2008年08月

2008年08月31日

雑感、終身刑導入の刑法改正案について

日本でも記録的な大雨により大きな被害が出ていますが、米国でもカテゴリー4のハリケーン「グスタフ」の上陸が心配され、多くの住民に避難勧告も出ています。米国では、南米ベネズエラの原油資源に頼ることも多く、石油生成施設の多くがメキシコ湾に隣接するように建設されています。また中南部の穀物地帯も集中することから、このハリケーンの動き、影響次第では再び原油高、穀物高などを引き起こす可能性があります。
日本もこれだけ雨が続くと、肝心なおコメの実入りにも懸念があるところですが、世界の気候と農作物の安定供給という二つには、今後も振り回されることになるのかもしれませんね。

政界では解散風も強まり、時期を取り沙汰され始めましたが、そんな中で議員連盟「量刑を考える超党派の会」が、終身刑の創設に対して刑法改正案の提出に動いているとのことです。無期懲役の位置付けが仮釈放により曖昧となっているため、その差を埋めるため、刑務所に収監した後は恩赦による減刑のみ、刑の減殺を認めようというためのものです。
終身刑導入は、死刑制度廃止の議論と平行して論じられる場合もあります。この議員連盟にもそうした動きがありますが、それ以上に注意しなければならないのは、似通う刑の執行方法で刑罰を区別するのは危険だということです。裁判員制度も始まりますが、何をもって死刑なのか、終身刑なのか、無期懲役なのか、一般の裁判員に分かり易くするためにマニュアル化されると、その隙間を狙って犯罪者が動くこともあります。一方で、曖昧なままではやはり、裁判員が量刑を判断するのに分かり難くなってしまいます。

この問題は、仮釈放という考え方をどう捉えるか、で解決する方が極めて自然です。仮釈放を許可する更生保護委員会のあり方も見直すようですが、こうした曖昧な量刑を設けることは、いずれ混乱を引き起こします。そしてそれ以上に問題を引き起こしそうなのが刑務所の不足です。
再犯を繰り返し、刑務所に収監されようとする人物もいます。また地域振興をかねた刑務所誘致も、地元の反対にあい現状では芳しくないようです。民間運営の刑務所にしても、収益と安全性の担保の面から参入も難しい面があり、新規の刑務所は立ち上がり難くなっています。うがった見方をすると、景気が低迷すると治安も悪化しますので、今後に関しては益々刑務所の数が問題視されるでしょう。

刑務所では社会復帰の一部として、家具を作るなども行われていますが、この労働力をもう少し生かす方向で考えても良いのかもしれませんね。日本では、映画にもなった第2次大戦前の板東収容所などの歴史もあり、学ぶべき点は多いでしょう。海外に100%頼る農産品などを自作し、価格安定に努めることなど、色々と考えていくべき点は多いのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 司法

2008年08月30日

経済の話、今週発表の経済指標

今週を振り返ると、日米で重要な経済指標が発表されました。米国では4-6月期GDP改訂値3.3%増(速報値1・9%)、輸出が13.2%の大幅増、輸入が7.6%減でこれが数値に大きく影響しました。米国で好調な輸出は穀物です。外需が好調な理由をドル安としか説明されませんが、穀物価格は2、3月に高値をつけた後で反動安に陥っています。ただ4-6月に実勢の取引が行われ、これが輸出に上乗せされたのです。
GDP3.3%のうち、外需分を除くと0.2%増なので内需が弱い形が見て取れます。それを裏付けるように、7月の個人消費支出が前月を0.2%上回ったものの、インフレ調整をすると低い値です。個人所得は減税効果が消えたことで0.7%減、日本でも定額減税が今後議論されますが、税還付の方策は一時的な効果しか得られない、ということを米国が証明してくれています。

日本では7月消費者物価指数(CPI)が2.4%上昇、日銀が暗に志向する調整値1%±1%を越え、10年半ぶりの高い伸びです。9月からガソリン価格が下がるので、伸び率は抑えられるといわれますが、2%台は当分堅持しそうです。6月の個人所得はボーナスが1.5%減となったことが影響し、前年同月比0.6%減ですから、物価の伸びと所得が相反していく関係が明らかとなっています。
7月消費支出は0.5%減。大幅減となった6月(1.8%減)より改善しましたが、猛暑の影響もあり、所得が減るから支出も減る、物価が上昇しているので購買数量が減少していくという形は当分継続しそうです。日本の景気は総合対策を見ても、しばらく浮揚のきっかけは掴めないのでしょうね

3月に日米欧が協調介入してでもドル安阻止に合意した、と伝わります。米国はそれを一部にリークし、政府保証付きでファンド筋がドルを買い上げた。その結果ファンド勢にドルが溜り、これ以上の身動きがとり難くなっている、というのが背景のようです。この異状な資金によるドル買いが継続するか、アジア通貨危機を再発させるのか、時間軸の争いになってきました。
地銀破綻が10行目、米連邦預金保険公社(FDIC)は後3、4行の保証しかできないと言われる中、2F支援策といい、米財務省による国債増発を誘発しかねない状態にも関わらず、米ドルが上昇するというのは、こうした不透明な資金の流れが生み出しているのでしょう。

日本の証券市場に少しふれれば、金曜日先物大手が、月末ドレッシングを巻き込んでの一気買いで上昇しましたが、週末の米市場の影響から買い方が再び損を抱えた形です。反対売買次第では、来週は12500割れを試してくる可能性も出てきました。円/ドルもポジション整理が始まったような動きを示しており、予断を許さないところでしょう。9月相場は期待薄とも言われますが、先物の買い方の負けが続くと、一気に売り方が元気になって急落を見せることも多くあるので、こうした動きには警戒しておくべきでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年08月29日

総合経済対策がまとまる

ゲリラ豪雨の被害が拡大しているようです。これまでの規模や推計では推し量れない雨量、日本の気候が今後も大きく変動していくという想定で、これからも自然災害に備えておかなければならないのでしょうね。

政府が進めていた総合対策が出てきました。事業規模は11兆円、これと別に定額減税も別枠で2兆円規模とされますから、総枠では13兆円といったところでしょうか。ただこれは来年度予算も含まれたものであり、08年度の補正予算は1兆8千億円、これを財政融資資金特別会計内にある、金利変動準備金の未償還分を充当し、赤字国債の発行は福田氏の意向でやらない方針です。
昨日、各省庁がまとめた来年度概算要求が発表されましたが、86兆1千億円程度、年度では4兆円弱の増加です。総合対策内では本来の政策範囲で行うべき内容も含まれるので、86兆円のうち幾つかが総合対策内に含まれている、と考えればほぼ同義的に用いることができます。

定額減税も7月CPIが2.4%を越え、所得拡大はない中での生活費の補填であり、経済対策ではありません。夜間高速道路の一部値下げも、すでに運送業界では高速を利用しないよう通達が出ており、夜間は一般道も空いているため効果も限定的でしょう。むしろ利用者が激減し、道路財源確保のために値下げせざるを得ないだけであって、経済対策でも何でもありません。
中小企業の資金繰り支援も、本来は銀行が負うべき業務です。これまでも一部を公庫がその役割を担ってきましたが、10月に組織改変もあり、保証枠の拡大なのか、融資条件の見直しなのか、で影響も大きく異なってきます。しかもこれは政府保証国内債と呼ばれる債券で賄われ、中小の破綻が拡大すると政府の損失が拡大する可能性も出てくるものです。

来年度概算要求と合わせ、今回の総合対策は『歳入規模を損なわず、歳出規模を確保する』という色彩の強いものとなっています。このため項目は並びましたが、具体的な支出はほとんどないという、これが緊急対策?と目を疑うばかりの内容です。費用対効果でも、アナウンス効果でもなく、これは単に政府が景気に目配せしたということでしかないのでしょう。
残念なことは、特別会計内にある埋蔵金、ムダを抽出するチャンスを再び失ったことです。つまり本来、大型の補正を組む場合は省庁の尻を叩き、官僚から資金捻出を促せる絶好の機会でもあるわけです。しかし概算要求と重ねてしまったことで、予算枠を確保する方向で省庁が動き、それをもって経済対策だというに留まりました。本当に必要なことは何か?国民に訴えるようなものは、今回の対策では何もないと言えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年08月28日

民主党を離党して改革クラブ立ち上げ

アフガニスタンでNGOペシャワール会の方が亡くなった件で、町村官房長官がテロとの戦いの重要性を説きましたが、これは全く異なります。一時沈静化したテロが再び拡大し始めたのも誤射、誤爆により住民被害が拡大する中で、反米感情が高まったことが影響しています。
これまでもイスラム、中東勢力から日本は友好的に見られてきました。これには様々な要因がありますが、ペシャワール会のような草の根の友好、農業支援などもあるのでしょう。本来、テロを抑制するには貧困からの脱却が必要であり、こうしたNGOの活動の方が友好な面をもちます。そんな中、日本が米追随姿勢を崩さない、テロとの戦いを叫び続けるため、反米の目が日本にも向けられるようになり、テロの対象になってしまっているのです。
テロリストにも家族がいて、多国籍軍がテロと『戦う』ために、殺害された家族は恨みや反感を抱きます。日本が給油支援にしろ、この『戦い』に付き合う以上、現地での活動が難しくなります。なぜアフガンの治安が悪化するのか、その分析や検証もないまま国民を危険に晒すことは、決してあってはならないことです。町村氏のような紙に書いてあることをただなぞるような、そんな意見では何ら説得力を持たないことは確実なのでしょうね。

民主党の渡辺秀央、大江康弘、姫井由美子議員が離党し、無所属の荒井、松下両議員と合流して改革クラブを立ち上げました。以前から造反、欠席を繰り返しており、離党の噂は絶えませんでしたが、代表選を前にして目立つ時期ということで、今回の発表に至ったものでしょう。
昨今の選挙では、有権者が自分の投じた票の価値を意識するようになりました。このため、少数政党では投票もムダになるとの意識から敬遠される傾向があります。つまり第三勢力は嫌われる傾向にあり、法案によって態度を変えるような政党は、益々支持され難くなっているのです。

特にこの改革クラブは理念で立ち上がったわけではありません。脱党組の受け皿とも云われますが、極めて政局的で国民には支持されないため、このまま参院選は戦えません。噂される平沼新党や自民脱党組にしろ、この程度の少数では連立を組むに値せず、むしろ相互の感情を考えれば接触も控えてくるでしょう。参院での民主の多数は揺るぎませんから、民主の感情を損ねると法案成立が難しくなりますので、どういう形にしろ民主に配慮した政権運営にならざるを得ないのです。
少なくとも20人程度の支持を集めて脱党するぐらいでないと、支持基盤を持たない少数政党では、存続も難しくなります。また以前ならまだしも、今は政党をコロコロ変える人間は選挙も戦えないでしょう。結果的に、この動きは自民党が割れれば芽もあるでしょうが、それ以外ではあまり意味がないことになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(16)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年08月27日

米民主党大会について考える

昨日から米民主党大会が開かれています。焦点は陰りが見え始めたと言われるオバマ氏の人気に、どう歯止めをかけるかです。クリントン氏を最後まで支持した勢力の一部には、白人至上主義も見え隠れしますし、その件で暗殺計画も発覚か?とも伝わります。
メディアでは宣伝に利用されたとの反省から団体名を公表しませんが、米国ではKKKが白人至上主義団体として有名ですし、現在も第三次KKK運動と称して、分裂した一部には過激活動を続けるところもあります。黒人に対する偏見は、初の黒人大統領が現実味を帯びれば当然出てくる問題であり、深く横たわる蔑視の感情は投票行動や、仮に大統領になった後でも影響を及ぼしてくるでしょう。

そして諸外国も米大統領選を睨んだ動きをしています。まず北朝鮮が核放棄計画の履行を停止する発表しました。北朝鮮にとって最悪のシナリオは、共和党政権が続き、更にネオコンが力を吹き返して、米が強硬路線に転じることです。ブッシュ政権に圧力をかけ、また選挙戦でも共和党に失点をつけるべく、今回の発表に踏み込んだということです。
冷却塔の爆破が象徴的に流され、六カ国協議の進展が演出されましたが、懸念したように今度はその冷却施設の再建がカードになり始めました。北京五輪を終え、中国の干渉も緩くなった今、北朝鮮は再び恫喝外交に移行する、その態度を示し始めたということなのでしょう。

グルジア問題では、ロシアが南オセチア自治州、アブハジア自治共和国の独立を議会で承認しましたが、世界から非難を受けても強行した背景には、露軍を駐留させる根拠を得なければならない、との思惑からです。つまり独立した国でなければ諸外国との軍事交渉は不可能であり、平和維持軍と言い張ろうと、国家間交渉で撤退を要請されれば露軍は撤退しなければなりません。
つまりこれは、ロシアは独立を認めている、だから軍を駐留している、とする根拠作りです。米が大統領選の最中で大規模軍事行動はとり難い、その間に既成事実を積上げる狙いなのです。ただこの目論見は国際法に違反していることが明瞭であり、ロシアに同調する国は少なく、国際社会でも孤立化を生むでしょう。小国が恐れる大国のエゴがむき出しにされており、内政干渉という重大な懸念には、例えロシアに近い国でも同調できないからです。

これらは大統領選にも影響します。対外関係が緊迫化すれば、選挙戦でも外交が主要な課題となるでしょう。融和的、とのレッテルは人種の壁を越えようとするオバマ氏にとってマイナス材料でしかありません。バイデン氏を副大統領につけ、弱点を補ったつもりでも、守勢に回ると脆い部分はクリントン氏が民主党代表選びで充分に示してしまいました。演説、という人に訴えかける攻めの姿勢で支持を得ただけに、それを貫けないとオバマ氏には厳しい戦いが続くのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 政治

2008年08月26日

農水相の事務所費と小麦価格

太田農水相に事務所費問題が発生しました。農水相は鬼門とされますが、これはなり手がおらず、紆余曲折して決まったため身体検査が効き難かったことが影響しています。また福田氏は人選で派閥均衡に拘り、このため古賀派の中で順位的に適当な人間として太田氏が選ばれたという、能力、身奇麗さが優先された結果ではないためこうした問題が発生します。

日曜日の某番組で、小麦卸価格に関するキックバックの問題を取り上げていました。日本の外国産小麦取引では、政府が一括して買い上げ、それをメーカーに卸す方式をとっています。その内一部を公益法人に上納金の形で収め、公益法人は国産小麦の格付けや生産農家に補助金といった形で配分します。公益法人の人件費はこの上納金から賄われています。
問題は法的根拠のない上納金に対し、農水省は事実上それを収めなければ卸さない方針を示し、各メーカーに拘束をかけている。各メーカーはそれを価格転嫁し、消費者に高騰分を回していることです。しかも農水省は自主的に行われている慣例、として関与を否定しています。もしそれが慣例で、物価高騰の一助になっているのなら、農水省は撤廃に向けた動きを示さなければなりませんが、公益法人は天下り先であるため、知らぬ存ぜぬを貫いています。

運送業界が軽油の減税や燃料サーチャージの導入を求め、デモを行っていますが、物価には一つの側面があります。妥当性と耐性を有する水準にある時は、税金や上納金が掛かっていても多くの人間は不満を感じません。しかしある一定の水準を越えると、価格に余計に付加されているものに目が向き始めます。これは購買層の耐性が低下し、価格妥当性を失うからです。
しかも税金は法的根拠を有しますが、小麦の上納金は慣例であるため、単なるコストと意識されます。しかもこの上納金が国産小麦の振興に本当に役立っていれば良いのですが、数量に関係ないため農家もあえて多く作ろうとの気概も生みません。多く作ればコストとの兼ね合いで赤字を膨らませるだけだからです。この段階で、この公益法人は機能していないともいえるでしょう。

世界的な小麦取引価格は下落しても、日本の小麦卸売価格は上がる。低い価格であれば、価格調整機能が働いた上乗せ分ですが、外部要因が大きく変化した今、それは余計なコストとなっています。この仕組みの見直しに手をつけられない時点で、農水省や農水大臣の役割を果たしていないともいえるのです。昨日の経済財政諮問会議でも農業再生を謳っていますが、検証を省庁に委ねていると、自浄能力も働かず見直しが効かない、ということだけは確実なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2008年08月25日

中国はバブル崩壊なのか?

北京五輪が終わり、中国経済に関して様々なレポート、記事が出されています。多いのが中国バブル崩壊という見方ですが、一義的な見方をすると中国という国を見失う恐れがあります。
中国では3〜6兆円規模の景気対策の噂もたえませんが、インフレ圧力の強い国で景気対策を打つと、深刻なインフレを引き起こす可能性があります。7月の中国CPI(消費者物価指数)は前年比6.3%と高い伸び率ですが、PPI(生産者物価指数)は前年比10%上昇と、価格転嫁の進んでいない側面があり、まだまだ伸びる可能性を含んでいます。中国のインフレ目標は4.8%ですが、賃金上昇率を含めるととてもではありませんが、この程度の数値で納まるものではありません。

4-6月期、中国のGDPは前年同期比10.1%上昇と2桁成長を達成しています。これは先月発表された内容ですが、同時に発表された内容はおや?と思わせるものがあります。今年上半期の名目固定資産投資は前年同期比26.3%増、名目小売総額は同21.4%増。前者は不動産などへの投資ですが、不動産価格の変動と比べると高過ぎると感じます。物価変動を除く実質ベースでは15.9%増なので、高い伸びではありますが、それだけ投資があれば、不動産価格は益々高騰しているはずです。
北京五輪で一時的に経済が止められた側面がありますので、その影響の度合いを考えると、7-9月期GDPで10.2%の成長を見込む中国政府の強気の姿勢が窺えます。つまりここまでの中国政府発表の経済指標ベースの検討では、中国はバブル崩壊もなくやや成長は鈍化しても、堅調に推移すると述べていることになります。

しかし五輪で明らかになったこと、それは『見栄え』を重視する中国の意向です。外向きには演出を施し、その手法に対して間違えているという認識はありません。中国政府にとって都合の悪い情報は隠し、数字を公表しないのは人権抑圧に関するものも同様です。
つまり公表されるマクロ経済指標を見る限り、中国のバブル崩壊はまだ先になる可能性があります。ただし、国内では人件費高騰に伴う企業の撤退、下落を始めた株、不動産により資産価格が目減りを始め、経済としては下降トレンドにあることは確実になります。見かけと内情に大きな差のある状態、それが進行する形になっていくのでしょう。

更に世界が中国のこうした態度に気付くと、投資が止まる可能性があります。経済指標とは統計学ですから、信頼性の高いものでなければなりません。しかし中国は国家の威信にかけても都合の悪い情報を隠す、これは公平な市場ではありませんから、純投資には向かない市場なのです。
北京五輪が終われば、当然のように各国が中国との付き合い方を考えはじめます。巨大消費国としての道に歩み出せなければ、各国が中国を見限ることになります。その時、深刻なバブル崩壊となり、あの広大な国が泰山鳴動して10億匹の子が変革へと動き出すことになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(6)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 経済

2008年08月24日

経済の話。債務超過のニュースが色々と

北京五輪が閉幕しましたね。バレー、サッカー、野球、卓球まで含めて、メディアが期待感を煽った球技は好結果を得られず、唯一ソフトボールでは溜飲の下がる思いでした。世代交代の進んでいない日本のスポーツ界の現状と共に、メディアともどもスポーツの盛り上げ方に関しては、考えていかなければいけないのかもしれませんね。

米国では政府系住宅金融公社(GSE)への支援策発動、リーマンブラザーズ(RB)証券への買収報道などがありました。両者とも噂の類ですが、すでに債務超過にあるといわれるGSEの増資に応じる投資家がおらず、今週にも発動されると言われます。RB証券に関しては、韓国産業銀行や中国の金融機関に出資を打診したといわれ、決裂とも、継続とも伝わります。
GSE支援策では様々なパターンが語られますが、米国が国家財政を傾けて支援することになるため、現行株主や債券保有者にとって都合の良いものにはなりません。またこの流れの行き着く先はドル安となるはずです。原油価格高騰が米経済への打撃となることが明らかになり、一時的にドル高誘導が起きていますが、米国債が増大する過程では常にドル安が起きてきました。これは国家規模、財務状況の他に、そうすれば債務が一時的に緩和される効果を狙うためです。
RB証券に関しては、一時的な損を抱えても米国市場への参入を狙うという思惑があります。ただ、韓国もウォン安を抱えてドルへの投資は割高に感じており、RB証券の損失規模と出資比率の計算次第、というところもあるのでしょう。大型の出資交渉が破綻するような時には、RB証券は極めて危険な状態へと陥ることになります。

先週の日本の証券市場は月曜日の大手先物ディーラーの大量買い、その反対売買に怯える相場でした。上に向かっても、これまでの手口から短期で売ってくること確実、買い方が萎縮して相場を押し下げた形です。大分整理もついたので、週末の米市場の上昇を好感し、週初は上げられても買い方がかなり痛んだ形であり、更なる上値追いには慎重になってくるでしょう。
日本の景気対策、各省庁の概算要求8兆円規模と伝わりますが、1兆円を大きく越えるようだと補正では足りないので、財源手当てを考えねばなりません。財務省が06年度の国の資産を703兆9千億円、負債を981兆2千億円、債務超過額を277兆3千億円と発表しました。一般会計と特別会計を合計した年間の歳入規模を超えるほどの債務となっており、早急な手当ても必要なところです。

赤字国債の発行が必要なのか、与党内の意見も割れているようですが、日本の場合赤字国債の発行は円安ではなく、国内経済の悪影響に直結する場合があります。国債の買い手が国内金融機関である割合が高いからですが、債務超過の解消がなければ、益々国債としての魅力も低くなるでしょう。景気対策の規模、内容次第では日本の価値の低下が顕著になるかもしれず、様々な意味で大事な策になるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年08月23日

大企業健保組合が、政管健保へ移行

陸運大手・西濃運輸の健康保険組合が解散しました。高齢者医療制度改革に伴い、老人保険制度、退職者医療制度、合わせて07年度の拠出が35億円。08年度には両制度の経過措置分11億円、後期高齢者支援金21億円、前期高齢者保険金25億円となり、合わせて58億円が必要となります。保険料率を月収の8.1%から10%まで上げなくては対応が難しくなりました。赤字覚悟で運営を続けるのか、就労者の負担を増すのか、の2者択一を迫られた結果、国庫から13%の支援のある、主に中小企業が加入する政管健保に移る決断を下したのです。

これまでの一連の厚労省の動きは、増え続ける医療費抑制のための制度改革です。その結果として、大企業の健保組合の負担が約4100億円増、国保は4500億円減となると試算されました。国保加入者まで健保組合からの拠出を求められる制度改革の結果、サラリーマン世代の負担割合が増加したのは、上記からも確実です。仮に経過措置分が単年度で消えても、健保組合の負担は10億円も増えているのですから。
政管健保は経営の苦しい中小企業の従業員が加入する保険ですから、税金が投入されています。大企業の健保組合の内、7割から9割へ赤字が拡大すると試算されていますが、それらは大企業の持ち出しにより補填されますから、企業負担は増えることになります。一方で、赤字を就労者に付回せば保険料率を上げねばなりません。どちらにしろ、今回の制度改革で救われるのは国保、即ち税金投入分です。

しかし上記のように、大企業の健保組合が解散すれば政管健保へと移行が進み、結局税金の投入が加速されます。これは後期高齢者医療制度導入時から問題視されていたことですが、現役世代が負担増となる付回しも、結果的に国に返るという一つの流れに過ぎません。
一部に低所得高齢者への付回しもありますが、利便性を犠牲にした医療費抑制との2本柱が、今回の医療制度改革の真相です。この流れがハッキリしてきた後、何が起こるかと云えば、選挙対策用の『見直し』という名の制度改革でしょう。医療費抑制は見た目だけ、このままいけば税金投入を余儀なくされ、再び財源不足に陥ることは必定です。看板の架け替えが政治の常道、付回しはいつの世も一時の目晦ましには役に立ちます。

これはシステムの問題であり、どこを叩いてもいずれは国に跳ね返ります。仮に国民負担が増大すれば、選挙対策として減税や大型公共投資のための赤字国債の発行、財政の根幹に関わる問題にも手をつけ始めます。今の流れ、今後の政府の動きには、日本をどういう国にしたいのか、ということが現れるはずであり、より注視していかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 企業 | 政治

2008年08月22日

キレる若者の調査について

今年の夏は非常に暑いと感じますが、今日、北海道の稚内で最低気温1.5℃、観測史上最低記録で115年ぶりの更新だそうです。オホーツク海高気圧の影響だそうですが、暑い場所と、冷たい場所、それが混在すれば豪雨や雷雨もおき易くなる、ということなのでしょうね。

渋谷で自称70歳という女性が20代の女性を刺す、通り魔事件がありました。今週に入って文科省が「キレる若者」の研究のため、各方面からの人材を募るとの発表もありましたが、現在の日本でキレるのは若者だけではなく、高齢者を含めて全世代間の問題だといえるのでしょう。
これまでにも日本では昭和50年代半ばまで用いられた鉛の水道管のため、鉛毒症が起きていると指摘してきました。微量の鉛を摂取し続けると精神障害を引き起こし易くなり、ローマの滅亡にも関わっていると云われます。鉄不足に陥ればうつと同じ症状を引き起こしますし、こうした栄養、生活に関係した分野での包括的な知見は絶対に得ておかなければなりません。

一方で、最近気になるのは動物園で育った動物に育児放棄が多いということです。これらには子供への接し方が分からない、幼い頃に親と引き離された、同じ動物との接触が少ない、等の問題が考えられます。もう一つ、最近知人から聞いた話で、知らぬ間に親に受けた仕打ちと同じことを自分の子供にしている、と云います。
人間には逃避機構があり、嫌な記憶は自然に忘れようと努めますが、それは深層心理に押し込められるだけで、完全に忘れることはありません。街中でもよく子供にキレて怒鳴りつけている親を見かけますが、相手がイラついてキレるという体験をした子供が大人になり、同じような状況に陥った場合、深層心理に刻み付けられたことを追体験しようとするのではないでしょうか?

意外と、現代の方が親と子供の接する機会も多くあります。かつては放任が多く、外で子供同士で遊ぶことも多かったからです。現代は外で遊べる場所が減り、家で親と過ごす、親と一緒に出かけた先で遊ぶ、という機会も増えました。親が寛容で、キレなければ問題ありませんが、その親もまたキレる親に育てられてきた場合もあるということです。
キレるという行為は、うまくいかないことへの苛立ちを発散するだけで、弱い人間のすることです。ただ大事なことは、人との接し方は世代間をまたがり、影響を及ぼしていくということです。なのでこの問題は短期的に見ても意味がなく、継続した調査が必要なのでしょう。文科省が今頃になって調査するとしている点も遅きに失していますが、それとは別に、全世代に範囲を拡大してキレる行為への検証が必要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2008年08月21日

臨時国会の召集時期は?

北京五輪、サッカーは銅を逃しましたが、ソフトボールは金に輝きましたね。2日で400球以上を投げ抜いた上野投手には頭が下がる思いです。本当に良かったですね。

臨時国会の開催日程が揺れに揺れています。8月末を睨んだ攻防は与党内の亀裂から断念、9月末を主張する公明との中庸をとって9月中旬としましたが、民主党代表戦で当面の日程が潰れる上、国連総会への出席を福田首相が予定されているため、実質9月下旬の開催となりそうです。
国会の開会を宣言すれば、開店休業状態でも費用がかかります。といって、今更9月下旬に延ばせ、福田氏のリーダーシップに関わります。給油支援法の衆院再可決を睨んで召集時期を8月末、と先走って言及してしまったことが発端ですが、意外と福田政権はこの根回しもない記者発表が多くあります。調整型とされますが、福田氏の決意が伝わらず、そのため周囲の動きがバラバラでまとまりがありません。その場に合わせて対応するため、最終的にどう転ぶのか、それまで色々な人間が勝手に動いてしまうということが影響しているのでしょう。

臨時国会の焦点が給油支援法ですが、昨年と同じ理屈で『必要』と語られることも多くあります。必要とする理由は々餾盜弩イ箸いξ場でテロとの戦いに日本だけ離脱して良いのか、海賊被害の軽減にも有用、というものです。ただ,郎鯒明らかになったテロ作戦以外への転用、原油購入商社との不透明な関係、など日本の運用上の失態について明確な説明はなく、△聾従でも海賊被害は多いですが、多国籍の海軍が海賊の取り締まりにどの程度効果があるか、という検証がない点が上げられます。
つまり必要性を説明する側が、その責任を果たしていないため、国民に理解が進みません。多くのアンケートでも反対が多いのは、必要性の説明に国民を説得するだけのものが足りないからです。テロとの戦いが有効に機能せず、むしろ拡大傾向にあること、リーダー格の米国とて戦略の見直しが近いこと、その中で日本だけが同じ理屈を通そうとしていること、などです。

国家は時に、国民が不満に思うこともしなければならない場合あります。しかしテロとの戦いに関しては、武力対武力の誤ったメッセージを送り続けるなら、国際社会は多額の出費と多くの犠牲を伴います。強大な戦力をもって封じ込めればテロを起こすしかない、そうした理屈はテロを容認するものだという誤った認識がありますが、そうではありません。
テロが発生する原因を潰さずに強引に押さえ込みに行けば、反発からテロを生み易くなるということです。日本国内に納得をえるには、どうすればテロを根絶へと導けるのか、という明確な指標を示すことなのでしょう。戦略もなく、米国に阿諛追従するだけの支援では、負担を押し付けられているのみ、としか国民の目には映らないのです。この件で国民に審を問えばいい、との意見もあるようですが、政治家の思惑が国民と乖離する中、意外な結果を導くかもしれませんね。

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2008年08月20日

雑感、福島の産婦人科医裁判について考える

福島県立大野病院で、帝王切開での出産中に癒着胎盤を剥がした際、大量出血して母親が死亡した事件について、福島地裁で判決が下りました。業務上過失致死と医師法違反に問われましたが、判決では標準的医療行為の範囲を逸脱していない、警察に24時間以内に通報しなかったことも、異状死とは呼べないとして無罪判決を言い渡しました。

事前に注目を集めたのが、通常の医療行為を逸脱していないとする産婦人科医師会の動きと、外部の専門化委員会が執刀医の判断の誤りを認め、それに基づき警察が立件したことです。医療全体の萎縮に繋がるとした医師全体の動きとして、難しい治療が判明すると、大病院に移す流れが起きたことも特筆でしょう。極端にリスクテイクをしなくなった医療業界の流れが継続するのか、という意味で今回の判決が注目されていました。
胎盤は本来、出産時に剥がれるものですが、元々は胎児に栄養、酸素を送っていた大切な器官です。手で剥がせなかったからハサミ、という判断には違和感もあり、ヘラやかき棒などの手法をとらなかったことには釈然としないものも感じます。慌てて子宮の摘出手術に切り替えた、ということも出血という観点で見ると疑問です。最近の手術は輸血を極力嫌いますから、帝王切開が外科手術に切り替わった時点で、充分な対応がとれる体制があったとも考え難いものです。

医療ミス、医療過誤、通常の医療と比べることも出来ない一般人は、医療従事者から事情を聞くことしか出来ません。問題解決には、やはり専門知識をもつ第三者委員会と、検証方法の確保なのでしょう。病床でも点滴のミスなどは起きますが、少なくとも手術室にはカメラを置き、病院側が触れないようにして、後に検証が可能なようにすべき段階には来ています。
それが医療従事者を萎縮させる、という考えは間違いで、萎縮してメスも揮えないような医師は医療現場から退場すべきです。医師は聖職でなく、人的流動性、交代のある方がより優秀な人間が残り、技術のない者は淘汰される社会となります。医師の数を増やすことと同時に、そうやって権威主義を排した風通しの良い社会とすれば、若手の優秀な人材が育ち易いといえるでしょう。

一方で、医療も介護も点数制による弊害があります。薬の出し過ぎなども指摘されますが、人と接する部分を点数化して医療費を割り出すため、微に入り細をうがつような規定がなされ、不正請求や点数の高い医療が優先される傾向があります。医療の世界の透明化を増し、その中で医療従事者の収益機会を増やす。難しくても、そうしたやり方を模索しない限り、不信感に基づく裁判や医師離れという現状に対応できないのでしょうね。

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2008年08月19日

グルジア問題について考える

北京オリンピックで、110m障害の中国・劉翔選手の棄権について、中国ではネット批判が高まっているようです。メディアや国家も擁護姿勢ですが、これは国家批判へと結びつくことを恐れたものです。英雄に祀り上げたのは誰か?期待を煽ったのは誰か?そうした犯人探しが始まれば、その批判は国家が全てに関与する中国共産党に向かうことは必然です。イメージ戦略ばかりが重視される北京五輪の演出とともに、経済の停滞という逆風が吹き荒れる中、国民の不満のはけ口の逃がし方には神経質になることでしょうね。

グルジア情勢を考える上で、内政干渉という視点から考えてみます。グルジアは小国ですが、歴史的にみて様々な国の支配を受けており、ソ連の一部となった後も独立機運の高い地域でした。結果、ソ連崩壊で独立を勝ち得た後も、内部にソ連共産党色が強く残ったために政情不安となり、当時のシュワルナゼ政権がロシア軍の受け入れを決め、その後成立したサアカシュヴィリ政権のNATO接近と軍事作戦により、今回のロシア軍の侵攻に至っています。
ロシアはこの問題で、軍の駐留は平和維持軍だとしていますが、相手国が不要とすればロシアは撤退しなければなりません。ロシア国籍をもつ者がいるから、という理由は何ら意味がなく、極論で同じ理屈を通せば、日本国籍をもつ日本人が北朝鮮で虐げられ、生存が確実だと日本政府が考えれば自衛隊を北朝鮮に送ってよい、と述べているようなものです。

どんな国でも、相手がNOといえば軍を退かねばならない、それが内政不干渉の原則です。グルジアが戦端を開いた、という事実がNATOの動きを鈍くしていますが、ロシアが居座り続ければ、やがて国際法上の懸念が大きくなることは確実であり、経済制裁などが起きるはずです。
すでに投資資金はロシアから撤収を進めているようです。資源国ロシアと言えど、強行路線をとり続けると、国家戦略として先進国が相手国への投資資金の流入に規制をかけ、強引に投資資金が引き剥がされると、経済封鎖以上の下押し圧力もかかります。今回の動きでNATOの結束を強める結果にも繋がっており、ロシアとしても投資資金の逃避、という流れは深刻に受け止めてくるでしょう。

内政不干渉とは厳密に護られなければならず、それに反する行動は他国を結束させ、当事国を追い込ませることになります。ロシアもガスパイプラインの権益確保、脅威の維持という観点で動いていると、経済問題が噴出することになるでしょう。どんな資源国でも、新規資金の流入がない、資金逃避が起きる国では経済が停滞するものです。ロシアは資本主義に参加してまだ数年、軍事的な懸念が付きまとう国には資本投下が難しい、と言う事情を知るには早かったのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 ロシア | アジア

2008年08月18日

経済の話。最近の日本の証券市場の動き

パキスタンのムシャラフ大統領が辞意を表明しました。欧米では親米路線に踏み切ったムシャラフ氏の評価が高いものの、内政の停滞、軍政に基づく高圧的な態度など、国内の総選挙で敗れたムシャラフ氏が注目されていましたが、イランが衛星打ち上げに成功したと発表したのとほぼ同時ですから、イスラムへの核問題として今後もパキスタン情勢は注目を集めそうです。
パキスタン軍がこのまま黙っているとも思えず、人々に指示された連立与党ギラニ政権への揺さぶり、国内でのテロの加速や国外への武器の密輸など、軍が政治に関わると多くは負の影響が内外に大きくなります。インドの動きも含めて、中東情勢の新たな火種として、影響は大きくなるのだと考えています。

最近、あまり触れていなかったので日本の証券市場について考えてみます。振幅の大きい相場ですが、現物株式の売買は少なく、先物の動きの大きさがこの値動きには影響しています。先週、オプション市場で13500でのポジション組成が見られたので、今週は上に振ってくると見られていましたが、案の定先週同様、週初は上に向けて振ってきました。アジア株が崩れて最後は息切れしましたが、値動きを出しているのは先物に大きな影響をもつ欧州勢です。
日本ではこの欧州勢が大きなボリュームで売りと買いのケンカをしている状態なので、値動きが不安定で、かつ大きくなります。予想はほぼ無意味であり、日々その勢力のポジションの組み方を見て、次は上か下かを予測するしかありません。継続性はなく、思惑相場ですから行ったり来たりを繰り返すのみです。

実勢として日経平均の居心地の良い水準は12000円程度。今は楽観が上乗せされ、13000円台にも乗りますが、現状の実力で13000円台後半に乗せるには迫力不足、なのでポジションは13500〜12500がメインとなっています。よほど外部環境が大きく崩れない限り、先物はこの水準で値動きを出して儲けるチャンスを狙ってきますので、そこを目処に動くしかありません。
ただ、この先物の動きがいつまで続くか?と考えるとやや不安もあります。ヘッジをかけるためのポジションではなく、これはオプションと先物を組み合わせた、純粋にリターンを狙ったものです。成功すれば利益が出ますが、失敗すれば損失も拡大します。このような動きを続けられるのも、コモディティから逃げた資金が一旦先物に流れているからですが、損失を拡大させたファンド筋の淘汰も今後は進むでしょう。

問題はこの動きが消えた後、何が起こるかなのですが、売買代金の低迷など、変動の激しさに疲れて底枯れしてしまう場合があります。若干裁定売買も拡大気味ですが、継続して現物株式に流れるようにならないと、今のままでは息切れも早くなると考えます。新規資金の流入が当分期待できない中では、日本の成長戦略、規制緩和による市場の拡大など、魅力ある国作りを内外に訴えることが、地道でも最も近道ということでもあるのでしょうね。

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2008年08月17日

景気後退局面について考える

いざなぎ越えの景気拡大が終わった今、日本に残ったものは何か?それは国策として推し進めた『新興国化』という現象です。日本では政界、財界が国際競争力の名の下に、成長著しい新興国との輸出競争力を身につけるため、先進国の中で唯一、新興国並みであることを目指しました。
一部でこの政策が誤りでないのは、日本は資源を輸入して製品を輸出する、加工産業が盛んだということがあります。多くの先進国が金融部門を発達させ、産業の停滞を補ったのとは全く異なる方向性です。その結果、サブプライムの損失拡大という点は防げましたが、先進国で真っ先に景気後退を意識されるというレッテルも貼られることになりました。

先進国の物価高が軒並み4%を越え、日本は2%だから影響は低い、という考えは間違いです。賃金上昇率が加味されていないからであり、日本はここ数年の賃金の伸び率から考えると、物価高の影響は他の先進国以上に消費を減退させる可能性があります。
他の先進国は高い成長に伴う生活レベルの向上で、不足した低賃金労働者を移民という形で埋めてきました。日本ではこの段階で、インドネシアからの看護士、介護士の受け入れを進めていますが、他の先進国の流れと比べると遅い対応であり、これまではそうした労働層を国民の中から生み出すため、給与水準を低く抑える傾向を放置してきたと言えます。

この新興国化の影響を強く受けたのは派遣労働者です。低い管理費、人件費で雇える派遣労働者は、日本が新興国並の生産性を保つために絶対に必要なことでした。このため日本には正社員と非正規社員の間に、先進国並の生活を享受できる層と新興国並の生活に貶められた層が出来た、ということになります。その結果、内需が極端に低下、日本は人口減少社会という事態と同時に、国内の購買需要の減少という新たな局面を迎えることになったのです。
この内需の停滞は極めて重く、今後数年は日本を苦しめるでしょう。財界も新興国との競争力を未だに提言していますから、今回の景気後退局面を受け、更に雇用を控える傾向が出てくるでしょう。そうなると再び雇用環境の悪化、賃金も低く抑えられ、内需拡大は望むべくもありません。

今後の日本に求められるのは成長戦略の描き方です。成長を促すドライバーとして何を軸に置くのか?日本に求められる成長戦略とは、今も、これからも、まだ提示されてはいません。安心が実現すれば経済成長するわけではありません。当然、その下地は必要ですが、それは現状維持の必須条件であり成長はその先にあります。現状の政権のうてる手が現状維持に留まる段階で、日本の景気が回復するのはまだ当分先であることが、自明となってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2008年08月16日

江戸時代について調べています。

最近の日本を考えるために、江戸時代に学ぶべきことはないかと色々と資料を探しているところです。ただ江戸時代とは階層社会にありがちな、究極の賄賂社会であり、現代の日本と比較するにはあまりに違い過ぎる、という点に気付きました。武家の中でも階層、町人の中でも階層。上の階層から与えられる権利が利得への最短の手段であり、その権利を得るために賄賂を積み、金で権利を買います。同層の者とは付き合いという名の金銭のやり取り、役人の世界でもお目こぼし料や付け届けなどが発生、斬り捨て御免の世界も金で解決できるという有様です。

一つ、面白かったのは犬公方として知られる五代将軍・徳川綱吉と、黄門様で知られる水戸光圀公の評価です。この二人は犬を虐殺した者を死刑、に代表される生類憐みの令で綱吉公と光圀公の対立が知られます。生類憐みの令は天下の悪法とされ、光圀公は反抗を示すために猫を磔にしたり、犬の毛皮で作った座布団を綱吉公に送ったとされます。それが江戸の町民にうけ、光圀公は庶民の意見の分かる天下の副将軍、綱吉公はバカ殿というのが後世の評価でも定着しています。
江戸で犬を飼っていたのは狩りをする武家。しかも放し飼いですから、江戸市中を野犬化した大型犬がのさばり、町の人が襲われたり、逆に野良犬を侍が試し斬りする状態でした。何度か幕府鉄砲隊が山犬退治に出向いたりもしており、多いときは江戸に10万匹の犬がいたとされています。

当時の世相は、10歳前後の少年が斬り合い、互いに亡くなってもよくやったと賞賛されます。火事とケンカは江戸の花、血生臭いことはむしろ退屈な日常の刺激、程度にしか意識されていません。合戦がなくなり、必要のなくなった馬を捨てたり、街道で倒れている人がいても見て見ぬフリ、殺伐としていたというよりそれが当たり前の時代であって、それに反する行動をとることなど考えもしていなかったのでしょう。
しかしこれを現代に照らしてみると評価が180度異なることに気付きます。生類憐みの令の中には「捨て馬、捨て子、捨て病人」の禁止、などの弱者救済案も含まれます。動物虐待が罪となる現代では、光圀公の猫を磔にした態度の方が咎められるべきであり、野良犬4万匹を収容した綱吉公の処遇は飼い主のモラルを問い、野犬との隔離を促した画期的な策なのかもしれません。

現代の思考、法律に近い態度は綱吉公の側であることは明らかでしょう。しかし当時は光圀公が持て囃され、行ってもいない諸国漫遊などが今でも人気を博しています。しかし現代の愛犬家、愛猫家が信じられないようなことをした人物、という見方をすると評価も変わるかもしれません。綱吉に時代の変革者としての評価がつかないのは後世の演劇、時代劇の影響が強いせいもあるのでしょう。しかし現代的感覚で歴史を考察すると、また面白い見方ができる、ということを知ることも必要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2008年08月15日

雑感、裁判の話題で二つ

今日は終戦記念日ですが、グルジア情勢を見る限り、戦争とは国家の思惑次第で簡単に起こり得るものだということを、改めて考えさせられます。大国が絡むと国連は機能停止、特に資源国に成長したロシアでは禁輸措置すらとれない。欧州の調停、米国の介入、ロシアを説諭するしかない時点で長期化が確実であり、その間にも多くの人が被害を受けることになるのでしょうね。

今日は後一年と迫った裁判員制度の件もあり、裁判のことを少し考えてみます。一昨日、障害者自立支援法の負担免除を求める訴訟を起こした、との記事がありました。障害者自立支援とは本来、障害者の自立を目指し、就労のためのトレーニングする環境を与えるためのものです。しかし施設運営のため、利用料として障害者に1割の負担を課したことで、障害者基本法に反する違憲行為だとして提訴したものです。
障害者は健常者と比べ就労が難しく、収入は障害者年金などであり、そこからの1割負担は生活を脅かしかねない額です。施設は単に就労支援というだけでなく、障害者が集まれる場所としての機能もあります。1割負担が障害者の健康的で、文化的な生活を脅かすしている構図は、高齢者医療制度などの流れと同じ、国が応分の負担を利用者に求めた流れの一端にあります。収入の乏しい人に負担を求めれば、生活に支障をきたすのは当然です。負担は免除すべきなのでしょうね。

次に、現職判事がストーカー事件を起こした件で、懲役6ヶ月、執行猶予2年の判決が先週下りました。執行猶予を付与した理由に「社会的制裁を受けた」と語られましたが、この「社会的制裁」という言葉はこれまで、弁護士、裁判所の判断に便利に利用されてきました。
しかし法の下では原則、人は平等のはずです。もしこの事件を名もなき被告が起こしたのであれば実刑、となると誰もが首を傾げるでしょう。社会的に地位のある者は執行猶予され、地位のない者はそれがなく実刑となる、では量刑の判断に平等の原則が崩れることになります。

しかも動機面で争う姿勢を見せており、真摯に事件を反省した様子は窺えません。この判決の中には、最高裁が求めている訴追の後、国会の裁判官弾劾裁判所の結果が出るまでは積極的に判断を下したくない、という裁判所の思惑が働いたものと見て間違いないのでしょう。
社会的に地位のある者はそれだけの責任を負います。それは最初の記事でも取り上げた、障害者自立支援法にもあるのでしょう。障害者が最低限の生活をおくれるよう、国は義務を負っているのであり、そこを外しては全ての判断を暗くします。裁判員に選ばれた人間が、法の下の平等という考え方に立つ時どう判断を下すのか、ということを今は問われていると言えるのでしょうね。

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2008年08月14日

日朝実務者協議で合意へ

お盆に相応しい話題を少ししておきます。私は霊感があるとか、そういう類の人間ではありませんが、毎年1度や2度不思議な体験をします。今年も6月に夜中、寝苦しくて眼を覚ますと、傍らに所々がシャボン玉のような滲んだ色をした人が立っています。気にせず寝ようとしたところ、今度はその立っていた人が空中に浮かび、私を見下ろしている姿があります。私は「邪魔」と一言いうと、そのまま眠ってしまいました。
私は霊的なものを見ても怖くありません。怖いのは明らかにこちらを害しようとしている場合であり、それは生きている人間でも、霊的なものでも換わりありません。『恐怖』はコントロールが可能、怖さを感じるのはこちらを害しようとする場合ですからそれにどう挑むのか、それが大事なのだと考えています。そう考えると、霊的なものだから怖い、ということもないのですね。

日朝実務者協議が昨日、合意に至りました。北朝鮮は拉致事件の捜査に対し、一旦白紙に戻して調査委員会が再調査を行う。進捗は日本側に通報、秋頃までには終了。調査結果を日本側が直接確認できるよう協力。一方で、日本は再調査開始と同時に人的往来、チャーター便の往復を認める、というものです。
今回の日朝協議は、事前の調整がなく踏み込みましたが、合意という結果を得ています。ただ交渉は北朝鮮ペースで、日本側は万景峰号入港を最後の砦として、一定の規制解除には応じる形となっています。外務省が「制裁解除は調査結果が出てから、では外交上難しい」と述べていますが、この意見がまさに北朝鮮の条件を飲む応対だったことを示しています。

福田政権は米中への阿りが強すぎて、外交相手として相応しくない、北朝鮮からもこう見られているのでしょう。米中を動かした方が、直接日本と交渉するより門戸が開き易い、となれば当然そうするでしょう。米国が一旦テロ支援国指定の解除を延期しましたが、スケジュールの変更ではなく、むしろ秋口に大統領選の日程を睨みつつの解除となるはずです。
つまり北朝鮮の動きもそこを睨んだものであり、日本との交渉で時間引き延ばしと規制解除という融和状況を演出しつつ、米国の指定解除を待つ腹でしょう。拉致議連や被害者家族会などが米国に乗り込み、交渉するのも、現在の福田政権下では致し方ないのでしょう。

福田政権は中国という基軸の外交戦術はありますが、それが足枷となった失態が多いのも事実です。中国ギョーザ事件の隠匿もそうですが、これは現在の外務省内の動きにも沿うものであり、今回も六カ国協議の議長国・中国に配慮し、また米国の動きにも合わせて一定の制裁解除に踏み込みました。行動対行動、外務省はそう説明しますが、日本国民が納得する行動とは何か?それが福田政権、外務省の思惑とは違うということだけは、今回の動きでもハッキリしているのだと考えますね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2008年08月13日

経済の話。4−6月期GDPについて

4-6月期GDP速報値が前期比0.6%減、年率換算2.4%減と大きなマイナスとなりました。閏年効果、4-6月は年度を越えて公共投資などの落ち込みあり、市場予測とはほぼ一致しましたが、輸出減の大きさが事態の深刻さをうかがわせます。更に7-9月期の回復見通しのうち、住宅投資が大きく伸びるとするもの、輸出が戻るというものなど、首を傾げる内容が多かったことなどから、市場では悲観的な流れが強まっています。

不動産で気になる動きが、URBANの民事再生法申請ですが、マンション販売などを手がける業者の体質が急速に悪化しています。2、3年前に計画された物件が多く、REITに外資が参入してマンション販売、商業不動産などが活発化しだした頃に建設が始まったものも多くあります。高値で計画されたものが今、ほぼ投売りに近い価格で一括買取ファンドなどに流れているようです。
6月にスルガコーポレーションが破綻したとき、メインバンクは支援せず、破綻を放置しました。暴力団との関係も取り沙汰され、関係強化の道に踏み込めなかったからです。バブル時は銀行が主導して地上げなどの行為に手を染めましたが、今は新興不動産会社の一部でそうした動きがあり、現状そうした闇勢力との繋がりは銀行も嫌います。このため融資基準が厳しくなり、不動産業の融資に応じ難くなっているのです。

GDPの回復には公共投資を増やせば良い、という意見もあります。算定項目にも含まれるからですが、単純にGDPを回復させても実感なき景気拡大に陥るだけです。特に建設業の内需貢献度が低下する中では、日本は財政を圧迫するだけで、国債利払いに怯える悪い形が顕在化します。
重要なことは、海外の動きに振り回されず、自主独立して景気を変動させる力を日本が持ち得ているか?です。そんな中、最近の日本市場は欧州勢の先物の動きに振り回されています。日米の先物ディーラーとは取引枚数の桁が違うので、この思惑で相場が大きく変動します。8、11日と大きく買い、12、13と大きく売った。これがSQ通過後の日本市場の流れを形成しています。

日本の証券市場も外国人投資家が6割、先物ではもう少し市場占有率が高いかもしれません。J-REITも同様、外資が逃げ出せば最高値から半分にまで下落しています。海外の経済が変動すると、真っ先に資金引き上げの対象となる、日本市場の脆弱さはここにあります。
といって、為替では日本人の豪ドルの買い持ちを売り崩されて今日は大きく動いています。日本人の海外ファンドの投資額は未だにそれほど減っていません。日本の資産は海外へと持ち出され、一方で政府は外資呼び込みを謳います。証券優遇税制も延長しないと与謝野経財担当相は語っています。
日本は国内景気を回復させ、日本国内で資金が循環する国を目指さない、政府の動きはこう云っているようなものです。これでは益々倒産も増えますし、低成長のまま景気回復も外需任せという従来の形を変えることも出来ないでしょう。今一度、国の仕組みを考え、新たな収益の形を目指すべき時なのに、政府の腰の重さは致命的なものに感じられますね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(7)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年08月12日

経済の話、原油価格の急落について

日銀が発表した企業物価指数が前年同月比7.1%増と、第2次石油ショック以来27年ぶりの高い伸びを示しています。原油や金価格は一旦調整局面に入っていますが、卸価格に反映されるまで時間差があり、また高い水準で妥結した資源価格は、企業間取引ですぐに下落することはありませんから、まだもうしばらくはインフレ圧力の高い状態が続きます。
トヨタが商業車、NECがパソコンへの価格転嫁を検討していますが、消費減退が目立つ中での値上げとなりますし、個人所得は減少していますから厳しい判断です。しかも投資信託、不動産など、個人資産の目減りも目立ちますから、消費意欲は更に減退するでしょう。贅沢品は、生活必需品などの価格上昇で消費が抑えられる傾向があり、利益率の悪化をどの程度織り込んで、数量を稼ぐのかということは各企業でも頭の痛いところなのでしょうね。

WTIの価格下落を受け、OPECが減産するのでは?という懸念が台頭しています。これだけの急騰、急落を引き起こした背景には投機マネーの存在があり、最低でも増産に応じた分の削減程度は行ってくるでしょう。しかも短期的には価格が下落すると景気にとって好影響ですが、産油国にとっては収益の減少という重大な局面を迎えます。恐らく、今後1バレル150$近辺になっても、産油国は投機マネーの仕業だとして増産には応じなくなることが考えられます。
今回、急速にドル高に移行していますが、以前も指摘したように米国以外の経済の減速が目立ち始めたことによるドル買戻しです。この上乗せ分を差し引くと、原油価格の下落もある程度相殺されるので、必ずしも日本にとって好影響とはいえない面もこの動きには含まれています。

1$が90円台の頃、米国への輸出は全体の4割弱、だから影響は少ないという論調もありました。その論を踏襲すると、ドル高局面でも影響は軽微との見方もできます。逆にユーロ圏への輸出減の影響、アジア通貨への影響などを含めて考えると、ドル独歩高という現在の流れは、あまり歓迎されるべきではないのかもしれません。
本来、経済の好循環を生むためには、好調な国が全体を引き上げる方が戻りも早いのです。金融不安の消えない米では、原油価格の下落で消費が喚起されるとして小売セクターも堅調ですが、雇用削減がすすむ国では消費も弱くなるのが通常です。ドル高だから日本から輸出が増える、収益率が改善すると考えるのは早計であり、この局面のドル高はやや厳しい見方で良いのかもしれません。

全体として、資源価格の下落は経済にとってよいことです。が、バルチック海運指数が減少を続け、資源価格が急落する。世界経済全体の減速が急速に意識され、それに沿う動きが加速すると、企業業績などに悪い形の影響も増えるものです。今は特に、世界が落ち着くのはまだ先、ということを意識して動くことが大事なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2008年08月11日

総合経済対策の骨格について

北京五輪で日本人選手の活躍は嬉しく思います。例えば柔道66kg級の内柴選手は、従来の日本柔道会の解釈では背中がついたら負けですが、世界柔道の趨勢は技の途中であれば問題なし、というもの。内柴選手も抑え込みへの一連の流れ、と見られてそのまま抑え込みが認められました。様々な競技でも不利な条件で日本は戦わされますが、こうしてそれを有利に生かして戦うことも、今後は必要なのかもしれませんね。

政府が総合経済対策の骨格を発表しました。(価高などの不安解消、安心・安全を実感できる対策、低炭素社会の実現、新価格体系への適応を促す措置、です。,楼緡邸非正規雇用、学校耐震化などを含み、△歪脅命住宅や持続可能社会への措置を含み、は業種ごとに構造改善などを促す資金などの支援を含みます。
これは福田政権の掲げる重要課題と大差なく、何ら目新しさはありません。全ては8月末に具体策ということなのですが、,亡泙泙譴覲惺斬竸眠修箘緡鼎覆匹老从兮从ですらなく、△覆匹牢袷瓦棒策目標です。つまりこれは経済対策ではなく、安心実現プロセスの一つであって、,諒価高対策との中小企業支援などが数少ない経済対策となるのでしょう。

といって,剖饌虜はなく、もすでに打ち出されている内容が目立ちます。与謝野経財担当相が会見で、歳出増も已む無しとの発言をしていますが、この程度の内容なら本来は赤字国債の発行など不要です。つまり重要課題と同じ内容が並ぶので、それらはすでに本年度予算に組み込まれていなければならないからです。公明が主張する低所得者への減税などの対策でなければ、補正予算を組む必要はありません。
つまりここで政府がこの程度の内容で赤字国債などを匂わせるのは、具体策を取りまとめる段階で、財政健全化を堅持しつつ経済対策が打ち出せたことを喧伝するための方便とも受け取れます。一方で、歳出増が必定となる項目を盛り込みたければ、今回の発表で先鞭をつけたので、ハードルは下がったことになります。どちらに転んでもこの骨格発表で政府が損をしないように、そうした配慮が働いたものなのでしょう。

大事な中身がないので評価しようもありませんが、日本の景気後退が意識される中で、この程度の骨格しか組めない点で政府の手足は確実に縛られていると感じます。むしろイザナギ越えの景気拡大は外需依存、世界経済の好調さに支えられてきたのであり、政府はこの十年近く経済政策という点では無策だったといえるのでしょう。
太田農相が「消費者がやかましいから…」安全や安心の対策をする、旨の発言をしています。国民の声を届ける議員の立場にいる者がこの程度の認識では、政策や対策などが出なくても当然、という面もあるのでしょう。安全や安心が揺らいだのは事後対応のツケでもありますが、事後対応すらままならなくなったのが、今回の経済対策と見ても良いのかもしれません。限られた予算というのではなく、政治・行政が効率化して資金を捻出できるようにならなければ、国民は『やかましく』云い続けなければいけない、ということを改めて考えさせられますね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年08月10日

国民年金の納付率が2年連続低下

社会保険庁が7日、07年度の国民年金の納付率が63.9%となり、前年より2.3ポイント低下したと発表しました。国民年金の被保険者は役2千万人、納付率の目標は80%ですから、実に720万人が納付できない、もしくは支払い能力があっても督促に応じない人数となります。
記録漏れ問題などを受け、また様々な社保庁の不祥事の対応に追われ、督促に人員を割けなかったという説明ですが、そうなると舛添厚労相が述べていた「エンドレスの対応」に伴い、納付率は増やせないことになります。強制徴収の職員を1人、各事務所に配置して対応するともしていますが、人件費とのバーターで考えると、極めて非効率なやり方なのでしょう。

時代劇などを見ていると、長屋の風景が見られます。落語では熊さん、八つぁんになりますが、こうした人々は納税などの義務を負いませんでした。職人なども同様、仕事が安定せず、また住む場所も決まっておらず、幕府の監視も行き届かないため、徴税の手間を考えると最初から納税の義務を負わさない方が効率的との考えもあったのでしょう。
江戸時代に納税義務を負ったのは町名主以上、土地売り渡し証文である『沽券』をもつ者までが町民であり、長屋の住民などは町民とも認められていない存在です。武士や農民はまた異なる形式ですが、職人など江戸や大阪など、大規模の普請がある場所へ移り住んで、そこでしばらく働きながら生活し、また次の地へ移ることなどは当然のこと、だから管理から外されていたのです。

江戸の話をしたのも、今の日本がこれに似てきていると感じるからです。派遣労働など、職場に応じて住居を変える必要があり、また生活も不安定です。住民登録している場所で働かず、また名前の一字を変えて職についても、零細企業では改めて住民票など確認もしないでしょう。これは外国人労働者を受け入れている背景も、全く同じという面があります。
税方式に取り逃がしがないのも職場から徴収しているからです。つまり誰が働こうが事務所が固定された企業から一定金額を集めている、だから中央で厳しい管理の下で高い徴収率を誇ることができます。一方で国民年金は名前を変えられたり、加入者の居場所がコロコロ変わると対応できません。それは各事務所で年金番号や名前で管理されてきたからであり、現状のように働き方の多様化、正社員の減少、という社会の根幹が変化する事態への対応は人ベースでは難しくなっているのです。

江戸時代にも派遣業「人宿」、日雇い派遣「日傭座」というものがありました。それでも働く人に納税義務はなく、当然年金保険料の徴収もありませんでした。人を基準に管理し切れるのか?そうでなければ、やはり税方式などの導入を視野に入れるべきなのでしょう。政府が本気なら民間シンクタンクに頼めばすぐに試算もできます。人件費もタダではないのですから、厚労省が提出した試算など信じず、効率化という観点もいれた検討が必要なのでしょうね。

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2008年08月09日

経済の話、ARS証券について

昨日の米国証券市場は大幅高となりましたが、現在WTI先売/株先買で相場を動かす層がいます。原油は実需のある取引であり、株とは異なりますが、高値から20%下落すると調整局面入り、などと実しやかに説明する人がいます。株が20%下落すれば、企業の資本が大きく毀損され、資金調達などに影響が大きく出てくるからであり、これと原油市場は根本的に異なります。
120$割れで今後大きく調整する、との説明もありますが、日米のマイナス金利状態は続いており、金融市場が超緩和状態にあることは間違いない事実です。それが自然に都合の良い状態へと変化する、これが現在の市場を支えている米国的楽観論の背景です。日本にもこの影響はあり、金曜日は先物ディーラーの打ち合いになりましたが、買い方が先手をとったようです。9月メジャーSQまでは値動きの激しい、先物の思惑相場が続くのかもしれませんね。

米国で新たな火種、オークションレート証券(ARS)の問題があります。簡単には長期債の一種で一定期間ごとに入札があり、流動性が高いと説明されていたため、これを詐欺的行為だとして州当局などが各金融機関を相手に話し合いを進めていたものです。シティが70億$の買戻しと1億$の罰金でNY州当局と合意したのを皮切りに、メリルやUBSなども買取と罰金で合意の方向です。
シティは5億$の損失見込みを発表していますが、流動性を消失した証券を本体に抱えてもレベル3資産に放り込まれ、実体の損失は隠されてしまう傾向があります。このARSの問題とは、様々な条件は有りますが、発行体が下落相当分の損失を補填したりしなければならないことであり、仕組みそのものに問題が多く含まれていることです。州当局が断罪するのも、投資家保護というより発行体である地方自治体などの救済、という面も強く働いています。

一方で、住宅ローン関連ではオルトAと呼ばれる中間層と見られていた、住宅ローン部門の焦げ付きが拡大傾向にあります。米国が安定を取り戻すのはまだ先、今は原油の下落を好感するだけの相場付きで、値動きも大きくとっていますが、むしろ上昇でも下落でも、今後は値動きそのものより、背景にある『金融業界の思惑』という点が大事なのでしょう。
日本の経済政策、与党案にはバラまき的な項目が目立ちますが、選挙対策とはいえ今の国民は愚かではありません。日本の赤字が膨らめば、それは与党の失点、国民への背信と感じられます。旧態依然とした経済政策ばかりだと、目の前にぶら下げられたニンジンは皮ばかりと気付き、誰も見向きもしないということになってくるのでしょうね。

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2008年08月08日

雑感、北京五輪のテロ懸念について

北京五輪が開幕しましたね。個人的には、普通のスポーツイベントの拡大版という見方をしており、過度な期待や祭典だという意識は低いですが、史上初ともいえるテロの懸念を最大限意識される五輪として、今回は記録されることになりそうだという点で警戒しています。
テロに対して間違った意識があるのは、テロは当然悪いこととして、テロを生み出す背景に踏み込まなければなりません。強大な権限を有する兵力、武力で人々を抑え込もうとすると、不満のはけ口のようにテロが拡大します。少数であろうと、アラーを信奉し、共産党支配にそぐわないためだろうと、中国がウィグル族に抑圧を強いるためにテロという最悪の手法が起きるのです。

また中国には法輪功がありますが、ある記事で7000万の中国共産党員が1億の法輪功を統制しようとするから、弾圧するしかないというものがありました。少数の人々が君臨する社会、というのは不幸な社会でしかありません。これでは汚職が横行するのも仕方ないのでしょう。
北京五輪のスローガンが「ひとつの世界 ひとつの夢」だそうですが、中国が目指してきたのは「共産党一党支配の世界」なのですから、その世界とは?夢とは?ということを改めて考えさせられます。多様性のあるのが普通の世界、多くの人が様々な夢を見るから社会というのがうまく成立する、そんな認識ではこのスローガンは語れないのかもしれませんね。

話は変わって、米国で同時多発テロ事件後に炭そ菌が郵送される、という生物兵器テロかと騒がれた事件がありました。その容疑者と目されていた人物が自殺し、7年にわたる捜査が終結しています。米国の大事件では、こうした不透明な幕引きも多いですが、傾向は同じです。
単独犯である、動機が不透明、容疑者死亡後に犯人と断定するための状況証拠がゾロゾロと出てくる。容疑者とされた人間がメディアに出てくると、状況はまた変わるのでしょうが、そうでなければ自殺となります。弁護士が当局に追い込まれたため自殺した、と訴えているようですが、事件を長期間冷却させるためにはこうした幕引きが多いのもまた米国です。

テロは国家の思惑と軌を一にするのか、反するのか、様々な思惑で起きます。最も大事なことはテロを生み出す背景を潰すこと、抑圧をやめて両者が共存できるより良い道を考えること、です。グルジアが独立を訴える南オセチヤ州に進攻、同州に駐留していたロシア軍に攻撃を仕掛けたと伝わります。世界に二国間が前面衝突する大戦はおき難くなりましたが、テロや地域紛争という、規模を矮小化した形での衝突は今後も増える傾向にあります。世界が平和を構築するための方策を、もう一度考えるべき時なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | アジア

2008年08月07日

景気後退入りを示唆

今日公表された8月の月例経済報告の基調判断で「回復」を外し、政府が景気後退局面入りを認めた形となりました。与謝野経財担当相が(瞳从僂慮座による輸出産業への影響、∈澹膨汗斡斌牝り、8柩僉所得の悪化、を今回の下方修正の理由にあげています。
昨日内閣府から発表された6月景気動向指数でも、基調判断を「局面の変化の可能性」から「悪化」に修正していますから、すでに後退は意識されていましたが、それを追認した形です。

大事なことは、政府が公式に認めるまでの数ヶ月を対策なく過ごしたことです。私は早くから後退局面との認識を示していましたが、今となり昨年の暮れ辺りに局面は変化していた、との認識を示す識者も増えました。米国のように景気後退に至らぬよう必死の国もあれば、日本のように他国の景気対策を横目に見つつ、気付けば後退入りと臆面もなく認める国もあります。
,呂垢任吠胴颪世韻任覆、アジアにも輸出減の兆しが見られますし、△郎2鵑龍斌綿儔修篭睛擦ら起きていますので、生産に影響が出るのは後になります。金融混乱→景気へ悪影響→消費減退→在庫積み上がり、という流れです。ここから通常の景気後退と同様の生産調整ですから、影響は長引くでしょう。
または所得など伸びがあったのは一年のみ、雇用も2年程度を良好な時期として、すでに調整入りしていますから、国民が恩恵を受けた期間は非常に短いものです。実感なきいざなぎ越えの景気拡大の終了は、政府の無策により意外と早く訪れたと考えても良いのでしょう。

昨日コメント欄にも記載しましたが、世界経済が減速局面にあると、米国一国のみが弱かった状態から、世界全体が地盤沈下を起こし、ドルが相対的に強まることを昨今の資源価格の調整は織り込んでいます。先行して利下げした米国と、各国の金利差はいずれ縮小する、ドルが強含んで相対的に資源価格も下がる、というものです。
それでもマイナス金利状態にある日米から生み出される金余り資金が、いずれの市場へ向かうのか?恐らく一部は欧米金融機関の損失の穴埋めで霧消していくのでしょうが、残りが株や不動産に回る可能性も低くなります。市場規模が拡大し過ぎたので、多少の資金では下落を支えきれず、大底を意識しないと安易な投資に臨めない。それが投資マインドを冷やすからです。特に景気後退が意識されると、安全資産への運用は多少増えますが、それ以外の市場に資金流入は期待できないのでしょうね。

インフレ局面は本来モノへの投資が増えますが、今回の資源価格の調整は、すでにインフレが終わったかのような動きです。ですが、一度始まったインフレが短期で終了することはないので、年内は厳しい局面が続くでしょう。日本政府の認識の甘さが招いた事態ですが、景気後退局面に入ると、支持率は下降するということを政府は改めて感じるべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年08月06日

中国製ギョーザ事件に新たな動き

中国製ギョーザ事件に新たな情報がありました。日本に輸出前に回収されたギョーザが中国国内に流通、中毒症状を出したとのことです。今年1月に事件が発覚してから半年以上が経ち、6月に中国国内で被害が出たというのも異常ですが、中国から要請を受けたのか、政府がこの情報を一ヶ月も黙殺し、すっぱ抜かれるまで首脳会談の議題に上げることさえ想定していなかった、ということもまた異常な事態です。

これを「日中関係を重視したから日本に伝えた」という人もいますが、むしろ情報封鎖をするなら、という条件で伝えてきた可能性があります。中国内ではニュースになっておらず、五輪を前に完全に情報統制下の扱いです。日本も五輪までは同様の扱いをしてくれ、中国での党首会談を和やかムードで終えるため、日本政府もそれを呑んだのでしょう。
しかし不可解な点があります。[篥狄品とはいえ発生が6月である。回収ギョーザが本当に日本に渡っていないものか、確証がない。E畦凌品製かどうかは言及していない。という3点です。,浪召卜△領通ルートがあり、期限切れ間近の在庫を捌くルートに乗ったのであれば、時間のズレも理解できます。△和泙某仔するとの見解を中国側はまだ変更しておらず、日本に渡れば一度浸透させたものかもしれない、との見通しを中国側が出せる可能性があります。

そしては、天洋食品を切るのか?という問題とともに、例えば日本の陰謀説なるものを持ち出す可能性を否定できないものです。被害状況を伝えない点で、渡航した日本人が中国へ罪をなすりつけるために事件を引き起こした、と後で訴えることも中国ならやりかねません。
新疆ウィグル地区のテロ事件を取材中、記者が暴行された件がありました。日本人記者という身分を名乗った上で暴行されていますから、末端の人間はまだ世界に向けても情報統制が可能、と考えているフシがあります。むしろ五輪前は謝罪などに応じますが、五輪後はチベット問題や国内の情報は隠匿が進むため、末端まで情報隠蔽体質を改善する意思はない、とも受け取れるものです。

中国は共産党支配にそぐわない内容は報道しない、そんな社会なのです。それは国家関係も同様、自分たちに都合の悪い情報は、駆け引き以上の理由では出して来ないのが現実です。
今回、官邸なのか、外務省なのかは分かりませんが、確実に相手側の意向にのって日本も情報封鎖をしました。これは事件であり、国民の健康、安全に関わることなのに、です。確かに中国製冷凍ギョーザの輸入は減りましたし、中国野菜の輸入量も減っているでしょう。実質的な被害も半年出ていません。ですが、隠蔽に加担したということは政府への不信という形で国民に残ります。国家運営に秘密はつきものですが、相手の失点を利用すれば交渉ごとで好条件を引き出し易くなるものです。
そうした戦略があったのか?ただ『思いやり』だけで、国家間交渉を乗り切れると考えているようでは、日本は相も変らず他国の意向に振り回されるだけで、弱腰外交を続けることになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:54|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 政治

2008年08月05日

経済の話。世界経済の後退シナリオか?

関東地方全域が大雨と雷で、被害に遭われた方もいるようです。私の家も何度か停電が起きているようです。実際、雷も先ほどまで聞こえていたぐらいですし、まだ不安定な気象は続くのかもしれません。少し警戒しておいた方が良いのでしょうね。

日経平均が昨日、13000円を割りました。7月の最終週辺りから、マネーの流れが世界経済の減速が長期化する、後退局面入りへ、というシナリオを織り込み始めています。これは投機の流れにも顕著に現れており、資源価格の下落、穀物価格の下落を経て、原油価格もWTIで120$割れを試してきました。
ただ今回の変化に、明瞭な転換点はありません。恐らく米政府の2F支援策が出た後、市場関係者の多くが現状に気付き始め、新たなポートフォリオを組み始めた、ということがこの流れを作り出しています。著名投資家が会長を務めるWCIコミュニティーズが破産し、先に破産して受け皿を探していたインディマック・バンコープに救済者が現れず、整理を始めているようです。

共通して云えることは、救済融資を拒否する金融機関、投資家も多く、米国内の資金繰りがここに来て再び急速に悪化してきていることです。空売り規制も、規模と期限がハッキリしてきたために影響は少なくなり、金余りでも流動性は極端に悪くなっています。噂だけですが、空売り専門のヘッジファンドが米金融株を売れないため、世界の株式市場で先物を売っているのでは?などとも囁かれるぐらいです。
日本では今週末SQですが、上下動が激しいためポジションをとれず、オプションの層が薄いために、どちらのポジションでも振れる状況です。今日辺りは13000円に絡む思惑が働きましたが、12500でも13500でも、後3日あれば動かすことも可能でしょう。個人的には、世界経済の減速シナリオを組む層が下でとってくるのでは?と考えています。インフレに対する視点の変化、これがインフレ耐性のあった日本への売りを出し易くさせており、景気減速が日本でも現実味を帯びている点も売りに比重を掛け易いと見ています。

またこれは福田改造内閣への失望もあるでしょう。福田氏の唱える改革とは、小泉改革路線に対する改革であり、以前に戻すことが国民の安心に答える形だ、と捉えているフシがあります。プライマリーバランス改善の先送りを示唆し始めたことも、悪い材料でしょう。
発表後、すぐに海外メディアでも酷評されていますが、福田氏の視点が海外投資家の評価とは違う点で、買いの規模を増やし難いこともあります。13000を切ると国内の機関投資家の買いも入りますが、今後の市場は世界経済の谷がいつか?ということを見据える作業がメインであり、それにより反転の機会を探っていくことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年08月04日

福田政権の経済政策が出るか?

福田内閣の支持率が各社出揃いましたが、読売と日経が突出して高い上昇幅となっています。ただ日経の調査では若手の登用が評価理由に挙げられており、それが野田氏を指すのか、茂木氏なのか、理解に苦しむ面があります。やはりご祝儀で5%前後の上昇と見ておくべきなのでしょう。
麻生氏が民主党をナチスに喩え、暗に政権運営を任せると大変だぞ、と匂わせたことで舌禍との話題が出ています。自民党が間違えてはいけないのは、国民は長期政権により硬直し、行き詰りの気配のある現状を変えたい。だから政権を野党に譲ろうと考えているのであって、幾ら野党の政策や態度を批判しようと与党に票は集まらないということです。与党批判票の行方は、与党の打ち出す政策や対策でしか変えられない、ということを知るべきなのでしょうね。

そんな中、福田氏が与謝野氏に原油・物価高対策を指示しました。お盆前までにまとめるそうですが、経済対策には常に財源議論が付きまといます。先に漁業の燃料高対策におよそ800億円の支援を決めていますが、新たな景気対策には補正予算を組むのか、国債を発行して新たな財源手当てをするのか、夏まで経済対策を遅らせたことで動ける範囲は限られてきています。
10年物国債の利回りが1.5%を切りましたが、これは債先買/株先売の流れが起きたことを示しています。企業業績の悪化と、マクロ指標のインフレ上昇と景気悪化懸念により、日本でも景気後退が意識されている証拠ですが、今回の対策も資源高騰による影響の緩和だけで済ますようだと、財政出動の規模と景気浮揚効果との間に差が生じ、影響は限定的となるでしょう。

つまり小麦に代表されるように、農産物では国が調整してきた価格を国際価格に合わせて値上げしたことで、物価高を引き起こした側面があります。それを無理に抑えると、今度は日銀の判断にも影響します。つまり今回の緩やかなスタグフレーション症状に対し、物価を無理に抑える方向では財政悪化が避けられず、また低金利が続くと余剰資金が更なるインフレを生みかねない事態になります。税収は増えない、財源手当てだけは必要、これは最悪の事態へと発展する危険をはらみます。
今回必要な経済政策は、景気対策でなければなりません。物価高は日銀の金利政策に任せ、今もすでに発生している中小企業への貸し渋り対策に代表される、国内の流動性問題に手を打たないと、倒産やリストラが加速して、国内経済は深刻な打撃を受けることになるのでしょう。

銀行間貸し出しが米国で滞っているように、銀行に余剰資金を積み増しても損失処理に用いられるだけで、リスクをとった貸し出しは進みません。自由な市場を標榜していた米国で、当局が市場に手を入れ始めたのも、どこかに規制をかけなければ資金の流れを変えることが出来ない、という危機感の表れでもあります。
これは日本も同様、損が出たところに資金をつぎ込んでも穴埋めに用いられるだけ、引当金の積み増しを嫌がって、リスクをとった貸し出しは増えないのです。福田政権が最初に打ち出したのが経済政策、ということでその内容には期待もありますが、それ次第では景気低迷が支持率低下に直結しかねず、危険水域に入ることも大いにあり得るのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年08月03日

雑感、『蟹工船』がブーム

改造内閣の支持率、毎日が25%で3%増、朝日が24%で変わらず、読売が41.3%で14.7%増。一方で不支持率は毎日が52%で2%減、朝日が55%で3%減、読売が47%で14.3%減、大手新聞メディアだけのものですが、突出して読売の数値のみが高くなっていることが分かります。
統計学的には、平均値からの偏差が大き過ぎるので、読売の数値は参考程度の価値しかないようです。元々、読売は現政権に近い立場ですが、購読者層に向けてアンケートをとったのではないか?無作為抽出ではないのでは?という調査自体に疑問もあります。調査主体の意向が反映し易い、という側面は多少あるのでしょうが、桁が違うというのは少々公正を旨とする調査では考え難いのですけれどね。
しかも、早くもこの結果を受けて、古賀選対委員長が総選挙の解散時期を年末から任期満了にずらし始めました。3分の2可決には公明の同意が必要、公明の意向次第で今後の解散、総選挙の時期が決まってくるのかも知れず、公明の意思で福田下ろしが加速する可能性まであり、政局という点では後一年、混沌とするのかもしれませんね。

最近、『蟹工船』などがブームとなり、共産党に注目が集まることも多いと聞きます。マルクスの考え方を一つ引用すると、「労働とは本来、一次産業的主体により生じた生産物を交換する作業。資本主義では労働が金に代わり、生産物は資本家の元にある。よって労働者が熱心に働けば働くほど労働単価は低くなり、労働は苦役となる」というものがあります。
一読すると非常に興味深いですし、現代社会の派遣労働など、労働を切り売りするだけで保障もなく、安定もない中での将来不安などを鑑みると、合致するということもいえます。貧困層が拡大する時、時代を悪として変革を求める声が増えますが、そうした一端もあるのでしょう。

しかし、実はこの論調は資本主義の一端を解き明かしたに過ぎません。昨今急速に進んだ労働形態の変化を見直せば、雇用保険や年金などの将来不安にも答える形となります。資本主義が進んだ形では、本来もつ資本主義の不備を補うことも出来ますが、日本はこれまでそうした保証、保険などの機能をコストと切り捨て、企業にそのコストを負わさないように派遣労働という、保証の少ない雇用形態を拡大させてきたに過ぎません。
つまりコストがかかるのは、本来資本主義が進んだ形ではあるべき姿でした。しかしそれが進んでいない新興国とのコスト競争という観点でのみ、法律の改正を進めてきた現状が、一過的に共産主義に傾倒する人間を生み出している、といえるのでしょう。実際、レーニン主義とも称されるソビエトでの失敗もある通り、システムの統括者に権限が偏りすぎ、強烈な官僚体制を生み易い制度でもあります。
日本には労働問題ともう一つ、変えねばならない重要な事項があります。権限が集中し過ぎた官僚体制に楔を入れない限り、日本の公的機関による浪費体質が解消されることはありません。実際、共産党への入党はまだ少数とも聞きますし、日本を根底から変えるだけの魅力ある制度ではない、ということもまた事実なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(11)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2008年08月02日

雑感、二つの事件について

共同通信の内閣改造に伴う世論調査結果、内閣支持率は31.5%と4.7%上昇。不支持は48.1%で5.4%低下、ご祝儀的には低い値であり、発表された直後という特殊要因もありますが、第一インプレッションには失敗した形です。目玉が幹事長、という時点で内閣への評価が高まらないのは想定済みですが、『改革』とは膠着した現状を全く違う視点で見つめる作業であり、領袖にそれが出来るのか?という不透明要因も大きいのだと思います。小手先の変更に終始するようなら、早晩支持率は逆戻りすることになるのでしょうね。

米原潜ヒューストンが佐世保寄港時、艦内から微量の放射性物質を漏洩していた、と日本政府に報告がありました。米海軍側は漏洩したのは0.5μCu以下で、極めて微量なので影響は無いとしていますが、問題は原潜のバルブ一つの不具合で簡単に機関部から放射性物質が漏洩するという事実です。確かに炉の中の水に含まれる放射性物質は微量かもしれませんが、米原潜に二重、三重に安全設計が施されていないということは不安を増幅させます。
殊更に不安を煽るつもりはありませんが、それを取り込んだ魚介類を人間が口にすれば、内部被爆という重大な問題になります。仮にそうなっても経路は分からず、事実は闇に葬られます。
米国という国は、かつてネバダ州のトノパー射撃場で地上核実験を繰り返し、数万人の住民を被爆させたという前例があります。当時、すでに広島、長崎での知見を貯えていたはずの米国ですから、情報操作をしている可能性だって捨て切れないという点で、心配を与えます。日本側の情報伝達にも遅れが見られますし、軍と原子力絡みの情報は影響が大きいだけに、その不備が目に付きますね。

話は変わりますが、夏の甲子園が始まりましたが、出場校である群馬県の桐生第一高校の野球部2年生が、強制わいせつ容疑で逮捕されても高野連が出場を認めました。昨今は集団性のあるもの以外、部員の不祥事でも出場辞退にはならなくなりましたが、これも個人主義と捉えるとまた違った側面も見えてくるのかもしれません。
地域社会の崩壊、横の繋がりの欠如、仲間意識の希薄化、最近のこうした風潮は至るところに拡大しています。チームスポーツであり、共に頑張ってきた仲間が逮捕されても出場辞退にはならない、今回の高野連の判断は事件の悪質性という観点からも、やや意外感がありました。
こうした風潮には正負両面があります。確かに真面目に努力してきた他の部員は可哀想、という判断もできますが、互いに悩みを分かち合い、同じ時を一つのスポーツを通して研鑽し合い、仲間意識を養うのが部活動という場だと考えます。あくまで個人の問題と位置づけた今回の判断によって、今後同様のケースでも問題なしとなり、仲間という考え方をすることはなくなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 原子力 | 社会