2007年07月

2007年07月31日

二大政党制への道

今日も自民党大敗後の政治の動きに慌しいものがあります。総理が続投を望んでも、派閥の領袖や近い関係の人物が総理の肩を叩き、やんわりと辞任を促すのが本筋でした。ただ暫定内閣の意味合いも強い次期政権に手を上げる人もおらず、次期総裁候補と目される麻生氏が先の失言から、安倍続投で妥協してしまっていることから、大きな動きもなく臨時国会に突入しそうです。

色々と敗北の要因が述べられていますが、帰結するところは政治に危機意識が足りなかったことが、今回与党の敗北に繋がったのだと考えています。失言や説明責任の欠如もそうですし、早くも見直しが示唆された政治資金規正法改正についても、この程度で良いのだとする政治の甘い態度が国民の強い反発を招いたことが、今回大きな差となって現れた形でしょう。
永田町の論理が国民の意識との乖離を生じ、反発を招くのは七年前も同様でした。今回、内閣改造に挙党一致を唱えましたが、再び古い自民党体質に戻り、派閥の論理が復活するようであれば、今度こそ自民党は解党的出直しを迫られるのでしょうね。

昨日も今回の選挙は二大政党制に移行する歴史的契機になると述べました。二大政党制の良い点は、政治に緊張が生まれることです。政権担当能力のある政党が複数あることで、圧倒的多数の与党であっても国民の声を無視できなくなります。強行採決などを連発して強引な政権運営を進めれば、今回のように次の選挙で手痛いお仕置きを受けるからです。
一方で悪い点では二大政党制では戦争突入を回避できない、とするものがあります。ただ日本の国民性を考えると、戦争には極めて否定的ですし、この点は日本において悪い作用は起こさないと判断できます。全ての問題で二者択一にして良いのか、という問題はありますが、有権者個人の政策判断への軽重のつけ方で、この辺りもクリアできそうです。

野党系でも民主党以外の党へ投票が少なかったのは、政権担当能力がない政党では、自分の票が生かされないことを気にしたものとも考えられます。ただ民主党も、参院で第一党になったこれからが、政権担当能力を問われる大事な局面でしょう。下手に衆院の解散狙いで参議院を運営すれば、国民からやはり自民党しかないと思われてしまいます。
今回民主党に大量の議席を与えたのは、調査権を発動して年金問題や政治とカネの問題など、ビシビシ取り締まってくれという国民の声が集まったものです。これを生かして、政治が緊張をもって国民の声に耳を傾け、自浄能力を取り戻してくれることを期待しています。

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2007年07月30日

自民党惨敗について考える

参院選から一日おいて、もう少し今回の選挙を考えてみます。今回の選挙で明らかになったのは農村部、医師会、大樹、などなどこれまでの自民党組織票が、機能しないということです。小泉時代に締め付けられたこれらの組織は、今後も今の内閣の政策では支援団体に戻る可能性は少ないので、自民党は選挙戦略を改めて練梨直さなければならないでしょう。
小泉時代はこれを公明党支持層の創価学会と浮動票でカバーしました。公明党にしても重要議席は落としたので、一枚岩と言われた創価学会の集票マシーンにも翳りが見られたことで、今後自民党は選挙で相当苦戦することが予想されます。今回の選挙は歴史的に見て、この日本に二大政党制への足がかりが築かれた、そんな選挙だったように思います。

経済の面から見ると、与党が訴えた改革と成長は国民には何のメリットももたらさないもの、そうした受け止め方をされています。今日の市場は上昇しましたが、これは一つに今晩の米国市場が反発するだろうとの動きを先取りしたものでもありますが、不透明要因が消えたアク抜け感もあり、また経済政策で特段安倍内閣に見るべき点がないことも、要因として考えられるものです。
更に法人税減税や減価償却の見直しなど、安倍政権になって企業寄りの政策は打ち出しましたが、これも国民生活には直結しないものです。経済界は安倍氏続投を望んでいますが、これらは献金集めには寄与しても、票には直接結び付かないものであり、この点も安部内閣が選挙に不向きということを表している一例となっています。

更に財政再建に向け、財務省側が消費税率をアップさせることを検討し、それを安倍氏がメディアでもらしたことがありました。幾ら規定路線だとはいえ、選挙戦では軽率な発言だったでしょう。例えば日本の保有資産の中で、外貨準備が米国債券偏重なのですから、日本の資産価値は円安になれば増大しているはずなのです。
それが見掛け上ほとんど表れないのは、短期債券を発行して負債を増やしているからです。財政のカラクリの一面ですが、これで使える予算が増えた官僚が使い切り、その後円高になれば債券の買戻しと資産価値の下落で予算繰りに苦しくなって増税、というシナリオを官僚側が描いているのですから、消費税増税を議論する前に財政を根本的に見直さなければダメ、ということになるのです。

今回、安倍氏は続投の意思を固めたようですが、有力候補が現れるまでの暫定内閣の色彩が強いものです。改革実行力はもはや自民党にはありませんから、今後の国会運営、政局含みの不安定なものの中で、財政議論や霞ヶ関改革をどこまで推し進められるのか?非常に不安を感じますね。

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2007年07月29日

参院選、自民党が惨敗

参議院選挙、メディア予想の中でも最も自民党が厳しい結果であった30議席台が、ほぼ確実な情勢となっています。姫の虎退治が成功するなど、1人区で民主党が善戦し、これで民主党が参院選で第一党を占め、参院議長は民主党で決まりそうです。

赤城農相の事務所費問題が土壇場で二重計上が発覚するなど、赤城氏が今回の選挙で果たした役割は非常に大きかったと思います。更に自民党の選挙戦術をお粗末と評しましたが、選挙戦を戦い抜く上で安倍内閣の戦略は落第だったのも大きいと思います。
ですがそれ以上に、小泉氏の後は誰がやってもこの程度の苦戦は予想ができたことです。支持母体である『大樹』の支援を失ったことではなく、小泉改革は後でジワジワと悪い影響が出るようなものだからです。壊れたのは自民党ではなく、国民の生活であり、その態度は一貫して看板を書くのは小泉氏、シナリオを書くのは官僚という構図の上で成立したものだったからです。

今回の選挙で自民党惨敗が決定したので、今後をシミュレートしてみます。安倍氏が続投の意向と伝わっていますが、今の自民党ははっきり言って駒不足です。国会会期を最低でも一度通過しないと、今の与党の逆風が収まることはないはずですから、現状解散も不可能です。
安倍氏が仮に続投となった場合、内閣改造と両中川氏の退陣は絶対です。誰かが責任をとらざるを得ず、幹事長クラスの首は必要だからです。内閣改造は今回、安倍氏主導で進めることは不可能です。よって首に鈴がつけられ、手足を縛られた状態でメディアの前でパフォーマンスを演じる、そんなイメージ戦略のためだけの総理になってしまうでしょう。

内閣総辞職に至った場合、麻生氏、福田氏、額賀氏などの声が上がっていますが、選挙の顔となれるのはパフォーマーの麻生氏のみです。しかし先の発言でイメージダウンを招きましたから、お灸の意味でも今回は見送りでしょう。暫定内閣は任期半年〜1年で衆院解散と見ますから、総裁選ではなく話し合いの結果、大宏池会構想の一角である谷垣氏が担う可能性が高まったように思います。
良くも悪くも、谷垣派が安倍内閣から干されたことが功を奏した形です。福田氏は本人の意志がどこまで強いかにもよりますが、担ぎ手はいても神輿が乗り気でない状況でしょう。額賀氏の場合は永田町の論理に逆戻りしたようで、これも有権者受けは悪いはずです。暫定内閣を受け入れ、後任人事までの場繋ぎでも構わない、とする考えをもった人材でない限り、今回の話し合いによる決着には乗れないでしょうから、意志がある人間を据えるのだと思います。

憲法改正も、教育も大事ですが、それらはむしろ党利党略によらず、超党派で議論すべき課題です。それより国民の高い支持率を背景に政治が行わなければならないのは霞ヶ関改革です。今回安倍か小沢か、との声を上げていましたが、むしろ豪腕・小沢の方がその部分に手を加えることが出来るのではないか?とする国民の期待も、今回の選挙結果には含まれるように思います。
どちらにしても、有権者の声が今後の政治にどう生かされるのか、注目ですね。

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2007年07月28日

日銀の8月利上げはあるか?

明日が参院選で、今日は多くを触れませんが幾つか。北朝鮮が安倍政権が倒れることを望んでいる、と森元首相が述べていましたがそんなことはありません。北朝鮮が懼れているのは日米の協調であり、タッグを組んで拉致問題で責められることです。現状、米国が北朝鮮との対話を進めている以上、六カ国協議でも対立軸がある方が交渉としては有利です。自らの不作為を日本の責任に押し付けることができるからで、米国との連携がとれない安倍政権は、むしろ組み易いと見られているはずです。
もう一つ、選挙戦が非難合戦ばかりで重要な教育や改憲が語られていない、という意見には、これは国民の求めに応えようとしなかった政権のツケなのです。現政権に突きつけられた国民の声とは、私たちの声を聞け、という率直な叫びです。それが衆愚政治と呼ばれようと、議院内閣制は国民の直接選挙で選ばれたものではなかろうと、国民の声を無視したところに政治は成り立たない、ということなのですね。

昨日も少しふれましたが、日銀の8月利上げについてです。実は現状、日銀が利上げした方がインフレになる、という経済学の常識から反することが起ころうとしていますが、これらは既存の経済学では語れないことですし、それを唱える人も現状ではほとんどいません。
6月の消費者物価指数が前年同月比で0.1%下落と、これで5ヶ月連続の下落で、デフレ傾向は一向にとまる気配をを示していませんが、このデフレも既存の経済学では傾向が読めないものです。世界経済が堅調、国内景気も悪くない、日銀は超低金利を続け、国内の資金流通はジャブジャブ状態を継続。既存の経済学であれば、これでインフレにならない方がおかしい、ということになります。

しかしグローバル化の流れが、全ての事情をひっくり返しています。一国だけの超低金利政策は国外への資金流出を生み、国内景気は潤さない事態となっています。また円安が進み、原材料を輸入に頼る日本は原材料価格が高騰、それが最終製品に反映されないことで、デフレという判断が下されているのです。よって利上げをした方が国内に資金が流れ、円高が進みインフレ、という状態になるのです。
ですが、それが困難になるのは経済を知らない政治家が、仮に利上げをした後に経済が弱くなると、その責任を日銀に押し付けたがること。及び反主流の経済学者が主流派への転向を図って、あることないこと吹聴し始めるからです。日銀にとって、特に福井総裁は先の村上ファンドとの繋がりが発覚して以降、政府に借りを作っていますから、この点も弱いところです。単純に正常化するだけであり、日本経済単独で見れば良いことなのですが、今回は厳しいことになってきましたね。

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2007年07月27日

世界同時株安

今日の日経平均は一時500円超の下げとなりました。実は昨日、少し記事をあげるタイミングが遅れましたが、タイトルに『世界同時株安』とつけ、記事をほとんど書き上げた状態で欧州、米国の下落が伝わり、あまり不安感を煽ってもいけないとの思いから、記事を全面的に書き直したために、時間的に遅れを生じてしまったのです。
今日ははっきり書きたいと思います。まず今回の調整は長引く懸念を抱いています。2月の急落は上海でしたし、昨年から急落の局面を迎える際の発端は新興国でした。今回のサブプライムローン問題は欧米が激震の中心地にあり、欧米の経済情勢が健全だということが確認されるまで、この問題は収拾がつかないだろうと考えるからです。

現状の認識として今はバブル状態に陥っています。これは過剰流動性による金融資産バブルの影響で、各国のあらゆる市場が上昇する好循環を生んできました。その過剰流動性の発信源は日本の量的緩和、ゼロ金利であり、米国の政策金利が低かったことなどがあります。
今回起こる流動性の危機とは、オーストリアでヘッジファンドの換金停止が起こるなど、金融機関同士の資金流通が停滞することにより起こります。ヘッジファンドに対して監視、監督機能が求められ、この流れの延長上には欧州が働きかけ、日米が強く拒絶していたヘッジファンドの監視に日米の金融当局が動かざるを得なくなる、そうした動きも含まれます。つまり今回の流れを引き起こしたヘッジファンドに対し、今後は金融当局が主体となって流動性を監視することになり、それが流動性の停滞を生むのです。

資金を世界に垂れ流し続けていた日米がその元栓を閉められることになれば、当然世界の金融市場を停滞させます。今回の動きが契機となり、バブルが終焉してマネーフローを変化させる。それが円キャリーの手仕舞いであり、不動産価格の下落であり、債券市場の買い手不在であり、証券市場の長期的な調整局面入りということです。
日本は15000円台を窺う気配、米国は12000ドル台半ばを窺う局面がありそうです。日本の方が下落幅が大きいと見られるのは、米国ではITバブル崩壊後にとった『インフレでも利下げ』という局面が可能性として考えられるからで、それが経済を下支えすると考えるからです。

日銀は8月利上げが囁かれてきましたが、調整が長引けばそれも不可能となるでしょう。福井総裁は1〜1.5%まで金利を調整し、3月に後任に引き継ぐ予定でしたが、それも難しくなってきました。しかしそれは今まで金利の正常化を怠ってきた態度にあるのであり、調整局面を迎えても金利を調整して景気刺激策をとれない、日銀の無策に繋がるものとなるのです。
米国の4-6月期GDPが3.4%と、市場予想より強い数字が出て今晩の米国は下げ渋りそうです。ですが今回起きている信用収縮は、今までの下落局面では表れたことのない現象であり、注意が必要です。かつて聞いた言葉で「投資と賭博の違いは、余力を残して引くことにある」というのがあります。今回、余力をどこまで残せるかで、次の上昇局面の描き方は変わると思います。まだ楽観はできないと思います。

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2007年07月26日

経済の話。世界のマネーフローに変化

経済が大きく動く気配があります。発端は米国のサブプライムローン問題で、カントリー・ワイド・フィナンシャルのCEOによる「プライム側への波及」、「影響は2009年まで継続」発言があり、著名な投資家による「流動性の危機」発言があります。
サブプライムローン問題が拡大し、ダイムラークライスラーのクライスラー部門の売却で、一部の金融機関が予定していた56億のうち、31億ドルの調達が困難になったとの記事もありました。すなわち流動性の危機とは、投資余力を失った、もしくは投資意欲の減退により、市場から資金が逃避する動きが顕在化し始めていることをさします。これ以外にも調達が難しい案件が頻発しており、米国では今後M&A案件が減ることは確実の情勢です。

この時、一部で本来リスク回避時に上昇する金や債券価格に動きがないので、リスク逃避の動きはない、とする意見もあります。しかし野村HDが公表したように、住宅ローン担保証券事業での1-6月期に720億円の損失、事業からの撤退、などが明らかにするのは、世界規模でこの影響が拡大していく可能性です。
更に投資の世界で今、囁かれているのは配分の見直しです。確かに投資余力があればどこかで運用して増やさなければなりない、それがファンドであったり、証券会社の宿命です。ですが、これは世界市場を上昇させるだけでなく、下落させる力も有しています。売りが優勢だと判断されれば、早めに売りに切り替えてくるでしょう。

一番注意しなければならないのはマネーフローの変化です。長らく過剰流動性が相場を支えてきましたが、米国で企業買収が盛んだったのは、投資によるリターンから、実際にモノを生む価値に転換することで収益機会を得ようとの考えもあったからです。
ですが、今回はそこにブレーキがかかります。今後、マネーをどう運用するのか、改めて投資ファンドなどは考え始めるでしょうし、それが配分見直しとなって、どこかの市場を上昇させ、どこかの市場を下落させる力を生むのです。

収益機会を得ようとマネーが右往左往する。それがどこに落ち着くのか、どういう売買手法を用いるのか、それにより日本の市場も大きく左右されます。
私は日経平均がしばらく17000円台後半で推移する、と見ていました。18300円で上値は重く、材料も少ない。値動きを出すために、水準を少し下げる可能性が強かったからです。外国人投資家は今後日本市場を見直す、という観測もありますが、それ以上にマネーボリュームが低下すれば、それどころではないでしょう。基本的に今は落ち着きどころを探る、そんな展開を予想しています。喫緊では、17000円割れも覚悟する局面がくるかもしれません。何しろ今までの楽観論では拭いきれないほど、その影響が拡大することが確認されつつありますからね。

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2007年07月25日

閣僚から相次ぐ安倍政権存続論

参院選を目前にして、閣僚からは安倍首相の退陣を否定する発言が相次いでいます。与党苦戦が伝えられたこのタイミングであれば、むしろ国民の危機感を煽った方が、自民党にとっては有利に働きますから、この閣僚発言には自民党選対も不愉快きわまりないところでしょう。
メディアが圧倒的な野党の勝利を予想し、中道を好む日本人がバランスをとろうとしている中、安倍内閣が変わらないのであれば与党大敗でも構わない。そう思う有権者も多くいるはずです。これが自民党の反安倍勢力に向けた発言だとしても、安倍内閣は党内の求心力を失うことになります。党内の意向と逆行し、自らの存続のみを意識したこの発言により、この内閣で選挙は戦えないとの意識が定着することが確実だからです。

選挙を戦う上では時系列で戦略を練ることが大事です。安倍氏は当初、ディベートによる与党に吹く逆風を反転させる意向でした。しかし自身がディベート向きでないのは、司会者から注意を受けることが多いことでも分かります。自分の意見は最後まで聞けと言う、質問に対して正面から答えない。更にその意見はどこかに書いてあるものばかり。メディア戦略は完敗でした。
その後、投票日を延期した影響で反転する、という読みを政権内では持っていたようですが、閣僚の相次ぐ発言でそれもならず支持率は低いまま、そしてこの時点で政権の擁護発言です。これほど戦略性が見られない、反転期待ばかりが先行して追い込まれた末に言い訳を始めた、こんなお粗末な選挙戦は久し振りに見る気がします。

民主党の小沢氏はその点、最後まで引き締めを続けるなど、非常に老獪な面が見られます。結果的に、自民党が強かった一人区で民主党が善戦を見せており、民主党の選挙戦略は多分に自民党の一人相撲に助けられている面はあるものの、順調に進んでいるように見えます。
比例がドント方式のため、差が開かない可能性もありますが、自民党は30議席台に留まる可能性も出てきたと思います。その時、本当に今の擁護論で党内を纏めきれるはずもなく、また解散という博打に出ることも難しく、総辞職が現実味を帯びてきたのだと思います。
参院は政権選択選挙でないのは当然ですが、それを内閣存続の言い訳に使えば、参院の存在を自ら低め、結果的に与党大敗を黙認することになる。こんな簡単な理屈すら今の安倍政権に理解できていない、今回はそれに非常に驚きを感じるばかりです。

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2007年07月24日

経済の話。為替が円高方向へ

為替が少し円高方向にふれています。今は米国のサブプライムローン問題に端を発した、円キャリー取引の巻き戻しを狙った円買いにより、その一部が手仕舞いの買いを出しために円高になっています。恐らく多くの企業が為替想定レートを115円としており、ここを割らない限りこれが激震となって日本経済を襲うことはありませんが、マネーフローの変化に注意する必要が出てきました。

長らく金利差が為替相場の主役でした。8月に日銀が利上げする観測もありますが、政策誘導金利で0.75%にしかならず、米国との間には4.5%の開きがあります。それをさして、金利差はまだ大きいとした円売りを勧める為替取引ディーラーも多くいます。
ですが、今回起きているのはマネーフローの変化に伴うもので、金利差が主要なテーマではありません。大枠では米国経済の悪化に伴う早期利下げ観測、というのも含まれますが、米国の債券相場、株式相場ではこの動きを織り込む形になっておらず、為替相場だけが利下げを織り込みにいく、というのは少し考え難い部分もあります。

円キャリー取引には様々な形態があり、一概に語れないのはサブプライムローン問題と同じです。マネーの借り方、そのマネーを生かした利潤の生み出し方が多様化し、その波及効果がどこまで拡がりを見せるのか、それは起きてみなくては分からないということでもあります。
サブプライムローン問題で最大6兆円規模の損失が生まれるとするものや、日本の銀行は数100億円程度の負債を負う、とする推定が巷に流れていますが、どこもその波及効果は読み切れていません。単に複数の金融機関に破綻懸念が生まれる、ということばかりではなく、潤沢にあった手元資金が不意に消える、この経験を世界、特に新興国ではまだ体験していません。その時何が起こるのかは、なってみないと分からない部分も多くあるのです。

私は円高になることが、日本経済単独で見れば良いと考えています。ですがそれは、金利差の縮小や国内で資金循環が行われることによる、国外に逃げる資金を食い止める方向でなければなりません。今、このタイミングで円キャリー取引の手仕舞いが進み、日本から持ち出されていた資金が戻ることになると、最悪は一般会計規模の資金が急激に国内に流通し、超インフレになる可能性もごく僅かながらあるのです。
今回のように徐々に円高になる分には、何も心配する必要はありません。ただ120円を切り、115円を切り、という心理的節目を抜く段階では警戒が必要です。投資家の中には損切りポイントを設定しており、節目を抜くと損切りを出して急速に値を進ませるからです。日本が円キャリー取引を容認してきたのですから、その動きに注意するのは当然ですが、当局に甘い認識があるのでそれが少し心配な部分ですね。

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2007年07月23日

経済の話。グローバリゼーションに乗り遅れた日本

経済の話ですが、これは安倍氏が「自民党でなくて、成長できなくなったらどうするのですか?」と演説するのを聴いたことで、記事にしようと思ったものです。繰り返しの部分もありますが、グローバル化に如何に日本が乗り遅れたのか、ということを記事にします。

グローバリゼーションの功の部分は新興国の経済成長ですが、その裏返しとしての罪の部分で顕著に起きている現象があります。それは先進国の地位低下です。EUの経済成長は著しいですが、これはEUという東欧を含む経済圏を指しているからで、英、仏、独などでは失業率も高く、EU内でも先進国は苦しい立場を強いられています。
米国経済は強くみえますが為替の弱さは明らかであり、1ドルの価値を下げることで国内経済が潤っているようにも見えます。日本はデフレ不安が付きまとい、実感できない経済成長と共に為替も安くなっており、日米の地位低下は明らかになっています。

では強くみえる米と弱いままの日本で一体何が違うのか?これを考えるには、まず米国では9.11やITバブルの崩壊を受け、経済政策に対して政府、FRBが一体となって超緩和策に転換しました。そのため低金利の資金が融通され、また国内に資金が循環する良い環境が生まれ、国内外に向けて資金発信力を得ることができるようになり、強い回復を示しました。
それに引き換えITバブル崩壊後、日本は竹中経済路線に従い、金融引き締め策を打ち出して公的資金を半ば強引に貸し付け、管理を厳格化して資金の流通を絞りました。これに伴い日本国内の資金は海外へ持ち出される、いわゆる円キャリーの問題が発生し、海外経済を潤しても国内に資金が循環しない、停滞の時期を迎えたのです。

経済財政諮問会議の資料を通覧しても、国がどう成長戦略を描いていくのか、ということは全く見えません。むしろ引き締め路線を継続している現在、成長をもっとも阻害する要因となっているのは、政府の経済政策と日銀の超低金利という考え方の差であり、国内に資金循環を生まない現政府の態度にあるとも言えるのです。
最近政府が使わなくなった言葉の中に『開放』があります。改革・開放が竹中路線の中核でしたが、『開放』が悪い意味となってしまったため、現政権はこれをとってしまったのです。この『開放』を伴わない改革は、一時的にしろ混乱を生み、経済を弱めてしまいます。本来の改革とは「開放による参入」、つまり裾野の拡大を目指すことが経済政策の原点なのです。

自民党で如何なる成長が目指せるのか?は、私は今の竹中路線を継承した経済政策をどう転換するのか、が鍵となると考えています。従来のシカゴ学派のマニュアル通りに、今のグローバル化した経済が進んでいないことは明らかです。そして日本の成長シナリオがこの考え方に則している以上、成長を描ける公算は低いともいえます。本気で成長をさせるというのなら、もっと広い視野を持つべきなのだと考えています。

analyst_zaiya777 at 22:49|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2007年07月22日

参院選、自民党が苦戦する理由

参議院選挙まで後一週間、各メディアからも世論調査の結果が発表されています。自民党が40議席を割る、という予想までありますが、本来このタイミングで悪い予想が出されることは、自民党にとってはプラスに働くはずです。あまり野党が勝ち過ぎるのは嫌、そう考えた有権者が土壇場で自民党に流れる、そんなことは選挙戦ではよくあることです。

ただここで塩崎官房長官の事務所費問題、赤城農水相の事務所移転届けの未提出、山本農水副大臣の松岡氏の事務所費は芸者の花代発言、麻生外相のアルツハイマー発言と、立て続けに問題が発生して一向に自民党が浮上する芽は出ていません。むしろ大敗を容認するような雰囲気すらあり、国民の間には相当怒りも溜まっているようですし、世論調査結果にもその傾向が表れているように感じます。
塩崎官房長官の問題に対し、「この時期に言い出すのは選挙対策としか思えない」と塩崎氏自身が語っていますが、先の年金対策が自民党の公約に沿った内容で政府広報として発表されたことも同様、どちらも選挙を意識して動いているに違いはありません。
年金対策については国会審議を経て政府が対策を発表している訳ではありませんし、現状それに基づく法的根拠は何もないのですから、政府が運用上の対策を示そうと、選挙後になし崩しになる可能性は十分にあります。はっきり言えば、必ずやると政府が自信たっぷりに発言しようと、それは現時点では口約束に過ぎないということなのです。

もう一つ、自民党が『改革実行力』を訴えますが、ここにも国民は不信感を募らせているでしょう。ここは『改革実現力』とすべきであり、『実行』では「改革をしますよ」と言っているのみで、それが国民にとって有益かどうかを保証していないようにも感じます。
中途半端な改革は、むしろ改革の足並みを止めてしまう効果があります。年金制度改革にしても、3年前に行われてマクロ経済スライドが導入されても、国民は不安を抱いたまま3年という時間を経過しました。結果、今回の参院選で焦点化しており、また法制度の変更を行うのであれば、なぜ3年前にもっとしっかりした法案を作成しなかったのか?という疑問もわき、時間と経費を無駄に浪費しただけにも見えるのです。

改革は、一歩ずつ進めることが必要な時もありますが、変える時には死に物狂いで、ドラスティックに変更しなければならない時もあります。小泉時代、そして安倍時代初期と、国民はあれだけの支持をしたのに、今の日本は変えなければならないところだらけのまま、取り残されたように改革は進んでいません。
自民党に対する失望感、その根底にあるのは、『祭りの後の喪失感』が国民の中には大きいのだと思います。祭りの再燃で小泉氏が持て囃されているようですが、少なくとも小泉時代の膿を今清算している、ということだけは忘れてはいけないと思います。

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2007年07月21日

六カ国協議が閉幕(6月20日)

中国の釣魚台で行われていた六カ国協議、今回は段取りを決める会議だ、と公言されていたように具体的な成果もなく閉幕しました。議長声明が出されるかとの懸念もありましたが、報道発表文のみとなったようです。次に北朝鮮が実施しなければならない措置に関して、期限や具体的手順も議論されず、議長声明という強い形で今回の会議が締め括られれば、それは北朝鮮の措置履行を先延ばしする手にお墨付きを与える懸念もあったものです。

重油95万トンの支援に、日本を除く4カ国で検討すると述べられていますが、いつ日本も支援の輪に巻き込まれるか分かりません。中国にしろ韓国にしろ、経済的には現状潤っていますが、無償の支援をいつまでも続けられるものではありません。
更にここにきて、北朝鮮が核施設の無力化の条件に軽水炉を要求してきました。過去に六カ国協議の枠内で軽水炉建設を決定し、後に北朝鮮の高濃縮ウランの製造が判明して中止される経緯がありましたが、それを北朝鮮は敵視政策の象徴と見ており、軽水炉建設が認められれば敵視政策の変化だ、と受け止めているようです。実際、建設から稼動まで時間のかかる軽水炉建設が、核施設を停止して発電量が減ることと同等に語られるレベルではありませんが、敵視政策の排除を求めて北朝鮮も躍起です。

米中の接近は常々述べてきましたし、今回の米国の動きも中国との関係が背景にあります。ネオコンが減ったことも、米国が柔軟路線に転換した理由とも言われます。そしてこの理由にもう一つ付け加えるならば、米国の国力低下がその背景にあると見ています。
以前、経済の話で円安を取り上げましたが、同じ事を米国にも当てはめることが出来ます。ジャブジャブにあふれた資金が外に流れ、ドルは近年にないほど安くなっています。米国企業の業績が良いのもドル安が影響しており、国力の低下が為替の面で強く表れてきており、全体的に見れば米国経済はまだ底打ち、反転したとはいえない部分もあります。

イラク戦争処理に失敗し、米国は北朝鮮と事を構えることが出来ないという事情の他に、北朝鮮問題がこじれて中国が震動し、それが米国に直撃すれば米国経済は深刻な打撃を被ります。これは戦争に至らなくても同じ、緊張が拡大するだけで世界経済は弱含み、米国経済は立ち直ることが出来ないほどの事態に陥る可能性もあります。
財源や兵士の割り振り、だけの問題ではなく、米国にとって北朝鮮問題がこじれることは、自国の利に大きく反してしまうのです。今、世界経済の活況に日米ともに支えられていますが、リスク回避の流れが起きると危険水域に入るのかもしれません。米国にとって、北朝鮮問題がこうした背景の上にある以上、米国に頼るばかりの日本の外交は見直しが迫られているのかもしれませんね。

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2007年07月20日

雑感。疑惑に対する答えの出し方

麻生外相の発言がまた問題視されています。まるでアルツハイマーの方の認識力が困難なことが、不認識の代表であるかのような、そう受け止められる発言です。リップサービスのつもりでしょうが、これを不適切と問われても仕方ないところでしょう。
ですが、今回はすぐに発言の撤回と陳謝に至りました。「生む機械」発言でも、問題発生時の初期対応で庇う姿勢が見られ、その対応で怒りを感じた世論が過熱し、沈静化まで長引かせたことの反省もあったのでしょう。人間なら誰しも過ちがあります。過ちを犯した時どう対処するのか、どう責任をとるのかで、その人間の価値が決まるのだと思います。危機管理にも直結しますが、それが国益に関わらない限り、過ちを素直に反省する姿勢が政治の世界にも求められている、それが一連の問題発言に対する国民の意識の根底にあります。その点では、今回の対応は正しいと思います。

今、社会は永きにわたる構造上の歪を修正する方向にあります。その中の一つに朝鮮総連への減免措置があります。東京地裁で朝鮮総連本部の土地、建物に対する固定資産税の課税を適法とする判決がありました。「40年間も減免を認め、突如課税するのは信義則違反」とする主張も、その法的根拠がない限りは何の意味も持ちません。
在外公館と同一視する主張も、外交上の必要性は皆無ですし、その任に足りえていません。公益性も同様、それは非課税の理由とはなりえないものです。非営利団体といえど、事務所開設に場所を借りれば賃貸料が発生しますし、所有物であれば税金を払います。組織を維持したいという理由で非課税は、現状司法の場で認められることはないでしょう。

これらは政治の世界にも同様に当てはまります。事務所費問題で、一部メディアで塩崎官房長官の名前も上がったようです。以前は政治家はお金に汚いもの、おらが村の先生だけが悪事をしている訳ではない、と社会も許容する風潮がありました。
しかし今は異なります。赤城農相の事務所費問題でも説明責任を求められます。むしろ今はそうした膿を先延ばしする方向ではなく、解決の方向に持っていかないと、いつまでも終わりにはならず、追求の芽を残し続けるということにもなります。

ガーゼの下が傷なのか、帯状疱疹なのかに何の興味もありませんが、少なくとも今の社会環境がそうしたものであるだけに、事務所費問題はまだまだ終わりそうにありません。そして今はもう一つ、誰もが疑惑に対して明解な答えを求めていることも、この問題が長期化する要因です。
政治家であるからといって、不透明な事務所費を計上しているようなことは、構造上の歪を正す点から見ても今は許されない、ということです。疑惑といわれれば、それに答えを出さない限りは真面目に、または興味本位で追求したくなるのですから、早めに領収書を公開するべきなのだと思いますね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 司法

2007年07月19日

村上ファンド元代表に実刑判決

村上ファンドの元代表、村上世彰氏によるニッポン放送株買収に絡むインサイダー取引について、東京地裁で判決がありました。懲役2年、罰金300万円、追徴金11億4900万円というほぼ求刑通りの判決であり、村上氏の弁護士が展開したライブドア側が買収に際して、実現可能性があるかどうか、という論点も全面否定に近い内容ともなっています。
今回の地裁の判断では先の大審院判例に基づいているので、村上氏側は即刻控訴しましたが、高裁でもかなり厳しい戦いになるはずです。むしろ今回は証拠の有無が焦点ではなく、犯意がないことを立証しなければならないからで、その時今回の判決を覆すだけの条件を新たに見出すことは、かなり難しいと言えるでしょう。

この前のスティールの判決もそうでしたが、裁判所が証券市場に判断を下す際、よりルールを厳格化する傾向が見られます。逆に言えば、証券市場が公平性、透明性を求められる中、一部のファンドであったり、グループであったりが悪意をもってそのルールを逸脱するような行為を断罪する、という強い姿勢が司法の場でも求められているということでしょう。
この判決が与える影響は大きいと思います。運用を担当する者が自らの運用に関わる銘柄を他者に勧める。これらは他のファンドマネージャーや、証券会社でも少なからず行われているものです。規模は小額であったり、また特定の個人であったりするので目立ちはしませんが、これらの行為は多少減る方向になると思います。

それ以上に、私は自己売買部門をもつ証券会社が、企業の投資格付けなどを行うことに疑問を感じています。今回はファンドマネージャーとして村上氏が堀江氏らにニッポン放送株の購入を勧めたこと、それと同時に自身も買収をすすめ、多額の利益を上げたことが問題とされています。ですが、格付けなどを行う組織が同時に売買もできる、というシステムが本当に透明性を保って、自身の運用を正当化できるかは不透明といわざるを得ません。格付けする組織と運用する組織は、単に同一企業の別部門というのではなく、明確に別けるべきだと私は考えています。
同じように楽天の三木谷氏がTBS株を買収した際も、村上氏が関与したとの疑惑があります。大量の資金が手元にあるからこそ、甘い誘惑が働くのも事実でしょう。しかし権力であったり、資金であったり、力を有する者は身の処し方に注意が必要なこともまた事実です。一罰百戒の意味合いもあるのでしょうが、今回の厳しい判決の中には『力を有する者の責任』という言葉もまた、重要なファクターになったのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(4)TrackBack(10)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 経済

2007年07月18日

官民人材交流センターの制度設計が始まる

最初に、柏崎刈羽原子力発電所で施設の下の岩盤まで、断層の亀裂が迫っていることが分かりました。原発では固い岩盤まで掘り下げ、軟らかい地面の上に建てるより、固い岩盤じょうなら揺れを軽減することが出来ることで、地震などの災害を防ごうとしています。
しかし固い岩盤そのものが大きく揺れたり、ずれたりして建物全体が崩壊すれば、安全管理など考え方の原点から見直す必要が生じます。もしかすると、柏崎刈羽原発は今回の問題で、数ヶ月ではなく数年間の運転停止を余儀なくされる恐れがあり、最悪は運転再開の許可が下りないところまで行くかもしれません。電力不足が早くも議論の俎上にありますが、かなり深刻な事態に陥る可能性も出てきたと思います。

官民人材交流センター(新人材バンク)の制度設計に関し、政府による有識者会合が開かれました。原則公開は「骨抜きにならないため」とする意見がありますが、有識者会合は今まで官僚が描いたシナリオ、官僚が集めた情報を元にし、その報告会のような形の運営が多いものでした。何しろほとんど手弁当で参加している有識者もいましたから、心血注いで議論するにも、個人の情報量が足りない側面があったからです。
公開するのも良いですが、まずこの制度を骨抜きにしたくないなら、ルールを決めたら、ルール破りを犯す者には過剰ともいえるほどの罰を設定することです。単純に抑止力というばかりでなく、国が関与して人事面を運営するこの制度で、不正を許さない断固とした姿勢を示すことが、政治の態度としてもっとも大事なことでもあるからです。

総務省が発表した公益法人白書で、政府の指導基準を上回る天下り受け入れの国所管の公益法人が、6776法人中339法人もあることが確認されました。所管官庁の出身者が理事の3分の1を越えない、この基準すら満たせない法人が多いことからも、公益法人が天下り受け入れ先として機能し、補助金などジャブジャブの予算がそこにつぎ込まれていることの証拠でしょう。
法人格の整理、統合、縮小、これを進めない限り、官僚制度にメスをいれることなど到底不可能です。受け入れ先がある限り、そこに人をどう押し込めるのかという方法論を議論しても、最終的な結果として天下りをなくし、官製談合などで国が支出しなければならなくなる、無駄な予算を削減する方向には繋がらないでしょう。

今回の官民人材交流センターの制度設計、10月に具体案をとりまとめるそうですが、くれぐれもその運営に予算をかけて、実際の制度は骨抜きという、本末転倒にならないことを祈るばかりですね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2007年07月17日

中越沖地震で原発から放射性物質が漏洩

新潟県で起きた中越沖地震で、柏崎刈羽原子力発電所の2、3、4、7号機が地震とともに緊急停止し、3号機の建屋の外にある変圧器が火災を起こし、また6号機の使用済み燃料を貯蔵するプールから水が漏れ、それが海に流れ出していました。1.2立方メートル程度は少なくとも漏れた、とのことで外部環境のモニタリングでは漏洩による異常は無しとされています。

今日になり、低レベル廃棄物が入ったドラム缶が100本程度が倒れ、数本の中身が零れていたこと、主排気塔では放射性物質であるヨウ素やコバルトが確認されています。
更に問題は、耐震計算時にこの断層が問題ないとされ、今回の地震で680ガルという耐震設計を超える揺れが確認されていたことです。これは重要な問題で、改めて今回の震源域を活断層として耐震計算をやり直し、その上で安全面の確保に努めなければいけません。

まず原子力発電所の、放射性物質を封じ込める隔離効果が今回の地震では破られたこと、これは大きな問題です。実は原子力発電所の使用済み燃料を貯蔵するプールは、想定以上の量の燃料棒を貯蔵するために、後付で設置されたものもあると聞きます。
貯蔵プールの水が漏洩した際、それを封じ込める機能が破られたとすると、そのプールの設置も正しかったのか?という疑問も生じるでしょう。つまり今回の地震がもたらしたものは、耐震計算のやり直しに始まり、設置基準のあり方から新たな補強のやり方、そして現在の施設が本当に安全なのか?ということまで含めて、全点チェックをこなさなければならず、それがあって初めて運転再開ができるという、東京に電力供給する7つの原発全てが数年間の運転停止となるほどの重要な問題なのです。

更に米国の原子力規制委員会(NRC)が技術的支援を検討、との記事もありますが、米国では最近の新設原発がなく、日本に較べて技術が停滞していました。ここで欲しているのは日本の技術力であったり、今回の事象の治験であったりします。米国が今後、原発の建設に前向きになる中で、WHの売却で日本主導になった原発建設から、米国主導のかつての流れに引き戻したい、という考えがこの動きの中に含まれています。
私は感情論で原発に反対することはありませんし、地球温暖化に向けて原発はより重要な位置付けを持っている、とも考えています。ですが、今回の件でも情報公開が遅い面は否めません。確かに、原発で働いている人は今回の地震の被災者でもありますから、被災した人にすぐに職場に行って働け、というのは酷なのかもしれません。ですが、そうであれば安全管理の原則が揺らいでいることにもなり、考え方の抜本的な見直しも迫られるでしょう。今回の地震が原発に与えた教訓は、かなり大きいのだと思います。安全、安心を確立するためには今回の事例をよく検証して、今後に生かして欲しいと思います。

analyst_zaiya777 at 22:36|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 原子力

2007年07月16日

雑感。北朝鮮の核施設停止

新潟県で中越沖地震が発生しました。3年前10月に起きた中越地震、今年3月に起きた能登半島地震、そして今回の中越沖地震です。被災された方は大変でしょうが、一日も早い復興をお祈りしております。

そしてこの新潟県には東京電力の柏崎刈羽原発があります。3号機の脇にある変圧器で火災が起こり、また6号機の非管理区域で微量の放射性物質を含む水が漏洩、とするニュースがありました。この変圧器は建物内に給電するためのものらしいので、放射性物質の漏洩などは考えられませんが、非管理区域での放射性物質漏洩、というのが少し気になります。
非管理区域ですので、そこは管理されていない区域です。そこに放射性物質を含む水が流れていた、ということにまず疑問を感じますが、作業員の立ち入り時に被爆管理がされていなかった可能性もありそうです。まだ情報が少なくて、正確なことは分かりませんが、非管理区域に放射性物質が何故あったのか?ということまで含めて説明が必要だと思います。

北朝鮮が原子力施設を停止させました。ただこの停止実現までに、米国の金融制裁解除、米朝の二カ国協議、そして韓国の原油支援など、あらゆる条件を手に入れることが出来、北朝鮮の先軍政治が実質的な利を得た形になっています。
IAEAの査察も許容であって、これらは永久凍結ではないとの姿勢も北朝鮮は示しています。監視が出来ない停止が、六カ国協議の合意事項ではなかったはずですが、今はそこまでトーンダウンしてしまっているのですね。今後もIAEAが常駐できる確証も無い中で、これだけの条件を与えてしまった米国の外交、それが非難される流れにならないのは、米国での北朝鮮の位置付けが相当に低いと見て間違いないでしょう。

北朝鮮が核を保有しようと構わない。それをテロリストに輸出しなければ、それで良いというのが今の米国の考えです。日本も北朝鮮が核実験した後の国連対応は素早く、しっかりした対応を示したものの、この米国の流れを変えるに至っていないのが残念です。
親日派、知日派が政権から消えた米国で、ロビイスト活動すらなく、今の米国を動かすのはほぼ無理です。先の従軍慰安婦の問題と同様、国内でどう動こうが米国には関係がないのですから、日本が北朝鮮政策の柔軟化を迫られる前に、対米戦略をまず確立することが大事なのだと思います。

analyst_zaiya777 at 22:47|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | アメリカ

2007年07月15日

経済の話。12日の米国市場の急騰を考える

12日の米国市場でダウが284ドル高となり、史上最高値を更新してきました。巷では小売各社の売上高が好感されたこと、M&Aニュースが相次いだこと、これにより高水準にある信用売り残が買戻しを迫られたこと、半導体市況の好転が見込まれるためハイテクに買いが入ったこと、などがその理由として上げられています。

ですが、米商務省が翌日発表した6月の小売売上高は市場予想に届かず、前月から0.9%減となっても、ダウは最高値を更新して13907ドルをつけています。良い材料には反応し、悪い材料は無視する。楽観論の広がり易い典型的なパターンのように見えます。
この上昇の理由の一つには、フィリピン中央銀行が12日に1.5%の利下げを行ったことなどもあるでしょう。米国でインフレ懸念が台頭し、利下げ観測から急速に利上げへと警戒感が強まった時も、米国内要因というよりも世界のインフレ拡大観測による、米国経済への波及が嫌気されました。商品が流入する米国の消費市場では、途上国のインフレやドル安による物価高がより意識されている、ということなのでしょう。

そして米国市場の大きな問題は、何事にも目標を定め、その水準を意識し過ぎるところにあります。例えば長期金利が5.5%を越えると危険、原油が80ドルをつけると危険、などの流れを変える水準が安易に設定され、その目標を超えるか、超えないかで投資行動を変化させています。
12日の米国市場の大幅高は、そうして演出されたものでしょう。これまで二度の抵抗線として意識されていた13680ドル水準を一気に抜き、売り方の買戻しを迫る動きを迫った一部のヘッジファンドの動きと、それに追随した層による一時的な高値、というのがその真相だと考えています。4-6月期の企業業績の増益幅が4%台と予想されていても、1-3月期の流れから今回も上ブレするという楽観も、この流れを後押ししたと見ています。

米国では信用売り残の整理が終わるまで、楽観論が支配的な流れになるでしょう。ただボラティリティが急速に高まっており、逆にこういう相場は警戒が必要です。急騰の後に急落が準備されているかもしれませんし、6月の高安の差から14100ドル水準が抵抗として意識されそうです。
日本の証券市場は、米国楽観論には到底ついていけないでしょう。為替差益で企業業績が良いとする意見もありますが、実は円高期待が高まる時の方が、市場に資金が流入し易い側面があります。今後円が上昇するので今は割安!そう思えない限り、一時的には年初来高値を更新しても、やはり上値は相当に重いと見て間違いはないでしょう。外国人投資家の投資行動を見る限り、金利差に着目した円売りが主流の中では、積極的な上値を追い難いのでしょうからね。

analyst_zaiya777 at 22:26|PermalinkComments(12)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2007年07月14日

各党のキャッチコピーについて考える。(自民、民主)

昨日の流れの続きで、今日は自民党と民主党を取り上げてみたいと思います。
自民党‐成長を実感に!‐ 経済成長では1-3月期のGDP改定値で年率3.3%の成長を達成しています。では成長が実感できないのは何故か?これを国民に提示するか、それについて明確な政策を打ち出す必要がありますが、これについて自民党のマニフェストを見ても具体性はありません。

帝国データバンクが発表した、07年度上半期の企業倒産が増加とする記事がありました。小規模企業の倒産が多く、金額ベースで見れば減少とのことですが、この倒産件数の増加の中には、現在でも続く金融機関の貸し渋りの背景があると見ています。
竹中氏が進めた不良債権処理の中で、与信管理の厳格化が求められました。公的資金導入とともに、各金融機関は貸し渋り、貸し剥がしなどを行って、それらが中小企業の倒産を引き起こすことになりました。現在、金融機関では公的資金の完済が進んでいますが、それでも与信管理の緩和には繋がっておらず、これが小規模企業の資金繰りを悪化させる要因にもなっています。

政府は低金利の維持を日銀に求めますが、金利を低く抑えても国内に資金が還流しないのは、それを抑える要因として金融機関の態度にもあるのです。銀行が収益機会を利ザヤから信託販売などの手数料に転換する中、貸し出しを抑えても利潤を追求できるのであり、これが金融機関の与信管理を厳しく据え置く原因でもあります。
これは金融政策の緩和により、銀行業界や証券業界の垣根が撤廃されたことの、負の部分の影響です。国内に資金が回らない結果、国民の元に分配されずに成長を実感できない。これは一例であって、こうした枝葉末節を一つ一つ検証し、太田経済担当相は説明すべきでしょう。それが無ければこの言葉は無意味です。何故なら、具体的な施策に結びついていかないからです。
更に最低賃金の上昇を厚労省が試案として提出しましたが、選挙向けのこうしたパフォーマンスはするべきではありません。何故なら財界の思惑とも重なり、これらはホワイトカラーエグゼンプションなどの、財界が望む施策とのセットで議論されるはずだからです。実感を国民に訴えるのなら、それこそ見せ掛けだけの言葉はより慎むべきなのでしょうね。

民主党‐国民の生活が第一。‐ 民主党のマニフェストは大胆な提言が多く、現実感の喪失を国民は感じています。画餅というほどではないにしても、生活保障や年金などの財源議論に歳出削減を挙げていますが、歳出削減が自民党には出来なくて民主党になら出来る、という理屈を求められるでしょう。今の国民は情報過多であり、良い未来を夢想できるほどの具体的な政策を欲しているのです。
生活が第一なのは当たり前ですが、その当たり前のことが今までの政治は出来てきませんでした。更に日本の財政が逼迫しているのは、国民周知の事実です。国民が安心して生活できる基盤も、国が安泰であるという前提の上に成り立つものです。財源議論にもう一歩踏み込むべきなのでしょうね。

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2007年07月13日

各党のキャッチコピーについて考える

7月29日の参院選に向けて、よく自民党と民主党は取り上げますが、他の既成政党については触れる機会も少ないので、ここで一気に考えたいと思います。本来はマニフェストを検証すべきなのでしょうが、時間的制約もあり、ポスターやHPなどで目立つ文言を取り上げてみます。

公明党‐未来に責任を持つ政治。‐ 2004年の年金制度改定の折、公明党はこれで100年大丈夫と公言していました。政治資金規正法も見直し議論がありますし、年金制度についても、安倍氏は見直しを示唆し始めました。政権与党の一角として、未来に責任を持つとは国民が納得できる法案を提出し、それを分かる形で国民に説明し、認めてもらうことです。
行動は必然ですから、その主張をするのであれば、まず法案などで国民を納得させてから、ということになるでしょう。与党にいれば、数の論理で法案は簡単に成立させることが出来るのですから、法案の有効性を国民に理解されない限り、この主張は空論にしかならないのでしょう。

共産党‐いまこそ必要 たしかな野党‐ 共産党が与党を攻撃しても、共産党の票に跳ね返らないのは周知の事実です。野党は必要ですが、その資質に耐え得る政党か、ということを国民に明確に示すことが重要のはずですが、この文言だけではそれを読み取れません。国会運営でも独自路線ですし、そこに国民は存在価値を見出していないのですから、これでは訴求力もないでしょう。
社民党‐9条と年金を壊す安倍内閣に審判を!!‐ 護憲派の代表として9条擁護は分かりますが、9条を守って国防をどうするのか?というプランを示す必要があるでしょう。そこに「息子さんを戦場に出すことに…」という説明しか出来ないようでは、現状の世論の流れを見ても票は集まりません。安倍内閣に審判を下した結果、別の党に票が集まることになるだけです。

国民新党‐日本を変えよう!『夢と希望をもてる国づくり』‐ 別の文言で自民党との連立を否定するものもありましたが、自民党の一角であり抵抗勢力、そうした眼を払拭することは難しいでしょう。郵政民営化を拒んでいた、変化を否定していたとする意識がある間は、「変えよう」という言葉が虚しく響いてしまいます。
新党日本‐信じられる日本へ‐ 党首の田中康夫氏のイメージで、長野での実績アピールと財政再建を訴えていますが、田中氏はお山の大将が似合うのであって、少数政党で何が出来るのかを考えた場合、投票する意欲は誘発できないでしょう。

キャッチコピーは重要な選挙活動の一環として、もっと重要視されるべきでしょう。ぱっと目に付いたり、または国民の耳に残るフレーズが重要であり、更に党のイメージを一言で表現する必要があります。上記は否定的な意見ばかりを述べましたが、重要であるだけに、これでは落第ということです。勿論自民、民主も落第ですから、イメージ作りは政治の世界で重要であっても、相当難しいということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:41|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2007年07月12日

経済の話。証券市場に限定して考えます

日本の証券市場のチェックを最近怠り気味でしたが、今日は14時過ぎから大量の先物売を浴びて、一気に18000円台を割れてしまったようです。これは今週のSQを前にして、溜まっていたポジションを吐き出す動きが発生したと推測していますが、先高期待があったために、恐らく18500円ポジションを持つ先物ディーラーが、その高値に迫れないために仕方なく売りを出したと考えています。

更に原子力関連銘柄として、木村化工が怪しい動きを示しました。これは私の見解を述べると、完全に特定筋の介入でしょう。原子力関連は市場の注目度も高く、上昇を演出しやすい側面がありました。値動きを見る限り、高値を演出してきた人間たちがポジションもたまり、その他の投資家も大分食いついたので、一気に売りを出しました。これらも先物の動きを誘ったのだと思います。高値を追う流れではなく、手仕舞いの流れが広がってしまったのでしょう。
元々、原子力は利幅の薄い産業です。以前のことは分かりませんが、コストダウンを意識するようになると、安全性や性能担保が厳しければ厳しいほど難しい側面があるのです。事故はゼロベースの管理が求められますし、コストと性能の両立が難しいのが原子力産業です。更にウラン原料の高騰もあり、原子力発電所を続々建てるというほどに、楽観は出来ないのが現状だと考えています。つまり株価を二倍、三倍に押し上げるほどではないはずなのに、そこを越えてきていた。恣意が介在していたと見て、まず間違いありません。

もう一つ、米国のサブプライムローン問題は証券の格下げが始まりました。今までトリプルAの最高ランク格付けが80%もありましたから、それらが一斉に格下げされれば、ヘッジファンドは引当金の積み増しを迫られることになります。これらも過剰流動性相場を解消する要因になりかねず、手仕舞いの流れを想起させるには十分なニュースです。
7月は4-6月期の決算発表シーズンですが、米国では楽観論が大勢であり、日本でも上方修正期待が蔓延しています。確かに円安であり、為替差益を考えると上方修正に期待が集まります。ですが、この前も取り上げたように円ベースで例え増収でも、国際的に見て増益幅が少ないのであれば、そう高値を追える状況にはないでしょう。

久し振りに市場予測をしてみますが、7月のここまでは選挙マネーを囃す、いわゆる特定筋の動きなどもありましたが、一旦は17000円台後半でもみ合う動きが強まると見ています。今日の日銀政策決定会合でも、8月の利上げ説に明確な答えが出なかったことから、気迷いムードが台頭するというのがその読みです。
政治リスクは基本的に小さいですが、それ以上に今は高値期待と、その期待に沿うほどの楽観的なニュースもないことが相当に上値を重くしてしまっています。このラインを突き破るには、選挙後のかなり明確な経済支援策などが必要なところなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:26|PermalinkComments(8)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2007年07月11日

雑感。年金検証委員会の中間報告

嬉しいニュースがありました。米国のメジャーリーグでイチロー選手が、オールスターでランニングホームランを放ち、MVPを獲得しました。長嶋茂雄氏がかつて、野球の醍醐味はランニングホームランだと述べたことがあります。選手がベース一周を全力疾走する間に歓声が続き、観客もその間一緒に盛り上がることができる。
そんな最高のプレイをオールスターで史上初めて達成し、表彰される。イチロー選手は日本でも米国でも、記録にも記憶にも残る選手として後世まで語り継がれていくのでしょう。久し振りに喜ばしいニュースでしたね。

年金記録問題検証委員会の中間報告が出されました。この中の組織上の問題で、ガバナンスの欠如、コンプライアンス意識の低さ、などが挙げられ、これらを労働組合との関係や、『親方日の丸体質』による問題としています。
この中間報告はあくまで中間ですから、意見をするようなものではないかもしれませんが、ここまで政府答弁に沿った内容だと違和感があります。組合との関係でも体質の問題にしても、それらを許容してきたのは社保庁長官であり、厚労相です。組織のトップが組織内の問題を改善できない、または認識すらしていないのであれば、その責任に言及するべきでしょう。
更に横領や着服があるのであれば、それらは刑事事件として警察権の介入も視野に入れるべきでしょう。分限免職だけではなく、また賞与の自主返納だけでもなく、遡ってでも犯罪行為を検挙するという、すでに引退した人間まで含めて責任をどうとらせるのかが公務員を律する一つのやり方です。公務員制度改革はこの点に不備がありますが、国に多大な損害を与えた人間に対してもきちんとその責任を追求して欲しいと思います。

明日に参院選の公示ですが、票読みの段階では自民党がやや過半数割れから、40議席程度まで落ち込むとするものもあるようです。ただ自民党にとって最悪のタイミングで「政治とカネ」の問題が再浮上したことで、票読みは更に難しくなっています。
政治資金規正法の見直しが早くも示唆されていますが、内規にしろ資金管理団体だけに限定してしまった領収書添付が、結果的に言い訳の材料にされている時点で、この法律はザルと証明しています。このザル法に最後まで抵抗し、領収書添付すら拒み続けた自民党に対して、国民は更に厳しい眼を向けることでしょう。

自民党の中川幹事長が「やっぱりダメだ民主党」「だけどやっぱり自民党」とのフレーズを、選挙戦で使っていこうと提案したそうです。そんな国民の目を逸らすものではなく、政策で訴える点がないだけに、自民党の窮地が垣間見えているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(2)TrackBack(6)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 年金

2007年07月10日

与野党党首のメディア出演

赤城農相の釈明会見、ルールを決めた側がルールに則り報告している、と説明することは国民の理解を得られないでしょう。少なくとも、形として領収書を公表するなどをしない限り、常に赤城氏には懐疑的な視線が向けられ、永久的に疑惑を持たれ続けることとなります。選挙前であり、説明責任を果たすつもりであれば、その本気度を見せなければならないところでしょう。

小泉前首相が安倍氏の政権運営について、抵抗勢力がいないと厳しい旨の発言を行ったそうです。ただ安倍氏は郵政造反組の復党の際、理念が一緒の人とは一緒にやっていく旨の発言を行い、自民党と安倍氏は一体との認識を国民は持っています。
小泉時代は政治が悪いことをしても、それは自民党がやったこと、小泉氏は悪くない、と国民が勝手に思い込んでいました。小泉氏が国民側にたったコメントをするために小泉氏は分かっている、分かっていないのは自民党、とのイメージが定着したのです。これは当初の自民党を壊す発言から小泉氏と自民党の間に距離を見出した初期段階の成功であり、今から安倍氏が同じ手法をとったとしても上手くはいかないでしょう。

安倍氏はメディア戦略の中で積極路線に転換し、自民党側から各メディアに売り込むという異例の対応を示しました。ただ制約が多かったことから、各メディアも二の足を踏み、想定外に低い出演数に終わりそうです。討論形式ではなく、質問に対して安倍氏が答え終わるのを待たなければならない、という部分もメディアが自民党広報に終わりたくない、との懸念を想起させる点だと思います。
党首討論や安倍氏の単独出演の番組も幾つか見ましたが、討論ではないのでやはり安倍氏の説明は分かり難くなっています。というより、内閣府や官邸の公表する文書を読んでみればほぼ同じ内容が書いてあるので、あまり面白くも感じられません。虚飾をつけて面白おかしく、というつもりはありませんが、自分の言葉に置き換えて国民に伝える、ということもまた大事な作業のはずです。

一つだけ小沢氏の単独出演の番組は見ましたが、小沢氏の理念はよく聞けば納得できるものも多くあります。ただイメージ的に、小沢氏に政権を取らせたくないとする国民も多いでしょう。以前少し述べたこともありますが、前原前代表が前衛、小沢氏が後衛に控える形であれば、民主党が国民から最も信頼を得られるのでしょう。
自民党が勝手に転んで民主党に有利な状況ですが、マニフェストも今ひとつ訴求力がないものですし、これでは有権者の声を集め切れていないのでしょう。明後日には参院選の公示ですが、『だけどやっぱり政治に関心ない』と国民に思わせないよう、どの党もしっかりとした政治姿勢を示して欲しいところですね。

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2007年07月09日

経済の話。外国から見た日本の景色

内閣府から発表された機械受注が+5.9%と、市場予想の+2.6%を大きく上回って、日経平均は終値ベースで年初来高値を更新しました。恐らく、五月全体としてみれば米国の底堅さが確認されつつあった時なので、製造業にとってはそうした判断が追い風になり、設備投資計画が進んだものと思われます。ただこれが製造業のみというところに、やはり現在の日本の企業体の中にある偏りが見えるのでしょうね。

今回は経済の話ですが、非常に思索的な部分が強いものということを初めにお断りしておきます。前回、ドルベースで見たときに日本がどう見えるのか、為替の問題として記事を上げました。今回はその件についてもう少し詳しく、数字も交えますが分かり易く考えてみたいと思います。
2005年7月に日経平均は11800円でした。郵政選挙前のことで、ITバブルが弾けた後の戻り歩調の手前で足踏みしていた、そんな時代です。その頃ドルは111円、ユーロは135円でした。この時に海外から日経平均を見ると、当時の換算で107ドル、87ユーロとなります。

今年の7月はまだ始まったばかりですが、日経平均を18200円、ドルを123円、ユーロを167円で計算してみます。すると、日経平均は148ドル、109ユーロとなります。単純に円ベースで見ると日経平均は1.54倍になっていますが、ドルベースでは1.38倍、ユーロベースでは1.25倍の増加となります。つまり相対的に日本の価値が下がっている結果、実は日本の証券市場はあまり上昇していないということにもなります。
トヨタ自動車を例にしてみます。06年3月期決算で営業利益が18783億円ありましたが、今期予想の営業利益は24000億円程度と推定されています。円ベースで見ると1.28倍の増益ですが、ドルベースで見ると1.15倍にしかなりません。当時の株価が約4000円、今日の終値が7830円、当時が低過ぎたのもありますが、上昇ピッチはかなり早いと言えるでしょう。

日経平均が18200円で動かなくても、1ドルが123円か124円かで見える景色も違ってきます。円安になればそれだけドル換算したときの評価損が増える訳であり、継続して外国人投資家が日本株を買うのは、お化粧買いと見ると適当なのかもしれません。円安になった分を補填して相場を上昇させないと、運用利回りが低下して損失を出すことになりかねませんからね。
当然、日本の相場ですから円ベースで考えるべきですし、企業価値はPERやROEなど他の様々な指標により決まるべきものです。ただ視点を変えて外国から日本の様子を眺めてみると、また少し違った風景になるということです。証券会社からは円安で企業業績好調、などのレポートも出されているようですが、円安と日本の価値、もう一度問い直すことも必要なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:43|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2007年07月08日

中国にある懸念

昨日は七夕でしたが、中国では盧溝橋事件として抗日の象徴的な日だそうです。そんな中で中国製の車のタイヤが、米国でリコールされました。表面が溶けて転倒する可能性があるとのことですが、日本にも同様のタイヤが輸入されていますから、いずれ歯磨き粉の時と同様、日本でもリコール対象に入るのかもしれません。

この問題が米国で話題になった前後の中国の対応が少し気になりました。当初は中国製品のうちの1%程度しか劣悪な製品はないと、自国の製品の安全性を強調し、米国の対応に不満を示していました。ですが、その数日後にその意見を撤回し、製品の品質に配慮する姿勢を示したのです。
最初の対応がかつての中国の対応に近いものです。その後転換したのは、市場原理に則った対応をとらないと、消費者が自ら選択する社会では不適格の烙印を押されかねない、そうした世界の事情に配慮した中国の態度です。紆余曲折しても、中国も世界を意識せざるを得ないのですね。

中国の製品の2割が不良品だ、いや他の国と摘発される不良品の数は同じだ、など幾つかの意見を耳にしましたが、総じて言えるのは「安かろう悪かろう」のイメージが復活しつつあることです。中国では人件費が高騰し始め、原材料高により安価な製造工場としての位置付けを消失しつつあります。中国製品に価格抑制を求めると、品質管理が低下して品質が劣化するとの懸念が台頭し、それが消費者の中国製品離れに繋がっています。
そしてこの流れを加速する可能性が、来年の北京オリンピックにあるのではないかと考えています。まず今年中国では北方において乾燥化が進んでいます。来年も同じ気候となるとは断言できませんが、仮に今年と同じような乾燥化で雨が降らないようなことになれば、空中に舞う微粒子がいつまでも地面に落ちることなく、光化学スモッグを発生させます。

中国では大規模な砂嵐なども発生していますが、北京オリンピックが史上初めて環境問題で開催できない、もしくは日程が大きく狂うことにもなりかねません。それを食い止める一つの手立てとして、中国国内で産業活動を停止させる事態に発展するかもしれません。
それでなくとも、大量の人間が流入すれば莫大な電力を必要とします。滞在者の使用するエアコン、テレビ各局の中継用装備、その電力を賄うためにも産業活動に回す電力が不足する可能性もあります。これはあくまで来年もこの異常気象が起こると想定した上でのことなので、実際は相当低い確率なのは言うまでもありませんが…。

しかし仮に産業活動が一時期的に停滞し、輸出が減ることにでもなれば、現在の中国製品への不信感から輸入依存を第三国へ移すことになるかもしれません。安さと品質は両立が難しいだけに、そのバランスを欠くと魅力をなくします。今中国製品に突きつけられている問題とは、理論や理屈でないところだけに、しばらく長引くのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:39|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 社会

2007年07月07日

赤城農相の事務所費問題

赤城農相の事務所費問題が明らかになりました。平成15年から事務所費として530万、人件費が220万、光熱水費が110万、備品・消耗品費が370万で、約1200万円が経常経費として届け出られていたというものです。これを親族は否定しており、赤城農相の説明とは大きく食い違っています。
松岡農相の自殺で農相となった赤城氏ですが、農水族として松岡氏とも交流があったはずですから、政治資金の抜け道など、松岡氏から指南されていた可能性もあり、この点には当初から懸念があったはずです。献金先なども松岡氏と重なる部分が多いと聞きますし、資金の流れを巡っては相当に気をつけなければならないところです。

就任当時、安倍首相や塩崎官房長官が政治とカネの問題について、身辺調査を行ったとしていましたが、その調査でも抜け落ちたのか、分かった上でFTA交渉には農政に詳しい人間が必要と判断されたのか、どちらかは分かりません。ただ今回も安倍氏は庇う姿勢を示していますが、それはとても危険な判断になると考えています。
これまで各閣僚が抱えた政治とカネの問題と、今回赤城農相が抱えた問題との整合性や違いが問われますから、今回の赤城氏の説明で「事務所として使っていた」とするものも、これでは十分に説明を果たしていないことになります。親族の証言というより、実態として本当に使っていたことを証明できなければ、国民には架空計上と受け止められる可能性の方が高いのです。

ただこの問題は相当に根が深く、政治家にとって政治資金とはこの程度のもの、という受け止められ方を国民にされるのが真に危険な部分です。先の国会で政治資金規制法の改正が行われましたが、これはザル法であり、政治家に自らを律する規範意識が欠如している、そう受け止められると政治の停滞を招くからです。
日本では長い間、自民党の一党独裁が続いたため、国民の意識は自民党か、そうでないのか、という二者択一の状態になっています。自民党では先の都知事選を戦った石原氏のように、「それでも○○○」というフレーズを掲げるようです。悪いことがあっても、結局頼るところは此処しかないでしょう?この問い掛けが国民の間に思考停止を引き起こす、最悪の提案であることは言うまでもありません。

自民党の参院議員からは悲鳴が上がっているようですが、むしろこうした問題が次々と出るところに、政治の中に膿が溜まっていると見ることも出来ます。もう一度、政治資金規正法を改正するような、そんな気概が政治家には求められているのだと思います。
政権選択選挙なのか、自民党の不信任選挙なのか、それは国民一人一人の判断によるでしょう。選挙は有権者の権利であり、それを行使することで、この国の未来が決まります。今度の選挙は焦点も多いですが、大切な選挙になるのだと思います。

analyst_zaiya777 at 22:56|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2007年07月06日

経済の話。日米の問題について

5月の景気一致指数が66.7%となり、先行指数は低いものの景気の現状には改善傾向が見られます。最近、経済について色々と考えたことを雑感的に述べたいと思います。

米国で再び再燃したサブプライムローン問題、今回破綻が懸念されるのは、証券化されたローンを保有するヘッジファンドです。日本では馴染みが薄いですが、米国ではローンを組んでも、金融機関が直接お金を貸し出すわけではありません。一部を証券化し、それを売り出します。
例えば、住宅購入で1000万円をローンで組んだとすると、金融機関はそれを100分割して証券として売り出します。この時、格付けが低いと購入者が減りますが、サブプライムローンの問題とは、この証券の格付けの80%がトリプルAランク、つまり最上位にあったことであり、安全な投資先として購入していたのに、今回不払いによる差し押さえが急増したことで、いきなり紙くずとなってしまったことです。
安全な投資運用先が、突然不良債権化する。これは現状安全とされている金融機関も、いつ破綻懸念に見舞われるか分からないということです。金融機関はローンの証券化により債務不履行の危険から手を切ったはずなのに、ヘッジファンドに出資することで、巡り巡って負債が自分たちに跳ね返ってくることになる、これがサブプライムローン問題がどこまで拡大するのかわからない、ということになっています。

実効為替レートがついにプラザ合意水準以下になりました。海外旅行に行けば感じることですが、世界の物価はこれほど高いのか、と眼を見張ることになるでしょう。実効為替レートは物価と為替の水準で決まりますが、円ベースで見ると、諸外国の景色は違って見えます。
例えば米国で話題のiPhoneなど、2.5世代で7万円は随分と高いと思えます。しかしこれは円ベースで見た場合であり、米国人にはiPodもついた多機能機種が600ドル以下なら、安いと見えるのかもしれません。変な言い方かもしれませんが、世界でも極端に弱い通貨で相手を見ると、判断を間違う理由の一つになり得るということです。

米国に大量に入る外貨は債券を買う、欧州に入る外貨は証券を買う。これが現在の世界の流れです。米国では債券買いで下がった金利を利用し、金融機関が資金を調達し易くなり、それを欧州やアジアなどの証券投資に回す。これが大きなマネーフローだとも言います。
米国金利が上昇した時、日本からの貸し出しが急増しましたが、日本もこのマネーフローの一環を担っています。金利差を抱えたこの国には、そうした大きな流れを止める術もなく、世界との連動性を高めるばかりで日本単独での強さを演じ切れません。

最近の企業は業績好調ですが、円換算された業績で見ると先のiPhoneの話と同じ、見誤るのかもしれません。むしろこれだけ円が弱い中、その程度しか稼げていないのか、と諸外国から見られているかもしれないのです。円が弱い間に外貨を稼いできた企業、これを内需に波及できないことが、日本の景気が加速しない理由です。日本国内に資金を循環させる手法、もう一度政界、財界が真剣に討議すべき段階なのだと思います。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2007年07月05日

米ロ首脳会談が平行線のまま終わる

2015年の冬季五輪はロシアのソチに決まりました。ロシアは最近、軟化と硬化の使い分けによる外交を演じていますが、これは軟化の部分が成功した形となっています。
先の米ロ会談でも両国が主張を取り下げることなく、事実上の決裂となってしまいました。チェコ、ポーランドにMD配備をすることも、ロシアはアゼルバイジャンのロシア軍レーダー基地を利用することを示し、議論は平行線を辿りました。

このMD配備で、イランの長距離弾道ミサイルが欧州に届くため必要、とする米国の主張には少し違和感があります。かつてイスラム圏に対するキリスト圏の東の砦であった、キエフ公国の役割を担わそうとしたのか?イラク戦争で十字軍の再来を呼び掛けた、ブッシュ大統領ならではの提案ともいえるのかもしれません。
東欧圏は共産主義体制への失望から、反動的に米国の支持が高くなっています。先のアルバニア訪問でも熱烈な歓迎を受けたように、冷戦下でソ連と対立した米国大統領の人気は相当のものです。民主主義の輸出で失敗した南米、欧州でも反米機運が高まり、中東は反米と親米が入り混じる情勢となり、東欧のみが米国を国民的にも支持する状況になっています。

つまり米国の軍需産業にとって、新たな購買層を求める意味でも、東欧に販路を確保しておくことが重要、それがこのMD配備なのだと考えています。MDは精度の面で、実用段階とするには価格と見合わない部分があります。ただ一度購入すれば全面的な入れ替えにでもならない限り、将来に亘ってそのシステムに予算をつぎ込まなければなりません。米国ではそこに商機を見出していることが、ブッシュ氏の強い姿勢にも現れているのだと思います。
これはロシアも同じ、折れる訳にはいかない問題です。東欧に米国の兵器が導入されるようになれば、それはロシアの軍需産業の衰退を意味します。かつての兵器開発に予算をつぎ込んでいた時代と異なり、多額の開発費用を賄えないロシアは、シェアの縮小がそのまま衰退に繋がります。といって、東欧のイニシアティブもないロシアにとって、ギリギリの提案がロシアのレーダー基地使用ということなのでしょう。

米国の提案が通れば、ロシアの飛び地にミサイルを配備などの強い態度も示していますが、それ以上にロシアが怖いのは、資源国としてそのパイプの元栓を閉めることを、現実に行ってしまう可能性もあることです。資源国が資源を人質に外交することの危険性を、強く意識すべきところでしょう。
英国でテロが発生していますが、無差別テロと同様に、資源がカードとなる外交は有無を言わせぬ凄みがあり、厄介なものです。米ロの関係が悪い方向になりつつありますが、強国が利権で決裂することは世界に混乱を招きます。どちらも責任ある国として、もう一度外交を考えて欲しいところですね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | ロシア

2007年07月04日

メディアの討論番組の話題二つ

衆院の決算行政監視委員会が与党の審議拒否で、開会されないという珍事がありました。審議拒否は通常野党がするもので、与党による審議拒否は少なくとも聞いたことはありません。久間氏の問題もあり、今回は審議に応じるべきではないと判断されたのでしょうね。

テレビ朝日系列の某番組内で、評論家の宮崎氏が公務員法改正案に対して、なぜ官僚は抵抗したのか、と盛んに質問していました。簡単に言えば、公務員法改正案を官僚が書き換えていないから、という理由に行き着きますが、そうした前例を官僚は認めたくないことが抵抗の理由です。
小泉時代、法案の看板は政治主導でも、中身は官僚が考えていました。なので官僚の抵抗もありませんでしたが、公務員法改正案など、安倍時代の法案は官僚と一線を画すとの意図で政治手動での法案提出が多くなっています。官僚としては、こうした法案が五月雨式に成立することを嫌がり、抵抗して見せたのだと考えています。中身の骨抜きには、すでに万全の体制を整えているでしょうけれどね。

日本テレビ系列の某番組内で、少年法を巡る議論の中で、民主党の平岡氏が被害者遺族に向けて、不適切な発言をしたことが話題になっています。「遺族だって少年の更生を望んでいる」との発言を、遺族として出演した方に向けて決めつけるかのように発言しました。
遺族感情の一側面しか捉えていない、こうした発言は一部の人権擁護者しか喜ばないものです。特に現状では、罪を犯した者が得をすることを許さない空気があります。日本では罪と罰の考え方の中で、被告の心情や生活環境、背景に至るまでを裁判で議論して刑の軽減を量ります。つまり圧倒的に罰が軽くなる方向であり、特に少年法はその中に『更生』のフィルターをかけることから、罰が罰として機能しない側面を持ちます。

一般受刑者より少年犯罪の再犯率が高いのは、罰をうけた者を受け入れない社会の現状もありますが、罰としての考え方をしっかり示せないことも、その理由の一つだと考えています。犯罪抑止力として罰を考えるなら、罪と罰はニアリーイコールでなければなりません。その時、少年法は弊害にしかなっておらず、通常の裁判以上に量刑を軽くする助けにしかなっていません。少年を更生させるなということではなく、更生を名目にして量刑を軽減することが是なのか、非なのか、それを論じなければいけないところでしょう。
被害者遺族にとって、犯人にどういう感情を抱くかは千差万別です。民主党のネクスト内閣の法務相だそうですが、この人物に任せると、また死刑を執行しない期間が日本には生まれてしまいそうです。少なくとも、法律を語るには資格不足なのだと私には感じられましたね。

analyst_zaiya777 at 22:38|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 政治

2007年07月03日

久間防衛相が引責辞任

久間防衛相が今日昼過ぎに突然辞任を発表しました。参院選を一ヵ月後に控えてまさか、という想いはありましたが、幕引きを必要とする理由が何かしら存在したのでしょう。今のところ、関係者の発言の裏から推測するしかありませんが、公明党から参院選の選挙協力を断る意向が、昨晩の時点で自民党側に伝えられた。久間氏がいては選挙が戦えない、と。
これを受けて、近い関係にある青木参院幹事長が今日になって久間氏を説得、内閣としても昨日の『厳重注意』でも国民の熱が冷めないことから、早めの処置をとることに決定し、小池補佐官の防衛大臣就任の方向で動いていたものだと思います。久間氏が「参院選で色々と困るところが…」と述べているところからも、公明党と参院選の関係が重視されたのだと考えられます。

久間氏は国防族として、石破元防衛長官からも一目おかれていた存在です。ただ久間氏は沖縄基地の移転問題でも地元との調整に精彩を欠き、またイラクを巡る発言では米国を怒らせるようなことをしています。閣僚になるということは閣議決定に従わねばならないのですが、小泉氏の発言では誤った認識を示して問題となっています。
つまり大臣としての資質に当初から問題があったわけです。この時、罷免か引責辞任かで、国民に与える印象は大きく異なります。辞任はあくまで自ら辞めることですから、主体性は辞める人間の側にあります。慰留する、しないの問題はありますが、常に強い態度でリーダーシップを語ってきた安倍氏が、この問題で腰が引けているとの印象も与えるでしょう。

更迭、罷免という手法を用いればそこに任命権者として、強い姿勢を示すことが出来ます。ただ、任命権者が自ら選んだ人物を自ら辞めさせる訳ですから、最初にその人物を選任したことそのものが誤りである、という印象も与えます。特に就任から約9ヶ月でのことなので、罷免が与える印象も相当悪くなるでしょう。ただ自らの態度の一貫性だけは保てることになります。その点に踏み込まなかったのは、やはりマイナスと受け止められるのでしょうね。
本間税調会長から数えて、佐田前行革担当相、松岡前農相に続いて4人目の不祥事であり、安倍内閣は死に体とも言われるようになりました。当初、人事面の冴えがないと安倍内閣を評したこともありますが、長勢法相も登記の問題を抱えていますし、3人の政務次官が法人から日当名目の賞与を貰っていたりと、これほどの問題を抱えては、予想した通りに内閣総辞職の流れが参院選後に本格化するのでしょうね。

私は参院選後、例え民主党が参院で多数党になっても、政権は自民党が握るべきと考えています。首班指名が衆院で決するから、というのではなく、世界が変革するこの時代には衆院の多数党が政権を握るべきであり、政策の停滞が起これば日本が危険だからです。年金を初めとする社会保障、大きな権力をもつ官僚制度にメスを入れることなど、日本が抱える問題は山積みなのですから。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2007年07月02日

経済の話。4−6月期日銀短観

今日発表された4-6月期の日銀短観、大企業製造業の業況判断指数は+23と前回と同じで、予測値とも同じでした。先行きは+22と若干悪化、非製造業も+22と前回と同じ、中小企業は製造業で+6と2ポイント悪化、非製造業は+7と1ポイントの悪化です。
これは日銀が企業経営者にアンケートを行い、良いと答えた企業から悪いと答えた企業を引くことで算出されます。大企業は底堅く推移、中小企業は相変わらず苦しい状態であることが、この数値でも確認されました。設備投資は製造業で11.2%、全体でも7.7%と堅調な伸びです。ただ予想値であった9%台に届かず、この点が今日の相場でも重しになったようです。

昨今、参議院選挙と絡めて市場が語られることも多いですが、安倍内閣の支持率低下を受けても、市場は驚くほどに堅調です。現在の市場では、政策リスクは過少にしか評価されない、ということがこれでも分かりますが、市場参加者が変化し、日本は国内要因よりも世界経済との連動性を高めているので、国内の事情にはあまり影響されないのですね。
先に日経平均が7年ぶりの高値を取った後、米国のサブプライムローンの影響が出て、市場は一旦弱含みました。今回の上昇にしてもそうですが、上昇の初期段階から小型株が物色されるなど、本来は上昇の最終局面で現れる現象が最初から表れてしまう、今の相場は非常に弱い面が見受けられます。特に日経平均先物による振り回しもありますし、物色の柱がないのが脆さにもつながっているのでしょうね。

そのことに関連し、原発関連が物色対象として盛んに喧伝されますが、違和感があるのはウラン鉱石も無限ではないことです。今から原発建設の契約をしても、運転にこぎつけるまで最低でも5年は必要で、国情が異なるので一概には言えませんが、長いものでは10年近くの年月が、商業運転を実施するまでにはかかります。
その頃、ウラン燃料がどの程度高騰しているのかにもよりますが、採算性の問題が発生すると考えられます。騒がれるほど、世界が原発を作り続けられる状況にはない、ということです。新興国など、建設費と燃料の調達費を賄えない可能性も出てきますし、安全性を担保できない確率も高まります。チェルノブイリの二の舞が起こるとは想定し難いですが、甘い管理の国が原発を保有することの危険性を、もう少し認識すべきところでしょう。

経済全体を俯瞰してみると、踊り場的であり、底も固いという印象です。ただ底を抜く条件が諸外国に握られている、というのが日本経済の脆さを象徴しています。米国でも今回の上昇局面の中で、上昇銘柄より下落銘柄の方が多い、という矛盾が起こっていますし、上値余地が限られているとの観測もあります。諸外国が弱含む時ほど、日本の内需を育てる施策が求められています。参院選でそれどころではないかもしれませんが、経済成長を促す公約もまた、必要なところなのだと思います。

analyst_zaiya777 at 22:48|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 |