2016年05月25日

衆参W見送り報道と、サミット

明日にはサミット開幕ですが、その前に日米首脳会談が開かれています。オバマ氏は明後日に広島を訪問する予定ですが、元米兵で捕虜になった人物らも同行する、といいます。これで日本政府も戦争犯罪について言及せざるを得ず、米国が謝罪するという形を薄められる、というのですが、そもそも原爆が戦争犯罪に当たるのは、民間人に大量の被害がでることを十分に理解した上で、原爆を投下したことです。軍人であれば捕虜になるケースもあるので、これについてオバマ大統領、安倍首相がどういうメッセージを残すかは、注目されるところです。

そんな中、読売から衆参W選挙の見送りと、消費税増税先送りとの一報が流れました。直近の自民党調査で参院選のみでも勝てそうだ、となり、諸般の事情も考慮したというのですが、かなり違和感があります。今回、まだ野党の統一名簿さえ決まっていない、情勢が流動化する中でとった世論調査など、あまり意味を為さないでしょう。増税先送りも国民がどう受け止めるか分からない。サミットも議長国として、何の成果もなく終わりそう。株式連動内閣として、6月とも噂される米利上げがどう市場に影響するか分からない。不確定要因が多すぎます。選挙最優先の安倍政権が、そう簡単にW選挙の誘惑を捨てられるか、も疑問が残るところです。
むしろそう喧伝することで、野党に内閣不信任を出させ、それを大義に衆院解散をする腹ではないか。つまり安倍氏得意の「野党が…」という宣伝文句をつかい、消費税増税も先送りして、野党が提出した増税先送り法を形骸化し、焦点をぼかす。何を焦点にしても安倍政権の失敗をみとめざるを得ない、ならばもう「民共が…、内閣不信任が…」と、政策そっちのけで選挙をした方がいい。今回、公明が選挙に走っていないので、見送りとの認識も高まりますが、野党を油断させる腹かもしれません。サプライズのためならウソをつく。安倍政権の常套手段です。

そう判断させるのは、麻生財務相がルー米財務長官に語った「消費税増税は予定通り」との文言です。読売の報道が事実なら米国にウソをついたことになる。発言自体が虚構であるなら、日米が用意周到に衆院解散の道筋をえがいていることになりますが、オバマ政権に信頼もされていない安倍氏が政権をつづけようとする戦略に、米国が手を貸すとは考え難いのです。
サミットの共同声明の文言には「3本の矢」として金融政策、財政政策、構造改革の重要性が謳われる、とします。しかし欧州は金融政策が切り離されており、そもそも論として3本は成り立たないですし、ECBも限界を認識しています。日本はこれまで金融政策に頼り過ぎ、これ以上は弊害もめだつため、3本にはならない。財政出動の是非ばかりをとり上げ、各国の事情が違うから、などと報じること自体が無意味で、実は各国ともこの3つがもう成立しないから、財政出動だけをやっても効果が無い、と判断するのです。頼みの米国も財政出動は歓迎するけど、自国はやる気なし。大統領選の最中ということもありますが、金融政策が岐路にたつこともあります。

米国の4月新築住宅販売件数は、前月比16.6%増。販売価格の中央値も前月比7.8%増。すでにサブプライムローン問題前の価格を越え、バブル状態です。利上げを遅らせればバブルが深刻化する懸念がある。だから利上げせざるを得ない。そこそこの景気の強さでも、もうこのバブルを何とかするしかない、それが米国です。いくら共同声明で3本の矢などと語ろうと、もう現実は各国が協調することなどできないのです。これは各国の事情が違うからではなく、これまでの世界経済が金融緩和に頼りすぎたため、一部のバブルとそれ以外の分野の低迷と、難しい状況に追い込んでしまった、ということなのです。しかもその困難な状況は、日本でより深刻化している。そんな国が財政出動を求めても、自国の失敗のツケをこちらに押しつけるな、世界経済を良くすることで日本は生き残りをはかる気か、そんな目でみられているのです。3本の矢をうまく使って景気回復をはかることなど当たり前、それがこれまで出来ていない。やって来なかった人物らが集まるサミットで「これからは一生懸命やりましょう」といったところで、誰もウンとは言わないでしょう。論理自体が破綻しているサミット、だからそれを隠すためにも「野党が…」で解散したい、それが安倍政権の本音なのでしょうね。

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2016年05月24日

刑事訴訟法改正とヘイトスピーチ解消法

ブラジルではルセフ大統領が停職となり、テメル暫定政権が誕生しましたが、閣僚であるジュカ企画・予算管理相が自らが捜査対象となる事件について、最高裁に圧力をかけるかのような電話をしたとして、停職になる事態となっています。これをブラジルの特殊な事情と笑っていられない事態が、日本でも進行しているのでしょう。むしろ悪化している、という言い方が正しいのかもしれません。メディアへの圧力発言をする政権与党が、最高裁や警察、検察には圧力をかけない、というほど強い自制心が働くとも思えません。むしろより統制しやすい、と考えるでしょう。もう統制下にあるからこそ、司法への圧力発言がないと思って間違いありません。

国会では刑事訴訟法などが改正されました。司法取引の導入、通信傍受の拡大、そして取り調べの録音・録画の一部義務化、が含まれます。まず懸念されるのは栃木の小1女児の殺人事件でもそうですが、検察の側が有利な裁判資料にするために、録音・録画を用いるのではないか? という点です。全面可視化ではなく、一部である点や、それをどう公判で弁護士がチェック、弁護資料として活用をはかるか、その議論が曖昧に感じる点。そして通信傍受は対象の犯罪が拡大されましたが、運用次第で一般人の行動監視にも活用されてしまうのではないか? という点。そして司法取引は、弁護士立会いの下で行わないと、被疑者の不利な条件を、それと気づかないまま結ばれてしまわないか、という点です。
例えば実際に犯罪にたずさわっていれば話は簡単です。問題は、実際には行っていないのに容疑者にされるケース、つまり冤罪です。罪をみとめれば軽くて済む、そう誘導される恐れは否めないのでしょう。これまでも取り調べの過程で、そうした誘導が頻発しているともされ、罪を認めれば情状酌量、といった話はあった。それが今回の司法取引と、どう線引きされるのか? 司法取引だと思ったら、まったく刑罰が軽くならなかった、というケースもでてくるでしょう。さらに著名人や政治家など、大物弁護士をつけると、より大きな司法取引による軽減が行われるのではないか。それはこれまでも「社会的に制裁を受けた」として、罪一等を減じてきた司法の流れと、大差ないことになるのでは? とも勘繰れます。社会的に制裁をうけるほど、地位や名声のある人間が罪を犯したら、その責任の重さからも、より重い刑罰が必要であるにも関わらず、司法は逆をいっている。その流れが加速する懸念が拭えないのです。

ヘイトスピーチ解消法も成立しましたが、右系メディアは早くも「拡大解釈を懸念」と報じます。元々、国連などの指摘をうけて国会が動いたものであり、罰則がない以上これはザル。見栄え、体裁をととのえたのみです。拡大解釈どころか、行政はそのコストの拡大からも相談体制や啓発活動などの対策をとりたがらないでしょうから、むしろ地域社会にそうしたヘイトスピーチの対象者、団体をおきたがらない、といった排除の理論すら誘発しかねません。
上記の取り締まりの問題は、そもそも市民が対象ですが、舛添都知事の問題をみるにつけ、この国は政治家に甘い体質、法律であることがよく分かります。自分の趣味に税金の一部をつぎこんでも、自宅を事務所として税金から家賃を払っても、犯罪ではないといいます。ただケチ、と批判されて終わり。国民は明日の暮らしすらままならない人がいるのに、政治家はぬくぬくと税金で贅沢三昧。これが今の日本の現状、著名人や政治家などは優遇され、一般人は蔑ろにされている、との一つの結実した形でもあるのでしょう。

東京都民は舛添氏のことを「ケチ添、ハジ添」と呼ぶ人もいるそうですが、少なくともこれだけ報じられても「犯罪かどうか」を立証するのは極めて難しいなど、法治国家としての体裁すら危うくしているのでしょう。質素倹約によるケチであったら、これほど批判はされないのでしょうが、自分の金を使わず、税金で自分の懐を潤すなら、それはもうケチではなく下品というのかもしれない。ただそれ以上に、著名人や政治家が優遇される、というこの国は、ケチがついた、という意味では司法改革や刑罰の考え方を、もう一度再考する時期に来ているのかもしれませんね。

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2016年05月23日

雑感。2017年の人口動態統計

2017年の年間を通した人口動態統計が出てきました。出生数は2117人増の100万5656人で、出生率は8.0と前年と同じでした。29歳以下の出生数が減っていること、婚姻数が8653組減少し、63万5096組になっていることからみても、既婚者が第2子、第3子と増やす傾向も読み解けます。また出生数が増えたのは死産数が903胎減ったことも影響したのでしょう。人口が増えたといっても誤差の範囲であり、それ以上に離婚数が4091組増加するなど、婚姻数の減少とともに、夫婦関係の減少が今後の少子化対策にも暗い影を落とす数字といえるのでしょう。

そんな日本で歪んだ欲望にまつわる2つの事件が立て続けにおきました。沖縄で米軍属による女性暴行殺人事件がありましたが、2〜3時間も女性を物色して車を走らせるなど、異常なレベルの犯意です。しかも米軍関係者が「あれは兵士ではない」と自分たちは関係ないかのように語り、政府関係者が「タイミングは最悪」などと、被害者や遺族のことなど無視し、無責任で自己保全の発言をくり返したことも異常といえるのでしょう。いくら政府が「再発防止」を米国に『要請』しても、確約がうけられないことは必然です。どちらの政府にも当事者意識がないのですから。双方が住民感情をなだめる程度の条件で幕引きをはかろう、としていることが窺え、それも異常なのでしょう。国民を守るという第一義が大きく欠けています。
女性アイドルの刺傷事件もおきました。また警察が動かない、ファンとアイドルとのトラブルぐらいの認識で、結果として重大な事件を招いてしまいました。身近なアイドルが増えた分、勘違いする若者も増えた。明らかに今回は「付き合おう」として接近し、ふられたと感じて腹いせに襲っている。極めて深刻な事件であり、ストーカー防止法の不手際も指摘できます。

あくまで極論ですが、女性が安心して暮らせないと、子どもを生もうとも考えないでしょう。女性は子どもを生むためだけにあるのではない、との批判も聞こえそうですが、女性がいないと子どもが生まれないことも、また事実です。子どもを生みたいと考えるような、女性が安心して暮らせる環境作り、がひいては良い国にもなるのです。女性が安心して暮らせる国は、男性にとっても優しい国でもあるのですから。今回のような事件に、国がどう対処するか、再発防止をどうするか、は本気で取り組まなければいけません。『要求』や『要請』でお茶を濁している場合ではないのです。安倍政権の対応が後ろ向きな点がとても気がかりです。
人口減を促した死亡について、死亡率からみて何がもっとも増えたかというと老衰、です。おや? と疑問に感じるでしょう。確かに高齢者が増えたので、老衰も増えると思われますが、老老介護疲れで無理心中といったケースも耳にします。今後、ますます一人暮らしの老人が増えるとも予想され、いつの間にか亡くなっていた、不審死が増えていくと思われます。実は病死かもしれないのに、老衰に分類されるケースも増えるのかもしれません。結局それは、一人暮らしの老人を放置している行政が原因、という判断になるのかもしれません。

政府は出生率の増加について、2年前は景気がよくなった効果、という説明もしていますが、だとしたら今後はますます期待できないのでしょう。1億総活躍どころか、女性活躍さえも達成していない安倍政権ですが、まずは女性安心社会を構築するところから、対策を打たない限り、日本はますます衰退していくばかりとなるのでしょうね。

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2016年05月22日

自民王国の異変と、政局の話。

和歌山県御坊市で行われた市長選、自民党の二階総務会長の長男で、自公推薦の候補が落選しました。今回は二階氏に近い現職との一騎打ちであり、二階派の分裂選挙ともなりましたが、自公が推薦した候補が敗れたことは決して軽くありません。閣僚や稲田政調会長、小泉進次郎氏まで応援に入っても勝てない。夏の参院選、衆参Wになる可能性も含めて動揺も広がります。

あくまで噂として聞いた話を、少し広げて考えてみます。今回、安倍首相は衆参Wに打って出たい。しかし自民内には反対も多く、その筆頭が菅官房長官といいます。衆参Wにすれば勝てる、いやいやどうせ議席を減らすのだからやらない方がいい、という話ですが、ここで重要なのが衆院を解散する大義です。消費税増税の再延期は、野党の包囲網で打ちにくくなった。リーマンショック級、大震災級、どちらを理由にしても安倍ノミクスの失敗について触れねばならず、すでにメディアでも「安倍ノミクスは失敗」と報じるところもあるように、党首が出演しての討論番組などでも突っこまれるのは目に見えている。経済のことを覆い隠してしまうほどの大義、材料がないと大敗する可能性すらある。安倍氏にその策があるのか? という話です。
そこで出てくるのが、小泉進次郎氏を官房長官に据え、禅譲を約束することだというのです。つまり衆院選挙で今回、勝利を納めれば小泉官房長官の誕生と、次の衆院選までには安倍政権が退陣し、小泉氏を総理として推薦する。この策の肝は、小泉氏に次期首相というニンジンをぶら下げてウンと言わせることと、小泉純一郎氏から推薦をうけ、次期総理の道を開いた安倍氏が、それを返すという日本人が好きな人情話になる点、です。そして自民党のホープである小泉氏が次期首相になるなら…と、自民支持層の基盤固めになる。そして最大に安倍氏が願うのが、自らの存在を脅かすほどの力をもった菅氏を、体よく政権から追いだせる点です。

安倍氏としては後4年のフリーハンドを得られる。支持率が落ちようと、3年後の参院選に大敗する可能性があろうと、居座ればつづけられる。そして4年と期間が限定されることによって、元々やりたい憲法改正のみをフィーチャーして政権運営ができます。面倒なことを小泉官房長官に委ね、自分はやりたいことだけやる。ただし本来、安倍氏は小泉進次郎氏とは反りが合わない。小泉純一郎氏の反原発運動など、腹に据えかねることもあり、できれば禅譲したくない。官房長官就任は、むしろ針の筵にすわらせよう、との腹であることも事実です。
安倍ノミクスの失敗、今後は年金、国債等への波及も懸念されます。諸外国の信用のなさも今回のサミットで露呈しそうです。内憂外患、そんな状態の官房長官就任は、いくら首相への道が開ける、ここで衆院選があれば4期目、そろそろ次の展望も考えたいとしても、安倍政権の泥舟にのるか? そう言われて小泉進次郎氏がうけるか、と言われると甚だ疑問です。何分、小泉進次郎氏がうけてくれないと話にもなりませんが、安倍氏が唯一の打開策とできる策、そう考えると、自民内の内輪もめで圧倒的勝利をえた郵政選挙を模した小泉官房長官、承認選挙として、内外の諸問題を封印する自民内の内輪の話にしてしまうことなのかもしれません。

北海道5区補選から御坊市とつづく、自民王国の異変。「潮目が変わった」国内経済の変調、そして安倍政権では浮揚の目がなくなった閑散の株式市場、つづけるほど苦難が意識されます。大相撲の千秋楽で、総理大臣杯を自らもち、手渡した安倍氏は「(重いものをもって)体調がいい」としましたが、内心は重たい課題ばかりで、体調が悪い、というのが本音だったのかもしれません。相撲の『千秋楽』という言葉は、常に法会の最後に奏された雅楽の曲のことで、終わりを意味するようになりました。安倍氏の周りは『千秋楽』を奏しはじめる中、安倍氏の足掻きがどうでるか? これからの政局はそんな展開も予想されるのでしょうね。

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2016年05月21日

新成長戦略 成長?

仙台で開かれていたG7財務相・中央銀行総裁会議、「重要な決定はしていない」と語られるなど、議長国としての面目丸つぶれです。しかも麻生財務相とルー米財務省長官とは、明らかに為替相場に対する認識が違うことも露呈しました。「無秩序というバーは高い」との発言は、日本が為替介入しても米国はみとめない、というも同然です。暗に認めてくれたこれまでと、大きく異なる。逆にいえば、こんな厳しい米国は近年あまりみたことがない、というぐらいです。オバマ政権がレイムダックとなり、次期政権に課題をひきつぎたくない、ということ以上に、やはり安倍政権への失望と怒りがそうさせるのでしょう。これまで円安を認め、経済再生の手助けをしてあげたのに、まだ円安のままにして下さいと言うのか、と。結局それは、経済成長もなく金融緩和だけに頼った経済運営をしている日本を見限った、ということにもなります。

19日にとりまとめられた新成長戦略、まず観光では32年までに訪日外国人客の消費を8兆円などとしますが、4月の百貨店売上げ高は4%近い落ちこみと、インバウンド消費の変調がみてとれます。中国の規制も厳しくなりましたが、そもそも海外でおきた不動産バブル、資産バブルにより外国人の消費が堅調だったこと、が昨年度までです。しかしもう限界、むしろ昨年度が良すぎたぐらいなのです。まだどこの不動産バブルもはじけていませんし、中国は政府の方針で不動産バブルの再加速の恐れもありますが、いずれどこかで弾けるのであり、限界がきます。
自動運転、ドローン配送なども掲げますが、海外の後追いの印象は拭えません。IoTの活用、ITの導入、小中高校で情報処理教育の必修化、などやたらと情報関連の話題を盛り込みますが、どうもAppleやGoogleの後追いをしようとしているようにしか思えません。正直にいえば、するな、とは言いませんが、それを成長産業に位置づけている時点で、知恵がないと感じます。気になるのは、これまで自動車や建機などの分野は、米企業のお株を奪うほど日本企業が伸長しましたが、情報産業の分野ではまったくそうした動きが起こらないばかりか、逆に差をつけられています。仮に今から追いかけたとして、成長産業に育つかは甚だ疑問といえるのでしょう。

中古住宅・リフォーム市場の活性化や、子育て世帯に既存住宅を安価に貸し出し、なども掲げますが、人口減少社会でそれをすれば、住宅産業には淘汰の波が襲う、新築が売れなくなります。そもそも日本は車にしろ、自転車にしろ、中古市場はガタガタで、それを海外に輸出して、海外でその価値を認められています。それというのも日本が豊かで、新品に価値を見出してきたから。企業もそうした消費性向に適した形で存在しており、住宅市場も同じです。むしろこの施策は、成長戦略であり日本の消費性向の変化に応じる形にしようとしており、逆に日本全体が貧しくなって新品を変えなくなったことを、如実に映す施策とも言えるのでしょう。
規制改革会議の答申も、どちらかといえばもう困っていることを、何とか解決しようという話ばかりです。薬の販売、民泊、バター不足、などは実体に合わなくなり、規制を緩和することで解決する。それはそれで結構ですが、決して目新しいものではありませんし、むしろどうして今まで手つかずだったのか? 今回の答申をうけて解決できるか? が問われるのみです。

成長する姿が想像できない新成長戦略。発表されても市場はスルー、一切の反応もなく評価もされませんでした。日本が成長しないどころか、少子高齢化でどんどんと縮退していく事実。ナポレオンは「私は常に2年先のことをしている」と述べましたが、この成長戦略は2年先でも同じことを言っているのかもしれません。智恵なき政権、海外からも見捨てられだしたことを、再確認するサミットになってしまっているのでしょうね。

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2016年05月20日

雑感。G7財務相・中央銀行総裁会議が開幕

2015年度の毎月勤労統計の確報がでてきました。名目の現金給与総額は前年度比0.2%増ですが、実質は0.1%減。賃金が物価変動に追いついておらず、所得は減少していることが数字からも示されました。官製春闘とも呼ばれましたが、効果は限定的だったようです。この原因をパートタイム労働者の増加に求める向きもありますが、正規労働との比率でいえば前年度比0.54pt上がったに過ぎず、安倍首相はパートタイムの時給は上がった、としますが、もしそうなら比率が上がっても全体を底上げしているはずです。消費増税が致命傷になる、とはこうした統計からも明白なのでしょう。企業業績にも翳りがみえ、今後は企業も防衛姿勢が強まり、賃上げもすすまない。そこに2%が負担として圧し掛かってくるのですから。

G7財務相・中央銀行総裁会議が開幕しました。まずメディアで「今回はG7各国の事情が異なり…」と枕詞のように使うことがありますが、G7各国の事情が同じなら、それは奇跡というぐらい珍しいことです。事情がちがうのは当然で、それでも目的を共有できるか、協調的な行動をとれるか、が議長国の手腕にかかっています。しかし残念ながら、手腕のない日本では意見が集約できず、各国の事情に委ねるといった当たり前のことを決めるだけに終わります。それを隠すため「各国の事情が異なり…」と当たり前のことを仰々しく言う必要があるのでしょう。
安倍氏が元気のない理由も、GWの欧州歴訪でかなり厳しいことを言われたためもあるのでしょう。経済政策がうまくいっているなら、むしろ今回のサミットも主導できた。しかし失敗していると各国から注文が入る。財政出動で意見をまとめ切れないのも、日本の失政を各国の財政出動でカバーする気か? と懐疑的にみられるためです。しかも日本はくり返し大型の財政出動をしたにもかかわらず、大して景気に好影響があったわけでもない。日本の財政出動はどういった分野にするのか? と問われ、公共工事などと言えば笑われるだけ。サプライズならヘリコプターマネーの導入と答えることになりますが、効果を疑問視される。安倍ノミクス、黒田バズーカと異例で異常な策にまで踏みこんで、日本は失敗しているではないか? と。きちんと効果を分析しているのか? と尋ねられ、安倍氏には答える術もなかったのでしょう。

国内向けには適当に誤魔化すことができても、国際社会では適当な説明が通用しない。それが安倍政権の限界です。今や中央銀行の大規模な緩和は、景気には寄与しないという意見が大勢を占め、黒田日銀にも包囲網がかかってきました。麻生財務相や黒田氏のように利かん気の人物なら受け流すのでしょうが、安倍氏は内弁慶で心が弱い。欧米の逆風をまともにうけて、心が挫けた。そんな事情が最近の元気の無さ、答弁の怪しさなどに凝縮されているようです。
今回のサミットで意見集約ができず、有効な策がうちだせなければ、安倍政権の国際社会での立場、立ち位置はかなり微妙なものとなるでしょう。経済政策に失敗した政権、として発言力を失うも同然だからです。それは「世界経済の下押し圧力」では一定の理解をする世界各国ですが、その下押し圧力を強める国の一つに、日本も含まれるかもしれないという見方にもつながるのです。

今、世界は米英を初めとした不動産バブルで、何とか景気を保っている状況です。いつ崩れてもおかしくない。中国では不良債権を証券化して処理する案まででてきた。これはサブプライムより厄介な金融商品をうむ可能性すらあります。世界が何とかぎりぎりで耐えているときにサミットの議長国になったこと、これも政権への逆風となるなら、ツキは完全に落ちたといえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(10)TrackBack(0)政治 | 経済

2016年05月19日

党首討論について

昨日開かれた党首討論、安倍首相の元気の無さ、反論の弱さばかりが目立ち、結果を先にかけば完敗だったのでしょう。岡田民主党代表が消費税増税の先送りを提案し、適時適切と従来通りの説明をくり返すにとどまった。逆に、岡田氏は想定通りとばかりにきりこんだ。野党から4つの提案をし、アピールするのを安倍氏はただ聞くばかりとなってしまいました。それは民主党政権時代はデフレだった、と説明するために、安倍政権では民主党のころより成長していない、と自ら認めることになってしまったぐらい実績がないのですから反論しようもありません。
憲法改正でも、平和主義とは? と問われて「侵略戦争しないこと」としか聞こえない答弁となり、岡田氏にそう突っこまれても反論できなかった。「国民の命と平和な暮らしを守るために…真剣に考える」としますが、その答えが「助け合う日米同盟が絆を強くする」という。つまり日米同盟如何によってそれが揺らぐ、とでも言いたいようですが、そうなると米国の都合で「国民の命と平和な暮らし」が脅かされる場面もでてきてしまう。絆が強かろうと、米国が日本を切る決断をすれば、日本は一気に危険にさらされる、ということになってしまうのです。これが「真剣に考え」た結果? と疑いたくもなります。

しかも民進党に「最低限、憲法改正草案をだせ」と迫りましたが、岡田氏に現行憲法で十分、と突っぱねられると、それ以上の策がなくなった。そもそも憲法審査会において、与野党からだされた草案をもちより、何となく議論した、という体で通してしまおうというのが安倍政権の戦略、というのがミエミエで、現行憲法との調整をはじめると反発、反対が多いことは安倍氏も理解しているのでしょう。野党が草案をださない限り、恥ずかしくて憲法審査会も開けない、という弱さでもあります。本気で改憲する気があるのか? 疑問にもなるところです。
さらに共産党の志位委員長に「実質賃金が下がっている」と指摘され、足元の3月は上がった、雇用者総所得でみるべき、と何とも弱弱しい説明に終始しました。1人当たりの所得が下がれば、1人暮らしには厳しいですし、大家族でも1人がダウンすると生活に行き詰る。しかも非正規では社会保障も弱く、それこそ働けなくなったら終わり。そんな不安から消費が拡大しないのですから、むしろ非正規を拡大したことの正否が問われるのです。正規雇用が増えた、などといっても65歳以上の再雇用も含まれるのですから、決して成果ではないのです。

これまでの党首討論では、逆ギレして反論ですらないことを滔々と述べる、ということもありましたが、今回はそれもない。うつ状態なのか、サミットを前にして上の空なのか、いずれにしろ最近ではひどいいい間違い「立法府の長」などと言い出す始末です。本当に大丈夫? と考えたとしてもおかしくない。さらに委員会の議事録の改竄、速記停止とされていたのを、再開と書き換えてしまうアコギな手法まで用い、正当性を主張し始めました。国会の統治能力でさえ完全に壊れ、何でもありの暴走政権に成り下がっているのが現状なのでしょう。
ここに来て、沖縄で米軍属による殺人事件がおこりました。サミットや広島訪問の場で、オバマ氏に対して何も言わないわけにはいかなくなった。「助け合う同盟」のはずが、ここで何も言えなければ米国の小間使い程度の関係性であることを、如実に示してしまうことにもなるのでしょう。政治も「潮目が変わった」。安倍政権にとって不都合なことが増え、安倍氏自身も逆風を感じて心が挫けてきた。切れれば切れるほど人間の小ささを示すことになっている、と気づくぐらい、今自分がおかれた現状の厳しさを感じているのかもしれません。

安倍ノミクスを成功させる会、が消費税の再増税実施を提言しましたが、ここは安倍政権をつづけさせたい会、です。ここまで消費税で野党が戦略的に攻めてきたら、もう延期は安倍政権の退陣につながりかねない。今日で最後となった国際金融経済分析会合でも、増税して財政出動、という結論にしたのも、安倍ノミクスを成功させる会、と同じ流れでもあるのでしょう。本当は増税延期、財政出動とするつもりが、直前になって差し替わった、そんな印象もうけます。
日米同盟が「助け合う同盟」などでないことは、誰の目にも明らかです。そうであるなら自衛隊も米国に駐留し、米国が攻撃されたときは自衛隊が守る、というのでない限りウソでしょう。米国の小間使いになるだけの「絆」では、米国の力によって「助けられたい同盟に」という意識が、より強く働きだしているのが、今の安倍政権なのでしょうね。

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2016年05月18日

1−3月期GDP速報値

日本の1-3月期GDP速報値がでてきました。実質で前期比0.4%増、年率換算1.7%増。名目で前期比0.5%増、年率換算2.0%増。市場予想よりかなり強い数字でした。閏年効果で前期比0.3%増、年率1.2%増ほど押し上げられている、とされますが、それを差し引くとぎりぎりプラス、マイナスかも…という予想より良い。しかし中身をみるとかなり深刻です。今回、実質と名目は大きく中身が違います。寄与度でみると、実質は内需、外需ともに+0.2%ですが、名目は内需-0.2%、外需+0.7%で、内需の落ち込みを外需がカバーした形です。
項目別ではよりはっきりしますが、民間最終消費支出が実質は0.5%増、名目は0.1%減と、まったく景色がちがうのです。物価変動を含み、実感に近いとされる名目GDPですが、前期はともに0.8%減だったので、ここまで差が出ることは通常考え難い。あくまで憶測ですが、強烈なデフレ圧力がかかったとしか思えないのです。住宅投資も実質は0.8%減、名目は1.5%減、設備投資も実質は1.4%減、名目は2.2%減。名目が異常に弱い形になっています。在庫が実質で0.0%減、名目で0.1%増、企業が取引するのは微妙にインフレ、小売には強烈なデフレ、としか思えません。

輸出入も、輸出は実質で0.6%増、名目で3.2%減、輸入は実質で0.5%減、名目で7.2%減。円高と原油安の影響を考慮しても名目の落ちこみは壊滅的です。円は平均すると10-12月期は122円、1-3月期は114円、原油はWTIで1バレル40$、35$となるので、デフレ圧力が強いことはその通りですが、逆にいえばこの円高、原油安で輸入が大きく減ったことで、外需が寄与することになった。日本経済には円高が悪影響、といってみたところで、GDPの計算上はプラス寄与したのです。
しかも、GDPデフレーターも0.1%と、前期の0.3%から落ちこんだ。国内需要デフレーターも-0.5%と、前期の0.0%から落ちこんだ。これが名目の内需を大きく落ち込ませた原因の一つでしょう。ただすべてではない。あまりに差が大きすぎて、主因は別にあると考えた方がいい。断言はできませんが、注目され易い実質を高くみせかけたかった、それが差を生んだ原因かもしれません。

2015年度の実質GDPは0.8%増、名目GDPは2.2%増。何とか2年連続のマイナスを回避した形です。輸入物価が大きく下がっても、まだ消費者にはデフレの実感がないにも関わらず、ここまで実質と名目に差が出た理由、それはこんなところにあるのかもしれません。安倍首相は今日の党首討論で「実質で2.5%、名目で6.4%上昇したから安倍ノミクスは功を奏した」と発言しています。しかし東日本大震災の反動増も含まれており、実質で2.5%はもの足りないですし、名目の大きな上昇も円安による輸入インフレがほとんどで、内需を減退させてしまいました。
しかも民主党政権では「実質で5.7%増、名目で0.7%増で、名実逆転だった。20年近くつづいたデフレ脱却からの大きな一歩だ」と、暗に実質ではリーマンショック、東日本大震災の真っ只中だった民主党政権時代に負けていることを認めてしまった。しかもリーマンショックは金融の縮退があったので、デフレに陥るのはある程度仕方なかったことには一切ふれずに。安倍氏のいう『功』とは、名実逆転を達成したことだと自ら認識しているのでしょう。むしろ減速しているとはいえ、世界経済が大きな破綻やショックもなくもち堪えているのに、この程度しか成長できなかったと突っこまれれば、安倍氏には返す言葉もないのかもしれません。

円安によるコストプッシュインフレを『功』と言ってしまうぐらい、経済オンチということにもなるのでしょう。しかし1-3月期の名目GDPで内需がマイナス寄与したことは、4-6月期にマインド面が悪化することも予想されます。見かけ上の数字だけは改善した今回、逆に将来の深刻さを映してしまったともいえます。安倍氏が政権をつづけるのも地獄、ここで放りだすのも地獄、そんなところから今日の党首討論も元気がなかった、そんな心理だったのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(15)TrackBack(0)経済 | 一般

2016年05月17日

『釈然としない』説明

元プロ野球選手の清原氏の公判が開かれました。罪状は認めたものの、覚せい剤の使用はプロ野球を引退してから、回数は分からない、と今風の言い方をすれば『釈然としない』説明に終始しました。すでに現役時代から、との報もあり、また回数は毎日なのか、週何回なのかは答えられるでしょう。つまりすべてをさらけ出し、反省し、再出発を切ろうという姿勢がみられません。これではまたバレるのでは? 追求をうけるのでは? との心的負担から、また覚せい剤へと走らせる恐れもでてきてしまいます。その点がとても残念に思えます。

今、日本で一番釈然としない説明をくり返す舛添都知事ですが、ついに自民からも「見限り」発言がでてきました。自民都連、公明都本部が推薦したことにまで言及され、長引けば長引くほど自公にとってもダメージになる。6月1日の定例都議会において、与党自民からも辞職をもとめる声が上がり、抵抗するようなら百条委員会の設置をもとめられるかもしれません。適当な説明で「有権者の判断に委ねる」と述べましたが、その前に来年の都議選までダメージを残したくない自公の都議の判断が、舛添氏にふりかかることになります。6月第1週なら参院選にぎりぎり間に合うのであり、舛添氏が粘るのか、そうでないのかによって情勢も変わるのでしょう。
もう一人、釈然としない説明に終始するのがJOCの竹田会長です。売り込みがあって、電通に調べてもらったところ実績があるから、と頼んだコンサルタント会社がペーパーカンパニー。要するに一応、事務所をもっているけれど個人経営の実態が怪しい会社。であれば今度は電通の担当者を国会に参考人招致して、どういう調査を行ったのか、その経緯を聞く必要が生じます。実績ばかりでなく、コンサルタント会社の規模、人員構成などを調査しない限り判断もできないわけで、そこで国際陸連会長との人脈を確認できたかどうか。それによっては業務の発注が贈賄としての性質をもつ、との判断もできる。逆に、人脈がないとなれば規模も所在も怪しいこうした企業に、どうして業務を発注できると判断できたのか、が問題となるでしょう。いずれにしろ会長につながる、との判断がない限り、電通もGOの判断ができないのであって、その辺りを詳細に確認してみないことには、今回の件は終われないのかもしれません。

今日、国会では熊本地震に対する復興予算である補正予算が成立しました。明日は1-3月期GDPの発表もありますが、サミット前の景気対策の発表するのに障害が取り除かれた形になります。ただ、日本単独でしか景気対策を打てない現状で、先に発表しても意味がない、との意見も聞かれる。景気対策をうちだすなら、衆院解散の発表と同時でいい、そんな話もでてきました。そこには、どうせサミットはまとめ切れない、国際的に嫌われている安倍氏ではG7各国も協力して何かをまとめようとしないから、ということのようです。サミットでタックスヘイブンを利用した脱税、節税対策も議論するとしますが、まだ端緒についたばかりで意見をまとめられない。スポーツに蔓延する贈賄の問題は、日本がどっぷり足を浸かっていたとの疑惑から、取りまとめは試練でしょう。経済運営は失敗、五輪招致に疑惑、などとかく問題が多いと認識されている日本が、どうにかできる話が極端に少なくなってきたのです。
むしろ安倍氏が「サミットをリードする」という言葉そのものが『釈然としない』のです。率先して自らの身をきれいにし、世界に向けてこういうやり方がある、と誇れないような国が、世界をリードするなどというのは傲慢の謗りを免れない。国民が『釈然としない』のに、世界がそれで納得することはないのです。経済も、政治も、スポーツの世界でさえ、国際社会から日本は一歩ひいてみられている。オバマ大統領がブリグジットの問題に言及すると、英国の独立派の支持が下がり、安倍氏がそれに言及すると英メディアが「自国は失敗しているくせに」とした記事を掲げられる。日本人が『釈然としない』ことに、海外から批判や疑問が投げかけられ、行き詰るということが起こるのなら、今後は『愕然とする』ケースが増えるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(5)TrackBack(0)政治 | 社会

2016年05月16日

雑感。政府と日銀の動き

昨日もとり上げた中国の経済指標の鈍化、今日になって中国銀行業監督管理委員会(CBRC)が、金融機関に民間企業への融資をするよう命じ、そこに抑制する要因があればとり除くよう指示した、との記事がでてきました。分かり易く言えば無理にでも民間企業に貸し付けろ、ということであり、中国当局の危機感がかなり高いこともうかがえます。言ってみれば強烈に不良債権を増やしてしまう可能性を秘めたことであり、これで失敗すれば中国経済は一気に数十%も規模を縮小してしまう恐れすらある。最近では資金流出を防ぐために元高介入を行っているともされ、今は世界経済の減速をうけて、輸出より資本の強化、集積をはかっている。その一環としての今回の指示ですが、危険な賭けであることは云うまでもありません。

今、安倍政権は市場に思惑を走らせようと躍起です。13日の夜には安倍首相と黒田日銀総裁が会食を行い、臨時の日銀会合があるような印象を植えつけようとする。また今日の午前には浅川財務官をメディアに登場させ「為替急変なら介入」といった発言を報じさせる。午後には財務省・日銀・金融庁の幹部会合を開く。この会合は3月から定期開催となっていますが、月の初旬に行っていたこの会合を、今月はわざわざサミット前にぶつけてきた。初旬にGWが入ったとはいえ、先週でもよかったのにここで開催したのは、やはり一連の動きとして「何かする」との意識を市場に芽生えさせよう、サミット前に株高を演じたい、といった思惑もあるのでしょう。
ただ今の市場は、円売り株買いを仕掛ける層はたまに散見されるものの、今日も後場に崩れたようにそれほどメインのシナリオでもありません。恐らく今日は上記の動きに連動させ、日系が仕掛けた前場の動きだったのでしょうが、追随買いはなかった。むしろ海外勢にとって、日本だけが突出してサミット前に何かを仕掛ける、といったシナリオは想定しておらず、やるなら世界が協調してやらないと意味がない、そう考えている。これは為替も同じです。日本単独の介入なら怖くない。ルー財務長官がG7で通貨安競争の回避を議論する、と発言している以上、日本の単独介入にならざるを得ないのであり、今は発言があっても効果が持続しないのです。

今は為替は108円後半、株式は日経平均で16500円辺りがフェアバリューになっており、上下どちらにも動き易い、とみられています。つまり大規模な財政政策や日銀の追加緩和があっても、少し上にいくぐらいで、大きな損がないという意味です。ただこのフェアバリューは、決して日本経済の実力を示すものではありません。市場にとって都合いい、というだけです。
安倍政権は必死でそれを人為的にもち上げようとしますが、もうすでに市場の信用もない中ですから、効果も限定的です。老子の言葉を用いれば「軽諾は必ず信寡なく、易とすること多ければ、必ず難多し」です。安請け合いは信用をうしなう、また侮っていると困難に当たる、という意味ですが、おかしな口先介入は、安倍政権ではもう通用しないのであって、さらに信用を失うばかりです。いずれ安易に介入などとつかっていると、やがて市場からしっぺ返しを喰らうでしょう。いみじくもトヨタ社長が用いた「潮目が変わった」という言葉が、今の日本にはあらゆるところに当てはまります。老子の言葉をもじると「計画は必ず成果なく、益とすること多しといえど、必ず損多し」として市場から忌み嫌われるだけなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(15)TrackBack(0)政治 | 経済