2008年12月

2008年12月29日

来年の政治について

イスラエルがガザに空爆を行っています。イスラエル国内で政権が弱体化し、強硬派を取り込むための行動だ、米国の政権移譲期の空白を狙った行動だ、など色々と推測もありますが、私は背後でイスラエルと米国の密約により為された空爆ではないか、と考えています。
原油価格が下がり、一部ではそれを好感する向きもありますが、下がり過ぎればオイルマネーの流れが変わりますし、資源価格の下落によるデフレ圧力も高まります。インフレ誘導したい米国にとって、一時的にしろ地政学的リスクを高め、新米国である産油国のサウジ支援のためにも、イスラエルの行動を容認したと見ています。犠牲になったパレスチナ人の悲嘆、憎悪、ある国の事情で引き起こされた事件が、一方で悲劇を生むことを早く世界は気付くべきなのでしょうね。

来年の政治の動きを考えてみます。恐らく麻生政権が来春以降まで解散を先延ばしした場合、自民党は150議席割れ、下手をすれば100議席そこそこという事態が発生するでしょう。小選挙区制の一票の差とは、かくの如き重いものであり、不人気党首の下での選挙は戦い難くなっています。
一部で誤解がありますが、後期高齢者医療制度は高齢者負担が増えるだけでなく、国民全体の負担率が上がる制度です。これは財政規律を守るため、国だけが支出を減らそうとする制度です。高齢者に甘く、若年者に厳しい社会、ということではなく、今の国が目指す方向性は、国庫負担分を如何にして減らすか、増える分はどうやって増税などの税収増で補うか、です。

これは昨日の介護報酬にも絡む話ですが、国が社会保障費の自然増を抑えるため、2200億円の削減枠を設けてきました。この自然増に問題がある、というのが国の認識ですが、増えるということは成長産業に育つ可能性を秘めている、ということです。でも国がそれを問題視するのは、一般予算の枠組みが省庁の概算要求で決まるからです。つまり各省庁には決められた枠があり、一省の予算枠が増えると省庁間の力関係に影響するからであり、霞ヶ関内の問題ともなるからです。
なので、今回の来年度予算案と2次補正を提出し、それが国民に支持されることはありません。上記内容に改善点は見られないからです。更に麻生氏が政策や方針をぶち上げても二転三転するのは、省庁との信頼関係がなく、誰も汗をかく人がいないためでもあります。省庁を使いこなせない、省益を国益に変えることもできない、これで支持率が上がるはずもありません。

前回の郵政解散で小選挙区制の利を得た自民党、刺客や落下傘などでメディアを煽り、自民党内抗争の構図を作り上げることで大勝利を収めました。しかし今回、それをすれば党は分裂しますので、禁断の手を使うこともできません。ホテル通いに始まり、国民意識との乖離が指摘される麻生氏ですが、自民党総裁選を出来レースとし、スタートダッシュに失敗した与党の考え方自体が、すでに国民からズレていたのかもしれませんね。
明日から1月3日までお休みして、新年4日から再開したいと思います。皆さん、良い年をお迎え下さいね。

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2008年12月28日

介護報酬の引き上げについて

来年度の介護報酬引き上げが決まりました。社会保障審議会が全体で3%、また都市部の物価の高さに合わせて人件費が高く、報酬単価を引き上げているのと、負担の大きい業務などに報酬を上げるなどの対策をとっています。この改訂に伴い、利用者の負担増になりますが、負担軽減のために税金も投入される見込みとなっています。
ただ介護は体力のいる仕事であり、離職率の高い職種でもあります。また点数制でもあるため、必要な介護が出来ているのか、でも手を貸せば利用者の負担にも繋がることになり、安易に介助の手を差し延べても良いのか。介護労働者はそうしたジレンマを抱えていると聞きます。

介護でも、看護でも同様ですが、需要があるのですから、通常の経済システムであれば供給側はもっと活況となるはずです。しかしそれを抑える仕組みが、点数制であったり、介護報酬のこうした取り決めです。医療のように長い歴史のある組織であれば、仮に点数制であっても収益を上げるよう政治を動かせますが、介護は組織力が弱いためそこまでの政治力がありません。
今回の見直しでも、3%であれば大した効果は期待できません。しかし日本は未曾有の雇用危機を迎えており、高齢化社会を迎えてもっとも需要のある職種、それが介護でもあったわけです。そこを仕組みで抑え、外国人労働者を雇い入れて、税金を投入までして、日本人並みの待遇を約束しています。将来、免許をとることが条件ですが、日本人でさえ難しい試験を、働きながら、日本語の勉強をして、ということでまず外国人労働者の免許取得は無理だろうと言われる中です。

税金の使い道として雇用対策をとるのであれば、確かに住宅支援やハローワークの充実などもあるでしょう。ただ、そうしなくても雇用を増やせる対策は幾つもあるのです。安定した生活を営むための、待遇を良くするための施策、日本で足りない政策の考え方でもあります。
石破農相が減反の見直しを示唆していますが、農業の分野も雇用対策の一助になります。エタノール燃料のための米作り、輸出することで得られる外貨で補助金を出す、などの対策をとって農業への就労人口を増やせば、それも雇用を増やすことに繋がるのです。

雇用が増え、給与が増えれば所得税が増えます。政治は介護保険の支出ばかりに目を向け、税収の拡大には目を向けずに来ました。それが日本の低成長、内需の縮小を促してきた、ということにそろそろ気がつくべきです。自宅介護になれば、就労可能な労働力を家に縛り付けることに繋がり、その分の税収が減ることになるのです。そこが産業として、介護労働者が行えばその分の賃金と消費、税収増という形になるのは明白なのです。
来年の雇用対策、見かけのものばかりではなく、こうした職種全体における就労環境を整える、という形で進むべきなのでしょう。定額給付金で消費喚起、という前に税金の使い道として考えるべきことが山ほどあります。それが出来たときに、初めて未曾有の経済危機に対して日本が一番に回復する、という夢想を現実とできるのだということなのでしょうね。

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2008年12月27日

来年の経済について考える

昨日、11月の鉱工業生産指数が発表されました。前月より8.1%の低下であり、市場予測を越えて下げ幅は過去最大となっています。指数そのものの落ち込みもそうですが、今回の発表で重要なのは、急速に高まった在庫の問題です。これまで、今回の景気後退期が早期に巡航速度、つまり回復するという理由の一つに挙げられていたのが、今回の後退期は在庫増加による生産調整が起きていないことでした。その理由がこの鉱工業生産で覆され、明確となったことで、本格的な不況入りを意識せざるを得なくなったことになります。

まだ在庫全体は増えていないものの、上昇率は崖を這い上がる勢いであり、これまでの景気後退期にも見られなかったほどのペースです。12月も上昇を維持すると見られ、在庫拡大と同時に生産調整がおき、現在の工場の生産停止、派遣切りなどの雇用問題が起きていることになります。
日本はトヨタのカンバン方式に代表されるように、余分な在庫を持たないことで、無駄な出費を抑えています。2000年以降のいざなぎ越えの景気拡大の間、日本はこの方式で在庫と生産の関係を維持、継続してきたのです。しかしそれが急速に崩れた背景には、この方式は消費が順調に拡大していくときには有効でも、急変動には対応が利かないことがあげられます。

今年、年初から原油を初めとした資源価格が急騰、年半ばが最高値でした。企業も資源獲得のために、先物を駆使してヘッジしようと努めていますが、必要量しか調達しない形ですから、価格変動には対応できていません。一方で今は資源価格が大きく下落していますが、生産量が低下しているのでそれを生かしきれていません。
JFEが一部、高炉を停止しました。炉を一度止めるとスラグや組成が変化してしまう可能性があり、本来行いたくないことです。円高でもあり、資源価格も低いのですから輸入国である日本は、将来資源が高くなる見通しであれば、この時期資源を溜めておいても戦略上の間違いはないことになります。ですがこの生産方式を続ける以上、日本は海外動向に常に振り回されるだけ、ということになるのかもしれません。

在庫拡大による生産調整が一度起きると、消費を更に圧迫する要因ですので、本来企業も行いたくはありません。しかしそれが起きている、という現状は企業からも緊迫感が伝わります。今回の鉱工業生産指数が示す内容は、それほど日本経済にとっても深刻だということです。
最近、来年の経済予測も複数の機関から出ていますが、この生産調整に言及していないものに関しては、探求不足といえるのでしょう。世界で雇用不安が起きるということは、在庫拡大と生産調整が連鎖して起きることを示しており、来年の経済観測にこの部分の深化度合いが大きく影響してくることになるはずです。雇用と資源価格の変動、来年の経済を考える上でも、とても重要なことになってくるのでしょうね。

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2008年12月26日

雑感、08年の事件について考える

今年も色々な事件がありました。厚生事務次官襲撃事件の小泉被告が、34年前の犬の敵討ちという供述、動機が不可解だとして、精神鑑定を受けるそうです。犯罪までの精神状態を解明するために、鑑定を受けさせることは良いことですが、これは責任能力の判断とは別の問題です。
例えば高校の新学習指導要領が文科省より発表されましたが、この基本は脱ゆとりです。これまでのゆとり教育の功罪の内、功の部分について言えば個性の尊重があります。これを昨今の犯罪における不可解と感じる部分に当てはめれば、それは個性と捉えることも出来ます。犯罪者が誰にでも分かり易く、万人に理解可能な動機で犯罪行為に手を染めると考えるのは間違いで、画一的な物事の捉え方をしていない、それも立派な個性なのです。それが犯罪に結び付くか、個性を生かして立派な仕事をするか、その違いを意識する必要があるのでしょう。

腐敗水を点滴に注入した事件では、ミュンヒハウゼン症候群では?との疑いがもたれています。この精神疾患では、一部で幼児が親の関心を惹きたいために、痛くもないのに痛がってみせる行動などとの類似が指摘されています。病弱な子供を甲斐甲斐しく看護する母親、周囲も思わず好感してしまいますが、良い母親を演じるための自作自演との見分けはつき難いものです。
昨今は周りの人との関係が希薄になる中、良い母親との評価は得難い、格別のものでもあるのでしょう。ただ母親の犠牲になる子供は、自分を引き立てるための脇役の座に追いやっており、そこに母性は感じられません。これが厄介なのは、事実が証明されても子供にとっては良き母親であり続けるということです。病気の回復とともに、心のケアも必要であり、子供には重い十字架になってしまうのでしょうね。

最後に、秋葉原通り魔事件の加藤被告も、破滅型の典型的な論理が破綻した犯罪でした。孤立感と自虐性、それでいて自分が特別な存在になるという願望、世の中が刹那的、閉塞的になる傾向の中で、こうした犯罪は増える傾向にあるのかもしれません。残念なことは、世界経済が混迷を深める中で、社会の側からこうした犯罪を抑止する効果が導き出し難いという点です。
来年は自殺も増えるでしょう。そして自分を傷つけることが出来ない者は、他者を傷つけて自分を輝かせようとするのかもしれません。新学習指導要領でも道徳を説いていますが、個性をもつことは決して悪いことではありません。でもそこに依拠し、個性を優先させて社会との調和を乱すようなことを、悪として捉え直すことも必要なのでしょう。年末を迎え、来年のことを考えるとき、今よりほんの少しでも良いので、良い社会になることを祈りたいですね。

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2008年12月25日

07年GDPが先進7カ国中最低に

今日はクリスマスですね。サンタクロースは聖ニコラウスを読み替えたもの、というのは有名な話ですが、ニコラウスはギリシャ語起源の名前で、Nike+laosで勝利の人々という意味になります。今の赤い衣装に白髭というスタイルは、かつてのニューアムステルダム、今のニューヨークに移民したオランダ人が作り出したもの、と言われています。
今年は米国のクリスマス商戦も不調のようです。昨年より1週間程度短く、今年の商戦には懸念が漂っていたものの、実際も経済環境の通り消費が進まなかったようです。日本では親子、恋人の間ぐらいしか贈り物のやりとりをしませんが、友人にまで贈り物をする米国で、その消費を鈍化させているのですから、やはり今回は未曾有の危機ということがいえるのでしょう。

そんな中、内閣府が07年の国民1人辺りの名目国内総生産(GDP)が34,326$となり、主要7カ国中最低、OECD加盟の30カ国中19位と発表しました。日本が世界に占める割合は8.1%と、寄与率の低下が目立つ内容であり、日本の低成長と円安により過去最低を更新する事態となっています。
いざなぎ越えの景気拡大期にも関わらず、こうした事態となったことを政治がどう捉えるか?ということはとても重要です。現在の世界経済はクレジット・シュリンク。つまり信用が毀損したことにより金融が真っ先に打撃を受け、今は企業の社債発行などの資金調達策が失われ、設備投資やM&Aも行えない事態です。そして個人もローン申請の厳格化が進み、世界は資金需要の停滞が起きています。

日本は当初、痛みが少ないと自慢していましたが、第2、第3段階まで来るとそうも言えなくなりました。日本では金融部門が育たず、それに伴う低成長に甘んじたことが良かったのか、悪かったのか、それを正しく評価し、後世の糧としてこそ未曾有の危機への対策を考える上でも大事なのです。政治はすぐに自らの対策が正しい、として検証を放棄してしまいがちですが、今この時に同時進行で研究を進めておくことが大事となるのでしょうね。
特に来年はマイナス成長が多くの研究機関から指摘されています。先進国が総じてマイナス成長に陥ったとき、世界経済に与える影響については、恐らく世界恐慌以来初めてのことであり、研究対象としても非常に魅力的な内容です。日本はシステム構築などの空想力が乏しい、といわれますが、分析にかけては一日の長もあります。

日本が来年、経済をいち早く回復させるという筋書きは、外需依存体質から抜け出せない限りほぼ不可能です。しかし新しい国の形、経済の形を見つけるために、今から準備しておくことはやぶさかでないでしょう。来年は忍耐をしつつ、飛躍に備える年、そうしていかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2008年12月24日

雑感、予算案と雇用

麻生首相が官邸で、平成21年度予算案と2次補正予算案を説明しました。生活防衛のための大胆な実行予算、と位置付け、1次補正、2次補正と3段ロケットの対応だと述べています。しかし発射は来年度であり、秒読みにすら入っていない段階で何を期待しろと言うのか?しかも仮に打ち上げられても、このロケットには推進力が足りないことが明白であり、計画段階から失敗が囁かれます。

元々、会計年度が3月で切り替わるのは、江戸時代に旧暦の3月5日に年度始めとしたことに由来します。つまり年貢の米を蔵に入れるのに、旧暦の3月を過ぎると質が落ちるとの指摘があり、江戸初期にそう取り決められました。その後、明治になって旧暦の3月5日を現行の3月31日と直し、それが現代にも通用しているのです。
同じように年季奉公人の契約も3月31日に切り替えるよう、江戸時代に取り決められました。商人は年季を入れた奉公人を守り、奉公人は出世すると番頭となり、優秀であれば暖簾わけや商家の娘を娶って後を継げるなどの道が残されました。働く者が実力次第で出世できる仕組み、そうしたものが最初からあれば社員にやる気が出ますし、また商家では跡取りを男系相続ではなく、女系相続としたのは優秀な人材を得て家を繁栄させるための方策でもあったのです。

簡単に派遣社員を解雇するような企業は、後にしっぺ返しに合うでしょう。そして政治の問題としては、危機に陥ってから雇用対策として、非正規社員を正規社員に採用すれば100万円、などの対策を出しても遅きに失しています。雇用とは長期の課題であり、非正規社員を評価する仕組みのない、低賃金のまま出世も約束していない企業に、採用を促してもすぐには進まないのです。
麻生氏のいう生活防衛、何が危機で何を防衛しなければならないのか?職業安定所で見せたパフォーマンスにより、国民は麻生氏はそれを理解していないと見ています。危機だから対策を優先、という以前に危機に際して麻生政権で大丈夫なのか?ということをこの予算案、2次補正予算でも示されていません。危機意識があるなら、政治家の給与を3割カットし、それを雇用に回しても良いでしょう。

渡辺喜美元行革担当相が衆院解散決議で造反し、賛成票を投じました。麻生氏への怨念とも言われますが、内紛では共倒れになるだけでしょう。来年の政局が忙しくなりそうですが、死に体の麻生政権の超低空飛行がどこまで続くかによって、この行動も正当性を増しそうです。ただ雇用不安がある中で、党内すらまとめ切れない党首が、国を正しい道へ導けるか、それ次第では解散時期も混沌としてくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年12月23日

税制抜本改革で消費税引き上げ明記へ

税制抜本改革の中期プログラム、政府案で自公が合意しました。消費税引き上げを2011年と明記し、前提条件に景気回復を盛り込んでいます。あまりに無責任な決定であり、今回のいざなぎ景気越えの中、国民の肌実感として好景気を享受できたのは1、2年程度だったでしょう。
政府が描く経済の好転と、国民の意識として好景気は現状大きく乖離しています。この原因を、企業が内部留保に努めた、配当を増やして給与を増やさなかった、という理由で語るのは少し本質からずれています。最大の理由は日本が新興国並になることを政財界が目指したということです。

円安であれば通常は輸出が拡大します。ですが今回の世界経済は想定のスピードを超えて拡大しました。これに対応するため、企業は人件費の安い海外に工場を移転、もしくは新工場建設で対応してきましたから、国内経済は低成長に喘いだのです。円安で多少輸出額も拡大しましたが、11月貿易統計で2千億円以上の赤字となったように、円高と生産調整が起きれば脆弱な輸出依存体質のこの国は、拡大していなかった分のマイナス面が目立つようになります。
円高になると輸出企業は日本から流出する、と竹中氏も述べているようですが、そんなことはありません。この経済混乱で、人件費の安い小国では財政、治安、超インフレ、そうした様々な不安が渦巻きます。単純に労務費の割安感、税優遇だけで企業が工場計画を右往左往させるなら、投下する設備投資の面から見ても企業経営としては最悪の選択です。問題はバランス、高い労務費は安定した生産の代償と捉えるかどうかであり、為替も常に円高、円安ではないのですから、それに一喜一憂するのではなく、一方のマイナスを一方でどう補うかが経営なのです。

これを税制抜本改革に当てはめれば、税収減や国の借金を消費税増税で補う、ということになります。ただ経済好転が前提であれば、恐らく3年どころか5年は無理でしょう。つまりこの対策では財政健全化には程遠く、遅れたことによる返済額の拡大も考え合わせると、対策としての評価は著しく低くなってしまいます。
道路特定財源の一般財源化も骨抜きされ、この税制抜本改革もほぼ消費税上げばかりが議題となってしまいました。大事なことは財政の仕組み、歳入と歳出の関係を見直すことであり、特別会計や一般会計を大胆に見直し、ムダを排除して財政健全化ができるよう整えることなのです。
財界が人件費カットの手法として、新興国並の待遇を国民に求め、政府がそれに応えて非正規雇用や低賃金労働が拡大するよう制度改正をしました。ならば政府の財政も新興国並にならざるを得ないのです。なぜなら、人件費が低ければ当然税収も落ち、その分が消費に回らないので経済規模が縮小するからです。もう一度、この国がどうなりたいのか、政治はそれを明らかにし、国民に信を問うことが必要なのでしょう。小泉改革の痛み、それが国民を襲う中で何が正しい選挙、選択だったのか、それを国民全体が考えるべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年12月22日

経済の話。来年の証券市場について

来年の市場動向について考えてみます。まず今年の反省から。昨年末、日経平均が15000円台にある時に今年の相場変動幅を16000〜12000としました。ベア破綻時に瞬間的に割り込みましたが、前半はこの水準を維持できました。また6月には年後半の見通しを、14000円台にあった日経平均に対し、15000〜10000と少し下方に見直しました。
この下限は固いと見ていましたが、その想定が狂ったのはリーマン破綻であり、その影響を見通せなかったこと。25日移動平均乖離率はこれまで-20を越えることはありませんでしたが、10月に-28を越えるなど、歴史的な暴落だったこと。これらにより年後半は読み難い展開が続きました。

ディーラーの中にも、これまで無かった動きが出てきて、その動きを分析する方が大変だった一年でした。これが来年落ち着くか?というと厳しいと見ています。現状、米国が財政的に破綻する可能性は30%程度と想定していますが、米国のゼロ金利の影響で、新興国でハイパーインフレなどの経済問題が発生する確率は、もう少し高くなると見ています。
つまり来年を見通す上で重要なのは下限をどこにおくか、です。上値は不況下の株高という言葉もある通り、瞬間的には大台を目指すことがあるかもしれません。ただ下限は、破綻を織り込んだ水準をどう捉えるか、によって幾つかのシナリオに分かれることになります。

需給動向的には、ヘッジファンドの解約停止が続く中で売りが止まらない現状から考えると、外国人投資家の売り需要は来年以降も続きます。年金も大きく下がれば買えますが、水準は一段下へと移ってくるでしょう。一方で上値では年金から持ち高調整の売りが出ますので、需給面から見ると相場はかなり上値が重く、下値はずるずると下がっていくことになると予測しています。
来年の見通しは、10500〜5000と見ます。少し広めですが、上値は債先売/株先買の動きが急速に起きた場合、即ち債券のプチ暴落をある程度意識しています。下値は米国の財務状況次第で米債の暴落が起きた場合、パニック売りが起きて3000程度に落ちても不思議はありません。ただ30%の想定ですので、そこまでいかないという意味で、オバマ期待が剥落した後の米市場の水準程度としています。

来年、経済が回復する可能性はゼロに近いでしょう。公共事業を増やそうと、保護主義に走ろうと、金融が崩れた社会には大きな発展もなく、成功したとしても低成長を享受しなければなりません。一定の下支えはできても、それ以上に悪化する実体経済には抗し切れません。市場は景気に先行して動く、とはいえ、再来年まで景気回復が遅れれば財政出動を余儀なくされる政府体力が、各国でも意識されることとなり、そうしたものも上値を重たくさせる原因になってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2008年12月21日

来年の米国について考える

米国でビッグ3への174億$のつなぎ融資が実施され、世界各国も自動車産業への支援に乗り出し、日本も追随するかの動きを見せています。ロシアが関税という保護主義をかける姿勢を見せ始めたように、今回の景気混乱を受けて世界が分かり易い形での対応に迫られてきました。来年の米国を初めとした世界の動きは、こうした極めて危険な対応に陥るのでしょう。

以前も指摘しましたが、ビッグ3はこれで来年の2、3月に破綻か、存続かを決することになります。破産法11条を申請しての再建は、今回のつなぎ融資を捨てる覚悟がオバマ政権にできれば可能ですが、そうでなければ3つを足して1にするぐらいの規模の大胆な改革を打たない限り有り得ません。
全米自動車労組(UAW)はオバマ政権で既得権益が維持できると踏んだようですが、3社で1千億$を越すジャンク債等級の負債を抱えた企業は、労務費だけでなく運転資金面でもパンクします。支援を続ける気なら、米国は国家財政を傾ける決断をいつかはしないといけないのでしょうね。

来年の世界は確実に移民排除の動きが起きます。移民は本国送金を伴う場合、国内の労働対価の一部を海外に移転する形になります。各国とも国内の生産性が低下する中、消費に影響する資金の持ち出しという形を嫌い、また分かり易くはネオ国家主義、民族排外主義、という言葉で置き換えても良いですが、自力更生を目指すこうした動きが起きてくることが確実になります。
そんな中、米国ではオバマ政権への期待が高まっていますが、オバマ氏は全体主義を標榜しています。国民全てを救う、その中に当然のように移民も入っていますが、これは極めて危険な賭けです。自動車業界もそうですが、全てを救おうという姿勢は、全てを救えない可能性を排除できない、ということでもあるのです。

つまり米国の来年は、最善になる低い確率と、最悪になる高い確率の二通りがシナリオとして浮上することになります。何かを切らなければ何かを救えない、それが現状の世界であり、それが国家主義です。他者を排外してでも自分たちは生き残る、そうした戦略性のないオバマ氏にとって、幾つもの重要な決断を迫られる場面が訪れることになるのでしょう。
米経済に言及すれば、ダウは5千$割れを試すと考えます。楽観シナリオが蔓延する現状でも9千$は越えられず、重さも目立つようになってきました。GEの格下げなどもありますが、捨てる覚悟のない米国は、誰も救えない事態になることも想定すべきです。今年の米国には驚くようなことが次々と起きましたが、来年もネガティブな意味でのサプライズの情報に、日本も振り回されることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 政治

2008年12月20日

来年度政府予算原案について考える

財務相による09年度政府予算原案が出てきました。2次補正と合わせた14ヶ月予算として88兆5480億円となり、08年度当初予算より5兆5千億円増です。基礎年金の国庫負担引き上げや、景気対策分の上乗せはありますが、この歳出増が死に体といわれる麻生政権の息の根を止める可能性があります。
負担増を一時的には埋蔵金で凌ぐものの、来年度は今年度の赤字転落企業分も含め、税収減が確実です。原案では税収を7兆5千億円減の46兆円としていますが、これは政府が来年度成長をゼロ、つまり今年度程度には維持できると見ている結果であり、マイナス成長と予測する民間研究機関とは乖離しています。楽観的予測に基づく計画は時として最悪の事態を招きかねません。

公共事業費が3千億円弱の増加で7兆円、社会保障費の自然増分2200億円削減枠も230億円まで縮減させます。定額給付金や緊急雇用創出対策など、選挙対策のバラマキとも見えますが、負担増は将来世代への付回しということを国民は気付いています。90年代に失敗した自民党政治を繰り返せば、支持率も当時の森内閣と同様、一桁台に沈むことになるでしょう。
予算原案の問題とは、縦割り予算のためにムダ抽出が進まないことです。シーリングの原則も崩れていますが、例えば2つの省庁から出される関係の深い事業の予算を足して0.8掛けして予算を作る。すると省庁間の奪い合いが起きますが、重点施策の方に振り向けようと、省庁が検討を始めるでしょう。すると歳出は削減され、各省庁にもインセンティブが働くことになります。

今回続々と明るみに出る埋蔵金など、これまで政府がムダな歳出を繰り返し、それを省庁が溜め込む体質が明らかです。一時的にそれを抽出しても、この仕組みを改めない限り、ムダな歳出は続きます。また独立行政法人との関係など、政府が手柄を上げる施策は大量にあるにも関わらず、単に歳出増でこの危難を乗り切ろうとすれば、政府の無策ぶりを露呈するだけになります。
そして来年度予算の甘い見積もりが、仮に任期である9月まで総選挙の開催時期を延ばした場合、政権の首を絞めかねない重大な疑義を国民に生じさせることになります。8月に出される概算要求、その時までに税収不足に伴う赤字国債発行などが議論の対象となってきますので、この歳出増に伴う影響が麻生政権の首を確実に絞めることになるのです。

そのときも埋蔵金という話であれば、この国は一体どこに、どの程度の埋蔵金を抱えているのか?ということも議論の的になるでしょう。この予算原案、景気対策、雇用対策、少子化対策など様々なものを詰め込みましたが、新たな国の形も示せない政府にこそ、対策を打とうという機運を国民に巻き起こしてしまうのかもしれませんね。

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2008年12月19日

日銀が0.2%の利下げへ

日銀が政策金利を0.2%引き下げ、0.3%から0.1%とすると発表しました。ゼロ金利にしなかった理由は、短期金融市場の市場機能維持を挙げましたが、本音は10月に決定した当座預金への0.1%の付利について、効果を見極めるためにもそれ以下には出来なかった、というところでしょう。
預金金利が即座に0.12%から0.04%に引き下げられましたが、当座預金への付利がつく金融機関は0.1%の誘導金利+当座預金への付利0.1%で、見かけより収益を上げている形になります。これを容認し、銀行に預金金利の低下だけを許せば国民への説明がつかない点が危惧されたと推測しています。

合わせてCP買取も発表しましたが、これは例年であれば年後半から電力会社を筆頭に大企業がCPを発行し始め、それを金融機関などが引き受けます。しかし電力会社すら引き受け手がいないことを危惧され、大企業もCP発行に二の足を踏んだこと、その結果大企業の銀行借入が拡大し、資金繰り懸念が強まったために日銀も対応を迫られた面があったのでしょう。
また長期国債買い入れを月1兆2千億から1兆4千億へと増額し、長期金利の低下を促す施策をとることを発表しました。財政出動を示唆したことにもなり、量的緩和は否定していますが、事実上の新たな段階に日銀が踏む込むことを示す、そうした白川総裁の記者会見でした。

市場はすでに利下げを織り込んでおり、瞬間的な好感はありましたが、その後反対売買で戻しています。利下げ幅を刻むことに不可解さを感じる人もいますが、むしろ1%以下の金利では誘導性が低く、米国のように1%から0%へ下げても、日本のように0.3%から0.1%へ下げても意味は同じです。金利差が為替に影響する、という意見もありますが、為替は一度傾き出すと継続した動きを示すものであり、コンマ幾つの金利差が標的となることは少なく、効果は限定的です。
最大の効果はアナウンス、と与謝野経財担当相が認めたように、効果は極めて限定的です。それでもやらざるを得ないのは、市場が誰がこの危難を救ってくれるのか?というメシアの登場を望み過ぎるからです。市場主義が蔓延した米国で対応が早いと言われるのも、市場の期待値ばかりが先行するためでり、では今後この不況が長期化したら?という展望は誰も語っていません。
対策の手を打ち尽くした後の世界で、景気が低迷することになれば、誰がそのメシアになるのか?日米ともに財政不安を抱え、誰も救いの手を差し延べられなくなったとき、そこからが本当の試練です。今後の世界景気の行方を短期、中長期に分けて展望できていない、今の場当たり的な対応が将来の足かせにならないことを、今は祈るばかりですね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2008年12月18日

雇用問題より消費者庁が大事?

野党3党が参院に提出した雇用対策4法案が、参院で強行採決されました。与野党ともに非難合戦に陥っており、この法案が政局の象徴のような形になっていますが、雇用問題が国民にとって喫緊の課題であることに間違いありません。この問題で麻生氏がぶら下がりの中で「消費者庁の方がよっぽど重要」と答え、慌てて雇用も重要と言い直す場面がありました。そうやって本音がチラチラ見え隠れするところが、麻生氏が国民に嫌われる最大の原因なのでしょう。

以前、雇用問題は大きな政府指向だと述べたことがあります。当然のように、いきなり収入がゼロ、住居が奪われれば最低限のセイフティネットとして、失業保険や住居対策費などを手当てしなければならず、政府がこの問題に多大な関与しなければならない事態となります。
本来、雇用調整としてののり代を労働意欲のある高齢者に求めれば、仮に失業しても年金という収入があり、最低の生活は賄えることになります。しかし年金は働けば減らされるために高齢者も労働意欲をそがれており、こうした雇用調整の役を果たすには不十分な状態です。結果として、働き盛りの世代が雇用調整の標的となり、安定した生活を奪われるために家庭をもつこともできません。この問題とは、雇用だけでなく少子化対策の一端でもあるのです。

翻って消費者庁とは、食の安全などの一定の生活を確保された上で、より安全、安心に生活するための庁です。どちらが重要かは火を見るより明らか、セイフティネットを整えることが、政府の最低限の仕事であり、それが出来なければ政治はその任を下りなければなりません。
野党が雇用法案など出しても何の意味もありません。財源手当てを握るのは政府与党だからです。そんな中、与党が銀行等保有株式取得機構に20兆円の資金枠を決めたようです。これは銀行が抱える株の価値が目減りし、自己資本比率の悪化した金融機関が貸し渋り、貸し剥がしをすることを防止し、資金繰り対策として貸し出しを期待して行うものでもあります。

ただ邦銀等の株式保有は以前から疑問視されていました。バブルの失敗を再び邦銀は繰り返しているのであり、流動性対策としてもそこに20兆円もの巨額な資金を投下するのが是か?そしてこの流動性対策は、すでに幾つか別の対策も打たれており、十重二十重にこの部分に手当てをすることが必要か?ということは検討の余地があるものです。
セイフティネット、という本来必要な対策が遅れる。対策を地方や企業に投げ、中央の政治家は政局睨みで動かない、ということがどういう結果をもたらすのか?政府は絶対に必要な対策と、野党が反対する対策とをセットで通そうとしがちですが、今そのような平時の国会対応で国民が納得するほどの状況ではない、ということを政府は意識すべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年12月17日

米国がゼロ金利政策へ

昨日の米FOMCで政策誘導金利(FFレート)を0〜0.25%程度に引き下げる、つまりゼロ金利政策が打ち出されました。これを受けてドル安、逃避的に円やユーロがドルに対して高くなっています。量的緩和も示唆されましたが、すでにCP買取やGSE2社の債権買取でFRBのバランスシートは法的上限を突破し、量的緩和状態にあります。更に市場に資金を供給するための手段として、どんな手を打つかによっては今後、米国経済が不安定化することも視野に入ってきました。

この政策は米国が一国主義に陥ったことを意味します。声明文の中に、インフレ期待が後退し、この異例の対応も容認されるという文言があります。米国で懸念され始めたデフレは借金を見かけ上悪化させ、深刻な打撃となります。そこで形振り構わずインフレ誘導する、というのがこの文言の解釈であり、為替に現れた深刻な影響は80円割れを試しに行く可能性を示唆しています。
そして更なるデフレ圧力が掛かる時、FRBに打てる手は国債買い入れか紙幣増刷、イレギュラーな対応であれば当座預金への積み増しなどもありますが、いずれにしろ市場に資金をジャブジャブに供給する策となります。そしてこれらはFOMCなどを経ず、散発的に発生することになり、為替相場はFRBの動きを警戒してドル安方向に常に強いバイアスがかかった状態となってしまうのです。

これは資源、農産物などの価格上昇を引き起こし、更にドルペッグ制をとる国にインフレ圧力をかけます。米国はそれらを黙過し、デフレ阻止の強い姿勢を示しました。一方でこれは輸出産業に有利でも、利ザヤを稼ぐ商業銀行にとって不利に働きます。シティの投資業務も財務省管理下にあって動きが鈍化しそうですが、金融機関にとっては厳しい収益環境に陥ることは間違いありません。
米国では今、信用保証の付け替えという作業を行っています。企業や金融機関が発行するものはほとんどが投資不適格であり、それらをFRBや財務省が手当てし、資金繰りを賄っている状況です。一般の金融機関が保持すると、財務内容が悪化するため手元に置けません。そこで最大の信用保証組織が国ということですが、いつまでもこの対策を続ければ、財務内容の悪化が米財政で懸念される事態となり、最悪は米国の国家破綻ということも意識する必要が生まれ、それらが更なるドル安圧力となるのでしょう。

一部の著名投資家が証券市場で今が安値と買い漁っているようですが、これらも企業が破綻しないという想定で出来ることです。しかし米国自らが壊れたら?そういう想定も必要なのでしょう。
問題はこれで米経済が建て直せるか?ですが、ドル安でも輸出産業が活性化されず、金融も機能停止に陥る中では厳しくなります。デフレを恐れてゼロ金利に陥った米国に、世界を牽引する力はありません。特に、モノの流れだけではなくカネも世界を飛び交う現在、一国主義では世界経済の低迷を益々加速させ、回復を遅らせるばかりとなります。今回のゼロ金利政策、世界を巻き込んで不安定さを増す対策であり、極めて深刻な事態といわざるを得ないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2008年12月16日

自民党内の動きが更に活発に

中国から最近、民主化に向けた動きが静かに始まっているとの記事が目立ちます。有識者らが08年憲章と呼ばれる民主化政策を打ち出し、ネットを通じて署名を呼びかけるなど、積極的な活動を続けています。当局もこうした動きを押さえ込むため、報道規制や取り締まりを強めており、経済混乱に伴う政情不安に対して必死の抵抗を示しています。
しかし中国共産党が目の敵にする法輪功が立ち上がれば、共産党員を凌駕する数が反政府に回りますし、出稼ぎ労働者の多い中国社会で、この労働者層が流民化すると治安悪化が顕在化します。黄巾の乱、紅巾の乱、義和団の乱、中国では流民が糾合して中央政府に逆らった例は枚挙に暇がありません。今回の急速な景気悪化でも、欧米の自動車産業の買収に積極的とされる中国にとって、足元からぐらつき始めるとその強気の態度がどこまで続くのか?微妙になってくるのでしょうね。

日本では政局が波乱含みです。自民党山崎氏、加藤氏、民主党菅氏、国民新党亀井氏がYKKKなどと名乗ってメディア出演し、政界再編の思惑を語りました。一方、自民党古賀選対委員長が比例投票における公明党との連携に対し、疑問を投げかけたことで与党内の結束に疑義が生じました。
前者は泥舟から逃げ出す算段と、その後の提携を睨んだ動き。後者は最近強硬な態度をとる公明に対して軽く牽制する動きと、どちらも自公一体と見られることへの警戒がそうさせています。公明も泥舟・自民と船団を組んでいては厳しい、自民も創価学会と折り合いの悪かった支持母体、立正佼成会との関係が悪化してきましたから、ここらで改めて支持基盤を固めたい、との思惑もあるのでしょう。

ただ今回が政界再編の好機か?というと全くそんなことはありません。政権支持がこれだけ沈めば、野党はほぼ勝利が確実となり、わざわざその船から飛び下りて泥舟に乗り換える必要はありません。自民党側から積極的に政界再編の声が聞こえても、それは自己保身のためであり、真に国家を考えたものでないことは明白のため、支持が得られるはずもないからです。
政界再編が起きるのは次の次の選挙、どちらが最大与党になってもそこが禊の場となります。伊吹氏がYKKKを米国の白人至上主義団体KKKに例え、若手が暗殺されないように…と発言したようですが、KKKは最盛期には黒人のみならずソ連共産主義の脅威を受けて共産党主義者などまで排斥の対象にしました。社会不安が拡大する時、排外主義ばかりではなく、理念すら攻撃対象になるという意味では、自民党議員の口撃はより辛辣に、他を攻撃する方向で向かい易くなるのでしょうね。

最後に一つ、公益法人の理事を所管省庁出身者割合で3分の1以下に規制する案ついて、政府は困難とする答弁書をまとめたようです。法律に掲げるなら簡単に、公益法人の理事は勤務5年以上経過しない者は認めない、と書けば今のような2、3年でワタリを繰り返す行為も激減するはずです。問題はやる気のない政府態度であり、こうしたものを見ると現在検討されている人事を一括で内閣府がまとめる案も、何の有効性もないと自ら示していることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年12月15日

12月日銀短観と政府の態度

12月の日銀短観が発表されました。大企業製造業の業況判断指数(DI)が-24、非製造業で-9、中小企業は製造業、非製造業で-29、という結果になりました。34年ぶりの落ち込み幅、大企業製造業の経常利益は下期に3割の下方修正、設備投資計画は下期に2.7%の上方修正になる見込みです。しかし雇用に関して、大企業製造業が不足気味の-2から過剰の8へ、中小企業の過剰感は6から16となり、設備投資計画と人員計画は連動する傾向があるので、設備投資についてもここ数日の傾向を見る限り、下方に見直されることになるのでしょう。
また資金繰り懸念が大企業にも及んでおり、大企業で15→7、中小企業で-11→-15へと、それぞれ悪化傾向を示しています。政府が日銀にCP買取を要請していますが、米FRBの対策と同様に、信用市場のワイド化が顕著になってきた日本でも必要な対策との主張です。ただし政投銀と違い、日銀はオペなどを行うために大量の流動性を確保していなければならず、資産の劣化が進むと定常業務が滞る恐れもあります。中央銀行が一般企業の信用リスクに晒されることは本来イレギュラーの姿ですし、政府が対策として利下げを期待する態度も間違いといえるのでしょう。

米国ではビッグ3救済が話題ですが、現状の米国の対策は社会主義型の経済回復策です。先にEUが米国に対し疑義を申し立てたように、ビッグ3に政府支援が入れば国家支援のある企業と、他国の自動車メーカーが自由主義市場で競争を余儀なくされます。しかもFRBがCP買取を行い、巨額の設備投資も可能となるようなら、民間企業など比肩するべくもないでしょう。
今、日本に迫られているのはこの判断です。農業の分野では、多額の補助で安価な農産物を生産し、それを輸出することで回収する欧米型の政策に遅れをとりました。製造業でも同様となるのか、それとも自由主義を堅持し、国家支援のある欧米企業と対抗できるのか、日本政府が示すべきはコソコソと米国の追従をするような対策ではなく、こうした欧米企業とどう対峙していくか、です。

今回の日銀短観、特に問題は雇用DIに急速な過剰感が生まれたことです。これは欧米に輸出することで経済成長を遂げた新興国も同様であり、世界全体が就労環境について何らかの対策を打たねばならない、こうした状況にきています。そんな中、野党3党から雇用対策法案が参院に提出されました。
政局睨みですし、この法案が成立することはありませんが、与野党の行動という点で国民に判断が委ねられることは間違いありません。麻生氏の1次補正で当面十分という主張が正しいのか、年内に法案化し、一刻も早く救済の手を打つ方が正しいのか、選択肢を与えることが1つの焦点になります。
政府はこれまでも企業に雇用確保を『お願い』したり、賃上げを『要請』してみたりと、今回の事態に法制化ではない態度で臨もうとしてきました。結果としてそれが浸透せず、国民には政府の対応が遅い、成果を出していないと判断されています。相手の良心や配慮に期待する態度を、一体いつまで政治が続けるのか?こうしたことも次の選挙には影響してくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2008年12月14日

雑感。医療被害者への中傷について

フィギュアスケートのグランプリファイナルで浅田選手が優勝しました。攻めのスケートを公言し、その通りのチャレンジを成功させ、見事に優勝を飾る。久しぶりにスポーツで気持ちのいい勝ち方を見せてもらいましたね。ゴルフの石川選手といい、プレッシャーを力に替える選手には本当に驚かされます。不景気で日本に元気がない折、特に若い世代には頑張って欲しいですね。

割り箸が喉に刺さって死亡した保育園児の事件で、東京高裁の無罪判決と上告断念をうけ、被害者遺族にネット上で誹謗中傷があったとする記事がありました。事実関係は別にして、この動きの背後に日本もアジア圏特有の情調に流される傾向を見出すことができ、非常に残念に感じます。物事の真実を明らかにする行為は、感情で捉えるべきではありません。
米国ではクレーマーに対して寛容です。むしろ最善を尽くせない企業、団体に対しては容赦なく慰謝料の支払いを命じます。合理的思考の産物であり、いわゆる要・不要の判断が絶対なのです。この事件では、遺族は医療過誤の是非を司法の場で問うものでしたから、クレームとは異なります。感情論で判断し、相手を責める行為は極めて悪質と言わざるを得ないでしょう。

医療と司法は極めて遠い世界です。命を扱う現場であるにも関わらず、医療に精通した第三者の存在は皆無です。立証に必要なものは、主に訴えられる当事者が準備する以外にありません。そのため不信感を生じ、どこかにその判断を委ねざるを得なくなります。必要なことは真実の証明を誰が行うか、そこに信頼が成立するか、であって提訴する側の心証は特に関係ないと言えます。
つまり医師が医療過誤がない、問題ない、ということを言い続ける限り、裁判という形しか遺族はとれないのですから、そこにハードルを設けても何の解決にもなりません。中立の第三者機関による、医療調停機関を作るような制度改正、そうした方向に進まなければならないのでしょう。

私の友人の家族も、ガン治療で処方された薬で廃人同然のような状態になり、病院と薬を変えたところ以前の状態に戻ったということがありました。ガンなので強い薬もあるかと思いますが、移った先の医師も驚くような突飛な薬であり、これも医療過誤では?と友人も疑っていました。
セカンドオピニオンでも同様ですが、医師が必ず正しい治療を行っているのか、それを確認するような制度も必要なのでしょう。こうした動きは、双方に歩み寄りがない限り決して解決しない問題であり、どちらも責めることは出来ません。誹謗中傷という行為は、偽善と憂さ晴らしの結果でしかありませんし、こうしたことは戒めていかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 医療問題

2008年12月13日

日中韓首脳会議が開かれる

福岡で開催されていた日中韓首脳会議で、共同声明が採択されました。GDPベースで世界の17%弱という三ヶ国が、定期的に首脳同士が集まって諸問題を話し合う、いわば東アジア、ひいては東南アジア諸国を含めて、EUに匹敵する経済圏を構築するための前段階、足がかりにしたい意向です。
今回の会談で採択されたのは3点、ゞ睛札汽潺奪箸旅膂媼存修閥睛札好錺奪弑定などの地域経済協力、∨漂辧⊃椋匐力、7浬漫核不拡散、環境などの地域問題への一致した取り組み、です。,砲弔い討脇韓、中韓でそれぞれ300億$規模相当の通貨スワップとなる見込みであり、ウォン安への対応とする意向です。また保護主義に陥らぬようドーハ・ラウンドの早期妥結に向けた努力も示しています。

では先の六カ国協議の決裂に失望感を示しています。ただ米国が核検証の決裂をうけて重油支援を停止する意向ですが、中国は行動対行動の原則に拘っており、今回の米国の動きを受けた中国の反応には注意しておいた方が良いでしょう。核検証に必要な行動を促すには文書化、即ち言質だけではない明文化が必要ですが、中国は支援枠を拡大する方向で文書化を北朝鮮に促すことになると、一層の支援拡大などの提案をする可能性があります。
しかもこの三国で軍事力の脅威を感じるのは中国です。日本や韓国は単独で兵を動かす可能性は極めて低いですが、中国は豊富な兵力と最近の近代化により、一国で対外軍事行動が可能です。軍縮は最大軍事国から率先して範を示さない限り絶対に推進できませんが、現状の中国にそうした指向はありません。しかも大量の米国債を握り、軍事予算の捻出という米国の首根っこを押さえられる力をもった中国に、話し合いで軍縮を促すことは難しいのでしょう。唯一の可能性は、経済混乱で各国が軍事費を削らざるを得なくなる場合なのでしょうね。

環境面では、毎年発生していた日本海の巨大クラゲが、今年は激減しているようです。理由は様々でしょうが、その一つに夏場の北京五輪も影響していると考えます。一時的な経済活動の低下が、東シナ海の海岸沿いの腐栄養状態を緩和し、それがクラゲの発育にも影響したと考えています。
中国の農薬が日本に運ばれている、というような多国間環境問題は、今後も議論を重ねていくべきであり、また中国産野菜やウナギなどの食の安全に関しても、この日中韓会談は意義のあるものとなるのでしょう。ただし、現状の中国の外交方針を鑑みると、決して会議の行方を楽観できる状況ではなく、むしろ戦略的な協調を念頭に置かないと、日本外交は厳しいのでしょう。

最初に言いましたが、東アジア経済圏は北米、EUと並ぶ第三極になり得る可能性をもっています。ただし、主導権争いは今後、この三国で激化することが必至であり、中韓に負けない日本外交が求められているのは間違いありません。ただ今回もおや?と思わせるほど内容は詰められていない印象があり、支持基盤の弱い麻生政権だけに、外交力の面で問題が残ることは現状仕方ないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2008年12月12日

麻生政権による23兆円規模の対策について

米ビッグ3救済法案が廃案になりました。問題は、市場の楽観も極端でしたが、全米自動車労組(UAW)がそれでも救済されるだろうという最大の楽観者だったことです。労務費の引き下げに関し、議会が求めた09年から見直すとの提案を拒否し、11年からを主張し、これが決裂の引き金となりました。共和党上院議員の修正法案も企業側には厳しい内容でしたが、労務費を日系の企業と同程度に抑えることすら拒否した、その傲岸不遜さが自らの首を絞めたことになります。
今後は金融安定化法(TARP)の資金活用を模索することになりますが、すでに3500億$のほとんどを使いきり、新たに3500億$をつぎ込むには議会の承認が必要です。新政権へのお土産のはずが、年内に承認を通過させるのか?ビッグ3を見捨てるのか?決断はブッシュ政権次第なのでしょう。

為替も一時88円台に突入するなど、来週のFOMCで0.5%利下げを織り込み始め、ドル安に傾き易かった市場を直撃しました。更にドル調達が緩み気味であり、ユーロ高に傾いていたユーロも連れ高し、日経平均は一時600円を超す下げ、25日線も下にブレイクし、一時的に広がっていた楽観論をもう一度見直さざるを得なくなった、という点が大きいのでしょう。
一点、自動車株が大きく売られていますが、ビッグ3破綻が起きても、米国消費者の自動車需要がゼロになるわけではありません。淘汰はそこに商機もあり、特に日系メーカーにとって今回の問題、有利に働かす戦略も描けるはずです。短期で見れば部品調達の面でマイナスでも、中長期の視点でパイの拡大を伴えばプラスと捉えることも可能です。これは連鎖売りの一環ですが、他人の不幸は蜜の味、という日本人が下手な企業戦略をもてれば好機と捉えても良いのでしょうね。

そんな中、麻生氏が23兆円規模の対策を打ち出しました。政投銀や商工中金を通じたCP購入、1兆円の地方交付税、住宅ローン減税など既報の内容を含みますが、財源については赤字国債ではなく埋蔵金に頼るとの内容です。また消費税引き上げ時期についての言明はありませんでした。
内容は1年前から米国で打たれた景気対策と似通っており、日本の何が問題なのか、どうすれば経済が回復するかの道筋もありません。費用対効果の面で考えると、枝葉への手当てが多いために規模は拡大しますが、効果は限定的と言わざるを得ないのでしょう。根に栄養を与え、成長を促す対策ではなく、枝を切り揃えて見栄えを良くしようとしても、いつかそんな木は枯れてしまいます。

たった一言で済む財政政策があります。それは「特別会計を廃止し、全て一般会計にする」というものです。花咲か爺さんがここ掘れワンワンと言われて埋蔵金を掘り出すよりも、桜を咲かすための肥やしを今は撒くべきであり、肥やしとは即ち予算がなくても出来るシステムの改善です。経済も大事ですが財政も大事、今の日本には過去の失政からこうした両睨みが必要なのです。埋蔵金を掘り出しては湯水のように使っていると、いつか花咲か爺さんの隣の家の意地悪爺さんのように犬を殺してしまう、そうならないことを願いたいですね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2008年12月11日

米ビッグ3救済法案が下院を通過

米国でビッグ3救済案が下院を通過しました。140億$のつなぎ融資と、監視委員の設置で経営再建計画を監視し、計画の進捗次第では破産や事業継続のための追加融資を決める、という内容であり、上院の採決を待つ状態です。しかしこれは時間を引き延ばすだけの最悪の方策です。米ビッグ3は仮につなぎ融資で延命できても、近いうちに再び経営危機を迎えることになるのでしょう。

1つはこのつなぎ融資、再建計画次第では引き上げられる点です。納税者保護を優先するあまり、公的資金を優先的に引き上げてしまおうというのですから、仮にその時点で破産すると解散価値が低くなります。しかもこのつなぎ融資は運転資金にしかなりませんから、解散時の資産は引き上げとともに現状より目減りすることが確実であり、破産する時点の資産は著しく低くなります。
すると仮に破産した際、再建を目指す連邦破産法11条の適用ではなく、解散を命じられる連邦破産法7条しか選択肢はなくなります。つまりこの法案、つなぎ融資ではなく、公的管理下の延命措置という形でしか解釈できなくなるのです。すると民間からの資金調達は不可能、公的資金の注入以外追加融資はありえず、まな板の上の鯉の生殺与奪権を国が握った形にしかならないのです。

そして更に既存株主、債権保有者が無価値になる恐れがあります。このビッグ3救済案にブッシュ政権が傾いた背景には、330万人に及ぶと言われる失業者対策とともに、1兆$に及ぶ債権が無価値になることを恐れたものでした。それがリーマン破綻と同様の連鎖破綻懸念を引き起こし、経済が大混乱するとしたリポートの存在が、この救済案に正当性を与えてきたのです。
つまり現時点における米政府、議会の最善は、選択することでした。破産法11条を使ってでも絶対に生き残らせる、となれば雇用は確保できますが、一方で債権放棄により金融機関は痛むことになります。破産法11条は使わず生き残らせる、となればリストラの加速で雇用は犠牲になりますが、債権者は僅かですがリターンを期待することが出来ます。

今回の法案、どちらの選択も行わず延命のみ。その先にあるのは全員が不幸になる道か、公的資金を注入し続けて改善を待つか、という悪魔の二択しかありません。しかも気になるのが2ヶ月で4000億$を突破した米財政赤字と、雇用統計の落ち込みです。どちらも担保して健全性を保つことは難しい、これが米国に突きつけられた現実とも言えるのでしょう。
GMACの銀行持ち株会社への転換も、債権者が難色を示しているため、頓挫する可能性があります。売却話や業態転換の話など、一時的にGMの収益のほとんどを稼ぎ出していたGMACも、いまやお荷物でしかなくなりました。いえ、ビッグ3自体がデトロイト3などとも呼ばれ、米国の象徴でなくなった時点で、米経済にとってのお荷物になってしまったのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年12月10日

雑感、行政のムダに関して幾つか

福田政権下で解体が示された雇用・能力開発機構が、高齢・障害者雇用支援機構に統合される方向で話がまとまったようです。どちらも厚労省所管、結果的に独立行政法人を肥大化させただけで、国家機関のスリム化の流れとは大きく乖離することになりました。
甘利行革担当相は経産省との結びつきが強く、解体後の機構の業務をどう引き継ぐのか?で厚労省と綱引きした結果とも伝えられています。しかし雇用・能力開発機構は民営化が可能か?という議論が先にあったはずであり、事業全体を見直さなければなりませんでした。麻生政権では、すでに官僚の統制能力をなくした結果、と捉えると厳しい状況だと言わざるを得ないのでしょう。

政管健保(全国健康保険協会)に対する1000億円の国庫負担を、健保組合に肩代わりさせる特例法案が廃案となる見込みとなりました。1000億円分は2次補正で穴埋めする方向で検討されるようですが、すでに一部の企業で健保組合を解散、政管健保への移行を進めていますから、国庫負担を減らそうとして付け替えても結果的に国にはね返ってくるのはこの動きがなくとも自明です。
上記とあわせ、これらは国が行う事業、業務と、企業に負わせる負担、担うべき業務との境を国が正しく認識できていないことで起こっています。国が民の部分の業務を行えば、コストはかかりますが官の組織は肥大化し、予算もとれることになります。これは本来行政のムダの部分であり、民でできることは民で、という流れにも逆行するものです。現状の独法改革や行政改革に対するゼロ回答、整理縮小もできない閉塞感に繋がるものともなっています。

そんな中、橋下大阪府知事が国直轄事業の負担金に言及しました。地方も恩恵を受けるので負担は当然、という議論と、本当に地方が望むものを国が事業として行っているのか?という疑問。道路建設費の国と地方の算出方法の違いなど、様々な面で波紋を広げるものとなります。
そしてこれは、省が計画して予算枠を獲得しても、地方行政との話し合い次第では工事が遅滞することを意味します。地方整備局に調整能力が求められ、不調に終われば予算の面から工事が止まる。上意下達式のこれまでと異なる流れが出て来ると、困る立場、救われる立場が現れますので、それらの一得一失で論じられていくべき問題ともなるのでしょう。

しかし法律上の問題がありますし、国交省に逆らえる地方も少なく、仮にこの手法が認められても問題は多く残ります。ただムダの削減という観点では、事業規模や期間などを調整できるようになれば、別の視点で検討が行われることになり、プラスの部分も大きいものです。今後も税収減が見込まれる中、余計なコストをかけない方向で行政を運営できる方法、そうしたものを国も地方も求めていかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 行政 | 地方

2008年12月09日

雇用問題が広がる

ソニーが全世界で16000人を削減する、と発表したことで、国内でも俄かに雇用問題が取り沙汰される事態になっています。今回、より深刻なのは90年代から目立ち始めたリストラでは、早期退職に応じれば退職金を上積みする、いわば団塊世代の大量雇用時代の負の遺産を清算するという、50代以上の年齢層を狙い撃ちした対策でした。当然退職金も出ますし、第二の人生を考えてリストラに応募し、自らの判断で会社を辞めることが出来ました。
しかし今回は非正規雇用を始めとした正規雇用まで、団塊世代の大量退職が一巡した後の、若年世代にまで及んでいることが問題を深刻化しています。失業手当も退職後すぐは出ませんし、短期の期間工は失業保険にすら入っていない場合もあります。つまりいきなり無収入という状態に追い込まれることになり、それが社会不安に繋がる事態に直結し易いのです。
トヨタが世界に驚愕を与えたように、黒字企業が社員を大量解雇することは、世界には奇妙に映ります。コスト意識の高い日本企業、という以前に、企業は雇用による社会貢献を求められており、御手洗キャノン会長の言うような「やむにやまれぬ事情」とは、事業継続性が疑われる事態まで企業が追い込まれている場合に使うのが、世界の常識だからです。

政府が与党から提出された雇用対策を受け入れましたが、今回の事態が起こった背景には、1999年に見直された雇用関連法の影響が挙げられます。日本が総中流社会と呼ばれた背景には厚生年金、社会保険など、企業に社会保障の分野を担わせていた部分も大きかったのです。それが99年以降、04年に非正規雇用の業種が拡大された結果、社会保障のない労働者が拡大した。つまりこの雇用関連については、『大きな政府』型の改革が進められたといって良いものなのです。
政府が社会保障費の増加分2200億円を削減してきたのも、企業のコストであった社会保障を国に戻した国民年金、国民健康保険の上積みも増加には寄与しており、そこで全体を削れば医療、介護にしわ寄せが行くのは当然でした。つまり企業のコストカットが国の負担を増大させたに過ぎず、ここに来て今回、企業が大量解雇するのですから、失業保険や無年金、無保険に陥る人間が増えることになり、益々国家が関与して救済せざるを得ないことになるのです。


しかし企業とて、無闇に雇用を削っているわけではありません。実質GDPの2次速報で前期比0.5%減、年率換算1.8%減、来年もマイナス成長が見込まれ、更に先進国も軒並みマイナス成長、収益確保は難しいという判断は容易に出来ます。大量消費社会は米国の失速で崩れ、モノ作りでは食べていけないとして労務費を削ることで、企業は生き残ろうとしているのです。
しかし米ビッグ3でも、メリルリンチCEOも同様ですが、経営を傾かせた責任をまずとるのは経営者のはずです。役員報酬が高いまま、雇用を削って経営の安泰を図ろうなど、企業の責任を果たしていない経営陣は糾弾されるべきなのでしょう。今回の雇用問題、社会情勢とともに企業にはより重い課題を突きつけることになるかもしれず、また国にとっても財政負担という深刻な事態を引き起こすことになるのかもしれませんね。

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2008年12月08日

経済の話。中国の中央経済工作会議が始まる

今日の日経平均は力強い上昇を演じました。これは現在の売り主体である外国人投資家が出て来ない間に上げておこう、という国内勢買い方の思惑と、ボーナス支給に伴う企業内の持ち株会などからの買いと見受けられます。個人は現在の株価水準を割安と見ており、口座開設をしていない人間が持ち株会を通じて自社株を買っておこうと、一時的にボリュームを増やしたために大きな買いになっているのでしょう。
そして今日の市場では、中国の経済政策を左右する中央経済工作会議が10日まで開かれ、そこで市場刺激策が打ち出される、という期待でアジア株が堅調になった動きも大きいものでした。しかし中国は07年のGDPで25兆元弱、現在の円換算で340兆円程度しかない国です。先に打ち出された4兆元の対策、更に地方では30兆元を上回る対策が打ち出される見込みですが、こうした国内経済規模を上回る対策が、中国経済に対する楽観的な見方を生み出す背景となっています。

しかし違和感があるのは、中国は5000億元弱の資金を軍事費に回す国です。人民解放軍の維持費では人件費の割合が高く、この規模を削減はできません。一方で今後、経済情勢が悪化すれば、テロや暴動が頻発することも考えられ、益々人民解放軍の規模を縮小するわけにはいかなくなります。また中国経済の拡大に伴い、給与水準が上がっていることから、兵士にも人件費高騰の波が襲いますので、09年は更にこの軍事費に予算を割かねばならないはずです。
中国の中央銀行(中国人民銀行)は、11月に貸し出し基準金利を一年物で1.08%引き下げて5.58%、預金準備金利を2.52%としました。9月から4度目、更に大幅引き下げであり、中国の危機意識が窺えます。そして来年の成長見通しで7.5%が出されるなど、増加する労働力を吸収する成長を遂げないと、治安が不安定化するとの懸念も一方では拭えないものとなっています。
中央経済工作会議で仮に内需拡大策を打ち出せても、外需が回復するわけではありません。11月の輸出も急減が見込まれますが、2月危機説が現実になるのか?また歳入減の中で景気刺激策に捻出する予算はどこから?北京五輪後の大規模公共投資とは?という様々な懐疑的な視線の中で、中国経済は難しい舵取りを続けていくことになるのでしょうね。

先週末にはインドも1%の利下げを行い、先にはEUでも大幅利下げに踏み切っています。世界は協調して超低金利状態へ突入しており、米国でも来週のFOMCで0.5%の利下げがあるのでは?との期待感も相場を支えています。特に米国の住宅ローン金利が下がったとの記事もありますが、まだ5.5%以上あり、住宅価格下落に歯止めがかかるまでは借り換え需要の下支え要因であって、潜在的な購入意欲はまだ先なのでしょう。
米はオバマラリー、アジアは中国経済の成長維持、今は様々な楽観が市場を支配しています。ただ忘れてはならないのは、雇用と消費の落ち込み、その下落カーブにいつ歯止めがかかるのか、ということでしょう。世界的なこの流れを公共工事で補おうという米国と中国、期待感ばかりを抱いていると危険な面があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2008年12月07日

衆院の解散時期について考える

最近では与党内の動きが活発となっています。全て政界再編睨み、自民党が政権与党から下野した場合に備えた動きですが、その帰趨も含めて考えてみたいと思います。

先に小沢民主党代表が超大連立を持ち出しました。麻生内閣が総辞職し、全ての与野党が参加する形の選挙管理内閣、これはオバマ氏の共和、民主に跨る重鎮内閣構想に似ていますが、金融危機に対応するための一時的な全党一致体制で国難を乗り切ろうという表の理由と、背後には来年9月に控える総選挙に向けた政界再編も想起させるものとなっています。
現実問題として、麻生氏が解散権を放棄して総辞職する可能性は低く、あったとしても再び自民党総裁選を行い、自民党から総理を選出する形になります。しかしこの発言が伝わった後、自民党内の動きが俄かに活発化しました。誰もが小沢氏は政界再編を睨んでいる、ならばその船に乗り換えても良いのではないか?と意識したことになり、小沢氏の術中に嵌った形です。

その代表格は中川秀直元幹事長であり、議連立ち上げで脱党組みを攫い始めました。渡辺元行革担当相も安倍政権下の旧勢力を糾合しつつあり、石原幹事長代理は派閥領袖の山崎氏の意向を汲みつつ、政権批判を始めています。沈む船と生死を共にするわけにもいかず、いち早く飛び下りたいとの思惑ですが、一方で早めに飛び込むと自分が溺れてしまう可能性もあります。
選挙には資金が必要ですので、上記のメンバーで選挙前に離党、新党を立ち上げられる可能性はは低くなります。現実には平沼新党の立ち上げに合流といった、資金面のサポートを受けられないと厳しいのでしょうが、郵政絡みで平沼氏と中川氏は対立する主張もあります。また別の新たな枠組みで新党構想に打って出ても、大政党に有利な現状の選挙制度では、小規模の政党になるとどこまで戦えるかも分かりません。

恐らく今回の動き、自民党の枠組み内で選挙は戦っても政府とは距離を置く、そうした意識の表れなのでしょう。選挙結果次第では離党、新党を結成して第三極として民主との連立政権、といった形を目指すのでしょうが、こうなるとまさに政策より政局で政治家が動いている形になり、国民の政治不信は益々高まるものと思われます。
では小沢民主党に死角はないのか?というとそうでもありません。小沢氏は敵を攻撃することには長けていても、味方に餅を配るのは下手です。民主党に常に党内分裂の噂が流れるのも、小勢力の寄り合い所帯であるのと同時に、守勢に回ると脆い側面があるからです。

ただ麻生政権の失態ぶりから判断すると、来年の初めに解散に追い込まれる可能性は高くなります。公明もそれを望み、党内からもそうした声が上がり、尚且つ国民も早期解散を望んでいる。幾ら2次補正を人質に選挙を伸ばそうと、予算案を選挙の焦点化させ、対立軸を演出しようと、今度の選挙は麻生氏に対する信任投票となる形が確実です。与野党内の動きが麻生氏を敬遠し始めた中で、末期のブッシュ政権以上に死に体の醜態を晒し続けることが出来るのか、後は麻生氏の決断次第でもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年12月06日

与党の雇用対策が示される

与党から雇用対策が示されました。派遣社員を正社員にした企業に中小なら100万円、大企業に50万円の支給。雇用保険の拡充、地域での雇用創出、内定取り消し対策で悪質業者を公表、社員寮を退去させられた離職者に対する入居のための初期費用を貸与、などが提案されています。
総額2兆円規模ともされますが、財源手当てはこれからであり、2次補正にも影響する提案です。選挙間近で雇用対策を打ち出さなければならない、という党内事情がありますが、この手のバラマキ対策は好感されません。まず社員採用に関する企業への支給では、ペーパーカンパニーを使った不正、詐欺などの監視も必要となってきます。地域での雇用創出に4000億円規模の基金、とも提案されていますが、再び地方への丸投げとの批判も出そうです。

今回の景気混乱に伴う世界的規模の雇用調整は、確実に企業の生産調整へと移っています。米雇用統計で53万人の減少、失業率6.7%で長期失業状態に陥る層が拡大していますが、この数字は購買意欲の減少幅とも受け取れます。すると生産調整が起き、更に失業者が増え、このバランスがとれるまで景気低迷が続くと予測されるのです。
本来、20〜40歳代は最大の消費者層です。しかし企業は働き盛りの労働者を、安価で、調整し易い形で欲した。それが04年の派遣関連法の改正ですが、このためこの層が最初に消費を控える傾向が強まっています。つまり雇用環境の悪化が、消費マインドの低下に直結し易くなった、それが今回の景気後退期における急速な消費低迷であり、販売数量の低下ということなのです。

これは新自由主義の主張も影響しています。高額所得者を増やし、その消費により景気拡大を促す、新自由主義にはそうした見解も含まれています。しかし今回判明したことは、高額所得者は所得を投資に回し、生み出された利潤は更に投資に回す、その循環で金融社会を拡大させたことでした。しかしヘッジファンドの解約停止などで資金が停滞すると消費には回されず、溜め込もうとします。
高額所得者であろうと、危機に陥れば消費はしません。当然のことですが、その結果資金は循環しなくなり、そのしわ寄せは低所得者に向かいます。生産調整→雇用調整→消費停滞→生産調整、この負のスパイラルに楔を打とうにも、雇用のみに手当てをしても何の意味もありません。

与党の雇用対策、消費社会に対してのアプローチは何も示されていません。雇用を回復させれば、消費も拡大する。そう安易に見ています。しかし海外の消費停滞が深刻な状況であり、しぼんだ内需を今から活性化しようとしても、それらは焼け石に水でしかありません。
日本は企業に国際競争力をつけさせる、として内需を徹底的に痛めてきたのです。人口減社会だから、もっともらしい説明でそうした政策を展開してきたのですから、これは当然の帰結でもあります。ネオリベラリズムの台頭、それがもたらした負の影響から脱却するには、もっとドラスティックな対策を打ち出さねばならず、現在の政治家には難しい課題なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:36|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年12月05日

雑感、ホンダがF1を撤退へ

ホンダがF1からの撤退を発表しました。エンジン供給すら行わない、という完全撤退であり、今後復帰する可能性も現時点では否定しています。多額の維持負担費など、コストとの兼ね合い、という面が大きいと語られますが、ホンダの最近の売れ筋はフィット、オデッセイ、ステップワゴン、フリードなどであり、スポーツ性能を求めるものより、スペース効率や多人数乗車を特徴とする、いわゆるファミリー向けの車種となっています。
これらの車種にF1参戦という看板が必要なのか?高性能エンジン、走行性能の高さを宣伝効果として生かせているのか?という経営判断もあったのでしょう。特に性能面では、目だった特別な機能はなく、販売面に影響するものがなくなった。つまり技術的には行き着く所まで来ていおり、車が白物家電のように、時代の最先端ではなくなりつつある現状を映しているのかもしれません。

また環境問題として捉えると、F1などのモータリゼーションには否定的な見解もあります。ガソリンの無駄遣い、頻繁に交換するタイヤ、事故率の高さなど、資源の無駄遣いを抑制しようという流れの中で、どこまで続けるのか?との判断は遅かれ早かれ突きつけられることになります。
そして給与水準が上がらない中で携帯電話、インターネット、コンテンツ利用料、などの個人にかかる固定費が拡大し、ローンを組まない若者も増えたことで車の保有台数にも変化が見られるようになっています。駐車場代も高く、ガソリン代も高いとなれば、益々車に対する見る目も変わるでしょう。これも車に夢を追っていた時代からの変化なのかもしれません。

しかしそう理解しても、寂しい気持ちは強くあります。最近では産業技術の展示会も増えましたが、以前は海外メーカーと技術を競い、アピールする唯一の場でもあり、技術を誇る日本企業の最高の舞台でもありました。チャレンジ精神との言葉通り、マインド面で訴えかける部分も大きいものであり、F1に挑戦し続けるホンダ、という看板が消えるのは一つの時代の終焉を感じさせます。
最近、自動車業界には次世代カーの創出という重い課題もあります。ハイブリッドや電気自動車にも課題があり、技術力という資源を投下せざるを得ない面もあるのでしょう。新車投入は博打、それだけの研究開発費と、F1参加による費用負担の両面を担うことは今後、多くの自動車メーカーでも模索していくことになるのでしょうね。

最後に、米ビッグ3の公聴会が開かれています。前回の公聴会ではこれぞアメリカ、俺たちが潰れたら知らないぞ、という高飛車な態度が目立ちましたが、今回は低姿勢路線に転換しています。ただ崩れたビジネスモデルを残したまま、一過的に支援をしても焼け石に水となる可能性が有り、次世代カーの開発に巨額の研究開発費が必要な中で運転資金にも行き詰る現状では、楽観もできないことは確かなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 企業

2008年12月04日

来年度予算について考える

麻生政権に対し、最近では与党よりと目される大手メディアでも、はっきり『迷走』と表現するようになりました。今日も基礎年金の国庫負担の2分の1への引き上げについて、財源との兼ね合いもある、と4月実施を見送りするような発言をしています。これがセットされた小泉政権当時、消費税アップ分を充当することが画策されていましたが、歴代政権は消費税議論から逃げ、つけ回された結果議論することもなく、間に合わないという事態が今回の発言です。
これは麻生氏の責任ばかりではありませんが、麻生氏は国民ウケするだろう、と軽はずみに4月実施を発言しただけに、迷走と指摘されることになります。一方で、戸別訪問調査による厚生年金の調査で56%が改ざん、しかも社保庁の関与が指摘されています。100年安心プランのはずが5年かそこらで崩れる、国民皆年金は制度の根幹が揺らぐ事態に至っていますが、こうしたものも政治の無責任ぶりの結果、と見ることができるのでしょう。

迷走ぶりは来年度予算の基本方針にも示されています。資料中に、現在は経済危機だとして「短期は景気対策、中期は財政再建、中長期では改革による成長」を目指すと書かれています。しかしこれは効果が出るタイミングであり、財政再建も改革による成長も、同時に検討する必要があります。
また11月の経済財政諮問会議に提出された資料で、税制議論は景気回復をしてからでは間に合わない、として議論の開始を謳っています。景気回復の兆しが見えたとき、増税によって景気が腰折れした経験を日本は何度も繰り返してきました。景気対策と同時に財政再建は議論できない、つまり増税による歳入増によってしか財政を健全化することはできない、しかし増税だけは議論しておきたいと、この一連の流れは示していることになります。

また道路特定財源の一般財源化について、地方道路整備臨時交付金を廃し、地域活力基盤想像交付金として1兆円を、公共事業というヒモ付きで配分する方針を自民党は打ち出しました。福田前首相の乾坤一擲の提案がこれで骨抜きにされたわけですが、建設族議員や国交省に配慮した、官僚よりの麻生政権ならばありえる結論ですが、これも迷走の結果でもあります。
そしてシーリングは守る、ただし別枠で機動的対策を、とする麻生政権の行動原理もよく分かりません。財政再建路線を堅持できなければ、小泉路線からの明確な政策転換ですが、歳入減で赤字国債の発行が視野に入る中、規律をなし崩しにする意向も見え隠れします。

政策はその良し悪し、結果が出るまで時間がかかるものです。小泉時代に行われた年金、医療、介護政策により国民が大混乱に陥っているように、現状の政権が苦労するのは過去の政権の積み残しや、失政で起きる面も大きいものです。しかし麻生氏のように、出来るといったものを後で翻すという行為は、人間性への不信となって政権への失望に直結します。麻生政権が沈没寸前なのは間違い有りませんが、国債増発で日本まで沈没させるような事態だけは、絶対に避けて欲しいと思いますね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2008年12月03日

人民元の動きについて

米ビッグ3の再建策が出てきました。GMは年内に40億$、3月末までに80億$、販売不振に陥った際に60億$が必要として合計180億$の支援を求め、フォード90億$、クライスラー70億$と合わせて340億$の支援を政府に要請しました。合わせてリストラを加速させ、全米自動車労組(UAW)との協約も見直し、固定費削減に向けた努力の姿勢を示しました。
一部にある連邦破産法11条を申請し、その後政府が救済するという案は、リーマン破綻と同じ、債権保有者やCDS発行体を苦しめることになります。一方でGMのように運転資金のほとんどを支援で賄うようなら、事業継続に意味はありません。リストラを加速させれば、失業者対策として救済する意義も薄れますし、UAWとの交渉も経ずに協約を見直せるのかも不透明です。今はtoo big to fail(大き過ぎて潰せない)より、自己責任の原則によりbetter to fail(潰した方がマシ)という国民意識もあるため、議会にはより難しい判断が求められることになったのでしょうね。

少し気になる記事があります。中国で人民元が為替変動幅一杯の0.5%まで急落する事態が続いており、元売りドル買いが起きているのです。かつては有事のドルとして近隣で政変や軍事衝突が起きるとドルが買われる傾向がありましたが、このタイミングのドル買いはやや異常な流れでもあります。
特に中国は外貨準備が多く、慌ててドル買いをする必要はありません。それでも人民元が急落するのは、恐らくそれだけ輸出産業への打撃が大きく、国内の収益確保のためには必要との判断もあるのでしょう。中国当局者も米国債の放出を否定し、むしろ購入に意欲をみせる発言をしていますが、ドルを下支えする必要性に迫られてきたというのが実態のようです。

これまでの世界は投資資金の引き上げと、縮小する米国経済に合わせたかのように、決済資金に必要なドルを買う方向で来ました。それが通貨安を引き起こし、更にその動きは加速、安全なドル決済を求められるという二重苦に陥っています。こうした中で中国の動きは、アジア通貨安を加速させる可能性を内包しており、自国のための通貨政策がアジア全体に波及する懸念を孕んでいます。
そして日本の円は、これまで世界経済が不安定になると円キャリーの巻き戻し、として買われる傾向がありました。ただ直近、米国市場が大幅上昇しても為替相場の動きは小さく、新たな動きも出てきたように見られます。危険水域に入り始めたアジアの為替動向とともに、やや不安定な動きが出てくるのかもしれません。

一部では米国債にバブル症状が生じている、とも語られています。安全資産としての購入で、いまや10年債利回りで3%を下回っており、買われ過ぎ感が強まっているというのです。しかし今後も米国債の発行は増大することが確実であり、バブルはいずれ崩壊することも考え合わせると、米国債の動きと共に、為替の動きには警戒しておいた方が良いのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2008年12月02日

経済の話、米景気後退宣言と日銀の資金供給策

全米経済研究所(NBER)は米経済が昨年12月から景気後退と宣言しました。現状を追認した形ですが、米経済が戦後最長(16ヶ月以上)のリセッションに陥る可能性も示唆されており、事態は深刻です。
中国の政府系シンクタンクが中国経済のGDP成長率を08年9.8%、09年9.3%と見積もりましたが、社会が拡大する国家には潜在的に成長余力があります。労働力の供給と消費拡大という流れがあるからであり、米国も同様に拡大社会ですが、成長余力がありながらマイナス成長に陥ると、見掛け以上に実体経済は悪化することになります。中国の予測は高過ぎで、今年は北京五輪特需があっても8%台、来年は5%を切ると推測していますが、米国経済の低迷が中国を直撃することを考えると、拡大経済下の成長鈍化による混乱は、政治・経済両面でこの2国を痛めることになるのでしょう。

そんな中、日銀が臨時の政策決定会合を開き、金融機関による担保基準の緩和と、優遇金利による資金貸し出し対策を決定しました。短期金融市場の混乱が続いており、金融機関に資金を融通することで、中小企業の貸し渋り対策とする意向です。それを裏付けるように、中小企業の資金繰り対策として実施されている緊急保証制度には利用が殺到しており、開始1ヶ月で4万件強、約1兆円の資金が投下されています。
ただし、中小企業は資金繰り対策がついても、大手企業からの契約打ち切りや値下げ圧力により、経営状態が一段と悪化する懸念を強めており、安易に保証をつけると国が負担を被るという諸刃の剣です。1次補正で6兆円の保証枠を確保していますが、早晩使い切ることも見えており、2次補正でも追加で予算が計上される計画となっています。

先の日銀の対策、実は中小企業よりむしろ大企業のCP発行を容易にします。市場で少し前に、ある大企業の問題が取り沙汰されました。現在は大企業も資金繰りに苦しんでおり、特に有利子負債が多かったり、資金調達に経営陣が大量の保有株式を担保に入れていたりすると、それだけで資金繰り問題を揶揄されます。つまりCP発行などの資金調達力が低下した今、負債の多さや資金調達手法にまで市場の厳しい目が向いているのです。それが今回、日銀が示した策でCPを担保とすることが出来るようになると、金融機関のCP購入意欲も一定程度回復すると見られ、大企業にとってはプラスに働くと想定できるのです。
ただ、外需、内需ともに総崩れの現状で、多少の資金繰りが回復した程度では、企業も生き残りを模索するのが難しいことは大企業、中小であろうと変わりありません。恐らく、世界は雇用環境の悪化による長期低迷期に入ると見られます。最も怖い賃金低下を伴うデフレ、即ちデフレスパイラルに陥る傾向に対して、各国政府や中央銀行の手腕が試される時期に来ている、ということもいえます。しかし欧米各国が余力を縮減させ、日本政府も支持率低下で弱体化する中では、日銀にかかる期待も益々大きくなっていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2008年12月01日

麻生政権の支持率が急落

複数のメディアで行われた支持率調査で、麻生政権の支持率がつるべ落としです。秋の日でももう少し緩やかな落ち方になりますが、政権発足2ヶ月で『斜陽』政権とのレッテルが貼られそうです。太宰治は著作にて没落貴族の滅びに美を見出しましたが、麻生政権にそうした美学はなく、人柄や指導力が大きく落ち込むなど、政権において致命的な判断が下されています。

経済財政諮問会議での麻生氏の発言、一部で総論が正しければ良い、との意見もありますが、正論が必ずしも政治において正しいとは限りません。政治は各論を積上げて総論としますが、各論で間違い、抜けが生じると対策が不十分になります。不摂生で健康を害した人に保険料を支払うのが是か、健康に努めた人にインセンティブを与える方が良いのか、この2者の論点では結論は同じになりますが、議論の入り口が異なるので対策は全く違ったものになるはずです。
政治とは不摂生をした人間まで救い上げねばなりません。なぜなら病気は不摂生をしたかどうか、怠けていたかどうかで、必ずしも罹患するものではないからです。健康に努め、医療費削減に貢献した人にインセンティブを、という話と同様に病気に罹患した人にも手厚い保護をしないと、政治としてはマイナスで、こうしたものも支持率低下に繋がっているのでしょう。

厚労省が私のしごと館、廃止に向けた報告書を出しました。ただし2010年8月までの委託期間は現状通り、その後売却や民間委託などを検討するとの内容です。批判の強い私のしごと館への結論を先送りさせ、その間に官僚も対策を練る算段のようです。委託なら現状維持、そうでなくても整理機構などを存続させ、当分は天下り先確保に動くのでしょう。
一方で国交省が2030年の交通需要予測を、増加から一転1.7%の減少と見積もりました。それを受けて道路族議員は一致して道路建設計画には影響されない、との方針を示しましたが、新車販売台数も急落しており、需要なき供給という、経済原則では有り得ないことを通そうとしています。

今、国民が政治に期待しているのは、行政のムダを省き、100年に1度の危機と呼ばれる現状にどう手を打ってくれるのか?それを誰がやってくれるのか?なのでしょう。麻生氏にはこの2ヶ月で国民が失望しました。小沢氏にも懐疑的な見方をしています。小泉氏は政界引退ですので、支持が集まろうと党首にはなりません。では自民党総裁選をして、選び直すのか?それこそ国民不在をいつまで続けるのか、という批判の対象にさらされそうです。
結論は明らかなのに、各論で政治が乱れ、族議員や官僚は自分の利益を求めて動いています。麻生政権にそうした動きを抑制できない、各論すらまとめ切れない、結果としてこの国の行方は託せない、という判断が今回の支持率の急落の原因です。致命的ともしましたが、危険水域どころか沈没寸前のままどこまで航行を続けるのか?今後の焦点はそうなっていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般