2007年11月

2007年11月30日

労働二法が今国会で成立しましたが…

一昨日、改正最低賃金法が参院で決議されました。この法案内に「労働者が健康で文化的な最低限度の生活」と記載されていますが、「生活保護に関わる施策」との整合性も強調されています。政府としては法案成立に抵抗の強い企業に配慮するため、また国の負担を減らすためにも、改正最低賃金法で賃金アップを記載するとともに、生活保護を引き下げるセットで初めから考えられていた、ということになります。
年金受給者との差も指摘されていますが、OECDによる相対的な貧困層の統計値を見ると日本は15%を越えています。この数字は欧州では10%未満のところも多く、米国は17%です。つまり日本は先進国の中で、移民受け入れに積極的でないにも関わらず貧困層が多い、ということが統計上も明らかですが、政府は母子加算廃止も含めて支出を抑える方向を模索している、ということになります。

そして同時に労働契約法も成立しています。これは(儿垢帽舁的理由がある、∀働者への周知、により就業規則の変更を認める法律です。一方で労働者の不利益による就業規則の変更は認めないとしており、この法律そのものでは何が不利益で何が変更理由足りうるのか、という点を個々の事例に基づくとして判断を避けています。
つまり就業規則が変更された場合、それが自分たちの不利益だと判断するのは労働者であり、かつ裁判に持ち込むのか、労働局に持ち込むのかも労働者側に課される事になり、負担増をどちらが負うのかが明白な法律ともいえるでしょう。問題は労使関係をきちんと構築しているところでなく、日雇い、パート、アルバイトなどの弱者を直撃し、後に批判の的になることは確実な法律です。
そんな中で、厚労省における薬害に関する責任追及は見送られる公算になりました。根拠法がないから、という理由の中には、不作為は罰せられないという前例を踏襲しているのみであり、問題解決能力を欠いた組織の言い訳でしかありません。何度同じことをすれば再発防止ができるのか?日本はこの組織が厚生と労働と言う国民にとって重要な二分野を統括していることを、悲嘆すべきなのかもしれませんね。

最後に、政府の有識者会議が101ある独立行政法人のうち、12の法人の廃止・民営化を指摘されています。しかし官僚は強く抵抗しており、この問題も官僚の力が強い今の福田内閣では、どう進んでいくのかも全くわかりません。元が安倍内閣時代の置き土産ですし、渡辺氏も後ろ盾がないわけですから、有識者会議の指摘は参考程度に留まってしまうのでしょう。
小さな政府、行政のスリム化、新しい国の形を求めていくのに最も単純な方法は、ゼロベースからしっかりと積み上げていくことです。古い形を残したまま修正や削除を繰り返すことは、対処であって抜本的な改革には繋がりません。法人の見直しにはそうした視点が必要なのだと思いますね。

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2007年11月29日

久間氏、額賀氏への証人喚問について

守屋前防衛事務次官の収賄事件で今日、東京地検特捜部が防衛省に家宅捜索に入りました。守屋メモの存在が取り沙汰されており、気配りの人と言われた守屋氏が、詳細に記述していたメモが政界ルートの解明に繋がるのではないか、ともされていますので、このメモが発見されれば、まさにこの事件が大疑獄事件へと発展することになるのでしょう。

そんな中で、久間、額賀、両元防衛大臣の証人喚問で国会が揺れています。参院において野党が賛成多数で証人喚問の実施を採決し、今日になって共産党が多数決での決議には反対と、離脱の意向を示しました。民主党は採決を尊重する意向を示し、自民党はこの動きに反発、全会一致の原則を貫くよう求めています。
私は全会一致に拘る必要はないと考えます。決議がそれだけ重いものと受け止めるのか、数の論理で少数を潰さないようにする話し合いを尊重するのか、どちらにしろ最終的に意を決するのは、民意に抗し切れないかどうかだからです。今回の野党連合の場合、民意の情勢を踏まえず決行したので足並みが乱れていますが、国民の声が強まれば自民党も賛成せざるを得なくなる、そうしたものだと考えています。

一方で証人喚問の意義はどの程度あるのか?というと、現状において真相究明に役立つことは、極めて少ないといえるでしょう。証言が偽証に問えるとはいえ、記憶にないなどの発言が連発されることは明らかであり、言葉の重みが失われる、そうした手法がまかり通る現状で、証人喚問されたという実績ばかりが強調されるのも、問題意識の高まりとはかけ離れた、政争の愚に過ぎません。
司直の手に委ねる、という言葉は政界の自浄能力の無さを如実に示すものですが、官憲の手で証拠を積み上げ、実態が明らかにされる方がよほど有意義、という点もまた事実です。特に政治家であれば、言葉によるやり取りが様々に分析され、想定問答集を準備して挑む証人喚問となるので、国民の期待感も少ないことが考えられます。

今回の証人喚問、実施の意義はないでしょう。守屋氏の捜査状況を見て、改めて採決は考えるべきです。むしろ今回は自民、民主、両者とも防衛利権の解明でどの程度捜査の手が伸びるのか、そのこともまだ分かりません。仮に東京地検の捜査の手が政治家に伸びた時、そのときは世論が証人喚問を後押しすることになり、実現できると考えます。泥仕合とも評されますが、政局ではなく透明性の確保という観点で、今回の防衛利権の解明は進んで欲しいと思いますね。

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2007年11月28日

守屋前防衛事務次官が逮捕

守屋前防衛事務次官が今日、東京地検特捜部に逮捕されました。夫婦揃っての逮捕となり、高級官僚として前代未聞の家族ぐるみの癒着を罪に問われることになります。今回の件で収賄で立件できないとなれば、地検の汚点ともなるので逮捕は当然として、今後は政界ルートの解明が待たれるところです。

12月4日の会合に額賀氏が出席していたかどうかで、自民と民主が鍔迫り合いをしています。自民は額賀氏のアリバイ証明に家族との夕食と、別会合への出席を明らかにしました。家族や友人は立証にあまり効果はありませんが、別会合においては音声記録があるとのことです。
ただ17時間のずれがその記録にはあるといい、よくあることとも付け足しています。しかし一年間も保管される音声記録は、よほど重要性の高いものと推測できます。本来、議事録などを上げればその時点で音声データは廃棄してもよく、採録するのに記録時間の確認をしない、というのが合点のいかない部分です。宴席出席者の5人が同席せず、との証言をしているそうですが、そうなれば額賀氏が虚偽ということになりますし、国会の証人喚問の証言が偽証罪に問えることになります。

この一連の動きの中で気になったのが、民主党が席次まであると問い詰めた時、時を同じくして自民党側から一斉に、「証言者を明らかにしろ」との声が上がったことです。本来、情報の信憑性を確認するのに証言者は必要はありません。これは永田メール問題と同じ、調査の段階で情報が疑わしいと睨んだ自民党が民主党を追い詰めるため、証言者の存在を引き合いに出したとするのが一般的ですが、これには裏の思惑もありそうです。
今、自民党が怖いのは内部情報の漏洩です。ここで民主党が情報提供者を明らかにすれば、自分の身に及ぶ災いを恐れて、情報の漏洩が出来なくなります。自民党の真の狙いはそこでしょう。これ以上問題を波及させないため、省内にいる情報提供者の動きを抑える必要があった、ということです。

しかし今、食料品で続々発覚している偽装問題は、全て内部告発により成し遂げられています。組織と対抗する、倫理に反する組織の不正を個人が正す、そのためには内部告発を促し易くすることが必要、ということがこの動きでも明らかです。それは省庁であっても同じ、むしろ内部告発者を保護し、告発を有効に生かして組織腐敗を防ぐ努力が必要だと考えています。
省庁の無駄を明らかにした場合など、告発者は昇給しても良いぐらいです。内部告発を奨励すると権力闘争に利用されるという人もいますが、不正をしたことそのものが問題であり、権力の座を望む者が能力以外の理由でその地位についてはいけない、というのが常識であるべきです。正しいことをしようとする者の肩身が狭くならないよう、防衛省の組織全般にメスをいれ、この問題を明らかにしていって欲しいと思います。

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2007年11月27日

経済の話。乱高下する相場について2

東京証券市場が先週から大荒れの状況です。まず昨日の上昇は後場から中国の政府系ファンドが、東京証券市場に投資を検討との日経新聞夕刊版の記事がきっかけです。この記事自体に目新しさはありませんが、これが特定の証券会社を経由した、中国の材料に敏感に反応するイベントドリブン型のファンドの動きと呼応、売り方の買戻しも巻き込んで大幅高を演じて見せました。
しかしこの動きに継続性はありません。今年に入り何度かこの動きは見られますが、翌日か翌々日には先物で売りを出して手仕舞いします。それが昨晩の米国市場の大幅下落を見て、今日の午前は売りに回って低い水準で推移しました。それが一転、後場急騰を見せて大幅高で引けました。

今日の材料はアラブ首長国連邦の政府系投資ファンド、アブダビ投資庁がシティグループからの75億$の増資を受け入れ、4.9%ほどの株を保有する株主となるというものです。元々、シティグループの筆頭株主はサウジアラビアのアルワリード王子であり、裏ではこうした繋がりから支援要請の話が進んだことも、この増資を決定した背後にはあるのでしょう。
しかしシティグループだけでも12兆円規模のサブプライム関連商品を抱えているといわれ、8000億円の増資は当座の運転資金にしかなりません。これ以上の増資は現状考えていない、役員を派遣することはないとコメントしていますし、あくまで底値と見た純粋投資の一環と見るべきであり、救済は範疇にないでしょう。それを反映するかのように、他国の市場は上昇幅が小さく、日本だけが極端に大きく振られた形になっています。

これは日本が他の新興市場より流動性が確保され、6割以上の売買がヘッジファンドで占められる、そうした極めて脆弱な市場のために起こる動きと見るべきです。つまりイベントドリブン型で相場を大きく動かし、利ザヤを稼ごうとする動きに完全に支配されていることを意味します。
この数週間の動きを底堅い、と評する人もいますが、14700〜15300の範囲で右往左往しているだけであり、今は下落が急激だったので、単に小休止しているだけにも見えます。長期の下落トレンドに入ったからといって、一直線に下げるのではなく、何度か反発を試しながら下げる、ということは充分に考えられることだからです。

米国ではサブプライムローン会社のフィールドストーン・モーゲージが破産しました。連邦住宅抵当公社フレディマックも赤字転落し、住宅ローン大手カントリーワイドの破綻懸念も浮上しています。確かに一部でも増資報道は好感できますし、今はそうした報道を待ち望む気持ちも強いでしょう。
しかしその度に市場が大きく振らされれば、一般投資家は更に痛手を蒙り、証券市場から撤退してしまうことになります。日曜日に指摘した『鬼がもう一山』が、日本市場の上下動に伴う利ザヤで稼いでいるのだとすれば、長期的に見て日本にマイナスでしかありません。証券市場が健全に運営されるようにならないと、今後も投資家離れが進んで下落する、そんなことになりかねないと考えています。

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2007年11月26日

道路特定財源の行方について考える

税金、特に道路特定財源についての議論が活発化しています。揮発油税に関しては2007年度末で本来の2倍(24.3円/ℓ)の期限が切れますが、これも延長の可能性があり、また地方自治体向けの交付金比率を4分の1から3分の1に引き上げる、そうした案も自民党に浮上しています。
地方に再配分する、その錦の御旗で税率維持を目論んでいるようですが、原油価格が高騰し、ガソリンや灯油の値段が急騰を続ける中、揮発油税を『道路整備のため』という理由で2倍に課する理由は皆無です。増えた税収を当てにする人間にとって、減収となることは認め難い、その流れの中の動きでは有りますが、国民が困窮する部分に対して手当てする意見が出てこない、という点が政治の貧困を表しています。

道路特定財源の一般財源化の流れに対し、68兆円の予算使いきりを国土交通省が提案しました。余剰分を一般財源化する、そう閣議決定した小泉、安倍路線の流れの完全否定です。この議論は強硬な道路族議員らの抵抗により、『余剰分』という文言が盛り込まれたのであり、形骸化することを前提にした閣議決定でしたので、福田内閣という官僚が力を誇示する時代になりそれが起こった、ということなのでしょう。
この問題で重要なのは、国が日本の将来像をどう描いているのか?ということです。少子高齢化で医療費負担、介護費用が増えるから、その分を補填するために消費税を増税する。この議論の中にある日本の将来像は経費節減を含めた縮小型の社会です。増税は国庫を潤すだけで経済全体を減速させますから、発展を犠牲にしても高福祉国家として形を為そうとするものです。一方で、道路建設はインフラ整備ですから、これは拡大社会を模索していることになります。

当然、社会の発展と高福祉国家の両立が望ましいのですが、今後数年は確実に高齢化がすすみ、社会の発展は抑制される形であり、国がインフラ整備を推し進めようとする姿勢に正当性は見出せません。都合の良い数字、都合の良い理屈でその場しのぎをされては、困るのは国民なのです。
かつて道は物資の流入を促すだけでなく、疫病や災いを導きいれるものと考えられていました。ローマは道を作ることで発展し、その道が異民族の侵入を許して衰亡の一途を辿りました。道路が経済を活性化させる、そんな政治家の常套文句を信じてはいけません。今こうした体質から脱却しなければ、国民は負担ばかりを強いられて、結果として国家が破綻していた、ということにもつながりかねません。

道路特定財源は道路を造るために集めた税金だから、それ以外に使うのは詐欺だ、と述べる人もいます。しかし詐欺的行為は国庫の使途において、どのぐらいあるのか?もう一度それをよく考えて欲しいと思います。道路に使わず国民に還元すれば、それも一つの景気刺激策なのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2007年11月25日

経済の話。サブプライム問題について

今日はミスター円こと榊原氏が午前中の番組に出ていました。個人的に何の繋がりもありませんが、同調できる意見も多く、今回も興味深く拝聴させていただきました。ただ意見が遮られがちで、伝えたい内容の半分も伝わっていないでしょう。私の個人的な感想も含めて、今後向かうであろう経済の行方について考えてみます。

米国が複雑な金融システムを駆使し、サブプライムローンを組み込んだ証券化商品を売り、更にその証券化商品をまとめて証券化商品とし、売りに出す。こうして何層もの証券化商品を生み出した背景にあるのは、金融社会が拡大する前提が必要です。高い金利が目当てとはいえ、生み出された金融商品を購入する、新たな投資家が表れない限りこのシステムを維持できないからです。
そして今はこのシステムが崩壊し、投資家は金融商品を買えなくなりました。高い金利を保証する仕組みの中に、数年後に金利が跳ね上がり支払い不能に陥る可能性の高い、サブプライムローンが含まれていたからであり、そうでない限り金利水準を維持できないと気付いてしまったからです。

高い金利は危険性の証し、それが金融市場の混乱の根底です。そしてこれは一次商品であろうと、三次商品であろうと同じ。売っても二束三文、REPOとなって仮に大元の不動産が売却できようと、それも二束三文でしかなく金利収入は入りません。そして当然のように差し押さえ物件が増えれば、住宅価格全般の下落を招き、健全とされるプライムローンに影響が出始める。これが現状の米国です。
番組内で榊原氏が指摘した、今後しばらく金融社会が縮小傾向にあるとは、膨れ上がった資金の納め所として機能していた派生型の金融商品がその機能を失った。行き場を失った資金の一部は資源、債券など形ある、国家という保障のある商品へと向かいますが、今ある民間内に流通していた金融商品が価値をなくして紙くずとなる、その過程に今は入ったということだと理解しています。

紙幣を乱発して価値の暴落を招いた。金融商品を増やす中で劣化商品を混ぜ、全体の価値の暴落を招いた。どちらも金融社会を拡大させよう、という試みの中で、齟齬が生じたことから起こる問題です。この根は相当に深く、経済全体を弱めることだけは確実なのでしょう。
最後に、ドイツのことわざを紹介しておきます。『金があるところ、悪魔がもう一山ひねり出す』 これは、資金を有する人のところには勝手にお金が集まってくる、というほどの意味ですが、”悪魔”を”ファンド”と読み変えると、今の世界の状況に当て嵌まると考えます。経済が減速に向かう今、ファンドがどこでもう一山を考えているのか?注意が必要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2007年11月24日

豪州で11年ぶりに政権交代

豪州で行われた総選挙、自由党・国民党保守連合のハワード政権を、労働党が破って11年ぶりの政権交代が実現する運びとなりました。米ブッシュ政権の盟友がまた一人表舞台から消えることになりましたが、イラク駐留軍の扱い、ポスト京都議定書の策定など、日本にも関係のある問題であることも確かです。正負両面を含めて新たな対豪戦略の策定が急がれるところです。

日本は諸外国の政変に対して極端に行動が遅れます。それは事態が日本に都合の良いように推移してくれることを願う、楽天的な思考を外務省が有しているからです。例えばレアメタルなどの資源外交の際でも、中国は対アフリカを精力的に推し進め、日本は完全に出遅れています。
この段階で外務省が求めているのは、駐留外交官の増加という人員補強の策です。確かにアフリカはこれまで戦略上重要でなく、人員も少なかったのですが、レアメタル利権は各国が北朝鮮支援に乗り出す、その段階でも明らかでした。今更、人員を増やしても時宜を失していることは明らかでしょう。長期的な視点が外交に欠けている、この国の致命的な欠陥がここにあります。

では内政面ではどうかというと、金商法に始まる投資信託の減少、改正建築基準法による建設業不況、その他でも個人を守るためと称し、業界に規制をかけて構造的不況を生み出す元凶と化しています。問題は色々とありますが、行政が手を抜きたいために形式を懲りすぎて、自由な競争をし難くなっているという点が見逃せません。
緩和すれば市場参入者を増やして経済が活性化する。4、5年前に主流だったこの考えを見直した結果が今ですが、逆に振れ過ぎてもよくないのです。業者の参入を促す規制緩和と弱者である個人を保護することは、表裏一体であって対極ではありません。その匙加減を間違えると、今回のように緩和しすぎて詐欺や偽装を生み、規制をかけ過ぎて不況を生むという、おかしな状態を導くのです。

外交、内政、どちらも長期的な視野で挑むべきものです。この国が世界の中で生き残っていくためにも、なぜこの視点がこの国には欠けているのか、そこを見直すべき時でしょう。一時期議論にあった省庁再々編まで含めて、構造的な部分にメスを入れても良いのかもしれません。どういう手法をとるにしろ、この国が今の危機を脱するためには何かをすべき、ということだけは確かなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | オセアニア

2007年11月23日

万能細胞の発見について考える

つい先日、京都大学の山中教授の研究で、人間の皮膚細胞に胚性幹細胞内で重要な働きをしている4種の遺伝情報を組み込み、何にでも変化できる万能細胞、人口多能性幹細胞(iPS細胞)を作成できることに成功したことが発表されました。大変喜ばしいことですが、少しこの問題を考えてみます。

これまで研究されてきたのは受精卵の核を取り出し、そこに別の核を注入して定着させるES細胞がこの再生医療の主役でした。しかし人などの生物ではこの定着が難しく、また受精卵を用いることから批判も強く、米ブッシュ大統領はこのES細胞を使った再生医療に難色を示していたぐらいです。
今回、皮膚細胞などを用いることから倫理上の問題はクリアできそうですが、そう簡単にはいかないでしょう。一つに生命を生み出せる細胞となった、iPS細胞の扱いを生命と捉えるのか、それとも再生医療の材料ととらえるのか、という問題が横たわります。

またテロメアの問題もあります。細胞が自己崩壊(アポトーシス)を起こすテロメアのリセットは、受精卵となった段階だといわれます。体内の一部、毛根や胃壁内壁などの活性細胞ではこのテロメアの修復が随時行われていますが、皮膚細胞を使うとテロメアリセットが正常に機能しているのかが気になります。一部にがん遺伝子を用いているともされていますので、無限複製が可能なのかもしれませんが、この心配もあります。
もう一つは細胞内小器官であるミトコンドリアの扱いです。ミトコンドリアは細胞ごとに数が異なり、また今回のベクター(遺伝子を運ぶウィルス)は、あくまで宿主である細胞のみを変異させているのであり、ミトコンドリアに影響は与えていないようです。その時、複製を繰り返していくことに、ミトコンドリアがついて来られるのか?またベクターが元になり発病した症例もあり、その安全性も重要なファクターとなるでしょう。

DNAは過去から現在に至るまで、切り貼りされ、変異する中で受け継がれてきました。今回の手法は遺伝治療にも用いられるものですが、変異後の細胞に異常が起こらないよう、最新の注意は必要でしょう。この手法は突きつめれば、スーパー人間の誕生を生み出す可能性があるものであり、DNAを弄るという手法には常に危険があります。
ただ、この結果には無限の可能性が含まれることもまた事実です。倫理というタガをはめ、一線を越えないという枠組みの元で、正しく使われていけば難病治療や再生医療へと、用途は更に拡大していくはずです。人間は科学を過信し、行き過ぎたり、商的行為の中で理性を失ったりします。今回の発見を正しく発展させて、より人々の生活に寄与するよう、努めていって欲しいですね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 医療問題

2007年11月22日

国の借金と増税議論

国の借金が9月末で833兆6982億円となり、3ヶ月で3兆円弱減少しました。これは政府短期証券の発行残が減ったこと、財投債が減少したことなどが上げられます。しかしこの政府短期証券は曲者で、国の保有資産の増加に伴い発行される場合があり、逆にその残高が減ったということは、外貨準備などが直近の円高で目減りしたことを意味するのかもしれません。
仕組みが複雑で、一見すると何が良いことなのかも見え難いですが、国債の発行枠だけを見る限りでは、借金は増加傾向にあるので、単純に3兆円減少しても喜ぶべきではないのでしょう。

自民党の財政改革研究会で、2010年代に消費税を社会保障費と名を変え、10%超にすることが提言として盛り込まれました。一方で、政府税調でも税率引き上げを明言しており、どちらも時期や水準を盛り込まないものの、すでに規定路線であるかのように自民党は消費税増税一色です。
また政府税調では相続税の基礎控除の引き下げ、配偶者控除、特定扶養控除も縮小の方向であり、国民への税負担を増やす提言ばかりです。一方で経済同友会のように、堂々と法人税減税を国に求める姿勢を示す団体もあります。消費税も同様ですが、世界との比較で税負担を語る場合、国情というものを加味しないと、こういう都合の良い理由付けに使われるばかりです。

そんな中、参院の財政金融委員会では額賀氏の問題が尾を引いています。この問題で最大の懸念は、訪米前の福田氏がぶら下がりの取材で、「よくあること」と庇う姿勢を示したことだと考えています。これは早期幕引きをはかりたい思惑からの言葉ですが、額賀氏はそれと真っ向反対の「出席していない」で乗り切ろうとしています。
民主の追求は具体的なので、実態はかなり解明されているのでしょう。むしろ額賀氏が記憶にないと拒否し続けるのは、内容が政治生命に関わることであり、認める訳にはいかない、との必死さも滲みます。閣僚の引責辞任になるのか、いずれにしろ政権への打撃は否めず、長期化すれば安倍内閣と同じ轍になる可能性も想定できます。

税制議論を行う場合、歳出増を歳入増で賄おうとする姿勢は、これまで継続されてきた形を変えない理由付けをする、怠慢の議論に過ぎません。この守屋氏から始まる防衛利権を明らかにすれば、歳出減に繋がることにもなり、それが国の借金を減らすことに貢献することになるでしょう。
政治家として、額賀氏は自らこの問題に正面から取り組むべきであるのに、そうできないところに、政治の脆弱さが見え隠れします。政・官・業の癒着の構図にどう取り組むのか?経済が混迷する今、安易に成長路線に傾くことも理論破綻していますが、政治が歳出減ではなく増税に頼ることになれば、日本景気の低迷が長引くことにもなるので、その点はしっかりと考えていただきたいところですね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(0)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2007年11月21日

経済の話。乱高下する相場について

東京証券取引所が大変なことになっています。まずこの二日間で起こったことを整理します。昨日は後場から急速に値を上げ、最安値から480円程度の急騰を演じて見せました。しかし今日は一転ずるずると値を下げ、15000円を割って昨年夏以来の14000円台に突入することとなりました。

昨日の上昇は米系ブローカーによる手口です。米証券市場では度々見られた動きですが、FRBが緊急利下げに踏み切るのではないか、そうした噂を流して後場100$以上の急騰を演じ、売り方の買戻しを迫ります。昨晩の米市場も同様ですが、利下げ期待から上昇していたものの、FOMC議事録発表で利下げ期待が縮小、一時100$以上の下げとなった直後、プログラム的にこの動きが働いて反騰しています。
そして日本市場は今日全くその逆、昨日買った主体が積極的に先物の売りに回りました。恐らく風説でも一旦底打ちを示して15000円台に回復すれば、その水準でしばらくもみ合い、その間に売り抜けようという思惑もあったのでしょう。しかし買いは続かず、売るしかなくなったのが今日です。先物の売買ほど現実株式は売買されず、昨日も値上がり銘柄数の方が多い、つまり買い手不在が今の日本の証券市場です。

問題の根が深いのはドル安、原油価格高騰、いずれも是正する策を当局が持ち合わせていないことです。米国では今週からブラックフライデー(黒字の金曜日)ですが、小売業の雇用が伸び悩んでおり、売り上げ悪化を織り込みつつあるのではないか、との観測も流れます。米国経済を支えていた小売が鈍化しても、仮に利下げでそれを乗り切ればドル安は進みますので、安易に利下げを指向するわけにもいきません。
それでいて相場が利下げ期待の風説で上昇するのは、それだけ金融が弱体化している証拠です。米連邦住宅抵当公社の赤字転落が良い例であり、格付けの高い証券を発行していたこの機関が経営に苦しめば、その証券を購入している金融機関が連鎖破綻に陥る、そんな懸念も芽生え始めました。

日本にもサブプライム損失が拡大していますが、本来、中小企業や地元産業への貢献が大きいはずの地銀、信金が米国の債務担保証券に投資していたのは何故か?それは日本の金利が安く、運用先に適していないからです。残念ながら、日本の景気が活性化しないのはこういう点にもあるのですね。
恐らく、今回の相場急騰の動きというのは、証券市場がジリ安になると経済全体が破綻するという潜在的な恐怖、それらも含まれていると感じます。今後、資金繰りが悪化した企業の連鎖倒産、そうならないように、機動的な金融政策が今は求められているのであり、それがない間は当分この混乱は続くのでしょうね。

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2007年11月20日

福田氏の来月訪中発言と衆院解散

東南アジア諸国連合(ASEAN)でASEAN憲章が調印されました。発行に向けてはまだまだハードルも高そうですが、東南アジア地域が難しいのは、政治的にも軍事的にも繋がりが薄かったこと。少数民族も多く、文化圏も多様であること。そして一番は植民地の歴史を有し、その間に西欧文明が異なる国家の名の下、押し付け的に与えられて未だに影響力を持っていることです。
ミャンマーの問題もそうですが、政情不安も根強く、またそれを押さえ込めるだけの強力な統治権ともしないASEAN憲章では、例え統一機構を作っても統率が取れない可能性があります。EU並みということではなく、憲章の中身は見ていませんが、この憲章では地域間の相互補助を保障する程度の繋がり、と理解するべきなのでしょうね。

福田氏もこのASEANに参加していましたが、その中で中国の温家宝首相に来月にも訪中をしたい旨、首脳会談で伝えたそうです。これは良く見れば、中国の経済成長に乗って日本の成長も促したいとする期待の表れ。悪く見れば、中国に出向いて挨拶を済ませることで、東アジアの序列順位を明らかにしようという、中国の意向に沿った動きということになります。
福田氏就任後、これで首脳会談は済ませたことになりますから、時をおかずに訪中する必要はありません。外交面では事務方の調整で済む話も多く、よほど重要な決定でない限り、元首が赴くことはないのです。仮に訪中が来月実施されるようなことがあり、外交成果を携えずに終わるようなときは、後者の通りの表敬訪問ということになるのでしょう。

では、それが実現するための国会日程はどうかというと、再延長も視野に入れて動いています。帰国後に党首会談が予定されていますが、ここで野党を説得できる唯一の根拠は、米国の態度硬化が日本の国益に反することを訴え、テロ特措新法の必要性を訴えるということだけでしょう。逆にそれ以外の条件では、政局の愚に陥ることになり、野党党首も首を縦に振ることはありません。
これに絡む動きとして、衆院解散時期がいつになるのかですが、伝家の宝刀を抜ける条件は二つ。予算の年度内決着を見送ること、及び大連立なり参院の勢力盛り返しに寄与する動きが背景にあるか、です。多くの識者の指摘にあるように、例え自民が勝っても衆院の議席数は減らしますから、3分の2条項を捨てて行う覚悟が必要です。

一方で財務省の力の強い、今の政権中枢で予算成立を金繰り捨て、政局に走れるのかという疑念も付き纏います。恐らく、衆院解散の最後のタイミングは党首会談後、投票日は年内になると考えます。その時は選挙後の政局等、かなり波乱含みになることも予測され、国会日程も含めて厳しい状況が展開することになるのでしょうね。

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2007年11月19日

OPEC首脳会議が閉幕

石油輸出国機構(OPEC)が開かれ、リヤド宣言をもって閉幕しました。7年ぶりの首脳会議であり、増産などの対応が盛り込まれるかと考えられていましたが、宣言の中には盛り込まれず、投機的な動きのけん制と地球温暖化問題への連携という、極めて穏当な波風の立たない宣言で終わりました。

日米は増産による価格安定を求めていたものの、現状の原油価格は実需ベースではなく、投機的な動きに左右されるのですから、投機の流れを監視する方が先だとOPECは言いたいのです。12月の総会に増産協議を先延ばししたのも、形式だけで実際は増産も難しいところなのでしょう。
産油国は昨今の原油高で潤っていますが、設備の老朽化も著しく、最近やっと積極的な設備投資に動き出したところです。増産を打ち出したところで、先行きの日量は限られますから、対策としての効果も薄くなります。更にこの価格高騰が地球温暖化の抑制に繋がり、原油依存の脱却を促すのですから、環境対策だけを考慮すれば安易に増産を容認して良いものでもありません。

そして反米のイラン、ベネズエラが声高に訴えるように、ドル安が産油国に与える影響も大きく、ドル離れを加速させる流れが今後起きるのか、です。すでにドルペッグ制から離脱を表明したOPEC国もあり、悲願だった統一通貨への道も絶えてしまっています。OPECにとって、基軸通貨が落とす価値で減収となる、極めて憂慮すべき問題であり、サウジ等の親米国もいつまでも他国のこの動きを抑え切れるものでもないでしょう。
先物を商う市場はどうしても投機の流れが強くなります。米国は市場に資金供給を続け、この投機の動きを助長しているのですから、OPECばかりに頼って原油安を促すのも随分と虫のいい話です。しかしOPECとて、経済鈍化で原油の需要が減れば価格が下がり、現状の右肩上がりの経済成長が損なわれます。この辺りのバランスは非常に難しいところに来ていると考えます。

米国がイラン革命防衛隊をテロ組織と認定し、資産凍結などの単独制裁に乗り出しています。ペルシャ湾の緊張が高まる中、仮に米軍がイラン攻撃に移った際、自民党の給油支援法で本当にイラン攻撃に転用される恐れがないといえるのか、またそれを検証する術があるのか、それらも議論の対象であって良いでしょう。この地域の安定が不可欠であると同時に、日本が対イラン攻撃に加担したと見なされた場合の影響についても、今からその考察をしておくことが不可欠なのですから。

analyst_zaiya777 at 22:52|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 中東 | 経済

2007年11月18日

雑感、世界で進む変革の流れ

セルビア南部、コソボ自治州の選挙で早期独立を掲げる最大野党、コソボ民主党が第一党となりそうです。そうなるとアルバニア系住民の独立の機運の高まりとともに、再び情勢が悪化して戦乱となる恐れもあります。現在、世界では改革を求める国民の声が大きく、世界経済が驚くほど堅調に推移しているにも関わらず、政治の世界は混迷、もしくは変革の流れが顕著になっています。

パキスタン情勢では、米国が核管理費用として1億$の計上が指摘されています。しかしこれも、ムシャラフ政権次第で核兵器の行方は米政府の管轄外におかれることになりますので、予算の妥当性とともに、イスラム勢力への核拡散が現実味を帯びることになります。
つまりこの世界の動きは、急速な経済発展がもたらす国内における貧富の差を解消する術をもたない国が、従来よりある民族的、宗教的対立を契機に、緊張を高めることになる。その後、民主的とされる選挙が従来の価値観に基づいた最大多数から、混迷下における最大多数へと変質してしまったことが、大きいのだと考えています。

日本でも先の参院選から引き継ぐ流れのまま、大阪市長選も民主、国民新推薦の平松氏が当選を果たしました。4選を目指した関氏では、旧来型の政治制度からの脱却が難しいと感じた市民が、これまでと異なる体制を求めた結果なのでしょう。多額の負債を生じた原因は何か、その解明もないまま従来型の政治体制を継続しても、それは根本的治癒にはならない。どうせなら、体制そのものを変えるべき、という意識が生む流れなのだと考えます。
今回、テロ特措新法でも語られることですが、これまで行ってきた給油が法的に正しく行われていなかった、ということが判明しています。しかし与党からその反省と原因究明、対策が発表されることは、ついぞ有りません。必要だから、で押し切る与党の体質を継続している限り、国民理解は進まず、日本でも変革の流れで政治は動いていくのだと思います。

問題はそれで良いのかどうかより、今の政治に国民が倦んでいる、ということです。大連立後の流れで自民の方が支持率低下を招くのも、失望感をより繁栄させるのが政権担当の与党の側である、ということなのです。この流れを抜本的に変えない限り、自民党は今後の選挙でも厳しいことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:54|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2007年11月17日

福田首相による初の日米首脳会談

昨日少しふれた対米証券投資、9月はプラス転換しました。ただ268億$は額とすると、8月の流出額に較べて小さく、オイルマネーが支えた形ではあるものの、それ以外の投資家が米国にどんなスタンスで今後のぞむのか、もう少し様子を見る必要はあるのかもしれませんね。

福田首相の就任以来、初となる日米首脳会談が開かれました。最大の問題は、今回の日米首脳会談は形式的な、友好関係の演出すら米国に行ってもらえなかった、ということです。レームダックの進むブッシュ大統領が、対外関係の良好度合いを国内に向けてアピールする、今回の会談は良い機会でもあったはずです。しかし小泉氏とのキャッチボール、安倍氏への出迎え、そして今回福田氏のときは…、米国からは何もありませんでした。
今回はアジア外交を優先する姿勢を示した福田氏の、ご機嫌伺いの会談とも言われますが、相対的に米国から見た日本の位置付けの低下は否めず、極端にいえば今更日本に好意的な姿勢を示す必要もない、という米国の態度に見えます。思いやり予算の削減提案、給油支援の停滞、牛肉解禁、更に日本の政局の混迷など、福田政権に多くを期待することは出来ない、との思惑の表明とも見られます。

特に北朝鮮の拉致問題など、大統領の「忘れることはない」の発言の裏には、「行動に移すかどうかは不透明」との思惑も滲みます。ヒル次官補はテロ指定解除について、拉致家族に「大統領に聞いてくれ」と発言し、大統領側近は「ヒル次官補に聞いてくれ」と述べているようです。
たらい回しにすることで、米国にとって指定解除は規定路線であり、日本側に説明することは何もない、ということだと分かります。福田氏がこの点で強く切り込めないのも、今回日本側が『お土産』的条件を示さなかったことでも分かる通り、双方に妥協点がない会談だからなのでしょう。つまり事務方で調整のついた話は何一つなく、一国の代表同士が集まる頂上会談が極めて低調だった、ということを示します。

米中が接近すれば日本が立場をなくすことは容易に想像できたはずです。これはやるべき時に日本が主体性をもって、日米関係の構築に務めなかったツケであり、米国の政治情勢が混迷した時、それに反して日本側が要求を出していけばこうなるということなのです。もう一度、対米だけではなく対世界という視点で、日本外交を見直していく必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(0)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2007年11月16日

経済の話。要注意となった証券市場

今日の日本市場は再び弱さを見せました。米国ではFRBが472億5千万$という、同時テロ以来最大規模の資金供給を行っています。GM傘下の金融運用会社の破綻懸念など、信用リスクが拡大傾向にあり、連鎖破綻に陥らないよう資金供給で乗り切ろう、というこれは強い態度だと考えています。
ここまで来るとサブプライム懸念より、米国の景気後退が世界規模で拡大する懸念、という理解の方が良いのでしょう。中国で「米国景気の鈍化で輸出が急減速することへの手立てを考慮」と関係者が述べたことでも分かりますが、米国経済が弱含んでも新興国の成長が支える、というシナリオを覆す内容が意識され、世界経済の見通しに不透明感が高まり、リスク警戒が強まっているのです。

私は9月頃に年末は日経平均で13000円台という見通しを出しましたが、これもサブプライム問題に米国が適切に対処し、一旦日米の株は弱含んでもその後新興国経済に支えられて回復する、という前提の見通しでした。しかし米国では未だに損失範囲が確定されず、評価損の計上と格付け悪化で、更に評価損を計上しなければならない負の連鎖に陥っています。問題が長期化すれば、影響範囲は拡大して世界はひどい被害に見舞われることになります。
最悪のシナリオは、米国がはっきりと景気後退を認識する時には新興国も成長が止まっている、共倒れの状態です。私は今のFRBの大量資金供給による、楽観論を撒き散らすだけの対処では、いずれこのシナリオが現実味を帯びる段階が来ると考えます。例えばシティが主導する800億$の基金の設立でも、シティだけで1100億$(傘下の金融機関を含めて)のサブプライム関連商品を抱えているといわれ、シティ救済だけに終わる可能性もあります。対米投資がマイナス転落しましたが、この流れが継続するようだと、米国経済は更に危険も増すのでしょうね。

日本でも今週半ば上げましたが、TOPIX先物の動きが止まると途端に売りにおされる、極めて脆弱な相場です。日経平均先物は裁定に絡む取引以上の売買が行われ、買い方はTOPIX先物を弄って上昇を演じているのです。しかしこうした相場つきが、一般投資家の証券市場離れを更に促しているのであり、売買高が盛り上がらない原因となっています。経済指標に応じた値動きではなく、一部の人間の思惑が強く左右される相場であり、一般投資家にお奨めできる安心できる相場ではありませんからね。
15000円割れを食い止めようとする国内勢と、蓄えた日本株をショートし、現金化しようとする外国勢と、その綱引きの中で今後どう動くのか?一部にヘッジファンドの年末ドレッシングは、高値ではなく安値でとってくるのでは?という観測も流れ、非常に警戒が必要な局面にきています。安易に楽観論をもつことは、戒めるべき時だと思いますね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2007年11月15日

防衛省の問題と増税議論

守屋前防衛次官の証人喚問で、ついに久間元防衛相と額賀元防衛長官の名があがりました。今後この2名にも証人喚問なのか、参考人招致なのかは不明ですが、国会としても何らかのアクションがあるはずです。額賀氏が記者に対してしどろもどろに返答していましたが、はっきりしたことはこの問題が今後どう決着するにしろ、額賀氏が首相候補に名を連ねる可能性はなくなったということです。党内情勢より、スキャンダルに名を連ねた人物は国民ウケしませんからね。

消費税増税に向けた議論を進めていた自民党の財政改革研究会が、経済の混乱をうけてトーンダウンを示しています。先に福田首相が経済財政諮問会議において新成長戦略の検討を指示したように、経済団体の意向を受けて、与謝野、谷垣氏らの財務省主導型の財政改革から、景気配慮型の税体系を模索し始めたということなのでしょう。
ここで問題なのは、先に法人に関する減税が実施され、個人には優遇が廃され増税となっています。更に法人税を世界基準に合わせて減税、という話もあり、所得、収益に対して負う納税の比率が個人と企業で差がつき難くなっていることです。そして今回の防衛省の問題でも明らかになった、国の無駄遣いをどう防ぐのかという議論もなく、歳入だけを変えても何もならないという点です。

例えば、法人税減税には内需寄与度の高い企業は納税額を低くする、という考えがあっても良いと思います。労働分配率を改善した企業、中小企業の活性化に注力した企業。その判断基準は難しいですが、外需の好調さが内需に波及する、日銀や政府が錦の御旗として掲げていたこのお題目に、そうした対応を示すことで合致する政策となるでしょう。
税制を考える時、一つの指標を眺めて不公平感を論じることは危険であり、構造全体に及ぶ考察があって、初めてその国に適した配分が決まると考えます。この国はそうした大枠の議論がし難い社会ですが、今は少しだけ未来を見据えた国家像を論じられる、良い機会でもあると考えます。道路財源にしろ、インフラ整備が社会拡大を促すとした従来型の浪費社会は見直すべきなのです。

本来、官僚が自己の利権を追求する段階では、選挙で選ばれた国民の代表たる政治家が、無駄遣いに繋がるそうした利権構造を正し、国を良い方向へと導かなければなりません。しかし政治家が官僚とともに、その利権にたかる構造自体に大きな問題の根があります。今回の防衛利権にまつわる闇の解明、日本の無駄遣い、政治家と官僚による悪しき利権構造にメスを入れるためにも、しっかりと白日の下に晒していただきたいと考えています。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2007年11月14日

雑感、国会の動きなど

国会同意人事で28人の案件に対し、3人の否決を出すという56年ぶりの出来事がありました。官僚の根回しが自民党だけでなく、民主党にも必要になった結果ですが、重要な内閣総理大臣の選任は例え参院で否決されても衆院側に戻って採決がされ、可決されます。
しかしこの人事は参院で否決されるとそれで終わり、一度の採決で全てが水泡に帰すものであり、極めて厳しい人選が求められるということでしょう。問題は天下り云々より、官僚側が頭に据えようとする人物の能力であり、適任かどうかよりも体制に従順で文句を言わない人物、ということで選任されては何もなりません。経済財政諮問会議の民間議員が財務省作成の資料を自分たちの名で提出したように、仮に民間人であっても官僚機構の代弁者となっては意味がないのですね。

国会では、やっと内閣提出の法案3つ(消費生活用製品安全法、電気用品安全法、気象業務法)の改正案が成立しました。誤解されがちですが、国会では緊急で法案を通す以外一ヶ月以上の審議を要するものであり、大連立構想を語る際に法案が一本も通っていないことを理由に上げる人物が未だにいますが、9月末から動き出した国会なのですから、この時期辺りから可決される法案が多くなるのは当然であり、それが大連立の理由とはならないはずなのです。
一方で、参院におけるイラク特措法廃止法案の審議入りで与野党が合意しました。これは自民党が提出したイラク特措新法の早期審議入りを目指し、衆院に送って否決される廃止法案を優先して行い、早めに採決しようという動きです。この行方次第で国会は再延長され、年をまたぐ可能性もあり、今後は駆け引きが熾烈を極めそうです。

話は少し変わりますが、ブッシュ大統領が「強いドル」の維持を表明しました。しかし米政府はここ数年は口先のみであり、実質的な介入は皆無です。そして福田首相も外国人記者の取材に「急激な円高は介入もあり得る」と示唆しました。かつては為替相場に日銀介入があると示唆するだけで、影響を行使できましたが今は違います。
それは市場が最も嫌う、影響範囲が把握できない不確定性を有していないからです。日銀は過去に度々介入を行い、その影響度合いはもう市場の予測の範囲内の動きであるため、全く怖いものではなくなりました。更に円安時に介入せず、円高のみ介入するようだと、諸外国の理解も得られません。どの国も開かれた市場を標榜しており、人民元と同様、介入を容認してよい空気でもないのでしょう。

最後に福田氏が風邪をひいているようですが、米国とは北朝鮮の拉致問題や、在日米軍への予算削減、テロ特措新法の問題など、話し合うことは山積みです。これは体調なので仕方ありませんが、初の外遊ですし、妥協せずにしっかりとした外交を展開して欲しいところですね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2007年11月13日

衆院をテロ特措新法が通過

衆院本会議で今日、テロ特措新法が可決されて参院へ送付されました。この法案では未だに自民党が、「国会の法案審議を経ているから事後の承認等の行為は必要ない」と説明します。法案の中身に給油量や給油先、その運用先までが明記されているはずもないのですから、これは文民統制、監視機能の働かない、透明性を排除している法案でしかありません。

仮に自民党が国会における承認を法案の中に盛り込めば、この法案はもっと国民の理解がすすみ、各メディアで実施された世論調査でも、もっと賛成が高率に増えるはずです。しかしこの承認行為の排除が、結果的に国民に対して軍隊活動の不透明性という、忌まわしい記憶を想起させることになり、反対意見も多くなります。
結局この点に違和感が残る限り、世論の支持は得難いということです。承認を排除すると、国会運営上の不都合だけを考えていることになり、世論形成にもっとも重要な説明責任を果たしていないことにもなります。更に防衛省の問題と同時平行でこの法案審議は進んでいますから、不透明な部分を残すことに国民は不安も感じています。結果、国際貢献と不透明性の天秤の中で、世論は戸惑っているということでしょう。

海外に派遣されていた自衛隊員が16人、自殺をしていたとする答弁もあります。理由については語られていませんが、国民が自衛隊の活動に懐疑的になり、理解が進んでいないという意識をもてば、自分たちの行動に自信をもてなくなるものでしょう。
組織腐敗が進む最大の原因は、その組織が透明性を排除した時です。守屋前事務次官の問題など、防衛省が入札を私利私欲で思うままにし、公平な競争を排除してきたからこそ起こった問題であって、何ら言い訳もできないところです。更に米軍移転に関わる問題等、防衛利権に関する部分が明らかになるにつれ、無駄遣いの温床となっていたこの組織に、承認をなくした行動を許して良いのか、という議論も沸きあがりそうです。そうした不安に答えるためにも、透明性のある活動を国会は後押しするぐらいの態度でいくべきなのでしょうね。

最後に、今日発表されたGDP速報値が年率換算2.6%と、住宅着工件数の落ち込みをカバーして、輸出と設備投資が支えた形となりました。これは良い数値であり、今日の相場の下支え要因にはなったのでしょう。ただ円高進行や、地銀からも次々に計上され始めたサブプライム損失、株式相場の下落で持ち合いを強めた企業による評価損の計上等、企業業績にも不透明感が漂います。日銀が政策金利据え置きを決めましたが、経済の先行きに当分自信のもてない局面が続くのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2007年11月12日

経済の話。世界同時株安(11月12日)

世界同時株安です。これはサブプライム問題以外にも、中国の抑制策が今後も続くとする警戒感、そうしたものが世界を覆い、アジア、欧州と巡り、米国に波及してそれが再び日本を襲っているものです。今回、CDOを売り叩いて儲けを出したヘッジファンドが、金融株を売り向かったことが下げの規模を大きくしているともいわれます。
ヘッジファンドの45日ルールで年末の解約売りを担保するために、15日まで売り急ぐのではないか、とする憶測も下げを誘います。問題は今、テクニカル指標の下げ過ぎ感は下支え要因とならず、ヘッジファンドのショートがいつカバーに向かうのか、という位置付けで下げ止まる水準が決まる、ということになりますので、早計の押し目買いは全く通用しないことです。

私は当面日経平均は16500〜15500で推移するのでは、と先週しましたが、その水準を今日一日で割り、一時14000円台に突入しました。私は逆に15500円を切ると、下げが加速して下値水準が見え難くなるという観測も働いていましたので、その水準を今日切ってきたことで、もう少し下を試す可能性も考えざるを得なくなりました。
日経平均より更にひどいのはTOPIXで、全く下値抵抗線がありません。ひねり出しても1400pt割れにしかならず、テクニカルは通用しないといって良いでしょう。下値は先に述べたようにヘッジファンドの思惑で決まるので、売り叩きがいつ止まるのかを横目で睨むしかありません。

更に為替は110円を割り込んできました。米国ではすでにドル売りポジションに傾いていますから、東京市場の個人の買いでもドル安を抑えきれません。本来、国力の強さが為替の強さに比例するものですから、これまでの日本のように円安、株高というのは少し異常な状況なのです。更に今回の為替の動きは円高ではなくドル安です。日本の国力が評価された訳ではないため、円高、株安の流れに陥ってしまっています。
その動きを端的に示すのは、OECD景気予測で日本は先進国中で唯一『強い下げ基調』と判断され、先行きの見通しは米国より悪化する傾向にあることを、世界に向けて発信されてしまったことです。これで世界は日本買いに向かい難くなったのでしょう。

日経平均がこの水準まで来るとプログラム的に売らざるを得ない、そうした動きも出てくると考えられます。世界が同時株安となり、世界から一気に資金が消えつつある時には、理屈は全く通用しない突発的な動きも出易くなります。アジア通貨危機を髣髴とさせる、ヘッジファンドがいつ売りをやめるのか?その水準次第では経済危機が本格化する可能性もある、そうした警戒をしておいた方が良いのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:56|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2007年11月11日

米国の中東政策について

昨今、中東地域の情勢以外にも世界に紛争ごとが絶えず発生し、小規模ながらも国内情勢が緊迫化する事態が頻発しています。その中で米国の態度は両極端であり、世界戦略上で自国に都合の良い立場で、理念なき外交を展開しているように見えます。

ライス国務長官が今月初め、トルコ入りし、クルド人武装勢力組織(PKK)に対するトルコ軍の動き、越境軍事作戦について協議を進めました。米国は作戦の回避を求めていますが、イラク北部に跨るクルド人テロ組織は敵視しており、何らかの行動については否定していません。
ワシントンでブッシュ大統領とトルコのエルドアン首相が会談し、当面の軍事作戦は延期されましたが、トルコ側は「忍耐の限界」と述べたように火種は燻っており、いつ導火線に火がつきかねない問題です。仮にトルコが越境作戦を強行するときは、米国側も支持に回らざるを得ず、その時はイラク側からの両面作戦を展開するものと思われ、中東が一気に緊迫化しそうです。

一方でパキスタンでは、ムシャラフ大統領が非常事態宣言を発令し、政治情勢が一気に緊迫化しました。米国はムシャラフ大統領を支援してきましたが、民主化の波を覆す今回の強硬な手法にも、態度を決めかねるような動きを示しています。ムシャラフ大統領が下院選を1月初旬に実施する発言を行っていますが、最高裁判決が仮に大統領の意向にそぐわない場合は更に国内は混乱するでしょう。
問題はパキスタンが保有する核であり、米国が懸念しているのは、イスラム勢力で唯一の核保有国であるパキスタンが、反米の気を強めて核を拡散させることでしょう。ここでパキスタンの支援を停止すれば、アフガンやイラクの二の舞となり、米国に敵対する勢力の押さえ込みに軍事力を行使しなければならなくなります。

米国はミャンマー軍事政権を敵視していますが、一方で北朝鮮には宥和政策をとっています。両軍事政権が近いことは周知の事実ですが、核情報の漏洩は出元を管理下におくことで対応する、米国のその姿勢は北朝鮮が強硬路線に転換すると、一気に崩れる脆弱な政策です。短期的な利で動くと、いずれここでも米国の失政により緊張が高まる可能性もあります。
世界一の軍事力を誇る米国は他国に対しても静観は許されず、制裁か支援かで区別される、そうした外交政策を展開しています。問題はその政策も、米経済の行く末次第ではどちらも行き詰まり、結果的に世界は流動的になる恐れもあることです。ドル暴落と双子の赤字を抱えた米国が、実力を行使し続けるために日本に支援を求めることは、ゲーツ国防長官の発言でも明白です。その時、日本は更なる負担に耐えられるだけの財政事情なら良いのですけれど、そうでない場合はかなり難しいことになりそうですね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 中東

2007年11月10日

経済の話。米国の混乱

米国経済が不安定な状況に陥っています。一時の楽観論は陰を潜め、ダウは13000$割れ目前であり、NASDAQは2650ptを割りました。これが深刻なのは、ドル安と同時進行で起こっていることであり、欧州勢や日本から見るとその価値の下落は見た目以上に大きくなることです。

これはサブプライムの問題というより、私はFRBが8月以降に行った対策が失敗に終わった結果だと考えています。7月から続く金融機関の混乱で、欧米の中央銀行は資金供給を続け、その間にFRBは二度の金利引下げを行い、政策金利を5.25%から4.5%にしました。
更に9月の声明文でインフレ警戒を弱め、景気刺激策を優先して市場に楽観論ばかりを広げました。その間に起こったことは原油や金の最高値更新であり、資源高騰の波が全世界を襲い、それによるインフレの進行です。米では10月の輸入物価指数が1.8%と高い伸びを示し、これまで抑制のきいてきた米国内でもインフレが意識される水準まで高まりました。

経済の基本に有るのは、市場に流通するマネーの量と流通する物資の量の関係です。FRBは一時的にしろ資金量により不安感の解消に努めましたが、これは諸刃の剣の政策です。インフレ抑制が効いている間に経済が巡航速度に戻れば良し、そうでなければインフレ進行が経済全体を急速に悪化させる可能性もある、ということになります。
バーナンキ議長が「顕著な減速」や「来春まで混乱は続く」、「サブプライム損失は1500億$に拡大の可能性」と議会証言で述べたことは、全て8、9月の自身の発言を覆すものであり、当初見込みより想定以上に経済事情が悪化していることを示しています。つまりこれはFRBが一時的な景気刺激策をとったものの、経済混乱は収まらず、今後の対策が非常に厳しいものになったことを示しています。

この段階にいたってもFRBは資金供給を続け、金融市場における12月の利下げ期待値はほぼ100%に近付いています。ダウが13000$台をキープしているのもこの期待であり、それにそぐわなければ更なる下落も見込まれる状態に陥っています。FRBが両睨みの金融政策に移行せざるを得なくなった今、米国経済には更なる警戒も必要です。
本来、8月で利下げと同時に文言だけでも資金供給はやめ、インフレ警戒と両睨みであることを示しておけば、もっと尤度のある経済政策がここにきて出来たはずです。今資金を吸収などすれば、金融不安が拡大して更に混乱が進む可能性もあります。たった一度だけ使える景気刺激策とインフレ警戒との両立の政策を見送った先に、インフレが発生したのですから、FRBが今後支払わされるツケは大きいのだと思いますね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2007年11月09日

メディアと政治の透明性

今日も大連立構想の提案、小沢氏の辞任表明、撤回、の余波で永田町には様々な動きがあります。鳩山幹事長が野党の協調路線の確認に動いていますが、次の衆院選の結果次第では連立も、とも述べていました。民主党は基本的に、自民党以外の選択肢としての受け皿でしかありません。仮に連立を前提として選挙戦を戦った場合、票は集まらないということだけは憶えておいた方が良いのでしょうね。

今回、読売代表の渡辺恒雄氏が大連立構想に携わったといわれ、私は読売側の動きに注目していました。メディアに携わる者が直接的に政局に携わったこと、また論説委員として、紙面上でも持論を展開して世論を煽ったこと等について、今回どういう説明をするのかに興味があったからです。
公人として渡辺氏が動くこと、そのものは決して悪いことではありません。問題はその持論を紙面上に展開したからには、その後に何らかの主張や行動を公にする、そうした必要を感じるかどうかです。よく政治の密室性をメディアは批判しますが、これでは読売側にその正論を主張する論拠が失われます。今回、問題がこれだけ拡大したのですから、行動と言動、その全てを詳らかにすることが出来なくとも、少なくとも経緯だけは説明すべきでしょう。

つまり全ての問題で、特に注目度の高い問題では、発言しないことを罪とする主張で記者は記事を求めます。国民に真実を伝えることが記者の使命だからですが、社内の問題では常に言葉足らず、説明不足で済ませようとします。これでは自分にとって、都合の良い記事だけを選別して相手に伝えていることになり、メディアの使命とは大きく乖離していることになるでしょう。
こうしたものは多かれ少なかれあるものですが、であるからこそ経緯を説明し、賛否両方の意見を並べて、対比する紙面づくりに務めるべきではあるのでしょうね。それが公平性でもあるのですから。

米上下両院で大統領の拒否権を覆す決定がなされました。日本の3分の2条項と同じであり、与野党議員が必要と思われる法案に党派を超えて賛成したのです。これは日本でも可能であり、それが本当に日本にとって必要な法案で、党利党略によらない決定を下すのなら、党内拘束をかけずに全ての法案をオープンにして協議も採決も行われるべきです。そうすることによって利権による発言かそうでないのか、国民が判断することが出来ます。
大連立の愚とは協議の透明性が国民に見えないことであり、かつ行政監視が機能し難い、立法府と行政府の癒着構造が続いてしまうことです。防衛省の問題でもどこまで利権構造に食い込めるのか、東京地検の動きに期待していますが、族議員や官僚が国を食い潰すことがないよう、政治の場もメディアも、常に透明性を確保して監視機能が働くよう努力することが大事なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2007年11月08日

経済の話。米国でサブプライムが再燃

米国発の世界同時株安の波に襲われ、日本はこの五日間の続落で1100円の下落、16000円も割りました。これを”サブプライムの亡霊”と称する人もいますが、サブプライム問題はこれからが本番であり、息の長い展開を予想しています。その流れの参考になるのがシティです。
シティグループが総額で2兆円規模に損失が拡大する可能性を発表しましたが、これに基づき格付け会社が格下げを行い、そこで投資適格を下げたCDO等の債券が捌けなくなり、再び評価損を計上する。これは負の連鎖であり、凋落を食い止めるには評価損ではなく、完全に債券を切り離すしかありません。しかしその債券自体がSIVなどに保有され、全体像が掴めないとも言われますし、そうなると手立てすらありません。

そんな中で連邦当局が住宅格付けに対し、不正に高い格付けを与えていたのではないか?とする調査を開始しました。住宅金融のワシントン・ミューチュアルが27-29億$の損失を発表していますが、この動きで住宅価格の一層の低下を招く恐れもあり、更にそうした住宅ローンを組み込んだ債券の格付けも低下し、価格も下がっていくことでしょう。
更にGMが繰り延べ税金資産の取り崩しで、4兆円を越す負債を7-9月期に計上し、金融以外の企業収益にも影響が出始めています。米国では一旦弱含んでも10-12月期にV字回復、というシナリオが崩れたことが、今回の米株安の背景です。しかもここに来てドル安と資源高が進み、更にサルコジ仏大統領のように、公の場でドル安に言及するトップも現れたことで、FRBも利下げ継続が難しくなりました。
昨日の中国高官や世界で活躍するトップモデルが給与支払いをユーロ建てで要求、などの記事もありましたが、ドル離れを加速させる金融政策にはこれ以上踏み込めないからです。それを裏付けるように、市場の利下げ期待を冷ます発言をFRBは行っており、当分利下げ期待のバーナンキ・プットはおき難い状況が続くことになります。

しかもここに来て中国が成長重視路線から協調へと、共産党大会から舵を切っています。香港市場への中国個人の投資解禁を停止し、過剰流動性に基づく投資を抑制する発言を繰り返し、更に外貨準備をユーロ建ての比率を高める発言をするなどです。国内のバランスを考えた政策なのでしょうが、世界経済に冷や水を浴びせる手法を中国がとり始めています。
米国経済への不透明感以外にも、中国の動向も波乱要因として注意しておくべきでしょう。そんな中、日本経済は下支え要因もなく、財政再建を増税議論で賄おうとするその政治の側の姿勢にも、外国人投資家は失望の色を強めています。経済が弱いときに更に国民負担を増やす政策をとれば、影響が拡大してしまうことは明らかです。長期的には増税が必要だとしても、時期を逸した政策は失政に繋がるものです。今の日本経済に何が足りないのか、もう一度考えて税議論を進めて欲しいですね。

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2007年11月07日

経済の話。最近の市場の動き

今日の民主党の両院協議会で、小沢民主党代表の続投宣言をしました。これで分かったことは小沢氏は民主党を離党して政界再編を志向せず、また大連立は不可能となったということです。小沢氏が真摯に「役員会に諮る」と述べているところから見て、小沢氏は選対色の強い代表として、衆院選を戦うまで居残りという形なのでしょう。後一回の選挙戦しか戦えないと本人が述べているところから見て、仮に政権奪取でも燃え尽き症候群で引退するのかもしれませんね。

内閣府が昨日発表した記事で気になったのが、景気先行指数で10年ぶりに0%を示したことです。これは11の指標を統合した数値で割り出されるものですが、50%が判断の分かれ目とされており、0%というのは先行きの指標に良い数値が全く出ていないことを表します。
外需の活況が日本経済を潤す、そう言い続けられながら、波及効果はほとんど見られませんでした。現状、対米輸出より旺盛なアジア向けが日本の輸出を支えているといわれますが、アジアとて対米輸出で稼いでいるのですから、巡り廻れば米国の影響が全世界に及ぶことになります。

更に今日の市場の動揺は、モルガンスタンレーが10-12月期に負債を計上するのではないか、とする記事もありました。が、もう一つの原因は中国高官が「外貨準備の一部をユーロ建てで」、とする記事がドル離れを印象付け、ドルが安値をつけて金、原油などのドル建て決済される資源価格の高騰が進んだこと、なども上げられます。
原油は100$をつけない限り、もう納まりがつきません。今は投資の世界全てで同じ流れですが、実需やファンダメンタルではなく、マネーを操る人間の都合が大きく影響します。イベントドリブン型と呼ばれるマネーが暗躍し、材料に応じて上にも下にも行き過ぎの動きを生みます。

そして気になるのが、ユーロ建てで見ると日経平均は最安値を更新、ダウも最安値近辺に接近するなど、円、ドルの2弱通貨の今後です。この2つの市場で損失を抱えた欧州勢が、見切売りを進めている。これは今年売り越しに転じた欧州勢の動きとも合致します。今日はドル、ユーロで円は異なる動きを示しましたが、ドル暴落説も囁かれ始め、為替の動きには警戒も必要なところでしょう。
11月はヘッジファンドの解約売りも出易く、この流れはしばらく続きます。これまで17300〜16300の範囲と予測してきましたが、もう一段下の16500〜15500の間で当分推移しそうです。中間期の企業決算も出てきましたが、増益率が高くなく、頭打ちの傾向も見られます。先の景気動向指数と同様、先行きは不透明感ばかりが漂うようになりましたね。

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2007年11月06日

小沢民主党代表が辞意を表明3

小沢氏が今日、辞意を撤回しました。この3日間の民主党の混乱は何だったのか?その辺りをもう少し考えてみます。今回代表の座に留まったことで、当初の説明にあった「混乱を招いた責任」は、それ以上の混乱を及ぼした今回の動きに対して責任をとらない、という逆の動きになります。
代表に残るとしても期間を限定し、後継候補を育てた後に勇退、という道筋が道理でしょう。そうではなく代表の座に留まり続ければ、説明責任という以上に政治家の発言の重みが失われることになります。出処進退に関しては、それが重い人間であればあるほど、より慎重でなければなりません。後に続く者がそれで混乱し、事態を悪化させるような辞任の仕方というのは、むしろトップとして最悪の事態の幕の引き方と呼べるものです。

小沢氏は今回、あまりに自分の意見が国民から支持されていないことを知り、ある程度ショックでもあったのでしょう。これまでは壊し屋と呼ばれてもその後ろにつき従う者もいましたが、今回離党に踏み切っても国民には見限られ、そのため同調する人間は少ない。そうした恐怖もあって、辞任を思い留まった部分もあるのでしょう。
更に今回、面従腹背となった民主党議員も多くいますから、小沢氏の専横が強まることもなくなりました。参院選大勝で小沢氏の求心力が強まった流れそのものを自身が否定し、民主党内はその受けたダメージとともに、後継代表を巡って流動化する流れにはなっていくのでしょうね。

大連立構想にしろ、現代社会は党利党略や永田町の論理で動くような政党は支持されません。それが党利であり、国民利益に反する場合、メディア以上に大きくなった個人の声がそれを否定してしまいます。問題はその政策の中身が、国民利益として多くの人間がその法律による恩恵を享受できるのか、それが議論の中枢であり、より国民利益を代弁した政党が支持されるのです。
小沢氏の今回の動き、とても国民の利益を代表したとも思えず、むしろ民主党として政権をとるなら大連立、という自己の論理で出処進退を論じたように感じます。そして自身が率いる組織の力不足を自認した。では今後、代表の座に留まるとして力不足をどう埋めるのか、という論点を小沢氏が説明することもまた必要なことでしょう。

国民がどんなに欠点があっても、二大政党制を模索するのは、一党独裁ではもうこの国が危ないと感じているからです。党利を優先されては、国の負債や制度不審を改善する機会を失ってしまいます。だからこそ、政党がしっかりとぶつかって、将来に亘るより良い法律、制度を作り上げる努力をすべき時なのです。その点をしっかりと考え、民主党は出直して欲しいですね。

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2007年11月05日

小沢民主党代表が辞意を表明2

小沢氏の動向で今日も民主党は揺れています。私は小沢氏に首相は無理だと考えています。首相となれば一日の行動が詳らかにされ、自身の行動に制限がかかること。またぶら下がり取材はコメントの受け答えが下手な小沢氏の下で廃止され、メディアから批判が集中すること。またそれにより小沢氏にまつわる政治と金の問題に、メディアからの集中砲火が浴びせられ、その対応で疲労が蓄積して病状が悪化すること、などが上げられます。
つまり何処かのタイミングで辞職の道は考えていたのでしょう。福田氏との密室会談に臨み、党内に受け入れられない大連立提案を持ち帰ったのも、スムーズに辞職するため、と見ることが出来ます。ちなみにこの提案はやはり自民党側から、と考える方が無理がありません。何より党内を説得できる目処もなく、そんな提案を小沢氏がすれば双方から疎まれるだけです。自民党が協調して動いていること、また民主党がゴタゴタしているところから見て、自民党ではコンセンサスが出来上がっていた、と見る方が間違いありません。

昨日は政権交代に軸足をおいて考えましたが、今日は小沢氏が政界再編を狙う場合について考えます。民主党参院議員が17人、小沢氏に乗れば早い段階で離党するでしょう。何故なら、自民党内にいるアンチ小沢を燻り出すには早い方が良いからであり、小沢氏の政策を丸呑みすれば面白くない人間、そうした自民党内にある不穏分子はその時脱党を画策するでしょう。
小泉新党なのか、平沼氏が糾合するのか、国民新党が吸収するのか、あえて第三の党を作るのか、脱党組みの動きはそのいずれかでしょうが、成立の仕方によってはここが民主党脱党組の受け皿となり、全く別の形で二大政党制を模索する可能性もあります。この辺りの動きは支持母体や資金力も大きく関係しますから、政治が考えるほどすんなりいくとは思えませんが、それが小沢氏の目指す政界再編だとすると、案外この流れが確率の高いものであるのかもしれません。

ただ今回の動きで、世論の声を受けて小沢氏は民主党代表の地位に留まるのではないか、との観測も出ており、全く予断を許さなくなっています。政権交代を目指すのなら、代表補佐に降格して院政という道が考えられますが、政界再編を目指す場合は代表のまま再び大連立を模索する、そうした可能性も今後に残されることになります。
しかし肝心のテロ特措新法の溝は対米戦略にも関わる問題であり、大連立が簡単に政治の安定に結び付くとは到底思えません。今回、小沢氏が単純に民主党を見限って放り出した、とするのなら離党して悠々自適でも良いわけです。ただ政治家・小沢は常に自分が中心で政治を動かしたい、との思惑があると思われ、その心根がいずれにあるのかで、今後も予想外の動きがあるのでしょう。ただこれで政治が停滞したことは間違いなく、その非難を浴びる民主党が茨の道に踏み込んだことだけは、確かなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2007年11月04日

小沢民主党代表が辞意を表明

小沢代表のいきなりの辞意表明、驚愕をもって拡がりを見せていますが、実はこの自爆的辞任劇は予想された動きでもありました。度々私も取り上げて来ましたが、総理大臣の椅子に近付けば近付くほど、自身が抱える症状により国会を中座することも多い小沢氏が、その椅子に座ることに不安を覚える人間も多くいます。小沢氏は総理大臣の激務には到底耐えられない体なのです。

問題は辞任がどのタイミングかであって、恐らく3月まで国会解散はない、とする読みがその背景にはあるのでしょう。そして今回の小沢氏の会見を聞いていて、全く両極端の推測が成り立ちます。一つは言われているように民主党を見限ったとするものと、それとは全く逆の推測です。
述べているように「民主党に政権担当能力がない」とするなら、民主党参院議員で脱党組を糾合し、タイミングを計って離党の意向を示すでしょう。解党的出直しと称して新党を立ち上げ、自民への合流の道ですが、これはテロ特措法問題で表面化した党内意見の不一致による、小沢氏の民主党へのテロ行為と見なすものです。

しかし全く逆の推論も成り立ちます。参院選では大勝したものの、次の衆院選まで民主党が追い風を受け続けることはほぼ不可能です。特に3月まで解散がないとすれば、一旦は評判を落として新たな党首の下で挙党一致体制を組む方が、時間軸上は有利に運ぶ可能性もあります。政治の風は難しいですが、新党首が支持されて実績を積むためにも、最低3、4ヶ月の期間、本会議一回程度の経験は要するでしょう。
つまりこの推論は『政権担当能力がないのは自分の健康上の問題』という裏返しとして、衆院解散で第一党を目指しているのに、集票活動に積極的でない他の議員への叱咤激励、ととることで成り立ちます。ただこれは賭けであり、今後の動き次第では民主党は本当に解党することになるでしょう。その賭けをあえてここで仕掛けたのも、院政を布いて本気で政権をとりたいのかもしれません。

壊し屋・小沢の本領発揮なのか、その真意は今のところ藪の中です。ただ今回気になったのは、渡辺恒雄氏が仲介の労をとったとされ、また小沢氏が大連立を主導したと報道した読売側の対応です。名指しはされなかったものの明確に批判を受け、メディアとしてどう対応するのか、興味があります。政治の情報戦にメディアが直接、間接に関与したことからも、黙殺は難しいのでしょう。
今回の動き、裏では自由党が民主党へ合流する時の問題なども含まれるのでしょう。実際、大連立構想が政治の場で語られることになれば、政局が混迷することは確実です。今後は様々な動きが予想されますが、今はまだ潮が引いた状態であって、政界を大波が襲うこともあるのかもしれませんね。

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2007年11月03日

雑感、大連立打診の余波

今日になっても昨日の連立打診の余波で永田町は揺れています。今回の連立打診は次の衆院選に影響することは間違いなく、与野党ともその風向きを意識しながら、今後の国会、政局を考えていかなければならなくなりました。どちらに有利かは、現時点で何とも言えませんが、衆院解散の時期と絡めて憶測と疑心暗鬼で政治は大きく動いていくことでしょう。

一つ、大連立を推進する意見の中で、今国会で法案がまだ一つも成立していないことをあげ、政局の混迷が停滞を招いているとするものがありました。しかし自民党は今国会で提出した法案は現状3つ、テロ特措新法以外は災害者支援の改正法などで、重要視していないことも法案が成立していない理由の一つです。今国会の延長を政府は決定しましたが、最初の二週間を党の事情で停滞させた、そのことを念頭において考えるべきです。
むしろ今国会は不適切発言等で意味のない追求が繰り返され、政府答弁が誤魔化しに終始して時間ばかりを浪費する、そうしたことのない極めて正常な国会運営といえるでしょう。よく政権担当能力が話題に上がりますが、今国会はその意味で試金石としては充分だと考えます。

個人的には、日本における政権担当能力とは、官僚との関係性の中に見出されると考えています。小泉政権は看板は官邸で掲げても中身は官僚丸投げ、安倍政権は官邸主導を旗頭にしたものの、官僚の裏切りもあって政権は頓挫しました。福田氏は推察すると小泉型を目指しているようですが、その形で日本をよくすることが出来るのか、そして民主党はどういう立場をとるのか、ということが重要になってきます。
官僚主導では格差の拡大や、今の障害者自立支援法などのように、支出が増えるからという理由で国費の歳出カットばかりが優先され、名は体を現さない現状と同じです。消費税増税議論も同じ、福祉の負担が増えるからという理由は耳障りは良いのですが、実態は省庁が歳出を増やすために歳入を増やしたいという官僚の思惑を覆い隠してしまっています。

では大連立になればこの流れを食い止め、透明性のある議論で国が良くなるのか、そこに今回の焦点があるべきでしょう。政治が停滞するから、という理由はほぼ無意味であり、むしろ停滞を招く原因がどの党に帰するかを論じ、その党を非難する方向に進むべきです。その時、次の選挙で国民がどちらを選択するのか、それを判断する材料となることもできるのですから。

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2007年11月02日

自民が民主に連立を打診

10月30日に続き、二回目の自民党・民主党の党首会談が今日開かれました。テロ特措新法に関する協議は小沢氏の憲法違反の持論で拒否、自衛隊派遣の恒久法提案で会談は中断。ここまでは予想された動きでしたが、その後自民党から民主党へ連立の打診があり、予想外のこの提案に政局は一気に緊迫することとなりました。

自由党時代の小沢氏も自民党との連立に踏み切っており、脈ありとの判断が自民党には働いたのでしょう。条件は二つ、数名の閣僚を受け入れることと、小沢氏の提案を自民党は丸呑みすることでしょう。次の衆院選まで政権において力を尽くし、その後政権選択選挙として、自民と民主で争えばいいではないか。これが自民党が民主党に連立を打診できる、唯一の理屈になります。
一方で民主党はこれだけの追い風を受けて、何を今更凋落の自民党にすがる必要があるかと、強硬派の意見が勝ったのだと考えます。小沢氏が意見を持ち帰ったのには、丸呑み提案で心が動いた部分もあるのでしょう。ただそれで党内をまとめ切れる自信がもてないのが、今の民主党です。

今回の提案、自民党は民主党に揺さぶりをかけたとする見方が正しいのでしょう。次の衆院選は自民も民主も脱党組が出る確率が高く、受け皿を含めて考えた場合、基盤を弱体化させた方が政権政党としての資質が低い、ということにもなります。どちらも過半数をとれず、連立を模索する時にはこれまでの経緯からも自民党側が有利です。国民新党も今回の動きで民主党との連立に懐疑的になった、つまり今の野党連合の動きに楔を打ち込むことが出来た、それが今回の福田氏の提案ということですね。
町村官房長官が「早い回答でしかも拒否、残念」と述べていますが、これは自民の真摯な態度を民主の頑固な態度で覆された、その責任を民主党になすりつける作戦です。こうした態度を官房長官がとるところにも、今回自民はある程度統一した思惑で行動しているということでしょう。

大連立などになれば日本の政治が旧来の幼稚化した、事勿れ主義に陥ることになります。国民に政権選択の権利もなく、政治は密室会合で全て決まり、国民は政治に絶望する。その事態にならなかったことは良かったのですが、小沢氏が否定していた密室会議に応じたのには、米の圧力が大きいのでしょう。シーファー駐日大使と公開の場で会った時に、米国がいえなかったことを福田氏が説明したのだと考えます。
法案が停滞する最大の原因は、良い法案を双方が作り上げる努力をするかどうかに掛かっています。部分連立などの話もありますが、委員会の場できちんと法案を審議し、国民が納得できる法案になれば良いのであって、国民が良いと判断した法案に反対するような政党は国民から見放されるだけです。今日は年金流用禁止法案が参院を通過しましたが、法案審議を党利党略で疎かにしないようにしていただきたいですね。

analyst_zaiya777 at 23:01|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2007年11月01日

日米の金利政策と製品価格の値上げ

日銀が昨日政策金利の据え置きを決定し、あわせて展望リポートで今年のGDP成長率を2.1%から1.8%へ下方修正し、物価指数も+0.1%から0.0%へと引き下げました。一方で米国では昨晩FOMCで政策金利を0.25%下げて4.5%としました。また7-9月期GDP速報値を年率換算で3.9%とし、輸出と個人消費が高い伸びによる米国景気の底堅さを示しています。
米国ではバーナンキ・プットが市場を支えているといわれますが、今はFRBがネガティブサプライズを出せば米国は売り叩かれる、そのためFRBは市場期待を裏切れないだろう、その思惑の方が強く現れています。市場が利下げ期待を膨らませれば、FRBがその期待を覆すだけの力はなく、弱腰を見透かしたかのような市場の動きです。こうなると12月も継続利下げにならざるを得ず、米国の政策金利は更に下がる方向でしょう。先行きは不透明といいながら、足元は強かったのに、です。

ゴールドマンサックス証券が先日、原油相場は来年1-3月期に80ドル台で落ち着く、との見通しを出し、一時下落したWTIも今日は予想以上の在庫の下落と、大手石油会社のCEOによる「生産能力はそれほど高くない」との発言から、今日は一気に90ドル台後半に突入する勢いを見せています。
先のGS証券によるリポートはFRBにインフレ懸念は高めない、というメッセージに近いものですが、世界はドル安とそれに伴うインフレが襲っています。そんな中、豪州では干ばつによる小麦相場の高騰に伴うインフレで、政策金利の引き上げに踏み切っており、これを見ても世界は利下げと利上げの両睨みで進んでいることがわかります。

日本でも素材価格の上昇で値上げラッシュが起きています。この値上げで問題なのは、大手量販店は数量効果の圧力で卸値を低く抑え、価格上昇を抑えることが出来ますが、個人営業の店は価格に反映せざるを得ず、安い物を求める消費者が大手量販店に流れるという、小売の中の勝ち組、負け組の差がはっきりと出てしまうことです。
更にコンビニは個人が出資して店舗を出す場合も多いのですが、コンビニは卸値をそのまま価格に反映させるため、今回の製造メーカーの値上げの影響を受けることになります。シャッター街のように、個人経営の店は厳しい環境であり、更にコンビニ経営まで今回の製造メーカーの値上げの影響を受けるとなると、日本で自営が成立しなくなります。

原料高を緩和するためには、円高に誘導することもまた必要な政策です。世界はドル建て決済の原料の価格高騰は自国の通貨高で抑えられていますが、投機資金の流入はそれ以上の、想定を超えた高騰を目指しています。日本は円安とのダブルパンチを受け、個人消費にも波及する段階であるのに、政府が無策というのが残念な限りです。これでも政府はデフレと言い続け、国民を欺き続けるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(0)TrackBack(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治