2008年04月

2008年04月30日

歳入関連法案の再可決

歳入関連法案が60日ルールにより56年ぶりの見なし否決となり、衆院で再可決されました。1ヶ月前より1バレルはWTIベースで10$程度上昇しており、暫定税率分以外にも上乗せされて、5月は1ℓで160円を越すとの観測もあります。米国でもガソリン価格が高騰し、景気対策として税率引き下げが議論されています。記者会見で「そんな国はない」という福田氏は述べていましたが、今後は覆ることになるのかもしれません。

今回の動きの中で野党が最後まで結束できたのも、世論調査で国民が暫定税率復活にNOと言い続けたからです。一部の県知事も3月には暫定税率廃止反対、と強く唱えていましたが、世論との乖離を恐れて声を潜めました。このため再可決の理由である「地方の混乱」という言葉のトーンも弱まり、何のために再可決するのか、という説明に窮する事態となっています。
苦しい判断、と言いながら規定路線だった与党の動き、これにも世論との乖離が見られます。今後も支持率が低下し、内閣がレイムダック化する中でサミットを迎えれば、政策実現能力の低い内閣として周囲からの侮りも受けるでしょう。国際公約を実現する力は国内基盤の充実にあり、それがない政権は外交上の力も弱いのです。福田政権の9月勇退説が強まる中、少し政局を考えてみます。

自民党にとって最大の議席をえる術は、5月後半から6月初めに福田首相のみが辞職して新内閣を立ち上げることです。サミットを新政権で成功させ、その後内閣改造、信任投票として9月か10月に解散、総選挙。これなら人気と実績、それに裏打ちされた選挙戦が可能となります。
この推論の一部には、9月に民主党代表選が控えていることもあります。すんなり小沢氏でまとまるとは思えず、党内結束が弱まることも考えられます。小沢氏で結束できても、古いタイプと新政権の対立となれば、与党に票も集まり易くなるでしょう。これで3分の2の議席数は消えても、最良シナリオであると考えます。

現状、自民党内をまとめられるのは与謝野氏か、小池氏です。麻生氏では守旧派議員からの反発が強く、分裂含みとなり難しいところでしょう。小池氏ならば環境大臣の経歴とともに、今回のサミットにも好影響であり、また日本初の女性宰相として話題性も十分です。あくまで5月に首相交代なら、という前提ではありますが…。
この動きの中で問責決議の行方ですが、これは法的拘束力のない、名誉に関することです。つまりもし提出されると、今後問責決議の話が出るたびに前回は福田内閣の時に…、という枕詞がつけられます。これは消費税の話のたびに竹下内閣の時に…、とつくのと同様です。名誉に瑕がつく、というのは将来にわたって肩身の狭い思いをするということであり、福田氏が隠忍できるのか、ということが重要となってきます。無視されることを恐れて6月末に提出との憶測もありますが、秋口に総選挙が行われるようだと、福田政権以外の相手では少し民主党には厳しいのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年04月29日

判決について厳罰化、と評されることについて

渋谷バラバラ殺人事件で、昨日20年の求刑に対して懲役15年の実刑判決が下されました。先週、最高裁が「公正さや前提条件に問題がない限り精神鑑定を尊重」という指針を示し、同様に二人の精神鑑定医から「心神喪失」と診断されていた、この裁判の判決が注目されていました。
東京地裁は犯行前後の被告の行動に着目し、「幻視などの症状があっても責任能力に問題なし」と判断しました。精神障害の判断は、犯行、犯行が発覚、逮捕、拘留という精神的に負荷の多い事象を経過した後、行われるものです。つまりいずれの経緯で発症したか、それは現在の症状において過去を類推しているだけであり、幾ら専門家といえど誰も正解などは導けない問題なのです。精神鑑定を一つの判断材料とし、判決は諸事情を考慮するというのは正しいことなのでしょう。

そんな中で、厳罰化の流れを指摘する声があります。ただそれを述べる人間の裏側の意図を考えるとき、厳罰化という言葉には二つの意味が含まれています。つまり過去は正しい判断が下されていたとして、現在は異常な状態になったという意味で使う厳罰化か、過去は緩和的であり、現在は正常化に向かっているという意味で使う厳罰化か、ということです。
死刑廃止論者や弁護士の一部は前者の意味で用い、恐らく一般では後者の意味で用いる方が多いと見られます。過去は被害者を弁護してくれる存在すらなく、犯罪者ばかりが弁護士をつけられ、自らの正当性を主張する場を与えられる。そのバランスを欠いた権利意識が、現在は被害者にも権利が認められつつある、という意味において一般の理解は進んでいると見て良いのでしょう。

これを裁判員制度と絡める場合もありますが、『厳罰化』という言葉がもつ響きにも注意しなければなりません。これが正常化であれば安易に考えてしまいがちですが、厳罰化というと抵抗を感じる人もいます。被告に対し、従来と比べて厳しい罰を下す、そう表現されることには抵抗を感じる人もいるはずです。
これは今が厳罰化に向かっていることは間違いない事実ですが、過去の判例をどう捉えるのか、という総合的な判断が必要な問題です。先の山口県光市母子殺人事件でも、今回の事件でも安易に厳罰化、という言葉が使われますが、もう少しこの厳罰という意味を問い直しておいた方が良いでしょう。裁判員制度の中で、厳しさと表現されることの意味が、全く別の形で裁判員それぞれが考えさせられることになるのですからね。

analyst_zaiya777 at 22:54|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 社会

2008年04月28日

補選の結果を受けた与党の反応について

衆院山口2区補選の結果を受け、道路特定財源の一般財源化を閣議決定する、後期高齢者医療制度の見直しを検討するよう指示する、など幾つかの動きが見られます。しかし後手後手の対応であり、やるなら補選の前でしょう。支持率を気にしたともとれますが、ここでこれまでの主張を覆すようだと、今更の人気取り政策に見えてしまい、益々評価を落とすでしょう。
そんな中で今回の大敗を受け、与党議員の間から「説明責任を果たしていない」との言葉が聞かれましたが、これには少し違和感があり、記事にしたいと思います。

説明をすることと、責任を果たすことは、達成度では別の評価です。説明をするだけでは単に一方通行のものですが、説明責任を果たすというのは相手が理解し、判断できる材料を提供することを意味します。今回、与党議員や厚労省の職員が出るメディアを幾つか見聞しましたが、いずれも説明することすら避けている印象がぬぐえず、深く追求されると、では増大する医療費をどうするのか?と逆ギレ気味の反応を繰り返しました。
一方で補助金が出ていた地方自治体は高くなるけれどそれ以外は安くなる、という説明にも根拠は無く、実感として負担が拡大したと感じる高齢者が多くいます。これは被扶養者への負担拡大が影響していることは間違いありませんが、その説明は徹底的に避けていた、といえるでしょう。衝撃緩和措置で徴収は先であることを指摘する人もいましたが、これでは将来不安に何も答えていません。結果として、なぜ年金しか収入のない被扶養者が徴収の対象になったのか、誰からも説明はありませんでした。

法律は施行されており、個別に説明している、パンフレットを作った、等々の言葉ではすでに生じている不満は何も解決されません。特に今回は仕組みが複雑になり、真摯な説明が必要だったといえるでしょう。誰でも負担は嫌ですが、そこに合理性があれば理解が進むものであり、それを促す行為が説明責任を果たす、ということです。
今回は3月に道路特定財源に関するムダが頻出しました。ムダを削減しないうちに、負担を求めることに合理性はありません。痛みをもっとも先に感じる部分が、なぜ弱者の側なのか、そうした意識も芽生えたのです。結果、高齢者票が民主に流れたということです。

最後に、サミット前の内閣改造も囁かれますが、それは難しいでしょう。福田カラーを出していないとも言われますが、福田氏が着手した人事は党4役であり、ここにカラーは表れています。守旧派を要職につけ、挙党一致をうたったこの人事が、道路特定財源という重しをこの内閣に縛り付けてしまいました。明後日には再議決に挑む模様ですが、世論調査で反対の多いこの法案に、再び説明責任を果たすことなく望めば、政権は死に体になってしまうのでしょうね。

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2008年04月27日

山口2区補選は民主の勝利

山口2区補選は自民、民主の一騎打ちでしたが、民主の平岡氏が比例からの鞍替えに成功し、当選しました。これだけ与党に逆風が吹く中、劣勢を跳ね返すことは難しかったでしょう。
自民は徹底的に国政の問題を切り離す戦術でした。補選の結果はガソリン税復活に影響しない、早くからこう切り出していたのも、その一つです。更に選挙期間中も焦点を地域活性化に絞り、ガソリン税や後期高齢者医療制度は一切触れず、そうした戦略を貫きました。しかしその戦略は、福田氏を応援演説に呼んだことで一変、国政丸出しの演説をメディアに頻繁に取り上げられ、あたかもこの選挙が国政選挙であると喧伝されてしまいました。

山口は元々保守の強い地盤です。安倍前首相、古賀選対の必死の努力で一時は与党候補が盛り返していただけに、潮目を変えた福田氏のあの演説が政権の失点として、与党内で意識されることだけは間違いありません。極論をすれば、今回の選挙は与党が頑張って一人で相撲をとり、一人で転んで負けた形です。国政が争点に浮上しただけに、主役の座は常に与党が握っていた、ということなのでしょう。
そんな中、福田氏が訪ロから帰国しました。エネルギー、運輸、環境分野の協力、北方領土問題を進展させる、と伝わります。しかし先にサハリン2の権益でもこじれたように、政治的な友好関係も後で有利な条件に変えるよう、国内法を駆使してロシアは挑んできます。権益のある国の強さ、それは笑顔の裏でも読みきれないものです。

内政の失点を外交でカバーする、よくある政治手法ですが、国内の支持率が低いと成果を焦って相手に有利な条件で交渉を進めてしまいがちです。政策的な約束も、国内を取り仕切れないとなれば、約束の価値自体が低くなり、相手に足元を見られてしまうのです。
特にロシアは世界で最も強い力をもつ資源をバックに、外交面では強気の態度をとる国です。サミット前の面通しとはいえ、技術協力を背景に何かを得る外交が必要でした。今回、何ら具体的成果は無く、単にこれまでの話し合いを進展させることを約束しただけでは、日本的にいえば名刺交換をしただけ、ということにもなってしまいます。

野党は補選の結果で直近の民意が得られた、と強気に出てくるでしょう。外交でも加点は得られず、福田政権は失地挽回に失敗し、今後は後期高齢者制度の見直しなど、具体的に何らかの国民理解が得られる政策をとらない限り、ジリ貧となることは目に見えています。何ができるか、再議決は本当にできるのか、5月の国会は波乱含みの展開となりそうですね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | ロシア

2008年04月26日

長野聖火リレーについて考える

長野五輪聖火リレーは何のためのものか、今日は改めて考えさせられました。善光寺に落書きもありましたが、これが嫌がらせだとすれば、辞退を抗議する人間は無法者という印象を与えただけで、何の得にもならないことです。この辺りの善悪の判別ができないと、やはり聖火リレーの意義というものは薄れるのでしょう。

まず中国の動きですが、日本に聖火が到着したその日に中国からチベットとの対話、というカードを切ってきました。これは来月の胡錦濤総書記の来日に合わせ、一定の配慮を示したこと。また在日中国人の数が多く、対立が激化して暴徒化する事態は日中双方の思惑として避けたかったこと。
そして最後に、中国内で高まるナショナリズムが反日感情に結びつくと、国内の騒乱が増えるとの懸念を中国側が有していたこと、などが上げられるでしょう。中国内の大手メディアでは日本の聖火リレーは友好的に終了した、と流していますが、それもこうした配慮が影響していると考えます。

極めて異常なのは、聖火リレーの開催国の住民が聖火を歓迎する構図でなく、開催国にいる中国人が集まって歓迎している、ということです。各国の聖火リレーを見るにつけ、世界にこれだけの中国人がいるのだ、ということを再認識させられる形となっています。そして中国に協力するその国の住民がまた極端に少なく、世界から嫌われる聖火、ということを印象づけています。
重要なことは、聖火リレーが単なる儀式として各国を巡るだけなら、何も成功ではないということです。各国の住民が歓迎し、五輪への想いを強めてこその成功であり、そこに中国人が沿道を陣取ってOne China!と叫ぶようでは、内政問題を世界に喧伝しているだけに過ぎません。

一つだけ良かったことは、日本の治安、警察機構の優秀さを世界にアピールできたことでしょう。7月のサミットに向けて、要人警護の体制がどのようになるか、世界も注目していたでしょう。今回の警護がそのまま当て嵌まる訳ではありませんが、中国の治安部隊に頼らず、自国の警察権力内でこれだけの内容を示せれば、一つの成功だといえます。
五輪までこの問題を引きずるようだと、出場選手にまで危害が及びかねなくなるでしょう。中国が国家として五輪を熱望し、それで国威発揚を煽ったことが国民のナショナリズムを高め、治安の悪化という最悪の結果になろうとしています。今回の長野聖火リレーを見ると、危険ばかりが示された、そんなようにも感じていますね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | アジア

2008年04月25日

経済の話。債券相場で初のサーキットブレイカー

今日の東京市場は大幅上昇となりました。アジアからの買いや公的基金の買い、なども言われますが、今日はそれ以上の特殊要因があります。債券市場で初のサーキットブレイカー発動、進む債券安を食い止める手段ですが、債先売/株先買の流れが起き、これが証券市場を上昇させたことは、まず間違いないと見て良いでしょう。

今朝方に3月の消費者物価が発表され、前年同月比1.2%上昇。コアCPIの上昇が大きく、インフレを誘って債券売りを誘ったという話もありますが、市場予想通りの数値であり、特段材料視されるものではありません。それ以上に、昨晩起きた欧米の動きが債券市場に大きく関係しています。
ドイツ景況感の悪化に伴いユーロ売りが加速、また米新規失業保険申請件数が予想より低く、これが更なるユーロ売りを誘い、一時1.6まで拡大したユーロ/ドルが1.56まで下落しました。その後、米新築住宅販売、耐久財受注の悪化を受けてやや戻りを試したものの、ユーロ安、ドル高の流れが為替相場で起きています。この流れは商品市場にも波及、ドル建ての商品市場は一気に売られ、原油は一時4$安、金も900$割れとなり、その他もほぼ同様に下落しています。

今年初めから市場の関心は世界の協調利下げであり、債先買/株先売の流れが継続してきました。先月半ばからその流れが逆転、米国債は2年もので利回りが1.8程度から昨晩は2.4近くまで上昇しています。29日のFOMCでも0.25%の利下げか、様子見予測も増えたことで、継続利下げは一先ず打ち切りとのムードになったこと。世界はインフレ懸念で利上げへ向かい易いこと、こうした観測からストップロス的な債券売りが加速した、その過程にあった一日だったと考えています。
この流れが継続する可能性はありますが、債券相場のセリングクライマックスの可能性もあります。そして安全資産とされた債券、商品市場から溢れたマネーが、リスク資産である株式に流れ続けるどうか、それを考えておく必要があるのでしょう。CDSが急低下しましたが、まだ以前と比べて高い水準にあり、当局の出すアラームの根拠がどこにあるかの見極めも必要でしょうね。

マネーフローが一日で大きく変わる、ボラタイルな展開となっています。米国の悪材料は織り込み済み、その他の地域の悪材料、インフレなどの材料には過剰に反応する、そんな展開がしばらく続くのでしょう。日本では米国市場が大きく下落しない限り、CMEが高く返ってくる、という支援材料も証券市場の支えとなっています。
予想よりは企業の見通しも低くなく、また決算発表と同時に自社株買いを発表する企業も再び目立つようになってきました。新日鉄の悪い見通しが、価格交渉の材料であって実体はそれほど弱くない、など楽観的な観測も多くなっています。この楽観がいつまで継続できるか、それ次第で今後の動きは決まりそうですね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(12)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年04月24日

消費者庁の創設を明言

昨日、福田氏が2009年からの消費者庁の創設を表明しました。消費者行政推進会議で検討されていた段階から、報告を待たずに設置を一歩進めた形となります。経産省、厚労省、農水省、公正取引委員会、などの一部機能を集約させた形となりますが、少々難しさも感じています。

これまで行政は提供する側の立ち位置で省庁ごとに区分されてきましたが、今回の組織改変では享受する側で区分しようとしています。しかし人間の生活には必ず消費行動が伴うものであり、幅広く捉えれば金融庁、国交省なども消費者庁の対象となってしまうのです。つまり消費者の定義とは、人間生活の根本であり、どの範囲までをカバーするのか、それによっては消費者庁と他省庁との2重行政の危険もあるものです。
各省庁が握ってきた情報、職能、人材、その辺りが確実に移管されなければ、消費者庁は各省庁に勧告を出すのみの機能しか得られないのです。この辺りを推進会議で議論しているはずですが、結論ありきで拙速に物事を進めると、既得権益を手放さない行政の現状では不都合ばかりが膨らむことにもなりかねません。

しかし現在のように、監督官庁が異なるために指導、監督が相手任せとなる、罰則規定がバラバラで適用が曖昧である、というようなことは是正する必要があります。省庁再編も一つの手法ですが、法律の一本化、それを通して誰もが納得できる形での、消費者が安心して暮らせる社会を模索することもまた、国会の務めといえるでしょう。
これは規制緩和や、政府機能の縮小にも繋がる内容です。監督機能の強化では行政の肥大化にも繋がります。この辺りのバランスの取り方により、この消費者庁の価値や存在意義は決まるのでしょう。いずれにしろ、推進会議の内容を待って評価するしかないのでしょうね。

最後に少し、これも昨日の経済財政諮問会議の内容ですが、100万人のフリーターの雇用、子育て後の女性の就労支援などが検討されています。数値目標を掲げ、GDP拡大に向けた諸施策、ということですが、では企業に一度は下げた正社員比率を、再び上昇させる余力があるのか?派遣業などに影響しないのか?一度国の形を変えると、回帰させるのは難しい問題となります。
日本は終身雇用が前提にあり、それを企業が抱える正社員比率を緩和することで、一旦壊した形となっています。就職活動に失敗し続けると、失敗体験が自己否定につながって働く意欲を失った人間も多くいます。現在は就職活動が売り手市場となりましたが、ここまでの就労関係の結果生まれた歪みを正す道は、容易ではないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 行政改革 | 政治

2008年04月23日

経済の話。日本市場の動き

先週、4月の月例経済報告が出され、3月からの踊り場入りから一層の警戒を示しました。サブプラ評価損が低いといわれてきた日本の景気実態は、米国と同様に、もしくはそれ以上に早く減速しているようです。そんな中、今朝発表された3月の貿易黒字は前年同月比30.2%減、輸出に関しては米国が大幅減なのは当然として、欧州、アジア向けの輸出も減速しており、世界の景気減速を改めて確認した形となりました。

まず、英中銀の10兆円規模の公的支援ですが、これは住宅ローン担保証券を一時的に英国債と交換し、金融機関の資金繰りを容易にする内容です。しかし交換した担保証券の下落は当該金融機関が負わねばならず、また利払いに関しても厳しい基準が設けられており、市場から効果は限定的との見方がなされています。
そんな中でロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)がサブプラ評価損で今年末に1兆2千億円を計上、合わせて2兆4千億円規模の増資計画を発表しました。先週の米シティ決算で悪材料出尽くし、という話もありましたが、週初のバンカメ決算でサブプラ評価損から景気減速に伴う評価損へと市場の関心は移っています。また欧州ではこれからサブプラ評価損が拡大する、という懸念にも見舞われ、一時の楽観ムードも陰を潜めつつあります。
WTIが最高値を更新し、FRBは月末に最低でも0.25%利下げ、ECBはインフレ警戒から利上げ、という事情を織り込んでユーロがドルに対して更に高値をとっています。ドル安の影響で資源価格が上昇、という構図はまだしばらく続いてしまいそうで、これらも景気に悪影響を与えるでしょう。

少し日本市場の話をすれば、今日は前場に年金基金からの買い、という憶測で先物が一気に買われ、上昇したものの後場は噂だったとのことで下げました。先物が暴れ易い相場つきですが、短期的には過熱感もあり、またボリューム不足で追随の力が薄いことで上値も重くなっています。当面は13000円を狙う動きが多くなると見ています。ニアサイドの動きは多くありませんが、下方向のポジションが徐々に増えており、大きな動きがない限り、調整局面で下を叩いてくるでしょうね。
これから企業の3月決算と今年度の見通しが発表されますが、まず慎重な見通しが出ると思って間違いありません。あおぞら銀行が赤字転落しましたが、日本企業にも広がり始めた景気減速による業績への影響が、どの程度出てくるのかを見極める大事なものとなります。日本の大手企業の基礎体力は高まっていますが、中小企業や内需依存が高い企業にどの程度耐久力があるのか、しっかりと見ていかなければいけませんね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(11)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年04月22日

野村証券社員がインサイダー取引

最初に、山口県光市の母子殺害事件で被告に死刑判決が出ました。裁判戦略で差し戻し審で供述を変えたことを、被告が「弁護士が変わったから」と述べたことが未だに納得できずにいます。弁護士とは被告の利益を守るのみでなく、真実の解明が大きな仕事だと考えます。虚構を作り上げ、それで無罪や減刑を得れば、反省すべき点を弁えられずに被告はその後の人生を送ることになります。それが被告の利益に適うのか?改めて考えさせられる、そんな裁判でしたね。

野村証券の社員がインサイダー取引を行っており、今日逮捕されました。証券業はある意味情報が命です。レーティングなども行いますし、企業買収の情報も集まります。企業決算の見通しなども出すのです。それをいち早く知る立場にある人間が、その情報を利用すれば当然のように収益を上げる確率は高くなります。
一部で業績への影響は軽微、とも囁かれていましたが、情報管理能力の欠如は証券業界全体のコンプライアンスの問題であり、業務に大きな支障となることは間違いありません。M&Aを中核に据える野村の経営戦略の出鼻を挫く事件であり、下手をすれば金融庁への再発防止策の提示などが求められ、それまで新規受注は見送られる可能性があります。業績にも影響が出る、それほどの事件だということです。

日本では先にLTTバイオファーマの子会社、アスクレピオス(A)による保証書偽造事件がありました。米証券会社から300億円を騙し取り、同様に投資会社からも詐欺的行為を働いていた事件です。丸紅契約社員やA社元社長の関与が疑われ、丸紅本社も損害賠償請求の対象となっています。
この事件も金融のプロが関与しています。恐らく内部情報を知り尽くし、かつ金融にも長けた人間が事件の青写真を描いたはずです。こうした事件は景気が上向きで、審査が緩いときに起きるものですが、米系証券会社は厳格な審査を課しており、その意味でも金融のプロが関与しなければ成立しない事件なのです。背後には政界まで繋がる、とも囁かれており、組織的な関与も含めて捜査がされるのでしょうね。

二つの事件とも、金融業界としてあってはいけない事件です。金融は特殊な部門であり、常に誘惑が付きまとう職種であるからこそ、プロとしての自覚と高い倫理観が必要です。悪用すれば高い利益とともに犯罪に結びついてしまう、だからこそ成功報酬が大きいなどのメリットもあり、一方で運用成績が悪いとリストラなどに直結し易く、最も能力を試される職種であるともいえます。
金融業界の健全化のためにも、改めてコンプライアンスなどの教育、情報管理のあり方など、徹底的に検討して欲しいと思いますね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(6)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 企業 | 経済

2008年04月21日

応援演説が仇となる?

日韓首脳会談が行われ、政冷状態からの脱却を印象づけました。歴史認識や竹島問題を取り上げない、実利外交との評価もありますが、経済で大きな痛手を被る勧告にとって、その実利が上がらないと日本への不満も燻ることになります。この辺りは互いの実利をどう担保するのか、が重要であって、現在の見せ掛けの友好ではない方向にどう進めるか、今後が課題でしょう。

山口2区補選が面白くなってきました。福田氏が官邸筋のごり押しで選挙区入りを果たし、その応援演説の中で道路や医療の問題に触れ、「何でも反対の民主党に政権を任せて良いのですか?」と述べました。それがメディアで何度も取り上げられることによって、この選挙が再び国政上の問題点を考える選挙、そうした様相を呈してきたからです。
自民党選対はこれまで『地域活性化』を旗頭に、道路などの話題は避けてきており、それが功を奏していました。仮に、今回の補選で自民候補者が敗北すれば、その責任はこの応援演説を行った福田氏も間違いなく追求されることになります。山口補選の結果は政権運営に影響しない、官邸はこれまでそう述べてきましたが、それは自民党内の空気が許さなくなります。

これはGW期間中の欧州歴訪を見合わせた、政治日程も影響します。サミット各国との面通しを終えていない福田氏は、サミット前に退任しても不都合は少ないといえます。むしろブラウン英首相、サルコジ仏大統領、そして退任直前のブッシュ米大統領と、今回のサミットは支持率の低い力のない元首ばかりであり、議長国の元首が直前で変わろうと大きな変化はないでしょう。
5月、8月等々との話もありますが、山口補選の結果如何では5月総辞職が濃厚なのでしょうね。問責が出るかどうかという話より、3度目の再議決で政治の混乱を招いた引責という幕引きが素直なシナリオです。世論調査で反対の多い政策で、3分の2条項を使うのは政権与党としても厳しい判断になりますから、誰かがスケイプゴートにならなければ納まりも悪くなります。

政党支持率と内閣支持率、一部調査では政党支持率が上回っていますから、与党内が忙しくなってきたのもこうした数字によるものです。もし仮に山口補選で与党候補が勝利すれば、直近の民意を得たとしてサミット後の退陣もありうるのでしょうが、どちらにしても山口補選の結果は、福田氏の応援演説によって政権の命数を決める重要なものとなってしまったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年04月20日

世界の食料不安を考える

世界で食料不安がおきています。原因は投機資金の流入が価格を高騰させていること、バイオエネルギーに流用されていること、新興国の伸張で需要が増えたこと、等が上げられています。そんな中、日本で開催されるアフリカ会議(TICAD)で、日本はアフリカの米生産量支援を打ち出す方針であり、各国が食料自給を達成することにより打開を図る方針です。

一部で水の利用量が世界で減少しており、生産には限界があるとも言われます。オーストラリアの旱魃、米国でも中央部の不毛地帯を豊かな農業地帯に変えた地下水の減少、気候変動とこれまで利用してきた自然が、それに耐えられなくなった末の生産量の減少が直撃している形です。
そんな中で、投機資金が穀物の取引相場にも流入し、価格を高騰させている現状をもう一歩深く考えると、農地価格の上昇も上げられます。米国では住宅バブルが崩壊し、一部で宅地不動産の価格は下落していますが、一方で農地価格については上昇しています。これはカナダ、オーストラリア、その他の国でも同様であり、必要性の高い土地として取引されています。

農地価格の上昇が直接、穀物価格に跳ね返るわけではありませんが、コスト上昇圧力にはなります。日本にこの影響が及ばないのは、日本は穀物の輸入国であるばかりでなく、J-REITの大幅な下落に見舞われているように、日本の不動産に右肩上がりの回復が見込めないこともあります。また農地からの転用が進まず、かつ後継不足で余った農地が耕作放棄地として多く存在すること、等もあげられるでしょう。
例えば日本ではお米の消費が減り、減反政策などが進められましたが、それでもお米は年間で余ります。将来の不作に備えて古米、古古米として蓄えられますが、一定の条件で貧困により食料の行き渡らない国の支援などに使えれば、ODA以上に効果のある対策となるはずです。

今は全ての『価値のあると思われるもの』には投機資金が流れます。それは実需でなく、材料によって動く価格であり、これが強烈なインフレ圧力となって世界を襲っています。対策以上に、この流れを食い止める策を打たないと、世界は食料不足により大混乱に陥るでしょう。投機資金には一定の規制が必要であり、特に穀物価格などの生活に密着した部分では、世界がそうした方向に向かわなければいけないのでしょう。マネーゲームの結果が、世界の不幸な結果に繋がる前に、知恵を出さなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 経済

2008年04月19日

道路特定財源の一般財源化協議会が開催

まず最初に、福田首相が会食の席でリーダーの資質を問われ、「信義が大事」と述べたそうです。福田氏はマキャベリの『君主論』を読んでいないようです。時に権謀術数を弄し、「愛されるより、恐れられる方がはるかに安全」とまで言い切るこの書には、「人間は必要に迫られない限り善は行わない」と談じられています。つまり徹底した性悪説で彩られているのです。
君主論が絶対の真実ではありませんが、信義という性善説に期待するのはリーダーとして危険でしょう。表向きはそれでも構いませんが、裏では幾通りもの戦術、戦略が必要です。今は外交だけでなく、内政面においてもそれを実践する必要があり、それがネジレ国会という現状です。野党がネジレを利用するのは当然なのですから、それを信義だけで乗り切る姿勢を『混乱』と称しても、誰も納得はしないのでしょうね。

道路特定財源の与野党協議が参院でようやく審議入りしました。国土交通省の改革本部では、一部公益法人の民営化や役員報酬のカットなどを含めた案を提出していますが、一般財源化されれば公益法人の支出等も国会審議の対象なので、むしろカットできる余分な支出が表に出ないよう、先行して処分する構えなのかもしれません。
しかし与野党間の隔たりが大きく、協議会でも30日以降の3分の2条項による再可決を睨み、混迷を深めそうです。個人的に当面はつなぎ法案を出して再可決は一度だけ、5月中旬と見ていましたが、与党内の動きを見ると30日には再可決する構えです。恐らく協議会では一般財源化に向けた話し合いとなるので、それでは道路族議員が納得しない。あくまで10年間継続される、現行法案を通した形でなければならない事情が存在するのでしょう。

昨晩の某バラエティ番組で、道路財源の問題を国民投票したらどうか、というものがありました。内容はともかく、その中で視聴者の声に「どうせ国民は安い方が良いというに決まっている」というものがありましたが、それは異なります。例えばこれが、道路特定財源ではなく医療、介護、福祉に関するものであればどうでしょう?
支払いを渋り、それにより不都合が生じることを国民の大多数が望むでしょうか?答えは絶対に否です。むしろそこが日本人の良いところであり、理性的に判断するはずです。今の後期高齢者医療制度の問題でも、メディアのネガティブキャンペーンの影響もありますが、総じて世論はこの制度の非を鳴らしています。それはこの制度が弱者イジメと捉えられているからです。
重要なことは、この国の財政は逼迫しているのですから、無駄な支出を極力排除し、必要と思われるところに予算配分を変えることなのです。それを邪魔するものが特定財源という制度であり、見直しの第一歩となる協議会はとても重大な役割を担っているといえるでしょう。人間の性悪な部分、特定財源に潜む不明瞭な使途をあぶり出すためにも、しっかりとした議論を望みたいところです。

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2008年04月18日

聖火リレーを善光寺は辞退

最初に、注目の米国シティグループの1-3月期決算が発表されました。150億$の損失計上、損益は51億$の赤字です。今回増資は発表されず、海外や国内事業を売却、もしくは整理して乗り切るようです。これを受けて、日中$/円で上値目処として意識されていた102.56円を突破したこともあり、為替は一気に104円台に急進しています。米国市場はどんな悪材料でも材料出尽くしとする流れにありますから、事前報道に近い数値だったことで安心感も広がりそうです。

さて、善光寺が聖火リレーコースの辞退を発表しました。機動隊が4000人規模で警備するといいますし、すでに異常事態なので、これは妥当な判断なのでしょう。本来は平和の火を繋ぐリレーが、混乱を巻き起こすリレーでしかなくなっており、参加する意味は薄れています。
中国では仏系量販店や米系ファーストフードなどの不買が呼びかけられ、一部にデモ行為もあるようです。愛国無罪が現在も息づき、日本大使館に行ったのような投石などに及べば、それこそ世界から非難が集まるでしょう。治安警察が抑制をかけても、サッカーの日本戦でも暴動一歩手前となった行為もあり、どこまでそうした暴動リスクが緩和されるかも分かりません。五輪観戦に訪れた外国人に安全が保障されるのか?北京五輪は環境リスクに続き、治安リスクが意識されるようになりました。

これまで中国進出を果たしてきた企業も、巨大な消費国という潜在性に投資する側面が強かったように思います。しかし中国に存在するリスクは、今回の事態で確実に欧米にも意識されるはずであり、直接投資は避ける方向になるのかもしれません。人民元の高騰も噂され、経済の側面から中国を分析する必要もあるのでしょうね。
中国が使う内政問題という理屈はまさに台湾問題とも重なります。それが海洋で衆目に意識されるか、チベットという山奥で人目につかないかの違いだけです。台湾は親中派の政権が成立し、対話路線に入りましたが、情報が隠蔽できるチベットではあくまで強気なのかもしれませんね。

最後に米国が北朝鮮に対して、テロ支援国の指定解除に関して、条件緩和の方向で動いていることが明らかになりました。22日の協議では、米国の大幅な妥協で決着する可能性があります。
これは財政赤字でイラク派兵は撤退、もしくは規模の縮小を求められる現在の米国の窮状をそのまま表しています。公的資金導入にしろ、財政赤字が拡大する米国はどこかに財源を求めなければ、米国債の格付けが引き下げられる可能性もあります。北朝鮮に強硬路線をとれる余裕は、米政府にもないのです。日本はどこかで米国の翻意をとめるか、独自で動くなどの路線転換が必要でした。テロ指定解除が行われれば、日本が交渉する力さえ弱められてしまいます。日本は早めに次の戦略を練るべきなのでしょうね。

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2008年04月17日

経済の話、米国に関する最近の情報について

今日は米国経済を考えたいと思います。これまでも述べてきた内容ですが、市場関係者が底打ち、最悪期は脱したという発言を繰り返しますが、FRBやSECなど金融監督の立場からは、次々と厳しい見通しが示されます。この乖離の原因と、中・長期的にどちらの意見が正しいのかです。

バーゼル銀行監督局から複雑な金融商品を保有する金融機関に対し、自己資本の積み増しが迫られました。まだ積み増さなければいけない不良債権化しそうな商品を、金融機関は保有しているのか?先週のG7の100日以内の情報開示義務でもそうですが、各金融機関に対してどんな損失が隠れているのか分からない、不透明だ、そういう視点を当局は持っているようです。
これを示す指標として、銀行間取引の基準を示すLIBORがベア破綻直前の数値まで上昇しています。再び金融機関が一つ吹き飛ぶかもしれないほどの危険水準です。銀行間で資金を貸し借りできない、これが示唆するものは私にもまだ分かりませんが、この水準で推移が続くといずれ大きな動きも起きるはずです。何よりこれは、資金繰りの劣化を示す数値だからです。

某格付け会社から出されたリポートで気になったのが、米国危機というものです。それは米国で3月にうたれた金融機関対策により、米国債が劣後債に陥る危険性を指摘したものです。詳しくはふれませんが、ジャンク債も預け入れできるようにしたことにより、政府系住宅金融会社やFRBが自己資本積み増しを迫られ、それを補うために米国債が乱発される危険があるというのです。
つまりこれまで懸念されていた米国金融危機が、米国危機に直結する危険性を指摘しているのです。これまで米国でうたれた対策は、全て短期間で減速する経済を反発させる、いわば特効薬です。逆に効き目は短く、その間に経済が健全化されずに影響が長引くと、負の効果が出始めることになるのです。対症療法から根治療法へ、米国の対策はここに至らない限り、回復は難しいのでしょう。

つまりこのタイミングで、仕組み債を市場から一掃するような対策を打たない限り、市場関係者の期待も泡と消えるのでしょう。しかし当局はその手に踏み込まず、あくまで情報開示と自己資本積み増しを各金融機関に迫ります。各金融機関では楽観を振りまかない限り、ベアの二の舞を踏みます。なので、これが当局と市場関係者の乖離の原因ということなのでしょう。
米国が絶対に危機に陥るということではありませんが、現状の対策では足りない、ということは確実です。利下げや税還付などの特効薬の効果のある間に、次の手を考えておかないと、中・長期的に市場環境が好転することはないと思います。短期的には上下動するでしょうが、安定した上昇トレンドに移るにはまだ何かが不足している、ということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(6)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年04月16日

小泉元首相の動きを考える

最近、小泉元首相が活発に動いていると各メディアが報道しています。何とか風やら超党派の会食を開催などです。ただ少し偏った報道に感じる部分もあり、記事にしたいと思います。

小泉氏は政局に敏感だ、とも言われますが、8年前にそんな話は微塵も聞かれませんでした。総裁選に出ては落選を繰り返し、自民党内でも一匹狼的な存在に過ぎなかったのです。しかしそれが幸いし、古い自民党体質とは異なる政治家として一躍脚光を浴び、01年の総裁戦で勝利してからこの人の評価はそれまでと180度変わります。
しかし総理就任後も自ら旋風を起こして成功した事例より、風向きが変わった後でその時流にのり、難局を乗り切ることが多かった。つまり小泉氏とは自ら動いて成功するタイプではなく、人から担がれて流れにのると力を発揮するタイプなのです。政界再編のキーマンとも言われますが、キーは神輿に乗る人より担ぎ上げる人を指すべきであり、小泉再登板の可能性は小泉氏の動きではなく、それに群がる周辺にあると見ておく方が良いと考えます。

小泉氏が最近発言を活発化するのも、旧経世会の流れを汲む民主党・小沢氏に政権をとらせないため、との見方もできますし、麻生氏と手を組んで保守系で郵政造反組の平沼氏の復権を恐れているとも言います。元々怨念が深い人であり、また手を突っ込んで引っ掻き回すことも多い人であり、煮え湯を飲まされた旧経世会と郵政の復権は何としても避けたいのでしょう。
小泉旋風で恩恵を受けた人は再来を望んでいますが、今回は風に逆行する流れで動いていますし、よほど周囲が支えないと政界再編もありません。そして何より重要なのは、小泉時代に成立した法案が施行されるにつれ、国民が痛みを受けているということです。

私は、小泉時代は法案の看板は首相が書いても中身は官僚任せであり、小泉後は誰が政権を担当しても苦労する、と言ってきました。消費税増税などの宿題や外交問題、そして仕掛けられた制度上の時限爆弾が徐々に破裂することが明白だったからです。年金問題とて小泉時代に変更が為され、百年安心プランと喧伝されていました。結果は今の通りです。
国民の間でも小泉氏に期待する声がありますが、改革できたことと改悪になったこと、その見極めをしっかりしておかないと、単に弁舌の上手さだけに惑わされていては本質を見失います。政界再編でもそうですが、時流に乗るだけで政策を見ておかないと危険なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(3)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年04月15日

地域活性化は争点となるのか?

今日、東京ディズニーランドが25周年を迎えたそうです。私は人ごみが苦手で、横は通っても中に入ったことはあまりないのですが、アトラクションの刷新などを繰り返し、25年もの間愛される施設というのは本当に驚きですね。

衆院山口2区の補選が告示されました。自民公認・公明推薦の山本繁太郎氏と、民主現職・社民推薦の平岡秀夫氏の一騎打ちです。メディアはガソリン税、年金問題、後期高齢者医療制度など現状の国政にまたがる問題を争点としていますが、与党側は山本氏が内閣審議官時代に地域活性化統合事務局長だったことを上げ、地域活性化を争点として選挙戦を展開するようです。
気になるのは、国政選挙で地域活性化とはどういう内容を含むのか、です。地方への利益誘導が政治家の基軸だった時代と、現代は大きく異なります。財政再建で公共工事を減らし、道路とて見直される可能性が出てきました。政治家が霞ヶ関と組み、口利きで地元に利益誘導することは、悪いこととして捉えられる時代となったのです。

国政で地域を活性化させる策とは、郊外への大店舗出店規制など、効果も曖昧な対策しか打ち出せないことも多いものです。それは地方にも議会があるからであり、そこに国政が口出しすることは、地方分権の流れと逆行してしまいます。では今回の地域活性化とは何か?やはり道路建設などを進め、地方に多い中小建設業を潤すとしか聞こえなくなってしまいます。
例えば現在、中央省庁の出張所と地方との二重行政の問題があります。これを地方に移管すれば人件費などの諸経費削減に繋がりますし、地方分権にも合致します。中央から数年後に戻す、との約束で地方に送り出される人員より、地元雇用が進めばそれも地域活性化に貢献するでしょう。こうした一つ一つの諸施策にまで踏み込めば、地域活性化は議論の対象となりますが、そうでなければやはり利益誘導型の古い政治体質を想起させるばかりとなります。

最初にTDLの話題を取り上げたのも、継続して活況を呈すために利用者の心を読み、新たなアイデアを盛り込むことが大事であることは、遊興施設であろうと地域活性化であろうと同様だからです。そしてそれは中央省庁の人間や国政で語られるより、地元をよく知る人間が知恵を絞って行う方が、それぞれの特性に合ったものが出せるはずです。
国政の争点に地域活性化、見栄えは良いかもしれませんが、対象が不透明すぎるきらいもあるでしょう。選挙とはイメージであり、良い方向の内容を付加していけば戦えるとの算段もあるのでしょうが、最近の与党側には失点も多く、挽回できるかが焦点なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2008年04月14日

政治と経済の話で雑感的に

福田氏が産科・小児科医不足の視察の後、記者団の質問に答えた時に「財源不足の問題もありますが…」と述べました。道路特定財源の一般財源化でも「必要な道路はつくる」と盛り込まれましたが、必要性の優先度を決めないと、国民はますますこの政権から離れていくでしょう。
医師不足、救急医療のたらい回しでもそうですが、優先度は道路ではなく国民生活に密着した医療や福祉の側の方が高いといえます。福田政権のやりたいことがわからない、という国民の意見も、政権の重視する政策の順位付けが不透明ということもあるのでしょう。後期高齢者医療制度もそうですが、弱者軽視とも受け取られる政策を「説明不足の混乱」のみの謝罪でとどめてしまう所に、国民が不満を感じるのであって不支持が広がる原因なのでしょうね。

一部に、今月末と来月の2回の再可決の話もありますが、私はその手法をとるのは難しいと見ています。福田氏の外交日程ではGWで訪ロ、欧州歴訪を予定しており、サミット前の外遊が喫緊の課題である福田氏にとって、二度の再可決が確実な状況は作りだしたくないと考えているはずです。
恐らく今週末か来週につなぎ法案が出て、来月の再可決で手打ちになるのでしょう。それまでの修正協議ですが、山口補選の結果次第で応じるかどうかが決まるはずです。与党が強気で首相提案とそぐわない法案でも通せるかどうか、それは世論の動向次第ということなのでしょうね。

最後にG7後の市場の動きですが、先週末のGE決算を嫌気した米国市場の下落、G7期待の剥落、円高もあって今日は大幅下落に至りました。欧米では、各金融機関のCEOから最悪期脱却宣言が相次いでいますが、G7も認めた問題の長期化、これが更に経済を悪い方向に進ませると見て間違いありません。大きくしゃがめば立ち直りも早いものですが、だらだらと悪化していく経済が一番タチの悪いものです。
中核自己資本比率は増資で上昇しても、各金融機関では支払う利率が今後の収益性を圧迫します。そうなると無理な投資で収益を上げようとする、この時が最悪期になると見ています。G7の100日勧告は、一時的にしろ金融には逆風になる可能性があり、その点も警戒されるところです。
先週末には、短期的に日経平均で14500を狙う層もいましたが、今日の下落で5月に安値をとり易いというアノマリーが意識されるようになったので、上値は重たくなったと言えます。悪材料さえなければ、大きく売り込まれる水準にはありませんが、米国の金融決算次第では下値を試す場面も想定しておいた方が良いのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

2008年04月13日

雑感。北京五輪に向けた中国の態度について

北京五輪の聖火リレーの混乱。日本人には中々理解し難い中国の人権に対する考え方ですが、これを理解するためには歴史を考える必要があるのでしょう。古代から続く『中国』という国家は、民族的に見ると常に流動的であったことが分かります。

中国最初の統一王朝『秦』は、当時の西方の大国、ローマを『大秦』と称したように、西方の異文化をもつ国家に与えられた国号です。その後、漢が統一して漢民族としての意識が芽生えますが、晋の後に起きた五胡十六国時代には華北は全て異民族国家が成立しています。
この後、モンゴルや清が中国を治めますが、いずれも北方騎馬民族の出です。つまり中国という国家は、武力制圧によるものであろうと異民族の流入と、民族的な習合を繰り返してきたのであり、他民族国家を力で押さえつけてきた歴史だということがいえます。チベットやウィグルでの中国の行動は、中国が歩んできた歴史そのもの、ということがいえるのでしょう。

これは他民族をキリスト教で統一してきた西洋社会、開拓者精神で国家を築いてきた米国とは、根本的に異なる考え方です。世界の常識と中国の常識には、明らかに差異があるのであって、それを埋める努力は双方がしなければなりません。しかし中国にその意識はなく、あくまで自分たちの道理を通そうとしています。
人権の考え方は、世界が不幸な歴史を繰り返し、その上で築き上げてきたものです。IOC会長も人権問題に関して、中国に苦言を呈するようになりました。このままでは、五輪は祭典ではなく単なる一つのスポーツ大会として、北京で行われることになるのでしょうね。

日本政府は胡主席の訪日を成功させるため、この問題に関する発言を封殺していることがとても残念です。人権問題は、国の歴史や都合によって変わるものではなく、国家を存立させる根本にあると考えます。逆に、それが担保できない国と肩を並べて笑顔を浮かべ、握手することがどれほど危険か、今一度考えるべきなのです。
政治は歴史を意識しなければなりません。青史に刻まれる名は、書き換えられた歴史の中にではなく、民間で伝えられる口伝の中に評価が隠れています。笑顔の握手の中に両国が友好さを演出しようと、それは国民の誰も評価しない、ということが確実となってきたのでしょうね。

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2008年04月12日

G7、期限つきの対策を求める

ワシントンで開かれた先進7カ国財務省・中央銀行総裁会議(G7)において、世界経済に対して厳しい見方が示されました。この中で金融安定化フォーラム(FSF)報告を全面的に支持し、具体策にまでふれている点が過去と異なることであり、特筆されます。

今後100日以内に実行するよう勧告されたのは、ゞ睛撒ヾ悗諒殕商品情報開示、▲フバランス関連会社の情報開示の基準改善、6睛撒ヾ悗亮己資本強化、こ壁佞渦饉劼旅堝圧範の改定、です。今年末までに実施するよう支持されたのは、各金融機関への監督強化、透明性や価格評価の向上などが盛り込まれ、これらは今秋のG7で報告することが求められています。
,砲いて重要なことは、G7前にバーナンキFRB議長が言及した時価評価の妥当性です。実は、証券化商品は市場で価値が決められず、保有する各金融機関ごとに3割、5割などと下落率を決めて計上されています。急減する流動性の中で価値を評価する場がどこにもなく、格付けすら意味を為していません。二次商品、三次商品は特にそうであり、情報開示を進めればこれらはほぼゼロ査定となる可能性すらあります。

△發修Δ任垢、現状起きている金融資産の縮小期とは、広げた風呂敷を再び包み直す作業に似ています。その際、ザルのように穴の開いた金融機関からこぼれていく資金を埋めるために、の自己資本強化があります。しかし個人的には、次の大きな金融の動きは、スイス金融大手UBSの増資計画がどう帰結するかにあると見ています。
3兆円を超える評価損を計上、1兆5千億円の増資計画を同時に発表していますが、増資規模や財務体質から見て、UBSが増資を受けられるようであれば各金融機関の資金繰りも楽になります。増資が受けられなければ、破綻懸念が広がり公的資金の投入があると見ています。UBSに関しては買収ファンドの動きも絡み、分割して一部を公的機関が引き取る可能性もありますが、この動きは今後を考える上でもとても重要となってくるでしょう。

ドル安に関しては、急激な変動については言及があったものの、口先介入では最近の為替相場は動かないので影響は小さいでしょう。「強いドル」を口にしながら何もしない米政府はドル安を容認していると見られており、一旦始まったドル安トレンドの転換には至らないようです。
今回のG7、最近目立つ世界経済への厳しい見通しをそのまま踏襲しました。期限をつけた行程表を認めるなど、踏み込んだ内容ですが、市場が期待した公的資金についての言及は避けました。各国の努力しろを多く残した形ですが、日本でもサブプライム関連で1兆円を超える損失見通しとなり、宿題は早めに解決しなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(6)TrackBack(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2008年04月11日

後期高齢者医療制度の混乱について

後期高齢者医療制度。通称、長寿医療制度ですが、混乱を引き起こしています。この制度は高齢者がかかる医療費のうち5割を国が、4割を健保から、1割を高齢者本人の負担とするためのものです。政府は年金受給者のうち多くは保険料が減額となる、という試算を出していますが、実態は市区町村ごとに保険料にバラつきがあり、一律年金から天引きされると、負担増になる住民も多く存在しています。
しかも4月10日までに、老人医療費受給者証と被保険者証を新しく一枚とする保険証の到着で、75000件の未達が報告され、旧制度の保険証や身分証などで1割負担とできるようにするなど、制度開始から準備不足が目立ちます。またシステム上の問題で1割の保険料より多く徴収される人が出たり、死亡者や転居者にまで徴収が及ぶなど、行政側の問題点が次々と明らかになっています。

最悪な点は二つ。被扶養者にまで保険料徴収が及ぶこと、もう一点は保険者証の未達で多く医療費を払った分の、その補填を払い戻せば良いとしていることです。生活苦の中で病院から10割負担を求められ、それを一時的にしろ支払うために、金融機関からお金を借りたりすれば、そこには当然のように利子がかかります。
ギリギリの生活をしている人間にとっては少しの負担が困窮を生みます。厚労省は「新しい制度の開始で混乱があるのは当たり前」と超然としていますが、そんな悠長な場合ではないのです。
4年ほど前に、国会でも「事前検討より事後対応を重視」との答弁がありました。小さな政府実現のため、事前に発生する問題を想定、検討することに人はかけない、という意味です。しかし今何が起こっているかといえば、国民には行政側の制度変更で混乱が起き、官僚機構の規模は従来と変わらないままです。行政側の人は減っていないのに、能力的には縮減しているのです。

年金問題で、野党側は舛添氏への問責決議を見送ったようですが、現在は過去の清算でトップの人間の責任を問う空気にはありませんので当然です。ただ自らの3月までの名寄せ完了発言や、今回のような混乱を生んだ責任は就任から8ヶ月も経た舛添厚労大臣にあります。
老人医療費の増加を食い止める策が3、4年前より検討されましたが、その結果が今回の事態となっています。今回の制度、周知徹底していれば混乱も少なかったはずですが、昨今の厚労省は情報を伏せ、なるべくメディアの目に触れないようにします。なぜ周知せず、混乱が起きるまで国民への理解が進まなかったのか?厚労省に聞けば、無駄な広告費に予算はかけられない、との答えが返ってきそうです。国民が真に知らねばならないこと、それは行政が宣伝しないこと、と言えるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:57|PermalinkComments(6)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年04月10日

経済の話。IMFによる厳しい見通し

G7を前に、国際通貨基金(IMF)が従来にない、厳しい経済見通しを示しています。サブプライム損失が世界で9500億$、米国成長率が今年0.5%、世界的な不況が起こる確率は25%、等々です。
損失については、著名投資家ソロス氏が1兆$を超える可能性に言及しているように、世界的にみれば欧州や新興国での不動産バブルの崩壊など、影響範囲を拡大すれば容易に1兆$は超える規模となるでしょう。問題は17年ぶりといわれる米国の低成長と、世界的不況の確率です。

米国ではこれから1-3月期の企業決算が出されます。元々全体で12%を超える減益を見込んでいましたが、その予想範囲を超える現減益幅となりそうな勢いであり、これが米国市場の頭を重くしました。シティやメリルなどの金融決算もそうですが、資源大手アルコアが減収減益に陥り、一般産業にも景気後退の陰が忍び寄ってきた形です。
ドル安は輸出産業にとって好影響。米国ではこうした意見もありますが、ドル安に伴う資源高騰が製造業を直撃し、価格転嫁が進まない現状では、増収であっても減益に陥るかもしれない。これは世界的に見られる傾向であり、米国のみその害から逃れられるはずもありません。

米国がリセッション入りしていることは間違いなく、問題はその程度と期間によって世界的不況に波及するか、が決まります。現状、利下げと資金供給、減税が米国で実施されていますが、ここに来て多くの識者が公的資金の投入を求めるようになっています。
いずれ投入はあるとしても、現状では巨大な火炎に少量の水を撒いても、火勢を衰えさせるまでには至らないでしょう。火が上がった直後の昨夏ならまだしも、このタイミングでは公的資金の投入は焼け石に水です。米国での減税効果は限定的、公的資金投入は早くて来年初め、と見ていますのでその間の米国経済は弱いままとなり、その間に世界経済も収縮し始めると見ています。

それでも、協調利下げなどの対応は世界でも難しくなります。再び商品市場が上昇に転じていますが、資源高騰は強烈なインフレ要因であり、かつ大量の資金供給が更にインフレを加速させています。このままではインフレが金詰りを起こして、いずれ規模の小さなどこかの経済が破綻することになるでしょう。
アジア通貨危機の記憶、それは経済が壊れるまで売りまくられる恐怖の思い出です。金余りと良質な投資環境のない社会、それは不幸な未来だと思われますが、今の世界の対応ではその道に突き進んでいるようにしか思えない点が残念ですね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年04月09日

党首討論。福田氏の怒り、小沢氏の余裕

党首討論が久々に白熱しました。キレ気味の福田氏と、余裕綽々の小沢氏。この二人の差がどうして生まれたのか?少し視点を変えると、面白い見方ができることに気付きました。

日銀総裁人事では今回、民主党から内々で白川総裁-渡辺副総裁案が自民党に提案されていたのでしょう。しかし福田氏が慎重になり、結論を先延ばししている間に民主党内の風が変わり、小沢氏の一声で副総裁否決、ということに決しました。これは間違いないことでしょう。
党首討論で意外だったのは、日銀総裁人事では小沢氏が正論を述べている、と感じたことです。即ちこれまで財金分離を唱えていた民主党が、ここで前財務官を容認すれば、政治上の駆け引きで二度は否決したが、今度は自説を曲げて賛成したことになります。つまり変説です。

民主党・反主流派が、小沢氏が賛成する意向だった武藤氏を否定するために強行に述べた理由、『財金分離』が今回は逆に小沢氏に利用された形となったのです。民主党の幹部会議で小沢氏から「財金分離は党是だから、二度も断ったのだろう?」と問われ、それに反論できる人間は党内にいなかった。なぜなら民主党はこれまで候補者の人物評で否決してきた訳ではなく、財金分離は誰もが用いてきた理由であり、それを覆す理由はなかったからです。
今回、予想外に民主党から棄権・造反が現れなかったのも、小沢氏の方が正論だったからです。世論を見て変説するのが政治だ、という従来の主張や政局マターではなく、正論を党首に振りかざされたら否定できない。このため民主党・反主流派は煮え湯を飲み、不承不承従ったのでしょうね。

しかしそれで納得いかないのが自民党です。民主党内の権力争いに翻弄され、三度の否決という瑕を負わされたことで、「誰に調整をとれば良いのか?」という福田氏の怒りに繋がりました。逆に、小沢氏にとっては自民党、民主党内の反小沢勢力に大鉈を振るうことができ、それがあの余裕に繋がったのです。謀らずも二つの敵対勢力を一度に追い込むことが出来たのですから。
ですがこの否決で、仮に民主党が政権をとっても財務省との関係は冷めることになります。霞ヶ関改革は財務省の予算関連の利権を奪うことから、と考えると大変興味深いことですが、官僚との対決姿勢を示して閣僚の醜聞を次々と内部から流された、安倍内閣のような例もあります。
官僚を敵に回して円滑な政権運営ができるのか?改革が進むのか?今回の件は事後に起こることが多くありそうなので、『禍根』という意味では大きな出来事になったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:48|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年04月08日

聖火リレーの混乱

北京五輪の聖火リレーが大混乱です。今後考えられる中国リスクは、五輪前から公害対策として北京周辺の工場が操業停止に陥ること、及び中国の報道規制の問題です。公害対策ではすでに中国内にその動きがあり、日本企業でも北京周辺に工場をもつ、もしくは工場と契約している企業は、調達不足に備えて調達先の見直しに迫られています。
一方で報道規制では、世界のメディアが集まるこの時期に世界に向けて主張しよう、と考えるチベット人も多くいるはずです。公安当局がその動きを抑えようとする、その映像が世界に流れることは中国としても許容できないはずであり、映像に細工するよう依頼するか、本国への送信を止めてしまう可能性もあります。生放送の映像が突然切れる、等は覚悟しておくべきなのかもしれません。

中国では、経済は資本主義を取り入れつつあっても、報道規制に始まる情報操作、統制社会を続ける国家では『平和』の概念が異なる、ということです。開会式の入場順が画数で決められる案があるそうですが、中国語が世界で一番話されている言葉だとしても、国際社会の目をもう少し意識すべきでしょう。世界がなぜチベット問題でこれほど厳しい対応をするのか。自分たちは悪くない、という態度で乗り切ろうとするなら、問題は更にこじれることになるのでしょうね。

最後に、日銀総裁人事の件で少し述べたいと思います。民主党は白川総裁就任には賛成、渡辺副総裁には反対する党方針のようです。これまでと異なり、明日の国会は民主党から造反も出るかもしれませんが、この総裁人事で民主党は分裂した、と考えるのは間違いです。民主党は最初から分裂しているのであり、政権交代という錦の御旗がなくなれば、党としての纏まりは不透明になります。
これは革命で旧体制を倒した後、革命派が内部分裂から混乱する状況と似ています。体制を壊すことと築き上げることは性質上全く異なるものです。ねじれで民主党が試されるという人もいますが、民主党が真に試練を迎えるのは政権与党になった後、ということなのでしょう。
変な話ですが、豪腕型の党首と調整型の党首、これと党の体質の組み合わせを考えてみた時、自民と民主で逆になると納まりが良いことになるのかもしれませんね。党首個人というより、物事の決定システムが政治主導で豪腕で突き進むべきなのか、意見の異なる各派を調整でまとめるべきなのか、今回の件でも改めてそれを考えさせられます。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2008年04月07日

福田政権に公約がない件について

日銀総裁人事で、白川副総裁を総裁へ、渡辺一橋大教授を副総裁へ就任させる人事案を提案しました。渡辺氏は前財務省財務官であり、紆余曲折もありそうですが事前の予想通りの内容です。民主党内の情勢の読み方次第なので、こればかりは誰にも予想がつかないことですが、三度目の否決は支持率の上がらない民主党にとっても痛手となることが考えられ、同意する方向ではないかと推察します。

週末に福田政権に対する各テレビ局の世論調査が出され、支持率が下げ止まらないことが明確に示されました。その中で『福田政権が何をするのか分からない』とするものがあります。「注意深く聞けば分かる」や「時間が経てば分かる」と福田氏は述べていますが、経済政策を初めとして福田政権から発表される内容に目新しいものはなく、効果も疑問視されています。
そんな中、福田政権は政権公約がないと述べてきました。多くの政権で発足当初に政権公約が発表されるのは、支持が高いうちに方向性を示すと理解が進み易いからです。福田政権でこれがないのは、イメージ力の欠如と党内守旧派、官僚の言葉に耳を傾け過ぎるからなのでしょう。

道路特定財源の一般財源化、この提案の国民支持は高いのですから、これを当面の政権公約とすれば良いのですが、党内がまとまらない、国交省の抵抗がある、財務省もウンと言わない、そんな理由ばかりが目立ちます。閣議決定すると述べても法案との整合も取れません。リーダーシップの欠如が不支持の理由にも挙げられていますが、様々な要件が困難を示唆する中、どう調整するかの道筋も示されません。
つまり調整型を期待されながら、膠着感の強まりがその能力の限界を感じさせている。これが福田政権にレイムダックの空気を漂わせているのでしょう。本来あるべき政権公約を示さず、態度を曖昧にしたまま調整型に徹しようとして失敗した、政権運営上の戦略ミスも大きいのでしょう。9日の党首討論で奇策がなければ、27日の山口補選にも影響しますから、その結果如何では党内の次期総裁の動きも活発化するのでしょうね。

年金問題でも「過分な期待」や「誤解」を与えたことを政府は謝罪しています。国が詐欺的行為をしているのですから、国民が抱くのは過分でもなければ誤解でもありません。未払いをなくし、国民の信に耐えうる制度作りは当然行われなければならないことであり、それに対して期限を切ったのですからきちんと謝罪すべきなのです。しかし福田政権ではこうした官僚的、責任放棄の答弁が多く、そのため見限る人も増えている、ということも支持率低下の一因なのでしょうね。

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2008年04月06日

外資によるJパワー株買い増しについて

北京オリンピックの聖火リレーで妨害が続いています。妨害自体は良くない行動だとして、各国首脳が開会式のセレモニーに参加しない件について、政治的に利用すべきではないという意見があります。しかし五輪が国別に選手を選び、国威発揚に利用されている時点で政治利用されているのであり、参加することもしないことも、一つの政治的態度だといえるのでしょう。
五輪が政治と完全に分離したいのであれば、各国首脳の受け入れは排除すべきであって、裏で政治交渉が行われるからこそ参加・不参加が重要視されているのです。中国の人権問題が不参加の理由とのことですが、各国内でも中国の重要度が依然と比べて下がっている、ということも理由にはあるのでしょう。経済成長の陰で中国内に起きていること、徐々に世界も気づき始めているのでしょうね。

Jパワー株9.9%を保有するザ・チルドレン・インベストメント・マスターファンド(TCI)が、20%買い増しを申請した件について、経産省と財務省は『公の秩序の維持を妨げる恐れがある』と認定しました。TCIは議決権の一部放棄を提案し、それでも申請が許可されない場合は欧州委員会への裁定も求める構えであり、この問題は更なる展開を見せそうな様相です。
先に空港整備会社への外資規制も先送りされましたが、省庁の関与の強い企業には潤沢な運転資金があり、また安定的に業務が発注される仕組みがあります。利潤を求める外資にとってこれほど旨みのある投資案件はなく、官製民営の体を為す企業が次々と狙われる構図です。

外資に限らず、投資は利潤追求が第一ですから、上場した以上買い増しを否定するには『公の秩序』が侵されるかどうかです。日本における秩序とは、省庁の関与する公的な範囲を外資という異文化に引っ掻き回されるかどうか、であって国民のためかどうかは二の次です。
確かに電力卸や原発を抱えるJパワーは日本にとって重要な企業です。しかしそうであるなら上場時に基準を決めておくべきであり、いざ事態が起こってから右往左往するのは愚かだと言わざるを得ません。外資が入っても悪いことばかりではなく、問題はどの範囲まで議決権を認めるかであって、その基準は作っておくべきだったのです。

経産省、財務省、いずれも事前検討ではなく事後対応ばかりであり、それが外国人から見て改革の後退を印象づけています。上場した時は改革だ、民営化だとうたい、外資が入ると規制だと騒ぎ出す。ルールを後付けするようなやり方では、外資が逃げるばかりだということは、基準を作る人間たちも気づくべきなのでしょうね。

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2008年04月05日

雑感、クローン食品の出荷について

米国で3月雇用統計が8万人減、失業率が5.1%となり、景気減速が鮮明になってきました。4月の銀行決算で悪材料出尽くし、という期待感を覆すレポートも出されており、市場の動きだけで見ればダウは小幅下落に留まりましたが、大幅な利下げ期待も出てきたことから債先買い、株先売りという流れが起きると少し厳しいことになるのかもしれませんね。

米国の食品医薬品局(FDA)が、体細胞クローンを利用した食品の安全宣言を出し、その後米農務省は出荷自粛を続けると発表しています。しかしこの出荷自粛はクローンで作られた一世代のみであり、クローンから生まれた子孫に対する規制はない、ということが判明しました。
クローン羊ドリーでもそうですが、体細胞クローンで生み出された動物は、若くして高齢期の特徴を示します。体細胞クローンは卵子の核を取り出した後、利用する体細胞の核をその卵子に送り込みますが、その時電気刺激を与えて固定します。ここで成功や失敗が起きますが、通常の生殖と異なるやり方のために、テロメアのリセットが上手くいかないとの指摘があります。

テロメアがリセットされなければ、細胞の自己崩壊が早まりますから、細胞年齢は卵子の状態から高いことになり、これが体細胞クローンで造られた動物の早死にを生むとも云われる原因です。しかし高齢出産だからといって、その子孫に悪影響が出るという話は聞きません。
厚労省が「輸入制限は難しい」としていますが、問題は制限ができるか?ではなく消費者が選択できるか?でしょう。恐らく、米国が安全としている以上は日本が制限することは不可能です。であれば、消費者の選択肢が残されるか、に日本政府は動くべきでしょう。

今後研究が進めば、クローン技術の脆弱性が指摘されることもあるかもしれませんし、日本の幹細胞技術が注目を集めたようにテロメアの再生が可能となり、クローン技術の安全性が高まるかもしれません。これらは将来の課題であり、今必要なことはクローンから三世代まではトレーサビリティを確立し、消費者が安心できるようにするような制度作りだと考えます。
米国の管理体制はあまり信頼の置けないものであり、歩行困難牛が食用に回っていた、という報道もありました。安全を担保することが100%難しいとしても、最低限の消費者が選択できる権利だけは確保するよう、米国との交渉を進めていって欲しいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:00|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | アメリカ

2008年04月04日

道路広報の3割がムダの件について

国交省がH18年度に道路特定財源から支出された広報広聴費96億円の3割が効果なし、もしくは道路事業との関係が疑わしい、と発表しました。20年度以降は広報広聴費を半減するとも述べていますが、これはゼロベースで見直すべきものです。広報や啓発活動は誰に向けたものか、どんな効果を期待するのか、それを明らかにしてから行動する必要があります。
道路とはあれば便利なものであり、トンネル建設で地盤沈下を起こしたり、騒音や排気ガスで被害を受けるなどの特殊な場合でない限り、反対は出難いものです。一方で道路建設は住民の運動や誘致活動で決められるものではありません。一部に有力議員への働きかけもありますが、道路整備中期計画では交通需要推計で決められており、国民の声はほとんどの場合影響しません。

つまり国民向けの広報や啓発活動は、最初から効果を期待できないものなのです。対象と結果の間には壁があり、そこに関連性はないのですから。そしてこの広報活動は道路特定財源の維持のためですが、骨太の方針に一般財源化が盛り込まれれば、それも意味がなくなります。
石原都知事が地方で個別に課税、という話もあるようです。その場合、税率が異なると越境が考えられることから一律課税でなければならず、当然のように大都市圏に税収が偏ることになります。再分配の視点をもたなければいけない以上、実効性は薄いのでしょうね。

話は変わって、政府が「成長力強化への早期実施策」を閣議決定しました。中小企業支援やジョブカードの導入、その他従来から指摘のあった点を盛り込み、成長戦略として経済政策の柱にするよう、正式決定したことになります。しかし大田経財担当相が「効果は分からない」と述べているように、その効果は限定的と政府内でも捉えられているようです。
福田政権はこれまで経済政策を表明していませんが、それ以上に『政権公約』のない政権として知られています。施政方針は今年初めに示されましたが、政権として何をするのか、はっきりと明示しておらず、これは歴代内閣を通して見ても異例なことだとされています。政権公約も出せずに総辞職、ということになればそれも異例なことになるのでしょうね。

日銀総裁人事に動きがありそうです。白川副総裁を総裁にスライドし、副総裁は渡辺前財務官の声もあります。副総裁に関しては、福田氏のこれまでを見ると仰天人事もありえますが、白川氏の総裁はG7の日程からも与野党合意が得られそうです。今は経済が混乱期にあります。中央銀行総裁の不在、という異常事態は早急に解消して欲しいですね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年04月03日

経済の話。世界同時株高?

今日の日経平均は3連騰、昨日13000円台を回復し、今日も後場から一段高を演じました。先月半ばから感じていたこと、それが今日になって少しずつ明らかになったので記事にします。

昨晩の米バーナンキFRB議長の議会証言。今年度上半期は景気後退入りの可能性、でも来年は巡航速度へ戻る。追加利下げについては"Timely"との表現を削り、やるとは言及しませんでした。全体的に見ると、良くなるかもしれないが悪くなるかもしれない、という表現で彩られており、FRBも事態を把握しかねているという苦渋が汲み取れる内容でした。
かなり踏み込んだ内容でしたが、米国市場は小幅反落に留まりました。先月半ばから起きた流れがここから読み取れます。米系大手金融機関は債先売り、株先買いの流れに転じたのです。債券は利回りが調達金利より悪く、運用先としては不適当です。将来的に価格上昇が見込めない限り損失を出す可能性もある、その市場から資金を一旦引き上げ、リスク運用に転換したのです。

ただし3月の外国人投資家動向を見ると売り一辺倒であり、現物株は買っていません。一方で先物は3週連続の買い越し、規模も7000億円を超えますから相当のものです。裁定解消ではなく、先物だけを買っているこの流れは債先売り、株先買いの流れと見てまず間違いありません。
米2年物国債が1.5%台から1.9%台へと上昇しつつあります。機関投資家の買いで金利の上昇も抑えられていますが、バーナンキFRB議長が利下げに言及しなかったこともこの債先売りの流れを追認した、といえるのでしょう。そしてこの資金の流れが世界的に波及、世界同時株高という状況を作り出しているのです。継続性については疑問符もつきますが、一つの山場は週末の米雇用統計、ということになるのでしょうね。

欧米金融機関は資金繰りに苦しみ、サムライ債を活用しています。日銀が供給オペを続けましたが、これは欧米金融機関が資金調達をし易くするためであり、日本が陰ながら欧米を救済しているということは覚えておいて良いことです。邦銀が海外での運用を強化していることもそうですが、このまま世界経済が回復すれば最良シナリオですが、そうでなければ日本もかなり苦しい立場になります。
日本の金融機関とて仕組み債の買い手として機能していたのであり、更なる損失は資本増強を迫られます。欧米の資本増強策ではすでにSWFなどの資金ではなく、金融機関同士が互いに融通し合うのみとなっています。LIBOR+100bp以上の金利でしか資金を調達できない欧米金融機関、まだまだ混乱は続く中で、日本の金融機関までそうなることは絶対に避けなければいけないことですからね。

analyst_zaiya777 at 22:52|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年04月02日

4月の混乱は誰のせい?

来週の9日に、党首討論を行うが決まりました。対決色を強める小沢氏と、日銀総裁人事も小沢氏との間で合意があったとする福田氏。前回のような低調な党首討論とは異なる内容が見られそうです。道路特定財源の問題、後期高齢者医療制度の問題、年金問題、思いやり予算など、野党が与党を攻める所は満載ですが、どう出るのか楽しみです。

後期高齢者医療制度が突然の呼称変更で混乱を生じていますが、ここにも福田氏の焦りが見えます。呼称を『長寿』に変えたとて、制度としては老人の負担が増え、医療拒否などの心配もある悪しきものです。重要なことは呼称のもつイメージではなく、制度自体がもたらす混乱が、やがて制度のイメージとして定着するということです。
一方で道路特定財源の問題では、首相提案では与党内をまとめ切れないことが確実です。再議決で通す道路整備特別措置法案は、10年間の暫定税率延長、道路整備中期計画も従来のまま、です。首相提案にあわせるためには、修正するのか法案を再提出するしかありませんが、どちらにしろ歳入関連法案の期限切れとの間に時間差が生じます。道路族と中堅・若手議員との軋轢の前に、この混乱を埋めるウルトラCがない限り、政権は苦しい立場に追い込まれます。

年金制度では、安倍前首相が「払っていない、詐欺のような人にまで払えというのですか?」と国会答弁で発言したことを憶えていますが、社会保険庁が詐欺的行為を働いていたことが確実となっています。重要なことは、給付に混乱がある状態は国の責任であり、国民には何の落ち度もないことです。未納の問題もありましたが、制度としての年金に疑義が生じる状態では、もはや制度としては崩壊していると云わざるを得ないでしょう。
確かに、これらは福田政権でなくとも起きたかもしれません。しかしチベット問題への対応、日銀総裁人事など、政権の停滞を生む原因を作っているのもまた事実です。問題対応能力、以前は無責任とも評しましたが、これが欠如しているとしか思えないのです。混乱は起きたの?などと惚けるその態度が、国民の不人気の原因だと気づくべきなのでしょうね。

福田政権が総辞職後、新政権を麻生氏と小池氏で争う、という案が自民党で検討されているそうです。組閣後に解散、総選挙だとも。人気の高い両氏で総裁選を行えば盛り上がり、かつご祝儀的にも票が集まり易い、ということなのでしょう。ただ与党に3分の2を与えたことを国民が後悔しており、また道路族議員との確執がどう転ぶのか?5月解散になれば洞爺湖サミットはどうなるのか?色々と考えなければいけないことも、多くなってきてしまいましたね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(3)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年04月01日

3月の日銀短観について

昨日は福田首相が『おわび』した揮発油税ですが、詫びるという行為はこれが悪いこと、というイメージを国民に植え付けたいがためです。
行政とは最悪を想定して動くべきであり、暫定税率分を予算に組み入れていた地方で混乱が生じる、というのは間違いです。それは混乱ではなく想定不足です。しかし一方でガソリンスタンド経営者など、蔵出し税のために混乱をきたしたことに対してはお詫びしなければなりません。記者会見でもおわびする方向が違うと感じるのは、政治家の目線が国民から離れているからなのでしょうね。

3月の日銀短観が発表されました。業況判断指数は大企業製造業で+11(前回12月は+19)、非製造業で+12(+16)と大幅な悪化を示しました。しかも今年度の想定為替レートが対ドルで109円と、現値に比べて10円も円安水準であり、甘い想定との批判も出ています。また設備投資計画が前年度比-1.6%となりました。これは多くの企業経営者が、景気後退期を意識したような数値が並んでいます。
まず想定為替レートですが、多くの企業でドル依存度の平均をとると5割を切ってきています。欧州、アジアへの輸出比率を高めた現在では、ドル安・円安なので他の通貨ではまだ輸出差益が出る計算だといいます。設備投資では、不足感はあるものの先行きの世界経済の不透明感から控えるという計画となっています。また企業における人材の不足感もあり、通常の景気後退期とは異なる面も見られます。

中小企業を見れば更に悪い数字が並びます。製造業-6(+2)、非製造業-15(-12)といずれも悪化幅が大きく、また景況感はマイナスに沈んでいます。政府内では中小企業支援策も検討されていますが、対策が遅れる間にも倒産企業は増えています。対策には速度も必要であり、ここまで悪化するまでに対策が打てないところにも、政治の停滞を感じます。
一部で、今回の混乱したガソリンスタンド支援策に、資金繰りの際に政府が保証をつけて、借り易い制度を作ろうというものがあります。しかし新銀行東京でもそうでしたが、資金調達を容易にする対策のみが中小企業の支援ではない、ということを肝に銘じるべきでしょう。

日本は確実に景気後退期入りです。問題はその長さですが、金融機関が海外でどの程度痛手を負ったのか、ということが焦点です。日銀が供給オペを繰り返していますが、スイス大手のUBSが1兆円を超える赤字を2四半期続けて増資を迫られたように、日本でも不意の金融不安が襲うのかもしれません。
今年の株式評価額の目減りという記事もありますが、一時的にしろ資本が増大すると融資や運用で甘さが出て焦げ付きも増えるものです。金融機関の自制心がどの程度働いていたのか、07年度の決算がそれを明らかにしてくれるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(8)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治