2008年06月

2008年06月30日

社会保険庁改革の最終報告書について

年金業務・組織再生会議で、社会保険庁解体後の設立組織「日本年金機構」(2010年1月設立)の最終報告がまとまりました。総職員数を17830人とし、そのうち正規職員を10880人、社保庁からのスライドを9880人とし、1000人は民間からという計画が示されています。
過去に懲戒処分を受けた職員は正規職員としてではなく契約職員とし、その後正規職員への是非を決めるそうです。ただ契約職員から契約を切られる職員は少ないはずであり、むしろ時期を見て正規職員にするための干渉的な位置づけなのでしょう。現業務をそのまま引き継ぐのであれば、15%減となった職員数では不足するという理由で、簡単には首を切らないはずですからね。

年金についていえば、05年から厚生年金は毎年0.354%、国民年金は毎年280円上昇しています。17年に厚生年金は18.3%、国民年金は16900円になることが決まっており、あまり話題にはなりませんが、着実に国民の負担は増えています。改正前の05年のレベルが13.58%、13300円ですから、負担増の大きさが分かりますし、国民年金は月額ですから、年に直せば相当のものです。
一昨日のコメント欄でも書きましたが、運用収益はH13〜H18までで確か2回乃至3回程度しか3.2%を超えておらず、それ以前はマイナス傾向が続いたので、収支状況を見ると毀損が続いている状態です。国民負担の増加でその毀損分を埋める計算ですが、特に給与水準が上昇しない現在、厚生年金の給与天引きからの収入は23兆円程度が予定されていても、それすら達成するかは不透明です。

社保庁の問題に戻れば、消費者庁の問題でも同様ですが、徴収と給付の部門、管轄官庁と摘発部門を別けないと、チェックのきき難い体質が継続してしまうことになります。つまり組織内で擁護、隠蔽体質を継続してしまう可能性があり、ダブルチェックのきかない組織となってしまうのです。
現体制をそのままスライドするなら、単に公務員を民間人へ改めるだけで、組織が改善されるかどうかは不明です。むしろ情報の消去であったり、引継ぎ不備の問題が今後は発生する可能性を否定できず、何のための新組織かが見えなくなります。国民の不満は年金機構がこれだけの不正、管理の不備があったことに対してどう手を打つのかで量れることになります。

年金は制度疲労と組織崩壊という重大な危機を迎えています。組織崩壊については、単純に社保庁をスライドするのみではなく、監視体制をどう構築していくのか、という点が大事になります。そうでなければ国家の監視の目を離れた、情報隠蔽体質をもつ新たな組織が出来るだけであり、ほぼ随意契約と同じ状況で業務が発注される以上、自浄能力の働かない、そんな組織になりかねないのですからね。

analyst_zaiya777 at 22:58|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 年金 | 社会

2008年06月29日

諫早湾干拓訴訟について

アフリカのジンバブエで、ムガベ氏が5期目の大統領に就任することが確実となりました。しかしアフリカ連合(AU)の選挙監視団は正当性を否定し、欧米も経済制裁などの措置をとる方向が強まっています。かつてアフリカの穀物庫とまで云われたジンバブエはハイパーインフレとも呼べる状態を継続、通貨は対ドル換算で5月上旬に2億ジンバブエドルから82億ジンバブエドルへ急落しています。
公正な選挙がない国、経済が崩壊した国、国際社会でも外圧はかけられても、国の制度は換えられません。内政不干渉が原則であり、そこで輸出規制になるのですが、そうなれば国民生活の困窮は更に進みます。どこの国でもトップの態度が国民を困らせる、その現状は変わらないようですね。

諫早湾の干拓で、佐賀地裁が「国は調査を妨害している」可能性にまで言及し、開門を命じる判決がありました。ただし3年の猶予もあり、若林農相が控訴する意向を示していることから、問題は高裁に持ち込まれる形であり、実際の開門とはならないのでしょう。
ただこの問題で間違えていると感じるのは、閉門時に漁業への影響は軽微とした事前の推計を元に、閉門後すぐに営農へと転換してしまったことです。つまり営農に被害が出るから開門できない、という論旨は本末転倒であり、本来営農へと移る段階に至る前に開門と閉門を繰り返し、干潟のある状態とない状態を作り出して、実際の影響を確認しておかなければいけなかったのです。

自然界は全てバランスで成立しています。環境、食物連鎖、何かを変えれば当然影響は他の場所に出ます。干潟は人間にとって利用の難しい土地ですが、適度の湿り気と降り注ぐ太陽が生物にとって絶好の環境を与えています。それを海と切り離せば確実に生態系は変わります。
諫早湾は現在、干潟のある海から干潟のない海へと、生態系が変化する過程にあり、水産業は転換を迫られている時期になります。その際、漁獲量は増えたり、減ったりということを繰り返すでしょう。それは生態系が変化する過程であるので、仕方ないことです。

しかしこれは人為的に作り出された変化であり、要因を生み出した側には一定の責任が生じています。想定のみで実調査をせず、現状の漁業被害は以前から起きていたこと、とするばかりでは国が立証責任を放棄していることにもなり、それが地裁判決にも影響したと考えます。何事も机上の計算ばかりでは分からないことが多く、必ず実証という行為が必要なのです。その実証を経なかったことが全ての問題の出発点でもあるのです。そのことは考慮するべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(7)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 司法

2008年06月28日

厚生年金記録560万件のミスについて

昨日、社会保険庁が厚生年金の紙台帳記録とコンピュータ記録をサンプル照合したところ約1.4%、全体に推計すると560万件の記録にミスがあると認めました。ただこれを単純なミスと考えてよいのか、疑問に感じます。標準報酬が社会保険庁の指導の下、納付者に無断で引き下げられていた問題を考えたとき、そうした詐欺的行為が様々な場所で起きていた可能性を考慮せざるを得なくなります。単純に入力ミスで済ませるべきか、ということです。
本来、納付記録と入金額は最低でも単年ごとに整合させ、記録と合っていることを確認しなければなりません。つまり積み上がった金額と、納付記録は整合していることが当たり前なのです。オンライン化が1986年からですが、その際入力データと積立額を一致させなかったのは、積み立てた資金を運用し、それを給付に回すというシステムではなかったからです。

つまり今回改めてこの記録の不整合が発覚したということは、入金額と納付記録は今に至るまで一度も確認されたことがない、ということになります。納付と給付が混在し、金額の不一致を確認する術がない。これが社会保険庁の最大の問題であり、特に過去は入金もオンラインでは行われていなかったので、紙台帳の正確性から疑ってかかるべきなのかもしれません。
しかも記録の確認に数百億かかる、という試算が出され、エンドレスで記録を確認しても完全なる記録の照合はできない、と社会保険庁が自ら匙を投げている形なので問題は深刻です。記録が壊れれば、年金、保険、こうした資金を預かり運用するシステムは成立しません。記録を壊したのは社会保険庁であり、その責を国民に負わせ、立証の義務を押し付け続ける限り、年金未納者を引き戻す根拠には乏しくなるのでしょうね。

年金は150兆円の資産のうち、100兆円を国債で運用しています。ご存知のように日本は超低金利ですので、利回りは極めて悪い運用方法です。安定資産への投資、という形では是認できても、運用利回りが1.5%程度では支払い額に影響してきます。利回り4%(現在3.2%)で約束されていた年金ですし、給付額は高齢者人口の拡大に伴って増えています。
問題は、年金が制度として存続しうるかどうかですが、このままでは無理です。抜本的に見直しをかけなければなりません。年金を証券や金融商品に充当し過ぎることは危険ですが、利回りすら目標に達していないのですから、取り崩していけば確実に制度疲労を起こすでしょう。
年金を存続させるにしても、国庫からの支出を増やす限りは税で徴収するのと同じです。先日年金を消費税にしたら、ということでとんでもない数字が出されましたが、年金問題も税制一体改革に含め、この国のシステムを改めて考え直す時期に来ているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 政治

2008年06月27日

経済の話。東証から外国企業が消える?

北朝鮮の寧辺で核施設の冷却塔が爆破されました。一言だけ述べれば、冷却塔は核の無能力化とは全く関係なく、建て直せば済むだけの話であり、これを核無能力化の第一歩だという人間は無知か、意図的にお祝いムードを演出したいだけなのでしょうね。

今日発表される経済指標には注目していました。5月の全国消費者物価指数(CPI)が、コアで前年同月比1.5%上昇。家計消費支出が前年同月比3.2%減少。鉱工業生産指数が前月比2.9%上昇、ただし6月の見通しが下がり、4-6月期はマイナスに陥る可能性が強まりました。1-3月期はマイナスでしたが、2四半期連続でマイナスとなるとほぼ確実に減速期に入りますので、基調判断は引き下げられました。
まず物価は日銀が中央値として1%、上下1%の振幅以内に収まることを意識していますから、急速な上昇には警戒水準も灯ります。更に、家計支出が実質で減少する流れが強まっている、ということはインフレがジワリと家計に響いてきた証拠です。2週間前に5月企業物価が発表されていますが、4.7%上昇とバブル期並みの高水準を示したことから、今後もインフレ傾向は続くのでしょう。
トヨタが全車値上げでは?と伝わりましたが、国民の車への意識が変わる中で値上げすれば、今回の経済指標通りの結果なら確実に販売台数は落ちます。そうなると生産調整に陥り、部品メーカ、また販売数量が増加しないディーラーなど、付随する国内企業は深刻な打撃となります。インフレ下でも収益構造は悪化していく、悪いインフレの見本のような形です。

そんな中で少し気になっているのが、東証が商品を拡充していることです。市場の拡大期、資金流入期であれば問題ありませんが、市場規模が縮小している現在ではむしろマイナスに影響します。市場が規模を縮小するとは、影響力の低下を意味し、上場している意味合いを薄くします。
外国企業がこぞって東証から逃げ出しているのは、外国人投資家が6割を占める日本市場に、上場費用を払ってまで知名度を上げる必要もなくなったからです。上場には資金調達の意味合いもありますが、昔と比べ債券組成に様々な形式をとれる現状、市場規模の小さい日本市場は外国企業にとって、非常に魅力の薄いものとなってしまっているのです。

特に米信用市場が再び混乱期に入り、今日になりサムライ債の起債を見送る動きも強まりました。プレミアが高すぎて資金調達と、それによるコストが見合わなくなり始めていますが、欧米金融機関でもコスト削減が急務であり、それらがこうした動きに繋がっていると見ています。外国からの資産運用課税の見直しもありましたが、超低金利の日本ではキャピタルゲインの期待しか乗らないこと、及び外資排除の姿勢を強める経産省と各企業の態度、それらが外国人にとって魅力のない市場に映る、そうしたことをどう改善していくのかが、今後の課題になるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(15)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年06月26日

経済の話。FOMCで金利据え置きを決定

北朝鮮の核計画申告で米国がテロ支援国家指定解除…。日本は無策のまま、六カ国協議でも最後尾のまま、米中の思惑で進む作業を追認せざるを得ないのか?日本外交の非力さを改めて感じますし、ネオコンが去った今のブッシュ政権で規定路線となった今回の事態を、批判することもせず受け入れざるを得ないのか?今日は非常に残念な日ですね。

米国連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、金利を年2%に据え置く決定をしました。声明文が注目されていましたが、強い利上げ示唆もなく、景気とインフレの両睨みを印象づけた形です。直近のFRB高官が語る内容から見ても想定内でしたが、すでに年2回の利上げを織り込んでいた債券市場にとっては、少し頭の重い状況になりました。
これまでのFRBの対策を評価する声も多くありましたが、急速にインフレ誘導されたことで、世界経済が混乱しているのが現状です。ただ今回FRBがインフレ抑制に動けなかったのは、金融保証会社の格下げ、保証商品からの保証取り消し交渉の行方などもあってレベル3債券が拡大し、金融不安再燃が顕在化するとの懸念があるからです。これによりCDS市場が壊滅的打撃を受ける可能性もあります。
この時期利上げは正直難しいでしょう。大統領交代時期でもあり、金利を年内上げるのは難しいと見ます。ただそうなるとインフレ抑制まで時間がかかりますが、次期大統領候補は二人とも投機規制を打ち出しているので、そこで余剰資金が市場から排除されるまで待つことになるのでしょう。実際、商品市場も頭の重い形になっていますが、規制への恐怖心が影響していることもあります。

日本市場は底堅い、といわれていますが、インフレの影響が少ない日本市場は商品市場と同じ要因、つまり実需+αで回されているだけです。今週初めの法人企業景気予測調査を見る限り、4−6月期は+回復すると見ていた大企業が-15.2に落ち込むなど、日本でも景気回復は後送りになっていることが窺えます。5月の消費者物価が明日発表になりますが、ここでインフレの影響が深刻化するようだと、日本経済の先行きにも更に暗い影を落とすことになります。
インフレが市場の注目ポイントであり、その動向次第では日本市場の調整幅を大きくするでしょう。ここ三ヶ月近く外国人投資家は買い越していますが、一方で裁定取引は減少しています。これらの動きから考えられることは、長期ポジションではなく短期売買で利ざやを稼ぐ投資がメインになっており、値動きの激しさからもそれが窺えます。その際、インフレが加速する国の市場からは資金が逃げるので、明日は少し重要な日となるのかもしれません。

推測ですが、6月末は4-6月期の期日と重なるため、ここ数日は予想外の強さを見せてきたと考えています。ただ明日は株主総会の集中日でもあり、今期の見通し次第では大きく売り込まれたり、逆に買われたりする企業も出るでしょう。しかし来週の日銀短観の悪化は確実視されており、インフレ動向次第では、注意信号が灯り易いということには警戒が必要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:00|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年06月25日

雑感、グッドウィルが廃業へ

居酒屋タクシー問題で17府省庁で計1402人、151人を処分したと発表されました。間違えているのは、通常タクシーチケットは接待などに用いられるもので、どの企業でも遅くなり、帰宅する時は実費で払い、領収書で清算という形をとります。それができない言い訳に管理、事務費が大変というのは、天下り、渡り等の人事権を管理している今の省庁には通用しない話です。国家公務員は接待される側でもありませんし、また国も人件費削減が急務のおり、国民が理解できないこうした出費に関しては、早急に領収書での清算に変えるべきなのでしょうね。

グッドウィルグループの日雇い派遣を担うグッドウィルが廃業を明らかにしました。違法派遣で幹部を逮捕、事業者としての認可を取り消す方針を受けての決定です。登録された派遣労働者の受け入れに動いているようですが、今回でも明らかになったのは、歪んだ労使関係の先にある労働者の立場が弱まっている、という事実です。
派遣社員は立場が弱く、労使交渉は不可能です。派遣社員は雇用の不安と不慣れな職場、そうした二重のストレスがあり、今回の件は派遣業者そのものが潰れる、という更に大きな問題を含んでいます。派遣労働者は契約先の選別もしていかなければならない、ということを暗に示しており、経営者が間違ったことをすると許可を取り消され、すぐに収入の道を断たれるということになります。

中間搾取の問題で、一部の派遣労働者が団結しましたが、労働組合というまでには至りません。それは雇用が安定せず、また組合活動などをすれば派遣先を回してもらえない、そんな不安もあるからです。企業が生産調整などをやり易くするため、正社員比率を下げてもよくなったことで、日本の労働環境は大きく変わりましたが、その一番の被害者ともいえるのが、こうした不安定な状態での生活を強いられている派遣労働者だといえるのかもしれません。
日本が高い成長を維持するには、国民生活の安定が欠かせません。生活が不安定なので消費を抑制する、増税できない、これでは国民も国全体も疲弊していくばかりです。最初の話にもありますが、労使関係の中で最も労働者側が強い権限をもつのが自治労などを有する公務員であり、このためレク費や人件費削減に至らないという、少し見直しが必要な段階にも至っています。

ジョブカードの導入は以前から謳われていますが、派遣労働者には不向きなものです。長い職歴もなく、浅薄な知識のまま次の職場に回されては、経歴を記載できるものは何もなくなりますし、明日の生活にも厳しい状態では職業訓練などをすることも難しくなります。生活の安定が社会の安定に繋がる、ということをふまえて、もう一度労働者の環境というものを整備すべき時なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 企業

2008年06月24日

骨太の方針2008の原案について

昨日の経済財政諮問会議で『経済財政改革の基本方針(骨太の方針2008)』の原案が提示されました。これは方針なので、当たり前のことを当たり前に述べている内容が主ですし、毎年ほぼ同じ内容で変わっていないものもあります。地球温暖化防止に向けた諸施策に多くのページを割いた点が、従来との大きな違いでした。

その中で気になったの二つ。まず『平成の農地改革』として所有と利用を分離する、という内容が盛り込まれています。これは加速度的に進む農業就労者の高齢化に対応するため、また休耕地を減らすために所有はそのままに、利用者を企業や団体に任せようという大方針があり、従来から農政の中で述べられている内容でもあります。
ただこの背後には農協という、戦後続けられたシステムの大転換を迫っています。日本では農業従事者を農協に所属するよう仕向け、その管理下で生産体制を構築してきましたが、企業や団体は個人ではないため農協から外れます。現在は食料生産を上げようという、一次産業にとっても大転換期に当たりますが、この制度をきちんと仕上げなければ、日本は今後数十年の世界の主流から取り残され、益々食料自給率は下がっていくのでしょうね。

そして気になったのが治安維持に関する部分です。秋葉原の事件を考えた時、私は幼児期の人格形成時に、自分というものを歪んだ形で構築したことが、一部にあるのではないかと考えています。自分の形を見失ったため、社会における自分の立ち位置に違和感があり、そのため常に社会に馴染めないという疎外感をもち、それを周囲の責任にする、そうした傾向を強めていったのではないか、ということです。
つまりこうした破滅衝動をもつ者は、現代社会には一定程度潜んでいる恐怖があります。地域の絆を再生、とも謳われていますが、インターネット規制や刃物規制等、道具に対する規制は謳われているものの、心に対するケアは一切明記されていません。犯罪に至るのは道具ではなく、心の問題なのだということを想起すべきでしょう。

そして昨今、増えているのは自分への圧力、抱えた不満、ストレス、そうしたものを相手にぶつけて自己を保とうとする、そうした意識です。頻繁に役所へ苦情をいれる人間や、モンスターペアレンツの問題もこうした中に入るでしょう。これは教育ではなく、国民の意識改革であり、心の問題まで含めて対策をとる必要があります。
骨太の中には、若者、女性、高齢者の雇用で220万人を創出と謳いながら、一方では外国人就労者の受け入れも組み込んでいます。これを両立させるには、日本に次々と雇用が生まれる高度経済成長期並みの経済成長が必要で、国の形次第では微妙な内容をはらんでいます。国民が安定した生活を得られるようにならないと、治安にとっては大きなマイナスです。何が大切で、何を為さねばならないのか?国がしっかりとその道筋を示すことが大事なのですけどね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(3)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年06月23日

産油国・消費国会合について

米民間調査で、次期大統領候補のオバマ氏とマケイン氏の支持を見ると、オバマ氏優位の姿勢が鮮明になってきました。クリントン氏との激戦を制し、民主党の分裂かとも叫ばれていましたが、クリントン氏がオバマ氏支持を打ち出したこと、及び共和党政権が経済、外交両面で大きな失敗を重ねたことで、民主党に対して支持が向かい易いことなどもあるのでしょう。
クリントン氏は副大統領に就任することはまずないでしょう。副大統領になるにはそれなりの選挙戦術があり、最後までネガティブキャンペーンをうち、政策で歩み寄りの姿勢を見せなかったことで、受け入れれば変節をイメージさせるためにオバマ氏も二の足を踏みます。あくまでトップを狙う戦略に固執したクリントン氏は、自ら撤退への道を歩んだのでしょうね。

サウジアラビアで開催されていた産油国・消費国会合が閉幕しました。米国に近い立場のサウジアラビアのみが増産を約束し、7月に日量970万バレルに引き上げ、09年末までに日量1250万バレルに増産、更に需要を見て1500万バレルに増産する計画も明らかにしています。
一方で治安の悪化するナイジェリアが石油施設への攻撃を受け、生産体制に疑義を生じており、また産油国の増産余力が矮小なこと、及びイスラエルによるイラン攻撃の可能性などが示唆されたことにより、原油価格の下落には繋がりませんでした。先のサウジの増産余力も大きくないため、今後は設備投資などにも莫大な予算を投資しなければならず、幾ら原油高騰で潤う産油国とはいえ、各国の事情から見ても増産へと向かう力は弱いとも見られているのでしょう。

今回の会合は産油国からの呼びかけで調整するという初の動きであり、これまでとは様相を異にするものでした。そのため期待感も高かったのですが、共同声明でも懸念を表明したのみで、具体的対策には踏み込めませんでした。先に、先進国は在庫量を素早く報告し合うシステムを検討されましたが、先週中国がガソリン価格の値上げに踏み切り、一部で消費が落ち込むと思われて下落したものの、今日になると値上げで増産し易くなる、との観測が流れて上昇に転じています。在庫ではなく、将来需要が価格を動かすようになれば、如何に在庫量を明らかにしても価格には影響しないことになってしまいます。
世界各国でデモが起きています。日本でもイカ漁の漁船が操業を一時休業しています。今後も儲けにならない、コストに見合わない作業は手控えられ、それがまた最終製品への価格高騰に繋がるのでしょう。最近の国際会議は特に、事態の収拾能力を著しく失ってしまったようで、それが図らずも今回も露呈してしまった形なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 中東

2008年06月22日

雑感。二つの出来事について

二つの出来事を考えてみます。一つは環境保護団体のグリーンピースが宅配会社から鯨肉を盗み出した件で、青森県警と警視庁が2人を窃盗と建造物侵入の容疑で逮捕した事件です。まずこの事件は横領が成立しないことは明白です。これは調査捕鯨なので、捕獲された鯨に商的価値はありません。
一部を、かかったコストの補填のために市場に回しますが、利潤を目的としていないため、コスト以上の収益を出すことは調査捕鯨の目的に反します。そこで、余った分の鯨肉を乗組員で分けても、横領には当たらないことになります。逆に捕獲した鯨の帰属を曖昧にし、価値を認めさせないようにしたのは調査捕鯨という名で縛りをかけてしまった、国際社会であり、それが乗組員で分配する行為に正当性を与えているのです。

次に、短期間で死刑執行の書類にサインをした、鳩山法相のことを一部のメディアが「死に神」と呼んだ件です。死刑反対論者が間違っているのは、刑を執行する人間に直接圧力をかけるため刑務所に出向いたり、法相を非難したりすることです。これは死刑執行制度という法に基づく執行であり、書類にサインする人や死刑を執行する人には何の関係もありません。
物事の本質とずれ、人を誹謗中傷したり、圧力をかけて事態を変化させようとすることほど悪質なやり方はないと云えるでしょう。人の心を傷つけ、有名無実化しようとする間に、一体何人の人間を攻撃すれば終わるのか?つまり死刑制度を問題視するときに、制度の根幹を変えるための法律の議論ではなく、携わる人間を蔑ろにするような人間に賛意は集まらない、ということです。

この事件にはどちらも、その意識の根幹に「目的が正しければ手段は正当化される」という、誤った認識があるように思えてなりません。これを不当捜査だ、という人もいますが、グリーンピース側と同じ論調を用いれば、誰かがグリーンピースの不正を暴くため事務所に侵入し、証拠資料を持ち出してもそれは罪として問えなくなります。正しさなどは人それぞれ異なるものです。そこに依拠して犯罪行為に手を染めれば、当然のように逮捕されるのです。
そして死刑制度に関しては、それが人道主義に基づく主張であるなら、人を貶める行為全てを忌むべきところでしょう。人道に悖るとは、人を悪意で貶めることです。自らの主張が正しく、相手が間違ったことをしている、だから中傷して良いというものでもありません。

どちらも本質と異なる範囲で、物事の悪い側面を捉えて評判を落とそうと、そうした意図もあるように感じられます。主張の正しさを世間にアピールしたいなら、外堀を埋めるためのイメージの悪化を狙うような、そうした行為は逆に評判を落とすことにも繋がるのでしょう。結果的に、この二つの出来事は本質を外している時点で、主張の正当性を失っているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2008年06月21日

経済の話。日本市場の今後

米国市場がベア・スターンズ破綻前、3月半ばの水準に近付いています。原因は地銀の破綻懸念、金融保証会社の格下げが現実化し、それによる金融商品の評価損が計上される懸念が発生したこと。また増資計画さえあった金融保証会社が、これにより保証金を支払うことで、存続さえ懸念される事態となったこと、などが上げられます。

日本の先行きに関して考えると、世界的なインフレの影響が低く、それを好感する向きもあります。ただ新興国でインフレ、特に一次産品の高騰が続けば、最初に出費が削られるのは日本が得意とする高級品であり、インフレが長期化すれば輸出が減少する形となります。ガソリン価格の高騰で自動車の輸出が減少していることが代表的に取り上げられていますが、今後は家電などにも波及していくでしょう。
一方で、世界では大型案件への投資が続きます。矛盾した考えですが、インフレ初期の段階では一部に資金が偏り、それが好景気と錯覚させることにより、プラントなどへの過大な設備投資が続きます。この間、建機などの輸出は堅調ですが、その後は過大な投資から急速に需要が冷え込む、という事態に陥ることがあります。加熱感が時として需給の振幅を大きくしてしまうことですが、現状はまだこの動きが継続中であり、しばらくは続くのかもしれません。

米金融の悪化は今後も続きます。日本でも大手一行がサブプライム関連で多大な損失を計上していますが、損失はまだ拡大すると言われており、決して対岸の火事ではありません。しかもSWF、米ファンドが欧米金融機関への投資を控えたこの時期に、渡辺金融相の「攻めの時期」との発言に見られる邦銀による資金拠出など、心配な事情も発生しています。
年末まで、日本市場は15000〜10000円の範囲で推移するでしょう。商品市場に規制がかかり、先物投機マネーが日本に流れれば15000、欧米金融不安が拡大すればダウが10000$割れを試し、日本も10000円を試しにいく可能性を想定します。私は今年の水準を16000〜12000と想定しており、やや下方へ移した形ですが、この背景には米国が対応を誤っていることがあります。

そして私は現状、アジアのインフレと金融政策に警戒しており、ここがアジア通貨危機を髣髴とさせる事態となれば、更に世界経済を痛めることになります。インフレは退治しなければなりませんが、その方策に失敗すると世界経済の不安定さは増すばかりとなるのでしょう。インフレと景気鈍化、スタグフレーションが懸念ではなく、実体として認識され始めると、世界が次にどう動くのか、ということは予想だに出来ないことであり、警戒しておくべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年06月20日

コンビニの深夜営業規制について

最近、誤った認識で動いていると感じるものがあります。まず深夜営業のコンビニを規制しようとの地方自治体があります。これを地球温暖化対策の一環だと考えているなら、大きな間違いです。日本では特に原子力発電が多いので、昼間と夜間の発電量に大きな差はありません。夜間は産業活動自体が低下しますから、発電された電気は捨てている計算になります。
一方で、夜間休止することにより昼間に産業活動が集中すれば、ピーク電力量が上昇し、結果的に多くの発電をしなければならなくなります。地球温暖化対策であれば、ピーク電力を減らすために昼夜均等にするのが本当の対策です。昼の産業活動を夜間に移すと、作業員にうつ病の発症確率が高まるという研究結果もあり、簡単には進まない問題でしょうが、消費電力の削減をターゲットにするより、発電量を抑制する方向が資源の無駄遣いに大きく貢献するのです。

しかもコンビニが夜間に休止しても冷凍品用には電気を消費しており、煌々と照らされる照明を節減しようと、大した削減量にはなりません。それより、常に人がいる地域に与える安心感、防災面の貢献。災害時の対応、カップ麺は地域にとって備蓄の意味合いもあり、夜間の災害時にすぐにそれを放出できる対策など、できることは数多くあります。
先にも書きましたが、昼間に人間が活動することが普通、夜型のライフスタイルが異常、という偏見にも似た考えで昼間に産業活動を集中する方が、エネルギー効率という観点ではマイナスなのだと知るべきでしょう。町の景観などで規制するなら、少なくとも地球温暖化対策、という見た目にウケの良い、実体とは異なる看板は下ろすべきなのでしょうね。

次に電気自動車についてです。夜間割引で安い電気を使えば…、とも云われますが、夜間にコンセントを出しっ放しにすれば、盗電の可能性を排除できなくなります。また持ち家の人間でなければ家で充電することも難しく、結果的にスタンドなどで充電することになるのでしょうが、急速充電でも30分程度かかります。急いで出かけよう、という人には不向きなシステムです。
そして昼間出かける人が増えればこれも先の視点と同様、昼間のピーク電力を増大させ、それだけの発電量を確保しなければならない事態となります。この前、水を触媒で分解して水素を取り出し、それで車を走らせるシステムが紹介されていましたが、そうした自己完結型の車を模索しない限り、化石燃料がなくなれば電気自動車、という形での移行は難しいのでしょうね。

発電した電気を有効に蓄電するシステムか、昼間のみ発電量を上げられる発電システムを構築しない限り、夜間の活動に規制をかけると逆の結果をもたらします。消費電力は夏の昼間にピークをつける、ということをふまえて、いずれの場合でも対策を考える必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:59|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 地方

2008年06月19日

経済の話。米経済環境の悪化観測リポート

やはり米国のテロ支援国指定解除のタイムスケジュールにのり、日本政府が先週、北朝鮮との『一定の前進』を演じたことが明らかになりました。米国は拉致問題の進展を条件に組み入れていましたから、日本に対して先週の対話を要求してきたのでしょう。北京五輪、ブッシュ政権の残り時間を含めると、6月が一定のリミットだったということです。
米国は核申告のみで振り上げた拳をおさめ、北朝鮮に核が封じ込めてさえいれば良い、というスタンスで臨んでくるようです。敵国通商法の解除が北朝鮮の最大の希望であり、そこまで踏み込んで見せた米国に、日本政府は追随するだけになってしまうのですかね…。

今日の東京株式市場は大幅な下落に見舞われました。米国との非連動性を囃されていましたが、ダウが一時的に12000$を割り込んだことで、世界経済の減速を改めて意識させられた形ですし、今日はRBSによる株や債券市場の暴落懸念リポートの存在もあったでしょう。
米国が弱含む背景には、地銀に破綻や不安材料が出てきたこと、金融保証会社の財務不安、金融機関の決算の信憑性に対する疑義、リーマン決算で見られたリスクヘッジの失敗、等が重なってきたことが挙げられます。そしてV字回復期待が剥落し、米国の経済回復が後ろ倒しにされたことで、年後半の回復を織り込んでいた層が売らざるを得なくなった事情が挙げられます。

GSリポートで米金融機関には650億$の追加増資が必要、というものがありました。ただこれも増資引き受け先が如実に変化しており、いずれも価格下落で痛手を被っていることから今後応じる可能性は低く、米国ではこれから本格的に公的資金の投入が議論されることになります。早くて次政権成立後すぐ、遅くとも来年初めには実施されるのでしょう。
米国がインフレをばら撒いても、それが産油国を潤し、SWFの資金となって米国に戻る間は不安が少なかったものの、これからの米国の金融機関は試練の道をたどると考えます。発端はサブプライム問題でも、本当の意味での解決を後送りし、市場に資金をばら撒くことで時間稼ぎをしてインフレを引き起こした、これが米国が生み出した最大の問題です。この問題を楽観し、簡単に解決すると考えているといずれ日本も痛い目に遭うのでしょうね。

いずれ年後半の市場予測もしてみたいと考えていますが、投機マネーの動き次第では急騰、急落、どちらもあり得るのが現状であり、不透明感は強いと見ています。ただ日本でも米国と同様に年後半は巡航速度に戻る、という予測は後ろ倒しにされ始めており、厳しい環境であることは間違いないことなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年06月18日

消費税増税を示唆

昨日、外国人プレス向けに福田氏が消費税引き上げを示唆しました。これは世論に向けて打診を入れたケースですが、野党だけでなく党内からも異論が噴出しています。武部元幹事長の意見が反対の代表例ですが、「公務員の不祥事が相次ぐ中、増税議論などとんでもない」ということになるのでしょう。そのため町村官房長官も火消しに躍起となり、福田氏も「歳出削減をして…」と事態収拾のためにトーンダウンすることとなっています。
社会保障費が増大する、ということを理由にしていますが、特別会計を全て一般財源化する、というぐらいの大改革のバーターがない限り、現状では国民感情も収まりがつかないでしょう。税金の無駄遣いと横領紛いの行為が横行する中で、マイレージを使わせないという程度の引き締め策で増税議論に踏み込めば、政権はひっくり返ることが必定です。

世界と比べて消費税率5%が低い、という議論をする人もいますが、直間比率の問題で国民一人当たりの納税がどの程度か、という議論抜きで5%の妥当性を議論しても何の意味もありません。逆進性の話にしても、医療などを除き一律5%の仕組みを見直すことで、議論の対象が異なってきます。税制の一部を抜き出して、その多寡を論じることはほぼ無意味といえるでしょう。
なので、福田氏が「5%だから財政赤字が溜まった」と述べることも大きな間違いです。原因は単に歳入規模に対して歳出枠をどう確保したのか、という継続的な影響でしかありません。増大する社会保障費の予算が必要、とも述べていますが、高度成長時代の遺物となった特定財源に不要な巨額資金が投下され、余剰資金を使い切るための無駄な支出が多い中では、捻出する先は歳入拡大ではなくとも問題なくできることになります。今年半年程度でも、数々のムダが明らかになりましたが、ムダとされたものを全て社会保障費へまわす、各省庁にはそうした懲罰的な内容があっても良いのかもしれません。

本来、省庁再編時に特別会計の枠組みも見直せる、最大のチャンスがあったのです。それを縦割り行政の見直しや事務作業を一括にして効率化させることに主眼をおき、好機を見逃したために、省庁がまとめられて肥大化した後では特別会計という省益を分解することが難しくなってしまったのです。
古賀選対、谷垣政調会長など、党の要職には増税論者が多くいます。また政権内では閣僚クラスが予算の分捕りに動くなど、日本が国としてどうすべきか?という論点が欠けたままで税制全体の問題や、増税議論が流れています。巨大な財政赤字を抱え、高齢化社会を迎えて成長力も低いこの時、国が歳入、歳出を大きく見直さなければ更なる困難を将来世代に残してしまうのでしょう。
結果的に、自民党支持率が下がっている背景には、小手先の議論ばかりで国全体を変えるだけのパワーが今の自民党にはない、だから一度野党に権限を移して国全体の形を変えてもらおう、という意識も大きいのだと思います。今回のように消費税増税を世論に打診し、引っ込めざるを得なかった福田政権の限界、という言い方も出来るのかもしれませんね。

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2008年06月17日

北海道開発局で官製談合疑惑

今日、連続幼女誘拐、殺人事件で死刑が確定した宮崎氏の死刑が執行されました。20年前の事件であり、劇場型犯罪といわれて社会を震撼させた事件が、これで決着したことになります。精神障害を訴え、再審請求を準備していたところだといいますが、長い拘置期間で精神に障害をきたした後、当時を話せば当然それが絵空事のような、空想の世界の話となります。
事件の前後で客観的に精神鑑定を受けていたのなら別ですが、時間を経た後の精神鑑定では、参考程度の意味合いしかなくそれを再審請求の根拠として良いのか?という点は著しく疑わしいものです。専門家による知見といえど、100%正しいとは限らないのですから、証拠や客観的事実に基づくもの以外の再審請求は、裁判の簡素化を目指す現状の流れから見ても、避けるべきなのでしょうね。

北海道開発局における官製談合疑惑の問題で、札幌地検特捜部は局長を含む3人に出頭要請を出しました。早晩、逮捕されることになると思われますが、OBのいる民間企業への発注の割り振り、入札価格の調整、どこかで見た構図がまた今度も、というところであって自浄作用が働いていない、官僚機構の負の部分がまた炙り出された形となっています。
北海道と沖縄は経済が停滞し、国が積極的に関与して支援した側面があります。沖縄に巨大サーバを設置したのも、地震が少ないという地域性とともに産業を移す思惑がありましたし、北海道開発局に巨大な資金が投入されていたのも、こうした面が影響しています。それ自体は決して悪いことではありませんが、それを管理する側が自己の利のために動いていては、本末転倒どころか百害でしかありません。安く入札しようとする業者を締め出し、落札率95%を越えていては公共工事のムダが減らないことになりますし、真っ当に仕事をしようとする人間のやる気を疎外してしまいますからね。

国交省が、工事発注後の資材高騰を価格に転嫁できるよう、単品スライド条項を適用しようとしていますが、これとて資材業者に天下りしているOBが困らないためではないか?と疑われる事態となるでしょう。これは資材価格が急速に上昇しているおり、不採算事業を受注したくない業者が増える中でのことであり、そうしなければ立ち行かないためですが、国交省は公用車の運転・管理業務でも天下り先企業へ9割発注と、体質に改善が見られない点が不安を与えます。
タクシーチケットの配布を停止したり、CDを出すなどの無駄な広報費、社員旅行の補助金を削ったりして浮いた予算については、今後の使途を注視していかないと、また無駄な支出を増やすだけになります。やはり特定財源は全て一般財源とすべきですし、仮に残るとしても情報は全てオープンとし、国会に歳出を報告させるよう制度変更はすべきなのでしょう。
省庁が資料を請求されなければ明らかにしない、そうした隠蔽体質を続ける限り、こうした膿が幾つもたまって、いずれ骨まで腐らせる重大な問題へと発展します。省庁が透明性を保てなければ、国民は知る権利すら奪われている、ということにもっと声を上げていくべきなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(4)TrackBack(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2008年06月16日

雑感、タバコ1箱1000円?

岩手・宮城内陸地震の被害ですが、かなりの規模のエネルギーが襲ったことが明らかになっています。土石流、大規模土砂崩れ、火山灰大地にたまった雪解け水、春先にいつもより多かった雨など、様々な悪条件が重なってしまったようですね。
中央では激甚災害指定の話もありますが、小泉時代から首相が現地訪問する、という機会がめっきり遅くなりました。確かに防災担当相もおかれ、以前よりトップが現地視察をする意味は薄れたのかもしれませんが、被災者に安心を与えることもまた必要と考えます。緊急対応で視察など邪魔だ、という意見もありますが、トップが果たす役割は机に座って指示を出すばかりでなく、姿を見せることもあるのだと思いますけれどね。

週末に各メディアで行われた世論調査、福田内閣の支持率が20%、不支持率が60%、というのがほとんどであったようです。一度不支持が高まると、全ての行動に?マークがつくので、政権浮揚は簡単なことではありません。人柄が評価されてきた首相が、自らの発言や国民意識と乖離した法案に対して3分の2を使って可決するなど、その人柄が信用されなくなっているので政権にとっては更に深刻なのでしょう。
居酒屋タクシーの問題でも、どの企業でも経費節減は喫緊の課題であり、ムダを抽出して潰すことが求められます。関東地方整備局のタクシー代が1000分の1に減少、という記事もありましたが、業務以外でタクシー券が乱発されていた事象もあるようですので、これは明らかに横領です。福田政権はこうした事例への対応が頗る甘く、その点も不支持に繋がっているのでしょう。

世論調査の中で一つ驚いたのが、タバコ1箱1000円にする案に国民の半数近くが賛意を示したことです。欧州は健康問題に敏感ですから、抑制の意味をこめて価格を高く設定していますが、日本はこれまで企業寄りの考え方から値上げは小幅で、世界との乖離が著しくなっています。
とはいえ、これは増税ですから、もう少し反発も出るかと考えていました。私はタバコを吸いませんし、親の吸うタバコで健康被害もありましたので増税には賛成の立場ですが、環境税にしろ、消費税にしろ、増税議論が盛んな日本では比較的受け入れ易い土壌があるのかもしれません。

しかし日本で健康と企業収益を天秤にかけると、多くが健康よりも企業収益を優先してしまいがちです。国の不作為で健康被害が出て医療費が高騰する。メタボ健診でも同様ですが、この国は産業優先で物事の決定システムを作りつつ、福祉を後退させてきたのが現状です。医療費が高騰する原因が高度医療という点でも、産業ベースで開発を促進してきた、その結果と見ると異なる視点ももてると思います。
タバコ税も、暫定税率と同様の議論であれば上昇已む無し、というところかもしれません。国民の健康を国が率先して守るような、そんな諸施策がとられないと、医療費は益々高騰し、そのツケを保険料という形で国民が負担しなければならない、そうした構図が続いてしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 健康

2008年06月14日

G8財務省会合について

岩手・宮城内陸地震が発生しました。最近、日本でも海溝型ではなく、直下型の地震が増えたように感じます。完全な推測ですが、インド、北米、太平洋プレートなどの収束する動きが速くなり、ユーラシアプレートが押し込まれて、陸地で歪が生じ易くなっているのかもしれませんね。亡くなられた方のご冥福と、早期の復旧を願っています。

大阪で開かれていたG8、主要国財務省会合が閉幕しました。世界経済の不確実性、インフレ圧力を高める投機資金への牽制、食料需給不安への対応、いずれも従来の懸念を踏襲しただけであり、少し変化があったのは地球温暖化防止のための新興国への基金設立、ぐらいでしょうか。
まず今回、経済面で懸念されている問題があります。米国がドル安不安のある中、当時の西ドイツが利上げしたことで始まったとされる、ブラックマンデーです。私は現状、この可能性は低いと見ています。米国は口先介入でドル高誘導に転じましたが、金融当局間で緊密な連絡がとれていること、また欧州で直接ドル換金できるよう、一定量の供給を行ったことなど、先進国間の不手際で過度な問題に発展する可能性は、現在低くなっているからです。

一方で現在、ドル高誘導により規模の小さな国の通貨が売り込まれ、アジア通貨危機の懸念があります。こちらは介入を実施していますが、外貨準備が少なく、利上げにより通貨安を食い止める以外に、輸入物価の上昇によりインフレが加速するのを抑える術がなくなりつつあります。
ドル安により始まった一次産品の価格上昇ですが、口先介入で動いたのは経済規模の小さな国のみで、未だにドル安は続いているといえます。このため資源の高騰が止まず、新興国経済には深刻な打撃となっているのです。こちらは投機の動きであり、危機まで繋がる可能性を十分に秘めたものとなっています。どこかで抑止に動かなければ危険な状況となります。

米国は巨大金融国家であり、土地、金融商品、そこに資金が流れなくなれば、そこからあぶれたマネーが世界を席巻します。その資金をどう収めるのか、カギは米国のみが握りますが、そんなことをすれば米国が成長を継続する術が断たれ、今度は米国が沈みます。しかし、だからといって大国のエゴを通していては、世界が混乱させられるだけになります。
G8が新興国の成長で影響力を落とした、とよくいわれますが、本質はG8が大国のエゴだけでは問題を解決できなくなった、ということだと考えています。インフレを引き起こしているのが、先進国から垂れ流されるジャブジャブの資金、という現状を変えない限りは、世界は更なる混乱に巻き込まれるだけであり、G8の解決能力が欠如した今は、経済問題を解決する新たな枠組み作り、制度作りが必要なのかもしれませんね。
最後に、明日は少し遠出をするのでお休みしますね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年06月13日

北朝鮮の問題で進展?

北京で行われていた日朝実務者協議、その結果が明らかになりました。』巴廚亡悗靴萄督敢困鮗損棔↓◆屬茲氷罅彜愀玄圓硫魴茲妨けた協力、を北朝鮮が表明し、日本は人的往来の規制解除、す匐チャーター便の乗り入れ規制解除、タ容算抉膣慙△諒資輸送を目的とした北朝鮮船籍の日本の港への入港を認める、という一部規制の解除の表明です。
,砲弔い討蓮結果保証は何もありませんから、日本との合同調査に臨む姿勢を示さなければ、再び「いない」との結論に落ち着く可能性は否めません。数名、被害者の名が挙がっているのでは?という憶測もありますが、事件の全容が明らかにならなければ、結果的に小出しにされた条件ごとにご褒美を渡さなければならない、という不可解な事態に陥ります。

さらに非常に不可解なのは、日本政府が『一定の前進』を強調することです。これは米国のスタンスが「拉致被害への一定の進展」を、テロ指定国家解除の条件に挙げたことが考えられますが、日本政府の態度がそのまま米国の動きと連動してしまう懸念を感じます。解決に向けた努力を続ける間、一定の進展と米国は受け止め、テロ指定国家解除に動けることになります。
△魯謄躪坩戮亮孫堡箸任垢ら、テロ指定国家解除には絶対条件です。しかし文言は『協力』なので、北朝鮮は時と場合に応じた動きに終始できることになります。これが駆け引きの材料となり、テロ指定国家解除の問題と絡めば、北朝鮮は長い間匿っていたことで利することになってしまいます。その意味では何を『協力』とするのか、が問題なのでしょう。

、ぁ↓イ竜制解除は、本来06年10月の核実験の実施に伴うもので、拉致問題とは切り離して考えるべき、という議論もあります。その核問題は運転履歴の提示、などが米国向けに行われています。しかしこれでは履歴の改ざんを否定できず、また北朝鮮の保有する核を廃棄する方向では話が進んでいません。すぐ隣に核保有国が増え、日本が脅威に晒されている現状には、何も変化がないことになります。
そして核のみでなく、やはり、ぁ↓イ瞹巴廚藩蹐瓩胴佑┐覆韻譴个覆蠅泙擦鵝その時、これまでの北朝鮮の動きからして、再調査にどの程度の重みがあるのかを考えた場合、日本が満足する結果が出てから、その都度解除の条件を示すべきであって、問題解決に向けた端緒で『進展に向けたご褒美』を用意するべきではありません。

全体的に、この実務者協議は『一定の前進』を得るために、双方が妥協できる条件を提示してきた。つまり双方共に米中の思惑に沿い、全体の六カ国協議に齟齬をきたさないための、友好ムードの演出のために用意された場ではないか?という懸念が拭えないのです。
話し合いの席につくため、問題解決のための行動に踏み切らせるためのご褒美が必要、というのなら、問題を引き起こした側がいつまでも利を得る構図が出来上がっていることになります。結果が全て、という言い方はしませんが、双方が納得のいく結果を出すためにはどうすれば良いのか?という手順ぐらいは、今回の協議でも示すべきだったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2008年06月12日

消費者庁創設に向けた動きについて

今日の日経平均は14000円レベルを簡単に割りました。昨日はGLOBEX高に転じたことによる米株高を見越した買いだったので、その反対売買が多く出て今日は大幅安です。世界はインフレ退治に動き始めたので、どうしても景気にはマイナスの影響が強く出ます。弱気相場入りは確実ですが、今回の調整が長引くかどうかは、緩和的な経済環境が生み出したインフレという歪の調整に、どの程度の時間がかかるのか、です。
経済が減速し、消費が鈍化して需要が減り、生産調整を待つという過程を辿るのであれば相当長引きますし、そうでなければ投機マネーの締め出しなどの強硬手段もありうるでしょう。今の世界は前者を待つ余裕もなく、後者に傾きかけていますが、そうなると余った資金がどこに逃げるのか?アジア通貨危機のような、ひどい事態にならなければ良いのですけどね。

来年の消費者庁創設を目指して、消費者行政推進会議が開かれており、最終報告書がまとまりそうです。その中で、上記にも関係する物価に関するものもこの消費者庁に移管するよう、提言があるそうです。物価に関しては内閣府が所管している、といわれますが、企業物価は日銀、消費者物価は総務省がとりまとめ、発表しています。内閣府が所管しているのは、公的規制のあるもの、例えば電車やバスの運賃などに関するものであり、これを内閣府と国交省で調整する作業を指しています。
省と庁には立場上の差があり、特に新設された庁の力関係は弱いといえるでしょう。簡潔にいえば、内閣府と各省庁であれば調整ですが、省と庁の間で調整作業が進むのか?という問題があります。特に物価全体は他の部門が握っており、消費者庁が物価調整を担う部分が少ないのであれば、物価に寄与できる部分は少ないといえるでしょう。

経済は物価だけでは量れない、全体の調整が必要です。例えばバスでも電車でも、コストプッシュ型のインフレに陥れば、運賃を据え置きしていると企業収益を悪化させますし、運賃値上げを認めれば物価を底上げします。デフレが問題とされながら、国はその物価を抑える方向に動いてきましたが、インフレが問題となる現在にいたっては物価上昇に前向きです。
特に今、ハイテク関連で起きている動きは高性能化ではなく、インターフェイスの強化です。これまでハイテク関連の機能向上を『デフレ』とカウントしてきましたが、ハイテク機器が今後、デフレカウントから外れることになれば、一次産品の高騰がインフレを後押しします。業者が作為的に調整する価格高騰の監視だけならば、消費者庁の出来ることは少ないといえるでしょう。
食の安全や表示違反、その他でもやることは多岐にわたりますが、所管法令が30程度ともいわれますし、その中でも他省庁との調整ばかりでは、福田氏肝煎りで創設されたとしても実効性は薄くなります。単なる寄り合い所帯にしないためにも、強い権限を与えるような、そんな後押しが重要となってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年06月11日

首相問責決議が可決

戦後、現憲法下では初の首相に対する問責決議が参院本会議で可決、成立しました。以前から指摘していますが、これは名誉に関わる問題なので、名を捨て実をとる考えなら政権にとっての痛手とはなりません。ただ多くの国民は解散を望んでおり、支持率20%そこそこで政権運営を続けると、結果的に解散機運が国民の間から高まる、ということにもなり得るので、一つの節目であっても大きな転換点ではあるのでしょう。

多くの国民が解散を望むのも、先の郵政解散が失敗だったという慙愧があり、もう一度やり直したいとの思いが含まれます。また国民が望まない法案の可決に3分の2条項が頻発され、政権に対する不信感が高いのもその理由の一つでしょう。そしてやはり、この政権の問題対応能力に疑義がある、という点が最大の原因になっていると考えています。
例えば先の秋葉原通り魔事件でも、官房長官はすぐ銃刀法の見直しを示唆しましたが、手をつけるべきは不安定な雇用環境、それに伴う将来への悲観、結果的に破滅衝動を強める若者、という現代社会に燻る社会不安にどう答えを出すのかです。以前、正社員比率の話もしましたが、国がここ数年で雇用環境を変えた事は間違いないことであり、では今のままで良いのか、見直すべきなのかは方針として示しても良いと考えます。

後期高齢者医療制度、道路特定財源、年金問題、最近出てくるあらゆる問題でも同様ですが、国民が変えて欲しいという期待をかける、そのことに今の政治は応え切れていません。それが問題対応能力への疑義であり、福田政権の支持が落ちる最大の原因だとも言えるでしょう。国民が望んでいるのは福田カラーなどではありません。国民の目線に立って、国民の声に応える、そんな政治家の姿なのです。この問責がセレモニーであっても、国民がそれを支持しているというのが現状なのです。
野党の対応について苦言すれば、今はセレモニー、解散機運の高い時にムチを入れて攻勢をかける。その戦略は理解できますし、サミット前に解散や総辞職はない、その中での提出なので期待値も低い、ということは分かりますが、憲政史上初の首相問責という事態を少し軽く考え過ぎている嫌いがあります。情熱をもって挑めば、幾ら与党が否定しようと、国民の声が解散を後押しすることだってあるのです。その意味では、国民の声は野党にも届いていないと感じます。

なぜ国民が解散を望むのか?それは政治家に国民の声を届けたいと思うからでしょう。特に今は、政治が世論を気にしつつそれを無視する、という行為が頻発しています。今回の問責決議も、法的拘束力がないとはいえ、完全に無視すれば世論は更に離れていく、ということは確実です。もう一度、今は何を為すべきかを政治の場がしっかりと考えていくことが必要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年06月10日

経済の話。世界で動き始めたインフレ退治

経済の流れに変調が出ています。米国でバーナンキFRB議長がインフレ抑制に軸足を移す発言をしたことに続き、ポールソン財務長官がドル安に介入も辞さない構えを見せ、為替がドル高に動きました。中国の預金準備率が予想より高い1%引き上げられたことにより、ハイパーインフレを抑えるために過去最高の17.5%になったこともあります。世界は米国経済の悪化による景気鈍化よりも、インフレ退治に軸足を移したことが、今回の連動した動きからも窺えます。

しかし、米国の為替介入は外貨準備額からすると相当に厳しいものとなります。大規模な戻し税による財政圧迫も外貨準備金を減殺させており、余力は乏しくなっています。しかも今回の一連の動きは、米国の財政政策に限界が近いことを感じさせます。米国では債券利回りが0.3%近く跳ね上がり、年0.5%利上げの可能性を織り込みましたが、金融不安が再燃する中では、為替は政策金利ではなく介入で調整するという、強硬手段を示す口先介入で乗り切ろうとしています。これらの動きは、ドル安がインフレを引き起こしている、という世界からの批判をかわす狙いもあるのでしょう。
そして金融不安の側面では、モノライン保証会社の格下げや格下げ検討報道が相次いでいます。これは問題が長期化することで収益性が回復しないことが影響していますが、V字回復期待が失われると必然的に起きる問題でした。米国では今後、地銀、家計にも悪影響が広がるため、時間軸が重要なファクターとなっていますが、回復が遅れれば遅れるほど負の影響も拡大していくことになる、それが現れ始めている一つの動きとも見られます。

日本ではこれまで円安を輸出産業に好影響、として好感する側面がありましたが、自国の通貨安はインフレを加速させます。輸入物価の加速、日本の成長力以上にインフレが進むと、経済の下押し圧力になり悪影響となります。再び世界の流れと逆行し、インフレ抑制に動く気配を見せない日本政府、日銀の態度に不浄な資金が動いてくるのか、微妙な水準に来ていると考えています。
日本市場は昨日、米国市場の切り返しを織り込んでいましたので、今日はその分も含めた下落となっています。重要なことは、世界がインフレ退治に軸足を置いたということは、世界経済の下押し圧力が強まっているということです。韓国、タイ、その他の国も通貨政策に介入姿勢を示し、再びアジア通貨危機が起きるのでは?という懸念も囁かれ始めました。

各国が自国のインフレ抑制のため、金利引き上げ競争に陥れば世界は深刻な打撃を受けることになります。といって、深刻なインフレ症状であることは間違いなく、それは成長を見込んで新興国へと資金が流れ込む、現在の金余りが生む問題の一端であるともいえるのです。インフレ退治、今後数ヶ月は各国が協調して取り組まざるを得ない問題です。その間の下押しがどの程度になるのか?退治に失敗すれば、相当な危機に陥る可能性も否めなくなってきましたね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年06月09日

居酒屋タクシーについて

最初に、地方議員選挙としてより、国政の代理選挙のような様相を呈した沖縄県議選で、与党系が定数48に対し22議席に留まりました。過半数割れは、仲井真沖縄県知事にとっても打撃です。後期高齢者医療制度、ガソリン税の混乱、一部メディアで問責決議案の提出に国民も肯定的、というものがありましたが、与党に吹く逆風はかなり強いものを感じます。

そんな与党に対する国民の眼が厳しくなる問題で一つ、居酒屋タクシーがあります。まず町村官房長官が、野党が午前1時に質問を提出する、などと述べていましたが、会期末が迫っていたり、紛糾した問題の議論で、よほど切迫した事態でない限り、そうしたものは少ないはずです。
それより、夕刻辺りに野党議員に聞き取りして集められる質問、それに対する答弁書を懇切丁寧につくり、尚且つ想定問答集を予めつくることに多くの時間が費やされ、そして上司の判子をもらう時間が遅くなるために、帰宅が遅れることは往々にしてあります。聞き取りした内容とは別の質問をする議員もいますが、委員会の席で大臣に官僚が寄り添い、耳打ちするのはこうした質問であったり、趣旨とは違う答弁を訂正させるためのもの、と見るのが正しい見方です。

大臣の質、公務員の倫理観の低下、官僚の帰宅時間が遅くなる原因は色々といわれますが、一つには省庁が秘密主義を貫いていることも挙げられます。情報が公開されていないので、そこに省益に対する防衛反応が働き、言い逃れで済ますか、回答するかという判断が加わるために、長い時間をかけて検討しなければいけない、という問題が発生します。
今回の後期高齢者医療制度でも、試算がなかったというお粗末な結果以上に、その後に行われた調査でもモデルケースの設定がおかしい、という問題があります。制度変更に伴う、こうしたものは試算の計算過程、結果を全て予め公開しておくことが肝要であり、それがなければ議論すらスタートできないはずなのです。そしてそれがあれば、質問が来て慌てて調査したり、情報の公開に二の足を踏んで検討に時間をかけたり、ということもなくなるはずなのです。

これまで、政策の結果現れる事象に対し、試算に都合の良い数字を用いたりして、議論が行われてきました。今はそれを検証する機関が増え、後にそれが判明して大臣や官僚が弁明に努めるなども増えてきました。もうこうした情報操作は通用しないのですから、各省庁も早くそれに気付き、国防や国の秘事に関すること以外は原則、予め公開という方向とすることが、無駄な残業を増やさない一番なのでしょう。
今回の居酒屋タクシーの件でも、聞き取り調査なので全てが洗い出されているわけではないでしょう。ただ高い倫理観をもち、真面目に業務をこなしている公務員が後ろ指を指されたり、不当な批判に晒されたりしないよう、厳正な懲罰が必要と考えています。キックバックがどう、というより、遅くなることが当たり前、という風潮を何としても戒めなければならないのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2008年06月08日

G8エネルギー相会合

今日から復活します。
休む前、市場にとっては金曜日の株価が大事、という話をしました。これまでも14500円水準に上値の重さを感じさせていましたが、そこにイスラエル高官によるイラン攻撃示唆が重なり原油が急騰、WTIで1バレルが140$を窺う気配をみせ、また米雇用統計でマイナス幅は市場予測に近かったものの、失業率が急上昇して市場が今年最大の急落しています。
この14500円という水準は、オプション市場で見ると上値抵抗線として機能する確率が高く、逆に突破できればそこが下値支持となりうる水準でした。今回の失敗と米市場の急落、メジャーSQは波乱となるか、その前に今週は売りが嵩むことになるのか、週末に向けて、市場の動きは混沌としてきましたね。

青森で開催されていたG8に中国、インド、韓国を加えたエネルギー相会合で「青森宣言」が採択されました。現在の原油価格は異常とし、金余りによる投機マネーの動きに注視し、透明性を確保する。在庫データの提供や備蓄の放出など、参加11カ国による認識の共有はできたものの、それ以上に踏み込めないのは従来からある国際会議の流れと同様となっています。
新興国は需要抑制に世界が向くことを恐れ、先進国は増産を望んでいます。しかし原油の不足感は今回のように、緊張や治安によっても左右されるので、幾ら増産体制を組んでも難しく、新興国が成長する以上は需要が増えます。それを理解して投機が動いている以上、供給と消費を調整しても価格は落ちないことになります。

一方で、原子力発電に注目が集まりますが、ウランとて有限の資源であることに変わりありません。ウラン型の原発を増産すれば、すぐにウラン鉱脈とて底をつきます。風力、太陽光、自然エネルギーが軌道に乗る前の繋ぎとはいえ、二酸化炭素排出だけに着目されがちで原発に注目が集まりますが、今後は資源を使う以上有限であるとの認識が必要なのでしょう。
日本は原子力の分野では、MOX燃料の使用、高速増殖炉の研究など、世界をリードできる素材はありますが、如何せん、情報の取り扱い方が悪く、それが国民に不信感を与えています。青森再処理工場でも、事業者が活断層の可能性についての言及をさけ、それが不安を与えています。隠したり、避けたり、公的事業に多いこうした対応を続けている以上、日本の原子力研究も本気の欧米にはすぐ抜かれることになります。

今回のG8でもそうですが、サミットに向けて日本がどうリーダーシップをとるのか?重要なことは、世界で芽生え始めた共通認識をどう施策に織り込むか、です。口先介入で世界の流れを完全に止めることは不可能、金余りを止めることも難しい。そんな中で高騰する資源、二酸化炭素排出、日本が問題の収め方を示せれば、もしかしたら今後数十年の世界の潮流を握ることもできるのです。今は世界がその綱引きをしています。日本がその綱を一番強く引くぐらいの、そんな強引さでリーダーシップを示すべき、絶好のタイミングなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年06月05日

経済の話。市場の動き

今日は2週間ぶりに近い形で、日経平均が3桁の変動を取らなかった日です。日中の値幅は大きく、相変わらずボラタイルな展開は続いていますが、先物の思惑が交錯する相場なので、これは致し方ないのでしょう。問題は思惑がどちらに傾き、相場の今後はどうなるか、です。

今日、長い間上値抵抗線となっていた105円後半の壁を、為替が突破してきました。材料はバーナンキFRB議長によるインフレ警戒、ドル高容認発言です。口先介入の段階でこれほど効果が上がればFRBもしてやったりでしょうが、金利引下げ局面が完全に終わったことを示唆しました。
一方で、米国ではリーマンBの破綻懸念が取り沙汰され、第二のベアとの噂が流れています。業績情報の開示姿勢に疑義が生じ、またモノライン格下げ報道が金融不安を引き起こし、銀行株指数は大きく調整しています。これが日本に波及しないのは、日本は被害が少ないという報道が多く、外国人投資家が安心しているためです。しかし日本の金融機関の情報開示が欧米と比べて特段優れているわけではない、という報道が一度でもあり、疑いの目が増えると日本の金融機関の危険なのでしょうね。

市場では最近、テーマ性ということが言われます。環境関連で原発、電池などともいわれますが、こうしてテーマを追うこと自体、相場に窮屈感が出ている証拠です。全体を底上げするような材料に乏しく、循環物色といいながら上げきれない、よって個別のテーマ物色、ということです。先の為替が抵抗線を突破したことが足がかりとなるのか、今晩から明日にかけて、が一つの山となるでしょう。
今、相場で注意すべきは先物、特にTOPIX型の動きです。メジャーSQで1450を狙う意図が透けて見えますが、買い方で勢いのある欧州系2社が、この思惑を持ち続ければ1450以上のポジションを狙ってくるでしょう。ただ上値が重いことも確かであり、明日この水準に近づけきれないと、1400より下で納まりそうです。何よりポジションの積上げ方が激しく、どちらに傾いても処分の枚数は増えそうであり、ボラタイルな展開はもう少し続いてしまいそうですね。

最後に、少しの間記事が上げられません。大したことではないのですが、パソコンが最近不調で、修理に出すことになりました。最大1週間、といわれていますが、早く戻れば早めに復活したいと思います。ただ年代モノなので、どうなることやら、という感じです。

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2008年06月04日

福田氏の政治手法に変化?

後期高齢者医療制度に関する厚労省の調査が発表され、7割が負担減という記事がありました。沖縄県議選前の発表、厚労相が事前に洩らした数字通り、モデルケースといいながら分析はまだ、という不可解さ。これは推測ですが、負担を免除されていた人が今回新たに負担増となっており、家計でトータルするとプラスという実感が多いことからも分かるように、モデルのつくり方に大きな抜けがあると見ています。富裕な家庭の方が負担が減る、というこれまでの説明とも乖離していますし、これは数字を含めて疑問が残る報告でしたね。

福田氏が8月下旬の臨時国会開催を示唆しました。9月に代表選を控えた民主党への揺さぶり、という側面と60日ルール用いるために国会会期を長めに見積もろう、という意図が含まれるはずです。同時に税制抜本改革が進みますから、国会が両睨みとなり議論が紛糾することも覚悟した上でのことでしょう。昨年も同様の議論がありましたが、見送られて安倍内閣が退陣しており、こうした動きも影響していると見ています。
同時に、野党が問責決議案を提出する方針を固めたようです。これは名誉に関することですから、ネジレだかた当然と無視も出来ますが、名前に瑕がつくことは確実です。支持率が20%をきっていますから、国民も当然との認識をもつ可能性は高く、道路特定財源、後期高齢者医療制度、実感として国民は怒りを感じていることでもありますから、すんなり提出されそうな情勢です。

以前、私は福田氏を投手型、小沢氏を打者型と評したことがあります。失点を防いで評価されるタイプと、得点を稼いで評価されるタイプです。しかし福田氏には最近、ある変化が見られます。それは期限ギリギリで政治決断する手法です。道路特定財源の一般財源化もそうですが、クラスター爆弾禁止、公務員制度改革、いずれもこの手法を用いています。
投手型としてはやや異例ですが、打点を稼ぎに来ている印象もあります。支持率低下に歯止めをかけたい、という思惑が透けて見えますが、あえて言えば遅きに失している感もあり、評価は高まっていません。欧州歴訪、食料サミット、洞爺湖サミットを控えて外交面に活路を見出そうとしていますが、今のところ外交ではリーダーシップを発揮できていないようにも見えます。

福田政権の支持率は、失点さえなければ政党支持率程度には回復しますが、一度国民の懐疑的な目が強まった政権が、再び浮揚する可能性はほぼゼロともいえるでしょう。打者型に移行して人気回復を目指すには、官僚型政治を脱却し、世論配慮型に軸足を移す必要もありますが、内閣改造、党役員人事などを見る限り、それが出来るとも思えません。やはり全ての枷は党役員人事にありますが、福田政権擁立に尽力した重鎮ばかりの党役員を入れ替えるだけの政治決断は、現状の党内基盤の脆弱さから見ても、難しいのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年06月03日

食料サミットが開幕

ローマで国連食料農業機関(FAO)による食料サミットが開催されています。高騰する食料価格に対応するためですが、輸出規制、バイオ燃料への転換、気候変動について話し合われます。

高騰には、まず金余りによる資金が流入する商品先物市場の存在があります。先物を取り扱う市場は、資源と食料でも穀物に関するもので大半を占めます。その他の工業品は需要と供給のバランスで決まりますが、そうならない市場とは、気候や国の政策により急変動してしまう、そうした宿命を負った商品のリスクをヘッジするために先物という市場があります。
しかし今はリスクヘッジではなく、金融商品の一部として扱われており、そのため資金流入が止まりません。米国のシカゴ市場では、価格操縦の疑いで聞き取り調査が実施されていますが、資金が流入すれば自然に価格は高騰します。これは需要と供給ではなく、市場のボリュームに見合う適性価格を模索しなければならないからです。よって操縦ではなくても、金余りが続くという見通しがある以上、価格は高騰を続けることになります。

一方で、見逃してはいけないのがWTOによる農産物の貿易自由化の流れです。安価で清算された農産物への関税を認めず、結果的に自給率が下がった後で輸出制限が起きましたから、国産農産物への打撃を受けた輸入国には二重の苦しみになっています。農産物は急速に量を増やすことは出来ませんから、輸入国が生産調整せざるを得なくなった、関税撤廃が正当な方法だったのか?という議論も必要でしょう。安く作れる国があれば、そこに生産を全て任せてしまえば良い、というこれまでの流れにも変調が生まれてくるかもしれません。
金余りと農産物の貿易自由化を推進した米国は、バイオ技術で増産可能な種をつくり生産すれば解決するとの案も提出しているようですが、種を買うのもお金がかかります。結局、大規模に機械化された農業で安価に生産出来る国、安価な労働力でプランテーションが営める国に価格決定力がある現状に何も変わりありません。その国の思惑や気候で価格はぶれることになります。

日本が輸入米の放出や農業支援に拠出することは正しい判断ですが、町村官房長官の減反見直しに対し、自民党内から「米価が暴落する可能性…」との発言があったようです。しかし日本が減反を見直したところで、輸入米を放出していけば国内でダブつく可能性は少なく、余れば一部を支援米として国が海外へ供出していけば、下手なODAよりもよほど効果のある日本のアピールとなります。
今後は気候変動の影響が日本にも襲う、という前提に立てば日本の生産量とて今の水準を維持できるか分かりません。減らすことより、今は増やすことを考えた方が、方向性としては正しいのでしょう。不足感がパニックを起こす前に、日本が出来ることをしっかりと考えるべき時なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 海外

2008年06月02日

景気対策には知恵を

後期高齢者医療制度で、与党が修正案の原案をまとめました。保険料負担の軽減、同居する子息の預貯金から引き落としできる仕組みを年金天引きと選択できる制度、終末期相談支援料の見直しを協議会に要請、と伝わりますが、財源措置を含めて与党案には不透明感も残ります。
古賀選対も凍結を含む見直しを示唆していますし、野党からは廃止法案も出されました。この見直し案の前提にあるのは、制度の骨組みがしっかりしているかであり、そうでなければ肉付きを変えたところで、脆く弱い制度になります。では骨組みはといえば保険料負担が増えるので高齢者にも負担の一部を強いる、ということですから、今回の見直し案は骨を削る手術となります。それで良いのか?しっかりと見ていかなければいけないのでしょうね。

韓国のイ・ミョンバク大統領の支持率が20%前後になったようです。今回は米国産牛肉の輸入緩和が原因ですが、日本を初めとして各国の首脳でも支持率低下が目立つようになってきたのは、経済の先行きに不透明感が高まってきたからです。景気が楽観的な時は支持が高くなる傾向があり、逆にインフレが成長率を上回ると、潜在的に窮乏を感じて政府への不満も高まります。
昨日コメントを頂いたことに関して、減税抜きの景気刺激策を少し考えてみたいと思います。例えば、経済団体から世界との競争力という点で指摘のある法人税減税、これを実施する前提として、企業の正社員比率を以前の状態に戻す、という手があります。法人税は減税されても、正社員化が進めば所得税が増え、また将来不安が消えれば消費も促進されることになります。

日本はこれまで、企業の国際競争力強化のためとして個人への負担を増やす政策をとってきました。結果、それが国内景気にマイナスに働き、競争力を得た企業は海外売り上げ比率を高め、最高益を稼ぎ出す中で一向に国内景気が上向かないという効果を生みました。つまり、企業の収益が拡大する中、賃金が抑えられてきたのは非正社員化がもたらしたものも含まれるのです。
民間調査で賃金がやや改善ということもありますが、企業が正社員を増やす、現状と合致した数値です。人材不足、人手の確保に企業が躍起となる中で、正社員比率を元に戻すことには一定程度の理解が進むでしょう。法人税減税がバーターになれば、企業も同意し易くなります。

07年度の法人税収入が想定以下になる、という記事でも同様なのですが、法人税は減免措置があったり、企業収益の変動でブレもあります。一方で、所得税は雇用さえ安定していれば税収としても安定しています。今の日本に足りないのは、企業が国際競争力をつける過程で、その負担を個人に押し付け、国内景気を冷え込ませてしまったことにあるのです。
ここに知恵を出していくこと、それが今の日本に求められているのでしょう。昨今の法案、今回の後期高齢者医療制度の見直し案でも同様ですが、明らかに知恵が足りない、というものばかりです。何が問題でどう対策を打つのか、そこに知恵を絞ることが求められているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年06月01日

雑感。昨今の経済指標と財政

ガソリンが6月に入って20円近く上昇し、最高値を更新しています。原油価格は1ヶ月前より高騰、円安も進みましたので、これは必然的に起こる問題です。その他でも先週末に発表された消費者物価は、生鮮食品を除いたベースで前年同月比0.9%の上昇と、大幅にインフレが進んでいることを示唆しています。一方で、同日発表された家計消費支出は実質で前年同月比2.7%減と、消費意欲の落ち込みも目立ってきました。
これまで、日本では製造を新興国に委託してコストを押さえ、それをデフレ圧力としてきました。また、急速に進むハイテク技術の進展をデフレとカウントし、景気判断を低めに抑え、低金利を継続してきました。しかしここ最近目立つのは、急速なインフレと景気指数の悪化です。米国ではスタグフレーション懸念が広がっていましたが、それ以前に日本がスタグフレーションとの判断もできそうです。

デフレ症状よりも過度なインフレの方が景気には悪い影響を与えます。しかし今回は景気以外にも、税収全体に影響しそうであり、日本にとっての悪影響の度合いは大きそうです。消費税は物価の上昇と比例して税収も増えますが、消費支出の落ち込みが数量効果を相殺して、税収トータルで考えるとイーブンとなるでしょう。
法人税に関しては、今回は価格転嫁による値上げなので、収益性が上がらず数量効果がマイナスに働き、全体としてはマイナスです。またイザナギ景気越えを果たした長期の好景気の間、企業が株式保有を進めた結果として含み益が前年より47%減少、との記事もありましたが、一部には含み損となっている企業もあり、特損の計上も相次いでいます。赤字企業の納税義務は免除されますので、これも法人税にとってはマイナスとなるでしょう。

更に今回は有効求人倍率が0.93倍と低下傾向、失業率は4.0%に上昇、賃金も上昇していないため、所得税も増えないことになります。更に保険料などの負担は増えているため、これらも消費を減退させますので、景気にとってマイナスの相乗効果があるものです。
今回の調査は4月分が多いので、これが一過性であれば良いのですが、そんな楽観できる状況でもありません。相変わらず、景気対策らしい対策もなく、インフレ抑制にも消極的な中で、税収減をどう補っていくのか?今の政府の動きは明らかに増税であり、それでは日本の景気は更に下方に引っ張られることになるでしょう。これは来年度の予算計画にも影響しますし、下手をすれば今年度予算にも影響する問題です。政府は経済政策の道筋を示し、財政と一体となった考え方を示すべきでしょう。秋からの税制抜本改革時に…、という間にも事態が変化してしまうものであり、早く手を打つことが何より重要なのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済