2016年06月25日

英国のEU離脱に対する日本政府の対応

英国によるEU離脱の余波が、まだまだつづきます。しかし英国民投票をポピュリズムだ、と批判する向きには注意も必要です。その論調は自分にとって都合の悪い結果を批判するためのものです。民主主義は須らくポピュリズムです。極論すれば、安倍政権もポピュリズムの結果誕生し、当選後に政治家が国民から付託をうけた、として勝手にエリート主義を標榜する、というに過ぎません。あらゆる物事を民主的に解決しようとすれば、実はすべて国民投票にした方が民意の反映、という意味では正しいのです。ただそんなことをすれば煩雑なのと、コストの面から大変なので代議員制を布いているに過ぎない、ということでもあります。

金融庁、財務省、日銀が臨時会合をしていますが、これはパフォーマンスです。ナゼならまだ何も起こっていないから。市場は急変動しましたが、それは市場が事前に残留という楽観を織りこみ過ぎていたからで、金融システムに何らのトラブルが発生したわけではありません。市場に介入するなら別ですが、当局にできることは何もない。現状を確認するだけなら、電話やメールでも事足ります。何かやるかも、とのアピールのためです。
しかし為替もすでに安定し、対ドルで102円台で推移していますし、株価もシカゴ日経平均先物は15100円台に切り返している。急変動で介入、というイイワケも通じず、当局ができることは何もない。しかしもう1つの理由は重大です。それは安倍政権が残留で決まり、と油断していたため、安倍首相も菅官房長官も官邸を離れていたことで、急変動でも何もできなかった。昨日のような為替の急変動を起こしても介入できなかったことは痛恨です。為替なら対ドルで一気に7円幅で動いても急変動でない、と政府が認めたことになるからです。次に介入するときは、この水準が一つの基準となり、それを変えるには説明も必要です。つまり今回、残留で決まりと高をくくっていたため、ケースを想定した対策をマニュアル化する、といった準備もされていなかった。指揮命令系統の不在と、対応も決まっていなかったことで、動揺する市場を放置した。安倍政権の状況想定能力のなさ、稚拙な対応が、今後の市場においても大きな禍根を残した、とも云えるのです。なので、それを失態、失敗と見なされないため、臨時会合を開いて「やるぞ」と見せかけなければならなかったのです。

しかも安倍政権の関係閣僚会合が夕方になったのも、遅きに失した感じもある。麻生財務省や石原経済再生担当相は東京に残っていたものの、大した声明もだせず、市場の乱高下に任せてしまった。これが危機管理能力のある政権か? というと首を傾げざるを得ないのでしょう。それは安保をはじめ、周辺事態においても同じです。中国や北朝鮮の脅威を謳う割りに、簡単に首相も官房長官も官邸を空けてしまう。対応も決まっていないのに、です。もし官邸にいても対応がつかないのかもしれませんが、実はこれまでの歴代の政権の中で、もっとも危機管理能力に欠けているのが、安倍政権と云えるのかもしれません。
しかも「金融システムの安定を…」「G7と協力し…」などと、会合後に安倍氏は語っていますが、実は日本がもっとも悪い影響がうける、とされているのに、日本単独では対応ができないことを示しています。それは、日銀はすでにマイナス金利、国債の大量購入と資金供給量には限界もある。株価にしても年金や郵政などの資金はすでにつっこんでおり、下支え役が不在なのです。つまり安倍ノミクスの結果、日本は危機に際しても対応のできない、非常に脆弱な状態になってしまったのです。これからも市場に弄ばれても、何もできずに海外に頼る、といったケースが増えてしまうのでしょう。そんな日本市場だからこそ、悪影響も大きいといえます。英国のEU離脱、という新たな世界の形を求める中で、日本が主体的に行動することもできず、また世界を支えるといった存在感を示すでもなく、むしろ助けを請う、といったケースもでてきてしまうのかもしれません。ポピュリズムは大衆迎合主義、とも訳されますが、その対極にはエリート主義があるとされます。そのエリートたちが決めること、意外と大したことがないばかりか、間違いも多い、というのが改めて意識されるのでしょう。その結果、大衆の怒りが変革へ向かう、ということにもなるのでしょうね。

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2016年06月24日

英国選挙でEU離脱派が勝利

英国の国民投票でEU離脱が51.9%で多数となり、離脱が決まりました。今回、為替や株式が大きく変動しましたが、これはリーマンショック級の出来事がおこったわけではありません。証券会社や経済評論家から、残留で決まるだろう、との希望的観測で市場は溢れていた。その結果、個人投資家にいたるまで円売り、株買いと残留にかけた取引を蓄えており、結果が異なったことで慌てて反対売買を行った結果、相場は乱高下し、また買いポジションの大きさが、結果的に大きな値動きを導いた、というに過ぎません。
つまりミスリードで極端に楽観的シナリオに乗っかりすぎたのです。ブックメーカーの賭け率が残留優勢、などと煽りに煽った市場関係者に大きな非があるのであって、今日の先物をみても日系の狼狽売り、欧米の買戻しと二極化された。サーキットブレイカーが発動しても止まらなかったのは、売りの主体が個人投資家だったから、とも言えます。プログラムのヘッドライン取引なら、サーキットブレイカー後は戦略を変えることも多いのですが、個人は売れないとさらに売りたくなるものです。為替は対ドルで100円を割るとふたたび円売りを仕掛ける、といった動きもありましたが、為替の方が流動性が高く、個人向けということが改めて意識されたのでしょう。では今回、株式はどこまで下落するか? 企業の解散価値を示すPBR1倍割れまで後300円だから、ここから大きな下落はない、という人もいますが、これもミスリードです。日経平均が8000円のころは、PBR1倍割れの企業がごろごろありました。日本のように企業買収をしにくい市場で、解散価値を割れたからといって買う、という投資家も少ない。つまり日本は構造的に、PBRが下支え役にはなりにくいのです。

残留を訴えていたキャメロン首相が辞意を表明、しかし10月まで留任して後任に渡す、としますのでEUとの交渉はそれから、となります。今回、英国は大変だ、という意見が多いですが、実はEUの方が深刻な事情を抱えます。英国は分担金も多かったのに、それが消失すれば欧州安定メカニズムなど、ギリシャ支援や財政不安のある国への支援が滞る恐れもあります。英国の方が、EUとの自由貿易協定などを結べれば、移民の流入や分担金もなくなり、むしろメリットが多いのです。当然、交渉次第ですが、巷間語られるほど英国に不利でもない。ただし、国内に残った遺恨とスコットランド独立の動きなど、総合的にみるとマイナス面も目立つ。ただそれはあくまで国内問題。国際問題はこれから、です。
世界の金融市場に影響がでてくるのはこれから、です。ただそれも英国による交渉次第、中身で大きく違ってくる。今は単に楽観に傾きすぎた市場が、ゆり戻す動きに過ぎません。すぐのすぐ、ショックがおきるわけでもない。ただ楽観の水準を見慣れた側にすると今の水準が淋しく、もの足りなくみえるというにすぎません。問題は原油安でオイルマネーが巻き戻され、市場が震撼したように、ここで損失を被った側による手仕舞いなどの動きが余波のように何度もゆり戻しがくること、ということになるのでしょう。金融で肥大化した英国だけに、そこから流れでるマネーの量も多い。英マネーの動向次第で変動も予想されます。

日本は大変です。今回、為替介入できなかったとなると、事実上の急変動に対する発動のハードルは高くなります。しかも下手に円売りドル買いを入れると、金融機関のドル調達コストはさらに高まりかねない。FRBはドルの供給用意がある、としますが、日本の円の信認低下と、原油安による貿易統計の改善による実需の円買いの多さ、そして円高傾向になることによって外国への投資が目減りすることによる円売り要因の剥落と、FRBの利上げ観測の後退と、何重にも円高を促す要因が横たわり、かつドル調達コストの高止まりが日本企業を苦しめます。
政治的にも大変です。株安、円高は年金による株式投資、外債・外株投資のいずれも大きく目減りしたことを意味します。いくら英国のせい、と言ったところでリスク投資を拡大したのは安倍政権です。数十兆円が消えた…選挙戦でも、これまで与野党ともにこの話題にふれませんでしたが、野党のよい攻撃材料になるでしょう。リスク投資を増やせば、リターンが得られる機会もある一方、こうしたリスクを被ることにもなり、そのリスクを政治も負うのです。そして投票率の高い、高齢者層に年金原資の目減り、という情報はインパクトも大きい。麻生氏が「いつまで生きているんだ」と言った高齢者への風当たり、安倍政権に「いつまでやっているんだ」という怒りに変わる、そんな風が英国から吹き始めるのかもしれませんね。

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2016年06月23日

安倍ノミクスの成果とウソ

英国の国民投票がはじまっています。結果はともかく、今回目立つのは離脱派も、残留派もウソが目立つ点です。過激な活動とともに、双方に大きな禍根を残すことになるでしょう。決してこれがゴールではなく、混乱の始まりとみることもできます。パンドラの箱、その蓋は器とあっておらず、簡単に外れてしまう恐れを強く意識させます。
さらに今、市場では極端な楽観をおりこんでおり、残留の見通しで動いています。むしろこうした楽観が支配する市場が、危機を準備しているとも言える。リーマンショックを予想し、投資家に警戒を訴えた経済評論家はいないように、危機は予想外の事態がおこることから始まります。英ブックメーカーの予想が一番当たる、などとも言われますが、お金を賭けるので真剣に分析することはあります。ただ、お金を通してみているだけに、祖の目を曇らせることもある。誰もが賭けで勝てるわけではない、ということでもあります。
米投資会社グラウカスが、日本株の投資を開始する、と発表されました。この会社は企業の不正会計、不祥事などをみつけてカラ売りを仕掛け、リターンを得るタイプの投資を行います。日本に投資機会がある、と思うほど企業不祥事が頻発しています。不正会計で業績が傾いた東芝には、GPIFが10億円近い損害賠償請求訴訟を起こしました。まだ一部ということで、どれぐらい請求額が拡大するかは分かりませんが、不正会計が発覚する前には誰がこんなことを予想できたか。そこにウソが含まれ、それが発覚したとき、与える影響は甚大です。

安倍首相が熊本で行った公示後、初の演説をみてみます。民主党政権の3年間、最低賃金は23円しか上がらなかったのに、安倍ノミクス3年間で41円上がったとします。しかしリーマンショックの余波と東日本大震災があったときと、米国が不動産バブルにふたたび沸いている今と、比べるにはあまりに状況が異なります。むしろ成功した、という割にこの程度か、ということが驚きです。日本ではインバウンド消費などに海外のバブルの恩恵もありますが、米国では時給1000円では不当に安い、とストが起こるほどにも関わらず、そこにすら達していないのです。決して最低賃金は自慢できる話ではありません。
一方、自民のHPにはアベノグラフィックスとして、安倍ノミクスの成果と目標として20項目を掲げます。その中に最低賃金は50円上昇とある。あれ? 41円じゃ…と素朴に疑問を感じますし、以前は税収増を13兆円、と発言していましたが、HPでは21兆円に増えている。それこそリーマンショックの余波と東日本大震災のころと比べて上がった、というなら笑止でしょう。当時は企業も短期で負債が拡大したため、税負担を減免されていたためです。比較対象を低いところに設定し、高くみせかけているだけなら意味がありません。

企業収益が過去最高、なども掲げますが、政府の成果ばかりではありませんし、共産の公約で掲げられているように、法人税収が下がっているのですから、税負担が減った企業の見かけの収益が高くなるのは当たり前です。税引後なのか、税引前なのか、言及はないので分かりませんが、円安による円の価値下落と比べると見劣りするレベルですし、企業の独自の努力に帰する部分まで、政府の成果とすることにも違和感があります。
安倍ノミクスの成果、と語られるものには、こうしたウソと詐術的な部分が多い。しかも国民総所得が36兆円増えた、今年にはリーマンショックで失った50兆円をとりもどす、としますが、正直これはウソです。円高になったら数量が同じでも輸出額が減り、輸入額が増える。すると国民総所得は下がってしまいます。今年に入って10%以上の円高になっている現状は、もう達成困難ともいえるのです。しかも、ここには触れられていませんが、最近警戒されているのが、ドルの調達コストの高止まりです。これは金融機関や企業の収益にも悪影響を与える。マイナス金利や円に対する信認の低下、それは増税延期なども含めて、日本国債の格下げ懸念が、邦銀などの格下げにもつながり、こうした海外で活動し難い状況にもなってくる。つまり、もう安倍ノミクスの成果は今年、一気に剥落することにもなるのです。

そこにウソが含まれている、となれば状況は一変する。安倍氏が成果として語ること、それをウソだと思っているから外国人投資家は、日本株を買わなくなった。むしろ、グラウカスのような破綻にかける投資会社の日本進出、安倍政権でこうした動きがあること自体、日本リスクとして意識されている、ということでもあるのですね。

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2016年06月22日

安倍ノミクス 是か非か?

参院選が公示され、7月10日までの選挙戦がスタートです。「安倍ノミクス是か非か」と見出しをつけるメディアもありますが、金融緩和が手詰まりに陥ったからこそ、財政出動に舵を切ろうとしている。つまり安倍首相とて、もう限界であることを感じています。仮に是だと思って投票してもすぐ終わる。その儚さは、邯鄲の夢どころではありません。

では安倍ノミクスの評価について、今一度みてみます。5月の百貨店売上高は前年同月比5.1%減。これだけでも衝撃ですが、訪日客の単価は26%減と、インバウンド消費の終焉をうかがわせます。スーパー売上高は前年同月比1.3%減で、3ヶ月連続。しかも売上げが上がっているのは値上がりのつづく食料品で、衣料品は7%近い減少としわ寄せが来ている。例えばスーパー売上げ高は消費税増税された14年4月は6%近い落ちこみ、15年4月は6%程度回復したものの、今年は0.7%減。つまり増税前より下がった。つまり増税が経済に悪影響を与えた、という以上に悪くなっている。生活実感に近いスーパーでこの数字ですから、内需は深刻な状態です。
これは家計調査における消費支出からも明らかで、ここ2年で前年同月比を上回ったのは2015年5月、8月、2016年2月の3ヶ月のみ。しかも2月は閏年効果で押し上げられているので、実質2ヶ月だけ。14年度は消費税増税の影響があったとしても、15年度もそれを下回る月が圧倒的に多い。つまり雇用が増えた、賃上げがあった、といっても消費者はずっと財布のヒモを締めつづけているのです。実収入をみるとここ2年で上昇したのは2015年の4〜8月、16年の3、4月。しかも16年4月は電力・ガスの残業代の増加が大きく寄与しており、熊本地震のインフラ復興関連で、残業が増えた影響です。しかも世帯主収入はずっと右肩下がりで、配偶者の収入が右肩上がりでも、この程度の結果です。これで消費など増えるはずもない。政治が、もし仮に企業業績をあげることを成果とするなら、円安株高になったことで達成ともいえます。しかし安倍ノミクスでその『好循環』がおきたことは一度もない。そして内需が徹底的に縮小してきて、企業業績にも悪影響がでる『悪循環』がおきつつあるのです。

安倍氏や公明の山口代表が、雇用が増えた、賃上げがあった、というのは、実は自ら内需へ波及していない、という好循環が起きていないことを、俄かに認めてしまっていることにもなります。もしそれが達成していれば、消費が増えた、日本経済が活性化した、と言うはずですから。自動車販売台数も減少がつづき、衣料品にまで節約志向が広がってきた。本当に雇用が改善し、賃上げされたなら、こんなことは起こらないはずで、つまり内需からみると、はっきりと安倍ノミクスは失敗、そう断言できてしますのです。
また法人企業統計や、その他の指標からも企業の設備投資が、かなり高水準で計画されています。これとて、労働人口が急減していく日本国内から、海外へ生産拠点を移そう、ということで計画されているなら、日本は空洞化をおこすことにもなるでしょう。設備投資は生産能力の向上ばかりでなく、雇用拡大という側面をもつ、とされますが、今の日本で起きている設備投資はそれと逆の可能性が高いのです。これから円高へと向かう日本、労働力の不足が顕著で、人件費高騰も予想される日本、企業が逃げ出そうとするのも当然です。ここから安倍ノミクスをつづけたところで、日本が成長する見込みはないのです。

「安倍ノミクス 是か非か」といって迫る前に、安倍ノミクスの成否を正しく示せば、失敗であることは明白です。しかもこれから、その失敗のキズをどんどん深くしていく、そんな状況なのです。しかもこれから安倍ノミクスの成果として、税収増分を社会保障や景気対策に当てる、と述べます。しかし実は、安倍ノミクスの成果とは、マイナス金利によって予定していた国債の利払いが減少し、余ったお金をつかうというのですから、もし不意に国債の利回りが上昇して行くと、一気に財源を失う恐れのある博打のようなものです。しかも、それは経済成長で得た果実でもなく、政策の失敗を一時的に活用できる、というまるで労働人口の減少で、雇用が改善したようにみえるトリックともこれは似ています。
安倍ノミクス単体の評価なら、時間軸でみてももう買える国債が市場から消えてしまうタイミングを考えても、2年ともたない。一方でマイナス金利を深堀りしても、効果は限られるどころかマイナス面が強くなる。つまりもう安倍ノミクスは行き詰まり、限界でもあるのです。是としても終わり、非としても終わり、それが安倍ノミクスの寿命です。そんなものを選挙の争点だと掲げるのは、もう見識不足の謗りは免れないのでしょう。むしろ是が非でも、他の項目に目をむけられたくない、ということで安倍ノミクスを争点に掲げている時点で、国民に不誠実であることは明らかで、是非もない、として与党を支持する根拠には欠ける、ということにもなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:45|PermalinkComments(17)TrackBack(0)政治 | 経済

2016年06月21日

野党4党の選挙公約

残りの野党4党の参院選における重点政策をみてみます。まず生活の党と山本太郎と仲間たち。特筆は子供手当て2.6万円の実現と、可処分所得1.5倍です。可処分所得については、子供手当てと雇用の安定で、というのですが、雇用が安定しても賃金が増えるわけではない。安倍政権では雇用が増えた、と言いますが、実質賃金は上がっていない。つまり働き方の多様化として短時間労働を増やした結果、低所得労働者が増えた、といった矛盾を抱えます。
では生活にどんな手段があるか? 一つに最低保障年金と、ベーシックインカム制度の導入があります。高所得者を優遇するより、低所得者に手厚くなれば、可処分所得の上昇率は高まるからです。ただし、財源は? というと政策経費27兆円と補助金30兆円のムダ削減で、とします。民主が政権をとったとき、ムダ削減に失敗した。民主を離脱する前、生活の議員はほとんど政策には携わっていませんが、それが生活では出来る、という展望を少なくとも示し、国民に納得してもらう必要があるのでしょう。
社民党のキャッチフレーズは「アベ政治の暴走を止める」です。中身は野党共通政策の対案パッケージを大きく超える提案はなく、大枠は民進、共産、生活と同じです。トリクルダウンではなくボトムアップ、としますが、具体策はない。小政党として、中々提案しにくいとしても、キャッチフレーズからして反対のための意見、とみられがちになります。

新党改革は家庭ノミクス、共助力を訴えますが、市場原理一辺倒ではなく、新たな価値観の模索、とします。それを「時代はいつも過渡期」という言葉でまとめますが、新自由主義に失敗した、と言えない部分が最大の弱点です。特筆は、参議院改革を訴える点です。ただ「国民の熱狂が国論の暴走を生み、国民自らを苦しめた歴史に学ぶ」と言い、二院制はいいこととしますが、それで安倍政権に近い態度をとることとの整合がつきません。与党は耳を貸すべきだ、と他人任せなのが気がかりです。議員立法の発議数1位、を常に功績のように語りますが、中身が問題です。そもそも舛添前都知事の問題について、何も語らないのなら、政策通の前に政治資金の問題について、もっと真摯な反省が必要でしょう。寄付文化の推進や社会インパクト投資など、どうしても新自由主義の匂いしかしない。医療大麻の研究推進など、自民よりもやや米国型社会をめざす、という方向性は鮮明です。一方で超・原発社会として原発政策は一線を画す。年金通帳や健康倶楽部など、変なところに細かくて、安倍ノミクスを評価する点はやたらと大雑把。理由も示さず、半ば思い込みで価値を決めているようで、家電エコポイントを実現したことも評価、としますが、その結果として需要の偏りをうみ、液晶テレビをはじめとし、家電産業を衰退させた責任は語らない。どこまでいっても、新党改革は「過渡的」な印象をうけます。
日本のこころを大切にする党、「独立自尊の精神を養い、愛国心を育む教育」とうちだす唯一の政党です。超右の政党ですが、例えば経済政策は公共投資の拡大、異次元の財政出動など、危なっかしくて仕方ない。いくつかの項目に「現行憲法の枠内で」と但し書きをつけて見直し、としますが、最終的には改憲をめざす政党でも、その間は解釈変更で様々なことを実行する気は漫々なのでしょう。「日本国及び日本国民の尊厳と名誉を守る」と述べますが、まずその尊厳と名誉の基準が、かなり右にある点は要注意なのでしょう。

駆け足で野党4党をみてみましたが、これは今回の選挙に限らず、ですが、与野党の政策の中にはかなり似通ったものがあります。ただ、与党には政策の実現力について責任があります。では自公の実現力は? 甚だ劣っているといえるのでしょう。今年の通常国会の法案成立が低迷しましたが、昨年も安保法制で安全運転に徹した挙句、法案成立が少なかったですし、臨時国会も開かなかった。安倍政権では、今のところ政策が実現するとの期待も少ない、といった問題もあります。ただ掲げられた政策の良し悪しばかりでなく、それを実現する、そのための能力、本気度があるかどうか、を見て行く必要もあるのです。それを知るのは街頭演説や、テレビの討論で何を語るか、それを冷静に見極めることも重要となってくるのでしょう。
与党しか政策実現力はない。その政策について、野党が攻撃することはあるでしょう。ただし与党が野党の政策を批判しても、特に政権選択でない参院選では大した意味はないにも関わらず、それに時間を費やそうとする。そんなところも見て行くことで、真に国民の方をむいているかどうか、それを判断することも大切なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(12)TrackBack(0)政治 | 一般

2016年06月20日

英国の国民投票と日本への影響

一部の世論調査で、自民支持が急減、政権支持率も5pt落ちるところもあるなど、選挙戦序盤とはいえ、かなり与党に厳しい結果がでています。舛添都知事の問題を、疑惑も解明せずに幕引きする自公、ということもありますが、安倍官邸が読み違えたのは消費税増税を延期し、景気に配慮したら、選挙で重視することが「社会保障の充実」だった点です。増税延期で、社会保障も一部執行の後ろ倒しとなるなど、逆行する形となった。安倍政権は安倍ノミクスを「前に」と争点にしようとしたら、有権者の判断はまったく違った、ということです。
財務省の代弁者、とみられることも多いIMFは消費税増税15%まで引き上げるべき、としました。一方で実質実効為替レートは現行が妥当、と日銀や政府とも異なる判断を下した。英国離脱なら介入も辞さず、といってみたところで、国際社会からまた一つ梯子を外された恰好です。今日の株式市場は大幅高で、英国によるEU残留観測といいます。ただ、今はそれを材料にイベントドリブンの動きをしているだけで、実態とはほど遠いところで市場が右往左往しているだけです。そんな英国の動きが日本に与える影響を考えてみます。

結論を先に書けば、離脱でも残留でも短期ではほとんど変化がありません。仮に離脱になったとしても、EU側との交渉が待ち構えますが、残留派のキャメロン首相が交渉の任に当たるわけにはいかないので、選挙になる可能性が高い。そこで残留派が政権をとり、EU側と交渉しますが、例えば通商政策は現行通り、となれば経済的な打撃はほとんどないでしょう。つまり交渉次第で、様々なパターンが想定されるので、いきなり23日から関係が変化するわけではありません。つまり経済、財政にどんな影響が出るかはその交渉の行方をみる必要があります。ただ、もし仮に甘い条件で英国が離脱するとグレグジット、ギリシャを初めとするEU離脱を画策する各国の国民、政党を勢いづかせるかもしれません。
仮に残留となった場合、これだけ国論を二分する罵り合いになれば、嫌でも遺恨が残ります。すると次の議会選挙で、離脱派が大躍進する可能性があります。そして離脱派が勝てば、離脱派主導で改めて国民投票の実施でしょう。今、残留派の国会議員が殺害されたことで、残留派が有利とされます。しかし容疑者はネオナチの思想に染まり、銃の製造方法を検索、とする情報が流れるなど、かなりの危険人物であったことになります。そんな人物が銃を入手し、議員を襲うなど、実はキャメロン政権の危機管理能力が問われるはずでもあるのに、そうした議論がおこらない。これは当初から残留派に都合のよい情報だけが真偽不明のまま垂れ流されるなど、残留派のキャメロン政権が、残留に都合よいよう世論誘導をかけている可能性が高いのです。しかし離脱派が政権をとれば、逆に離脱派に都合よい形で情報が操作される可能性が高くなる。離脱派が勢いづくことにもなるのです。

短期では、上記のようにすぐのすぐ、何か影響がでるわけではないのですが、長期に亘ってこれは尾をひく問題になり、離脱派、残留派、どちらが勝っても経路がちがうものの混乱はつづくでしょう。では、日本に与える影響、実は経済面だけの話ではありません。
国民投票の混乱、それは安倍政権を震撼させます。何しろ憲法改正には国民投票が必要です。特に憲法改正はハードルが高く、また国論を二分する問題になりかねない。政権が2、3とぶことは覚悟する必要もある。安倍氏は保守層の繋ぎ止めに、ネット討論では憲法改正に言及しましたが、英国の事情をみるにつけ怖くて仕方ないでしょう。安倍ノミクスという禁断の手をつかっても、この程度の支持率で、憲法改正には届かないぐらいの勢力にしかならない。しかも時間軸でみればもう限界、憲法改正の発議から国民投票までの期間を考えたら、もたないことは自明です。英国の大混乱は、事実上安倍政権の改憲をしばったとみることも可能であり、むしろふれられたくない事がらなのかもしれません。

さらに市場、という意味では23日をすぎるとアク抜け感といった話もありますが、上記したようにどちらに転んでも大きな情勢変化がない限り、また起こる問題です。つまり残留によるメリットを、どこの国も感じ難くなった。残留派が勝っても現状維持、それでは満足しない。一度、離脱を経験してそのメリット、デメリットをうけてからでないと収まりがつかなくなっているのです。なので、今後も市場を大きく揺り動かす問題になることが確実です。
イベントドリブン型の市場の動きは、金融緩和によって力をもった面があり、特に日本で変動率を高めているのは、海外の長期投資家を手控えさせているからです。安定的な投資とは縁遠くなり、安倍ノミクスを「前に」どころか、市場は上に、下に、と大騒ぎになるのでしょう。しかも上より、下につく方がメリットも増えてきた。民主主義における選択の誤謬、安倍政権の誕生そのものも民主党政権の批判が発端でしたが、その結果として安倍ノミクスという愚かな経済政策を行い、より市場を弱体化させたのですから、英国の国民投票を笑ってみることもできない、ということになるのでしょうね。

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2016年06月19日

民進党の重点政策

NHKの日曜討論で各党党首による討論会が行われました。安倍首相は「G7では日本がリードし…」「4年前に比べ…」など、会話に耳ざわりな言葉を挟んでいましたが、よほどの情報弱者でない限り、G7を各国がどう報じたか、4年前と経済指標がどう変わったかについて、安倍氏の説明を鵜呑みにする人はいないでしょう。G7で意見がまとまった、などというのは当然で、もし議長国が意見をまとめられなければ国際的な恥です。しかし国内向けと国外向けと、まとまった文言について微妙に訳にも差がある。経済指標とて、毎回倒産件数が減ったことを自慢しますが、個人事業主が毎月数十万の単位で減っている。後継者不足もありますが、これは廃業や休業をする零細企業が如何に多いか、を示すものです。安倍政権の下では、零細企業に恩恵がなく、事業をつづけることが難しいと判断しているのでしょう。そんな国を自慢げに話すぐらい、経済については無知とも言えます。
さらに、民進党と共産党について、やたらと執拗に「一緒になるのか?」と尋ねていましたが、共産は連携に前向き、民進は後ろ向き、ということを際立たせようとしたのですが、正直「そこは重要か?」と感じます。同床異夢、という言葉もありますが、今回の選挙で重要なのは、政権選択でもない参院選で、連立の枠組みを議論することではない。どうやら安倍氏は、衆参Wを想定していた頃からの選挙戦術を、参院選のみとなったのに採用している、としか思えない。一国の首相が野党攻撃に執念を燃やす、という余裕のなさしか窺えませんでした。一方、早口でまくしたてる生活の山本太郎氏には、憮然とした表情で返す言葉もなかった。今回、もっとも得点をあげたのは山本太郎氏となるのでしょう。

そんな民進の重点政策をみてみます。キャッチフレーズは『人からはじまる経済再生。』です。国民を「あなた」と読ませ、国民と進む。を掲げますが、民主党時代に遠心力を働かせ、人が離れていった歴史もあります。そもそもマニフェストという言葉を壊し、重点政策という言葉で選挙公約を掲げざるを得なくなった、その反省は読み解けません。国民の声を聞く前に、どうして仲間の声を無視して消費税増税を強行したのか? それで今、増税延期と赤字国債発行、と言われても、マニフェストのムダ削減はどうなったか? 素朴に疑問です。行政のムダ削減はもうムリなら、そこは明示する必要があるのでしょう。
経済政策は、人への投資、働き方革命、成長戦略、とのことですが、自民が政権政党なのにできていない項目を掲げ、クリンチ戦術をとっていることから、違いは見出し難い。唯一は軽減税率ではなく、給付付き税額控除をかかげる部分でしょう。マイナス金利の撤回も掲げますが、有名無実化したとはいえ、中央銀行の独立性を考えるなら公約に掲げるべきではありません。文中には「うながします」と出てきて、要請とも読めますが、見出しをみる限りでは命令です。印象操作の疑いももたれてしまうでしょう。

チルドレン・ファーストを掲げますが、高校授業料無償化を保育園・幼稚園から大学まで広げ…と、授業料の無償化が広がるのか? と思いきや、給食費などの家計負担を減らす、とどこまで横展開されるか分かりません。保育士の給与は全産業ベースより11万円も低い、としながら5万円の賃金アップなど、どうしても一歩足りない感が否めません。
最低賃金1000円、男女同一賃金、年金嵩上げ、年金の安全運用、など、各項目をみると『自民党よりちょっといい』ぐらいの感想しかない。大きな差は9条改正に反対、という点なのでしょうが、一方では国を守り、世界に貢献する、とする中で「専守防衛を前提として自衛力の整備、日米同盟の深化」などを掲げ、党内にいる保守勢力に配慮したとしか思えない項目もでてくる。安保法制を白紙化とはしますが、日米地位協定が出てこないなど、政権を担当し、米国の裏工作に屈して表立って米国からの反発を招く項目は掲げない、という弱腰の姿勢もみえてくる。全体的にふみこみ不足、積極的に民進党に投票したい、と思わせるような公約ではない、ということしか感じられないのです。

一度政権を担当してみて、より現実的になった、ということかもしれません。しかし消費税増税という大きな約束破りを犯している、その反省に立てば、もっと真摯にできることとできないこと、その選別をして示すことも必要なのでしょう。その上で、できることをより深化させ、国民に訴えることができるか? 今回もそれは道半ば、といったところです。『あなた』という言葉は単複同形でもつかえますが、『国民(あなた)と進む。』というなら、共産とも他の野党とも、ともに進むことをめざしてもよいのでしょう。あなた、の中でも選別をするなら、どうしてもかつての遠心力を思い出さざるを得ないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:50|PermalinkComments(32)TrackBack(0)政治 | 一般

2016年06月18日

共産党の選挙政策

共産党の参院選、選挙政策をみてみます。キャッチフレーズが『力あわせ、未来ひらく』と、助詞の『を』が入っていないのですが、そのことで日本語としてはリズムがいいとされる7音ではなく、6音になっている。言い切りの感じは出せますし、句点まで含めると5文字ずつに別れ、字面がよくはみえますが、奇を衒っている感じは否めません。野党共闘、国民運動との連携を積極的におしすすめてきた自負なのでしょうが、『ひらく』であって『つくる』でない点に、その効果も読み解けます。つまり連立は約束していないので、現状を変えるだけで、『つくる』段になったらまた別、そういう意味になるのでしょう。

現行憲法を堅持、安保法制の廃止を掲げ、北朝鮮とは対話を、中国には南シナ海行動宣言(DOC)の遵守を求める、として『北東アジア平和協力構想」を掲げます。北東アジア規模で友好協力条約を締結、としますが、中身が分からないため評価しようもありません。しかも北東アジア全体が、利害を一致して協力できるとは思えない。軍事的緊張を高める方が有利、そう考える国がある以上、画餅になりかねない構想です。気になるのは日米関係は別の項ででてきますが、日米地位協定の見直しと辺野古中止、普天間の無条件撤去は求めても、日米安保についての言及がない。北東アジア〜の中で米軍がどういう位置づけになるのか、不明です。もし仮に条約をむすぶとしても、北東アジアで最大の米軍駐留のある日本を他国がどう判断するか? 日本に有利な条約と見なされれば締結も難しいのです。
社会保障は拡充、として年金削減をストップ、公立保育所の増設、保育士の賃料を10万円アップ、子供の医療費無料化、大学授業料を10年間で半額、雇用ルールの強化で非正規から正規へ、最低賃金は1500円をめざす、などの項目が並びます。共産党が稀有なのは、こうした施策の財源も示している点でしょう。『消費税に頼らない別の道』として別立てで掲げるほど意欲的です。中身は消費税で327兆円の税収増になったのと同時に、法人3税は270兆円減、所得税・住民税は261兆円減、とします。不況は勿論のこと、法人税減税や富裕層減税があったから、とし、その減税分を元にもどす、資産課税、証券税制の引き上げ、などを通じて22.3兆円の財源がでてくるとの主張です。それ以外に2%台の名目成長で10年間で20兆円以上の税収増、としますが、実はこれが弱点です。経済成長を促すような項目がない。確かに、これだけ社会保障を充実させれば、一面では国民の収入アップにつながりますから、消費を押し上げることはできるでしょう。ただ一方では富裕層増税と大企業への増税が与える負の面もある。その両面からみた評価も必要なのでしょう。

TPP反対、原発はゼロで再生可能エネルギーに代替、秘密保護法を廃止、などの自民党が行った施策への反対姿勢は鮮明です。恐らく、共産党が政権をにぎったら、大企業から中小企業、個人へと手厚くなり、自民党政権時代とは違った国の形をめざす、ということはよく分かります。一方で、グローバル化がすすむ世界で、中小企業で世界と対抗できるか? そのためには国が支援し、国がより関与する形で世界と戦っていかなければいけない。その選別には当然、政治家や行政機関がかかわります。そこに利権の発生する余地がある。それをどう防ぐか? についての具体策はありません。このままだと、共産主義という一見優れた制度にみえる一方、人間の本性に照らすとまったく不都合な制度だった、という本末転倒な問題を引き起こしかねない、そういうリスクを意識されてしまうでしょう。
それは最後に出てくる「国民連合政府」構想にも現れます。相違点は横におき、一致点で合意形成をはかる、という原則で、政権運営が十分可能だとしますが、合意できない法案は否決される公算が高まる。そうなると、政策の実現力が著しく低い政権、ということにもなりかねません。目標は立派で、掲げる項目には納得できても、その手法や具体策には大いに疑問が残る、そんな政策集になってしまっているのでしょう。「力あわせ、未来ひらく」のフレーズは、そのまま「未来非楽」と読めてしまう点に、答えが必要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(14)TrackBack(0)政治 | 一般

2016年06月17日

東電第三者委の報告書

英国で残留派支持の野党議員が、射殺される事件がおきました。痛ましい事件ですが、不可解なのは、残留派にとって都合いい情報が真偽不明のまま流布された点です。悪い想像ですが、残留派のスケープゴートにされたのではないか? 悲劇の犠牲者をだすことで、残留派の支持を高めようと考えたのではないか? 実際、残留による利権の維持、規模からみれば人1人の命など軽い、そう考える連中がいても不思議ではありません。米国もそうですが、優秀な諜報機関のある国は、国家存亡の危機に際して『悲劇の犠牲者』をだしてきた、そんな歴史もあります。まだ詳細が分からないので何ともいえませんが、英国の黒歴史が一つ、増えたことになるのかもしれません。

東電の第三者委員会から、「炉心溶融」の言葉を官邸からの要請でつかうな、と指示があったと推認される、との報告書がだされました。結論を先に書けば、舛添都知事の『厳しい第三者の目』と、似通った匂いしか感じません。まず当時の官邸のメンバーを考えると、菅元首相にこの話をしたら瞬間沸騰して「発表しろ」と喚くでしょうから、菅氏に話が通っていたとは思えない。恐らく今になって暴露しない、といった口の硬さもないでしょう。枝野元官房長官も炉心溶融についてその可能性を示唆していた。あえて東電の口から語らせない、といったことをする必要性もありません。海江田元経産相は経産省の意向を汲む可能性はありますが、それだと官邸からの指示には当たらない。他の内閣官房が菅氏や枝野氏に了解もとらず、勝手にそんな指示をするはずもないのです。
しかし不可解な動きは、むしろ周辺でありました。3月13日、記者会見でメルトダウンの可能性を示唆していた、原子力安全・保安院の審議官が交代させられ、新しい担当は否定も肯定もせず、と態度を曖昧にしました。14日のTV会議ではメルトダウンの言葉が飛び、武藤副社長もそれを認識していた。それが武藤氏の記者会見の場で渡されたメモで、炉心溶融が禁止された。つまりすでに炉心溶融について、何らかの圧力は12日ごろから確認されており、メモは最終決断だった可能性が高い。その判断は誰が下したのか? です。

報告書では4月10日に官庁連絡班からのファックスで、経済産業大臣からの指示で「炉心溶融はつかわず燃料ペレットの溶融に統一」と、チャイナシンドロームの不安を拡大させないようにした、旨が書かれていたとされます。そして5月24日に炉心溶融をみとめることになる。これについて、報告書では「不当であったとは言えない」とし「より早期にみとめることも可能であったとの見方もできる」とも併記します。また「避難指示等にほとんど影響しなかったはず」とする一方「地元の自治体への説明としては不十分だった」と、両論を併記する形で曖昧にしている。どこか「違法でないけど不適切」とした、舛添第三者の報告と似通うものを感じるでしょう。依頼主である東電の体裁は守りつつ、責任は誰かに転嫁しよう、という意図が強くにじんでしまっているのです。
しかも当時の官邸側には、一切の聞き取りをせず、東電の一方的な聞き取りを重視している姿勢も、舛添第三者に似ます。なぜこれで「推認」できるのか? 小沢生活の党代表の陸山会事件における推認裁判にも似る、とさえ言えます。一方の意見に偏り、判断を下しているだけで、その正当性については誰も保証していない。そんな報告書でしかない。仮に政治家には聞き取りが難しい、としても海江田氏はすでに公人を外れています。聞き取り調査をしても何の不都合もないでしょう。

では誰が、判断を下したのか? それは原子力安全・保安院のきな臭い動きからも、経産省の誰か、であることは自明です。当時の官邸が、保安院の審議官の人選まで判断できるような状況でもない。4月10日の指示をみても、それ以前に海江田氏が指示をだしたことはないのでしょう。むしろ経産省の事務次官辺りからの説明で、その言葉通りを指示としてだした様子もうかがえます。つまり経産省の原発利権、それにまつわる判断が「炉心溶融とは使わず」と、3月14日に正式決定した。それ以後、誰の口の端にも炉心溶融という言葉がでなくなったことからも、この日を境に徹底された、ということなのでしょう。
この報告書、異常なのは指示をうけたはずの清水元社長が「憶えていない」ということを周りに聞き取りして判断した、というこれも舛添第三者の、ホテル三日月で会談したとされる出版社社長への対応とも似ることです。ここまで似ると対応マニュアルでもあって、それに従って弁護士が報告書を作成しているのではないか? そう勘繰ることさえ否定するのが難しいのでしょう。そして東電や中電は、地元で原発PRのためのCMを復活させています。舛添氏は「せこい」「ケチ」と批判をうけましたが、こちらのずる賢さ、抜け目なさは舛添氏の比ではないのでしょう。経産省の原発利権を擁護する安倍官邸、そして原発問題で自分たちは「違法ではないけど不適切」で、当時の民主党政権の責任におしかぶせて切り抜けようとする東電と、それらが合致した報告書であるのなら、これらに関与した人間たちは福島やその周辺にいる暮らしていた人々を「悲劇の犠牲者」にして、原発を肯定しようとしているとしか見えないのです。原発利権の存亡の危機、とでも考えているなら、早晩国民の怒りが原発にも向かうことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(15)TrackBack(0)経済 | 企業

FOMC、日銀の現状維持

北海道の函館で震度6弱の地震がありました。震度の割りに被害が少なくて幸いですが、ちょっとした噂があります。震災は政権与党にとって都合がいいことは、北海道5区補選で証明済みです。つまり今回、震度を高めにだして国民に震災を意識させたのでは? という噂があるのです。震度は職員の体感でだしていたりもしますし、後で変更も可能です。実際は分かりませんが、震度6弱というインパクトと、実際の被害と。その2つを見比べる必要もあるのでしょう。

日米の中央銀行が金融政策決定会合を開きました。まず米FOMCは現状維持、ただし今年と来年の成長率見通しを下げ、また金利見通しを示すフォワードガイダンスも年1回が前回の1人から6人に増えるなど、かなりハト派な印象です。FRB理事らによる5月から急速に6月利上げを織り込ませる動きもみられましたが、5月雇用統計や住宅市場の減速など、利上げできる環境が遠のいたことも要因ですが、最近FRBは口先介入でバブルをつぶすことを目的にしており、実際に利上げできる環境でないことは気づいている。しかし口先介入の効果をもたすために、年末に利上げするのでは? といった警戒も広がるのが現状です。
日銀も現状維持、ただし住宅市場は「持ち直しに一服」から「再び持ち直し」に上方修正し、年度末にかけて物価は上昇する予想を維持するなど、ややタカ派な印象を強めました。この日米の現状維持は、2つの意味で市場にバイアスをかけました。つまり5月からFRBが利上げ観測を流したことで、一気に外国人投資家が円の買いもちポジションを減少させたこと、また日本では2割ほど、とされますが市場には緩和期待があった。円高がすすみ易くなっており、黒田日銀総裁が以前106円台の円は「高すぎる」と発言したことから、動くのではないか? とする期待です。つまり2つの期待が一気に消失したことで、円売り・株買いのバイアスが強くかかったのであり、これは投機的な動きでも何でもありません。強いていうなら市場との対話に、日米の中央銀行が失敗した結果、といえるのです。

しかも日本は深刻です。安倍政権ではもう外国人投資家は株を買わない。安倍ノミクスへの期待が剥落し、興味すらない。一方で、ブレグジットの問題でポンドからの資金逃避が起きており、英国の影響が軽微な円のポジションを増やしておきたい。そんな思惑も働いています。つまり市場としては円買い・株売りはまさに直近の思惑に添うものなのです。
さらに日銀によるフォワードガイダンスの失敗、も影響します。つまり黒田氏はサプライズを意識する余り、市場との対話は下手です。そのことで思惑でのポジションを構築する短期スジが、イベント通過後に一気にそのポジション解消と、新たなポジションの構築に動く。このことで変動を大きくしており、ますます市場の健全性が薄れ、長期投資家が敬遠する、という悪循環を生んでいる。まさに安倍政権、黒田日銀がいることによって、今のように市場がおかしなことになってしまっているのが、現状といえるのでしょう。

舛添都知事の辞任で、米FT紙による「せこい」の報道ばかりとり上げられますが、AFP通信は「東京五輪は不祥事続きで、都知事の辞任は恥の上塗り」と、もっと辛らつな記事を書いています。つまり舛添氏の「せこさ」という個人的な問題ではなく、日本全体が「不祥事続き」という目で外国人投資家からは見られており、投資資金が集まりにくくなっているのです。しかも「恥」を「上塗り」するのは、重ね塗りなのですから重症です。
経済指標でさえ、速報から確報へと数字を弄ることが可能です。数字によるインパクトという意味では、15000円台前半の株価、103円台の円というものが、安倍政権に与える影響は大きいのでしょう。株価連動内閣ともされてきただけに、その通信簿として参院選にも影響してくるのは確実です。フォワードガイダンスに失敗する黒田日銀、日本の将来に明るい展望の示せない安倍政権、どちらも期待に関わるだけに、それを保証できないという点では株価も為替も『投機』というより『当然』といった水準になってきているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 00:05|PermalinkComments(15)TrackBack(0)経済 | アメリカ