2008年07月

2008年07月31日

経済の話。意識される日本の景気後退

福田氏が明日の内閣改造を示唆しましたね。閣僚の顔ぶれを見たいと思いますが、これほど国民の期待感の薄い内閣改造、というのも珍しいと思います。逆にそれだけ日本には厳しい環境があり、それを誰が改善できるのか?という点で不透明感が強いのだと考えます。

そんな不透明感の一つ、経済分野で昨日6月鉱工業生産指数が発表されました。これを受け、民間エコノミストの多くは日本が景気後退局面入りしていることを示唆し始めました。内容は前月比2.0%低下でしたが、先行き7、8月も低下を示しており、またハイテク在庫の積み上がりが今後、製造業の生産調整に陥るとの懸念を強めた形であり、4-6月のマイナス成長を意識した動きになっています。
北京五輪の消費押し上げ効果は期待ほど伸びていません。これは現状、イベントにより消費意欲は喚起されない、というこれまでも見られたパターンの踏襲です。壊れたのでなければ買い替えの必要なし、多くの国民がそう意識しているため、生産側、小売側との意識の乖離を生み、期待した数量が捌けなくなっているのです。これが在庫となればこれまでの景気後退入りと同様、生産が落ち込むパターンに陥るのでしょう。

今日の日本市場は意外な弱さを見せました。GLOBEXが弱かったこと、3-6月相場はインフレが主要テーマでしたのでインフレ率の低い日本は買いでしたが、昨日の鉱工業生産指数でマクロの弱さが意識された、そうした可能性はあります。ですがあえて言えば、日本の政局リスクが意識され始め、外国人投資家が逃避姿勢に入ったことも原因にはあるのかもしれません。
ここで内閣改造をしても年内解散、総選挙が見えています。福田内閣では対日直接投資を推進していますが、規制強化、外資規制の流れが顕著であり、年内一杯を福田内閣で通すのであれば、あえてその時期買う必要もない、と外国人投資家が意識したとしても決して不思議ではありません。景気後退の深さも確認したいでしょうし、選挙後の勢力図を見てからでも、日本市場で6割を占める外国人投資家にとって決して遅くはないのでしょう。

更に、意識されるのは政策エラーです。景気後退期に入ったとき、増税などの政策が更に景気を冷え込ませ、回復を遅らせることが考えられます。今回の組閣で財務省寄りの人間の処遇、閣僚の顔ぶれなどを見て税制、予算など来年度の経済動向の推測もある程度見えてきます。
明日の内閣改造、政局だけでなく日本の景気にも大きな影響を与えます。経済政策を打ち出さない内閣から、どう脱却し、どういうビジョンを見せるのか?明日の状況次第では、更に日本売りが加速するのかもしれません。福田カラーとは何色なのか?少なくとも、バラ色ではない点が厄介なのでしょうね。

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2008年07月30日

経済の話。米金融に関する情報について

米国でカバードボンド(担保付債券)という制度導入が発表されました。これまでの住宅ローン担保債券(RMBS)の仕組みでは、銀行が一定のリスクを保証して設立した傘下投資部門が債券を発行し、本体の銀行の財務からはオフバランス化されていました。今度は本体の銀行が保証し、債券を発行しなければならない、という制度です。
背景には、政府系住宅金融機関(GSE)の保証が今後拡大できない、リスクはとれないので、各行で保証しなさいという米政府の思惑があります。2F支援策で税金の投入を決めましたから、今後緩い基準で保証すれば国民の反発を買います。一方で、借り換えが進まなければ不動産価格の下落に歯止めはかからない。当局は短期資金の貸し出しを拡大したので、後は金融機関独自に対応しろ、というわけです。

当然、オンバランスされますから、財務諸表が悪化している金融機関には負担になります。しかし、結果的に傘下投資部門が抱えた損失をバランスシートに載せなければ、投資家の不安心理は消えません。そんな中でメリルリンチ証券が、増資による負債圧縮を発表しました。
メリルは普通株85.5億$を調達し、一方で債務担保証券(CDO)を売却します。簿価306億$を67億$で売却ですから、実に22%のディスカウント価格です。これまでは各金融機関ごとにCDOは5割、4割などと評価されてきましたが、今後各金融機関はCDOの評価にこの基準を参考にしなければならず、これが業績の下押し懸念として今後、意識されることになります。

またメリルに倣い、他の金融機関もCDOなどの資産を売りに出す可能性があるとの見方もありますが、そうなるとディストレスト債が拡大し、CDO市場は壊滅的な打撃を被るでしょう。一部にファンドが買うとの観測もありますが、規模からすると支え切れるものではなく、投売りの加速は企業の資金調達の幅を狭める、そうした要因にも繋がりそうです。
そして今日、空売り規制の延長が発表されました。8月12日まで延長、19銘柄のまま、再延長はせず、その後今回の効果を検証すると伝わります。昨日の米市場の上昇は、理由を色々と言われますが、この効果も高かったのでしょう。こうした一時的な規制や緩和は、発動当初には高い効果を得られますから、一旦手仕舞った金融株買いが昨日は再び発生したのです。

しかしメリルにはまだ評価損を抱えた資産が含まれていると云います。実際、CDO以外の資産については売却されておらず、全市場に弱気の傾向が見られる現在、損失は更に拡大していると見て良いでしょう。米金融機関の損出しはまだまだ続くと見た方がよく、楽観が広がった、という言葉には警戒を持ってみるぐらいでちょうど良いのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(4)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年07月29日

経済財政諮問会議について

米国で新たな不動産支援策、カバードボンド(担保付き債券)が発表されました。これは金融機関でオフバランス化されていた仕組みを改め、発行体である銀行などが債券の発行を保証する内容で、金融機関のバランスシートに計上されます。この内容についてはいずれ触れたいと思いますが、今日は日本の予算に関わる経済財政諮問会議について考えてみます。

昨日と今日、経済財政諮問会議が開かれました。議題は予算関連であり、概算要求基準と、来年度予算の考え方等が示されています。その中で目立ったのは、特別会計において決算の明確化、つまり貸借対照表、バランスシートなどのいわゆる決算報告に関して提言していることです。
行政のムダ・ゼロを謳いますが、現状はムダの定義すら定かではない状態が続いています。将来不安に備える積立額の妥当性や、2重行政などもムダの一部でしょうが、予算枠の中でムダと捉えるべきものは何か?という点には誰も答えていません。なぜなら、決算に関してチェックする機能が会計検査院などの国の機関の中でクローズしており、情報開示されていないからです。

178兆円とされる特別会計には上場企業並みの業績開示が必要です。本来、行政とは強制的に税を徴収し、それに見合うサービスを提供するのが本旨であり、サービスの質や税額の妥当性は業績開示によりチェックできなければなりません。つまり税額に比べてサービスの質が悪いと感じたとき、受益者には国を変えるか、政府を入れ替えてサービスの質の向上を求めるしか改善の手段はないからであり、それを判断する材料に業績のチェックがあるからです。
この経済財政諮問会議では特別会計の透明性を提言しても、いつまで、どのようにして、ということは一切示していません。この経済財政諮問会議が単なる政策提言集団なら、内閣府の下にある必要はありません。必要だと提言するなら、いつまでにやらなければ、ということを明確にし、タイムスケジュールを決めるべきでしょう。どの組織であっても、会議とはそういうものであり、それがない会議は単なる座談会の域を出ないものです。会議の運営にも予算がかかります。2重行政がムダというなら、引用や同じ内容ばかりの会議も同様なのでしょう。

先に労働経済白書と経済財政白書が、日本型終身雇用に関して、全く異なる考えを示しました。諸問題に対し、アプローチを変えるならまだしも、根本的な考えが不一致では対応も難しくします。これは府省の対立もその一因でしょうが、本間-竹中ラインを引き継ぐ大田氏が主導する内閣府と、厚労省とは改革路線自体に対する考え方が異なることが影響しています。
自説に固執するものか、省益に依拠するものか、その判断は色々できますが、重要なことはそれをすり合わせ、調整しなければこの国の行く道は示されないということです。二論併記で政策を打ち出せるような、そんな都合よい対策はありません。これらも政治が主導できない面があるのでしょうし、内閣府と省庁の下に同じような二つの会議が併設されていることもあるのでしょう。必要のない会議は早急に終結させ、スリム化を目指すべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年07月28日

雑感、燃料高による影響

各地で猛暑日、大雨、河川の氾濫等の異常気象のニュースが後を絶ちません。ダウンバースト後に起こる、ガストフロントなる減少まで発生し、お亡くなりになられた方もいるとのこと。これらは地球温暖化の影響なのかもしれませんが、少し前に気になる記事がありました。韓国と北朝鮮との国境付近で、韓国軍兵士にマラリアが流行しているというのです。記事は北朝鮮では対策、治療が充分でないためマラリアが流行していると結んでいましたが、マラリアを媒介するネッタイシマカが、日本と同緯度まで北上しているということが私には気になりました。
地球温暖化の影響は直接的に環境を変えるだけではなく、生態系をも変化させますから、余計に注意が必要でしょう。日本では蜂、熊、蛇が生物による死亡例として代表的ですが、ウィルスの媒介者たる生物の飛来には、気候変動が続く限り警戒しておくべきなのでしょうね。

政府は「水産業燃油高騰緊急対策基金」を使い、重油高騰に苦しむ漁業者に支援する方針を固めたようです。ただし、対策を施した上で、それでも吸収できない分を補填するなど一定の条件が設けられており、一律救済というには至らないようです。ただ漁業は個人の運営も多く、コスト高に対しては当然個人ベースで努力を進めているものであり、条件面に関してはもう一段の混乱が発生するはずです。判断を漁協に任せるのか、地方自治体に委ねるのかによっても変わりますし、一律でなければ行政側のコストという点でも大きく変わってくるのでしょう。
政府・与党が最近、国民ウケの良い政策で選挙戦を意識する、その流れに沿って水産業への支援を決めた形なのでしょう。そんな中、住宅向け太陽光発電機の普及に向けて、05年に打ち切られた補助を復活する方針を政府が固めたようです。太陽光発電は日中に達する最大電力量を緩和する効果もあり、重要な施策の一つです。最大電力を賄うため、発電所の多くは備えられており、ピーク時にはフル稼働することになります。そしてその中には、定期点検などで止めない限り、定常的に発電を続ける原子力以外の火力などが用いられています。

つまり最大電力を抑えれば、日本の火力発電量はぐっと減らせることができ、原油高騰や地球温暖化への影響が少ない体質にできるのです。夏場の日中がこの最大電力を発生するポイントであり、そのとき高い発電が見込め、またCO2を出さないクリーンエネルギーとしては最適です。風力発電が騒音、低周波公害などが指摘される中、太陽光にはより注目が集まるでしょう。
東電が今年度2800億円の赤字になる見込みと発表しました。地震による柏崎刈羽原発の全面停止、原油高騰による火力発電のコスト増、そして足りない分の買電も収益を圧迫しているのでしょう。減配と来年の値上げを同時に発表していますが、老朽化が目立ち始めた福島原発の行方など、心配な面も大きくなっています。
一時期、電力自由化なども盛んに喧伝されましたが、今はそういった話題も聞かれなくなりました。テーゼに地球温暖化がある限り、小規模の事業主が参画し難い面もありますが、今こそ太陽光発電や排出されていたゴミを利用したバイオ燃料による発電など、日本の知恵を絞るときなのでしょうね。

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2008年07月27日

内閣改造はあるのか?

今日の某メディアで内閣改造の話題を取り上げていました。番組内ではやる、という前提での話でしたが、今回の改造を促す主因は公明の動きであり、自民の思惑では動かなくなっています。自民党最悪のシナリオは、税制抜本改革の内容やテロ特措法の可決に関して、国民の支持が高まらないと判断した段階で公明が連立政権を離脱、衆院の再議決も不可能となり、ジリ貧となったまま解散・総選挙というパターンです。
現状の流れを変えられなければ、自民は次の衆院選で大敗することが確実です。内閣改造に目玉は期待し難い、というのが衆目の一致するところですが、変に改造されると離脱が難しくなる。どうせならこのまま冬柴国交相が留任してくれる方がダメージが少なくて済む、というのが公明の本音でしょう。支持母体である創価学会の思惑とも絡み、学会本部のある東京都議選が本命ともいわれますから、利益誘導の面でも自民との連立より、民主主導の連立政権への参画を目指した方が得策、というところなのでしょう。

自民がこの流れを変えるため、公明への引止め工作を本格化させるなら、今後水面下で、有力議員による太田代表への接触が活発化するでしょう。翻意を促すなら、相当の提案も必要であり、自民にとってはかなり苦しい立場に追い込まれることは確実なのでしょうね。
そんな中、選挙に関係の深いWTO交渉の行方が、日本に厳しい内容で合意しそうなことが伝わっています。日本が最低ラインとしていた重要品目が8%に届かず、4%になりそうなこと、ただし2%の上積みは条件付で可能です。100品目の目標が80品目になると、結果的にその割り振りに苦渋することになり、漏れた農産品の生産者にとっては大打撃となるでしょう。そうなると、農村部に強かった自民党支持層が益々離れる形となります。

某メディアには竹中氏も出ていましたが、福田政権が小泉・竹中路線の巻き直しをすすめる件に関して、納得していない口ぶりでした。福田政権は誰を悪役に仕立てるか?という点が非常に難しく、大連立構想に失敗してから民主を攻撃しても、民主はアンチ自民の受け皿であって、失点や失態はあまり攻撃材料にはなりません。結果的に改革・開放路線が現状の国民にとって深刻な影響を与えている、と喧伝するしかありませんが、その恩恵を受けた議員の数があまりに多すぎます。
小泉人気が未だに衰えていないように、小泉路線には功罪両面があることは間違いなく、一方的に悪とはし難いのです。そのため福田政権は悪を引き立て、自らを正当化するという戦略もとり難い。まさに八方塞です。公明の顔色をうかがい、国民の支持を気にし、政治決断すら出来にくくなった。今後、重要課題山積の中で支持率低迷に陥れば、総辞職も見えてくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年07月26日

経済の話。金融機関の収益について

2009年度概算要求基準(シーリング)がほぼ固まり、08年度から4千億円増の47.8兆円となりそうです。来週の閣議決定で正式に各省に通達されますが、社会保障費の増加などを吸収しきれないようです。2011年度も歳入が最小でも3.9兆円の赤字と試算されていますから、閣議決定された11年度にプライマリーバランスの改善、という約束はまた一歩遠ざかりました。

金融庁があおぞら、岐阜、琉球の3行に業務改善命令を出しました。公的資金を完済していない10行のうち、経営健全化計画の3割を下回ると、行政処分が下ります。各金融機関ではサブプライム問題に絡んだ損失計上が膨らみ、かつ貸し渋りによる収益機会の減少、経済全体が混乱する時に収益性を確保するのは、相当の高いハードルも覚悟しなければなりません。
例えば、みずほ銀行が米メリルリンチ証券の増資計画に応じましたが、メリルは資産の切り売りで当期利益の確保に動きました。自己資本を毀損し始めると、解散価値にも繋がるものですから、保有する債券には下落圧力がかかります。現状、メリルの資産は豊富であり、すぐに価値を損じるものではありませんが、将来的には増資に応じたことが正しかったのかどうか、ということが分かります。このように、10%近辺の利回りを保証して資金調達をする米国金融機関に、応じるのかどうかは金融機関にとっても重大な選択を迫るものとなっているのです。

米国の空売り規制でも、銘柄を拡大して実行するよう米証券取引委員会(SEC)が求めていますが、そうなると現物株を保有し、貸し株に回す金融機関は収益機会を失いますから、違った方面での影響も出てきます。24日の米金融機関が空売り規制を解除される前、早くも下落していますが、このことから見ても現物の売買は膨らんでおらず、2F支援策に目処がたち、買い方が手仕舞ったと考えるのが自然でしょう。決して楽観論が広がったのではないのです。
米地銀2行が破綻しました。現状ある米金融機関の3割程度が破綻、統合などの動きを経ていくのでしょう。米財務省発表の政府機関債の持分、中国が3800億$弱、日本が2300億$弱、全世界の3分の2以上が日中で占められる割合です。米が破綻すればそのときは日中も危険であることは明確であり、今後も日本が支援せざるを得ない状況が生み出されることになるのかもしれませんね。

日本市場も先週から先物買いが続きましたが、裁定残も久しぶりに増加しています。12000円台は買い、13000円台後半になると戻り売り、という形で推移しそうです。ただ直近の動きは空売り規制の行方にかかっている、ともいえるのでしょう。米国の態度次第で今後も動きが出てくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年07月25日

雑感、社会情勢に感じること

今朝総務省から発表された6月消費者物価指数、前年同月比1.9%上昇と、消費税を除くと15年6ヶ月ぶりの上昇幅となっています。財務省発表の6月貿易統計の名目輸出額は前年同月比1.7%減、4-6月期の実質輸出が前期比3.2%減、6月の貿易収支は前年同月比88.9%減、輸出で外貨を稼ぐ日本の形が崩れ、輸入資源の高騰が企業業績にも影響を与えることが鮮明になっています。
貿易収支の急減はかなり深刻であり、欧州経済の停滞、新興国の成長の急減速、等がデカップリング論を吹き飛ばす形です。コストプッシュ型のインフレですから需要増は見込めず、給与水準は下がり続ける形となります。日銀は未だにグローバル化した経済指標によるものではなく、一国でクローズするかのような金融政策、低金利を続けています。
米国では今週、空売り規制が思った以上の成果を挙げ、今日になり証券取引委員会(SEC)が空売り規制の拡大を提案しています。本来、空売り規制は2F支援策成立までの仮の規制でしたが、今後も歪んだ市場が続く場合は、その後大きな波乱が待ち構えていることになるのでしょうね。

一昨日に起きた八王子通り魔事件、今日になり甲府でもムシャクシャした、との理由で女性の腹部を刺した男が逮捕されていますが、秋葉原の事件でも同様に、短絡的に破滅衝動をもった人間による無差別事件が増えています。思想的なものはともかく、背景はテロを生むものとソックリであり、世界に起きている現実が日本にも起きていると考えさせられます。
国への不満、というより生活への不安からテロ組織に関与し、自暴自棄となって破滅への道を歩む。国を根底から変える、といった強烈な思想よりも日々への絶望が、テロリストの行動原理にあります。このため規模が矮小化し、さらに無防備な一般市民へと向けられているのです。

現状、日本で起きている犯罪は刃物という古典的な手法ですが、いずれオウム事件のような集団テロにも警戒しておいた方が良い段階です。世紀末の閉塞感と虚無感、救いを求める時代と、今の労働格差の拡がりに伴う将来への不安、こういう時代には刹那的な犯罪も増えます。
大切なことは、政治が治安の維持に凶器の規制であったり、警察官を増やすであったり、可視的な部分の対応で済ませてはいけない、ということです。誤解を恐れずにいえば、頭の良い、破滅思想を持った人間が現れることも想定しておくべき、そうした危険も現状高まっていると考えています。

折しも、ライブドア元代表の堀江氏に高裁も実刑判決を下しました。手法は別にしても、彼が時の人になったのは、夢を託せたことが大きく影響しています。下層にあっても頑張れば這い上がれる、そんな夢の実現者としての評価だったのでしょう。口利き疑惑でも同様ですが、地位にある者、金のある者、権力者と知り合いである者が得をするような社会では、夢を抱いて生きる人にとっては暮らし難い社会である、ということをもう一度理解すべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 経済

2008年07月24日

福田政権と与党に意識のズレ

岩手県で震度6強の地震がありました。震源が深く、被害は少なかったようですが、東北地方には立て続けて大きな揺れに見舞われているだけに、地盤が緩んでいたりすることが心配です。地震が多発することでもそうですが、地球内部でマントル対流が活発化するなど、地球規模で何か異変のようなことが起きているのかもしれませんね。

国会が閉幕してから、永田町の動きが活発化してきました。福田氏が示唆した8月末に臨時国会召集という案に対し、公明、自民党内からも反発を生じ、日程は流動的になってきています。内閣改造についても公明は反発、自民党内でも意見は二分されており、党内がやるのか、やらないのかと疑心暗鬼に陥っているように見えます。
どこの世界も同様ですが、トップは意外と周りが見えていないものです。福田氏が「サミットは成功しただろう?」と記者に問い掛けたとの記事もありましたが、世論調査ではサミットの評価はあまり高くありません。つまりこれは、トップが決めたハードル、成果に国民が納得していないということを示しており、達成感があってガッツポーズを2度決めた福田氏にも、なぜ評価されないのかということが理解できていないことを示しています。

新テロ特措法の再議決を睨めば8月末から国会を開いた方が有利ですが、国会を開いても戦える材料は少なく、年金、医療、介護、訴求力のある分野は軒並み国民から不評であり、それを推し進める政府には不信も高まっています。すでに4回目だから良いだろうと、安易な気持ちでテロ特で3分の2条項を使えば、国民の不満は益々高まるでしょう。アフガンでは同士討ちの記事もあり、またテロが激化する中で陸自派遣を検討する現在、1年前とは状況が異なってきています。
自民は選挙を見据えて社保庁の懲戒職員867人を全員不採用としましたが、政府は本省で再雇用も示唆しています。8億5千万件の紙台帳との突合も同様に、世論の声を意識して与党が実施に傾きました。ただ検索実施に200億円の求めることも決めており、なぜまた国費を使わなければいけないのか、誰に責任があるかは明らかにされていません。本気度は低いのでしょう。

福田政権にすきま風、とも評されますが、官僚の意向が反映され易い福田政権と、それでは選挙が戦えないという与党側との思惑の違いと捉えておいて良いのでしょう。1年後には確実に選挙年になる、公明が主張し始めたのも、政権のやり方では大敗することが見えてきたからです。
福田氏は政権浮揚のきっかけ、と考えることも否定されつつあり、政権はジリ貧になりつつあります。日米平和・文化交流協会の秋山氏が脱税容疑で逮捕されましたが、大分教員採用試験の問題なども政治に飛び火するようだと、政治が大変動を起こす可能性もあります。
19世紀初頭の仏国の議会政治を風刺した言葉に、「議会とは地位にありつくために良心を物々交換する大きな市場」というものがあります。利権主義が議会を席巻するとき、国民の不満の高まりとともに変革が起きるということは、歴史の常なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年07月23日

経済の話。原油急落について考える

先週からWTIで原油価格が急落しています。最高値から20$近い下落であり、歴史的な急落とも評されています。商品市場からの資金シフトか?とも見られますが、その間金価格は1000$を突破する勢いで上昇しており、商品市場の資金は一部原油から金へ逃避しただけのようです。
原油高騰は投機資金の流れ、とも云われますが、昨日米商品先物取引委員会(CFTC)は中間報告で、投機資金が原因ではないと述べています。長期資金である年金基金の流入が加速し、相場を上昇させたが本質は新興国の需要増である。これは米政府とも合致した意見であるので、多分に米国の意向が働いた報告書であり、最終報告も同内容でまとめられるのでしょう。

現状、急落を引き起こした背景は、週末にイラン-EU協議が不調に終わりましたが、米国務省ナンバー3が参加しており、これが中東情勢の落ち着きといった形で好感された可能性があります。ただ最大の原因は、米国で商品先物を取り扱う業者の幹部が呼ばれ、かなり圧力がかけられたのではないか、ということが専らの噂となっています。
実際、今週から始まった空売り規制でも、相当の圧力がかけられているようですから、米国が『最大の危機』と評した政府系住宅金融機関(2F)の問題を受け、市場に強烈な介入をかけたことは間違いありません。同時に、原油先物の保有割合の規制なども検討されていることから、長期保有を前提とした年金基金が持分を減らし始めたことも、下落に繋がっているのでしょう。

ただこうした見方もできます。商品市場の取引を行うのはグローバル・マクロとマネージド・フューチャーズ。簡単な分け方は前者は中長期、後者は短期ということですが、プログラム取引を行う後者が現状、買いの取引をいれづらくなっているのでは、ということです。
一部に、米で金融不安が解消されたとも喧伝されますが、これは空売りを仕掛けるヘッジファンドがプログラム取引を停止していることで、金融機関の株が上昇していることが主因です。買いのプログラムは生きており、売りが出てこないので上げに勢いがつく、金融機関が少しの好材料で反応するのは、プログラムの発動とともに買い向かう力がかかり易いからなのですね。

空売り規制はこうした側面を導き出していますが、これは規制のとけた後、絶好の売り場となるのか、それとも規制に怯えて売買を手控えるかによって、今後の動きに結びついてきます。一方で、原油相場でも『暗黙の規制』の機能がどの程度継続するかによっては、買い場を提供するのか、一旦落ち着くのかが決まってきます。
米石油輸送大手がヘッジの失敗で破産した、との記事もあります。急騰、急落はどちらに動いても負の影響を強めます。今後も実需と離れた価格で変動する限り、こうした動きには注意しておくべきでしょう。2F支援策が大筋、議会でも合意が得られそうな情勢です。ただ大統領の拒否権発動があるのか、ないのか、もう少し米国の動きには紆余曲折もあるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年07月22日

08年版労働経済白書について考える

厚労省が発表した08年版労働経済の分析(労働経済白書)。一歩踏み込んだ内容としては、サービス業の非正規雇用の増加、製造業の正社員の減少により、全体の労働生産性にマイナスとの評価を下したことです。ただこれは生産性の高い部門から、生産性の低い部門への就業率の割合から算出されており、もう少し踏み込めば非正規雇用の拡大による労働意欲の低下という分析も可能なはずです。
単純作業ならまだしも、個々の能力値を推量できなければ管理職にかかる負荷は相当のものです。労働意欲の減少に対し、労働者と企業の意識にズレがあるとも評していますが、低賃金や自己啓発の機会、個性の発現などが労働者の求めることですが、企業側はそう捉えていません。

評価制度に関しても、成果主義の見直しが語られています。日本では成果主義が誤用され、目標達成型の評価法が成果主義として広まりました。しかし目標設定の段階で個々に差があれば、達成度で評価するとそれは作業量と応分になりません。10の作業量をこなす人と100の作業量をこなす人、達成度が9と50では明らかに後者の方が作業をこなしていますが、達成度は低くなります。
結果的に目標達成型は個人主義に結びつき易く、自らの定めた目標の達成を優先してしまいがちです。日本ではどうしても努力を評価する風潮がありますが、50の作業をこなした人間にとって、9しか作業していない人間の評価が高いのはおかしい、としてやる気をなくし、結果的に目標を低く、自分の作業のみをこなそうとします。これでは生産性など上がりません。

資格取得で賃金を上げるという話にしても、職場で資格のための勉強をする者もおり、生産性という観点では?です。実務で結果を残すのか、資格で貢献を望むのか、両者であればベストですが、企業としてもどういう形がベストなのかを明確にした方が良いでしょう。
現状、社会システム、国民の意識が大きく変化する中で、経営者がどの程度実態を掴んで企業経営、労働者への処遇を考えるのか?ということが問われていると考えています。意識の乖離は致命的であり、有能な労働者を正しく評価できない企業は淘汰される宿命にあるのでしょう。

重要なことは、個人の活力が落ちた原因は為政者であったり、経営者であったりする場合も多くあることです。若者の意識変化を早期離職の原因にあげる方もいますが、以前の互助会型の福利厚生を重視した企業運営ではないため、別の魅力を付加しなければ働く意欲の喪失にも繋がります。どうすれば労働生産性が上げられるかは、少子化を迎えた現在、企業にとっては喫緊の課題といえるでしょう。そんなときに、意識の乖離を起こしている時点で、企業にはまだ危機意識が足りないということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(3)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2008年07月21日

雑感、ビタミンの話

久しぶりに健康の話題について取り上げたいと思います。日本はほぼ全国が梅雨明けし、この3連休は暑かったですね。この時期になるとかき氷なども出回りますが、シロップとしてかけられるものの中には食用黄色4号、というものがあります。字の如く黄色の発色をよくするものですが、これはヒドラジン色素と呼ばれるものでビタミンB6の吸収を阻害します。
ビタミンB6の欠乏はうつ病、イライラ、貧血などの症状を引き起こします。アルコール摂取や経口避妊薬でも吸収を阻害されますが、増加傾向にある病気に関係があるという点で、積極的に摂取したいものです。ちなみに、たんぱく質の代謝にも使われますので、肉食が多い人も欠乏気味になることが知られています。

日本ではあまり知られていませんが、ビタミンを発見したのは日本人の高木博士です。かつて白米をよく食べていた人間が脚気にかかっていたことから、白米に毒素があると考えられたことがあります。これは単純に白米ばかりで、バランスの良い食事を心掛けなかったことが原因です。
高木博士は論文を発表、海外では称賛され南極の一角を『タカキ岬』と称すほどの扱いを受けていますが、日本では当時の森林太郎陸軍軍医(作家・森鴎外)に無視されたことから、ほとんど話題になりませんでした。その後、この坑脚気ビタミンはビタミンB1として通用しています。

食料自給率が40%を切り、日本人の食の環境が変わる中で、今週WTOによる非公式閣僚会合が開催されます。農業に関しては、関税引き下げを抑制できる重要品目が重要ですが、日本の主張が通るにはかなり厳しいハードルもあるようです。若林農相と甘利経産省が参加していますが、企業優位の姿勢をとるなら鉱工業品の関税見通しを受けて、日本は妥協するのかもしれません。
ただよく間違えているのは、大量廃棄される食料品を見て日本の食卓の変化が…、と述べる人がいますが、それらは家庭から廃棄されるゴミではなく、流通や小売で排出されるものだということです。これは日本の食卓の変化ではなく、産業構造による影響と捉えるべきものです。

安全で安心な食を提供することと、ビタミン不足などにより引き起こされる病気などを積極開示し、健康増進に努めることは同義です。なぜなら医療費抑制に繋がるからです。しかし日本では客観的に、専門性をもった組織が民間にはおらず、厚労省の管轄において栄養情報は流れるのみであり、治験は企業に一部、大学などの研究機関に一部あるのみで、ほとんどは海外の情報に頼っています。メタボ対策も同様ですが、健康を維持する方向性は国が治験をもち、しっかりと導いていくぐらいの気構えが必要なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 健康 | 政治

2008年07月20日

経済の話。今、世界で何が起こっているのか?

日銀の白川総裁がインフレと景気に対して講演を行いました。物価上昇に賃金圧力が加われば利上げ。一方で6月の日銀政策決定会合で景気の下ぶれリスクに軸足をおく方向性が強まった、とも伝わります。政治家も、経済学者も同様ですが、現状認識が正しいかどうかを疑問に感じます。

グローバル経済により、賃金の安い新興国に製造委託することで、先進国には強烈なデフレ圧力がかかりました。それを受けて各国の中央銀行は低金利を継続。これにより資金調達を容易とした金融機関が、リスク運用の先を求めて不動産、株などの資産を買い漁りました。
不動産の証券化は登記という手間を省き、所有を全世界に拡大させることに一役買いました。債務担保証券などの証券化商品は負債を価値へ逆転させ、CDS、格付け、金融保証の仕組みは信頼、保証という肩書き金融商品にを被せてリスクの軽減に努めてきました。これによりバブルが発生、気付き始めた中央政府は徐々に引き締めに移りましたが、時すでに遅くバブルは崩壊。

その後の米国の対応は、金融緩和により引き起こされた問題のはずなのに、再び金融緩和へと舵を切りました。これにより再び市場に溢れ始めた資金は資源、食料を高騰させ、新興国ではハイパーインフレ手前の水準まで加速させています。つまり米国の対応の素早い点は評価できますが、本質は外しているために、それによって今回の問題の発端があることになります。
先進国の物価高、これは当初にあった新興国への製造委託によるデフレ、という状況が逆転した結果です。新興国にインフレがおき、賃金上昇圧力が高まり製品価格へ転嫁され始めた。価格を低く抑えようとすれば、鉛混入のような賃金でない部分でのコストカットを新興国も強いられているのです。

よって先進国の物価高は自国の経済に関係なく引き起こされます。先進国では、日本とドイツが比較的低いインフレに留まりますが、これは自国の製造業の強さに起因します。原因と結果でいえば、先進国の金余りが新興国のインフレを引き起こし、先進国の輸入物価高騰を促しているのです。よって今回の物価高は先進国の賃金上昇を引き起こさないことになります。
これが『世界経済の現状』です。先進国の中央銀行が何をすべきか?世界経済の混乱から救う術は何かは自ずとはっきりしてくるでしょう。すでに自国のインフレや物価を基準においていては、経済の変動に対応が不可能です。デフレもインフレも、一国の事情で、金融政策を変更しては全てをおかしするのです。日銀もこの辺りの認識をしっかりもたないと、賃金上昇してから利上げ、といっているようでは日本でもサムライ債などの発行が増え、世界の混乱に力を貸していることになります。米国がこの事情に気付くまではもう少しかかるでしょうし、気付いても自国経済を優先させる可能性があります。日本は独自の判断で今何をすべきか、を考える段階にあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2008年07月19日

雑感。予算に関する話題について

学習指導要領の竹島記述で、韓国が反政府から反日へとデモを転換させ、一部強行派が激しく抗議活動を続けています。今回の件は、一部の教科書にはすでに記述のある内容であり、この時点での激しい抗議は煽動家の存在を疑わせます。国家が裏で糸をひき、煽動家を操っていた米国と異なり、韓国の対応は煽動家により揺さぶられている時点でかなり危険と言えるでしょう。
日本の対応としては、福田首相が妥協案としてしまったために取り下げるか、突っ張るかの二者択一しかありません。最初から話し合いは想定しておらず、妥協案でお茶を濁してしまったばかりに…、というところですが、日本政府は事態の推移を見守るしかありません。取り下げれば弱腰、突っ張れば韓国との関係悪化、国内世論と外交のまさに板ばさみですね。

来年度予算の概算要求(シーリング)の話題も出てくるようになりました。これは財務省が分野別の予算枠を設定し、閣議決定を経て各省が予算を組むことになります。しかし同時にプライマリーバランスの改善見通しを改める方向で調整に入ったと伝えられ、また年金の国庫負担分引き上げの財源議論など、財政を巡る動きが活発になっています。
ここ数年、日本の財政は政府の歳入見通しを下回っており、帳尻を合わせてはいますが、決して楽観できる状況にはありません。2011年にプライマリーバランスを黒字化させる、という目標は小泉時代にたてられましたが、実はずっと厳しい状況が続いています。今回の財政再建見通しの調整には、サブプライム問題に始まる景気減速が影響していますが、それでも尚、景気は早期に回復する前提で歳入改善は見込まれています。

法人税の問題もあります。日本40%、海外25%、このため企業は海外で税を納めて日本には納めない。しかし日本が同水準に引き下げても、実際には減税ですから歳入は増えません。今後の景気の波から想定すると、不動産業の破綻が続くように、資金繰り悪化が企業業績にも影響してくるでしょうから、相当の下押し圧力もあり、税収増は望むべくもないでしょう。
重要なことは、政府が期待値を乗せて計画を立ててはいけないということです。日本の財政は現状赤字が続いており、期待値を先行させるより、厳しい見通しで財政計画を立てないと将来は更に厳しい予算執行となるか、増税しなければ立ち行かない事態となります。
特に1月に総選挙も囁かれますが、その前提は与党によるばら撒き予算で国民へ支持を訴えるのでは?ということです。上げ潮派も、財政規律を優先させる派も、どちらにも云えることですが、『隗より始め』なければ誰も見向きもしないということです。来年度以降の財政計画、税制抜本改革の行方次第では日本の政治が大変動を引き起こす可能性もあり、よく見ていく必要もあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2008年07月18日

長銀経営者に逆転無罪判決

98年に長期信用銀行の破綻、それと共に経営者が粉飾決算の疑いで逮捕された事件、最高裁により逆転無罪判決が下りました。ノンバンクへの3千億円の不良債権を有価証券報告書に記載しなかったことが焦点でしたが、他の金融機関でも97年通達の会計基準の厳格化、という認識をもたなかったことで、長銀経営者にも違法性なしと認めた形となっています。
当時から違和感があったのは、摘発の内容を見るとこれは長銀だけの問題ではないだろうということです。しかし結果的に、長銀、日債銀などの破綻した銀行の経営者のみがこの罪で起訴されました。粉飾してでも破綻しなければ良し、破綻すれば粉飾は罪になる、この基準の違いが当時も分かりませんでした。結局、最高裁も同様の理由で今回無罪との判決に至ったようです。

貸し倒れ引当金を積み増すか、そうでないのか、その基準の曖昧さが取引先や株主に多大な影響を与えました。では04、05年に不正利益を計上し、シティの傘下に入った当時の日興CGは?といえば三角合併を経て、企業は存続していますし、経営陣は逮捕されていません。
企業体として有価証券報告書の虚偽記載は、上場廃止などのペナルティ以外、刑事事件としての犯罪性は、実は認められていないのが現状です。それにより、被害を受ける人間も多くいて、これは詐欺ではないのか?という素朴な疑問は、今回の大審院判例を経ても解決されないのでしょう。実際には、多くの経営者が粉飾紛いのことをし、多額の退職金をもらって辞めていきます。その罪が表面化した時の経営者のみが裁かれるということと同様、今回の判断には司法は経済事犯に弱い、ということも含まれるようでもありますね。

話題は変わりますが、日本が保有する米政府系住宅金融の関連債が判明してきました。大手三行で4.7兆円、農林中金が5.5兆円、日本生命が2.5兆円、まだ存在するかもしれませんが、小額のものを含めると13兆円規模に上ります。格付けが高いから、という理由は最早通用せず、これからはドル資産離れが起きるのか、起きないのかという段階にあると考えています。
米国でもサブプライム関連で、メリルが累計損失4兆円、シティが5兆円とも伝わりますが、米金融機関ではリスク3資産とすることで会計上、損失額を低く抑えられる傾向があります。会計基準の不透明性が強まっており、日本のバブル崩壊をなぞるかのような、緩い会計基準での決算となっています。増え続けるリスク3資産と決算との相関は、決して看過すべきではありません。
日本に決算の透明性を求めてきた米国は、現状先進国では異例ともいえる不透明な会計基準を適用する国家となっています。『上手くやった』経営者のみが得をする、そんな状態となっており、この時期本当に必要な経営の透明性が損なわれている時点で、米国の低迷は長くなることを予感させているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 司法 | 経済

2008年07月17日

雑感、最近の北京五輪の話題について

北京五輪が近付き、日本でも選手発表や壮行会などが盛んです。警戒された環境問題では、環境保護局が大気汚染の数値を操作(厳密には調整)していたり、セーリング会場では藻が大量発生したり、モンゴル草原ではイナゴが大量発生したりと、とにかく様々な情報が流れています。環境破壊はある日突然、異常性をもって表面化することになります。五輪期間中とは限りませんが、最早公害大国となった中国に、しばらくは自浄能力も働かないので今後も様々なことが起こるでしょうね。

北京五輪で気になる記事が幾つかありました。当初、チベット問題で不参加を表明していた各国首脳も、中国が対話に応じたことで続々と参加を表明。もはやチベット問題などなかったかのようです。話し合いはほとんど進展なく、五輪が終結すれば再び対話の旗を降ろすことになるのでしょうが、そうした懸念すら各国首脳の間からは取り沙汰されず、ただ歓迎ムード一色です。
中国当局は映像をネットに投稿するなどの行為を規制する方向です。しかし全世界に発信されれば、誰が投稿し、世界にばら撒かれるか分かりません。海賊版DVDすら「高いから」と取締りに後手を踏む中国が、今回映像投稿という問題でどういった手を打つのか?一部にネット業界の幹部を五輪に招くとも云われているので、協力要請でもあるのかもしれません。北京五輪に集う各国首脳、企業の大物、いずれも互恵関係ということで結びつくのか、注目しています。

五輪の入場券の購入については当初、中国当局は名前と住所を記名させ、それを用いて不正入場を取り締まろうとしていました。しかし世界各国はこの要請を拒否、実質あまり効果はないようです。これは個人情報ですから、国家や五輪委員会が勝手にそれを流出すれば法的に問題が起きる国もありますので、これは当然のことでしょう。
中国国内ではその情報を用い、法輪功などの関係者の入場を規制する方向です。中国国内でも犯罪的結社は存在しており、ほとんどは暴力的というより、カード偽造などに手を染める組織です。そんな中で、法輪功だけは中国が極度に警戒する武装組織との位置づけになっています。

ウィグル独立派、チベット独立派の動き等、警備に厳戒態勢をひく姿勢を示していますが、北京よりそれで手薄になる他の地区をどう守るのか、という点が重要でしょう。そしてこの北京五輪が偽善的だと感じるのは、組織委員会が精神病、性病、結核を有する患者とともに、ハンセン病患者も入国規制をかけたことです。感染力は極めて弱い、ということは周知の事実となっており、中国では無知なのか、未だに偏見が残っているようです。
中国の4-6月期GDPが前年同期比10.1%と発表されました。四川大地震の影響は復興ではなく放棄を決めた地域も多いことから、軽微との見方もできますので成長は減速し始めているようです。北京五輪までなのか?上海万博までなのか?それとも更に中国の高い成長率が続くのか?高いインフレの中で、今後の中国経済は微妙な段階には来ているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 社会

2008年07月16日

米政府系金融機関について

一昨日発表された米政府系住宅金融機関2社に対する支援策。18ヶ月の時限措置であり、上限は設けないなどとも伝わりますが、この支援策にも市場は好感する気配がありません。大事なことは、この支援で大丈夫なのか?という点ですが、やはり懐疑的な部分が見え隠れします。

米国のビジネスモデルは右肩上がり、つまり成長を前提としたものです。不動産価格の下落は想定されていませんでしたし、下落してもすぐ回復する、との前提が緩い基準の貸し出しを許してきました。しかし下落は一年あまりに及び、プライム側にも影響が出ています。
プライムとは支払い能力の高い側ですが、例えばこの中には金融関係者も含まれます。金融機関の破綻、もしくはリストラにより、支払いが不可能となりデフォルトが拡大、それが更なる不動産価格の下落を生んでいます。延滞率の上昇は、いずれデフォルトとなる確率を高めており、不動産価格と雇用は密接に結びついて、スパイラルのように下に落ちていく傾向を示します。

不動産ローン全体で12兆$、そのうち5兆$をこの2社で保証していますが、デフォルトの危険が高まると貸し倒れ引当金の積み増しを迫られます。5兆$の仮に10%が不良債権と試算すれば5千億$、すでに発行証券の時価総額は越えますし、それを補填するには相当な額の債券を発行しなければなりません。それを米国が肩代わりするにしろ、財源問題は常について回ります。
国有化しても同様ですが、国有化はむしろ悪い方向となるやもしれません。規模の小さな政府が肥大化したこの2社を抱えれば、本当の米国の危機を迎えることになる可能性もあります。今後も試算価値を縮小させる可能性をもつ2社を抱えることで財務上の火種が燻り、今後景気後退局面を迎えて税収の伸びも見込めない。そんな中で、不足する歳入を国債発行で補えば、最終的に米国債の価値を下落させてしまい、それが米国最大の危機、最悪のシナリオということになります。

そうならないよう民間企業として株式を上場し続け、リスクを切り離しておくしかありません。ただこの2社が潰れれば、米国経済どころか世界経済が未曾有の危機に陥ります。暗黙の米政府保証が機能しかけてはいますが、増資に応じる金融機関が現れなくなったとき、一体どの程度の負担を米政府が強いられるのか?空売り規制などで価値の目減りを必死に食い止めようとしていますが、自由な市場に米政府がメスを入れざるを得ないほど、この問題は米政府を苦しめることになりそうです。
日本の農林中金がシティの増資に応じた際「安全性が高く利回りが良い」と述べています。ですが、米金融機関の配当利回りは10%を超えるものも多く、こうした異常事態を生むのは、米金融機関の財務に対して不審があるからです。割安なのか、安全なのかという判断は、特に金融が大きく変動するこの時期、安易に考えると痛い目を見ることになるのでしょう。本当の価値を見抜く目を持つことが、今は大事になってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年07月15日

漁船が一斉に休業へ

今日、国交省の公用車の運転、管理業務に関して、公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで3社に立ち入り検査に入りました。官製談合としても良いぐらいですが、これを独禁法で調査したことは卓見で、官庁の随意契約という不透明な縛りが、不当な取引制限、自由競争を阻害する要因として認定されれば、今後の随意契約にも同様の規制がかかることになります。
原則、競争入札といいながら『過去の実績』を加味すれば、それは新規参入を排除していることになります。95%を越える高い落札率なので、地検が動けば官製談合でも捜査が可能でしょう。天下りが3社で55人とも云いますが、ここにタクシー業界や民間ハイヤーの企業が入れば、安く発注することも可能となります。財政のムダ、国民が望むことの一つがここにありますね。

今日は漁が一斉休業となりました。燃料費高騰で漁に出るたび赤字となる、という事態ですが、政府は補助はできないと繰り返すばかりです。これは漁業ばかりでなく、流通業、農業、全てが燃料費高騰に苦しんでいるからで、漁業ばかりを優遇するな、という声が高まるのを恐れている姿勢に過ぎません。政治家は国民の人気取りのために支援に動きたくとも、今の政府は官僚主導の側面が強いので、財政を心配する官僚の抵抗もあって動けないというのが現状です。
食料マイレージという考え方がありますが、これを逆手にとると面白い考えが出来ます。生産地から消費地が遠いと、輸送に燃料を消費する。だから産地で消費するのが一番、という考え方ですが、この考えを推し進めると国内の一次産業を救う可能性があります。

WTOは食料でも輸出入の自由化をうたい、日本はその方針に従い模範国となっていますが、多くの先進国では農業に補助を出しています。つまり自由化は形骸化しており、日本が諸外国並の農業、漁業保護策をとっても文句は云われません。保護が前提というより、遠くの安価な労働力で作られ、輸入される食糧が日本の一次産業で生産される製品の価格を低く抑える要因となっており、ここにスポットを当てれば解決策が見えるのではと考えています。
産地が遠ければ輸送にかかる二酸化炭素排出量が多いので、カーボンオフセットの考えを取り入れても、輸出される食料価格に上乗せできます。流通業界でも今は小売業が再編を通じて巨大化し、力を握っているため価格を低く抑える傾向があります。燃料費高騰を価格転嫁できる仕組み、政府が考えるならばそれは色々とあるのです。

価格上昇は消費者にとっては痛手です。ですが、水産資源を採り過ぎないという方向で考えるならば、漁の回数を減らしても生活できるだけの価値を水揚げされた魚に与えればよいことになります。値上がりによって一時的には経済が悪化しても、一次産業が活況になれば国内経済が活性化され、やがて上昇カーブを描けることになるでしょう。原油は中期的に見ても高止まりします。そのとき、補助ではない手法を導き出し、実行していくことが大事な時期でもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 政治

2008年07月14日

サミット後の世論調査について

一昨日取り上げた米金融保証会社の2社について、米財務省が株の購入、FRBが公定歩合による貸付という、事実上の公的資金注入を確約する内容をポールソン財務長官が発表しました。しかし両社のビジネスモデルはすでに破綻しており、今後も損失拡大が懸念されています。
2社合わせて8兆円の増資が必要というものから、3兆$がすでに不良債権だ、など様々な憶測はあります。大事なことは、米国がこの2社を支えるのに一体幾らの資金が必要なのか?ということです。米不動産市場が拡大する過程で、2社も肥大化し過ぎたために、その支援に動けば国家の屋台骨を揺るがすほどの巨大資金が必要となります。最後は政府が支えるから民間から支援を、という呼び掛けのようにも見え、問題解決はもう少し先と捉えておく方が良いのでしょうね。

サミット通過後の各社の世論調査が出てきました。福田内閣の支持は維持か微増、サミットはあまり評価されず、政権浮揚には結びつかなかったこと。政権への期待として、消費税を含めた税制抜本改革や消費者行政に対する国民の期待は低く、財政の無駄遣いの削減や社会保障、景気対策がこの内閣へ期待する項目として挙げられていたことがあげられます。
国民は年金、老人医療、経済といった政権の無策の部分に改善を望み、政権が力を入れる点には期待していない。意識の乖離が顕著に見られますが、これが政権の弱点でもあります。内閣改造も叫ばれますが、福田氏の思惑は改造すればすぐにでも解散総選挙としたいでしょう。現状の政策、諸問題からみて国会では悪材料噴出が確実であり、国会を経るごとに福田内閣で選挙を望む声は小さくなります。遅くとも来年には総選挙ですが、ここで解散しなければそれまでに総辞職という形が色濃くなります。

サミットでも、拉致問題でも、竹島問題でも感じるのは、福田政権は『顔色外交』でしかないということです。自国の主張を金繰り捨て、相手の顔色を窺いつつ妥協点を探る。福田外交の骨が全く見えませんが、一連の流れから感じるのは、対中関係がキーになっているようです。
6カ国協議はまさに典型です。世論の反発があり、政府は態度を改めています。結果として国民に不信感をもたれ、それ以上に諸外国からも非難される事態となっています。日本が拉致を前進させたので、米国のテロ指定国解除が動き出した。何で今更拉致で支援ができないのだ?という目で日本が見られているのです。これも政権の態度が変わったことによる負の部分です。

福田内閣はブレの大きい政権運営を強いられています。国民に支持されない法案、政策のため政権運営に行き詰まり、最後にブレなければ決着できないのです。何を守り、何を為すべきか?ということが明確でない内閣では、今後も内閣支持率が上昇することはないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年07月13日

6カ国協議が閉幕(7/12)

韓国人女性が金剛山観光の途中、北朝鮮兵士に撃たれて死亡した事件がありました。北朝鮮は自らの調査のみで、韓国人女性が悪いとして韓国側に謝罪を要求しています。発生の経緯や事情は情報が少なくて分かりませんが、推移は拉致事件と全く同じといえるでしょう。自分たちで調べて終わり、真相究明のための相手国からの調査団すら受け入れません。
確かに内政不干渉、他国の警察権に関与することは難しくとも、双方が納得する形で事件を解決しなければ外交問題に発展するのは必定です。そして外交問題を抱えた以上、全ての交渉にこの問題が絡んできます。6カ国協議でも韓国は支援を受け入れましたが、情報を知りつつ対話路線に転じたイ政権の外交手腕は、極めて国内ウケの悪いものとなるでしょう。

6カ国協議が閉幕しましたが、やはり核の完全放棄がなくともテロ指定解除の流れは続きそうです。作業部会に丸投げ、核の無能力化と経済・エネルギー支援が同時進行など多くの問題を抱えますが、何より重要なのは北朝鮮が核保有国としての扱いを求めていることです。IAEAの査察も条件次第で受け入れとなっており、これでは無能力化など意味がありません。
つまり全ての核保有国はIAEAの査察から兵器の分野への監視を免れており、全ての核計画に関する査察でない限り、北朝鮮は今後も核保有国として振舞うという、これはお墨付きを与えることになります。米中は現状の流れから見て受け入れられるかもしれませんが、これに同調した韓国政権の態度変更は些か成果を焦っている様子も見て取れます。大統領制なので、すぐに崩壊というほど悪い事態にはなりませんが、政権運営にはこの一連の流れ、相当悪い方向に進むでしょうね。

日本は支援受け入れを拒否していますが、国の態度としては極めて正当です。ただ北朝鮮の核申告の不備をついて、テロ指定国解除や支援を引き伸ばそうとする外務省の交渉方法は、正攻法に過ぎるでしょう。各メディアでも、日本の支援受け入れ拒否が北朝鮮の核申告を遅らせる口実になるのでは?という記事がありますが、2国間に懸念があり、かつその中で日本の支援枠を残していること自体、合意という内容とは程遠くなっています。
6カ国協議は多数決ではないので、各国の意向を汲む必要があります。日本の抱える懸念とは、政権が交代するほどの大きな問題であり、解決しなければならないことは各国も理解しているのです。だから強くは要求できない、それが今の6カ国協議の中でもジレンマとなっていますが、これを妥協しては日本の要求は永久に受け入れられなくなるでしょう。
自国民の生命、財産を守るのが国家です。国家がそれを最優先しなければ、国民は国への態度を改めるでしょう。今回の韓国が抱えた問題は、反面教師としてなのかは分かりませんが、それをよく教えてくれることになるかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2008年07月12日

経済の話。米住宅金融に関して

米国で気になる記事が幾つかありました。一つは住宅金融大手・インディマック・バンコープの破綻です。連邦預金保険公社(FDIC)が資産320億$を預かり、受け皿を探すといいますが、米では住宅貸付が慎重になる中で大手の破綻により、更に借り換えが進み難くなると予想され、高い金利のまま住宅ローンを払い続け、結果的に焦げ付きを増加させる悪循環が続くと考えられます。
米国では今、"too big to fail"すなわち『大きくて潰せない』かどうか、という議論が盛んです。政府系住宅金融会社ファニーメイとフレディマックが国有化?という記事もありましたが、今日になりFRBの直接融資という話題もあります。どちらにしろ、資金繰りの悪化した金融機関からは先のインディマックも同様、資金が逃避する方向にあります。

この2社は住宅金融保証に携わっており、破綻すれば米不動産を支えていた仕組みが完全に崩壊します。不動産融資はリスクの高い運用であると金融機関が認識すれば、高い金利でしか融資できなくなります。保証というシステムがリスク軽減に寄与してきましたが、保証する金融機関が経営不振では、保証そのものがリスクとして意識されることになります。
なので、この2社を潰せば影響は甚大です。米国の金融システム全体、不動産融資全体が歪むことに繋がりかねません。too big to fail、公的資金を注入してでも、国有化してでも、この2社を潰さない覚悟をFRBも示すつもりなのかもしれません。ですが、政府系といいながらも株式を上場するこれは民間企業であり、市場原理と異なる判断を米政府が示すというのは、極めて異例のことです。

日本は11日にこの情報が流れ、一時好感して上昇しましたが、米国市場は全く逆の動きを示しました。金融システムの安定化より、金融システムの劣化がそこまで進んでいることに、悲観論が台頭した形です。安定化を望めるほど、米経済の屋台骨は強固ではなくなっており、金融不安が今は直接景気悪化に結びつき易い地合にあることは間違いないのでしょう。
too big to fail、世界もこの言葉を意識しています。金融国家として、先進国でありながら高い成長を遂げてきた米国の凋落、それを食い止めねば、米国の成長に依存してきた世界経済も一旦は底を見に行くことになります。だから世界は米国に気を使っており、インフレに対しても利上げという強硬手段は採り難くなっているのです。
サブプライム問題とは、今や米金融システム全体の問題と捉えても良いのでしょう。金融システムがリスクヘッジの手法を編み出し、それが虚構だと気付いた時点で、正常化する一つの流れが起きると見ています。まだその段階ではなく、もう少し米国の不安は続くことになるのでしょうけどね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年07月11日

原油が再び最高値をうかがう動き

原油価格が再び高値を窺う勢いです。その原因として、日本では米プロパガンダが強いので、イランのミサイル試射ばかりが報じられますが、元は先月初めにイスラエルが地中海で軍事演習をしたことに端を発しています。それを米高官がイラン攻撃の演習と述べたことで、イラン革命防衛隊がミサイル演習という示威行動に及び、中東情勢の不安を受けて原油高騰が引き起こされたのです。
イスラエルはロシアの対空監視システムをイランが導入、今後イラン攻撃が難しくなるとの思惑もあり、事前に核施設や軍事施設への攻撃を企図しているといいます。中東情勢で大事なことは、引き金を引くのはイランの側ではなくイスラエルの側だということです。イランにはイラクの教訓もあり、かつ影の核保有国であるイスラエルへの先制攻撃は不可能です。

イランがこうした演習を行うのは、諸外国からの圧力を国内向けに喧伝する意図があります。イランは選挙が行われる民主国家であり、圧力を国家統制の力に変えるべくアピールする、そうした動きの面が強いのでしょう。アフマディネジャド大統領も決して支持率の高い政権ではありませんが、米国への反発が政権の支持基盤であり、このための示威行動ということです。
中東を知りたければイランの動きより、イスラエルの動きを追うべきであり、それを支援する米国の態度が重要なのです。イランはホルムズ海峡封鎖なども示唆しましたが、日本は中東に石油資源の多くを依存しており、この海峡の安全を担保することが生命線であるともいえるでしょう。日本はもう少し、この地域の動きには敏感であるべきなのでしょうね。

物価関連では、先日6月の国内企業物価が前年同月比5.6%という高い伸びを示しました。5月の消費者物価は1.5%ですから、単純比較はできませんが、価格転嫁が進んでいない現状があり、企業の収益性に影響してくるでしょう。また円ベースの輸出物価が前年同月比4.2%下落、輸入物価が17%上昇ですから、これらも企業の収益性にも大きく影響してきます。
ですが、昨日発表された上半期のビール系飲料出荷でも明確なように、価格を据え置くか、低価格路線を打ち出した企業が高い伸びを見せ、消費者の堅実指向は今後も強まっていく傾向が見てとれます。値上げすれば数量効果は見込めず、値上げしなければ収益を悪化させる。企業にとってはどちらをとるか、苦しいところでしょう。
今日内閣府から発表された消費者態度指数は、過去最低の32.6を示しました。賃金上昇もなく、物価だけが上がる悪いインフレに対し、打てる手立ては少ないのが現状です。原油高騰などの不安定要因を生む要因、米やイスラエルの態度にもより注意すべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 中東

2008年07月10日

雑感、教育界の犯罪について

文科省の施設整備汚職で、参事官ら3人を懲戒免職、4人を減給などの処分とする発表が行われました。最近、教員の懲戒解雇などが目立ちますが、その中でも大分県教委の不正試験の問題などの教育業界全体の問題が発生しました。地方公務員の採用はコネで決まると昔から云われていましたが、これほどヒドイ内容だと呆れるばかりであり、組織的関与はないというのではなく、チェック機能のない組織は組織として機能していないということになります。

大分県教委の問題では、合格者にとっては本来受けるべき権利を剥奪された、民事でいえば損害賠償にあたる内容です。これは救済策ではなく、権利回復という問題であって出来る、出来ないではなくてやらなければならないものです。資料がない、警察に押収されて分からない、という態度では教育委員会も自らの責任を果たしていないことになります。
逆にコネで採用された教員は、本人が関与したかどうかは別としても、身内から贈賄での逮捕者を出すことになります。この事件の拡大、進展具合によっては県議にも影響が及びそうです。金銭の授受や圧力はないとは云いますが、立場上教育委員会に何らかの要求をすればそれは圧力にあたります。つまり相手に恐怖の感情を芽生えさせ、云うことを聞かせるのが脅迫なのですから、圧力があるかないかを判断するのは議員の側ではないということです。

一つ、東京の都立高校の副校長が痴漢行為をした件で、都の人事委員会が処分は重すぎるとして懲戒免職処分を、停職6ヶ月に減じていた事例がありました。これを考える上で重要なことは、女性の洋服の上からでも痴漢をするような者が、教育の場に相応しいのかどうかです。これを痴漢行為の程度で処分の軽重を考えると、生徒へどのような影響を与えるか、という議論が完全に抜け落ちることになります。つまり教員側の都合ばかりを優先して良いのか、ということです。
教育の場に道徳心や愛国心を持ち込む議論もあります。人に教えるとは何か、それは社会的責任を負った大人であるからこそ、出来るものだと考えています。痴漢という欲望に負けた人間が、責任を果たしているかというと甚だ疑問でしょう。これは程度問題ではないのです。

教育者といえど人ですから、何らかの罪を犯すこともあるでしょう。ただ痴漢であったり、詐欺であったり、特定の犯罪は程度ではなく即懲戒解雇でも良いと考えます。自らやろうとする意思をもって臨んだ犯罪に対し、魔が差したや程度問題を考慮に入れていると、結果として判断が曖昧になり、抜け道ばかりを作ることになりかねません。責任を負う者だからこそ、その道を逸脱するような時には高い罰があるという考えで良いと考えていますね。

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2008年07月09日

経済の話。米国の法整備に向けた動き

サミットが閉幕しました。今回のサミットは課題が多く、問題山積でしたが、逆に捉えれば様々な分野で成果を残せる絶好のチャンスであったわけです。しかし日本は八カ国で合意することに拘り、強行に自説を主張する米国を取り込むため、その意見を採用する方向で動きました。結果、米国は主張のほとんどが通り満点の結果を得て、日本は目標とした内容には程遠い結果です。
福田氏は成果と繰り返し述べていましたが、これだけの人、モノ、カネをつぎ込んで何の結果も見出せないのであれば、閣僚級で個別会合でも良いのです一部メディアでは称賛する内容もあるようですが、費用対効果の面から見ても、辛口に評価すれば日本は赤点なのでしょうね。

昨日、米国ではバーナンキFRB議長やポールソン財務長官から、注目の発言がありました。プライマリー向け融資が今年末で期限が切れることを受け、来年まで延長することを示唆したこと、また大手金融機関の破綻が他の金融機関に破綻しないよう、法整備を検討するとの内容です。
インフレ圧力を緩和する手法としては利上げ、資金吸収など金融機関にとって痛みを伴う対応が示されます。その時、破綻する金融機関が出ることを睨み、受け皿となる処理団体を構築するための法的整備を進める。これはついに米国がインフレファイターとなり、世界に向けた責任を果たそうとすることを意味しています。早ければ法律は二ヵ月後、遅くとも来年までには施行できるでしょうから、環境が整ったときにプライマリー向け融資の停止、利上げという方向性を打ち出すことになるのでしょう。

昨晩の米市場はこれを好感して上昇しましたが、金融破綻を織り込んで市場は動いてきたのであり、融資の延長でもう少し金融機関は存続できそうだ、という思惑から売り方の買戻しが入った形です。ただ将来的には破綻を織り込まざるを得ず、財務内容などを見て、弱い金融機関探しがこれから本格的に始まっていくのでしょう。
メリルの資産売却話が伝わりますが、増資ではなく自らの抱える資産に手をつけ始めたことで、米金融も次のステージに移った感があります。すでに時価総額ベースで日本の金融機関を下回るものも出てきており、米国内のみでなく世界を巻き込んで米金融機関の再編は動いていくのでしょう。

日本では昨日開かれた日銀支店長会議で、地域経済報告は東北を除く8地域で景気判断が下方修正されました。急速に進む物価高がジワリと景気に響いており、日本ではまだ何の手も示されていない点で、景気に対してもう一段の下方圧力が強まりそうです。景気が減速するときに増税しか議論の対象にできない、政治の手詰まり感から見ても、景気には悪い材料ばかりが目だってきたように感じていますね。

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2008年07月08日

サミットの経済宣言に打開策はなし

サミットでCO2削減に対し、半減することを『世界全体で採用することを求める』に決まりました。これを国連に求めるのであれば、G8とは何か?という課題に突き当たります。米国の立場を尊重し、同調する姿勢を示す日本に対し、今日は午後から仏、伊が日本との二国間会談を拒否しました。欧州では度々こうしたドタキャンで反目を示す形が見られますが、ホスト国日本に対する不信感は相当に根深いようです。

今日のアジア市場は昨日の裏返し、G8でドル安、原油高などに対策が出るとの期待が剥落し、一気に売りが加速する形となりました。強い懸念は示していますが、具体策はなく、もう現状認識ばかりの国際会議はたくさんだ、という市場関係者からの不快感もあったのでしょう。市場の透明性の確保という文言では、投機と実需を別けたものとはならず、これでは規制になりません。
経済・産業には度々『間引き』ということが起こります。日本では顕著に現れましたが、バブル崩壊後の金融機関の破綻、これが間引きです。市場規模が縮小し、投資機会を失うと少ない儲けを多くの金融機関が奪い合うことになり、回復を遅らせることになります。これを植林と同じ原理で考え、たとえ健全でも数社を除いた方が残った金融機関を早く、大きく育てることができます。
産業界でも、経済が拡大している時は同様のことが起こります。分社化し、拡大するパイの受け皿を多く、広く作りますが、経済が縮小しているときはその逆で吸収、合併という行為が多く行われます。少ない収益機会のまま数社を並列させていると、全体の成長を阻害することにも繋がり、回復を遅らせることになるからです。

米国が規模を拡大していたとき、金融機関では傘下のSIV、ヘッジファンドを作って受け皿としていましたが、今はその規模を縮小している過程にあります。一方で、産業界でも合併が盛んに行われていましたが、一部は資金繰りが容易だったこともありますが、他方では国内のパイが減少する中で世界に飛び出すためには、規模の拡大が必須だったという側面があります。つまり自国経済は常にジリ貧の危機を生じていた、という見方もできるのです。
その世界経済を支えていたともいえる、新興国経済の伸張が今回のインフレで急速に抑制傾向にあります。だからインフレ退治は重要なのであり、G8が明確な態度を示すことを期待されていました。懸念ではなく、対策を示してくれないと世界経済がおかしくなるぞ、と。

インフレ退治に関しても結局米国の意向を汲んだ形です。金融市場に『深刻な緊張』という文言も入れられましたが、米国の態度に付き合っている間に、米金融機関では後どのくらい『間引き』されるのかも分からなくなります。つまりこれは日本が米国を説得できるだけの理論を構築できなかった、ということになりますが、歓待するばかりがホスト国ではないという教訓として、今後も考えていかなければいけないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 22:58|PermalinkComments(7)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2008年07月07日

洞爺湖サミットが開幕

洞爺湖サミットが開幕しました。昨日も取り上げた2050年のCO2半減に対し『望ましいと信じる』との文言に落ち着きそうだと、某メディアで伝えられました。この文言では希望と期待を二つ重ねているので、前進は難しい感じです。各国の利害が密接に絡む地球温暖化対策は、結果的に利権構造の描き方という側面が、更に強まっていきそうですね。
日本がカテゴリー別削減目標を打ち出したCO2排出も、戦略としては間違いではありませんが、国際社会がそれを受け入れる素地にはまだないので、見栄えのしないものとなっています。今回のサミットでも、長期目標の合意に至らなければ、短期・中期の戦略とて見直さざるを得なくなります。今回のサミット、50年の半減目標に向けた明確な転換点にならなければ、ポスト京都議定書に向けた、新たな戦略を構築しなければならないのでしょう。

今日はアフリカ支援が話し合われていますが、日本が率先して議論を主導したいのなら、アフリカ向けの円借款を放棄する、という案があります。日本のODA総量から見ればアフリカへの支援額は少なく、議長国として成果を求めるなら一つの手法としてあります。ただ結果的に国の財政を痛めるので、費用対効果の面で現状踏み込んで良い策とはいえませんが、資源高騰、食料問題が起きる国に向けての支援、という形であれば提案する価値はあります。
新たなアフリカ支援を打ち出した欧州でも、サミット前に福田氏のリーダーシップを疑問視する話題がメディアに流れました。現在、福田氏の外交成果は日中間のガス田問題を前進させたことぐらいですが、日本が主導した側面は小さく、また先月欧州歴訪した際でも具体的な成果がなかったことから、評価も低いものと思われます。

実際、福田政権の支持率低迷に歯止めがかかっていますが、これは国会閉幕中であることが影響しています。サミットを政権浮揚のきっかけにしたい、という思惑もありますが、二国間の成果ですら懐疑的な見方の中、多国間で成果を望むには、日本が強く譲れないポイントを主張するか、他国が妥協できる案を提案するしかありません。しかし日米の力関係から見て、米国の意向に反して日本が主張することも出来ないのが現状であり、そのため力を示しようもありません。
外交の福田が期待されましたが、最大の弱点は人間的魅力に欠ける点なのでしょう。言葉に力がありませんし、先頭を切って人を率いていくだけのパワーも感じません。エネルギッシュ、バイタリティ、なんでも良いのですが、リーダーの資質という面で見ると、世界のリーダーを前にして霞んでしまうばかりです。国内政治でも意見がぶれる福田政権ですから、国際政治の場でリーダーシップを期待するのが難しいのかもしれません。
サミットでドル安警戒発言が出るとの期待で、今日は円が抵抗ラインだった107円を大きく越えてきました。日本は米国の思惑次第でしか動けない、そんな形が為替面でも出ているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2008年07月06日

雑感、排出量取引を考える

明日からサミットですが、注目されているのが地球温暖化対策で「2050年までに二酸化炭素排出量をG8が半減する」ことを、「検討」から「合意」にあげることです。しかし米国の根強い反対から、現状では「率先して努力」との抽象的な内容に留める方向です。
日本政府は「合意」でまとめ、それをサミットの成果としたい意向ですが、産業優位の米国は絶対に飲まないでしょう。米国はエタノール産業や化石燃料に頼らない産業構造に転換したときでないと、態度を変換しないでしょう。それがこれまでの米国であり、自国の利が最大の優先事項です。米国が地球温暖化対策でリーダーシップをとれる内容でない限り、まず乗らないでしょうね。

例えば排出量取引でも、枠を決めた際の不平等感があります。国別の割り当て分、企業の割り当て分のうち、削減した分を取引できる内容ですが、これは富の再配分に寄与する内容ですが、二酸化炭素全体の総量を規制するものではありません。努力代を示して、その成果に応じて特典を与えることで総量を減らすという、いわば副次的効果を狙ったものです。
割り当て分が大きく、達成できない企業や国がその分を買い取る場合、二酸化炭素を削減するために費やすべき研究開発費を放出する形になります。努力を促すべき罰則的内容が、削減のための資金を殺ぐ形になれば本末転倒です。そうならないために、早く削減するべきという意見もありますが、上記したように割り当て分には不平等感があり、産業界にも反発の強いものとなっています。

カーボンオフセットも同様の考えですが、個人ベースで自分が輩出した分の代金を支払うという考えは、富の再配分には繋がっても総量の削減には寄与しない場合があります。それで森林の再生や二酸化炭素を吸収するシステムを作るのではなく、単に排出権を買うのであれば、何の効果もありません。単に個人が満足感を得るためのシステムということになります。
企業や国が開発をやめることも、二酸化炭素の削減には繋がります。それでも道路を造り続ける、と述べている時点で国の本気度はうかがい知れます。森を減らさず、活性化させるだけでも二酸化炭素の吸収率は高まります。国全体がどちらの方角に向かうのか、道筋を示せないうちは世界を動かすだけのリーダーシップもとり難いのでしょう。
休耕田などの農地を活用することでも、二酸化炭素の吸収は可能です。海外で行われている砂漠緑化事業などでも良いのですが、自然を再生することで二酸化炭素を減らすような、そういう方向にもっていくことが、大事なのだと考えていますね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2008年07月05日

経済の話。インフレと金融不安

3日、欧州では6月の消費者物価が4%上昇したことをうけ、政策金利を0.25%利上げして年4.25%としました。ただ声明文で中立姿勢を打ち出し、これが連続利上げと受け止められなかったことから、ドル高ユーロ安、つられて円も対ドルでは安くなりました。
一方で米国で発表された6月雇用統計は62000人減、失業率5.5%と市場予想に近い数字でしたが、4、5月の雇用統計が下方修正されており、全体としてはマイナス面が強かった形です。ただ市場では悪材料出尽くし感も拡がり、また下げ過ぎとの観測からダウは反発、同日発表されたISM非製造業景況感指数が48.2となったことでNASDAQは続落しました。

日本の証券市場は12日連続下落、53年ぶりの記録を作っています。これは3月からの戻り相場を牽引した両輪、外国人投資家と投資信託からの買いが止まり、売りが嵩み始めたことが最大の要因です。実はこの間に米国市場も小幅の戻りは試すものの、一貫して売りの姿勢が強く、同期間を計算するとダウは7%下落、日経平均は8%強下落と、水準はほぼ同じになります。
同時に商品市場は活気づいていますが、一方で債券市場からはやや資金が逃避しています。世界のマネーフローは証券、債券への資金流入が細り、金、原油などのインフレに強い市場へと再び資金を移している状況です。12日連続下落は単に演出という面が強いのですが、背景にはマネーフローの変化があるので、下げるだけの理由は存在していることになります。

欧米の銀行株指数が下がっていますが、金融不安が襲う現在、インフレ加速に対しても資金吸収することを不可能にしており、これが各中央銀行の利上げという選択肢を狭めています。金利政策は機能麻痺となっており、今回のインフレは当初云われていたような、景気減速により世界が大打撃を受けるまで、資金量という面から見ても止められないとの観測もあります。
つまり市場が混乱し、乱高下を繰り返すうちに損失を出した投資家が市場から減り、新規資金の流入が細るまではインフレ傾向が続くということです。その間、世界経済は高インフレにより、貧困国は暴動などの政情不安と治安の悪化し、大混乱することになります。その端緒はすでに世界のあちこちで見られ始めており、長期化すれば影響も拡大していくでしょう。

先進国とて、米国がトップをきって生産調整と雇用減に陥っていますが、欧州、アジア、それに日本でもこの影響は襲うでしょう。残念ながら、ペーパーマネーと空手形で金融市場を増大させ、結果的に混乱を助長することになった金融機関を潰していく覚悟がない限り、今回のインフレを止める術は見当たらないからです。
インフレ、金融不安、どちらを潰しても経済は相当に痛みますが、どちらも潰さずに乗り切れる術はなく、逆に両者が最悪期まで進む可能性も否定できなくなっています。欧州の弱気な利上げ、米国の不透明な態度、世界のリーダーたる国が道筋を示せない今、その危険性はかなり高まってきているのだと思いますね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年07月04日

年金積立金が5.8兆円のマイナス

年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)の07年度の運用が、5.8兆円減となったことが今日発表されました。GPIFに関しては先週辺りから少しずつふれてきましたが、悪い予感が的中した形です。-6.4%という数字はGPIFが預かる91兆円分のものですが、まだ5年間の累積収益が7.4兆円ある、というのは間違いで、年金給付は複利計算されますから、利息に対して利息がのらなければ年金原資は給付水準が納付実績を越え、常に毀損していく形となります。

今年の4-6月期をみると、NYダウは-8%、日経平均は+5%という形ですので、証券市場の収益はあまり期待できないことになります。運用目標の割合は証券は国内、国外合わせて20%程度と低くとも、再び下落局面に入れば再びマイナスを計上する可能性もあります。日本でも配当利回りが上がっているので、インカムゲインまで含めると4-6月期はややプラスにも見えますが、それとて運用が目標に達しなければ原資を毀損していくことになります。
年金は通常の保険と元本に対する補償の考え方が異なるので、一概には捉え難いのですが、原資の毀損は結果的に国民が被る形になります。国庫からの支出は税金からの補填なので、給付を減らすか税率を上げて国庫負担分を増やすしかありません。そんな中、与党PTから出てきた10兆円の日本版SWF構想で、一つの考え方を示したいと思います。

与党PTが真に『プロの運用』でリスク管理が出来て、収益を上げられるというなら、国会議員の議員報酬から金融保証として、一定額を積み立てる案があります。仮に10%とすれば月13万円、ボーナスも含めれば200万円近い額が一人の議員から集まり、国会議員720名とすれば14億円が一年で集まります。それを運用の失敗に備えて積み立てる法案を作れば、仮にマイナス運用となってもその損失分の穴埋めに寄与します。
運用でプラスとなれば年金利回り分を除いた額の数%を配当として回し、マイナスになればそこから補填される。積立なので、議員が失職するときには一月単位で運用実績を出して、その分を相殺して支払う。当然、マイナス幅が大きければ受け取りがゼロということもあるわけです。

先にも書いたように、年金は本来国民の財産であり、強制的な資産運用でもあるわけです。資産運用の手法に国民の選択肢が用意されていない以上、運用損失をそのまま国民や国庫に被せるだけではダメなのです。10兆円の14億円では1%にも満たない額ですが、文書費などを含めて議員報酬から一年で5%が消えるかもしれない、という提案を議員がすれば本気度が分かります。
公益法人に関しても、幾つ削減するかで議論するのはムダで、幾つ残すのか?つまり削減に体力を使うようでは絶対にうまくいかず、残すなら理由を示させる、ゼロからの積上げにしなければ、無駄ゼロを謳おうと会議を幾つ作ろうと、結果が期待できないことになります。本気度を示したいなら、会議を複数つくることではなく結果に繋がる手法、そうしたものから見直すべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 年金 | 政治

2008年07月03日

雑感、各国の動きについて

今日の日経平均は54年ぶりの11日続落です。ここまでくると、15日続落という最長記録を破りたくなる層が現れるかもしれず、その点が不安です。欧州ECBの0.25%利上げ、米雇用統計6万2千人減、失業率5.5%。この数字が今後どう影響するかはじっくり見ていかなければいけませんね。

中国とその周辺国が荒れています。貴州省の大規模デモ、モンゴルでも総選挙を巡り与党共産党に対してデモが発生しています。背景は役人の堕落、選挙の不正などもあるのでしょうが、やはりインフレと格差の拡大による国民の不満があり、そこに役所や上の人間が悪事を行っていた、とする観測が流れると不満が一気に爆発する形が顕著に見られるのだと考えています。
中国やモンゴルでは、圧倒的な武力で抑止する姿勢をとっていますが、このままインフレが続くと民衆の不満は更に高まり、治安が悪化していくと考えられます。経済が政治に関係ない、などと考えていると大きな間違いで、経済の安定が治安には大きく影響するのです。国民の不安や不満がたまるとき、それは国家が傾く、変革の流れが起きる重大な転機と考えるべきなのでしょう。

そんな中、米国の北朝鮮に対するテロ指定解除の動きに関して、ブッシュ氏が日本のメディアに対して「忘れていない」と発言したものがありました。ただブッシュ氏に主体的な判断はなく、ライス、ヒル両名の意向が北朝鮮問題には大きく影響しています。なので、忘れてはいないけれど今後も米国は粛々と指定解除に向けた動きを続けるのでしょう。
福田氏は対中、対米に追随するかのように『歓迎』を示しましたが、先に一部制裁を解除したのは日本であり、当然の発言とはいえるのでしょう。ですが国民はこれを支持せず、新たな火種を抱えた形です。ブッシュ氏がこの時期、必死に後退ではないと発言するのも、サミット議長国に対する配慮があるからです。残念ながら米国の流れを変えるには、対北に関する見方が大きく転換するような、そんな重大な出来事が発生する以外、ないのでしょうね。

最後に、中東でもイスラエルによるイラン攻撃の可能性が取り上げられています。現状、イラクの航空管制は米国が握っているので、米国が容認すればイラクを飛び越えて、イランの核施設にイスラエルが攻撃するのでは、という話が米政府当局者の話として囁かれているのです。
イラン側からはホルムズ海峡の封鎖まで示唆されており、そうなれば原油供給がとまり、日本にも多大な影響があります。イスラエルは国際社会の混乱より、自国の利を優先する傾向があり、イラン攻撃は体制の変化がない限り、いずれ決行する意思もあるのでしょう。
現在、インフレが深刻化する世界、食糧問題が発生する世界には、不安定要素が多いといえます。サミットで何が示せるのか、日本には重い課題があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 中東

2008年07月02日

日本版政府系ファンドについて

今日の日経平均は10日続落となりましたが、これは43年ぶりの出来事です。今回の続落の背景は、米国の反発期待を抱きながら国内勢が買い支えて外国人売りを吸収してきましたが、市場占有率から見ても外国人の売りに国内勢は対抗できません。よってじりじりと下げた結果、耐え切れなくなって売りを出した形が今日であり、13300円を狙った売りに買いが負けた形です。
米国は弱気相場入りとの端境期にありますが、弱気相場入りが確認されると、もう一段の下げが意識されます。今週はECB、米雇用統計等重要イベントも控えますが、日本にも下方圧力が強まっていることを意識して、ここしばらくは動くべきなのでしょうね。

自民党国家戦略本部のSWF検討PTで、日本版政府系ファンド(SWF)の設立に向けた報告書案がまとまったようです。公的年金基金の一部、10兆円程度を政府が全額出資する運用会社にプロを雇って委託、運用益を年金原資に充てることと、更に収益が計画以上に拡大するようであればそれを国庫に入れて活用する案も浮上しているようです。
まず、年金は年金積立金管理運用独立行政法人ですでに運用されています。また政府系金融機関など、国が原資のない機関のために短期債券を発行して運用する部門もあります。つまり今回設立されるSWFがこれらと異なるのは、年金を原資としてハイリスクな投資を実施することです。

私は運用にプロはいないと考えています。運用で給料を得て、生活できればプロという考えもありますが、30年携わろうと、1年目であろうと経験の差があるのみで、結果についての保証はできないからです。例えばサブプライム問題は運用のプロが多く携わっていますが、誰もその如何わしさに気付かず、投資を拡大させて失敗という結果を招いています。
みずほがメリルリンチに、三井住友がバークレイズに出資、という話が伝わりましたが、その後もこれらの金融機関は市場価値を縮小させており、邦銀のこれらの動きは失敗だった、金融不安が続く中でタイミング的に早すぎたという評価もできます。プロだから高い収益を得られる、などという妄想は捨てた方がよく、また結果を残してきた運用担当者は成功報酬の少ない、こうした日本版SWFに参加することもまずないと言えるでしょう。

しかも今後数年、確実に景気不安が投資機会を縮減させます。投資が成功する確率は少ないといえるでしょう。景気拡大が4年続いたとすれば、最低でも2年は世界経済が混乱します。重要なことは、投資する体制をつくることと時期とはまた別だということです。中国のSWFがほとんど成功の実をあげていないのも、サブプライム問題発生前に運用を加速させたことが原因です。日本もその例に学ぶのなら、しばらくはそのタイミングでないことは歴然なのですけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済