2008年03月

2008年03月31日

雑感、メタボ検診について

つなぎ法案が成立し、ガソリン以外の租税特別措置法は4月以降も2ヶ月間は維持されることとなりました。3月までに出来なかったこと、4月から起きること、様々ありますが、ガソリン以外の値上げラッシュも始まり、国民にとって幸福な年度の切り替わりという訳にもいかないのでしょう。
後期高齢医療制度による保険料の上昇や小麦卸値の値上げ、さらに鋼材価格の上昇に始まる資源価格の高騰。更に電気やガスの値上げなどもありますから、強烈なインフレ作用が始まっています。生活費の不足があっても、消費者金融はグレーゾーン金利の撤廃から貸し渋りを進めており、安易に頼ることも難しくなっていますので、消費者も腹を据えてこの一年を乗り切る、そういう覚悟が必要になってくるのでしょうね。

4月から始まるものの一つにメタボリック検診があります。糖尿病や心筋梗塞などの生活習慣病を予防する、それを名目に医療機関で検診し、予備軍と診断されれば指導を受けて経過観察となります。法人などでは達成度も計られ、罰則もありますからとても厳しいものとなっています。
重要なことは、今の医学の常識が将来も同じである、とは限らないことです。体重や胴回り、体脂肪の測定などどれでも良いですが、メタボが病気と直結するかは個人によって変わります。糖尿病を発症しやすい人、元から心臓が悪い人、そういう人はメタボでなくても病気へのリスクは高いのです。逆も然り、メタボであっても病気発症リスクの低い人もいます。

私は全くメタボではありませんが、呼吸器系の病気を患い、それに伴って心臓を悪くしたことがあります。しかしこの検診では、私は病気リスクがないと診断されます。別にメタボではないので当然ですが、病気とは複数の原因から結果として発症するものなのです。
行政は一度動き出すと中々立ち止まって非を認めない、このメタボ検診も同様の構図です。医療費削減効果があるといいますが、一人が予備軍と診断されれば半年にしろ医師にかかりつけになる、どう考えても医療費は増える方向にあります。将来的な病気の予防は本人の意思の内にあり、そう考えていた方が間違いはないのでしょうね。

肝炎の問題でも、治療薬として用いられていたものが後に病気を発症しています。医療とは日進月歩するものであり、専門家からも疑問が呈される、今回のメタボ検診のようなものを制度として導入することが果たして正しいのか?実施された後で考え直さなければいけない、そんな時期がくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 政治

2008年03月30日

地方と国との立場の違いについて

福田首相がメディアへの露出を高めています。年金問題でも、薬害の問題でも最初は官僚の立場の答弁を行い、国民の反発があって初めて態度を改めていましたが、今回も野党の反発、首相提案をしても広がらない国民支持に、やっと重い腰を上げたことになります。
どうやら首相提案が正式に閣議決定されるか、与党内の調整を経て野党側に提案されるようです。道路特定財源は、小泉首相時代の答弁から徐々にトーンダウンさせてきましたが、これでようやく話し合いの土台が整ってきました。なぜ道路建設だけ聖域化させなければならないのか、そこに焦点を当てて話し合いをしていって欲しいと思います。

一つ気になったのが、メディアでもそうですが与党案を支持する人間は必ず、地方首長が道路特定財源維持を唱えている、という項目を取り上げます。しかし世論調査では必ずしも道路特定財源維持を支持する声は高くなく、首長の意見が地方の声、とする根拠としては希薄です。むしろ首長の意見は『地方行政長官の声』とする方が良く、民意として捉えるべきではありません。
東国原宮崎県知事を例にあげれば、県民のことを考えるのであれば暫定税率は廃止され、尚且つ宮崎県に道路建設を増やす方向が良いでしょう。そんな巧い手はない、と批判されるかもしれませんが、それが首長の立場として正しいはずです。しかしそうではない彼の主張では、税率維持と道路建設はセットです。これは国の仕組みの中で利益誘導しよう、という態度の表れであり、県民にとってベストではなくベターを選択した、まさに地方行政長官の態度といえます。

せんたく(地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合)が発足しています。これが間違いだと感じる部分は、上記の通り地方の首長の意見はあくまで行政長官の声だ、ということです。生活者起点を名目とするなら、世論調査を頻繁に行って民意を問えばよいだけであり、有識者が必ずしも国民の声と合致するわけではありません。
何をもって生活者なのか?選挙で選ばれた首長はあくまで選挙をした時点での民意でしかなく、生活者とはかけ離れた存在なのかもしれません。この『せんたく』の存在意義は、やはり国と地方とのパイプ役と考えた方が良いのでしょう。今は首長の中に人気が高い者もいることから注目され、また政治の新たな枠組み作りとしての注目も高まっています。しかし政策提言など、目に見える結果を求めてはいけない組織なのでしょうね。
宮崎県知事とて、今回の件で相当国交省に恩を売っています。地方の首長としては正しい行動でも、国にとってどうか?という判断ではまた異なる評価もあります。国と地方は一体であるとともに、分離した社会でもあります。その点の見極めが重要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(3)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2008年03月29日

経済の話、米国の動きと日本市場

29日の福田首相の記者会見を見る限り、どうやら腹をくくったように感じます。28日の答弁から意見をトーンダウンさせて暫定税率維持を明確にし、かつ再び連立を模索し始めました。連立できれば政権維持、できなければ総辞職、与党から見限られたのでそう覚悟したのです。
石油業界が対策を発表しようとした時、与党からストップがかかった話もあります。本来、税還付などで4/1からガソリンスタンドの値下げが可能なようにすべきでした。そうした対策が遅れた結果、地域により、スタンドにより対応がマチマチとなり、混乱が拡大しています。
重要なことは、最善の結果を前提に対策を怠ってきたことであり、政治に必要な最悪を想定した事態の混乱収拾策がないことです。野党は混乱回避の名目で対策を準備していましたが、見なし否決の話で頓挫しました。この結果について、誰も責任をとることはないのでしょうね。

米国ではクリントン氏や財務次官が、現在の米国経済の状況を『10年前の日本』に例えています。ベア救済や金融不安など、似た部分もありますが、決定的に異なるのは日本単独の問題か、世界に拡大する問題かということです。GS証券の120兆円の損失規模予測も、IMFの見通しでも昨夏にはこれほど混乱が拡大するとは推測されておらず、現在の各金融機関の見通しも、膿を出し切れるとは到底思えない水準にあります。
FRBが大量の資金供給を繰り返していますが、26日から米国の流れが変調したのは、インフレをマーケットが意識し始めたこと、及びFRBの自己資本強化が必要ではないか、と囁かれ始めたことがあります。FRBとて、無限に資金を融通できるわけではありません。短期金融市場に投入される資金は、いずれFRBに返金されるものではありますが、今回の対策のように証券化商品まで担保にできるとなると、その評価額次第では焦げ付きも心配されます。FRBも問題が長期化していることから、限界が近づいているというわけです。

米国が変調しても、年度末を控えた日本市場は強気です。日本でも株式持合いが進んだ結果、評価損が拡大している記事がありました。年度末に11000円を割り込むようだと今期決算に損失を計上する企業が増え、問題は経営陣に及びます。そのためドレッシング買いに必死なのです。
ただ世界は米国株式市場の影響を、あまり意識しないようにはなっています。米国で金融機関の破綻など、個別の大きな記事がない限りは先物買いに支えられ、日本市場も安泰かと見えます。しかし先物買いはいずれ反対売買を招きます。4月のSQは今のところ12000円台前半で決着しそうですが、その後の米国銀行決算等、波乱はまだまだ続いてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年03月28日

東アジアの動きで幾つか

最初に、与野党協議でつなぎ法案が3月中に成立するようです。これで4月混乱は揮発油税に関するものに限定されましたが、重要なことはこれが昨日の福田氏の記者会見内容を無視して与野党間で話し合われたことでしょう。首相提案では年度内に歳入関連法案の成立を前提にしていましたが、これでそれが宙に浮いた形となり、政府案は再可決以外に手がなくなったことになります。
政治の動きを少し読めば、4月末の再可決で問責決議が出る前に内閣は混乱の責任をとって総辞職になるのでしょう。与党内から傷になる前に退陣しろという圧力がかけられ、総理の首をもって国民の怒りを収める。与党は今回の福田氏の動きで、そう筋書きを改めたはずです。
今日の答弁で、暫定税率の内容に踏み込むものも見られましたが、時すでに遅しの感は否めません。政治はタイミングが重要であって、3月初めに福田氏の提案がなされていれば力があったものでも、切迫した時期ではそれなりのインパクトのある提案をしなければなりませんでした。福田政権はこの辺りの読みを完全に誤った、ということなのでしょうね。

今日、北朝鮮が短距離ミサイルを発射するという事態が起こりました。韓国はイ政権に変わってから太陽政策の転換で、北朝鮮人権問題への賛成や拉致問題への取り組みなど、北朝鮮が嫌がる方向に舵を切りました。それに抗議し、総選挙で危機感を煽ってイ政権を弱体化させるため、開城工業地帯から当局者を追放し、そして今回のミサイル発射という動きを見せています。
しかしこの動きで一番快く思っていないのは中国です。西でチベット問題、ウィグル族の問題が持ち上がり、東で朝鮮半島が緊張しては五輪どころではありません。開会式辞退が相次げば、世界の祭典が非常に味気ないものに変わります。核問題の進展もなく六カ国協議が事実上休業状態に陥り、さらに韓国に圧力をかけ、緊張を高めるようでは中国も黙ってはいられません。

中国も北朝鮮も、この辺りの駆け引きは常のことであり、双方の顔色を窺いつつということなのでしょうが、中国は五輪という重要イベントだけにナーバスになっているところです。北朝鮮の動きも早晩収まるはずですが、五輪の後で韓国の動きを嫌う北朝鮮がどう動くのか、少々警戒しておいた方が良いかもしれませんね。
最後に、韓国がウォン安に見舞われています。高金利通貨としてキャリー取引の対象とされていたため、その巻き返しで一気にウォン安になったのです。更に経常赤字が続き、韓国経済に翳りが見えてきました。中国の上海市場も急落しており、更に東南アジアの各国では通貨高に悲鳴を上げて介入する中銀も出始めたようです。東アジアの動き、少し不透明感が高まってきましたね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2008年03月27日

福田首相の記者会見について

今日は福田首相の緊急記者会見が行われました。既報の通りの内容であり、09年度から一般財源化を明言したこと、及び道路中期計画を10年から5年に短縮することが新たに盛り込まれた内容です。重要なものですが、周辺環境の方からまず見てみることにします。

これは与党内で調整された内容ではありません。福田氏は守旧派の意見に従い、与党案を固守していては支持率が凋落して政権はジリ貧になる、との危機感があったのでしょう。よって支持基盤であった守旧派を振り切り、政府案としてこの案を提出したのです。この案は改革派の意見に沿った形ですが、改革派にとってはこの提案をしても福田氏を担ぐ必要はありません。
守旧派にとってこの提案は裏切りであり、与党案を堅守して矢面に立ってきた冬柴氏にとっては梯子を外された思いであり、改革派にとっては福田下ろしの絶好の機会でもあります。つまりこの提案とは、自ら党内で孤立することを覚悟して世論の支持に頼ったものであり、事の成否は国民がこの提案を支持するかどうかにかかって来ます。しかし不人気の福田氏に今更国民が期待することはないでしょう。

4月に様々なことが起こります。増税分は減税で対応するようなので、1ヶ月は特別会計分が減収になります。またオフショア市場の非課税分に関していえば、税還付で対応するとしていますが、金融機関が嫌うのは手続きの猥雑さと短期でもコストアップすることです。還付を受ける手間とその間の事業費が担保されなければ、当然その市場から資金は逃げることになります。
また仮に4月後半で見なし否決か時間切れか、どちらにしろ再可決に至れば4月中に二度のガソリン供給不安に陥ります。それを防ぐために原油をガソリンや軽油に振り向ければ、他の石油製品の出荷に大きく影響してきます。そうなると単純にガソリンだけの問題ではなく、精製所を巻き込んで全産業に混乱が拡大します。その他でも減税分の商品取引が企業間で膨らめば、供給不足が起きて負の影響は計り知れないことになります。

提案の前提に08年度中の歳入法案の可決がありますが、全てを含めてこの提案をする時期が遅すぎました。政権が力を失った後、先送りを提案するようでは約束の重さもありません。
時間切れで国民に危機感を煽り与党支持を取り付ける、全てこの戦略で貫いてきたことが、この政権の最大の失敗です。野党は寝ていても内閣総辞職が確実ですから、この提案に乗ることはないでしょう。混乱の責任の押し付け合い、そうした側面は国民が事実上租税特別措置の失効を容認する方向にある今、あまり大きな意味を持ちません。全てはやはり、政権の戦略ミスが招いた結果、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年03月26日

経済の話。日米のマクロ指標の幾つか

昨日、天下り受け入れ団体や省庁の外郭団体への発注のうち、98%が随意契約との記事がありました。随意契約のうち、ほとんどが特殊性や専門性を理由にしますが、外郭団体にそうした能力はほぼないと言えるでしょう。知見や技能は上部団体の人間は有しておらず、取りまとめの能力しかありません。それすら丸投げするのであれば、省庁は業務を根本から見直すべきなのでしょうね。

米国で重要な指標が発表されました。3月消費者信頼感指数が大幅に低下し、オイルショック以来の低水準、1月住宅価格指数も大幅に低下し、前年同月比11.4%の低下となりました。これまで住宅価格の下落は緩やかでしたが、ここで一気に加速したのは1月に入り市場心理が悪化、米景気の早期回復期待が剥落し、投売りが出たことが影響していると考えています。
不動産はバーゲンセール中、米国ではこう称されたりしますが、バーゲンで購入しても価値が上がらない限り投資目的での購入はできません。不動産が上昇しないと消費が拡大しないのが米国であり、この消費者信頼感指数と住宅価格指数は密接に繋がるものでもあります。
この両指数が大幅に悪化しても、米国市場が下落しないのは回復期待が大きいからです。ベアへのNY連銀の資金投入と分割再建案、政府系住宅金融公社の資本規制の緩和、更に住宅ローン担保証券(RMBS)の政府機関による30兆円の購入枠設定、これらが功を奏すという期待です。これに基づき、金融や住宅建設セクターが上昇し、相場を支えているのが今の米国市場です。

そんな中、日銀が資金供給オペを昨日まで連日実施しました。外資系金融機関への貸付が滞っており、また短期金融市場も上昇を見せていたこともあり、資金投入に動き出したのです。そしてこれが、日銀が円高に対する答えなのでしょう。欧米では資金があふれ、インフレになると同時に通貨安になっています。それに日本も追随すれば一時的にしろ円高は緩和されますし、事実日銀のオペが実施されてから円高方向となり、100円台を回復しています。
しかし世界の銀行間取引の目安となるLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)は上昇しており、金融機関の間で資金の循環が極端に悪い状況は変わっていません。企業の信頼を取引するCDS市場はFRBの対策で下落していますが、疑心暗鬼の中で資金を融通し合えない状況は継続しているのです。

日本のマクロ指標にも悪いものが目立ちます。1-3月期の大企業景況判断指数が-9.3と悪化、月例経済報告でも踊り場入りが示唆されました。街角景気調査も良くありませんでしたし、実体経済としては踊り場ではなく後退が目前です。そろそろ、戦後最長と謳われた景気拡大が終わって名前がつくことになるのかもしれません。この段階になっても政治が景気対策を議論すらしていないのが、歯がゆいところですね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年03月25日

道路特定財源と経済界と政治

租税特別措置法の協議が難航し、4月混乱説が現実化しそうです。どちらも互いの非を鳴らしつつ世論睨みで動く、まさに政局です。福田氏がキレて「訳が分からない」と述べていましたが、政治家の説明不足で訳が分からないと一番感じているのは、国民なのです。

日銀総裁人事の際、参院で武藤氏の就任を否決したときに、各メディアは揃って野党を非難するキャンペーンをはりました。これは野党に対する非難を高めておけば、日切れ法案の採決でも与党案が通り易くなる、と考えた経済界の後押しがあって行われたものでしょう。
新聞とて広告収入を得る、経済の中の歯車の一つにすぎません。与党案を成立しておけば一先ず従来通り、変化は全くなく経済界は小康を得ます。道路特定財源を維持したい、収益だけを考えた経済界はそうした方向に圧力をかけたのです。しかしこのキャンペーンが失敗したのは、予想以上に世界から武藤氏を評価する声が上がらず、かつ政府のタスキがけ人事に非難が高まったこと。及び世論が与党、野党、両成敗的な判断をしたことが大きく影響しています。

現状、福田氏も小沢氏も不人気であって、国民が政治を冷静に見られる環境も整っています。政治家個人に対して期待値が乗らない分だけ、法案の正否を明らかにするための説明不足が浮き上がり、それが与党案の支持には繋がっていない状況を作りだしています。つまり混乱するから、という理由だけでこのまま暫定税率を通されては、また無駄な支出を繰り返すだけだとの国民の危機意識が強く働いているのです。
国の財政の逼迫を肌で感じているのは、ソロバンを弾いている財務省でも、法案を審議している政治家でもなく、実は納税者なのです。たとえ経済界が収益確保のためにキャンペーンをはろうと、税金を払うのは国民であって、それで企業が潤っても給与となって跳ね返らない以上、道路特定財源の中にある無駄遣いの徹底削減を求めるのは当然のことなのです。

政府はこのまま法案を通しても傷ですし、4月混乱が起こっても傷となります。最善は野党案の暫定税率抜きの法案を通し、08年度の不足分は他の特別会計から回す、新たな措置案を与党が提出することです。こうすればどちらも混乱回避に尽力した、として面子を保つことが出来ますし、1年かけて道路特定財源について議論することも出来ます。非難合戦をして政党が共倒れになっても構いませんが、日本に混乱をもたらすことだけは、やめて欲しいと思いますね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年03月24日

裁判員制度について考える

日本では先週お彼岸でしたが、キリスト教ではイースターでした。死と再生がキリスト教拡大に重要な役割を果たしたといわれており、再生のイメージである卵もそれを暗示しています。世界には同種の死と再生の神話が多く、広義では天照大神の天岩戸神話もその類だという人もいます。死が人間にとって逃れられないものという位置づけであるなら、それを超越した者に神性を感じるということになるのでしょうね。

茨城で大変な事件が起きました。殺すのは誰でも良かった、という犯人が家族、出身小学校、そして周囲にいる見知らぬ相手と標的を変えた挙句、一般の方を殺傷するという事件です。この世界は互いの信用で成り立っており、すれ違う人を信用しているからこそ町を無防備で歩けることになります。その前提が、こうした破滅衝動のある犯人の前では全て崩れてしまいます。
警察の杜撰な警戒態勢もありますが、それより重視したいのは、今後行われる裁判員制度についてです。当然今回の犯罪では死刑が求刑されることになると思いますが、一般の裁判員として選ばれた人が死刑判決に踏み込めるのかどうか、最近少し疑問に感じることもあります。

死刑というのは極刑ですし、絶対に必要という人は必ずしも多くなく、犯罪抑止としての存在を期待する人も多いでしょう。自分の判断で人が死ぬ、と考えると二の足を踏む人も多いはずです。弁護士の間では、極刑が増えるのではないか?とも云われていますが、全員納得するだけの材料が揃う死刑判断とは何なのか、未だに明らかにされているわけではありません。
特に異常な事件では精神鑑定が重要視され、心神耗弱なのか、喪失なのかを弁護側は争ってきます。精神鑑定が絶対ではないのは、診断する医師によって結果が違うことでも明らかなように、それを判断材料として良いのかも不透明です。専門家が異なる判断を下した被告に、死刑と断じられるほどの強い意志を示す人間は少なく、逆に絶対に死刑にはしたくないという人間が幅を利かせる場面の方が多くなるのでは、と推測します。

今回の事件でも精神鑑定は行われるのでしょう。重要なことは心神耗弱にしろ、それが事件の引き金になったかを判断するのは、全て専門家の憶測でしかないことでしょう。客観的な判断の上に、結果としての判決を下さねばならない状況は裁判員の負担でしかありません。実施時期が迫っていますが、制度をもっと詰めていかないと混乱を生じるだけなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 司法

2008年03月23日

雑感、企業の動きで二つ

今朝から与野党幹事長のテレビ出演が相次いでいました。議論は平行線で、内容は互いに原則論を振りかざすだけの低調なものでしたが、野党側に余裕があるのは、見なし否決さえなければ日切れ法案審議が時間切れとなり、揮発油税の暫定税率分が下がることが確実だからでしょう。
財源不足を指摘する声もありますが、来年度は暫定的に特別会計の『埋蔵金』を充て、その間に徹底した議論をすることで道路財源の無駄を抽出できます。三ヶ月で湧き出した無駄の数々を、一年かけて議論すればもっと削減が可能なはずです。特別会計内にある無駄、それらを付き合わせることで検討も進むはずであり、議論をよりよい方向で決着させて欲しいですね。

新生銀行に続き、りそな銀行が本社ビルの売却と移転を決めました。公的資金の返済に充てるとの理由もありますが、判断の中には海外で起きた不動産バブルの終焉が日本でも起きており、今が高値で売り時ということもあるはずです。REITが日本の土地価格を引っ張り上げましたが、資金の引き上げも起きており、実態と乖離し始めた資産価値は当面是正の方向にあります。
そして都心に本社を置くことが企業にとってどれほどのメリットがあるのか、企業にも当面の課題となるのでしょう。資産縮小期には保有資産の目減り分が企業にとっても打撃となります。今後の各企業の出方、それによっては都心から企業が消える、ということもあり得るのかもしれません。

また、NTTドコモが端末の基本設計を簡素化する方向で見直す方向で検討に入るようです。携帯電話では日本の技術が世界標準ではなく、それが携帯電話を製造するメーカーの収益性を低く抑えており、世界に通用する一般機を作ろうと携帯電話会社も乗り出したという話です。
日本でデフレになり難い状況は、常に高級機を求める国民性にあり、携帯電話は今や本来の機能が何かすら分からないほど、様々な機能が搭載されています。しかし機能を使いこなせない人間もおり、簡素的な内容で割安であればそうした選択肢があっても良いのでしょうね。

日本は輸出国ですから、当然世界の流れには敏感でなければなりません。先の本社ビルの売却もそうですが、日本国内だけを見ていてはどのタイミングが良いか、ということも見失ってしまうでしょう。製品基準も、資産も、世界の流れの中で日本は動かざるを得なくなっているのですね。日本が独自性を発揮するために必要なこと、政治も産業界も、やることは多いのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 経済

2008年03月22日

福田政権について考える

台湾総統選が中国融和を目指す国民党の馬英九氏の勝利となりました。選挙戦終盤にチベット問題が起こり、独立を志向する民進党の追い上げがあったものの、馬氏も五輪参加を危惧する発言をするなど、対中戦略では紆余曲折がありました。それでも8年に及ぶ民進党政権への批判は根強く、『変化』を期待する国民感情が国民党を勝利させたのでしょうね。

国会では難しい問題が持ち上がっています。租税特別措置法の問題で、民主党が参院に提出した対案を可決した後、衆院ではそれを与党案の否決とみなして、与党案を3分の2で可決してしまおうというものです。この手法では、与党案を参院で一度も可決しないまま衆院で二度採決を行います。一方で、参院で可決された対案は衆院で与党案が可決されると自動的に否決となります。
この手法が取り沙汰された後、福田氏の道路財源に関する見直しが指示され、谷垣氏が修正協議の内容を記したメモ書きを民主党に提示しています。先に指摘した通り、この修正協議は拘束力のない口約束になりかねず、またこの『見なし否決』の解釈をめぐる攻防が、国会を硬直化させています。このままでは4月混乱説が現実化し、ガソリンスタンドなどは混乱するでしょう。

日銀総裁人事でも同様ですが、哲学の問題が事態をこじれさせています。タスキがけ人事に拘る福田政権の哲学、財金分離の原則を唱える民主党の哲学、どちらもそれを曲げずに混乱を深めていますが、海外から見ても福田政権の哲学が異常であることはふれました。
道路特定財源の問題では、福田氏が強い気持ちで本気で解決を望むのなら谷垣政調会長ではなく、調整役は政権内から出すべきでしょう。政党間の調整としたことで、約束の価値は著しく低下してしまっています。強い権限と責任感、福田政権にもっとも欠けたこの二つが、事態を更に混乱させている一因なのでしょう。

一部で、福田政権の官僚志向が強いのは、官房副長官ルートが強い力を持ち過ぎだから、とも言われています。そして主に守旧派が擁立した福田政権には、族議員の要請を排除する力もありません。最初から、この政権は強い呪縛に支配されているのであり、図らずも日本の岐路を決める重大な時期に、それが露呈してきているということなのです。
自民は解散をしたくなくても、国民の間にも4月混乱説が現実化すれば、解散機運が盛り上がるでしょう。後は福田氏がどの程度執着を見せるかですが、小泉政権時代の官房長官の職もあっさり投げ出しましたから、意外とすんなり総辞職するかもしれません。どちらにしろ、福田政権が今の手法をとり続ける限り、日本にとって不幸であることには変わりないのでしょうね。

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2008年03月21日

経済の話。市場の動きについて

日銀総裁選びに関して、国内ではあまり伝えられていませんが、諸外国のメディアでは中央銀行総裁が不在が異常と捉えられているのと同様、その人事がタスキがけで財務省と日銀プロパーの天下り先だったこともまた異常と捉えられています。奇しくも福田氏が財務省主計局出身者に拘りを見せたことで、日本の異常性を世界に知らしめてしまう結果となりました。
これが世界から、日銀総裁は順送りで決まっただけで能力や実務経験からではない、との認識が広がって下に見られることが不安です。どうして財務省出身者はダメなのか理解できないと述べる人もいますが、どうして財務省出身者でなければならないのかもまた、理解されないのですね。

先週の日本市場で、外国人投資家が9000億円以上の売りを出していたことが、今日明らかになりました。一方、先物では4000億円以上の買いでしたので、裁定取引の解消かとも見られますが、それほど裁定売買が減少したとも見えません。日本市場から資金を引き上げた流れ、これに呼応するかのように今週に入って一気に商品市場が急落を見せました。
これはベア・スターンズ社破綻に伴い、各金融機関が資金繰り悪化懸念に見舞われ、現金化を余儀なくされた結果なのでしょう。風評に対して欧州でも調査が入りましたが、流動性の消失の噂が流れると執拗な売りに見舞われる。嘘でも大丈夫と言い続けないと、破綻するまで投資家が資金を引き上げてしまうことになりかねません。『第二のベア』探しは、辛辣なまでに欧米の各金融機関を追い詰めています。
一度利益確定売りが進むと、大幅な下落に見舞われるのはこれがファンダメンタルズを反映したものでない、という証拠でもあります。まだインフレを緩和するほどではありませんが、商品市場にも新たな流れが起きつつあり、ただ上値を追うばかりでもなくなったようです。

日本市場では下落ピッチが早かったものの、その調整で上昇が続きました。ただ売買は膨らまず、上値追いには慎重な様子も伺えます。売買が低調な時には先物が暴れますが、現在活発なプログラム売買が日米ともにブレの大きい市場を作り出しているようです。
短期的には13000円を目指すようです。3月24日で配当権利落ちになるので、その後で少し値動きは軽くなりそうです。よく配当取りの買いなどとも言われますが、実は配当権利が確定する月の値動きは従来からあまり良くありません。これらは証券会社が個人投資家を売買に誘引するための常套句ですが、信用しない方が良いでしょう。
今は配当利回りより相場全体の値動きを追うべきであり、欧米金融機関で悪材料が立て続けにならない限り、12000円より上を中心とした値動きになりそうです。ただ5月は警戒月に当たるので、まだ予断を許せないことは云うまでもありませんけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(11)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年03月20日

道路特定財源の見直しについて

チベット問題で、国際社会の声が小さいのが気になります。軍事衝突であるのは明らかであり、国内の治安悪化を警察権力で抑えた、という話とは訳が違います。中国では情報が統制されており、かつ外部調査を拒む姿勢には事実を隠そうとする、そんな意図が見えます。

仏外相が五輪開会式のボイコットを欧州各国に提案するようですが、人権問題と環境問題を抱え、北京での五輪開催が危ぶまれる中、来月の胡主席の訪日は予定通り行われるようです。日本として、チベット問題に明確な態度表明をせず、相手国の首脳を受け入れような、日本的曖昧さで押し通していては、外交として落第点でしょう。訪日が実施されれば、国際社会では否応なく日本はチベット問題において中国側の発表を受け入れたと判断されます。
抗議の意思を示すなら延期や中止などを通告すべきでしょう。中国として、胡主席の訪日は外交関係の良好さをアピールする恰好の場ですが、仮に日本が受け入れてもこれまでの中国の外交態度を見る限り、これを『借り』とは考えないでしょう。日本として中国との関係強化なのか、国際社会と協調して非難するのか、どちらが国益に適うのかは冷静に判断すべき問題です。安易な判断は危険だと考えます。

福田首相が道路特定財源で、\農抜本改革で一般財源化に向けた見直し、道路整備中期計画の見直し、を含めた租税特別措置法改正案の見直しを指示しました。それに基づき、野党と調整して税制関連法案を年度内成立させる意向であり、早ければ明日にでも野党に修正協議を提案しますが、08年度は現行制度のまま延長することを前提としています。
うがった見方をすれば、,皚△睫簑蠅寮菫りであって対策ではありません。深く読めば、年内解散をする場合に,鉢△鮓‘っ罎涼奮にしておいた方が、与党としては都合がよいことになります。選挙後に、予定通りに道路財源を確保すれば、党内の道路族議員の面子も保てるのですから。

これを素直に見れば、,皚△眦然行われるべきことであり、歓迎すべきことです。しかし日銀総裁選びで指導力の低下した福田氏が、この内容で党内をまとめ切れるとは到底思えない部分があります。一般財源化を閣議決定をするならいざ知らず、単に議長裁定を仰ぐための手法でこの見直し案が出されるなら、福田氏は存外早い時期に総辞職を覚悟した可能性もあります。
先の訪日の件でも、福田氏は難しい判断を迫られています。本来、政権浮揚のきっかけにしたい重大イベントでしたが、そうもいかなくなっているのです。そうなれば今国会終盤に福田内閣は総辞職し、今回提案した約束を一旦白紙にしてしまう、そんな可能性が高くなったと考えます。ただ協議に応じなければ野党も苦しい立場に追い込まれます。政局絡みで、日本の政治は更に混乱の度合いが深まりそうになってきましたね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2008年03月19日

日米中央銀行の動きについて

FRBが昨晩のFOMCで政策金利を0.75%引き下げ、年2.25%としました。米国市場ではこれを物足りないとして一瞬下げましたが、声明文の中にある流動性担保などを好感し、大幅高に転じました。証券会社の12-2月期決算の内容も良かったのですが、これは自己査定された資産をどう計上しているかによって評価も変わるものであり、気づいたら破綻という流れはベア社と同様です。
これで米国は物価上昇率で見るとマイナス成長ですが、昨晩の米国市場の上昇を見ると、インフレでもFFレートを下げるFRBの態度を好感している風でもあります。インフレは見かけ上負債を低く見せますから、一時期をインフレのまま乗り切ることで、金融機関の支援をしていることにもなります。ドル安にしろ、インフレにしろ、行き過ぎなければプラスとの判断なのでしょう。

そんな中で日銀総裁が空席となりました。メディアの一部で『参院で数の横暴が起きた』との記事がありましたが、これは違います。政府案を与党が衆院で通すことも数の横暴に過ぎず、民主政治では全員賛成でない決議は全て数による横暴という言い方もできます。だからこそその結論に至るプロセスが大事であり、そこに説明責任も存在するのです。
福井日銀総裁に関していえば、高い評価の方もおられますが、私は必ずしも評価していません。円キャリー取引を発生させ、過剰流動性を含む金融バブルの端緒をつけたこと、日本の個人資産を国内ではなく海外に向けさせ、流出を防げなかったこと、そして村上ファンドの問題があります。

景気が上向きましたが、これとて海外頼みであって日銀の金融政策の故ではありません。戦後最長の景気拡大局面で、国内景気への波及が少なかったことなどが低い評価の理由です。ゼロ金利や量的緩和などに果断に踏み込んだことは評価しますが、福井氏の手法はその効果において、今後の検討課題として日銀の宿題となるのでしょう。
更に日本でもここに来て物価が上昇に転じましたが、これは国内景気を圧迫する要因の方が強く、利上げの出来ないインフレです。日銀はデフレだから利上げできないとしてきましたが、インフレやデフレは、それを引き起こす背景が重要であり、一つの事象に拘って政策を縛る必要もないのです。その点、きちんと政治や市場に納得させて、利上げに踏み込むことが出来なかった点もやや評価を辛くするところです。

しかし日本では政治が中央銀行に介入と見られる圧力をかけることも多々あります。タスキがけ人事もそうですが、そうした仕組みが存在していること自体、政策的な自由度がない状態ともいえます。そんな中、量的緩和解除、ゼロ金利解除まで進めたことは評価するべきものです。今後は自己の政策を正当化せず、冷静に分析を進めて今後の金融政策の糧となるような出版物等を、福井氏には期待したいですね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(0)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2008年03月18日

日銀総裁の席は空席か?

福田政権の迷走ぶりが鮮明になってきました。日銀総裁人事で、期限ギリギリで提示されたのは総裁に田波国際協力銀行総裁、副総裁に西村日銀審議委員でした。与野党が歩み寄れそうな人物の名も挙がる中でなぜ田波氏なのか?これは完全に推測ですが、財務省から福田氏に「野党も財務省出身者だからと何度も否決すれば、国民や市場からの批判も高まります」と囁かれ、かつ財務省出身者を入れないと、という配慮の結果として出てきた名前なのでしょう。

福田政権はこの半年、同じことを繰り返してきました。『国民が混乱する』これをキーワードに法案を時間ギリギリで提出し、否決する野党を追い込む戦略なのですが、法案を補完するための国会答弁、説明には窮してしまいます。結論ありきの法案提出であり、それが官僚の意向に沿ったものであるために国民理解は進みません。結果、内閣支持率は低下の一途です。
田波氏にしても、一部に財務省との繋がりから日銀の独立性を担保できないとの意見もあり、また意見聴取の場でも金融政策の具体性はありませんでした。これでは不透明要因の方が強く、いわば当たるも八卦の博打のような人事といえます。世界が混乱の時、このような人事で本当にセカンドベストなのか?福田氏のセンスが疑われるものとなっています。
産経で竹中氏が日銀総裁人事にふれていました。成果目標を明確にし、説明により同意できる人事を、との意見に私も賛成です。あまり成果や目標を縛ると、日銀の独立にも影響しますが、金融政策が不明な人物よりはまだ良いでしょう。一部の海外メディアでは今回の野党の不同意を評価するものもあり、それは官僚志向の強い人事からの脱却を評価する、というものでした。つまり必ずしも空席が悪いということではなく、適任でない人材を要職に就ける方が悪影響も大きくなるものなのです。

民主党が先月末に提出した法案により、暫定税率以外の租税特別措置法の混乱は回避できる見通しですし、追加措置の法案提出により、4/1から揮発油税の暫定税率は廃止になる公算が高まりました。仮にそうなれば、福田内閣がいう国民の混乱とは次に暫定税率を復帰させ、実質増税になる時ということになります。福田氏が調整を指示したようですが、困った側がより大きな妥協を迫られるということを考えると、道路族議員の不満も高まるでしょう。
福田内閣の政権運営は、困った時に党首会談を持ち出して打開を図る、ということも多くなっています。また自民党内の議員の間で、繰り返し年内解散がないと語られるのも、実は解散機運が高まっていることを示しています。サミットまでは頑張りたい福田氏ですが、4月にも解散、もしくは内閣総辞職などの動きが出てくる可能性も高くなってきたのだと考えていますね。

analyst_zaiya777 at 22:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年03月17日

世界同時株安(3/17)

世界経済の混乱がとまらない中、日本市場で一時対ドル95円台、日経平均で11700円割れまで進みました。米国ではJPモルガンによるベア・スターンズ買収、緊急に公定歩合を0.25%引き下げるなど対策の手を打ちましたが、先週の12日からFRBの対策は抜本的なものではないとする流れが市場に出来つつあります。時間稼ぎでは市場が納得せず、むしろ米国経済の悪さを確認する材料として対策が意識されてしまっています。

ベア買収でも、水曜日には70$あった株価を2$で買い付けるというものですから、これは資産価値の評価ではなく、業務を引き継ぐ手間賃のようなものです。如何に緊急で中央銀行がこの買収劇を取りまとめたか、如何にベアの資金繰りが悪化していたのか、それを示しています。
抜本対策には公的資金の注入が必要と考えられています。しかし2005年から見え始めた景気後退の影を、無理にバブルを創出して長引かせた影響から、各金融機関の不良債権は天文学的数字に跳ね上がっている可能性もあります。債務不履行を告げられた投資会社カーライル、住宅金融ローン会社などでも破綻懸念があり、モノライン大手の支援すら1ヶ月以上決まらない状態が続きました。公的資金がどの程度必要か、またどの範囲をカバーしなければならないのか、公的資金注入論者の中でもコンセンサスはない状況といえるでしょう。
今回の混乱の震源地である米国政府がやらなければならないことは、公定歩合に上乗せする形でもいいですから、金融機関を通さず企業に貸付できる制度を構築することです。そうしないと、ここ数ヶ月の間に様々な業種から倒産が相次ぐことになります。中央銀行が金融機関に資金供給し、それが企業に流れてマネーの循環ができるこの仕組みは機能停止状態に陥っており、そこを担保しなければ金融不安から社会不安に発展する可能性もあります。


日本の証券市場を考えると、下落ピッチが早いのですが、これは米国の凋落を織り込みにいく動きであり、売り方が強く影響する市場となっています。短期的には上下動しても、下落トレンドはしばらく続くことになるでしょう。現状、今年中に日経平均で10000円を割ることまで想定はしていませんが、米国の材料次第では売り方が下値を目指すことも、意識しておくべき段階にあります。
底値をいつつけるかは分かりませんが、次に世界が景気上昇波動に入るときは、日本が世界を牽引する公算が高いと見ています。ただ今は投資に最適な環境ではないことは間違いありません。資産縮小期とはそういうことであり、証券会社などが述べる底打ちなどの楽観に惑わされ、損失を出して個人の方が投資余力を減退させては、次の波動に乗れないことになり元も子もないのですからね。

analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年03月16日

最近の裁判の記事二つ

最初に、今朝の討論番組にミスター円こと、榊原氏が出演していました。以前もふれたことがありますが、その意見を拝聴すると、私と極めて近いと感じることがあります。恐らく経済の切り口が似ているので、結論も同じになると感じますが、日経平均で10000円台突入を示唆した経済人は初めてです。為替で対ドル90円、日経平均10000円台、どちらも現実味のある話だと考えています。

裁判に関する記事を雑感的に考えてみます。渋谷バラバラ殺人事件で、被告の精神鑑定結果が出ました。心神耗弱ではなく喪失である、との結論から、被告は無罪になる可能性が高くなりました。しかし記憶は常に変質するものであり、美化されるものもあれば、思い出さずとも深層心理に焼きついてその後の行動に影響してしまうものもあります。
殺人もそうですが、人にストレスを与えるのは逮捕、拘留、取調べもあります。人はストレスを受けて精神に異常が起きますが、どの時点で症状が発症するかはわかりません。つまりその全てを経過した後で行われる精神鑑定とは、その程度の信憑性しかもっていないことになります。
この事件の被告がそうだ、というつもりは毛頭ありませんが、精神鑑定とは事前に行われたものでない以上、参考程度にしかならないとのコンセンサスが必要な段階に来ているのでしょう。精神疾患が増えている現状は、ストレス社会というだけでなく、人間の耐性が落ちていることも影響しています。その時、最大のストレス空間である拘置所暮らしの影響、その点を考慮しない判断はあり得ないのです。

次にロス事件ですが、一次不再理や細かい内容には触れません。ただこの事件を日本で審理したことが、本当に正しかったのかと感じています。事件として、米国で起きたのは殺人ですし、日本では保険金詐欺です。事件の重大性としては明らかに米国で起きた事件の方が大きく、日本で裁判をしたのには面子の問題が大きかったと感じています。
日本では海外で事件を起こした邦人を日本で裁くことが可能です。しかしそれだけの人と情報網もなく、実際にそうした件は多くありません。事件を取り上げるのか、それはトップの意向を汲んだ警察の判断でしかないのです。そして無罪となった、それが今回の問題の全てなのでしょう。
警察機構は時に対面を意識して行動してしまうことがあります。日米ともに捜査し、犯罪の重大性は米国の方が大きかったために、遺恨を残してしまったということです。米国警察が意地になっているのも、そうしたものなのでしょう。互いの組織の問題で同じ事件で二度裁かれる。例え結果が異なったものだとしても、それだけはしてはいけないことだと考えていますね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 司法

2008年03月15日

世界の大きな動き2つ

海外で大きな動きがありました。米国で証券大手ベア・スターンズ社にJPモルガン銀行を通じ、NY連銀から公的資金が注入されました。サブプライムローン問題を発端に、信用市場が混乱した米国で急速に資金繰りが悪化、流動性を消失して資金注入を余儀なくされたということです。
1929年の大恐慌以来の大手金融機関への公的資金注入であり、問題の大きさ、根深さを感じさせます。この問題では、一つの金融機関に破綻懸念が広がると、連鎖的に各金融機関にも疑念が拡大し、問題が波及する可能性に注意しなければいけません。ベアの資金繰り悪化のニュースが断続的に流れ、それで取り付け騒ぎを起こしたといいますが、一線を越えるのが容易となるほど、そもそも危険度が増していたことは間違いないことです。

悪材料のニュースに反応し易くなっていることは12日にも感じられました。破綻懸念に基づく見切り売り、そう見られる売りがアジア市場に広がっていたからです。監査のゆるい欧州系の金融機関の方が先に破綻する、市場ではそう見られていましたが、米国証券大手で起きたことで、世界のあちこちで破綻が起きる可能性を世界に垣間見せてしまいました。
ヘッジファンドの破綻懸念、大手金融機関の破綻懸念、売り手が仕掛けるには十分な材料がそろっています。下落が下落を誘う、負の連鎖はリンク債のノックイン価格を目指して下落した金曜日の動きでも明らかです。人為的にも今は下方圧力が強まり、下落を誘発し易いことだけは間違いないのでしょう。

そして中国で起きた暴動です。チベット自治区の人権問題が、再び世界各国から注目されました。しかも武力弾圧、死傷者も出した今回の鎮圧行動は、中国が平和的解決を放棄した態度にも見え、世界から一斉に非難の声が上がっています。当然のように五輪開催にも影響するでしょう。
米国では大きな記事ではありませんでしたが、これより先に中国の人権抑圧国家指定を解除する動きがありました。チベット問題を抱えながら、それでも五輪を前に米国が中国に配慮を見せた形ですが、米国にとっては完全に裏目に出たといっても良いでしょう。今回の中国の対応、人権問題に配慮していないことは十分に世界に知れ渡りましたから、それを容認するかのような姿勢が米国にとってもマイナスに影響するでしょう。

現在の世界は混乱期にあるといえます。経済もそうですし、民族運動の激化、従来の価値観では図れない、そんな過渡期に今はあるのでしょう。そんな中で日本がどう考え、どう動いていくのか、とても重要な局面にあるというのに政治の世界を見ると、不安に感じることばかりなのが残念なことだと思います。

analyst_zaiya777 at 22:50|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | アジア

2008年03月14日

行政の監督責任について

行政の監督責任に関わるものについて少し考えてみます。道路特定財源が支出されている22の公益法人の職員旅行費で、6900万円が使われていた問題です。福田氏が述べる「国民が不快の念を抱く…」ということが問題なのではなく、国の財政が厳しい折に、多額の福利厚生費を使うような組織に随意契約なり、競争もない業務を発注し続ける国の態度が正しいかどうかが問われねばなりません。
多くの企業が業績が厳しくなり、福利厚生費を削って対応してきました。恐らく潤沢な福利厚生目的の予算を計上できるのが、こうした公益法人となっています。つまり業績が担保され、かつ監査もほとんどない、公開もされない隠蔽体質を持つ組織でない限り、効率化の流れにある今の社会では福利厚生などの予算は計上されないはずなのです。そしてそんな組織に、国費から多額の支出がされているという事実を、政治のトップが問題視していないことが最も危険なのです。

外務省の外郭団体では、海外旅行をする際に大使館職員に対応させる場合がある。これはメディアでもかねてから指摘のある問題ですが、そこにメスは入っていません。
もう一つ、道路特定財源の問題でイベント開催やCD製作が問題視されています。費用対効果を算出しない宣伝活動ほど意味のないものはありません。これはかつて、パンフレット作成などに使われていた予算と同じ、使い切ることを目的としたものであり、周知を目的としたものでないことは明白です。そして冬柴国交相は謝罪するのではなく、こうした問題を看過し、かつ使途も不明瞭なまま10年間の予算計上をする組織を徹底的に洗い直す決意を述べ、今後同じ問題が出た場合の責任の有無について明確にすべきでしょう。

新銀行東京でも設立理念は正しくとも手法が正しくない、と述べてきましたが、中小企業に3割程度しか貸し出しされていないことが判明し、存在そのものが正しくないことが判明しました。一部に旧経営陣の乱脈経営もあり、その点の監督が甘かったのだとしても、中小企業への貸し渋り対策を目的とした金融機関で、その通りの業務が行われていたかを監督するのは最大出資者である東京都の責任です。
死に掛けているから心臓マッサージが必要、と石原氏は述べますが、それで本当に死んでしまえば損失を拡大させるだけです。今潰せば困ると言いますが、例え先延ばししたとしても、金融機関が破綻する時は多くの人間が痛みを受けるのは当然です。それを知って創設に動いたとすれば、その責任もまた都にあるといえるでしょう。

薬害エイズの問題で、官僚の不作為を罪に問うことが判例として示されました。知りえたはずの情報を知らない、といって切り抜けることは罪に問えることになります。監督責任のある省庁や組織の行動、それを知り得る立場にある人間が責任逃れをすること、それが不作為と認定されれば追及され、刑事責任さえ問われるのかもしれません。上記の事例が該当するかどうかは別の判断もありますが、監督責任とはかくも重いものだということだけは、しっかりと認識して欲しいですね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2008年03月13日

世界同時株安(3/13)

たった一晩で世界経済が一変しました。これまで世界の中央銀行が協調資金供給を行う、と発表すれば数日は楽観が支配していましたが、それが一日で覆ったことで流れが変わったと感じます。つまり信用経済の根幹にあるFRBを始めとした中央銀行への信任が崩れ、世界経済は混迷を深めるという懸念が世界に拡大したために、下落圧力が強まったということです。

金、原油、為替、その全てがドル安を示し、あっさりと抵抗線を超えました。FRBが資金供給を決定した後であり、これは今後資金供給という対策だと、市場は好感しないどころかむしろ悪材料視されることを示します。そうなると中央銀行の政策は縛られ、打つ手もなくなります。
私も今回は抜本的対策ではないと述べました。しかしこれまで私のような意見は少数派で、米国的楽観が悪材料を凌駕してきました。今回世界がFRBにNOを突きつけたのは、半年同じ政策を繰り返しても混乱が拡大してきたことに対し、不信感を募らせていることが最も大きいと考えます。この動きによりベア相場入りが確実となり、一旦切り上下げた水準がどこで止まるか、非常に読み難くなります。
ヘッジファンドの破綻懸念の記事もありましたが、重要なのは米国で政府系ファンドが受け入れてきた金融機関の増資も、今後は止まる可能性があることです。すでに損失が拡大しており、更に今後の動き次第では損失を被る可能性が高い。そうなるとバーナンキFRB議長が看破した「中小企業の破綻」だけではなく、大手金融機関の破綻も視野に入ることになるでしょう。

日本の証券市場に目を向ければ、メジャーSQを控えて12000円台後半を探ると見られましたが、水準を一つ切り下げてきました。為替が100円を切ると見える景色も変わる、そんな状況も想定できます。そして首相が企業に賃金アップを『お願い』する国では、景気浮揚策も見込めません。
日銀総裁選びと絡めて述べれば、なぜ日本市場がここまで売られるか?これまで世界経済は金融(貸し手)優位の好景気を享受してきましたが、日本だけは産業(借り手)優位の政策をとってきました。それが超低金利ですが、世界と逆行するこの政策が日本の景気を低迷させました。

しかしこの政策は世界景気の変化や円高により、脆くも崩壊する危うさを秘めたものだったのです。国内では貸し手がいない、つまり資金循環が滞った状態が続き、成長が阻害されているからです。この仕組みを理解し、対策ができる人間でなければ現在の日銀総裁として、打てる対策も限られるということであり、米国FRBのように混乱を助長してしまうことにもなります。
もう一度、世界の中央銀行に何ができるのか、どんな対策が有効かを考えるべき段階であり、それがないと底なし沼に引きずりこまれるように、下落が続いてしまうことになるのでしょう。行き過ぎた下落はより深刻な打撃を経済に与えます。そのことを考え、中央銀行は行動するべき時だということですね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年03月12日

米国の大量資金供給について

昨日は花粉だったのか、ひどく体調を崩して記事を上げることができませんでした。私は花粉症ですがスギ花粉ではなかったはずなので、少し油断もあったために、気温が上昇して大量飛散したスギにも反応してしまったのかもしれません。

経済に関して少し色々と考えたいと思います。まず日銀総裁人事は与野党ともに政局であり、時間切れを理由に国民の危機感を煽る戦略の与党と、建前に固執する野党の構図です。どちらも相手を批判しますが、これは漁夫の利よりも始末の悪い争いであることに間違いありません。日本経済が混乱する間に利を得るのは売り方の外国人、というところになるのでしょう。
そんな中、米国FRBによる2000億$の資金供給を受け、市場は上昇しました。先週末に発表されていた内容であり、サプライズは特にありませんでしたが、住宅ローン担保証券と国債を期間を限定して交換する、という内容に反応しました。一時的にはCDSなどの緩和が期待されますが、米国で資金供給をしても国内に資金は回らない構図は続いており、特に景気後退が視野に入ってきた今、破綻懸念の強い米国企業に貸し付けるお人好しの金融機関もありません。よって短期的には好感されますが、長期的な対策とはなり得ないものです。

ただ米国ではこれまでの金融セクターの下げがきつく、短期的な反発機運も高まっていたおりであり、昨晩は急騰という形になりました。これに日本市場がついていけなかったのは、資金供給の枠内に日本はなく、かつ日銀総裁人事などの悪材料もあったためでしょう。
一方で10〜12月期GDPの2次速報値が3.5%と、一次速報よりも下げがきつくなかったこともあり、相場の下支え要因になりました。ただ1月の機械受注もそうでしたが、来年度の鋼板価格の上昇、その他の資源価格の先高感などもあり、設備投資や素材の発注を先食いしているのではないか、そう思える点が少し心配な部分ではあります。

春闘の集中回答日でしたが、やはり経済の先行き不透明感もあって、賃上げは思ったほど進まないようです。そうなると、来年度は間違いなく生活必需品の価格上昇が進みますから、消費の下ぶれ懸念も付きまといます。1〜3月期の消費は値上げが想定されるものの駆け込み需要も想定され、高い水準にあるかもしれませんが、マクロ指標も長期的な目で見ないと本質を見失うのかもしれません。
米国の大量資金供給の行方次第では、原油も110$台に突入するかもしれません。一部の商品市場では利食い売りも見られますし、インド市場の悪化を見ると、ファンド勢の換金売りも活発のようです。大量に余った資金と景気減速、今が難しい局面にあることだけは間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:35|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年03月10日

内閣人事庁の創設について

参院予算委が今日も開かれませんでした。理屈は日銀総裁人事をギリギリで、しかも内々で拒否の意向を伝えていた武藤氏を総裁に推したことだといいます。しかし採決拒否はせず、副総裁の白川氏の就任賛成の方向にあるようです。つまり総裁の席は空席でも副総裁がいれば日銀としての業務は行えます。そうやって日銀の運営が滞ることを免れ、世論の批判をかわす狙いです。

しかしどちらも政局睨みであるだけに、3月末までは道路特定財源の問題とからみ、国会も紆余曲折する可能性があります。そんな中で、間接的に国民にとって重要な、国家公務員制度改革基本法案の原案が明らかになってきました。内閣人事庁の設置、国会議員と国家公務員との接触については規律を設ける、等が柱となる見込みです。
渡辺行革担当相の原案では、内閣人事庁は公務員の採用や配置、任免権も保有しますから、かなり強い権限を持ちます。これで天下りや縦割り行政が無くなるのか、というと厳しい側面もありますが、第一歩としてはまずまずでした。しかしこれが政府案となると、内閣人事庁の人事権は低く抑えられ、現在の公務員で問題となっている重要な事項は骨抜きになるようです。
日本では例えそれが能力や実績で評価される、省庁や企業などの組織とはいっても、横の繋がりを重視して動く傾向があります。強い権限で人事権を発動しない限り、温情や組織防衛の観点で擁護の姿勢に回ることが多くなります。それが全て悪いことではありませんが、しかし天下りの根絶など、組織に依存しさえすれば生涯を保障する現状の悪しき慣行は、今回の改革では機能しないことが考えられます。

人の繋がりの問題は、地方参政権にも当て嵌まります。一部に、外国籍の人間も納税しており、国政とは異なる身近な生活を受け持つ地方選挙には参加しても良いとする意見があります。しかし選挙を戦うのに重要な基盤、地盤は地方から築き上げられており、地方選挙が国政選挙に影響しないはずがありません。直接の参政権はなくとも、地方議会議員の数は国政選挙でも大きな影響力をもちます。
重要なことは、地方が積み上がって成り立つのが国という組織だ、ということです。地方と国家を切り離したり、一国二制度のような状態になると、その歪はいずれ是正しなければいけなくなるか、その恩恵に浴して利を得る者が必ず現れてしまうものなのです。

公務員制度改革でも、現状は天下りなどの人との間にあるシガラミの方が強く、それを断ち切らないと何の意味もありません。しかしそこに利権があり、政治がそこにメスを入れられるかで、今後の日本もまた変わるのでしょう。支持率低下に喘ぐ福田内閣ですが、今回も骨抜き法案となれば改革後退にイメージが強くなり、更なる苦境に立つことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 行政改革

2008年03月09日

経済の話。証券市場の動きについて

昨日コメントもいただいたので、日本の証券市場について考えてみます。証券市場にいつの時代も当て嵌まる普遍の原理などというものはありませんが、現在の日本の証券市場を考える上で、少しでも投資のヒントになればと思います。

まずPERで見て日本株が割安、という人がいます。しかし変動の大きな株価収益率は、証券市場が下落すると連動して変動する率が高く、特に想定為替レート以上の円高水準にある現状では、企業業績の下方修正要因を強く意識すべきです。来期業績見通しが悪化する、現状の証券市場ではメインプレイヤーである外国人投資家は、世界経済の減速を織り込み、そういう前提で臨んでいますから、単純にPERを見て投資することは危険です。
長期的な視点では、PERよりも変動の少ないPBRで割安感は語るべきです。保有資産とて不動産価格の下落等が影響して変動します。しかし変動率は小さく、業績が回復すればPBRで見た割安感は是正されるでしょう。ただ日本市場のメインプレイヤーとなった外国人投資家は、世界経済の減速が業績に与える影響を考え、また資産縮小期にある現状は企業のPBRも減少すると見越して売りに入っていますから、その点では注意が必要です。

短期、中期の考え方では、マクロ指標や為替、テクニカルなどの外部環境から導き出される『居心地の良い』水準を意識します。先週までその水準は13000〜14000にあり、一般の方でも上値が重い、底値が堅いということで意識することが出来るものです。
奇妙なことですが、相場はこの水準を抜くのに材料を必要とし、上でも下でも、特に材料がなく水準をブレイクした時は再び水準内に戻る率が高く、動きも見極め易くなります。ただブレイク後にそれを補完する材料が出て、水準自体が動くこともありますので、決して絶対的なものとはいえないのが欠点です。

材料というのは為替やマクロ指標などが上げられますが、今回為替が101円台に突入し、日本の証券市場も水準調整が必要なのかもしれません。一旦12000円台で落ち着き始めると、この水準を居心地が良いとして相場が動いてしまう可能性もあります。更に為替が100円を切ると、水準はまた変わってくるのでしょう。
米国でも景気後退が意識され始めました。悲観の極に至るまでは、まだ時間もかかるでしょう。米国証券市場の水準も、もう一段下を見るときにはそれが日本の市場にも影響してしまいます。今は投資に良い環境にはない、ということを意識して、慎重に行動すべき時なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年03月08日

新しい金融政策に何が必要か?

日銀総裁人事の件もあって、金融政策について私見を述べたいと思います。
投資家の間でも配当利回りが債券利回りを上回る、これは異常であり日本株は買いだという意見があります。しかしこれは一昔前、市場のメインプレイヤーが国内勢であった頃の話です。外国人投資家が市場の7割を占めており、もっと利回りの良い市場は世界中のあちこちにあって、インカムゲインだけを重視して日本の証券市場に投資することは有り得ないといえるでしょう。この場合、債券利回りが経済実態に照らして妥当かどうかが議論の対象であり、証券市場の割安感とは全く別の話なのです。

ではその債券利回り、金融政策に関して言えば、低金利が経済を活性化させているのか?その議論が必要です。米国でも1月雇用統計が大幅マイナスになったことを受け、18日のFOMCで1%の大幅利下げが囁かれています。しかしかねてから指摘しているようにCDSは悪化を続けており、米国金融機関では貸し渋りも起きています。国内の資金循環は全く進んでいないのです。
これは日本国内も同様です。超低金利環境が継続されてきた日本でも、国内の資金循環は全く進まず、未だに中小企業には貸し渋りに近い状況が起きています。ここから分かることは、低金利と資金供給は経済を活性化しないということです。そしてそれを促しているのは、グローバル化によりマネーが国内から逃避するということです。

環境の良い市場を求めて資金は動きます。米国の年金基金が商品市場への投資を拡大させていますが、これも一つの例です。低金利も資金供給も国内経済を活性化させないだけでなく、その資金が何処かにバブルを生んでしまう。それがこの数年で判明した、グローバル経済を考えた上での新たな金融政策を考える起点になるのでしょう。
日銀とてこの考えはその金融政策内に含んでいました。それは圧力がかかり上昇できない金利ではなく、資金供給を絞ってバブル抑制に努めてきたからです。しかし米国はこれと異なり、低金利と資金供給に陥っていますから、そのため急激なバブルとなって世界を覆っているのです。

日本が低金利によって火をつけた世界経済のバブル、それに米国が油を注いでいるのが現状です。日米とも、新たな金融政策でこの難局を乗り切るべきであり、旧来の金融政策ではむしろ混乱を助長するだけなのです。では武藤氏にそれが出来るのか?私は難しいと考えています。
政治、財界からも武藤氏を推す声はありますが、これは従来型の金融政策をとる、その安心感からです。しかしそれが日本、引いては世界にとって良いことなのかどうか、私は不安に感じています。経済の視点にグローバル化を導入できるか、日銀の総裁に求められる資質、今はその点なのだと考えます。武藤氏には政界、財界からの束縛も強過ぎますし、それを脱却できるかどうかも資質として重要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2008年03月07日

為替101円台突入と日銀総裁人事

今日、政府から日銀総裁に武藤敏郎氏、副総裁に白川京大教授、伊藤東大教授の人事案が提示されました。これを見て思うことは、与野党ともに日銀総裁選びを政局にしたということです。
先の予算案の採決でも、与党は国会空転をむしろ望んで強行しました。反対路線をとる野党を際立たせるため、調整ではなく正面突破を試みて、野党からの反発を強める戦略なのです。予算執行、日銀空白、どれも時間を質にとって合意を迫る、野党もその強硬姿勢に反発する。国民にどちらの戦略が訴えるのか?それは次の内閣支持率の調査で判明することなのでしょうね。

そんな中、日本の外貨準備が初めて1兆$を越えました。中国に次ぐ2位、3位にはロシアがいます。稼いだ外貨を米国債などで運用した結果、昨今の安全資産への逃避で国債利回りが低下、価格が高騰して日本の残高を押し上げた形です。しかし円高が進めば円換算では減少しますし、またこれに伴い政府短期証券を発行しなければならないため、実際に日本の資産が上昇したかどうかは全く別の話ということになります。
特に日本には800兆円を越す借金があり、単純に外貨準備が増えたことを喜ぶ人はいないはずです。極端な話をすれば、ドル資産離れが進むと、安全資産といわれる米国債とて安全ではなくなります。インフレを助長している米国だけに資産を傾けていて良いのか?輸出が欧州、アジア向けに拡大する中ですから、運用については再考の余地のあるものとなっています。

為替でもついに101円台に突入しています。長いこと機能していた101.80円辺りの抵抗線、この水準を突破すると達成感が出るのか、円高に弾みがつくのかは不透明です。為替がドル独歩安を指向する中、簡単にはこの流れを変えられず、一時囁かれた日銀介入でも難しいでしょう。
日銀が行うこと、今はとても重要です。急激に進む円高、超低金利と資金供給量の調整のために国内景気は冷え込み、そんな中でインフレが進んでいます。米国経済にも注意が必要ですし、それと時間差を伴って襲うかもしれない世界恐慌の不安、どれも難解な問題です。
福井氏が出来なかったことを、武藤氏なら出来るのか?恐らく今の財務省、日銀の思惑や政治との関係などを考えると、期待薄の面も否めません。大事な局面であるのに旧来からの慣例に従った今回の人事、日本ではドラスティックに改革するということが難しいのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2008年03月06日

米国で提案されたサブプライム対策案について

米国経済にとって重要な提案がありました。一つはモノライン保証会社AMBACの増資が15億$に決定したことです。経営の安定には30億$必要といわれており、増資額が少ないこと、普通株式が10億$含まれることから市場への流出懸念もあって、市場が期待していた結果と程遠い内容であるために、昨晩のAMBAC株は大幅下落して終えています。
更にバーナンキFRB議長による元本カット提案です。各金融機関が焦げ付きそうなローンの元本の一部をカットし、返済額を減らそうというものですが、米国では元本を基に新たなローンを組みます。つまり元本カットになると、波及的にその他のローン組成に影響します。不動産価格の下落分をカットするにしても、個人間で差が出ることになり、一義的には難しい政策です。

また本日、下院において金融機関が評価損として計上した紙屑債券を、公的資金が買い取る提案がされると伝わってきました。似たような提案は私も昨夏にしていますが、事情が異なるのは既に膨大な数になっていることです。仮に機構を立ち上げるとしても、金額と効果に折り合いがつくのかは不透明であり、また莫大な額を政府は拠出しなければならない危険に陥ります。
すでに大規模な税還付を打ち出しており、米政府にも余裕はありません。FRBの共通認識として、減速もしくは後退が示唆されているように、5月の税還付で景気押し上げ効果が得られないと、税収は再び厳しい状態になります。ドル安は輸出を促すとも言われますが、輸入物価を押し上げますから、かつて警戒されていた双子の赤字問題が再燃する恐れもあるのです。
今日は欧州中銀(ECB)で金利が4.0%に据え置かれ、明日には日銀でも0.5%据え置きが決まるでしょう。そんな中、18日のFOMCでは0.5%、または0.75%の利下げが実施されるとの観測です。ISM非製造業指数でもインフレ警戒が高まる中、利下げしなければならないところに米国の苦悩が見えるようです。年末回復、このシナリオを実現するために越えるハードルは、まだ多いのでしょうね。

話は変わって、福田首相がメルマガで財界に賃上げの呼びかけを行いました。厳しいのは、日本でも経済見通しの下方修正が続き、踊り場、もしくは減速懸念がある時に賃上げの決断を下せるかどうかです。更に、政治が国民向けのパフォーマンスだとしても、財界に対してこうした呼びかけをすること自体、再配分という政治の役割を忘れた態度にも見えます。
日本の法人税は世界的に見て高い、だから下げる。賃金に企業収益が反映されていない、だから呼びかける。この温度差がとても気になります。春闘でも正社員の囲い込みが進み、ある程度のベア上乗せは期待できるところです。しかし不透明感の強まった景気に対し、政策で刺激することが政治の役割である、ということを認識して対応していただきたいですね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 経済

2008年03月05日

最近の司法判断二つ

まず米国大統領選に向けて、共和党はマケイン氏で決まり、民主党ではオバマ氏リードが一転、オハイオ、テキサス州をクリントン氏が押さえ、先行きに不透明感が漂ってきました。勢いが持続し切れなかったオバマ氏、実績という手堅さをアピールするクリントン氏、オバマ氏のカナダとの密約疑惑、汚職関係の報道もあるようですし、趨勢は混沌としているのでしょうね。
日本のメディアはオバマ氏優位との報道が目立ちます。これはビル・クリントン氏の日本叩きの記憶がある財界、また中国重視が鮮明なヒラリー・クリントン氏の応援はし難い。よって日本に優しそうなオバマ氏を望む、という姿勢が表れたものでしょう。ただ今回で流れが変わったのか、その点については見極めが必要なのでしょうね。

日本の司法の場で、幾つか記事がありました。薬害エイズ問題で業務上過失致死罪に問われた厚生省生物製剤課長に、最高裁が上告を棄却、禁固一年、執行猶予二年の実刑が確定しました。予見性という点で、行政の不作為で個人が罪に問われたものであり、これは拡大解釈すれば、今後行政がいい加減な見積もり、計画で実行した内容でも公務員を訴追できる可能性を示すものです。
組織内の個人の責任。事前にその内容に不備があることを認識でき、かつ十分な対策や対応をとらない場合、刑事罰に問われるとなれば、誰しも決定に二の足を踏むでしょう。良い観測では行政のチェック機能が正しく働くこと、悪い観測では製薬の承認が遅れる、などが考えられます。不作為という重大な問題に対して、英断とも呼べる重要な判決ですが、経過を見ていかないと責任放棄ともとれる怠慢が行政内に横行する、そんな懸念も出るのでしょうね。

一方で、静岡で起きた女子短大生を殺害した事件で死刑判決が確定しました。一人殺しただけだから死刑にはならない、弁護側が大審院判例を基に異を唱えていましたが、最高裁が過去の犯罪歴、事件の残虐性から一人を殺害しただけでも死刑になりうるとの判断を新たに示したものです。
私はこれをとても評価しています。若い女性を逮捕、監禁、強姦、その上火をつけるなど鬼畜にもとる行為を、一人殺しただけだから、というだけの材料で減刑してはいけないと考えるからです。今後は、この判例を受けて下級審でも罪の重さが量刑の判断材料となり、殺害された人の数が焦点になることはないはずです。
罪と罰は等価でなければならない、というのが持論ですが、それが難しい判断であっても、やはり極刑というものは必要と考えます。どうしても刑罰による抑止は必要なことであり、それが国民が安心して生活できることにも繋がるのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:00|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2008年03月04日

最近の中国の動きについて

今日は地上げという言葉を久しぶりに耳にしました。REITが活発化し、外国人投資家が流入して都心や一部都市の地価が高騰し、そこで収益機会を見出した2部上場企業がこの動きに関与していたようです。法的には弁護士法違反なので、この企業に刑事罰は科されませんが、社会的責任という面では蒙った打撃は大きいようで、今日も大幅下落に見舞われたようです。

明日から中国では全人代ですが、その前に防衛費が4000億元(7兆円弱)となり、前年比17%以上の高い伸びを示したことが判明しました。ただし米国防総省ではこの2〜3倍の額が軍事費につぎ込まれているといい、数字の信憑性には疑義もあるようです。かつて人民解放軍は人ばかり多くて装備は三流とも言われていましたが、衛星破壊に始まる、中国の兵器開発の進捗は計り知れないものがあります。
先日、スピルバーグ氏が北京五輪のプロデュースを辞退しましたが、その理由にダルフール紛争の中国側の態度が上げられました。またミャンマーへの抑圧、少数民族への対応など、中国に内在する問題は軍事が絡みますから、この軍事費の推移には脅威すら感じます。ただし中国で進むインフレは軍にも人件費高騰を招きますし、そうでなければ兵士の士気が落ちかねませんから、インフレと軍事費、この関係には注意しておかねばなりません。

一方で、経済の面では中国内の銀行がサブプライムの損失で、多額の負債を負っているとの話があります。インフレで経済引き締めを継続中ですから、疲弊した各銀行が中小企業に貸し渋りを起こしていると言います。各企業では雇用環境が変わり、固定費も増大していますから、このままでは企業の破綻が国家の屋台骨を揺るがす懸念も出始めています。
中国ではインフレ抑制と成長率の維持、資金の供給量の調整に難しい問題が立ち塞がっています。一部、中国政府系ファンド(CIC)が各銀行に資金供給し、急場を凌ぐという見方もありますが、この辺りが自由主義経済と異なる運営手法といえるでしょう。公的資金の注入に躊躇いがない、これは武器でもありますが、逆の見方をすれば危険性が高いともいえるのです。

CICが日本の国際帝石に出資という話が伝わってきましたが、空港整備会社の外資規制でもめた政治が、資源開発を進める企業に外資が入ることでは、全く動きを見せていません。確かにまだ具体的な話はありませんが、日本にとってインフラ確保も重要ですが、資源確保も重要な問題のはずです。規制しろというつもりはありませんが、政府系ファンドのあり方など、議論しておいても良いところでしょう。CICなど運用資金は2000億$とも言われますし、巨額マネーの動きには警戒も必要なのですからね。

analyst_zaiya777 at 22:52|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2008年03月03日

日銀総裁人事が混迷

為替が102円台に突入し、日経平均も12000円台へと急落しました。為替は3月期末を控えて少し円高方向に振れると予測していました。一部でドル建て資産を解消し、円に替える動きが出るとの見立てもあったからです。しかしバーナンキ発言によりドルキャリー取引が活発化し、水準を一気に切り下げる動きに出てきており、これが急激な為替の変動を引き起こしています。
米国がドル安容認姿勢であるため、日銀の介入も難しいところです。更にドルの先安懸念が漂っているため、円を売り支えようとする輸出企業も現れず、円高の防波堤もない状況です。日本の金融機関が円ではなく、海外で資産運用を拡大していたのは武富士の最大300億円損失を発表したことでも明らかですが、これだけ急速に円高が進むと、各金融機関でもサブプライムではなく円高による損失計上、なども出てくるのかもしれませんね。

日銀総裁人事がもめています。今月19日に任期切れとなる福井氏に代わり、有力視されていた武藤副総裁に対して、民主党が財金分離を訴えて同意せず、暗礁に乗り上げた状態です。今週中に決定しないと、手続き上空白期間が出来ることにもなり、予断を許さなくなっています。
今回の同意人事でもそうですが、福田政権ではなぜ早めに動き出さないのか、首を傾げる場面が目立ちます。時間切れ寸前なので同意しろ、空席は世界から信用を失う、どちらも政治手法と呼ぶにはあまりに稚拙で、戦略のないやり方です。このため予算案の強行採決など、時間と野党とを天秤にかけて綱渡りしているように見え、国民にとって非常に不安を覚えるものとなっています。

2月に与野党ともに候補者を数人選定し、小委員会でも立ち上げてその候補者を呼び、経済政策を聞く、質疑するということにしておけば、日銀総裁選びもスムーズに進んだはずです。今は政治状況が過去と異なるのですから、新しい手法を取り入れて人選しても良かったはずなのです。
中央銀行の独立性という原則にしても、日銀と財務省が交互に総裁を選出していたこと自体、原則と実態が乖離していたのであり、手法が過っていたといえるでしょう。日本が超低金利を続けた最大の要因は、政治の影響力が中央銀行に及び易い環境が影響しているともいえます。

硬直化した人事は堕落を生みます。中央銀行総裁にダイナミックな変革は求めませんが、少なくとも今回の世界の混乱に対し、どういうスタンスで望むのかはもっと国民に伝えても良いと考えます。武藤氏でなければ山口氏、との声も上がっていますが、重要なことは政局ではなく、現在の経済に対して中央銀行がどう望むのか、なのですからね。

analyst_zaiya777 at 22:48|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年03月02日

食の安全で日本を売り込む

中国産冷凍餃子の問題が日本では起きましたが、先に中国産ペットフードの問題が起きた米国で、今度は血液の抗凝固薬へパリンの回収騒動がおきました。中国は現在過渡期にあり、安全よりも効率性が重視され易いため、この問題はまだまだ続くと考えます。
中国製品は安価を売りにしてきただけに、インフレや人件費の高騰、雪害による物資の不足などが直撃しても、価格に転嫁でき難くなっています。そのため安全性を犠牲にし易く、この問題はまだ様々な形で出てくるのでしょう。中国政府の対応も、自己責任否定型のものが目立ちますし、そうなると安全宣言も出し難い部分があって、小売業界としても輸入を躊躇ってしまうのでしょう。

そんな中で、最近目立つ記事にMADE IN JAPANブランドへの注目度合いです。国が斜陽になると、鼓舞する意味もあってこうした記事を載せる場合もありますが、今回は所謂新興国富裕層向けに日本産品が注目されているというものであり、現実味のある話となっています。
と云っても、これは工業製品ではありません。農産物の話です。例えば牛肉ではトレーサビリティ、全頭検査が話題になりましたが、日本で作られるものは消費者の手に渡るまで安全性を担保している、これは大きなアピールポイントです。これまでは輸入といえば、とかく安さが重視されてきましたが、高付加価値製品としてのMADE IN JAPANが重視されるのではないかということです。

これまでの安価な農産物ではなく、高価格帯で安全を売る日本の農産物であれば、世界の食料需給動向に影響を与えることなく輸出が出来ます。中国が安全面で危惧される中では注目も集まり易く、中国だけではなくロシアなどの富裕層向けに輸出を拡大しても良いのかもしれません。
しかし自給率が低いのに輸出とは?との意見もあるでしょう。そのためには農水省がこれまでとってきた政策を転換し、一定の補助金しか給付されないため低い生産に留まっていた農家に、生産を促すような体制を作らなければなりません。高く売れる、そう思えれば日本の農家が誇りと自信を取り戻し、生産性も上がるでしょうし、そうなれば稼いだ外貨を更に生産に回すことも可能となるはずです。

今回、日本には千載一遇の機会があるといえるでしょう。FTA交渉など難しい面もありますが、一次産業が活性化すれば、それが地方を助けることにも繋がるのです。知恵の絞り時として、この機会を逃さず手を打つことが今は大事だといえるでしょう。米国が凋落しても新興国富裕層が傷むまではタイムラグがあります。その間に日本の安全性を訴える、日本政府にはこうした方向で努力していただきたいのですけれどね。

analyst_zaiya777 at 22:58|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | アジア

2008年03月01日

米国経済の見方について

米国市場の下落、ドル安で為替が103円台突入と月初から日本市場も荒れそうな気配です。2月後半から楽観論も囁かれ始めましたが、バーナンキFRB議長の議会証言から流れが変わりました。
実はバーナンキ氏の発言、前回から批判の的でした。景気は一時的に減速するが後半持ち直すと述べた後に利下げ継続を示唆し、持ち直すのなら何故利下げなのか?と一部でも酷評されました。今回の議会証言も同様ですが、経済は回復すると述べつつ中小金融機関の破綻を示唆し、スタグフレーションの懸念はないとも述べています。
これで分かることは、バーナンキ氏は楽観を拡げるための口先介入の部分と、正しい現状認識とを混在させて発言しているため、不透明感の方が強く印象付けられる形になっていることです。この点、ポールソン財務長官の方がむしろ理解し易いといえます。政府は市場が悲観に陥り、逆資産効果となって景気が下ブレすることを恐れている、財務長官の発言にはそれが滲んでいます。

バーナンキ発言の正しい見方は、大規模金融機関の破綻は米国の根底を揺るがすので、それはどんな手を使ってもさせない、但し小規模は切り捨てる、ということだと理解しています。ヘッジファンドの解約停止がおきており、金融機関では急速に資金繰りが悪化しています。傘下のヘッジファンド破綻は大手金融機関を苦しめ、やがて再編や国有化の流れになると推測しています。
そしてスタグフレーション警戒を怠るフレーズを用いたことは、FRB最大の汚点です。ドル安と資源高という二つの物価上昇圧力に加え、新興国の成長が輸入物価を高騰させることも想定できます。米国には現在極端なインフレ圧力があり、それを容認するかのような発言は、例え市場の利下げ期待を萎ませないためとはいえ、してはいけないことだったのです。

米国経済にはまだ反騰する力はありません。それ以上に今は負のスパイラルに陥らないよう、最大限の警戒が必要な時です。市場との対話も必要ですが、時に市場を揮わせるほどの断固とした態度も必要です。市場は万能ではなく、恣意的な動きも示し易いものであり、かつ現状は大量の資金供給によりそうした動きも出易くなっているのです。
日銀総裁選びも混沌としていますが、必要なことは日銀と財務省出身者のタスキ掛けをやめることではなく、次期総裁がどのような経済政策を有し、どんな態度で挑むのかでしょう。その意味で、バーナンキ氏の態度は参考になるものです。ブッシュ政権の政策に寄り過ぎて、利下げと金融緩和、市場重視で乗り切ろうとする態度では混迷を抜け出せなくなっています。
武藤氏がかつてのように、利下げや量的緩和を主導するようなら今後の日本経済にとってマイナスでしかありません。何故なら日本にもスタグフレーション懸念があり、その萌芽は1月の消費者物価にも現れ始めているからです。世界は米国のとる態度のために、しばらくこのスタグフレーションに怯えることになってしまうのでしょうからね。

analyst_zaiya777 at 22:50|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ