2017年02月22日

賃金構造と残業規制

森友学園の件が、ワイドショーなどでもとり上げられるようになりました。安倍政権ではプライマリーバランスの改善の旗を下ろしましたが、こんな甘い査定で国有地を売却していては、国の財政など良くなるはずもありません。しかも校舎の下の廃棄物は撤去したけれど、グラウンドは撤去していない、という。校舎の下はそれこそ表に出てくることはありませんが、グラウンドは生徒が運動する場であり、むしろその部分を重点的に撤去すべき、と言えます。豊洲新市場の地下の汚染が問題視されますが、この豊中の小学校予定地も土壌検査はきちんとした方がよいのかもしれません。
さらに伊丹空港が近く、騒音被害もあってまともに授業ができるのか? 防音工事をしても、音は完全に遮断できるわけではないですし、屋外の活動では声が聞きとれないケースも多くなります。本当に学校を建ててよかったのか? その辺りから追及も必要となってきます。安倍昭恵氏が絶賛した、という教育方針も、虐待の疑惑もでてきていますし、そうなると2017年末までの待機児童ゼロ、の旗も下ろした安倍政権では、児童虐待を放置するのか? といった別の問題にも発展してきそうです。

平成28年の毎月勤労統計確報がでて、月間の給与総額は前年比0.5%増となりました。しかし賃金構造をみると、男性は前年と同水準、女性が1.1%増と、その伸びの大半は女性だったことが分かります。しかも正規社員は僅かな伸びなのに比べて非正規が伸びていることからも、非正規で働く女性の賃金の伸びが、その大半だといえるのでしょう。
しかも安倍政権では、賃金が上がった、と成果のように語りますが、賃金構造をみると男性の賃金は、10年前より下がっている。東日本大震災で下がった分が、やっと上向いてきた状況で、未だに賃金デフレはつづいてる、が正しい見方です。官製春闘などとも言われましたが、効果がほとんどないことは数字がしっかりと示しています。しかも若年者の賃金は上がっていますが、男性の40代から上は軒並み下がっている。唯一65歳以上は上昇していますが、これまでは申し訳程度だった働きが、戦力として意識されたことで上がったのでしょう。全体でみると、人手不足を補うために、若者や高齢者、それに女性の活用を企業は模索しており、その部分の賃金の伸びが目立ち、逆に新規の労働者層でない部分を下げている現状が、よく映し出されています。

企業の規模別でみても、同様の結果です。大企業は前年同月比0.7%減、一方で中小企業は0.8%増。元々、平均賃金で100万円近い差があるとはいえ、人材確保が大変な中小企業が賃上げをしている。昨年の春闘で、ベアが達成された、などと報じられましたが、結果として大企業は賃下げになっており、これではプレミアムフライデーなどと銘打ち、今週末から消費喚起の施策もはじまりますが、盛り上がるはずもありません。
安倍政権では働き方改革の一環として、残業規制について前向きで、労使交渉が行われていますが、一向に落としどころもみえません。それはすでに安倍ノミクスが失敗し、経済界としても安倍政権に配慮する必要がなくなったので、わざわざ自分たちの首を締める残業規制を導入するのは馬鹿らしい。労働者側も、実は残業代を払ってくれるならもっと働きたい、という人もいて、一枚岩になれない。そこに来て安倍首相の求心力低下が議論を難しくしている、とさえ言えます。

トランプ政権と何を約束してきたのか? トランプ氏はぽろぽろ情報を出していますが、安倍氏は黙して語らない。経済界も、設備投資をしていいのか、賃上げをして将来は大丈夫なのか? 自信をもてなくなってきた。米国の雇用は守る、と国会で答弁しましたが、日本の労働者すら守れていないのに、どうして米国の雇用を先にするのか? ということにさえ不信感が募ります。どうせ残業規制どころか、それこそ大枠の働き方改革でさえ、いつ旗を下ろすのか分かったものではない。難しいことから逃げ回り、結局何も為したことがない安倍政権。地下に堪ったゴミを撤去もせず、表面だけ均してそれで終わり、という態度では、誰の信頼も得られないことが、ここに来て大きなネックになってきているのでしょうね。

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2017年02月21日

雑感、バブルの記事

経団連の榊原会長が「東芝の半導体技術が海外に流出するのは問題」と語りました。安倍政権の提灯もち、とも揶揄される会長だけに、いよいよ護送船団方式で東芝救済にのりだすのでは? との観測も流れます。日本ではこうした「海外流出への懸念」が語られますが、企業買収に国境線の引かないのが国際社会の常識であり、これも参入障壁と意識されます。日米FTAによる二国間交渉に移行するのだとしても、こんなことをやっていると他の項目でペナルティーを喰らうことにもなるでしょう。
1月の対米貿易黒字が前年同月比で、26%減となりました。シェールガスが初計上されたことが大きいですが、700億円程度も上乗せされた輸入、まだ数量の少ないシェールガスだけで達成されたのなら、かなり高値掴みさせられているかもしれません。また気になるのが輸出で、自動車や半導体電子部品など、これまで牽引してきた分野が大きく減らし、6.6%減になっています。つまりこれまでは米国が堅調で輸出も増えてきましたが、輸出減という形でも貿易黒字が減殺されるのかもしれません。

最近、気になるのがバブルを示唆する記事です。独国では経済が好調ですが、不動産価格は現状の経済情勢でも説明がつかない、というほど騰勢を強めていますし、中国では鋼材価格が跳ね上がっている。米国では原油相場におけるファンドの買いが高水準に積み上がっているように、投資資金の流入によってあらゆる水準が押し上げられている。新興国の株価もそうですし、日本でも新興株であるジャスダック指数の堅調なども目立ちます。
しかし実は、世界はもはや金融引き締めへと舵を切り始めています。日欧では、購入できる国債が減少し、これ以上の日銀、ECBによる買い入れは市場を歪めるとして、事実上のテーパリングが開始される見こみですし、米国もFRBによる金利上昇とバランスシートの見直しが年内にも開始される見通しであり、金融市場への資金流入が、早晩はじまることにもなります。ここに来て、各市場がさらに跳ね上がっている。これはバブルの最後に咲く徒花、との見立てがよいのでしょう。

これまでは企業業績も堅調でしたが、それはバブルで、その分は消費が押し上げられますし、最大は企業の資産も上昇していたこと。自社株買い→株価上昇→資産価値の上昇、という好循環が生まれてきました。保有不動産の評価額も上がり、まさにこれまでは企業がバブルを享受できた時代、ともいえます。その時代がいよいよ終わりを迎える。恐らくこの一年以内に、バブル後の時代が始まることにもなるのでしょう。
実はバブルがはじけても、いきなり急落が起こるわけではありません。弾けたことに多くが気づいたとき、急落がおきます。直近ではサブプライムローンが弾けた後、しばらく市場は静観したようなもので、リーマンショックが起きるまで値を保つことができました。今の徒花も、花の命は短いといったことにもなるでしょう。ただ、枯れてもそれが椿のように花が丸ごとボタリ、と落ちるまでは気づきにくいのです。

楽天が自社株買いを発表しましたが、どんな採算があるのか? これから株価が一段高になるなら、それも成功でしょうが、経済全体がおかしくなるときに保有資産を高めると、後に減損処理などで、苦しむことにもなる。日本がバブル崩壊で得た、唯一の教訓とも言えるものですが、それを知らない経営者も増えてきた。今の徒花、それが満開と呼べるほどに世界全体でキレイに咲くのなら、その枯れ草の処理は、相当に大変なことになると覚悟した方がよいのでしょうね。

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2017年02月20日

雑感。平和への権利宣言

今晩の米国はプレジデンツ・デイで休日です。これは初代大統領ワシントンの誕生日を祝うためのものですが、権力の座につくと誰しも記念日や、暦に名を残したい、と考えるようで、ローマでは月の名前を皇帝の名前に置きかえてしまいました。ちなみに、日本では今日が天赦日。すべてが赦される最上の吉日とされますが、相場は今年最低の売買水準、北朝鮮の動向やら、関東では突風が吹いて停電がおきるなど、何かとよくない日でした。
さらに、こちらは追及の手から逃れられなくなりそうなのが石原元都知事です。会見の日程も迷走、発言は強気を維持しますが、急に歩き方が弱弱しくなり、哀れみを請うような態度をとりますが、百条委員会の設置にむけて議会が動きだした。本人がもっとも嫌がるつるし上げを食らう恐れもあります。天は赦してくれそうにない、と知って、急に気力が萎えたのかもしれませんが、かといって真実をどこまで語ってくれるのか? 自尊心の塊のような人物だけに、その塊が打ち砕かれるかどうか、注目でもあります。

国連で「平和への権利宣言」が採択されました。これは日本のNGOも深く関与し、人々が平和に生きる権利をもつことを示したものであり、新しい人権の概念を示すものです。しかしイラク戦争の有志連合は反対に回り、そこに米国が入っていることから日本も反対しています。日本の反対理由は「議論が熟していない」ということのようですが、だからといって日本が積極的に、議論の取りまとめに動いたわけでもなく、傍観していただけ。しかも採択されたのですから、熟すも熟さないもありません。宣言に拘束力はありませんが、宣言に沿って国際関係を築くことが求められます。
しかし日本が平和への権利宣言に反対したのも、安倍政権の態度が深く関わっている、という見方もあります。共謀罪について、安倍首相は「組織犯罪集団に限定し、一般人は対象でない」とします。しかし組織犯罪集団と、一般人の線引きは曖昧です。例えば割りのいいアルバイト、と思って請け負ったら、それが犯罪行為にかかわるものだった場合、一般人と言い切れるのか? そもそもその集団の目的が、よほど明確に犯罪行為を企図しているのなら、それらは共謀罪でなくとも立件可能ですが、その線引きすら曖昧なのです。一般人がそれに気づくか、気づかず手伝ってしまったら、どうなるか分かりません。つまり一般人も、いつその対象にされるか分からないのです。

中国の脅威を煽り、軍事予算を増やす点も、平和への権利宣言に乗れない点でしょう。宣言の中には「平和を構築する手段として恐怖と欠乏からの自由を保障すべき」とあります。恐怖と欠乏、そこには軍事的対立を排除しようとする試みも含まれるのですから、安倍政権の手法すら否定している。これは今の極右とされる政治集団の主張とも異なります。そしてこの宣言は、現行の日本国憲法を下敷きとしている部分も多く、改憲にむけて動く安倍政権では、尚更受け入れ難いものもあるのでしょう。
トランプ氏がF35の値下げを、安倍氏がトランプ氏に感謝した、と述べています。計らずも値下げ交渉を行ったことを「成果」としてくれたわけですが、米軍需産業としては面白くない動きでしょう。日本が中国の脅威を煽り、どんどん米国製の兵器を買うよう、これまでも仕向けてきたのに、値下げしたら売上げも下がるのですから。しかし昨晩のスウェーデンでテロ? との意味不明な発言もしているトランプ氏。自らフェイクニュースで情報を得ているのでは? などと揶揄される中、安倍氏との会話とて悪い話として米国では広まっていることでしょう。そしてそれは、入国制限に反対する動きとは異なり、軍需産業への敵としてのトランプ氏、という意味で、より悲劇的な結末を招き易いともいえます。

安倍氏は暦ではなく、歴史に名を残したい、とばかりに改憲、北方領土交渉、北朝鮮の拉致問題、などと邁進していますが、どれも形にすらなっていません。安保法制では南スーダンへの派遣で政府には「戦闘」の定義が存在しない、ということが判明し、自衛隊員への成り手は著しく減っていくことでしょう。平和を守るための部隊が、安倍政権の体裁のために自分たちの平和が脅かされる、といったことを意識させるからです。
平和への権利宣言、安倍政権では天がそれを赦しても、絶対にみとめるわけにはいかない、といった態度にもなるのでしょう。安倍氏自身、自分が政権を追われる恐怖、そうなるともう政治の中枢にかかわれない、との欠乏、その二つからの自由のために邁進する、といった姿勢がより鮮明になってきたことも賛成できない理由であるのでしょうね。

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2017年02月19日

北朝鮮の動き

北朝鮮の金正男氏が暗殺され、マレーシア警察は北朝鮮籍の男1人、ベトナムとインドネシアの女性2人を逮捕し、北朝鮮籍の男4人がすでに出国した、と発表しました。ただ今回、色々と腑に落ちない点もあります。それはこれまでの北朝鮮らしくない、という点です。今のところ情報は乏しいですが、女性2人を勧誘して実行犯に仕立てていることは、これまでの北朝鮮に見られなかったことです。これが新しい金正恩スタイルなのか、それとも異なるのか、その見方の違いで、今後の読みとり方も違ってきます。

北朝鮮にとって、今回の暗殺は実行犯と知られたくなかった。それは儒教的精神の残る北朝鮮で、兄殺しが知られれば、国民にも不信感が生まれるかもしれない。そのため北朝鮮の関与は消したい。しかしそれだと、逮捕された1人や当日出国した4人など、どうにも計画が杜撰です。イタズラ映像をつくる、というのなら映像製作会社に依頼すれば、北朝鮮の匂いを一切消すことができます。役者に素人をつかっているのですから、撮影隊も同じにしてもよい。わざわざ北朝鮮から出向かずとも、東南アジアでは恐怖映像を撮って、それを売って稼いでいるような撮影会社が山のようにあるのですから、ふつうに依頼をだせば二つ返事でOKしてくれたでしょう。そうすれば見届ける人間は1人でよく、拘束される危険を犯してまで、5人も残っている必要はなかったはずです。
むしろ北朝鮮の痕跡を残すつもりなら、実行犯も北朝鮮の女性をつかうはず。1人が注意を惹きつけているうちにもう一人が、何らかの毒物をかけた、とされるので、朝鮮人であっても警戒されずに近づけたはず。つまり突発的な手口で襲われたら、防御するのは難しいのですし、それこそ素人を実行犯にするより、訓練された北朝鮮女性をつかう方が、よほど成功の確率が上がったことでしょう。以上、これまでの北朝鮮のやり口と異なり、できるかできないか、やってみないと分からない当てずっぽう。そして隠す意図があったとしたら、あまりに杜撰。かといって、どうして女性2人をわざわざ雇ったのか? どれもこれもがあまりに中途半端で、何をしたかったのか、よく分からないのです。

あくまで憶測ですが、これが金正恩スタイルでないのなら、命令は北朝鮮からでていても、それは金正恩氏によるものではないのではないか? そしてそれは、金正恩氏を排斥する動きにつながるのではないか? それを主導するのは中国だと考えます。つまり北朝鮮内に、親中国派をつくり、金家を排除して新しく集団指導体制に移行させる。そのためには、先に金正恩氏を倒してしまうと、正男氏が後継者として浮上してしまう。そこで先に正男氏を亡き者にしようとした。そんな可能性を考えています。
もしこの憶測が正しいなら、今ごろ金正恩氏は恐怖しているでしょう。なぜなら兄が殺された理由も、誰が犯人かも分からないからです。そして北朝鮮内に、反金家が育っていることが怖くて堪らないはずです。これが新しい金正恩スタイルなら、話は簡単です。人材をケチって、しかも計画は杜撰なのですから、北朝鮮の劣化を示すことになる。それはミサイルや核技術の開発に注力しすぎて、他に予算も頭も回っていない、という話になる。しかしそうでないなら、北朝鮮内のクーデターを誘発する可能性も秘めるのです。

しかし北朝鮮がクーデターにより体制崩壊を、安穏と迎えるか? そこにリスクも漂うのでしょう。一部で、米国が攻撃する、といった観測もありますが、正直トランプ氏は威勢がよくても、米中で組んで北朝鮮を攻めたとて、メリットが小さいことから踏み込めるのか? その度胸があるのかは、甚だ怪しいとみています。それより、中国が関与して北朝鮮の体制転換をはかるケースは、中国のお国柄から考えても十分にありえます。ナゼなら中国国内は、そうやって権力闘争ばかりをしてきたのですから。まだ分かっている情報が少ないため、次の動きを予測することは難しいですが、上記した憶測が正しいなら、近々北朝鮮から、驚くような情報がとどくことになるのかもしれませんね。

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2017年02月18日

雑感。規制緩和の功罪

トランプラリーのつづく米株市場ですが、新薬の承認をスピーディーにする、としたトランプ大統領のヘルスケア改革に、医薬品業界は後ろ向き、という話がでています。要するに簡素化された試験で、新薬が承認されれば、そこに政府のお墨付きがないため、保険業界がその新薬に保険を適用できない、というのです。薬は承認されて、販売されればそれで終わり、ではなく、販売後にも予期せぬ副作用などがあり、訴訟リスクを抱えます。そのため保険をかけますが、厳しい審査を経た方が信頼も増すので、業界としてもありがたいのです。
例えば小泉政権でタクシー業界の参入障壁が取り払われる規制緩和が行われましたが、過当競争に陥り、タクシー業界が疲弊した、といったケースがあります。そして今、初乗り運賃を引き下げましたが、規制緩和なるものも、やり方を間違えれば、行政が手をつっこんでいることになる場合もあるのです。トランプラリーなるものも、今はすべて経済にとって好都合、という見方しかされず、米株市場は連日の高値更新となっていますが、規制緩和は諸刃の剣になる、それを無視した形でしかないのでしょう。

欧州でも、ギリシャ支援にIMFは50億€程度の拠出を想定、と伝わります。欧州の債権国は160億€を望んでいるようなので、これは大きな乖離です。しかしこれは欧州側が望外の期待を乗せすぎており、一体いつまでギリシャに支援をつづければ、債務国の状態から抜け出せるのか? といった目処も立たないまま、ただ生き永らえさせている状態です。
例えば、日本の東電も同じです。再建計画には原発再稼動を入れますが、原発の稼動など目処すら立っていないばかりか、柏崎刈羽原発を主に担当した東芝は、もはや原発事業の巨額損失で青息吐息です。米国では原発が高コスト発電だとして、続々と廃炉が決まっているのに、ナゼか日本ではそれが経営再建の柱になってしまう。保有しているだけで稼動しなければ、ただのお荷物でしかありませんが、日本だと低コストで動かせる、というのなら、どこかに歪があります。そんなものに頼り、経営再建を模索する時点で東電はかなり危険な経営状態です。東芝と同じ、原発を抱えていれば国が破綻させない、という仕組みだから、赤字であっても原発産業を抱える、それで存続させられている、というのなら規制どころか、寄生によって生き永らえている状態ともいえるのでしょう。

安倍政権では、17年末の待機児童ゼロ、についても公約を見直しました。幼保の一体化も徐々にしかすすまず、必要なところの規制緩和、構造改革がすすまない。少子化にもつながるこうした分野に手つかずで、安保法制や共謀罪に邁進する安倍政権。日米の共同声明でも財政政策と構造改革を柱にふくめたのに、日本の最大の問題である少子化を解消するための施策を置いてきぼりにしていては、成長戦略も何もありません。
日本株が米株についていけなくなったのも、米国は経済が堅調でテーパリングを開始する、日本では日銀が行き詰って自然テーパリングが開始される、そのため日米の金利がともに上昇する形にしかならず、円安がすすみにくくなったためです。米MMFの取り組みをみても、円売りを徐々に解消しており、それは米国の事情だけをみてドル買いをしていたものが、日本の事情についても目を向け始めたことを意味します。日本の事情、それは安倍政権が自身の成果とするため、異常なことをしたそのツケを支払う段になって、何の経済成長もしていない、という現状をみとめることです。そして日銀がそろろそツケの清算に入る。日本では規制緩和どころか、季世(世の末)の状態に入っており、そんなムードが市場の勢いにも現れてしまっているのでしょうね。

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2017年02月17日

雑感。宗教と政治と

最近、ワイドショーなどでも小池都知事と、都政の話題が盛んです。石原元都知事の記者会見も、元市場長の発言が伝わると延期されるなど、何かときな臭くもあり、面白おかしくとり上げ易い面があります。しかし国政の報道と比べ、都政の報道のあまりの突出した多さぶりは、かなり違和感もあります。国政とて予算審議の場では、共謀罪の説明に窮している金田法相、南スーダンPKOでの『戦闘』について滅茶苦茶な説明をくり返す稲田防衛相など、面白おかしく揶揄するには絶好の材料ですが、メディアはとり上げようとしません。
最近、安倍政権の支持率も上がっていますが、その世論調査を請け負う某企業が、広告モニター募集をかける広告を打っています。こうしたもので、世論調査をする世帯を洗い出している、としたら穿ち過ぎでしょうか? 個人情報を登録し、広告について簡単に答えるだけで報酬がでる。これは思想・信条を洗いだすのにちょうどいい仕組みであり、また対象がしぼりこめます。以前から指摘しているように、本当に無作為抽出された電話番号にかけているだけなら、各社の世論調査でもバラつきがあるように、統計のクセからも近い数字になるはずがない。しかし対象を特定しておけば、その傾向を計ることができ、大体近い数字を集めることができます。新聞の広告モニターに募集するのは新聞を読んでいる層なのですから、特にメディアによって洗脳されている可能性が高く、その意味でも極端な意見がでにくいのです。

洗脳といえば、某女優が幸福の科学の専属タレントになる、といった件が話題です。細かい指摘は避けますが、あまりに暴露本の出版が早いことからも、宗教団体側が裏で糸をひいて引退騒動を引き起こしたのでしょう。元々、出版が主体の宗教団体ですから、話題性で部数を伸ばしたい。特にここ数年は国政進出をめざしますが、供託金すらもどってこないケースが大半のようですし、経営状態は苦しいはずです。ここらで一儲けしたい。しかし今回の動きは、明らかに前事務所との契約違反になりますし、その違約金も莫大になるでしょう。損得は今後、明らかになるのでしょうが、個人を利用して組織が綱引きする、という構図は、どちらにしろ個人のためにはならないものです。
宗教と政治、の話ででてくるのが、森友学園の問題です。国会でもとり上げられ、安倍氏の名前をつかって寄付金集めをしていることを、安倍氏自ら「初めて聞いた」と述べました。そうなると、この学校法人は名前を騙っていたことになり、しかも現状で日本のトップという異常な犯罪行為になります。もしこれが認められれば、そこら中で安倍氏の名前を騙った寄付金募集がはじまるでしょう。数十、数百件でも成功すれば、そうした詐欺は成功ですから、やらなければ損です。なぜなら違反ではないのですから。

しかも大阪、維新の地盤、そこで国有地が安価に安倍夫人の関連する団体に売却されていたのですから、勘繰るな、という方が難しいでしょう。しかもヘイト文書を園児の父母に配っていた、との話もでてきて、そんな団体と知っていたのか? も問われます。もし今の共謀罪の議論で、一般人、民間団体も犯罪組織に変われば対象、というのなら、ヘイトスピーチをするような団体は、まさにその監視対象ということにもなるのです。
しかし安倍政権では、支持母体でもある日本会議のメンバーのこうした団体を、犯罪集団と認定することはできないでしょう。裁判所がその認定をする、といっても、裁判所には調査能力はなく、警察がそれをする。警察とてやぶから棒に調査するわけではなく、対象を決めるでしょうからそのときに恣意的な判断が生じる。現政権を支持する団体を犯罪集団として、捜査できるはずがありません。結局、線引きの段階で政治の介入が可能であるなら、これは恣意的な運用ができる仕組みでもあるのです。

某女優は「洗脳されたい」と述べていますが、両親も幸福の科学を信奉しており、違和感もないのでしょう。しかしこの森友学園も、小さい頃から右翼思想を教えこむ、洗脳を是とする組織です。しかし洗脳されているかどうか、を判断することができるのは、それを客観視できる一般的な常識をもっている場合のみ。家族から影響をうけたり、小さい頃からそう教育されていると、その常識すら欠如したままとなってしまいます。日本にそんな教育機関が増えていくのなら、いよいよこの国のモラルが試されている、といえるのかもしれません。その前に、まともに答弁できない閣僚が大量に輩出されている時点で、この国の教育やモラルについては見直しが必要、といえるのかもしれませんね。

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2017年02月16日

日米の市場の差

米国では労働長官の指名をうけたファーストフードチェーン経営のパズダー氏が、不法移民の家政婦を雇っていた、との醜聞をうけて指名を辞退しています。人材不足を露呈するトランプ政権は、一体いつから始動できるのか? といった事態に陥っていますが、NY市場は堅調です。それは知ったら終い、という格言通り、いつまでもトランプ政権が始動しない方が「驚くべき減税」の甘い言葉に踊っていられるからです。
しかし日本では麻生財務相が、委員会で「まだ120円にいっていない。円安と言われる覚えはない」と発言しました。なぜ120円が円安か? との基準もないですし、政策当局者が為替の水準に言及することは異常です。しかしこれほど夢のない話もありません。「驚くべき減税」には希望があっても、120円になったとて景気がよくなるわけでもなし、トランプ氏はメディアと敵対しながら、自分の意見を拡散することに成功しており、日本ではメディアを統制して意見を拡散しようと努める。その手法と、意味するところはまったく方向性を異にしており、結果は明確に市場にも現れています。

ダウは連日最高値更新、経済指標も良好、企業業績も堅調、それに減税と、トランプ氏はビジネスマンだから上手くやる、との期待。それらがない交ぜになっており、消費者のマインドも強気。減税発言からトランプラリー第二幕、というほど全体的に強い印象です。
かたや日本は安倍ノミクスが頓挫し、外需がこけたら景気後退、というほど深刻な状況にもかかわらず、政府から何もでてきません。未来投資会議では、自動運転の議論が活発ですが、それは成長戦略ですらありません。人手不足を解消する窮余の策であり、投資に対するリターンが少ないので、政府がやるしかない。しかも自動車業界と近い安倍政権が、業界に補助金をだすよう画策しているとしか見えず、なんとも情けない限りです。そのせいか、先週は猛烈にTOPIX先物を買い上げていた米系大手も、今週に入ってぴたりと動きが止まり、勢いが急に殺がれた。為替への感応度も低くなり、ダウとの連動性もなくなり、売買はぎりぎり2兆円を越える程度と閑散相場になっています。

トランプ政権はあくまで米国第一、これまでのグローバル経済を主導した米国とは、180度異なります。つまり米経済が好調でも、それが周辺国に波及しにくい構図です。そして世界経済が低迷すれば、米経済にも打撃となる。原油相場はWTIで50$を割れませんが、OPECの減産はすすんでも、米国内のリグ稼働率は急上昇し、減産分を埋める勢いです。それでも原油価格は下がらない。しかし世界経済が弱含み、さらに需要が減退すれば嫌でも原油価格は下がります。それが米国内のシェールオイル関連企業を直撃する。こうした動きのように、米経済だけ好調とはなり難い構図も、今の世界経済です。
しかも日米首脳会談の共同声明でも、財政政策、成長戦略、金融政策、が3本の柱とされますが、米国ではイエレンFRB議長が「財政政策を打つなら金融引き締め」と述べるように、必ずしも3本の矢がそろうわけでもありません。バランスが崩れればバブルを引き起こしたり、景気が悪化したりするものの、すべてが同じ方向に飛ぶ必要はなく、3つが鼎足の形で互いに刺激、抑制し合うことが、長期的にみても安定するのです。

日本はこれまで3本の足を無理やり伸ばし、高さを演出してきたため、無理が祟って今は成長できなくなりました。日銀のテーパリングについて市場の意識は低いですが、米FRBがテーパリングを示しても市場は好調、しかし日銀がテーパリングを示唆した途端、急落する覚悟も必要です。どの水準ならバブルか? それも一概には言えませんが、少なくともバブルを怖れて政策にも強弱をつけようとする米国と、バブルを狙ってすでに失敗が鮮明となった日本。市場の勢いにも、そうしたものが強く表れているのでしょう。残念ながら日本の場合、経済政策の自動運転化を考えた方が、よほどまともな対策がでてくるかもしれない、といった観測が流れる時点で、魅力のなさを露呈しているのでしょうね。

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2017年02月15日

風雲急の世界情勢

世界中が激しく動きだしており、警戒感も強まります。まず米国ではフリン大統領補佐官が辞任した件で、米紙では追加の報道があり、大統領選の最中、トランプ氏サイドと露国との通信がたびたび確認されている、とのこと。通信内容までは分からないものの、露国へ言及し始めたタイミングと軌を一にしていることから、何らかの密約があったのでは? と勘繰れます。トランプ政権はフリン氏個人の問題で、しかも違法性は確認されない、としていますが、フリン氏が単独で動けるはずもなく、トランプ氏も知っていた可能性が高くなる。今後、通信履歴などからトランプ氏の関与が明らかになると、政権にとっては打撃となるでしょう。
問題は、短期的にも日本に影響がでそうなこと。訪米時、日本が日露平和条約に動くことに、トランプ氏からお墨付きを得た、と報じられていましたが、これもフリン氏がいたからこそ。しかもオバマ政権下で、露国による米大統領選への関与から制裁が強化されましたが、裏でトランプ氏が糸を引いていた、となれば親露の態度はさらにその疑念を強めます。トランプ政権の親露の動きが制約されれば、日本も動き難くなる。米国の制裁が解除、もしくは緩和されない限り、経済協力も前にすすみにくくなるのです。

一方で、昨晩のイエレンFRB理事長の発言もトランプ氏にとって逆風です。大統領令でボルカールールの見直しを指示していますが、商業用不動産投資の伸びなど、金融機関へ規制をかけたから投資が減った、とのトランプ氏のロジックを否定します。しかも金利上昇と同時に、バランスシートの見直しについても言及、これは利上げによる金利上昇と、国債の放出による金利低下、を同時にすすめる形ですが、市場から資金を吸い上げるので景気が冷やされます。バブル退治に本腰を入れれば、トランプラリーも頓挫しかねなくなるのでしょう。
さらに北朝鮮の金正男氏が暗殺された一件は要注意です。先の張成沢氏の粛清以後、中国とパイプのある人物を次々に殺害しており、中国としては極めて不快です。米軍が北朝鮮を攻撃する、との韓国側の見立てもありますが、そのとき中国がどう動くか? フリン氏を失った米国が、対北退治に本気で動くか? それは余談をゆるさないところです。

つまり米国は今「驚くような減税」の話で湧きますが、財政措置でもある減税が、議会の協力なしですすめられるはずもなく、そこに出てきた露国の関与をトランプ氏自らが促していたとの疑惑。これで政府提出の法案はますます議会を通りにくくなり、減税話もすすまないかもしれない。FRBは年3回の利上げ、及びバランスシートの見直しを半年ぐらいで開始するのなら、景気も悪化する。トランプ政権が春ごろから一気にレイムダック化する恐れも出てくるのです。そのとき、支持率回復のために戦争…といった選択が北朝鮮の動きによってとり易くなった、ということでもあるのでしょう。
そして北朝鮮の反撃オプションは、まだ届くかどうかすら分からない米本土へのミサイルばかりでなく、助けてくれない中国、近接する敵である韓国、そして日本へと向けられるかもしれません。まさに風雲急、米国の財政年度が切り替わる9月までに、どこかの君主が少し対応を間違えただけで、何が起こるか分からないレベルで緊張が高まってしまうのかもしれません。それが、米国による侵攻なのか、それとも中国による侵攻なのか、その違いによってその後の世界の動向も変わってきそうです。フリン氏が政権から去った後の、露国もそのときどう動いてくるか分からない。下手をすれば、露国と北朝鮮が組む可能性すら滲むのでしょう。フリンから修羅場、かつての昼ドラならありがちな言葉ですが、世界が今、フリン氏の失脚から世界が少しずつおかしな方向に動き出していることを、認識せざるを得なくなりつつあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:24|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 海外

2017年02月14日

雑感。東芝の巨額損失と日米会談

トランプ政権で、早くも「Fired!」(お前はクビだ)となったのが、政権内では日本と最も近いフリン大統領補佐官です。フリンが辞任、日本語にすると怪しい響きですが、就任前に駐米ロシア大使と対露制裁の解除で協議、という疑惑です。しかし大統領補佐官の就任前に日本も訪れており、そのときの会話も問題になるかもしれません。今回は、米情報当局が電話の盗聴をしており、隠し切れないために辞任した、とみられますが、日本でも一体何を話し合っていたのか? 議会で追及されるかもしれません。
日本でも国会で集中審議が行われていますが、安倍首相が「共同声明は条約と同じ」と述べ、声明に入った文言は遵守される、との見方を示しますが、少なくともそんな効力はありません。両国、もしくは多国間で認識を共有したものを共同声明で発表するものであり、条約はきちんと署名し、遵守を約束します。簡単なわけ方でいえば、口約束と指きりぐらいの差、といった感じでしょうか。口約束なら簡単に破られますが、指きりの約束をやぶったら拳骨一万発と、針を千本飲まなくてはいけない。トランプ政権では口約束ぐらいなら、簡単に破るでしょう。それは「一つの中国」をいきなり認めた点にも表れ、中国からみれば大成功でも、台湾からみれば約束を破られたも同然ですから。

東芝の巨額損失が、さらに拡大する懸念もでています。すでに債務超過状態で、半導体事業を20%の売却から過半まで引き上げ、3月末の超過を回避する方針ですが、買収に意欲をみせる鴻海にしても、買い叩かれることが必定でしょう。なぜならもう時間がない。交渉先は限られ、その中で金額を決定しなければならない。すでに東芝株は急落していますが、事業としての価値を考えると、損失を垂れ流しつづける原発事業を抱える東芝本体の価値と逆転してしまうかもしれず、切り売りどころか、切り捨てになる可能性も捨てきれなくなります。
あくまで憶測ですが、恐らく政治が動くのでしょう。東芝破綻の影響が大きい、として事業再生ファンドなどを立ち上げ、東芝救済に動くのでしょう。原発事業を抱えている東芝の技術が、他国に流れるのが怖い。それは日本の原発の安全性、というより、原発のどこを突けば効果的に壊せるのか? イランで起きたように、原発のシステムに強力なウィルスを仕込まれ、暴走させられたら安全保障にも関わるからです。

どんなに損をだしても、原発事業は切れない。抱えている限り、国が支えてくれる。そうした構図になるのか? 3月14日の決算発表に間に合うのかどうか、ということと同時に、いつ政府から救済案がでてくるか、といったことが注目になります。しかし東芝の不誠実さをみるにつけ、ビジネスマンだからといって信用できない。それはトランプ氏にも言えることです。ビジネスマンは損得勘定で考えますが、必ずしもいつも得する選択をしているわけではない。米WH社の買収など、東芝の判断はまさにそうだったのです。
安倍氏は来月の訪独で、メルケル首相に「世界が分断されないよう日本が役割を果たす」として、まるでトランプ政権の営業マンようです。しかしトップがダメな組織は、営業がいくら頑張っても仕事はとれないものであり、近すぎる関係は、一方の没落により自分も凋落することになるのです。日本という組織のトップである安倍氏、その判断が是か非か。存外その結果がでるのは早そうであり、そのとき拳骨一万発と、針を千本飲まされるのは誰か、ということをよくよく見極めないといけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(8)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2017年02月13日

10−12月期GDP速報値について

日米首脳会談を、経済の専門家で評価する人がいたことは驚きです。「日本は為替操作していない」や「貿易不均衡はない」との言葉が、共同声明には入らずとも、言質をとれたのなら及第点ですが、何も決まっておらず、不透明感だけが残るからです。安保では及第点、というのはまだ分からなくもないですが、それでも共同記者会見で「日本を100%支持する」との言葉は、北朝鮮問題で米国が前面にでることはない、と述べたようにも聞こえます。日本がやるなら応援するよ、と言っているようにしか聞こえないからです。
「Look at me」が話題です。安倍氏をみつめるトランプ氏、という珍妙な映像を残しましたが、再び使わざるを得なくなる日。それは先送りしたあらゆる問題を、議論の俎上にのせたとき、になるのでしょう。日本が何を言っても聞く耳をもたず、要求をごり押ししてくるとき「私たちの状況をみて」と言わざるを得なくなるのでしょう。

10-12月期GDPが発表され、季節調整済みの前期比で実質0.2%増、名目0.3%増でした。実質で外需は0.2%増、内需は0.0%減の寄与と、外需依存が鮮明です。販売奨励金で好調な自動車、需要が一巡したとされながら買い替えと寿命サイクルの短いスマホなどの電子部品、が伸びた形です。ここ1年、内需がダメだと外需が、外需がダメだと内需が、といった形でうまく循環が働き、暦年でも実質で1.0%増となりました。
ただこの数字、GDPの統計手法が変わったたため、今ひとつ評価が低くなっています。安倍政権では暦年で2013年2.0%増、14年0.3%増、15年1.2%増、16年1.0%増(速報値ベース)と、1%以上の成長を達成しているようにみますが、国民にその実感はない。研究開発費もGDPに計上されたとて、それが国内で寄与しているかどうかは不明です。設備投資も同様、国内の設備を海外に移しても、それがGDPに反映されるわけではない。設備投資減税のある国で設備投資をし、それを生産拠点である他国にもちだすことなど、今はふつうに行われているのですから、特に変更後のGDPが映すのは総生産とは別の形です。

国内に限ってみれば、家計消費支出が0.0%減、住宅投資が0.2%増、設備投資が0.9%増、政府支出が0.4%増、GDPの6割を占める個人消費が微減する中、他が支えた形ですが、住宅投資は賃貸用がバブル症状、政府は赤字国債を増発して公共工事を増やす始末で、まともな状態ではありません。企業の設備投資も、トランプ政権により米投資が増えるなら、国内の設備投資は減るでしょう。不思議などこかがダメだと、どこかが支える、といった好循環が今後、つづく見こみもないのです。トランプ相場で、停滞気味だったバブルにもう一度ムチが入る、といった期待が外需を支えますが、金利上昇と不動産投資と、そのバランスが崩れるのがいつか、それがカギでもあるのでしょう。
国内需要デフレーターが暦年で-0.5%となり、デフレ傾向が鮮明です。円安で押し上げられていたGDPデフレーターも0.3%と、もう「デフレでない」ともいえなくなってきた。そんな中、内閣府の発表で今回、最終需要という項目が入ってきました。GDPから在庫変動を控除した数字、として示されますが、13年2.4%増、14年0.2%増、15年0.6%増、16年1.2%増と、消費税増税でおちこんだ需要が、着実に回復している、という政権にとって都合のいい数字ですが、在庫は国内のために積み上げているばかりでないので、その変動をとって『最終需要』とするのは違和感があります。こんな参考値を載せなければ、安倍ノミクスが成功した、といえないぐらいに低い伸びが、心苦しいところなのでしょう。

2016年の雇用者報酬は、前年比で実質2.6%増です。誰もがそんなにもらっていない、と感じるところですが、高額所得者が伸びれば高くなりますし、日本最大の雇用となる公務員給与が上がると、一気に上昇します。つまりこの数字が示すのは、さらに格差が拡大する方向、といったところなのでしょう。今回のGDP、国民の感じるところと、より大きく乖離した、というのが実感です。しかしこれほど良い数字なのですから、国内で大騒ぎしても良さそうです。しかしあまり大きく取り扱われていない。それは、これだけよい数字だと米国からの圧力がより高まるからでしょう。もっと日本は出せるではないか、余裕があるだろう、と。そのとき、安倍氏は「Don't look at me」と、この数字を隠そうとするのかもしれません。国内向けに、安倍ノミクスは成功していると言いたい心境と、そうすると米国の圧力が高まる懸念。よい経済指標を捻出しようと工夫してきたことが、こんなところで逆効果になりかねない、安倍氏の「しまった」顔がまた出ることになりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(17)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般