2017年01月20日

安倍首相の施政方針演説

通常国会が開会し、安倍首相の所信表明演説が行われました。明治維新から約70年で焼け野原となり、再スタートし、それから70年かけて復興した…で始まりますが、だから2019年からさらに元号を変えて…との野望が見え隠れします。もう一度スタートラインに立って…との言葉は、まさにそれを示しますが、それを『憲法改正』をすれば何とかなる、としか思えない中身が、この後につづきます。
日米同盟の項では、辺野古移設に関して「『最低でも』と言ったことすら実現せず…威勢のよい言葉だけを並べても、現実は1mmも変わりません」と、自分たちは結果をだした、とでもいいたげですが、未だに沖縄との係争はつづき、結果など残してすらいません。北部訓練場の返還は安倍政権の前から決まっていたこと。安倍氏に返す言葉は「民主党政権のころのことを批判しても、現実は1mmも変わりません」です。何かというと「民主党政権のころは…」と使いますが、過去を論っても現実は何も変わっていないのです。

地球儀俯瞰外交の項も、随分と言及が少なくなったように感じますが、「TPP、日EU・EPA、RCEPなどで交渉をリードし…」と語りますが、前2つは暗礁が伝わり、RCEPは日本が出遅れ、中国に主導権をにぎられた状態です。日露、日中韓にもふれていますが、5年目を迎えてどれも停滞、もしくは再スタート。積極的平和外交って一体? との疑問符の方がつよくなる。地球・疑問外交、もしくは地球・義務感外交、といったところです。
安倍ノミクスの成果も語りますが、これまでも散々とり上げてきたので詳細は割愛しますが、物理学者デニス・ガボールの言葉「未来は予言できない。しかし創ることはできる」を引用しています。日銀の膨大な資産を『創る』ことで、景気をよくみせかけただけであり、未来を予断するなら日銀が苦境に陥り、日本経済全体がおかしくなることでしょう。

地方創生では岡山県の味野商店街をとり上げますが、政府の成果でも何でもない。自民政権がよくやる他人の褌を、まるで自分の褌のように語ることの一つで、逆にいえばそれ以外に語る例すら見当たらないのでしょう。これは農政新時代の項でも、農政は全農改革で達成する、としか読み解けない。地方創生に妙案なし、これが実態でもあるのでしょう。
全体的に、安倍政権になる前からつづけてきた施策もとりあげ、成果のように語るなど、民主党政権のころ…という割りに、イイトコどりだけが目立つものです。しかし学制の序文「学問は身を立つるの財、本とでもいうべきもの」を引用し、経済的に厳しい学生に1学年2万人規模で、月2〜4万円の返還不要の給付金、とします。しかしその程度で、どうやって就学できるのか? 甚だ疑問です。それなら高校無償化でもよかったはずですし、返還が必要な給付金などで、卒業後に苦しむ学生がいることが問題なのですから、尚更対策としては手抜きです。イイトコどりしても、結果は悪くなっていることも多いのです。

最後に、ハマグリを土産に持ち帰り、食べるのではなく土佐の海に撒き、それが未来をつくった話をもちだし、未来を拓く行動だとします。そこで「批判に明け暮れたり…プラカードを掲げても何も生まれません…真摯かつ建設的な議論を…」と野党に求めますが、野党から何かを言われると、必ず「民主党政権のころは…」とつかう安倍氏に、そっくり返される言葉なのでしょう。政権政党が建設的な議論をせず、拙速に国会で採決してしまう。先の臨時国会では、会期が短いだけにそんなケースばかりでした。ハマグリ、その貝合わせが上手くいかない、から転じて『ぐれる』という言葉になりました。これは悪の道に走る、ということと同時に『見こみが外れる』も意味します。すでに外交、内政とも見こみ違いが多数散見される安倍政権、土佐を例にだしたのは幕末維新をイメージさせたかったのでしょうが、土佐藩出身の坂本竜馬が目指したのは、旧体制の改革。旧体制である自公政権を討幕して再スタート、との印象の方が、より強まるような演説になっている、ともいえるのでしょうね。

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2017年01月19日

TPPの国内手続き完了へ

神奈川県の小田原市の生活保護担当の職員らが、「生活保護なめんな」と書かれたジャンパーで業務にあたり、市が謝罪しています。この問題で感じることは、市民と一番触れ合う機会の多い職場が、市職員にとって懲役、島流し、と卑下される立場にあることが如何に悲惨か、ということです。逆に見れば、市民より業者と会う機会の多い職場が天国、ということが如何に危険か。市民の中には、確かにモンスターと称される部類の人もいますが、それこそ職員を増員し、きちんと対応できる体制をとらなかった、市の責任がそもそも大きいのです。
しかもモチベーションを上げるのに、市民にその牙を向ければ、当然批判されます。本来は市の体制が整っておらず、担当者に多大な負荷がかかっていること、が問題のはずなのに、です。そもそも不正受給とされますが、支給していない段階では不正受給には当たりません。支給した後、不正があったと認められるので不正受給になるのです。審査の段階できっちり調査し、支給しない理論武装を整える。そのための人員をしっかりと確保し、不正受給に至らない仕組みをつくる、という市側の対応がなく、不正受給者の攻撃ばかりに注力すると、正規にうけとる資格がある人まで萎縮させてしまう、だから批判されるのです。モンスターが問題だ、担当者の負担が大きい、はこの場合において『だからジャンパーをつくっていい』という理由には一切ならない、ということです。

20日にTPPの国内手続きを終了し、取りまとめのNZに通知することが判明しました。トランプ氏の米大統領就任前、悪く言えば当てつけです。その20日にトランプ氏はTPP承認せず、と宣言すると伝わるのですから。しかしTPPに合意した国で、手続きを終了するのは日本が初、こんなところでも『初』に拘りますが、今後の推移はかなり厄介です。
米国抜きの11ヶ国でTPPを発効するケース。これは他の10ヶ国が輸出先としてターゲットにするのが日本だけとなり、工場の移転もすすむでしょうから、日本は安価な製品で溢れるかもしれません。それ単体ではよいことのようですが、強烈なデフレにより円高となり、また競争力の下がる国内の工場は壊滅します。日本はよりサービス業を充実させないと生き残れない、米国型の経済体制に舵を切らざるを得ず、失敗すれば貧困化がよりすすむでしょう。日本は投資や知財の分野が強いわけでもないので、TPPを締結してもメリットがないのに締結した、という最悪の展開になりそうです。

TPPが発効しないケース。これは現状維持になりません。なぜならトランプ氏は国境税を唱えており、実現すれば日本から米国に輸出するものにも税金がかかるからです。否応なく米国との新たな関係を模索しなければいけませんが、日米FTAを結ぶにしろ、TPPをベースにして、さらなる上積みを要求されることが確実で、それを呑めなければ国境税に苦しむことになる。損得は詳細をみなければはじけませんが、いずれにしろTPPをベースにするだけに、そこでの妥協がすでにギリギリだった場合、日本は相当困難な条件でも呑まざるをえないのでしょう。
トランプ氏が翻意し、米国も参加してTPPが発効するケース。ただしこれも再交渉が必要で、もし再交渉がなければ発効もしないでしょう。しかもその再交渉は、さらに米国の意向を最大限に組み入れなければいけないため、今より条件が悪化することは確実です。

日本がTPPに参加しない、という選択肢を明日放棄してしまうのであり、日本が外交的な主導権をにぎる機会を手放した、ともいえるのです。逆に、ここで最初の米国抜きで発効するケースになって、日本がそれでは嫌だ、と難色を示したところで、逆に手続きを完了した後に逃げた、として国際的な信用がガタ落ちになるだけでしょう。安倍政権の『初』もの好きのせいで、国益が著しく害される形になりそうですが、『初物に懲りて膾を吹く』ということにでもならない限り、その愚を悟ることすら安倍政権ではできない、ということでもあるのでしょうね。

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2017年01月18日

文科省の天下り斡旋

石破元防衛相がBS朝日の番組で、非核三原則のうち「核をもちこませず」は見直しの余地あり、としました。ただ、日本は米国の核搭載艦が領海を通過しないよう、特定海峡において12海里ではなく、3海里しか日本の領海とみとめておらず、中国の艦船が通過し放題ということが分かっています。つまり実は、中国が日本の近海を、それこそ対馬と九州の間の対馬海峡、北海道と青森の間の津軽海峡でさえ、公海ですから勝手に通過してもいい、となっているのです。国防、国防といいながら、実際には米国に気をつかうあまり、国防の最前線すら抜け穴だらけ、ということなのです。
玄海原発3、4号機について、原規委が新規制基準に適合するとして認可をだしました。燃料プールが数年で満杯、との話で、乾式貯蔵を検討と伝わります。乾式貯蔵はそれ自体が遮へい物であるキャスクに入れ、空冷によって貯蔵するものです。問題は、キャスクが壊れてしまうと燃料棒がふたたび反応状態になり、燃料棒ともども溶解してしまうこと。またキャスクが放射化されるため、くず鉄にもならずに放射性廃棄物になること。また恐らく空冷する際、フィルターにより汚染が出た場合も拡散を防ぐのでしょうが、大量に汚染物質がでた状態になると、フィルター交換をするため人が立ち入ることもできませんし、汚染物質を垂れ流すことになる点です。しかも玄海3号機はプルサーマル発電になるため、燃料棒はより放射線をだす状態であるため、尚更乾式では厳しいのかもしれません。
結局、上記の二点、領海の問題にしろ、原発の問題にしろ、目先のトラブルを回避するために小手先のことをしているだけで、長期でどうすればいいか、という視点がないため、国益を害しているといえます。しかも原発の再稼動は、目先のトラブルを回避する目的ではなく、むしろトラブルを拡大させるといった点において、より悪質といえます。

小池都知事が衆院選で自民党を応援、という記事が流れました。安倍首相との一対一の会談で語ったことなので、安倍氏かその周辺しか流せませんが、むしろ代理戦争となっている千代田区長選のために流された、とみられます。そうなると、自民都連辺りが流したともみられる。小池氏は自民を応援している、と吹聴することによって、自民都連が推す与謝野氏に票を集めたい、といった動機がもっとも想定されるからです。
しかし安倍氏か小池氏しか事実を知らないことが明白なのですから、洩らすとしたらその2人しかいないわけで、かつ自民にとって有利な情報でもあり、安倍氏が疑われる。それが自民にとって、どれほど利があるか? と考えれば、今回の動きは逆に自民都連の苦境を如実に示した、ともいえるのでしょう。自民都連の力は強大で、安倍氏さえ気をつかう、ともされますが、利用する側、される側、共倒れの結果しかもたらさないのでしょう。

文科省で天下り斡旋、との記事があります。前高等教育局長を早稲田大学に斡旋し、教授職に就いた、ということですが、注意すべきはこの程度よくある話だということです。そして、この指摘をした再就職等監視委員会は創設8年目にして、やっと仕事らしい仕事をした、ということ。しかも安倍政権では比較的冷遇されている文科省を相手に、です。
今回で違反、となれば関係者の処分と、各府省への勧告となりますが、過去まで遡って調べれば元官僚の大学教授など、言葉は悪いですが腐るほどいます。しかしそうしたところにはお咎めなし、さらに文科省以外の府省は、直接の利害関係にないので天下りし放題です。逆にいえば、文科省を規制することによって、他の府省の天下り先のパイが拡大する、といった仕組みもあるのです。これも安倍政権に逆らうと一罰百戒で厳しい対応をされる、と印象づけ、各府省に忠節を強いる事例ともいえるのでしょう。

しかし元官僚の大学教授など、言葉は悪いですが大して使い物にならない。優秀な大学をでただけで、通り一遍のことはできても、教育者とし相応しいわけでも、研究者として適するわけでもないからです。そしてそのことにより、授業料が上がり、若者が苦しんでいるのなら、本末転倒ともいえます。領海の抜け穴ばかりでなく、天下りの抜け穴もふさいでいかないと、国益を害しているだけなのです。再就職等監視委員会が8年ぶりに活動した結果として、さらに安倍政権強化に利用されているだけなのだとしたら、本末転倒でしょう。小池都知事との会談の話が洩れたこともそうですが、安倍政権にみられる抜け穴、それはどれも自利に対して動こうとする、浅ましさのために残されている、とさえ言えるのです。共謀罪の範囲縮小などとされますが、天下りをする官僚を国益を害す存在、とするのなら、それを差配した幹部まで含めて『共謀』した、として罪に処してもよいのかもしれませんね。

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2017年01月17日

雑感。英国のEU離脱とダボス会議

安倍首相が4ヶ国歴訪から帰国しました。今回はバラマキとともに、トランプ米次期大統領と会った、との実績を誇るトラの威を借る…ならぬ、トランプの威を借る外交、といえるのでしょう。しかしTPPの早期成立を確認しあうなどしましたが、英国のEU離脱に対して「よいことだ」などと発言する人物が、日本政府の説得ぐらいで翻意し、TPPの成立に動くはずがありません。トランプの意を変えられない、もしくはトランプの意を理解していない外交、ということにもなるのでしょう。
そんな英国のメイ首相が、EUからの離脱にむけた基本方針を語り、英国の単一市場からの離脱がほぼ決定的になりました。今後はEU側とFTA、EPAなどの経済協力をむすびながら、新たな関係を模索するのでしょうが、それで済むならそうしたい、と考える欧州各国は多いはずで、それこそ今年相次ぐ選挙で、離脱派が勢いをもつことが確実です。かといってEU側としても、英国との関係を完全に切れるか、というとそんなこともできません。

問題は、EUというシステムは加盟国すべてが幸せを享受できるものではない、ということです。富が集中する独国のような国もあれば、ギリシャのように危機から脱け出せない国もある。伊国の金融不安はずっと燻ったままで、解決の道筋さえつけられない。金融政策と財政政策を切り離してしまっているため、有効な対策もうちにくく、逆に富が集中する独国が支援や解決に向けた手助けを拒否してしまえば、苦しむ国は泣き寝入りするしかないのです。これでEUが崩壊に向かうなら、それはグローバル化の失敗例として歴史に刻まれ、今後も折にふれてとり上げられることでしょう。
個人的には、保護主義とグローバル化、どちらも行き過ぎたら悪弊しかない、と考えています。そして好景気のときはグローバル化が、不景気なときは保護主義が有利にみえる、ということでもあり、今はまだ景気後退も起こっていませんが、それは超金融緩和によって支えられたためであり、金融にかかわる部分以外への波及が少ない。そのため多くの国民が不安、不満を抱いており、それが反グローバル化の流れを生む。結果的に、どちらもより過信して邁進すると、その反動も大きくなり、より保護主義の流れが強まるということでもあるのでしょう。

ダボス会議での要人発言が市場を動かしています。トランプ政権で上級顧問になる、とされる人物がドル高牽制発言を行い、ポンド売りの流れとともに円高が加速しました。しかし今後、トランプ政権になればより強くドル高牽制をとってくるでしょう。米国で売るものを米国内でつくらせても、コストアップにより売価が上がる。輸出してその分を稼がないといけないためで、それにはドル高がネックになる。金利が上昇しやすい米国では、ドル高にもなり易いのであって、それを口先介入で止めたい誘惑があります。
しかしそんなダボス会議で、中国の習主席が「保護主義は共倒れ」と述べたのは、皮肉といえば言えるのでしょう。これまで自由主義経済の恩恵をうけ、自国は保護主義をとりながら成長してきた中国が、相手の保護主義化により、最大の懸念が生じるのですから。しかし逆に見れば、保護主義と自由主義が斑模様になると、自由主義をとる国は富の簒奪に遭う、ということでもあります。それでも成長し、にこにこと笑って許してくれていた自由主義経済の国、米国が態度を転換する、このインパクトは計り知れません。

トランプの尾を踏むのを恐れ、企業は一見するとトランプ氏に屈したようにみえますが、トランプ狸の皮算用なのでしょう。米国の周辺の国々が低成長、マイナス成長に陥れば、その影響はもっとも米国が強くうけます。米企業や金融機関は、世界的に活動しているのですから。トランプは死して皮を残すのか? むしろISILばかりでなく、中国にも不都合な存在になったトランプ氏、皮を残す間もなく暗殺される、との見方もあり、それに怯えてますます引き篭もるのなら、トランプの穴に入って得られるのは、コジレを得ず、という世界を混乱させる要因だけ、ということにもなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(18)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 欧州

2017年01月16日

雑感。トランプ氏の保護主義

豊洲の地下水でみつかった汚染、9回目にして一般入札で業者を選定したことが判明しており、どうもこれまでがお手盛り検査だったのでは? との最悪の憶測も流れます。地下水のくみ上げを始めたことで、地下水に流れができて…との推論もでていますが、地下にある砂利は本来、フィルターのように水を浄化する機能があるはずです。しかし流れができることで汚染が広がるなら、それはもうフィルターそのものが酷く汚れている、ということになる。そうなると、フィルターである土をすべて入れ替えない限り、地下水の汚染はいつまた出てくるか分からない、ということにもなります。今回、環境基準を越えているだけに、最悪でも基準値以下にしない限り、移転はできない。原因追及と同時に、対策がより困難になってきた、というのが現状でもあるのでしょう。
小池氏の築地視察で、移転派ばかりフィーチャーするよう都側が主導していたことから、ほぼ移転は規定路線かとみられていましたが、非常に難しい局面になった。それは政治的にも、です。小池氏も都議選前に決着をつけたかったものの、雲行きが怪しくなり、来年度の移転は難しくなった。予算措置もしていないことから、ほぼ1年以上先送りでしょう。千代田区長選、東京都議選、間違いなく豊洲移転の問題が争点に浮上します。

トランプ米次期大統領が、独BMWについてメキシコ工場で生産される車に35%の関税をかける、と発言しました。課税については大統領権限ではないので、実現性については不明ですが、その口が止まりません。市場ではスムート・ホーリー法といった、世界恐慌の前に米国で成立した輸入される農産物、工業品に高関税を賭ける法律、それが今回も成立するのではないか? と噂されます。まさに今、第二次大戦の前夜に近づきつつある、といえるのかもしれません。
そんなトランプ氏が称賛した英国のEU離脱、メイ英首相によるハードブレグジット観測が流れ、ポンドが急落しています。強硬離脱となればその影響は甚大、明日の演説でそれを表明されたら堪らない。最近の市場ではよく見られる、イベント前のポジション落としの動きが、ポンド急落の背景です。年明けにはブレグジットの方針を、EU側と詰めるという話もあったので、そろそろ何か動きが出てもいい、そんな思惑も先走っています。

しかしイベント前というのに、まったく安心したかのような市場、それが米国です。ダウは足踏みですが、NASDAQは絶好調で、循環投資が利いている状況です。しかし米国でもハードNAFTAが懸念されるところであり、メキシコなどは制裁関税をかける、と公に表明している。当然、メキシコの方が経済規模が小さく、対抗したとてどれだけの効果があるか分からない。しかし国同士の関係で、やられっ放しでは政治的にもたないのです。国民の不平、不満をすくい上げるのが政治家ですから、やられたらやり返さないといけない。それが大戦前の状況です。その反省から生まれたWTOの理念も外れ、米国がボーダータックス(国境税)にまい進するなら、貿易相手国もそうせざるを得ないのです。
そんな折、日本の安倍首相は最後の外遊先、越国を訪れ、TPPの継続を確認し合いました。米国が入らないTPP、何がメリットかも説明がつかないまま、自分たちが主張したことを中々取り下げられない、それも政治です。今、経済的には何が起こるか分からない、とされていますが、経済とて人がつくることであり、かつ今は政治が大きく左右する時代になってしまった、ということもできるのです。

豊洲の地下水、世界経済も似た状況といえます。表向きはキレイな、整備された施設がありますが、その下には大量の汚染された、危険物質が埋まっている。いつそれが地上に出てくるか、人に害を為すか、といった危うさがある点はそっくりです。移転ができない豊洲、利点の少ない保護主義、政治家には本来もつべき資質でもある、機転の利いた施策をうつことが、今は強く求められる時代ともいえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(12)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2017年01月15日

トランプ次期米大統領と中国経済

2016年の休・廃業が過去最高になる見こみです。安倍政権は倒産件数の減少ばかりを成果として語りますが、今はマイナスになるほどの低金利で、ゾンビ企業が生き残っているとされますし、倒産件数だけでは決して計れない、深刻さを映しているのが休・廃業件数の多さ、なのでしょう。一般には休・廃業の理由は後継者不足、などとされますが、金融機関にとってもメリットがある。倒産になると回収不能となり、不良債権になるので、休・廃業なら凍結、もしくは回収の先延ばしで済みます。隠れ不良債権ともなりうるこうした動き、景気が悪化すると一気に注目されるのかもしれません。

ではその景気悪化のタイミング、存外早まるかもしれません。それはトランプ次期大統領が、中国叩きをするのが、ほぼ確実だからです。しかも、不当に為替を操作し、輸出を増やしているとの誤った認識に基づく攻撃のため、中国のバブル崩壊が早まるかもしれないからです。
中国は昨年の新車販売が2800万台以上と、世界でもトップの販売数量を誇りました。1.6ℓ以下の販売に税の減免措置をとり、しかも年末終了の予定を延長していますが、実はこんなことをしても排ガスが浄化されるわけではありません。一台のエンジン容量が下がっても、数が増えてしまえば排ガスも増える。しかもエンジン性能によっては、むしろ浄化作用が下がるケースもあります。また最大の問題は、中国メーカーでなければ本国へと還流する際、人民元を売ります。つまり今、外貨準備を削ってまで中国は人民元安の防衛をしていますが、それすら無にさせかねない誤った施策、ということも言えるでしょう。

中国は今、資本逃避が起こっていて、それが人民元安を促す要因となっているのと同時に、通貨切り下げを行うのではないか? と噂され、それも人民元を売る要因ともされています。完全な変動相場制ではないため、売り圧力が強いと、基準値すら危なくなる。それを回避するには、大幅に切り下げてこれ以上下がらないようにする、といった思惑を市場に与えるしかありません。年初、中国の人民元防衛は一時的には成功したかのように見えますが、歪みのある市場は特に狙われる。しかも、市場では外貨準備が中国経済の規模と比べ、限界に近づいている、との見立てが多い。つまりこれ以上下がったら、通貨としての人民元の価値が低下し、一気に売り叩ける、との思惑が強まっているのです。
そんなときに、経済のことをわかっていないらしい経済人、トランプ氏が米国の大統領に就任する。これで為替操作国認定でもされ、輸出にブレーキがかかれば、中国経済の失速と貿易黒字の減少から、ますます人民元が売られやすくなる。そして中国のバブルが崩壊する懸念がある。通貨が安くなるなら、中国国内で製造した方が良さそうですが、中国の企業経営者でさえ続々とにげだすのは、この大混乱を避けたい、との意向です。中国の通貨防衛策、ここに来て非常に緊張感が高まっている状況ともいえるのです。

今年、中国の春節は1月28日。トランプ氏が大統領に就任してから、約1週間です。中国の事情を考慮せず、何かだして成果を喧伝したいのなら、まさにこのタイミングで仕掛けてくるのでしょう。トランプ氏が経済ブレーンからどんな説明をうけているか分かりませんが、今年は米中の緊張の高まりと同時に、経済的な誤解、錯誤によって何がおきるか、誰にも予想がつかないという問題に直面するのです。
中国のバブルが弾ければ、当然のように日本にも悪影響がでてきます。日本は金融政策も限界、財政政策とて諸外国にバラマキをしても、国内向けには相当に限界もある。通常国会開始とともに3次補正が議論されますが、こんな補正、補正で予算を組むような状態であれば、大きな景気後退の波が襲ってきたとき、それを上回る手を打て、といわれても土台ムリな話でしょう。先週末、懸念されたジブリの呪いは、一応回避された恰好です。しかし金曜ロードショーは3週連続のジブリ祭り、20日のトランプ氏の大統領就任、27日の春節前の除夕と、ジブリが重なってくくるのは、悪い印象をより強めてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2017年01月14日

豊洲の汚染物質検出と、東電救済と

毎年感じますが、異常気象の起こり易い特異日に、どうしてセンター試験を行うのか? 11月や12月でもよいのに、です。確かにクラブ活動が伸びて、受験勉強ができない生徒を救済するため、また高校三年まで授業をうけてから、ということかもしれませんが、全国の受験生をリスクに晒してまで、1月15日前後に行う必要はないのでしょう。一時期、大学を米国などとあわせて9月に始業式、といった話もありましたが、そんなことよりよほどこの天候不順で受験が混乱する、という問題の方が大きいと感じます。

大きな問題、ということでは豊洲の地下水から、基準を越えるベンゼンや砒素、シアンが検出されました。過去7回は非検出、8回目に3地点で微量を検出、そして今回、72地点からの検出です。どう考えても検査に不正があったとしか思えませんが、恐らくこれまではほとんど上澄みをすくってきた。しかし公開され、多くの人が歩き回った結果、水が撹拌されて沈殿していたものが浮いてきた。いくら水溶性といっても、流れが一切ない溜まり水では比重が大きいものほど沈む。それを採取する人間が知っていたか、知らなかったかは分かりませんが、豊洲の地下水にはこれぐらいの汚染がある、という前提で対処する必要がありそうです。そうなると移転できる、できないという問題以上に、その水を排水するときに浄化しないといけないので、排水設備の充実が必要になるのかもしれません。
調査を実施した東京都への不審も高まりますが、実は同じ構図なのが原発です。問題ありません、安全です、は電力会社の発表であり、第三者が客観的に調査したものではありません。一部の原発では、敷地外にモニタリング箱を設置するなどして第三者がチェックしていますが、それとて敷地外まで飛散しない限り、検出できないのであって、逆にそこで検出されていたら、住民は非難した方がいい、と呼べるレベルの事故が起こっていることになります。つまりその間の漏えいにまで至らない事象は、今のところ事業者の判断にすべて委ねられた、グレーゾーンということも言えるのです。

米NY州では、NY市近郊にある原発の運転終了が決まりました。事故がおきたときの被害想定が甚大なこともありますが、理由は収益性の低下です。日本では原発を動かさないと、東電の再建がうまくいかない、などと語られますが、再稼動するが前提で、多額のコストをかけて保守・メンテナンスをしており、その分が回収できないこと。また未だに国策で原発の輸出を画策するように、原子力ムラへの配慮から、日本ではそんな理屈がまかり通っている、とさえ言えます。しかし東電は年末、こっそりと原子力賠償機構に7千億円の支援を要請しており、昨年末には東電で3度目の支援策について閣議決定している。何のために? という国民への説明が抜け落ちたまま、東電を救済するために電気料金で、また税金で、じゃぶじゃぶと垂れ流されているのが実状です。
通常国会には、原子炉等規制法の改正案が提出され、高レベル廃棄物の埋設施設の周辺の掘削を禁止する、といいます。将来、そんな施設ができたら、こっそりと周辺の深いところまで死体を埋めたら、完全犯罪ができそうです。それ以前に、高レベル廃棄物をガラス固化する技術でさえ、今のところ確立していないにも関わらず、埋めた後の放射性物質の漏えいを法律にもりこむ、という時点で違和感があります。

日本では埋めてはいけないものを埋め、後で困っている、というのが豊洲です。地質調査でボーリングするぐらいで漏えいが懸念されるのなら、そんなものは埋めてはいけない。なぜなら地下水により、地上まで洩れてくる可能性があるからです。安全に管理する、というのはきちんと隔離し、接触を断つことによって成し遂げられるのです。核のゴミ、という前に、原子力政策全般が日本のゴミ、巨大な産業廃棄物レベルにまで堕してしまっているのが、現状なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 社会

2017年01月13日

退位問題の議論のすすめ方

12月の景気ウォッチャー調査、現状判断DIは51.4と横ばい、年末商戦がふるわなかった小売関連が大幅な悪化で、家計部門が悪く、企業関連は総じてよかった。株価が上がっても個人マインドは一向に上がらないことが、改めて示されました。先行き判断DIは前月比0.4pt悪化。住宅関連以外、総じて悪化しますが、企業関連は現状が高過ぎるため、将来にむけて弱含む、と判断するのは理解できても、小売がさらに悪化すると判断している。この辺りが日本経済の弱さであり、円安はコストプッシュインフレを意味し、ガソリン価格の値上がりなどもあって消費意欲を減退させてしまう。企業マインドと個人マインドの差、円安による景気への波及が斑模様になるのも、この辺りに原因があるのでしょう。

安倍首相が今年初の外遊として、比国、豪国、インドネシア、ベトナムと歴訪しています。比国ではドゥテルテ大統領の自宅に招かれ、朝食をともにするなど歓待された、と報じられますが、先に5年間で1兆円の支援を公表しており、そんな相手をむげに扱うはずもありません。GDPでみれば30兆円強の国に、年間で2000億円も資金が流れてくれば、単純計算で0.6%ぐらいの押し上げ効果があります。中身が分からないので、どれだけ寄与するかは分かりませんが、どんなに嫌な奴でもこれだけ大盤振る舞いしてくれたら、つくり笑顔であっても歓待してくれるでしょう。
金で関心を買う、安倍政権の常とする外交戦術ですが、結果はいつもそのときだけの関係で終わってしまいます。安倍外交の問題は、心でつながれない、真に信頼関係を築いているわけでもないので、情勢が変わればすぐに裏切られてしまうことです。例えば比国にしろ、中国がさらなる支援を約束し、2000億円を上回ってくるなら、比国はそちらにつくでしょう。中国との外交は常にそういう形で負けてきたのであり、今回もこれで比国が日米の側として機能する、とは言い切れない部分も残るのでしょう。

そんな安倍政権が特措法で済ませようとする天皇陛下の退位、自民内のごく一部の幹部で検討とします。党内でさえ議論百出になるため、安倍氏への求心力低下を避けたいのでしょうが、そんなものを党議拘束をかけて、賛成させるとしたら極めて問題があるのでしょう。特措法だからこそ、逆に政治利用しやすい形を今後つくりだす、ということでもあり、特殊事情として例外的にみとめるその理由まで明記する、としますから、下手をすれば「国民の象徴足り得ない」という一文で、政治が勝手に退位させることも可能となってしまうからです。皇室典範を改正し、どういった事情であれば退位できるか決めておけば、その想定に従って退位も決められます。つまりより天皇を政治利用しやすくする上、さらに党議拘束をかけるなら、党幹部の意思で退位を恣意的にとり扱え、国会で多数さえにぎっていれば政治利用できることになるのです。
しかも今の安倍政権は、党幹部でさえ右で固めており、多様な意見の集約でもない。そんなものを十分に議論する時間も与えず、半年で審議するつもりなら、甚だ大きな禍根を残すともいえます。しかも憲法が天皇陛下の意思に基づく行動を規定していないから、といって国会が勝手に決めていいのか? 一つの例としては、70歳を越えたら天皇陛下のご意思で願い出て、国会の承認によって退位できる、といった形でもよいわけです。そもそも解釈次第で憲法を蔑ろにしてきた安倍政権が、天皇陛下の意思の部分だけ、後生大事に守ろうとすること自体、正当性がないといえるのでしょう。

しかも退位した後の天皇陛下への予算措置、待遇についてはずっとその特措法が生きるのか、それとも毎年特措法によって規定しつづけるのか? 特措法の効果がどの段階までつづくのか、についての議論も必要でしょう。何かすごく大事なことが抜け落ちたまま、時期の話だけでてきているだけに、特に違和感が生じてしまいます。
安倍氏の手法、政治の場では数にものを言わせ、国外では金にものを言わせる。それで相手を黙らせ、自己満足しているだけなので、多くの人が危うさと疑問をいだきます。数も金も永久のものではない。安倍政権の手法では、間違いなくムダ遣いをしているのであって、効果もなければ、結果としてよりよいものになるわけでもない。比国の諺でいうなら、「賢いやり方は、見下すことなく騙すこと」とあります。そんな相手と朝食をともにしたぐらいで、両国の関係はよい、とでも思っているなら早晩、立ち往生することになるのでしょう。ただ、国内で「ものを言う」はずのメディアをすべててなづけているので大丈夫、と慢心しているようなら、立つことすら適わず往生することになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:35|PermalinkComments(29)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2017年01月12日

トランプ氏の会見

昨日も少しふれましたが、2019年に皇位継承し、新元号とする検討を始めた、とする記事ですが、産経がスクープとしてだし、それを各メディアが追随する形で報じています。しかし退位でさえ決まっておらず、かつ天皇陛下の意思すら確認しないうちに、皇位継承を勝手に決めてしまう。これは天皇制を形骸化する、非常に危険なものです。
平安以後、貴族が強くなり、また武家社会が支配する過程で、天皇とは名ばかりで常に政治利用されてきました。即位、退位を政治によって恣意的に扱われ、自分たちの意見に近い人物を天皇として据えよう、とされてきた。安倍政権は戦前回帰どころか、天皇家の血を利用して自分たちのやりたい政治をする、賊徒とも呼べるものをめざしているとしか思えません。しかも、最初に産経にスクープさせた点をみても、これを観測気球として上げ、世論の反発が少なければそのまま押し通してしまおう、という悪意しか感じない。しかも2019年というのは、事実上の明治政府がうごきだしたタイミングから150年、そこに合わせて改元する、という自ら明治維新を意識する、安倍氏らしい発想ともいえます。しかしくり返しますが、天皇陛下の意思を確認もせず、また退位の方法すら決まっていないうちに時期だけ決める、というのは賊臣の行うことです。今後も気に入らない天皇陛下を政治の都合で勝手に退位させる、という動きをださせないためには、ここでこうした動きを食い止めるしか手がない。前例をつくれば、なし崩しになって、天皇陛下を恣意的に操る時代に逆戻り、ということにしかならないのでしょう。

トランプ米次期大統領の演説、見事なまでに幼稚な自己満足と、欺瞞に満ちたものでした。「神が創造した中でもっとも偉大な雇用をつくる人間になる」など、何を言いたいのかすら分かりません。英語のニュアンス的には「雇用創出者」といった感じかと思われますが、雇用を創ることがすばらしいのではない。例えば低賃金労働が増えても、雇用が増えたといえるのであって、労働の対価として相応しい賃金が得られているか、それで生活水準が上がるか、が評価されるのです。この間違った価値観でつきすすむ、というのは副作用の懸念が大きくなります。完全雇用の状態にある米国で、さらに雇用を増やすという愚を考えれば、米国は負のスパイラルに入りつつあるのかもしれません。
しかも減税や、公共工事などの話は一切なし。国の財政を精査しないといけない、公共工事も効率性を検討しないといけない、となるなら、半年程度で効果が出るような施策は出てこないかもしれない。つまり今の相場が織り込んでいるような期待は、先走りすぎになるということです。ふわふわと高かった市場にとって、これは痛烈な問題です。

しかも中国、メキシコと同列に、日本とは損ばかり、と述べた。対米貿易黒字を疑問視したものですが、日本は米国で稼いだ金を中東での原油で散逸し、中東諸国はその金をつかって米国などへの投資をすすめてきた。一国の赤字のみを捉えるのではなく、世界の資金の流れをみなければいけない米大統領のこの倒錯ぶりは正直、危険なレベルといえるのでしょう。トレード・タックスの話が俄かに盛り上がりますが、米企業の方が米国以外で活動しているケースが多く、米企業の収益悪化となれば、ますます誤った認識でつきすすむことの愚を意識されます。
直接の言及はなかったものの、ドル高牽制ともうけとられることから、為替が動いています。TPPもこれで完全に否定されたことにもなるのでしょう。雇用最大化と、グローバル化による最適化とは、真逆の考えになるからです。そして、この演説を聞いても日本にとって敵になることはあっても、味方になることは少なそう、とも言えます。ただ敵視の順が中国>メキシコ>日本、のようなので、その点では安倍政権は安堵しているのかもしれません。まだマシ…説得で何とかなるかもしれない、と例によって外交における根拠なき楽観が、安倍政権の中には垣間見られるからです。

「Make America Great Again」と語り、トランプ氏は当選しました。しかしどうやら「Make American Grief Again」つまり「米国の悲嘆よ、ふたたび」ということになりそうです。ただそれが、世界全体を悲嘆に暮れさせるかもしれず、そのときはトランプ効果を、トランプ降下として意識することになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(20)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 政治

2017年01月11日

オバマ大統領の演説と、市場と情報操作

オバマ大統領の最後の演説、最後まで見事でした。真珠湾の演説で安倍氏も、オバマ氏の広島演説の構成をそのまま真似しましたが、遠く及びませんでした。それはいくら美辞麗句で飾っても、間の取り方、言葉の抑揚、音程などの点でまったく異なるからです。演説の最後の言葉は「Yes,We can.Yes,We did」としました。「我々はできる、我々はやり遂げた」としますが、オバマ氏がもたらした変化は、結果的にトランプ氏を大統領に押し上げるための下地をつくった、ということになるのかもしれません。
しかしトランプ氏がもたらす変化は、決してまい進してよいものではなさそうです。Twitterによる嘘ばかりでなく、嘘のニュースサイトを信じる国民が、どれほど多いのか。日本では既存のメディアを牛耳り、おべっか記事を書かせることで支持を得て、米国では日本よりも既存メディアへの信用が失墜しているため、嘘メディアにとびつき、それがトランプ氏への根強い支持になっている。演説でも語られていたように、プロパガンダや大衆扇動は民主主義にとっての危機になります。FacebookやTwitterがより利用される米国では、扇動により大衆が誤誘導されやすい社会になっている、とさえ言えるのです。

その影響は、株価や市場価格にも顕著にあらわれているのでしょう。PER21倍台という、正当化されるまで何年かかるか分からない水準まで、跳ね上がってしまったのも、楽観を拡散することによって誘導された結果、とみることができるためです。原油相場も、OPECの減産合意で1バレル50$を突破しましたが、シェールオイルのリグ稼働率の上昇報道をうけて、やや悪化しています。受給でみれば50$を割ってもおかしくないのですが、50$を割れそうになると奇妙な情報や、買い支えの動きがでてくる。市場や今や、水準感すらおかしいまま、操作された情報の中でふわふわしている印象です。
つまり米国は、情報操作が利きやすい国になっているために、金融機関などが簡単に相場操縦できてしまう。今の金融機関は、取引部門とアドバイザー部門に分かれているとはいえ、企業の格付けや相場の見通しをだすところと、自己売買するところが、一体であることが多い。収益性を高めたいなら、誤誘導であっても自分たちが儲かるような情報をだした方が、より都合いいとも言える状況になっているのです。

しかしオバマ氏は、最後はトランプ期待という上昇になりましたが、リーマンショックを上手く乗り切った政権として、今後も称賛されることになるのでしょう。それはFRBの超金融緩和、というサポートがあったとしても、です。ただ、金融市場と雇用に責任をもつFRBのせいで、低賃金労働者層が拡大し、金融市場にもバブルが起きている、という現状は、グリーンスパン元FRB議長のように、任期中はマイスターとまで賞賛されても、その後に悪名を被った、といったパターンもあるので要注意かもしれません。ただ、今のところ幸福のうちにオバマ氏は幕引きできる、といった意味では幸運だったのでしょう。
今晩、トランプ氏の演説です。ただその前に、日本では日経225先物を売り、TOPIX先物へと乗り換える動きもみられます。つまり上昇すれば御の字、下落してもTOPIX型なら日銀が買い支えてくれるので、損失も少なくて済む、といった思惑が働いたのでしょう。日本の場合、SNSによる情報操作が利きにくく、また外国人投資家が取引の7割ぐらいを占めるため、情報操作よりも公的部門の動きをより重視する傾向もあるようです。

安倍政権ではメディア操縦のため、政府宣伝費を上積みしている、といった話もあります。情報操作により、国の大事な決定まで左右されてしまう米国がいい、というつもりもありませんが、公的部門や公的部門に頼ったメディアにより、操縦される国というのも、また問題があるものです。昨日、19年から元号が替わる、という記事もありますが、退位の仕組みも決まっていないうちに、退位の日付だけが決まってしまう。この不条理にして、今上天皇に対する意趣返し、ともみられるこんなスクープで世論が「あぁ、そうなのか」と受け入れ、誘導されてしまう。世界は今、デモクラシーの危機というのは、まさに情報の扱い方への危機、となるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(15)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済