2008年05月

2008年05月31日

自民党の高齢者対策について

迷惑メールの規制を強化する「改正特定電子メール送信適正化法」が、参院で可決されました。海外のサーバーから送られていた迷惑メールも規制対象となり、罰金額も引き上げられています。一方で、今国会で成立を目指すネット規制法案があります。
18歳未満の子供が携帯電話から接続するサイトに対してフィルタリングを義務付けることに関し、自民案では有害性の判断に政府が審査、登録した第三者機関とする意向であり、民主はこれに反発しています。有害性と有益性の境、その判断は極めて難しく、かつその第三者機関とは何を収益源とするのか見えません。表現の自由という重要な問題で、極めて曖昧な形のまま結論を急ぐと、後に重大な問題を引き起こします。迷惑メールの定義も同様ですが、今後の話し合いの行方には注意が必要なのでしょうね。

自民党の「高齢者の『安心と活力』を強化するための合同部会」で、高齢者対策をまとめています。々睥霄圓慮柩兮タ並从、∋粟ぢ綟欝鐇ぢ咾慮裟如↓9睥霄圓砲茲覲式投資の配当、譲渡益の非課税化、ということのようです。財源問題はありますが、それ以上にこれが6月に出される「骨太の方針」に反映されるのなら、少しうがった見方を示しておきたいと思います。
△蓮仮に市町村民税を減少させれば地方の財源不足が進みます。地方の家庭の方が同居世帯も多く、都会と比べて減少幅が大きくなるでしょう。所得税ならば、同居世帯を雇用主が把握して納税しなければならず、その手間と会社ぐるみで偽装する可能性もあることから、運用面での不安も大きくなります。

については、かねてより団塊世代の資産を狙え、というのは金融業界での合言葉になっており、それを国が後押しする形となります。ただ運用損の可能性もある投資に日本の高齢者が積極的とは思えず、効果は限定的でしょう。むしろ投資する余裕のある高齢者よりも、生活に余裕のない世帯を救うべきであって、これでは逆の発想ともいえるものです。
こうした意見自体、後期高齢者医療制度で批判の強まる高齢者を取り込みたい、という自民党の意図が透けて見えます。,砲弔い討睿系群雜遒覇けない人、病気を抱えた人、そういう人を救うべきであり、働ける高齢者を雇うというより働きたくても働けない人をどう救うのか、その手当ての方に重点を置くべきでしょう。この部会で示された内容は、昨今の自民党から示される法案と同様、問題の把握とその対処において、全く理解できていないとしか思えないものです。政治家が国民の意識と乖離してしまった、それを如実に表しているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(7)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年05月30日

救援物資輸送に関する混乱について

中国の四川大地震で、自衛隊機による救援物資の輸送が立ち消えになった問題があります。当初から違和感があったのは、中国は以前から自衛隊活動について好感情はもっておらず、最近では減りましたが、かつては日米の共同軍事訓練にも注文をつけてきたほどだったからです。
中国が自衛隊機も排除せず、物資輸送を依頼してきたのだとすれば、これは重要な一歩となりますが、五輪前にそこまで動くのは中国として得策ではないでしょう。今回もネットで批判が上がっており、その火を消すだけの余裕は、オカラ工法で批判のある今の中国にはないからです。

町村官房長官の会見で、報道したメディアが悪い、というような文言も見られましたが、自身の会見ですでに『自衛隊機』と持ち出しており、この歴史的な転換点をメディアも報道せざるを得ません。複数の調査でも中国側が自衛隊機を了承した形跡はないようです。中国内での日本への感情が好転した今、一気に自衛隊の存在を中国側に認知させよう、という防衛省側の意図は理解できますが、今回は勇み足であり、日本政府側の失態です。
先に同意人事で、日銀審議委員の名が事前に報道され、提示を見送るということもありました。一部に報道規制はやめろ、という偏狭な論調もありますが、問われているのは政権内の情報管理のあり方です。事前に報道されればそれが一人歩きし、後で修正する際に大きな手間を生みます。今回の自衛隊機でも同様ですが、相手側が受け入れないとなれば多方面で火消しが必要となり、その分の労力を考えると洩らす、洩らさないの差はとても大きいのです。

最後に、ダブリン国際会議で話し合われていたクラスター爆弾禁止条約に、日本政府が同意する方針を決めたそうです。ここには福田首相の強い指導力があり、同意に傾いたとも言われますが、この会議では一貫して日本は抵抗勢力と見られており、決断が遅く、このタイミングでの態度の変化では後に何も残らない形になります。
この禁止条約には米、露、中が署名していないので、実行力は低いものですが今後の使用には大きな枷となります。世界が一致できた、という認識が心理的な重しとなることは確実であり、だからこそ日本が抵抗勢力として機能したことは、心理面でマイナスでしか受け取られないのです。
確かに日本のクラスター爆弾の保有量も多いですが、米国から押し付けられた側面もあり、世界で批判の高いこの爆弾をここまで保有してしまった、そのことが問われるべきであって、だから抵抗勢力になって良いという理屈は一つもありません。日本は資源を輸入し、製品を輸出して外貨を稼がないと立ち行かない国になっています。だからこそ世界の動きには敏感に行動していかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:57|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2008年05月29日

経済の話。急変動する日本市場

今週に入り、日本の証券市場の上下動が激しくなっています。債先売/株先買を行う欧州系2社の動きが目立ちますが、日々ポジションを替えており、その動きにつられてついに10年物国債は1.8%に到達しました。政策誘導金利が0.5%ですから、5回分の利上げはすでに先取りしています。
先物の動きなので、今回の上下動に合理的な説明は不可能です。ただインフレ圧力の高まりで債先売/株先買の流れが起きましたが、6月限が近付いたので暴れ方が激しくなった、という見方が正しいのでしょう。それが月末ドレッシングと重なり、今日は大幅上昇となっています。

米国では最近、マクロ指標に悪いものが目立っても、予想ほどは悪くないという状況が続いており、意外と景気は底堅いと見られ始めています。インフレ環境を債券市場は嫌いますから資金が逃避し、米2年物国債は2.6%を超えました。つまり年2回の利上げを織り込み始めており、これを受けてドル高が進み易くなっています。
しかしインフレ率に比べ、金利がマイナス水準にあるのは日米とも同様です。その中で株価の動きに差が出始めたのは、中央銀行の態度の差にあります。今週に入り、FRB理事から相次ぎタカ派発言が行われ、米国ではインフレ退治に利上げが視野に入りました。一方で日本は未だに利上げに消極的です。これが金余り環境にある、現在の世界で変動ばかりを大きくする先物の動きを、日本に呼び込んでいるのです。

先物に動きを出すのは商品投資顧問(CTA)とも云われますが、マネージド・フューチャーズ、グローバル・マクロ、いずれにしろこうしたヘッジファンドの思惑次第でその日の値動きが決まります。この先物の動きにはテクニカル分析も通用せず、マクロ指標も意味を為していません。あるのはただ、デマでも良いからどちらかに力を掛け易い環境を作り、一気にポジションをかける、そのマネーパワーのみです。
更に昨晩はダウが40$程度の上昇に対し、CMEで200円近く上げて返ってきたことで、再び先物で上に引っ張り上げる動きを作りに来た可能性もあります。オプション市場では日経平均で15000円のポジション組成も増えており、上へ、上へと狙いに来た感じもあります。

ただ米国が利上げ局面に入り、証券市場の上値が重くなった中で、金融機関には再び不安も覘いています。運用損の報道が相次ぎ、また会計基準の変更によりリスク3が増えて損失拡大の懸念もあります。
そして、米国では商品市場にヘッジファンド規制が検討され始めた今、益々逃げ場を失ったマネーが変動を起こし易い市場へと流れてくることになります。それがTOPIX先物であり、今の日本市場ということなのです。これは喜ぶべきことではなく、売りに傾く時は急落をまねき易いということでもあるので、日本市場には心配な面も強くなってきましたね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年05月28日

NHK、株取引に関する第三者委員会報告について

NHKの職員の株取引問題に関する第三者委員会の報告書が出され、13221人の聞き取り調査により81人が勤務時間中の取引をしていたことが判明しました。証券会社からの取引履歴の開示に協力したのが1447人、本人や家族が株保有を認めながら943人は協力を拒否しています。先に判明した3人以外はインサイダー取引にあたるものはない、として報告書はまとめられましたが、総務部会では調査が不徹底であるとして報告書を了承しませんでした。
調査が不徹底であるのは、聞き取り調査に頼って株保有を認めた役職員にのみ、捜査を絞ったことでも分かります。記事の出稿、編集に携われる人間以外でも、野村証券でインサイダーを行った社員と同様に、社内で動き回れば自然と情報が耳に入り、それに基づいて取引が可能です。また本人や血縁以外でも協力者をもち、取引を任せればほぼ証拠を残さずインサイダー取引が可能です。証券取引等監視委員会のような強制権はないとしても、口述筆記で捜査を終わらせては嘘の供述も多くなりますし、実際虚偽の供述をした者や、パソコンを破壊し捜査を妨害する者まで出たようです。

情報はカネになりますから、証券会社でも報道機関でも、同様に一定の規制がかかっています。今回の問題は、報道機関が情報をカネに換えていたものであり、厳密な、微に入り細を穿つぐらいの調査でなければなりませんでした。結局、人員と予算が限られた中で、この程度でお茶を濁したということなのでしょうが、それにしてもお粗末に過ぎます。
NHKが19年度決算で増収増益だったと言います。NHKは特殊法人であるだけに法人税が免除され、また法的に認められた強制徴収権をもつ、半官半民の組織です。だからこそ不正に厳しい目が注がれますし、批判も集まり易くなります。自浄能力のない組織に陥らないよう、問題対応能力だけはきちんと示しておかないと、組織を解体すべしという議論が再燃することになるのでしょうね。

最後に、TICADに関して福田氏がインフラ整備、特に道路建設を進める云々との発言を行いました。まるで日本で作れなくなった道路をアフリカで作る、とでも述べているように聞こえましたが、道路は物流を加速させるのと同時に、戦争と疫病をも連れてきます。
ローマの道がマラリアの道と呼ばれ、シルクロードが痘そうの道、ペストの道と呼ばれ、そしてアフリカ横断道路として知られるキンシャサ・ハイウェーが1970年代に舗装されたことで、エイズを拡散させたと言われているのです。日本でも同様に、道は疫病や災厄も連れてくるとして道祖神がおかれ、安全を祈念してきました。道路を作れば発展するというのは大間違いで、それに見合う地域の安定や教育がない中では、発展や異文化の交流が害になる場合もあるのです。何から始めるべきか?その順序を間違うことのないよう、アフリカの発展に貢献するべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:59|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 政治

2008年05月27日

アフリカ開発会議が明日から開幕

まず、昨日取り上げた公務員制度改革基本法案に、成立の見通しが立ったようです。今回は与野党ともに譲歩し、法案成立に協力した形ですが、結果的に労働基本権の付与に対して調整が進み、内閣人事庁については削除されて担当閣僚との協議が前提となりました。今回歩み寄った部分は極めて公務員に都合よい方向ばかりであり、本来目指した形からは大きく乖離しています。これで良かったのか?非常に悩ましいものとなっています。
政官の接触の問題で、官僚は自らの業務の大変さを表す場合、国会対応で忙しいとするものがあります。しかしここにも矛盾があり、事前に情報開示を進めておけば、野党からの質問に右往左往したり、回答作成に時間をとられたりすることも少なくなります。政務専門官のみの接触としていた政府案から、今回接触した場合にそれを記録、保存させる形式に改められましたが、効果は非常に不透明です。改められるべき隠蔽体質を残し、かつ情報公開に鎖をかける。そのような体制が出来てしまったようにも感じられるものですね。

明日からアフリカ開発会議(TICAD)が始まりますが、福田氏が40ヶ国以上の首脳と会談する姿勢を示しています。外務省は期間と数でギネス級ともしていますが、裏返しで考えれば、一国との関係がそれだけ希薄で話し合う内容も少ないということであり、数が多いからといっても決して誇れるものではありません。一方で、政情不安から直前でのキャンセルも増えており、根回しが重要である党首会談で、事前の調整もつかなかった、ということを証明しています。
アフリカ大陸にはレアメタルもあり、権益でも重要な関係です。しかし、例えば南ア共和国のように、高い成長率を期待されながら、与党であるアフリカ民族会議(ANC)の内紛問題で政治リスクが高まり、また長く黒人が教育を受けられない時代が続いたため、職に就けず犯罪に走るものが増えて社会リスクも高まったことから、中々潜在成長力に達しない国もあります。

南アのように、リスクさえ取り除けば世界有数の資源国として高い成長が望める国。一方で民族紛争が絶えず、産業が全く振興しない国。水資源が減り、必然的に食料不足が起こって疲弊している国。アフリカには様々な事情があります。それを一国15分程度の会談なのか分かりませんが、40国の首脳と会って実のある会談を望むのは難しいといえます。
外務省はODAの増額を望んでいますが、過去に日本が先進国中トップの金額をODAにつぎ込んでいた頃から、政府や国民にその有り難みが伝わらなかったのは、建設される場所は外国でもこれは一つの公共工事として機能していたからに過ぎません。つまり予算の大半がハコモノを造ることに専念され、国民への還元が少なかったこと、有用どころか逆に害が目立つこと、等があげられます。資金ではなく、農業振興など文化、産業の面で貢献できる国にならないと、日本はますますこの地域での影響力をなくしていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 海外

2008年05月26日

公務員制度改革基本法案の協議について

道路特定財源の問題が一先ず落ち着き、後半国会は後期高齢者医療制度に焦点が集まっていますが、もう一つ大きな法案が公務員制度改革基本法案の行方です。明日から与党と民主党で協議に入りますが、隔たりは大きく、政府提出法案ではありますが成立の見通しはまだ全く立っていないといっても良いでしょう。
この法案の重要な部分は‘盂嫂融庁の創設、∪治家と公務員の接触に一定の制限を設ける、E群爾蝓↓は働基本権、です。,亡悗靴討録雄爛丱鵐として、すでに知られていますが、ここには一定程度の省庁の権限を認めるような文言が含まれ、実効性には疑義があります。△砲弔い討眄限範囲についての決まりが不明瞭で、後に解釈次第でどうにでもなりそうな気配です。

しかし、い詫薪泙般閏臈泙箸粒屬燭蠅大きく、この部分に妥協がないと両者の協議も決裂します。については、与党案では完全禁止ではなく、むしろ制度上認められるかのように受け止められることで、対立を生んでいます。天下り禁止は、民主党にとって国民の支持を得るための党是となっており、日銀人事においても譲らなかったことから、歩み寄りは難しいでしょう。
い砲弔い討蓮∀働基本権の付与を民主党が求めており、与党が受け入れを拒んでいます。社保庁でも問題になりましたが、労働条件が協議の中で緩和されてきており、労働基本権の付与がなくとも高待遇は勝ち得ています。一方で、国際機関からも公務員の労働基本権については付与すべしと苦言が呈されており、基本権がない労働条件は劣悪との見方がされています。権利が先か、なくても待遇が担保されれば良いとするか、これは判断も別れるところです。

全体としてこの法案を評価するには、一先ず着手したことを良しとするのか、骨抜きの面が大きくてこの法案では意味がない、とするのかで大きく変わります。前者はここ数年の法案成立と同様、今後に大きな課題を残しますので、後者であることが重要と考えています。
特に今回は官僚の意図通りの骨抜き法案となったために抵抗も起きません。この公務員制度改革の基本理念は、天下りなど公務員の拡大し過ぎた待遇を政府の統制下におくためのものでした。しかしその部分が弱まった結果、本来の意図とは異なる部分の問題で混乱を増す結果となっています。政権の本気度が試される法案ですが、単に成立のための妥協ではなく、日本の官僚制度をどうしていくのか、今後の未来を見据えた形でより良い法案を目指すべきなのでしょう。しかし現状はそうなっていない点がとても残念ですね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(6)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年05月25日

米国とスタグフレーション

米連邦準備制度理事会(FRB)が08年の米GDP見通しを、1.3〜2%から0.3〜1.2%へと下方修正しました。4ヶ月で米成長率を低下させた原因は、住宅市場の下落に歯止めがきかないこと、及び2%前半としていたインフレ率を3%前半へと引き上げ、それによる個人消費の冷え込みに対応するものです。
インフレは米国が市場に資金をつぎ込むために起きています。大量の資金供給、FRBによる貸し出し範囲の拡大、市場に資金をつぎ込めばつぎ込むほど、インフレが進むことになります。景気後退を正常な景気循環の一つの期間だとして、それを緩和させるのではなく抑止に努める諸施策、インフレ誘導政策をとったことで起きているのが、今回のスタグフレーションです。

今回の景気後退は明らかに行き過ぎた金融緩和により生じた失策です。その一つが、現状米国を初め各国の金融機関の間でも論争のある、簿価評価と時価評価です。簡単にいえば、複雑な金融商品の場合、簿価は基準として決められた債券であったり、基になった不動産価格で評価されます。しかしこの価値基準は下落が緩やかであり、実態として取引される一般的な価格とは乖離しています。そこで米国の新会計基準として適用されたのが時価評価です。
時価ですから、今後は市場の取引価格にその評価は大きく影響されることになります。今回の金融市場の混乱で、急落した金融商品の値付は壊滅状態になりましたが、それでも金融機関の損失が軽微で済んだのは簿価だったからです。実際の各金融機関の保有資産の評価、それは簿価では正確に表しきれない、ということが今回の混乱でも明らかになりました。

各金融機関の間では、公表される損失以上に警戒感が強く、資金繰りが順調にいかないのもこのためです。ここからFRBの資金調達に依存することが多くなり、緊張状態が続いていますから、資金供給をFRBも止めることが出来ない、という更なるインフレを生む原因ともなっています。
FRBもこの事態は理解しているのでしょう。といって、このままインフレを放置すれば間違いなく景気は更に悪化していきます。米国で今、気にされだしたインフレとはこのような要因が背後にあります。一時の楽観が影を潜めたのも、金融機関が時価評価になることにより、更に総計40兆円の損失が新たに出されるという不安、一方でインフレだけは加速度的に上昇していく不安、この二つがFRBの描く年後半に回復する、というシナリオを描き難くさせているのです。
WTIに敏感に反応するのも、後者の影響を考えたものです。一方で、金融機関の4-6月期決算を見るまでは市場の不安も晴れませんので、このため米国市場は再び調整局面に入りました。日本はマネージド・フューチャーズによる先物取引で支えられていますが、世界経済に敏感に反応する日本市場の特性は、ほぼコモディティの特性とも似通っており、この辺りで運用が拡大しているために起きています。3月から市場が読み難くなりましたが、今後もこのヘッジファンドの動きが日本市場を決めることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年05月24日

雑感、厚生労働省に関する二つの話について

厚労省が11年度末までに削減するとしていた療養病床25万床を4割削減する計画を、維持する方針に変更したようです。医療費抑制のための施策、仝經高齢者医療制度、⇔斗槁他穏鏝困任垢、△蓮崋N鼎良要がない」患者を施設から追い出すためのものであり、その結果老老介護や患者のたらい回しが起こっていることで見直す必要に迫られたのです。
しかし厚労省はこの療養病床でも医療費削減を目標としていたのであり、後期高齢者医療制度と同様、今後は財源の手当てに苦慮することになります。この二つの施策に共通するのは『医療費が増えるから病院にかかり難くする』というものです。では医療費が拡大する背景に何があるのか?C型肝炎やアスベスト、薬害の問題に至るまで、そこには国の不作為も影響している、ということだけは忘れないようにしないといけないのでしょうね。

同じ厚労省の報告で、過労で労災認定による自殺者が81人に上ったそうです。また労働環境によりうつ病の発症率も高くなっているといいます。ここからは持論ですが、自殺やDV、モラハラ、パワハラ、最近の少年犯罪やモンスターペアレンツの問題にも関わりますが、多少なりとも幼少期の人格形成が影響していると考えています。親との関係で幼児期に重大なストレスになるのは、大雑把に仝捨てられ体験、愛情不足です。
,聾彊が確定できますが、△脇颪靴ぬ簑蠅魎泙澆泙后「うちの子供は良い子」と親が語る場合、良い子になった背景には子供が親の感心を引きたい、そうした意図が含まれる場合があります。ここには親の愛情不足があり、結果本来の自分を歪め、後にそのストレスが現象として表面に現れるときに意味もなく苛立ち、周囲に攻撃的となったり、社会に出て複合的なストレスに晒されると脆くなる場合もあります。

厄介なのは、親が自己愛を満足させるために『自分を愛してくれる子供』を求めている場合です。この歪んだ愛情表現は家庭内は勿論、表層的には良い家庭を演じます。ストレスとは無意識下のものですから、子供も知らずにストレスをため、周囲も気付きません。突然何かが起こって、理由も分からず慌てふためくことになります。
幼少期に自己形成が上手くいかない、そこには親との関係がとても重要となります。今は親が自らの幸福を求めることにも抵抗ありませんし、その結果として子供の幸福はその次になる場合も少なくありません。それで全てが不幸になる、ということではありませんが、幼い頃からストレスがかかっている、それもまた事実です。社会に出てのストレスもそうですが、こうした継続した影響についての考察もしていかないと、事態の改善は望めないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(6)TrackBack(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2008年05月23日

東京5区で首都決戦にむけた動き

財務省による対外純資産残高が前年末比16.3%増の250兆円強になった、という記事がありました。これは日本の国、企業、個人が海外に持つ資産から負債を引いた額ですが、資産が増えたから増加したとは限りません。単純に投資額が増えても増加する数値であり、更にいえばこれだけの資産が日本から持ち出され、海外への運用に回っているという事態は、国内での資金循環が相当に悪いことを意味しています。
国際通貨基金(IMF)も日本の景気が不透明なことを指し、低金利を維持すべきとしていますが、その低金利がこうした海外へ資産を移す、資金の流れを作っています。金余りがインフレを生み、バブルを作り出す過程であることは度々ふれてきましたが、日本はまだその一端を担わなければならないのか、もう一度考えるべき時期に来ているのでしょうね。

東京5区に転出予定の佐藤ゆかり議員の応援で、小泉氏が演説したそうです。私はヒトではなくコトをみており、小泉政権時代の政策、法案でしか評価しないことにしています。すると小泉氏への評価も必然的に辛くなりますが、国民の間にはまだ相当人気が高いようです。
民主党の菅氏が東京5区で「小泉時代に後期高齢者医療制度が成立した」と演説していましたが、これが国民の間に浸透することはまずありません。小泉時代を通して、国民の感覚は悪い制度、法案は官僚や自民党の抵抗勢力が勝手にやったことで小泉氏は悪くない、ということで一貫しています。事実には反していますが、だから小泉人気は未だに高い、ともいえるのです。

小泉氏は「選挙が終われば仮に民主が第一党でも自民に協力を求めてくる」旨の発言を行っていますが、最近目立つのがこうして自民と民主を一体とする意見です。クリンチ戦術とも言いますが、与党が苦しい時に、所詮野党に投票しても一緒ですよ、と示唆するときにこうした言い回しを用います。恐らく、小選挙区制度の恐怖は前回の郵政選挙で与野党ともに感じており、わずかな票差で議員数には大差がつきます。
自民党支持率が内閣支持率を上回り、政権批判票が野党に流れること、これを与党も恐れているのは確実です。支持基盤が弱体化する中、公明支持層からも政権批判票が流れると見られ、そうなると上積みできる票も限られます。その差が小選挙区制では結果的にどの程度の差となるのか、与党内でも読み切れないところなのでしょう。

与党が勝つ術は解散前に内閣総辞職するしかありません。解散時期はサミット後にいつでもあり得ますが、小泉氏の意にそぐわない人物が仮に党総裁になった時、与党の正念場となるのでしょう。町村派は二代続けて失態を演じ、今度は清和会系の総裁ということも難しくなります。新総裁が世論の風に乗れるのか、それとも小泉人気にすがるのかで、今度の選挙の風は如何様にも変わってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年05月22日

福田政権のアジア外交政策か?

参院外交防衛委員会で、山田洋行元専務・宮崎氏への証人喚問が行われました。与党は「本人が嫌がっている」との理由でテレビ中継、録音をしないよう求め反発、欠席という異例の事態となりました。ただこの委員会でも追求不足である面は否めず、言葉遊びの面も見られます。
1度や2度は会ったことがある、行ったことがあるが、内容はよく憶えていない。全体を通してこうした答弁が多く、偽証を避けようとの意図が見られます。仮に数十回会ったとしても証拠を集めて確定できるのは1、2件のみ、こうした読みが背景にあり、「ない」と否定するのではなく、その数件だけは認めてしまおう、という計算が背景にはあるのでしょう。残念ながら国会の証人喚問も研究が進み、対応マニュアルもあるので有効性は乏しくなりましたね。

福田氏が今晩の講演で「新福田ドクトリン」を発表したと伝わります。詳細はまだ分かりませんが、概要で気になった点があります。環太平洋構想、自由と繁栄の弧、いずれの場合でも外交政策はその政権ごとに主軸となる地域を決め、重点的な対応を試みてきました。
今回の新福田ドクトリンでは太平洋を内海とし、ASEAN共同体の実現と、その先にある東アジア共同体構想への布石とする、そうした意図があるのでしょう。外交力を期待されながら、中国との親密ぶり以外は目だった成果もない今の福田政権には、東南アジアを含むこの構想を立ち上げることで、政権浮揚のきっかけにしたいとの思惑もあるのでしょう。

しかし少しだけ悪い観測をすると、中国が東アジア共同体を主導したい側面があり、現状の日本との距離感もこの構想実現の布石ではないか、とするものがあります。日本がその時、手をとり合って両輪となって…、と考えられるほどに経済規模、成長力等を鑑みると難しい側面もあります。かつ軍事力も核保有国とそうでない国、現状の防衛費でも中国には公称ベースでも抜かれており、実体ベースではかなりの差をつけられている、とするものもあります。
日本が多くの場合、こうした外交政策でも成果が出ないのは、経済関係のみの依存となるため、国力の変動により立場が入れ替わる、そうした側面があるからです。米国のように軍事力で結びつくとある程度力関係が保てますが、日本にはそうした外交手法はありません。結果として、相手が成長し、発言力が大きくなると日本は苦しい立場に追い込まれます。

だから日本が軍事力をもて、という議論ではありませんが、日本が外交で世界をリードしていくにはありきたりな手法では難しい、ということは確かです。技術力や日本発で制度、法案を輸出できるような、ハード、ソフト両面のアプローチが必要でしょう。新福田ドクトリン、今一つ斬新な発想がない点が従来型の政治から脱却できない、福田政権の限界を見るようですね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2008年05月21日

経済の話。インフレと日本の大手銀のサブプライム損

NY原油市場の高騰が止まりません。WTIは年内に140$、150$、最大は200$というものまであり、これが投機資金の恰好の材料となっています。元々、プログラム取引が多い商品市場ですが、利益確定売りを出すタイミングがジリジリと引き上げられており、6月の半期末に向けたものとは云え、実需ベースの取引ではないためどこまで上がるかも分かりません。
日本もこのWTI価格にドバイ産原油が引きずられ、原油価格が上昇しています。暫定税率が復活しましたが、このペースでは年内にリッター180円に到達する、そんな可能性も出て来ています。IMF理事もインフレ抑制に対して、世界各国が協調するよう求めましたが、利上げと資金吸収は米国経済に重大な影響を及ぼすでしょうから、協調対応には難題も含まれています。

昨日の米国市場の下落は、4月米卸売物価指数(PPI)のコアが0.4%上昇になったことです。エネルギーと食料を含むと0.2%上昇に留まるので、一次産品の高騰によるインフレ、という側面ではなくなっています。景気減速局面の初期にはこうしたことがありますが、消費の確保と顧客囲い込みのために小売が値下げ合戦に走り、デフレ商状に陥ることがあります。
小売の見通しも悪化していますが、卸売りの段階でこれが起きているということは、米国の企業間にも景気低迷は早期に終わり、早い段階で収益は回復するとの思惑もあって、一時的な値下げ競争に陥っているものと思われます。これは消費活動は促しますが、企業体力は損ないますので、今後は景気低迷の期間が焦点となるのでしょう。

日本市場も大きく下落しましたが、先々週から流れは変調しており、先週の上昇が少し異常という側面があります。日本の大手銀もサブプライム損の合計が約1兆円に達しましたが、問題発生当時の見込みより大分増えました。厳しく見積もった、という某大手銀頭取の言葉も、半年前も同じ説明をしていたことを思い出すと、信じられるかどうかも怪しくなっています。
インフレ抑制がターゲットになると、金利の上昇が銀行の収益を押し上げますが、流動性は減少しますので収益確保には厳しい環境となります。これまで日本の各行は企業へ貸し出すという本業を忘れ、その結果中小企業の倒産件数は増え、一方で優良企業と見るや金利引下げ合戦で囲い込みを図り、結果として国内の運用では低い収益性に留まってきたのです。

それをカバーしてきたのが、信託手数料と証券化商品への投資でした。しかし証券化商品は値崩れを起こし、投資信託は流入額が低下しています。各行でも新たな収益源を確保しないと、厳しい経営環境は続くのでしょう。インフレは本来、金融機関にとって有利な面もあるのですが、その有利性を生かせないのは、日本の銀行経営が柔軟性に乏しいからなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(6)TrackBack(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年05月20日

年金が全額税方式だと消費税9.5%〜18%へ

総務省が電波利用料の一部を、出先機関職員のレクリエーション費に回していたことが判明しました。道路特定財源と同様の流れですが、毎回「法的に問題ないが今後やめる」と広報されます。行政は政令など、法律によらず自主規制も可能ですが、そうした態度もなく、バレればやめるという態度に終始します。これは出先機関出向者への手土産、程度の感覚なのかもしれません。
昨日、某番組で「与党には行政の監視能力がなくなった」と述べる方がいました。後期高齢者医療制度に関してもそうですが、こうした明らかに世論が納得しない問題が発生しても、問題なしとして庇う姿勢をとることで、まるで官僚の代弁者にしか見えないこともその理由には挙げられます。責任をとらない組織、行政とそのトップにある閣僚には今、そうした目が向けられているということも確かなことなのです。

昨日、政府の社会保障国民会議で基礎年金の税方式によるシミュレーション結果が公表されました。仝醜圓竜詆嫂綵(66000円)維持、¬で軸間分は減額、4霑断金の一律支給+納付実績に応じ増額、というパターンで考えて消費税を9.5%〜18%にする必要があるとするものです。
まずはあり得ません。従来の制度でも、今回の全額税方式でも年金は積み立て方式ではなく、支払いに関しては単年で算出されることになります。個別の積み立て分を受給者に渡すのであればでも良いですが、これは人口構成比が変わると支給が増えて年金制度が破綻する、その根拠なのですから、制度変更における根本をあえて変更後に採用する必要はありません。

△亡悗靴討論廼眦蠧分の振り分けをどう考えるかですが、未納者に生活保障を行うのであれば、消費税分と一般会計として組み込まれた税から払うのと、徴収方法が異なるのみで結局は同じことになります。特に未納の根拠とする社保庁の記録に不備があるのは明らかですから、算出根拠が曖昧なもので拒絶する姿勢を示す限りは、行政側への不信も消えないことになります。
9兆〜33兆円の支出が09年からかかるとしていますが、これまで納付された分を使い切っている訳ではありませんし、また国庫負担分をどの程度の割合とするのか、という議論が今回の会議では抜け落ちています。給付が増えるので国民の負担を増やす、そんなことばかりを行っていては、昨日の議論ではありませんが法人税が高いから企業が逃げる、という以前に日本の国民が外国に拠点を移し、日本には少し仕事をしに来るだけ、だから年金も日本では納めないという状況も今や起こり始めています。
例えば全額税方式とすれば、社保庁の解体よりも現実的に人件費が減らせることになり、歳出を減らせます。総体を見ず、単純に入りと出を議論しているだけでは、正常な議論とは呼べないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:53|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 年金

2008年05月19日

対日投資規制有識者会議の提言

内閣府の下にある対日投資規制有識者有識者会議の提言がまとまりました。内容はM&Aに向けた制度整備、外資規制に対する包括的検討、セクター別重点戦略の策定、ぞΧ肇灰好箸虜鏝困叛度の透明化、コ飴駘驚廚箸修譴砲茲訝楼莖萓化、の五点となります。
米公的年金基金カルパースなどで構成される「アジア企業統治協会」が、日本の買収防衛策が適正かどうか、経営陣の保身のためにあるのではないか、という発言を行っています。かつて安値に放置されている日経平均もあり、日本企業は買い叩かれるのではないか、と焦って買収防衛策に走った企業が過剰防衛に陥っているのではないか、とする指摘です。

まずこれは経済財政諮問会議の議題かもしれませんが、なぜ国内にある個人資産が外債や新興国ファンドに流れるのか?という検討が必要です。対内直接投資がGDPに占める残高は06年末で日本が約2.5%、欧州は30%前後、米国は13.5%、韓国でさえ9%弱あります。つまり日本は資金が国内でクローズしない経済であり、資金を流しても国内成長への寄与度の低い国となっています。
そこで外資を呼び込むために、一昨年に解禁された三角合併でしたが、現在まで成立したのはシティによる日興買収の1件です。,鉢△魯札奪箸力辰任垢、外資だからではなく、資本規制には一定のルールが必要であり、自由経済を標榜している以上は最初からルールを明示することが重要です。日本が嫌われるのは、特に省庁の権益に関わる部分に外資の手が入ることを極端に嫌い、政治が協力して排除に動くことです。
日本は事後検討が多くなったため、問題が発生してからルールを後付し、問題を沈静化させようとする動きになっています。国内ならお上のいうことには逆らえない、と沈黙してしまいますが、外資は異なりますので、その混乱も目に付くようになっています。結果的にその混乱がまた、外資排除の姿勢と受け取られることも多くなっているのです。

先進国で最も高い法人税の引き下げも議論の対象ですが、イ肇札奪箸巴亙における権限を増やし、法人税率をある範囲まで各自治体の裁量権に委ねると、新たな展開も見えるはずです。そうなると国の形も変わるので、別の検討も必要ですが、膠着化した今の環境を変えることを目指すのであれば、大枠から変える努力も必要です。
この提言は骨太の方針に反映されますが、外資には厳しく、国内からは資金が流出する、この国に足りないことは山ほどあります。この国が消去法的な観点でしか投資対象にならないのは、グレーゾーンに利を求める自由経済の動きを、後で黒と断じて排除してしまう、その態度にも大きく関わっています。何をするのか、それを具体的に示すことが今は求められているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年05月18日

道路特定財源の一般財源化に向けた予算獲得の動き

時事通信での世論調査でも、福田政権の支持率は20%を割りました。安倍政権末期より低い支持率ですから、福田下ろしの声は大なり小なり上がってくるでしょう。国会議員は解散が怖く、安易に動けませんが、地方は異なります。地元からの突き上げや、議会選挙でも福田の旗では戦えなくなってきます。支持率が20%を切るとは、国会だけではなく、様々な思惑が絡み始める値なのです。
今国会は延長せず、と決めたようです。サミット前の準備が必要だからですが、そうなると政府提出の法案も何件か潰れます。委員会すら始まっていないので、継続審議にもなりそうにありませんが、サミットが重要であるのは当然として、法案に対する本気度は政権内でも低いようです。

道路特定財源の一般財源化に伴い、予算枠獲得に各省庁が躍起です。しかし議論に抜けがあるのは、プライマリーバランスの健全化もまた、重要な政策の一つだということです。福田政権は今年度の予算においても、この健全化と逆行する流れを示しており、短期証券が多いとはいえ、国の借金も増やしています。
必要なところに充当するのは当然ですが、特定財源の一般財源化とは、国の財務状況を考慮しつつ歳出調整をする、そうした観点が重要なのです。歳入が増えたことでそれを歳出に回すばかりでは、1000兆円を超える国の借金は一向に減らないことになります。つまり従前から私が特定財源は全て一般財源化する必要がある、としているのは、国の債務の状況が税収の4倍を超える額まで膨らんでおり、一般財源80兆円では解決できなくなりつつあるからなのです。

福田政権になり、国の資産を売却して借金返済に充てる、という議論も少なくなりました。埋蔵金議論さえ封殺する今の党幹部にも、財政健全化の道筋は示されず、税制抜本改革の入り口にあるのは増税議論です。福田政権の支持率が低下するのも、こうした小泉政権で盛り上がった改革路線と逆行する、今の政府の態度が影響しているところもあるのでしょう。
与党も福田政権でサミットを迎える、ということで腹を括ったようです。次期総裁に向けた動きも、水面下ばかりで活発化していません。次の総裁選が8月以降にずれ込むと、いつでも解散、総選挙が可能なので、選挙向けの人材ということで麻生氏が有力になってくるのでしょう。どちらにしろ、サミット後にすぐ首相が変わる国では、国際公約への重みもなくなってしまうのですけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年05月17日

一院制議連が発足

昨日、自民党・衛藤氏を中心にした「衆参両院を統合し、一院制の新『国民議会』を創設する議員連盟」(一院制議連)が発足しました。かねてからある議連の再出発ですが、自民党内にも異論があり、また公明党からは距離を置かれ、発足当初から道のりは険しくなっています。
なぜ今この時期に再発足かは、当然野党に参院で多数を握られたことが影響しています。しかしこの議連の位置づけが間違っているのは、参院の廃止ではなく統合である点です。この議論の端緒には、衆参両院で法案審議を繰り返すそのムダを削減することがありますが、統合ではその効果も限定的です。一方で、統合後に議員定数を削減する案もありますが、現状の国会議員の数すら減らせないのに、統合後に減らすことが可能かは極めて不透明です。

国会のチェック機能という点では、二重チェックを利かすかどうかですが、現状の後期高齢者医療制度を見ても、法案の内容に対する真摯な検討は二院制でも行われていません。強行採決や3分の2条項を頻繁に使う、今の国会では一院制でも二院制でも有効な審議は進まないことも多くなっているので、チェック機能以前の問題ともいえるでしょう。
そして問題は国会より、委員会での検討で法案には修正がかかるので、委員会での議論をどこまで充実させるかがあります。私は、昨今の政治の場でよく耳にする「対案を出せ」という言葉は、実はこの委員会での修正を拒絶する態度に思えてなりません。政府案、野党案をすり合わせ、より良い議論をするのではなく、今は与党が面子のみで対案を無視する場合の方が多くなっています。対案とは、政策立案能力を示すものであるのと同様、その存在が審議の邪魔をする場合もあるのです。

一つ、秋から税制抜本改革が始まりますが、歳出が増えるので歳入を増やさなければいけない、という意見が伊吹幹事長などから語られています。しかし民から徴収する税を増やせば、その分日本の成長力は低くなります。国が本来成長力として民間にある資金を、強制的に徴収して活用しようとしているからですが、それでいて日本は福祉にかかる予算を毎年2200億円を削減するという、低福祉国になろうとしています。
税議論とは、まずムダの削減が必要であり、その中で議員定数の削減や、一院制による効率化などが議論されて然るべきなのです。国としての大枠、この国がどうなりたいのか、どうすれば良いのか、は視野を狭くして議論の俎上にのせている以上価値はありません。この一院制議連も、何を目指すかによっては有効なものとなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年05月16日

1-3月期GDP、実質0.8%増

内閣府から発表された1-3月期GDPが0.8%増(年率換算3.3%増)となり、日本経済の底堅さを示しました。閏年効果で前年度比ベースでの押し上げ効果もありますが、市場予想0.6%を上回り、証券市場の下落で3月に大きく経済実態は落ち込んだものの、1月の大幅な機械受注の増加等が支えたことが、これで明らかになりました。

中身を見ると外需が4.5%増と大きいのですが、それ以上に住宅建設が4.6%増となり、大きく寄与した形です。また設備投資は0.9%減と大きく落ち込みましたが、個人消費が0.8%増となり、影響を相殺した形になっています。ただ個人消費は4月からの値上げを見込んで、駆け込み需要も多かったものと思われ、その点では今後の買い渋り等も懸念されるところです。
懸念材料としては、設備投資の落ち込みが4-6月期は10%台になることです。経済の先行きが不透明な中で、企業が設備投資を控えるのは常道ですが、景気全体には悪影響となります。そしてこれは国内だけでなく、国外の企業でも同様の傾向であり、一般産業機器等の輸出も今後は落ち込みが大きくなるかもしれません。1-3月期が比較的堅調だっただけに、4-6月期にその影響が残りそうです。

また国内の堅調さを受け、円が少し強くなりました。円高がデメリットのようにいわれますが、コストプッシュ圧力の強いインフレ症状では、円高は決して悪いことばかりではありません。今年に入り、企業物価の上昇が3%台で落ち着いていますが、円高が支えてこの程度に抑えられているのであり、円安になれば資源輸入国である日本のコストは更に高くなります。
現状、中小企業にコスト吸収余力がなくなり、大企業にも資源高が直撃する形になっています。鋼材価格がt辺り2万、3万の上昇で妥結と伝わりますが、レアメタルも四川省の地震で供給不安が広がれば、更に調達コストがかかります。円高になれば少しはその影響も緩和できるのです。

そして現在議論されている、海外子会社の利益を日本に還流する際にかかる税を非課税にする問題があります。累計残高が12兆円ともいわれ、課税対象になることを嫌がり、これだけの資産が海外にそのまま滞留している状態にあります。海外では現地で課税されていることから非課税となっており、日本もこれに倣う形で非課税化を進めようというのです。
これらも円が強い方が、より還流が進むことになります。国内に資金が流れれば企業も配当に回したり、設備投資に回す余力が増えることになります。税収的に増減がないのであれば、こうした議論を進めることが必要です。今回のGDP、不安材料もある程度明確なので、政治が本気で対策を進めることが、今後も堅調な経済環境を作るといえるのでしょう。福田政権に経済政策がない、それも国民の不支持の理由の一つであることをしっかりと受け止めて対応して欲しいですね。

analyst_zaiya777 at 22:47|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2008年05月15日

地震災害とサイクロン災害について

最近、メディアでは四川省で起きた地震のニュース一色です。M7.9、地震で破壊的な被害が広がったこと、それが建物の構造自体の脆弱性に問題があり、人災の様相を呈していることなど、様々に考えさせられることではあります。ただ一方で、先週起きたミャンマーでのサイクロン被害の報道はめっきり減ってしまいました。
単純に被災者数や、死亡者数などで比較してはいけませんが、どちらも天災による大規模な被害であることは代わりありません。報道が規制されている場所と、制約を受けても映像がとれる場所、その両者の違いで報道に温度差があるような気がしてなりません。

四川省の地震は例え北京五輪を前にして世界に向けたポーズであれ、中国政府が素早い対応を見せているので、それに伴う救済のあり方や支援の仕方など、そうした問題は後々議論されることです。国威発揚的な報道姿勢には疑問もありますが、かつての中国のように情報を隠蔽して被害を隠す、そうした立場では今はなくなっています。
一方で、ミャンマー軍政は支援の受け入れすら断り、昨日やっと中国、インド、タイ、バングラディッシュからの人的支援の受け入れを決めました。こちらは水害ですから、飲み水の問題や伝染病の問題など、より深刻な後遺症の残るものです。物資すら足りない中、強行された憲法選挙にも政府の態度が窺えますが、こうした国にはより報道が踏み込み、実体を明らかにしなければ人々の苦しみはいつまでも癒されないことになります。

日本の対応も、ミャンマーのサイクロン被害には1000万$の拠出を決めました。ただし軍政に渡せば転用の可能性もあり、国際機関を通じた支援に留まっています。
一方で、中国はこれまで支援受け入れを断っており、今日になって日本からの人的支援の受け入れを表明しました。日本政府も数億円程度の支援は準備していますが、中国としては独力で解決したいとの意図もあり、また地域的にもチベット問題に絡みますから、欧米の支援の受け入れには難色を示し、日本のみ態度を曖昧にし続けているので、こうした態度も影響したのでしょう。

どちらも、政府の対応には人々のために、というより政府の対面のために、国が動いていると感じます。未曾有の災害に遭遇した人々が混乱し、苦しんでいるのはどちらも同じです。政府の対面、国の体質など、そんなものは些細な問題であって、人々を救うという行為の方がどちらも重要であることは間違いありません。
一部のメディアでも、四川省の地震のみの支援を募るものがありました。こうした態度はメディアとしても避けるべきであり、両者の支援とするべきです。サイクロン被害は先週、地震被害は今週だから、ということではあまりにお粗末に過ぎます。どちらも継続した支援が必要な問題なのですからね。

analyst_zaiya777 at 22:39|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | メディア

2008年05月14日

経済の話。日経平均が14000円を回復

国が管理する一級河川や国道について、総務省と国交省の間で綱引きが始まりました。国交省地方整備局と地方自治体との二重行政を指摘され、総務省が国から地方へ権限と予算を移す、そうした動きに着手した形です。予算を抱え込みたい省庁側の意向をくんで、国交族議員の抵抗も相当ありそうですが、行政機関のスリム化は喫緊の課題でもあります。ムダを削減する、その一環であることも踏まえ、しっかりとした議論を望んでいますね。

証券市場が3日連続上昇し、14000円を回復しました。今週に入り、特に昨日までは欧州系が日経225、TOPIX先物両方を買い上がって上昇を演じましたが、今日はその買いを期待した買いが追随したようです。2日間で欧州系2社だけで1万枚以上の先物買いを貯めており、この行方が気になるところですが、上昇したことを単純に喜ぶ向きもいます。
この上昇に材料がないという人もいますが、きっかけは日銀・白川総裁の「物価上昇でも利下げ」発言にあります。タイムラグがありますが、遅れて今週に入ってからFRB地区連銀総裁から、相次ぎ「現在の金融は緩和的」とする発言もあり、これが米国は利上げ局面、日本は利下げ局面に向かうとの憶測を呼び、為替相場、債券相場と連動する形で先物を買い上げたのです。

金余りの世界の中で、儲けを出したい一部の人間がバイアスの掛け易い方向に相場をつくる。現在はそうした動きが主流です。米国証券市場がWTIの動向を気にし、日本証券市場が為替相場の動向を気にしている。そこで為替を動かし、先物を買い上げたのですが、この動きにはリスクヘッジがかかっていません。つまり短期です。
先週で一旦下落に向かった相場、その崩落を覆すための動きとはいえ、ダウが大きく下落すれば、今はCMEを吊り上げる動きがないので大きく売り崩されるきっかけにもなります。様々な思惑はあるのでしょうが、この水準では今期の減益幅を織り込むとPERでは割高、ということもあるので、節目を突破した後の動きとしても、少し上値は重くなるのかもしれません。

個人的には、今期の企業業績を加味すると13000円程度が日経平均にとって居心地のよい水準です。今は楽観が乗っているので、1000円程度の上乗せがあっても全くおかしくはありませんが、相場の上昇のさせ方が悪いので長持ちするとは思えません。ただ先物への仕掛けでしか動けない今の相場に、更に仕掛けが増えることは仕方のないことなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:00|PermalinkComments(4)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年05月13日

道路特定財源維持の法案が衆院で再可決

今日、改正道路整備費財源特例法が衆院において3分の2条項を用いて、再可決されました。世論調査をしても反対の多いこの法案、一般財源化を盛り込んだ閣議決定を事前に行いましたが、法の執行と閣議決定では明らかに法案成立の方が重く、閣議決定がどの程度の拘束力があるかは、むしろ時の政権の心掛け次第というところが、国民にとっての不信感に繋がっています。
閣議決定で重要な点は、仝益法人の点検、∧神21年度に一般財源化、I要と判断される道路は整備、て始整備中期計画を10年から5年へ、ということです。まず△任垢、政権の本気度は夏頃から判明します。来年度に一般財源化、ということは国土交通省も概算要求を出さなければならなくなりますが、その際い瞭始整備中期計画がなければ、事業推計がない中で予算枠だけは確保するという事態に陥ります。

つまり税制抜本改革時に一般財源化や税率を検討するとしていると、来年度予算を検討する段階と時間的に重なり、会議が並列で走るということになりますので、実は間に合わないということなのです。夏に各省から出される予算要求時には中計も、一般財源化も決定していなければ議論ができず、この辺りにも政府が説明する内容には矛盾が含まれています。
特に今回は特定財源の一般財源化であり、より難しい対応が求められます。一般財源化され、国会審議を経るこの予算が1月からの国会の焦点になることはまず間違いありません。についてもい藩蹐澆泙垢、必要性は中計がなければ議論の対象にすらなりませんので、い出てから全ての議論がスタートする、ということになります。

そのい任垢、ガソリン価格が上昇すれば交通量の需要予測は減少するので、実は税率も重要なファクターとなります。環境対策で揮発油税を増税するなら、道路は更に造れないということであり、数字が密接に絡むこうした問題の場合、どれが先でも後でも議論は抜けが多くなります。
,砲弔い討6月末を期限としていますが、有識者会議が機能した例はほとんどなく、大抵が官僚の描く青写真通りの結論に落ち着きます。ムダを削減するのなら、必ずゼロベースから必要性を積上げるという作業を行わねばならず、今ある状態から何を削るか議論をすると、絶対に効果は見込めなくなります。これは削減に重きを置くのではなく、必要性に重きを置くやり方であり、削減した方が楽という方向での検討が必要ということです。

今回、一般財源化されることにより、予算枠を多く獲得するのが道路族の狙いのようです。しかし、国会審議を経るということは国民がそれをチェックできるということを意味します。世論の風は道路建設を否としており、逆風が強まることだけは確実なのでしょう。また福田政権の支持率が今後どの程度下落するかもありますが、ここ数日で結論を出さなければ福田内閣でサミットを迎えることが明白となり、その間の風も更に厳しさを増すのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年05月12日

後期高齢者医療制度の見直しを示唆?

中国の四川省でM7.8という大規模な地震が発生しました。古い建物も残る場所なので被害も相当に大きくなりそうです。日本では阪神大震災を受け、震源の浅い地震を引き起こす大地の亀裂や歪は、多くの自治体でも公開されているはずです。地震とは突発的に起こるものですが、発生頻度、し易さを考えて対策を打つことは可能です。
中国ではまだこうした取り組みはないのかもしれませんが、東アジアには現在マントルが沈み込むスーパー・コールド・プルームと呼ばれる力が働いているといわれます。それが太平洋プレート、北米プレート、インドプレートなどを引き寄せ、この地域に歪みを生じ易くさせているのです。それを考慮して地震対策を考えるべきなのでしょう。中国政府の動きも早いようですが、救出などには一刻も早く動いて欲しいですね。

後期高齢者医療制度について、自民・大島国対委員長が見直しを示唆しました。激変緩和措置の延長、抜本改正ではなく、制度上の問題点を修正する意向のようです。少し前、自民党の津島氏が「私は下がった」と講演で述べていますが、この辺りにも大きな矛盾があります。
これは膨れ上がる医療費、特に高齢者医療の増大を抑制する策なのですから、当然しわ寄せはどこかに来ます。それが現役世代の健康保険の4割負担であり、被扶養者であるわけです。これは広く、浅くとる方針であるからですが、高額所得者に対しては本来負担割合を増大させなければなりません。これは現役世代への負担を減らす意味でもそうですが、高額所得者のほとんどが官僚の天下りや企業の役員クラスの人間であり、現役時代に得た地位に対する恩給の意味合いが強いものだからです。

また制度の変更によって高額所得者の負担が減れば、低収入の高齢者の負担割合の方が高くなってしまい、制度そのものの方向性に関わってきます。広く、浅くという徴収を低所得者に拡大するより、高額所得者への過重負担を多くすれば、低所得者の負担増大も緩和することが可能です。微々たるものかもしれませんが、こうしたものも制度上の不備として、見直しの対象となるでしょう。
野党も廃止法案を出すようですが、それならばまず厚労省の出されている老人医療費が拡大するという推計根拠から、見直しをかけるべきでしょう。道路にしても、役人が出す推計というのは数字を丸めたり、また予測値にも都合の悪いものではなく良い内容のものばかりを集めます。その見直しがないと、結局対案がない、歳出をどこからひねり出すのか、という従来の指摘との間で堂々巡りになります。
廃止して新たな制度でも良いですが、重要なことは医療費を抑制するのか、負担割合を変えて対応するのか、その方向性をはっきり示すことだと思います。与党の説明がどちらつかずで、完全に弱者イジメとしてのイメージしか国民にはありません。走り出したこの制度、問題点の抽出に失敗すると更なる悪い制度になりそうで、その点が心配ですね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(4)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2008年05月11日

雑感、国外の動きで少し

ミャンマー軍政による新憲法に対する国民投票が実施されています。国民投票という、民主政治における根本さえ、ミャンマーや北朝鮮のような国では、体制維持に利用されるのみとなってしまう。恐ろしい現実を目の当たりにするようです。しかもサイクロンで人的、経済的にも甚大な被害を受けた後のことですから、民主化とは名ばかりの、重大な問題を含むものとなっています。
国連には、こうした国の体制そのものを変更させる力はありません。人権であったり、公平な選挙が実施されているかを監視することは出来ても、憲法であったり、国の根幹に当たる体制は是正が許されないのです。逆に、今回のサイクロン被害における支援拒否を、重大な人権保護の放棄として国連が直接介入できるような、そんな国連の力が必要なのかもしれませんね。

北朝鮮から、1986年以降の黒鉛減速炉と放射化学研究所の稼動記録が、米国へ提出されました。これが訂正のない、実際の記録であればプルトニウム製造量は算出されますが、濃縮ウランの量を推計するのは難しいと見ています。しかもプルトニウムを抽出した量が改ざんされていない可能性の方が低く、実際に推計できるのは北朝鮮におけるプルトニウムが、稼動実績から理論上どの程度製造できたのか、ということのみです。
北朝鮮は核保有を宣言していますので、プルトニウム型原爆の最大量が推計できても、あまり価値はないと言えるでしょう。資料の信憑性から疑問である以上、確証のない推計で動くのは、特に軍事に関しては危険極まりないものです。核拡散防止条約(NPT)を脱退した段階で、北朝鮮の核はアンノウンになってしまったのであり、軍事施設全ての査察を行わない以上、表向きの交渉材料になる以外の使い道は、この資料にはないということです。

そんな米国では、民主党候補のヒラリー・クリントン氏の撤退時期が話題になっています。終盤失速したオバマ氏ですが、キリスト教原理主義者から嫌われるクリントン氏より、共和党候補との勝負に強みがある以上、特別代議員もオバマ氏に流れ始めた、ということでしょう。
歴史的な接線ともいわれますが、共和党候補のマケイン氏の醜聞も伝わり、双方がネガティブキャンペーンに陥った民主党候補者選びとともに、大統領選は双方ともに負のイメージの付きまとうものとなりそうです。壊れた経済、軍事的なジレンマ、内憂外患状態の米国建て直しに、次期大統領選びは重要なはずなのですが、一年もかけて選挙をやる上での弊害が、こうしたところに現れているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | アメリカ

2008年05月10日

環境対策に揮発油税増税を示唆

道路特定財源を10年間維持する法案が、昨日委員会で否決され、12日の参院本会議でも否決される見通しです。野党は見なし否決となると、国会審議を経ないで法案を放置したという印象を国民に与えることを恐れ、また参院不要論に繋がることを恐れて否決の方針にしたようです。
そんな中、町村官房長官が温暖化対策として、ガソリン税を今より高くする可能性を示唆しました。間違えてはいけませんが、これは一般財源化とは切り離された議論です。道路特定財源のままでも、環境対策として税を付加することは可能であり、今でもガソリンには暫定を含む揮発油税と消費税の二つが乗っています。

重要なことは、環境対策といっても税率アップは増税だということです。車が重要な交通手段である田舎が住み難くなることは間違いありません。特に日本はこれまで公共交通を削減してきており、増税による負担と不便さの解消、そのバランスを考慮しないとますます交通の便が整った大都市への極集中となり、日本全体の構造がおかしくなってしまいます。
環境対策であれば、一例ですが企業の従業員数に応じて自動車通勤を禁止、その際公共交通が不便な場所には事業者が乗り合いのバスのようなものを出す、などもあります。消費抑制効果を価格に求める時は、必ずそれにより不都合が生じるものですから、安易に考えるべきではありません。

話は変わりますが、環境で気になる記事の一つに強毒性鳥インフルエンザが、青森や北海道の野鳥から確認されてるものがあります。韓国の被害も大きいですが、日本でも北上しており、感染範囲が拡大しています。ウィルスは人でも動物でも、耐性のないものが感染すると、影響が大きくなります。北海道の野鳥は鳥インフルエンザへの感染がほとんどありませんでしたから、今回の被害がどこまで拡大するのか、予測もできません。
温暖化で温帯地域の鳥が北上し易くなっている、という話もありますが、これまでも熱帯地域の魚も海流にのり日本近海に北上しますし、日本各地で見られるウスバキトンボは、日本の山野でも卵を産みますが、そのほとんどは熱帯、亜熱帯地域から飛んできたものです。
鳥の往来だけではなく、魚、昆虫にいたるまで、ウィルスは何によって運ばれるのか分かりません。現在、中国では手足口病が流行しており、北京五輪への影響も心配されていますが、同緯度で鳥インフルエンザが流行しているということは、中国北部でも感染の可能性があるのかもしれません。北朝鮮や中国など、調査がどの程度行われているかも含めて、鳥インフルエンザの拡がりは心配な点でもありますね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2008年05月09日

経済の話。日本市場の急落

今日の日経平均は一時300円超下落するなど、大幅な調整となりました。今回は明確な転換点があり、二ヶ月上昇を続けた相場も一旦は弱含むのかもしれません。
転換点とは、今月に入り米国市場で金融の悪材料を素直に織り込む形が生じたことです。金融機関の資産評価の厳格化や、昨晩AIGが1-3月期8000億円規模の赤字と増資計画を発表しましたが、時間外取引では素直に下落しています。本来、増資は市場にとって悪材料ですが、それすら好材料として市場は先行きの楽観を織り込む動きで、ここ二ヶ月は動いていたと言えます。

日本市場はこれまで奇妙な相場を形成してきました。シカゴで取引される日経平均先物(CME)を高値に吊り上げ、日本市場の開始とともにTOPIX先物を打って稼ぐ、という動きがそれです。前場引け間際、後場引け間際に理由なく相場が上昇するのも、先物買いを貯める一部の動きが引き起こしたものであり、外部環境の好転で開始直後は高くなる動きを織り込んだものだったのです。
これは取引開始直後に大きく膨らむTOPIX先物の動きで明白です。しかも場中のポジションの傾け方が大きく、危険とも見られる水準の売り買いを繰り返してきました。一部に後場開始直後に売りを試す、という誤った認識もありますが、総じてここ二ヶ月は買い方がポジションを作ってきたので、買いのポジションを整理する動きと考えた方が良いものです。

しかし今週に入り、CMEも落ち着いた動きを見せ、こうした動きに見直しがかかった。これが今日の相場の急落の原因であり、短期の溜まった買いのポジションを売り崩されたので、買い方の投げが加速したということになります。ヘッジファンドの思惑で相場が大きく動かされる、日本市場の悪い点が一気に噴出した形ですね。
今後を考える上で、一旦調整してもすぐに再び上昇局面に戻るとの観測もありますが、それには米国市場のスケジュールが重要です。税還付効果は短期では小売売上高に現れてきますが、貸し渋りや貸し剥がしが加速する現状では、消費拡大効果は期待薄でしょう。グリーンスパン前FRB議長が「最悪期は脱した」との見方を示していますが、著名投資家の中でも「最悪期は先」とする見方に別れており、私は後者を考えています。

今回の調整は、米国が金融面の悪材料をこなす間は弱含むことが確実です。しかし役二ヶ月日本市場の回復が目覚しかったということは、先行きには少し明るい材料も出てきたように感じます。今期の企業業績に芳しいものは目立ちませんが、外国人が買えば上がるという日本市場の特殊性が、金余りの世界でどう機能していくのか?これが世界景気の回復時の予行演習であれば、良いのですけれどね。

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2008年05月08日

原油がWTIで123ドルを突破

胡錦濤氏の訪日日程が今日も続いていますが、歴代首相が参加した朝食会での安倍前首相の発言が話題になっています。チベットとウィグルにふれた点ですが、発言そのものは事実を確認しただけであり、特に問題視する点はありません。ただ今回の訪日は媚中外交ともいわれますが、福田政権が媚中でなければ実現しておらず、この政権なら悪いようにはならないだろう、という中国側の意図が多分に反映されています。よってこの程度の内容が殊更大きく取り上げられます。
安倍前首相の発言は不満のたまる保守系議員に向けたものであり、党内の引き締めのためにも必要だった、という点は重要でしょう。恐らく一部の自民党幹部も容認の上で、こうした発言が行われていますが、むしろ忌憚のない意見交換とはこういうものであり、公式の場で述べるかどうか、はともかく、政局的にも必要だったということなのでしょうね。

原油高騰が続き、WTIでは1バレル123$を突破しています。これに対し、ブッシュ米大統領がOPECに対し増産要請を出すようですが、今回の高騰の背景はナイジェリアの政情不安であり、実需によるものではないため、増産による価格引下げ効果は一時的なものにしかなりません。
国連食糧担当がバイオ燃料への転用が食料価格の高騰を招いている、という発言をしていますが、それを引き起こしたのは約一年前の米国の態度変化です。CO2排出国としての批判をかわす狙いで、米国はバイオ燃料への転換を推進しました。この結果、トウモロコシなどがバイオ燃料に転用され、まず家畜の肥料が不足し、人間の食べるものにまで不足感が出てきました。

重要なことは、米国はこれらの問題を産業ベースでしか考えておらず、解決策を『効率』の視点でしか捉えていない、ということです。バイオ燃料も日本のように藁や豆腐のオカラ、木片など、廃棄されていたものから生み出せば非常に有効です。しかしそれでは効率が悪く、エタノールを精製し易い実の部分から作らなければ産業ベースでは成立し難くなります。
自由経済ですから、産業ベースで考えるのは当然ですが、それでは食料問題やエネルギー問題は何ら解決できません。更に世界にインフレ圧力をかけているのは米国ですから、問題を更に困難、かつ複雑にしているのは米国なのです。原油にしろバイオ燃料にしろ、他の国に責任転嫁するのは米国の常套ですが、自国の効率化ばかりを追求していては米国が世界を危機に導いている、とも言えるのです。
これらの問題では、あらゆる手を考えていかないと、貧困に喘ぐ国がより深刻な被害を受けます。金余りが生む弊害、米国一国主義が与える影響、そうしたものを世界が監視していく姿勢が求められているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2008年05月07日

日中共同声明が発表

日中トップ会談が行われ、戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明を発表しました。事前の予想通り、事務方で調整のついた事項はなく、また全体を通して見れば痛み別けの内容です。その内容について気になった点を幾つか考えてみます。

ガス田開発問題では、福田氏が「解決のめどがついた」と述べましたが、重要な点は妥結する内容です。すでに採掘に着手している中国に、日本がどの程度食い込めるのか?今回、中間線についての内容はなく、尖閣問題すら議題には上がっていません。東シナ海を平和・協力・友好の海とする、との表現にも権益に関する考え方は何も示されていません。両首脳の会見では、福田氏がトーン強めだったので、日本が交渉を有利に進めたことを祈るしかありませんね。
中国製ギョーザ問題では、当局の見解は完全に対立しており、捜査協力は元首レベルで約束されても、どちらかが内容を修正しない限り捜査に進展はありません。ただ中国側にとって予想外だったのは、日本メディアによるネガティブキャンペーンです。国家の面子を保ち、対面上は強気の姿勢を崩さなければ政治決着するとの思惑もあったはずですが、日本国内での購買意欲の低下により、実際に日本向けの輸出量が急減しました。問題解決に向けて努力する姿勢を中国側も示したかったはずであり、それが今回の声明に現れた形でしょう。

五輪出席に関しても、福田氏は一定の配慮を示したものの、ぶら下がり会見よりも若干のトーンダウンを見せました。外務省からの具申と、戦略上早期の意思表明は後に自らの首を絞める、ということに気付いたのでしょう。仮に中国に対する国際世論の声が更に悪化した時、出席すると日本も批判を受ける形となります。出席を直前で取りやめるのはもっと悪く、今はまだ静観するべき段階なのです。
歴史認識の問題では、中国も「直視」という昨年の日中共同プレスを踏襲しただけで強調はされませんでした。遺棄化学兵器の処理問題など、戦後60年を経過しても戦争を引きずる両国関係は世界的に見ても異常であり、チベット問題で国際批判の高まる中国が、国際関係で異常さを際立たせたくなかった、という事情もありそうです。

今回の中国は『先進国としての外交』を意識したものでした。新興国並に無茶をいって我を通す、ということではなく『話し合えば分かる国』を演出したかったのです。それが日本の常任理事国入りやポスト京都議定書など、諸問題にも前向きな態度をもたらしたといえるでしょう。
しかし逆にこの態度は中国内世論を納得させるには至りません。胡氏は難しい立場にたったといえます。福田氏にとっては、内容については不透明な部分があるものの、妥協せずに協議を進展させ、共同声明までこぎつけたことは一定の評価点でもあるでしょう。しかし終始主役であったのは中国側であり、その思惑で会見が進んだ面も否めません。日本が主導する形になってこその成功であることは、忘れてはいけませんね。

analyst_zaiya777 at 22:59|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2008年05月06日

雑感、連休中の出来事について

GWの旅行というのは疲れるばかりですね。今日は考える時間もあまりありませんが、雑感的に連休中に起こった出来事について、色々と考えてみます。

まず胡錦濤国家主席の来日ですが、国家元首が国賓として来日する場合、通常は事務方で調整の付いた内容が事前に発表されることも多くあります。今回、そうした情報はなく、パンダの貸与が今日になり伝わりました。パンダは研究目的であろうと、貸与されれば一定の金額を中国側に払う必要が生じるものですから、日本にいながら動物園でパンダが見られる、という以上の喜ばしい情報ではありません。今回、重要案件は棚上げにし、友好関係の演出のみということになるのでしょう。
事前に福田氏が五輪出席に含みを持たせたように、日本は最初から弱腰です。明日の日中首脳会談にも期待はできませんが、中国とてこじれた先進国との関係改善に、日本を利用したい意識はあるのです。交渉ごとですから、どうカードを切って日本に有利な条件を引き出せるのか、今回は福田首相にとっての試金石となることは間違いありませんね。

MSによるヤフー買収交渉が決裂しました。一株辺りの買収額を積上げていったヤフー経営陣の交渉手法に、MSが一旦手を引いた形です。ヤフー株は15%下落、株主訴訟がヤフー経営陣に対して早くも起きたようです。ネット再編といわれる最大の買収劇は、ヤフー経営陣のMSに対する根強い反感という、心的要因がネックとなった形です。
先週末に米国で注目の3月雇用統計が発表されました。予想75千減に対し22千人減であり、現在の市場のムードからすれば予想の上ブレを好感して一気高、という可能性もありました。しかしそうならなかったのは、仮に年後半に回復シナリオを織り込むとしても、現在のファンダメンタルズから見て今の水準が妥当、という意識もあったのでしょう。日本市場もヘッジファンドが『売り』で市場を作らなかったのは幸いですが、明らかに実態との乖離もありますから、いずれ調整局面はくると見ています。

最後はミャンマーのサイクロン被害ですが、これは対岸の火事ではなく、今世界が抱えている危機の一つです。旱魃にしろ、大雨にしろ、環境被害が食料問題にも直結します。当然、軍事政権の問題もありますが、これだけ被害が拡大すると食糧支援をしなければならず、それがまた世界の食料事情を変化させ、投機資金が蠢くことにも繋がります。買占めや輸出停止など、不穏な動きも伝わってきますが、こうした天災が世界で増えることは、更なる不幸を生む可能性を考慮しておいた方が良いのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:47|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2008年05月02日

福田政権の支持率が低下

ついに一部の世論調査で内閣支持率が20%を切りました。暫定税率復活を受けたこの時期では仕方ない面もありますが、自民と民主の支持が逆転するなど、与党の対応そのものにも逆風が吹き始めました。これまで動かなかった政党支持率が動き始めたことには、大きな意味があります。政局は解散ではなく内閣総辞職、もしくは改造へと向かうのでしょう。
意識されるのは森政権末期です。死に体となった自民党、それを改革する旗手として「自民党をぶっ壊す」という言葉が象徴的に用いられました。今回も同様に、よほど強力なサプライズを打ち出さない限り自民党は復活できないでしょう。その手は何があるか、与党もそれが見出せない限りは解散も難しくなってきました。

GW明けに胡錦濤中国国家主席の訪日があります。政権浮揚のきっかけにしたいところでしょうが、チベット問題に揺れる中、譲歩を引き出すのも難しい面があります。そんな中、福田氏は早くも五輪に「行けたら」と発言しました。各国の元首が出席を回避する中、五輪に国家元首が参加することは、すでに一つの外交カードになったといえるでしょう。
つまりこのような内容は譲歩を引き出す段で述べればよく、先行して発表しては何の意味もありません。福田内閣の支持率が下落するのは、内政では後手後手の対応、外交ではカードを先に切って切り札のない状態で臨む、このチグハグさに関して国民がなぜ?と感じる部分も大きいのだと思います。外交面を期待された首相ですが、その外交手腕にさえ疑問符がついているのです。

更に経済政策に期待できないとする意見が多いのも、物価高を福田氏が「しょうがない」と述べたように、公共料金の値上げや保険料の上昇、小麦卸値の改定などで、日本には官製インフレとも呼べる状態が起きていることが大きく影響しています。景気刺激策もなく、物価高だけが進む官製インフレが起きては、政府としての責任を放棄している態度にしか見えません。
今回の世論調査が端的に示しているのは、政治の閉塞感は誰によって引き起こされているのか、という強い不満です。与党はすぐに参院で野党が審議拒否するから、と述べますが、野党が審議拒否を続けられるのも国民の声という後押しがあるからです。国民の声を反映していないのはどっちだ?国民はそれに気付き、与党の手法にNOと言い始めたのです。同じ言葉でも使う相手によってはマイナスに受け取られます。支持率20%とは、5分の1がその意見を懐疑的に見るということであり、政権がレイムダック化したのは紛れもない事実なのでしょうね。
明日から少し旅行に出ますので、再開は6日頃になります。皆さんもGWは気をつけて楽しんで下さいね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年05月01日

経済の話、インフレの功罪

昨晩、米FOMCにおいて政策金利を0.25%下げ、年2%にすることが決められました。これを受けて、一時150$近くまで上昇したダウは一気にマイナス圏に転落しました。市場が期待した利下げ打止めが示唆されず、景気とインフレの両睨みであることがマイナスと受け止められたのです。
市場が期待したのは、景気の底打ちを当局が認めることでした。しかし直近のFRB理事の発言から見ても今回の声明文は大きく逸脱しておらず、むしろ規定路線だったといえます。市場が勝手に過度な期待を乗せたのであり、今後はこれまで無視してきたファンダメンタルズを織り込む形となるので、米国市場は少し弱含むかもしれません。

さて表題の件ですが、現在のインフレはモノとカネのバランスが崩れて起きています。新興国の発展で需要が増大するという要素は市場を動かす材料でしかなく、上昇を引き起こすメインパワーは実需+αをどの程度乗せるのか、そのαの部分を決定する権利をもつ、巨額資金を操る投資家層の思惑です。このαが過大となるのは、市場に資金が多過ぎるからです。
なので、経済が減速するからインフレは収束するというのは間違いです。インフレを抑制する策は市場から資金を吸収するか、投機マネーに規制をかけるしかありません。しかしその策は金融市場の混乱から打てない、ということは世界を襲うインフレはまだ続くという結論になります。

一方で、企業から今年度の見通しが示される中、ハイテク業界の見通しにかなり明るいものが見えます。これはアジア向けの販売が伸びる、ということも当然あるでしょうが、オープン価格により価格変動を反映し易い業態は、インフレの恩恵を受け易いということでもあります。
インフレ率の計算は単純に価格だけではありませんが、10%のインフレが価格転嫁できれば、それらは全て企業収益になります。これが自動車業界など、インフレを反映し難い業態との差なのでしょう。当然、資源高の吸収など負の面もインフレにはありますが、余剰となった資金を奪った者が勝ち、という経済の原則を考えればインフレはチャンスともなるのです。

昨晩は商品市場が下落、為替相場はドル安、とインフレの元凶は一先ず落ち着いた動きを見せています。しかしインフレは初め経済を押し上げるように見せますが、長期間続くと悪影響が目立つようになります。世界は早めにインフレ退治に動かなければなりませんが、米国の経済状況はまだそれを許さないようです。
米1-3月期GDPが+0.6%となり、安堵感もありますが、ほとんどが在庫の積み上げです。在庫は将来の景気下押し不安となります。年後半の回復シナリオ、色々な期待をのせる米国で、その楽観シナリオが崩れたときに、再び悲観の巻き直しが起きることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ