2008年11月

2008年11月30日

経済の話、企業価値について考える

米国市場が5連騰、底打ちを期待する声も上がりますが、これは立て続けに会見を開いたオバマ次期大統領に期待するオバマラリーと、感謝祭前後の薄商いを狙った上昇であるため、米国の実体は正確に映していない面があります。来週はビッグ3支援策に向けた公聴会も開かれますが、ブラックフライデー、クリスマスの商戦状況、雇用統計などが意識されることになります。米国のマインド、悪化状況を確認するのはそれからでも十分なのでしょう。

日本市場も米国の勢いにつられて上昇しています。ただ45日ルールを過ぎても売りが止まない外国人投資家の動きと、自社株買い、年金基金の買い、そして個人が買い支える構図が続いており、予断を許さない状況が続いています。規模からすると、国内勢の一角が崩れれば値を下げる展開も想定できます。そして年金の買いで期待値を増す傾向もありますが、現状そう楽観はできません。
年金基金は一時的に証券保有の比率を高めていますが、これは相場が戻り局面になると、強力な売り圧力として機能します。03年以降、極端に戻りが鈍ったのも、保有比率が自動的に高まった年金基金が売りを出したからです。下値は固い、という言葉はそのまま上値も重い、という言葉に変換できるものであり、個人の売りと相まってこの水準からの戻りは相当鈍くなると考えられます。

そして、日本株の買いを推奨する人はPBRで見て今の相場は割安という見方を示しますが、売り方はPERでみると世界の標準より日本株は割高、という意見を述べます。これは双方が正しく、今は企業が解散した方が良い程度の収益性しか確保できない、ということを示すのみです。
10月の鉱工業生産で示されたように、在庫調整局面が急速に企業を襲っており、01年のITバブル崩壊の様相に近似しています。問題は2つ、当時は世界金融が健全だったこと、及び今回の在庫調整は全産業に亘ることです。そしてこれは、生産調整と資金繰りという2つがダブルで企業を襲いますから、最悪ペースで進む企業倒産も増えることが現実として起こります。

しかし企業には本来、人材という無形の財産があり、価値はPBRで示される以上のものがあります。しかし有効求人倍率0.8倍、内定取り消しの増加、非正規雇用の契約打ち切りなど、企業はすぐに無形財産を切り崩す形で収益を確保しようとします。これではPBR程度の価値しかなくなり、解散か、継続かの2者択一の判断を経営者が迫られることになるのでしょう。
日本市場の動向は、年金の動きより外国人投資家の動きで決まります。恐らく、年内は資金確保の観点から売りが止まらないと見ているので、SQは8000円よりやや下、年末はドレッシングも入って8000円辺りが落ち着き易い位置なのでしょう。ただ米国の動き次第では、鏡相場の日本はどちらにも振られ易く、当面は米国の期待感の継続度合いが重要となってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(3)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年11月29日

麻生政権について考える

麻生政権が発足してから、2ヶ月が経過しました。口汚いところでは阿呆太郎や、米はオバマ、日本はおバカ、なども通用するように、ほとんど失言や読み間違いで特徴づけられるようになっています。ただ失言の本質は、言葉の中に見え隠れするモラルに期待する政治家の態度です。
安倍政権の頃から与党・閣僚の発言の中に、こうしたものが目に付きます。これは与党がとってきた政策、対策に間違いはない。制度に問題が生じるのは悪用者や、モラルが低下した利用者のせいである。その意識が底流にあり、責任を転嫁したような、自己弁護のような私見を公言する時に起こっています。なので弁解にも必ず「…であれば」という条件がつきます。謝罪は正当化した見解の枠外、つまり制約のある範囲に向けてのみであり、そうでないと正当化が意味を為さなくなってしまうからです。麻生氏にこの傾向が特に色濃く見られ、支持率低下にはね返っています。

では肝心の麻生政権の政策はどうか?就任2ヶ月ではほとんどの法案が通過していませんが、1つは国籍法改正案があります。元は大審院判例ですが、与野党ともに移民受け入れに積極的なグループと、そうでないグループがあり、外国人の受け入れにも寛容かどうかが分かれます。
個人的には、国籍法改正における不正を減らすにはDNA鑑定の義務付けを補則、もしくは運用に明記する形が良いと考えますが、政治的にはこうしたことを審議せず、通過させたことは失点です。政策実現能力は与党側にしかなく、政策の問題は常に与党側に帰されるからです。

麻生氏はここ2ヶ月で国連演説、G20、金融サミットなど立て続けに外交日程をこなしています。ただ外交成果には程遠く、海外の評価も高まりません。これらはドル基軸通貨体制の維持、アジア外交重視が力点のようですが、世界のメインスキームとは異なるために起こります。世界が新たな体制を模索する中、現状維持を目指すような意見は見向きもされない。それを理解すれば新たな理論、体制で世界を主導する提案ができますが、ここ数十年の日本外交の失敗を踏襲するだけで、理念や新奇性は今のところ、その片鱗すら垣間見られません。
与党が政策に間違いはない、と考えるのは自由ですが、本来政治とは悪意ある行動やモラルの低い相手を押さえ込むような政策を打ち出す必要があります。国民全体が良民で、モラルが高ければむしろ政治など必要ないからです。それに対応できなければ、やはり政治の失敗と言わざるを得ず、これを念頭において行動、発言すべきなのです。麻生氏や閣僚でもそれに今から気付くことが出来るか?は非常に懐疑的ですが、世界が地殻変動を起こす中で、日本の命運を託す政権の心根に国民を不快にさせる部分がある以上、期待値も高まらないということだけは確実に支持率に反映されていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年11月28日

厚生年金の記録改ざんは組織的との報告が提出

麻生氏と小沢氏の党首討論、見せ場は小沢氏が解散を迫り、麻生氏がかわしたところぐらいでしょうか。麻生氏はあくまで低姿勢、クリンチ戦術でしたので討論になりようがありません。ここで失言をすれば政権は死に体、その危機感が麻生氏に芽生えたのでしょうが、党首討論を強く要請していた割りに目立った部分もなく、双方共に甲乙はつけ難いのでしょうね。

舛添厚労相直属の調査委員会が、厚生年金の改ざんに社保庁が組織的に関与した、とする報告書をまとめました。関与した職員の懲戒処分を検討すべき、とまとめられていますが、これを受けた厚労省、社保庁の対応が重要です。なぜなら組織的関与が認められたからには、処分は一職員に留まらず、歴代の厚労大臣、社保庁長官にも及ぶものになるはずだからです。
唐突ですが、ツチハンミョウという虫がいます。孵化すると花の上によじ登り、オスのハナバチに取り付き、交尾のときにメスのハナバチに乗り移り、土の中に作った蜜の詰まった巣に卵を産むとき、その卵に乗り移ります。そこでハナバチの卵、集めた蜜を食べて育ち、やがて成虫になって土から出てきて交尾、土の中に卵を産むという一生を送ります。

この虫の話を聞いたとき、成虫になれる確率は低いし、危険は一杯だし、どうしてそんな生き方なのかと悩みましたが、それがふと官僚の姿と重なって見えました。省庁に入ると必死で上を目指し、その後天下り団体を渡り歩き、他人の作ったシステムの中で濡れ手で粟の安逸を得る。厳しい生存競争を勝ち抜くため、ハナバチに頼った生活は、一方でエサ探しなどの苦労がない人生です。
与党が不正経理防止法案、野党が会計検査院法改正案、どちらも不正を働いた公務員に罰則を適用する内容です。これまでのような言い訳、官僚の論理を突き崩し、どこまで不正摘発に資するかは不透明ですが、明瞭な罰則を設ければそれが心理的圧力になります。レールから落ちれば自らエサ探しをしなければならなくなり、人生設計にも影響する問題にもなるからです。

有効求人倍率が低下し、新卒者の内定取り消しも頻発しています。また非正規雇用者の失職が、社会問題化しようとしています。これだけ雇用環境が悪化する中、不正を行った者が失職を免れ、安定した生活が約束されるという状態の一部は、今回の報告で多少改善されるかもしれません。
正しいことをする者を評価し、不正をした者を除外する。これが組織の在り方、より良い組織を作るための第一歩です。そして省庁が正常な姿を取り戻し、自浄努力が働くようになれば、自ずと国民の信が集まる制度も生み出されるのでしょう。政治や官僚から相当の抵抗もありそうですが、この報告を生かすためにも政治のリーダーシップが試されることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 年金

2008年11月27日

インドで大規模テロが発生

インド西部のムンバイで、テロが発生してしまいました。日本人にも被害者が出ており、痛ましい限りです。デカン・ムジャヒディンと名乗る組織から犯行声明が出されていますが、未だに動機は判明していません。インドは民族、宗教、言語の坩堝とよく言われます。
インド・アーリア語族、ドラヴィダ型、モンゴル型、トルコ・イラン型、スキタイ型、またその混血など、民族的にも多様であり、国民の80%を占めるヒンドゥー教徒、10%強のムスリム(イスラム教徒)、2%程度のキリスト教徒、シク教徒、そして少数の仏教徒、ジャイナ教徒、拝火教徒があります。言語もよく使われるもので100と言われますが、外国語の流入が増えた今ではもっと多種多様な言語形態を生み出しているかもしれません。

宗教にもカーストがかかりますから、今回のテロ組織がムスリムへの迫害を訴えることも、背景としては理解できます。そして今回、欧米系の外国人を狙ったと見られるテロも、経済不安を引き起こした外国勢へのあてつけと、逼迫する国内経済への不満の捌け口として狙われた部分もあるのでしょう。ただテロが起きると、特に経済基盤が弱い新興国では、資金引き上げなどが起こり、経済にとっては負の側面の方が強くなり、逆効果となる面も否めません。
そしてイラク、アフガンで行動する米軍の動きも、テロ組織を海外へ流出させ易くしているのでしょう。これはモグラ叩きと同じですから、あちらを叩いている間に、次の穴からモグラが出てきます。米国の地下鉄でテロ計画?などの情報もありますが、警備が手薄なところを狙って、自分たちの主張を効果的に伝えるために、テロ組織は常にどこかで暗躍しているのです。

更にイラクに駐留する米軍が、テロ封じ込めのため、武器を一部勢力に流しているとの話があります。米軍だけではテロを抑止できず、米軍に協力する勢力を強化し、そこに治安維持を任せているのです。これはイラクからの撤退を視野に入れた、兵力削減の流れの一環だと見られますが、流された武器がテロ組織と結託した人間に横流しされている可能性は否めません。現状、テロ組織には武器が潤沢にある状態だと見ることも出来るのです。
テロ組織は現状、大きな組織は壊滅的になっても、小規模になった組織は機動的、横断的に活動することが可能です。インドの中にあっても、その傾向は変わらないのでしょう。インドSENSEX指数は年初から約半分に低下し、景気不安も強まり始めました。不況はテロを生む最大の温床であり、インド経済の今後に暗い影を落とす、重大な懸念を呼び起こしてしまったのでしょうね。

タイも同様、SET指数が高値から半分近くにまで落ち、政治への不満が爆発して民衆が蜂起しています。100年に1度の危機、というのは経済の面だけでなく、景気減速による治安面も同様であり、今後も世界からこうした忌まわしいニュースを聞くことになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 社会

2008年11月26日

米FRBが新たな金融支援策

米FRBが8000億$規模の金融支援策を打ち出しました。個人向けローンを担保に、金融機関に2000億$規模の融資を行う。またGSE2社に対する住宅ローン債権に1000億$の買取枠、住宅ローン担保証券の購入に5000億$の内訳です。米財務相が不良資産買取を否定し、市場が混乱した失敗を再びFRBが挽回しようと、個人向け自動車ローン、学生ローンなど不良資産化が拡大している部分に、巨額の公的資金を投入して危機を未然に防ごうとの意欲が、この規模にはにじみ出ています。

シティ救済から時をおかず、この対策を打ち出してきた背景には、ポールソン財務相の迷走ぶりがあります。リーマン破綻による混乱を招いた後、投資銀行から商業銀行へ、という流れを作ったのもFRBですし、今回も不良資産買取に対する失敗を、FRBが請け負う形です。ただFRBとて無限の予算がある訳ではなく、紙幣を増刷するか、財務省が国債を発行して充当するしかありません。
シティの不良資産が3000億$、簿外にまだ1000億$程度抱えると噂されますから、合計4000億$です。シティはこの内500億$強を被る計算ですが、残りは財務省が肩代わりすることになります。また次に危険視されるバンカメを含め、全米全体で2兆$規模の不良資産があると想定すると、約4分の3が金融安定化法とこの対策で処理できることになりますが、個人向けローンにまで拡大傾向のある不良資産、まるで砂漠が街を呑み込むが如く、今後も増え続けることが確実です。

今回の対策、FRBによる不良資産を国債に付け替える作業です。しかし査定評価の詳細は決まっておらず、市場からも効果を疑問視されており、一方では確実にFRBに不良資産が山と溜まることになります。その結果、FRBのバランスシートが著しく悪化し、通貨政策全体に影響するかもしれない、今回の対策とはこうした諸刃の剣であり、リスキーであると言わざるを得ないのでしょう。
しかもこの危機は数年後に再び訪れます。それは国債償還時期を迎えるからで、そのときの財政状況によっては、米国は再び国債の大量発行という事態に陥ります。この危機に陥ってから、経済対策に2兆$に迫る規模の額が投入され、更に抱えた不良資産を処分する必要性、大量の利払い、貿易収支が常に赤字の米国経済にとって、財政負担は天文学的規模に陥る可能性があります。

通用しないものを、無理に通用させようとする時、そこで生じる歪が経済を破綻させます。今の米国は、ただひたすらこの嵐が過ぎ去ることを祈り、通用しない規模の対策へと徐々に近付きつつあるように見えます。現状打たれる対策に一喜一憂するのではなく、また目先の対症療法的対策に眼を奪われるのではなく、長期の視点で米国経済を眺めていかなければいけない、今回の対策とはそうしたものなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年11月25日

2次補正予算案の提出先送りへ

米国でオバマ次期政権の経済閣僚のメンバーが発表されています。ガイトナー財務長官、サマーズ国家経済会議議長、ローマー経済諮問委員会委員長、そしてバーンズ内政会議議長です。クリントン政権時代のルービン元財務長官になぞらえ、ルービノミクスとも呼ばれますが、失言癖のあるサマーズ氏を裏に、マーケットに好意的なガイトナー氏を表に、という様々な配慮のある体制を整えてきました。人事面は及第点、市場はそう好感したようです。

日本では麻生氏が2次補正予算案を、今国会を諦めて来年の1月、通常国会に提出する意向を明らかにしました。予算案の内容は\験菎从の予算化、金融機能強化法の予算化、H20年の大幅税収減への対応、ということになります。速度を持って経済対策を、という当初の意見からは矛盾しているのでは?との問いに、1次補正は通っており、それで十分であること。また年末より年度末が大変であり、現状で資金繰り対策は規模から見て相応との認識を示しています。
しかしこの3点を審議すると、相当国会は混乱します。,亘簑金議論や実効性に疑問がありますし、は赤字国債発行を視野に入れます。△呂泙気肪羮企業の資金繰り対策、経済の下押し圧力緩和のための施策です。普通に考えて2ヶ月、この予算案が通る頃には年度末であり、実行は来春になるのでしょう。選挙先送りで対策も先送り、中小企業の資金繰りは待ったなしであるにも関わらず、これでは何のための政権存続かを強く問われることになるのでしょう。

特には来年度予算案にも影響する問題です。税収見通し、概算要求は今夏のものであり、リーマンショックの前、楽観が支配していた頃のものです。財務省が予算案を詰めていますが、大幅な歳出カットに踏み切らない限り、来年度も赤字国債で財源を賄うことになります。
シティグループが急速に破綻懸念が増したのも、米財務相が不良資産買取を断念し、商業用不動産などに影響が波及したから、と言われています。そして今後もシティの保有する不良資産が拡大、簿外債務が未だに不透明との懸念が燻る中で、損失補てんを確約したために米国債券の大量発行が意識されています。問題は、欧米各国で今後、大量に発行される国債を誰が買うのか?という懸念にまで発展してきており、ついに来るところまで来たとの印象もあります。

ファンドの閉鎖が進み、金融機関はこぞって国有化。政府系ファンドも原油価格下落と、新興国経済まで波及する景気後退で今後は国債購入層となるかは期待薄です。日本の金融機関、保険業も増資計画を発表していますが、かなり高金利での調達になりそうです。つまりこれらの動きからすると、国債は安全資産とはいえ低金利での購入には至り難くなりますから、小規模の暴落などは起こり得る段階に至っています。
つまり予算の枠組みを大胆に変え、国債発行を抑える方向でないと、今後は国債の応札も減ることになるのでしょう。2次補正の価値と、来年度予算案に関しては、この国の行方を見守る上でも極めて重要であり、政局で云々する問題ではありません。腹を据えて政治に取り組むときに、どうもこの国の政治家は自分の痛い腹を探られることばかりを恐れてしまう傾向があり、心配のタネが増えるばかりなのが残念ですね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年11月24日

雑感。小中高校で5万件の暴力行為

米国が大手商業銀行シティグループに対し、追加救済策を発表しました。約3000億$の不良資産のうち、シティが290億$を処理し、それを越える分はシティが1割、残りを米国政府が保証する。また金融安定化法から200億$の資本注入、シティは保証料として40億$を財務省に、30億$をFDICにそれぞれ優先株を発行、8%の配当を支払う。また普通株への配当と役員報酬については、収益改善を条件とした厳しい制限をつける内容となっています。
どうやら米財務省はシティの不良資産の価値を5割程度に算段したようです。期限を5年、10年とつけることでその間に相場が安定し、価値を戻すとの想定もあるようですが、個人的にはやや甘い査定でもあると見ています。また英国は150億£の景気対策、付加価値税2.5%引き下げと高額所得者への増税を打ち出しています。欧米の景気対策は続々と出てきますが、景気後退圧力を緩和するだけの材料とするにはまだ乏しい面があり、一旦は好感できても厳しい局面が続くことになってしまうのでしょうね。

文部科学省の調査で、平成19年度の小中高校で発生した暴力行為が5万件を越えたそうです。低年齢化も進んでいるようですが、原因については児童が感情をコントロールできない、規範意識の低下、コミュニケーション能力の不足、を挙げています。しかし対教師への暴力が7000件程度に留まるなど、教師が我慢している場面も多く、実態はもっと深刻なものと認識しています。
抵抗しない者には徹底的に強気に出る、今の社会の風潮にあるこうした意識は、広く子供にも当て嵌まります。要求できるものは要求する、上手くいけば儲けもの、失敗しても自分が損をすることはない。キレることで状況を自分が有利なように打開し易くなる、こうした条件も理由の一つに含めておいて良いのでしょう。

厚労省元次官襲撃犯も、背後関係はよく分かりませんが、こうしたタイプの人間であるように感じます。過去の出来事を引きずり、今に持ち出すところなども、卒業した学校に侵入して事件を起こした犯人の姿と一致します。多感な時期の体験と、過去をリセットすることで得られる満足感、達成感に酔いしれる犯人像は、無差別型でありながら理屈を求める昨今の犯人像と同じです。
今回の小中高校の時代に暴力行為が多い、という事実は非常に憂うべきものです。ただ子供は大人のすることを、大人が考えている以上に観察しているものであり、大人の社会が子供に規範を見せられない以上、子供ばかりを批判してもいけません。そして子供が、キレて局面打開を図らねばならないような事が多いのも、現実問題として存在しています。

平日は父親と子供の接点がない、との報告もありますが、時間の多寡ではなく大人と子供が真剣に向き合うことが大事なのでしょう。暴力に訴えて、局面打開を図ろうとする子供は、自分の心の歪みを矯正する機会に恵まれず、成長してしまったように感じます。子供たちの何が心を歪ませているのか、それは大人が良かれと思ってやっていることかもしれませんし、そうした様々な原因を考えていかなければいけないのでしょう。子供たちに起きていることと、昨今の事件に類似性を見出すにつけ、本当にそう考えてしまいますね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2008年11月22日

原油価格の下落について考える

APEC(アジア太平洋経済協力会議)が開幕しました。金融サミット以上の強い決定権はこのAPECにはないので、サミットの合意に協力することを採択し、閉幕する予定となっており、個別には各国首脳が2国間の問題を個別に話し合う場、としての機能が重要視されます。

そんな中、WTIで原油価格が1バレル50$を切ってきました。私は70$を切ることはないと見ていましたが、その根拠は中東の産油国は他に目立った産業がなく、原油価格の下落が全体として国内総生産に影響すると見ていたからです。国民1人辺りに換算した収支が70$を切ると危険水域に入る国があり、またサウジも50$を割るとかなり経済にはマイナスの影響があります。
つまり中東産油国が収支を維持できる水準がこの付近に存在しているのであり、OPECは意地でも70$近辺に貼り付ける、そのため減産などの対策を積極的に打ち出すと見ていたからでもあります。またブラジルなど、超深層海底油田の掘削にかかる多額の設備投資、コストをこの水準では賄えなくなりますし、オイルサンドの精製にかかるコストもこの水準では赤字に転じてきます。高値147$から約3分の1の価格、これは世界のあらゆるところに波及し、この50$割れは今後の原油産業に影響してくることになるのでしょう。

日本に限っていえば、10月の貿易統計に示される輸入原油単価は1バレル=102$、先物予約で今回の急落をヘッジするどころが、むしろマイナスに作用しています。今後はこの下落が輸入を急減させるので、好影響をもたらすのでしょうが、ただ輸入物価の下落が再びデフレ圧力として効いてくると、経済全体としてはやはりマイナスとなります。
連合は来年の物価上昇分に見合うベアを求める意向ですが、業績悪化が企業に与える影響と、物価見通しを考慮するとやや過大な印象も拭えません。ただ賃金が低下傾向になると、デフレスパイラルに陥る可能性も出てくるため、この辺りの綱引きは業種により異なってくるのでしょう。

特に、産業界全体に雇用調整の波が襲っており、仮にベアを引き上げると新卒採用を控える傾向が強まる可能性もあります。固定費削減は企業にも急務であり、生産調整から雇用調整、という通常の流れと業態縮小による余剰雇用分の削減は、各社も検討過程に入ることが想定できます。
更に原油価格の下落により、中東の政府系ファンドからの資金引き上げが急速に起きているようです。株式下落で企業の担保追加の流れが始まっていますが、投資信託経由の年金基金も弾切れ観測があり、一時的に株式の比率を増やしてきましたが、やや買いが鈍っているようです。国内勢が支える構図が崩れると、日本市場も厳しいのかもしれず、証券市場の動向が企業にも影響される水準に来ている、ということは覚悟しておいた方が良いのでしょうね。
明日は一日お休みして、明後日から再開したいと思います。良い3連休をお過ごしくださいね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年11月21日

経済の話、日米経済指標から

今日の日経平均は反発しましたが、材料はシティに合併、事業の切り売りなどの観測が出たことです。まだ交渉の初期段階ですが、この話には幾つかの問題があります。ヽこ梓覿箸箸慮鮠弔難しい、∪擇蠻笋蠅任聾的資金の返還計画に支障を来たす、J胴馥發嚢臺擦垢襪1社に大量の公的資金が入ったことになり、不公平感がある、す臺擦砲茲觜垢覆襯螢好肇蕕梁タ福△任后
い最大の問題ですが、実体経済の悪化が意識されれば、この話はマイナスの受け止め方も出来ます。すでに5万人削減を打ち出していますが、合併による整理・縮小が進めば両社とも余剰従業員を抱え、リストラせざるを得なくなります。それを避けるためにも海外企業との合併が望ましい形ですが、欧米とも大手金融機関には公的資金が入っており、出資比率等も含めて国家マターの話し合いも必要であり、交渉し難いのが現状となっています。

今日の急騰は火曜からの下げが1000円近くなり、反発したがっていた所に材料が出たテクニカルな形ですが、日米のマクロ指標にも悪い数字が並びます。米10月卸売物価指数が2.8%下落、消費者物価も1.0%下落し、コア指数に至っては26年ぶりに0.1%の低下です。米国ではデフレ懸念も強まりましたが、日本の貿易統計も639億円の赤字と、アジア向けの輸出減が大きく影響しました。
日本は貿易収支が黒字、つまり外貨を稼げることが国際的な信用に繋がっていますが、最近この仕組みが崩れ気味です。原油や農産物などの1次産品が高い時に先物予約した分が残っていた、と見ることも可能ですが、貿易赤字と財政赤字が直撃すると、日本の信用力に関わってきます。日本のCDS市場も荒れていますが、日本全体の国力の低下は、あらゆる場面で効いてくることになります。

特に今回の貿易統計では、新興国経済は先進国経済の動向に遅行する、ということが示されています。アジア向けが前年比4%減と、対米19%減、対欧17%減に比べれば低いものですが、弱いデカップリング論も見直しが図られました。世界経済の減速をカバーできるほど新興国経済は強くない。これは外需依存の日本経済にも、大きな影響を及ぼしてきます。
インドネシア・ルピアも通貨危機以来の水準、韓国もじりじりとウォン安が進み、経済の弱い地域の通貨が大きく売り込まれています。ドルを持たざるリスクを意識し、通貨を売っていくと、最後は大きく売り崩されて再び通貨危機に陥ります。そうなればアジア全体の経済が更に下方に引きずられることになり、こうした点でも危険水域が迫っているのでしょう。

FRBが米経済が09年もマイナス成長の見通しを示し、日本の月例経済報告も下方修正です。先行きの見通しに暗さが漂えば、経済全体に異常なマイナスバイアスがかかります。今回の株安で資金繰り悪化、追加担保の差し入れを迫られている企業も増えてきていますが、中小の資金繰り対策だけでなく、大企業でも影響を懸念する段階には来ているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年11月20日

麻生氏の失言が続く

麻生氏の失言が波紋を広げています。「医師は社会常識がかなり欠落している人が多い」「母親を再教育」などです。前者は支持母体である医師会からも反発を受けますし、後者は子を持つ母親にとって許し難い部分もあるでしょう。どちらも自民党への投票行動を遠ざけるものであり、このまま麻生氏で選挙を戦えるのか?という強い疑念を与党内に想起させるものとなります。
どちらもリップサービスですが、軽々に語って良い内容と、そうでない部分とを履き違えており、麻生氏の突出した言葉の軽さ、失言癖が目立ちます。これらは訂正しても後の祭り、意識の底流には残りますから、上辺を取り繕っても総選挙の際は必ず意識されることになります。

郵政民営化の株売却先送りも、法的根拠や根回しは何もなく、思いつきの発言のために後で反発を受けます。野党の提出した凍結法案にすり寄った内容であり、野党からの抗議は少ないものの、与党から批判されるのですから性質が悪くなります。与党がバラバラとのイメージは選挙にも悪影響であり、これは支持率にも効いて来ます。
道路特定財源の使い道でも同様、紆余曲折して発言が落ち着きません。地方へ1兆円、これも根回しのない発言であり、与党内の道路族で特に不評です。手法は小泉政権時代と近くても、支持率という追い風がないだけに、それを受けて縁の下で動こうという人物も現れません。といって、党内の反対勢力を敵に回せば麻生政権に対する倒閣運動が起こり、早晩この内閣は総辞職です。

期待された経済分野でも、財金分離を破って中川氏を横断的に大臣に就かせたことに始まり、その後の発言や対策からも経済オンチぶりが感じられます。外交も同様、日露首脳会談も日程が先送りされたようですし、日中韓の会談も来月開かれるかどうか、現状での互いの経済環境や国内情勢からも不透明です。現時点で、就任直後の国連での一般演説で、笑いをとった場面ぐらいしか評価できないなど、まだ就任後2ヶ月程度とはいえ寂しい内容です。
さらにぶら下がり取材では質問にキレ、結果として報道陣から総スカン、オベンチャラ記事の一つも書いてもらえません。ここまでくると、首相の手腕そのものが問題視され、与党内から麻生下ろしが始まります。選挙管理内閣にその力がない、と判断されるのですから致命的であり、経済と外交の麻生の掛け看板が、軽薄のため慨嘆される麻生に掛け替えられるのでは笑い話にもなりません。

自民党では、支持率の高い政権が現れるまで、総裁選ロシアンルーレットを続けることになるのでしょう。1年を切った総選挙まで、そうせざるを得ない局面であり、今は多くの局面で不透明要因が増えたこと、そのことが国政に影響することになります。米国経済の先行き、09年もマイナス成長との試算が出される中で、景気低迷のまま選挙に突入すると十中八九、与党は敗北するのが世界の流れでもありますからね。

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2008年11月19日

米ビッグ3の救済案が不透明に

米自動車業界、ビッグ3の動きが風雲急です。フォードが保有していた33.4%のマツダ株のうち、20%を売却しています。筆頭株主の地位は守り、提携関係は維持しましたが、発言権の低下は否めないところです。GMは日本の自動車メーカーの保有株、全株をすでに売り払っており、10年前に襲った日本自動車メーカーの不況期に海外自動車メーカーから入ってきた巨大資本の波は、現時点でルノー以外ほとんどが撤退という事態に陥ったことになります。

ポールソン財務長官は議会が求める公的資金7000億$から、ビッグ3に250億$を拠出することを正式に拒否しました。低利融資枠250億$があるとの主張ですが、背景には民間企業の救済に消極的な、共和党の姿勢があります。3社救済は多すぎる、連邦破産法11条の適用など、米国内の論調は様々ですが、1000万人以上の雇用が失われるという現実の問題も横たわります。
象徴的なGMを例にとると、時価総額ベースではすで日本の自動車メーカーより低く、さらに負債が600億$を越えており、仮に100億$程度の資金を手にしても焼け石に水です。短期の資金繰りに使われ、抜本救済にはなりません。各金融機関でも同様ですが、年越し資金の捻出に各社が苦労しており、来年前半とした会長のリップサービスより前、年内に破産となるかもしれません。

どんな業態でもビジネスモデル、国家でも経済政策が重要です。例えば今の市場でまかり通るウソは、今回の景気後退でも回復は新興国から、というものがあります。先進国は高成長ではなくても経済規模が大きく、新興国は輸出で外貨を稼ぐことで、その成長の一部を恩恵として受け取り、それを自国の成長に変えてきました。そうしたモデルの国が、先進国よりも早く成長を回復起動に乗せることが出来るか?少し考えれば難しいと言うことが分かるでしょう。
特に新興国は政治、宗教、思想、国境線などに不安定要因を残しています。高成長が止まると、そうした要因が噴出することになり、経済成長を阻害する要因になるでしょう。問題は成長モデルを自国でクローズできていないうちに今回の経済危機が起こった、そうした新興国が世界経済を牽引するには、ユーロのように巨大経済圏を構築するしかありませんが、現時点でその可能性は極めて低いものです。そのとき、新興国から…、と述べるのはやはり無理があるのでしょう。

米ビッグ3も、ビジネスモデルが健全なら自動車業界以外からでも買収の手が入りそうですが、そうはなりません。つまりビッグ3の苦境とは、今回の金融危機に基づく資金繰り懸念による危機ではなく、経営陣が築いてきたビジネスモデルの問題であるのです。それにも関わらず公聴会でも、記者会見でも経営陣は否を認めず、未だに高い給与を得ています。経営陣の責任とは、かくも重いものであり、名ばかりの相談役、取締役が多い日本企業にも多くの示唆を与えてくれるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年11月18日

厚労省元次官の家で事件

元厚労省幹部が狙われた事件が起きました。背景はまだよく分かりませんが、こうした事件はいずれ起きる事態だと考えていました。考えられる犯人像は4パターン、仝蹐辰神亀全兇亡陲鼎もの、年金、医療、介護などで被害を受けたと感じている者、8労省、社保庁の関係者、じ労省絡みの話とは全くの無関係、という構図です。
△任聾生年金に関して官製詐欺が行われていましたが、金の恨みは悲惨な事件を引き起こしかねないものです。は懲戒された者の恨み、白眼視されるOBの不満、真面目に仕事しても社会で悪し様に言われることへの不満、などがあります。い蝋圓ずりの事件や愉快犯などが想定できます。

テロとも言われますが、制度不信とは即ち国民の不満であり、こうしたものが個人に向かったとすればとても悲しいことです。ただ年金では被害を受けた人間がいるにも関わらず、無責任に放置すればその怨みや不満が何処へ向かうかも分かりません。この事件で省庁が個人情報保護、情報公開に応じない姿勢を鮮明に打ち出してきそうですが、良い制度を構築することが国民の不満解消には最大の効果が出るということを職員、OBのためにも考えてもらいたいところです。
奇しくも奥田トヨタ取締役が『厚生労働行政の在り方に関する懇談会』で、厚労省叩きをするマスコミに対し報復を匂わせましたが、言論に言論で対抗できないのは不幸です。立派な仕事をすれば、自然と賛美の声も集まり、評価も高まるものであり、報復という行為が常態化する社会の方が、よほど住み難いといえるでしょう。行動に勝る模範はなく、間違った行動を起こさせないためにも行政が態度で示さなければならないということなのでしょうね。

国会も昨日の党首会談から風雲急です。テロ特措法の参院採決を拒否、国会会期は延長され、越年国会の様相すら呈してきました。これは与野党共倒れの戦略です。野党は政局含みの戦略を批判されますし、与党は調整能力不足を指摘され、双方ともに支持率を落とすでしょう。
しかし民主党への投票行動は、多くは与党批判票でもあるので、与党の支持率を落としておけば選挙は戦える、それが民主党の読みなのでしょう。与党はそれが分かっていながら、国会会期が延長されれば2次補正予算の提出がないことへの不満も高まり、益々支持率には効いてくる、それを止めることが出来ません。2次補正予算を出せば、審議で行き詰まり、出さなければ景気対策を打ち出せない政府として、経済の麻生の評判はさらに悪くなることになります。

国会、行政府も同様ですが、法案や行動こそが国民に支持され、受け入れられるものとなります。党利党略での行動は与野党ともに慎むべきであり、特に族議員や官僚による省益優先、国民不在を続けていけば国民の不満も高まります。経済情勢が悪化すると治安も悪くなる、と言われますが、国民が長期に安定、安心できる社会を構築することが、治安対策でもあることをもう一度肝に銘じて欲しいと感じますね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(17)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 政治

2008年11月17日

経済の話、7−9月期GDP速報がマイナス。景気後退入り

民主党の小沢党首が党首会談を仕掛けました。これは党内から選挙はいつだ?との悲鳴に近い声に応えたものでしょう。一方で麻生氏は選挙時期を曖昧とし、民主党への兵糧攻めを旨としていますので、明快な回答を避けました。補正予算の話はどちらも政局睨みですが、「政局より政策」として解散を先延ばしする麻生氏の方がイメージ的にはマイナスです。経済対策が早期に実施できなければ、解散していても時間軸上の不整合は生じなかったはずだからです。
昨日、解散先延ばしで自民党総裁選が4〜5月としたのは、都議選を控えて一時的に内閣支持率を上げないと、公明に顔が立たないからです。公明の選挙協力は必須で、ここが手を引くと自民党議席が150を割る可能性があります。野党を兵糧攻めしているつもりが、与党も同様に疲弊することになれば本末転倒、とても選挙は戦えません。愚策ですが、自民党が分裂して選挙、その後に連立して過半数を目指す戦略もありますが、どちらにしろ厳しいのでしょうね。

選挙にも関係する経済、その景気指標である7-9月期実質GDP速報値が発表され、前期比-0.1%、年率換算-0.4%となり、2期連続のマイナス成長で景気後退を政府も正式に認めました。特需があり、個人消費が高かったために予想はプラス成長でしたので、思った以上のインパクトです。
まず輸出の減少が目立ちます。4-6月期の反動でプラス圏でしたが、輸入が輸出を上回っており貿易収支はマイナス。その影響で製造業が調整局面に入っており、設備投資もマイナス。公共投資や住宅投資も前期からの反動増ですが、これらも特殊要因によるものであり、全体的には数字以上に悪い内容が並ぶ、そんなGDP速報となっています。

しかも今回の景気後退、予想以上に生産調整、雇用調整が早く進んでいます。これが先行きの設備投資、個人消費に大きく影響することは間違いなく、この分野は回復も遅いことから、景気の谷も深く、長いことが予測できます。政府は景気刺激策と言いますが、内需のこの減速感を止めるには相当な規模の対策が必要であり、補正予算を先延ばししている場合ではありません。
ですが、政府は一度打ち上げた花火の後始末に追われるばかりであり、サミットで内需の刺激策を奨励されても、効果的な法案が出せていません。国民の不評を追い風に野党は徹底審議の構えであり、政府も選挙時期と同様、法案提出に怯える事態となってしまいました。

オバマ氏がニューディール政策を打ち出すのも、公共投資をすれば手っ取り早くGDPをプラス成長にすることが出来ます。しかし日本は今でも公共投資が多く、また大量の負債が公共投資への支出を抑えます。先進国中で異例なほど膨大な、外貨準備もIMFに支出を決め、凍結を余儀なくされてしまいました。こうして打てる手が徐々に狭められる中、本気で景気対策を考えないと日本経済が危険水域に入ることは確実であり、それらも政権を追い詰める一助になることを、政権の側にある人間はよく考えるべきなのでしょうね。

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2008年11月16日

金融サミットが閉幕。解決策は見出せず

金融サミットが閉幕しました。予想外に突っ込んだ宣言が採択されましたが、ブッシュ氏は自由市場という体面を保ち、欧州は適切な規制を盛り込んだために極めて中立的な内容に落ち着きました。これまで打ち出してきた金融政策、財政政策での連携強化を盛り込んだ現状の追認と、今後については総論的なまとめ方での終結となっています。

金融市場における『公正性の保護』と『適切な規制』の差、国際会計基準の見直し、国際金融機関の改革、これらの詳細はいずれも先送りです。麻生氏が「歴史的なものだったと後世言われる」と述べていますが、それは将来に向けた制度を構築した会議がそうなるのであって、分水嶺になった時点の会議への価値は低いものとなります。各国が成果を強調するのも、各国とも政権の支持率低下が鮮明であり、具体的な成果を持ち帰りたいとの思惑が透けて見えます。
評価できる点では、格付け会社の登録を検討するとしたこと、保護主義を否定し、ドーハラウンドに関して年内合意への努力を示したこと、です。どちらも経済政策的な効果は薄いものですが、先進国と新興国、G20拡大サミットとしてこの点が合意できたことは良かったのでしょう。
先行した期待値が低かった分、この程度の内容でも評価される可能性もありますが、市場としては具体策がなく物足りない、との声も高まりそうです。特に、金融商品の情報開示や金融市場参加者への監督強化など、国際的に資金を融通するヘッジファンドなどには有り難くない文言も含まれています。年末に向けた解約売りは一旦やむでしょうが、不透明要因となった宣言の詳細が明らかにならないうちは、安心して買い材料とするわけにもいかないのでしょうね。

麻生氏は日本の主張が取り入れられた、とアピールしています。ただこの程度は欧米ともにサミットを決裂させるわけにもいかず、妥協点として初期段階から想定された内容です。二、三日で宣言を発行できるのは、事前協議と各国の利害が一致した結果であり、先にも指摘したようにニューブレトンウッズ体制などを盛り込めれば、評価も出来るのでしょう。
フジの世論調査で支持32.6%、不支持58.4%になったそうです。安倍内閣以来のお友達内閣、身内で固めた内閣のために閣僚も言いたいことを言い、調整役がいないために議論がバラバラで、挙句丸投げです。自民党政権の変転と今の麻生内閣の混乱を見るにつけ、パンタ・レイ(万物は流転する)という言葉を思い出します。国際会議で議論をまとめる前に、国内の混乱を収束する術を見出さなければ、麻生内閣は来年の4〜5月には総裁選で内閣総入れ替えでしょう。待ったなしなのは、経済だけでなく支持率も同様であり、筋の通った議論をしなければ凋落の道を辿ることになるのでしょうね。

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2008年11月15日

金融サミットが開幕

金融サミットが開幕しました。事前にこれほど期待が盛り上がらないサミットも珍しいですが、それも意見の対立が鮮明で、具体策はまとめられないとの認識があるからです。ブッシュ米大統領が政府介入は万能薬でなく、free marketの重要性を説き、サルコジ仏大統領が金融規制の導入、ドル基軸通貨への懐疑的見方を表明し、開幕前から対決ムードが漂います。

ブッシュ氏の推進する自由市場の原則が、オバマ政権下では確実に転換します。しかしオバマ氏はサミットへの出席を拒否し、今後の政策への枷を嵌められないよう、サミットと距離を置きました。国際協調を唱えても、ブッシュ政権に効力はないのですから、欧州も新興国も言いたいことを言う、このサミットはどういう議論をしようとそういう形にしかなりません。
そんな中で、日本は米国追従路線をとりました。大量のドル建て外貨準備を擁する日本は、仏国が主張するブレトンウッズ体制改革の提案を呑めず、米国同様に金融国家に舵を切った英国を日米側の主張に引き込み、欧州分断を狙う戦略です。米国と欧州の主張の中間をとる、日本らしい中庸路線でサミットをまとめ、外交の麻生を印象付けたいとの狙いもあるのでしょう。

しかし米国はこの中庸路線を呑めません。簡単に言えば決定権がないからで、幾ら議論を詰めても、最終的には米国に足をすくわれて終わるのでしょう。特に、各国も中央銀行による資金供給、公的資金の注入などの対策にはすでに踏み込んでおり、利下げ余地の少ない米国とは、完全に足並みを揃えられない事情もあります。米国の主張は国際協調体制の構築ですが、米国自らがその体制の枠外にあり、詳細をつめると米国は除外されるという憂き目に遭います。
ドル基軸通貨の考え方も、米国の低金利が続くとドルペッグ制の離脱が各国でも増えてきます。世界的にはインフレ期待が低下したとはいえ、各国の金利政策が米国に縛られていると、今後は不都合も多くなります。恐らく、今度世界的な景気回復局面に転じる時は、各国でもかなりの温度差が出るはずであり、これは新興国の成長によりドルペッグ採用国の経済基盤が大きく変容したことでそうなります。金融政策という点では、今後大きな変動も想定できます。

今回のサミットでの米国は、ハッキリ言えば明確な決定をさせないことを主眼に、議論をリードしてきます。麻生氏の思惑が奈辺にあろうと、次のサミットへの検討課題を作って、このサミットは閉幕するのでしょう。次のサミットを日本で、との思惑もあるようですが、日本とて景気後退入りすれば発言力も低下します。IMFへの資金供給は、再び『世界の財布』たる日本の面目躍如ですが、金満大国との批判が出ないうちに、制度を提案できる国としての存在感を増さなければいけないのでしょうね。

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2008年11月14日

国家公務員給与がすえおき?

国家公務員給与が据え置き、との記事が出ていましたが、実態は勤務時間を8時間から7時間45分に短縮し、時間単価を上げているので給与は引き上げです。まだ人事院勧告を政府が受け入れただけなので、国会に法案が提出されなければ効力はありませんが、景気後退期入りしても上がり続ける給与、消費税増税が叫ばれると公務員待遇にも影響するのでその前に、という部分もあるのでしょう。

公務員が給与に見合う仕事をするのならば良いのですが、そうでない人物も多く存在します。航空自衛隊の空将補が女性部下へのセクハラで更迭されました。階級の厳しい、上下関係、規律を重んじる組織で部下へこうした行為が行われていたことは、パワハラの疑いも有ります。更にそれを防衛大臣にも伝えないなどの問題もあります。
田母神論文でも、情報の公開は自衛隊を疎ましく思う勢力をつけ上がらせる、などの論調がありますが、これは大きな誤りです。軍事力を有する組織に透明性がないことは国民の不幸です。自分たちは清廉潔白だ、などという驕りがそうした発言に繋がるのであり、評価は常に外部から為されなければ組織は必ず腐ります。自衛隊が情報隠蔽体質に陥れば、自衛隊不要と主張する勢力を勢いづかせることになるだけであり、決して自衛隊にとって良いことではありません。

また社保庁OBが背任の疑いで逮捕されています。発注金額の水増しで、業者にキックバックさせる古典的な手法ですが、未だにこうした行為を見抜けない管理体制の甘さがあります。監査の働かない組織、予算枠を確保すれば使途については深く追求されない組織、これらは腐敗の温床ともなり得るものであり、歳入と歳出のチェックの比重に大きな偏りがあるのが問題です。結果的に事務所長であったり、組織的な関与があると、誰も不正を指摘しない事態になります。
この人事院勧告では、国の医療機関に勤める医師の給与を平均で11%引き上げ、も盛り込まれています。これでも開業医との差が完全に埋まるわけではありませんが、これと同時に医療過疎地への医師の派遣を、国の政策として取り込んでいければ良いのでしょう。大都市部でも救急医療の現場の人手が足りない、ということがありますが、厳しい職場では待遇改善も大事なのですからこれは必要なことなのでしょう。

福岡のテニス強豪校で暴行、との記事も有りました。閉じた世界で、上下関係に依拠するとこうした行動も出てきます。これはどんな業態、世界でも同様であり、公務員も同じです。不正があればすぐ公表し、また組織を守るのではなく、真面目に仕事をしている人間を守るためにも不正をした者を退ける。そうしたことを心掛けていけば、自然と高い給与に見合う倫理観も身についていくでしょう。今はとにかく、組織的腐敗という面も大きく、国民も給与水準に見合う仕事はしていない、と感じています。公務員制度改革も叫ばれる中で、業務内容と給与の関係にはもう少しメスを入れて考えても良いのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 行政 | 社会

2008年11月13日

経済の話、ポールソンショック?

麻生首相が金融サミットに出発しました。国際通貨基金(IMF)への10兆円の拠出、日本国内でも批判はあれど、定額給付金などの経済対策を打ち出し、それらをアピールする狙いがあると思われます。しかし欧州や新興国ではIMF改革、機能の見直しを含めた提案をすると思われ、日本の主張がどの程度受け入れられるか、その点は麻生氏次第というところでもあるのでしょう。

そんな中、昨日はポールソンショックが走りました。米金融安定化法で救済する対象をノンバンクに拡大、不良債権買取は見送り資本増強に用いる。またGMなどの一般企業は原則この法内では救わない、というものです。英中銀が景気後退入りを認め、追加利下げの可能性を示唆したことで、為替が動き易くなっていたところに一気にバイアスがかかり、一気に株安、円高にふれてきました。
今回の危機は金融バブルが引き起こしています。一般にバブルの実感がないのは、これは金融機関内で通用する模擬通貨、証券化商品によって為されたものであり、商品市場や不動産価格など、波及的影響しか感受できなかったからです。これがインフレなきバブル、今回の最大の問題です。

本来、国は信用の下で通貨を発行します。古代オリエント世界、商業国リュディアで発達した貨幣制度は金、銀の国家による比重保証が原則でした。その後、兌換紙幣が登場して今に至りますが、それらは全て発行体の信用が重要です。今回の問題とは、投資銀行が格付けという信用を得て証券化商品を発行していたことで、それらが信用不安を経て発行体への不信から不良債権化、つまり兌換から不換へ転落した状態が今となっています。
この模擬通貨、証券化商品は価値が目減りし、通常の通貨であればハイパーインフレ状態です。各国の中央銀行も監視が甘かったのは、低インフレ、マネーサプライベースでも拡大はしていなかったためであり、この証券化商品が模擬通貨との認識がなかったからです。よってこの不換紙幣となった不良債権を一旦市場から吸収し、国庫に積上げておくのは一定の効果があります。そこに今回の発表で不良債権は残る、金額は足りないと認識されたことが大幅な下落を招いた原因です。

ポールソン財務長官にもすでに模擬通貨・証券化商品だけではなく、一般のローンまでデフォルトしており、不良債権の定義が拡大しつつある、との認識もあったのでしょう。一足跳びに増えていく不良債権は時間が経つほどに加速して増えます。買取では7000億$でも足りない、そこで対象を拡大して増資計画へと転換させ、買取による不公平感を解消するしかなかったのでしょう。
日本はSQを前に、9000円のポジションが買い方も売り方も重かったので、今週は大きな値動きが出せないと見ていましたが、外部環境で大きく下げてきました。SQ後の動きはまだ分かりませんが、金融サミットの影響次第では弱含む展開が続いてしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年11月12日

経済の話、公的資金による企業救済について

定額給付金の内容が明らかになってきました。通り一遍の批判はしませんが、選挙の目玉対策にしたかったはずの政策が、与党にとっては単なるお荷物になってしまった観もあり、バラマキ批判という逆の効果が生じています。支給額を減らしたかった財務省が与謝野氏を動かし、給付制限なども俎上にのぼりましたが、問題は地方丸投げによる地域間格差より、期間工や出稼ぎで住民票を移さず働いている人が、交通費がかかるため受け取りに戻らないということでしょう。
支給は年度内と言いつつも、何も決まっていないに等しい段階であり、幾ら金融サミットへの手土産だとしてもお粗末に過ぎる内容ということなのでしょうね。

昨日発表された10月の景気ウォッチャー調査の判断指数が22.6と、過去最悪を記録しました。今日発表の10月消費者態度指数も29.4と過去最悪です。10月の企業倒産も1231件と、13%以上の伸びとなり、景気後退を告げる数字が雪崩をうって出てきます。7-9月期の機械受注統計も前期比10%以上の減少と、今後の設備投資計画にも暗い影を落としています。
これらは9月のリーマン破綻で楽観が剥落し、マインド低下による影響ともいえますが、そんな中でリーマン破綻と同等、もしくはそれ以上に大きな影響が出そうなのがGMの問題です。ドイツ銀が目標株価をゼロとし、上場する価値なし、もしくは企業活動を継続することへの疑義を呈したことから、株価は2$台に低下しています。

すでに格付け会社からはジャンク債扱いを受けており、市場からの資金調達は難しくなっています。政府支援を受けようと、7-9月期決算時に厳しい見通しを示していますが、市場からの評価がこれだけ落ち込むと、政府支援も厳しくなります。破綻すると予想される企業に公的資金を投入すれば責任問題に発展するからであり、例え末期のブッシュ政権とはいえ二の足を踏まざるを得ません。
7000億$の公的資金枠を拡大する方向ですが、公的資金を注入しようと、潰れるところは潰れます。AIGが250億$近い赤字、ファニーメイが300億$近い赤字、こうした経営が続くのは、一つに環境の悪化もありますが、ビジネスモデルの破綻という問題が大きく圧し掛かっています。

GMも同様、ビジネスモデルが崩れており早急に見直しが必要です。そこに手当てをすれば、莫大な資金を費やすことになり、政府財政を著しく圧迫することになります。単純に資金繰りを解決しても、このビジネスモデルの再構築がなければ経済環境が劇的に改善されない限り、再び破綻懸念に見舞われることになります。GMが破綻すれば失業者が溢れます。金融機関のリストラ、家電小売第2位の破産など、雇用不安に見舞われると米国は国家存亡のリスクが高まりますので、今から日本もこうした事態に備えておいた方が良い段階に来てしまっているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 経済

2008年11月11日

田母神氏の参考人招致について

参院の外交防衛委員会で、田母神前空幕長の参考人招致が行われました。以前も少しふれましたが、自衛隊、意見の特殊性を除いて議論をシンプルにするために、これを一般の企業に置き換えて考えてみます。政府は重役クラスの経営陣であり、田母神氏は事業部長というところでしょうか。

経営陣は経営方針を示しています。それが村山談話の踏襲であり、この経営方針に則して、他社(諸外国)との共同事業(日米韓軍事演習など)を行います。しかしこの時、共同事業を担当する事業部長が経営陣と異なる方針をもち、違う意見を主張すれば、当然現場は混乱します。他社からは信頼を失い、最悪は今後の提携などが白紙に戻されることになるでしょう。
つまり経営陣にとって、この事業部長がいることにより経営に悪影響と判断されれば更迭、解雇に至ります。内規違反が問題なのではなく、経営方針に従えない人間が経営側に存在することにより、経営陣が受ける損失という点が今回の処分にとっては重要なのです。本人は言論統制と主張していますが、本質はこの経営方針の対立、組織内で少数派による経営陣への抵抗を試みてそれに失敗した、というだけのことです。

これが一般の隊員であれば、経営方針に従えない少数派に属しており、出世の道がないという話になります。問題は、一般の企業では当たり前に行われている、こうした人事に関する調査を自衛隊が行っていないこと、即ち再び垣間見られた情報管理の甘さという点にあると考えます。米国のように、政府が変わると人事が大幅に刷新される体質と異なり、持ち上がり、順送りで人事を行っているためにこうしたことが起こります。任命責任という問題も、こうした人事考課を許している経営陣に向けられることは仕方のないことなのでしょう。
自衛隊の問題に戻せば、文民統制や特定の思想に偏った人物との付き合いなど、様々な問題も出てきます。多数派工作のような教育、論文への応募を促すなどの行為を見逃していた点もあります。仮にどちらの思想であろうと、組織としてこうした点を残すことに不安もあります。隊内でスパイ行為を行われたら、対処できないとこの件は教えてくれています。

意見の特殊性を鑑みれば、この論文も頷ける範囲とそうでない範囲はありますが、際立って特別な意見ではなく、国民の一部には確実に存在する意見でもあります。この意見を自虐史観への反論と捉える向きも多いですが、むしろ想起されるのは五・一五事件や二・二六事件などの、軍部による政治への介入であり、だから文民統制という観点にメディアは一斉に傾いたのでしょう。
組織の中にいれば、自分の意見を抑えて組織の意向に従わねばいけない場面は幾らでもあります。そこに不満があるから、持論を展開して雑誌に投稿して良い、と言う話ではありません。その視点に立てば、今回の問題は何が間違っていたのかも理解できるのでしょう。ただそれを本人が理解しておらず、この意見に賛成、反対の人にとっては、潔さのない田母神氏の態度は非常に後味の悪いものにしか映らない、ということだけは確かなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2008年11月10日

麻生政権不支持が支持を上回る

宇都宮市で砂風呂遊びなるものをしていた中学生が重体になる、という事件がありました。周りの生徒は抜け出し難いよう砂をかけていたとまで言われます。恐らく、本人たちは遊びのつもりだったのかもしれませんが、何事も度を越えると危険に結び付くことになります。
同じようなことが、新型のエアガンでもありました。殺傷能力があるほどの威力ある銃であり、こちらも遊具の度を越えています。遊びはリスクがあるほど興奮し、楽しいと感じたりします。勝負事に罰ゲームを用意したり、困難さ、過激さを求めるのもその一環ですが、それらは生命の危険と等価であってはいけません。こうした行為の中に、遊びの領域を守るということが大事なのであって、それを逸脱してはいけないということでもあるのでしょうね。

政府は来年度から増加する基礎年金の国庫負担引き上げ分について、ついに財政投融資特別会計の金利変動準備金の余剰金、いわゆる埋蔵金を使うことで調整に入るようです。消費税増税を示唆して財務省を喜ばせた麻生氏に、財務省も埋蔵金で応えた、と言う形になるのでしょう。
一つには赤字国債を発行しない、埋蔵金を出させる、ということで財務官僚を納得させるために消費税議論に至った経緯もありますが、3年後という言葉は財務省を喜ばせました。逆に、これだけ官僚寄りの姿勢を示す麻生政権ですから、もっと官僚側からサポートがあっても良さそうですが、そうしたことがありません。そんな中で、一部の世論調査ではすでに麻生政権に対する不支持が、支持率を上回ってきています。

元々、発足当初から支持の高い政権ではありませんが、大事なことは一般紙でも麻生氏の指導力に疑問が呈され始めたことです。内閣人事局の制度設計遅れなど、官僚に気を使い過ぎて政権運営がままならないこと、そして度々取り上げられるホテルのバー通いや葉巻を吸う態度、カップラーメンが400円という庶民感覚とかけ離れた金銭感覚の部分です。
幾ら庶民派を訴えようと、一度ついたイメージは払拭できません。特に麻生氏は自らの生活スタイルを改めるつもりはない、そこに地方遊説で庶民派を演じようとしますから、非常に中途半端な人物像を描かせます。発言のブレとこの中途半端なイメージが合致し、麻生氏に対して『曖昧さ』を国民が感じ易いと言う、マイナス効果を生み出しています。

ドイツの諺に「誰でもどこで靴が足にあたるかを一番よく知っている」というものがあります。靴の履き心地は履いた本人しか分からない、どこが締め付けられ、苦しいかは本人が一番理解できるはずであり、つまり弱みは自分が知るしかありません。ローゼン麻生とも呼ばれ、庶民派が武器だと自負していたはずの麻生氏が、実はその点が最も弱点だったということです。
お金持ちキャラ、秋葉原文化に理解のある遊び人キャラを維持した方が、よほどイメージ戦略上も良かったはずですが、選挙を焦るあまり危機感を煽ってしまったため、真面目さと不真面目さの境界さえ見えなくなっています。戦略上の迷い、自らの生活態度を律することが出来なかった時点で、これらの狂いを修正するのは難しいということでもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年11月09日

経済の話。市場の動きについて

大荒れの10月相場、目立ったのは個人投資家の買いと、外国人の売りでした。これは現物、先物ともに同じ動きであり、外国人の換金売りと個人投資家の割安とみた買いが相場でかなり応酬した、ということが明らかになっています。しかしPERでみた水準の割安感は薄れてきましたし、減配も今後は相次ぎますので、割安感で買った個人投資家がそれでも買い持ちできるのか、が今後の動きには効いてくることになります。

日本市場の動きは未だに米国の流れに翻弄されていますが、ダウが9000$台をつけると明らかに楽観のし過ぎです。今の米国はかなり早い段階で経済が回復する、いわゆるオバマ期待という状況が続いており、経済実体を正しく反映しきれていません。その一つが、非農業部門の雇用統計が24万人減、失業率が6.5%と0.4%の悪化を示したことです。
米国が楽観を抱き易いのは、人口の増加が続いており、国の規模が大きいために地域間格差は生まれても、吸収が可能との思惑があるからです。しかし人口増加を続ける社会は、自動的にプラス成長を義務付けられます。社会の拡大と経済の拡大が一致しなくなる時、予想以上のマイナスインパクトが生じ、そこには強烈な経済の下押し圧力がかかっていることになるのです。

問題は米国がこれだけ楽観的状況にあるにも関わらず、日本市場とて9000円台に乗せると割高感があることです。日本は社会が高齢化により縮小傾向にあり、経済の拡大を海外に求める外需依存の強い傾向があります。内需基盤が弱い経済は、基礎的な部分が脆弱な経済という見方もできます。
特に、10月は企業の自社株買いも活発でしたが、今後米国市場が下押しされるとき、日本市場を下支えする層が必要となってきます。国内総動員で支える体制がどの程度継続できるか、が今後は重要となってくるのでしょう。米ビッグ3の今後など、米国の不安定要因の行方によっては、日本に早く下押し要因がかかってくることにもなります。

日本市場は当面7000〜10000円台で推移すると見ていますが、国家補償である公的資金が注入されても、完全回復に至らない信用市場の問題如何では、上にも下にもブレ易い相場が続きます。喧伝される割安感より、3年後を見据えて成長できる企業、健全である企業という眼での見極めが大事になってくるのでしょうね。

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2008年11月08日

資金繰りの問題と中小企業対策

昨日も取り上げた米自動車業界が混沌としています。GMの7-9月期決算が25億$の損失計上で、来年前半にも資金繰り悪化で破綻懸念、と自ら表明しました。政府支援を受けるために、厳しい見通しを示したと見られますが、クライスラーとの合併交渉まで白紙に戻してきました。
企業は赤字計上を何期続けても、資金繰りさえつけば破綻はしません。GMも同様ですが、信用収縮により企業が発行するCPも滞りがちです。国がCP引取りを進めていますが、こうした支援を続けなければ、米国を代表する大企業も厳しい経営環境が続くのかもしれません。

日本でも黒字倒産と呼ばれる、資金繰り悪化に伴う企業の突然死が増えています。運転資金が少ない企業にとって、血脈を断たれることは致命傷になりますが、上流側にいる金融機関は自身の健全性のために供給を断つことが多くなります。これは信用収縮に伴う必然であり、昨年からそうした流れが起きている中で、日本政府の対応は遅すぎるほどのものがあります。
金融庁が地銀や信用金庫などの自己資本比率規制の緩和を打ち出していますが、貸し渋りの増加は食い止められても、貸し出しの増加には繋がりません。資本が毀損していることは紛れもない事実であり、見掛け上の自己資本が改善されても、金融機関が貸し出しに回せば今度は自分たちの資金繰りが悪化します。運転資金の確保は上流側、下流側ともに喫緊の課題なのです。

その動きの象徴ともなっているのが、商工ローン大手SFCGです。強引な貸し剥がし、グレーゾーン金利の問題などがメディアで取り上げられ、訴訟問題にまで発展しています。これだけ問題が拡大すると政治も取り上げざるを得ず、そろそろSFCG幹部、被害者が委員会への呼び出しなども行われることでしょう。中小企業対策を進め、実態を把握するには最適な例となるからです。むしろ訴訟問題煮まで発展しているのですから、問題意識さえ持っているのなら、事実確認程度は進めていても可笑しくないタイミングとなっています。
まさかとは思いますが、現閣僚にはグレーゾーン金利撤廃に反対した人物もおり、この辺りの繋がりが影響しているとなると、政府の腰の重さも理解できます。実際、追及するとキリがありませんが、SFCGのように大きなローン会社はサラリーマン金融が破綻懸念に陥ったように、経営状況がかなり悪化しているはずであり、過去にまで遡って過払い金を戻す判決は運転資金を急速に減少させるものとなっているのです。
政治が関与しているかどうかは別にして、中小企業対策を推し進めるなら、こうしたローン会社の実体把握は避けて通れない道です。金融機能強化法で地銀に必要な資金の量、及びそれ以外で中小企業の貸し手として機能していたローン会社の実状を正確に掴んでおくことは、表裏一体のものです。早く政治がこうした問題に着手し、日本の製造業を支える中小企業対策を進めることが重要なのでしょうね。

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2008年11月07日

トヨタショックについて考える

昨日のトヨタの今期業績予想見通し、4割減と伝わっていましたが、実際は7割減でした。トヨタショックとも呼ばれ、市場への影響が懸念されましたが懸念ほどの落ち込みは避けられたようです。ただ日本を代表する企業、トヨタの業績不安で関連各社は大きく値を落としました。
北米、欧州などの販売不振、想定為替レートよりも円高で推移、材料費の高騰などもありましたので、業績が悪化することは想定済みでした。ただ経費の上昇などの不透明要因も大きく、また下期の想定為替レートも現状の水準より甘い見通しであり、これが企業側の見通しよりも更に通期の業績が悪化するとの懸念を生じさせています。これが一斉にトヨタのレーティングの引き下げにつながり、ストップ安は免れたものの大幅安で終えています。

欧米ではローンの審査基準が厳格化しています。信用収縮で資金繰りが悪化していますが、これは金融機関のみの問題ではなく個人にも及びます。雇用統計の悪化、失業者の増大などもありますが、リストラなどが加速すれば、更にこの流れは加速します。明日の給与が約束されなければ、ローンという長期信用に基づく貸付は滞らざるを得なくなるのです。
これは自動車販売にも影響します。販売会社が直接ローン金融を担当していない場合も多いですが、契約が進んでもローンではねられ、契約不成立などということもあるでしょう。それを避けるためには販売会社が購入者を直接調査するか、ローンが組めることを確認してから販売契約を交わさなければならず、こうしたコストも販売会社にはかかってきます。信用収縮に伴う問題とは、高額販売をするあらゆる方面に影響しているのであり、特に車、不動産は金額が大きいだけに顕著に、かつ早期に現れているのです。
米ビッグ3、フォードが2四半期連続の赤字となりました。GM・クライスラーの合併話でも、国が無利子で支援金をつぎ込めばモラルハザードです。自動車産業救済という問題は、経営危機が伝わる小売など他業種を救うのか、という重大な決断を米国に迫ることになるのでしょうね。

トヨタは期間工などの縮小を始めていますが、販売戦略の見直しは、関連業界全体にも影響してくることになります。日本市場のPER水準の見通しが15倍となり、割安感は消えましたが、製造業全体が更に業績を悪化させると、市場の落ち込みも厳しくなります。トヨタが日本に与える影響とは、考えている以上に大きなものであり、予測の難しい様々な問題が今後噴出することもあるのでしょう。
トヨタ以外の日本の自動車メーカーも、販売見通しを軒並み引き下げています。米国のような混乱が日本でもすぐ、と言うわけでは有りませんが、来年辺りは様々な問題も出てきます。マツダ株の売却を決めたフォードのように、再編機運が再び流れる中で、更なる統合が起こることもあるかもしれません。利益率の高い海外が高成長の時代の経営戦術から、いち早く低成長戦略に切り替えることが出来るか、政治の世界だけでなく、経営の世界でもchangeが必要な時代に来ているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 企業 | 経済

2008年11月06日

麻生氏の指導力に疑問

金融機能強化法案が衆院を通過しました。野党は分割採決まで持ち出し、合意できる部分とできない部分、それを明確にするよう迫りましたが与党は一部の修正で押し切り、これで参院でもめることが決定しました。もめるというのは、採決まで長引くということであり、金融不安が長引くことにより今後出るであろう金融機関への対処法が日本では整っていないことになります。

麻生首相の指導力に疑問符のつく内容が最近幾つか散見されます。地方分権改革推進委員会の丹羽委員長に対し、国交省地方整備局と農水省地方農政局を原則全廃し、業務を地方に移譲するよう指示したと伝わった後で、麻生氏のぶら下がり会見では廃止ではなく統廃合との認識を示しました。
似ているようですが、全廃と統廃合はかなり異なります。全廃は文字通り、中央省庁の出先機関が消滅することですが、統廃合は人と権限が同時にある機関に移ることです。その機関の所属は地方なのか、中央省庁かは検討課題であり、また局員も地方公務員なのか、中央省庁からの出向組なのか、で業務の有り様は大きく変わるでしょう。つまり統廃合を前面に押し出してしまうと、看板のかけ替えだけで終わる可能性が強くなってしまいます。

次に、定額給付金では所得制限が検討されていますが、各地方自治体でも世帯ごとの所得は把握しておらず、またネットカフェ難民などへどう給付していくのか?も不透明です。当初の全世帯給付から紆余曲折を経た結果、議論の決着が見えなくなってきています。
こうした大規模の改革、大型の政策では首相のリーダーシップが重要です。その点で麻生氏の意気込みは感じられません。意見が当初からぶれ、結論が曖昧なために遂行者も迷いますし、色々な人間が出てきて勝手に自分の解釈で議論を左右し始めます。結果的に大事なことが骨抜きにされ、何のためにそれを行うのか?ということが不透明になってきます。

大事なことはコスト意識です。2重行政のスリム化でも、定額給付金の支給方法でも、ムダを排除してそれを国民に還元できなければ何の意味もありません。それが出来なければ将来負担というツケを国民に押し付けるだけであり、結果的にマイナスの効果しか国民にはもたらしません。
麻生氏は選挙を意識するあまり、真の意味での国民利益という観点が抜け落ち、見せ掛けだけの対策に終始しているように見えます。また選挙日程の迷いから始まる、意見の一貫性がないように見える点も、国民に不信感を与えるところでしょう。リーダーシップとは強気の態度ばかりで示すものではありませんが、麻生政権に目立つ、議論の主軸のない与党内の政策論争を収束できない点で、今後はマイナス評価の方が目立っていくことになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年11月05日

米国大統領選でオバマ氏が勝利

米国大統領選が行われ、米民主党のバラク・オバマ氏がアフリカ系として初めて大統領に選出されました。一時のペイリン効果では「口紅をつけた豚」発言で危機感もあったようですが、演説の巧みさと経済危機を追い風にそれ以外の内容では余裕ともとれる、圧勝の内容です。来年の1/20に就任ですが、すぐに経済政策などに着手するとも伝わりますので、オバマ大統領が日本に与える影響を少し考えてみます。

オバマ氏の発言、著述などから推察すると、中・低所得者への給付金、公共事業の拡大、雇用の創出と社会保障の充実などが柱として挙げられます。これらは保護主義とも批判がありますが、国力を蓄えようとする内向きの政策であり、世界全体の発展という形はオバマ氏の唱える政策の中では見えてきません。これは米共和党との大きな違いです。
高額所得者を優遇しても、国内に資金は滞留せず世界に向かう傾向があります。金融至上主義は、方策はともかく世界全体の成長には寄与してきました。モノを運ぶよりもカネを運べば、一瞬にして世界を駆け巡り、その複利により世界全体を潤します。米国が8年間維持、継続してきた政策はこうしたものであり、これが転換されて米民主党政権下では、米国は強国の地位に留まろうとし、世界全体は低成長を許容せざるを得ないことになります。

日本は一度、クリントン政権下でこの体験をし、工場を米国に移すなどの対策をとってきましたが、この政策転換は中国などの新興国経済を直撃します。米国内製品を数%含まない製品は輸入しない、などの強硬措置は想定できますので、それに対応できない新興国の工場では淘汰が進むことになり、これらは直接の日本への影響としてではなく、間接的に新興国の成長鈍化、世界経済の低迷、外需の停滞となって日本を襲うことになります。
すると、日本でも竹中構造改革路線を見直し、オバマ政策に近い内政政策を採らざるを得なくなります。日本でも一部では始まっており、定額給付金の所得制限はこれらの顕著な動きです。国民の大多数を占める中・低所得者を優遇し、内需拡大して消費を喚起する以外に生き残る道はなく、積み上がり始めた在庫を国内で捌くしか手はないのです。

オバマ大統領になると輸出産業が…、などの意見は表層であり、日本も今後は大規模な政策転換を迫られることになります。逆にオバマ氏との外交戦術では、米国依存ではない対等なパートナーシップにより、自存自衛の道を築いていく必要もあるということになります。むしろ個別に生き残る道を探れなければ、内政重視の米民主党政権との付き合いは出来ないのでしょう。
ではこうした米国の変化に、日本が対応できるのか?現状の与党、野党の示す政策にこうした点はありません。選挙が何時になるかは分かりませんが、いみじくも米政権交代により、変化に対応できる政党ということも判断基準の一つに浮上しそうです。今回のオバマ大統領誕生という事実は、日本にも確実にchangeを迫ることになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 政治

2008年11月04日

社会保障国民会議の最終報告について

10月31日に行われた経済財政会議で提出された、社会保障国民会議から提出された資料について少し考えてみます。本日この社会保障国民会議の最終報告が出されていますが、大枠は安定財源の確保のため、基礎年金を消費税で賄った場合と現在のような社会保険で賄った場合でわけ、2015年に6〜11%、3.3〜3.5%、2025年に9〜13%、6%程度の消費税負担が必要と試算されています。

この社会保障国民会議の検討に用いた前提条件は、足元2008年で物価上昇率1.2%、賃金上昇率3%、運用利回り3%であり、2010年でそれぞれ1.9%、3.8%、4.1%を見込んでいます。誰の目にも違和感がありますが、物価上昇率はすでに2%目前、賃金上昇率はマイナス推計であり、運用利回りも株式市場の急落でマイナスに落ち込んでいます。
粗い観測ですが、物価上昇は消費税収増を伴いますし、年金もマクロスライドに転換しているので前提を上回ればプラス、ただし消費減退を伴えばマイナス。賃金上昇は現役世代が高齢者を支える現在のシステムでは、前提を下回るとマイナス。運用利回りは説明するまでもなく下回ればマイナスです。つまり今回はじき出された消費税に対する将来の上乗せ分については、現実を加味すると甘い前提に基づくものであることが明白となります。

しかも社会保障の機能強化を図った場合も検討されていますが、年金・医療・介護・少子化対策で今年度総計27兆円、そこに年金の国庫負担1/3から1/2に引き上げで1%、機能強化の上乗せ分で2〜3%、合計3〜4%の消費税増税を謳います。つまり来年度は通常でも予算が不足し、対策などを行えば更に足りない計算である、とこの会議の最終報告は示していることになります。
ここから分かることは、政府は3年後の消費税増税に言及しましたが、来年度から歳出の組み換えを行わなければ予算としては不足する。更にこの推計が甘い査定で実行されているので、この規模では済まない額の消費税増税が必要になる可能性が高い、ということです。

元々、この会議でも用いられた前提は米国経済が堅調だった頃、日本も高成長体質を目指す過程でたてられたものですので、それを採用すればこうなります。一方で景気減速が加速すれば税収減、社会保障費も賃金が抑制される中で歳入減、マイナスの経済成長が危惧される中で、更に推計は目標達成が困難になることは明白となってきます。
問題は本来、歳入・歳出一体改革の中で、予算の枠組みを変える議論が必要であり、社会保障費の増大を必ずしも歳入増で賄う必要はありません。埋蔵金も同様、予算枠組みの変更は官僚システムにとって許容し難い、既得権益の剥奪でも有り、そうした議論に踏み込めなければ議論としては片手落ちなのでしょう。社会保障費が増大するとは、解釈を変えればそこが成長産業にもなり得るのであり、必ずしもマイナスで捉える必要はないのです。ただ国はその部分への歳出を渋り、構造的問題を噴出させてしまっています。一度壊れたシステムを再建するだけで多額の出費が必要であり、その点でも、この最終報告は条件の取り込み不足が目立つのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年11月03日

雑感、食の安全について

田母神前航空幕僚長の問題、一部に言論統制だという意見もありますが、それは少し異なります。政府でも閣内不一致は嫌われますが、私見の表明は業務遂行能力に疑義を生じさせ、これにより更迭に至ります。問題は立場上の重要な決定事項に関わることが、政府とそれを実行する責任者の間に乖離があることであり、言論を規制しているわけでは有りません。
仮にこの方が経済政策で政府を批判しても疑問視されません。それはこの方が経済担当ではないからであり、軍事に関する内容で政府見解と異なったことが、重要なのです。私見は私見として、立場が変われば表現すれば良いのであって、在職期間中は職務を完遂するための最大限の努力を払うべきあり、公と私の使い分けはどんな組織でも必要だということなのでしょうね。

最近、再び食の安全の問題が多く取り上げられています。伊藤ハムの井戸水からシアン化合物が検出され、公表まで一ヶ月かかった問題。それにトルエンが検出された件は大日本印刷が納品したフィルムに付着し、商品に紛れ込んだこと。そして中国のメラミンが家畜飼料にまで広がり、肉食全体にまで影響が拡大しつつあることなどがあげられます。
例えば事故米が食用として流通した件では、政府は異例の被害団体の救済に乗り出しています。民間取引に関する限り、自己責任の原則がありますので、公的支援は原則行わないはずです。ただ国が否を認めた個人という弱者が救済対症の場合、取引上の契約事項にまで踏み込んで救済される場合があり、それが今回適用されたということなのでしょう。酒造メーカーなどは零細企業も多く、企業責任では消化し切れないとの判断もあったと思われます。

先の伊藤ハムの件は、あくまで企業側の問題ですので国は関係有りませんが、微量混入とはいえ、シアン化合物は一歩間違えれば死に至る劇薬になり得るものです。トルエン混入は作業工程で機械が不具合を起こし、偶然混入したと言われますが、敏感になった消費者が異臭を嗅ぎ取り、それで発覚した可能性がないわけではありません。
消費者庁の創設でも、これらの企業の問題がどこまで監督できるのか?という問題は残ります。立ち入り検査は実際に混入が起こった段階より、かなり後での調査ですし、工場の実態を知らなければそこから不具合の芽を見つけ出すことは、専門家でも難しいのでしょう。

メラミンのように、緩み過ぎた考えで食の安全を蔑ろにした問題と、偶発的な問題とを一緒に考えてはいけませんが、最終的に食の安全の問題とは、国民を守る第一歩ともなり得るものです。事故米のような制度上の抜け、行政の監視機能の欠如などの問題と同様に、行政が関われる部分とそうでない部分、その境目で国民の安全が蔑ろにされる事態だけは、絶対に避けなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 健康

2008年11月01日

消費税議論と麻生政権の解散時期

麻生首相が言及した消費税上げに対し、閣僚や幹事長、それに自ら火消し発言が相次いで沸き起こりました。麻生氏は消費税率を10%前後にする目算ですが、経済財政諮問会議では追加財源分を消費税で賄うと、8〜16%超としており、想定として与党は10%を軸に検討を進めるようです。
ただ麻生氏は景気拡大を消費税引き上げの前提としており、仮にこの混乱が長引くと3年後は更に景気が悪化している可能性があります。また外需依存体質の日本経済は、仮に諸外国が景気回復しても最後尾でしかその恩恵に預かれないという、致命的な欠陥もあります。前提達成が厳しい中、3年後と確約できるほど政治が責任をもてるはずもなく、これが否定する発言に繋がります。

ただ麻生氏の財源措置に違和感があるのは、今回の対策の財源は将来の増税という形で示しましたが、まだ基礎年金の国庫負担の引き上げ分については財源を明らかにしていません。3年後の消費税議論に含めるにしろ、来年には始まるこの年金財源は来年度予算の概算要求でも曖昧なまま、財源手当てについては先送りされたままの状態が続いています。麻生氏は選挙時期を曖昧にしましたが、政府が抱える諸問題についても曖昧なままなのです。
麻生氏がどんなに解散時期を不透明にしようと、政権運営に行き詰ることは明らかです。これは野党が対決姿勢をとるかどうかではなく、国政上のツケが来年を待たず、麻生政権に降りかかります。これらの諸問題を解決しない限り、麻生政権は確実にジリ貧となります。

そこに消費税議論ですが、これは歳出・歳入一体改革の進捗度合いが大きく影響します。問題は現状の歳出規模の枠組を変え、歳入分をどう振り分けていくのか、そしてその方式で国民理解を得られるかどうかです。特に今回、金融機能強化法案により再び公的資金が活用されようとしていますが、そこに農林中金の問題が持ち上がってきました。
理事長職は農水事務次官の天下り先であり、年収は4100万円、こんな機関を公的資金で救済するのか?公的資金は必ずしも歳出枠に含まれませんが、国の予算の使い道に国民が敏感になっているとき、この法案自体の正当性にさえ疑義を生じさせる問題です。

また高速道路料金を1000円にする案も、輸送関連が全て除外されているのと同時に、一般でもETC搭載車にしか適用されません。これは天下り団体としても知られている、財団法人がETC搭載を推進させたいとの思惑も絡んでいます。ETC搭載時に一定の金額を払うシステムを作り上げましたが、その方式では収益に一循環が出てきます。収益性が悪化し始めたこの団体が、ETC普及に向けて2年間の時限措置を求めた、とうがった見方をすることも出来ます。
つまり今回の対策、裏では官僚、天下り団体によるどす黒い利益収受システムが流れていると国民が感じれば、消費税議論などできるはずもありません。麻生政権にとって今回の対策の本質を知られること、そのことが政権の命運を握るかもしれず、その意味でも早期解散しなければいけなくなってくるのかもしれませんね。
明日は一日ブログはお休みして、明後日から再開しますね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般