2020年03月19日

日本株の歪みと日銀

日本の株式市場が底堅い動きを示します。アジア株が急落して、日経平均は下がるもののTOPIXは上昇する。今日は日銀がTOPIX型ETFを2004億円購入と、これまでの1204億円からさらに増額してきました。その結果か、TOPIX先物の買い方にはずらっと日系証券会社が並び、日の丸TOPIX防衛隊、といった様相です。
そうする事情もあり、元々、日銀がETFを購入しはじめたのは2010年12月。そのころは上限4500億円でした。黒田総裁就任で13年4月に残高を年間1兆円増加、14年10月に3兆円、16年7月に6兆円と年間買入額をふやし、16日には12兆円にすることが決定しています。TOPIX連動型ETFの比率が高く、大体7割近くがそうだとされる。単純に、13年4月時点の日経平均は12500円程度、TOPIXは1180pt辺り。つまり日経平均なら、まだ4000円程度余裕もありますが、TOPIXだと100pt下がってしまうと、黒田バズーカで買った分はすべて損、という形になります。つまり損益分岐点どころか、日銀の努力がすべて水泡に帰す水準に近づいてきたのです。

米国ではトランプ大統領就任以来の株上昇分が吹き飛んだ、と話題ですが、日銀も同じです。安倍首相の就任が12年12月、黒田総裁の就任が13年3月で、日本ではまず黒田バズーカが吹き飛ぶのが先。特にトランプ氏は株価操作をしていませんが、黒田氏はETF購入という直接的な手段で市場に介入しており、そのインパクトは比ではありません。そうさせないため、日系に協力させてTOPIX防衛網を布いているのでしょう。
ただそのとばっちりを受けたのがソフトバンク(SBG)です。株価は急落、直近高値の半分になりました。日経225の指数寄与度が高く、TOPIXが上がるので個別株は下がりにくい一方、日経225先物売りがでるとSBG株が売られる。確かに悪材料はてんこ盛りですが、すでに破綻を意識するレベルまで売りこまれるのは、こうした歪みの影響があるのです。投資運用会社、という実態のみえにくさ、それが日経平均を支えてきた。こうした異常事態になると、それも歪みと意識され、フリーフォールに陥ってしまったのです。

しかし日本株売りが少ない一因には、悪の象徴とされた内部留保もあります。日本企業は内部留保が多く、突然死しにくい。資金繰りの問題は生じにくいからです。私はPBR1倍割れ、なんて数字に大した下支え効果があると思っておらず、会社法の改正により自社株買いを行える現状、株価下落は純資産を目減りさせます。つまりPBRの分母を小さくするので、再計算すればPBRは跳ね上がるでしょう。米国がすでにPBRを重視しなくなったように、大量の金庫株を抱える企業は苦しいのです。ただし日本はそれこそ内部留保、現金です。流動性を喪失しようと、日本企業は生き残る可能性が高い、ということになります。
ただし、だから日本株は買い、ということではない。市場の歪みを日銀、日系証券がうみだしている現状では、不測の事態を生じやすい。むしろ最大の不安材料は、日銀にあるのです。今はマネーの量によって市場が落ち着くものではないのに、供給すればいい、というECBの7500億€投入でも同じ、むしろ市場は現金化を急ぐ状況をひきおこし、原油、金、米国債などが投げ売られている状況になってしまっています。大量にETFを買えば市場が落ち着く、と思っていたら、丸々含み損となりそうな日銀も同じ。ダメ政権のダメな対応と同時に、ダメ中央銀行のダメ金融政策もまた、株価下落の要因となってしまっています。今は冷静に、世界経済の壊れ具合を確認し、それから動くということでもよいのでしょう。これからの流れは、不動産市場に波及、債務問題の破裂、信用不安、金融機関の破綻ということになります。当然、よい政策が打たれ、その途中で改善に向かうことを期待したいところですが、その期待が生まれるまでは様子見するぐらいで十分なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:27|PermalinkComments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2020年03月18日

雑感。世界は新たなブロック経済か?

米大統領予備選、民主党はバイデン元副大統領が左派のサンダース氏を引き離して優勢です。新型コロナウィルス感染症で景気後退懸念、といってもまだ経済は壊れておらず、国民は安定を求めがち。逆に、経済が壊れてからだと安定より現状の変化を求めるため、サンダース氏のような急進左派的な主張が勢いをもちます。管理経済、国家関与を強めた方がうまくいくことも多いからで、逆に今はそこまでの政策にはNOという意見が、バイデン氏を強くします。サンダース氏は経済が安定していても不満があるか、経済が壊れるほどの事態になれば強い。この予備選でみえるのは、米国が壊れて欲しくない、という米国民の願望です。

しかし気になるのは、FRBの連日の大量の資金供給です。そこまで資金需要が逼迫している印象はないのですが、実はそうした事態なのか? VIX指数は上昇して株式市場は壊れ気味ですが、CDS市場はそこまで壊れていないのに…ナゾです。そのダウは2万$割れ寸前です。トランプ大統領がボーイング支援をうちだし、企業破綻の頻出する恐れを強めました。警戒すべきは、ウーバーを始めとする配車サービスも同じです。外出禁止や移動制限ばかりでなく、消毒などの対策がどこまで徹底されているか? 配車サービスだと個々のドライバーが対応するので消毒薬がない、マスクがない、などの事情で徹底されない可能性が高い。管理・規制をゆるくして安価に利用できるようになったサービスは、その分不安感が増しやすい業態でもあるのです。
ソフトバンク(SBG)がウィーカンパニー(WeC)への支援見送りか、と報じられましたが、これはシェアオフィス産業も同じ。一人の感染で、違う会社にまで影響する。感染症下ではシェアオフィスは事実上、無価値になりかねません。不動産事業へ業態転換をはかっている、ともされますが、各市場で現金化がすすむように、不動産市場もその波に晒されたら、価値は急減です。昨日、SBGが5000億円の自社株買いを発表。WeCへの支援をする、として5000億円調達したのは昨年末、ちぐはぐな対応も市場の懸念を高め、SBGはついに携帯電話子会社であるソフトバンク(SB)と、時価総額が逆転しました。しかもそのSB株は、資金調達のために一部担保としており、SBG本体が傷むとSBも急落する可能性もある、極めて危うい状況にあります。

感染症の影響は一体いつまでつづくか分かりません。ただ単純な株安、というに留まらぬ不安が漂うのは、各国中銀にしろ、SBGにしろ、何をそんなに焦っているのか? です。それは経済が破綻するかもしれない、という前提で動いているようであり、確かに昨日の記事でも『助走』としたように、まだまだ何が起きるか分かりませんが、一番悲観しているのは経済のど真ん中にいる人たち、というのが不安を助長します。実は、まだ市場の方が楽観し過ぎているのではないか? それがさらに現金化を進める要因となっています。
各国が人とモノの移動を制限し始めた。新たなブロック経済の形にもみえ、世界恐慌前夜のようでもある。そんな中で、お金だけは動いているので市場は乱高下する。それはこれまで成長の牽引役だった業種、業態でさえ壊れ、新たな形がみえない中でお金が右往左往している姿にみえますが、そのお金の動きさえ止まってしまったら…。もし各国中銀がそれを恐れているのだとしたら、それを阻むのは肥大化し過ぎた世界経済全体、となるのかもしれません。経済が壊れて欲しくない、とは誰もが思いますが、壊れることは往々にして起こり得る。その条件を整えたのが、これまで政権を担当してきた各国の為政者たちであり、景気後退が政権交代、体制転換の機運を高めるのだとしたら、こちらもその前夜、ということになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:47|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2020年03月17日

日銀の追加緩和の成否

安倍首相が東京五輪について「完全な形で」と述べました。予選、選考の実施や観客のことも考えると「完全な形」になるのは早くて秋なので、これは延期を明言したものです。そもそもG7首脳が五輪開催について明言したら逸脱行為であり、その決定はIOCにしかありません。なのでG7の場でその話をだしたなら、世界の趨勢を中止ではなく延期という方向で、ということ。IOCは臨時会合でも何の決断もしませんでしたが、むしろ早く決めた方が準備をふくめ、有難いのです。世界のトップの物事の決め方は遅い、と言わざるを得ません。
WHOのテドロス事務局業が「検査、検査、疑わしきはとにかく検査」と述べました。中国をもちあげたり、日本がWHOに資金拠出を決めると「日本はよくやっている」と言ったり、とかく評判も悪いですが、WHOのこの方針は日本と真逆です。果たして日本は「疑わしきは検査」とできるのかどうか。またそうなったとき、日本の感染者数がどう推移するのか。五輪延期もふくめ、日本が試される場面がつづきそうです。

昨日、臨時会合で追加の量的緩和を決めた日銀が、さっそくETFを1204億円購入、302億$のドル資金を国債を担保に3ヶ月貸し出しました。今、世界的に起きているのは信用収縮ではなく、ドル調達懸念です。なので、その部分の調整があったのはよいことです。ただし、今回起きていることをリーマンショック級と例える人もいますが、リーマンショックはあくまでクライマックス。だから対策し、それに成功したので経済は元にもどしましたが、今回はまだ助走段階。リーマンショックなんて大したことない、と後世の評価が変わるようなことがこれから起こるかもしれず、今回はクライマックスが見えないから不安が尽きないのです。
ドル調達懸念が起きるのも、外貨建て債務や外貨の決済で必要だから。止まってしまえば流動性を失い、市場は大混乱しますが、すでに中央銀行が注視しているのでこの問題が発端になる可能性は小さい。ジャンク債市場も、分かっていることですから対処できないのは手腕がない証拠。リーマンショックとて、リーマンブラザースを潰しても影響は小さい、と軽視した当局によって引き起こされました。問題は当局、もしくは市場が軽視していた、そんなこと起きないと思っていたことが起こったときのパニック、ということです。

例えばG7加盟国の破綻。日本に限ってみれば指数寄与度の高い、Bigネーム企業の破綻。そういうことが起きたとき、市場機能が壊れるのです。そしてそのとき、日銀にしろ各国の中央銀行がリーマンショック前より余裕を失った状態にある、ということを踏まえる必要があります。今の市場は、リーマンショック前とは比べ物にならないほど複雑化し、資金調達方法やヘッジの掛け方、保険に至るまで手練手管をつかっているので、むしろ突然死をおこしやすく、またそれに気づきにくい状況が生まれてしまっています。今回のクライマックスに何が起きるか? 恐らくそれは「完全な形で」コロナショック前の状況にもどることはない、という認識をもち、市場との距離感を間違えないようにしないと…ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:47|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2020年03月16日

日米中央銀行の動き

15日の夕刻、米国では緊急のFOMCが開かれて1.0%の利下げで、政策金利を0〜0.25%のゼロ金利に。米国債を少なくとも5000億$、住宅ローン担保証券(MBS)を2000億$購入する量的緩和(QE4)を決めました。また各国中銀によるドル資金の供給など、打てる手はすべて打った、という印象です。16日になると、日本では日銀が午後から緊急の金融政策決定会合を開く、と発表され、決定されたのは上場投資信託(ETF)の購入を6兆円→12兆円に。不動産投資信託(REIT)の購入を900億円→1800億円に。CP・社債をそれぞれ2.2兆円、3.2兆円保有していますが、さらに2兆円の買入枠を追加。また金利ゼロで金融機関が中小企業に融資できる枠を8兆円用意、といいます。

日米がそろって週半ばの会合を前倒ししたのは、米国のトランプ大統領がよびかけた、G7電話会談を成功に導くためだったのでしょう。FRBを批判していたトランプ氏が、この決断を称賛して「市場も歓迎すべき」などと述べているように、自分がリーダーシップをとって解決した、と言いたかった。しかし米株先物市場は急反落、日本市場は何とか国内勢と欧州CTAスジに支えられましたが、始まった欧州株は急落。むしろ材料出尽くし、金融政策に期待できない、という意識が広がりました。市場では多くが「今は金融政策が効かない」と認識しており、それなのに余裕を失ってしまった中銀の愚かさを、市場があざ笑うかのような展開です。
例えば先に金融緩和を発表したECBは、-0.5%の政策金利に対して、金融機関が企業に融資する場合、-0.75%で資金調達できる仕組みをつくりました。つまり融資をするとECBから0.25%付利される、というおいしい条件であるにも関わらず、不十分と市場は判断しました。金利が低くても、条件がよくても、企業の経営環境が悪化していく状況では融資はできない。不良債権比率が高まる中では融資に回らない。金融政策にも限界があるのです。それなのに、これまでの成功体験が染みつき、金融政策で何とかなる、と勘違いした結果、余裕を失ってしまった。日本のバブル崩壊以後の失敗を世界がきれいになぞってしまいました。

日銀のETF購入は、すでに「枠にこだわらない」と黒田総裁が発言しており、ただ金額がはっきりしただけ。規模を大きく見せることでバズーカ、としてきた手法が裏目にでた。市場が日銀のダメさ加減を再認識しただけ、曖昧の方がよかったのです。中央銀行としては『やっている感』をだして、仕事をした気分になりたかったのでしょうが、タイミングを間違えた。米国はマイナス金利政策、という裏技の手は残されますが、事実上の金融政策打ち止め気分が蔓延し、先行きに失望したことが大きな失敗、ということになるのです。
世界はマイナス成長の時代に突入していく、これが市場の織りこみ始めたシナリオです。ドイツ銀など、早くも破綻を囁かれ始めた金融機関もありますが、世界全体に金融不安が蔓延することもあるでしょう。そのとき、金融政策で打つ手がない。これは長期戦になるのに、短期決戦のつもりで作戦を展開した。「協調」という言葉が「消耗戦」という言葉に置き換わってしまった。各国が緩和、緩和とすすんで弾を撃ち尽くした。さて、これからどう戦おう、と思ったときに各国とも余裕のない財政政策に頼らざるを得ない。戦時には特例債などをだして資金調達をするものですが、そうなると中銀の金利調節機能すら壊れるかもしれません。「枠にこだわらない」と言っていた人が、「枠をはめてしまった」。そのことで市場のワクワク感を奪った代償は、今後大きくでてくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:27|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2020年03月15日

経済面で4月頃に起こりそうなこと

新型コロナウィルス感染症で、相場の上下動が激しくなっています。AI取引なので、未知の取引については楽観にも、悲観にも捉えますし、それが人間の判断とはちがうことも多々あるでしょう。これまでも通常なら悲観、と捉えそうな問題でも「楽観」と判断し、買い上げてきたようにAI取引はまだまだ拙い。その拙い分、落ち着きどころを失って漂流するのが今です。なので予想は非常に難しく、明日の相場がどうなるかは予断を許しません。ただ、実体経済の流れは読み解くことができるものです。

日本に限定してみれば、10-12、1-3月期と連続のマイナス成長が確実で、景気後退に陥ります。問題は4-6月期、恐らく安倍政権はこのタイミングで、自粛要請などを外して経済を通常運転にもどす可能性が高い。それは感染症が沈静化していなくても、です。つまりある程度、感染症の特徴が分かった、対策できるとして通常運転にもどそうとするでしょう。1-3月期は中国の減速と、3月の自粛要請で大打撃をうけましたが、4月初めから通常運転にもどせば、4-6月期はプラス圏にできる。また休業対策や中小企業への支援が膨らめば、財政上の問題が生じます。五輪を開催するためにも、日本は通常運転ですという必要があります。安倍政権はあらゆる面で、4月を転換点にしないと困る、そうせざるを得ない事情がある、ということです。
ただしそれで経済が復調できる可能性は、現時点ではありません。米国の渡航制限は残り、中国も経済を抑制的にせざるを得ない。ただし米国は、経済対策ばかりでなく、ある秘策があります。それは対中制裁関税を、非常事態だとして撤廃、もしくは範囲を縮小する可能性です。中国経済を復調させ、そのカンフル剤で米経済も復調させよう、という案。中国が異例なほどの対応をとって、感染を封じ込めたのも、結果的にいち早く立ち直った国ほど、経済をすばやく復調できると知っているから。そしてそれに乗っかる国がでてくることも、予想できること。まさに4月以後、その流れがいつ出てくるかによって、一時的な楽観相場に帰還することもまたあり得ることでもあります。

ただし中国経済だけで、世界経済は復権できない可能性が高い。日米欧が同時に景気後退になる、今回をリーマンショック級と並べられることもありますが、中国が人口ボーナスという余裕をもった状態と今では、下支え役という意味では役不足。中国も債務問題に苦しむ国です。また中国とて経済を再び吹かせば、感染症の波に襲われるでしょう。一時的な楽観、としたのも実態としての押し上げ効果が薄いからです。
警戒すべきは、矢継ぎ早にうちだされた中央銀行の施策により、もう余裕はほとんどない。恐らく今週のFOMC、日銀会合でもその傾向がつづくでしょう。そして4月になったとき、金融政策ではダメで財政政策がないと…となったとき、果たして安倍政権が期待に見合うものを打ち出せるか? 今のところ自粛要請を撤回し、通常速度にもどすぐらいでは株価のもどりは心許ないところです。ただ世界経済の動き、特に米中で何がだされるかには市場を上にも下にも、大きく動かす要因となりかねません。それでも今回のコロナ禍における対策は、極めて厄介といえるものです。AIはすぐに判断を下して上下にふりますが、人間であるからこそ冷静に判断し、長期に亘る影響を考えるべきタイミングにある、といえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:36|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2020年03月14日

安倍首相の記者会見

米株でダウが2000$近い上昇です。週の下げが4600$を越え、自律反発を狙いやすいタイミングで米国で非常事態宣言がだされ、「500億$の拠出に道」と発言したことや、FRBが総額370億$の国債買入を発表。中期債まで枠を拡大するとし、米国は政策総動員といったところ。ただ金価格は続落、原油の反発は小幅、要するに株価は売り方が少し買い戻す流れに乗っかって米国の政策を囃しましたが、まだ自律反発の域をでません。
同時に円安となっていますが、米国で巨額の財政出動がでてくると、国債増発の懸念が増す。それで米金利が上昇、それを債先売り、株先買いの流れと読み取った形もあり、金利差拡大を円安とした。ただしこれは悪い金利上昇であり、同じことを何度もくり返せば、学習したAIがいつかこれをドル売り材料としてくるでしょう。つまり今は、まだ過去の常識を通用させて取引するので、金利上昇を好感する流れにもなりますが、そう何度もつかえる手ではない、ということ。500億$の使い道の前に、500億$の出元について関心が向かうとき、相場はそれを悪材料と見なす可能性が高い。これも何度も使える手ではない、となります。

安倍首相が記者会見しています。消費税減税に問われ、あらゆる手を検討としますが、ここで消費税を減税したら10月の増税は失敗だった、とみとめるようなもの。時限的な減税だとしても、期限がきれるときに再び大きなショックが襲う。恒久減税にしないと大した意味がありません。しかも今、成立をめざす予算案をどうするのか? 最初から歳入に穴の開いた予算案を通すなんて、屈辱以外の何ものでもない。政治家・安倍の汚点となるこの二つを安倍氏が決断できるとは思えない。僕失敗しました、と絶対に言えない人です。
今回の会見で注目された「緊急事態宣言」ですが、安倍氏が否定しても二つの意味で発動する動機ができた、といえます。一つは「失敗しました」と言いたくない安倍氏が、これを緊急事態とすることで前例のない事態だから仕方ないでしょ、とイイワケするため。もう一つは、米国の非常事態宣言を市場が好感したことから、自分で何も手立ての考えつかない安倍氏が、また猿真似をしようとするためです。米国とは性質がまったく違う宣言だけれど、名前が似る。藁をもつかむ気持ちで、宣言をだしてしまう可能性があります。

五輪の開催は「したい」と願望に変わりました。米国はすでに中止で動きだした。コロナ禍はいつ終わるか分からないので、延期は現実的でない。それこそ1年先、となったら今代表となっている人だってどうなるか分からない。日本は世界の趨勢をただみつめ、願うしかないのです。外交で力のない安倍政権なので、IOCを買収して五輪開催を勝ち取るぐらいはできても、決定を覆す力は何ももっていないのですから、当然です。
「卒業式は何とか対策して…」と語りますが、なぜ2週間前にそれが言えなかった? もう卒業式を中止したところもある。休校を決めるタイミングで容易に予想できること、その想像力が欠如しているから、次にどんな手を打てばいいかも分かっていません。日本は感染拡大のスピードが遅い、と誇らしげに語っていますが、だから日本は疑いの目を向けられている。その感染を遅くする施策が、本当に安倍政権のうちだした対策の結果だとしたら、日本の景気減速を長引かせているのも安倍政権、ということになる。感染を収束させるのではなく、長引かせているのが医療崩壊を起こさないため、というのなら、犠牲になっているのは日本で経済活動をするすべての人であり、なぜ収束する施策を打たないのか、が問題となる。卒業をしなければいけないのは一体誰なのか。それは猿でも分かる話、となるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2020年03月13日

世界同時株安と、今回の教訓

世界同時株安です。日銀、FRB、ECBが矢継ぎ早に打つ策が否定され、政策の逐次投入でさらに余力を失う、という最悪の展開。米国が財政出動をうちだせば金利が上昇。自民党有志が消費税を一時0%という案をもちだしても金利上昇。小さな、実現しそうにない案でも値動きが大きく、実際に対策をうちだしても失望される。では、巨額財政支出で景気下支え、で市場が納得するかといえば、そんなことをすれば新型コロナウィルス禍がさらに深刻となり、それもまた悲観を誘う可能性が高い。つまり中央銀行に余裕なく、政府が景気対策を打とうとすれば感染症を拡大を意識させ、国債増発懸念もあって市場が弱含む。これが現状です。

株式市場の下げ幅が過去最大、といったところで下げる前の水準が、リーマンショック前にはすでにサブプライムショックがあって、それほど高くなかった。今回は楽観、楽観でとにかく高くなっていたところからの急落で、大きくなったというだけです。幅も率もそれほど意味がない。問題は期間と、収束するタイミングで何が起きているか? です。その間は、悲観にふれることもあるでしょうし、楽観が支配することもある。ただその先に経済が低成長、もしくはリセッションとなるなら戻りは鈍い、ということになります。
注目は年金です。巨額の運用をするところほど、打撃が大きい。単純計算でGPIFは10兆円を大きく越える損を抱えます。累積ではプラス、黒字、というのは意味がない。3%リターンで100兆円の運用なら+3兆円、90兆円の運用なら+2.7兆円。つまり規模が変わると、実績も変わる。一度大きく減らしてしまうと、その後の運用リターンも大きく変わってくるのです。今回、外国株が円高、株安で大きく傷んでいるので、国内株の下支えもできない。運用割合を守るために、むしろ国内株の売り主体ともいえます。そして世界的に年金基金の痛みが明らかになってくると、さらに個人マインドを大きく冷やすでしょう。日本型将来不安からの消費手控え傾向、といった要因すら警戒するレベルまで、株価は大きく下がってしまっているのです。

中国が「(感染症の)ピークを過ぎた」といっても、再び景気を吹かせば、再拡大となるでしょう。中国株の下落は小さい、といっても事前に大きく下げていて、景気減速を織りこんでいたからで、あまり意味のない話です。日米は景気実態に関わらず、大きく上げていたから下げがきつい。実態を伴わないものは、仮面が剥落するときは脆い。それが今回はっきりしたこと。もう一つの教訓は、感染症は経済政策すら破綻させるほどの破壊力をもつ、ということです。極めて対策が打ちにくい。感染の拡大を防ぎたいなら景気を犠牲にしなければいけない。どのタイミングで景気対策を打てばいいのかも分からない。その順序、タイミングを間違えたらさらに景気を冷やす、という困難な現実を、まざまざとみせつけているのが、今回なのです。
だから政治が真の実力を試される、中央銀行もそうですが、そのときダメリーダーばかりなので、今のところ期待も抱けない、となります。来週はFOMC、日銀会合もありますが、期待値も低い。低いけれど、でてくる対策の規模だけは大きいものを望む、という極めて厄介な状況でもある。セリングクライマックスを期待する向きもありますが、今のAI取引でそういった事態が起こり得るのか? よくよく考えて、過去と今が対比できるのか? 過去に起こったことが今回も起こるのか? を考えておく必要もあります。「(下落の流れの)ピークを過ぎた」というのは、まだだいぶ先。今大切なことは、感染症というこれまでのと経済の教科書に載っていないことを、これからしばらくは実践していくことになる、と理解すること。その実践をするのがダメリーダーばかりである、と理解すること。「(政権支持率の)ピークを過ぎた」ことだけは、今判明しているいることなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2020年03月12日

日米政権のダメさ加減

自民の伊吹元衆院議長が、株式市場を「政府の悪口を言ったり、対応の不味さをあげつらったりしていると、不安は不安を正当化し、悲観は悲観を呼ぶ」のが現実化して下落している、と語りました。実際に対応がまずい政府を批判しないでいると、自然と株価が上がると言いたげですが、そんなことはありません。
トランプ米大統領が欧州から30日の渡航制限を発表しました。ただ同時に、モノの移動も制限…と発言し、株価は急落。その後、モノの移動は制限しないと訂正しました。人の移動でさえ景気下押しが強いのに、モノまで止めたら大混乱です。ただでなくとも米国は日用品が不足気味という。中国に日用品の製造を委ねていたこと、1月中旬の関税の一部引き下げを待って輸出を増やそうとしていた業者が、春節明けから増やそうとした製造を止めてしまったこと。手の消毒スプレーをNYでは刑務所内でつくりはじめた、などというようにモノ不足で内製しないといけない状況です。それに、米国内でも蔓延し始めたこの状況で、欧州からの移動を止めたところで、どれだけ効果があるか分からない。トランプ氏は銀行幹部と会談した、とされますが、あまり有効な助言は得られなかったようで、5兆$の中小支援というのも、融資では日本と同様で効果も限定的です。

WHOのパンデミック発言で市場は急落、とする人もいますが、朝は下げ渋ってはじめており、明らかにトランプ大統領の会見待ちだった。そこで有効な提案があれば、市場は下げなかった。その後、官邸で安倍首相と黒田日銀総裁が会見していますが、そこでも提案がなかった。「適切な対応を、躊躇なく」と、なぜか両者とも判で押したように同じことを語る。対応するなら今でしょ? と誰もが思っているのに、それがでてきません。4月の緊急経済対策も、市場からは遅い、どうせ大したものは出てこない、とみなされての下落です。
今、市場が織り込みはじめたのは、幼稚な政府が治める国は売り、です。ナゼならまともな対策がでてこない、新型コロナウィルス感染症を防げない、景気はさらに冷え込む、となるからです。AI取引は残酷にそう判断する。一度弾みがつくと、抵抗するよりトレンドフォローをした方が収益もでる。だから値幅も大きくなり、上昇でも下落でも米国では4桁も動いてしまいます。すべてはこれまで良かれ、と思って築いてきた世界の結果。日本で打つ手を失ってしまったのも、同じようにこれまで安倍政権がつづいてきた結果、といえます。ろくでもない政権が混乱を助長するので、株は買える状態でなくなった、というのが現実です。

トランプ氏は「金融危機でない」とします。でも、その金融危機にするかどうかも、時の政権です。露国とサウジの減産合意決裂を「フェイクニュース」としたり、楽観論ばかり振りまいて、急に渡航制限などを出しているようでは、米国発の金融危機を招く恐れも高い。日本とて場当たり的、後手後手対応を経済対策にまで持ち越されたら、金融危機を招くことだってあるかもしれない。自分でしっかり考え、判断できるトップでないと、危機のときにはさらなる混乱を招く。平時から考え、しっかりしたトップを据えておかなかったツケ。『過剰』流動性相場の、『過剰』が剥げ落ちた次は、無能な政権の出来の悪さの競い合い、です。「不安は不安を正当化し、悲観は悲観を呼ぶ」のではなく、「不安を正当化し、悲観を呼ぶ」政権だから、市場は『躊躇なく』売ってくることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:11|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 

2020年03月11日

4月の緊急経済対策と、春の甲子園の中止

東日本大震災から9年、安倍政権は復興、復興といいますが、防潮堤が浸水被害をおこすなど、負の状況もみえてきた。双葉町の一部で非難区域解除といっても、元にもどるわけではありません。福島原発の廃炉措置でさえ道半ば、というか、計画遅れが目立ちます。汚染水の処理方法を決められないのなら、原発の使用済み燃料の処置でさえ、どうするのか決められないでしょう。廃炉をすれば高レベルに汚染された瓦礫もでるので、その処分場も必要です。その議論を恐れたのか、福島で汚染土を道路の敷設に再利用する案もでてきていますが、姑息すぎます。まず経産省と環境省の敷地内に汚染土をはこび、そこでしばらく置いても人体に影響がない、となれば再利用をすればよいのであり、いきなりどこかに「人体実験場になれ」という前に、まず自分たちが安全性を確認する、ぐらいの覚悟がないと誰も納得はしてくれないでしょう。
そんな中、森法相が唐突に「検察官はいわき市から国民、市民が非難していない中で真っ先に逃げた」と発言。後に撤回しています。黒川東京高検検事長の定年延長の具体的説明を求められてのものだけに、意図も不明です。原発事故時、自民は野党でヒマだったので、ネット情報でも仕入れていたのかもしれません。

トランプ大統領が給与税減税をふくむ景気対策をうちだしました。ただし、すでに行ったトランプ減税により歳入に1兆$の穴が開いており、すんなりこの要求が議会を通る見込みは、現時点でありません。貧困層や失業者への目くばせが先で、広範な減税措置はその後。そもそも今回難しいのは、対策を打つ時期を間違えると感染を拡大させ、さらに景気を冷やす。この対策が議会を通過して、実施されるのが半年後だとすると、そのタイミングで感染が止まっている可能性もありますが、そうなると大統領選には間に合いません。
安倍首相が4月にも緊急の景気対策を打つ、としますが、補正予算、予算編成とつづく国会で何度もそれを変更するタイミングがありながら、4月に後ずれさせる。しかも対策次第では感染拡大も覚悟しないといけません。ただ政府がこのタイミングでうちだす意図は、『もう五輪に期待できない』ということなのでしょう。日本だと議会を通さずに打てる景気対策もあります。規模は小さくなりますが、その効果がでるのは早くて3ヶ月後、ずばり五輪開会のときです。五輪が延期、若しくは中止になったときのインパクトを和らげるためにも、景気対策を打つしかない。欧米にも拡大して今後、ピークを迎える以上、五輪は諦めるしかありません。

そもそももし日本で感染が抑制できても、五輪で大量の人間が流入してくるのに、今の検査体制では対応しきれませんし、病床の問題もある。指定感染症なので指定医療機関でないと対応できず、大量発生は致命的です。国内事情からも五輪は開くどころでない。ただ一部の利権者が、未練を捨てきれずにのたうち回るので明確にはうちだせませんが、実際にはもう不可能です。その事情を反映したのが選抜甲子園の中止にも現れます。
春の選抜が開催できたのに、五輪はできないのか? との指摘を回避するため、圧力をかけて潰したことが想像される。国民に、何となくそんな大きな大会の開催は難しいんだよ、と印象づけたのです。どちらか一方だけ開催しても遺恨がのこる。高校球児を泣かせても、五輪も開けないなら…と納得させる効果がある。ただそうなると、夏の甲子園ですら開催できるかどうか不明。その前に、自粛要請がつづくのであれば予選すら開けません。高校生のスポーツの機会すら奪ってしまう、といったことが今回の一連の動きには含まれるのでしょう。安倍政権が水際対策に失敗したツケを、国民全体で払っていくことになる。その代償に、国民が支払った税金からその一部を返す、といった緊急経済対策をだされても、国民はすっきりできないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:42|PermalinkComments(4)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2020年03月10日

感染症と信用不安と

水際対策に失敗し、瀬戸際とされた1〜2週間を過ぎ、安倍首相は「正念場」といいだしました。専門家会議は「もちこたえている」としましたが、だとしたらもっと厳しい体制をとらないと、収束はみえないことになります。しかも影響は「半年、年を超えるかも…」とするので、正念場がそれだけ続いたら景気はガタガタです。「10日程度は(イベント自粛など)継続を…」としますが、それだけ我慢したとて、その後に再開できるかどうか不明。それこそ半年かかったら、中小零細のイベント関連会社はバタバタ潰れるでしょう。
安倍氏は「325人は回復」と述べ、治る病気だとアピールしましたが、欧米や中東では致死率が上がっているように感じられ、凶暴化しているのか、もしくはアジア系だと軽症で済むのか、まだよく分かりません。そもそも1日のPCR検査の数が900件だと、都道府県単位では1つの県で20人ほど。その数では全数を調べていないことは確実で、日本はずっと全体像がみえないまま、今に至っています。海外からも批判され、入国制限を課されているように、安倍政権の信用はもはやガタガタ、いや、日本の信用がガタガタとなっているのです。

今日の日本株は切り返しました。ただ多くの市場関係者も語らないのは、まだ信用市場が崩壊するとの不安だけでここまで下がったのであり、崩壊はしていない。実際に崩壊したときは、もっと市場は下げることになります。つまり今は、過剰流動性相場の『過剰』部分が剥落したことで今の水準まで下がっただけなのです。何百兆円が吹き飛んだ、とするように『過剰』の部分が消失しましたが、まだ流動性相場がつづいています。
米国が壊れるのは、ジャンク債市場からなのか、サブプライムショック前以上に膨らんだ家計債務からなのか、は分かりません。ただ米国が壊れたら、流動性すら止まります。そんな中、トランプ大統領が減税をふくむ景気対策を議会と協議、と伝わり、市場はもどしましたが、SQ週の水曜日で値幅がでやすいところに、日系がロールオーバーで売りを少なく、買いを多くして下支えした。そうせざるを得ない事情もありました。

黒田日銀総裁が国会で、購入したETFの損益分岐点は「19500円程度」としました。それ以下になったら日銀は損を抱え、引当金の取り崩しモードに入ります。それを過ぎると、日銀が損失を抱える形となり、信用を毀損する可能性がでてくる。すぐに起きるものではありませんが、日銀の経営不安を引き起こさないためにも、株価維持が条件となってきて、日系も支えざるを得ません。しかし外国人投資家が7割、とされる日本株市場で日系の下支えがいつまで利くかも分からない。日本の株式市場が罹っている病は、かなり深刻です。
安倍政権から、感染症対策の第二弾も発表されましたが、相変わらず中途半端です。感染を止めたいなら徹底的に、景気のことを考えるなら「罹っても治る」と安倍政権が言い張るのであれば「要請」などやめて、自由に活動させた方がいい。どっちつかずで長期化するのが最悪なのです。そんな最悪なことをしているから、一時19000円割れも試す水準まで株式も下落した、ということです。ダウが史上最大の下げ幅、という逆風もありますが、今日のもどした要因も米国発。日本は何もできない、何の影響も与えない、無為無策のまま株価崩落を放置している状況となってしまった。水際、瀬戸際で失敗し、日本を今わの際に追いこんでいる安倍政権の信用はすでに失墜しており、安倍政権は正念場どころか、土壇場に追い詰められてきたのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:19|PermalinkComments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治