2008年10月

2008年10月31日

経済の話。今週の市場の急騰について

日銀が政策金利を0.2%引き下げ、年0.3%としました。予想された0.25%ではなく、0.05%の差をつけた理由は、日銀による政府への沈黙の抵抗でもあったのでしょう。4対4で割れた採決の中で、民間議員が反対に回った率が高いのは、結果的に引き下げても無意味だと誰もが気付いているからです。政治の圧力に日銀が再び屈した、今日は日銀の歴史にまた汚点をつけられた一日です。

市場の動きで誤解があるようですが、日銀の発表と同時に利下げを好感し上昇、利下げ幅が0.2%に留まったことで急落、その後値を戻しましたので、この利下げに対する反応はフラットです。引け間際に急速に下げたのは、一部には3連休前の手仕舞いもありますが、これは場中にGMとクライスラーの合併交渉に、政府支援が受けられないことが伝わり、週末、週明けの米国市場の不透明感が急速に高まった、という理由もあったのでしょう。
この合併交渉が今週の急騰の一因でもありました。ルノー・日産連合も政府支援がなければ交渉の余地はないと述べているように、合併交渉に政府支援は不可欠です。工場閉鎖によるライン統合、リストラ、そうした費用を賄うことは弱者連衡型合併では捻出し切れません。これまでの低利融資、GMACへの公的資金注入では不十分ですが、無制限の融資に政府の腰が再び引けてきました。ブッシュ政権が米国の象徴、GMでリーマンの失敗を繰り返す懸念もあります。

今週3日間の急騰、日系の先物買いが目立ちました。これが選挙先延ばしで選挙資金を市場対策に回したのか?などと噂される所以でもあります。年金の買い、TOPIX型のリバランスに伴う買い、月末ドレッシング買い、様々に囁かれますが、個人的には裏でシンジケートが組まれ、7000円割れを合図に先物にボリュームをかけて買い上げたというところと見ています。
現物が2兆円超、先物が24万枚超、日経225型やTOPIX型の連動で現物が動いた分を差し引くと、今週は大商いの日でも現物市場は2兆円割れです。ストップ高銘柄が頻出して商いが薄かった、という面もありますが、ボリュームに差があり過ぎますので何らかの資金が入ったとみてまず間違いはないのでしょう。外資系も先物では大商いでしたが、内容は日替わりでしたので、安定していた日系の買いの動きは少し異常に感じられました。

ではこの流れが続くのか?というと微妙です。上昇ピッチが早い、という以上に本当に現物株を買い上げる層がいるのか?という懐疑的な見方がそうさせます。10月は個人投資家の買いが多かったのですが、個人は投信以外で長期保有は少なく、利益確定を出し易い面があります。
今回の混乱は全治3年どころでは済まないのでしょう。では5年先、10年先を見て買い上げる層がいない限り、幾ら先物を飛ばしても反対売買が出れば終わり、何処までも買い上げる力はありません。実体経済への影響と共に、企業業績に翳りが見え始めたことが今回ハッキリしてきました。景気後退の扉を開けてしまった以上、V字回復は不可能であり、リハビリ含めても回復まで相当の年数がかかるのでしょうね。

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2008年10月30日

日銀の独立性について

麻生首相から経済対策が発表されました。内容は既報の通りですが、2次補正予算案は提出するか微妙な発言です。解散は当面先送り、という記事を一斉に各社流しましたが、私は近いうちにサプライズ解散の流れはあると見ています。公明党がファイティングポーズを解けば別ですが、野党の審議拒否を材料に解散に打って出る可能性を十分に感じさせる会見内容です。
問題は消費税を3年後に上げる、と言及した点です。絶対条件ではありませんが、財源議論で野党との違いを鮮明にし、争点を明確にしてきました。その他の点が野党案を拾い上げているだけに、責任政党としての主張を通せる形としたことで、選挙準備が出来たと見ます。話し合い解散はないにしろ、解散風を急速に盛り上げて選挙を瞬間風速で乗り切る、という戦略が、麻生政権が勝利する数少ない選択肢となってくるのかもしれません。ただそうなると、タイミング次第で与党内の亀裂が鮮明になる可能性もあり、微妙な戦略ではあるのでしょうね。

米FRBが想定通り政策金利を0.5%利下げし、年1%としてきました。中国や豪国も利下げを行い、通貨安に苦しむ国以外は協調して利下げの流れが出来つつあります。そんな中、日銀の態度に俄かに注目が集まっています。ただし、日銀幹部のこれまでの発言から利下げを意識させる内容は存在せず、与謝野発言と日経の記事のみで諸外国を初め市場が大きく動かされました。
日銀の心境としては『与謝野がつき 日経がこねし 利下げ餅 座っては食えぬ 日銀会合』といったところでしょうか。市場との対話を疑問視する意見もありますが、それ以前に日銀に利下げする意思がなく、政治の圧力で利下げという流れとなったのならこれは大いに問題があります。特に日経が絶妙のタイミングで利下げを示唆しましたが、これらは財界からの要請という面を想起させます。利下げに渋い日銀幹部の外堀を、完全に埋められてしまいました。

特に今回、日銀出身の白川総裁、山口副総裁が揃った金融政策決定会合であり、内容は重要となってきます。恐らく、日銀は利下げよりも、検討されている当座預金に利子をつける案の方が経済には利きます。これは金融機関が流動させない資金を日銀が吸い上げ、資金を循環させるシステムであり、量的緩和と若干似ていますが、死に金を減らし、現状の経済効果は大きいはずです。
ただ利下げと同時にこの手を打つと、市場に再び資金がだぶついてしまう可能性もあり、極めて不透明性が強まります。ということはどちらか一方となり、現状の流れでは利下げが先、ということもあり得ます。協調の証、利下げの効果はなくともポジティブサプライズを生んだこの流れを崩すと、日銀には手痛い失政として後に政治介入を許し易くもなるのでしょう。
現在の金利は低過ぎますし、日銀幹部もそう見ています。そしてそれが世界の住宅バブルを引き起こした流れでもあります。バブルを生み出した主因を解消せず、放置すれば将来に再び問題を引き起こす可能性もあります。反省と、それに基づく問題の解消という視点で見ると、仮に明日利下げとなれば問題も残されることになるのでしょうね。

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2008年10月29日

麻生政権に経済政策は期待できないのか?

昨日はライブドアブログ全体がおかしかったようですね。記事の投稿を諦めてしまいました。
まず昨日の日経平均の上昇を、空売り規制が前倒しされたためと説明する記事もありましたが、そんなことはありません。それでは先に上昇を始めた香港株、為替の説明になっていません。本質は伝わったGMとクライスラー合併に向けた支援、GMACも金融安定化法で救済、と伝わったことでアジア株が上昇したことを受けての連れ高です。GMACについては破綻懸念が囁かれ、市場停止まで噂されていましたから、それが好感された形だったのでしょう。

昨日、米国市場は日銀の利下げを好感して上げたと伝わります。恐らく、これら各国の動きは下げ過ぎ、突っ込み警戒感が台頭しており、きっかけ待ちだったところのポジティブサプライズ、という意味合いだったのでしょう。例え日銀の月内利下げがあったとしても、たった0.25%では与謝野経財担当相も述べたように、実体経済上はほとんど意味がありません。
しかも、与謝野氏が金利政策に言及したのは日銀の独立性に疑義を生じかねない問題を含みます。恐らくG7共同声明で円高言及を得た代償として、日本独自でも努力を約束したことが関係していると思われますが、緊急市場対策の効果を見透かされた現状で政治が打つ手をなくし、日銀の金利政策にすがったというのが実情だと想像できます。この金利引下げで為替の急変は若干緩和できますが、将来的には諸外国もゼロ金利に近付く方向であり、問題の先伸ばしに過ぎないのでしょう。

麻生政権にガッカリするのは、経済通を期待された麻生氏が、意外と経済オンチだと痛感させられることです。端的には月曜日のぶら下がり会見に表れていますが、昼の会見では記者会見やG7共同声明に期待するような発言、夕方は効果はすぐ出ない、とあっさりと態度を翻しています。
空売り規制は海外でも実施されていますが、効果は疑問視されつつあります。売買代金が2兆円そこそこしかない相場で、先物が24万枚超動きます。これが荒れた相場を生み出し、昨日と今日は急騰ですが、いずれ急落も演じてしまうでしょう。結果的に先物ファンドへ資金を流入させ、異常な相場を生み出してしまいます。麻生政権で打ち出される経済対策は過去の焼き直しと海外の対策の追随、民主党案の拾い上げばかりで、これでは自民党の誰がやっても同じです。

給付金方式の直接支給も、票を金で買うようなものだという指摘は、強ち間違いではありません。財政の穴を将来の増税で埋める、現状だけに手当てするような対策は経済政策とは呼べません。将来に負担を付回しにする、旧来からの悪しき政治そのものに見えます。
今が混乱しているので、先延ばしでも構わないのでは?という意見もあるかと思います。ただ今回の混乱は長期化が予想されます。選挙対策と思われる、目先の対策ばかりでは日本の将来にとって暗い影を落とすことになります。展望のある対策こそが、国民が望むことだと政治が気付くべきなのでしょうね。

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2008年10月27日

政府の景気対策に失望感

日経平均がバブル後の最安値を更新してきました。今月に入り、欧米に比べて日本の株価の下落率が高いともいわれますが、これはリフラクス(還流)であり、日本市場のメインプレイヤーが外国人投資家である以上、仕方ないことです。外需依存の強い日本は世界不況を反映し易い、という側面もありますが、相場も景気も外国任せの脆弱な経済が直撃している形です。

今日は麻生首相、中川財務相による記者会見で右往左往しましたが、結局内容は乏しいもので後場は嫌気売りが出ました。G7が共同声明を出した、といっても口先介入では今の市場は満足しません。緊急市場対策も出されましたが、薄っぺらさに失望感も広がっています。
麻生氏が間違えているのは、経済対策を第一に上げていますから、即効性が出なければ政権はジリ貧に陥ります。麻生政権も政権公約が曖昧ですが、これをやると言ったものが出来ないことは政権の力量不足を示します。『緊急』と自らハードルを上げて打つ対策なのですから、これまでの焼き直しで、市場から効果が限定的と見透かされるようではマイナスでしかありません。

メガバンクはストップ安をつけましたが、これは政府の対策も欧米のようであり、そこにメガバンクの増資計画が発表されたことで起きました。日本も金融不安?というシナリオを連想させ、株を売る材料にされたのです。日本の金融機関は健全と述べてきたのに金融不安時の対策を打つ矛盾、1年前の米国も同じコトを述べながら増資を繰り返していました。
米ビッグ3が年内に破綻との観測もあるようですが、今回の急落は世界恐慌を意識しているようでもあり、大手製造業で倒産が相次ぎ、失業者があふれるような状況まで織り込み始めているようです。そうなると株価水準は欧米、日本でも今の半分程度までいくでしょう。

大事なことはそうならないための金融政策です。麻生政権から今のところそうしたものが出てこないので、これだけ売り込まれることになります。政治空白を作らないことも経済対策と述べていますが、米国大統領の交代時期であるこのタイミングは世界が空白期にあります。
日本が国内だけでなく、世界を率先していくだけの対策を打ち出せるかどうか、そうでなければやはり政権はジリ貧ということになります。例えば円高は円キャリーのアンワインドで起きていますから、日銀介入でも流れは変わりません。ならば国内消費を喚起させ、日本が円高還元で一大消費国になるというのも世界貢献の一つの考えです。欧米と同じような金融対策ではなく、日本が独自の経済対策を打ち出し、それを各国も支持して追従するぐらいの対策を打ち出せるようになれば、日本が次の十年を主導できる国になれるのですけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年10月26日

雑感、WBC監督選考の混乱について

今年のプロ野球、昨日のセ・リーグCSで巨人が勝ち、セ代表となったことで巨人VS西武で日本シリーズが行われことになりました。日本シリーズの結果は出ていませんが、パ・リーグでもオリックスがCSに進出するなど、今年引退したオリックスの清原選手の影が、様々な形で今年のシリーズに大きく影響していたのかもしれませんね。

野球では来年春のWBC監督問題がもめています。この問題を取り上げる気になったのは、予定調和を目指した決定手法が世論や選手の声で、覆ってしまったことに興味があったからです。特に野球という社会は大事な決定を下す際、意思決定の方法として上意下達型、しかも会議でも事前に結論は決定しているという方法を後生大事に受け継いできました。
何となくこの人しかいない、という空気をかもし出し、会議で異論がある人物もその雰囲気の中で口を挟むことができないようにする。財閥系企業の重役会議のようですが、フィクサー型の仕切り屋がいる場合、根回しによる多数派工作によりえてしてこうした状況が生まれます。すぐにピンとくる人物もいますが、古い体質を引きずる古い人間が企図したことなのでしょう。

監督候補に挙がった星野氏に違和感があるのは、日本が得意としたスモールベースボールを目指さなかった、という本質的な部分にあります。北京五輪でそれを出来なかった人物が、改めてWBCで出来るのか?という議論もないまま、それ以外にいないという空気を多数派工作で作り上げてしまった。しかしそれをひっくり返された時点で、代案はないというお粗末さです。
体制検討会議なのですから、各自が意見を持ち寄ってすり合わせする、という本来あるべき姿がない中で、戦術論で監督を選ばないためにこうした事態になります。星野氏が監督就任を拒否した態度は潔いのか、弱腰なのかは別にして、経験や過去の名声で人選をする、野球界の監督選択の手法は些か分かり難いものなのかもしれません。

大事なことは、失敗した過去があってもそれを分析し、次に成功するという選択ができるかどうかです。また過去に世界戦を経験したことがなくても、どういった戦術を描いた監督を選択するのか?そしてその決定過程を明らかにし、誰もが納得する人選をすることです。
体制検討会議が何処まで透明性を保てるか。それにはフィクサーの存在などを廃し、真摯に意見を戦わせることなのでしょう。サッカーでも同様ですが、日本代表というものはどのスポーツでも、国民の期待を背負うものです。その大事な監督選考が会議室の中だけで決まっているという印象を持たれるようでは、批判も集中することになります。それでは、誰もが火中の栗を拾いたがらない、ということにもなりますので、もう一度決定の仕方を見直していくべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2008年10月25日

政府が緊急市場対策の検討へ

アジア欧州会議(ASEM)が開かれ、特別声明が採択されました。内容は国際通貨基金(IMF)の役割確認や、各国の協力を盛り込んだだけの薄いものですが、先進国のみでは対応しきれず、新興国を含めていかなければ今回の経済危機を乗り切れない、との決意をまとめた形です。

日本では株価急落を受けた緊急市場対策として、銀行保有の株式を所得する案や、自己資本比率規制の見直し、空売り規制などが挙げられています。しかし銀行は以前のような株式持合いによる、グループ機能を強化しているわけではありません。企業間では、買収防止策として持合いも発生しましたが、今の金融機関は直接株式を保有することは少なくなっています。
自己資本比率規制の見直しも、金融機能強化法に絡めて考えれば、見掛けの資本改善を促しても貸し渋りなどの抜本対策にはなりません。特に日本では、竹中路線の中で一度、保有資産の査定厳格化が実施されており、そうした恐怖が金融機関には根強く残っています。例え資本が健全でも、再び厳しい評価が適用されるかもしれないと怯えれば、安易な貸し出しには至りません。

保険会社の含み益が消えた、という記事もありますが、銀行は証券業との垣根が撤廃され、運用範囲は拡大しました。一方で保険会社は金融派生商品への保証などもありますが、運用範囲は限られていましたから株式への投資も多かったのです。仮に政府系機関による株式所得を政策に盛り込むなら、その対象を変えないと効果は限定的となります。
米国でも生保に金融安定化法の支援を拡大することが検討されていますが、運用により収益を確保することが宿命付けられた組織は、世界全体の混乱で総じて痛んでいます。生保も破綻が社会不安に結び付きますので、安易な破綻はさせられません。日本では金融機関の破綻がなくとも、貸し渋りの起こる中小企業、運用に失敗した生保など、破綻は別の方面で顕在化することになるのかもしれません。

この政府の緊急市場対策、はっきり言えば的を射ていません。日本は一度通った道だけに、民間の金融機関は知恵を貯え、対処も万全です。しかし政府が慌てて打つ対策は、かつての焼き直しばかり、ステージは次に移っているにも関わらず、過去と同じ対応で乗り切ろうとするばかりです。
日本で起こっている問題は、過去のような金融不安ではありません。極端な外需主導の経済へと舵を切ったことによる製造業不況、ひいては生産調整による多くの部品製造を行う中小企業の業績不安と、それを理由とした金融機関の貸し渋りです。また株式保有比率の高い業種が、今回の急落を受けて相当程度痛んでいると見て良いのでしょう。
麻生氏は経済が混乱しているから解散できない、と述べています。ですが、有効な対策が打ち出せなければ何の意味もありません。今回の緊急市場対策が市場の混乱を解決する策でない以上、また別の対策をとる必要が生じ、混乱はずっと継続されてしまいます。もう一度本質を突く経済対策を考えるべきであり、この緊急市場対策なら出さない方がマシ、ということになりかねないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年10月24日

経済の話、為替の急変動について

為替の急変動が止まりません。一時90円台をつけたように、円買いの流れが加速しており、輸出産業の想定為替レートを一気に越えてきました。ソニーはドル100円、ユーロ140円の設定であるのに、それを10円、20円以上の差で下回っており、当然のように業績懸念が出てきます。
円を逃避的に買い、ということの他に、各国が日本の政策金利に近付くという予測もこの流れには含まれています。世界協調利下げで金利差が縮まり、円建てローンの魅力が薄れ、かつリストラにより個人に至るまで負債圧縮が起きています。また不動産価格の下落により強制決済などもあるのでしょう。車にしろ不動産にしろ、数百万、数千万の単位であり、これらが巻き戻れば当然のように円高になります。

3月に一時的に円がドルに対して90円前半にまで落ち込んだのも、米国では先行してこの動きが起きていたのであり、今度はそれが欧州で起きています。ハンガリーが3%、デンマークが0.5%の金利引き上げを行っていますが、これらは通貨防衛であり、こうした流れに逆行するものです。ただ経済不安を抱える中での利上げなので、危険な賭けでもあり、通常の流れは利下げ。そしてそれらが円キャリーの手仕舞いとなって日本の円を襲っているのです。
日銀が為替介入する、との観測もありますが、今回はドル/円で起きていることではなく、外貨準備がドル偏重の日本に大した力はありません。しかもスワップ協定を結び、ドルを供給できる体制を組む中で介入が出来るのか?という構造的な難しさもあります。ドルとユーロ、2大通貨が同時に円に対して弱まるという事態と、スワップ協定などの縛り、日銀としても安易に介入できる環境ではないのが現状なのです。

各国政府は銀行への公的資金注入に始まり、市場に介入し続けています。銀行間取引の保証も行われていますが、若干緩和されるものの、とても以前の水準には戻りそうもありません。これは市場規模が政府介入の枠を超え、効果が出難くなっていることが強く影響しています。
グリーンスパン氏が失敗を認めたように、円キャリーを放置して規模を拡大させた時点で、介入の効果は薄れるのです。再び外貨準備で中国を抜き、世界のトップに立つほどの大きな額をかけなければならないようでは、埋蔵金議論の中で槍玉に上がる外貨準備金9500億$超(GDP比21.8%、先進国ではGDP比2%程度)をどう考えるのか、という重大な決断を日本に迫るものとなります。

円高も、各国不安が拡大すればこの水準をさらに更新することもあるでしょう。公的資金注入という最終手段、その効果が出なければ国家破綻という道も見えてきます。実効為替レートでも円高が示されていますが、今の異常事態が今以上の異常事態へと進展していかないよう、今後の各国の動きは重要ですし、日本にいても影響するそれらの動きをより注視していかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2008年10月23日

与党経済対策について考える

今日も為替は円高方向へと動きました。これは比較的安定的と見られる円を買うというより、円資産を手仕舞う動きの中で、已む無く円取引をすると自動的に円買いになるということで起きています。アイスランドのサムライ債の問題もありましたが、多くの国では金利の安い円建てで住宅ローンが組まれていました。住宅価格が下落し、ローンがデフォルトになれば、強制的に解約が進んだことも一因なのでしょう。
そしてこの流れが、個人投資家の外為市場にも影響し、これまで円売りポジションを持っていた投資家が投げた。これらが急落の原因と見られます。各国の政策金利は引き下げられていますが、それでも日本より高いため、積極的に円ポジションを組む理由はありません。ハンガリーが金利を引き上げたように、金利差が為替には強く影響するので、円売りアンワインドの流れがいつまで続くのか、各国の景気低迷がどの程度続くのか、が今後の為替には効いてくるのでしょうね。

今月末とも言われる与党の経済対策の中身、それがポツポツと伝わってきます。住宅ローン減税、正規雇用支援、高速道路料金引き下げ、道路特定財源の内1兆円を地方に回す。さらに生保契約者保護枠の延長、金融機能強化法、中小企業法人税率の時限引き下げ、定額減税等も合わせてどうやら10兆円を越える規模となりそうですが、赤字国債には極力依存しないとのことです。
評価できない点は道路関係で、料金引き下げでは手間と効率の観点から混乱も生じます。旧道路公団絡みの利権もありますから、民主案は飲めない中での妥協の産物のようにも見えます。道路特定財源にしても、地方に回しても様々な圧力で道路利権に回りそうであり、ヒモ付きにしないとの確約が必要です。そうでなければ一般財源化の意味もありませんからね。

その他の住宅ローン減税、生保契約者保護枠は、延長や拡大であって新たな対策ではありません。景気にとってはイーブンの判断か、効果が限定的との評価も出来ますのでむしろマイナスです。住宅ローンなどは特に、駆け込み需要を喚起しませんし、不動産ファンドが縮減する中、外資が日本の不動産から逃避する中では一時的な効果も期待薄です。
唯一評価するのは中小企業法人税率の引き下げです。800万円の収益まで30%の法人税を22%にするものですが、それ以外にも赤字転落企業の過去分の税収を還付する仕組みなども取り入れるようです。ただ黒字化が難しい中小企業もあり、資金繰り支援策としてどんなものが打ち出されるか、ということがより重要となってくるのでしょう。

全体として、規模が中途半端であるのは以前から指摘していますが、赤字国債などに二の足を踏んでいることも影響しているようです。しかし本源的に考えれば、国債は全て国の借金であり赤字分の補填に過ぎません。歳入に対して歳出が多ければ国債を発行するしかなく、この対策が景気下支えであって、浮揚効果が限定的であれば尚更来年度予算は国債増発という事態になります。
プライマリーバランス健全化とは、計画的に国債を償還し、国の借金を減らすことを目的としたものです。この計画的な行動が狂った段階で、新たな計画を政府は示す必要がありますが、経済が回復すれば増税などで今回の分の穴埋めをするとも述べているようです。ご利用は計画的に、ではありませんが、国債の考え方をキチンとしておかないと、逆に余計な借金まみれになる公算も高く、政府は経済対策と財政の考え方をはっきりさせておくべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

経済の話。国がIMF支援受け入れの流れへ

今日の日本市場は大幅下落でした。日経平均はオプションを絡めない先物のみの値動きであり、ボラタイルな状況であることは間違い有りませんが、下落へ動いたきっかけは円高に動いた為替です。円の独歩高という状況であり、特にユーロ安が顕著に目立ちました。

アイスランド、ハンガリー、ウクライナなどEU圏、東欧圏のIMF支援の検討が囁かれていましたが、今日になりベラルーシがIMFに20億$の融資を要請しました。パキスタンも検討中、韓国、インドネシアも通貨安が深刻な状態であり、世界が政府による公的支援で金融機関を救おうとする中、その国家ですら支援を必要とする状況は今後も続きそうです。
経済は難しいと感じる人が多いと思いますが、簡単に考えればお金は水で国家、金融機関は器です。水の流れと少し異なるのは、国や金融機関が強くなるとそこから水が流れ出すのではなく、水が集まること程度です。このとき、単純に水を増やそうと考えれば、新しい水を注ぎ込めば良く、それは利下げなどの金融緩和により可能です。一方で体積を増やすことも可能で、それは加熱することになります。証券化商品の仕組みなどがこれにあたり、見かけの水嵩が増えたことで、国や金融機関は水が零れないよう自らの器をドンドン大きくしてきました。

新興国では今回の新興国ブームでも経済基盤、つまり器の底を大きく変えるまでには至りませんでした。その結果、先進国のヘッジファンドがポンプを使って強制的に水をくみ出せば、大きさと中身のバランスが悪くて器は倒れそうになり、IMF支援などに頼ることになります。
米国の危機対応が間違いだと判断できるのも、水漏れしている穴を埋めることなく上から水を注いでも、一時的な水量保持だけで水は漏れ続けるからです。倒れそうな器、水が漏れている器に、今は上から一生懸命に水を注いで支えることしか出来ていません。これは公的資金が注入されれば万事が解決するわけではなく、水漏れを食い止めるか、減資などにより器を変える対応もいずれは必要になってくるはずです。

水と器の関係を端的に表すのは、某紙に載っていた欧州のGDPと金融機関の対外資産の比較、という表でも明らかです。国家規模を超えて金融機関が器を大きくしてしまうと、国の保有する水の量が足りなくなり、国家が破綻します。欧州は見かけの器を多きくしてきましたが、統一した経済政策も打ち出せず、実は各国の器の大きさに眼を配らなければならない、という事態が明らかになっています。今回の危機が暴き出したのは、身の丈に合う成長でなければ国家存亡の危機的状況に陥る、ということなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 00:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2008年10月21日

道府県の不正経理と厚生年金偽装脱退

定額減税が2兆円規模と伝わります。中途半端な規模ですが、これ以外にも追加景気対策が必要であり、この程度しか出せないという側面もあるのでしょう。赤字国債の発行なども検討されているようですが、今年の法人税収は減ることが確実ですので、元々赤字国債発行は念頭にありますん。さらに8月に各省から提出された概算要求では、今回の経済混乱による減収分は織り込まれておらず、来年度予算案についてももう一度やりくりが必要となっています。

そんな日本で会計検査院が抜き取り調査した12道府県で、不正経理が発覚しています。また生活排水を処理するための浄水槽が未使用で、必要なかったとの指摘もあります。公的機関では予算措置が切り替わる時期に、予算が余っていると使い切りを指示されます。会計検査院が絶対ではありませんが、この機関の機能を強化するだけで、国内にある行政上のムダ抽出に寄与します。
時価会計と簿価会計、という企業の会計基準の見直しもありますが、行政の会計はそれ以上にブラックボックスです。どこの自治体にも会計管理者はいますが、第三者機関による監査は必要としていません。これは国や地方でも同様、特別会計にまで踏み込んで監査制度を導入する必要があります。単年度の会計処理が済んだ段階で適宜開示し、一般に公表する形でなければなりません。市町村、都道府県、国に至るまでそこで生活する人間は株主という自覚をもって、自治体の会計を見ていかないと第二の夕張が現実となってしまう可能性もあるのです。

社保庁による厚生年金の偽装脱退問題でも、政府管掌健康保険の資格喪失を隠蔽しましたが、これなども監査があればチェックが効いた可能性があります。レセプト隠しなど非常に悪質ですが、所長の決済だけで全てを済ますより、監査という目を意識する方が不正も起こり難くなります。
上記2件に共通しているのは、最終的に納税者、保険料を納めた者が損をしているという点です。しかもそれを行っているのが税金や保険料の監視者であり、国民の不信感も当然のように高まります。大事な税金、保険料を安心して預けられる組織なのか?という根深い不信は、今まさに国民の間に強くなっていると言えるのでしょう。

よく与党政治家が「社保庁がこんなヒドイ組織だとは思わなかった」と述べます。しかしこれは、本来行政を監視する立場にある国会、特に与党政治家が「自分たちが無能である」と述べているのと同義です。監視しなければいけないのに、出来なかったと自ら認めるようなものなのです。
収入が減る中、無駄な出費を抑えるのは家計ばかりではありません。国も同様に緊縮財政を布き、そこで生まれた財源を国民に還流しつつ、景気浮揚という未来像を描く必要があります。外需が好調なときに内需を育てるという、本来必要であった対策を蔑ろにしたツケで、国内は非常に危機的な経済環境があることもまた事実です。企業による減税、それによる法人税収の拡大を模索する時期が終わった今、国の財政の出と入りの目配せをすることが大事なのでしょうね。

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2008年10月20日

サミットを巡る思惑について

金融サミットとも呼ばれる次のG8が、来月米国で開催されることで各国が同意しました。金融不安を拡げた米国の責任追及、という報道もありますが、今そうした犯人探しをすると経済がもう一段下に向かう可能性もあります。マネーフローを再び歪めることに繋がるからですが、いずれ犯人探しは必要でも、タイミングを間違えると世界は大きな痛手を被ります。
経済危機で共和党・マケイン支持は凋落の一途ですが、欧州の思惑は米民主党の規制強化と歩調を一にし、この危機を乗り切ろうということのようです。パウエル元国務長官のように、欧州系に強いコネをもつ人物がオバマ支持を打ち出したのもこの流れの中にあります。膿を出し切って次の浮揚を模索する、世界が協調してそうした方向に向かうためには、共和党の『小さな政府』は邪魔になりつつある、ということなのかもしれませんね。

このサミットに関して、成田開催なども日本の外務省では考慮されたようです。しかし日本の経験を生かすとして勇んで乗り込んだG7でも、経済学の分野ではすでにバブル崩壊後の日本経済の研究は済んでいて、今更聞かずとも良いというムードが支配的であり、日本の存在価値は今一つです。米国では日本の金融機関に煽りのような、世界に打って出て来いという記事が目立ち始めたように、コミットするためには行動が必要と世界は訴えています。
さらにこの問題に限ったことではありませんが、最近目立ち始めた麻生氏の戦略の狂いも気になります。このサミットが解散時期に影響するのでは?という憶測もありますが、国内事情がそれを許さないので、解散してサミットを迎えることになるはずです。するとサミットで世界経済への貢献を訴えても、レイムダック状態の政権では信憑性が薄くなりますので、表面的な受け止められ方しかされないことになるのです。

雑誌への投稿も同様、麻生氏の思惑では発売時期には解散を表明しているだろう、ということもあったはずです。そして村山談話の踏襲により、従来型自民党政権からの変化を期待していた向きには失望を生みました。これらも解散時期を延ばし、国会審議を経ることで生まれたことであり、本来は冒頭解散でこの問題を棚上げしておく意向もあったのでしょう。
株価下落が解散延長の追い風とも言われますが、中小企業の破綻が拡大すれば政権にとって逆風が続くことになり、政権には打撃です。追加景気対策が好感されなければこの経済危機、政府にとって何らプラスではありません。特にV字回復は期待できず、日銀支店長会議でも景気悪化が日本全体に拡大する中、支持率は下落し続けると見ておかなければなりません。

サミットで貢献を約束し、国際的な公約を反故にする気か、と訴える選挙戦術も想定できますが、後ろ向きの戦術です。やはり内閣発足後のあのタイミング以外にはなかったのでしょう。独自の世論調査に振り回され、戦略に綻びが見え始めると連鎖的に悪いことが続きます。一か八かの賭けに乗り出せなかった、その度胸が本来望まれていたことであり、そこに二の足を踏んだ麻生政権には、厳しい状況が続くのかもしれませんね。

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2008年10月19日

雑感、大相撲八百長裁判について考える

韓国でもドル不足解消を狙った追加の金融安定化策が発表されました。資金逃避の流れによるウォン安に見舞われていますから、何としてもウォン安から経済破綻へ、という流れに歯止めをかけるための対策です。外貨準備を用いた150億$の資金供給に、追加で300億$ですから、韓国経済の規模に比べるとかなり大胆な対策です。今後の動きには注意も必要でしょうね。

相撲の八百長裁判に関して、少し考えたことがあります。まずこの裁判は名誉毀損を問うかのような報道もありますが、民事ですので名誉の回復と被った損害の賠償が争点であり、名誉毀損自体は前提事項であるため直接の争点ではありません。そうはいっても、それが無いと損害賠償も成立しないため、名誉毀損罪が認められていない上でそこを巡る攻防となります。
八百長疑惑を報じた週刊現代側のライターが、ネタ元は初代貴ノ花夫人であった藤田憲子氏と明かし、形勢は混沌としてきました。多くの記事を巡る名誉毀損裁判でも、記事における信憑性は双方が明らかにする必要が生じます。これは記者が情報源の隠匿を業務上の必須事項と捉えているからであり、そのため事実無根かどうか、捏造がなかったのかどうかは、曖昧な形で裁判が進行することも多くなります。

今回の裁判ではネタ元が明かされ、しかも大相撲関係者であるとされましたから、記事が事実かどうかより、ネタ元が告げたのかどうか、ということが裁判の争点になります。つまりこの人物なら記者が信憑性を確信したとしても仕方ないと裁判所に判断されれば、記事の内容は発言に基づくものである以上、問われないことになります。
一方で、北の湖前理事長がケガなどによる無気力相撲に関して否定する発言をしましたが、講談社側からはその証拠テープの提出が示唆されました。無気力と八百長は異なるとしていますが、どちらも観客を無視した行為であり、相撲人気の凋落には関係していることになります。仮に八百長が認められたとしても、損害額は減らされる可能性が高くなります。

競技としてみると、相撲の勝敗は他の点取りスポーツの1ptと同じくらい、実に簡単な理由で決します。その中で1場所15勝や14勝を上げられるのは、よほど本人が強いか、よほど周囲が弱いかのどちらかの理由しか有り得ません。どちらを採用しても、相撲を見る意欲を阻害する理由となりえますが、相撲では横綱がそれ以下になる場所が続くと、問題視されることになります。
日本人は比較的『強い存在』と、それに対抗するその他という構図を好みます。巨人や大鵬などもそれに比しますし、大枠では政治の世界の自民党一党独裁、という構図も同様です。
今回の八百長事件、実は相撲の本質を抉ることになるのかもしれません。石原都知事も「昔はあった」と記者会見で述べているように、暗黙の了解だった時代の影響を引きずり、現代に至ったとすると大きな問題です。相撲は江戸時代の名残がある日本で唯一の組織です。しかし勝敗の決し方まで現代にそぐわないやり方であれば、それは相撲観戦から観客を遠ざける結果になるでしょう。むしろ今回の裁判は、相撲界が無気力相撲にしてもそうですが、自浄作用を働かせるための転換点としてみると良いのかもしれませんね。

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2008年10月18日

経済の話。日本市場の今後の動きについて考える

ネット証券への申し込みが急増しています。ただこれは日経平均が1万円を割ると割安、底値、などの文言が証券各社、雑誌等に並びましたので、そうしたものに煽られた側面があるのでしょう。実際、どのタイミングで底が入るのかは見極め難い部分もありますが、私が想定している今後の市場の動きについて考えてみます。

米国は来年の新政権発足まで、現在の対策に追加されるものはないはずです。金融安定化法の予算枠拡大程度はあるでしょうが、政策面の新たな対策は、来年以降の政権運営に関わるので打ち出し難いのです。さらに新政権発足後、すぐに景気対策等が打たれても効果は来年半ば以降、対策次第では効果が限定的、もしくは財政赤字拡大がマイナスと受け止められる可能性もあります。
来年前半の米国に底打ち反転は期待薄です。それ以上に、不動産の目減りや株価の急落で受けたダメージの回復がしばらく続きますし、金融資産デフレはまだ序の口ですから、それらが経済成長を阻害します。私は当面、大型の企業倒産が来年にかけて何件か出ると考えていますので、ダウは一旦5000$を試すと考えています。それが今年か、来年か、再来年かは分かりませんが、その辺りまで沈むとダウは反騰のきっかけをつかめるはずです。

日本市場は新興市場の回復がない限り、反騰することは難しいでしょう。これだけ売り込まれ、存在価値が疑問視される新興市場に眼を向けるのは、これが内需主導の経済回復を探ることになるからです。新興市場は3年上昇し、ちょうど来年初めで3年下落したことになりますから、テクニカル的に反騰のきっかけにはなりそうですが、仮にそうであったとしても、それがY字回復のシグナルとはならないはずです。
さらに新興市場は外国人投資家がメインプレイヤーでない、という事情もあります。国内勢が市場形成できれば存外早く回復するでしょうが、日本でも資金繰り悪化が拡大していますので、企業選択には慎重さも必要でしょう。市場が底這い状態になると仕手系の値動きが撹乱要因になりますが、そうしたものを繰り返しながら資金が集まるようなら、上昇のきっかけになるはずです。

ただ経済が混乱し、また更なる悪材料が次々に想定できるような状況では、急速に反発してもそれはダマシで終わる可能性が高いものです。悲観の巻き直しが浸透するためには最悪の材料が消化される必要があり、米国崩壊という最悪シナリオに対する何らかの答えがなければ、時間による解決の道しかありません。前者なら最悪を織り込んで急落後に素早い回復、後者なら本格回復には早くても1年以上かかるでしょう。
ただこれらの予測も、政治の動き次第ではまた異なる状況も想定できます。ただ原油急落でオイルマネーの動きは止まりますし、痛んだ欧米の個人資産の動き、機関投資家のポートフォリオの組み方など、これだけの大変動が起こるとマネーフローは先が読み難いことも事実です。そんな中で、眠れる日本の個人資産が少しでも動けば、それは市場にとって好感材料でしょう。しかしまだまだリスキーな市場が続くので、その点は少し心配な面もあるのですけれどね。

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2008年10月17日

金融救済では貸し渋りを防げない

今日の日本市場は落ち着いた値動きでした。米国でも取り上げられ始めた引け前の急変動、その動きが比較的少なかったことが原因です。誤解もあるようですが、これは現物ではなく先物売買により演じられています。今週、火曜には先物買いに現物がついていけず、木曜には先物売りに現物が置いていかれました。これほどの急変動を引き起こす先物の動き、背後関係は未だに謎ですが、証券会社から出される買い一方、売り一方の注文状況といい、原因不明の動きが今の相場を覆い尽くしているようでもあります。

米国では金融決算が続いています。バンカメに買収されるメリルリンチが75億$、シティが28億$の純損失です。金融機関は昨年から増資を繰り返し、その際10%以上の利回りを約束して、優先株等を発行しています。三菱東京UFJがモルガンへ出資した際を例にすると、9000億$の優先株に10%なので毎年900億がモルガンの配当に回ります。
多いところではこの1年で1兆を越える優先株を発行していますので、その分を配当に回さなければいけない、というのは金融機関にとってかなりの負担です。先の公的資金注入でも、金融機関は配当を当初5年間は5%、その後9%国に支払わなければならず、大手3行は250億$の公的資本注入で12億$超の負担ですから、これも経営の重しになってくるのです。

米国の政策誘導金利は1.5%ですが、債券利回りはもう少し高い状態です。さらに貸し出し金利はそれ以上に高い状態ですが、10%にはとても及びません。つまり金融機関は増資により資本増強を繰り返しても、その資金を企業への貸し出しに充てると配当より低い、つまり逆ザヤ状態に陥ります。これが低金利の弊害、中小企業への貸し渋りに繋がります。
信用市場が崩れたとき、金融機関の間の取引にも疑義が生じます。すると資金調達のためには高い配当、利回りを約束しなければならない、つまり高収益体質を維持する必要が生じます。金融機関は企業融資、国内・海外債券など資産運用の割合を初めから設定することも多いですが、この時高収益体質になるためには利回りの低い分野を真っ先に切り落としますから、それが企業融資の分野となります。この流れは特に、景気後退が意識されると企業業績悪化は自明ですから、益々貸し出しを制限して他の分野に資金配分するようになるのです。

ポールソン財務長官が「金融機関への増資は企業貸出に繋がる」と述べたり、中川金融相が金融庁に大手行、地銀のトップを集めて融資拡大を要請しようと、この仕組み自体を変えないと貸し渋りは防げません。といって、企業融資で利息を高くすれば企業の資金調達コストの上昇を招きます。
さらに金融機関はコスト減のため、固定費を減らそうとしますから、企業融資の査定員も減らしてくるでしょう。また金融機関も運転資金を保持しておこう、との意識も働きます。市場原理ではこの貸し渋りという現象、防げる類のものではないのです。景気後退局面のときには特に、国が中小企業に直接貸し出せる仕組みが必要であり、金融機関の救済ばかりでなく、中小企業が8割以上を占めるこの国ではこうした点にも眼を向けていくことが大事なのでしょうね。

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2008年10月16日

雑感、マルチ商法による問題について

日経平均が再び急落です。米国の金融安定化法で付与された3500億$を使いきり、残り3500億$は議会の承認を得なければいけません。でもそれでは足りないという認識が米国に広がり、実体経済への悪材料が出てダウが急落。それに日本もお付き合いしてしまった形です。
そして二日間で先物の買いポジションを持った層が、米急落を見て投げを打ったことで開始早々日経225先物にCBが発動。さらに引け間際には逆回転のような売り崩しに見舞われ、下げ幅を大きくしました。米国でも同様ですが、引け前30分近くで先物に大きくポジションをかける流れが起き、それが変動幅を大きくする不安定要因となっています。買っても売っても、この先物の動きには注意せねばならず、当分はこの値動きが大きな異常事態が続くことになりそうですね。

民主党の前田議員がマルチ商法から献金を受けていた件で、離党と総選挙不出馬を表明しました。国会からWikiの内容を誰かが書き換えた、とも云われますが、そんな中で野田消費者担当相が自らもマルチ商法擁護の質疑をしたと、今日になって告白しています。
この問題は、ネットワークビジネスなどと称されること自体、大きな事実誤認があります。古い言葉なら『ねずみ講』であり、連鎖商法と称されることでも、実態を暗くしてしまいます。はっきり詐欺商法と謳うべきであり、これは純然たる違法行為であると認識しなければいけません。

この詐欺商法、実はあらゆる分野で利用されています。大枠では宗教勧誘などもそうですし、ブログに商品の感想と写真を貼り付けて行う行為も、方法論としてはこの詐欺商法と同種です。一般人を勧誘し、その人間に勢力拡大や販売を委託する行為は、多くの人間がそれと気付くかどうかは別にして、実に多くの人間が携わっていることになります。
しかし最終的に違法性を有すると判断されるのは、利用者が損害と認識するかどうか、被害者の拡大に繋がるかどうかです。金銭的授受を違法性の有無の判断材料とする人もいるでしょうが、基本はこの受動から能動へ、利用者から供給者へと移行する過程、騰勢を強める中で、害を被ったと感じる人が増えたかどうかで決まります。

どんな団体、企業であれ、最初は良いと感じるから人は参加したり、お金を出したりします。しかし被害者が拡大してからでないと、規制や罰則が科せられないのは、この難しさがあります。誰もが騙されたと感じるまでのタイムラグ、その間に被害者は拡大しますが、それまでは健全なビジネスモデルと認識され、消費生活センターなどに違法性を指摘する連絡も入りません。
つまり線引きが元々難しいものを、政治が擁護する姿勢が最初から可笑しいのです。これはかなり前から国会でも噂になっていたことですが、与野党ともに傷があり、取り上げられないと考えていました。ですが、指名停止業者から献金を受けていた大臣も同様に、法スレスレの事業を行う業者ほど政治や行政との連携を強め、恩恵を被ろうとします。ネットワークビジネス推進議連なるものもあるそうですが、健全とは何か、そのビジネスモデル一つ一つを検証するところから始めないと、政治家が安易にお墨付きを与えてはいけない問題なのです。政治家がマルチ商法かどうかを見抜ける眼を持てる、などと考えられるオポチュニストなら、最初から法規制がかかっているはずですからね。

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2008年10月15日

日本の景気対策について

中国製冷凍食品の問題がまた起きてしまいました。有機リン系殺虫剤ジクロルボスが国の基準の34500倍混入していたとのこと。詳細はまだよく分かりませんが、冷凍食品は船積みされ、輸送されますから製造と消費の間にタイムラグの大きなものとなります。かつパッケージを見て輸出先も分かります。製造工程から検査まで、全てを見直さなければならない時期にはあるのでしょうね。何より中国製の食品に関しては、製造単価が安く済んでも購買意欲を殺ぎますから、今後の消費市場では厳しさも増していくでしょうからね。

国会では参院で補正予算の審議が始まりました。政府からは今年3月で期限切れとなった金融機能強化法の復活、破綻する生保の加入者を保護する生命保険契約者保護機構の政府出資を延長する、などの対策が出ています。前者は地銀に対して公的資金注入を促し、地域経済の破綻を防ぐ策。後者は生保破綻による保険者が受ける不利益を、公的資金で補填しようとするものです。
どちらも米国で起きている地銀破綻、AIG国有化などを受けて、日本に波及的影響が及ぶことを想定したものです。これらは日本が不良債権処理に追われた時代に打ち出された対策であり、日本も継続しなければならない事態になったのは、米国でまさに日本の「失われた10年」と呼ばれた時代と、同様の流れが起きているためです。が、これは危機対応であり、起きてしまった事象、もしくは起きそうな事象に対する法的な予防措置をうったに過ぎないものです。

追加補正の議論は今国会中に議論されないようですので、来週まとめられる政府の景気対策をもって、選挙の焦点になりそうです。証券市場の空売りの情報開示、政府系金融機関による株売りの停止、企業の自社株買い規制の緩和、年末で切れる証券税制優遇の延長などもありますが、実体経済に影響が出始めると、単にこうした対策では株価下落を止められないことにもなります。
米国政府でも同様ですが、時宜を得て本質を突く、ということが経済対策では最も重要です。どちらが狂っても、米国の金融安定化法のように効果を疑問視され、景気の下支えにならないことになります。今の日本に、それだけの手腕をもった政治家、経済学者は中々見当たりません。

今年のノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン氏は、日本に対しても超低金利が招いたデフレの呪縛、等を指摘していたようです。国内の金利が低すぎれば、金融機関は企業融資ではなく、運用で利ざやを稼ぐようになる。その結果、国内に資金は流通せず、経済は停滞することになります。景気刺激には超低金利、という市場関係者の間にも誤った認識がありますが、こうしたことを見直し、次の浮揚に向けて経済政策の舵を切るべき時なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年10月14日

経済の話。欧米の公的資金注入について

今日の日経平均は1171.14円、率にして14.15%と史上最大の上げ幅を記録しました。ただ買い方が値を飛ばした印象が拭えず、今日の上昇はいき過ぎでしょう。SQ通過後に先物を売っていた層が慌てて買い戻した、と見る方がよく、現物への買い注文の少なさは、ストップ高で引け後に割り当てられた分を含めても、今日の上昇幅に比べると乏しいものとなっています。

アジアも総じて上昇していますが、これはG7ではなく行動が伴ってきた世界の動きを好感した内容です。欧州で総額2兆4千億$の公的資金の注入、米国も2500億$を金融機関の資本増強に充てる、とする記事は相当にインパクトがあります。世界から数兆$の金融資産が消えた、とする記事も盛んに報じられますが、政府からこれだけの資金が突然現れたのです。
国家はこの大量の資金調達を行うため、紙幣を増刷するか、国債発行に頼ることになります。今回は金融資産デフレという側面がありますが、一方で実体経済で物価が高騰するのも、当局の資金供給が続くからです。本来、金融資産デフレになれば企業は減資が必要ですが、そうなると国家の経済規模が縮みます。経済の縮小は国家規模や成長力に関係しますから、ここは何としても維持したいということで、欧州は思い切った対策に舵を切ってきたのでしょう。

しかし今回の対策でも貸し渋りは解決できません。ということは製造業などの企業倒産は続くことになり、それがまたCDSを始めとする金融商品に影響します。実体経済への波及も語られますが、金融部門とてこれで一息はつけますが、まだ問題解決の道のりは遠いということになります。
特に欧州ではG7前に事前協議を詰め、腰の重い米国を催促するように、先手を打って協調で公的資金を注入しました。米国が渋々でもそれに倣ったのは、出遅れると金融資産の逃避がおき、更に経済規模の縮小を招くからです。空売り規制が結果的に流動性を縮小させたように、歪んだ、不安定な市場から資金は逃げることになり、それは米国で巨額な個人資産も同様です。預金の全額補償のある国に資金を移す、という事態を避けることが米国で急務となったのです。

今回の混乱をpan-で括ると面白いのかもしれません。悪事の仲介者(pander)が金融危機を世界に拡大(pandemic)させています。それが恐慌(panic)を連想させ、修羅場(pandemonium)を生み出しましたが、公的資金注入によりパンドラ(pandora)の箱を開けることは、何とか避けられそうです。
panは『皿』という意味を持ちますから、世界を一つの皿と受け取っても良いのでしょう。またpan-には『汎』の意味があり、金融が全世界的に拡がっていると受け取ることもできます。ギリシャ神話のPanという神は音楽好きで笛を吹き鳴らし、陽気な一面をもつ一方で夜の森林の恐怖を意味するPanic terrorなどとも呼ばれます。経済には二面性があり、また全世界的に拡大する時間が早まった今、早期に万能の対策(panacea)が打たれることを、世界は望んでいるのですけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年10月13日

経済の話、欧州の対策について

今日も世界経済の混乱を受け、矢継ぎ早に経済関係の対策が各国で打たれています。英国では370億£の公的資金を注入します。ロイヤルバンクオブスコットランド(RBS)に200億、ロイズTSBに55億、HBOSに115億ドルを投入し、普通株を購入して実質国有化の発表です。
ドイツでは800億ユーロの公的資金を使って、金融機関に公的資金を注入し、また金融機関に対する債務に政府保証4000億ユーロをあてるという、救済策の発表です。更に欧州では中央銀行によるドル供給強化策が発表されています。ECB、イングランド銀行(BOE)、スイス国民銀行が金融機関に対し、入札を行って担保範囲内ならば固定金利でドルを供給するという、公開市場操作の発表です。入札額に対して全額を供給するという内容ですから、ドル不足に陥るという不安はこれで解消されることになります。

G7では差異の見られた項目、内容は削られたようですが、欧州は機動的に動くという態度をこれで示したことになります。公的資金の注入を普通株で行うことは、政府が価格変動リスクを負うことになり、かなり危険性もあります。これらは政府系住宅金融機関(GSE)の救済で、米政府が採った公的資金注入が既存株の毀損に繋がった、という経験を踏まえているのでしょう。
一方で、三菱東京UFJがモルガンへの出資を全額優先株としたのは、価格変動リスクを極力抑えようとする態度です。転換社債型の優先株としてもリスクが完全に消えるわけではありませんが、転換後に議決権の21%を有することが出来るので、モルガンが破綻しなければ有利な条件を三菱東京UFJは勝ち得たようです。ただモルガン側としては、将来経営権を握られ、尚且つ90億$が全株転換されれば1株辺りの希薄化に繋がるものです。今後の株価の推移は、モルガンの経営にも影響してきそうです。

欧州は経済政策が出てきつつありますが、米国では議会との調整という難関が待っています。更にドイツで金融機関の債務に4000億ユーロの保証、という額を見ても分かる通り、米国の7000億$は単なる不良債権買取の金額のみであり、不足する可能性が高いものです。
米国がどう動くか?が次のカギになります。アジア、欧州が上昇して今週始まっていますが、米国の対策にはまだ具体性がないので、早晩失望も出てきます。今は一旦下げ過ぎた水準を取り戻すことが急務ですが、その後は米国の対応に関して敏感に反応することになるのでしょう。

ダウ平均は最悪5000$を割れる可能性もあります。これは相対的に見て米国市場の下落率は低くなく、それでも期待値の高い状態が続いているためでもあります。早めに他国の株は売っても、自国の株を売るのは最後、という米系ヘッジファンドの流れもあるのでしょう。ただここがポジションを崩すようだと、大きく売り込まれることになります。ブッシュ氏の発言を見る限り、金融安定化法に依存してそれ以上の対策を打ち出して来ないようにも見えますが、そうした態度で乗り切れる状態ではもうないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2008年10月12日

米国が北朝鮮のテロ支援国指定を解除

米国は北朝鮮に対するテロ支援国の指定を解除しました。米国は6月からテロ支援国指定解除の手続きに入りましたが、8月に一旦見送り、それがこの大統領選前に実施されたということであり、規定路線ではあったのでしょう。イラクを混乱させたまま撤収を検討されており、アフガンも同様に事態は更に悪化の一途を辿っている。
さらに経済は世界を大混乱に導くなど、ブッシュ政権にとって何ら良い材料もない中でこのテロ支援国指定解除程度しか、やるべき重大事項を失ってしまった。それを北朝鮮に見透かされ、核施設の再稼動等の動きを示す北朝鮮に対しても、一つの成果を示すしかなくなったのでしょう。経済さえ混乱しなければ、これがブッシュ大統領の最後の花道だったからです。

数多の失態を重ねたネオコンに愛想を尽かし、ブッシュ政権はそれらの勢力を政権から一掃しました。代わってライス国務長官などの融和派が政権内で勢力を増し、北朝鮮との関係改善とのシナリオを描いた。当然、日の出の勢いのあった中国との関係もあり、北京五輪前の東アジア情勢に気を使った、という点もあります。
ただ発表された検証の中身は、プルトニウムやウラン濃縮計画の枠組みと核拡散活動に及ぶ内容ですが、検証機関として国債原子力機関(IAEA)を補助的立場としてしか認めていません。核施設の監視で高い実績を誇ってきたIAEAを、完全除外とまではいかないまでも参加を制限してしまった点はマイナスです。かつこれを北朝鮮が合意したかどうかは、まだ不透明であり、六カ国協議はまだ二転、三転する可能性があります。この時点でテロ支援国指定解除という手法に至ったのは、明確に米国外交の敗北というニュアンスを含むものとなっています。

日本は北朝鮮の核実験後に矢継ぎ早に手を打ちましたが、米国の抑制により、その後は傍観者的立場を貫きました。日本外交にとっても失敗であり、麻生政権に打撃とも云われます。ただこれを異なる視点で捉えることも可能です。例えば、国会混乱を口実にテロ特措法を廃案にしてしまう。今更ブッシュ政権との交渉は無意味ですが、次期政権向けに日本は外交カードを有するという手です。リスクは高いですが、日本が国際社会に態度表明することが出来ます。
もう一つは六カ国協議で決められた日本に対する北朝鮮支援枠、これを引き受けることを何らかの場で「屈辱的」と、麻生首相もしくは中曽根外相が表明する。日本は強い文言を用いて外交手法を用いないため、弱腰とも評されますが、六カ国協議離脱だけでなく、日本の支援枠を取り付けるためには高いハードルを示しておくことで各国の態度が変わります。これもリスクの高いものですが、麻生政権の支持率が高くない今、乾坤一擲の勝負をする価値はあるでしょう。

経済が混乱した今、次の時代にはマネーを有する国が優位を得ることも可能です。日本の受けた打撃が少ないと云われるのであれば、それを有効に生かし、そのマネーパワーで外交を有利に展開する戦略も必要でしょう。何より国民を守れない国は、国家の第一義を外しているのであり、G7ではありませんが『あらゆる手段を尽くして』国民の帰還を優先するべきなのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | アジア

2008年10月11日

G7と市場原理主義

10日のブッシュ声明は、「財務省は何でもできる」との発表のみでした。ポールソン財務長官が先に示唆した内容をなぞったものであり、特段のサプライズはありませんでした。
一方、G7では行動計画を示しましたが、―斗廚紛睛撒ヾ悗惑肪床麋鬚悄↓短期金融市場の健全化に向けた流動性の確保、6睛撒ヾ悗慮的、民間による資本増強、ね其睚欷院∧歉收度の強化、ゾ霾鶻示の透明性により資産評価、会計基準を実施、という五点の行動計画を示し、各国が「全ての手段を講じる」ように求める内容です。

今回のG7、焦点はリーマン破綻が世界経済の不安を増徴させた要因であり、そうした大型の金融機関を破綻させないことを各国に約束させる方向での、意見集約のように感じられます。前者の3つは直接、間接による公的資金の注入と、それに基づく破綻懸念の払拭。後者の2つは民間資金が逃避し難く、流入し易いような対策です。結論としては、この程度のことなら電話会談でも充分であり、G7の場が決起集会としてしか機能しなかったように感じられます。
11000$水準を維持していたダウの底が抜けたのは、共和党の新自由主義者が金融安定化法に対し、ネガティブキャンペーンを張ったのがキッカケです。金融機関を救済するな、というデモを国民に誘発させ、減税と規制緩和という共和党が推進した従来の手法を踏襲させようとした。これが想定した以上に大きな動きとなり、政治が世論に配慮して手足を縛られてしまったことで、今後有効な対策を打ち出せないと感じて売りが嵩んだのです。ダウの第一段の下げをリーマンショックというなら、第二段のこの下げをマケインショックと呼んでも良いのでしょう。

このG7で言質がとれたので、米国も世界世論という支持を受けて、これでやっと公的資金の注入という形を取れます。後は規模の問題であり、ワコビアの件でも買収提案した2社がその財務内容の悪さに驚いたというように、金融機関の損失規模がどの程度かということを正しく把握し、7000億$の妥当性と追加予算の議論に移っていくことになるのでしょう。
日本の景気が先に後退局面を迎えたり、株価が売り込まれることを外需依存だから、と片付けるだけではいけません。日本とて竹中路線の中で新自由主義を取り入れたのです。市場原理主義は景気が右肩上がりでないと必ず躓きます。なぜなら景気刺激策としての減税により、景気悪化になると国の財政が逼迫するからです。日本でも一部で上げ潮として路線継承されていますが、法人税減税までは踏み込めなかったものの、それ以外の景気刺激策として企業減税は施されており、それと反して国民への実質増税が続きました。景気刺激を企業本位とし、内需を無視した政策を続けてきたのであり、この点は今後検証の価値のあるものです。

米国経済が斜陽に入った07年に、景気刺激策として投資銀行の規制緩和が行われました。それが結果的に、更なるレバレッジ投資を加速させ、損失の拡大を招きました。今回の混乱は成長し続ける国、好景気を維持し続ける国などない、という前提を見失った経済学が招いた悲劇でもあります。だからこそ各論で済ますのではなく、本質的に何が問題だったのかを理解して、対策の手を講じていくことが重要となってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年10月10日

経済の話、崩落とまで言われ始めた株式市場

今日の日経平均も急落でした。昨日のJ-REIT初の破綻でREIT指数も急落し、最高値から3分の1にまで減少、不動産業全般、及びREIT保有の銀行業全般まで懸念が拡大したこと。及び取引開始直前に大和保険の更生特例法の適用申請したことで、いよいよ日本まで金融不安が拡大する、という意識がマーケット全体に広がったこともあったのでしょう。
また先物にサーキットブレイカーが発動されましたが、マイナーSQが7992円と、ポジションの崩れた筋による投売り症状となったことも、見切売りを誘発し易い相場を作ってしまいました。先物、オプションともすでに現物相場を反映しておらず、日替わりで売り、買いが交錯する状態であり、大きなニュースに敏感に反応してしまった面もあります。

私は一昨年ごろから米国の不安を感じ、その中で悪いシナリオの2つを注視してきました。アジア通貨危機と米国のドル不安です。それが今回の混乱を受け、チラチラと見え始めてきました。アジア通貨危機は現実味を帯びてきており、崩壊寸前のアイスランドのように、通貨クローネの暴落などにより非常事態宣言に見舞われ、それがアジアでも起きる気配があります。
中川財務相がG7でIMFによる中小国支援策を提案するそうです。財務基盤の弱い中小国に、IMFの保有する3000億$のうち、2000億$までの融資を条件を緩和して行う、というもののようです。これで一定の効果はあがるでしょうが、現状のIMFは米国の影響が強く、それを排除した形で、権限の強化を含めてこの混乱時に機動的に対応できる体制を提言できれば尚良いでしょう。
一方でドル不安は深刻です。GM破綻懸念も伝わりますが、先に国が低利で融資することを決めた自動車産業が破綻すれば、更なるドル不安を促します。一時的に膨張する国債発行、各国に経済的余裕がない中、買い手は国内機関投資家と一部のオイルマネーに頼るしかありません。

恐らくG7でも対策を出すことは不可能でしょう。これは日本の経験を…、などという生半可なものではなく、世界全体が底割れしてしまった状態、特に世界全体の金融が麻痺してしまった状態は世界も未体験ですから、日本一国の問題だった当時とは大きく異なります。
ではどうするか?一度世界がIMFなり、世界銀行なりに資本と権限を集中させ、見かけ上のビッグパワーを作り出して対応する、ということが必要だと考えます。各国は経済政策を一時的に放棄する形になりますが、国の規模を越える金融機関を生み出せば、一国の経済基盤では対応が不可能ですから、こればかりは仕方ありません。協調利下げも、公的資金の注入も、結果的に国内でクローズする問題であり、世界を飛び交うマネーパワーには抗し切れないのです。

一部で、今回の混乱は先の世界恐慌ほどではなく、まだマイナス成長に陥っていないという意見があります。ただ金融はGDPに間接的にしか影響せず、プラス成長への寄与度は低くても、マイナス成長には大きく影響してきます。9月からの混乱で年後半はゼロ成長より、一気にマイナス成長に引きずり落とされると考えます。影響が出るのはこれからであり、厳しい環境は先の世界恐慌に匹敵する規模になりそうある、ということは意識しておいた方が良いのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年10月09日

経済対策は打ち出せないのか?

今日は米国で金融安定化法により、公的資金注入ができるとのポールソン財務長官の発言がありました。しかし仮に公的資本注入が実現しても効果は限定的でしょう。理由は、7000億$しか原資がないと決められましたから、不良債権買取だけでも不足するのでは?といわれる中で、一体その中の幾らが金融機関の増資分に割り当てられるのか、それが不透明だからです。
最低その1.5倍、金融機関安定化のためには2倍以上の額が必要と考えます。毀損した資本分、つまり買い取ったのと同額の資本注入がないと、金融機関が安心感を与えるには至らないのでしょう。先に公的資本の注入を決めた英国も同様ですが、政策としては手垢のついた内容であり、それがサプライズ、意識を好転させるにはそれだけの規模も必要です。協調利下げが効果なかったのも、すでにアナリストにより試算が済んでおり、効果が薄いと分かっていたからです。

米国債の格付け懸念や乱発による暴落懸念もありますが、単純に金融不安を抑えたいのであれば、費用対効果を優先させるのではなく大規模な対策が必要です。経済対策に3つのタイミングを以前述べたこともありますが、今は沈む景気を下支えする対策であり、規模は相当大きなものでなければなりません。米国民の理解が得られない、という事情では世界に対して責任を果たしていない、そうした態度と受け取られるでしょう。
全てはリーマンを破綻させたことで、巨大金融機関でも潰れる、と意識されたことが金融不安の引き金を引きました。未だに米政府はその態度を変えておらず、全てを救済するわけではない、と述べています。その取捨選択をするなら、早めにしないとイタズラに混乱を長引かせるだけだ、ということを理解しておくことも必要なのでしょうね。

日本でも追加補正予算で、大規模な景気対策とも伝わります。今回衆院を通過した補正でも、効果的な対策を打ち出せない今の政府には、外需依存の国内景気を浮揚させる術を見出すことは難しいかもしれません。結果的に、高速道の値下げのように民主党案を真似て、違いを少なくした形でしか対策は打ち出せないのでしょう。選挙を意識した形でしか政治が動けないのです。
民主党がテロ特措法の早期採決に応じる提案をしています。民主党にとってのベストシナリオは、テロ特を衆院で3分の2で再可決した後、混乱の責任をとって解散ということです。党内でも意見が2分する問題を、法案が通過してしまえば1年は先延ばしできます。自民党はそれを知りつつ、郵政解散のように参院否決後に解散をしては、米国への義理が立ちません。

解散時期が色々と取り沙汰されますが、民主党と公明党がムチをいれて動き始めたので、自民党がどう考えようと年内解散は確実です。解散にはきっかけが必要であり、それがテロ特なのか、党首討論後に対決解散になるのか、経済対策を発表した後になるのかだけです。
日米とも政権基盤がぐらつく中で、経済対策にも目ぼしいものは少なくなります。これは力のある政府でなければ、大規模な対策が打ち出し難い、ということを古今の政治が物語っているからであり、これが世界経済の閉塞感を強めている部分でもあります。しばらくは、この混乱を収束させる術を政治の面からでは、世界が見出せない状態が続くのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2008年10月08日

経済の話。6中銀による協調利下げの発表

ノーベル化学賞に下村脩氏が選ばれました。クラゲから取り出した緑色蛍光たんぱく質(GFP)の発見による受賞であり、今でも医療や生化学の分野で応用が盛んに行われています。どうやら今年は、後世に貢献する研究に対しての評価が高いようですね。応用は得意でも発見は下手、と言われ続けた日本人がパイオニアとしての研究で評価されるのは、嬉しい限りですね。

世界同時株安の波が続いています。この水準に来て日経平均が1000円近い下落、というのは正直驚きました。ヘッジファンドの解約が相次ぎ、解散売りも出たのでしょうし、昨日10000円台で買い支えたポジションが開始当初から崩れた、という部分も大きかったようです。すでに水準を語れるような状況ではありませんが、そんな中で欧米から新たな材料が出てきました。
英政府が250億£(4.4兆円)による公的資金を大手8行に注入(この内HSBCのみ注入を拒否)、追加で250億£も準備し、銀行間取引の際2500億£を保証として用意するとの発表です。またFRB、ECB、英、カナダ、スウェーデン、スイスの6中銀による、0.5%の協調利下げの発表です。

英政府の対応は増資としては充分ですが、銀行経営を安定させるには不十分です。銀行間取引に保証がつけば、一定程度の取引は回復するでしょうが、国の信頼度次第という面もあるでしょう。アイスランドが非常事態宣言を出しているように、金融主導の国家経営に転じた国ほど痛みが大きく、危機的状態にあることは間違いありません。国家規模を超えて金融機関が肥大化した今、公的関与が最終アンカーとして下支えできるかどうかは、非常に不透明です。
協調利下げの方は現状の効果は限定的、長期的には効いてくるでしょうが、金利の政策誘導が効き難い今は負の効果にも注視する必要があります。特に今回の株価下落で企業破綻が増えれば、CDSを抱えた保険会社や保険をかけずにCPを抱えた金融機関の破綻が相次ぎます。
英政府のように銀行間取引に保証をつけるような形でない限り、短期的には高止まりしたVIX指数やLIBORなど、銀行間取引が復活することはありえません。といって、各国の事情の違いで保証などつけられるはずもなく、この辺りは金融機関が破綻しない、というお墨付きを政府が与えられるようにならないと、銀行間取引が緩和することはないのでしょう。

今年何度か相場予測を出していますが、当たったものと当たらないものがあります。今回春先と夏頃に示唆した下限10000円を割るには、相当抵抗もあると見ていましたが、その水準をあっさりと割ってきました。先物やオプションが調整機能を果たせなくなった、と以前述べましたが、こうした動きも大幅な下落を招いた結果でもあるのでしょう。売りと買いのバランスが崩れている今の相場は、投げが投げを呼び易い環境ともいえます。
世界恐慌を意識し始めた、とも見られる今回の動き。負の連鎖が続くようだと、反転のきっかけを掴めないまま、ズルズルと下方に引きずられることになります。米国はずっと対応を間違えてきましたが、世界が新たな枠組みで動けるようにならないと、今回の混乱を収める術は見出し難いのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年10月07日

雑感。日本人3名がノーベル賞を受賞

まず嬉しいニュースから。ノーベル物理学賞に南部陽一郎氏、小林誠氏、益川敏英氏が輝きました。個人的に、素粒子は好きな分野で本も何冊か読んでいます。その中に必ずこの3人の名前を拝見することができ、偉大な功績として讃えられていながら受賞していない、ということを残念にも感じていたものです。それが受賞できたというのは、とても喜ばしいことです。

南部氏は「対称性の自発的な破れ」を発見し、力の統一論や素粒子の質量などの問題を解決する端緒をつくりました。分かり易く「対称性」をいうと、水が氷になるときちんと整列するので「対称性が破れた」といい、水や水蒸気のようにバラバラになった状態を「対称性がある」とします。これにより、違う状態を一つの記述とできるように物理学に大きく貢献しました。
小林氏と益川氏は「CP対象性の破れに関する理論的研究」の中で、クォークが6つである理論を提唱しています。素粒子の分野は理論の正しさが証明されても、それを実証することが難しく、御三方も年月を経ての受賞です。これらは大統一理論によって電磁力、弱い力、強い力、重力が一体だということを示す基礎理論ともなりますが、それを観測する唯一の施設が日本にあるスーパーカミオカンデというのも、また喜ばしいことです。先に小柴氏がノーベル物理学賞を受賞していますが、いずれ再び日本での発見があることを期待したいですね。

昨晩はダウが10000$割れ、日本では日経平均が10000円を一時割り込みました。TOPIXはすでに1000pt割れとなっていますが、一旦はこの水準から切返せたのも、心理的抵抗という面もあります。また今日の動きでセリングクライマックス、という期待も多少あったかもしれません。ただ長期的なトレンドにまだ変化は見られないので、この水準をどう捉えるかは微妙、という段階に来てしまいましたね。
日本の政治も混迷を深めていますが、解散時期については年内との見方が一般的です。メディアでも選挙の日程が延びると資金面で候補者が悲鳴、と伝わりますが。金と政治の面では、総選挙が近付くとマル政と呼ばれる資金が市場に流れる、というのが専らの噂です。投資組合を通じて仕手を演じるとも言われますが、こうした相場環境だと売りでしか利益を稼げないので、今回はこうした動きには注意する必要がないのかもしれません。

いずれにしても、年金機構や保険からの実物売りとの観測もありますが、欧米で空売り規制をかけても大きく金融株が売り込まれる、という現状は決して楽観できる状態でもないのでしょう。これはハッキリ金融株の持分を減らす、ということを示しますから、売り主体がどこであれ、金融機関が膿を出し切らない限り破綻懸念をもって市場が見つめることになります。
経済の分野で「対称性が破れ」て、下落の一方向に力が向いている状態が今です。波及効果について、様々なメディアでも報道がありますが、いずれ色々と考えてみたいと思います。何より、この数日で世界から数十兆円が吹き飛んでおり、目に見える影響ばかりではなく、波及効果の拡大についても考えなければいけないからです。こうした経済理論が確立され、実証されれば間違いなくノーベル賞ものなのでしょうが、現状を記述できる理論がないという点でもまた、問題が複雑化してしまっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 経済

2008年10月06日

週末のG7で対策が打ち出せるか?

今日も各国の株式市場は大きく下落しています。リーマンの破綻は小さな国なら2つ、3つ吹き飛んだほどの大きさですから、当然この程度の悪弊はあるとは想定していました。各国の経済規模以上に膨らんだ金融機関、その資本の多くを金融商品が占め、その金融商品が値崩れし始めると、こんなにも脆い経済だったのかということを今、世界中の人間が目にしています。

週末にはG7(財務相・中央銀行総裁会議)が開かれますが、この中で協調利下げを望む声もあります。ただ政策誘導金利がインフレを無視して動き始めると、一時的に経済が混乱する可能性があります。今までドル不足が目立っていたため、ドル売りの出難い環境もありましたが、今日は一気にドルが売られて円高が進みました。景気後退と利下げが意識されれば当然こうした動きになりますが、仮にインフレが高止まりするようなことになれば、各国のドルペッグ制離脱という事態を招くでしょう。
夏頃、米国から各国に向けて米国は健全、ドルは安全とのメッセージが打たれたようですが、半年も経たないうちにこれでは、ドル不安が世界各国に拡がる可能性もあります。今回の混乱の最悪の終着点は米国の崩壊ですが、そうなると安全保障や新たな経済の枠組みなど、世界は10年停滞する時代を迎えます。そうならないようG7では、何らかの対策を打ち出す必要が生じているのでしょう。

ただそれは世界が被った損失、その全額を明らかにすることから始まります。世界を人で例えると、発熱や咳などの表面上現れる諸症状を見て、解熱剤や咳止めなどを処方されてきましたが、実際の病はその薬では治らないかもしれません。精密検査をして本当の身体の状態を知り、それに対して正しい処方をすることが重要なのです。
金融大動脈としての血液の流れを良くする、資本増強により落ちた体力を元に戻す等はその後行われる治療の一環です。いきなりこれらを正しく戻そうとしても、中々戻るものではありません。金融安定化法で、不良債権という病巣を摘出する荒療治も必要かもしれませんが、すでに転移が始まっている不良債権全体という膿を摘出するのは、容易ではないでしょう。

これまで、こうした混乱を収束させるのは米国のビッグパワーでした。しかし米国発の今回の経済危機で、その力はあてに出来ません。各国が協調してそのビッグパワーを生み出そうという試みも、各国の事情の違いで頓挫しています。何より、経済が好調であった一時期にも政権基盤が磐石であった政権がほとんどない、というこの事態が示すものは、今回の景気拡大局面が如何に不浄な匂いのするものだったか、ということでもあります。
日本の証券市場も突っ込み警戒感が中々醸成されず、下を叩き易い相場が続きます。日本の超低金利が今回の混乱の遠因、との指摘が世界から聞こえてこないので、日本の利下げ余地も残されていますが、現在の経済環境では利下げが景気対策になることはないでしょう。下支え要因を見出せない中、日本経済の弱さと反比例するように進む円高、これが日本経済にとってネックとなります。経済が好調で円安、というのも可笑しな流れであり、こうした不浄な経済環境が一掃されないうちは、混乱の収束というのも見えないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2008年10月05日

雑感、経済混乱に対する対応について

海外では週末も欧州4カ国(英、独、仏、伊)会議が開催されています。互いの制度、方針、立場が異なる国がどれほど協調を謳おうと、政府間の態度が一致することはまずないのでしょう。特に欧州は域内の差が鮮明となりつつあり、物価高による影響と不動産価格下落の影響、実体経済への負の連鎖が進み易いのは経済運営を金融主導に舵を切ったかどうか、ということでもあります。といって、現在その方針を変えられるほど余裕のある政府もありません。
欧米の政府でこれまでの経済政策を大規模に転換できるような、支持基盤の高い政府はありません。そうなると現状の手直しと協調の演出で乗り切ろうとしますが、それでは今回の混乱を抑えきれないことも確実であり、図らずも対策の手がないと露呈していることにもなります。将来、リーマン・ショックと言われるのか、ブラック・セプテンバーと呼ばれるかは分かりませんが、今回の経済混乱は歴史に残ることが確実であり、各国の動きが後世の研究対象となります。

そんな中で、日本では補正予算を巡り国会が荒れそうです。日程を確定しておきたい与党と、選挙のタイミングを天秤に乗せたい野党、今日のメディアで与野党の国対が出演していましたが、その差は容易に埋まりそうもありませんでした。与党が選挙日程を遅らせる戦術に出たため、どちらも日程睨みの国会運営となりそうであり、国民不在は続いてしまいそうです。
追加補正の話も出ていますが、経済環境次第で景気対策には3つの意味があります。景気が下降気味のときは下支え策、底にあるときは浮揚策、上昇局面にあるときは刺激策です。米国で春先に打たれた大規模な税還付は下支え策のはずでしたが、内容は刺激策でしたので失敗しています。今回の金融安定化法に盛り込まれた減税などの内容も、本質的には刺激策であってこのため失敗の可能性も高いものとなります。

日本はすでに景気が下降局面にありますが、下支えをするなら規模はGDP比で10〜20%は必要であり、赤字国債の発行はしないという政府の現状の態度で、それだけの予算が捻出できるかは不透明です。予算規模でいうと、浮揚策や刺激策にはそれほどの内容は必要ありませんので、日本の現状を考えると底を見定めてこちらの手を打つ方が得策であるかもしれません。
どちらにしろ海外環境に大きく左右される経済基盤の国を造り上げてしまったため、国内で手を打っても効果は限定的、というオマケつきです。補正や追加補正を議論の主軸とするのが良いのか、今国会にはこうした見識の差も現れるのでしょう。国民ウケのする対策として経済に視線が向きがちですが、金融安定化法のように効果を疑問視されると、結果的にマイナスとの受け止め方も多くなります。特に今は経済への研究が盛んであり、有識者の視点で経済対策にも賛否が論じられます。選挙の焦点にするには、経済対策とは諸手の剣であり、大きな賭けになることも間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年10月04日

経済の話。金融安定化法可決とその影響

米国下院で金融安定化法が可決され、大統領が署名して法案が成立しました。減税や預金保護額の引き上げ、この法案一つを通すため様々な代償を払いながら、それでも金融機関救済という形を米国は選択しました。ただ下院で一度否決され、その間に法案を歓迎するという熱狂は冷め、見つめ直す期間が出来たことで、実効性という点を論じられるようになりました。

法案を通すため、不良債権買取機構に設けられた株式購入権、経営陣の報酬制限、等により、実際に利用する金融機関は減ります。またこの機関に預け入れても、5年後に価値が下がれば損失分を拠出する必要があります。完全に金融機関から不良債権が切り離されるわけではなく、かつストックオプションのような形で政府に株式まで握られる。自社株が上昇したとき、政府からの売りが出るという圧力がかかりますから、株式価値の毀損に繋がります。
経営陣の報酬制限は結果的に社員の成功報酬分の払いも少なくしますから、企業体として社員の意欲も殺ぎますし、労使関係にも影響する可能性があります。企業が高収益を得る環境に戻ったとしても、この機構に不良債権を預けている限り報酬制限がある、といって買い戻せば再びバランスシートを悪化させるかもしれず、値がつかない金融資産を切り離せない、という事態は想像以上に金融機関の負担となって降りかかってくるでしょう。

そんな中、証券市場はすでに次のステージの動きを示しています。米国ではISM、新規失業率、雇用統計など、日本でも鉱工業生産指数、日銀短観など実体経済への影響が著しくなり、金融危機から世界経済危機へと視点は移っています。景気が後退するかどうかではなく、底の深さとどの程度の期間続くのかを意識しており、それを先取りする下げを見せています。
今は楽観の意識が急速に転換し、少しパニック的にもなっており下げのピッチが早くなっています。先週の外国人投資家の売りが嵩んだことで、見切売りを呼び込んでしまった面もあるでしょう。11000割れに抵抗感が少なかったのも、通過点と意識された部分も見られます。

先物の動きは活発ですが、オプションでのポジションは高くありません。これらの動きが示すのは、先物やオプション市場がリスクヘッジの場ではなく、水準調整の機能は働き難くなったことを示すのでしょう。最近の急変動もあり、証券市場から資金は逃避を始めており、金融市場の縮小で持分を調整する動きの一環、という以上に持ち出しが進んでいるようです。
短期的には突っ込み過ぎの面もあるので、SQ前に多少の戻りは期待できますが、大きな下落トレンドを転換させるまでには至らないでしょう。以前コメントで2Q終了時点の企業収益の落ち込み、今期業績の下方修正などが相次ぐと日経平均10000割れの可能性を示唆しましたが、今年中にその水準を割るようだと、時価総額が減って資金繰りの悪化した企業の計画などが狂ってしまい、来年の見通しにも影響するかもしれません。市場から退場する企業の数が増えた、というのはこの動きの一部であり、景気後退の長期化は避けられない事態になってきているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年10月03日

年金記録改ざん件数が100万件超の疑い

今日、日経平均は11000円を割ってきましたね。米国でもワコビア買収がシティグループではなく、ウェルズ・ファーゴに決まったようです。金融混乱と今晩の金融安定化法の行方、また米雇用統計など重要指標もありますので、この点は明日まとめて考えたいと思います。

改ざんされた疑いのある年金記録、ついに100万件超との試算が出ました。検索条件が厳しすぎる、との指摘もありましたが、3つの条件の1つに該当する件数は約144万件、重複分を差し引いても100万件は下らないとのことです。しかもこれは昭和61年3月以降の記録しか調べておらず、また加入期間を減らす手法に対しては調査しておらず、調査そのものが片手間で、実際は更に改ざんされた疑いのある年金記録は増える方向にある、というイワク付きの数字です。
年金制度はその他でも、運用主体である年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)から、07年度の運用損が約6兆円と発表がありましたが、これだけ株価が下落すると08年度の運用損は更に拡大するでしょう。4-9月のみで考えても日経平均は1割下落しているので、同じ程度毀損していると考えると、20兆円の運用なら2兆円が08年度の半期で消失したことになります。

年金は納付に比べて給付が多い、流出超の状態が続いています。納付率の悪化もありますが、納付実績を上げるためのこうした改ざんが恒常的に行われていた、とすると更に問題があります。仮に年金記録の改ざんが認められたとすると、給付額が跳ね上がり納められた年金分との間に乖離を生じます。つまり納付より給付が多い状態となり、年金原資は更に毀損する形となるのです。
年金原資は国債で67%の運用、と決めているため約束した3.2%の運用実績に足りず、ただでなくとも積立られた原資を毀損する形が続きます。代表質問でも、国庫支出分を今の3分の1から2分の1に引き上げる財源について、麻生氏は言及しませんでした。これらから見ても、年金制度は崩壊の一歩手前にあり、心ある人ならタイムリミットを示して結果を出すことを言明するべきです。そうしないと、破綻して終わりという事態も充分に考えられる水準なのです。

舛添厚労相を評価する人は、小泉元首相を評価したのと同じに感じています。大風呂敷を広げた発表をする場面がメディアに載り、この人はやってくれそうだと期待する。ですがその実、常に後日言質を変えて省庁寄りの態度を示し、問題ないと抗弁します。今回も後期高齢者医療制度で舛添私案なるものを披見しながら、マニフェストにも記載しないと述べ、何のために記者に発言したのかも分からない始末です。
年金も医療も今その制度を利用している人間がおり、過去も現在も未来もクリーンな形にしておくことが重要です。そんな時、口先だけの大臣では小手先の修正すら行えないことになります。麻生氏と仲が悪く、更迭の不安から先手を打ってメディア向けに色々と仕掛けているようですが、情報を小出しにする社保庁の体質すら問題視できないようでは、大臣の資質はないということを充分に認識して欲しいところですね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 行政 | 年金

2008年10月02日

全省庁が野党の質問請求を自民党国対に事前提示

米国の金融安定化法が上院を通過しました。修正点は?米連邦預金保険公社(FDIC)の預金保証を来年末まで10万$から25万$に引き上げる、?所得税の児童控除、?企業の研究開発費などへの税制優遇、です。?は納税者保護を追加し、?、?は反対意見の多い米共和党の保守派へ配慮し、減税と技術革新によって経済活性化を促そうとするためのものです。
FDICもすでに余裕がない中、保証拡大は新たな国債発行を促しそうですし、?、?でも税収減をもたらしますから、米財政にとってはマイナスです。この金融安定化法を通すために、一体幾らの予算が必要なのか?試算すると大変なことになりそうですが、これだけやらないと米国民感情を抑えることも難しいのでしょう。国民から金融機関の救済、と意識されている段階でこの法案を通すことは難しくなっている、ということなのかもしれませんね。

今日、野党からの資料請求に対し、全省庁から一旦自民党国対へ事前提示をするよう通達が出されていたことが、明らかとなりました。色々と批判は出来ますが、最大の問題はこれが政党への提示であり、三権分立の考えと相反するところにあるということでしょう。
「議員内閣制なので問題ない」と一部の官僚が述べているようですが、国政調査権とは行政の監視機能を含みますから、それが検閲を経て変更されるようでは大いに問題があります。自民国対は意見表明することはある、としていますから、政治の立場で監視しようと調査するものを、政治の立場で阻害する形となってしまいます。

自民国対は資料は止めないとも述べていますが、黒で塗り潰される箇所が増えたり、ページを削除されたり、また野党の資料請求の傾向を知ることで対策、質問の回答を準備できたりすればそれもまた問題を生じることになります。資料により政局が左右されることになれば、行政が政治に介入できる形にもなります。事前検閲だけでなく、事前調整は最も戒めるべきところでしょう。
更にこれを大臣権限で行うならまだしも、一政党の国対を通すなどは論外です。これは官僚も総選挙が近付き、民主党が政権を握ることに恐れを抱き始めている、という事情も存在するのでしょう。野党の方が委員会などで質問をするための勉強、研究に余念がありません。これまでのように大臣答弁が官僚の原稿そのままだったり、ということが今の野党が政権を握り、熟知した人間が大臣に就任すると激減することになるのでしょう。

事情を知らず、また族議員であったりして扱い易かったこれまでの大臣と、野党が政権について質問をしていた側が大臣になった場合。比較するまでもなく官僚側は前者を選ぶでしょう。そのため与党と一体でコトに対処する形にした、その動きが今回なのだと考えます。
これらは最近、閣僚の醜聞が自身のコメントであったり、事務所費問題などに限定されており、官の側からの情報漏えいではないことなどでも分かります。官僚にとって居心地の良い状態が、決して日本にとって良いことではないという事情に思い至るとき、今回の動きが示唆することは次の選挙にとっても大事な受け止め方が出来るのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 行政

2008年10月01日

政府は景気対策を打てるのか?

米国市場は昨日の暴落から6割、昨日指摘した実質分の下げを取り戻した形です。これは金融安定化法の成立期待が再び高まったこと、及び会計基準の見直し観測が伝わったためです。極端に価格が下落している債券の時価評価を計上する必要はない、というものであり、この段階に来て保有債券の損失を隠そうとするなど愚かですが、これにより金融機関が損失計上するリスクが回避できます。なりふり構わない姿勢を市場は一旦、好感した形なのでしょうね。

麻生首相が「解散より景気対策」と述べたように、日本の実体経済も悪化を示す指標が相次いでいます。8月鉱工業生産指数が前月比3.5%低下、在庫率も108.7と2005年を基準としてから最大の下げ幅、在庫の積み上がりです。また9月の日銀短観では大企業製造業が-3、6月より8pt悪化、非製造業は+1(-9pt)、中小企業製造業-17(-7pt)、非製造業-24(-4pt)です。
しかし補正予算は中途半端な対策であり、実際の景気対策とは程遠い内容です。小出しにする景気対策では効果も限定的か、むしろやらない方が良いほどであり、時期と規模は今後も検討が必要です。景気対策を実施する気があるのか?今ひとつ判然としませんが、公明党のチラシが家のポストに入っており、それについて気付いた点がありますので簡単に触れておきます。

3つの対策として…螻杆裟如↓年金への物価上昇分の反映、C羮・零細企業対策が上げられています。04年の年金制度改正でマクロ経済スライドが導入され、物価は相対的な経済の流れの一部としてしか、考慮されなくなりました。制度改正するのか?というとそうした内容の記載はなく、具体的にどういう道筋で反映させるのかは不透明です。
そしての対策ですが、日本政策金融公庫が今日発足しています。中小企業向けの融資はこの株式会社が今後行いますから、これまでとは異なるルートで融資が実施されることになります。当面は国が出資した形をとりますので、この民間会社に口出しできると云えばその通りですが、そうなれば経営を歪めますし、また拡大路線をとれば民業圧迫との指摘を受けることになります。,猟螻杆裟任呂笋覽い砲覆譴仆侏茲泙垢、◆↓はこれまでと看板は同じでも、方法論は大きく異なるので、単純に鵜呑みにすることは出来ないということだけは憶えておいた方が良いでしょう。

麻生氏は景気対策への財源を野党に明らかにするよう求めながら、自身はハッキリ示しませんでした。これまでも野党案丸呑み、という形が見られたので、財源についても野党が提示した内容を採用する気か?とも見ていましたが、その思惑はスカされたようです。
意外感があったのは細田幹事長で、これまでの代表質問では内閣と与党はあくまで別という形でしたが、延々と野党批判を繰り広げて内閣との一体感を示しました。景気対策を語るなら、質問に答える形にするのが最良ですが、内閣と与党の間でもそうした演出がなく、景気対策と補正予算が未だに混同されています。景気浮揚を望むなら、補正予算の検討がより重要となってくるはずで、解散ありきで進めるのは誤りの元になり易いのですけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般