2008年09月

2008年09月30日

米金融安定化法が否決

米国で金融安定化法が下院で否決され、米市場は最大の下げを演じました。ただ先週末にかけて、法案の可決期待で300$以上ダウは上げていたので、それを差し引けば500$弱の下落です。元々、可決されても期待の剥落で下落し易いところに、否決というサプライズで大幅下落となりました。
日本は11000円割れ、と述べる人がいましたが、日本は29日までにその期待分はなかったので、今日の500円弱の下げは米市場の下げとちょうどリンクする数字であり、下げ渋ったというよりほぼ同額だったと見て良いのでしょう。7-9月期末のドレッシングも、これだけ下落幅が大きいと動きも鈍く、逆にリンク債のノックイン価格を突破したことで、今晩の米市場の戻り期待を飲み込んだ形となっています。

共和党の保守派が今回の法案に反対票を投じた割合が高く、これは世論を意識したとも言われます。恐らく、否決は反対票を投じた代議士にとっても意外であり、2日に再開される下院では有権者保護の条項を追加し、大義名分を立てて可決という流れにはあるのでしょう。ただそうなると、すでに厳しい条件が付加され、実効性を失いつつある法案の更なる形骸化が進みます。
何らかの形で法案は通るのでしょうが、そこでホッとするわけにはいかない、というのが今回の法案成立後の動きの難しさです。これは正常化に向けた流れの一歩目であり、登山で言えばまだ山を前にして立っている状態です。そこで装備の確認に手間取り、一歩目を踏み出せないでいる。しかも仮に踏み出したとしても、滑落の危険のある相当に厳しいものです。

今回の下落は一過性であり、相場も落ち着くはずです。何よりまだ法案がつぶれたわけではなく、修正協議や上院で可決されて両院協議会に持ち込まれる可能性も残されています。ただこのショック症状でも、セリングクライマックスとはならず、売買が落ち着いているのは、まだ長期で下げ基調にあるということの証明であり、その点には不安を残すものとなっています。
米国が日本の住専国会のようになった、という人もいます。米国の政治家といえど、大局的見地で物事を見通せる人材は少ない、ということが図らずも露呈してしまいました。両党が非難合戦に陥り、更なる混乱を助長すれば経済環境は益々悪化しますが、選挙の近い折、保身に汲々とする政治家にはこの経済混乱の本質が、理解できないのかもしれませんね。

三菱東京UFJによるモルガン・スタンレーへの出資で正式合意と伝わります。これは買収ではなく、持分法適用まで株式を購入し、残りを増資に充てるものです。1兆円近い金額をかけた割りに見返りが少ないものであり、増資の付帯条件が不明ですが、狡賢な経営者なら更なる増資で三菱東京UFJの出資比率を下げ、経営権をがっちり握ろうとするはずです。
今後、条件面が明らかになると思いますが、救済を今である必要があったのか?ということは今後経営陣に問われることになるのでしょう。何より今回の救済は、まだ山に登り始めてもいない登山者に水を差し出したようなものであり、今後の帰趨次第では追加出資を迫られるか、見捨てるか、という二者択一の場面が訪れるのかもしれませんからね。

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2008年09月29日

麻生首相の所信表明演説について

米国で金融安定化法が決着しそうな折、米銀第4位のワコビアが第3位のシティグループに買収される見通しとなりました。またもやFDICの仲介ですが、シティとて経営基盤が磐石ではない中、モルガンやバンカメが吸収合併で肥大化していくのを、手を拱いてはいられないとの焦りも垣間見られます。しかし今後、買収側が経営危機に陥る懸念が欧州で見られました。
ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3国が金融大手フォルティス総額112億ユーロを拠出し、一部を国有化するとの発表です。フォルティスは昨年、オランダのABNアムロ銀を買収しましたが、今回の国有化を受けてABNアムロの資産は売却されることになります。金融混乱が長引けば、買収側も抱えた大量の不良債権処理が必要となり、経営危機に陥ります。
大手金融機関の破綻の波が、米国から欧州に飛び火とも言われますが、英国でも中堅銀行の国有化が伝わります。銀行間取引が事実上、ほとんど機能しておらず、中央銀行からの資金供給に多くの金融機関が頼っている現状では、まだしばらくはこうした金融破綻のニュースが、海外から流れてくることになるのかもしれませんね。

日本では麻生氏の所信表明演説が行われました。民主党への質問攻め、という異例の演説です。社会保障や年金問題など、提示し難い問題にはふれず、経済面でも総合経済対策以上に踏み込んだ具体策がなかったので、これらは早期解散といわれる今国会ではなく、マニフェストで示すということなのでしょう。総じていえるのは、この所信表明演説は国会開催に向けた所信を述べたのではなく、解散という決意を表明するもので彩られていたということになるのでしょう。
麻生氏は対決姿勢を鮮明にすることで党内を引き締め、離党などの動きを抑止したいのかもしれません。恐らく総選挙での勝敗ラインを連立与党で過半数の維持、というところまで下げたため、接近戦を仕掛けて競り勝つという方向性もあるのでしょう。代表質問で民主党から回答があれば、その弱い部分を衝き、得点を稼いで解散という腹積もりも含まれると思われます。

ただ、この所信表明演説を詳細に見ると、『変化』というキーワードを封印したかに見えます。変化ではなく前進、現状を推し進めながら内容を調整していく、つまり現状を肯定しているような論点なのです。確かにこれまで与党として打ってきた政策、対策なので、それを全否定するのは難しいのかもしれませんが、後期高齢者医療制度の廃止や、その他の制度も大胆に変えると訴える民主党との違いもまた、この演説では透けて見えてきます。
麻生流を貫いた所信表明演説、評価は野党の出方によっても変わるのでしょう。解散という決意を示したと述べましたが、これで早期解散が近いことがハッキリしました。経済が大混乱のとき、経済対策に具体策がないまま、焦点化することがないということは寂しい限りですが、それだけ次の選挙は争点が多いということなのでしょう。日本の未来にとって重要な選挙となる、ということだけは間違いないことですね。

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2008年09月28日

中山国交大臣の辞任

中山国交省が就任5日目に辞任です。分かり易いので分析するまでもありませんが、最初は大臣就任の嬉しさから、つい口を滑らせて自論を述べたまででしょう。しかし予想以上の反発、与党内からの圧力で辞任が規定路線となりそうだった。そこで、自分は大きな敵と戦っている、そのためにこうした発言をした、と自分の意見を正当化し始めたのです。
元の問題発言の中で最大の組織は日教組です。そこで日教組を仮想敵として、子供を大事に…、国民が教育に関心をもつ機会となれば…、などと述べて解体すら匂わせました。それでいて、一部の過激分子が問題とも述べて、解体や戦うとした自身の発言との整合性のなさを露呈しています。一部の過激分子が問題なら、組織改変や人事面での対応で良いはずで、むしろ組織内部に協力者を作って不穏分子を追い出した方が得策です。戦う必要はありません。

論理の破綻が著しいのは、総選挙を意識して日教組全体を敵としては不味いという理由と、自己弁護しておきたいとの理由の間で揺れているからです。先の宮崎県知事選で与党分裂のきっかけを作りましたが、与党寄りの東国原宮崎県知事からの応援程度は受けられそうだったのに、これで党公認の座も危なくなったのでしょう。中山氏を公認してしまうと、様々な選挙区で与党にとっては弊害が出そうですからね。
後継に古賀派から金子氏が就きますが、これで与党内最大派閥から1人しか閣僚が出ていないという異常事態となります。町村派分裂、小池新党が囁かれるのも、いきなり霞ヶ関をぶっ壊すと民主党のようなことを言い出した小池氏の態度、上げ潮派からの閣僚ゼロという冷遇が影響していますが、自民党内の亀裂の深さは政権与党を維持できるかどうか、で見えてくるのかもしれません。

与党の戦略として、総選挙を三連休の真ん中にぶつけて、投票率を落とすことを狙っているとも云われます。しかしそこまでミエミエのことをすれば、国民の怒りを買い、事前投票も増えるでしょう。政治家が理解しなければいけないのは、国民の声を聞かないような政治家、与党は要らないと国民は感じるということです。正しい政権選択を排除する、大多数の声を無視するようでは、それが風を生み出す可能性も充分にあるのです。
麻生氏は任命権者としての責任を認め、国民に頭を下げることで早期の幕引きを図る狙いです。麻生政権では初の醜聞なので、これで済むかもしれませんが、過去の政権のように閣僚の不祥事が重なると、今の対応では厳しくなるのでしょう。そうなると早期解散した方が有利です。しかし一方で、これで内閣支持率が低下することは確実であり、票読みはし難くなるでしょう。

今度の選挙を考えるとき、政治家の質という面も大きく投票行動に影響しそうであり、それは失言、不祥事なども問われることになるのでしょう。何より、それだけ国民の危機意識は高まっているのであり、それを受け止められる存在が何処か?という意識が『風』になりそうなのですからね。

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2008年09月27日

経済の話。米国経済について考える

米大統領選を戦う共和党・マケイン氏と、民主党・オバマ氏。直接公開討論会が開催され、世論調査の軍配はオバマ氏に上がったようです。これだけ世界恐慌以来の不況、100年に一度の経済悪化、などの幾つかの指摘があるように、米経済は未曾有の混乱期に突入しています。それを引き起こした共和党、更にマケイン氏は自ら経済が苦手と吐露したように、このタイミングで討論を行えばマケイン氏に不利なことは明白でしたので、大方の予想通りでもあるのでしょう。

共和党から金融安定化法に異論が出たのも、陰では国民を煽動して税金投入に反対の声を上げさせ、世論の高まりという形で、マケイン氏の主張する企業減税と規制緩和という形の決着に落ち着かせたいからです。あくまで市場原理に任せ、住宅ローン担保証券への政府保証という形でお茶を濁そうとするのも、ここで法案を通してしまえば、共和党内のネオリベラリズム派の復権は有り得なくなる、という複雑な事情も存在しているのです。
民主党はオバマ氏を軸に、大きな政府を志向しているので今回の法案、政府関与の拡大には賛成ですが、規模の大きさと監視の甘さを危惧しています。法案を右から左に通しては、存在価値も失われますし、国民に説明がつかないとの理由も存在します。超党派の対応、と云いながら政府と議会の対立が深刻化し始めたのも、元々経済に無知なブッシュ氏の指導力不足と、大統領選前という特殊事情、経済が権力闘争に振り回される悪い対応に陥っているからです。

米国経済は、仮にGDPを14兆$程度と推測すると、この対策を含めて10%以上を金融安定化に費やすことになります。米銀第4位のワコビアが合併を打診との報道もありますが、先のリーマンの破綻、ワシントン・ミューチュアルが買収された件でも、金融機関の破綻はその国に強烈なデフレ圧力があり、7-9月期の米国経済には深刻な打撃を残しそうです。
米国は経済の失速が懸念され始めてからの2年間、金融市場の拡大という禁断の手法に手を染め、そこからあふれ出す資金で成長を遂げました。膨らみ過ぎた金融工学、保証をかければ安心、分散すればリスクは軽減、格付けの高さで商品価値が向上、いずれも逆回転がかかれば、それらが全て偽りだと気付きます。今はあらゆる人が偽りの経済に気付いている、そんな時間帯なのでしょう。

最後に一つ、米国の対応が早いと未だにそれを好感するかのような発言をする人がいます。しかしバブル崩壊後の日本と比べ、現状の経済速度を考えると、これでもまだ遅いと云えます。当時と現在を単純比較するより、経済の規模、情報伝達力の向上、そして被害規模の大きさを比べれば、今回の混乱がそう簡単に収束するはずがない、ということが理解できるのでしょう。
問題はすでに世界各国にばら撒かれています。不動産も証券も、強烈なデフレ圧力の中で世界は落ち着き場所を探しています。日本も不動産業やその他の企業でも、破産が目立ち始めました。米国が経済規模を縮小させる中、世界経済がどの水準を底と見るのか?そうした方向で考えていくべきであり、まだ底は見えていないということなのでしょうね。

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2008年09月26日

中山国交相の発言について

最初に、米貯蓄金融機関(S&L)大手のワシントン・ミューチュアル(WM)が業務停止となり、JPモルガン銀行により買収されました。買収額は19億$、JPモルガンは公募増資を実施し、引き継いだ不良債権などの処理を進める方向性を示しました。WMは住宅ローン大手であり、JPモルガンがどの程度その業務を引き継ぎ、住宅ローンなどに注力するかによっては、住宅不況の現状ではマイナスの材料となってくるのでしょう。
金融安定化法も、与野党で基本合意していた内容に共和党下院議員から異論が出て、議論は紛糾しました。米連邦預金公社(FDIC)がWMの買収をJPモルガンに仲介しましたが、ここで大型の金融機関破綻があれば、FDICが資本不足に陥る可能性もあるものでした。金融安定化法の行方もありますが、FRB、FDICの資本の行方にも今後は注意が必要となってくるのでしょうね。

麻生内閣に対する世論調査、各社が出揃ってきました。概ね支持率は50%前後であり、福田内閣の船出より低いとも言われますが、様々な期待が剥落した後にしては良い数字です。麻生人気もあるのでしょうが、解散機運の高まりとともに、世論も迷い始めた一端も垣間見えます。
政党支持率は各調査によってマチマチであり、内閣支持率ほどの高まりは与党に集まっていません。総論では、麻生氏には期待するけど自民党政治は勘弁。一方で民主党に任せるのも不安。といった国民心理の反映が見受けられます。次の総選挙は選挙運動やその時の風が、結果に大きく影響しそうであり、政治家も気の抜けない期間が続くことになるのでしょうね。

そんな中、緊張感のないのが中山国交相です。結論から言えば「これからは私人と公人の立場を弁える」と本人が述べているので、陳謝した内容である元の発言は全て「私人としての本音」と述べていることになります。単一民族やゴネ得、日教組関係の発言など、個人の本質がその本音に隠れている限り、大臣としての資質が問われるのは当然でしょう。
政治家として、長くその世界に携われば当然、内に秘めた鬱屈した想いもたまるのでしょう。それを公人として封印したなら、墓場まで持っていかなければいけません。一旦口から出てしまえば、幾ら陳謝、訂正しても単なる間違いではすまなくなります。なぜなら民族や成田闘争は、存在に関わる問題と定義されており、それは深く相手を傷つける結果ともなるからです。

私人だから、公人だからということではなく、政治の世界も心を大切にしなければなりません。法や制度は人を縛り、人を相手に機能させるものだからです。心がない法や制度は、年金問題や後期高齢者医療制度のように、国民に理解は進み難くなることになります。心ない発言は、最終的に国民にはね返ると認識されており、これらも強い反発を生む原因なのでしょう。
与党はよく野党の人材不足を指摘しますが、それ以前にこうした発言をする政治家を閣僚につけている時点で、やはり人材不足ということなのでしょう。閣僚になった途端、指摘を受けて献金を返還する場合も目立ちますが、平時から身の処し方、物事の考え方をしっかりしている政治家、というのが減っていることもまた事実なのかもしれませんね。

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2008年09月25日

小泉元首相の政界引退と盟友ブッシュ氏の迷走

小泉元首相が引退を発表しました。この時期が意外だという人もいますが、首相を辞任したときからすでに次男への引継ぎが噂されていましたし、引退の悲劇をバネに選挙を戦えば同情票も集まり易くなります。また次の総選挙では自民が苦戦することが確実であり、小泉氏に応援演説要請が殺到することは必至です。それらを断れば白状と言われ、応援した候補が落選すれば神通力がなくなったといわれ、どちらにしろ良い方向には転びません。
先の総裁選で、小泉氏が小池氏支持を表明したにも関わらず、支持は集まらなかったことから見切りがついたのでしょう。首相時代に通した政策に評価すべき点はあまりありませんが、政治とメディアの距離を近付け、日本政治を現代風にアレンジした点は高く評価できます。昔は料亭に篭り、執務室の中だけで行っていた政治、記者を押し退けて無言のまま部屋に消えるというシーンが少なくなり、政治家が説明責任を意識するようになった。政治の世界が変わったんだな、ということを実感します。

そんな小泉氏の盟友、ブッシュ大統領は米国史上最悪の大統領として、レッテルが貼られることが確実となりました。米国では不良債権買取機構に、与野党ともに賛否が沸き起こりますが、懐疑的なのは政府が救済内容を詳らかにしないことです。ブッシュ氏のテレビ演説でも、やらなければヒドイことになる、と喧伝するばかりでやったとしての効果が不透明な点も、賛成票が集まり難い原因となっているのでしょう。
実際、1年前なら私もこの対策を絶賛しますが、今ではマイナスの面が目立ちます。米国で後手後手の対応に陥ったのは、金融工学の仕組みを当局者が見抜けなかったこと、及び市場原理主義に拘って静観の姿勢を政府が崩さなかったことです。コレだけ見てもブッシュ氏に責任の一端はあるのであり、米国ではあまり見られませんが、任期中の大統領報酬の一部を返納するなど、何らかの懲罰的対応は必要なのでしょう。そうしなければ議会、国民の納得も得られません。

影響は大統領選にも確実に出ており、共和党の経済政策への不信からマケイン氏の支持が急落、公開討論の延期を申し出るなど、俄かに動きが活発化しています。与党が超党派の対応を求めるのも、共和党が経済を壊した張本人と仕立てられることへの警戒、抱きつき戦術の一旦です。
ただ現状打たれている数々の対策、施策は全て次期政権に引き継がれます。内容を精査しようとすれば時間がかかりますし、ブッシュ氏の言うような空手形で法案を通しては、責任を押し付けられるだけです。米国に突きつけられた巨額債務を伴うこの対策は、効果や悪影響について誰も推し量れない、そうした類のものであり、恐らくまだまだ悶着は続くのでしょうね。

この影響で、財務省発表の8月の貿易統計は赤字でした。米国向けが急減、アジア新興国向けの堅調さは一時要因によるものであり、かなり質の悪い内容です。ただ日本市場はジャパン・プレミアム。つまり金の出せる市場ということで短期資金は入ってきているようです。ただそれは現物株ではなく、オプションのコールであったり、先物であったりするので、外国人投資家も本気で日本買いをする意欲はないようです。12500の辺りのポジション組成が続けばしばらくは安泰でしょうが、現物株に買いが入らなければ本格反騰ではない、ということだけは確実でしょうね。

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2008年09月24日

麻生政権が誕生

今日、衆院で指名された麻生氏が第92代内閣総理大臣に指名され、即日組閣が発表されました。組閣名簿を通覧すると、お友達内閣の復活とも揶揄されますが、ソツがないものの華もない。世襲議員の数とともに、自民党をダメにしていると感じる論功行賞による組閣、という点が非常に疑問であり、従来型の自民党政治を踏襲するというニュアンスが国民の間に広がると、麻生人気とは別に、意外とこの内閣に支持は集まらないのかもしれません。

首を傾げたのは財務と金融を中川昭一氏の担当となったことです。経済混乱期なので一緒になって…、という論調は間違いであり、潮流は財金分離です。大雑把に言えば、財務は予算と国庫の管理であり、金融は銀行や証券会社の監視です。98年に旧大蔵省から財金は分離されましたが、これは当時の大蔵省のスキャンダルが原因です。
財務省は国債発行なども行いますから、書い手である金融機関とは近い関係です。癒着が起き易い関係であることは間違いなく、それを分離した当時の判断は正しいことであり、今また関係を近づける必要はありません。むしろ経済混乱期にあるからこそ大臣は別けておくべきです。

また舛添厚労相に対して世間の期待は高いようですが、私はこの人物をあまり評価していません。自身が発言したことを官邸からも否定され、後で辻褄合わせのような発言をして、問題ないと抗弁する。戦略は自身の保身であって、結果は一向に出てきません。これは官僚の使い方、距離感が上手くなく、如何にも学者的な独り善がりの態度が目立ちます。これで厚労省をまとめ切れるのか?というと甚だ疑問でしょう。
官房長官の河村氏も、総連との関係も取り沙汰されますが、問題は国民の認知度が低い官房長官で良いのか?ということです。友人とは冗談で麻生氏の『オレオレ内閣』とも話をしましたが、キープレーヤーは首相一人で充分とでも云いたげな顔ぶれであり、最年少入閣の小渕氏も、少々霞んでしまった印象が拭えません。

小池氏が総裁選で破れたとき、他候補から抱きつかれたセクハラと自身の立場を評しましたが、上げ潮を正しく理解できれば反論も可能なはずであり、むしろ他候補が抱きついたのは麻生氏の経済対策です。一部メディアで自民党総裁選の報道に自制が効いた、との言葉も聞かれるようですが、丁々発止のやり取りがない討論では、テレビ映えするような、繰り返し使える場面もなく、当初盛り上がったメディアも途中から冷めてしまった印象があります。
解散、総選挙時期、自民党としては今回の総裁選の低調さを受けて後ズレする意見も目立ち始めたようです。自民党としてはすでに選挙モードに入った民主党を見て、解散時期を引き延ばしたいところでしょう。選挙資金と緊張の持続という点からもその方が有利です。ただ民主党云々より、国民の自民党への批判票の行方という点が焦点であり、解散時期の引き伸ばしは得策といえない面もあります。世論調査の結果次第で選挙時期が動きそうであり、国民の解散期待が高い今、解散準備内閣としては少々物足りなかったという印象ですね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年09月23日

経済の話、原油価格が急騰。

今日の日本市場は休場でしたが、米国では先週分の上げを帳消しにするような下げがありました。週末の米経済紙がそろって今回の米国の対応を酷評しましたから、下げるとは思いましたが予想外に大きな下げです。代わって資源価格、金や原油が急騰しており、今回の混乱が米金融危機から、米国危機へと昇華されたかのような動きを示しています。

米国では銀行に対する出資上限25%から33%に引き上げ、ファンドなどからの増資が可能となる対策も打たれました。またゴールドマン・サックス証券(GS)、モルガン・スタンレー証券(MS)が投資銀行から商業銀行へと業態転換し、FRBの監視下に入るとの発表もあります。どちらも支援、増資を受けられ易くなる対策ですが、対応が後手後手であることは否めない事実です。
後者の対応では傘下ファンドの整理、縮小が起きます。本体の証券会社の安定には寄与しても、一時的には市場にとって悪材料と捉えても良いかもしれません。業態を転換するとは、投資手法なども確実に見直されますので、その間の市場はどうしても上下動し易くなります。

野村HDによるリーマン・アジアの部門別買収は240億円規模と伝わります。やや高い買い物かな、とも感じますが、アジアに積極的に打って出るとの意気込みは良いのでしょう。ただ野村HDとて赤字決算を余儀なくされており、今回の混乱が長期化すれば体力勝負となり、買収が裏目に出る可能性もあります。体力の弱い企業は米国で相次ぎますが、日本とて例外ではありません。
三菱UFJによるMSへの9000億円規模の出資は電撃決着の面が否めず、MSの資産価値を正しく査定できたのかが、少々疑問です。確かに持ち分法適用にまで出資比率を高め、米国での運用に端緒をつけたことは評価できますが、重要なことは米国危機に発展した場合です。

今回の資源の動き、これまでの理由を踏襲すれば世界の景気減速が原油需要を急減させるというものでしたから、上昇はイレギュラーな動きです。背景には、今後も大量に発行される米国債により、ドルが急落するという懸念。米国危機があると同時に、一時期米国政府が圧力をかけていた投機を、SECによる空売り規制のため一旦解除したという事情もあるのでしょう。
また世界の中央銀行から、再び大量の資金供給がありました。一時的に溢れ返った資金を銀行間取引でもなく、融資でもなく、株でもなく資源に回す。こうした流れが起きていると考えます。ドルが急落していないので、資源が先走って動いているようにも感じますが、時限つきとはいえ、一時的に増える米国債の入札が仮に不調に終わるとき、米国政府は各国に米国債の購入を要請するような事態も想定できます。不良債権買取機構を各国にも要請、とも伝わりますが、米国危機に発展しないよう各国に同調が求められる場合には、米国で危機意識が高まっていると見て間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年09月22日

自民党総裁選で麻生氏が圧勝

三菱UFJが米モルガン・スタンレー証券の増資に応じるとの報道がありました。内容が不明なので詳述は避けますが、野村HDがリーマンのアジア部門買収を検討とも伝わります。日の丸船団がこのタイミングで世界の荒波に乗り出す、公的資金完済から1年以上が経過し、待望の海外進出でしょうが、個人的には少し前のめり過ぎるという懸念もあります。

今日は自民党総裁に麻生氏が選出されました。地方票は総取り方式もあってほぼ独占し、更に議員票も過半数以上を抑えての圧勝です。デキレース、茶番とも云われた結果の見えた3週間も、これで予定通りにゴールを切れたことになります。この自民党総裁選の最大の失敗は、地方票の割り当てを各都道府県で3票と決めてしまったことだったのでしょう。
石破氏が地方の疲弊を訴えても、たった3票では党員もやる気をなくし、ムーブメントも起き難い。一方で地方も国会議員と同様、大なる流れに沿わないと、後でどんな形で悪弊が降りかかるか分からない。政策論争をしない候補者とともに、結果的に自民党総裁選が低調となりました。

舛添厚労相が後期高齢者医療制度の見直しを示唆しましたが、その中で「良い制度だが国民の理解が得られないから変える」と述べました。これほど国民を愚弄した言葉もありませんが、聞きようによっては「理解できない国民が悪い」と云っているように感じます。
政治家が必ず正しい政策をする訳ではなく、国民の判断が必ず正しいということでもありません。良い制度ならそれを国民に訴えていくのが政治家の役目であり、国民はその運用を通して制度の本質に気付きます。事前徹底のお粗末さ、運用後の不便さ、理不尽さ、それに対する説明。政治家が力を尽くしたとも思えないまま、それを理解しない方が悪いと、国民の肌実感を否定する発言。福田氏に任命された大臣であるにも関わらず、福田氏に対して確認もとらなかった態度といい、どうにもチグハグな面が目立つ対応です。

民主党との全面対決を強く示唆しましたが、解散、総選挙に踏み込めるのか?微妙なところではあると考えます。補正予算を通すことを麻生氏は表明していますが、そうなると冒頭解散は不可能、かといって今の内容で審議も経ずに補正予算が組まれる保証もありません。
政策投資銀行に財務省からトップが天下ります。なぜこの時期に、投資経験のない財務省から?という理由は政府も説明がつかないでしょう。政権交代期のドサクサ、とも言われますが、民営化を求められる組織のトップに、業務を把握していない人間が就任するという奇怪さ。この国の政官の構図というのは、末期的な状態を呈しているのであり、こうしたものも次期総選挙では焦点化してくるのかもしれませんね。

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2008年09月21日

経済の話。欧米の空売り規制について考える

米国で発表された不良資産買取機構の枠組み、7000億$規模で米国に本店をおく銀行、証券業が対象ですが、ヘッジファンドなどは対象外と伝わってきました。今回の混乱が生じてから、米国ではこれで、MMF保護基金を含めると1兆6500億$が投下されることになります。まだ変更の可能性はありますが、機構は2年の時限つきで住宅ローン担保証券(MBS)などの、金融派生商品にまで踏み込んで買い取る意向のようですので、規模としての妥当性、運用方法については今後検討されていくことになるのでしょう。

米証券取引委員会(SEC)、英金融サービス機構(FSA)に続き、独連邦金融監督庁(BaFin)も金融機関への空売りを年内禁止しました。これまでも空売りを諸悪の根源として、規制や監視の対象とされてきました。ただ空売りとは、本来リスクヘッジの意味合いが強いものであり、その存在自体は決して悪いことではありません。むしろ投資手法の一つとして発展してきました。
ただ昨今、それがより高いリターンを得るための手法として機能し始めた、という点が重要です。買い方と同様、売り方でも利を得るための手法が検討され、リンク債のノックイン価格を狙った売り崩しなどもその一つです。相場が右肩上がりでなくなったとき、買いより売り圧力が強くなったときはどうしても売りで稼ぐ、破綻するまで売り崩すというやり方が出てきます。

この問題は単純に投資機会の縮減が影響しています。なので、一つの市場に規制をかけると、影響は別の箇所に出ます。世界がこれだけ過剰に動いたので、いずれ影響は他の箇所に出ることになるのでしょう。売りと買いのバランスが崩れ、市場には金が余っている。一方で、今後実体経済に影響が出るのは確実、買うに買えず、売るに売れない。これがアジア通貨危機のような、国を潰す方向に動かないことを願うばかりです。
例えば、これは完全な憶測ですが、7月半ばに145$の高値をとった原油価格(WTI)が、8月初旬に120$台前半、その後グルジア紛争が起きても下げ足を早めました。投機規制とも言われますが、資源価格高騰で潤うロシアに圧力をかけるため、米政府が裏で動いた可能性もあります。ロシアから急速に引いた欧米のマネー、経済面での打撃を加える意図が背後にはあったのでしょう。

先物投資顧問業(CTA)などの動き、グローバル・マクロなどのヘッジファンド系の動き、金融機関が売れない中、また米国では全銘柄対象に売りが出し難くなったという材料は、一時的には好感できても、実需筋がどの程度の持ち高をかけておけるのか?貸し株料が稼げない株、上昇すれば問題ないですが、下落したときは保有リスクを意識せざるを得ないのでしょう。
欧米は歪んだ市場を生み出しても下落局面を食い止めるという、これは最終手段にも思えます。むしろ打つべき手を打ち尽くした点で、ここで食い止めないと大きな危険を孕むのでしょう。次に起きる危機は米債券の格下げリスクです。外貨準備高、世界第1位と第3位の中露が政府系住宅金融機関(GSE)の債券を、米国の意図に反して売りを出していた、という事実もあります。米国債に売り圧力がかかるとき、真の意味の世界の危機であり、それがないよう今回の数々の対策を好感する他はない、ということでもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年09月20日

雑感。中国のメラミン問題について

中国で粉ミルクにメラミンが混入し、乳幼児を含む5人が死亡、腎不全などの患者数も拡大の一途を辿っています。また今日になり、日本でも丸大食品がこの牛乳を使用した製品の回収を発表し、韓国では養殖魚用のエサからメラミンが検出されたとの報道があり、海外まで含めてこのメラミン問題が拡大する可能性を、充分に認識させられています。
当局の隠蔽疑惑は昨年春に遡ります。米国では、中国産ペットフードを食べたペットが腎不全で死亡した事例がありましたが、中国はそれを認めずに対応をしませんでした。北京五輪前に知っていた、ともされますが、この時メラミン使用の実態を調査しておくことが必要だったのです。

日本でも汚染米問題で太田農水相、白須次官が更迭され、辞任しましたが、食の安全とは問題が発生してからでは遅いのであり、些細な信号を見逃さないよう対応しなければなりません。自ら汚染米の拡大に手を貸すという行為は論外ですが、農薬や不純物の混入が認められた場合、その事実と捜査の開始を公表すれば影響の拡大、事件の抑止効果が期待できます。
中国では『九牛の一毛』という言葉があります。史記を記した司馬遷が宮刑になったとき、自分の事柄をこの言葉に例えました。世間から見れば『とるに足らない』ことでしかないとの嘆きですが、一つの事象に対して九牛の一毛だと看過していると、それは後に大きな問題へと発展する可能性があります。特に中国という国は報道統制のある国であり、隠蔽されている事実と報道ベースに載った事実とを精査する必要があるのでしょう。

中国では、不動産投資で損失を被った被害者が市庁舎前で抗議活動をしたとも伝わりますが、未だにリスクの考え方が出来ていない面があります。その補償を国家に求めること自体、違法な勧誘などがない限り法的な根拠は何もありませんが、市場経済移行期にはこうした混乱もあるのでしょう。
中国では目的と手段の食い違うことを『木によりて魚を求む』とも言います。投資とはリスクとリターンのバランスで成立します。必ず儲かるという投資はなく、損失と儲けの狭間で人は考えて行動します。その損失を市庁舎に抗議することで埋めようとする行為を、木によりて魚を求むということになります。

メラミンの問題も、タンパク質の補填にメラミンを充当すること自体、木によりて魚を求むということになります。短期的には儲けが得られても、健康被害が出れば企業は重大な損失を被りますし、人は逮捕されます。手段を間違えたときの責任、その重さはどんな場合も生じますが、中国は今後こうした問題が色々と起きてくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 社会

2008年09月19日

米国で不良債権買取りのための組織を立ち上げか?

日米欧、更に中国、ロシアに至るまで広がる経済混乱に、政府が重い腰を上げはじめました。中国は利下げに代表される金融緩和と国有投資会社による銀行株買い上げ、ロシアも株式買い支えを柱とする緊急市場安定化策の導入です。今回の混乱に対する直接の対策ではありませんが、中露は国内の問題から株式が大きく下落し、負の影響が目立ち始めたことが主因です。

日米欧、6中銀の協調介入、ドル資金供給の効果は限定的ですが、急速に高まった銀行間取引に対する不信、ドル短期金利の面では多少の緩和効果もあったようです。それ以上に重要視されたのが、整理信託公社(RTC)に似た組織の設立を米政府が発表したことです。
当初、日本の整理回収機構のような組織と伝わりましたが、現状では不良債権を包括的に買い取る組織として検討されるようです。1年前にも、私はディスカウントで政府が不良債権を買い取る組織を立ち上げるべき、と述べていましたのでこの組織はそれに見合う形です。ただ1年前と状況は大きく異なります。当時は損失処理が一時的にしろ膨らんでも、増資に応じるファンドが山ほどありました。今は各金融機関が不良債権をレベル3資産に放り込み、増収要因にしても増資に応じてくれるファンドはありません。ここで損失確定を伴う不良債権売却ができるのか?それが直接金融機関の破産危機に繋がりはしないか?という懸念があります。

2兆$とも云われる不良債権の処理に、一体どの程度の規模で望むのか?また資本毀損により、売却と同時に増資しないと破綻する金融機関も出るでしょう。つまりこのタイミングは遅きに失しており、9000億$を越えた公的資金の注入と共に、更なる財政負担が米国債の格付けに影響を与えることになるのかもしれません。それほど簡単に、この問題にケリがつくことはないでしょうし、悪い方向が意識される時にはこのRTCという組織、米政府の負担にもなってくるのでしょう。
英金融サービス機構(FSA)が、金融機関の空売りを全面停止しました。また米証券取引委員会(SEC)も全銘柄の空売り規制と、一部では全面停止も導入するようです。これは極めて重要な問題を孕んでおり、先物投資顧問業(CTA)の動向なども含めて、後日まとめて記載したいと思います。

各国の株式も今日は急騰しました。イベントドリブン型の買いが活発化した、という見方が妥当ですが、各国政府の本腰がどの程度のものか、今後はそれを見ていく形になります。好景気の時の貯金、それは政策金利を高くしておくこともありますし、外貨準備を貯えておくこともあります。それを総動員してでも景気後退を防ぐ術、それを探っていくことになるのでしょう。
昨日は国交省から基準地価も発表になりましたが、日米欧の商業用不動産の購入に積極的だったリーマン、その破綻の影響が今後出ることになれば、基準地価は更に下落傾向が鮮明になるでしょう。日米欧はその負の影響、それに怯えながら有効打を模索しなければならない、そうして右往左往していく展開がしばらく続くのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:02|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年09月18日

年金問題も汚染米転売問題も根は同じ

リーマン破綻の影響で、今日は日本の国債が発行できないという事態に陥りました。リーマン発行のサムライ債が紙屑と化し、他行のサムライ債発行が停止して資金繰り計画に支障が生じるなど、影響は拡大しています。MMFが基準額割れ、財務体質が健全とされていた米証券第2位のモルガン・スタンレーも金融再編の動きが急速に起きるなど、混乱は継続しています。
米政府管理下に置かれたAIGが、スプレッドが拡大して混乱する金融保証部門をどうするのか?最終的に金融機関を支えるか、どうするかを決められる米政府が、その部門に時限付きでコミットできる。リーマン破綻で拡大する影響、その知見を集めながら今後も米政府は動くことになりそうであり、まだ様々な形で何らかの問題が出ることは確実なのでしょうね。

国会閉会中にも関わらず、農林水産委が開かれ、汚染米の転売問題に関して審議が行われました。農水省の対応の杜撰さは云うまでもありませんが、重要なことはお米の産地偽装問題が噴出した時、ブローカーの存在も指摘されましたが、そこに何の手も当てなかったことです。
安く仕入れて高く売る仕組みがある、そこにブローカーが存在します。産地偽装にしろ、汚染米転売にしろ、この仕組みを利用した売買であり、ライスロンダリングと呼ばれる不正が生まれます。今回の件は消費者とともに、農家をも裏切る行為です。国産と表示されても、このライスロンダリングが存在する以上、仮に汚染米ではないにしても国産表示が信じられなくなります。混入されていないと保証するには、トレーサビリティ制度を導入するしか対応が出来ず、誰も表示を信用しなくなるからです。

年金問題も同様、標準報酬月額の改ざんは以前から指摘されていました。今回、舛添厚労相が「限りなくクロに近い」と認めましたが、国民の声ではなく社保庁側の見解を容れてきた政府は、ずっとそれを認めずにきました。以前は「証拠がない」とも述べていましたが、状況証拠を調べればこうして可笑しなデータはすぐに判明したはずなのです。
汚染米転売、年金問題、この二つで大事なことは、どちらも国民が先に声を上げていたものを、行政の検査、調査が不十分なために公表が遅れ、余計な被害を増やしてしまったということです。どちらの声を優先して取り上げ、対応するのか?ということを国民は見ているのであり、解散総選挙が近いとも言われますが、この二つの問題は投票行動にも大きく影響することでしょう。

国が自分の身を護るために対策の手を遅らせ、答弁でも責任逃れをするのは、結果的に国民を裏切る行為です。にもかかわらず、この国ではこうした対応が多いのも事実であり、またそうした対応を許してきた政官の態度、というものが甘えを許してきた部分でもあるのでしょう。
小泉旋風時の参院選挙と同じ、与党は2匹目のドジョウを狙っているようですが、時代が移り、川の流れが大きく変わった今、そこは川底も見えないような濁流なのかもしれません。次の解散総選挙、こうした問題の帰趨を見る上でも、とても大事なものになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 年金

2008年09月17日

AIGに公的資金が注入

米国から毎日のように流れってくる重大なニュース。強は米保険最大手AIGに対する、FRBによる850億$の公的資金注入です。2日前は400臆$と云われた繋ぎ融資の額も、格下げによる追加担保の差入れ、リーマン破綻に伴うCDS損失などで、一気に2倍強の額が必要となりました。米政府がこだわった民間支援、公的資金を出し渋ってリーマンを破綻させた、そのツケは意外なほどに大きかったということになります。
しかも今回のAIG支援も、先のGSE支援と同様、2年という限定つき時限対策です。その間に資産売却などで、公的資金を返済することが求められます。資産は充分で保険料の支払い能力がある、と発表されていますが、子会社の切り売りは今後起きることが確実ですので、それが日本で起きるかは分かりませんが、保険内容の見直し等に発展する可能性は充分にあります。

米国ではこれで、約9000億$の公的資金が金融安定化に使われたことになります。リーマン破綻においても、実は部門切り売りで注入されたとの記事もありますが、大きなものは連邦住宅局(FHA)に3000億$、米住宅金融公社(GSE)に2000億$が投入されています。今後は米連邦預金保険公社(FDIC)に資本注入が噂されますし、FRBも自己資本を固めるために米政府に頼ることになるでしょう。感触では年内に1兆$を米政府は費やすことになりそうです。
米では財政年度の切り替えが9月にきますが、8月までの11ヶ月ですでに4860億$の財政赤字を米議会予算局(CBO)が発表しています。今回の公的支援においても、発行済み株式の約80%を担保とするようですが、巷間いわれるtoo big to fail(大き過ぎて潰せない)もありますが、米財政上の事情と受け止めても良いのかもしれません。優良資産を担保とできるAIGでなければ、安易な支援には臨めないという、その他の米企業に対するメッセージでもあるのでしょう。

日本では与謝野経財担当相が今回の一連の米国の動きに関して、「ハチに刺された程度」と述べたようですが、市場の動揺を抑えるための言葉だとしても、それがスズメバチなら応急処置も必要です。今回のリーマン破綻の影響で、あおぞら銀行はヘッジしているので損失はそれほど大きくないと発表していますが、もしかしたら今回のAIGが破綻でもすればヘッジが効かなかった可能性があります。最悪は回避できても、景気が悪化していることは間違いないことであり、「冷静に見つめる」ばかりの対策では政府が機能していないことにも繋がります。
私は7月ごろ、年内の日経平均の下限予測を10000円と見ていました。それは金融市場が縮小する中、ゆっくりと下落していく過程で、一時的にその水準に近付くのでは?という流れで見ていた部分があります。しかしこうして大型破綻、救済も時限つきで、それまでに経済が回復しなければ新たな手を講じる必要がある、という今回の流れで問題の根深さが改めて認識させられることになりました。米国も大統領選で手が打ち難いこともありますが、米国の影響でもう少し日本の株式も下方に引きずられることになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(4)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年09月16日

世界同時株安(9/16)

かなり大きな規模の世界同時株安が起きてしまいました。私はこれまでも米政府、米財務省、FRBの対応を間違えていると指摘してきましたが、今回の件でもそれが表れてしまった、という点でより深刻なものを感じます。どうしてそうなってしまうのか、過去とこれからを考えてみます。

1年前にサブプライム問題が発覚した当時、大量資金供給によりFRBは市場安定化を進めました。しかし当時は資本の毀損もなく、収益性の高い証券化商品の販売、という事業に行き詰まりを感じ始めていた投資銀行は、余った資金を資源に振り向け、それがインフレ懸念を生みました。それに拍車をかけたのが金利引下げで、マイナス金利に陥った米国は金融が超緩和状態になったものの、信用市場の混乱は解決せずに、後に世界各国にインフレが波及的に進みました。
ベア破綻時はルールがなかったので、緊急避難的にFRBが公的資金を注入し、JPモルガンへの救済合併を後押ししました。GSEは各国政府機関の債券保有が高く、影響を最小限に抑えるため公的資金を注入しました。一方で中国、ロシアは売却を進めており、米財務省が各国に債券保有を促す連絡を入れるなど、米財務省が営業マンとなってまで支援を進めています。

現在、米国で起きているのは深刻な資本不足です。相次ぐ増資計画の失敗により、各金融機関は運転資金に困っても、資金繰りが出来ない状態に陥っています。政府へ繋ぎ融資を要請したAIGも、本質的には資本不足が影響しています。このタイミングで、米政府は資本注入ではなく、流動性担保のための資金供給とゴールドマンなどへの支援要請で問題解決を促しています。
米国で流動性が喪失しているのは、資本不足に陥っている企業への短期資金の融通が滞ることで起きます。必要なことは増資に向けた支援であり、流動性確保のための市場への資金供給ではありません。SWFやエクイティ・ファンドなど、大口投資家を増資へと導くための手立てであり、これがなければ更なる破綻は増えることになります。

繋ぎ融資を要請したAIG、研究開発費の支援を要請した米ビッグ3、米国企業が各々の事情で政府に頼り始めた、その流れを食い止めるためにも政府支援という甘い算段は出来なかった、というのが今回です。しかし増資支援がなければ2つの破綻しかけた企業を抱え込んだバンカメ、今年に入り増資計画に暗雲が漂い始めたシティなど、まだまだ金融機関には大型の破綻懸念が付きまとってしまうでしょう。
大事なことは今、何が必要かを米政府が理解することです。脆弱な金融機関は減ったから、そろそろ落ち着くと述べる人もいますが、急速に進む悪化が二次的、三次的な影響を及ぼす可能性を考えれば、今後は製造業の倒産などに問題が波及していくでしょう。米政府はこの1年ずっと間違え続けてきました。その分が今回の事態を引き起こしているということであり、まだ対応を間違えている時点で、今回の問題に収束の兆しは見えていない、ということになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(4)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年09月15日

米証券大手の破綻について

米国から驚くべきニュースが届きました。金曜日も触れましたが、米証券第4位のリーマン・ブラザーズ(LB)が連邦破産法11条を申請し、事実上破綻しました。また証券第3位のメリルリンチ(ML)が、米銀行第2位のバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)に買収され、米保険第1位のAIGグループが米FRBに4兆円のつなぎ融資の申請です。
今回のLB破綻に関して、12日に予測したのはLTCMが破綻したときのような処理が為されるだろう、ということでした。金融機関では700億$規模のファンドは設立するものの、それは波及的影響を防ぐためのもので、直接の破綻阻止としての機能はなく、その点が読みきれませんでした。

米財務省、FRBもGSE支援策で大規模資本投下を余儀なくされ、LBの分割買収では不良資産の処理に多額の公的資金が必要。よって一括買収を模索していましたが、バンカメも住宅ローン大手カントリーワイドの処理にまだ決着がついていない状態で、リスクを最小に抑えたい、一方で支援要請に応えるためにまだリスクの小さい、MLの救済に舵を切ったということなのでしょう。
次に破綻する企業として、実しやかにAIGやワシントン・ミューチュアルなどの名も挙がりますが、中小含めて連鎖破綻の懸念も噴出してきます。韓国産業銀行がLB支援に名乗りを上げたのも、韓国経済へのコミットが大きいLBを救済しなければ韓国経済が危険、との意識もあったはずです。日本の金融庁が日本法人に資産の国内保有、事実上の凍結を指示しましたが、各国も同様の動きを示し、破綻処理に伴う資産投売りに警戒を示してくるのでしょう。

各国の中央銀行が金融機関の資金繰り支援のため、協調して資金供給に乗り出しました。1年前も同様の手で金融不安を乗り切ろうとしましたが、中央銀行の余裕が失われた現在、不安定さは増しているといえるでしょう。重要なことは、これが悪材料の出尽くしなのか、終わりの始まりなのか、まだその帰趨が見えてこないことです。流血の日曜日とも言われているようですが、血を流すのが米金融機関だけで済むのか、米国全体が瀕死の状態に追い込まれるのか、楽観できないところまで来たなというように感じています。
LBといえば、戦前から日本と関わりのあった金融機関です。その歴史と今回の米政府の無情ともいえる裁定、明らかに公的資金を出し渋ったという点で、とても残念に感じています。投資銀行業務に対する各金融機関の見方、拡大経済が終わった象徴として、日本の山一証券の時と同様に、今回の件は後に語られることになるのかもしれませんね。

個人的には、大きな金融機関が破綻するとは見ていましたが、救済されるとも考えていました。その救済がない、金融保証が機能しなくなったという点で、非常に深刻なものも感じます。悲観の極にあるときが相場の底、という格言もありますが、何が極なのか、それを見極められない展開が今後も続いてしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年09月13日

自民党総裁選について考える

自民党総裁選が行われています。論戦が展開などとも報じられますが、これまでの総裁選とは大きく異なる点があります。それは『仲良し』の五人が自分はこう思う、と自説を述べているだけで、具体的な政策、考え方の違いが鮮明にならないということです。
過去2回の自民党総裁選では、少なくとも候補の違いが鮮明になりましたが、逆にその2回の総裁選後の動きで、今後の自民党総裁選の帰趨は決まったといえます。最有力候補者との違いを鮮明にし過ぎると、次期政権から疎まれる。それは候補者のみではなく、支援者を含めてのことであり、このため神輿を担ぐ側からの要請もあって、候補者たちも有力候補者と政策面での対立軸、強いメッセージを打ち出せなくなったのです。

2000年の総裁選では、小泉氏が「自民党をぶっ壊す」との文言を用いました。森内閣の支持率が低迷し、自民党に危機感が高まったときです。自民党政治からの脱却、新たな政権政党の形に期待し、それが地方票を終結させ、小泉政権誕生の原動力となりました。
現状はそれと酷似しています。2代続いて総理が政権を投げ出し、一時的にしろ自民党支持も上がっていますが、基本は自民党政治でこのまま日本は良いのか?という問いが国民の中にはあります。それはこの総裁選でも示されておらず、あくまで候補者5人は自民党政治の枠内でこの国の形を語っているのみです。何かを変えようとする熱情は一向に感じません。

今回の総裁選のシナリオを描いた人間は、候補者多数でメディアに出まくり、露出効果で支持を高めて解散、総選挙という構想でいます。変動の大きな地方票を県単位で3票とするなど、あくまで党幹部の意向にそぐわない結果にはしたくない、との考えです。この辺りも、この自民党総裁選があくまで自民党の思惑の範疇から脱却していないと感じさせます。
小沢民主党代表も、この露出効果の持続性を逆手にとる戦略のようで、今は地道な活動という形をとっています。現実問題としてある景気後退、年金、医療、介護、そして食の安全など、本来は各候補の違いが鮮明に出るはずの案件に違いが見られない、ということは政策では国民に訴えない、との想定なのでしょう。10月解散、総選挙になれば、この戦略上の優劣、その結果が明らかになるということであり、その点は大変に興味があるところです。

ただ今後も、恐らく自民党総裁選は同じ流れが続くでしょう。麻生氏嫌いの小泉氏が小池氏への支持を表明しましたが、地方票の少ない今回の総裁選の大勢を変えるには至りません。むしろ小池氏の得票率を高め、政権内の重要ポストを握らせ、一定の影響力を行使するためには必要、との判断なのでしょう。挙党一致を打ち出さねば次の総選挙は厳しい。総裁選の『仲良し』ごっこ、茶番劇とは、こういう党内の事情が特に影響しているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年09月12日

経済の話。米証券大手の救済策について

今週は米国政府からの発表で、経済は右往左往しました。週初の政府系住宅金融(GSE)2社に対する公的資金注入策、米証券大手リーマン・ブラザーズ(RB)の経営戦略で増資計画が明らかにされず、失望売りが続き、昨晩になりFRBや米財務省が関与する形での身売り話が進行中というものです。
名前の挙がるバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)は身売り先として適切ではありません。6月に住宅ローン大手カントリーワイド・フィナンシャル(CF)を救済合併しましたが、CFのローン業務に関して違法性を問われ、また更なる住宅ローン市場の悪化により、決してこの買収劇が上手くいったと云えない状況です。ここで更に、リスクをとる大型買収に挑めるかは、仮に資本に余裕があったとしても難しいところでしょう。

三菱東京UFJなどの名も挙がりますが、すでに買収資金を米地銀UNBCに投下しており、更なる買収に名乗りを挙げるのか、は不透明です。15日朝までに米政府から何らかの発表とも言われますが、米政府としてはGSE支援で財政に余裕がなく、また米連邦預金保険公社(FDIC)も金融機関の大型破綻があれば、それだけで資本不足に陥りますから何としても民間に身売りさせたいわけです。
現実的には米政府主導による、数社が出資する基金を活用する形になるのでしょう。リスクは米政府が保証し、資金提供を増資として活用し、再建策を模索する以外に手はないと見ます。次に破綻するとされる金融機関としてメリルリンチなどの名が挙がる以上、各社も買収には消極的にならざるを得なくなっており、手を挙げないのが現状です。

現状の世界のマネーフローはリスクテイクしない、安全運用を原則としています。中東も、中国も政府系ファンドが活動を停滞させ、一方で国家戦略に利用され始めています。中国が某国の国債を大量購入し、台湾への圧力、封鎖に利用しているという話も伝わってきました。
ユーロ安も、欧州経済の減速とともにオイルマネーが撤退している、と考えると分かり易いかもしれません。オイルマネーは直接米国に流れるのではなく、欧州を経由して各国に流れます。原油安が進み、世界経済の見通しに暗さを感じたオイルマネーが資金引き上げに動いている。その結果、一気にユーロ安が加速し、売りが売りを呼び易い環境を生み出しているのです。

アジア通貨危機に関しても、各国の外貨準備が11年前の10倍あるから大丈夫、というのは間違いで、11年前より金融緩和、世界の金余り状態が進んだ今、10倍だから安全とは云えなくなっているのです。今の信用市場の混乱、ファンドの運用悪化が続く中では、国家を破綻させてでも儲けを得ようと暗躍するマネーの存在を排除できなくなっています。
日米がマイナス金利状態で、運用先が見つからないだけのジャブジャブになった資金が次に何処に向かうのか?冷静に見ていかないと『とんでもないこと』が何処かで起きることにもなりますから、経済の世界はもうしばらく不測の事態に備える、そうした形になってしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年09月11日

官僚を擁護する姿勢とは?

事故米の不正転売問題で、農水省は自らの責任に言及せず、今回のことは企業の問題ということで処理する流れで国は動いているようです。残念なことは、これでは反省に基づく自浄作用も、制度改正などにすら踏み込めず、結果的に国民不在のまま事件の幕が引かれてしまいそうです。
福田氏の突然の辞任の際、飯島元小泉秘書官がメディアに出演していました。その意見を聞いていて、ふと考えたことがありますので、少しこの問題と絡めて考えたいと思います。

飯島元秘書官は番組内で「居酒屋タクシーはノンキャリアが起こしたことで、自治労の問題だ」と発言していましたが、これは大きな間違いです。お墨付きが与えられているのでこれまで続けてきたのであり、お墨付きを与えたのはキャリア官僚です。実行犯だけに罪を押し付け、指示とまではいかなくても黙認していたものが責任逃れでは、管理能力の欠如を自ら認めるようなものであり、これはキャリアもノンキャリアもなく問題があります。
同番組内で「官僚叩きをする最近の政治家」と発言していました。小泉政治が長期政権となったのも、これだけ官僚の肩をもつ人間がトップとの橋渡し、仲介に立てば官僚も盛り立てるでしょう。結果は、小泉時代に改革と称されて手をつけられたものは悉く官僚寄りで、国民負担や企業負担が拡大し、国庫支出は減っても国民の暮らしは一向に楽にならない、という事態です。

農政の問題でも米売買の自由化がブローカーを生み、事故米を流通させ易い環境を生み、かつ官僚は検査すらまともに出来ずに責任なし、と逃げ回るばかりとなります。ナゼこうなるのか?と考えたとき、官僚寄りと目される有識者の語る言葉に、大きな矛盾があることに気付きます。
『官僚組織』を守りたいのか?それとも『官僚』という人を守りたいのか?ということです。概ね官僚寄りとされる人物らは前者を取り上げ、組織防衛の観点で意見を述べます。今回もそうで、農水省、農水大臣、いずれも責任問題に触れることを極端に嫌がり、自分たちは問題ないと述べるばかりです。これは自己保身もありますが、組織崩壊を防ごうとする潜在的な意識の表れであり、制度改正などの道を阻む力となっているのです。

しかし本来、官僚という人を守りたいなら、不正や問題が発生し易い制度を改め、スムーズな運営ができるよう努めるはずです。そうしなければ後任に悪しき制度、誰かが踏めば爆発する地雷を引き継ぐに過ぎません。組織を守りたければこうした慣行を残すでしょうが、人を守りたければ一刻も早く良い制度とし、それにより迷惑を被る人間が拡大してくのを防ごうとするはずです。
天下りをなくす、というとすぐ官僚と対立か?と語られますが、これに言葉を足せば国民から天下りを問題視される現状で、天下り擁護は『官僚組織』を守る意見であり、天下り禁止は今一生懸命に仕事をしている『官僚』という人を守る意見です。国家公務員上級職試験の受験者が減少するのは、組織防衛ばかりを主張し、人を蔑ろにしてきた結果でしょう。人を大事にするということが、最終的により良い組織にすると考えるなら、この国の向かう方向性はやはり間違えているといえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 行政改革

2008年09月10日

事故米の不正転売問題を考える

農林水産省がミニマム・アクセス米として輸入された米の中で、農薬メタミドホスの混入した中国米、カビ毒のアフラトキシンが検出したベトナム産うるち米など、いわゆる事故米とされるものを三笠フーズに平成15〜20年の間に1779トンを卸し、そのうち相当量が食用米として酒造業者、米菓子製造会社等に転売していた事件がありました。

この事件の大きな問題は二つあります。カビは保管過程、運送過程、どのタイミングで発生したかは分からず、契約上どのタイミングを引き取りとするかもあるので事情は異なりますが、メタミドホスは農薬であり、基準から外れる使用が認められれば本来は相手国につき返し、またその内容を国民に対して詳らかにすべきです。つまりこれは輸入米だけの問題ではなく、相手国に渡航する邦人、全ての健康に関わる問題でもあるからです。
水際で防げたので問題なしとして公表せず、では情報開示の姿勢として間違っているといえるでしょう。そして粘土でさえ、子供が口に入れても大丈夫と謳わなければならない昨今、工業用ノリでも事故米を使うことに躊躇いがあります。人が近づく場所にその工業用ノリの使用があれば、揮発性などを含めてシックハウス症候群の原因物質にならないのか?との疑問もわくでしょう。さらに他の業者でも転売が確認されましたが、これだけ転売されても需要に混乱が見られない現状は、事故米そのものの流通に必要性が見出せるのか?ということもあります。

そして農水省の杜撰な検査体制の問題があります。これは製品検査ではなく、制度運用の確認検査なので、事前通告してしまえば何の意味もありません。癒着の構図、と疑える事態であり、農水省の態度はいずれの場合でも検査を円満に、波風立てないよう終了させることを優先させており、国民の安全を担保するという意識での検査にはなっていないのです。
しかも当初、転売先を混乱を生じるとの名目で明らかにしませんでしたが、疑いを持たれたまま、無関係な業者に風評被害が起きることが問題であり、情報は早急に公開すべきでした。すぐに人体に影響がない、と言われてもそれを信用できなくなるほど農水省の信頼は失墜しており、むしろ同じ会社の同じ食品を摂取し続け、継続した影響により被害が出ても、原因が特定できなかった可能性すらあるのです。

人の口に入らなければ良い、とする姿勢は非常に他人事との印象を与えます。堆肥にしろ、飼料にしろ、事故米を使ったものが農作物や家畜に本当に影響がないのか、工業用ノリと称されるものでも、どういう使用であれば安全性が担保されるのか、少なくてもこれだけの内容を確認した上で流通に回さないと、誰も買わないでしょう。
更にこの問題は雇用に関わっています。本来、転売を指示した経営陣が先に総退陣し、責任をとって捜査に全面協力すべきですが、そうではなく先に労働者が解雇される事態となっています。企業の問題、省庁のチェック体制の甘さなど、何度も繰り返されるこの国の問題、根本的な部分は何も変わっていないという点で、非常に深刻なものも感じてしまいますね。

analyst_zaiya777 at 23:05|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2008年09月09日

自民党総裁選と民主党政権構想

自民党総裁選の候補者が出揃ったようです。麻生氏、石破氏、与謝野氏、小池氏、石原氏の五人です。先に出馬を匂わせた山本氏や棚橋氏は悪い言葉を使えば『にぎやかし』であり、若手も声を上げておけという幹部の指令を忠実に守っただけでしょう。山本氏のグループなど、本命は河野氏ですが麻生派への配慮から断念、参院の山本氏で義理をたてただけであり、本気度は知れます。棚橋氏も同様、本気であれば政策協調をしてでも立候補する気概を見せるはずで、結果的に売名行為のみの効果で終わってしまいました。

前回の予想で少し間違えていた部分は、津島派から誰か出ると見ていましたが、額賀氏ではなく石破氏だったこと。谷垣氏は負け戦に消極的で、古賀派が擁立を見送ったこと。石原氏は推薦人が集まらないと見ていましたが、派よりも『構造改革路線の継承』という錦の御旗を掲げ、候補として起つことに成功したことです。
小池氏が推薦人集めに苦労したのも、現状の党内は小泉改革路線に懐疑的な見方も多く、年金、医療、広く見ればテロ特も小泉時代に手をつけたことであり、いずれも与党が苦労するハメになっています。事態が悪化して手をつけねばならなかったことは事実ですが、構造改悪になってしまった、との反省が与党内には支配的です。このため党内のウケが良くないのです。

「消された年金問題」も、社保庁が関与していたことは確実であり、では年金制度をどう構築するか、という問題は今回の自民党総裁選でも焦点にはならないようです。特に行政、制度自体の構造変更が必要との認識は国民には強く、与党には薄い。経済政策という分かり易さ、即興的な国民ウケの良い政策だけではなく、継続的な影響を及ぼす生活安定という面に関しても、もっと議論があって然るべきところです。
小沢民主党代表が3選をきめ、政権構想が語られました。個別には長くなるのでやめますが、例えば基礎年金の税方式など見るべき点はあります。民主党の政策には必ず財源議論が起こりますが、与党も年金の国庫負担拡大分に関する説明がなく、また景気対策や経済成長にしろ、財源措置が付きまとうものですから、与野党とも打ち出す政策には財源の議論が付きまとうことになります。

民主党の政権構想では財源に関して、特別会計の原則廃止ということで捻出を織り込むようです。自民党総裁選では、一部で消費税、一部で埋蔵金、という形で議論が進められるようです。消費税では国民負担と一時的な景気後退局面を迎え、埋蔵金も出し尽くせば終わりです。出来るか、出来ないかは別にして、実は財源議論で民主党はよく叩かれますが、一歩リードしているのです。
政策実現性という点で考慮するとまた変わりますが、出来なければ失望を買い政権を失いますから、大風呂敷をどう受け止めるかは国民次第、ということでしょう。ワイドショー的な盛り上げ方も目立つ自民党総裁選ですが、日本の構造にまで言及できない議論ではただの『にぎやかし』であり、政策重視で見ていかなければいけないのでしょうね。

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2008年09月08日

米政府系住宅金融2社に対して支援策が発動

昨日は交通マヒに巻き込まれ、帰りが遅くなり記事がかけませんでした。申し訳ありません。
今日は小沢民主党代表が三選を決め、政権構想なども語られましたが、その前に世界経済に関する重要な発表が米政府から今朝ありました。政府系住宅金融公社(GSE)、2社に対する公的資金の注入により、政府の管理下に置かれるというものです。米住宅市場の起爆剤には物足りないものですが、これを先読みして売っていた層の買戻しを絡めて、今日の日経平均は大幅上昇しています。

支援策の概要は“行済み債券は簿価で米財務省が買い取り、株式上場は維持、但し財務体質健全化を優先して配当は見送り、A躋2000億$規模の枠を決定。この他にも直接、財務省が住宅ローン支援に動くなど、公的部分が住宅ローン組成に強く関与する形がにじみ出ます。一方でGSEの経営陣と既存株主には厳しい処分を課し、納税者の負担にも理解を求める考えです。
まず重要なことは、GSEが証券化に関わった商品、及び保証するローンは総額6兆$規模と伝わりますが、2000億$では3%強の規模しかない、ということです。ローン延滞率、デフォルト率から考えると、この財政出動規模で本当に足りるのか?との問題があります。9月に大量借換えが発生し、それをこなすためにはこの時期の発表が求められたということのようですが、ついに撃ち放ったバズーカとしての弾の威力は、極めて小さかったと云えるでしょう。

今回の発表は市場に極めて優しい内容です。日本と中国の金融機関がこれら2社の債券保有が飛び抜けて大きいですが、配当などの収益性は失われましたが、時価による目減り分を損失計上しなくて済むので、その点は安心を与えるものです。一方で、これだけの支援をすれば米財政が痛み、大量の米国債の発行が視野に入ります。米政府はスキームを決めても、2000億$を投入することなく、市場が回復してGSEの経営が安定化することを望んでいるでしょう。
しかし肝心の住宅市場はプライム層、商業用不動産にまで悪影響が及んでいますから、住宅ローン組成がこれまで通り機能するようにした今回の支援策でも、この流れは防げません。今回の対策を簡単に言うと、米国発の金融市場の崩壊を米政府がその信用度で支えようとしている、というだけのものであり、米国債の動向次第では債券安、ドル安という最悪のシナリオが導き出されることになるのでしょうね。

一時的にドル高に向きましたが、米国債の大量発行という事態になれば、ドルは当然安くなります。アジア通貨危機を考えると、それも必要な措置に思えますが、そうするとドル安による資源高、という悪い循環が再び発生します。今回の支援策でも、本質的な部分はまだ何も変わっていない、ということを考えると、一時的には楽観シナリオもあるのでしょうが、もう少し構えてみているぐらいの方が今は良いのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 経済

2008年09月06日

米大統領選が本格的に始まる

米国で重要な記事がありました。政府系住宅金融機関(GSE)に対する公的支援策がまとめられ、日本市場が開く前、日曜日の朝までには発表されるとのことです。具体的な内容が不明ですが、これは邦銀の財務にも影響しますから、対岸の火事ではありません。すでに噂されていたことであり、各邦銀も保有資産の査定を進めているはずですが、支援策次第では損失計上を余儀なくされます。暗黙の政府保証、それが発揮される時に何が起きるのか、それが日本時間で9時までには判明する、ということですね。

米では大統領選が佳境に入ってきました。民主党、共和党ともに党大会が行われ、民主党がバラク・オバマ氏、ジョゼフ・バイデン氏、共和党がジョン・マケイン氏、サラ・ペイリン氏と大統領、副大統領候補も出揃いました。今日は少し即物的にこの米大統領選を考えてみます。
オバマ氏がアフリカ系米国人であることは有名で、父親はイスラムを信奉していたことは有名です。マケイン陣営がネガティブキャンペーンをはっていますが、マケイン氏もアイルランド系移民であり、これまで米国の政治・経済を牛耳ってきたWASPとは異なります。

WASP(White Anglo-Saxon Protestant)という意味ですが、英国アングロサクソンをさします。2000年に調査された際、米国ではドイツ系15.2%、英国系12.5%、アイルランド系10.8%と民族構成が続きますが、この中でアイルランド系は二級市民と差別されてきた歴史があります。
アイルランド人が警察官や消防士になることが多く、アイルランド人に多かったパトリックの名前の愛称、パディが警察官の俗語であったり、パディ・ワゴンというと囚人護送車を意味したりします。今でこそアイルランド人への見方も変わりましたが、初の黒人大統領か?という話題とともに、アイルランド系大統領という点にも注目が集まります。

両党とも大統領の経歴、民族的な問題を抱えますが、副大統領は党を象徴するような人物である、という点で興味深いものがあります。ただ共和党・ペイリン候補はスキャンダル絡みであり、保守層の態度としては微妙な点もありますが、攻撃的なイメージをもつバラクーダとの愛称とともに、年齢のために荒々しさの乏しいマケイン氏には必要な補完的役割なのでしょう。
日本ではバラク・オバマ氏とバラクーダをかけて、第二のバラ戦争などとも揶揄されます。英国のバラ戦争の前、百年戦争を主導した仏のシャルル七世の言葉に「自分のめんどりを食べる狐を養うバカな奴」という言葉があります。息子が自らの地位を狙っていると知りつつ、排除できなかった王の嘆息ですが、今回は一体誰がめんどりで、誰が狐なのか?色々考えてみると少し、面白いのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 政治

2008年09月05日

世界同時株安(9/5)

先週の土曜日、今週の株式相場は12500を試してきそうだと書いたところ、随分と深く突っ込んでしまいました。買い方の負けが続いていたため、下押し圧力は先週から高まっていました。同様に、為替相場にも急変動が起き、円/ユーロは一日で6円近く動いています。
原因を米民間雇用統計という人もいますが、これは欧州中央銀行(ECB)が定例理事会で金利据え置きを決めた際、担保条件の厳格化を発表したことにより起きたと見た方が良いでしょう。これまで欧米の中央銀行は金融機関に優しいハト派と目されていましたが、この決定により金融機関の資金繰りに不安が出て、欧州経済に急速に悲観が強まったことが売りの背景だったのでしょう。成長見通しも引き下げられていますが、円/ユーロの動きから見ても欧州経済不安が世界を席巻した形です。

一方で、世界経済の減速を織り込む流れもあります。以前から指摘していたアジア通貨安であり、韓国ウォンはドルに対して年初来17%下落、その他のアジア通貨も売り込まれており、市場介入により自国通貨安を食い止める対策が打たれています。通貨安は深刻な輸入インフレを生みます。韓国の例でいえば、原油WTI価格は年初96$/バレルで、現在108$/バレルですから、10%以上上昇しています。単純に見ても原油輸入価格はウォンベースで20%後半の上昇となっていますので、これは深刻な状態です。原油価格は最高値から下落していますが、年初から見ればそれでも上昇しており、影響は通貨安を抱えた国に大きく出てきます。
韓国では国債の一部償還時期が迫り、9月危機とも言われますが、本質は新興国からの資金逃避の動きです。通貨安が更に経済に打撃となり、それを見越して売る。その流れの中で、各国中央銀行も利上げを模索しているようですが、政策金利が外為市場の主要議題ではなくなって来ており、下手な利上げは自国経済の更なる打撃となるでしょう。

米国でも、中央銀行の態度で状況が一変する流れがあります。政府系住宅金融機関(GSE)支援策がまとまりましたが、巨額支援が必要とも云われます。米連邦預金保険公社(FDIC)は後数行の破綻で自己資本不足に陥り、増資の必要に迫られます。つまりどちらも政府支援を受ける一歩手前、という水準にまで至っており、住宅市場の回復が見られず、資金繰り悪化が続く米地銀の破綻も更に増えるものと思われます。
ECBが担保条件の厳格化を決めたのも、ECBそのものが安易な資金供給に応じられなくなってきたことを示します。米国は果たして、一体いつまで金融機関に対してハト派でいられるか?は政府保証の規模と時期、国債格付けへの影響などで決まってくるのでしょう。

今回の明らかになってきた、各国中央銀行の問題対応に関する余裕という点では、どこも同じです。欧米では信用市場の悪化が続く金融機関を支援する余裕、アジアでは通貨安を食い止める介入に対する余裕。その余裕がなくなったとき、本当の意味で世界経済の後退、という現実が突きつけられることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年09月04日

自民党総裁選の焦点は?

福田首相はぶら下がり取材を「無用の雑音」として拒否、自衛隊高級幹部会同も欠席し、一方で「粛々と」自らが立ち上げた有識者会議には出席しています。これだけ無責任な行動を続けられるのも、官房長官、そして今回と2度も役職を放り出した実績と、安倍氏との総裁選を取り上げられた時に政界で語られたように、後継者への引継ぎが視野にあると思われます。他人に辞任の責任を押し付け、『逆ギレ』と海外メディアに紹介され、これで若者批判はできないとまで酷評されました。これがやる気のない人間に一国の首相を任せたツケなのでしょうね。

自民党総裁選の中で『上げ潮』と称される派がいます。これを新自由主義と混同して語られる場合がありますが、似て非なるものです。竹中氏が「先進国の中で米国は高成長を成し遂げた」と声高々に語っていたことがありますが、その成長が金融バブルであったことが判明し、米国の成長も虚構であったとする流れが経済学の主流になりつつあります。
日本には新自由主義が根付き難い環境があります。改革・開放路線による公的機関の民営化、規制緩和による市場原理主義への誘導、それに伴う政府機能の縮小による小さな政府への移行、などが新自由主義と呼ばれます。減税などの経済対策が打てるのも、政府機関のコスト削減が可能だからであり、これにより経済成長を成し遂げて税収増を導こうとします。
現状の上げ潮派の主張を見る限り、この新自由主義の一部を抜き出して活用しているに過ぎません。公務員縮減が自然減を待つしかなく、不可能なように、日本で政府機能を縮小させようとするとコスト高に陥る危険があります。よって減税なし、民営化も独立採算可能な業態か、政府が機能を丸投げする法人格で留まります。すでに上げ潮派もこの流れを知り、一部のみを旗頭にせざるを得ないため、手段と結果の間に明確な溝を生む形となっているのです。

では財政健全化の主張が正しいか、というとそうでもありません。簡単に言えば、一般財源、特定財源に関わらず双方の歳出規模を維持しつつ、歳入増により財政健全化を目指そうとする主張にしか見えませんから、現状の経済環境から相当の景気悪化を引き起こすことになるでしょう。
財政出動派も同様、財源に国債を当てるようだと将来世代へのツケ、利払いに怯えて日銀に圧力をかけるこれまでの流れと変わりなくなります。現状、自民党総裁選で語られている内容を見る限り、日本にとって良い未来が描ける提案はない、と言えるでしょう。

これは日本の財政、税制を『今ある形』で考えるために起こります。日本の将来を本気で考え、変えなければという意欲があれば、もう一度必要なこと、不必要なことを見直し、社会の変化、未来の仕組みに耐え得る仕組みの提案をするはずです。そうではない以上、まるで自民党総裁選が茶番劇のように見え、膠着化した現状を打破する意欲に欠けるとしか映らなくなります。今回の総裁選を盛り上げ、衆院解散へ、という流れにしたいのでしょうが、政策で魅力ある内容がなければ票数は伸びないという点に、政治家は早く気付くべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年09月03日

さいたま幼児放置死事件の裁判について

面白い記事がありました。ハエが離陸準備に0.2秒しかかからず、捕まえるのが難しいというものです。これを0.2で早いな、と感じてはいけません。ある研究結果では哺乳類同士の体感時間は体重の4乗に比例すると云われます。簡単にいえば、AさんがBさんの16倍の体重があれば、AさんはBさんより時間が2倍長く感じられるということです。
昆虫には人間が鈍く見え、人間には昆虫が素早く動くように見えるのも、この体感時間の差です。これは一般相対性理論ではないので物理法則ではありませんが、人間が昆虫程度の大きさになれば0.2秒は長く感じられるはずです。昆虫の手足が細いのも、よく動かす部分の空気抵抗をへらそうとした結果であり、1cmを境に空気の粘性が大きく影響します。小さな世界の常識として、ハエは0.2秒で動けるとだけ考えておけば良いものなのでしょうね。

今日は個人的に注目していた、幼児放置死事件の判決がさいたま地裁でありました。執行猶予はつかず懲役6年。この問題は二つあり、まず母親が6歳の長男に2歳の双子の世話を押し付け、約10日前後の間1日に1、2回パンなどを届けるだけだったという点。そしてもう一つは子供たちは母親の実家にいて、祖母も異変に気付きながら双子の一人を死なせてしまったということです。
この事件が痛ましいのは、事件後に長男が「母親は悪くない」と庇ったことです。これは分離不安障害とも言われますが、母親がいなくなることに不安を覚え、母親の云うことをよくきく良い子を演じてしまう、母親のことを身を挺して庇おうとする、そうした行動を6歳の長男が起こしています。母子分離とはそれだけ幼児に厳しい現実を突きつけるものであり、母親が公判で「自分の時間が欲しかった」と述べていますが、子供には深い傷を負わせる結果になっています。

しかもこの事件は母親と子供、という点では2つの問題を含みます。祖母とその娘として、この母親の行動に祖母の方から何らかの抑制がきかなかったのか?また祖母と孫の関係として、なぜ母親だけの言うことを長男が頑なに守ろうとしたのか?ということです。祖母、母親、孫、その三世代間に正しい人間関係が結ばれていなかった、ということにとても不幸を感じます。
教育とは一世代で終わるものではなく、親の態度が子に影響し、子の態度は更にその子供へと引き継がれていくものです。親子関係は離れていても、どちらかが離れたいと思っていても、仮に相手を喪失しても、それはずっと続いていく絆でもあります。契約で結ばれたものでも、打算で付き合うものでもなく、生き方の根底として正しい関係を築いていくことが大事なのでしょう。この事件、裁判を見ると、日本の中にある親子関係の崩壊を感じさせられ、もっとこうした問題を取り上げていくべきなのだと感じさせられますね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 司法

2008年09月02日

福田首相辞任の余波について

自民党総裁選が10日告示、22日投票の日程に決まりました。9月解散との話もありますが、補正予算措置もなく新政権発足ご祝儀解散になれば、それこそ国民軽視とのイメージを与えます。2年連続の政権投げ出しで、ウンザリしている国民に対してこの手の解散をすると、逆効果になる可能性があります。自民選対でそこに踏み込めるほど度胸のある人はいないでしょう。
しかも今回は自民、公明両者の確執が原因との報道が相次ぎます。連立与党ともイメージ的には痛んでおり、選挙だけを考えると敗北必至です。恐らく、野党にとって怖いのは麻生首相、小池幹事長の組み合わせです。インパクトならこれが一番で、他は弱いでしょう。この組み合わせなら党内が割れ難くなり、与謝野氏を経済関連の大臣につけ、バランスをとれば閣内不一致でも党内にまとまりが生まれます。これだと10月解散が視野に入ってくるのでしょう。

諸外国の反応は様々で、英国では社説で辞任も当然と伝えられているようです。米国はレイバーデーで休日であり、やや反応が遅かったのですが、これも福田氏が一人で決断した様子を窺せます。本来はもう少し早く伝えるはずであり、それでも米が一定程度の労いを混ぜたコメントをしたのは、テロ特成立のためには与党安定政権を望むからであり、民主への牽制だったのでしょう。
アジア関連のメディアが伝わるところでは、総じて嫌・麻生に動いていますし、自民党内にも懸念を示す人がいます。これを公式にやると内政干渉ですので、外国政府がメディアを煽り、親中派の政治家を動かしていますが、こうした策動には注意しておく必要があるでしょう。日本の一部メディアにも殊更に煽る傾向がありますが、次期首相の外交政策の一環として、国益に適うと思われる人物を選べば良いだけなのですから。

経済面では若干の株買いも見られましたが、一時ドル/円で107円台から円売りに傾いた流れの方が本質です。福田政権では経済の無策ぶりが指摘されていたので、辞任を好感し一度は買ってみたものの、解散含みで混乱が予想される国の株は、やはり一時的に売ってくる形が自然です。経済協力開発機構(OECD)が日本の08年GDP見通しを0.5pt下方修正し1.2%としましたが、こうした流れに乗って15分の間に約4万枚の225先物売りと、大きく売り崩されてしまいました。
世界も政権変動の時期を迎え、低支持率に喘ぐ政権に吹く逆風がどんな形で収束するかに、世界各国の注目が集まっています。日本は衆院で最大与党の党員による投票で国のトップが決しますが、民意という点では些か疑問のある決め方です。今回の総裁選が、派閥の論理であったり、相乗りであったりすれば、日本政治は再び諸外国の侮りを受けるでしょう。早めに解散して直近の民意を問う、という形が望まれるのはこうしたトップの決め方にもあるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年09月01日

福田首相の辞任

福田総理が辞任です。2年連続で任期1年、改造後国会会期を経ることなくの内閣総辞職です。総辞職のシナリオは幾つかありましたが、福田氏は内閣総理大臣としてではなく、政局を睨んで自らの道を決したということになるのでしょう。その理由としてまず、小沢民主代表の出馬にぶつけた。これは総裁選をやる自民党と、やらない民主党、との違いを強調したかった。

二番目に、臨時国会で補正予算、総合対策などを幾つか通して、テロ特成立と自らの首を差し出す『腹切り辞職』という道もありましたが、野党は福田総理で選挙を戦った方が有利なのでその条件には乗ってこないだろう、との懸念が強まった。つまり辞職の理由が臨時国会中では見出し辛くなり、タイミングを見失う公算が強まったことから、公明に配慮して年内解散睨みの体制に移行する形を選んだ、ということです。
公明は福田氏では次の選挙が戦えない、という腹を決めていました。改造で環境相を選択せず、閣外協力という形でも良いほどの勢いでしたから、このまま臨時国会でテロ特を強行すれば与党離脱すら匂わせていた。福田氏で党内をまとめ切れても、3分の2条項を使うためには公明の協力が絶対条件にあったのですから、福田氏では連立をまとめ切れないとの与党側の判断もあったのでしょう。

今後の動きですが、こうなると党4役選任の際の禅譲話が再び頭をもたげ、総裁選にはマイナスです。麻生氏出馬は確実でしょうが、禅譲がちらついて対抗馬を立て難い。一方で麻生氏には福田氏更迭の流れを食い止められなかった、幹事長としての責任も被ります。恐らく額賀氏、谷垣氏、中川秀直氏、花を添えれば小池氏、与謝野氏辺りのうち、傷を負わないように1、2人、祭りを演出したければ5人程度が対抗で立つのでしょうが、どうなっても麻生氏で決まりなのでしょうね。
少しだけうがった深読みの仕方をすれば、次の総理で引っ張る腹も自民党にはあるのでは?と見ています。テロ特は無理でも、予算、経済政策を打ち出して次の通常国会中までに解散をずれ込ませれば、後は支持率の問題で対応がききます。仮に麻生氏が総裁に選ばれても臨時国会は暗礁だらけ、年末解散はかなり厳しい。一方で、3月末の予算を通さないと異例の暫定予算で来年度初めを過ごさなければならないので、それはしたくない。年内か遅くとも年初、このタイミングまで解散しなければ国会運営を重視するとの口実はできます。

重要法案が山積みのこの状況で1ヶ月近くを総裁選で費やすことは、スケジュール上の問題です。9月末から国会開会を望む公明への配慮、その前の国連出席を花道としたい、その後で首班指名を待つ態度なのでしょう。この辺りが非常に政局的であり、国民の方を向いていない政治の実体が垣間見えます。福田氏は何のために首相になったのか?改めて考えさせられます。
どちらにしろ国会が行き詰まりにあり、閉塞感を打ち破る手法を野党に求めるのではなく、自ら切り開けなかった時点で福田氏に首相としての資質はなかった、ということなのでしょう。後の首相にも「せいぜい頑張ってくれ」との声でもかかれば、少し茶目っ気もあったのでしょうが、会見の最後はややキレ気味であり、答弁の冴えがなかった首相の最後の会見も見栄えがしなかった点は、やはり能力の面で問題があったということなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:42|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般