2007年09月

2007年09月30日

国会は明日から正常化されるか?

明日は本会議で福田首相による所信表明演説が行われ、空転を続けた国会がやっと正常化されます。どうやら福田政権は安倍政権の失敗をよく勉強しており、ぶら下がり取材にも素直に応じ、記者たちから好感されているようです。また官邸の下に幾つもの会を立ち上げ、官僚と対立する姿勢を示したことにも見直しが入り、今後は官僚との調整型の政治を模索する方針を示しています。

安倍氏には若くしてリーダーについた、その自負と気概が強いリーダーを臨む姿勢に繋がり、それが結果的に周囲からの離反を招きました。メディアの袋叩き、官僚からの情報のリークにはそうした側面が強く現れています。最終的にはメディアや官僚からも見下され、官邸の指示に従わない官僚、首相に対して厳しい追求をする若手記者など、政権終盤には末期症状すら呈しており、いつ解散があっても可笑しくない状態が続いていたのです。
福田氏が調整型、というのは強ち間違いではないのでしょう。ここまでの動きを見れば、メディアに対しても、また官僚に対しても局面の捌き方は上手くいっています。それが功を奏し、メディアからも概ね好感する報道がなされ、支持率も高い状態となりましたが、これから国会が始まることで愈々本番を迎えます。参院逆転の国会をどう捌くのか、今度の国会は面白いことになりそうです。

そこで民主党ですが、参院先議を盾に法案ラッシュの戦術をとるようです。話し合いによる与党が野党案を丸呑みする、いわゆるクリンチ戦術をとる福田氏にとっても、先に法案を提出されることで、自民党が受け側に立つことが国民から弱さと見られることが懸念としてあるでしょう。
抱き込む前に法案が世間の耳目に晒され、民主党が政権政党としての価値を上げる、それが自民党にとって最も警戒しているところでしょう。残り一ヶ月の臨時国会で、本当にそれだけの法案を捌き切れるかは分かりませんが、法案の中身を国民が知り、どう判断するかは解散を控えてより重要となるでしょう。

例えばテロ特措法でも、民主党の抵抗により情報が出てきました。これは野党の成果であり、今までのように単純に延長されているだけでは、給油された燃料を受けた艦船が、イラクに向かっていたことなども分からなかったでしょう。
国民がこの活動に賛同を示したのは、与党のメディア戦略の勝利というべきですが、国会承認も経ない軍隊活動が自民党の新法によって認められれば、今回のような情報も永久に国民の目に晒されない、そうした問題も生まれます。文民統制という言葉もありますが、チェック機能の働かない組織に腐敗や膿が溜まることだけは、今の社保庁や独立行政法人などを見ても明白であり、軍隊といえど隠蔽体質にだけは陥るべきではないと考えています。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2007年09月29日

金融商品取引法が明日から施行

明日から、実質的には10月1日から金融商品取引法が施行されます。これまで分かれていた金融商品を規制する法律に対し、統合された形が今回の金融商品取引法です。また個人向けにはその金融商品の仕組みや、リスクの説明が各金融機関に義務付けられ、個人がリスクを理解せず損失を蒙った場合などに訴訟が起こし易くなるなど、個人投資家にとってメリットのあるものです。
ただ一つの金融商品を買うのに、延々と説明を聞かなければならないこと、またそれだけ説明を聞いても複雑化した商品を個人が理解できない場合があるなど、今回の法律でどの程度の実効性があるのか?は不透明な部分もあります。また企業には日本版SOX法として知られ、情報公開や内部統制などの面で影響がある、そんな法律となっています。

本来は規制緩和の段階で、こうした法律の整備は不可避な状況でした。例えばその間にライブドア問題が発生し、企業の決算に対して懐疑的な視線が向けられるようになりました。新興市場の低迷は、一つに監査の厳格化が進んだことがありますが、むしろ企業に甘い監査で業績を開示させ、それを取り締まることも出来なかった法の抜け道もあったのです。
また先の平成電電など、不透明な運営が個人に多大な被害を与えた問題もあります。設備投資の資金を集め、運用費で還元するというビジネスシステムは分かり難く、一般投資家がその危険性を認識しない状態も起こりました。また外為などでは、証拠金を預かった状態で破産し、その資金を一般投資家が取り戻せなくなるなど、企業としての責任が果たせない状況も生まれました。

個人を守る意図は、この法律ではっきりと明記されています。ただリスクをとって運用する投資家と、リスクを極力抑える一般投資家と、それをリスク説明、管理の仕方でどう区別をつけていくのか?結果的に、個人は投資リターンの極端に低い、そうした投資ばかりを奨められる、そんなことになるだけなのかもしれません。
また悪徳業者はいつの時代も跋扈するものであり、監視の目は個人も持たなければならない、そうした部分は従来と変わりないところです。各金融機関ではこの法律に適応するために、会議や勉強会などを進めてきましたが、末端の人間にまではまだ浸透していると思えない点もあります。

金融商品に手を出す人間は、常にリスクとリターンの狭間で決断を迫られます。その判断の一助に、今回の法律が寄与するようだと、これは有用なものとなるでしょう。公平性、透明性が求められる市場で、今まで置き去りにしてきた法の不備が、今回で整備されることは確かです。ただ緩みきった部分の引き締めだけに、例えば投信などの金融商品で解約騒動や、新規契約が減ることなどがなければ良いのですけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2007年09月28日

雑感、政治とカネなど。

ミャンマー軍事政権に対するデモが今日もまだ続いています。日本政府の腰が重いことが気になりますが、、軍事政権成立後にいち早く政権樹立を認めたことでも分かる通り、日本はこの地域に及び腰の外交を続けています。今が話し合いによる解決を求める段階なのかは、日本人ジャーナリストが狙い撃ちされたとされる中で、あまりに遅い動きであるといえるでしょう。

正義とは人々の上にあります。歴史の記述が国家から民間へと移った時点で、現状の対応が如何に人々の幸福に寄与したのか、それが歴史の正義です。時の政権であろうと、未来において勝者となるかは現時点で全く不透明なのです。外交上、日本が気をつけなければならないのは、時の権力者に気を使うのではなく、人々の正義の実現のために何が出来るのか、です。
それが成功すれば、やがて歴史と人々に支持され、国としても友好的に接することが可能となるでしょう。住民に向けられた銃口はやがて権力者に跳ね返るものです。中国の天安門事件の時にも感じましたが、投石や木の棒で立ち向かう民衆に近代兵器で立ち向かう、そんな軍がいる国はいずれ歴史の敗者となるのです。日本が今はどちらに与するべきか、軍事政権に近い中国なのか、経済制裁をかける欧米諸国なのか、もう一度考えてしっかりと対応して欲しいと思います。

政治とカネの問題が後を絶ちません。福田氏の領収書あて名書き換えがありましたが、あて名を変えられた領収書など紙くず同然であり、何の価値もありません。また伊吹氏が累積赤字を抱えていた企業から献金を受けていた事例もありました。一方で民主党の加藤氏も多額の献金を受けていた、とメディアで伝わっています。
一連の流れを見ると、自民党側は「知らなかったので、献金を返す」という説明に終始し、民主党側は額ややり方には首を傾げる部分があっても、法的には問題ないように済ませているようです。しかしどちらにしても、政治資金規正法に罰則がなく、問題があったら返すという甘い態度でいる限り、こうした問題は一向に解決しません。返すだけでなく、同額から数倍の額を罰金として国庫に納める、というような懲罰的なものが必要でしょう。

もう一つ、鳩山法相の「乱数表で死刑執行」発言ですが、大臣が署名することにより死刑、という重大な問題に国民は納得できるのです。恐らく心情的な問題として、躊躇いや戸惑いはあるのでしょうが、それが法相就任を引き受けた責務です。司法と行政が何のために別れ、幾つかの判断を経てでないと死刑が執行されないのか、もう一度問い直すべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2007年09月27日

経済の話。戻り始めた資金

まず渡海文科相と石破防衛相の政治とカネの問題がありましたが、各政治家は自分の弱点を知り、政治資金収支報告書を修正するタイミングを模索しており、閣僚になってメディアから精査される前に、こうして修正を行っているのでしょう。先の松岡氏も就任と同時に訂正を行っており、こうした動きは常態化しつつあるようです。福田首相がこの二名に説明責任を求めていますが、鴨下環境相の名無し領収書の問題に対しても、しっかりと説明責任を果たして欲しいところです。

日経平均が400円近い上昇となり、上値抵抗線を次々と破る強い展開を示しました。先物優位の展開で、これまで売られていた内需関連の買戻しの一環として、米系の動きの活発化が今回の下地にあります。米で流れ始めた究極の楽観論、これにより信用市場に資金が戻り始め、それが流動性を取り戻す結果になったこと、そのことから地域別で買い越しを続けていた米系が、ドレッシング買いと換金売りの狭間で先物大量買いで相場を支えたのでしょう。
イスラムはラマダン前であり、売りも買いも資金は細ります。欧州系の売りが細れば買い方優位になり、資金量の豊富な米系が買い上がるという構図が出来つつあるようです。郵政民営化先回り買い、年金基金買い、投信買い、いずれにしろ先物で支配されているので、先物次第でどうとでもなる展開が今後も続くのかもしれません。

今の経済は競馬に例えられます。第4コーナーを回り、直線に向かったところで、これまで前のめりになっていた馬(金融)の手綱を締めていた騎手(FRB)が、手綱を緩めて馬にムチを入れ始めました。つまり官民が揃って金融バブルを助長し、サブプライムという坂を駆け上ろうとしているのです。
このレースにゴールは見えず、いつ疲れ(インフレ)が溜まって足が疲労骨折を起こすのか、それとも対抗馬(実体経済への影響)に抜かれ、失速することになるのかは誰にも分かりません。ただ馬も騎手もまだ行ける、との感触で後は必死に突っ走るのみです。それが米国の「悪材料は好材料」とする極端な楽観論の背景であり、全ての市場を上昇させるパワーとなっています。

FOMCで利下げが行われ、日本の証券市場の水準調整もしなければなりませんが、実はずっと悩んできました。金融バブルが日本に到来するのはいつか、次にどんな要件でそれが去るのか、不透明な部分が多いからです。米国証券市場は実体を反映しきれておらず、ムチが入れられるままに突っ走っています。では日本はどの程度か?かなり厳しい予想です。
当面、16300〜17300がFRB利下げ後の水準ということになるのかもしれません。今日の上昇は一過性ですが、米国の動き次第では上にも下にも大きく振られる、裁定ではない先物売買によって日本もどういう動きを示すのか分からない、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:42|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2007年09月26日

福田内閣の経済政策は?

福田内閣が始動しましたが、緊急世論調査では概ね50%を越える数値となったようです。「首相の安定感」がその理由のトップに来たのは、安倍氏の辞任の仕方が国民にも異様に映ったからでしょう。元々、不人気内閣の次は大抵、ご祝儀で支持率が高いものですが、福田カラーは見えないとも言われますし、正当な評価が出てくるのはこれからの政権運営にかかっているのでしょう。

そんな中、私が注目しているのはやはり経済政策です。自民党総裁選からここまで、その具体的な提案は何一つないといっても良いでしょうが、幾つか推測できる材料も出てきました。今回の組閣で与謝野氏は外れましたが、財務省と繋がりの深い人物が党4役にも入りましたので、これは消費税増税シフトと見られています。
小泉時代は竹中路線の中、規制緩和に注力したことは確かです。その芽が出て政権終盤は外国人買いに支えられ、市場は上昇しました。安倍時代は規制緩和が引き起こした問題点の修正に追われ、錦の御旗には『成長』を掲げて、産業界を優先させる政策をとってきました。

福田内閣では大田経済担当相が再任されましたし、一先ず成長重視路線を継承するようです。更に渡辺金融担当相が金融・資本市場の競争力強化プランの策定を目指していますが、市場ではすでに構造改革路線は停滞と見る向きが多く、マイナスの影響を算定する所も出てきました。
日本は超低金利のため海外からの投資が呼び込めませんが、輸出企業が稼いでそれが内需に波及する、という理屈を各金融機関が使い続けてきて、もう海外勢から呆れられている、というのが現状です。内需が成長し、金利が上がって円高となり、海外勢が利益を得るというシナリオはもう描けなくなっています。この内閣の描く成長が、相変わらず大企業優遇というばかりでは、海外からの日本の見方は更に厳しくなって行くことでしょう。

福田氏は自ら「背水の陣」内閣と命名したそうですが、これは自民党の問題であって日本がどうかということではありません。このキャッチフレーズでは日本全体が危険なのか?という誤ったイメージを海外に発信する危険があります。レームダックだろうと、崖っぷちだろうと、国を代表する内閣は諸外国と対するという重要な仕事があり、自虐的とも感じられるこうした命名をするものではありません。
危機感は内にあって、体外的には堂々とした態度で接する、というのが外交の基本なのです。討論で麻生氏に指摘されたように、福田氏に『自虐的』のイメージが付き纏うと、結局支持率は下り坂になります。高村外相が国連に向かいましたが、きちんと日本の主張をする、そうした演説をしてきて欲しいものです。

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2007年09月25日

福田政権の組閣

福田氏が衆院で内閣総理大臣に選出され、参院で選出された民主党・小沢氏を両院協議会後の衆院優先の原則により正式に就任し、福田政権が発足しました。大臣はほぼ第二次安倍政権のメンバーが再任され、町村氏が官房長官に、高村氏が外務大臣に横滑りし、石破氏が防衛相に、渡海氏が文科相とこの二人が新規任用組となります。

今回は国会会期中であり、異常事態ということもあって横滑りが多いとは言いながら、鳩山法相、甘利経産相の横滑りを麻生氏側が強く押し込んだり、山崎派からの採用で農相ポストか、文科相ポストかで山崎氏の意向を汲んだり、裏では虚虚実実の駆け引きがあったようです。
お友達内閣とは言われながら、あくまで官邸からの指名に拘った安倍政権とはガラリと様相を変え、派閥との調整型の人選に終始したように見えます。これが挙党体制だとすれば、少し異なる動きが裏では出てきそうです。それは自民党が最も恐れるシナリオなのかもしれません。

若林農相が早くも民主党の農家の戸別所得補償法案について関心を示しています。民主党との『話し合い』を標榜したのですから、妥協点を模索するのは当然としても、自民党の視線が民主党だけに向かっていると、連立与党の公明党が連立離脱と民主党との提携を発表する可能性があります。
参院で多数となった民主党は、創価学会の池田大作氏への証人喚問という札を持っています。衆院解散の流れが不可避になったとき、公明党が自民党に引導を渡し、それを手土産にその後の民主党主導の連立政権に参画する、というシナリオは現実問題として近くなっています。公明党離脱となれば自民党の選挙戦は間違いなく敗北するでしょう。衆参両院で自民党が少数政党に陥落すれば、証人喚問の恐怖は当分拭い去れることになるので、今度の解散というカードは政界再編を伴うものとなるのかもしれません。

昨日、安倍氏の容態を記載したところTBを頂きました。一言だけ述べたいのは、日本では『耐え忍ぶこと』を美徳として、精神疾患を患ったことを殊更恥ずかしいとして症状を隠し、平静を装って無理をしたりします。しかし本来、周囲の理解やサポートが最も重要なこの精神疾患という病は、対応が遅れたり、周囲の無自覚が続けばそれだけ回復が遅れる病だということも事実です。
むしろ政治の世界がこの病の認知を広めて、偏見などを取り去るように務めるべき場面でしょう。ストレス性の胃炎ですし、睡眠不足もあるようですから、私などから見れば薬の投与は遅すぎるところです。政治生命を決めるのは本人の判断か、有権者の票です。正確な情報が与えられ、それでも続けて欲しいと思えるほどの魅力を身につけた人が、政治の舞台に立てると私は考えています。どういう治療を行っているかはもっと積極的に公開していただきたい、そう考えています。

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2007年09月24日

自民党4役が決まる

安倍氏が今日、辞任後初の謝罪会見を行いました。舌が絡むような、かったるい喋り方だったのは、もしかしたら栄養剤に混じって抗ウツ剤も服用されているのかもしれません。
政治の世界は保守的で、病気を伏せたり、精神を患っていることを殊更隠そうとします。しかし正しい情報が与えられないと有権者は判断を誤ることにもなり、それは結果的に国の向かう道を誤らせることになります。昨今、一般社会でも広がるそうした病を政治家が発症しても、決して不思議なことではないのですから、もっと情報公開に務めるべきでしょう。政治家を続けたいとも述べていましたが、ただ自民党の解散の仕方によっては、安倍氏も厳しい戦いにはなるのでしょうね。

自民党4役が決まりました。3役から選挙対策委員長が新たに格上げされ、4役となってそこに領袖クラスが納まりました。伊吹幹事長、二階総務会長、谷垣政調会長、そして古賀選対委員長です。党内のまとめ役として、ずらりと顔を並べた訳であり、国民ウケは悪い布陣です。
福田政権は選挙対策内閣ではなく、選挙回避内閣ですから、国民に向けたアピールは少なくて良いのかもしれません。ただ国民が支持しないと、メディアも現政権を悪役に仕立てて攻撃を仕掛けますから、結果的に選挙に持ち込まれてしまうことにも繋がります。総裁選論功行賞人事となるかは、明日の閣僚人事に掛かってきますが、留任組みが多いとはいえ、空いたポストに誰が納まるかによっては、メディアから相当批判の声が高まることは間違いありません。

小泉内閣は『小さな政府』を目指すとして、その実現前から事後対応を容認して官僚を喜ばせました。安倍内閣は『官邸主導』を目指して幾つもの会議を官邸の下に立ち上げましたが、結果として官僚から離反を受けました。では福田氏はどの道を選ぶのかということですが、政策論争段階から推測するに、どうやらより官僚に近い位置に軸足を置きそうです。
官僚の良い点は非常に調整力があるところですが、党の体面を保っていては難しい調整も、官僚なら行えます。曖昧な文言で骨抜きにしたり、両者の主張を取り入れるなど、造作もなくやってのけるからです。ただそこに頼ると、それは国民のための政策ではなくなります。

自民党が民主党に対して『寛容』なのか、『媚』なのかは、外部からと内部からで相当に見方が違ってくるでしょう。「話し合い」と繰り返した福田氏が、どのようにその調整を行うか?官僚に頼るのか、民主党案を丸呑みするのかで、相当に自民党内に不満も溜まるでしょう。それを党4役の顔で押さえつけるのだとすれば、自民党は再び党を割る可能性もあると考えています。

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2007年09月23日

福田氏が自民党総裁選で勝利

自民党総裁選は330-197で福田氏が勝利し、25日に予定されている首班指名で第91代内閣総理大臣に選出される見込みです。地方票でも76-65と麻生氏の善戦が目立ちましたが、脱派閥組が相当に出たことも、最終局面で党内にも揺り戻しの動きがかかったものとみられます。
最近の自民党総裁選では、有力とされた候補が極端に政策発言を抑え、波風が立たないように務めます。それは余計な風を吹かせて選挙を混乱させないため、という理屈は分かりますが、それは守勢の考え方であり、一国の総理を選ぶ選挙でまともな政策論争がない、その現状がこのままで良いとはとても思えません。

一つに自民党議員の中にある、強者に乗る流れが流動性を低め、票読みの段階から趨勢を決している現状があります。国政に携わる政治家は地方議会の統率者であり、県連の代表を務めてもいます。県連の代表が強者に乗れば、県は自然と強者に纏まる方向になり、総取り方式では県の票全体が強者に集まることにもなります。これではまともな選挙と呼ぶのに相応しくない方式です。
これが自民党内だけで留まる話であれば、それでも良いでしょう。しかし日本の首相を決める選挙であれば、少なくとも選挙前日までは各政治家が特定候補への支持などを表明すべきでないでしょう。そうすれば、各候補とも政策で党員を惹きつけるしかなく、もっと選挙戦が有用なものとなるはずです。これらは党規で解決できる話であり、結局勝ち馬に乗るような輩ばかりとなると、自民党自体の魅力も薄れるということを知るべきでしょう。

麻生氏クーデター説があるようですが、その詳細は分かりませんが、禅譲を狙っていた麻生氏があえて積極的な行動に出る可能性は皆無です。かつて私は『安倍氏によるささやかな復讐』という話をしましたが、これは安倍氏側の感情であり、麻生氏は臨時国会終盤まで安倍氏を支える覚悟でいたはずです。辞任の決断を覆せなかった幹事長としての責任はありますが、麻生氏だけに罪を押し付けた辺りに、清和会系の候補で纏めたいとする、強固な意志が働いたものがそうした説になったのでしょう。
福田氏には正直、危険な匂いもしています。官房長官時代、小泉人気に隠れてあまり取り沙汰されませんでしたが、かなり危険な発言も行っています。調整型とも言われますし、温厚な性格とも見られがちですが、本当は頑固で依怙地とも言われます。急所をつかれた質問の時の応答で、早口になったり、感情的になったりすることも、首相の質としては少し心許ないものも感じます。

特にメディア戦略上、今はぶら下がり取材で生の声を届けることが、首相の責務となっています。記者の質問に耐えられるのか?福田氏が仮面を被り続けられるのか?は、取り巻きにどれだけ優秀な人材をそろえられるのか、ということにもかかってくるのでしょうね。

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2007年09月22日

対北朝鮮政策はどうなるのか?

明日は自民党総裁選ですが、その前に福田氏擁立に動いた山崎氏が『予言』と称し、「来年の今頃までには北朝鮮と国交正常化している」と述べたことが、非常に気懸かりに感じられます。北朝鮮との太いパイプをもつ山崎氏ですし、意見が北朝鮮よりになることはある程度想定できますが、国交正常化までを持ち出すと、更なる何らかの密約もそこに含まれているのかどうか、です。

米国は親中路線に傾斜し、対北に関してもかなり融和策を打ち出しています。今月中に六カ国協議が開催されれば、重油5万tの支援を約束するなど条件達成と支援がワンセットとなり、その一つ一つの道程にご褒美が付加されています。米大統領の引退までに北朝鮮問題に何らかの道筋をつける、それが現在の米国の対北戦略だからです。
一方で、北朝鮮のシリアへの核技術の供与、核開発支援の話が持ち上がり、米国でも対北政策でこのまま緩和で良いのか、という議論も沸きあがるでしょう。イラン核開発に最大限の拒否を示していたのは、イスラム勢力に核技術を握られると、今後の中東戦略が描き難くなる、そうした思惑からですが、そこに遠くアジアの北朝鮮が絡んでくるとなると、話が違ってくるからです。

フランスが対イランで最近強硬な発言を繰り返しているのは、現状の米ブッシュ大統領にもはや軍を動かす余力はなく、また英国もブラウン政権の動向がまだ不安定なところもあって、世界を裏で動かす力、とまではいえなくても、協調的に警戒を示しておかなければならない、先進国の都合が強く働いているはずです。
そこにシリアが絡み、北朝鮮と中東の核との関係で、結果的に世界戦略上の『核技術の容易な移転』という問題を、今回改めて認識された形です。世界のどこかにある技術は、やがて全ての人間が手に入れることになる。それが遅いか、早いかだけで隠しておける技術などないのですから、北朝鮮が核技術を握っている以上、そして常に経済的に困窮している以上、その技術の流出を防ぐ手立ては現状ないとも言えます。そこに先進国がどう道筋をつけるのか、非常に厳しい対応を迫られるでしょう。

そこで日本ですが、山崎氏の発言の裏に米国の動きがあると見られます。米国は大統領交代まで、北朝鮮と国交正常化交渉で何らかの妥協点を得るとの、確かな感触を掴んでいるのでしょう。日本にもそれに追随するように、米国から圧力がかかることも推測されます。
ただ今回のシリアと北朝鮮との関係により、不透明要因も高まりました。もう一つ別の北朝鮮との国交正常化のルートも日本単体、次期政権下ではあるようですが、どちらにしろ米国の今後の動きに翻弄されることは、まず間違いないのでしょうね。

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2007年09月21日

経済の話。FOMC利下げ後の動き

米国で今月18日、FOMCが0.5%の利下げを行ってから様々な動きがありました。まず原油や金、それにその他の非鉄価格が上昇しており、資源高騰によるインフレが懸念されています。更にドル安が起こり、輸入価格の高騰などが米国でも話題に上がるようになりました。
この動きに伴い、年内の再利下げを織り込みつつありながら、債券が売られて金利は上昇するという、むしろその後の利上げを考慮し始めています。FOMCの声明文中でごっそりと抜け落ちたインフレ警戒に対し、逆に市場が今後はインフレに軸足を移した動きとなりそうです。

ここまではほぼ予想通りの動きですが、サウジアラビアがドルペッグ制を離脱するのではないか、とする思惑が働き、それがドル安を進行させているようです。ドル資産離れが加速を始めると、外貨準備として蓄えられた新興国の米国債などが、市場に出回るようになり、それが更にドル安に誘導して行くことになるのかもしれません。インフレとともに、ドルとの連動性を世界がなくすことは、米国にとって最悪のシナリオとなるでしょう。
一方で、良いニュースはABCPの金利が下がり、買い手が戻ってきたようです。これはFRBが過剰性だけでなく、流動性も担保したとの思惑も働き、信用市場に資金が戻り始めた証拠です。ただ債務担保の回復は遅れているようであり、信用市場の混乱がこのまま収束していくかについては、未だに不透明の部分も多いといえるでしょう。

そんな中で米国の大手金融機関が6-8月期の決算を発表しましたが、2勝2敗というところであり、実質的な金融機関への打撃は、まだ少ないようでもあります。これを証明するものに、8月の対日投資で欧州、アジアがマイナスであったにも関わらず、北米は若干ながらプラスを維持しました。米国ではFRBの迅速な対応で過剰性が担保されたので、投機的な資金は豊富であったということでしょう。
日本はサブプライムの問題で株価が下落した後、戻りが遅いと言われます。これは外国人投資が市場の6割を占めるのに、その外国人にとって日本が買いではない、というところが影響しています。過剰性の中でも余剰分しか日本投資に回ってこない、不測の事態が起きれば、真っ先に日本から資金を引き上げ、投資の流れが戻っても日本に向かうのは一番最後、という世界の中にある資金の循環の動きが、常に日本の回復を遅らせる原因となっています。

今後、あらゆるマーケットがインフレに敏感に反応して行くはずです。これはバブル症状の末期であり、どうやって溢れ過ぎた資金を手元に収めて緩やかな停滞の流れを作るのか、世界はこの動きに、より苦悩していくことになると考えています。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2007年09月20日

犯意について考える

事件や裁判の話で、『犯意』が事件や裁判に与える影響について考えます。神戸市の高校三年生が自殺し、その友人とされる同級生が恐喝未遂の容疑で逮捕されました。脅迫でも同様ですが、恐喝などはそれが友人関係であっても、社会通念上に照らして被害者側がそう感じるに足る、その材料がそろえば、例え加害側に犯意がなくても逮捕、起訴され、有罪になります。
この神戸市の事件の場合、金銭要求が執拗であり、また額も大きいことから、恐喝が成立することは疑いもないことです。学校側が遺書の存在を知りつつ十分な調査をしなかったのは怠慢ですが、確実に犯罪が成立しているといえるでしょう。つまり犯意があるかないかは事件が成立する上で重要視されない、ということにもなります。

滋賀で幼稚園児を送る途中、二人を刺殺した中国人妻に死刑が求刑されました。これは精神鑑定も行われ、責任能力の有無が争点になっています。犯意という観点でこれを見れば、準備から逃走まで計画されており、また被告は車も正常に運転していること、同乗していた自分の子供には手を出していないことなど、行動の中に冷静な面も見られることから、明らかに自分の子供以外を狙った犯行として、犯意は十分だったといえるでしょう。
この事件では犯意があっても、統合失調症などの心神耗弱状態が認められれば、罪は軽減されたり、無罪になったりします。事件性を論じる上で犯意はあまり重要視されない、という点では上記と同様ですが、この判断には違和感も残るでしょう。心神耗弱であっても、罪の考察という点で加害側の抱えた背景、病状ばかりを論じる、今の裁判制度全体の問題ともいえるものです。

そして広島県母子殺害事件ですが、被告の差し戻し審の発言を聞く限り、彼は一般常識を大きく外した世界で生きているだけで、責任能力は十分にあります。そして被告には犯意がなかったと弁護側は主張しているようですが、人が亡くなる状態を冷静に考えてみれば、これも一般常識で考えて、殺意をもって犯行に及んだことは明らかでしょう。
犯意とは『金を騙し取ろう』、『殺してやろう』と思う気持ちではありません。そうなれば金を奪えるかもしれない、人が死ぬかもしれない、という段階まで踏み込んでその行為に至るのか、という意志の問題です。誤って手が首に行こうと、そこに手を置き続ければ人が死ぬかもしれない、という状態でそれを続ければ、立派に犯罪は成立します。被告が死ぬとは思わなかった、と発言することは全く関係ないのです。

この広島の事件は差し戻し審では、弁護人が変わったからといって、新たな裁判を始めるような、そうした問題も発生しています。審理を尽くすことが重要なのですが、事実関係を一から始めるようだと、差し戻し審の存在自体を議論する必要もあるのでしょうね。

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2007年09月19日

経済の話。米国で政策金利を0.5%引き下げ

昨晩の米国FOMCで4年ぶりに政策誘導金利を5.25%から4.75%へ、0.5%の利下げを行いました。大方の市場予想を裏切るポジティブ・サプライズであり、それを受けて世界のマーケットは大きく上昇しています。米国がついに踏み込んだ、利下げによるリセッション対策について考えます。

今回FOMCが0.5%にまで踏み込んだのは、信用市場の混乱にはカンフル剤的に大きな引き下げをする、いわゆるショック療法が必要と判断したからでしょう。さらに英国のノーザン・ロックの取り付け騒動も、FOMCの判断に影響を与えたと推測されます。信用市場の混乱を早期に解決しなければいけない、これが至上命題となって、今回の大幅利下げは指向されたと考えられるのです。
ただ信用市場の混乱には金融商品の不信がその根にあり、金利が下がったからといってすぐに買い手が戻る訳では有りません。一つにはグローバル経済下にあり、資金を運用する場所は世界各国にあって、米国の複雑化し過ぎた金融商品をあえて買う必要は、今のところ皆無だからです。

例えばロンドン金属取引所(LME)で、ニッケル価格が5月の高値から8月の安値まで一気に2分の1に減少しましたが、再び上昇の気配を見せています。これなど実需ではなく投資資金の流入量と関係し、上下動しています。今は金融商品などの信用市場の流動性は喪失しましたが、過剰性だけは担保されており、それが資源などの形ある商品への資金流入となって、インフレ圧力を強めています。
更に円は異なる動きを示しましたが、ドル安が進行しており対ユーロでは最安値を更新しています。世界のあらゆる場所で、ドル換算で取引されるものは総じてドル安の影響を受けることにもなり、世界にある過剰性とともにインフレ圧力を強めることにもなるでしょう。

米国がスタグフレーションという、危険な水準に近付いたのは間違いありません。恐らく、それでもここで対策を打たないと、リセッションが長引くとの懸念もあったのでしょう。が、奥の手をここで使ってしまったということは、逆に言えば継続した利下げを模索するしか、今後の米国経済は下支え要因がないことにもなります。
LTCM破綻時は、3回連続の利下げ後に利上げに転じましたが、今回はそうならない可能性も強くなりました。今回の利下げで、膨れ上がった金融市場の資金が向かう先、それを見極めてインフレ警戒をしていくなどの、FRBが世界経済に責任を持たない可能性もあるからです。米国ではインフレ症状でしばらく安泰なのでしょうが、その後の世界経済がどうなるかは、不透明になってきたのだと思いますね。

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2007年09月18日

自民党総裁の決め方について

まず舛添氏が年金問題で某番組に出演した民主党の長妻氏の発言に対し、欠席裁判と述べた件について、少し違和感をもちました。大臣は単独でメディアにも出演し、野党の政策や発言を批判できるのに、野党がそれをすると政治的公平を主張する点についてです。

番組の都合上、与野党の議論ではなくそれが政権側のみの意見であったり、野党の意見のみであったりしても、これは仕方のないことであり、別の日に反対側の意見を取り上げれば良いだけの話です。メディアに与野党一方だけの議員が出演し、他党の批判をしたら欠席裁判になるとすると、正常な批判が行えなくなりまし、特に大臣発言や政策については、政策実現力があるだけに常に批判に晒される宿命をもちます。
私はその番組を見ていませんが、政権側が政治的公平と訴えるのであれば、厳然と存在する政策実現力という力の差をどう考え、公平と捉えるのか?それを明らかにすることが重要でしょう。本来、政権担当側の方がメディアの露出が高い傾向があり、それがこの年金問題で逆転しているのは、どちらが国民の心を掴んでいるかの違いであることを、与党はもう少し考えるべきでしょうね。

福田氏と麻生氏の自民党総裁選はすでに出来レースであり、党内では脱派閥を何人出して麻生氏に票をいれ、体面を整えるのかに頭を悩ましているところでしょう。反麻生の流れが党執行部に反対し、投票日を23日にずらしたとのことですが、演説に立てばパフォーマーである麻生氏の方が有利であり、事実民衆は麻生氏の弁舌に軍配を上げているようです。
ただ麻生氏は舌禍とも云われますが、今の自民党は失点により衆院の早期解散に追い込まれた場合、大敗の公算が強くなるため、ここは失点の少なそうな調整型の福田氏を推したいというのが実情でしょう。安倍氏が失敗したことで、自民党総裁は選挙の顔としてではなく、選挙に陥らないような人選ということなのかもしれません。

ただ政策面でこの二人にほとんど違いが見られないのは、安倍辞任劇が突然すぎたため、大枠の自民党内の動きに沿う形でしか、政策を訴えるしか手がないからです。独自性は臨時国会後にあり、その意味でも両者の違いを見出し難くなっています。本来は外交面など、その主張には大きな隔たりがありますが、揺り戻しの動きの中で、戦略的に自民党がその違いを覆い隠してしまっているようにすら感じられます。
世論が福田氏支持に傾いた、という流れに私は一番驚きましたが、政治とメディアの動きに惑わされているだけにも感じられます。必要な政策議論、国家像議論によって日本のトップが決められる、そんな国であって欲しいと私は考えています。

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2007年09月17日

雑感、海外で気になった動きを少し

アジア開発銀行(ADB)がアジア太平洋地域の経済成長見通しを、7.6%から8.3%に上方修正しました。サブプライム問題の懸念は残るものの、アジア経済は堅調と考えているようです。これに日本は含まれていませんが、先進国からの投資が新興国に流れる限り、アジア新興国の成長は止まらないでしょう。

海外で、少し前にカザフスタンのカシャガン油田が、サハリン2と同じ環境問題で工事停止となりました。日本の一部企業も権益があり、資源国による判断の影響を再び受けることになっています。再び資源権益の面で日本が後退してしまったわけですが、自由と繁栄の弧の戦略地域であり、日本政府はこの旧共産圏の対応について、根底から見直す必要もあるでしょう。
何度か述べているように、中東には日本びいきの側面があり、それが原油利権面でも有利に働く場合があります。しかし旧共産圏ではそれが通用せず、相手国が利権拡大に動いたときに抑制する力もありません。サハリン2はそれでも買取の形をロシア政府が選択したので、損失自体は大きくなりませんでした。今後、旧共産圏で資源獲得で同じような流れになった時、自由と繁栄の弧では少し心許ないものとなるでしょう。

英国のノーザン・ロック銀行が英中銀からの救済融資を受けると発表し、預金流出が起きています。先ごろ豪国のマッコーリー銀行が4-9月期の決算見通しを発表し、過去最高益となる予想となったことで、安心感が出ていた矢先です。サブプライムの影響は今後の方が大きく響くことになるのですが、欧州では銀行系とヘッジファンドの距離が近いため、どうしても影響が早く出るのでしょう。
そんな中、前FRB議長であるグリーンスパン氏の回顧録やインタビューが、話題に上がっています。当たり前のことを、当たり前に述べているようですが、逆に金融関係者からは意外感をもって受け止められています。果てはブッシュ政権の批判まで、かつて金融当局のトップを勤めていた人物とは思えないほどの、口の軽さというべきでしょう。

米国ではリセッションの可能性は3分の1をやや上回るにしろ、政策誘導金利を二桁にする必要があるにしろ、グリーンスパン氏の発言は、米国にある期待を根底から覆す内容です。逆に動き難くなったバーナンキ氏に援護射撃をしている、とする見方もありますが、今後もグリーンスパン氏の言動に、米国の市場は振り回されることになるのかもしれませんね。

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2007年09月16日

日本の証券市場について考える

10月にワシントンで開かれるG7(主要七カ国財務相・中央銀行総裁会議)が、近年にない注目を浴びています。サブプライム問題に端を発する信用市場の混乱に、金融当局者がどのように取り組むのか?世界が今後の経済の行方を見極めるうえで、重要な会議ともいえるでしょう。
米国では銀行などがコンデュイットと呼ばれる機関をつくり、銀行本体の決算と切り離した状態で資金運営を行うため、決算が正当に評価し難くなっていると言われる中で、来週から金融機関の決算発表があります。実体経済への影響と、金融機関の実態がどう関連するのかを読み解く上で、表出する数字のみではなくその裏側までを読み解く必要がある、そんな決算です。

日本では証券市場の個人投資家離れが目立っています。年末には証券税制の議論もありますが、日本では証券投資を行うのは『金持ち』との意識が強く、そのため高額所得者の議論と混ぜられることもあります。しかし外国人投資家が市場の6割を占める、そんな国の税議論として、金持ちの行うものだから税が軽いのはけしからん、というだけの議論では、この国に自立の道はありません。
一部に団塊の世代の大量退職が、証券投資を行うとするものもありますが、これも本質ではありません。なぜなら日本人の意識には、少子高齢化で国内経済は衰退するとの意識が根強く、投資を行おうとする人間に国内経済を買い上げようとする気概は、全く見受けられないからです。

2000年代に入り、ネット証券に個人投資家が続々と参入した時代から、証券投資は確実に変わりました。これは手軽にできる金儲けの手法、それが宣伝広告であり、証券とは何かの議論が抜け落ちていたからです。このため今の個人投資家はよりレバレッジのきくFXや、成長が見込める新興国ファンドなどに流れ、国内証券市場に投資する投資家はその数を減らして行きました。
経済を最も映す鏡は証券市場、という意識は今の米国でもそんな見方は少なくなっています。投資がヘッジファンドであったり、仕手筋の豊富な資金量をもって動かされている以上、今の米国のように期待という名の思惑に支配され、結果的に個人を遠ざけることになっているからです。

日本に必要なことは、G7でもヘッジファンド規制などが議論されるはずですが、市場の正常化を行う中で一般投資家を呼び込む、そんな対策も必要でしょう。昨年も述べましたが、売買資金により課税割合を変更するような、そんな対策も必要なのかもしれません。法人税減税を議論する前に、個人をどう生かすのかを議論することもまた必要なことだと思います。

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2007年09月15日

自民党総裁選を少しだけ皮肉ります。

自民党総裁選で立候補が締め切られ、福田氏と麻生氏の一騎打ちに決まりました。ただ党内の派閥はすでに福田氏支持で統一されており、無党派層と地方、それに派閥の離脱組みが麻生氏につく程度では、帰趨の見えた出来レース症状となっています。
小泉時代は派閥で小泉路線を否定しても、その中で身体検査に通過した者には閣僚ポストが用意されましたが、安倍時代になり、お友達内閣とも揶揄されたように、総裁選の功労的人事が定着しました。このため、閣僚ポストの綱引き合戦に派閥が敗北すると、ほぼ閣僚就任の道は閉ざされることになり、勝ち馬に乗るしかないことになりました。派閥が力を失い、閣僚ポストが官邸の恣意によって左右されるのであれば、これは当然の流れともいえるでしょう。

小泉時代の負の遺産、という言葉を私はよく使いますが、これらもそうしたものの一つです。小泉時代は派閥に多少なりとも力があり、抵抗勢力としても迫力がありました。ですが派閥が力を失い、官邸に擦り寄るようになると、結局官邸を軸とした勢力構造が出来上がります。
その頂点に強力な指導力がある人物が立つか、調整能力に長けた人物が立てば、まだ中央集権体制とも呼べますが、実際には政治家の質は旧態依然としたままであり、政治という邑でお山の大将を決めるだけでしかありません。自民党総裁選が国民の意志を反映しきれるものでない以上、今回の騒動も結局は小さな世界で争うだけのものでしかありません。

麻生氏はハード路線、福田氏はソフト路線と区分けがされ、特に対中戦略がよく話題に上がりますが、どちらにしても米国が親中路線をとる以上、日本も対中戦略で妥協を強いられることに違いはありません。北朝鮮政策も今日の会見でふれられていましたが、日本が六カ国協議の枠内で米国の陰に隠れている以上、その政策とて独自性を打ち出すことは難しくなります。
つまり外交戦略上、本当の意味で違いが見られるのは米国との態度の中で、どう距離感を保つのかしかないことになります。テロとの戦いでも、米国の陰で給油だけをしているのか、それともイスラムとの良好な関係を利用し、違う方策を打ち出していくのか、ということであり、北朝鮮政策でも米朝の主導する六カ国協議ではなく、国連を巻き込んで独自の交渉戦術を歩むのかです。

内政は官僚に握られ、外交は米国の傘の下、そんな日本で政治のトップに立つ人間がどのように自分の意思を発揮するのか?自民党総裁選でもそれを明示しない限り、やはり邑の中のお山の大将でしかない、ということになるのだと思いますね。

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2007年09月14日

経済の話。日米の金利動向

今日の日経平均は300円強の上昇で16000円の回復となり、強い動きを示しました。ただ今日はメジャーSQの算出日であり、新たなポジションを組むなど不規則な動きの出易い日ですし、売買高は相変わらず盛り上がらない状況では、楽観は禁物なのだと思います。

特に今は国内法人勢しか、買い手はいない状況です。最近目立つのが後場にメガバンク株が急騰し、日経平均先物を買う動きと連動して高値を演じる局面です。実はメガバンク株は2005年8月の水準に接近しており、その間に公的資金完済などがあったにも関わらず、一切上昇していないことになります。内需の弱さを表す一つの現象ですが、ここを下抜けば景気回復は外需頼みであることが鮮明になり、日本の景気回復を信じてメガバンクを買った層が、逆回転することになりかねません。
TOPIXとの乖離、新興市場の低迷、内需の弱さを顕著に表していますが、これでメガバンク株まで停滞すると、外国人勢の売りが更に加速する可能性があります。メガバンクのショートカバーの流れ、資金の出元は推測するしかありませんが、この急騰劇はかなり資金量が豊富な処がやっているのでしょうね。

来週は米国でFOMCでの利下げが最大の焦点です。今日は8月の小売売上高が発表されましたが、市場予想に届かないものの上昇、昨日は新規失業保険申請件数が発表されて僅かな上昇に留まりました。現状利下げを支持するのは雇用統計しかないことになり、この景気指標だけで利下げを行えるのか?市場では0.25か0.5か、それが議論の対象ですが、私は50・50の確率で利下げはないと見ています。
グリーンスパン前FRB議長が「インフレ圧力が高い」ことをあげ、利下げすべきでないと述べていますが、私もこの説には賛成です。米国ではグローバル化の流れでも、自分たちが世界経済のけん引役との意識が高く、あまり世界との関係性に言及する流れにありません。しかし世界経済が成長し、過剰性が資源を高騰させ、ドル安圧力が高い今は、一国の都合で利下げをすると強烈なインフレの波に晒されます。

しかも8月の雇用統計は金融混乱の一過性のものか、そうでないのかを冷静に見極める必要もあるでしょう。対応が遅れる可能性はあっても、利下げでリセッション入りを防ぐ流れを作ると、その後の経済運営は行き詰ることにもなり、これでスタグフレーションの流れになれば、今後の米国は長い冬の時代を迎えることになります。
日銀の動向が日本市場で全く話題にならないのは寂しい限りですが、日銀が間違えなければ利上げはしないのでしょう。が、過去には数度、間違えたことがあります。あまり無視していると、空白の間隙をぬって利上げもあるかもしれませんし、注意はしておいた方が良いのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:51|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2007年09月13日

安倍首相の辞任2

安倍首相の辞任の余波が今日も広がっています。これまで有利と見られていた麻生幹事長が、安倍氏の怨念で有力候補の座から滑り落ちたのは、政治の常というものでしょう。本来、国会が混乱を来たさないためには、安倍氏が辞意表明すると同時に後継指名をしても良かったのです。それでも安倍氏がそれをしなかったのは、安倍-麻生ラインが磐石でなかった、その証明です。

安倍氏が支持されなかった最大の問題点は、彼が理念・理想主義者であり、現実とのギャップを埋め切れなかったことでしょう。小泉時代に理念・理想主義が盛り上がったのは、『仮想敵』中国の存在が大きかったのですが、安倍氏は最初に中韓との関係改善を果たしてしまったため、『仮想敵』の存在が見え難くなりました。
安倍氏はその代替として、『戦後レジームの脱却』を訴えましたが、それさえ抽象的な概念なのですから、その主張が曖昧模糊となるのも当然です。これにより、当初安倍氏を支持していた層も、その後の閣僚の不祥事で離れて行くことになり、結果として支持率低下を招きました。

理念を訴えるには、その実現により何が為されるのか?ということを明確に相手に伝える必要があります。それが政治だからですが、安倍氏は力強い自分の姿を見せれば国民がついてくる、そうした意図の下でまい進していました。説明不足はこうした『自らが描くリーダー象』と、自らの理念政治家としての姿勢とのギャップという面も大きかったように感じます。
政治に一番大事な説明責任、それを誤ったリーダー像で回避してしまったのは、いみじくも最後に『力強く』政治が出来ない、と語った言葉に集約されているのでしょうね。

自民党総裁選は福田氏で決まりそうです。自民党に自浄能力が欠如していると感じるのは、透明性を高めるために総裁選を19日ではなく23日にする、との発言もありましたが、14日公示前に大きな流れに乗る動きが活発化することです。時の政権に近い方がポスト面で有利になる、利権主義を標榜する団体かと見紛うほどの、浅ましい政権吸着力を示してしまうことです。
安倍改造内閣が一瞬でも支持されたのは、反安倍氏の立場をとった舛添氏を閣僚につけたことです。色々な意見があり、それを吸収して行く過程で意見の集約や修正を行い、良いものになる。その原則を忘れては、次の政権も長くはもたないでしょう。支持率の低い政権の次は、支持率も自動的に上がるものですが、自民党の体質が変わったことを示せない限り、解散含みの臨時国会も厳しいことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:52|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2007年09月12日

安倍首相の辞任

今日、安倍首相が辞意を表明しました。臨時国会が始まって所信表明演説を行い、今日は代表質問を受ける、そのタイミングでの辞意であり、局面の打開や転換などと理由を述べていましたが、国会はしばらく空転することにもなり、打開どころか政治は停滞を迎えます。なぜこのタイミングだったのか、それを考えてみます。

まずシドニー発言で安倍氏は乾坤一擲を狙った、これは間違いありません。強い決意を示すことで世論を味方につけることと、自民党内にある安倍氏を店晒しにしようとする勢力に対し、辞意をちらつかせて求心を狙う意図です。ただし世論は懐疑的であり、また自民党内で冷ややかな見方があることから、これで安倍氏は裸の王様を自覚することになったのでしょう。
辞任会見で、民主党・小沢代表が党首討論を断ったことを理由に挙げていましたが、これは自民党に配慮したものであり、本当の理由ではないでしょう。一方で体調不安を持ち出さなかったのは、与謝野官房長官が盛んに述べていたように、自民党にとっては体調面を強調した方が解散含みの国会で有利になるのですが、これは面従腹背を続けた自民党内の一部勢力に対し、溜飲を下げるためにあえて理由としなかったのでしょう。後任に麻生氏の名前が上がっていますが、これは幹事長へのささやかな復讐という面も大きいと思います。

更に自民党にとって最良のシナリオだったのは、臨時国会を延長してでもインド洋の給油継続を成立させる。国会が混乱し、また継続にタイムラグが生じることについての責任を安倍首相の首を差し出すことで、国内外に向けて治める。来年初めまでにじっくりと自民党総裁選を行い、その後の国会を新体制で乗り切ることだったのでしょう。これなら当分衆議院解散も必要なく、自民党としては安泰だったはずです。
しかし安倍氏がこのタイミングを選んだのは、やはり自民党内への復讐という面が大きいと考えます。参院選後に辞任していれば、まだかつての宮沢氏のように大臣に再登板する芽もありましたが、それすら拒否したのは、自民党に利用されまいとする強い意志の表れなのでしょう。

日本の国としてみれば、ここで国会が空転し、内政、外交でも停滞することはマイナスでしかありません。しかし自民党をぶっ壊すと宣言した小泉氏に、事実上指名されて自民党総裁について安倍氏が、こうして自民党を壊すことになることもまた、運命の皮肉なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:58|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2007年09月11日

4−6月期GDP改定値が下方修正

昨日発表された4-6月期のGDP改定値、実質GDPで前期比-0.3%、年率換算で-1.2%となり、速報値の0.1%(年率0.5%)より、大幅に下方修正されました。先の法人企業統計から悪化は予想されていましたが、これほど大幅な下方修正を強いられ、日本経済の先行きに暗雲も垂れ込めました。
中でも設備投資が1.2%減となるなど、これまで日本は企業の設備投資意欲に下支えされた景気回復をたどってきました。しかし外需が鈍り、設備投資が減少すればこうした結果になるということです。賃金は伸びず、実質増税になるなど個人の消費意欲は低く、内需は依然低調です。

今日発表された7月の機械受注は17.0%増と堅調でしたが、これはサブプライム問題が拡大する前のことであり、8月の結果が出てみないと、企業の投資意欲が今回の混乱でどの程度変動したのか、ということを計ることはできません。米国の消費鈍化が囁かれ、米国への輸出は一時期低調となるでしょう。日本の輸出は欧州や新興国など、米国依存から脱却しつつありますが、それとて米国動向に左右されることになります。
日本の信用市場に混乱はありませんが、ITなどの設備投資をしないと変化についていけない分野と異なり、経済拡大が見込めない段階では設備投資を企業も控えるでしょう。来年度の予算案を見ると、公共投資が増えるようなのでこの点はGDPの上昇圧力になりますが、その結果プライマリーバランスの改善が遅れ、日本の借金が更に増えることになっては何の意味もありません。

8月の景気ウォッチャー調査でも判断指数44.1(前月より0.6減)であり、景気に弱さが見られます。不動産価格も外国人売りにより一巡感が見られますし、証券市場も伸び悩んでいます。資産増大効果もない中では、はっきりと踊り場入りを示唆しても良い水準といえるでしょう。
米国でも当局者がリセッション入りを議論し始めました。日本でも現状認識を改め、景気対策などを議論しても良いタイミングでは有ります。しかも世界では過剰性が残っているため、金や原油がジワリと上昇の気配を見せています。日本にはこうした資源高騰によるインフレ圧力が残り、世界経済の減速と調和する政策は正直難しい面もあります。

ただ金融当局者が甘い認識を有するのは、一つには市場安定化の意味もありますが、対策の遅れを生むことにも繋がります。今は政府も一つ一つの指標を見極め、機動的に対応を行うことが大事なのだと思います。ただ政局の流動化で、景気刺激策も後手後手になりそうなところが、日本の弱さでもあるのでしょうけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2007年09月10日

安倍首相による不退転の決意?

APECに出席していた安倍氏が、インド洋での海上自衛隊の給油活動を継続できなければ、「対外公約であり、職を賭して取り組む」と述べました。あわせて「職責にしがみつくことはない」とも述べていますが、今日の所信表明では若干のトーンダウンも見せています。これについて、少しうがった見方をしてみたいと思います。

恐らくは米国からの突き上げもあり、また誰かから対外的な場面で自らの態度を明らかにし、決意を述べることは大事、とでも安倍氏は諭されたのでしょう。しかしよく考えればこれが言質になり、また臨時国会前にわざわざ政局をちらつかせても、自民党にとって何の得もありません。
一つに、自民党がテロ特措法を延長するのか、それとも新法を作って給油だけはできるようにするのか、どちらにしても国会が混乱することが考えられます。その時、対外的にも国内向けにも、安倍首相の首を差し出して幕引きを図りたい、自民党内ではそうした動きがあります。自民党内の動きの緩慢さを見ても、安倍氏の発言と自民党の動きが必ずしもリンクしていないように見えるのです。

失敗すれば民主党に全ての責任を押し付け、成功しても混乱の責任を首相にとらせる。つまりどちらに転んでも安倍氏に続投の芽をなくす、そうした意図を持ち、自民党関係者から今回のシドニー発言は促されたと推測します。当然、解散ではなくその時は総辞職で乗り切り、混乱収拾のために幹事長・麻生氏が就任することにしたいのでしょう。
安倍氏個人としてはこの発言によりそうした動きを牽制できる、との思惑もあったと思われます。不退転の決意を世論が後押しすれば、給油継続に前途が開け、参院選で否定された首相続投の正当性を主張できます。悪くしても衆院解散の伝家の宝刀を抜く、との意図をちらつかせることで、自民党の尻を叩くこともできるとの思惑です。

ただ給油継続にしろ、米国主導のテロとの戦いに正当性があるのか?が問題です。大部隊を投入し、それで成功した部分はテロリストの国外流出だけであって、逆にイラクでもアフガンでも国内は自爆テロなどの混乱が増しています。潤沢な資金と兵器の流入が有る限り、テロは形を変えて頻発することになります。その兵器の流入には先進国が闇商人という形で関与しているのですから、これほど愚かなテロリストとの関係もありません。
安倍氏の不退転の決意は、どうやら国民の支持を得られていないようです。これが国際貢献という名の、単なるオイルの垂れ流しではないのか?その疑問に答えるためにも、インド洋での給油継続の正当性を国民に向けて説明することが、一番大事なことなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:32|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2007年09月09日

経済の話。米国雇用統計の悪化

市場が注目していた、先週末に発表された米国雇用統計で4千人減となり、米国ではダウが250ドルの下落を示しました。米国では景気が減速してもFRBが利下げをして景気は底堅く推移する。その根底にある考え方が覆されたことで、実はすでに景気は後退局面ではないかとする懸念が台頭したことが、今回の大きな下落に繋がっています。

私は、8月は新規失業者保険申請件数は増えると見ていましたが、雇用がここまで下落するとは考えていませんでした。今の米国は経営者の成果報酬主義のため、すぐに雇用を抑えて利益を確保する動きになる、ということなのでしょう。住宅、金融部門は当分厳しい環境のようです。
サブプライム問題は米国の金融システムを複雑化し、その分の雇用を創出してきました。ですが専門性を高めたことで、リスクが『格付け』という紛いものの『信用』に置き換えられ、そのリスクを米国では今改めて思い知らされているのです。サブプライムを整理することになれば、専門性は必要なくなり、金融部門に新たな雇用は生まれなくなります。

今回の問題を受けて、「新興国の成長があるから大丈夫」という意見も聞きます。しかし「新興国の成長」が担保されるには、先進国の『新興国ファンド』が継続して流入超の状態にあることが必要です。今回の問題を受け、日本での『新興国ファンド』は流入超でしたが、米国では流出超となっています。米国では換金売りが急がれたこともありますが、金融市場が混乱すれば今後も流出の方が多くなるでしょう。
投資を難しいという人もいますが、最も簡単な考え方は資金が流入している時、層が拡大している時はどんな世界も強いです。それは新興国も同様、今の成長が先進国からの資金流入である以上、それが流出すれば弱含みます。今の新興国は外貨準備を蓄えていますので、急速に市場の資金量が萎むことはありませんが、外貨準備を手放せば運用先である先進国の更なる痛手となり、これでは負の連鎖になってしまいます。

FRBが利下げする大義はこれで一通り整いましたが、問題はバーナンキ流とグリーンスパン流の違い、という点にあると考えています。輸入大国でもある米国が経済の悪化、ドル安という二つの逆風を浴び、それでも継続した利下げに踏み込めるのか?というところです。
米国内にある利下げ期待以上に、米国外にある利下げされればドル建て資産の縮小を意識せず、本当に大丈夫なのか?世界経済が近付いた結果、米国一国の都合で利下げを断行することにより、新興国がどう動くのかにも注意が必要でしょう。IMFの世界経済見通しの引き下げなど、今後の世界経済の動きは不安定さを増すのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2007年09月08日

鉛について考える

日産が記念品として配った中国製のタンブラーの蓋に、基準値を超える鉛が含まれていたことで、自主回収する事態になっています。この鉛含有については今問題になっていることもあり、鉛がどのような影響を与えるのか、少し詳しく考えてみたいと思います。

鉛は食品衛生法にも摂取量が決められていますが、今回問題となっているのは玩具などですので、まず米国の基準を見てみます。米国消費者製品安全委員会(CPSC)の基準では鉛の溶出量が175μgと決められています。塗料や製品に含まれる鉛が米国で問題になるのは、この数値を超えた場合となります。
ただこの基準は各国統一されたものではなく、カナダでは全鉛含有量が600mg/kg、移動性の鉛が90mg/kgであったり、EUでは0.7μg/dayなど決められています。日本では業界の自主基準としてST基準があり、90ppmが鉛の溶出基準として決められています。

では鉛を体内に取り入れるとどうなのか?知能や行動に影響が出始めるのは血中鉛濃度10μg/dLから、その後末梢神経の伝達速度低下が30μg/dL、自律神経機能に影響が出るのは35μg/dLなどがあります。その他でも腎毒性は60μg/dLからですが、もっと低い数値から影響は出始めるといわれています。生殖発生毒性や発がん性もあり、更に血液毒性が出るとヘモグロビン濃度低下が起こります。
数字が並んでしまいましたが、要するに鉛は非常に危険だ、と考えていただければ結構です。なので中国製品の塗料に鉛が含まれていたりすると、すぐに回収の騒ぎとなります。これは一過性のものではなく、鉛が含有された製品は判明次第、すぐに回収ということになります。

以前から取り上げていますが、この日本では水道管に鉛管が使用されています。その基準値は水道水中に0.01mg/L、実は日本という国はこの鉛に対して、比較的寛容な態度を示しているのが現状です。明確な健康被害が判明していますが、水道管の取替えには多額の工事費と、工事期間を要するからです。
医療費が高騰するから、歳出をカットし健康保険料をアップする。国はそう説明していますが、病気が増えるには必ず原因があります。それが国の不作為だったり、意図的な対策の遅れであったりすれば、それは糾弾されるべきものです。アスベストや薬害、そしてこうした鉛の問題にしても、国は早急に対応すべきです。中国製品に鉛が混入と騒ぐ前に、日本人が日常生活を送るとどの程度鉛を摂取することになるのか、それを国民にもっと伝えるべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:54|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 健康

2007年09月07日

雑感、古い自民党体質に逆戻り?

昨日の台風は雨と風がひどく、大変な被害に遭われた方も多いようです。たまたま私は高い位置に住んでいるため被害はありませんでしたが、今回で関東地方の山側はだいぶ水を含んだ状態になったので、今後の天候次第では鉄砲水の発生する可能性が高まったように思います。

参院で調整を進めていた委員長ポスト、予算委は自民党がポストを死守できたようです。内閣としても予算案の国会審議において重要な委員長ポストは、是が非でも抑えておかなければならないものであり、その点では自民党も一安心しているところでしょう。
ただそれと引き換えに、重要ポストのほとんどは民主党に抑えられており、特に外交防衛を握られたため、自民党内に本気でテロ特措法延長問題を解決する気があるとは、とても思えない点もあります。むしろ土壇場では民主党が妥協するだろう、と軽く見ているフシもあり、今度の臨時国会は最終盤まで眼が離せないことになりそうです。

そんな中、自民党内では政務調査会の会長ポスト人事に、俗に言う族議員が続々と就任しており、以前のような権益主義が復活したような印象も受けます。安倍氏が参院惨敗を受け、路線転換を強いられたのは間違いないことだとしても、古い自民党の体質が復活し、『地方への配慮』が公共事業という形で成立させようとしているような、そんなイメージすら抱いてしまいます。
道路調査会・山本有二前金融担当相、文教制度調査会・中山成彬元文科相、総合農政調査会・保利耕輔元文科相、さらに外交調査会・山崎拓元幹事長。特に外交調査会が気になる点ですが、山崎氏は安倍氏と外交の考え方は対極にあるはずであり、これを見ても安倍氏が自民党総裁として、指導力を発揮したとは思えない点でもあります。

麻生政権準備内閣とも呼ばれますが、遠藤前農相の更迭劇に安倍氏はタッチしていなかった、とも言われますし、閣僚の『政治とカネ』にまつわる不祥事も続いていますし、いつ総辞職があっても可笑しくないまでになっています。日朝作業部会も話し合いは平行線のまま、日本が妥協点を示しても何の進展もなく終わり、外交成果もアピールできていません。
来年のサミットまで、という声も聞きますが、問題はそこまでの政権運営がもつのかどうかです。選挙に負け、そこで図った路線転換が古い自民党体質に逆戻りでは、更に自分の首を絞めていることになるはずです。今の自民党は自ら凋落の道をひた走っている、そう見えてしまいますね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2007年09月06日

経済の話。今日の日本市場の動き

今日の日本市場は大きく下げ、大きく上げて終わりました。昨日から続くこの流れが示すものは、安倍内閣で閣議決定された『外資の企業買収規制の強化』により、外国人投資家から見て改革・開放路線からの政策転換をしたと映り、売りが急がれたことから始まりました。
規制強化については、中国の政府系金融機関による動きを牽制したもの、という側面が考えられます。中国マネーの動きには今後も要注意ですが、米国のように一部のヘッジファンドに出資する程度の流れでない限り、企業買収が技術流出を伴って国益を損なう恐れもあります。流れとしては正解ですが、悪いタイミングで閣議決定をしたため、外国人投資家の売りを誘いました。

一方で今日の上昇は、15850円に仕掛けられていたプログラム買いだったと見ています。今日本株を買い上げているのは、実は企業法人による自社株買いが大きなウェートを占めています。個人も外国人も短期資金しか入らず、逃げ足が早いために継続した上昇を指向できていません。
一方で、日本企業が時を同じくして自社株買いを行うのは、幾つかの経済団体で市場の混乱を防ぐよう、各企業に依頼があったものでしょう。外国人投資家も、個人投資家も買い手にならない以上相場がジリ貧になる、それを食い止めるためにも、今余裕のある企業が対策に乗り出したもの、と見ています。ただ自社株買いは手元流動性を喪失しますし、バブル崩壊後の苦い体験からもあまり有効な対策とはいえませんね。

今日の日本市場は、日経平均先物『だけ』が上昇し、その上昇に合わせるように日経平均採用銘柄のみが上昇する、という極めて不恰好な相場展開でした。日経平均がプラス圏でもTOPIXは10pt近い下げを演じるという、全体的に見れば下落傾向の強い一日であり、引けではTOPIXも前日とほぼ同じ程度まで上昇しましたが、今日の上昇は手放しで喜べないところです。
最初に述べたように、外国人投資家は二週間、小幅ながら買い越し基調でしたが、昨日から売りに入った可能性があります。先週金曜日の米系ブローカーの買いも、結果的にドレッシングの一環でしかなかったようですし、外国人投資家が気迷いの中で政局リスク、開放路線の停滞が今後の売り圧力として、大きな影響を残しそうです。

一つの情報ですが、英系ヘッジファンドのシナプス・インベストメントの子会社の一つが破綻しました。これはサブプライムに投資したのではなく、低流動性による資金繰りの悪化が破綻の要因のようです。信用市場における流動性の喪失が長引けば、今後驚くような大企業の破綻が各国で起こることも予想されます。
ECBは今回金利据え置きを決定しましたが、市場から流動性が喪失しても、過剰性が残っていればインフレ懸念は強く燻ります。今後各国は難しい対策を迫られるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2007年09月05日

日朝作業部会で『過去の清算』を話し合う?

六カ国協議の日朝国交正常化作業部会が、モンゴルのウランバートルで5、6日に開かれます。その前に、北朝鮮からは色々なボールが投げられました。まず米国がテロ支援国家の指定を解除すると、北朝鮮の報道官が伝えましたし、今日になってスパイを逮捕したと報道しています。
米国ではヒル国務次官補が核問題の進展次第、としていますが、非核化さえ進めばテロ支援国の指定を解除する、そうした話し合いも行われたような口振りです。米国ではブッシュ政権下で北朝鮮問題を解決する、それを引退の花道にする意向のようですが、そこに拉致問題の解決までは含まれない、そういう流れで進んでいます。

一方で、今回の安倍内閣の態度には少し失望しましたが、拉致問題の再調査に応じれば、『過去の清算』に応じる意向を日本政府は示しています。米国の態度変化によって、六カ国協議でも日本の孤立が目立ち始めており、お土産を携えていくことで事態の進展を図ろうとする、そんな流れですが、今回の決断は最悪の方向に向かうような気がしています。
町村外相は北朝鮮の豪雨被害に人道支援を検討している旨の示唆もしましたが、昨年の北朝鮮の核実験から日本が続けてきた、北朝鮮支援を拒絶する流れを今回転換したということは、それは六カ国協議の枠内に留まり、結果的に支援負担に応じることに繋がります。再調査の実もどうなるのか分からないこの時期に、あえて相手に都合の良いボールを投げてやる必要もなく、再調査に応じれば豪雨被害の支援、程度のジャブを事前に放っておく、その程度でよかったはずです。

なぜ切り札の『過去の清算』を持ち出したのか、安倍氏の意図を計りかねますが、結果的に今回の動きは、米国の意向に沿って日本も態度変化に追い込まれた、そういう動きに見えてしまいます。そこまでブッシュ大統領に気を使わなければ、日本の外交は立ち行かないのか?そんな日本を脱却するために、安倍氏に期待したのではないのか?その点で、今回の日本政府の動きは非常に残念に感じます。
実は中国や韓国が政府クラスで『過去の清算』を持ち出すのは、条約違反の面もありますが、国交のない北朝鮮の場合、『過去の清算』は交渉のカードとして有効な面があります。しかしその札を切れば、日本は今後北朝鮮との交渉で手詰まりになるでしょう。今回のスパイ疑惑を日本に対する新たな外交カードにするつもりか、それは分かりませんが、切ってはいけないカードに手を掛けた日本が、北朝鮮の瀬戸際外交の土俵に乗せられた、ということだけは確実なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2007年09月04日

社会を変えるために政治に必要なこと

自民党参議院議員の小林温氏が、出納責任者の公職選挙法違反容疑を受けて議員辞職しました。自民離れが囁かれる公明党に、参院惨敗の免罪符として椅子を一つ渡してご機嫌を伺った、というのが一つの見方ですが、与党の数は変わらなくても自民党の屋台骨は揺らいでいるので、本来は渡したくなかった議席ではあるのでしょうね。

年金問題で、着服や不正に受給した分が99件に上ることが判明しました。まだ明らかになっていない『もみ消し』分なども含めると、件数はまだ増える可能性もあります。徴収と支給に時差のある年金では、こうした不正の温床になり易いことは明白であり、制度腐敗の色が極めて濃く感じられるのが今回の発覚です。
しかも公表すらしていないというのですし、刑事事件にもなっていないのですから、身内を庇い、国民は蔑ろの実態が年金制度そのものに対する不信にも繋がっています。突合せがいつ終わるのかより、不正を完全に炙り出して対策を施さないと、社保庁解体でも事態は解決しないでしょう。

モンスター・ペアレンツ。これは自分の都合ばかりで教員に無理難題を押し付ける、そんな親を指して使う言葉です。また医師に対して暴力を振るったり、診療費の不払いをしたり、そんな話もよく聞きます。そんな大人に対し、親力を上げる、教育で道徳心を養う、という対策を施そうとする話も有識者の間から上がります。
しかしこうした問題は、自己の権益をどう拡大するのか?上手いことやって、自分の負担が減れば良い、得すれば良い、という発想が根底にあり、これらは社会の風潮として、道徳心を教育で与えれば良い問題でもありません。社会全体を変えなければいけない問題です。

では社会全体を変えるために何をするのか?それは責任ある立場の人間たちが、国民に対して範を示すことです。政治家が率先垂範して厳し過ぎると言われるほどの規律を課し、国民に理解を求めるべき段階です。政治資金規正法改正案で自民党がもめているようですが、政治家が『上手いことやっている』時に、国民が自らを律するような態度をするはずがありません。
年金もそうですし、昨日の遠藤前農相の話もそうです。国やそれに付属する機関、人から上手いことやってカネをせしめる、良い条件を引き出す、それが今、社会の風潮として上から下まで蔓延しています。この段階で政治資金規正法がいい加減な内容で決まれば、国民は更に政治不信を強めるでしょう。政治が自らを律する術を失う時、社会に嫌な流れが生まれます。政治家にしろ、公務員にしろ、悪いことをすれば罰せられるという、当たり前の流れを作ることが、社会を健全にする第一歩だと肝に銘じて欲しいと思います。

analyst_zaiya777 at 22:57|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2007年09月03日

遠藤農相が辞任

遠藤農相が今日、辞任会見を行いました。就任8日、歴代2位の短命大臣です。この問題で「事務所費の問題と違う」と発言している方がいましたが、本質は同じ。税金の使途を議論する政治家が、いい加減な資金管理を行っていたり、補助金の不正受給を受けていたり、それはお金の大切さに対する政治家の無自覚さに国民が怒りを感じているのです。
「本人が指示したものではない」とする意見も、事務所費にしても経理担当者や秘書に責任をなすりつけ、本人は知らなかったと釈明するものと同じ、責任者としての本人の責任はどうなのか?と問われているのです。更に、補助金を受け取る側に政治家が名を連ねれば、不正受給ではなくても『配慮』の匂いがします。問題はこうした団体に政治家が関与する、そのことから始まっているのですから、そうした人物を閣僚につけた任命権者としての責任は、当然問われるのでしょう。

その任命権者である安倍氏は、ぶら下がりで「残念な結果」と延べ、自身の責任には言及しませんでした。「残念な結果」だと思っているのは、安倍氏を初め自民党幹部だけで、国民は「またか」と思っています。不人気はもう自明なのですから、戦略としてきちんと責任を認めた方が、今後の国民に対してのウケは良いはずです。
そうしないのは、野党の追及が怖いのと、安倍氏が抱く『強さ』の概念が『頑固さ』にあるからなのでしょう。ここまで『ブレ』の目立つ安倍政権下で、ブレない唯一のものは安倍氏が「責任を認めない」ことにあると考えています。古い考えでは、確かにトップが責任を認める時は辞任の時、というのがあります。しかし現代は国民が情報を得る機会が増え、曖昧な誤魔化しなどをすればそれが不人気に直結します。

現代社会ではむしろ、トップは客観的な原因分析と対処策を積極的に公表する、その方が理解を得られ易い環境にある、ともいえるでしょう。情報過多の時代とは、情報発信力の差であり、その分析力と対処方法に疑義が生じたとき、トップはその手腕を否定されることになります。
今回の問題でも、会計検査院の情報が官邸に伝わっていない、情報収集能力が問われています。また農政は癒着が起こりやすく、結果として国の補助金などが末端の農家まで渡らず、それが国民の怒りとなり自民党は参院で惨敗しています。こうしたことを一つ一つ検証し、国民の前に改善案を示してこそ、トップとしての力量が示せるのです。その第一歩である責任を認めて原因分析をする、ということすら出来なければ、一時的に上昇した支持率も再び低迷にあえぐことになるのでしょうね。

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2007年09月02日

経済の話。米国の次の一手

米国経済で重要と考えていた、政策的対応が米大統領から発表されました。連邦住宅局(FHA)が住宅ローンの保証拡充を行い、返済が滞った相手にも保証を適用し、あわせて住宅価格が下落した相手に減税措置を講じる、というものです。これにより固定金利へのローンの借り換えを促進し、一時的な資産価値の減少で投資家から債務者に転落する人を救おう、というものです。
更に「金融市場に関する作業部会」において、サブプライム関連の証券化の実態や、格付け基準などを調査する、としています。欧州に配慮し、『格付け』に対する調査も含んでいますが、この段階に至ってやっとこのような調査に至るのは、ブッシュ政権下で緩んだ環境の中、『自由化』の掛け声の中で管理もされない経済社会が築き上げられていたか、ということが分かります。

米短期金融市場では、CPの残高が直近3週間で11%の急減を見せています。これは膨れ過ぎたCP市場が正常な状態に戻りつつある、その過程ですが、公定歩合の借り手も増えないことから、やはり金融機関に資金は潤沢にあるようです。混乱は一部の住宅ローン会社と、資金繰りに窮する一部企業の範囲に留まりそうです。
ただ中古住宅の在庫が増大して9ヶ月分の積み増しとなり、価格も下落傾向が続いているので住宅を購入し、それを担保に新たな投資に向かう米国の一般投資家にも、そろそろ影響が出始めてくる頃だと思われます。企業救済型の支援策はしないとも言われていますが、このタイミングでの米大統領の発表は、まさに個人投資家が受けたダメージで消費が停滞する、そのことを恐れたものなのでしょう。

私はこれでも9月のFOMCで利下げはないと考えています。考え方として、中央銀行は資金を吸収しつつ管理を緩める方向になければなりません。現在、公定歩合の引き下げと資金供給を同時に行っていますが、これは一時的に市場をインフレ誘導していることになり、バーナンキFRB議長もインフレには特に警戒しているはずです。
一度利下げすると継続する期待が膨らみますから、ドル安をより強く模索するはずです。現状、企業業績は好調であり、ここでドル安により支援する必要はありません。それよりも安い中国製品がリコールの影響で購入しづらくなり、ドル安により物価が高騰することになれば、個人救済の意味はより薄れることになります。よほどリセッションになる確信があれば別ですが、このまま利下げに移行するには、高いハードルがあることもまた事実です。

グリーンスパン流との決別、という話も米国では出始めていますが、10月か11月にマクロに影響が出始めたとき、0.5〜1.0%の利下げを行い、継続した利下げはしない、と発表する可能性は残されていると考えています。問題はマクロに影響が出る前、FRBに大義が整うのかなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(0)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2007年09月01日

安倍内閣の支持が少しだけ上昇

安倍改造内閣の支持率がアップしました。これを「よく分からない」という人もいますが、安倍内閣の発足時点で支持した層にとって見れば、この10ヶ月は選択的緘黙という苦しい立場におかれました。ここでもう一度、安倍改造内閣に期待しよう、という気持ちになったとしても、特段不思議なことではありません。安倍内閣の不人気は閣僚の失態であって、安倍氏本人の失政ではないと考えることも、容易に想像がつくからです。
しかし、注意しなければいけないのは今回の動きで、政治の中に『不人気でも、テコ入れさえすれば窮地は乗り切れる』という意識が芽生えることです。実際には自民党の支持は増えておらず、安倍氏や与謝野官房長官、舛添厚労相に対する期待、という部分も大きいはずです。安易にこうした動きを歓迎するようなことは、結果としてそれは民意の反映、という大事なものを切り捨てることにも繋がりかねず、政治に変化が生まれないことにもなります。

そんな中、早くも遠藤農相の問題が持ち上がっています。事例そのものより、私は官邸側の対応に注目していますが、安倍氏は「質問や疑惑にはしっかり答えないといけない」と述べています。本来、自民党総裁でもあり、首相として閣僚を束ねる側にある人間としては「しっかりと答えさせる」と、遠藤氏に説明を促さなければならないところです。
特に今回、政治とカネの問題は国民の最重要課題とも呼べるほど、注目が集まっています。領収書を改竄するような人間が平気で議員を続けている、そのことでも国民の不審は高まっていますから、閣僚クラスの問題に官邸側が指導力を示さないと、それこそこの内閣が『死に体』になってしまいます。

確かに相次ぐ閣僚の問題があり、再び農相が辞任するようなことになれば、任命責任は問われることになるでしょう。しかしそれはお鉢を回した自らの責任であり、むしろその失敗を誤魔化したり、問題が長期化すようなことになれば、ますます国民の不人気を煽ることにもなります。
与謝野氏が官房長官になり、官邸が主導して別の会議を立ち上げる以前の官僚との対決型の政治は終わりを告げ、官僚との調整型の政治に切り替わります。それが日本の政治改革が停滞し、安倍内閣の本質自体が今回の改造で大きく変容する、そのイメージを与え易くなっています。

今回、増えた支持が今後どうなっていくのか、それは今回の農相の問題や法案への態度如何で、また変わっていくことになるのでしょう。領袖級が多い中で、指導力が発揮できないことになれば、また支持は減ることになることだけは確実なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般