょう。今回、クーデター軍は国民に向けても発砲している。しかしクーデター軍は淘汰され、残っているのはエルドアン政権。それに国民がどう判断を下すのは、落ち着いてからということです。それにしてもエルドアン政権、早速裁判官を解任するなど、その強権ぶりがさらなる反発を招きかねないのかもしれません。

安倍首相は、トルコのクーデターをうけて「民主的体制の尊重を」と語っていますが、クーデターは世界的にみてもかなり頻繁に起きていて、それは民主主義の限界を示しています。先の英国による国民投票で、EU離脱を決めた際に、日本では「民主主義の欠陥」などと報じるメディアや、そう語る有識者もいましたが、民主主義は万能の剣ではありません。民主主義から独裁は生まれ、民主主義が圧政を生みます。多数を喜ばせるために少数を抑圧し、さらに人気を得る。近い例でいえば、日本のヘイトスピーチもそうです。韓国などを敵視し、国内にいる少数の韓国系を攻撃し、溜飲を下げさせる。多数のみがそれを為しえますが、その多数が選挙においては有利であるからこそ、政治が黙認しがちです。
政治が腐敗しても同じです。腐敗とは癒着もそうで、癒着した側が多数を占めるような状況なら、利権を守るため『民主的に』腐敗政治を選択します。ギリシャなど、まさに癒着と腐敗の温床でしたが、それでも『民主的に』政治は選択されていました。しかも、政権維持のために財政状況にウソまでついていたため、今では破綻すら囁かれます。民主的な体制だからといって、必ずしもベターな選択とはいえないのは、洋の東西を問いません。

今、日本では東京都知事選が行われています。小池氏に対して、自民党時代にわがままな振る舞いをしていた、等の記事もある。鳥越氏に対して、年齢や病気の問題を取り沙汰するメディアもある。しかしこれらは勝手な憶測も含まれるのと、恣意的な報道も垣間見えます。一方で、増田氏の岩手県知事時代の話、公共工事を増やして借金2倍、は事実でもあります。噂や憶測の類より、事実を重視すれば増田氏にとって不利。だからそうした与党が推薦する候補以外に対してネガティブ報道を垂れ流し、増田氏を側面支援しよう、という流れも起きているのでしょう。
そうしてメディアがおかしな同調を見せ、与党に有利な報道だけをとり上げるようになれば、それも民主的な状態とはいえないのです。独裁をめざす政治は、まずメディアを掌握しようと努める。それは情報を操作すれば、国民の判断を鈍らし、自分たちの都合よい結果をひきだすこともできるからです。それが「民主的体制」か? 甚だ疑問なのでしょう。例えば、いくら鳥越氏の年齢を揶揄しても、自民は78歳だった石原慎太郎氏を都知事として推薦している。選挙活動していない、といっても、青島元都知事は出馬表明した後、海外旅行に行っていて、ほとんど選挙活動していなかった、という前例もある。いくら異常、といってみたところで、すでに前例が批判を覆してしまっています。そして都民は石原氏も、青島氏も選択した。これも民主的な選択だったのです。もし日本で、自衛隊の権限が拡大され、軍機能が強化されていくと、そのうち政治の腐敗に対してクーデターを起こすかもしれません。問題は、そのときの国民が政治へ不満があるか、選挙をしても変えられない、と嘆いているかで、その行動の正当性というのは決まってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:41|PermalinkComments(21)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 中東

2016年07月15日

雑感。仏国テロと中国経済

南仏のニースで、革命記念日の花火をみる群集にトラックが突っこむ、というテロがありました。詳細はまだ不明ですが、フランス革命は1789年、バスティーユ監獄にいる政治犯の解放を求め、市民と将兵の間でおこった戦闘が発端です。そのとき、ルイ16世が「叛乱(レヴォルト)か?」と訊ね、傍らの貴族が「革命(レヴォリューション)です」と答えた話が有名です。しかし今回をテロ、と決めつけていいのか?
仏革命でも「自由か、死か」を行動のより所としましたが、これは元々米国の政治家、ヘンリーの言葉です。英国から独立しようとするとき、「今は自由のために武器をとるべきだ」と演説、その言葉に励まされて米国は独立し、仏国は革命を果たした。今のテロリストも、訴えるところは「自由か、死か」であって、違いは権力に向かう集団の行動原理か、単独犯による国民に向かうか、です。言い換えると「自由でないなら死を」が行動原理になっているなら、テロの脅威や非難を訴える前に、まず国内の不満や対立をうむ構図を改めない限り、彼らがこれを叛乱や反抗ではなく、革命と考えている以上、供給体制がつづくことにもなってしまいます。

ASEMでは日本と中国が激しく対立、などとも伝わりますが、残念ながら日本の外交力など大したことがありません。中国はすでにASEANの動きも抑えており、今回も名指しを避けた議長声明で、お茶をにごすぐらいでしょう。中国が怖いのは、米国が多数派工作を仕掛けてきたときで、日本のように他国をまとめる力がない国に脅威は感じません。ASEANの諸国では、経済的結びつき以上に、華僑の力も大きいので政治力を行使できる。今回の仲裁裁判所でも、話し合いをしようと言っていたのに開発を止めなかった中国に業を煮やしたフィリピンが訴えを起こしましたが、もう当時とは政権も変わっている。仲裁裁判所の判決を無視して中比の二国間協議に持ち込もうとするのも、勝算をみこんでのことです。日本は外野、という中国の発想は、ASEANに政治力を行使できるのは自分たちだ、との自負がそうさせます。
中国はすでに一帯一路構想など、人、モノを通じ、また人民元を第2の通貨として流通させるなど、結びつきを強めている。ひるがえって日本は相変わらずODAだけで、親日国とされるバングラディッシュでも日本人がテロの対象になったように、世界からの信用が落ちているばかりか、どんどん行動範囲を狭められている。米国追従路線である日本が、米国への敵意を合わせて受ける形となり、かといって米国の先兵として動くにも、米国からの絶対的な信頼をうけているわけではない。中途半端に悪い形で外交力のなさ、また恨みを買ってしまっている、というのが安倍外交です。

そんな中国の第2四半期のGDPは前年同期比6.7%増、前期比でも1.8%増となりました。しかし消費の伸びの寄与率が7割越えで、資本形成は4割弱、一方で純輸出が1割減となるなど、消費に頼った成長だったことがうかがえる。その消費を促すのが、公共投資と不動産価格の上昇であり、また日本のインバウンド消費が消失したように、海外旅行の爆買いが減って国内で消費するようになった点、なのでしょう。内需を促す要因は心許なく、さらに内向き経済になれば、そのうち中国の外交力も減少して行くことになります。
ウルトラ…というと、日本ではウルトラマンがそうであったように、好意的に受け取られる言葉ですが、元々は過激な、を意味します。世界に拡大する過激な思想、行動。仏国ではかつてウルトラモンターニュ、仏王とローマ教皇との争いに際して、ローマ教会至上主義の立場をとる、国内勢をそう呼びました。つまり仏国からみて山向こうの人の立場、という意味です。19世紀にはウルトラ・ロイヤリストなる超右思想も生まれた。今の仏国にはウルトラ…の思想が広まりつつあります。そして中国とて、経済に傾きがみられる中、国内には深刻なテロ事件も起きている、とされます。「自由か、死か」そんな言葉がふたたび21世紀の現代、脚光を浴びている今、大国病に罹りつつあるのはどこの国でも同様であり、治療法もないのが現状なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:51|PermalinkComments(13)このエントリーをはてなブックマークに追加 欧州 | アジア

2016年07月14日

ヘリコプターマネー期待が広がる市場

東京都知事選が告示されましたが、早くも若狭衆院議員が小池氏の応援に駆けつけ、自民の一族郎党除名、という縛りに綻びが見えました。下手に違反者の数が増えると、除名によって3分の2、の議席を割るかもしれません。これらの動きに興味津々なのはお維と日本のこころ、です。自民を除名になったら、是非うちへ。そうした勧誘が活発になりそうです。

日本の株式市場が活況です。今日になると、最近は特に相場操縦っぽい報道の多いBloombergが本田内閣官房参与が4月に訪米した際、バーナンキ前FRB議長と永久債について議論した、と報じて1$105円に急進しました。今週はバーナンキ氏の来日で、日本では急速にヘリコプターマネーの期待が高まります。外国人投資家が、セルからホールドに態度を変更したことで上昇相場になっていますが、ただ様相が異なるのは、11日の月曜日はほぼ日本勢の一手買いだった。月曜日はまだ休暇中の外国人投資家も多い、といってもアクティブに日本株を手がけるヘッジファンドなどは動いており、それでもヘリコプターマネーの話は盛り上がりませんでした。12日から、それこそ思い出したように外国人投資家が主役に踊りでたのです。
では外国人投資家が期待するヘリコプターマネー、どんな手があるか。バーナンキ氏の主張によると2つ、例えば10年債など、年限の決まった国債の金利を固定することを通告し、その金利を越えると日銀が買い付けてしまう。しかしこれはすでに日銀の国債買取がすすんでおり、効果は限定されそうです。もう1つは日銀が専用の口座をつくり、そこに資金を貸し付け、後は政府が自由につかう。永久債に近い形ですが、返済するかどうかは政府次第、といった非常に問題のあるものですが、中央銀行の独立性が担保されているなら、中央銀行が必要と思ったところに資金を供給する、いわば中央銀行の政策として機能するでしょう。

しかし問題も多い。前者は、金利固定化によって金融機関の収益機会は大幅に減少、固定された金利の近傍に貼りつき、鍔ぜり合いになれば、ますます国債市場から脱落する金融機関が増えかねません。後者は今の安倍政権、黒田日銀の関係性からも、政府の要求通りに貸し付けが増えかねない。特に、12日から外国人投資家が盛り上がったのは、大型の景気対策を打つためには、このヘリマネを使うしか財源がないだろう。つまり事実上、安倍氏の会見はヘリマネへの布石を打った、との見方が広がったためです。世界初のヘリマネ政策の実現、それが円安と株高を演出するだろう、そんな見立てが増えたのです。
しかし今、日本の金融機関、生損保など、海外の社債まで含めて、高利回りのものを求めて資金をシフトしている。それでも105円程度までしか円安がすすんでおらず、明らかに流れは円高傾向です。また海外ショックにより海外にもちだした資金を引き上げるとき、円高がすすんでしまうのは安全資産だからではない。日本から海外へと流れている資金が増えて、海外発のショックだとその資金を円にもどそうとするから起こるのです。つまり金融の流れからみると、円高になり易い傾向はむしろ国内勢の動き如何、といったところなのです。

しかし日本発のショックがおきたとき、どうなるか? 日本から脱出する海外勢の資金、国内勢の資金、双方が大きな円安、株安を促す可能性も否めなくなるのでしょう。ヘリマネなどに踏みだせば、最早日本の財政は日銀と一体です。日銀に破綻の懸念が生じても、日本の財政に破綻の懸念が生じても、どちらもショックを招きかねなくなる。つまり歯止め役がいなくなる公算が高まるのです。ヘリマネ、一部ではHelicoidが『螺旋』という意味で、それに-pter『翼』がつくから、ヘリコプターは『旋回する翼』でとぶことができる。略称にするならヘリコマネーだ、という人がいます。しかしヘリマネにしろ、『翼』を失った略称になっていることは、示唆的です。ヘリコプターマネー、これが人口に膾炙し、一般の人々にもヘリマネと呼ばれるようになる頃には、翼を失って墜落、といったことになりかねない金融政策になるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:44|PermalinkComments(19)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般