2023年12月01日

11月5週の動き

自民党の政治資金問題

各派閥がパーティー収入を不記載だった、という問題。岸田首相は「各派閥が…」と述べていましたが、安倍派のキックバック問題がでて、自民党全体への調査が必要となってきました。塩谷氏が口を滑らせ、一気に噴出しましたが、各メディアが詳細を報じるようにこれまでタブーで報じられなかったものの、塩谷氏がそのタブーを解いてくれた。そんな勢いで報じます。1億以上とされますが、数億と報じるところもあり、その金額は莫大。もはや失念やうっかりミス、で済む問題ではなく、常態化と報じられるように、これは党全体の問題です。安倍派以外でも、こうしたことが行われているのでは? 調査が必要です。
この問題が自民にとって深刻なのは、この年末にきて政治資金パーティーを開きにくくなった。大体、臨時国会が閉じてから、また選挙が迫ってくるとパーティーが増えますが、裏金につかわれているのでは? となると協力しにくくなる。また、安倍派は統一教会との深い、深いつながりがある派閥です。裏金になると踏んで、そのパーティーに統一教会系の団体を招いて、自分の懐に入れる。そんなことが常態化していたとすれば、安倍派が拡大した理由も頷ける。どこまで行っても悪質な派閥、安倍派の真骨頂です。



東京五輪の裏金疑惑

馳石川県知事がアルバムを配った、機密費をつかった、と東京での講演で暴露。かつてある人物に金銭を渡した、として仏警察が捜査をする、その最中にわざわざ余罪を明らかにする。IOCでの規定でも物品の譲渡で票を買うことは禁止のはずで、国内的には機密費をそんなことにつかった、という問題も発生する。しかも当時の安倍首相から、直々に指示されたというのですから、より信ぴょう性も増します。
メディアがあえてふれないのが、安倍政権当時、もう一つこだわりをもって招致に動いた大阪、関西万博。こちらも裏金をばら撒いたのではないか? 実際、招致候補だった他の2都市はかなり格が下だった、ともされますが、安倍政権なら青天井で資金をばらまくぐらい常套手段でしょう。なぜなら裏金もつくれるのだから。そこに機密費が使い放で、もうやりたい放題だったでしょう。安倍政権時代、何が起きていたかを検証すべきですが、自民党政権だからできない、というのでは政権担当能力すら疑義が生じます。果たして、政治資金パーティー問題と合わせて、果たして岸田政権が何をするか? 試されます。


大阪、関西万博の費用

コンコルド効果、という言葉があります。それまでかけた予算がムダになる、として撤退の決断ができないことをさします。2400億円弱とされていた建設費に、日本館などが含まれておらず、800億円強がさらにかかることが明らかとなりました。しかも、ここから建設期間の短縮などで、余計なコストが発生します。これまで国も、大阪府、大阪市も積極的でなく、かつパビリオンの建設にも認可、許可をとるのが大変。そして建設業界も、面倒くさくてそういう許可をとるのが大変なパビリオン建設に後ろ向き。安倍政権時代から、公共工事を殖やそうとしてきたので、そちらに注力しておく方が建設業も儲かったのです。
しかも東京五輪で痛い目をみた。何度か、過労死問題も報じられましたが、納期が決められ、期間も短いこうしたイベントを受注しても旨味がない。逆に大変なことが意識され、敬遠されるのです。つまり自業自得で余裕がなくなってきた。しかも、組み立ててもバラすのが前提であって、万博のシンボルとされる木製リングなど、再利用となれば余計な手間がかかる。それで利用先が決まっていればまだしも、それはこれから検討、など非常に場当たり的です。岸田政権ではトータルマネジメントができていません。

それは自見万博担当相がパワハラ、不倫略奪婚などと報じられますが、この万博担当相というのが曲者で、準備段階の安倍政権下の世耕氏をはじめ、約5年で七人。しかも1年以上つづいたのが岸田政権下の若宮氏、岡田氏だけ。しかも1年以上といっても1年と1ヶ月程度、しかも政権交代の手続き的なもので、実質的に1年以上働いた人がいません。こんな状態で、継続的に万博を計画、設計することなんてほぼ無理でしょう。さらにこの万博担当相は7人中、初入閣が5人。つまりその程度の扱いしかされてこなかったのです。
いくら「頑張ります」といっても、力を入れてこなかったことが明白で、もう止めた方がいいレベルなのです。500日前、入場券も売り出されましたが、まだ開催できるかどうかも分からず、これから設計変更がどれぐらいでるか? それも分からないうちから入場券を買う者など、よほど能天気か、買わなければいけない事情があるか、どれかでしょう。最終形がみえない万博、これからも紆余曲折を減るのでしょう。


サービス産業の貿易赤字

政府が国内クラウドの育成を推進、という報道があります。さくらインターネットに事業者を認定する、という。円安の対策に、サービス産業の貿易赤字は何としても減らさないといけない。ただそこには、巨大プラットフォーマーによる占有があり、日本が本気でとりくむと軋轢を生じます。そこに道筋がつけられないまま、巨大プラットフォーマーからみたら子供程度でしかない日本の企業に委ねたところで、焼け石に水でしょう。逆に言えば、これまでそうした分野に目を向けてこなかった、政治の責任でもあります。
クラウドばかりでなく、本気でネット産業で勝利を得たいなら、それこそマグニフィセント7と呼ばれる彼らに対抗できるだけの力を、日本企業が身につけなければいけない。しかしもう引き離され、寡占となった後では余計に難しい。それこそマグニフィセント7のサービスをすべて停止する、といった強硬手段でも取らない限りムダです。結局、焼け石に水、本気でない日本政府の動きはムダな出費に終わります。残念ながら、それがさらに円安に向かいやすい状況をつくり、日本を苦しめることになるのでしょう。



国民民主党の分裂

代表選以来、いつ分裂するかと思っていたら、政党助成金を得るための年末を前にして、前原氏らが離党しました。ただ4人の離党で済んだのは、このところの維新の問題噴出という事情だけで、決して玉木代表の求心力が増したわけではない。トリガー条項の発動を協議する程度で、予算案に賛成する玉木氏の前のめりに、誰もが不安を抱く。これで岸田政権が破れかぶれの解散戦術なんてとったら、共倒れです。前原氏など、早速それを離党の理由とする。自民の浮き沈み、その沈みだけ国民民主も倒れます。
逆に、自民が浮いても国民民主は救われない。そこは玉木氏が統一教会票に期待するあまり、支持層がかぶるから。わざわざ自民を避けて国民民主に投票しよう、なんて人もいません。そんな離党した前原氏、『教育無償化を実現する会』なんて、維新への合流までの腰かけの名称であることが鮮明です。しかもそれを維新の馬場代表に暴露されている。事前に、合流調整をしたことが鮮明で、胡散臭さ満載です。

結局、比例復活した議員がいるから維新と合流できない。ワンクッションだけの党。これが次の選挙でどうなるか? そして国民民主は、これで晴れて自民党野党支部から、自民党の派閥入りが可能となります。それも次の選挙でどうなるか? ウィングが狭いだけに、本当に自民のコバンザメ政党に成り下がり、それでも支持するのは統一教会系ぐらいでしょう。むしろ、自民党に近くなって今の組合には好感されるかもしれない。ただ関西でも強かった前原氏が抜け、しかも維新とは決別したからには関西は壊滅するでしょう。選挙戦術的にみると、国民民主が負ったダメージはかなり大きいものとなるはずです。
一方で、前原氏らも維新と合流できないと、合流前に壊滅する恐れがあります。どっちもこれだけ返り血を浴びる、これだけ遺恨をのこす分裂劇も、昨今では珍しいものです。国民民主は、そもそも立民との合流を嫌った人間たちだけに、自民との合流でもまた分裂するかもしれない。玉木氏の「何もかもかなぐり捨てて…」戦術の、その『かなぐり』は政治家としては一番危険な、孤立という形なのかもしれません。



日大アメフト部と、高校野球

コロナ禍で開催できなかった夏の高校野球、その代理大会として、関西で開催される野球大会。色々な思いがあるでしょうが、楽しめたらいいな、と感じます。一方で日大アメフト部、危険タックル問題に端を発し、大麻問題もでてきて、廃部と報じられます。メディアに現役部員が出演して「ボクたちは潔白」主張をしていましたが、大麻部屋だったり、20人以上が吸っていて、何も知らなかったとは通用しません。
恐らく部内では麻痺していて、それを注意することもなかったのでしょう。結局そういう体質全体が問題なのであって、例え部として維持できたとしても、対外試合の禁止を数年、といった重い処分も下されます。結局、現役部員は報われることがない。逆に、知っていて黙っていた人間にはそれだけの処分も課される、ということです。高校野球では、少しの不祥事で大会の出場停止など、重い処分も下った。今回の野球大会なんて、何の不祥事も起こしていないのに大会にでられなかった。スポーツとは常にそういう理不尽が伴います。それを改善すべき、とは思いますが、だからと言って今回の日大の問題は、やはり看過できないものもあります。日大側の対応にも問題あるといっても、廃部は止む無しに思えます。



イスラエルとハマスの停戦

この停戦で、ハマス側は20人弱、イスラエル側は40人程度の解放に応じていますが、何でイスラエル側にそれほどパレスチナ人が拘束されていたのか? そしてなぜ、今回解放してよいのか? きちんと報じるところが少なく感じます。そもそも政治犯だったり、イスラエル側による理不尽な拘束が多かった。今回、ハマスが人質をとったことで、その交換という形で解放が実現していますが、倍の数には理由もあります。
そんなことをしたら、ハマスにとって成果になりますが、これにイスラエルが応じたのは国内の突き上げに耐えられなくなったためでしょう。イスラエル軍の爆撃、攻撃は人質に命中するかもしれない。今回は人間の盾をつかっていなかったからこそ、人質がのこっていますが、そうでなかったらもっと死んでいたでしょう。今、ネタニヤフ首相はさらにハマスを攻撃、と強気にでていますが、国内の反ネタニヤフ派が活気づくことも予想され、戦争状態を継続するしか、自身の政権を存続させる力がないとの裏返しです。



貧困と戦争

歴史的にみて、裕福でゆとりのある国が戦争をしかけることは、ほとんどありません。それは国民もコト足りるからです。露国がウクライナに攻め込んだのは、異例ではありますが、プーチン大統領の心が貧しかった。成果を欲していた。周りが阿諛追従の徒となり、楽観を伝えて判断を誤ったのが原因です。ハマスが仕掛けたのも、イスラエルによる合意違反、パレスチナ人が政治犯として収容され、また経済的に困窮する現実に、いら立ちが募った結果。国民の不安、不満が溜まったときに戦争は起きます。
ベネズエラでは隣国ガイアナの半分を自国領とする、との国民投票をすると大統領が宣言するのも、貧困にあえぐベネズエラが、偶々油田が発見されて経済が好調となったガイアナに、羨望の目を向けたから。貧困は戦争を連れてくるのです。そしてもう一つ、不安視されるのが中国。経済は底を打った、などという報道もありますが、バブル崩壊後の日本にも何度、そうした話があったことか。不動産でバブルをつくったツケは、そう簡単に解消されるものではありません。しかも、中国政府が小幅な景気対策にとどまるのも、バブルのツケに付け焼刃の景気対策を打ったところで意味がない。それが分かっても尚、何もしないわけにはいかないからです。そしてこれは低迷が長期化する、底這いとの予想もただよいます。

いつ中国国民が、共産党にNOを突き付けるか分からない。習近平一強体制への不満もある。中国人は利益を代弁してくれてきたから、共産党政権を受け入れてきましたが、天安門事件の記憶が薄れたころに、またぞろ同じことが起こりかねません。台湾問題どころか、ウィグル、チベットの独立運動すら起きかねず、それを武力で制していくしかないかもしれない。内政、内情がかなり荒れることも想定すべきです。
それを避けようと思えば、戦争という選択肢がみえる。国民に夢と希望を与え、一方で敵視政策により対外に遺恨を向けさせる。都合よい手法です。ただ、当然どこも余裕がないので、戦費に戦時特例債などを調達することになります。その余力勝負ということにもなってくるでしょう。そして戦後は各国で破綻、といった道も見えてくる。貧困により始めた戦争で、より貧困になっていく。これからはそうした懸念が常につきまとう世界情勢になります。残念ながら、それを回避するには世界経済が悪すぎます。



キッシンジャー元米国務長官の逝去

日本では好意的な報道も多いですが、ジャパンハンドラーと呼ばれた一人で、日本がそれに従って行動した。そこに阿諛追従したメディア、政治家も多いから評価も高い、というある意味で逆説的な人物です。逆にいえば、今の日米関係をつくった人、戦後の勢いのある日本が、米国を経済的に打ち負かしてトップをとろうとの意気込みをつぶし、米国に従属する国として、傀儡として生きることを余儀なくされたのです。
日本は逆に、それを受け入れた。核の傘など、まさにそうです。米国がいるから日本が成り立つ。そういう印象操作で、日本は米国に逆らってはいけない、という空気をつくった。冷戦下で日本の政治家、財界も従った。ただその鼻薬が利き過ぎて、今となっては日本は独国にも抜かれて経済は4位に落ちる見込みです。一度落ちこんだマインドを、再度引き上げるのは相当に難しい。それを今、日本は噛み締めています。



世界経済を壊すのはAI

最近、AI、AIと何かにつけてAIが登場し、最近では市場でも自動取引をAIで、という謳い文句のところがあります。しかしAIが必ず正解を導くわけではなく、過去のデータを蓄積して未来を判断することですら、それは正しいわけではない。なぜなら、バブルはいつも予想外の時に起きて、バブルを激しく崩壊させるのは、常に新しい事象だからです。経験したことへの対処は得意ですが、複雑で高度化された問題で、且つオリジナルの事象に対しては、むしろ不得意な項目といえます。それが自動AIの弱点でもあります。
恐らく、ここ数年で取引などはAIにすべて置き換わります。今でさえ、アルゴリズム取引という機械取引が盛んですが、そこにAIを咬ませればいい。しごく簡単です。しかしそこに大きな問題があります。突発的に起きた事象に対して、それを増幅する力もAIはもってしまう。人間がパニックになるのと同様、AIとて分からない事象に対しては、戸惑うこともある。間違った答えを導くことも、往々にしてあるのです。

例えば将棋の藤井聡太八冠。時おり、AI越えと呼ばれる手をさします。AIが推奨する以外の手をさして、AIが悪手と判断。しかし数手の後には、それが最善手だったと評価を変えるのです。つまり藤井氏がAIを上回った答えを導く。市場の取引では、あのときあぁしておけば…はよく起こることですが、それをAIでも起きる、ということをこれは示します。トレーダーより信頼できる、ぐらいの付き合いが最適です。
しかしファンドなど、それこそ人件費を抑える必要に迫られ、また投資家の信頼を得るためにもAI取引は今後、ますます増えていきます。そしてそのとき、総崩れになることもあり得るでしょう。要するに、突発的に過去と照らしてもよく分からない事象が起きたとき、です。それが今。インフレがこれだけ弾けた理由を、今の経済学者もよく分かっていません。だからインフレの終息のさせ方も分かっていない。これだけ金利を上げても、しぶとく景気が堅調。インフレも高止まり。つまりこの経済は、新事象でもあって過去に照らしても答えがないのです。今後、AIが間違えたときに大きな変動を引き起こすことでしょう。



日本株の動き

今週は月末、月初があったので、そこに向けた思惑ものこっていた。しかし木金と、日本株に元気がなかったのは、先週の主体別売買動向で、外国人投資家が売り越しとなった。11月をけん引した外国人投資家の買いが、一旦止まったとの認識が広まったためでもあります。代わって企業や年金などの買いが支えた。裏を返すと、外国人は高値を追う気もなく、企業や年金といった国内が高値掴みをした可能性もあります。今週も朝高、場中に下落する動きが多くて、それこそ勢いのなさを感じさせる動きでした。
移動平均線で高値、といった指摘もありますが、大体これは急激に上げたり、下げたりするときにはすぐに買われ過ぎ、売られ過ぎ、という判断になりますが、数日揉んだだけでまた勢いをとりもどすことが知られています。それは勢いがあれば、の話。今週、その勢いが途絶えたようにみえ、どうにも相場の弱さを感じさせました。それが月末、月初の高値をとる動きをおさえた、そんな一面があります。

日本経済に限っては、暖冬予想で小売りが戦々恐々です。今週、一気に寒くなりましたが、冬物商品の動きが見通せない。7-9月期にGDPがマイナスに沈んだように、コロナ禍のリベンジ消費の勢いは早くも途絶え、インバウンド消費ではそれを補えない。モノ消費からコト消費に移行し、また中国人の爆買いもないので、消費という面では弱い。しかもここにきて、外国人旅行客の消費で、免税分を偽って脱税した、といった報道も増えてきた。当然起きる動きで、むしろこれまで摘発されなかったのが不思議なぐらいです。
しかしこれも裏返せば、規制、取り締まりが厳しくなれば景気を冷やします。海外のゲーム事業者に対し、支払われた消費税をタダ取りしており、プラットフォーマーに納税を課す、という法律を与党は検討と伝わりますが、遅きに失しています。ただそこに手を入れれば、経済を冷ます懸念もあって動きも鈍かった。また上記したように、日本は国内ネットサービスなどに注力する方針ですが、恐らく国内でそれが育つこともありません。負け戦にいくら巨費を投じてもムダ。それより新サービスをいち早く立ち上げ、そこに全力を傾注した方がいい。後追いで何とかなるレベルかどうかは考えた方がよい、と感じます。

株式市場では、相変わらず日本経済は好調という、誤った認識が喧伝されます。残念ながら、日本経済が好調ならこれほど高額な補正予算を組む必要はなく、政治の認識とのズレも指摘できる。そして市場関係者とやらがよくつかう「政治の安定で株高」が、今はつかえない。勿論、それは虚構なので株高を謳うことは可能でしょう。しかし色々な意味で、ズレを生じている。米国の金利の動きもそう。来年、米経済がソフトランディングし、インフレ率もそこまで下がらないなら、利下げする必要はありません。それなのに来年5回の利下げを織り込む。明らかに行き過ぎで、今後修正するときに大きな動きを引き起こします。
不況時の株高、などともされますが、残念なことに未だに外国人投資家が買わないと、日本株が上がっていけないこともまた事実です。では今年買い越しで外国人投資家が年末を迎えるなら、来年さらに買うのか? そこは首を傾げるところでしょう。逆にこの11月に買ったことで、来年の動きが読めてきました。今年そこそこで終わっても、来年は厳しい状態が色々と頻出するでしょう。ただ、それはズレの修正であって、決して不思議なことでも何でもありません。まだ来年の動きを予想するには早いですが、需給的には日本株にはかなり重しが加わったことになります。後一ヶ月、これからの動きは来年に向けての、もう一段の整理が起きてきます。まず米FOMCの通過の仕方次第では、相場の流れが大きく異なることだけは覚悟しておいた方がよいのかもしれませんね。

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analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(0)政治 | 経済

2023年11月25日

11月4週の動き

岸田政権の泥沼

ついに内閣支持率が、各社で20%台に突入してきました。興味深いのは、それに伴い自民党の政党支持率まで凋落していること。本来、この数字はあまり変動しません。なぜなら、そもそも政党を支持する人が答えているから。以前から指摘するように、メディアは各社で読者モニタを抱え、その読モに調査することで、大体安定した数字となります。そうでないと、小政党の数字は調査によってブレが大きくなります。つまりこの政党支持率とは、各社の読モにどれだけ政党支持者がいるか? を示す数字ということです。
それが下がったというのは、政党支持者すら離れはじめた。それだけ醜聞、悪政により心が離れていることを示唆します。その一つは統一教会。統一教会ご用達の雑誌は、岸田政権を叱咤激励との体をとりますが、本音はいら立ちです。彼らは中国を敵視しますが、『外交の岸田』を標榜する岸田政権は、中国ともうまく立ち回ろうとするからです。中国との関係悪化を招けば、「外交が得意」なんて嘘っぱちとの評価になるからです。改憲に後ろ向きな点もマイナス。統一教会は改憲により、むしろ自分たちが活動しやすい国に日本をするのが目的で、9条なんて関係ない。それを隠れ蓑に、政教分離の原則を外すことすら目論んでいます。

業界団体も、岸田政権を見限ってきた。何しろ、岸田政権はインフレ抑制に多額の税金をつかって、自分たちへの利益誘導をちっとも約束してくれない。安倍政権でさえ、業界に阿ってきたのに、です。そして官僚、メディア。官僚は、ここにきて自民党派閥のパーティー収支にまで首をつっこんできた。何も今、やることはないのに…と誰もが思います。年末年始、国会が閉じている間にやれば御の字で済んだのです。財務省も「減税の原資は国債」と、岸田首相の増収分を返す、という発言を覆しても平気です。むしろ、このタイミングで悪い膿をだして、歴代の自民党政権の負の遺産を一旦、解消するかにみえます。
メディアもネガティブな発言が目立ちます。それは、世論に阿った結果でもありますが、何をやってもダメ政治家の烙印を拭えない岸田氏を、批判することが常態化してきました。それはCMの中にACが増えてきた。いくら景気がいい、などと言ってもTV局の収支は危うくなっている。擁護する価値すらなし、というのが本音です。ジャニーズ、宝塚といった安易な収益減も断たれ、変革する社会を感じつつ、自分たちは何とか生き残りたい。その中で、自民との付き合い方すら悩む。それはジャニーズ、宝塚、自民、肩入れすれば自分たちがその負の影響で、返り血を浴びることになり、それを避けようとする動きでもあります。

岸田氏本人の問題は、何を言っても薄っぺらい。情熱を感じない。答弁書を読みながら「国民のために…」などと言っても、誰にも響かない。自民党の政治資金の問題でも、逃げ腰で「私の派閥は修正した」「他の派閥にも指示した」など、国民が抱く怒りを受け止めるでもなく、その解消に向けたやる気を示すのでもない。いつも平板で、だから誰にも言葉が響かない。ゆえに、岸田氏ではダメ、となります。
自民党内の、ポスト岸田の動きも活発化してきました。こうなると、もう岸田氏にはどうすることもできません。年内総退陣が現実味を帯びます。岸田氏は、恐らく最後まで「どうしてこうなった?」が分からないでしょう。この分からない、が最悪なのです。自分は政権を精いっぱい努めている、国民は何が不満なのか? 分からないから、対応がおかしくなる。減税をすれば国民が喜ぶ、と安易に考え、失敗する。本質が分からない人、自分が頭がいい、と思っているから、余計に手のつけようがありません。



創価学会の今後

池田大作氏が永眠しました。学会の創立記念日に発表、ということで憶測もありますが、こんな噂もあります。それは昭和天皇と同じ、いつ死亡させるか? はスイッチ一つでどうとでもできた。ただ、その操作に失敗した。本来は創立記念日に亡くなり、それを後日発表。池田氏は身も心も学会に捧げた、としたかった。そうすれば創立記念日が即、池田氏の命日となり、神格化にはちょうどいいからです。しかし3日前、という最悪なタイミングとなってしまい、形だけでも創立記念日に合わせて発表した、というのです。しかしその評価が捗々しくなく、他意はない、という形にするしかなくなった、といいます。
その噂が正しいかどうかは別にして、今後の創価学会には暗雲が漂います。それは池田氏を神格化し過ぎ、且つ権力を集中させすぎた。創価学会は対話を重視するから、分裂はないといいますが、そんなことはありません。そもそも、法華経の解釈すら十人いれば十色。それをカリスマの鶴の一声で、意思統一させてきましたが、そこが空席になる。そっちの言っていることに納得できない、として分裂するのが宗教の常で、そうして分派する。創価学会だけその轍を踏まない、などあり得ません。もしそれを達成するなら、組織の引き締めがきつくなり、それで学会を離脱する人が増えていくだけ、となるでしょう。

政治と宗教の関わりもそうです。宗教弾圧という歴史があるから、という理屈で通してきても、統一教会の例をみるまでもなく、政治に宗教がかかわってもろくなことがない。そう考える人が増えれば、今の学会の態度も変わるでしょう。文春で『200万票減』などと打たれていますが、それは徐々にすすみ、ある段階を過ぎると一気にすすむでしょう。中国を敵視し、対決姿勢を示す安倍派と、対中融和を訴える…というより池田氏が中国から賞を授けられ、それを成果と誇ってきた創価学会と、相容れるはずもない。もし自民党でポスト岸田が、高市経済安保相など安倍派の流れを汲むと、一気にすすむことになるでしょう。
そもそも、統一教会と創価学会と、二つの巨大な宗教団体、しかも超献身型のこの二つが自民党のバックにいたからこそ、自民は強かった。しかしそこに大きな矛盾も孕んできたのです。それが池田氏というパワーバランスを保ってきた杭が、ここで抜けた。統一教会にも楔が入りつつある。色々なものの形が変わりはじめてきた。それが池田氏の喪失という形で、より顕在化するのでしょう。創価学会は、集団指導体制という、どこかの安倍派で聞いた形になるようですし、すでに池田氏は一線を退いていた、ともいいますが、組織よりそれは人の心の楔だったのです。むしろ心の変わりようがこれから一気にすすむのでしょう。



安倍系雑誌の断末魔

最近、日本保守党なる団体をつくって、それを求心力に替えたい思惑が見え隠れしますが、全力応援などとするのは『安倍のオトモダチ』ばかり。安倍氏が統一教会の傀儡、だとバレてからは「お前らが保守など、片腹痛い」と感じる人も増えました。イスラエルとハマスの戦いでもそう、明確にイスラエル支援をうちだしますが、世論との乖離もめだつ。それをメディアの仕儀だとして、批判をする態度は安倍氏に似ます。結局、もう形が変わっているのに未だに旧態依然としたやり口に固執する、が顕著なのです。
しかし安倍氏が首相時代は、勢いも部数も伸びたでしょうが、今は残念感しかありません。しかもそこに、久しぶりに世耕氏が登場し、常連の高市氏と重なった。恐らくこれも自民党総裁選に向けた動きです。高市氏は、統一教会にお世話になった議員への圧力を、ここからかけたい。安倍派ではないので、安倍派を動かす原動力と考えてのこと。そこに世耕氏が絡んできた。まだまだ安倍派の一本化には時間もかかりそうです。

ここも創価学会と同じ、安倍元首相というカリスマを失い、しかもその後継がいない。一人を英雄視し過ぎて、次をつくれないのです。その代用として『日本保守党』なるものを立ち上げても、カリスマになり得ない。ナゼなら安倍氏の下にいて、それ以上ではないから。何らかの結果を残して、その影響で後継とみとめられた、という形でないと、人工的にできたものではムリなのです。それがカリスマの難しさです。
人工的でも、時間はかかっても上手くいくケースがある。それまで、カリスマがいなかったケースです。しかし一度それをつくると、払拭するのが大変。こうした組織作りの難しさ、それを感じているのが、今の安倍派で、集団指導体制も苦肉の策。ただ誰もそれを理解できず、さらに混沌とする。そこに依拠する統一教会系、その雑誌も苦労する、となります。正直、統一教会の次の動きや、自民党の今後によっては瓦解する怖れもでてくるのでしょう。ハッキリ言って、斜陽へと向かう流れを止めきれる状況ではありません。



北朝鮮の衛星打ち上げ

21日と打ち上げ予告の直前に発射されましたが、恐らく第二段も準備されていた、とみています。つまり一度は失敗しても、次で成功すればいい。ただ一度目で成功したので、次の発射はしばらくないでしょう。搭載する衛星を、第一段とはちがったものにしたいから、それを開発する期間に当てるはずです。
問題は、人工衛星の打ち上げはそれこそ国際社会でもみとめられる。国連の合意といっても、国際社会がそれを止められないように、日米韓と敵対する国だから、といって打ち上げは止められない。露国が協力した、などといわれますが、最早止める術がないので、次の手をどう打つか、です。スパイ衛星は日本でも打ち上げている。恐らく、その精度やシステムはまだまだでしょうが、これからは衛星経由で超長距離ミサイルを制御し、特定の対象を攻撃する、という力をえた北朝鮮に、どう対抗するか? です。

岸田政権は防衛費、などとしますが、以前から指摘しているように、まず米軍から制空権をとりもどして、日本独自の防衛網を築かないと、自国すら守れないことになります。いざとなれば米軍が守ってくれる。安倍政権時代から、そういう形で媚米がすすみましたが、北朝鮮を抑える力は米軍にはありません。ウクライナ、イスラエルと有事をかかえ、これ以上の戦いを抱えたら、米軍とて軍事費でパンクするでしょう。
むしろ、このタイミングで「日本は日本で守りますから、指揮権を日本に戻してください」と岸田氏が米国と交渉できれば、外交の岸田として注目されるかもしれません。なぜなら、まさにそれが戦後からの脱却だからです。安倍氏が訴えた仮初、虚構のそれより、よほど現実的な動きです。ただそれも難しいでしょう。レイムダック化した岸田政権に、何の力もありません。それは訪米した岸田氏が何の成果も持ち帰れなかった点をみてもそうです。残念なことに、北朝鮮に対応できる力のない日本というのが、今の最大の問題です。



企業統治のあり方。東芝とOpenAI

東芝が上場廃止となりました。まったく情けない顛末で、不正会計、米WHによる巨額損失、倒産寸前で救ってもらった米ファンドとの対立、国内の企業連合に泣きついて、企業として維持できたものの上場廃止となって出直し、です。経営者の無能、悪質ぶり、WHに至っては斜陽だった原子力産業をみこしてWHは売却されたのに、そこに手をだし、巨額損失を抱える。まったく経営判断がなっていない。不正会計も、米ファンドとの対立もそうです。よく「短期利益をめざす…」など、モノ言う株主として毛嫌いされますが、ファンドはその背後に出資者を抱えるので、短期利益を求めて当然です。そこに頼ったこと、が問題なのであって、しかもきちんと企業サイドから見通し、計画を示して利益を約束できなかったから、対立した。東芝は原発関連の技術、情報を抱えるから何とかしないと…という親方、日の丸頼みは恥ずかしい限りです。
一方でOpenAIは、アルトマンCEOの解任劇にはじまり、電撃復帰で決着しました。これは端的にいうと、OpenAIを稼げる組織に変えたのが、アルトマン氏です。でも創業の理念はOpen、今のMicrosoftなどの企業に権利を渡すことには不満をもち、創業者たちがアルトマン氏を追いだす。しかし従業員たちにとっては、給料を約束してくれていた人がいなくなるのですから、不満がある。そこで9割が反対したのです。それはWikipediaもそうであるように、寄付による運営では限界もあり、行き詰まるのが自明だから。だから他の創業者が追いだされ、非営利団体の下に、稼げる媒体をつくったアルトマン氏がもどった、ということです。

稼ぎ方を知らず、色々なしがらみに縛られた東芝と、稼ぎ方を知っている人を大切にした従業員、というマインドの差。ここに大きな違いがあります。悪くいえば、日本型と米国型。モノいう株主というのも、実に米国的で、稼ごうとして何が悪い、という発想が根底にあります。企業を育てる、というのは育てた結果、長期で利益を約束できるケースだけで、東芝はそうみなされていなかったから切り売りされ、今では稼げる事業はのこっていない、といわれる為体に陥ったのです。東芝が劣っているのはそういう点です。
アルトマン氏は、寄付に頼っていたら目指すAIにも限界があり、だからMicrosoftと組む決断をした。それが経営判断です。他の創業者は、理念に拘って経営を危うくした。まさに東芝の姿と似ます。米国ではそれが従業員の力で覆され、日本では国が主導してその体質が温存された。今後、期待できるのはどちらか? といったら火を見るよりも明らかでしょう。偶々、二つが重なっただけに、余計にそう感じます。



大阪・関西万博は高いか? 安いか?

7500円が安い、と主張する人がいますが、例えばジャパンモビリティーショーなど、一般の当日券で3000円です。高校生以下は無料、前売りなら1割引き。車という趣味性が高く、需要もあるこうしたもので半額以下で入れる。そもそも、東京ビッグサイトと既存の施設を利用するため、安価にできますが、大阪万博はちがいます。しかも万博は『未来デザイン』という漠然としたもので、興味がない人も多い。それこそ最新技術の展示会は、一般でも招待ならただで入場できるものもある。これを「安い」という人は、どこかレトリックがおかしい人ばかりです。HPをみても、まったく興味が湧く内容ではありません。
橋下氏などは、経済効果が高いといいますが、それは夢州が継続的に利用されてこそ、です。万博単体ではむしろマイナス。それを黒字にしたかったら、企業にノルマとしてチケットを買わせるしかありません。よくディズニーやUSJなどと比較されますが、友達でいく場所ではなく、家族でいくか、企業が体験としていくか、どちらかです。今のインフレで疲弊する家計が、出せる金額ではないでしょう。一家でまとめてこの値段ならまだしも、交通費をふくめ一人一万円は、よほど魅力あるコンテンツでないと無理です。

関西の企業に、無理に買わせれば関西企業が疲弊する。最近、気になるのは関西でかなり問題のある商活動が増えている点です。大麻グミも関西の企業でしたし、企業系の事件でも関西系が多い。むしろ関東ではルフィーを名乗る広域強盗事件など、凶悪犯罪が増えた時期もありますが、企業系になると「あれ? また関西か」というケースが多かった。関西の景気が低迷してきているのか、人々のマインドが変化し、事件に手を染める者が増えたのか? いずれにしろ、さらに万博チケット購入などの負担に耐えられるのか?
どのみち、建設費はさらに拡大するでしょうし、運営に至っては酷いことになりそうです。それは東京五輪と同じ。日本にそうした大規模な運営を担える企業、組織がないから。つまりそうしたことができなくなった今、日本でBigProjectを動かすことが困難なのです。特に大阪、ここまでのグダグダをみても明白でしょう。維新にそれを取りまとめる力はない。思い出せば、愛知県知事のリコール事件を起こしたのも、維新系の人間でした。安易に署名偽造に手を染める、今の関西系の動きには暗雲しか感じません。



政局

補正予算案に、維新と国民民主が賛成となりそうです。その国民民主の玉木代表が、ふたたび安倍系雑誌に登場しました。相変わらず、統一教会票への期待感が滲みますが、国民民主内がガタガタで、代表選では完勝したものの、常に分裂気配が漂います。統一教会の支持さえ得られれば、それを梃子に組織を引き締められる、との算段でしょう。一方、維新は最近、ここと距離を置いています。ただ安倍系雑誌の方も、不祥事満載の維新を決して批判しない。その統一教会の中に、未だに維新に期待する層がいるからで、ただ維新としてもあまり統一教会色をだすと、全国区をめざして募集をかける中ではマイナス面が大きい。
しかし維新の理念に賛同できる人間は、それなりに質の低い人間ばかりです。以前から指摘しているように、保守を名乗る人物の質の低さは、如何ともしがたいレベルです。特に、公募で人を集めるなら尚更でしょう。維新の勢いにのりたいだけで、理念も理想もない。一癖どころか、悪い履歴のある人物が集まってしまう。維新や国民民主が、ずっと抱える問題です。理念主導でないからこその問題とも言えます。

決して野党の支持率が上がっているわけではありませんが、自民がここまで凋落すると、ゆ党であるこの2党も見劣りする。反自民票になってしまうからで、自民に似たところは徹底的に嫌われます。今回の補正とて、「一定の評価」などと言っていると、それだけで支持を落とす。しかし維新も、国民民主も支持層がそういうところが多く、今さら…です。二進も三進もいきません。自民とともに凋落するか? それは選挙のタイミングにも関わってくるでしょう。岸田政権が来年、自爆解散などしたら共倒れ懸念も漂います。
一方で立民、対決型に移行したことで、すっきりはしました。ただ泉代表の「5年後」発言はいただけない。現状認識を正しくすることと、トップが目標として語ることは違うのです。このまま漁夫の利を得ても、泉代表の下では心許ないのでしょう。ただこれまで脆弱野党とされ、それが自民を油断させてきた側面もあります。ここで、与党が脆弱化することで立民が伸びても、今度は立民に油断が広がるだけでしょう。閣僚経験者が少しでも残っているうちに、もう一度政権に手のかかるところまで伸びないと、後が大変です。



人間の寿命の話

最近、人間は死ぬ前になるとBMIが下がる、つまり食事量、摂取カロリーが変わらなくても体重が減っていき、それが死を迎えるサインということが番組で報じられていました。ただもう一つ、考えるべきはナゼ人の寿命が延びたのか? です。おばあちゃん仮説があり、老後に子育てをする高齢者がいる方が、繁栄しやすかった、種を残し易かった…という人もいますが、一つ言えることはタンパク質レバレッジというシステムを、生物がもつという研究もあって、それだと人々の長寿の理由をうまく説明できます。
タンパク質の接種比率を減らすと、生物は繁殖より長寿を優先する。より長く生きて、繁殖に最適なタイミングがくるのを待つ、というのです。人間はかつて50歳が寿命だった。そこで老衰で亡くなっていた。今は2倍です。実は、これと同じことが起きつつあるのが、飼い犬です。昔は12、3歳で寿命と言われていましたが、最近では20歳を超える犬もいる。つまり食環境を改善、それはタンパク質過多ではなくすと、生物は寿命を延ばすのです。まさに生殖能力が衰えてすぐ、死んでいた動物がその2倍になってしまう。

今年も日本では少子化がすすみ、これはもう国として維持することが困難なレベルです。しかも岸田政権の的外れな少子化対策で、さらに改善が遅れることが必定です。官僚はずっと少子化を志向してきた。だから政治家を騙し、効果のない少子化対策などを策定してお茶を濁してきました。岸田氏が頭のよい人なら、すぐにでも突っこめそうですが、そうできない。先進国で、出生率を維持することは難しいのに…。
極論すれば、子育てが可能なうちにタンパク質豊富な食事をとれば、短命になる代わりに出生率も上がるでしょう。新興国で、寿命が短いのは医療水準だけではなく、また風土病などの問題でもない。そしてもう一つ、今の工業的製品、つまり超加工食品が問題の根を深くしているのかもしれません。高度に味を調整し、タンパク質に偽装した旨味の加えられた食品を食べ、生殖への意欲を失っている人が増えた。そうだとすれば、これは生活スタイル、社会全体の構造の問題かもしれず、根が深くなります。まさに食品業界をふくめ、本気で取り組まないと、日本人がこの国でどんどん減っていくだけとなってしまうでしょう。



日本株の動き

先週も外国人投資家が大きく買い越しました。違和感があったのは、現物株も多いこと。先物は若干の売り越しでしたから、買い戻しだと思われます。ただ、もうプラス圏なのでこれ以上増やす必要はない。現物株は未だに買い越しなので、それをさらに買い増した形になります。しかし証券会社が今、考えに入れるべきは、年末に向けた動きです。年末になると損失確定の売りも増えます。今年、米国の投資家は債券投資家以外、そこそこよいはずです。マグニフィセント・セブンに投資していただけで利益は確約です。
ただ、もう一方で厳しいのが日本株に投資した人です。バブル後最高値、などと盛り上がりますが、4月からみると1割以上の円安水準にあり、4月頭の3万円以下で買った人以外、損をしていることになる。つまり日本株が損失確定売りの対象になる、ということです。逆にいえば、ブラックフライデー前は色々な期待も乗り易く、今はFRBが早期に緩和に転じる、との期待だけで上がる相場ですが、この年末商戦の出来次第では、来年にむけた失望も広がり易い。そのとき損失確定売りに晒されるかもしれない、となります。

それでも、日本株が来年、円高になってくれれば…との期待もある。外国人投資家からみて、円高になってくれればそれだけで利益がでます。しかしその期待も、今のところ画に描いた餅です。正直、ここまで来て日銀は少しずつ態度を変化させていますが、YCC撤廃も、マイナス金利の解除も、今の政治の弱体化、日本の景気の失速を考えると、難しいと感じます。結局、そこが円高転換の壁になりかねません。
そしてもう一つ、Nvidia決算でもそうですが、「市場予想を上回った」としますが、株価は下がった。ここには明確な嘘があり、市場予想はもっと高かった。ここで言っているのは「証券会社の予想」です。つまり、証券会社があえて低い予想にとどめ、業績発表と合わせて一段高を目論んでいましたが、本来の市場予想、期待にとどかなかった。だから株価が下落するのです。ただ、証券会社にとって、今やNvidiaは半導体株の代名詞。日本ではNvidiaムーブがあって、決算発表と同時に半導体株が上がる、という相関があった。しかしNvidia株の動きが芳しくなく、国内の半導体株も動きが鈍くなってしまいました。証券会社の思惑、一部で市場を上昇させたい買い方として、失敗しているのが今回の動きとなります。

円が一時的に円高にふれたのも、ポジション整理です。日本株の先物も、外国人投資家は売りに傾いていたから、ここでポジション整理で買った…と思っていたら、さらに積み上げてきた。果たしてこの勢いが年末までつづくことはまずありませんが、問題はどこまで積み上げ、どこで転じるか? です。それこそブラックフライデーの予想まで、無視して上がりつづけるか? そこが来週の注目点となります。
今週はNvidia期待が剥落した後も、先物が上昇する傾向がみえました。22日の夜間取引など、薄くなるところを狙って先物を買い上げる層がいた。ただそれが24日の日中取引では否定される。11月に入ってから、こういう取引が増えています。恐らく外国人投資家が、先物を買って現物を売る動きなのですが、それでも先週は現物株も結果的に買い増す形となりました。21日にはTOPIXが2350ptをつけそうになると、きれいに切り返したのもそうでしょう。先物の思惑が強い今の相場、その継続性が試されるのでしょうね。



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2023年11月18日

11月3週の動き

岸田内閣は崩壊寸前

山田文科政務官の不倫、柿沢法務副大臣の公選法違反、神田財務副大臣の税金滞納、そして三宅防衛政務官のセクハラ疑惑。毎週懲りもせず、やらかしてくれる岸田内閣。そのうち柿沢氏を除く三人が文春砲です。三宅氏は身に覚えがない、としますが、セクハラは大体した方は憶えておらず、された方はずっと憶えています。しかもお酒の入った席なら尚更でしょう。しかも、当時被害者は相談をしていた、という。客観的な証言もある、となり、それが本人の「身に覚えがない」で覆せるか? 中々に厳しいところです。
今年、BIGMOTORに始まり、ジャニーズ事務所、宝塚など、メディアの報道に守られ、強固な組織を築いてきた組織の内情が如何に腐り、ぼろぼろだったかが次々と露呈しています。しかしその最後の、しかも強大な組織がまだ残っています。それが自民党です。メディアの報道に守られ、統一教会という強固な支持基盤があり、盲目的に投票してくれる層がある。その結果、ボロボロに腐り、政務三役クラスを身体検査したら、ぼろぼろと膿がでる。それは上に立つ小渕選対、甘利氏などをはじめ、疑惑から逃げ回った挙句に、説明責任すら果たさず、未だに党内で強固な力をもつ先輩議員もいる。その下の議員が緩むのもさもありなんです。

地方選で連敗つづき、との報道もありますが、岸田内閣の低支持率という点もありますが、統一教会の動きが鈍いことも影響するのでしょう。統一教会御用達のWillとHanadaですが、そこがイスラエル擁護論を打ったものの、イスラエル大使館に突っこんだ車は、右翼団体の男が運転していたという。右寄りを標榜していたこの安倍系雑誌が、右とは乖離してきた。中国ばかり敵視し、韓国はスルーという安倍氏が亡くなってからの、態度豹変も問題でしょう。結局、ここが右から見限られ、ただの統一教会系雑誌に成り下がり、自民応援団ですらなくなりました。それこそ高市経済安保担当大臣は常連ですが、勉強会を開いて13人の出席。現役閣僚が…という以上に、ミソッカスです。彼らの力が如何に弱まっているかが知れます。
岸田氏が思い出したように「改憲」を言い出したのも、統一教会を意識した動きでしょう。ただしそれだけでは統一教会は戻ってくれない。選挙で献身的活動をしていた統一教会が、今や動きにくくて仕方ない。しかも、それで選挙に勝っても、終わったら文春砲の嵐となるでしょう。「この議員は統一教会の力で勝った」などとやられたら、政治生命すら危うくなります。いくら他のメディアに守られても、文春の口は閉ざせない。まるで多くの組織が陥ったように、解体的出直しが必要となる局面もあるのかもしれません。

年内総退陣、という話もありますが、よほどのモノ好きでないとこの難局で引き受けたくないでしょうし、次の総裁とて低支持率になることが目に見えています。ナゼなら、これから増税議論がはじまるから。公務員の給与法改正も、首相や閣僚の賃上げ、と報じられる始末です。しかしこれまで、官僚を好待遇にして優秀な人材を集める、といっていたものが、もう通用しない中でのこれですから、国民の怒りも買う。森友・加計問題をはじめ、官僚の質の低下は如何ともしがたいレベルで、今さら高級にしたところで、それは変わらないでしょう。大切なことは職場環境、政治家に付き合わされて長時間労働、などが取り沙汰される。そこを改善せず、給料を上げればお金目当ての、ろくでもない人物らが集まるだけ、となります。
それは議員も同じ。神田財務副大臣など、安倍系の悪しき体質そのものです。質は低いけれど、とにかく有名になりたい、金を稼ぎたい、そんなろくでもない輩が多い。それが安倍派です。その安倍派に配慮があったから、判断が遅れた。ろくでもない議員ばかりで、せっかく入れた税理士の肩書をもつ議員だから、大切にしようとした。その判断の遅さも、岸田氏の勘の鈍さです。八方美人になろうとして、八方塞りとなってきた。岸田政権が陥っているのは、そういうことです。早めに退陣した方が、政治家的には好判断となりますが、恐らく岸田氏には決断できないでしょう。権力欲の強さが、悪手ばかりを打ってきたことにつながりますが、問題がどう推移するかを読み切れない、それが一番の岸田政権の断末魔です。


デフレ完全脱却したら、日本は終わり

岸田政権のめざす『デフレ完全脱却』。日本は潜在成長率が1%そこそこなので、もし2%台が定着したら、その時点でインフレに成長が負けて、景気が悪化するでしょう。定説はありませんが、潜在成長率よりやや下、にインフレはあるのがよく、それより高いケースでは、金融を引き締めてインフレを抑えないといけません。そうなると、そもそも日本は0%近傍でインフレ率が推移しないと、厳しいとなります。
つまり来年の賃上げを待って…などというのは、的外れなのです。岸田氏が政労使会議で「今年上回る賃上げ」を要請しましたが、7-9月期GDPが実質で、年率2.1%減となり、賃上げどころではありません。しかも、企業は設備投資も手控え始めている。工作機械受注など、設備投資の先行指標はずっとマイナス。一部には中国経済の減速で、輸出が滞っている面があるとしても、半導体工場などの設備投資が拡大する中、また自動車業界がEVシフト、研究開発や設備投資をすすめる中で、工作機械受注は景気が瓦解するような勢いで減っているのです。つまり、それ以外の産業は見る影もないほど、新規投資を減らしています。

今は古い、既存の設備で何とかなっていますが、これで新規の需要に対応しようと思ったら、本来は設備投資をするでしょう。それが今はない。これ以上、特需などが起きても日本は対応できない社会になっているのです。そしてそれは、国内で設備投資をしても人手が確保できない、といった事情もあるでしょう。つまり企業は、現状に対応するのが精いっぱいで、日本が成長するわけでもないし、成長したらついていけない。つまりデフレ脱却で、インフレになると日本はまったくついていけない状況が訪れるのです。
賃上げとて、人手不足を映しているだけで、恐らくそれで賃上げを達成したら、コスト上昇によるコストプッシュインフレが、さらに加速するだけでしょう。つまりインフレ率を上回って、賃上げが達成できることはなく、そこに輸入物価の高騰がのしかかる。日本がデフレ完全脱却なんてしたら、危険なことがよく分かるでしょう。大切なことは、日本は構造改革によって、まず少子化を改善するなど、成長する基盤をつくる。そして潜在成長率を上げて、インフレに耐えられる国づくりになる、ということなのです。それをすっ飛ばして、来年の賃上げに期待、とか言っているのは、政策担当者としては仕事を放棄しているのと同じで、自分たちが先にやるべきことがあるだろう、というレベルでダメなことをしていることになるのです。


宝塚歌劇団のイジメ、パワハラ、記者会見

ジャニーズ事務所より…という比較もありますが、どっこいどっこいの酷さに感じます。旧ジャニーズ事務所はNGリストがあった、などと話題になりましたが、宝塚は調査した第三者委員会に入っていた弁護士事務所とのつながりや、自殺した生徒が所属した宙組の上級生が、調査に応じていないなどもあります。しかしジャニーズ事務所とて、全タレントに調査したといっても、まともに答えていない可能性があり、調査の仕方が公表されていない以上、同じです。しかし組織の腐敗度はよく似ている、といえるでしょう。
北野武氏が「昔から話は聞いていた。そうしないと芸能界では生き残れないのか、と思っていた」と語っていますが、その認識がすべての害悪であり、且つ芸能界の腐敗の温床です。執行猶予刑が下された歌舞伎の市川猿之助氏も、元はパワハラ、セクハラの記事が出たこと。それを赦していたのも、座長や、歌舞伎世界の上意下達といったシステムが温床だった。物事を決定する力のある人が、倫理を失ったらすべてが崩壊する。それを覆い隠すため、メディアが組んで、そこにバラ色の未来という幻想を与えていた。これを我慢しないと、自分は売れないのだ、エンタメ界で活躍できないのだ、と。むしろ表がキラキラした世界だからこそ、裏のどろどろとした世界を見せたがらない。そういった構図にも思えます。

そしてこの問題は、学校教育の場でも同様でしょう。生徒への暴力、性加害といった問題が起きるのは、結局のところ第三者機関の監視がないことが問題なのです。だからすべての組織が、内内でトラブルを隠し、公表させないよう圧力をかけてしまう。学校も、教育委員会とは別の第三者機関の監視が必要ですし、芸能界も同様です。そして、その第三者機関にも隠ぺいに加担した場合、同罪になるという圧力も必要でしょう。例えば教員の性加害を隠すことに加担すれば、自分たちも性加害として訴えられる。芸能界のイジメ、パワハラなども同様、第三者機関への通報と、調査と、それに基づく権限を確保しないと、この問題は一度立ち消えになっても、いつまた再燃するか分からない。地獄のループとなってしまします。
よく宝塚の問題で、感覚がマヒしていた、などとの供述もありますが、嘘もたいがいにした方がいい。必ずどこかで立ち止まり、考えるときがあります。人を殴ったり、モノを投げつけたり、それをして「麻痺していた」で済むなら、ほとんどの傷害事件は「麻痺」で済んでしまいます。相手が人間である、という根本的な事実を、ずっと無視できる人なんていないのです。人間でなく、奴隷や下僕として扱うから、そんなひどいことをしても良心の呵責に苛まれない。それは人非人のあり様であって、イイワケできません。



イスラエルの稚拙な情報戦

ガザ最大のシファ病院に突入したイスラエル軍が、銃をみつけた、だのと映像を流していますが、どこかの一個師団にも満たない武器を隠していた、なんて何の意味があるのか? 指揮所がある、という話だったのでは? どこかの兵士を殺して、奪ったような装備を並べて、誰がイスラエルの虐殺を正当化できるのか? これで世界の世論が納得すると、本当に考えているのか? 最近のイスラエル軍がしていることは、恥の上塗り。罪を重ねて、さらに人の神経を逆なですることばかり。本当にダメの見本です。
恐らく、イスラエルにとって世論操作など眼中になく、やるべきことをやる。それはハマスの幹部、兵士を皆殺しにする、というためだけにやっているのでしょう。ネタニヤフ政権から、証拠を示せと言われて、渋々つくっているとしか感じません。大体、イスラエルは昔からそうで、米国の強い後ろ盾で、国際法を無視しても守られてきたから、この辺りの感覚が完全にズレているのでしょう。しかし今や、米国の若者でさえ反イスラエルを訴える。これは米国の政界ですら、無視できない動きとなっていくでしょう。

ただ、ユダヤ人はそれこそロビー活動、主に政治に食いこんでの活動などをしてきており、今はまだその影響がでていません。ただ、出ていないからこそ、バイデン政権は追いこまれている。古い関係に縛られ、若者がバイデン政権から離れている。でも少しずつ、国連でも拒否権を発動しなくなっており、イスラエルの首に縄をかけられる日は、そう遠くないでしょう。しかしそれまでの間、パレスチナ人は殺されます。
そもそも、もしイスラエルのやり方が赦されるなら、日本も北朝鮮に乗りこんでいって、無関係の民間人を殺しまわってもいい、となります。北朝鮮の男性は、ほとんどが軍に属すので、民間人という定義すら緩い。岸田氏が、国連でそう訴えてみれば大反対が起きるでしょう。それぐらいのことをイスラエルはしているのです。シオン賢者の議定書(プロトコル)、という本が出回り、それまでのユダヤ陰謀論が過熱し、ナチスによる大虐殺へと流れていきます。これでは、ふたたびユダヤ人嫌いが世界に蔓延するでしょう。ユダヤ人は自ら、自分の首を絞めているのと同じです。その稚拙さを赦してきた米国の問題もふくめ、この問題が解決したとき、誰も幸せではいられないのかもしれません。優秀さを謳われてきたユダヤ人、実はシェイクスピアが描いた、シャイロック並みの人でなしだったとしたら、滅びるべきなのでしょうね。


紅白歌合戦のジャニーズ排除と、当事者の会に属する男性の自殺

紅白から、旧ジャニーズ所属のグループの名が消えました。未だに補償が未定で、事務所としての対応が杜撰ですから、企画ものである紅白への出場は控える、と総合的に判断されたのでしょう。旧ジャニーズはドラマの主役、その主題歌と言った形で、販促を行ってきました。それと固定ファン層による売り上げで、CDなども一瞬は売上も伸びた。しかし昔から売上が長続きしない。すぐ消える、というのも定番です。今の配信中心となると、さらに曲の売上も伸びない。薄っぺらくて、何度も聞くに堪えないからです。
そんな中、当事者の会に属していた男性が、遺書をのこして自殺しました。ジャニオタによる誹謗中傷、といった報道もありますが、それを容認していた、抑止する動きをみせなかった旧ジャニーズ事務所の問題も大きい。これまでの、メディアへかけていた圧力と同じ動きを、本来は被害者であるべき相手に向けた。極めて悪質な行為をする、ジャニオタへの見る目も変えるでしょう。狭い世界で、常識と思ってやってきたことが通用しない。そういう社会との隔絶を感じずに、ここまで来てしまったのが不幸なのでしょう。

結局、こうしたことは昨今のホスト狂いとも通じます。推しを押し上げるために、借金をして、身体を売ってまで貢献する。ネットであっても相手を誹謗中傷などすれば、犯罪になると分かっても、それをしてしまう。そういう心理を利用してきたのが、旧ジャニーズです。そしてそれを、今では地下アイドルやホストまで利用する。タガが外れたところは問題視されますが、多かれ少なかれこれは商行為としてつづいてきた。
しかしもう通用しない。だから問題が次々と露呈します。早く気付かないと、ますます旧ジャニーズは追いこまれ、排除、淘汰されるでしょう。ただ、NHKがその代用に、日本よりブラックとも評される韓流アイドルに頼るのは、さらに愚策です。これまでも度々、問題が報じられてきたものの、日本での扱いは小さかった。だから紅白に出場できる、というなら、もう選考過程に問題がある、としか思えません。そういえば、日本の音楽賞レースは忖度、事務所の力、金、など散々に言われてきましたが、改まることなく今に至ります。この際、すべての膿をだすべきでしょう。また新たな犠牲を生む前に…それだけが唯一の弔いです。



大麻グミ問題

合法、というすき間産業で、危険なものをつくって売る。昔から、大麻を合法化、という動きはあって、世界はそちらに向けて動いています。しかしこれは危険な行為です。タバコより安全、という謳い文句ですが、そもそも危険なタバコと比べる時点で誤りですし、タバコを国が認めているから大麻も…というのは論法が異なります。最初から常習性があり、危険なものをそこに目をつぶってら認める必要は一切ありません。
タバコ産業は全米で危険視されはじめた1954年、258都市の488の新聞に、意見広告をだしました。「喫煙者への率直な訴え」とやらがそうで、そうして危険性を曖昧だと認識させ、政策を妨害するロビー活動を行い、何十年にも亘ってタバコを売る口実としてきたのです。そしてこの仕掛け、戦略はよい模範となり、多くの産業が危険なものを安全だと偽って、世界中で売ってきた。大麻とて同じであり、危険性は何も変わりません。タバコという危険なものと比較したところで、安全だと証明されてはいないのです。

しかし世界では取り締まりの困難さから、匙を投げた。法律で縛るから、売ってもいいというお墨付きを与えてしまった。米国は警察官を減らす一方で、罪を罪としない方向となっています。950$以下の窃盗は、微罪として起訴もしない…など、もう治安が終わっている国です。そんな国と、大麻について方針を合わす必要はないでしょう。むしろ、日本も性犯罪に対する起訴はかなり低い割合となっており、治安としては終わっているかもしれない。でも、悪いところを手本に、同じことをする必要は全くないのです。
今回、合成された化学成分ということで、益々危険です。脱法ハーブや合成麻薬と同じ理屈で流通していた。あのときも、成分そのものではなく、化学性などに着目して禁止することで決着したはずですが、基本的には植物の成分、また動物の体内物質そのものでない場合は、食品として流通することを禁止する。それ以外のものは許可性にする、とすればいい。実は、医薬品などとちがって、食品はその縛りがゆるく、色々な成分を混ぜ放題なのです。例えばベンゾフェノンという化学物質は、アメリカ保健局が2018年に発がん性がある、として禁止しました。合成香料の一種で、それを禁止するまで、禁止しても数年間は使用されていた。国民はそれを知ることも、どれぐらい摂取したかも分からないまま、そして危険性を何の通知もされないまま、ひっそりと消えた。こうした化学物質の危険性を、早く国民が認識しないといけません。



クマを殺すな、という人

人間がクマの領域に入った、だの、武器を使って駆除をするなんて卑怯だ、だの、クマを殺すことにクレームを入れる人はトンデモ論を掲げる人が多いようです。そもそも人間は生物としては弱く、本来なら犬でさえ襲われれば死にます。だから道具をつかってきた。動物との距離を保ってきたのです。それがこの一年で狂ったわけではなく、過疎化、猟師の高齢化、などによって少しずつクマの方から人に近づいてきた。人間は恐ろしくないと学習し、また旨い食べ物にありつける、となって境界を越えてきたのです。これまでは互いの領域を守ってきた。それを崩したのは人間の開発ではなく、クマ側の事情ということです。
動物はかわいい、だから殺すな、という理屈には自分がそう、というだけで、れを他者に押しつけることは傲慢であり、他者への思いやりを欠いた行為でしょう。人間は動物を食べないと生きていけない、雑食性の動物です。牛や豚、鶏は殺してよくてクマはダメ、とはなりません。それこそ傲慢な論理です。むしろ野生動物との境をもう一度取り戻すために、人間は怖い存在であると覚えさせなければなりません。

はっきり言って、動物だって植物だって、生きているのです。人間がある種だけ優遇したら、それは自然のバランスを崩し、結果的にその動物も生き残れない。生き物を扱う、という行為に「可愛い」から、など何の理屈にも、理由にもならないのです。むしろこうした抗議により、大切な命を奪う行為を矮小化し、または卑下し、そういう感覚が根付くことの方が問題でしょう。動物と人が互いに住みやすいよう、例えばスギ山にしたことを改め、クヌギやナラといった広葉樹を殖やしていく、それでクマが山に定着してもらう、といった施策につなげることが大切です。そしてきちんと境をつくって互いに共生する、それがベストです。
動物愛護や、自然崇拝のような動きも同様ですが、何ごとも程度問題であって、行き過ぎれば誰も、何も幸せにはなりません。逆にいえば、生き物との付き合い方を知らない人が、そういう主張をするのでしょう。どの動物でもきちんと考え、行動するし、植物とて傷つけられたら化学物質をだして反応するのです。人間が生きる上で、そうした動物が犠牲になることはある程度仕方ない、そうした認識をもって、動物との関係をみていかないといけないのでしょう。


食を考える。

学校給食がピンチ、という話があります。食材の値段が高騰しており、給食を供給する業者が赤字で倒産するケースがでてきたからです。しかし、牛乳のつくり過ぎというとき、学校に納入できなくなった、という話が必ずでてきます。ただ日本は乳糖不耐症の人が多く、本来は健康にあまりよいものではありません。また語られる健康効果も、実は吸収されにくい形であり、それほど高くない。例えばカルシウムなどは牛乳より、他の食品の方がよほど効果あり、とも言われます。また超短時間の高温殺菌をする牛乳は、悪い成分がふくまれるといった指摘もある。低温殺菌乳に変えるか、チーズなどの加工品にすることをお奨めします。
しかし、日本では大きな問題がある食品がまだまだ多い。例えば粉ミルク。完全栄養食などと言われますが、実は乳幼児にとって極めて深刻な問題があります。それはタンパク質の比率が高過ぎる。通常、母乳には7%のタンパク質が含まれます。これは人間の一生からすると、かなり低い比率で、母乳で育てると成長が遅い。一方で、粉ミルクのタンパク質比率は13%前後あります。つまり粉ミルクで育てると、早く成長するのです。「うちの子は早くつかまり立ちできた」「言葉を話した」などというのは、実はこうした影響かもしれない。それは促成栽培と同じで、人間にとってよいことなのか?
 むしろナゼ母乳がそれほど低いタンパク質比率で、幼児期を長くしようとしているのか? きちんと解明する必要もあるのでしょう。

それと逆に、高齢になると体のタンパク質が分解され、肝臓でグルコースに返還され易くなります。つまり老人が痩せて、筋肉も減っていくのはこうした作用によるものです。動かず、また食も細くなったら、益々促進してしまうでしょう。むしろ高齢者ほど、タンパク質をきちんと摂って、健康維持に努めないといけません。こうした、ライフスタイルに応じたバランスを考えながら、食を考える必要もあるのでしょう。
インフレにより、益々食べたいものより、より安く、量の多いものに目がいきがちです。しかし安さには理由があり、そこに添加される物質は本当に安全なのか? 考える機会にしてもよいかもしれません。特に、子供により安全で、食育にも資するものを食べてもらう。そんなことも念頭に置いた方がよいでしょう。こういう時代だからこそ、食について考えることで、人生が明るく、楽しくなるのですから。



日本株の動き

先週、外国人投資家が先物を大量買いしたことが明らかとなり、相場を押し上げる原動力になっています。今週も恐らく、その流れは継続したはずですが、恐らくこれは日本経済が堅調だからではなく、マネーの事情によってそうなった。それは米国で、景気後退が見えてきて利上げ停止、利下げまでの動きとなり、一旦売りを手仕舞おうとした。そしてもう一つ、今週は米国版SQです。マイナーSQなので、本来は清算もなくてスルーするイベントですが、ここ最近はこのマイナーSQにも強いこだわりをもって、取引する主体がある。そのため米国では株の上がりやすい、特異週となっているのです。その動きに失敗し、後半で大きく下げるケースも散見されますが、今月はその動きが功を奏して高値をとった、が実態でしょう。
これはファンダメンタルズや、業績とは関係ない話なので、SQを通過後に例えば4日にでた米国債の格下げといった、マイナスの材料を織りこむことになるのかもしれません。日本では7-9月期のGDPのマイナスもそうです。この2週間ほど、それらを無視してマネーの事情だけで上げてきた。株価が上げると、すぐ「年末高への道筋」という人もいますが、これはそういう話ではありません。実際、年末高になる可能性はありますが、どこの主体も、まだ年末を考えられる時期ではなく、あくまで今週までの事情、ということです。

そもそも、市場がこれだけ緩むと、FRBは再びタカ派発言を強めるでしょう。実質の金利が低下して経済の下支え、むしろインフレ要因になりかねない。経済がそこそこ弱くて、インフレが高止まりする状況は、FRBが最も望まないところです。下手をすれば、12月にもう一回利上げするか、もしくは12月に見送って、来年にはまだ利上げが必要、とのメッセージをだす可能性があります。それほどここもとの弛みが激しいのです。
今年、債券投資家はあまりパフォーマンスがよくない。ずっと間違えていたからです。果たして、来年の今の予想が当たるのかどうか? もし2年つづけて大失敗となったら、ディーラーは総入れ替えされるかもしれません。今の中立金利は正しいのかどうか? という議論とともに、新たな金融環境に適応できる人材への入れ替えです。それは証券投資も同じ。今年の相場は、かなり予想を裏切ってきました。日本では4〜6月の外国人投資家の大幅な買い越しなど、誰も予想できなかった。その一方でここまで先物を売り、この2週間で一気に先物を買い戻す。特に理由は考えられず、マネーの事情でそうなる、というのはもう証券アナリストにとって、理由や理屈を語る上でも薄っぺらい説明にしかならず、語るに落ちる状態でした。

ただ来週以降、外国人投資家もそれほど売り越しに傾いていたわけではなく、今以上の先物の積み上げをすることはないでしょう。来年に向けて、日本経済にもそれほど信がおけない。4月からの上げはバフェット効果などとされましたが、そのバフェット氏は今、手元資金を積み上げている。来年の経済がそれほど堅調だと思っていない、市場に自信がもてないから、そうしています。もしここからもバフェット効果が働くなら、むしろ現金化を急ぐところです。しかしそうなっていないのは、年末に一稼ぎしないと、運用担当者として失格の烙印を押されかねないから。ただその試みも、成功するかどうかはこれからの指標次第です。
米国では予想以上に経済が失速し始め、それがインフレ率を押し下げ、商品市場などに売り圧力となって、それがさらにインフレ期待を下げるとの予想になります。ただ、実際のインフレ期待は下がっておらず、市場との乖離もみられる。株価も、不況時の株高という言葉があるように、金利低下でハイテク株高、というアルゴリズム取引が機能しますが、それが実態に即すかどうかは、依然として不明です。マグニフィセント・セブンとされるGoogle(Alphabet)、Apple、Microsoft、Amazon、Meta、Tesla、Nvidiaが堅調で、指数も好調ですが、逆に言うとそこの期待が高まり過ぎていて、実体との乖離も大き過ぎる。パッシブの運用もここからは来年に向けた仕様に変わります。来週以後、その影響がどう出るのか? ここからはそうした一つ一つを、しっかりと確認して来年以降の戦略を考えるタイミングです。果たして、そのとき年末高と言っていられるのかどうか? それが試される展開がしばらくつづくことになるのでしょうね。


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2023年11月11日

11月2週の動き

年内解散見送り報道

岸田首相が「年内解散を見送る」との方針を、党幹部に伝えたと一斉に報じられました。こんなこと、いう必要もなければ、わざわざ2ヶ月も専権事項に封をする必要もありません。逆に、それを伝えねばならないほど、解散風を吹かせていた、ということ。政権運営どころか、自公の党運営にも支障をきたすから伝えねばならなかった。結局、岸田氏はそれを決断できなかった。閣僚の醜聞や、政策が不人気というばかりでない。通常国会終盤も、内閣改造直後も、そして経済対策をだした後も、『決断できない岸田』が一番、解散ができない要因なのです。博打を打てない、岸田氏の致命的な政治家としての欠陥でもあります。
その醜聞、神田財務副大臣が税金滞納で、4度の差し押さえを受けていた、と文春が報じました。柿沢法務副大臣も同様、所管、担当の副大臣が抱えたトラブル。柿沢氏は公選法違反、神田氏は税金滞納、国民に範をしめすどころではなく、自ら不正に手を止めていた、という不始末です。しかも神田氏は辞職については言葉を濁す。税理士という経歴から「あってはならない」としますが、財務副大臣としては言語道断です。

岸田氏の人を見る目…というより、自民党議員は閣僚になって、身体検査をされると不都合ばかり。これは国民も問題で、自民党というだけで投票し、人をみていない。もう自民党はまともな議員選抜などされておらず、党としての身体検査すらしていない。そもそも自民は企業と繋がり、献金をうけ、そういう利益相反でやってきた党です。そんな党から議員として出馬しよう、なんて人間の底は、見るまでもなく分かるでしょう。今でもタレントとして、TVにでている杉村太蔵氏など、あのレベルで自民から議員になれたのです。今でもそれが変わることなく、質の低い議員がごろごろいて、役がつくとボロがでます。
それは二世、三世の質の低い議員たちが、教育などできるはずもなく、そこに志や能力ではなく、金儲けや売名で議員をめざす人たちが集まるのですから、最早ろくな党ではなくなったのです。それをよくよく踏まえる必要があるのでしょう。そもそも経済は好調、などと市場関係者は語りますが、政治からは真逆のことが喧伝され、岸田氏の会見の後ろには『デフレ完全脱却』なる文字が。インフレで今、国民が困っている、実質賃金は18ヶ月連続でマイナス。いつ景気後退が起きてもおかしくないレベルです。そもそもインフレ、デフレの意味すら理解できているのか? 安倍政権の誤り、過ちを未だに訂正もできず、引きずった挙句、未だにその方向性を間違えたまま、経済対策を優先とか言われても首を傾げざるを得ません。


岸田首相の「一意専心」

経済対策、先送りできない課題に「一意専心」と岸田氏は語りますが、この言葉は「ひたすら」「熱中する様子」です。要するに頑張ります、と述べているに過ぎません。結果は補償されない。そもそもデフレ脱却、などという方向性が正しいのか? そのため円安を生じ、輸入物価を高騰させ、食料品や日用品などの値上げ、内容量の低下などを招き、それを岸田自民が志向しているなら、大間違いといえます。
ライドシェアに賛否別れる、などと報じるところもありますが、今の外国人が無許可で営業する実体を取り締まれないのに、それを解放すれば不正を招くだけでしょう。オーバーツーリズムは問題ですが、だからといって今の状況が永遠につづくはずもなく、そのときタクシー、バスなどの交通機関が壊滅してしまえば、取り戻すのは大変です。下手をすれば、運送の2024年問題のような大問題が生じることでしょう。

日本では頑張ったから評価する、というのがスポーツでは常識ですが、政治の世界は結果がすべてです。政治家が頑張ったからといって、国民が疲弊すれば批判されるし、政治家が怠惰でも、国民が豊かになれば評価されます。岸田氏のいう「一意専心」とは、その意味で何の価値もありません。そもそも少子化はさらにすすみ、その対策も「子育て支援」であって、子を生す方向には大した力がかかっていません。
自民党は伝統的に、少子化を指向しやすい傾向があります。純血主義をかかげる安倍派もそう。純血主義なのに、少子化となれば当然、国民の数が減る。その弊害が今、人手不足という形で顕在化しているのに、未だにその硬い頭が改まりません。安倍政権時代は、高齢者と女性を労働力にすることで補えた。でももうそれすら通用しません。それなのに、未だにまともな対策が出てこない。一意専心ではダメです。結果をださないと、それこそ移民受け入れなどの対策を打たない限り、日本は労働力不足でつぶれます。


日銀、植田総裁の認識

最近、日銀からは「脱デフレに自信」という発言がよく聞かれます。それは2024年、2025年の物価予想が1.9%なのですから、ほぼ目標通り。だったら、さっさとマイナス金利など解除すべきですが、その確認のために春闘などを見たい、とします。しかし春闘の予想も立たない今、1.9%の予想をだしているのですから、それは春闘に関係なく2%近くになる、と述べています。しかし賃上げがそれに達しないようだと、それは悪性インフレが後2年はつづく、ということになり、これはとんでもない景気下押しとなるでしょう。
今はコロナ禍のバラマキ、旅行などに行けず、その分が消費に回っています。しかし個人消費に悪材料がめだつように、実質賃金のマイナスがつづき、国民は余裕がなくなっている。この状態が後2年もつづいたら、本当に大問題です。そこに来て、コロナ禍のゼロゼロ融資の焦げ付き、という問題が表面化しました。当然、経営に不安のあるところに無担保、無利子で貸し付けたので、結果は当然ですが、問題はこんな状態で、貸付の金利が上がっていくと、さらに破綻する企業が増えていくのが確実である点です。

銀行の定期預金の利子が上昇していますが、これは国債の金利と連動するので、1%に近づく10年債に基づきます。そして企業への貸し出しも、こうした国債に連動する。日本は長いこと低金利に据え置いてきたので、企業はそのぬるま湯に慣れ切った。金利が高い時代を知らない経営者も多いでしょう。借り換えのタイミングで、金利の高さで経営難に陥ることも想像できる。植田氏の語る好循環はこの時点で、かなり怪しい話となります。賃金が上がる、というのは企業は固定費が上がることであり、同時に金利負担の上昇に耐えられるのか? むしろその時点で、日本経済が詰んでしまう可能性も高くなるのでしょう。
植田氏にそこまでの深い洞察があるのかどうか? 今は市場関係者のように、楽観をばら撒いておけば問題ない、との認識しかうかがえない。しかし現実は、金利が上昇した世界では企業の資金繰りすら変化し、経済活動全体がシフトチェンジしないといけないのです。そんな中で、賃上げに回す原資が企業にあるのか? 本当に利上げ局面が日本にせまっているのだとすれば、その余裕すら失う企業が多いでしょう。


大阪万博をメキシコが離脱

建設費の高騰とか、相変わらず適当な理由が語られますが、外国勢からみて今の日本は割安。それは建設費とて同様です。それなのに万博のパビリオン出展から、メキシコが離脱するのは、大統領選を前にして政治的な不透明感、という以上に、日本との関係に重点がおかれていない。さらに万博というものの価値すら揺らぐ。今や多くの国が一箇所に出展する、という形式自体が古臭く、効果が薄いのです。
企業サイドも、最近では単独で開催することが多い。それは複数の企業がまとまって、出展する形式だと、自分たちのサイトがとり上げられる機会が少ない。自分たちはこれを訴えたいのに、テーマと違うと目立たない、といった問題があります。今回、大阪万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」ですが、何も最先端技術ばかりが未来社会ではないでしょう。むしろ地球温暖化が、様々なトラブルを引き起こす今、自然との共生を考える機会であってもよいはずでが、そんな形では誰にも注目されずに終わりです。

しかも、ここにきて世界経済には暗雲が漂う。今、絶好調なのは米国だけで、それ以外はかなり悪い状態です。日本企業とて、中国との取引が多いところは業績がかなり悪い。メキシコは米国への依存も高いですが、その米国の経済が、来年失速するという観測もある。今は、無駄な出費を抑える局面です。
日本はメンツと、政治的都合によって開催を強硬しようとしている。東京五輪の強行開催でかなりミソをつけ、今や誰も「やってよかった」とは言わない。国民の負担は取り返せず、安価で済むはずが高額出費を余儀なくされました。さらに電通などによる不正まみれ。万博ももはやそんな不正まみれに終わる可能性がぷんぷん。今後も続々、各国の出展が中止、もしくは規模縮小といった事態が頻発するでしょう。



阪神タイガースの優勝

38年ぶり、とされますが、市場的には歓迎されていません。ナゼなら、1985年はバブルへと向かう入り口だったから。狂乱の時代を予感させ、あまりいいイメージがありません。昨今の市場で、30数年ぶり、などということが話題となりますが、まさにバブルの時代の遺物です。阪神の優勝は、ふたたびそうなる予感しかさせません。関西ダービーとなった今回、オリックスが優勝したら震災復興のよいイメージもあり、市場関係者の中ではそちらを望む人も多かった。果たして、ジンクスが利くのかどうか…?
阪神はかつて、フロントが「優勝するな」と言ったとか、言わないとか。いずれにしろ、昔のプロ野球は親会社の意向が強く、優勝してもらっては困る、が多かった。何しろ優勝なんてしたら、翌年の契約金が跳ね上がるのが目に見えているからです。「ベンチがアホやから…」は有名ですが、勝つ気のないチームが多かったから、巨人のV9が達成できた、という人もいるほどです。しかしその巨人とて、当時の川上監督が査定をしぶり、V9もしたのに契約金が抑えられた。それと同じことをした中日の落合フロントが、中日を弱体化させた、なんて話もありますが、今はそういう時代でもありません。阪神も、電鉄は決して規模は大きくないものの、関西圏で支援をつのって運営される球団で、契約金の問題もないでしょう。

ただ今の日本のプロ野球は、変な話で大リーグ志向の強い選手が、腰かけでプレイしている感じが強くします。大リーグの下請け、といった感じです。大谷選手が活躍する、ということで日本人は大喜びですが、その大谷選手が日本でプレイしたい、と思ってもらえない。いつか戻るときがあるかもしれませんが、力の衰えたときでしょう。全盛期のプレイを国内でみる機会がない。これはある意味、不幸なことです。
野球に限らず、サッカー、ラグビー、バスケ、卓球など、主なスポーツはプロ化されましたが、世界と戦うレベルはごく一部。まだまだこの国は、スポーツを本気で国が支援していく、という姿勢が足りないと感じます。まず企業保有のチーム、というところから考え直さないといけないのかもしれません。阪神タイガース(註:英語表記で複数形の場合、タイガーズが正しいが、チーム表記に随う)やオリックス・バッファローズなど、企業名がまずくるし、そう呼ぶ。それでよいのか? もう一度問い直した方がよいでしょう。


イスラエルによるガザ侵攻

イスラエル側も、自分たちが如何に国際社会から白眼視されているか? 気にするように情報操作を盛んにしています。病院の地下にハマスの拠点が、などといいますが、その証拠は示されません。何の確証もないまま、大量虐殺を敢行しているようなもので、それがさらに反イスラエルを生みます。そもそもハマスによる電撃作戦で、人質をとられたとしますが、人質の安全を考えたら、ふつうは攻撃できません。ふつうでない国、神とやらに依拠した発想で、人質を危険にさらしてでも弱腰にみられることを嫌う国です。
最初に解放された高齢女性のケースで、この女性は「囚われたのは地獄」と語った後、「でも待遇はよかった」と語った。でも後段は多くの場合で割愛され、「地獄」という言葉だけが踊りました。これも情報操作の一環でしょう。ただイスラエルへの配慮というより、米国への配慮。米国が肩入れするイスラエルへの協力、という面が強かったとみています。しかし今、米国でさえ頭を抱えるイスラエルの蛮行です。

露国のプーチン大統領を国際法違反で告発したなら、イスラエルのネタニヤフ首相も同様に、戦争犯罪として糾弾しないと嘘になります。民間人をこれだけ虐殺しておいて、無罪放免は赦されません。しかしただでなくとも、長いこと連立政権が決まらず、混乱をつづけた。ネタニヤフ氏を外すと、さらに混迷を深めるかもしれない。政権の弱体化は、それこそイスラム勢力の付け入る隙になります。米国としては、終結のさせ方すら見通せず、感情論で暴走する今のイスラエルの扱いに、困っているのが現状です。
イスラエルに肩入れする報道は、ある意味リスクとなり得る。なのでここ最近、メディアも控えめな論調で留まります。昔から、イスラエルはやられたら倍返し、などという報復姿勢をもっていた。そんなことを赦してきたから、現状に至ります。太平洋戦争で、日本人の民間人を殺しまくった米国がそんなイスラエルを統制できるか? 同じ穴のムジナだからこそ、首に縄をつけられず、野放しという点が問題です。


トランスジェンダーの手術の要否にかかわる大審院判例

生殖能力を失わせることが、性別変更の要件とする性同一性障害特例法を、最高裁は違憲と判断しました。10月の記事ですが、日本の似非保守層などが騒ぐので、少し記事にしたいと思います。歴史的にみても、同性愛はいつの時代にもあり、例えば戦国大名は「本気の恋は男同士で」というスタンスで、家をのこす、子を生すためだけに女性と…という人が多かった。つまり今、新たに判明した問題ではありません。
お風呂やサウナなどで覗き放題、などという意見もありますが、今や同性だって盗撮するし、学校で女子を盗撮した、などという男子もいます。そもそも男性の心をもつ女子は、身体が同一だから一緒の部屋で着替えをさせていいのか? 女性の心をもつ男子も然り、突き詰めればすべて個室にしないと解決しません。公共の場で、どういう形でそれを証明するか? という問題はあれど、肉体的な形状がその要件だとするなら、確かめるのは相手を脱がすしかないことになります。それでは様々な問題を孕むでしょう。

男性の精巣や、女性の卵巣は、それこそホルモンの供給という点で重要です。だからそれを残したまま、というのは不安があるというのはあるでしょう。ただホルモンが心を代弁しないように、誰にもそれを計る術はありません。肉体的な特徴ではなく、心を正しく評価する仕組みが必要になるのは、必然なのです。
それこそ大阪万博のテーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」なのですから、男女が分かれる社会だけではなく、トランスジェンダーがどう住みやすい社会をつくるか? をデザインしてもよいでしょう。未来は必ずそうなります。今からそれを日本が提案すれば、注目も集まるかもしれません。でも、維新が主導する大阪万博ではまずムリでしょう。未来社会は、絶対にそうした性のグラディエーションを認める時代になります。そうでないと、ますます国は弱体化し、滅びに瀕することにもなるでしょう。



日本の新自由主義の崩壊と、日本取引所の改悪

神田財務官(註:神田財務副大臣とは別人)が、「スタンバイ」発言をしてから、円は対ドルで一旦149円台に下落した後、ふたたび151円台後半に入ってきました。もう完全に日本政府が150円を大きく超えないよう、防衛ラインを布く姿が見えます。市場のことは市場が決める、というのが新自由主義でしたが、安倍政権時代にそれが崩壊し、今や市場をどう当局がコントロールするか? という方に力が傾けられます。
それは日銀も同じ。ETF買いで株式市場に介入してきた。今はほとんど形骸化していますが、未だに日銀はそのETFを保有し、相場下落による評価損の拡大リスクを抱えます。市場に介入し続けてきたところで、今週に日本取引所が、先物取引の、日々の手口情報の公開を取りやめました。その布石はずっとあって、日本株が大きく上下動する要因は、野村とゴールドマンサックス(GS)。野村が先物買いを入れると、日本株は大きく上昇し、逆も然り。つまり相場のボラティリティを大きくする主因がそうなのですが、なぜかメディアはそれを「外国人投資家による売買」と報じてきた。手口情報をみれば、誰にでも分かるはずなのに、メディアがそれを隠してきたので、日本取引所もそれに対応して非公開にしたのです。

当然、今の方が先物の手口情報はすぐに分かるし、情報を公開することで透明化できます。しかしそこを後退させた。むしろ不都合なことが起きたから、変更を余儀なくされたのでしょう。マル政マネーを疑われる案件や、財界の動き。企業買収の流れなど、当日は不明でも、何となく出元の証券会社が分かると、後日ストンとくる話も多い。そんな情報が表沙汰になっていると、色々と横やりも多いはずです。結局、日本取引所もそんな圧力に屈し、情報公開を低下させる、といった市場を後退させる蛮行に至ったのでしょう。
問題は、そのことをほとんどのメディアが報じない。むしろ最初からなかったもの、とでもしたいようです。それは統計データの不正が相次ぎ、数字の信ぴょう性を失った官庁と同じぐらい、問題なのかもしれません。いずれにしろ、日々の取引でデータがとれるのはこの数字だけでした。それを無視して、「外国人投資家が…」などと説明していた人が、これからはどういう説明をするのか? 問題の根の深さもそうですが、この国が情報というものをどう扱っているか? これは非常に危惧すべき事態となるでしょう。



日本株の動き

上記したように、日々の手口を知る術は失われました。今後は、外国人投資家の持ち分比率が大きい銘柄の動き、などでみるしかありませんが、それとて完璧なものではありません。残念ながら、多少は投資主体別売買動向など、1週間遅れのデータで考察するしかなくなります。さてこの1週間は、SQに絡む取引で上下動しましたが、恐らくそこには野村、GSも絡んでいたでしょう。まさにSQに絡み、9日までは日経225が強く、TOPIXが弱く、10日はその逆になりました。10日の始値でSQに決着がついた後、TOPIXを買い戻した。10日はSBGの大幅安もありましたが、日経225に対するこだわりが少なくなったようです。
最近、売買高、売買代金が伸びていますが、売買高はNTT、売買代金はレーザーテックが大きく押し上げており、必ずしも売買が活況なわけではありません。突出したこの1社ずつの回転売買。今日は赤字決算を発表したSBGの売買が活況でしたが、それでもレーザーテックはその3倍の売買代金があります。売買代金2位のSBGで、これですから、他の売買は決して活況ではないのです。1社で全体の10分の1の売買代金となっているレーザーテック。仕手…とは言いませんが、もう業種とか、そういうレベルでこの株は売買されていません。上がるも八卦、下がるも八卦、要するに値動きで儲けたい主体による売買となっています。

日本企業の業績も、円安効果と半導体不足の解消で、自動車業界が大きく押し上げていますが、それ以外は相対的にあまり業績がよくありません。来年は半導体市場が反転…といったことも、今はまだ単なる期待。市場関係者が喧伝してきた結果とは、ほど遠い内容です。為替とて、SBGが為替差損を計上するように、海外で資金調達を増やしたところは、為替差損や金利上昇による利払い費の負担が重くなります。今年ばかりでなく、これは来年も重い負担となるでしょう。日本企業が海外で活動する拠点が増えたことで、その国で資金調達するようになり、企業の財務状況は複雑化し、不透明感が強くなりました。
日本では、来年は新NISAが解禁されるので、市場が好調という人がいます。しかし新NISAを利用したい、という人がどれぐらいいるのか? その数字さえ示さなければ、ただの絵空事です。そもそも拡大枠をいっぱいまで使う人は少ないでしょう。以前も指摘した通り、税金がかからずとも、相場が下落してしまえば投資としては失敗、マイナスです。日本では投資信託など、あまり収益を上げられておらず、それが市場からの個人投資家離れを起こす。稼ぐ手段ではない、と認識する人が増える原因です。そこにきて上記の通り、情報公開さえ後退させる。いくらNISAは運用お任せ、といったところでこんな市場に資金をおいておきたい、と考えるおめでたい人ぐらいしか、新規資金を投資に回す人もいないはずです。


日本の根本問題

私もよく親族から相談されますが、新NISAなどは、ハッキリ言って儲かるか、儲からないかは賭けです。だから生活に余裕があって、お金を貯蓄にまわす分があるなら、様子をみて試すのはいいかもしれません。でも、今のNISAの枠をすべてつかってまで、投資するのはやめておいた方がいい。それはもう投資を資産運用ではなく、博打に賭けるようなものです。当たり外れで後悔することもある。正直、そう答えています。
日本自体、成長もしていなければ、企業が大きく業績を伸ばしているわけでもない。企業、業種によっては大きく跳ねる機会もありますが、それを捕まえることはNISAなどの運用ではムリです。日々、中短期の値動きを追える人で、その機会をつかむことができる人だけが波に乗れます。つまり相場が跳ねても、偶々運よくそうした企業、業種に投資していれば当たり、不祥事や倒産つづきで、外れの業種をつかむとマイナスまであり得るのです。今の日本企業、不祥事つづきで安心できるようなところはほとんどありません。

検査不正、保険業界による問題、情報漏洩といったトラブルも多い。自動車業界とて、来年は今年の特需が消えますし、EVで出遅れ、この先の展望は見通せません。インバウンドもいつまで続いてくれるやら…。つまり今が特需で、来年はそれが剥落するのでは? という懸念。国内で成長が期待できないため、下支え要因がないのです。インフレで、お金の価値が下がるから…といっても、その価値が下がる通貨とて、もっているからそう感じるのであって、投資に失敗して手元からなくなってしまっては元も子もありません。
以前も指摘したことがありますが、日本のインフレはただの見せ掛けです。米国は不動産価格、家賃が上昇するので、それがインフレ率を押し上げる内需主導ですが、日本は輸入物価の押し上げです。日本の不動産価格は、時間経過とともに下がる。家賃も築年数が長くなると下がる。だからインフレにならず、デフレ傾向なのです。そうした国の態様が異なるのに、米国と同じ2%を目指すこと、自体が完全な間違いなのです。それなのに、「デフレ完全脱却」などを岸田政権が掲げ、日銀が誤った認識でデフレ脱却に自信をもつこと、それが日本の最大の弱点です。日本社会で、もしインフレ率が2%で定着すれば、そのときは景気が見る影もないほど失速しているでしょう。日本の気候は、湿気が多くて木造には厳しい。だからスクラップ&ビルドでいくしかない。それはインフレになりにくい構造、ということなのです。

いい加減、安倍政権時代の間違い、2%の物価目標というのを取り下げないと、日本はインフレによって潰れます。新自由主義を完全に放棄した日本に、今はまだ白い目が向けられているわけではありませんが、そのうち厳しい目が向くでしょう。そもそも2%なんて数字に、意味があるのかどうかも不明です。官庁の統計データ不正もそうですが、日本の掲げる数字への不信。こうしたことを一つ一つ正していかないと、日本は急激に凋落することになりかねず、それが岸田自民では改善する見込みなし、となるのが残念なのです。岸田氏には一意専心ではなく、一新するぐらいの気概がないと結局は詰み、総裁選で敗北するか、その前に解散の手をうてば選挙で大敗北、という結果にしかならないのでしょうね。

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2023年11月03日

10月5週の動き

岸田自民の減税と景気対策

いつもより1日早いですが、三連休前に記事を上げます。4万円の所得税、住民税減税を柱とする財政支出21.8兆円、事業規模37.4兆円とされる経済対策を発表しました。物価高対策に2.7兆円、地方の成長実現に1.3兆円、投資促進に3.4兆円、少子化対策1.3兆円、国土強靭化に4.3兆円。と細かくみていくと、実に総花的。しかも、これまでと対して変わりない。「デフレ完全脱却」も掲げますが、今の物価高対策を終えると、来年は今の原油相場などが水準を維持しても、来年はインフレ昂進です。基準が上がるので、今と同じ水準ならインフレ率も下がることになりますが、あくまで「今と同じ水準なら」。今より円安なら…。
しかも、この景気対策の効果がでるのが来年春以降なので、そのときにこのバラマキがインフレ要因です。今、インフレで国民が困っているのに、来年はさらにインフレが見えると、マインドはかなり低下するでしょう。一過性の4万円の減税程度で、それは埋められません。賃上げ期待などという話もでていますが、例えばトヨタ。過去最高の売上高、営業利益などの見通しを発表していますが、円安で1兆円以上、半導体不足でバックオーダーだった分を捌いた国内が強かった。いわば特需です。米中をはじめ、EVシフトの遅れが鮮明で、来年の賃上げなどしていられるか? むしろ国内より、米国で賃上げをしないと、UAWの労使交渉の妥結で、米系自動車メーカーの待遇はかなり改善されたので、トヨタなどの日系も米国で賃上げしないと、労働者が転職するなど、大変なことになります。国内で賃上げする余裕があるのかどうか?

半導体産業とて、来年は復活…という認識が多いですが、本当か? 明らかに中国関連の企業は悪くて、それは世界中の企業でも同様でしょう。むしろ中国発のクレジットリスクが懸念され、世界中が戦々恐々です。今、ぬるま湯ともされる経済ですが、中国発の氷風呂が、世界の過熱を冷やしている状態で、その綱引きが崩れたときは大変です。日本企業が早々賃上げできる環境ではないでしょう。しかもインフレで、国内消費が低迷すると、中小企業はかなり苦しい。海外に収益源をもつ大企業とは事情が異なります。
コロナ前、コロナ禍、そして今はコロナ後ですが、最初に指摘した通り、この経済対策は一貫して掲げる項目が同じ。中身は変わっていない。ということは、時代、状況の変化についていけていない。ハッキリ言って、今は様々な不安要因があれど、すべてのものが高くなっていて、もしその不安が顕在化したとき、市場や価格が大きく崩れて、とんでもない深刻な影響がでることも考えられます。リスク対応型ですらない岸田政権。むしろ自民党内では、無能で怠惰、ここ数年を何もせずに無風で政権運営してくれればありがたい、との声すらある。しかしそれでは、この難局を迎えて心許ない限りと言えるのでしょう。



岸田自民と公選法違反

江東区長選挙で、自民の柿沢未途議員が法務副大臣を辞任しました。有料動画での選挙戦を、柿沢氏が指導した。撮影場所も議員会館、という明確な公選法違反を、法務副大臣が行ったのですから深刻です。遵法意識の欠如どころか、犯罪者を法務副大臣に据えてしまった。4月に柿沢氏が公選法違反を犯し、9月の内閣改造で法務副大臣ですから、これは岸田首相の問題でもあります。知らなかった、では済みません。
恐らく、柿沢氏は21年の衆院選では野党系で、地元の自民都連との折り合いが悪かった。自民に移った後も居心地が悪かったでしょう。だから地元に子飼いの区長をおきたかった。そんな思惑から、違法な手段に手を染めた、とみられます。しかしこれは議員辞職をするしかないでしょう。仮に司法判断を待って…などとしても、有権者からは白眼視されますし、まず自民は離党でしょう。色々なものを裏切った挙句、自分自身すら裏切ってあくどいことに手を染めたのですから、早々に自ら幕をひくしかないのでしょう。


増税メガネか? 増税くそメガネか?

テレ東の滝田キャスターは「増税に文句を言っていた人が、減税に文句をいうのはおかしい」との暴論を吐きまくっていますが、岸田氏に増税のイメージがついたのは、何も消費税や所得税が増えて、ウハウハだったからではありません。防衛増税や、少子化対策などで増税を打ちだしたから、です。一過性の減税では、その後倍の増税が待つ。恒久減税、もしくは時限付きでない減税でないと、増税メガネのままです。
サラリーマンが長く勤めると、退職金への課税が優遇される制度を見直そうとしたところ、評判が悪くて撤回となりました。しかしこれなど、そもそもそれが優遇ではなく、短く勤めた人でも退職金への課税を低く抑えないといけません。なぜなら、日本では将来不安が強くて、それが運用に回せない理由の一つでもあるからです。少し前に2000万円不足、といったことも話題になりましたが、今の退職金では一般のサラリーマンでは足りないのです。優遇されてこれですから、優遇されない人はもっと将来不安が強くなります。

これは働き方改革、転職促進という面があったのですから、むしろ優遇を拡張して、それを恒久としなければならなかった。岸田氏はこの辺りの考え方が、完全に官僚の言いなりで自分で考えている感じがない。官僚は税収が増えて、自分たちがつかえるお金が増えることを指向し、それを政治にも訴えます。それを丸々採用している感じしかしない。少し考えれば分かるはずなのに考えていない、だから増税メガネです。
これを変えたければ、自分で考えて国民の意思を感じとらないといけないでしょう。小泉氏や安倍氏は、国民の声ではなく自分の声を興奮気味に語り、一部の支持者の熱狂的な支持で、それを政権の力に変えていた。その傾向が岸田氏のパーソナルにはない。だから支持率も低く、また淡々と国会答弁を語る姿も頼りなく映る。間違っていても、適当でも、小泉氏ははっきりと語った。安倍氏は口をもごもごさせながら、質問には真っ直ぐ答えず、敵視した相手を罵る言葉に変えていた。善悪、好悪はあっても、それが支持者にはうけたのです。言葉は悪いですが、バカを騙すにはうまい手法です。岸田氏にはそれがないし、むしろ小泉、安倍支持者のウケも悪い。なので、過去の自民支持者まで増税くそメガネ、と揶揄します。かつての仲間、身内の方が口も悪くなる。最初から期待していない側と、そうでない側の差でしょう。



日銀の『目途』

日銀が31日の金融政策決定会合でYCC、マイナス金利を維持しつつ、1%を上限としていた長期金利を『目途』に変えました。上限に接近することで、不規則な動きを招きたくなかった、が真相のようですが、だったら最初から上限などなかった、ということです。植田総裁は「想定外の米金利上昇」を、3ヶ月で政策修正に迫られた要因、としますが、むしろFRBの動きはここ2回で現状維持であって、それを7月の段階で見抜けなかったのは、もう見通しすら語るのがおこがましいレベル。しかも市場は利下げ期待をふくらませ、金利を低く誘導していたのであって、そんな市場の淡い期待に依存していたことになります。
一応、日銀はこれで介入するタイミングのフリーハンドを得た形ですが、逆に金融機関は困ったことになりました。三菱UFJ銀などが、定期預金の金利を0.2%と、100倍にすると発表していますが、日銀がどこで介入するかによって、利子を低く抑えないといけない。一方で、貸し出しは1%を大きく超えなければならず、これは企業の資金繰り、住宅ローンなどに影響します。意外と難しい判断が迫られることになります。

金融機関は金利収入が増える、などと市場は考えがちですが、国債は簿価がみとめられているため、金利上昇による隠れ債務がふくらみます。よく「国債を償還までもっていれば簿価で買い取ってくれるので、負債でない」という人がいますが、そんな運用は死に金です。それこそ塩漬け、国債を購入してしまい、金利が上昇…つまり価額が下がったらずっと売れない、動かせないことになり、そんな運用は金融機関失格です。米国でも、金融株のパフォーマンスが悪いのは、この不透明感が払しょくできないから。金利収入が増えて増収、などと言われても、隠れ負債の存在を知る人にとっては嬉しくない話です。
しかし今回、はっきりしたことはYCC、マイナス金利ともども済し崩すことが、日銀の基本路線だということ。10年債を0%に誘導する、といっておきながら、1%越えで貼りついていたら、いずれ撤廃したときに「実体に近づけただけ」という話になる。YCCを終わらせるにはそれしかありませんが、問題はその間もインフレが昂進しつづけ、0%維持が限界を迎えたときです。速度違反の引き締めとなり、実体経済への影響も大きくなるでしょう。金融機関は上記したように、すでに悩みはじめた。今後はゼロ金利に慣れた、中小企業の借り換え、もしくは新規の資金調達で、この金利に耐えられるか? が試される形になります。



FOMCは現状維持

2日未明に発表されたFOMCは現状維持でした。パウエルFRB議長は「利下げは全く考えていない」と発言したにも関わらず、市場は来年の利下げをみこむ動きとなっています。これは昨今の市場の主流である「優しいFRBは、きっと私たちのいうことを聞いてくれる」という安易な考えに基づきます。ここ数ヶ月、それが裏切られ続けたにも関わらず、もうこの考えは金余りの中で、消えることはないのでしょう。
先週はECBが利上げを停止、これも利下げはまだ考えていない、という発表でしたが、世界はもう利下げ局面を意識しはじめています。米国の景気は絶好調、ただインフレ率は低下しており、もう利上げは必要ない、という発想です。しかし賃金は未だ調査によっては5%を超える。過去最低などといっても、実質では賃上げが上まわっている現状で、個人の預金、余剰資金が下がったからといって、今の米国のディマンドプル型のインフレが止まることはないでしょう。何より、個人資産という面ではまだまだ高水準です。

そこに、来年の統計にはUAWの労使交渉の結果がのってくる。賃金インフレが加速する怖れがあります。今の市場は、そこを見ていない。だからインフレは低下し、来年は利下げという。恐らくこのUAWの成功をみて、他の労組も賃上げ交渉をより加速させるでしょう。その綱引きがどう決着するかによっては、来年はさらにインフレに悩まされることになるでしょう。今はその現実がみえていないから好感できます。
もし本当に、来年半導体産業が盛り上がるなら、インフレも加速しているでしょう。むしろそこがコストプッシュ要因になるからです。むしろ今、半導体市場が低迷していて、インフレは下押ししているから、この程度です。産業の肥やし、ともされる今の半導体市場の動向は、来年の金融政策にも影響する。今の世界は、来年は半導体市場が反転、インフレ低下で利下げ、を同時に追っているので、どういう結果になっても、その通りにはならないでしょう。二兎を追うどころか、矛盾を追っていることになるのですから。



ジャパンモビリティショー

かつて東京モーターショーとされていたものが、名称を変更されました。しかし日本勢のEV出遅れを肌で感じるもので、何とも憂鬱な気分にさせられます。トヨタの決算は上記した通り、過去最高だけれど、ここから下り坂を意識させます。特に、国内勢は内燃機関と、EVとの二本立てになる。両者で共有できるボディ、システムなどを開発しないと、コスト高が付きまといます。早く全車EV化といった欧州系の流れにつかないといけませんが、特にトヨタなど、燃料電池車など全方位開発を謳っている。モノになればよいですが、どれも中途半端では目も当てられません。EV専業メーカーと戦う前から敗北しています。
しかしEVも注意しないといけないのは、ボディ一体型のバッテリーの場合、今のリチウム電池では8年程度が寿命とされ、そのたびにバッテリーの載せ替えは大規模な改修になります。またそうしたEVはバッテリーを載せ替える技術が必要で、販売するメーカーでないと引き取りできないかもしれず、中古で気軽に売れなくなります。また日本メーカーがチャデモ方式に拘ると、充電設備もテスラ方式と二系統必要で、そうした面でも気軽に買えるものではありません。そうした方針も、このショーでは示されませんでした。

日本では双方向の充放電を規格としますが、海外では住宅設備のバッテリーは別、という判断です。テスラも車だけでなく、住宅用のバッテリーを売る。そのため急速充電ができます。日本の方向性が完全に間違えていて、今修正しないと手遅れになる。そういう危機感が足りません。日本の自動車メーカーが、ここがピークでこれから衰退、では困るのです。今はその道に一直線、それを確かめるのが、このショーです。
燃料電池車を普及させたいなら、水素ステーションを維持できるぐらいの販売数量を確保しないといけない。トヨタだけが開発して、済む話ではないのです。もし本気なら、技術を広く公開して海外メーカーを巻き込むしかないでしょう。まるで、ビデオ戦争のソニーのベータを見るようです。VHSの技術を広く公開したことで、技術的に優れる、とされたベータが駆逐された。今のトヨタの燃料電池車の開発は、ソニーと同じ轍を踏もうとしています。トヨタ株が上昇していますが、この辺りの戦略がみえない限り、将来的な買いではありません。形がおかしな、未来的デザインとやらのEVをいっぱい展示されても、うんざりします。空力特性を考えると、全然実用的でない。つまり市販されない。日本メーカーはもう一度、考え直すべきでしょう。実用車をお披露目するBYDなどが目立ってしまう現実、このままでは負け戦です。



為替介入はスタンバイ?

神田財務官による「スタンバイ」発言。しかし愚かなのは、10月月初、介入なしと財務省の発表もありましたが、もしそうなら数分で2円以上円高に動いたときは「コミットなし」で、一日かけて2円近く円安に動いたときは「ファンダメンタルズに即した動きではない」という。どちらが「ファンダメンタルズに即していない」かは、論を待ちません。むしろ月初の動きで、きちんとコミットしておいた方が、ここでの介入に正当性がもてたのです。結局、円安になることが嫌だ、と言っているのと同じになっています。
株式など、3%動くのは年に何回かあります。為替だけが、そうした動きが起きないわけではない。150円の3%は4.5円です。ファンダメンタルズに則っているからといって、政策、要人発言次第ではそれぐらい動くのが当然なのです。神田財務官の発言は、日本は「新自由主義を捨てた」というのと同じです。つまり、市場のことは市場が決める。ここ数十年の大きな流れを、明確に否定し、市場をコントロールする、ということです。それが是なのか、非なのか、分かりませんが、ただ一つ言えるのは代償を払うことになる。

すでに、日銀の介入に備えてヘッジファンドもスタンバイです。つまり、その動きに応じて利益を得る。その生贄にされるのは、個人投資家です。アルゴリズム取引には、すでにその仕掛けが仕込み済み。四六時中モニタに貼りついているわけにはいかない個人は、不測の動きが起きてあたふたする暇もなく、大損を被る人もでてくるでしょう。財務省や日銀がやろうとしていることは、そういうこと。これでよく「貯蓄から投資へ」を謳っています。むしろ為替投資をする人に、つらい試練を与えて撤退させようとしているのでは? とすら勘ぐれます。これでは日本で個人投資家など、育つはずがありません。
大切なことは、市場は間違える。それは急激な動きによって判明することではない。むしろ間違いを修正するとき、急激な動きが起きるのです。景気が悪いときに、説明もつかない株高になっていたらそれを修正する動きが一気に起きる。逆も然り、です。為替も同じで、今の円安が行き過ぎ、というなら、修正する動きが一気に起きるでしょう。昨年の秋のように…。でも今は昨秋とはちがう。もし本当に、米国で利下げが来年にもはじまるなら、円高に動いてもよさそうですが、そうはなっていない。これが間違いなら、急速に円高へと動くでしょう。そのとき、財務省・日銀は「急激な動き」として動けるのか? すでにもう、そんなことすら議論はされておらず、ただ円安阻止でだけ動くのなら、後に大きなしっぺ返しを食らうでしょう。むしろ、日本の凋落がスタンバイであるかのように…。大きな円安の動きを引き起こすのかもしれません。それはファンダメンタルズに基づく、円の実効為替レートとして現れるでしょう。



日本株の動き

今週は、31日がゴールドマンサックス(GS)と、野村のワンツーで大きな上昇を演じました。1日はGSのTOPIX大幅買い越しがさく裂した。やや買い越し、とみられるGSですから、これは日銀の引き締め策が想定よりハトだった、という話ではない。買い方が、ここで市場を上にひっぱり上げておいて、年末高を創出したい、といったところが実態でしょう。10月月末、11月月初の売買も絡んでおり、2日にはその買いが止まる一方で、半導体という材料でもないところが上昇した。いわゆるポジションの組み換えです。
しかしFOMCを経て、勝手に市場が来年の利下げを織り込み始めたので、その効果がでているうちは上昇しやすい。しかしこれはただのカン違い、その虚を修正するのがいつか? を探ることになります。相場は悲観と楽観をくり返します。米株は7月のダウ35000$台からの調整局面が、もう終わりという観測とも重なっています。むしろ、だからカン違いで利回りを低下させ、株高という楽観局面に移行した、といえます。
では、これが数ヶ月つづくか? というと疑問でしょう。CPIやその他の指標で、インフレ昂進を示唆するものがあると、カン違いが修正される。米国はこれまでもソフトランディングなどの期待を乗せてきました。しかし未だランディングはしておらず、その意味では予想が当たるか、外れるかは未だ不明です。今回も、来年は利下げというならそれはソフトランディングではなく、かなりの景気下押し、もしくはインフレだけが自然と低下する、という不可解な事象によるものでしょう。結局、当たるも、当たらぬも八卦です。

日本株は米株の動きをトレースします。これを主体性がない、という人もいますが、逆に日本独自の上げ材料がない。今、日本の7-9月期はマイナス成長という予想もあります。だから景気対策にも正当性がでてきます。4--6月期には需給が改善しましたが、ここもマイナスに沈む。逆に、そうでないと景気対策をする必然性がありません。むしろ、こういうシナリオだから4-6月期を高くみせかけ、7-9月期の補正に合わせて景気を少し悪くみせる、という指標の操作を、官僚が志向しやすい、という言い方すらできるでしょう。
恐らく今週の上昇に野村が一枚噛んだのも、景気対策がでてきたときに株高でないと…というマル政の動きにも思えます。しかしインフレ下のこれだけの大型景気対策は、何を引き起こすかも未知数です。ここで楽観に転じたのか? 相場の動きはしばらく思惑で動くことになり、ただ上への動きはそう長くはつづかないでしょう。元々が調整局面の、修正で嘘からはじまるから。年末をどの水準でとってくるか? ただ今は、少し不透明になってきました。日本株はむしろ、日経平均の3万円より、TOPIXの2200ptできれいにタッチし、切り返したように今はTOPIXをベースに考えた方がよいのかもしれません。市場占有率…むしろ相場の方向性を決定する力をもつGS、野村の2社の腹がよくみえないうちは、安易な上昇、下落に付き合うと、それこそ手痛いしっぺ返しを食らうことになりかねない、と考えておく方が間違いないのでしょうね。

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2023年10月28日

10月4週の動き

岸田首相の「経済、経済、経済」

臨時国会の岸田首相による所信表明演説、連呼という変わった形が注目を集めます。しかし中身はない話。安倍政権で外相だった岸田氏は、経済のことを知らないから安倍ノミクスに同意し、閣僚として強力していたはず。その安倍ノミクスの目指していた世界、インフレが実現し、国民が困っている。その立て直しを、インフレを推奨してきた人間たちが行おうとしている、うまくいくはずがありません。未だに東大の渡辺教授など、「インフレの好循環」と語りますが、インフレにしろ経済の一つの態様、と考える私などにとっては好循環も悪循環もなく、ただ様々な条件次第ではインフレになったり、デフレになったり、です。
岸田氏は「供給力の強化」「国民への還元」を二本柱としますが、まず「供給力」は、安倍ノミクスで海外移転をすすめた。その結果、円安で国民はより高いものを買わされる。それを今から国内に生産拠点をすすめるか? そんなことにはなりません。いくら円安で人件費が安くみえても、です。資源の調達のし易さ、治安、安保、内政、総合的にみて今の日本に魅力がない。より安いところでつくり、価格を下げてきた。そのデフレ構造が終わった途端、実質賃金のマイナスという景気悪化効果のもっとも高い状況に陥った。日本の富は海外へと放出され、もっとも重要な消費が目減りする未来がみえるような国に、投資はできません。

経済安保を達成した企業に減税などの特典、といった話もありますが、それなら真っ先に農水畜産業でしょう。しかし岸田政権は半導体やら、産業に注力します。何が経済安保か? という定義も曖昧で、単なる財界にとって都合よい制度にしかならないでしょう。自民党の経済政策はずっとそう。そこで国民の怒りが高まると、給付、減税といった付け焼刃をうちだしますが、恒久ではなく、あくまでご機嫌伺い程度。経済が何も分かっていないから、ここまでの日本の苦境、凋落という事態になりました。あまり大きな記事で扱われませんが、IMFの予測で日本は独国に抜かれ、世界4位になる。今経済は大苦境中の独国に、です。
いくら円安の所為、といってみたところで、その円安をここ10年以上ずっと日本は志向してきた。インフレにするため、輸出で稼ぐため、です。本来、その間に国力が増大し、円安に負けない成長をしなければいけなかった。それが達成できないから、円安の効果だけ残って独国に抜かれるのです。岸田氏も自民党政調として、それを主導してきた張本人です。経済とは経世済民、本来は政治のことであり、世を治めて民を救う。今さら供給力だの、増税分を還元したりだの、それで経済を語るのはおこがましいレベルです。



補選1勝1敗の功罪

長崎4区衆院補選は、自民新人の金子氏が僅差で勝利。徳島高知の参院補選は、無所属で野党支援の広田氏が大差で勝利となりました。注目は、両選挙区とも投票率が極端に低くなったこと。通常、投票率が下がると与党に有利です。浮動票が動かなかった、と判断できるからですが、今回は野党に追い風が吹いている。要するに自民がほこってきた基礎票の崩れ、というのが顕著なのです。確かに徳島高知は、与党議員の暴力による辞職、といった逆風があるとはいえ、岩盤といわれた長崎でも保守分裂ではありましたが、かなり追い込まれた。そもそも、最近では保守分裂、中央と地方の対立、など自民では日常茶飯事です。
実は、今回の4万円減税や、非課税世帯への7万円給付などは地方への負担もささやかれ、地方の評判も悪い。よく米共和党の保守強硬派、いわゆるトランプ派と、中道穏健派との対立も記事になりますが、自民内の対立も深刻です。それは安倍派、いわゆる統一教会系議員が増えて、幅を利かせているのが面白くない。逆に、自民の数が増え過ぎて、統制がとれなくなっているのが現状であり、保守のわがままぶりもそれを加速させている。未だに安倍ノミクスを否定するのを嫌がる、といった行動もその一つと言えます。

ここにきて、選挙期間中の木原防衛相による「自民候補の応援は自衛隊に報いる」発言が、特に悪質さを意識させます。論理が破綻していますが、自分たちこそ日本を守る、という意識が先走ったエリート主義。それは人の本質の問題であり、政策や能力以上に、政治家として大きな欠点といえます。茂木派ですが、安倍派に近い政策、思想を掲げており、同じ穴のムジナが、同じような行動と態度、といったところです。
盛山文科相も統一教会と関係が…といったところで、自民党では誰がどうなっても統一教会の息がかかっている。ただ、それなりに濃く息のかかった人を当てた、という印象です。岸田派なので、まだ岸田氏が統一教会をコントロールするぞ、との意思にも見えますが、そうなると逆に、岸田氏は板挟み状態となり、自分ガーの岸田氏がしゃしゃりでて結果的に自分がおいこまれる、といういつものパターンになりそうです。

衆院解散が取り沙汰されますが、年内にできなければ恐らく、岸田氏は追いこまれて来年の総裁選の前、という形が考えられます。支持率回復は世界的な大異変でもない限り、望めないでしょう。減税や景気対策の効果、といってみたところで、そんなもので支持率が上がるのなら世話がないのであって、それ以上に賃上げがインフレに追いつかず、実質賃金のマイナスがつづくと、国民の怨嗟は岸田政権に向かいます。よせばいいのに、自分たちで「賃上げ実現」と、本来企業がすべきことを口走っているからです。
この補選の基礎票の崩れは、岸田氏も気にするところでしょう。その一部に、馬車馬のように集票、選挙協力に動いてくれていた統一教会離れ、といった可能性もある。野党には期待していないけれど、それ以上に自民への失望が影響すると、これは長引きます。安倍ノミクスが不評なのに、その安倍ノミクスを見直そうとすると、反対の大合唱となる安倍派。それは空気を読まないトランプ氏と似るものです。



安倍系雑誌の動き

偶々、今週は安倍系雑誌2誌と、文春、新潮の2誌の新聞広告を掲載する日が重なり、そのレベルの違いに驚く人も多かったでしょう。元々がオピニオン誌の体裁ですが、子供が騒いでいるかのような見出しです。その中で、岸田首相には上から目線でお説教、という体。これが統一教会の動きに影響を与えている面もあるでしょう。日本保守党、なんていって百田氏は喜んでいますが、安倍亡き後の統一教会系が加わり、いつものメンバーが参加するだけのつまらない団体です。やること、実力、いずれにしろ高がしれます。
減税日本、という名古屋ローカル政党の代表が連携を表明しますが、愛知県知事のリコール問題でミソをつけた連中、との認識も広がる。いつも強気のくせに、都合悪くなると逃げ回り、かっこ悪いことになるのは日常茶飯事。その代表格である維新が、未だに距離をおくのも統一教会の動きが読めないからでしょう。もし仮に、日本保守党とやらが国政進出へと舵を切ったとき、全国政党を狙う維新にとっては競争相手になりかねません。日本保守党が大きく、力をつけてもらっても困るし、今は様子見なのでしょう。

米国の統一教会は、トランプ氏を担いでいたことでも分かるように、ユダヤ人、およびキリスト教原理主義と近い。だからイスラエル支持のようですが、これも世界の流れと乖離する動きです。一般市民、子供を虐殺するイスラエルは、今や悪。いくらテロリストが潜んでいるからといって、許されない犯罪です。元々、ヘイトや他人の迷惑を顧みない傾向ですが、人権意識の低さはこんなところにも見え隠れします。
少し前は、高橋洋一氏など安倍ノミクスを支えた経済学者? が記事をだしていましたが、今や高橋氏すら登場しなくなった。裏では安倍ノミクスは失敗だった…と感じつつあるのでしょう。むしろイスラエルなどへの態度をみると、米国のポチ、逆らうこともできずに尻尾をふるばかり、と揶揄された安倍氏と同様の、米国追従の論調をとるなら、日本保守党どころか日本ポチ党と名乗った方が、名は体を表すのかもしれません。残念ながら、こうした集団はより先鋭的で、声が大きいのでよく目立ちますが、そんな数が多いわけではない。でも、それこそ日本を動かすためならなりふり構わず、中央へと喰い込もうとする野心、野望だけは強いので、こうした集団はよく監視しておかないといけないことはしばらく続きそうです。



第三次世界大戦は始まっているのか?

もうすでに始まっている、と語る識者もいます。ロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナなどが目立ちますが、アフリカなどでは政権がバタバタとクーデターで倒れ、安定とはほど遠い。シリアも今や話題にもなりませんが、内戦状態ですし、スーダンやリビアを始め、内乱に近い状態の国は山ほどあります。
ワグネルの暗躍、といった話もありますが、好景気に浮かれた先進国、経済が安定していた中露などが、兵器を大量生産した。その処分に困ったので、兵器を消費する場を求め、かつ政権を自分たち寄りにしたい、という思惑も重なっている。残念なことにこの傾向はつづくのでしょう。露国は兵器が不足、といった話はあっても、未だに戦闘を継続できているのは、今や北朝鮮やイランなど、第三国が補ってくれるからです。逆にいうと、兵器生産国が先進国から、第三国に移っているからこそアフリカの混乱があります。

問題は、先進国同士の戦争はない、という思い込みがいつ破られるか? むしろ思い込みはいつも裏切られてきた。先進国に高インフレは起こらない、といった思い込みもここ数年、あっさりと覆されました。第三次世界大戦はすでに始まっているのでしょう。ただし、それが局地戦で終わるのか? 先進国同士も巻き込むのか? 今のイスラエルとの距離を一瞬、間違えたようにみえる米国が今後、どうするのか?
それ次第では、米国はもっと中東へのコミットメントを増やさなければいけませんし、巻き込まれる恐れは強まるでしょう。中国とて、一帯一路で莫大に増えた借金を、新興国が反故にしようとした時、軍事的な緊張を高める場面がでてくるかもしれない。中台有事より、そちらの方が近未来に起きる可能性が高いぐらいです。局地戦だったものが、裏で手をむすび、勢力図が別れてくると世界大戦へと発展することになります。そんな未来は誰も望みませんが、そのトリガーをひくのは景気の失速という、歴史のくり返しの懸念もあります。中国など、その点では一番危ないのであって、要注意ではあるのでしょう。



地上波の免許更新

総務省が、キー局への地上波の免許を5年更新という報道が昨日ありました。ジャニーズ問題の検証もしておらず、性加害への加担具合すら不明。そんな媒体に簡単に免許を与えてしまう。甘い査定と言わざるを得ません。ここにきて、イスラエル寄りの報道も目立つ。何より、ユダヤは日本にも存在しており、財界とも近い。イスラエルの情報操作に加担する動機が、メディアにはある。メディアとはそういうものです。
少し前には、異常な安倍政権への忖度、といった問題もありました。安倍政権の広報官、といわれた時事通信の田崎氏がTVの政治解説にでずっぱり、要するにこの人物をつかっておけば、政権からにらまれない、という忖度。大手メディアの幹部が、頻繁に安倍氏と会食しながら、そのことを一切報じない。自分たちが政治と何を話したか、を報じないのに、他の人と政治家が会ったら報じる。でも統一教会系の人物らと安倍氏があっても、統一教会とは一切伝えない。安倍氏が統一教会系の団体にビデオメッセージを送っても、どこも批判的なニュースとしては報じませんでした。そんな大手メディアに免許更新、です。

その任に足らない、となったら、免許を停止した上で、国がその電波を別の組織、団体に入札で下げ渡す。そんな制度があってもよいのでしょう、それこそ関東圏では、新規参入はないだろうと思われていた新しい放送局、東京MXが1993年にできました。技術職などはほとんど引き継がれるでしょうが、新規参入したい、TV局を経営したい、という媒体はいるはずです。外資参入規制などもあり、難しい面があったとしても、緊張感を失った経営だからこそ、上記したような諸々の問題を生んできた、ともいえます。
CM収入など、低下が目立つのはまたACの広告が増えていることでも分かります。景気がよい、コロナ禍明けのリベンジ消費、といったところで、広告さえ手控える日本企業。さらにBIG MOTORを始め、広告出稿への意識の変化。保険会社の相次ぐ不正、金融機関のシステム不安、自動車メーカーのEV出遅れに伴う、研究開発費への注力で広告を手控える、といった動きなど、TV局には逆風ばかりです。でも、今ここで新しいシステム、収入の仕組みや報道などの清浄化がすすむところがあれば、逆に大きなチャンスともなるでしょう。そういう新しいビジネスモデルを築けないのも、古い経営者が従来のやり方に固執するからです。大手メディアはオワコン、と言われて久しいですが、免許というもので守られている業界で、その価値がどんどん目減りしている現状は、かなり異常でもあって問題が大きいのでしょうね。



中央銀行の会合ウィーク

今週、ECBは金融政策の現状維持を決めました。利下げは当分ない、との見方を示しますが、金利4.0%でインフレを抑えられる、との主張です。これは独国の景気不安という面が強く、中露に頼った成長を果たしたメルケル政権のツケを、いつ払い終えるか? ただ米国でも同様、インフレ再加速が見えます。欧州ではそれが沈静化するのかどうか? イスラエル問題の期間が問題となるのかもしれません。
一方で日米は来週です。日本では10月消費者物価指数が前年同月比2.7%。再加速と報じられますが、まだそこまで大きな加速ではない一方、政府による下押し効果を外れると、より大きな加速になりうる。電気やガスの補助がなかったら…となると目も当てられません。最近、日銀が緩和の一部を解除するのでは? といった観測が盛り上がってきました。日経でも、日銀が来年の物価見通しを引き上げる、との観測記事をだす。このタイミングで、こんな記事がでるのは日銀のリークであると想像ができ、市場インパクトを薄める狙いでしょう。そうなると、緩和の見直しが視野に入り、ここもとの市場の動きと整合します。

米国では逆に、金利引き下げといった観測もある。ただそれはいつものオーバー期待で、現実味はないでしょうが、そういう観測気球で市場は大きく動き過ぎです。日銀も今回動くとしたら、少しインパクトが大きくなる。日本の10年債も徐々に上昇していますが、日本は20年近い緩和と、安倍ノミクス、黒田バズーカで一気に拡大した緩み、その影響が今一つ判然としません。どこにどんな膿が溜まっているか? そういったことを正しく推測できたものは、現時点ではない。逆にいえば、それだけ長くやり過ぎたのです。
未だに政治が、デフレ脳で景気対策を打とうとするように、金融機関とてインフレ下でどうしていいか? それが分かっていません。インフレだから投資、という教科書の1ページ目に書かれているようなことは訴えますが、応用が利いていない。昨日、円安、株安、債券安といったトリプル安が起きましたが、景気がよいときの動きではまったくありません。今が投資に最適か? は改めて考えるべきなのでしょう。

それは日銀とて同じ。いざインフレになってみたものの、好循環どころか頭が痛い問題が次々と降りかかり、右往左往するのが現状です。昨日、150円台をつけた為替も、一瞬何か介入らしき動きがあった。ただ規模は小さく、ファンドや投資主体によるトリガーという印象もありますが、前回の150円突破でも起きた動きが、今回はすぐに150円にもどってしまった。日銀が引き締め観測がある中の動きとは、到底思えません。
FOMCは金利を引き上げたのに、景気が弱くならないことに悩み、日本では景気がよくないのに、インフレが高止まりして困っている。2%のインフレ定着、などと言っている日銀が、実はそれほど強くない経済で、このインフレであることに頭を抱えています。来週、憂悶する両中央銀行がどんな態度をとるか? 本来、年末に動くのでは? とみられていたものが先倒しになるかが、要注目と言えます。



日本株の動き

相変わらず今週も、野村が大きな動きを演じました。26日の670円の大幅安のとき、野村が日経225の売り越しトップ。その倍近い買いを入れた27日は400円弱の大幅高。今日も、外国人投資家の先物買い…といった頓珍漢なことをテレ東などは報じますが、市場占有率がそれほど高くない野村が、なぜこれほど市場を動かしてしまうのか? もっと報じた方がよいでしょう。26日は大幅安の一方で、日経225の先物の買い方に、日系がずらりと並んで壮観でした。野村だけが売りでしたが、押し目買いの好機とみた個人が動いたのでしょう。しかし先週も個人投資家は買い、本当に今が押し目か? その予想が外れていたら、一気に調整がすすんでしまう可能性があります。ナゼなら、外国人投資家の動きは一貫して売り、だから。
半導体株も、25日のTI(テキサスインスツルメント)の決算で売り、26日のインテル決算で買い、という動きになっています。元々、半導体株は来年を見据えて仕込んでいる人が多く、多少の好決算では本来、期待にそぐわない。しかし先物などオプションの取引により、動かすのも半導体株。中々にこの業種は、今や実体ではなく、そうした思惑でしか動けないのです。これはマイクロソフトと、アルファベットの決算で明暗となったのもそう。コロナ禍の特需による反動から抜けだせない、とみられたMSは好決算を素直に好感、一方で生成AIなどの分野で見劣りするアルファベットは失望。元が高過ぎる面もありますが、GAFAMはもう業績というより、思惑で動く傾向があるので、一挙手一投足で理由や事情を語るまでもありません。

問題はそれにつれて動く日本株。高過ぎる米株が、少しでも調整をはじめると弱気ムードになってしまうのは、日本自体の強さがないから。遅れてきたインフレと低金利が併存する日本では、景気に期待すべき点はありません。ナゼなら、日銀の動きの先が読めないから。これは市場のフォワードガイダンスに、失敗するという予測が立つ。今日になってインフレ見通しの引き上げなど、手を変え品を変え、市場にショックを与えないようにするのでしょうが、長期の見通しが立たない日本では、長期資金が入りにくいのです。
未だに、来年の業績見通しがいい、という論調の株式アナリストが多いですが、出始めた2Q の決算はあまりよい数字がない。業績が株価の裏付けできた。また日本株は割安、という人もいますが、日本は低成長、低潜在成長国という重しがあるのです。そこに来てインフレ政策である低金利の副産物である円安が、景気を押し下げるのですから、目も当てられません。まずインフレを低めに誘導し、国民への打撃をコントロールする上でも、早い引き締めが必要ですが、それは当然、景気の悪化要因となってしまいます。

今は、個人投資家が押し目だという認識で動いてくれて、今の株価です。問題は3万円割れとなったとき、個人投資家の損切まででてきたときです。その場合、下値をどこでイメージするか? それこそ4月の上昇波動前の27000円なのか、年初水準の25000円なのか。いずれにしろどこか、水準を探す動きになるのでしょう。
特に、野村が増しているボラティリティーの行方も、株価的にはマイナスに利いてくるでしょう。上昇局面ならまだしも、悲観相場になると余計に投資家を遠ざけるでしょう。むしろ、個人のデイトレみたいなものは誘発するかもしれませんが、長期の資金は置いておけなくなります。大学ファンドも昨年度の運用実績はマイナス。長期で資金をおいておく市場に、日本株がふさわしくないとなったら、その下押し効果は目もあてられないレベルとなるでしょう。今後、日本に降りかかるのは、こうした不透明さです。早く態度を決めて、フォワードガイダンスを復活させないと、日本の未来すらガイダンスできないことになる。来週の日銀会合、年内の動きまでふくめて、日銀の動きが株価を大きく動かす要因になるのでしょうね。











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2023年10月21日

10月3週の動き

岸田首相の憂悶

自民、公明から経済対策として示されたものに、減税の表現はなく、岸田首相が減税を指示、という。すなわち減税の手柄を自分にしたい、という我欲。しかし自民の閣僚経験者から、早くも「減税は選挙に効くわけではない」との指摘も。増税メガネとの悪名に耐え兼ね、何とか払拭したいとの思いが強すぎて、逆にからまわりしている感じです。そんなことより、よほどインフレを退治した方が国民へのアピールも強い。でも日本のインフレは食料品が上がる、悪性インフレ。かといってそこを止めると、脱デフレは遠のく。安倍ノミクスで約8年、めざしてきたことは何だったのか? となると自民党自体がもちません。
神田財務官は円安牽制に躍起、でも文言が「投機的な動き」に変わっても、対ドルで150円手前でうろうろする現状では、過度な変動というには足りず、150円防衛ラインの正当性が遠のきます。しかしメディアが食糧高の原因を「円安」と語りだし、手を打たないわけにはいかない。今は米国も、ドル高に頭を悩ましつつも、インフレ対策にもなるので容認する。しかし日米のインフレ差が逆転する中で、ドル高容認の米国の態度が少し変わるだけで、さらに為替介入へのハードルが高まります。岸田氏も祈るような気分でしょう。

日銀のさくらリポートは6地区で上方修正と、直近の景気ウォッチャー調査とは真逆の結果となりました。選挙直前で、景気が落ちているとは日銀もさすがに言えなかったのでしょう。円安、つまり直近の悪性インフレの犯人、ともされる日銀ですから、ここで政治からそっぽを向かれるわけにはいかない。統計の操作に懲りた官僚と、日銀プロパーには少し温度差もあり、日銀ならまだ統計を操作できます。しかし肌感覚では、明らかに景気は斜陽。コロナ禍後の回復局面は終わり、オーバーツーリズムで住民は疲弊です。
着実に選挙の準備をととのえてきたつもりが、四面楚歌。減税や景気対策だって、インフレ昂進を招くかもしれず、発表したときが恐らくもっとも集票効果が高い。しかしすでにそういう指摘をする識者もおり、バラマキ批判とインフレがさらに昂進して生活苦、というイメージとの裏腹です。ロシアとウクライナの戦争でも、イランとパレスチナの戦争でも、まったく日本の存在感を示せず、外交の岸田どころではない。アピールするものが何もない、だからせめて減税、です。それは党に手柄をとられたくないのです。

杉田水脈議員が、大阪法務局から人権侵犯を指摘されました。安倍系議員の代表格、舌禍がたびたび指摘され、それでも自民は手厚く比例で遇してきた。統一教会票も危うい中、アイヌや韓国を腐し、統一教会をさらに喜ばせ、何をしたいのか? むしろ自民が彼女を囲っているだけ、自民はやっぱり統一教会と…との認識を強めます。しかも、興味深いことに今回の記事を検索しても、統一教会系メディア、読売や産経ではヒットしない。杉田氏は自民内で出世しますが、国民には総スカン。その原因はこうしたメディアの二分化で、国民の知る権利が阻害されており、彼女が守られている点が大きいのでしょう。
醜聞議員たちの幕もひき、メディアが報じなくなって解散の道すじはつけた。しかし支持率は相変わらずの低空飛行、しかしこのままでは景気も斜陽。株価も怪しい。いずれにしろ野党も低空飛行がつづくうちに、解散総選挙をしたい。増税メガネの踏ん切り。むしろそれ次第では政局が熱くなるのでしょう。



イスラエル対パレスチナ・ガザ

米仏でも、パレスチナを支持するデモが起き、テロリストというレッテル貼りに失敗しています。しかし日本では防衛研究所とやらの研究者が「通常、地上戦をするところでは空爆しない」など、イスラエル側の病院攻撃を否定するコメントをしますが、その浅い理論は研究者であることすら疑わせます。それは作戦次第であって、今回のようにイスラエル側が掃討作戦を行う場合、先触れとして空爆をするのは自然です。狙ってない、とは思いますが、現場指揮官にしてみればハマスの兵士が潜んでいるかもしれない病院を攻撃するのは当然、との認識でしょう。これまでもイスラエルは人道を無視してきた国です。
バイデン米大統領の訪イスラエルも失敗。むしろ国内のユダヤ人へのアピールより、アラブ勢力が拡大したことにより、国内の支持を得られない。仏国のマクロン大統領も、パレスチナ支持のデモを取り締まるも、逆に暴徒化するありさま。トランプ前大統領はこの機会に中道派にアピールしようとしていますが、お前のせい、という残念感が漂います。ネタニヤフ政権と蜜月だったトランプ氏が、野放図な入植をみとめたことも一因だからです。政治が失敗を重ねた結果であり、またその対応すら政治は失敗しています。

岸田氏は態度を明確にせず。それは中東に90%以上の原油を頼る。経済安全保障が為されていなかった、という落ち度です。ただ米国にいわれ、イスラエルに肩入れせず御の字、といったところ。でもどっちつかずで、方向感を示せません。脱コロナには出遅れ、さらに脱火力も、原子力へのこだわりで達成できず、中東依存で雁字搦め、というみっともない有様です。ガザに支援物資、という話にしても、国内ではインフレで苦しむ家計があるのに、他国の政治の失敗を尻ぬぐいする必要が? との批判と裏腹です。
まずネタニヤフ政権を引きずり下ろし、政権下で国際合意を無視してすすめられた入植を元にもどし、それからパレスチナとの協議を始めない限り、この虐殺は止まりません。虐殺した方が政権基盤が強まる、なんて政治に未来も、国際的な支援もない、と知らしめる必要があります。ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領を、人道上の罪で問うた国際社会が、ネタニヤフ首相をどう扱うのか? 国際社会に重くのしかかる問題で、米国がイスラエルの自衛権、などと言って国際的な停戦を止めている場合ではないのです。むしろネタニヤフ氏から、まだやる、と言われて唯々諾々と受け入れたバイデン政権に、大統領選での勝利は遠のかせる事態になっている、とさえ言えるのでしょう。

あくまで予想ですが、イランからヒズボラに長距離ミサイルを渡し、混迷するシリアからイスラエルに向けて攻撃する。それはアサド政権の掌握する地域の中、もしくは近ければ近い方がいい。イスラエルが反撃しても、ヒズボラ勢力を喜ばすだけとなります。そうしてイスラエルは戦線が拡大、やがて第5次中東戦争へ、という道もみえる。ネタニヤフ政権がつづく以上、中東にとってこれは聖戦となりうるのです。
ガザ侵攻で、イスラエルが得るものは何か? むしろ混沌なのかもしれません。やがて日本も、その旗幟を鮮明にする必要がでてくるのでしょう。「Show the Flag!」 湾岸戦争で散々に日本批判だとされた言葉です。そのため、小泉政権時代から日本は少しずつ法改正をすすめ、安倍政権で加速した。逆にそれが足枷となり、日本も動かざるを得なくなってしまう。法律がない、と突っぱねることができない現在、日本の向かう先すら危うくするかもしれない。それがこの中東の混乱となるのかもしれません。



市川猿之助氏の公判

相変わらず、胡散臭さときな臭さが漂う裁判です。市川氏の証言によると、自暴自棄的に自殺を提案し、両親が受け入れた、とします。しかし両親が亡くなるまでは周到に、確実に息の根を止めるまでコトをすすめ、自身は数日の入院で済むぐらいの症状だった。支援者や舞台のことを、父親jは気にしたといいますが、ならばどうしてしっかりと遺書をのこしていないのか? ダイニングで自死する、という突発的な行動に至ったのか? 覚悟の自殺なら、きちんと後始末をつけるのが、澤瀉屋という一門を率いた人間の務めでしょう。結果的に、生き残った猿之助氏の最良の状態、口うるさい親を消し、週刊誌にゴシップを報じられても、自分ですべてを決定、差配できる権利を得た。という顛末に見えてきます。
こういう疑惑が付きまとう以上、芸の世界への復帰は難しいはずですが、ジャニーズ事務所の問題でもそうだったように、歌舞伎ファンと称する人間の価値基準は異なるようです。未だに女遊びは芸の肥やし、という文化があるのか、不祥事は止まりません。名跡、という制度があって、それを本人たちで決めてしまう。外部の監視が利かず、結果的に組織の清浄化がむずかしいものとなっているのです。芸能がきなくさい…こんな不幸な国もないでしょう。しかしそれを容認する国民がいる以上、改善は遠い先です。



ジャニーズ事務所がSmile-UP.に

ジャニーズ事務所が名を変え、被害者への補償を目的とするSmile-UP.に社名を変更しました。早速、被害者の会から要望がだされ、批判する人もいますが、まずカン違いしているのはまだ被害の全容が完全には見えていない。今、TVで活躍しているタレントさえ、被害者かもしれない。そして加害者であるかもしれない。そしてタレント、歌手、俳優となっていたら得られただろう、逸失利益の算出さえ済んでいない。
その中で、被害者の会が多めの要求をすることは、何ら不自然なことではありません。それこそあいつも被害者のはずだけど…といったこともあるでしょう。事務所が、ジャニー氏のお気に入りに活躍の場を与え、引き上げていたことは数多くの証言もある。つまり単なる性加害だけではなく、これはパワハラでもあって、その被害は単純なものでは留まらないのです。そこを忘れてはいけません。



宝塚歌劇団のイジメ問題

同じような芸能の記事で、週刊誌等で報じられてきた話ですが、明らかに宝塚歌劇団の動きが遅い。イジメというのは、こういう上意下達の組織で起こりやすく、特に注意しなければいけないのに、です。この問題が厄介なのは、朝ドラにも影響する点でしょう。私は朝ドラというものをみたこともありませんが、今回は『ブギウギ』という歌手をモデルとした話。そこでは、劇団という設定もあるそうですが、イジメというドラマにありがちな設定をもちこむと、宝塚歌劇団を想起させ、NHKは対岸の火事でいられません。
清く、正しく、美しく、というのが宝塚ですが、大体そんなお題目を掲げるところは、逆のことが多い。そして歌舞伎、ジャニーズ、宝塚と、固定のファンを抱え、支えられてきた媒体です。しかし逆に、そんなファンが組織を腐らせてきた、といえるでしょう。なぜなら勝手に擁護し、腐りを拭ってしまう。組織にとって、こんな都合いい援護団はいません。人間は油断し、自分を律する気持ちを失ったら、堕落するものです。むしろ、そういう世界の産物が夢を売る、というのですから、悪夢という他ないのでしょうね。



中国が日本人をスパイで逮捕 と、臨時国会の開会

大切なのは、これを臨時国会の開会に中国がぶつけてきた点。中国にとってそうする利はなく、日本には利がある。なぜなら、増税メガネが国会の場にでてくるのを、薄める効果があるからです。そしてこれは、統一教会系安倍支持者にとって、極めて敏感な問題です。ナゼなら、彼らは中国を敵視するから。いわば、中国にこのタイミングでそれをさせることで、統一教会系安倍支持者に、さらにアピールできるのです。
中国としては経済が苦境の中、わざわざ日本に敵意をむきだす必要がない。むしろ中国はこれまで自分たちが苦しいと、日本にすり寄ってきた。甘言を弄すことが多かった。逆に、ここで中国が日本に高圧的に動いたのは、それでも日本から利を得られるから、とすら勘ぐれます。中国にとって、スパイ認定など匙加減一つ。その匙を、このタイミングで使うことに意味があった、としか思えないのです。それは、自民が美味しいプリンでも約束したのかもしれない。黒い蜜のたっぷりかかった、甘いヤツです。

20日の所信表明、という話は野党の抵抗で頓挫しましたが、むしろ語らせた方が衆院長崎4区、参院徳島・高知では有利だったかもしれません。なぜなら、増税メガネがNHKを占有しつづけるから。自民が分かりやすく20日に開会、所信表明とし、野党に抵抗させて撤回、という一連の流れをつくったのは、むしろ岸田氏をだしたくなかったから、と勘ぐれます。やる気をみせて実際にしない、が政治的には都合いい。統一教会に解散請求をして、実際には司法の場で解散をみとめない、などもその一端といえるのでしょう。
減税で選挙を戦えるか? 岸田政権はそのそろばん勘定がはじまります。もうそれしかカードがないだけに、事前に切り過ぎていて食傷気味です。むしろ中国が圧力をかけてくれば、それに対抗する岸田、のアピールになります。だからこそ、スパイ疑惑をこのタイミングで、なのでしょう。実際、日本にいる中国のスパイは誰なのか? そこから炙りださないと、両の記事の関連性はつかめない、といえるのでしょうね。


株式市場の乱高下

今週は16日大幅安、17日大幅高、18日横這い、19日大幅安、20日そこそこ安で終わりました。週ベースでは千円を超える下げです。この原因は国内の、しかも個人投資家でしょう。9月からの下落局面、個人投資家は外国人投資家の売りを吸収するよう、買っていた。先週、欧州系2社の買いが大きく、個人投資家は売っていた。今週になると、もどりの鈍さを嫌気した個人投資家が売りに傾いたのでしょう。野村は以前から、先物と現物を同じ方向で売り買いするので、相場の動きを大きくします。それが乱高下の主因なのです。
外国人投資家の占有率が大きく、そこばかり大きく報道されますが、実体は値動きを大きくしているのはここ数年、野村です。野村が先物でトップをとるとき、株価の動きはそれに沿う。買いだと大きく上昇するし、売りなら下落です。しかも大幅、というオマケつき。最近では日経225と、TOPIXで逆にし、値動きを抑える工夫もありますが、そろうと大幅に動く。むしろ外国人投資家が数社、まとまっても勝てません。

外国人投資家は動くときは一斉に、まとまって動くから、28000円の水準から33000円を超えるところまでもっていくパワーがあります。しかし日々の動きでは、野村の方が利く。かといって、国内の個人投資家は、そう買い一辺倒にはならない。もう一方の買い手、自社株買いは現物に大きな動きをもたらしますが、先物との連動はない。そうみると、野村の動きは単純な仲介ではなく、自己売買部門が大きいと思われます。
あくまでこれは推測ですが、その動きで日本市場が大きくふらされるのは、大問題です。ここ最近、徐々に売買高が減っているのは、そういう粗い動きも影響する。期待ばかり先走った結果、半導体はまだ回復期でないため、日本の割高となった半導体株に売りがでてしまう。そういった面も値動きを大きくしますが、一社の思惑が強すぎるのも問題なのです。円安、株安となって、結局日本を見限る外国人投資家も増える。その原因をつくっている一端に、大手の野村がいる。ここを変えない限り、日本の本格反騰はありません。

9月の消費者物価は、前年同月比で3%を切ってきましたが、あくまで政府の補助金頼み。食料インフレは高水準です。食品にも消費税がかかる日本では、それが税収を押し上げる。それが所得税減税の原資となる。こんなバカな話はないでしょう。その制度設計次第では、大損する人もいれば、得をする人もいる。最初から税をとらなければ済む話なのに…です。エンゲル係数が高まった、という報道もありますが、この不都合を解消する術は、自民にはありません。なぜなら、安倍政権がめざしてきた日本がただ、実現しているだけだからです。コストプッシュインフレ、という世界が現実になったら、こんな大変だったのです。
株価は、インフレ下で下落するのも大きな問題です。NISAでも、株で運用するものは負けも目立つ。インフレ以上に上昇しないとヤバいのです。年初からみるとまだ十分高いですが、4月から買ったツーリスト投資家も、まだ半分ほどの売りだという。まだまだ売りの余力がある、ということです。日本の景気も怪しくなり、脱コロナの特需もインフレで早めに幕をひく。半導体の回復もにぶい。残念ながら、今の株に好材料を期待するのは難しいのです。「遠くの戦争は買い」などと言う人もいますが、中東依存の強い日本では「遠くありません」。中国の減速も、日本に重し。そこにもってきて、岸田政権がおバカ、というおまけつきです。オマケが一番の重し、経済政策に何の期待ももてないので、株価的な期待も低くなる。騰落レシオを反転の兆し、という人もいますが、騰落レシオなんて底這い、揉み合いでも解消されます。野村が仕掛ける大きな値動き、その中で当面、日本はふりまわされるだけなのでしょうね。


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2023年10月14日

10月2週の動き

イスラエル 対 ハマス

パレスチナのガザ地区を実質支配するハマスが、イスラエルに電撃作戦を開始してから、一週間が経ちました。イスラエルは北部への侵攻を宣言し、一般市民は南部に逃げろ、などといいますが、その後は軍を常駐して実効支配するつもりでしょう。この機にガザ地区をつぶすつもりかもしれません。イスラエルの駐日大使が「渋谷で同じことが起きたら…」などと言いますが、もし日本でそれが起きたら、日本政府は人質を考慮し、攻撃はしないでしょう。今のパレスチナの民間人を無差別に殺す、イスラエルとは価値観がまったく違います。それは敵ばかりか、国民でさえ犠牲を厭わない、イスラエルに共感できない一端です。
もう一つ、これは小が大に噛みついたら、大が圧倒的な兵器差、兵数によって小を叩き潰そうとする構図です。判官びいきの多い日本では、共感を得にくい。そもそもパレスチナを追いこみ、暴走させたのはイスラエル。ネタニヤフ政権は保守強硬派で、合意を無視して入植地を広げ、それを成果と誇ってきた。米国もパレスチナを無視して、イスラエルに有利な裁定を下し、中東諸国もパレスチナを蔑ろにしてイスラエルとの外交を結ぼうとする。今回、ネタニヤフ政権が続投、米国で下院議長が解任、中東とイスラエルとの関係など、様々な要因がこのタイミングでハマスが暴発せざるを得ない状況に追い込んだ。そうした諸々の事情が重なったことで、窮鼠猫を噛んだのです。批判を受けるべき対象は、様々でしょう。

第5次中東戦争の声も上がりますが、恐らく中東全体がイスラエルに襲いかかっても、勝てないでしょう。最大はイスラエルが核を保有するから。ただし、ユダヤ人も相当に減るでしょう。今回はエジプト、イランなどが動くと思えず、拡大する懸念はないですが、中東にふたたび『イスラエルは敵』との認識をもたせるには十分です。なぜなら、イスラエルの残虐性が見え隠れするから。ムスリムが今回の虐殺を、見て見ぬふりをしてしまえば明日は我が身です。もしくはイスラエルに従属、平服する形でないと生き残れません。
中東有事で、原油市場が上下動しましたが、現時点では思惑だけです。もしイランやエジプト、シリアなどが参戦すると大変ですが、今はレバノンが少し呼応する動きをみせただけ。中東全体に拡散する気配はない。ただし、イスラエルは情報システムなども有名ですが、最大は金融。世界に拡散したユダヤが稼ぐ富は、中堅国の国家予算とも言われるほど。むしろこちらからの経済への変化の方が大きく、また先にでるでしょう。すでに起き始めていますが、それについては後述します。

何より、最大の問題はやはり極右の政治家が、長く国のトップを務めると弊害が大きくなる点です。ネタニヤフ政権がそうでしたし、米国のトランプ前政権もイスラエルに寄り過ぎて、パレスチナの暴走を生んだ。安倍政権もそうです。誰か少数を敵視し、それに圧力をかけて喜ぶような政治は、一部の狂信的な支持者にはうけますが、問題の根を深くするだけです。安倍政権が、統一教会の票で長期政権を担い、その間に日本は経済的な疲弊が強まったように…。これは世界がそうした政治の後始末を強いられる、その端緒でもあるのでしょう。トルコも、広義では露国のプーチン大統領もその輩です。つっかけると戦争までいってしまう、途中で誰かが止めない、止まれないような政治に未来はない、との教訓でもあります。
ユダヤ人を腐すつもりはありませんが、虐殺やディアスポラという過去の問題を語り、同情を語るのは現在の態度で、すべて台無しです。パレスチナ人から土地を奪い、勝手に国を樹立したことなど誰でも知る。その上で、パレスチナ人を追いこみ、暴発させた。責任論でいえば、イスラエル側に大きな問題があることは間違いありません。大が自制を失ったら終わり、果たしてこの結末がどうなるのか? それ次第では益々ユダヤ嫌いが世界に蔓延することになります。努々対応を誤らないでほしいものです。



岸田政権と、統一教会への解散請求

岸田政権がこのタイミングで解散請求をだしました。これで岸田自民は「統一教会を懲らしめた」との体裁がととのい、国会解散への体制を整えたのです。同時に細野氏を議長から下ろし、会見までさせたのは禊の意味もあるでしょうし、党としての憂いもなくなった形です。これで景気対策が出てきて、10月20日の臨時国会の召集、その冒頭、または所信表明後、臨時国会の終盤で、いつでも解散の道筋が整いました。
しかし統一教会の解散請求は、あくまで司法の判断にゆだねる、というもの。恐らく総選挙の結果、統一教会の献身、貢献次第で、最高裁に意を含めて「解散必要なし」の判断が下される。政治家の常套句「司法のお墨付きをえた」として、これからは大手をふって…とは国民感情がゆるしませんが、自民と統一教会はさらに蜜月となり、自民の陰に隠れ、選挙の応援や大票田となって機能することになる。その一方で、国民の搾取を与党後任でつづける統一教会、という形でより日本を支配することになるのです。

問題は衆院長崎4区の補選。岸田政権の中間評価、などともされますが、第二次岸田内閣の初の国政選、というばかりでなく、ここで自民が負けると、そのまま解散総選挙になだれ込んでいいのか? となります。自民が勝てば、余勢をかって…となる。つまり岸田首相の首に縄をつけられるか? を決める戦いです。岸田氏は後者を望みますが、金子候補の「人口減少対策」というのは、どうにも胡散臭い。統一教会、インフレ、実質賃金のマイナスなど、悪い面から目を反らすための「人口減対策」なら無意味どころか、マイナスです。そもそも自民党が党として対応してこなかったから、今の人口減少があり、それを党として変える、との決定がなされたわけでもない。一議員の、しかも新人の声で変えられる類ではありません。
しかも細田議長の辞任会見は、極めて性質が悪い。体調が悪いのなら、文書だけでも良かった。出てきて会見なら、きっちり答えないと不親切。嫌がる細田氏を、ムリに会見させて幕引きをはかった、という事情が透けて見え、自民、岸田氏の人でなし感を余計に映します。細田氏の逃げ口上、岸田自民の人を人とも思っていない感じが、余計に際立ったのです。解散戦術上、細田氏の未会見問題が邪魔だから、会見させたことがさらに岸田氏を苦しめる。相変わらず、やること為すことどこかズレている岸田氏の悪い癖が出た、という感じでしょう。果たしてそれが、解散までそうなるのか? が注目されるところです。



埼玉県の自民県議による留守番条例

批判をうけて撤回となりましたが、恐らく埼玉自民県議は、米国並みの制度を導入して何が悪い、との思惑だったのでしょう。しかし米国でさえ、あまり評判のよくない制度。もしこんな制度を導入したら、経済的なマイナス面も大きいでしょうし、子供の預り所といった行政側の努力も必要となったでしょう。
何でこんな条例をだしたか? 検証も必要だ、といった論調もみかけますが、自民は親米。安倍政権以来は媚米です。米国のやっている通りにすればいい、それが安倍政権でした。その薫陶をうけた地方議員が同じことをしても、何ら不思議はありません。問題は、自民の親米が過ぎること。米国の追随だけをしていても、意味がないのです。特に、日本は地域で見守り、を重視してこれまで行政は家庭の負担を地域で、と推奨してきた。それを家庭だけに押しつける、という施策をとれば混乱して当然です。そして、自民党は県議に至るまで、質の低下が顕著である、ということをこれは示す事例となったのでしょう。

もしかしたら、昨今の車に置き去り、といった事件を見ていたのかもしれない。しかしその対策が、小学三年生以下の子供を家に一人で置いていたら…などというのでは、話になりません。例えば、米国ではベビーシッターを置く、としますが、日本ではやっと学校の教師の性犯罪歴の確認を義務付け、という段階です。同性だからといって不安がないわけではない。特に、ジャニーズ事務所の問題が露呈した後です。性犯罪に寛容で、未だに教育界では「教師の未来に影響する」といって、被害者に事件化させないよう働きかける教育委員会、学校もあるほど。こんな国で、まともな規制ができる状況ではありません。
しかも低賃金が問題とされる日本で、シッターを雇える人は少なく、それこそ埼玉県がどこまでの補助を考えていたか? まさか条例だけだして、その周りの法整備をしない、ということもないでしょう。結局、日本の環境、実情に合っていない。不随する様々な問題を、何も考慮していないから撤回に追いこまれます。こうした動きを推進する側も、それを達成するために一体、どれぐらいのことを変えないといけないのか? そうした分析ができる人を置かなければ、いきなりゴールを目指してコケる、というのはマイナカードと同じです。積み上げ型でない政治の混乱、というのをまざまざと見せつけられた感じです。



鈴木宗男議員の維新離党

維新幹部が除名を決めると、鈴木氏は離党届を提出。維新幹部はあっさりとそれを受諾。維新幹部の底なしの事なかれ主義が露呈しました。むしろ百戦錬磨の鈴木氏に、手玉にとられた。渡航届も遅れてだすなど、すべて計算済み。解散、総選挙前に離党することも可能性としては意識していた。ただ維新の幹部は自分のことを切れまい、と考えていたフシがあります。しかし国会、国政の事情など何も知らない吉村大阪府知事が怒りをあらわにし、結果として国政維新が板挟みとなり、鈴木氏に出し抜かれたのが顛末です。
今回の教訓は、ウィングを広げたつもりが、党の方針とはまったく異なる議員を抱えこみ、ドタバタする、ということ。維新のようなポッと出の政党は、どうしても質の充実より数を優先させがち。しかもその議員たちの不祥事が相次ぐなど、やはり問題が続出する。それは馬場代表も同じ、週刊誌の報じた醜聞から逃げ回り、この代表にして…状態です。鈴木氏が抜けて、北海道の維新票が完全に逃げてしまう。では、鈴木氏に対抗馬を立てられるのか? 恐らくムリで、ココで総選挙となったら北海道は壊滅するのでしょう。結局、これが維新の限界であり、保守層の支持をうけられても、全国区への高いハードルです。



少子化対策の決定版?

最近、読んだ本で面白かったのが『食欲人』という昆虫学者が書いた本です。食餌で栄養素がどう関わるか? を実験で解き明かしたものですが、タンパク質レバレッジと名付けられた、いわゆるタンパク質を一定量、とるように調整する生物が多い。人間もそうで、タンパク質が不足すると炭水化物や脂質を必要以上に摂り過ぎても、人間は空腹が満たされないそうです。その中で、低タンパク質/高炭水化物の食事を摂りつづけると、長生きできる代わりに、繁殖力が落ちる。一方で、高タンパク質/低炭水化物の食事を摂りつづけると、短命である代わりに繁殖力が高まり、種を残そうとするのが生物の本質というのです。
日本は低タンパク質/高炭水化物食、というのは様々な方面から指摘されること。今の長寿命化、少子化という日本の現状とも合致します。しかしかつてもそうだったか? というと疑問符もつく。日本は産めよ、殖やせよ、の時代がありました。そのころの食事も、同じように低タンパク質/高炭水化物であったなら、いくら政府からお達しがでても、そう上手くはいかなかったでしょう。恐らく当時は、高タンパク質/低炭水化物の食事が維持できていた。農家は鶏や牛を飼い、猟や釣りを通して十分なタンパク質を得られていた可能性があります。つまり再びそういう生活をすれば、生物学的に上手くいくのかもしれません。

この本はもう一つ、重要な示唆を与えていて、タンパク質を一定にするとき、炭水化物や脂質を摂り過ぎる。そのとき肥満を招く、というのです。欧米は元々、高タンパク質/低炭水化物食だったものが、それが変わりつつあり、肥満が止まりません。しかし日本人に、そこまで目立つ肥満はない一方で、内臓脂肪という形で蓄積がすすんでいます。日本人はそこまで太っていなくても、肥満による病気の弊害が増える、と言われているので注意も必要です。さらに、今のジャンクフードは美味しくする一方で、それはタンパク質を除いていることと同義。その結果、太りやすい食事に自然と導いている点も問題なのでしょう。
鳥インフルによる卵の高騰、などが話題となりましたが、少子化対策ならもっと卵に補助金をだしてもいい。牛乳は乳糖不耐症もあるので、ヨーグルトやチーズ、バターなどへの加工をする工場を国が主導してもいい。日本で造られたそうした乳製品に、外国製の牛乳がつかわれているのが現状で、それで政府は牛乳が余ると「飲め」という矛盾を抱えます。マーガリンはトランス脂肪が問題で、むしろバターを安く供給することは、健康対策にもなります。若いころは高タンパク質/低炭水化物、子育てが終わったら、低タンパク質/高炭水化物と生活スタイルを変え、子だくさんで長寿となるならみんなも喜ぶ対策となります。



株式市場と、イスラエル 対 ハマス戦闘の影響

先週、中央銀行の態度により市場が変化する、と書きましたが、それはFOMC後になる、と考えていました。しかし急速にそれが起きた。それがハマスの戦闘開始です。FRB理事などが「金利を上げない」発言を一斉にするようになったのも、イスラエル支援の側面があります。FRBとイスラエル中銀は、伝統的に仲がいい。というか、イスラエル中銀の総裁だった人が、FRBの副議長を務めたこともあるほどです。イスラエルは通貨シェケルが暴落するなど、危機的状態にあった。外貨準備の15%、5兆円近くをつかい、介入すると宣言するほどでした。それによる米国債の金利低下を正当化するためにも、FRB理事の利上げ打ち止め発言は必須だった。ただし、シェケルが今は維持されますが、戦闘が長期化したときどうなるか?
日本株は10日〜12日まで大幅高を演じましたが、先物の取引情報をみると、バークレイズ’(英)、ドイツ銀が1,2の買い方を演じるなど、一部の買戻しが主体です。11日だけはTOPIX先物を買わなかったので、全体は弱い状態でしたが、日経225は毎日丁寧に2000枚強、1000枚強とこの2社が買い続けた。恐らく現物も買っており、その動きが大きかったのです。ナゼこの2社は動いたのか? 恐らくですが、FRBがイスラエル支援に動くことを察知し、欧州勢として売り持ち分を解消したかった。この辺りが事情のようです。

しかし今のところ、シェケルも維持されており、イスラエル経済も元々あまりよくありませんでしたが、支えられています。混乱が長期化すると、イスラエル経済はかなり深刻な打撃をうけるでしょうし、そのとき米国にいるユダヤ系投資家、運用担当者などがイスラエル支援のため、資金を動かす懸念があります。何より、FRBが直接動いた形跡はない。口先介入で効果が出ている間は、FRBが動く必要はないでしょうが、FRBの思惑とちがう方向に市場が動きだしたとき、愈々FRBも態度の転換を迫られるのでしょう。
しかもそれはインフレ昂進を伴うのかもしれない。9月のCPIは総合で3.7%、コアで4.1%とほぼ市場予想通りでしたが、PPIは市場予想の1.6%上昇を、大きく上回る2.2%上昇となりました。原油高を考慮した予想よりも上振れた。これはインフレ禍が未だ沈静化をみせていない、ということでもあります。CPIでは、家賃収入が高い伸びで押し上げている側面がある一方で、PPIでは賃金の伸びをカバーしきれていない。そのギャップをどう埋めていくか? そこにFRBの態度の変化が重なると、動きを大きくするかもしれません。いずれにしろ、タイミングが極めて重要で、そこに失敗すれば大変なことになるでしょう。

13日の日経平均の下げを「米株安を受け…」というものもありますが、実体はバークレイズとドイツの買いが止まった、です。外国人投資家はここ最近、売っていた。先週も現物は買いでしたが、先物は売りだった。しかし2社の売りが減って、むしろ売りの方が軽くなってしまいました。まだ他の外資系の動きが判然としませんが、恐らくまだ様子見です。ここまではツーリズム投資家の売り、要するに買い方のポジション整理だった。しかしここ数日で、売り方のポジション整理が一気にすすんだ。売り方は軽く、買い方はやや重い。11日の動きでも、半導体株のみが集中的に上げたのは、まさにそれを象徴します。テーマがないのに、先物が上げるから仕方なく買う銘柄は何か? そういう理屈が先走っているような印象です。
来年、半導体市場は回復、がメインシナリオです。でもその前提ですでに買いが膨らみ、想定通りにいくか? むしろ逆のパターンになりかねないのが現状です。さらに再来年になると、各国の大規模投資が徐々に動きだすので、供給過多が控えている。今後も半導体は産業界として、重要であることは間違いありませんが、だからといって市場を大きく押し上げるほどの力強さは本来ありません。中国の減速、米国のインフレ、頻発する戦争、自然災害もそうです。意外と逆風が多い株式市場ですが、AIにしろデジタルシフトを今は材料としています。まるでITバブルのよう…との指摘もある通り、実情とは関係ないところで、株価が高くなってしまっている。それもまた不安でもあるのでしょう。戦争が起きているのに、有事のドル高がすすまない。これから始まるニューノーマルは、予測もつかない、というよりこれまでの市場を知っている者から見ると異常な、異質な値動き、そんな展開すら予感させるのかもしれませんね。

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2023年10月06日

10月1週の動き

岸田首相は増税メガネ?

最初、この言葉を聞いたときは「眼鏡に増税?」と驚きましたが、岸田首相の愛称でした。財政が改善した、というのは要するに歳入増となった。それはあの手、この手で増税してきたから。決して経済が好環境になったわけではなく、インフレも消費税を通して増税に寄与します。官製賃上げで所得税が上がったこともそうでしょうし、これからはインボイス制度も増税となります。それを成果として誇らしげに語っていたら、いつの間にか増税メガネになった。メガネが綽名って、他に特徴がない証拠、などともされますが、大切なことは岸田氏をみると「増税」とみんなが意識すること。これは政治家として最悪です。
急に自民党内から「減税」の大合唱ですが、これは岸田氏が解散、総選挙を模索するからに他なりません。今年選挙をしなければ、増税分を歳出にまわす方が、政治としてアピールできます。バラマキで喜ぶ層など五万といる。今は直接給付もやり過ぎて、国民も食傷気味ですが、大規模公共工事などをすれば建設業界の応援が得られたでしょう。しかし減税を訴えるのは、即効性のある効果が欲しいから。実感がまだ薄くとも、減税する、というお題目を掲げておけば選挙を戦えます。自民党はもう総選挙モードなのです。

ただ誤算もいくつかある。まず株安。円安株安となっており、これは深刻です。しかも先週も指摘したように、岸田氏がNYで講演した後、日本売りが加速している。岸田氏の経済政策に、海外からNOを突き付けられた結果が、昨今の株安なので国内でそれがバレると大変です。さらにノーベル賞に日本人が択ばれていない。科学研究の分野で、日本が評価された、となれば本来は岸田政権の評価ですらありませんが、喜んで深夜でも電話をかけ、「おめでとう」アピールをしたところですが、今はそれがありません。
一方で、昨今のスポーツ分野では日本の活躍が目立ちますが、そもそもアジア大会で金メダルだろうと、それで世界と戦えるか? は別問題です。しかし世界陸上と重なり、アジア大会も大きく取り上げられ、何となく日本が活躍しているような気になる。これは岸田氏にとって追い風。しかし大規模経済対策が、すでに空振り感でそれを相殺します。今時、スポーツの活躍で政治を評価するのはごく少数の高齢者です。

岸田氏がもっとも怖れるだろう綽名は「インフレ岸田」でしょう。安倍政権時代、散々にインフレはいいこと、と喧伝され、なってみたら生活が苦しくなっただけでした。騙された、という意識もインフレ岸田には付きまとう。「増税メガネのインフレ岸田」なんて、国民生活を厳しくした張本人、というのと同じです。今はインフレ抑制ではなく、賃上げ昂進によって、インフレの悪影響を何とか抑えよう、と岸田氏はしていますが、そもそも賃上げはインフレ昂進要因なので、ほとんど間違った対策をとっています。日銀の態度とは整合的ですが、国民の不満はそれをぶち壊すぐらいのマグマとして今、溜まっています。
野菜も高騰、これはインフレとは関係ありませんが、異常気象でも生活苦を引き起こします。ガソリン、電気は補助金で押さえられていますが、ガソリン代が170円なんて、そもそも高い。衣食住を高騰させる原因、それが円安であって、それを是正できない岸田政権に国民は怒り心頭です。それを賃上げでカバーしようとするのが、本来ムリなのです。「何をやりたいか分からない」という以上に、「何をしているのか分からない」岸田氏。国民がやめてくれ、ということに気づかない岸田氏。ここが致命的で、選挙をするのも「何で?」となりそうです。「増税メガネのインフレ岸田」は減税すれば国民が納得する、と思いがちですが、合わせてインフレも退治しないと、結果的にはメガネの奥で涙を拭うことになるのでしょう。



維新・鈴木宗男氏の訪露

秘書が出し忘れていた、というありきたりな嘘をついてまで、ロシアに行きたかった鈴木氏。超ニッコニコの映像も伝わりますが、露国がウクライナに侵攻したときも、露国を擁護していたように、彼は露国のスパイです。スパイ、というと語弊もありますが、要するに親露を越えた、愛露。もう露国を愛し、露国に尽くす人です。維新は『除名』などとしますが、党員資格の永久停止などでないと、維新がもたないでしょう。
露国営通信が発信した動画でも「ロシアの勝利。ロシアがウクライナに対して屈することがない。ここは何の懸念もなく、100%の確信をもって、私はロシアの未来、ロシアの明日を私は信じており、理解をしている」と述べており、動画は加工が当たり前の国ですが、国際問題にもなる他国の政治家の映像はしないでしょうから、間違いなくその発言をしている。とんでもない人物が維新の中にいる、というのが今回の顛末です。

その維新の吉村大阪府知事は、2日のジャニーズの会見を見て「前進した」とし、関ジャニ∞の広告塔の起用を継続、と訴えました。しかしそもそも関ジャニ∞も名称を変更する。あの記者会見も、NGリストなどが出てきて、まったく前進したと国民にはみられていない。結論ありきで、早々に答えをだす。吉村氏の悪い癖、イソジンと同じようにこうと決めたら邁進する、間違った結果であっても関わらず…です。
しかも万博に関して「国が主導すべき」と何様? 発言。残念で、ろくでもない人物であることが、ここ数日の発言からも露呈します。この共同代表にして、この議員あり。馬場共同代表も、相変わらず醜聞の説明から逃げ回り、党としてのガバナンスの低さも顕著です。こんな政党が日本の野党第一党を狙う、などという時点で、この国の不幸なのでしょう。万博が、反駁になればよいですが、未だに質の低い大阪人が、中央にモノを申した橋下氏かっこいい、の印象だけで維新を応援する形は変わらず、安泰というのが残念です。



ジャニーズ事務所の再会見

NGリストが取り沙汰されますが、PR会社では常識、という。逆にいえば、PR会社に仕切りを任せた時点で、ジャニーズ事務所の悪質ぶりがきわだちます。まず問題は、一社一問、という質問形式は追及される側にとって、極めて有利です。適当にはぐらかし、答えをしなければ次にいく。結果、その方式を選択した時点で、ジャニーズ事務所の底意地の悪さが浮かぶのです。そして井ノ原氏が「ルールを守ってください、子供たちもみているから」などといい、拍手が起こっていましたが、これが最悪の行為ともいえます。
理不尽な校則に悩む生徒が、周りがみているからルールに従え、と言われてどう思うのか? それとも井ノ原氏は、このルールが正当だと思っていたのか? 自分たちに有利なルールを押しつけ、それを守らせることに「子供」を出汁につかった。最悪です。出直しを図るなら、むしろジャニーズ事務所の圧力に屈せず、報道した文春、実話ナックルズなど、一部のメディアにのみ、質問を赦す。他のメディアが質問をする場合は、そうした媒体に事前に要請する、といった形でよいでしょう。そうすれば対話形式で、不明瞭な回答にはさらなる突っこんだ質問が可能です。そもそもグルだったメディアに質問させる時点で誤りです。

名称を変更する、などという話もでてきましたが、それが補償を請け負う、という。ただそこには収入がなく、まるで損切りのためのダミー企業のようです。新会社と所属タレントはエージェント契約を結ぶ、としますが、そもそもメディアへの圧力という話に回答はなく、辞めジャニの扱いさえよく分かりません。未だに元SMAPの三人がCMか、Eテレの出演にとどまるのはナゼか? 考えるまでもなく、自分たちが辞めジャニになった時のリスクを誰もが意識する。それを踏まえてのエージェント契約である点が悪質です。
タレントとして活躍していたときの生涯年収を考えれば、最低でも3億円以上を準備する必要があるでしょう。そうなると、軽く1000億円を超えます。それを収益のないSmile-up.なる企業で代替する。まずムリで、早々に倒産するでしょう。ジュリー藤島氏の嘘が、すでに多くで指摘されていますが、メリー藤島氏が亡くなった後も『ジャニーズのやり方』を引き継いでいたことは明白で、ジュリー氏も賠償の責任は免れません。ただ株主の座にとどまる、といっても株以外の個人資産への打撃はない形です。不正に蓄財したものは没収されて然るべき。むしろジャニー氏の相続問題をふくめ、ジュリー氏が私財を投げうつ形でないと、国民の納得は得られないでしょう。問題の切り分けがいつまでもできない、これも最悪といえます。

相変わらず「タレントに罪はない」という人もいますが、そんなことはありません。社長が性加害をする企業に、自分の子供をあずけたいと思うか? つまり新しく事務所に入る子供、親に対して、この事実を知っていた人はずっと加害者です。そして昔から活躍するタレント、俳優などが「知っていた」というように、本人たちが知らないはずもない。問題は、それが事務所の圧力があって、沈黙せざるをえない状況にあったかどうか? ですが、今のところそうした発言はありません。つまりずっとグレーなままです。
さらに、メディアがこの問題で検証を一切していない。なぜジャニタレをつかうか? なぜ隠ぺいに加担したか? 大審院判例がでた後も、です。そして辞めジャニを使わない、SMAPが解散したとき、三人のレギュラー番組が一斉に終了した。ナゼか? そうしたことに答えがでていません。つまりこの問題は、ジャニーズ事務所が会見を開くばかりでなく、メディアの検証がないと終わらないのです。政治の側からは、例えばTVには公共である電波をつかう価値なし、として電波を止めるなどの強硬な策が必要なのでしょう。未だにジャニタレを広告塔につかう省庁もありますが、国もグル? と思われたら、この問題はずっと尾をひき、終わらない問題となります。早期の幕引きをはかるためには、すべての膿をすべての組織、タレントまでふくめて出すべきで、この問題では「関係者全員が有罪である」となるのです。



米下院議長の解任

史上初の下院議長の解任です。恐らく、マッカーシー氏を選ぶときも、大モメしたように、しばらく下院議長は決まらないでしょう。その結果、来月のツナギ予算が終了した途端、政府機関の閉鎖などの問題が起きることでしょう。トランプ前大統領が「なぜ民主党と戦う、一体となれないのか?」などと述べていますが、それは少数が我を張ってスジを曲げないから。調整という意味を見失ったら、誰もついてきません。
これは日本も同じ。野党は戦うべきときは戦い、調整するときはする。その匙加減を間違えないかどうか、です。トランプ氏はそこをずっと間違えている。詐欺師は決して自分が悪い、とはいいませんが、まさにその典型です。そのせいで、議会が調整能力をなくしている。それで政治不信が高まり、バイデン政権が追いこまれ…という、これは米国の不信にもつながる事態です。政治の場に、詐欺師がまぎれこむ。直近の日本でも、与党の中にそういう議員がいましたが、まさに危険な事態が進行中でもあるのでしょう。



日銀短観と、2024年物流問題

短観では先行き指数で、大企業非製造業が悪化する以外、そこそこの数字でしたが、ほとんど市場に材料視されませんでした。先行きは低めにでがち、などという人もいますが、先行きの暗雲がどうなるかは予断を許さず、企業が楽観できなくて当然です。破裂したら、世界経済さえ危ないぐらいの問題なのですから。しかも、日本ではどうしようもない問題、中国不動産や米景気失速で、企業は様子を見るしかありません。
ただ日本で、対策をとれるものが2024年物流問題。余計なことをして、混乱を生むというランスの法則を地でいくものですが、労働環境を改善しようとしたら、労働者は労働時間が下がって給料が下がる、物流を依頼する側も台数が減る、過当競争となって輸送代が上がる、などの問題となって跳ね返ります。この問題は、まずなぁなぁの慣行だった荷受け時に、ドライバーにその作業をさせる、といった慣行を改めたり、他に手はいくつもあったはず。分かり易く、分かり易いところだけ手をだしたことが大問題なのです。

こんな大きな問題が横たわっていたら、それは企業も楽観できないでしょう。その解決策、というのがまた酷く、岸田政権は何を見て、聞いて、この対策を考えたのか? 速度制限を上げるとか、何だか場当たり的で、岸田氏お得意の考えなし、その場限りで調整しようとする、悪い癖がでているような印象です。
インボイス制度でも、零細企業がバタバタ倒れていくと、結果的に企業は高いお金をかけて仕入れたり、輸送費をかけたり、色々と不都合が生じるはずです。その効果が表れるのが来年、企業が慎重にみる要因ともなります。そもそも、インボイス制度は逆。消費者は必ずモノを買うときは食料品は8%、それ以外は10%の消費税を払います。企業間だとそれがトータルで10%で…などと、訳の分からない面倒なことをしているから、抜け穴になるし、そこを塞ごうとして制度をつくったら、零細企業に厳しい制度になってしまうのです。制度全体がおかしいのに、余計な手をだして混乱を招く。これをランスの法則と呼びます。



日本の労働市場、賃金などの問題

岸田氏は「持続的な賃上げ」を訴え、自民総裁としては16年ぶりに連合の会合に出席しました。しかし日本にはそもそも大問題が根底にあり、賃上げしにくいのです。まず日本では転職をすると、一生で受け取る報酬の額が多くの場合で下がります。高い給与の職場に移っても、です。それは定年退職をすると、退職金や年金などの上乗せが大きくなるためです。日本ではリスキリングも叫ばれますが、結局この構図が転職や、学び直しといった労働側の動きを抑制してしまい、労働の流動化がずっと上手くいきませんでした。
これは昭和の時代までは上手くいった。しかし退職者が多くなり、かつ長生きすると企業の負担はずっと重くなりがちです。さらに、退職金や年金に上乗せする分が、賃金が上がるとさらに高くなってしまう。企業はそれを嫌がり、賃上げに後ろ向き。つまり労使ともども、この定年退職で旨味、という本質を変えない限り、賃上げもしにくいし、労働の流動化も起きない。今稼いでいるものは、今労働者に還元する。この仕組みをとり入れない限りは絶対にムリ、といえるでしょう。まさにNISAなど、そのための制度にすべきですが、残念ながらNISAはそれに資するものではありません。結果、労働市場が停滞するのです。

これは最低賃金も同じ。岸田政権は上げればいい、というスタンスですが、そのため働く場所が減るのであれば、意味がありません。岸田政権の場当たり対応では、表層的な問題を解決しようとして、結果的に問題の根を大きく、深くしてしまいます。最低賃金を上げるのなら、年収の壁も上げないといけない。インフレ下で、壁の位置が変わらないと、結局は労働力不足を招く、という悪循環に陥るでしょう。
米国ではレイオフしやすい、日本でも…と語る人がいますが、定年退職優遇制度をつづける限り、レイオフという大ナタをふるった途端、大問題が発生してしまいます。労使とも、定年退職を是としてすすめてきた、これを変えるのが朝令暮改では大混乱となるでしょう。少しずつ社会に打撃を与えないように変えていって、恐らく二十年以上のスパンで見直すのなら、今から手をつけてもいいでしょうが、そんな改革の知恵は岸田政権には持ち得ていない。残念なのは、官僚にもそうした知恵がないので、この国は必ずランスの法則による「うまくいっていることに手を加えると、混乱を招く」に当てはまってしまうのでしょう。



為替介入はあったのか?

3日23時過ぎ、1$が150円を突破した瞬間、147円台まで一気に円高になる、急激な動きがありました。日銀の外貨準備があまり変化しなかったから、介入はなかった、との見方が市場では支配的ですが、私は逆の見方をしています。つまり150円を突破させるよう、円安方向に最初は売りを入れ、その後すぐに買い戻す。つまりすべてが財務省、日銀による操作で、そのため外貨準備がほとんど変動しなかった。市場はこの急激な動きをみて、慌てて円売りを手仕舞うアルゴリズム取引がおきて、大きな動きになりましたが、財務省としては脅し、威嚇効果が高まって、シメシメ…というところでもあったのでしょう。
そもそも、神田財務官のいうように「急激な動き」というなら、この23時過ぎにおきた急激な動きこそ、警鐘を鳴らさないといけないはずです。それなのに「コメントを控える」という。偶々、市場の脅しになったからそれを利用する、というだけなら、これほど酷い話もないでしょう。今週に入ってから、神田氏は「年初から20円近い円安」という文言を付け足すようになりました。それが介入のサインだったのです。

つまり3日の動きは、年初は131円だったので、そこに接近した。20円を超すことがないよう自作自演をした。現状、148円台で留まっており、今日の米雇用統計でふたたび149円乗せとなっていますが、もしそれを待っていたら150円などとっくに突破していたはずです。ただ、もしこの一連の流れが事実だった場合、国際社会からの反発はかなり大きくなるでしょう。これは口が裂けても言えないような話です。
しかし残念ながら、日銀がインフレを目指す以上、円の価値はずっと下落していくので、欧米のインフレに日本のインフレが勝つと、計算上は円はもっと、もっと安くなります。最終的には、日銀が態度を見直さない限り、ずっとこの問題はつきまといます。一体、後何回の介入をするのか? 今はその方が問題となっており、日本の信用と、口先のごまかしがいつまで利くか? それ次第となっているのでしょう。



日本株の急落

急落、としましたが、実は9月6日の一ヶ月前から、日経225は2000円以上の下落となっており、今週急に起きたわけではありません。しかもここ一ヶ月の間、14、15日に合計800円高など、岸田新内閣ご祝儀で、国内勢が先物買いを入れたことで大きく切り返した。5日の相場も、野村が一手買いで500円切り返すなど、基調はずっと海外勢の売り、国内勢の対抗買いで、実はここまでもっているだけです。恐らくツーリズム投資家、などと言われた日本をよく知らないまま、ムードで買った外国人が、今は売っている。ドルベースの日経平均が購入価格を下回り、日本儲からない、と感じてお帰りになっている、が実情です。
やっと円安は株価にマイナス、と主張する人もでてきていますが、4月以後の外国人の買いは、実は日銀が動いて円高にすすむ、との観測も手伝っていた。円安にすすむと、為替効果で投資効率が悪いのですから、日本が円高に向かわないと、日本は買いにくいのです。国内の証券アナリストはよく「円安で業績が改善…」などと言って、株高だと主張しますが、外国人投資家の見方はまったく異なるのです。むしろさらなる円安が予想され、日本から逃げだしている。それがここ最近、起きている外国人投資家の売りです。

金融トップが官邸に集結、などといっても、裏でこうした動きが起きていることを忘れてはいけません。結局、日本では「貯蓄から投資へ」などといっても、構造的に年金では生活もままならない。そういう個人が多く、預金を取り崩すことにも慎重です。それは長いことデフレだったから、ではない。そもそも日本の投信、その運用成績はあまりよくありません。それはテーマ性を重視して資金を集めますが、そのテーマは一年も、二年もつづくものではない。結果、ブームの時は上げますが、それが過ぎると株価も弱含む。今のような、お題目投信が並ぶような現状では、まず投資にかけたい人は少なくなってしまいます。
次に、未だに「政策に売りなし」などと、経済政策を打つときは買い、などという人がいますが、これもデフレ脳です。インフレ下では下手な財政政策は、さらなるインフレを招く。政策効果が低くなるばかりか、全体相場を悪化させるリスクとの裏腹です。インフレ下では、財政政策すらその効果をしっかり見極めないといけない。こうした指摘を、しっかりできる人が今の日本にはいない。むしろ金融の勉強を、市場関係者が改めてうけるべきで、そうでないと信用も失墜し、ますます投資に人は向かわないのでしょう。何しろ今週の頭で、日経の某番組で株主アナリストに今週末の株価を聞いた、という話で、今日の終値を32500円などと予想する人までいた。週の動きでここまで外していたら、もう証券アナリストは失格です。

しかも指摘しているように、外国人投資家の売りは一ヶ月前から起きており、今週になって急に起きたわけではありません。自分が買いにベットするから、上値予想だから、そろそろ下げ止まるだろうなどという判断が働く時点で、適任とはいえません。問題は、先週も指摘した通り、いつこの外国人投資家の売りが止まり、買いに転じるか? 現状その転換になりそうなイベントは、米雇用統計を過ぎて、中央銀行の動きを見極めるステージに入っています。そして外国人投資家が、TOPIX先物を見切り売りするか? 買ったものはいつか売るでしょうし、今はもうTOPIX型でもドルベースのプラス効果は危うくなっています。
中央銀行の動きが、自分たちの期待するものでなかった場合、もう一段の下げもあるでしょう。それを出さないようにするために、日銀は緩和を継続するにしろ、見直すにしろ、もっと市場との対話を増やさないといけません。日本では、まず岸田氏の発言が薄っぺらい。植田氏の発言が奇怪。という最悪の状況です。植田氏の場合、黒田時代の上から目線で居丈高、という最低の記者会見からは、少し進歩したとの評もありますが、まだまだ努力しないといけません。そうでないと、貯蓄から投資どころか、巨悪から逃避、として日本を脱出する層が増えるだけでしょう。巨悪=円安で、日本で働いても世界的にみて、安い賃金で働かさせる。そう考える層が増えており、ここで変えないともう手遅れかもしれない。日経平均3万円の壁は、意外と低いのであって、そこを割れると個人投資家の損切も増えるでしょう。正念場、というところまで来ているのでしょうね。

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2023年09月29日

9月5週の動き

岸田総理は経済オンチ

大型の経済対策、と銘打ってでてきた5本柱は1.物価高対策、2.中小企業の賃上げ、地方支援、3.成長力強化の投資促進、4.人口減少対策、5.国土強靭化でした。4も5も経済対策ではなく、超長期における成長戦略であり、補正予算でやるべきではなく、通常予算に入れるべきものです。1は言うまでもなく、インフレに財政を吹かす愚策。これではインフレをさらに悪化させます。2はインボイス制度も含めて逆行するものを、どうするのか? 3は下手をすれば日本を破壊する、需給バランスを大きく崩す可能性を秘めます。
3を簡単にいえば、例えば半導体。以前も述べた通り、内製化を進めても需要がそれに見合うかどうか、そして需給バランスが崩れたときにどうするか? スマホやノーパソ、コロナ禍で需要が拡大し、供給不足に陥った後、一転して今は供給過多で半導体業界は苦しみます。米マイクロンなど来年こそ黒字、と期待したコメントをだしますが、微妙なところです。同じようにEVシフトは一気にすすみ、そのために半導体が必要ですが、それが一巡したときにどうするのか? 日本はかつて、米国の圧力に屈して半導体業界を壊滅させた。そんな国が内製化をすすめても、需給が崩れて企業が弱ったとき、国策企業を救うのか? という議論となるでしょう。

2は円安インフレで、中小企業は壊滅的です。なぜなら輸出メリットはほとんどないから。原材料高や、電気、ガスといったランニングコストの上昇、そこに人件費高騰のコストを乗せるのか? 少なくとも円安牽制や、口先介入、その先にある円買い介入まで含めて踏みこんだとしても、中小企業支援にはならないでしょう。円買いの原資は、財務省が保有する外貨準備としての米国債。それを売れば米金利の上昇を促しやすくなり、金利差拡大による円安が引き起こされ易くなります。以前と比べて金利差がより影響するようになり、外貨準備を米国債として保有することすら、今は疑問符がつく時代となってきているのです。
岸田首相はコメントで「適温経済になった」と発言しましたが、正直経済を知らない人だ、としか感じません。少なくとも日銀が異常な金融政策から脱したとき、初めてつかえる言葉です。一方でぶっといチューブから栄養剤、カンフル剤の点滴を受けておいて、元気だと威張るようなものです。しかも体の一部は熱に冒され、そのカンフル剤のせいで調子が悪くなっている。飲食業がここにきて、ふたたび閉店の波が襲っていますが、そうした小売りへの卸業も危なくなっている。経済がおかしくなっているのに、それを医者にみせるべき総理が症状への自覚もなく、さらに直すべき医師がヤブ、というのが今の日本なのです。

経済対策なのに、なぜか日本の超長期の国の形を正していくものが並ぶ。短期で成果もみえず、変化も感じられない。地方支援だといいながら、金融特区は東京、大阪、福岡などの大都市圏。金融特区こそ地方におくべきで、それこそネット環境さえあればどこでもできる。大都市圏の方が、そうした準備が進めやすく、だからそこに権利を渡す、という岸田氏の考えの浅はかさ。英語で手続き、なんて言っていましたが、岸田氏や麻生氏の英語だったら、外国人が裸足で逃げだすレベルで、そんな特区を細々と、大都市圏に分散させるのではなく、ネット接続によって一箇所で集中した方が、よほど利を得やすいといえるでしょう。
恐らく、やること為すこと場当たり的で、パートの年収の壁も2年の時限措置など、日本を本気で変える気はない、その場しのぎをする、というのが岸田政権の本質のようです。だから超長期の成長戦略が、短期の経済政策に入ってきてしまう、というトンチンカンが起きるのでしょう。やっている感も場当たり的、国民が何となく不安に思うこと、問題と感じることを入れておけば、評価される、とのカン違いをしても平気なのです。本当に、岸田氏というのは残念な人なのでしょう。東大出身で、自らは頭がいい、と自負もあるのでしょうが、とっても頭が悪いことをしていることに気づけない。自負心の強い人にありがちな、間違いをみとめられない、指摘されるのを嫌うタイプだから、周りもその愚を指摘できないのです。



自民党議員の醜聞アラカルト

岸田氏が代表をつとめる選挙区支部が、政治資金収支報告書に寄付金を不記載にした問題で、訂正を指示した、といいます。党総裁がこの為体ですから、それは公共事業受注団体から、献金を受けても「分からない」などと、法を守れないことをあたかも当然であるかの如く語る、萩生田政調会長のような人物もでてくるわけです。自分の財布すら管理できない人々、入出金すら管理できない人々が国の中枢にいます。
風力発電企業からの受託収賄で、起訴された秋本議員はコロナ給付金の不正受給にも携わっていた、という。もう詐欺師の在り様です。そんな人間が堂々と、議員をつづけていた。しかも与党にいた、というのが致命的です。国の中枢に、詐欺師が雑じっている。詐欺師が大統領にまでなった米国よりはマシですが、以前から自民党の議員の質の問題については、そのレベルの低下が問題視されている状況です。

そんな中、細田衆院議長が議長を辞任の意向、と伝わります。言わずと知れた故安倍元首相のいた派閥の元領袖、安倍氏も細田派の議員でした。その細田派は統一教会と密接で、主張も政策も、統一教会と瓜二つ、それを追及され、またセクハラ疑惑が報じられての体調不良で、そのまま議長を辞任する。間違いなく表舞台に立ちたくなく、また統一教会との関係の説明も拒みつづけるように、矢面に立つのが嫌。ドリル優子氏といい、甘利元経産相といい、自民の政治家はよほど人には説明できないことをしているようです。
そんな中、自民の谷川とむ衆院議員が、かの統一教会系雑誌に寄稿しています。無所属の会で、安倍派でもありませんが、高市経安保相も無所属なので、統一教会に縋りたいのは安倍派に関係ないのかもしれません。ただその主張が稚拙。この雑誌のレベルに合わせた、という感じなのか? 稚拙だからこの雑誌に寄稿しようと思ったのか? いずれにしろ日本の保守を名乗る政治家、政党は統一教会とべったり、ということを改めて感じます。作家の百田氏など、日本保守党を名乗って「フォロワー数は自民越え」なんて鼻高々ですが、フォロワーにまでなる人は、宗教的な紐帯と似るのであって、ますます統一教会の匂いがぷんぷんです。自民党=統一教会、の構図は、むしろ強化されていうことをこれは意識させる動きです。



政局と失言

麻生副総裁が、安保3文書を巡って公明を「がん」発言し、すき間風が通り抜けます。せっかく東京選挙区を手打ちにしたのに、公明としては返す刀で唾を吐きかけられたよう。しかし自民としては、統一教会票が怪しくなり、保守層に売りこみたい安保3文書。でもそれを公明が邪魔するから大したものができなかった、と言いたい。しかしスケープゴートにされた公明は、怒れる創価学会を抑えるのが大変、という感じです。
そんな中、連立入りをめざす国民民主の玉木代表が、某メディアで所得税減税を提言、という。しかしそれなら年収の壁をふくめ、トータルの提案でないとおかしいですし、所得税減税は高所得者ほど恩恵が大きくなる傾向もある。なぜ消費税減税や、揮発油税といった税体系上に問題を抱えるものではなく、所得税減税なのか? 結局、玉木氏も統一教会の近さを期待する政治家、ろくな提案がないのが玉木に瑕です。

維新の前川衆院議員が議員辞職です。公選法違反で公判中で、2審有罪判決をうけたものですが、維新の議員はろくでもない、という認識をさらに強めます。大阪万博も国頼り、そういえば、明治維新を成し遂げた維新政府も、国を運営する力がなくて、徳川幕府の旧臣をかき集めて、何とか行政をまわしていた、とされます。維新も結局、そういうダメ政治にしかならないことを、万博で露呈する。維新としては阪神、オリックスのリーグ優勝で、今ならノリノリで選挙できるのでしょうが、関西の順風はそう長く吹きそうにありません。六甲颪は六甲山を越えてくる北風、時間が経つと冷たい逆風に切り替わるのでしょう。
そんな中、岸田氏が連合大会に出席を予定、とされます。統一教会離れで、票が期待できなくなって連合に近づく。連合も、最近の官製談合に期待したい。でも官製談合はそもそも民間介入であり、かつ効果は大したことない。実質賃金のマイナスがつづくように、労働者にとってインフレ指向の岸田政権では、ますます自分たちが貧しくなるだけです。色目をつかって両にらみにすれば、ますます組合員離れを起こし、影響力を失う。今回の経済対策に、大企業支援が含まれず、連合に多い大企業につとめる労働者にとって、それほどあり難くない岸田氏に、どこまですり寄るか? 欲目になったら連合は滅びの道に入るのでしょう。



為替介入はあるか?

あるかどうかは、岸田政権の思惑一つですが、できる状況かはNOです。G7でも急激な変動には実弾をみとめますが、今回のようにゆるゆると対ドルで150円に近づくと、急な変動にはならないため国際的な介入はみとめられません。それを見透かされ、鈴木財務相の口先介入は何の効果もない。それはいくら介入しようと、文言で介入のタイミングを計られ、今はまだ大丈夫と市場から高をくくられているからです。
むしろ日銀の植田総裁がいつ動くか? 8月までは賃上げの様子をみて…という審議委員の発言などで時間軸効果を狙っていましたが、逆に円売り安心感につながり、植田氏が9月に読売のインタビューで流れを転換しようとしたものの、口先介入の効果は薄かった。その口ぶりでは、年内の引き締め転換への期待が、逆に喪失してしまったのです。植田氏の次の一手は、10月の展望リポートで物価見通しを高くすること。すると早期引き締め懸念が働き、円安を抑制するでしょうが、恐らく株価は大きな調整となってしまうでしょう。

安倍ノミクス時代、つまり黒田総裁時代には、為替介入どころか株価介入を繰り返してきました。下がったときだけETFを買う、というとんでもない政策です。日本は市場経済ですが、介入に対する国民の意識が薄く、官製で相場操縦することに抵抗がない。しかしこれは国際社会で通用しません。果たして為替介入がこのタイミングでできるか? やったことによる副作用、国際社会の反発も考えないといけないのです。
岸田政権も、資源高と円安が同時におこる現状は、かなり危険だと感じているからこそ口先介入を繰り返します。ただそれを是正する術をもち得ていない。あくまで海外の情勢変化頼みで、日銀を動かしたくない、が本音です。それが待てるのか? 待てないときに為替介入の手が浮上しますが、今はそれすら難しい。打つ手がない、日本経済の根本をこれは示すのであり、打つ手をみつけられない岸田政権という側面でもある。鈴木財務相や、神田財務官の顔がたびたびニュースになるとき、嫌な気持ちにさせられます。



米政府機関の閉鎖

恐らく、今のままなら来週あたりから随時起きるでしょう。ただ、米国でもそれが長期化しなければ問題なし、の認識であり、それが逆に政治の緊張を失わせています。トランプ支持派による硬直した態度が、すべての元凶ですが、もう一つはバイデン政権のバラマキ体質に、きちんと楔を打たないとダメ、という意識も手伝っている。だからトランプ支持派も強きであり、解決の道を遠くしています。
恐らくこの閉鎖が、一ヶ月で終息するか? そうでないと、とんでもないことになりかねない。逆にいえば、市場が解決を促さないとそうなるのかもしれません。だとすると米株は、結構な下押しを余儀なくされるでしょう。その前に解決することがベストですが、残念ながら大統領選も控え、訴訟合戦にも発展する今の米株に、政治的な妥協や合意を促す動機がありません。混乱を経験しないことには収まらないでしょう。



中国の国慶節

残念ながら、中国ももろ手をあげて歓迎するムードではなく、恒大集団を巡る問題ばかりでなく、不動産市場が弱含んでいる現状は、逆資産効果による景気下押しの影響が強くなっています。恒大だけで9兆円の訴訟案件とか、色々とでてきますが、中国一国で数兆円が消えたとき、他に波及しないはずがありません。
未だに中国不動産問題は、リーマンショックとちがう、などと語る人もいますが、これは当たり前で、中国不動産問題はサブプライムローン問題と一緒です。それが金融へと波及するかどうか? 現状、中国共産党は金融機関に、デベロッパー支援を指示しており、逆にそれが金融不安へと波及する懸念を強めています。不良債権を金融機関が大量に抱える懸念がでてきているからです。破綻しないようにすることが、結果的に国ごと破綻する懸念へと格上げされる。今はそれが起きるかどうか、を試されている時期です。



日本株の動き

今日は少し、詳細に見ていきたいと思います。まず25日、日本株は反発しましたが、一部メディアで「海外勢の先物買い」と説明するものがありました。しかし実態は野村による日経225型の大量買いが主因でした。嘘をつく必要は一切ありませんが、よほど隠しておきたいのか? そういっておけば角が立たない、とでも言うのか? いずれにしろ本質を語らないメディアに、経済紙を母体とする、と名乗る資格もありません。
先週は海外勢が大量に売りました。先物、現物ともで、長期投資家も日本を売っている。恐らくインフレと、金融緩和が同時に起こる日本に、経済がほぼ破綻しているトルコなどと同じ匂いを感じ始めたのかもしれません。円安改善期待で、これから円高になるのなら、為替の効果で投資効果も高いですが、日銀が動かないとなれば、ますますインフレがすすみ、円安と同時に日本に投資資金を置いておくと、損をします。

ドルベースの日経平均は、海外勢による採算価格を下回っており、日本をオーバーウェイトする理由もないのでしょう。問題は、岸田氏がNYで講演をした後でこれであり、海外勢の日本への期待の剥落が顕著です。そんな中、相場の中で「PBR1倍割れの改善期待」という上昇理由が語られました。一部で正しいですが、一部では誤りです。これを材料に、アクティブETFの組成が相次ぎ、その資金流入によって相場が押し上げられた。相場は新規資金が入るときは上がる、これは絶対の真理です。要するにこうしたムードに乗ったから上がった。しかし資金の流入が細り、調整局面が強まった。それがここ数日の動きです。
先週も語ったように、日本人は配当権利に拘りますが、海外勢は大きな期待は抱きません。先週は個人投資家の買いに支えられたのも、その影響でしょう。そしてそこには、配当の再投資への期待もあったはずです。しかし28日の相場はそれを裏切った。基本、年金は株価が上がり過ぎているため、再投資はしたくありません。そしてETFなどが増えると、再投資は入りにくい。組成したところが再投資を約束していればそうなりますが、それは条件次第です。28日の前場、先物の大量売買が観測されたことも話題ですが、再投資が入らず、早めに手仕舞った動きもでたのでしょう。権利落ち前の水準に一度もタッチせず終わりました。

29日も、第3四半期の終わりなので、ドレッシング期待もありましたが、どちらかというと銘柄入れ替えのインパクトの方が大きかった。海外勢からみて、日本はすでにドレッシングが利く状態ではなく、手放すところが増えているのが現状です。「新規資金の入るときは上がる」という、相場の真理からすると、今の日本は上がりにくい状況、ということです。では、外国人投資家がいつ戻ってくるか? 今は予定も立ちません。
恐らく円安修正が始まらないと、外国人投資家にはメリットが薄い。一方で、円安修正によって日本経済が落ちこんでもよろしくない。円高株高が実現しそう…との認識が広く行きわたらないと、日本買いにはなりにくいのでしょう。では、その時期は? というと見通しも立たない。日銀がいつ動くか? それ次第ですが、そこを植田氏がはぐらかし、政治の圧力はずっと緩和方向。これが株高を阻害する要因なのです。

年末の株価に35000円程度、もしくはそれより上を示す人も多い。しかし海外勢の今の動きは、明確にそれを否定します。恐らく今週も外国人は売り、国内勢は買い、の構図がつづいたでしょう。それが国内勢の高値掴みとなったら、逆にいつ処分、見切り売りをだすかによっては年末も弱含むことになります。正直、今年の年末は3万円がキープできれば御の字、原油高がすすんだり、世界情勢の変化が悪い方向で起きると、それこそ27000円程度は下落してもおかしくありません。今の相場は、業績見通しさえ高めに見積もっており、その修正がすすむだけで、それぐらいの下落は覚悟しないといけないのでしょう。
日本では年末より年度末への思惑が強いですが、だから買い方の筆頭に国内勢がいる現状、年末への期待も高まらない、ということです。逆に考えれば、年度末がどの水準か? それは先送りになってきた、中国不動産問題や、米景気失速がいつ発動するのか? にかかってきて、それはまだまだ不透明です。来年のそうした不透明感を、年末が映すのならもっと弱含むこともあり得るので、努々これからは簡単な相場ではないと意識しておくべきなのでしょうね。

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analyst_zaiya777 at 23:47|PermalinkComments(2)政治 | 経済