2016年09月30日

8月の経済指標

豊洲移転問題で、小池氏が都庁内の調査結果を公表しました。しかしいつ、誰が、は分からないとします。小池氏も政治家、都庁職員を責めていけば反発もでるので、犯人特定を見送る代わりに味方をつくった、というところなのでしょう。分からないはずがなく、知らずにサインしました、は明らかにその人物に責任があり、また発注書なのか、基本設計の計画段階なのか、どこかで仕様書をもってすすめられたはず。それを「無責任」という言葉で、犯人が特定できないことこそ「無責任」です。
地下水は飲み水じゃないから多少の汚染はいい、地下空間を盛りこんだことは英断、などの意見も目にしますが、今は砂利層がろ過装置の役目をもちますが、時間が経てば砂利も汚れ、有害物質が上がり易くなります。そのたび砂利層をすべて撤去し、新しいものに入れ替えていたら大変な工事です。配管のメンテナンスに必要、との意見にしても、メンテナンス用のトンネルをつくれば済むのであって、電線の地下化の話でもインフラ設備をまとめてトンネルに集約する話がある。建物の下、すべてを空間にする必要はありません。英断というからには『すぐれた判断』でなければいけませんが、これは複数ある選択肢のうちの一つを、技術会議の提案や説明とは違うが採用した、というだけの話でしかないのです。正しさの判断は人によって異なるケースもありますが、変な説明をすれば、その正しさ自体が不明瞭となってしまいます。

今日は経済統計の集中発表日です。まず有効求人倍率が1.37%と前月から横ばい。ただ中身は相変わらず、新規求人が伸びたのは教育・学習支援、宿泊・飲食、医療・福祉。低賃金や待遇の悪い業態が2桁の伸びを示しており、安倍首相も誇らしげに「有効求人倍率が…」などと語る前に、こうした業態の待遇を改善すれば、むしろ有効求人倍率は減っていく方向です。つまり高止まりをつづける背景は、政府の無策でミスマッチが解消されないから、ということですので、自分の失敗を誇らしげに語る、恥ずかしいことでもあります。
8月の労働力調査では、完全失業率が3.1%と前月比0.1%上昇。ただ、役員を除く雇用者5382万人のうち正規が3353万人のうち前年同月比24万人増、パートは985万人のうち46万人増。労働者全体に占めるパートの割合が急拡大していることが、この数字からも分かります。産業別就業者をみても、上記の3つの産業が高くなっているものの、求人が減らないのですから、人手不足がこの3つの産業では顕著で、埋め切れていない現状もうかがえます。

家計調査は深刻で、2人以上の世帯の消費支出は前年同月比、実質4.6%減。消費者物価が0.5%下がっているため、名目だと5.1%減。いくら8月が天候不順といっても、9月はさらに天候不順がつづくので、回復の見込みもないということになります。ただ収支でみると世帯主の収入が実質で1.8%増となり、若干の明るさもある。しかし配偶者が実質で5.7%減になった。昨年は逆の動きが多かったので、世帯主に下げ止まり感、配偶者には上限がみえてきた、となるのかもしれません。だから政府は配偶者控除を外し、配偶者にどんどん働かせて家計の可処分所得を増やそう…と考えているのでしょう。そうなると子育てでパートの職を離れる主婦は辛くなるのでパートにも育休を、という話にもなってきそうです。
8月の鉱工業生産指数は前月比1.5%上昇ですが、出荷が下がって在庫が増えた。先行きにはあまり期待できそうにありませんが、最近の指標ではちょっとでもよい数字がでると、基調判断を上方修正する傾向もあり、「一部に持ち直し」から「緩やかな持ち直し」に修正されました。ただ家計調査の消費支出をみても分かる通り、消費はまったく活発ではありません。

安倍氏の用いる「デフレでない」という言葉は、もう通用しないのでしょう。生鮮食品を除く総合で、6ヶ月連続の下落。しかも2月の0.0を除くと、今年に入ってずっと下落なのです。正しくは「デフレに戻った」です。有効求人倍率も、低賃金の業態を放置することにより、求人数が高いだけ。安倍ノミクスの成果って…? 本当に株価だけになってきました。その株価を支える日銀も、国債の買い入れ額を減少させると発表し、これが新たな引き締め効果を生じます。すでに10年物国債は0.1%に近づいており、0.0%に誘導する、とした日銀の思惑を外れています。誘導目標を達成できない、言っていた成果も剥落した、安倍ノミクスはもう失敗が明白になりました。日本経済は豊洲より先に、地盤沈下していくことが確実でしょう。こちらの犯人探しはもっと大変そうで、安倍政権、黒田日銀、そしてそれに協力した学者や有識者たち。これらがこの国の権力構造に深く食いこみ、政治力を行使している以上、有害物質がいつどこから沸いてくるか分からない、そんな状態で沈んでいくしかないのでしょう。デフレに逆戻りした以上に、この国はこれからの長期失速をどう覚悟していくか。日本経済に関して「英断」が必要になっているのでしょうね。

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2016年09月29日

OPECの減産合意と、独銀の問題

OPEC減産合意…正確には、生産量を加盟14ヶ国で日量3250〜3300万バレルに制限する、ということですが、イランやリビアなど、増産に前向きな国はある程度許容する、ということで、その分はサウジなど他の産油国がかぶる、といいます。本当にこんな内容で合資したのか? 裏があるのでは? との懐疑も見え隠れする。そもそも増産凍結をしたところで、供給過剰が解消される見込みもない。他の産油国がその分増産するでしょうし、現状は供給過多の状態がつづいている。需要がない中で生産能力だけが伸びて行く異常事態です。企業、もしくは国家がどんどん破綻し、生産側が減少するわけではない増産凍結で、原油価格が上がるはずもないのですが、今は思惑と驚きとで上昇しています。
あくまで噂レベルの話ですが、正式合意は11月ですから、その間にサウジ政府が資金調達をめぐり、何らかの材料が必要だったのでは? 原油価格が上昇していれば、有利な条件で資金調達できます。またアラブの雄として、ここで指導力をみせつけることが前提だったのかもしれません。いずれにしろ、11月までに非加盟国との協議、またOPEC内でも足並みが乱れ、合意が齟齬にされる恐れが拭えないまま、一旦は小康を迎えたのでしょう。

欧州では独銀の問題が再燃しています。米規制当局から、住宅関連債券(MBS)の不正を指摘され、140億$の課徴金を要求されましたが、独政府が支援を拒否。独銀単独でまかないきれなければ破綻する可能性もあります。市場では米当局が課徴金の支払いを減免する、もしくは独政府が支援する、他の金融機関が支援にのりだす、などの選択肢で救済されるとみており、小康を保っていますが、今のところ単なる期待でしかありません。
リーマン危機と比べても桁違い、独銀の破綻は金融取引を一時的に崩壊させかねないインパクトをもつ、とされます。正直、そのインパクトは予想できませんが、恐らく世界的に金融取引が大混乱に陥り、しばらくはショックから立ち直れないことになるでしょう。金融機関、国家、いくつ破綻するか? といったレベルです。下手をすればECBでさえ経営危機に陥る。どこの中央銀行も国債を保有しすぎており、暴落のショックを中銀もうける。資金供給の余力も少なく、すれば通貨が暴落する懸念すらある。世界は少しでもマシなところ探し、がはじまるのかもしれず、その順に回復することになるのかもしれません。

日本の株式市場は、半期の末になる9月末にむけて、日系の頑張りで支えられた状況です。為替も円安にして、企業の海外での売上げを良く見せかけよう、とする動きもある。仮に12月解散なら、9月末の成績はそのまま選挙にも影響します。必死にもなる、といったところでしょう。年金、企業業績、国内に不安が巻き起こることにもなりそうですから。
ただ、世界はそう安寧ではいられそうもありません。実はちょっと耳にした話で、OPECの増産凍結も、実は欧州発の金融危機にサウジが焦った、そんな事情があったようです。中東は歴史的に欧州の金融機関との付き合いが深い。独銀の問題、伊銀も不安定なところが多く、ここに来てBrexitもあって英銀にも頼れない。中東にとっても欧州金融機関の問題は、かなり深刻なのです。しかし上記したように、最終的に減産で非加盟国をふくめて合意できる見込みは、限りなく低いですし、もし仮に合意できたとしても、こっそりと生産枠をやぶって増産している国を罰することができない以上、効果はないということにもなりそうです。仮初めの合意で市場が浮かれるところをみても、それだけ危機意識は高い、ということです。今のところ、抜本的な何かが変わらない限り、行き着く先にあるのは国家が死屍累々と横たわる、極めて不幸な未来でしかありません。一つの動きで世界が連なって動く。欧州の金融不安で、中東が動かざるを得なくなる。そしてこれまで、ISILや露国への牽制として原油安をみとめてきた米国が、ここで態度を転換してサウジの動きを容認した背景は? それらを考えると、安易に浮かれてばかりでは、その水準から一気に叩き落されることも覚悟しておかなければならない、となるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:49|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2016年09月28日

働き方改革と、給与実態統計

安倍首相が「安倍ノミクス第3の矢、構造改革の柱」とする働き方改革。しかし「改革」は必ずしも良い方向になることを約束しません。改革とは古い体制を変えることで、改善を意味しないからです。むしろ改悪もありうる。そして大企業優遇型の安倍政権では、労働者が後者になることもあり得るのです。
それは同一労働同一賃金、非正規をなくす、もしこれが現実に達成されたとき、正規雇用並みの待遇に労働者全員がなる、というなら企業には大幅なコストアップが迫られます。すると収益を圧迫するので、株価は下落します。しかし今の市場で、そんなことは全く意識されていない。つまりこの『働き方改革会議』とやらで決まることは、企業にとって優しく、労働者にとって厳しいものとなる、というのがコンセンサスだからです。市場が間違えている可能性もありますが、恐らくこの予想は市場が正しいのでしょう。

そんな中、国税庁から給与実態統計がでてきました。まず注目すべきは給与所得者数と、源泉徴収義務者数です。雇用が増えた、が安倍氏の主張ですが、給与所得者数をみると25年は2.1%、26年は1.0%、27年は1.0%と伸びています。ただし、リーマンショックの翌年の21年は1.6%減ですが、それ以前でも0.7%の伸びで推移しているので、殊更に安倍政権で高くなったわけでもありません。しかも東日本大震災のあった後、24年にも0.1%減と、大きな悪材料で減った分がこの3年で乗った、と考えると、殊更に高い伸びではないのです。また源泉徴収義務者が26年、27年と増えていますが、これと世帯主の収入源などの実態と重ねれば、妻が扶養控除を外れて働く割合が増えたのかもしれず、雇用が改善していない可能性も残されています。一つ云えるのは、安倍氏が誇るほどではない、ということです。
次に、給与総額における税額の割合です。リーマンショック以後、民主党政権の頃は概ね4%前後で推移していたものが、安倍政権になってから25年4.35%、26年4.38%、27年4.39%と軒並み4.40%近くで推移。実に0.40%も税負担が増えている。所得税は前年実績に基づきかかるので、給与が増えているのか? というと伸びはそれほどでもない。確かに東日本大震災後、大きく落ちこんだ後には反動増もめだちますが、26年は1.4%、27年は0.8%、それに比べて税額の伸びは2.1%増、1.0%増なので、給与を上回って納税が増えています。安倍氏はプライマリーバランスが14兆円改善した、といいますが、消費税増税分と所得税のとり過ぎ、これで消費が回復したら奇跡でしょう。税額割合は5%に近いときもあったので、『とり過ぎ』は言いすぎかもしれませんが、民主党政権時代より内需が振るわない原因は明白です。エコ補助金などの購入助成金もなくなり、納税額が増えているのですから。

1年を通して勤務した給与所得者数をみると、25年は正規が1.5%増、非正規が5.3%増、26年は1.6%増、4.9%増、27年は1.2%増、3.0%増。非正規の伸びが圧倒的に高い。しかも、非正規だと半年、3ヶ月など雇用形態もまちまちなので、この数字よりかなり多いと推測できます。これが安倍政権の雇用増のからくり。しかもその伸びは鈍化している。東日本大震災からの復興で、乗っかっていた事業再開のボーナスが剥落しかかっているのです。
大体、この統計の数字で注目されるのは民間企業の平均給与ですが、420.4万円と、1.3%の伸びです。そのうち正規は1.5%の伸び、非正規は0.3%の伸び、とここにも格差がありますが、平均給与は正規が484.9万円、非正規が170.5万円。同一労働かどうか、勤務時間は同じか、など詳細が分からないので、単純比較はできませんが、実に3倍近い開きがある。これを福利厚生まで含めて同一の条件にしようとしたとき、無理があるのは誰の目にも明らかです。

しかも、この平均給与の問題は、役職員も含んでいることです。役職員の手当てにはストックオプションなど、株式を宛がわれるケースも多い。つまりここ数年の株価の推移をみても、役職員の手当ては見かけ上、かなり上昇していたことになり、それを含んでの1.3%増であるなら、役職員を除く一般社員の給与は横ばいか、むしろ下がった可能性が高いのです。安倍政権は「有効求人倍率が改善した」という言い方をして、あたかも雇用が改善したかのように言いますが、国税庁という厳しく税をとりたてるところがだした指標からは、決して雇用が安倍ノミクスで増えた、今後も増えて行く、という傾向はうかがえません。そして働き方を改革した先に、どんな日本の姿が待っているのか? 構造改革の柱どころか、構造改革なのかしら? という懐疑的な見方が強まるなら、安倍ノミクス退散の矢となって、安倍政権に突き刺さることにもなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(10)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2016年09月27日

日本の代表質問と米討論会

米国の大統領選討論会、内容についてはふれませんが、面白いのは世論調査の結果です。従来の電話をかける形式ではヒラリー氏が勝ち、ネット調査ではトランプ氏の勝ち。これは嫌われ者同士で、聞かれればどちらかを判断するようなケースではヒラリー氏に、自ら意見を表明するネット調査では、強固な支持層をもつトランプ氏を優勢とする。つまり全体ではヒラリー氏が勝ったけれど、それでもトランプがいい、という人は相当数いる、ということを示します。今回、双方が特色を消した討論会でしたし、中身はあまりありませんが、ここで示された傾向が、残り2回の討論でどう変わるか? 要注目です。

日本でも代表質問が行われています。安倍首相は「TPPの再交渉はしないから、日本が先行承認しても問題ない」としますが、では米国が「日本が再交渉に応じないから自分たちは承認せず、TPPは消滅」といったら、日本はそれを飲むのか? 今の条件では承認しない、と米大統領候補は2人ともそう言います。だとすれば、日本は承認される見込みのないものを臨時国会で、何時間もかけて議論するのか? 極めて非生産的といえるのでしょう。それに、もしそこで再交渉となった場合、改めて国会で変更になる内容について再承認するのでなければ、話がおかしくなるでしょう。いずれにしろ臨時国会のような少ない日程で決めてしまうにはあまりに不透明な要素が多く、極めて問題がある、といえます。
年金の運用損の問題でも、安倍氏は「年金財政上の問題は生じない」「年金額に影響しない」としましたが、当たり前の話です。運用損を重ねていけば、年金の運用財源が早くに枯渇し、その分を税金で補う時期が早まる、というだけの話です。そのときは「社会保障費が財政上の負担」といって、またぞろ増税の話が蒸し返されることになる。年金を破綻させないようにする限り、しわ寄せが来るのは年金財政ではなく、一般会計の財政です。年金財政は、ゼロになったら運用しない、できないというだけで、別に問題が生じることもないのです。ただ、安倍政権では一つ気がかりなのが、年金の株式投資などで、信用取引を始める可能性があることです。レバレッジをかけて取引すれば、損失も拡大する可能性があり、原資を上回ってマイナスになるかもしれない。そのときは年金財政に問題も生じてきます。株価底上げに躍起な安倍政権が、禁断の手にのりだす可能性は否定できません。

ただ、野田氏の質問の「自民改憲草案を撤回し…」というのは意味不明でしょう。撤回しなくても議論できますが、問題は叩き台である草案にかなり問題がある、という点です。だからといって民進党内で意見をまとめることもできず、野党案も調整しにくい。だから撤回して…というのは、結果的に野田幹事長の手腕の限界を露呈したに過ぎません。改憲にのれば、結局はこうしてその難しさを痛感することになる。民進代表選ではあまり重要視されなかった改憲ですが、いきなりその困難さに直面した形でもあるのです。
昨日の所信表明でも、安倍氏は「非正規をなくす」などと高らかに宣言していましたが、恐らくそのときは正規もなくなるのでしょう。「働き方の多様化」の看板の下、境がなくなっていけば、確かに非正規はなくなります。同一労働・同一賃金など、今さらそんな看板を掲げられても、今までできてこなかったことが異常なのです。そしてなぜか、代表質問ではあまり重視されなかった。何をどうするかは、専門家会議で決まることで、まだ形がないから…というのでは、野党としては一歩も二歩も出遅れています。連合を支持母体とする民進ならでは、という提案をしても良かったでしょう。結局それが採用されれば与党の手柄、とされる恐れもありますが、個別の委員会で提案しても、一般には報じられずにそうなります。代表質問なら注目度も高く、民進が提案した、ということもできたはずです。

罵り合いとなり、政策論争がすすまない米国の討論会も問題ですが、野党の質問の質も低い、与党の応答もそれに輪をかけて国民をバカにしたようなものが多い、という代表質問も問題なのでしょう。トランプ氏がよく使う「アメリカ・ファースト」ですが、実はどこの国でも、政治家が本来、胸にきざむべきは「国民・ファースト」のはずです。その国民の方を向いていない質疑応答、米国は嫌われ者同士、日本では信用の無い者同士、という意味では、ほどよく日米の政治の特徴を現しており、どちらの国の政治も『逝治』に陥っていることを現している、といえるのでしょうね。

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2016年09月26日

安倍首相の所信表明演説

第192臨時国会が召集され、安倍首相が所信表明を行いました。注目すべきは「自衛隊員に敬意を表そう」といって安倍氏が呼びかけ、自民党議員が全員起立して拍手したことです。これまでも安倍政権は韓国や中国のマネが多い、と指摘してきました。それは戦前の日本がとった統治の手法を、日本は敗戦で改め、中韓は戦勝国だとして改めることなく今に引きずっている。その結果、戦前回帰をめざす安倍政権は必然的に中韓と似てくる、ということでもあります。しかし今回のように、中国共産党や北朝鮮のような手法は、間違いなく品もなければ、最悪といえます。正直、とても気持ちの悪くて仕方ありません。
そもそも、安倍氏が中国、北朝鮮との緊張を煽り、また自衛隊の対応が拙くて日本は常時警戒態勢、という異常なレベルの緊張を強いています。スーダンでは銃弾が飛び交い、それでも自衛隊は常駐させられている。先進国は最早、スーダンから軍を退いているのに、日本だけが残っている。これが中国への対抗でなければ、単なる安保法制の実績づくりのために、自衛隊員が人柱になっている。そういう状況をつくっておいて、拍手なり敬意という言葉で誤魔化してしまうところに浅ましさ、いやらしさを感じます。こんな人間たちのために、危険に晒されている自衛隊員の方々は、本当に気の毒に感じます。

今回、今までは言及する政策一々に特殊な成功例をひき、自画自賛していましたが、そうした例は少なかった。ただ「介護士をめざす」「美しい田を守る」などの言葉を忘れない、と述べていますが、当たり前すぎてなぜ憶えているの? という方が逆に不思議です。介護士、農家、その職業につくなら当たり前。逆にそんなことを安倍氏は心に留めてしまうほど、当たり前のことをこの人物は分かっていないのか? 宇部の企業でオンリーワンの技術で世界に…という話にしても、政策の効果ではありませんし、そういう企業を日本につくる、としても、ではどうやって? がない。低利融資でそういう企業が育てば苦労はしません。
『未来への懸け橋』という項目で、水路を引く例がでてきましたが、インフラがないところにインフラを通せば、より高い効果が生まれる。しかし日本にそうした地域は皆無です。ということはインフラ整備などの公共事業での効果も限定的。なのに、それ以外の経済政策がでてこない。「東京、大阪をハブに日本を一つにした地方創生回廊…」など、効果はないでしょう。観光も成果を誇りますが、円安効果が途切れた今、伸びていく産業ではないのに、港湾整備や制度改正で日本に来易く…と、やたらと力をかける。農業も同様ですが、TPPですら発行が怪しいのに、それに頼って成長しようという。どれもが危ない綱渡りの上で、成果を出す前に果たして前提条件が成立するのか? というところから怪しさ満載です。

リオ五輪の成功や、宇部の蒲鉾店など、他人のふんどしで相撲をとるのが大好きで、自分の成果でないことを語りながら、『未来』を強調する。しかし今の幸福を語れない人間ほど、「未来はすばらしい」という。その例に今回も洩れません。今が失敗しているから、今の成功を並べることができず、他人のよい話をまるで自分が為したことのように語り、自分もそれに乗っかる形でイメージをよくする、というのはどこの宗教でも取り入れていることです。今回の所信表明も、多くがそうしたまやかし、で溢れていたともいえます。
「スタンディングオベーションは自然発生的」と、自民党は語りますが、ウソでしょう。同調圧力があったとしても、安倍政権に睨まれたら何をされるか…。しかし本来、3分の2を維持するためには党員を大事にしなければならない。若狭氏が補選に出馬するケースでも、口頭注意にとどまったことをみても、与党の政治家はもっと強気にでられるはず。実は一人一人にこの政権との向き合い方をつきつけているのです。全議員がスタンディングオベーションを行った、その時点で与党議員の腰砕けぶりがみてとれるのでしょう。米国流の手法を日本にも…ということで、安倍氏が率先してこの演出を行ったのでしょうが、どうもこの横文字をみると、マスターベーションにしか見えません。

俗に、日本で訳されるその言葉も、実は聖書由来ということはあまり知られていません。ユダの子オナンが兄の早逝にともない兄嫁を娶ったものの、子供が自分の子として認知されないことを嫌って、子づくりの本質的な部分でそれを拒否したことから、神の罰をうけた。その故事が誤って自ら慰める行為としての言葉になったのです。安倍政権の若者支援の話も、どうも他人の子、というよそよそしさしか感じない。「悲観、評論、批判」に明け暮れず、建設的な議論を、と述べますが、この所信表明では、その三点を外すことなどできない内容、としか言えません。むしろその程度の内容だから、それをして欲しくない三点セット、ともなるのでしょう。だからスタンディングオベーションなどをして、自らを崇め奉るがごとくに賛美させようとした。所信表明どころか、小心表明にしか聞こえませんでしたね。

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2016年09月25日

日本と中国、北朝鮮

中国空軍機8機、うち戦闘機2機が宮古海峡の公海上を通過し、自衛隊機がスクランブルする事例を発表しました。中国側が緊張を煽っている、などとする見方は早計で、最近の安倍政権は率先して南シナ海の問題に口出しし、緊張を高めています。言葉は悪いですが、よせばいいのに他人のケンカに、わざわざ関係のない他人が口をだす、という構図が南シナ海の問題です。確かに、アジアのリーダーとしての地位を得たい、との安倍政権の思惑はあありますが、日中双方が国内向けにも、対立構図を煽っておく方が得策、と考えている点が厄介です。日中、双方とも経済が傾き、敵をつくって国内の不満をそちらに逸らす。その対象が日本にとっては中国、北朝鮮で、中国は日本、そのうち北朝鮮も日本をいの一番に敵視してくるのかもしれません。
安倍政権にとって、中国や北朝鮮がちょっかいを出してくるなら渡りに船。むしろ安保法制の改正を正当化できる、との思惑はかなり深刻です。しかし間違えてはいけないのは、安倍氏が突出して中国、北朝鮮との対立構図をつくっている、という点です。北朝鮮の核実験やミサイル発射、南シナ海の問題など、日本がただ傍観していればいい、というわけではありませんし、国際世論をリードするのは重要でしょう。しかしこうしたものは裏で周到に根回しすることが大切なのです。それなのに安倍首相自ら、中国や北朝鮮を非難し、議論をリードするという。国際世論がまとまりかけたところで、首相がのりだして…というのが一般的な形であるにも関わらず、安倍氏が自ら出しゃばるのは、自分がやったというイメージを作ることが目的であるため、でしかないのでしょう。結果、日本は中国、北朝鮮との対立構図を生み、国民が危険に晒され、だから安保法制が必要でしょ? という何ともおかしな議論にさらされている。リスクを高めなければ安保法制も必要なかったのに…という当たり前の議論すら、今は封じられてしまっているのでしょう。

安保理では核実験の「自制」を求める決議が採択されましたが、安保理自体が核保有国で構成されており、先行者有利の原則を貫いていますし、今後も北朝鮮はやるだろう、として中露が反対するため、法的拘束力がかけられない。米国としては決議自体に意味があったとしますが、正直何の意味もないでしょう。この決議があったとて、北朝鮮が再び核実験を行った場合、カウンターとしての法的措置を何も発動できないのですから。
米国でさえ、対北朝鮮の問題では議論を主導できないのに、安倍政権で何とかなるはずもありません。だからこそずっと裏で工作をしていくしか、本来なら手がないはずなのに、上記したように安倍政権の思惑は議論を主導することではない。主導する、といって前面に立つ、そのリーダーシップぶりを国内にみせびらかせたいだけなのでしょう。

シリアの問題でも米露がふたたび空爆の問題で衝突しており、停戦合意がほとんど守られぬまま、短期間で終了したことでも、時代はより軍事で解決しようとする時代へと、移り行く状況にあるのかもしれません。軍事傾斜した為政者が続々と誕生しているのも、そんな不安を煽ります。敵をつくって劇場型の選挙をする、そんな手法の危うさにいい加減気づかないと、世界中がとんでもない未来へと突っこんで行くことにもなるのでしょう。
しかし強権的、とされるトルコのエルドアン政権、先のクーデターなども考慮して米格付け機関が、トルコ国債を投機的に格下げしました。元々、景気は悪化していましたが、政治リスクの高まりで不安定な状態になった、ということです。しかし日本とて、ほとんど同じ状況にあるのでしょう。もし仮に、安倍政権が突出して中北の敵視を公然と表明しつづけるなら、いつ不測の事態がおこっても仕方ありません。そしてそのときは、日本国債の格下げ、まだ投機的には余裕もありますが、そうなれば必然的に国債の利回りが上がり、リスク性資産としての価値の低下と同時に、景気悪化を引き起こす要因にもなりかねないのです。

安倍政権が12月解散を模索する一つの要因に、先にいけば景気が悪化するから今のうちに…というものがあります。もう政治の世界、与党内ですら、安倍政権がつづけば景気が悪化する、というのがコンセンサスになりつつある。だから余計に敵視政策で、国内を引き締めたい。でもそうすると国債の格付けも下がる、景気も悪化する。なので敵視政策で国民の目を逸らし…という悪循環。この負のスパイラルが今後、日本を覆う最大の悪材料となってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:45|PermalinkComments(10)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2016年09月24日

雑感。独立法人の役員報酬

総務省が携帯電話の回線使用料を見直し、格安スマホの普及につとめる方針です。しかしこういう対策をすすめなければいけないほど、国民が貧しくなっているという意味では、素直に喜べる話でもありません。しかも格安スマホがすすんだとて、国民の消費が活発化するとも思えません。今後は企業業績が急速に悪化し、賃上げもすすまない。それどころか一時金の大幅な減額がみえています。さらに安倍政権がめざす正規と非正規との差をなくす、という施策によって、全体が底上げされるわけではない、となれば尚更でしょう。全体をさらに押し下げ、平等感を打ち出そうというなら、消費は停滞することが確実です。底上げとなれば企業の体力を奪う、成長産業のない日本では、このジレンマから脱せられない限り、消費そのものには何の期待ももてないことにもなりそうです。

しかし給与が増えてウハウハなのが、独法の役職員です。13年から専門性のある人材確保を目的に、給与水準の弾力化がすすめられたため、軒並み給与が引き上げられました。GPIFの理事長らは3000万円越えです。昨年は大幅な運用損をだしていますし、理事長にどんな専門性が必要なのかも分かりません。役職員が運用方針を決めているわけでもありませんし、まさか日々の取引に役職員が指示をだしているわけでもない。正直、管理職さえいれば事足りる組織に、高額の報酬をうけとる『専門性の高い』役職員は不要です。
しかし独法の事務・技術系職員の年間給与の平均は、677万円。国家公務員よりも高い、とされます。ただ国家公務員も、実はもっと高く、低く見えるよう管理職を抜いているともされるので、実はもっと高いかもしれない。安倍政権が本来目指すべきは、官民格差の解消なのでしょう。どうして官の側の方が民間平均より高いのか? 大企業の給与を参考にして人事院が勧告する、としていますが、その大企業が正規、非正規との差を解消する方向で正規を下げるなら、どういう反応をするか? 恐らく引き下げとはならないでしょう。上げていい、となったら損をだしても役職員の給与を引き上げる破廉恥漢ですし、この独法には、もんじゅで不祥事続きだった原研も含まれるのです。損をだしても、失敗しても給与の下がらない職場など、モチベーションが上がるはずもありませんし、コスト意識も、安全に、かつ確実に成果をだす、という意識が崩壊しているとも読みとれます。

『社会契約論』を記したルソーは、国家とは市民が生命や財産を譲渡する、という社会契約によってのみ成立する、としました。国王がいても、単なる行政官に過ぎない、とも。これがフランスの市民革命につながる思想となりますが、日本も行政官が国民を統治しているのだ、という勘違いを改めない限り、そろそろ革命によって変化をもたらさないと…という機運がおきるのかもしれません。ちなみにルソー、仏国王から申し出のあった年金の需給を断り、田舎にひきこもった経歴の持ち主です。しかしこのルソー、立派な人物というわけではなく、自己中心的で社交界になじめず、年金をもらうと国王をはじめとした上流階級と付き合うことになるから、という理由だったそうです。
『社会契約論』では奴隷制についても記され、奴隷については「勝者の得る当然の権利」、一方で敗者はその命を買うことのできる奴隷にすすんでなる、とされます。しかし後段では、戦争とは国家同士の争いであり、対人における権利は有しない、として敗者の命を奪う権利はない、つまり奴隷になる必要はない、という論調をとります。今の日本社会は、社会の奴隷のようになっている市民が増えたように感じます。社会、というより国家により奴隷化され、低賃金で使役される側、ともなっているのでしょう。そのルソーが音楽家をめざした頃、つくったとされるのが日本でも馴染みのある『結んでひらいて』。日本の政治でも、野党がくっついたり離れたり、結んでひらいて、手を打ったと思ったらまた結んでひらいて、最後にお手上げ、となるようなら、国家をむしばむ政治家、官僚がのさばるだけでしょう。管理する機能を失った組織に、自浄能力はありません。精神的支柱になるような、改革の機運が必要となってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(7)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2016年09月23日

雑感。安倍政権の利用価値

やはり読売から、北方領土の2島返還について打診的に報じられました。最近は読売を通じて観測気球をあげ、世論を醸成しようとする動きが政権でも活発です。今回も2島返還で打ち止め感をだしておいて12月の山口会談のショックを和らげよう、という魂胆なのでしょう。しかし2島返還が行われたら、残りの2島は絶対に返ってこない。プーチン露大統領はおトモダチどころか、安倍首相をいいように利用して終わり、が結末になりそうです。

高速増殖炉原型炉もんじゅの廃炉の方針となり、福井県や敦賀市などが反発しています。廃炉になれば電源三法交付金が受けられない、となれば由々しき事態ですが、今回も安倍政権の手腕の拙さが問題になっています。新聞で報じられ、地元には何の説明もないままトップダウンで決まってしまう。しかもそれがもたらす影響、すべてを考慮しているのか? まったく疑問です。廃炉にはするしかないものの、ここまでずるずると引っ張り、結果としてずっと税金をムダにしてきた。そのツケもありますが、廃炉にすることで様々な問題が生じてくる。それを事前につぶし切れているのか? 正直、世耕経産相が「高速炉開発会議」でもんじゅ廃炉を決定する、としますが、政権の能力不足と有識者会議の無能さを鑑みるに、廃炉になるまで、廃炉になってから、様々な問題がでることになるのでしょう。
それは、もんじゅは通常の原子炉より大量の廃棄物がでそう、ということです。冷却材であるナトリウムの処理をどうするのか? ナトリウムが付着した配管や炉を洗浄したものも廃棄物になるので、水とちがって廃炉にするのも大変です。しかしここに最近出てきた話が乗っかる。つまり原発の廃炉に、新たに電気料金上乗せ、という話です。もんじゅは原型炉で、商業炉ではないので電力料金に乗せるわけにはいきませんが、もんじゅ廃炉税などが新設されるかもしれません。維持費用だけで200億円、ともされたもんじゅですが、それを廃炉費用に回してもまだ足りない、となればそうしたことも検討されかねません。

沖縄の海兵隊所属の攻撃機ハリアーが沖縄沖に墜落しました。原因は不明ながら、市街地で墜ちたら大惨事になっているところです。沖縄では基地反対運動が過熱するでしょう。辺野古移設も、国がトップダウンですすめる事業であり、地元との合意が得られぬままです。沖縄は辺野古訴訟に対して最高裁に上告しました。対立は決定的で、泥沼です。地元ときちんと話ができていれば、少なくともここまで問題はこじれなかったでしょう。
政府は地元との対話が苦手、日銀は市場との対話が苦手、まったく不思議なぐらい、この両者はよく似ています。やっつけ仕事で、やった後でその反応が芳しくないと慌てる、といったことをくり返します。ちょっと気を利かせると、打診的にマイナスの情報を観測記事として流し、反応をみるということも常態化している。政権の手法はもう解明されているのですから、本来は効果がないはずですし、そのことによる問題点を指摘するメディアもありそうですが、そういった動きは一切ありません。

安倍政権は、対話は苦手でもメディアとの会合や第三者委員である専門家を丸め込むのは得意、という何とも奇妙な関係性を築いています。しかしその結果、でてくるものがろくなものじゃない、という問題も抱えています。北方領土の2島返還の話も、もんじゅの話も、沖縄の辺野古移設の話も、ごく一部だけが問題視しているだけで、多くの国民にとって興味のある話題ではなくなっている。問題を矮小化し、国民にとって不都合なことを受け入れさせようとする試み。そこには官僚による安倍政権の支持率の高さを利用して、今のうちに…との思惑も含まれるのでしょう。結局、政権が無能であれば誰からも利用されて終わり、そういう結末ばかりが目につくようになってきたのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:40|PermalinkComments(19)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2016年09月22日

日米の中央銀行の動き

財務省、金融庁、日銀が3者会合を開き「神経質な動き」「投機的な動き」と為替相場の動きを牽制しましたが、原因は日銀の新金融政策にあるのであり、まったく当たり前の動きです。日銀は質的・量的緩和の旗を下ろし、米国は利上げしなかった。むしろ100円台でとどまっているのが奇跡、というか、恐らくは当局から要請をうけた企業らが必死で為替予約を入れたりして、円高を食い止めているのでしょう。9月末日に円高がすすんでいると、企業にとっても海外売上げ高を円換算したときの目減り分が大きくなります。日本では9月が2Qの締めですから、年度末にむけて見通しも出さなくてはいけない。100円の防衛ラインはそれだけ重みがあります。ここを抜けたら一気に95円、90円に近づいてきます。

そんな米FOMCの結果は利上げなし、ドットチャートでも年内1回、来年2回の利上げに留まり、ハト派な印象を強めました。しかし声明文をみても「経済活動は拡大は加速」「労働市場は引き締まりつづけ」「家計支出は力強く伸び」と、経済の好調さをみとめる。一方で「設備投資は緩慢」「インフレ期待は2%を下回りつづけ、数ヶ月変化なし」と好調でない部分もみとめました。しかも3人が現状維持に反対票を投じ、意見が割れた。全体はハトだけれど、ハトになる理由はよく分からず、タカ派からすればこの状況で緩和をつづける理由は「Why?」というレベルにあることがうかがえます。
今回はイエレン議長によるジャクソンホールの講演で、一気に9月利上げ確率が高まった後、8月の雇用統計で一気に利上げの思惑が萎んだ。結局、イエレン議長による市場との対話不足、それが利上げできない原因なのでは? とうけとられても仕方ありません。タカ派には今回の結果が不満、ハト派には講演内容が不満、結果、イエレン氏はタカでもハトでもない、チキンなのではないか? そうなると12月の利上げも不確実となります。

日銀の昨日の総括的検証、メディアでは「長期戦」「持久戦」などとも報じられますが、まったく的外れです。効果も経緯も分からないけれど、この政策をつづけていれば、あわよくば物価が2%に達成するかも? というレベルです。金利を操作しかたらインフレ期待が高まる、という算段はまったく成り立たない。マネタリーベースを拡大したわけでもない。金利もいじってはいない。これで何をどうすれば、物価が上昇するのか? 意味不明です。オーバーシュートは強いコミットメントだ、と黒田日銀総裁は述べますが、嘘つきや信用のない人がいくら何かを言っても、誰も耳を貸さない。この半年がそうだったように、日銀の政策には最早懐疑的な見方が広がっていて、市場からはコミットメントではなく、これはコントかコメディ、そうした受けとめがされているのです。
まさに『あわよくば』→『泡よくば』→『バブルがよい形になってくれれば』消費者物価も上昇するのでしょう。しかし注意すべきは、物価が2%になったからといって、決して景気がよい状態かどうかは不明、ということです。日銀の物価2%の目標は、景気の回復は約束していない。このコミットメントはむしろ、自分たちが3年半行ってきたことは間違いではない、というためのもので、決して国民のことを考えた結果ではないのです。

むしろ、「神経質な動き」をしているのは日本の財務省、金融庁、日銀です。2円程度の為替の変動は、金融政策が重なった昨晩なら仕方のないところでしょう。このことからも、政府は100円の防衛ラインに相当焦っていることがうかがえます。「投機的な動き」と言っておけば、何か悪いことをしているような印象を与えられる、からといって今回の動きをそう断定するのは、お門違いも甚だしいのでしょう。むしろ財務省、金融庁、日銀の「同義的な動き」を示さない限り、コミットメントの価値はコメット(彗星)並みに一瞬で消える儚さ、でしかないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:42|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2016年09月21日

日銀による新たな金融政策

日銀の金融政策決定会合ででてきた答えは「長短金利操作つき量的・質的金融緩和」でした。短期金利を-0.1%に、長期金利を0%に誘導する。国債の買入ペースは年80兆円を維持、ETF購入ではTOPIX型を重視し、2%の物価上昇を想起に、また安定的に達する、とします。さらにオーバーシュートコミットメントとして、物価が2%に達してもすぐに政策を転換することがない、として安定的に2%を維持できるようにする、といいます。

まず「市場が好感した」というのは間違いです。すでに為替は円高となっているように、株式市場が開いているときだけ、円安に導く何らかの圧力があった。株式先物をみても、最近大人しかった日系が買い方に並ぶところをみても、相変わらず日銀の政策発表日には日系が買う、というアノマリーを踏襲した形です。つまり一般のメディアは、金融政策決定会合の日しか報じないので、その日だけ高くしておけば「市場が好感した」と使えるから、今日は頑張った、が正解です。また先物では欧州一社も買いでとっていますが、ここは現物を売って先物を買い戻す流れでしょう。つまり外国人投資家は期待外れとして売りで入ったものの、日系の抵抗にあって今日は様子見をした。だから上昇したのです。もし好感したなら、イベントドリブン型の買いがもっと値動きを荒くしたことでしょう。
では、日銀のこの金利操作政策の評価は? といえば落第です。黒田日銀総裁は記者会見でも緩和縮小(テーパリング)を否定しましたが、明確な緩和縮小です。金利が目標近くで推移する限り、日銀は動かない。量的な部分は縮小になります。質的な部分も、残存期限を7〜12年の国債を中心とする、としていたこれまでを転換し、年限の規制を外します。つまり質も担保できない。短期、長期など、どこかの市場に変調を生じればそこに手厚く資金をつぎこむので、日銀の保有国債に大きな偏りが生じることも想定されます。つまりこれは「長短金利操作つき量的・質的金融緩和」ではなく、単に「金利操作型金融政策」に転換した、となるのです。

しかも、その効果はさらに限定される。これまでは高い価格で国債を買っても、その後で日銀が買い戻してくれた。しかしこれからは日銀がどれだけの幅で、買いに動くか分からない。国債プレイが利かなくなる、その恐れから10年物国債が一時プラスをつけるなど、一気に売られた。しかも金利がマイナスとなった場合、ゼロ近傍に誘導するには日銀が保有している国債を売るのか? といった話にもなる。売りには買いで対抗できても、買いには為す術がない。それこそ国債を売って資金を吸収したら量的緩和でもなくなります。
さらに株式も、日経225型からTOPIX型を重視する、という流れを市場はこれまで織りこんできた。TOPIX型は金融株が主導ともされますが、その金融株、今日はマイナス金利の深彫りがなく、反発もしましたが、今後もマイナス金利を深彫りする、とします。つまり日銀はマイナス金利政策で、金融機関の収益性を犠牲にしつつ、その金融株を買う、という矛盾を抱える。株価の下支え感がより一層強まり、この部分も質的な面への懐疑的な見方を増しそうです。

何より、短期金利を-0.1%、長期金利を0%に誘導すれば、むしろイールドカーブのフラット化を促します。それではインフレ期待は低下するでしょう。マイナス金利を深彫りしつつ長期金利を固定するか、短期金利を固定し、長期金利の誘導目標を上げていくしかイールドカーブは改善しない。マイナス金利を深彫りすれば金融機関の収益悪化、年金・保険の利回り低下を招く。長期金利を上げれば、不動産投資などを減退させかねない。異常な水準の金利を、緩やかなカーブに固定しようとする試みは、正直何を狙っているかも分かりません。
今晩のFOMCで、何がでてくるか? 日銀は必死で手詰まりではない、テーパリングではない、と強調しますが、はっきりと手詰まり、テーパリングを示してしまった。そのマイナス効果を考えると、今後は株安の圧力が強まることも予想されます。しかも金利操作では劇的に市場環境が変わるわけでもない。日銀にはもう期待できない、として日銀トレードは終焉し、3年半経って黒田バズーカは完全に終わりを告げた、とみてよいのでしょう。総括的検証、日本人のエスタブリッシュメントにとって、最も苦手とされた検証は、やはり日銀も失敗したようです。その結果、出てきた案はバズーカどころか、パチンコ並みの当たるも八卦、といった策なのでしょう。黒田バズーカ、動物園並みのわくわく感は失われ、黒田バカ政策になってしまった、という形に終わったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般