2009年01月

2009年01月31日

麻生氏のダボス会議講演内容について

私は毎年、12月から1月にかけてが花粉症の時期なので元気がありませんが、それ以上に元気がないのが証券市場です。オバマ期待のあった年初日経平均9000円から、英国危機で基調転換してから7000円台後半まで下落、月末ドレッシングと英金融不安の落ち着きで切り返したものの、1月は最終的に1000円近い下落となっています。
米10〜12月期GDPが速報値-3.8%、日本でも11、12月の経済指標に芳しいものがなく、マクロベースの悪化は織り込み済みであるものの、ミクロの企業業績は想定以上の悪化を示しています。これがPER18倍超えという、日経平均の水準にも影響しており、8000円台に重さを与えています。配当性向で見ても無配転落、もしくは未定とする企業が相次ぎ、現水準の割安感は薄れたといえます。

そんな中、ダボス会議に麻生氏が出席しています。講演の一部で、施政方針演説にもいれた「経済的繁栄と民主主義を希求する先に、平和と人々の幸福がある」という一節を用いています。麻生氏はこれを金言の如く用いますが、聞きようによっては世界的な紛争から目を背け、ひたすら経済的発展のみを目指してきた日本の態度として、冷ややかな見方を諸外国からはされそうです。
しかも講演の中で、日本は事業規模75兆円の景気対策、GDPで約2%の12兆円の財政措置を説明しています。講演の一部では、貿易黒字国の不十分な内需に伴う不均衡を指摘し、外需依存からの脱却も訴えます。それを世界第2位の経済規模を誇る、日本が成し遂げることが責務だとも。ただ、すでに2兆$規模の対策に及ぶ米国、金融危機対応で数十兆円規模の支出を迫られる欧州と比べ、日本の対策は明らかに規模が小さく、内需拡大の施策についての説明も行われていません。

そして最後に、フランスの哲学者の言葉「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意思によるものである」とし、難局を克服するのは意思だと締め括っています。意思とは思想ではなく言動であり、行動です。これまでの麻生氏に、危機克服に向けてのそうしたものはなく、貫徹する意思は見受けられません。日によって態度、言動が変わるものは気分による変調であり、そこに強固な意志は皆無といえるでしょう。
私は逆に、日本の思想家・三宅雪嶺の言葉の中で「旧物に恋々して国家千万年の大計を誤るものならんや」を引用します。長いので要約しますが、旧来の制度が現行の処世上に適さないものであれば、それを打破していくことが本来の国粋主義であり、日本固有の風俗、習慣に拘ってはならない、という文面の一節です。
日本は従来の経済的繁栄を築いた基盤、日本的経営や就労制度を転換してきました。麻生氏の冒頭の言葉を借りれば、今からそうした旧来の制度に再び戻す、とも受け取れますが、一方で内需拡大を促す施策とは何か?は示されていません。日本は世界に向けて何を発信したいのか、今ひとつハッキリしない講演内容であり、外交姿勢は相変わらず主張が不鮮明ということだけは確かなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年01月30日

景気指標と雇用について

今日は経済指標の発表が相次ぎました。経産省が発表した12月鉱工業生産指数が前月比9.6%低下、市場予測の9%前後も下回る低下幅で、前月に引き続き過去最大のマイナス幅です。在庫も積み上がっていますが、こちらは微増であり、企業の生産調整が進んだ結果を示しています。
総務省の発表した12月失業率は前月比で+0.5%上昇の4.4%。有効求人倍率も0.8を割り込んでおり、就職氷河期の到来を示しています。上記の指数が示すものは、急速な消費減退が起きる中、企業は生き残りをかけて生産調整、雇用調整を行い、しわ寄せが労働者市場へと向いている現実です。

独でも1月失業率が8.3%、失業者数は350万人にのぼり、仏ではゼネストが起きています。米国でも企業業績の発表とともに、リストラが発表され、この数日の間に十数万人の雇用が失われています。さらに日本でも派遣切り、工場閉鎖が次々と発表され、保険業では大型統合も発表されました。統合は重複する部門での首切りを意味しますから、保険業でこれが起きれば保険外交員などは淘汰される可能性があります。企業存続のため、労働者市場に痛みが増す傾向が強まります。
経済の側面でいえば、雇用に大きな打撃を被るときは、回復が遅れることが指摘できます。特にこれだけ急速に雇用が失われれば、負の影響は計り知れません。世界全体が同じ状態では、企業が雇用を控えれば控えるほど、景気低迷は長引き、回復は先送りされることになります。

そんな中、ダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)がスイスで開催されていますが、米国からは主要メンバーが参加せず、力量不足を示しています。来月にはG7、G20も開かれますが、為替やバッドバンク構想などが議題になっても、各国とも打開策は打ち出せない状態です。
世界の経済学者、経済アナリストも、これまで予測を外し続け、現行の経済に即さないことから主要メンバーの交代期にあります。世界で協調行動が必要と訴える人も、では何をするのか?ということを明確に語れる人材がおらず、世界会議が有名無実化しつつあります。雇用創出を訴えるオバマ氏も、共和党や同じ民主党の理解が得られず、議会運営に苦労しています。どの国も、財政支出と雇用確保が理論面で合致せず、それが懐疑的な見方を増やし、誰もが納得できる案になりません。

雇用はあくまで民間企業の行為です。そこに国が関与するなら、国有化や公務員を拡大する以外に手がありません。手を打っても、生き残ることに懸命な企業が、雇用確保を優先するだけの規模を打ち出さなければ、焼け石に水でしかありません。これを制度欠陥として抜本的対策をとるか、さもなくば本気で公務員を拡大するか、いずれかの姿勢を示さない限り、早期に回復など有り得ない状況が、着々と進んできているのでしょうね。

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2009年01月29日

米国の景気対策と保護主義政策

少し驚いたことがあります。それは昨日の麻生氏の施政方針演説、多くの方が失望したと述べていたことです。おかしな話ですが、この件で麻生氏の姿勢にブレはなく、昨年の臨時国会の施政方針演説から官僚、国対向けの演説しかしていません。これをオバマ氏の演説と比較すれば、彼のWe(我々)はNation(国民)もしくはPeople(世界の人々)であるのに対し、麻生氏は一貫してGovernment(政府)もしくはParty(政党)です。
島国根性、という悪い言葉もありますが、これは麻生氏の狭量の部分であって、国民を巻き込んだ議論よりも国会対策向けの話しかできない党首、と捉えれば良いと考えます。今更失望はしませんが、議員世襲の家系で国会の枠内でしか物事を見てこなかった弊害、と見ても良いのでしょうね。

オバマ政権の景気対策8200億$が、下院を通過しました。この対策そのものより、今回同時に通過したバイ・アメリカ条項の方が深刻な問題を提起します。これは公共工事などに用いる鉄鋼を米国製に限定する法律であり、明確な保護主義政策を打ち出したものです。ただ景気対策費の国外流出を食い止めるための必要な施策との認識もあり、上院、大統領の拒否権も含め予断を許しません。
国家規模の保護主義をとるのは、ロシアも同様です。北方四島へのビザなし渡航に出入国カード提出を求め、漁船を拿捕した件なども、経済危機に喘ぐロシアが日本から有利な条件を引き出すカードに利用されている形跡があります。ウクライナへのガス供給の停止など、ロシアは対外的に圧力をかけ、有利な条件を得ようと躍起です。日本製輸入中古車への課税強化など、一連の流れを見てもロシアの外交戦略は保護主義的、高圧的姿勢へと確実に移っています。

各国も自動車産業への資本注入、優遇策をとり、また金融機関では実質国有化も進みます。米国のバッドバンク構想では、不良債権をバッドバンクに移して銀行本体の資本を軽くし、貸付に回るようにするための施策です。現在、有効な施策とされていますが、不良債権の値つけ次第では資本不足を引き起こし、貸し出し不良を引き起こす諸刃の剣の施策です。恐らく、バッドバンクの資本は2兆$、その全てがデフォルト、回収不能にならないとしても、短期で効果を得たいのであればその程度の規模の資本投下は必要となってくるのでしょう。
問題はこうした各国の動きの中、日本は傷跡が小さいとして、未だに政策対応に遅れがあることです。IMFの世界成長率見通しで、09年が-2.6%と試算されたのは、日本では目立つ対応が行われないとの分析も含まれます。内閣府から戦後最長の景気拡大期は69ヶ月、景気後退はその後15ヶ月目に入っているとの発表もありました。
先の景気拡大期の命名が今から始まりますが、個人的にはプレイン景気を押しています。plainとは平らな、地味な、という意味であり、planeとは平地、滑走するという意味をもちます。日本は諸外国の保護主義に打ち克ち、次の好景気に向けて滑走するような活力、政策が求められるのでしょうね。

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2009年01月28日

拡大社会を前提とした雇用の考え方

麻生氏による施政方針演説、目立つものはなく無難に通過したようです。自民党のポスターでは「景気に全力。」ですが、景気対策は2次補正以外に出ておらず、予算成立を景気対策との認識で掲げるのみです。麻生氏は経営者目線を強調しますが、答弁では「今は優秀な人材を雇い入れる好機。私が経営者なら雇う」と述べていましたが、そんな経営者のいる会社では危ないのでしょう。
野村HDが10〜12月期に3400億円の純損失に陥りました。昨年リーマン破綻後に欧州、国内の従業員を引き継ぎましたが、証券業が増資もなく従業員を増やしても運用原資がありません。委託部門の拡大は期待できても、経済が大混乱に陥る中でそうした業務が増えるはずもなく、事業拡大が固定費増に結び付き、業績を圧迫するという典型的な失敗例に見えます。麻生氏や野村HDに見られるもの、それは世界経済の拡大を前提とした経営手法を推進していることであり、現状認識として正しいのか?ということです。

最近メディアで頻繁に見かけるようになった女性経済評論家が、経済対策として女性雇用の拡大を訴えています。ただこれも、雇用のパイが縮小していく中、特定の層の雇用を拡大すればそれ以外の雇用が奪われます。これも拡大経済を前提とし、労働力不足が経済の足かせとなる時であれば必要ですが、現状認識が足りない意見なのでしょう。もう一歩踏み込めば、女性雇用の拡大は社会変革の一つであり、経済対策とは別の施策として進めるべきものではあります。
国のトップや経営者、経済評論家でも同様ですが、今後も拡大経済が続くと信じるのか、そうでないのかは重要です。IMFが一昨日、09年の世界成長率予測を0.5%に引き下げましたが、この数値は発表される度に毎回下方修正となっています。これらは先進国のマイナス成長を新興国の高成長で補う形を想定した上で、尚甘い見通しであることを示しています。

個人的には、地球の限界が叫ばれ始めると高成長は難しいと見ています。米国が舵を切った環境立国でも、化石燃料から自然エネルギーに転換し、低炭素社会を実現できたとしても、太陽光パネルに必要な鉱物やレアメタルの採掘量が飛躍的に増えるわけではありません。そしてそれを得るためのリサイクル社会とは、高コスト体質の経済であり、それを受容しつつ高成長を成し遂げるには革新的技術を確立するか、今回のように金融という虚構に頼るしかありません。
今後はそうした現状を踏まえ、低成長社会の中で雇用を考える必要があると考えています。ブラッディ・マンディと呼ばれる1日で5万人以上の雇用が米国で失われ、世界各国の企業でもリストラが加速する中で、しばらくは低消費社会も続くでしょう。1次産業やサービス業など、社会の構造改革を進める中で雇用を確保する、そういう視点での施策が今後は必要となってくるのでしょうね。

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2009年01月27日

一般企業への公的資金注入について

2日間に及んだ両院協議会が平行線に終わり、今日2次補正予算が成立しました。関連法案が決まらないと、財源措置ができないので、定額給付金を年度内実施することはほぼ不可能です。
ただこの2次補正予算には大事な制度があります。今日の日経平均は強い上昇を演じました。昨日深押しした後だけに、反発は予想できましたが12月米中古住宅が予想より高くなったこと、英銀大手バークレイズが業績発表前倒しと見通しの明るさを示したことで、ユーロ安に歯止めがかかったことなどもありましたが、一部に政府が企業に直接公的資金を注入できる法案を提出する、と伝わったこともイベントドリブン型の買いを巻き込みました。実は昨日、この記事を取り上げようとしてやめた経緯があり、今日はこの企業へ公的資金を直接注入する法案について考えてみます。

これは経産省が提出する産業活力再生特別措置法改正案に絡みます。経産省が認定した企業へ、日本政策投資銀行が社債、優先株などを通じて出資、企業が倒産した場合は日本政策金融公庫が保証をつけて補います。対象企業の選定には倒産により、雇用や地域経済への影響が大きい場合であり、時限的な措置となる方向です。
この制度の不透明な部分は幾つかあります。今回は資本毀損により、資金繰りが悪化している訳ではありません。運転資金の不足が企業の息の根を止める状況で、増資を促す施策は現状と乖離しています。また方針として、雇用や地域への影響が大きい企業を選別するのであれば、かなり規模は限られてきます。大企業は現在問題視される内部留保を過剰に蓄えており、当面の増資は必要ありません。つまり資本増強が現段階で必要があるのは地方銀行のみとなります。

しかし金融機能強化法ですでに地銀への資本注入は可能です。また1次補正で決まった緊急保証制度は、昨年10月末から始まり6兆円規模を拠出、2次補正でも22兆円規模と言われており、中小企業への資金繰り対策はある程度これで出揃います。増資計画を必要とする産業とは一体どこなのか?低消費が進む中で設備投資に資金を振り向ける企業はなく、どちらにしろ制度の有効性が不明です。
うがった見方をすると、経産省の予算獲得のための施策、政投銀による業務拡大、政治家による口利きで企業救済をする枠の確保、とも考えられます。一時期市場対策として証券買取を政投銀は進めましたが、今回はあくまで資金繰り対策であり、それが費用対効果の妥当性を疑わしくしています。

それでも有効性を見出すのであれば、たった1つだけその業種があります。それが金融機関、特にノンバンク、証券、保険業です。むしろ経産省が狙うのはここしかないのかもしれません。ただ野村が巨額赤字見通しを示したように、この業界は保有株式の下落や債務不履行の増加などで多大な損失を被っており、増資には慎重にならざるを得ない側面があります。経産省の動き、法案の中身次第では、やや楽観はし難いものであることも間違いないことなのでしょうね。

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2009年01月26日

経済の話。最近の市場の動き

H20年度2次補正予算で、両院協議会が開かれています。定額給付金が争点ですが、この問題では関連法案の審議も含め、混乱が予想されています。一部、山形県知事選も影響しているようですが、総選挙の前哨戦と見られていた知事選で保守王国が崩れたことは、国政にインパクトも与えます。
一部で小沢総理大臣誕生を国民が望むのか?という議論もあるようですが、この論点は自民党側が崩しました。党首の首などはコロコロすげ替えられる、この現実を前にして、総選挙で党首力が焦点になることは少ないのでしょう。更にこれが総選挙前に自民党総裁戦を実施、というシナリオを難しくしており、小沢氏の弱点をつけない形を自民党自ら生み出している、ともいえるのでしょうね。

最近の市場で専ら話題なのが通貨危機です。英国が示した国家財政への懸念、ソブリン債格下げによる安全資産とされる国債からの資金逃避、との流れが現実味を帯び始めています。米国債も徐々に金利が上昇しており、中国人民元に対し通貨操作国、との認識を示したガイトナー財務長官の発言から、米国債の大量保有者である中国が売りに回るのでは、との警戒も市場には走っています。
日本の為替市場では円売りが多く、円安を指向し易い状況です。それが証券市場を下支えしていますが、先週末から日経225で7750を割り、水準を1つ下に切り下げてきました。オバマ期待で米国株の上昇を見込んでいた層が見切売りしている形ですが、この状況下でも米国市場はダウ8000$への拘りを強く見せています。オバマ政権誕生と同時に急落、という汚名をつけたくない著名投資家の中にいるオバマ支持者の動きも、これらの動きの中には含まれているはずです。

特に今回、通貨危機を示す動きは金にも見られます。国債は発行体の信用が高いことが安全資産と判断する前提にあり、そこが崩れると実物経済、金などに資金が向かい易くなります。債先売/株先買の流れが一部にあるとしても、金市場に流れているとすれば、米国市場でダウ8000$キープの流れが崩れるのは、そう遠くないところにあるのかもしれません。
日本でも企業の第3四半期の業績と、今期の見通しが出る時期です。現行水準でも、今期見通しの市場予測レベルから見て割高との印象もあり、更に通貨危機で円高が進めば、為替予約で損失を抱える企業も出てくるでしょうから、不測の損出し懸念が今後の企業業績にはついて回ります。こうした危機と呼べる状況は、特に経営手腕が各企業に問われているのであり、企業決算の発表は日本の未来を見る上でも、とても大事なことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年01月25日

雑感。裁判員制度に向けての動き

闇サイト殺人事件で、名古屋地裁に検察から死刑が求刑されました。また江東区の女性殺害事件でも、被害状況が公判中に映し出され、問題になっています。さらに被害者参加も始まり、裁判員制度開始から半年をきり、運用を睨んだ動きも様々に出てくるようになりました。
ただ、日本では米国とは世情や社会環境が大きく異なるのに、制度導入を急いだばかりに議論の抜けによる混乱が目立つように感じます。裁判員に求められるものは何か?考えてみたいと思います。

まず裁判とは何を裁くのか、です。基本的なことですが、実は非常に曖昧です。罪を裁く場合、法的に違反した部分と量刑を精査し、それが妥当かを判断するだけです。しかし現行の裁判制度はそうなっておらず、基本は人を裁きます。よって被告の歌えや情状に最大限の配慮を示し、減刑や執行猶予なども判決時に盛り込まなければなりません。実はこの点が一番厄介です。
これまで、加害者側の事情ばかりを斟酌し、被害者側の状況は裁判時にほとんど考慮されてきませんでした。今回、被害者参加制度や現場写真の提示などにより、被害者側に有利な状況で裁判が行われないか?という危惧もありますが、むしろ状況判断としては加害者、被害者の間でイコールウェイトになったというだけで、これまでの偏りの方を異状と捉えるべきなのでしょう。

罪を裁く場合であれば、書類審査や簡単な口頭弁論程度で済みます。余計な判断材料など、罪と量刑との差を考慮する際にのみ、多少影響するだけだからです。一方で人を裁く場合、犯罪現場の状況や写真などは必須となるでしょう。被告が何をしたのか?その後心情がどう変わったのか?被害者、もしくは被害者遺族は事件を受けてどの程度の心痛から生活面に影響したのか?被害者の被害程度は?回復度合いは?など考えるべき事項が相当量に達します。
しかし裁判員制度導入にあたり、時短を目指していることからも、妥当な判決が出せる可能性は極めて低く、むしろ劇的に裁判員の心情に訴えかける戦略が、今後検察、弁護側に求められることになります。そうなると、益々事件の実態を裁判所で議論することは少なくなり、判決の正確さが疑わしいことに各人が悩むことになるのかもしれません。

死刑判決云々より、問題は裁判員制度における法廷の審議の進め方が、正当性を得られるのか?ということです。闇サイト事件でも、多くの人が死刑求刑に署名したように、一般人の間でも死刑は必要悪と捉えられており、有用との認識です。ただその判決に至る議論が狂えば、国民から制度不信も強まるでしょう。時間短縮し、更に議論の中身を濃くするのであれば、裁判員に選ばれる人間には相当の負荷がかかることも覚悟する必要があるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:01|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 司法

2009年01月24日

雑感、政局絡みの2つの件について

選挙が近くなり、与野党とも政局絡みの話が増えてきました。まず西松建設の政治献金の件、小沢民主党代表への献金も多いですが、与野党ともに献金リストに名前が挙がっており、これ以上は追及不能でしょう。政治家の西松建設への依存傾向が顕著ですが、上場企業からの献金では問題視せず献金を受け取ったとしても、政治家側の落ち度は中々見出せません。
トカゲの尻尾きりのようですが、企業側を追及して終わりになるのでしょう。先にマルチ商法で気勢をあげた与党も、野田消費者担当大臣の名が出ると急速に熱を冷ましたように、特に与野党とも掘り下げると相討ちとなるような事例は、どちらも避けて通りがちで政局にはなり難いものです。

次に山岡民主党国対委員長の件です。01年栃木県真岡市長選で、福田氏が山岡氏から公設秘書派遣の謝礼を求められ、学習塾経営会社と医療法人の間にコンサルタント契約を結び、405万円を支払ったというものです。4月19日告示の真岡市長選に向けた内紛、との見方もありますが、民主党は個人の問題として積極的関与を拒否、一方で山岡氏は見返りを否定しています。
これが仮に、市長側に選挙協力報酬という意識があると、公職選挙法に抵触する恐れがあります。一方で山岡氏側から働きかけがあったとすれば、高圧的態度で金銭を要求した、いわゆる脅迫罪が成立しても良いでしょう。といって、こうした面の訴求は現在まで起きていません。

端的に考えれば、この問題は山岡氏が党内の役職クラスから更迭されるかどうかですが、市長側にも痛い事情があるので、どこまで突っ込めるかは微妙でしょう。つまり与野党ともにこの問題に距離を開けるのは、どの選挙区でも応援という形で国会議員の地方選への協力は存在し、それによる何らかの見返りは得ているからです。
市長側が本気なら告訴しても良いのでしょうが、そうすれば選挙実態を明らかにしなければならず、今度は市長が苦境に立ちます。この問題はいずれの場合でも政治家にとって痛し痒し、あまり深くは解明して欲しくないのであって、逆にこうした迂回献金の部分は、与野党の政治家も対岸の火事、誰もが関与を嫌がるものです。

山岡国対委員長が更迭になった場合、民主党がそれを口実に国会運営を遅滞させる可能性も含めて与党は国会対策を練らねばならず、難しい対応も迫られます。それを考慮すれば、与党もあまり深追いすることも出来ないでしょう。結局、上記2例は国会議員の痛いところを相互でどこまで追及できるかの問題であり、国民からみると不透明な決着、という形にしかならないのでしょうね。

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2009年01月23日

オバマ政権の中東政策について

米国ではオバマ政権が始動し、経済面より早く、中東問題への対応が試金石となりそうな気配です。グアンタナモ収容所の閉鎖を指示し、ジョージ・ミッチェル氏を中東和平担当特使として、リチャード・ホルブルック氏をアフガン・パキスタン特別代表に任命しています。
ただし、オバマ氏はイスラエルの自衛権を支持しており、微妙な態度に終始しています。本来、始めるべきはイスラエルによる戦争犯罪の解明であり、一般住宅街への白リン弾の使用、民間人への攻撃、国連施設への攻撃などです。今回の後処理に失敗するとイスラエルの増徴を招き、結果的に中東における対イスラエル全面戦争の懸念を醸成するだけになってしまいます。

イスラエル建国の歴史は非常に不透明です。先進国が植民地政策をとっていた頃と、ほぼ同様の手法で大国の支援による圧倒的武力で土地を収奪しました。植民地と異なるのは、そこに国を作ったことです。多くの植民地が返還、もしくは独立する中、残っているのはこうした一部地域です。
実は日本でもほぼ同様の問題があります。それが北方四島であり、戦後の武力制圧により島民が追い出され、他国の領土とされました。パレスチナ人にイスラエルの土地を諦めろ、というのは日本に北方四島を諦めろ、というに等しく、土地を奪われた人間にとっては容認できない話です。日本でも北方四島が地続きであれば、以前なら過激派の一部がロケット弾くらいは撃ち込んだかもしれません。ガザ自治区のやったことはそうしたことであり、イスラエルはそれに虐殺で応じたのです。

問題は、イスラエルが他勢力を抑圧して平和を保とうとしていることです。攻撃されるから先に相手を殺してしまう。攻撃/防御の姿勢ですが、これは米国でも見られることであり、それがグアンタナモ収容所です。テロ組織との繋がりが疑われるから捕まえてきて収容してしまえ、米国を攻撃する者は許さじ、米国とイスラエルはこれまで似たような行動原理に支えられてきたともいえます。
そしてオバマ氏が米国の行動原理を転換させても、イスラエルはむしろ逆行した強硬姿勢を示しています。ここをウィンウィンの関係に導くことは難しく、パレスチナ側に妥協を迫れば、今度は米国が非難され、狙われることになってしまいます。弁護士らしい、話し合いで全てを解決できれば良いのですが、国家間の調整、特にこじれた中東情勢では難しい面も否めません。

イラク撤兵とアフガン増派、日本もオバマ氏のこの行動で、アフガンへの更なる貢献を求められそうです。ソマリア沖派遣の話もありますが、国際社会の動きに右往左往するばかりでなく、自らの態度をきちんと整理し、行動原理を確立しておく必要が今の日本には求められているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 中東

2009年01月22日

消費税増税明記に対する混乱について

昨日、英国債に懸念を示しましたが、今日になりポルトガルの長期ソブリン債が格下げとなり、これによりユーロ、ドルが急落、一時円が急騰する事態になりました。債券市場の一部短期債に利回り低下が見られたものの、大きな動きとはならずに為替も値を戻しましたが、こうした動きを何度か繰り返しつつ、ユーロ、ドルも下値を探っていく展開が今後懸念されるところです。

円が買われる理由はたった一つ、金融機関が不良資産を抱えておらず、政府の大型補填が必要ないからです。急速な財務悪化のない先進国、これは直近の格下げ懸念が低いということを意味しており、安全資産と意識されているのです。しかし08年の貿易黒字が2兆円強と低水準に留まり、半期ベースでは赤字です。この不況が後1年続けば09年は通年単位で赤字となる公算も強まっています。
12月貿易統計を見ると、輸入も減少していますが、輸出の落ち込みが更に激しく、産業活動全体の低下傾向が顕著に見られます。貿易収支の悪化は、元々財務状況の悪い日本国債の格下げ懸念を引き起こし、いずれ大きな問題ともなるでしょう。しかし外需が回復するのはしばらく先であり、現状打つ手は限られるということも、問題の根を深くしています。

そんな中、自民党内でもめていたH21年度税制改正関連法案の付則に、23年度までの法制上の措置、を盛り込むことで党内が決着しました。23年度末までに法律を整え、実施時期はその法律に明記、という形です。妥協の産物ですが、財務省の悲願と党内反対派への配慮が見られます。
政府が消費税増税に拘るのは、年金の国庫負担分の財源、社会保障費の拡大に歳入増で対応したい、財務省の意向が強く働いています。そんな中、特別会計には100兆円規模の剰余金があります。危機に際して積み立てているものもありますから、今これを吐き出さず、歳入増ばかりを優先する財務省の立場は、国民に向けても極めて不透明感を現出させています。

最近見られる官僚の利己意識、行動の背景には、民主党が政権をとるとどうなるか分からない、麻生政権の間に不都合なものを強引にでも通してしまおう、との思惑も透けて見えます。付則でも法案に入れてしまえ、閣議決定する政令にこっそり書いておけ、背に腹は変えられぬ、姑息なやり方でも形を残そうという、これは官僚側の焦りでもあるのでしょう。
以前から指摘していますが、特別会計を一般会計に組み入れれば、それは埋蔵金ではなく単なる予算執行の配分調整の範囲に留まります。これは税配分の見直し、という重要な施策の一つであり、貿易収支が悪化する中で歳入・歳出を抜本的に見直さなければ、日本は巨大債務国として世界の中で沈むことにもなります。消費税増税の前に議論すべきこと、たくさんあるはずなのですけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年01月21日

米大統領就任と英国経済

バラク・フセイン・オバマ氏が第44代米大統領に就任しました。過度な煽動の言葉を排除し、現実を率直に訴え、責任という言葉に幾つかの意味を篭めました。その目論見は成功した、ともいえますし、証券市場のように先行期待が剥落し、大幅下落に陥ったものもありました。
全体主義のオバマ氏の前には、そう出来ない事情も幾つか存在します。その整合をとり、法案という形を示せるのか。演出は相当程度の成功を収めていますし、人事もガイトナー財務相以外、信任も得られました。後は実務面で何を示せるのか、オバマ氏にとっての真価はそこからなのでしょうね。

米証券市場急落の背景には、英金融機関に対する不安と通貨£の急落も影響しています。昨年から、欧州金融機関の損失処理は進んでおらず、いずれは大規模な損失が出てくると噂されてはいました。ABNアムロ買収や収益環境悪化に伴う、4兆円に迫る損失を計上するロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)、これから他行も損失処理を迫られるとの警戒が働いています。
他方、英政府が60兆円規模の追加対策を打ち出し、これが英国債の格付け引き下げ懸念を誘発し、£の急落を招いています。英国はGDPベースで200兆円規模の国であり、60兆円は国家の財政規模に懸念を生じる額となります。すでに新興国や東欧の一部で国債の格下げは起きていますが、英国でこれが起きれば先進国初となり、今後も財政出動を迫られる欧州各国もこの格付けの動きに敏感になっており、資金調達費用増大の懸念が生じることに、どこも怯えています。

欧州は巨大経済ブロックとしてのEUと、各国ごと個別経済との二面性を持ちます。とはいえ、ECBの権限はそれほど強くなく、英国のような先進国の一国、個別経済が崩れても支える手立てがありません。通貨統合、経済基盤の統一化、どちらも道半ばであり、今回のような危機への即応は巨大経済ブロック圏EUでも、手のうちようがないのが現状なのです。
1つの対策としては、不良債権を吸収する機関を作り、金融機関の規模を国家財政に見合うまで経済を縮小させる手があります。しかしこれは一時期、大きなマイナス成長に陥りますし、数年で内閣交代となる政治体制下では、そうした長期の対策には中々各国も踏み込めないという事情も存在します。あくまで見掛けの対応で、危機に蓋をしてしまおうとしがちです。

それは不良債権処理の日本も同様でしたし、これまでの米国も同様でした。リーマン破綻から急速に景気が悪化していますが、これまで有効な対策を出し得ていないのも、結局は現政権が責任回避の姿勢に終始しているからでもあります。オバマ政権がTARPの運用見直しを示唆しているように、2、3年後を見据えた対策が、欧米ともに望まれていることになるのでしょうね。

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2009年01月20日

かんぽの宿とソマリア沖派遣について

政治絡みで二つの動きについて取り上げます。まず『かんぽの宿売却騒動』に関し、議論を単純化すると、これは企業経営陣が結んだ、事業の一部を他社に譲渡する契約に対し、筆頭株主の拒否により差し止められたということになります。拒否の理由に売却時期や価格、譲渡先のオリックスグループ・宮内CEOが郵政民営化議論に携わっていた経緯などが語られますが、簡単に言えば郵政の経営陣がそれらを鳩山総務相に対して説得し切れなかった、というだけの話です。
これに対し、郵政民営化議論を主導した竹中氏が一部メディアで疑義を表明し、議論がややこしくなりました。その中で「機会費用」という言葉が用いられていますが、これは簡単に言うと、安値で手放してもそれが利潤を生む投資に回すことでリターンを得れば、安値売却という負の面が相殺される、という意見になります。

しかしこの意見でも投資の成功は保証しておらず、特にこの時期に一体何に投資して収益を上げるのか?という青写真は経営陣の態度に掛かっているといえます。それも含め、郵政経営陣は総務相に説明する義務があり、そこに理解が得られないのであれば売却延期も止むを得ません。
竹中氏の意見には鳩山総務相が反論した記事も出ているので、詳細は省きますが、かんぽの宿が赤字経営である原因も追究せず、売却が民営化の趣旨というのであれば、厚労省のグリーンピアと同様になってしまいます。国民負担の最小化、資産価値の最大化、というのであれば黒字経営を達成し、事業分割による株式上場によって連結に組み込む方が、よほど目的に合致しています。売却も選択肢の一部にあることは間違いありませんが、今回は郵政経営陣の失敗、という判断で充分なのでしょうね。

次にソマリア沖への海自派遣です。元々、航海上の船舶に国内法が適用されるのであれば、海自派遣による武力行使も可能なのでしょう。ただし、この件は幾つかの問題があります。‘本国籍でない船舶により運航されている荷を、国民資産と明確に認めること。△修両豺臚本国民でない船員の立場をどう規定するのか?ソマリア沖以外の問題をどう処理するのか?です。
,呂△まで民間企業の財物に対する問題です。拡大解釈すると、企業が海外で保有する財産が奪われそうな場合、自衛隊を派遣しても良いということになります。△廊,箸侶鵑郵腓い撚燭鮗蕕襪里、を明確にする必要があります。は捕鯨船など、公海上で攻撃を受ける可能性が高い場合、自衛隊派遣を認めるのか?という問題を含み、線引きをおかしくすると法的根拠が失われます。

日本ではすぐ同盟国が…、という議論に矮小化されますが、ソマリア沖派遣はあくまで各国とも国の単独行動であり、国連を含めた協調行動ではありません。その場合、同盟で結ばれた規約より国内法が優先されるのは、どこの国も同じです。将来的には様々な問題を含みますが、現状必要とすることを議論するのは大事なことです。上記二つの記事は、いずれの問題も将来を含めて国益とは何か?ということが重要なのですからね。

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2009年01月19日

麻生政権の拘りについて考える

英国では、政府による今年末までの約33兆円の不良債権保証枠が設定され、保証料の支払いで金融機関がそれを受けられる制度が発表されました。英中央銀行も約27兆円の資金を銀行の調達資金市場に投入し、貸し渋り対策に充てる意向です。英国ではすでに大手3行が実質国有化され、公的資金を直接投入していますが、市場に資金を大量に送り込んでも貸し渋りは起きます。金融機関の経営にまで踏み込まないと貸し出しは増えず、この点は日本の経験に学ぶべきなのでしょうね。

日本では定額給付金、渡り、消費税の3点セットで与党内が荒れ模様です。支持率が低いので党内基盤が弱体化するのは仕方ありませんが、分裂の様相すら滲ませます。まず麻生政権は2011年に消費税増税、という拘りを見せていますが、経済基盤を考えるとこのタイミングはほぼ不可能です。
景気は上昇波動に入っても2、3年は潜伏期間を置き、仮に今から回復しても3年後では基盤が弱い状態になります。税議論は法案施行に先行し、1年以上前から始まりますから、下押し圧力があれば当然その間は景気も停滞します。税議論に期日を明記すること、特に経済回復を前提にしているのであれば尚更、こうしたことは議論の順序から見てもおかしいということになります。

官僚の天下り、渡りも同様、麻生政権では官僚主導が鮮明になりますから、党内から抵抗も出ます。麻生政権の見せる拘りは、国民にとって許容し難いものばかりで、何ら支持できる点はありません。例えば一院制と重ねて考えれば、官僚内閣制を続ける限り、立法府そのものを廃止して国会は法案と予算執行をチェックする、行政管理機関としての立場を追及することも可能となります。
官僚が法案を書き、予算案を作り、それを内閣が野党の審議要求に応じず国会を通過させている現状では、国会の機能は封鎖に近い状態に陥っているともいえます。国会が行政管理機関としてスリム化されても、議員立法権を残せば、現状の国会に近い機能はある程度維持できます。1千万を超える行政職員と、わずか数百の国会議員では、知恵の出し方に大きな差が出るのは至極当然のことといえ、能力値的にはチェック機能の充足だけを図れば良い、ということにもなります。

国会が必要ない、行政管理機関で十分というのは極論ですが、現状の国会の質疑応答を見る限り、国会対応に真摯な態度は見られないともいえるでしょう。与野党が協調して事にあたるとは、官僚の書いた法案の修正協議に応じる姿勢を内閣が示すことであり、それが為されていない現状は極めて懸念すべき状態にあるといえるでしょう。麻生政権が見せる官僚寄りの拘り、こうしたものを見せ付けられると、国民に負託された議員が真剣な議論を戦わせる場に、早く国会を戻して欲しい、そう願うばかりとなってしまいますね。

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2009年01月18日

自民、民主で党大会が行われる

イスラエル側の一方的な宣言ですが、ガザ停戦が示されました。国連施設まで被害が及ぶ無差別攻撃であり、今後の情勢には不安を残します。こうした圧倒的武力で制圧し、言うことを聞かせようとするようなことは将来への禍根を残すことであり、こんなことを続ける限り、中東和平などは絶対に有り得ないことだと早く気付くべきなのでしょうね。

自民、民主で党大会が行われています。自民党内では俄かに一院制、議員定数の削減が議論され始めましたが、これには注意も必要なのでしょう。国会議員の歳費の内、抑制のきかない点は地元の陳情、要望を聞くために事務所と担当秘書を常駐させる必要があるという点です。
本来、道州制や地方分権が進めば、国会議員は自然減が可能です。しかし現在でも、国政を担当する者が地元配慮型の政治体制を維持していること、そのものが問題であり、歳費削減は現在でも可能な案です。これを仮に選挙公約とするなら、今できることがナゼできないのか?地方分権が喫緊の課題であるにも関わらず、長期の計画としている理由は何か?等々の説明は詳らかにする必要があるのでしょう。

自民は経済対策をメインに打ち出すようです。責任政党、経済危機克服には自民党、選挙戦略としてはあまりに大上段に振り被りすぎていて、形骸化しそうなフレーズです。まず今回の経済危機は、長い自民党政権下で外需依存という脆弱な経済基盤を作り上げてしまった失敗でもあります。
外需の落ち込みなので内政は関係ない、という理屈はどこにもなく、危機を招いたのならその反省と、それに基づき改善点を示さなければなりません。この国をどうしたいのか、自民党ならどうなるのか、国民目線でのそうした判断材料が示されない限りは、投票行動には繋がらないのでしょう。

一方で民主党は選挙に向けた宣言ばかりであり、この党大会で示されたものは多くありません。地域密着や地方分権、ニューディールなども取り込む意向を示していますが、民主党の瑕は野党共闘姿勢にあることなのでしょう。寄り合い所帯と指摘される民主党が、更に他党との連立政権ということになれば、向かう先がどうなるのか、という国民からの不安も招きます。
政権交代は1つの政治改革となりえますが、マニフェストでどんな国の形を示せるか、それがこの国の新しい形として国民に受け入れられるか、が改めて問われることになるのでしょう。自民も民主も、対決姿勢になる中で国会は解散もできず、泥仕合に陥れば景気対策、行政改革どころではなくなります。それを与野党協調で乗り切れ、などというのは愚策ですが、少なくとも選挙から逃げる姿勢を示すような政治家は、どういう形であれ敗北することになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年01月17日

経済の話。米金融機関の記事について

米国では新年入りしてからも経済の動きが慌しくなっています。米銀大手バンカメに200億$の公的資金が注入され、同行の資産から今後発生する損失の内、1000億$を財務省が肩代わりすることも発表されています。先にシティが450億$の注入と、2500億$の損失肩代わりを発表していますが、それに次ぐ規模であり、先のメリル救済合併時の損失処理に相当の額の投入を余儀なくされています。
そのシティですが、第4四半期決算で83億$の赤字を計上し、銀行部門と証券部門へ事業を分割する案を発表しました。再編計画は日本にも飛び火し、日興シティの事業譲渡を含めて、シティは事業見直しを迫られています。ですが、すでに証券市場の評価は『破綻』相当であり、今後の大型買収・合併の動きなども俄かに活発化してきそう流れにあります。

金融安定化法(TARP)の残り3500億$も議会承認が得られましたが、バンカメが交渉の席にメリル合併を白紙、という条件まで持ち出したようですが、金融機関の破綻回避に公的資金注入、という流れは今後も続くのでしょう。不良資産買取なのか、資本注入なのか、新政権と現政権の態度が2分されているように、この問題はどちらの態度をとるかで大きく変わります。
資本注入は資金の流れを担保する対策です。一方で不良資産買取は財務状況を改善する策です。公的資金でこれを賄う場合、前者なら少なくて済みますが、後者だと多額の資金が必要です。現政権の失敗は、シティ破綻が囁かれるように失敗といえるでしょう。シティで3000億$、バンカメで1300億$、と推計される不良資産に対し、資本の割合があまりに低過ぎますし、収益が上がらない中では、企業としての存続に疑義が出るのは仕方有りません。オバマ新政権は景気対策を打ち出していますが、金融破たんを食い止める策で何を打つのか?それを待つしか現状はないのでしょうね。

新年入りしてから、日本市場には幾つか動きがありました。15日は日米両国で8000割れを試し、そこから反発しています。一定の水準を切ると、下支えが働きます。そこから買いの勢いが増すと、それを見て新規での買い、売り方の買戻しを引き起こしての一気高、という動きが影響しています。
よくあるプログラム取引の一例ですが、米国では200$程度も跳ね上げていますので、日本とは勢いの差が違います。日本では先週辺りからネット証券経由の先物買いが目立ちますが、一方で大手証券からは売りも出ており、外国人投資家が勢いを失う中で、こうした国内での思惑の差、ということも市場には影響しているのでしょう。

米国で大型の金融支援が発表されても、市場が懐疑的で自信喪失気味なのは、これまでの失敗も影響しているはずです。今度の対策にも新規性がなく、経済悪化が続けば再度の対策が必要になる、という結果が予測できてしまう点も不安なのでしょう。この傾向はしばらく続きそうなので、金融機関の決算発表が意識されない時期しか市場が楽観に傾くことはない、ということでもあるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年01月16日

雑感、中国の偽札記事について

欧州中央銀行(ECB)が政策金利を0.5%引き下げ、年2%としました。ほぼ市場予想通りですが、為替は2月の利下げ見通しが遠のいたことで、一旦は落ち着きを見せています。一方で米民主党が景気対策案を発表し、規模については議論するとしながらも、減税を含む総額8250億$という大規模な政策を打ち出しました。世界はどこも超低金利、政府による景気主導という道へ進むことになります。

私はこれまで税収減と景気対策に投入する資金、それらを国債の大量発行で補うことで国債暴落を引き起こし、それが経済の最悪シナリオだと考えていました。しかしある記事をきっかけにもう一つの悪いシナリオも想起できる、という可能性に気付かされました。それが中国の偽札記事です。中国では銀行の検査機をもすり抜ける、100元紙幣の偽札が発見され、不安が広がっているといいます。
古代オリエントで貨幣が用いられたときは、金、銀、銅の比重を発行元が保証してモノとの交換を促す、いわゆる物々交換に比した制度でした。このため貨幣を鋳潰し、こっそり比重を変えて再流通させる、という行為も随所に行われています。見掛けの貨幣流通量を増やせば、一時的に国家財政は潤います。重量と比重を保証する印章も本物ですから、当面は通商上も問題なく使用できます。

紙幣が発行されるようになると、そうした行為も収まります。実物の価値に則して金、銀、銅と交換するのではなく、国家保証を前提に紙幣を流通するからです。この時、ジンバブエのように国家不信が強まると国際的な通貨価値が低下、他国通貨に対して暴落し、強烈なインフレになります。
中国では、偽札の出元は北朝鮮や台湾の名が挙がっているようです。しかし仮に、中国当局がこの偽札を発行していたとすればどうでしょう?当然、今回の景気悪化を受けて中国からも投資資金が逃避しています。金利を変動させても、中小企業に資金は回りません。そのため中小企業は資金繰りに苦しみ、賃金が支払えず、旧正月を前にして農村に戻る出稼ぎ労働者が困窮する。それらが暴動を引き起こすと、国家転覆という大きな問題に発展する可能性を中国は懸念しています。

資金繰り問題を回避する術は幾つかありますが、一つは紙幣を乱発し、国内の資金流通量を増やす方法。そしてもう一つは不換紙幣を発行し、見掛けの資金を補ってしまう方法です。前者はインフレを促し、後者は国家の信任を落とします。しかしどちらも貨幣を鋳潰し、価値を落としてでも国内の流通量をかさ上げしたように、短期的には経済を下支えする効果が期待できるものです。
中国では、これを偽札と発表していますし、まさかとは思います。ですが、偽札を正統な紙幣に交換してくれる制度のない中国では今、不換紙幣がばら撒かれている状態であることは間違い有りません。国債暴落とは異なるもう一つの最悪シナリオ、それは、こうした通貨価値を暴落させる要因に隠されているのかもしれません。問題が根深いだけに、軽々には語れませんが、一つの可能性として憶えておいて良いことでもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 経済

2009年01月15日

春闘が始まる

昨日、米国の昨年12月小売売上高が前月比2.7%減と6ヶ月連続減となり、年末商戦が既報通り悪かったことが判明しました。また今朝、11月機械受注が16.2%減と、マイナス幅の拡大を嫌気して日経平均は5%近く急落、先週の8日に基調転換してから、約1週間で1000円以上の急落となりました。

そんな中で春闘が始まりました。雇用の確保とベア要求、相反する理屈にどう整合性を与えるのか、極めて不透明な中での話し合いです。重要なことは賃金の考え方が労使ともに間違えていること、労組側は物価を根拠にベアを要求し、経営側は景気悪化を根拠に拒否していることです。
物価は景気に遅行しますし、特に日本ではデフレ傾向が強く現れますので、物価そのものは上がり難い構造です。一方で経営側は、これまで好景気と業績上昇を受けても、新規設備投資や事業拡大を根拠にベアを拒否。今回、景気悪化を根拠に拒否するなら、どういう形であっても賃上げはしない、という形が鮮明になります。労使双方が賃上げしない労使関係を構築しているのです。

一方でワークシェアリングが難しい部分としては、日本では単純労働以外、個々の従業員の能力に大きな偏りが見られる点が挙げられます。完全にシェアできる部分は少なく、逆に労働調整という形での一斉休業、工場を一時閉鎖という形での生産の調整が一般的な形になってしまいます。
また企業の内部留保とは本来、企業のバランスシート改善による資金の借り入れに寄与するものですが、大型買収や新規事業の立ち上げなど、企業業績の拡大に寄与するものであったはずです。それが自社株買いや株式持合いなど、非流動性であるばかりか、評価損というマイナスの影響に及んで、負の効果ばかりが喧伝されるようになってしまいました。このため内部留保を用いて労働者に還元する形とはならず、あくまで企業に滞留する形で終わっています。

今回の設備投資の減少を見ても、内部留保を生かしきれていない、経営陣の明確な失敗を示唆しています。しかしその弊害は経営陣に、ではなく労働者に向かい易い。現状、企業が懸念するのは黒字倒産と呼ばれる、短期の資金繰りがつかないことによる破綻です。この時、固定費拡大に繋がる人件費の増額が議論されることは、まずないのでしょう。
労使の関係で、双方が都合の良い理屈を用いるのではなく、従来の関係に捉われない新たな関係も必要です。日本が低成長に喘ぐのも、労働分配率が上がらない中で国内消費が抑制され、一方で企業は内部留保を溜め込むものの、新規投資などに消極的であったり、それが無意味な方向に向かい易い、という点もあるのでしょう。この時期であるだけに、新たな形を有識者が模索していく姿勢、春闘にはそうしたことが求められているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2009年01月14日

ブッシュ大統領の最後の記者会見について

米国では後一週間後に新大統領が就任します。ブッシュ大統領が最後の演説の中で、経済危機は任期以前から始まっていた、との認識を示しましたがこれは愚論です。市場原理主義には、右肩上がりの経済成長が大前提にあり、だから最後の2、3年を半ば強引に超緩和政策に誘導し、見せ掛けの好景気を演出しました。それが傷を深くしたのですから、ブッシュ政権の責任です。
ただブッシュ氏の退任で良いことは、ボーンズマン支配が消えることと、旧証券経営陣に対する捜査の手が進むことなのでしょう。ブッシュ政権下ではポールソン財務長官がいたことで、投資銀行への責任追及の手が緩かった面があります。しかし多額の公的資金を投入し、誰もお咎めなしでは世論が納得しません。経済危機を生んだ罪で千人規模の訴追が起こることになるはずです。

ボーンズマンというのは、スカル&ボーンズという組織の構成員の呼び名です。頭蓋骨とその下のクロスした2本の骨、というと日本では野蛮な組織のイメージがありますが、これはスカル&ボーンズの団体名の由来であり、今でも活動している普通の組織です。ただ厄介なのは、この組織が名家の子女で構成され、政治、経済に影響すると噂されていることです。
実際、この組織には某財閥も名を連ねているといい、経済事犯や政治スキャンダルにも隠然たる力を持ち得ていた、とも言われます。高所得者層への優遇、投資銀行の肥大化を食い止めなかった政策、など幾つかボーンズマンが関与したと思われる政策もあり、ブッシュ政権下の政策は利益誘導がこうしたボーンズマンを潤す方向に向かい易かった、ということは言えるのでしょう。

そんな中、オバマ氏が財政出動に対して懐疑的な見方を示したことで、市場は基調転換。翌日には火消しに努めていますが、大きな下落に見舞われました。財政出動を躊躇う論拠は財政赤字であり、ここを意識するとどうしても経済面は弱くなります。11月の貿易収支の赤字額28.7%減も、結果として消費しない米国という姿を晒しており、世界経済にとって喜べるものではありません。
オバマ政権のハネムーン期待、3ヶ月は続く、いや1年はもつ、という人もいますが、現実には就任早々正念場が矢継ぎ早に何度も訪れ、その都度評価も変わります。期待が高いだけに失望も強く、その度に一喜一憂する展開になります。早くは決算が悪化する金融機関への2次的な公的資金注入、不良資産買取プログラムの構築、ビッグ3支援の行方などが試金石となっていくのでしょう。

ブッシュ政権は様々な問題を残し、オバマ氏にバトンを渡します。イラク・アフガン政策から経済に関しても、米国が様々な政策で大きく舵を切る中で、日本も行く末を考えなければいけないのでしょう。1週間後のオバマ政権就任で打ち出される政策、しっかりと見ていかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 政治

2009年01月13日

2次補正予算案が衆院通過へ

まず『うそバスター』という番組で、ブログに記載されていた情報の真偽を検証するというコーナーで、そのブログ自体を自ら作成していたという話がありました。以前捏造で問題になった『あるある』と同じ製作会社だとのことですが、両者に共通して見られることは、現実に沿って番組を作るのではなく、構成上の都合で現実を捻じ曲げようとしたことです。つまり最初に構成ありき、虚飾を優先するあまり、番組としての正当性を失ってしまった姿です。

衆院で2次補正が可決されました。審議3日でのスピード採決であり、参院では審議がストップすることは確実です。そんな中で昨日、夕方の番組に麻生氏が出演していました。その中で1つ、内定取り消しを訴えた女性に対して麻生氏が、だから企業が潰れないよう資金繰り対策をしている、というような答えをしていました。それは倒産対策であって、資金繰りに目処がついても人材に過剰感がある現在、企業の生き残りと雇用は必ずしもリンクするものではありません。
2次補正では定額給付金が焦点です。公明党や自民党の一部では、かつての地域振興券のように配ったら支持率が上がる、と考えているようですが、当時と現在では大きく環境が異なります。地域振興券はもらったら使うだけ、という一方通行のやりとりでした。しかし現在、国民にはブログや掲示板を通じて意思表明をし、議論する素地があります。そして配られてもすぐ総選挙があり、選挙絡みで思惑の入り混じったこのカネを、ただ使うだけだという国民は皆無でしょう。

定額給付金は72兆円の景気対策のうちの一部、2兆円の話だという説明を政府は繰り返しています。しかし非正規を正社員に雇えば中小企業なら100万円という雇用対策は、人材の過剰感がある現在では、偽装による中小企業の資金繰り対策に充てられる、詐欺行為との検証が必要なものです。
環境対策で新規雇用を創出、製造業が吐き出した労働力をサービス産業に移す、様々に語られる話も、今のところ具体策はありません。特に72兆円を強調されても、一般予算も含まれるもので真水はあまり多くなく、実際に景気や雇用に寄与するかは全く不透明であるともいえるでしょう。

問題は、最初に取り上げた番組製作会社の話のように、虚飾ではなく何を見せるのかです。定額給付金に反対が多い、という現実を見ず、配れば自分たちを支持してくれるだろう、という驕りがあるとすればこれは重大な欠陥法だといえるでしょう。大事なことは血税を何に使うのか、という道筋をトップがしっかり示すことです。麻生政権の景気対策に疑義が生じるのも、麻生氏は細かい作業は閣僚や霞ヶ関に丸投げ、自身はその説明すらきちんとできないことなのだと考えています。
番組でも、政策でも、正当性を示すためには現実に則し、何を訴えるのが明確であることだと考えます。麻生政権にそうした態度が見られないことが、支持率20%割れに表れている、ということでもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2009年01月12日

日韓シャトル外交について

今日は成人式です。不思議なことは、ハッピーマンデーの3連休でも月曜日に成人式が行われることです。様々な見方もできますが、中日である日曜日に成人式を行えば、式に出席してすぐ大学や就職先に戻るため移動を余儀なくされる、という慌しさが解消されます。こうしたものは決め事、として過去を踏襲するのではなく、常に実状に合った方法を追及する方が良いのでしょうね。

日韓シャトル外交が行われました。拉致問題についての共通認識を確認、アフガン支援の認識でも一致、その他でも日韓新時代共同研究プロジェクトを発足させ、諸問題を討論する場を作ることでも合意しています。経済面では特に、EPA交渉の再開に向けて動き出したことが挙げられます。
財界人18人を連れての経済交流も行われましたが、トヨタが韓国鉄鋼メーカーから内装用の鋼板の購入を発表、同時に三菱重工が韓国航空宇宙研究員から大型ロケットを受注と、国家間の大型ビジネス案件も同時に発表されています。予め決定されていた事例でしょうが、両国とも政権の支持率低迷が顕著だけに、外交だけでも成功させておきたいという意識が透けて見えます。

韓国は朝鮮戦争から一足とびに経済を回復させたため、モノ作りという観点では、部品メーカーの育成に遅れが見られる点が弱みです。中小企業の交流拡大も、今回の首脳会談に含まれていますが、ウォン安を輸出産業の利点に変えられない時点で、韓国経済の脆弱性を露呈しています。
よって日本の部品メーカーを誘致、もしくは経済協力で技術を得よう、という目論見があります。ただ韓国は、人件費も他の新興国より安くありませんし、国内消費基盤も弱いため、日本企業も韓国へ進出するというインセンティブが働きません。特に中韓には、いつ日本排斥の動きが勃発するか分からない、ナショナリズムの台頭が怖いという側面も企業に二の足を踏ませるところです。

経済が不安定化すると、ナショナリズムが台頭し易い。それを象徴する動きが、ロシアの外交官職員の襲撃です。個人や組織レベルではこうした外国人排斥、国家規模レベルでは保護主義になるこうした動きは、EPA交渉も難しくさせるでしょう。欧州でも民間企業への国家支援に軸足を移し始め、米国でもビッグ3支援が取り沙汰されます。国家の庇護下にある企業との競争、日韓の間にも起こる問題として検討すべきです。
日韓両者がどう親密さをアピールしようと、横たわる問題は国家の危急存亡の課題です。一方は通貨安、一方は通貨高で苦しむ姿は、輸出依存であったり、基幹産業の末端である部品メーカーの育成を怠っていたりと、歪んだまま成長してきた結果でもあります。次の成長に向け、それをどう変えていくか、という議論は今回の2国間会談の中では、中小企業の交流を入れた韓国側に分がある、との見方もできます。頻繁に往来することでも合意していますが、日本も将来を見据えた投資、諸外国との関係を築いていくのか、という戦略をもって外交を行うことが重要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年01月11日

進まぬ公務員改革について

与党寄りの論調が目立つ某紙の世論調査で、内閣支持率が20.4%(-0.5%)、不支持率が72.3%(+5.6%)となりました。支持率が20%台に踏みとどまったこと、不支持率が70%を越えたこと、それ以上の驚きが中庸が好きな日本人の、どちらでもないという意見が10%にも満たないことです。国民は白黒をつけたがっている、ということがこの数字にもよく現れているということなのでしょう。

衆院予算委員会で、天下り公務員の「渡り」について閣議決定された政令について取り上げられたことで、俄かに国会内の動きが活発になりました。恐らく渡辺元行革担当相と民主党はこの問題に関してある程度連携している、と見られますが、対する麻生氏は渡りを承認する条件について、例外的に国際関係における人材については認める、との見解を示しています。
しかし官民人材交流センター自体の評判が悪く、内閣総理大臣が天下り事務への承認を進めることになったことで、更にお手盛りの様相を呈しています。元々、麻生氏は行政改革に積極的ではありません。改革推進本部が出した中間報告を、3月半ばまでたな晒しすると決めた時点で、この内閣で人事を含めた改革についての結論を取りまとめる意志はない、と明言したようなものです。

天下りは、予算獲得により安定した発注を実現することで、下部組織に人を送り込めます。人材バンクとは、人の流れを内閣に掌握させるものですが、本質的にはその上流である予算執行権を食い止める作業です。そこに特別会計を全て一般会計へ、という枠組みがあるのですが、そうでないならば一つ出来ることがあります。それは省庁間の大量人事異動という策です。
例えば農産物を諸外国に売り込むため、農水省の一部を外務省に移す、介護分野を産業としてより発展させるために、厚労省の一部を経産省に移す、会計検査院を各省庁において予算監視を行わせる。人とカネが省庁間で大きく動けば、従来型の利益配分の仕組みが壊れます。そして省益優先の官僚が、省益確保では将来的な安泰を得られないとなれば考え方も変わるでしょう。

そして中央官庁による地方への出先機関、ここへ出向することが出世コースとして確率され、唯々諾々とそれに従っていた幹部候補生も、移動を拒否するようになるでしょう。省庁間移動が簡便に行われるようになれば、そうなれば現在検討されている出先機関の整理縮小も促せます。
天下り、渡り、省益優先などの日本でムダとされる官僚機構の問題については、システムが確立されてしまっているため、その一部にメスを入れようとしても修正は不可能です。それを変えるためには根幹に楔を打つか、全体を大きく変えてしまうしか方法はありません。現在、行政改革に意欲のない人物が首相の座にある、という目でこの問題を考える時、日本がより良い国になる日はまだ遠い、ということを思わざるを得ないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年01月10日

雇用と景気対策と賃金の話

オバマ氏が景気対策でGDPを3.7%押し上げる、と強気の見方を示しています。米国では1兆$を越える規模、GDPで10%程度の景気刺激策を打ちますので、最良のシナリオであればその程度はいくでしょう。しかし12月雇用統計で失業率7.2%、非農業部門就業者数が52万人超の減少と深刻な状況です。雇用と景気対策、この関係は日本も同様に厳しい状況であるといえます。

報道番組でダイジェストしか見ていませんが、国会論戦でも大事な視点が中々出てきません。日本で問題なのは、僅かでも経済成長を達しながら正社員の賃金は据え置かれ、その間に派遣従業員などの低賃金労働者を増やした、即ち賃金デフレの状況にあったことです。
デフレそのものを悪とする論拠もありますが、物価と賃金のデフレ傾向は別けて考えるべきです。物価はモノの価値ですから、価格の変動は伴わない場合もあります。消費者物価の下落は消費を喚起する方向にあり、特に製造を海外に移した結果として起きた今回のような場合、単純労働による国内の生産性は落ちますが、それ以外の弊害は少ないということが言えるでしょう。

一方で賃金の減少は国内消費を確実に縮小させます。年末商戦でも、企業は日米で分かり易い方向性をもっています。米国は投売り商状で強烈な値引き合戦に陥っていますが、日本の価格下落は緩やかです。これ企業が米国市場を重視する証拠であり、またインフレ誘導を始めた米国では、一時的な価格下落も再び値を戻せると見込んでいるためです。一方で日本は値下がりすると元へ戻せないという恐怖が染み付き、消費動向も縮小傾向にあるため、市場占有率が重視されていないのです。
更に、ワークシェアリングも議論されていますが、これも賃金減を引き起こします。そして正社員のリストラも囁かれます。前回は団塊世代を狙い撃ちしましたが、今回はバブル世代の社員を企業は狙ってくるはずです。企業内部の年齢構成比率を見ても、給与水準で見ても、企業が切り易いと考える世代が40代。働き盛り、家族に一番お金がかかる世代に失業の不安がつきまといます。

役員へのストックオプションの行使を進めたことで、株主価値ばかりに目が向いた、という意見もあります。企業の内部留保が自社株買いや株式持合いなど、証券に向いたことで、今回の危機を受けて多額の評価損計上に陥ったことも問題です。重要なことは、価値の源泉とは本来、生産性の向上にあるのであって、それを促す施策の一つとして賃金増が含まれていなかったことです。
そして政治家がワークシェアリングなどの賃金減を容認する発言をすることは、定額給付金を消費喚起という目的とするなら、両者は著しく反することです。賃金減、雇用不安があれば、一時金の形で給付されても消費には回りません。これが生活扶助なら議論に多少の正当性もありますが、消費喚起であればまずやるべきは労働環境の改善、社会環境の好転です。その順序を間違えれば、GDPで0.6%程度の給付では消費喚起効果はないでしょう。国会論戦、政府答弁も意味不明なものが増えていますが、こうした議論の倒錯を起こしている以上、益々支持率低下ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年01月09日

ガザ停戦決議が採択される

国連安全保障理事会が、パレスチナ自治区ガザでの紛争についての停戦決議を賛成14、棄権1で可決しました。欧米諸国は議長声明でまとめる腹づもりでしたが、国連施設への誤爆、医療関係車両への爆撃等、目に余るイスラエルによる市民攻撃に対し、緩慢な対応をとり難くなった形です。ただイスラエルも、ハマスもここで双方引くわけにはいかず、この決議も調停工作へ向けての布石の第一歩でしかなく、停戦する気配がないのが現状となっています。

先のグルジア紛争で、世界は初めて金融が戦争を抑止する形を経験しました。ロシアに流入していた金融資本が紛争勃発で一気に逃避し、ロシアは深刻な市場の落ち込みを経験しました。その結果、当初強気の姿勢だったメドベージェフ大統領も態度を軟化させ、強硬派は影を潜めました。
これは兵器がハイテク化されたことも影響しています。高度からの戦闘機による爆撃、遠距離射撃、どちらも反撃されることのない、味方は血を流さない戦闘が可能です。一方でそうした攻撃兵器を失えば多額の損となります。国内で失業した労働者を兵士として投入し、愛国心を煽って他国に攻めかけた戦争から、ハイテク兵器による戦争に変わったことで、戦争の質が変わりました。不況時よりも、景気が良い状態でないと戦争が継続できない、そうした環境が現在です。

しかし今回、発端は政権基盤の強化という極めて内政的な面が強く、経済環境を無視して戦闘が続きます。早くからイスラエルが地上軍を投入したのも、ローテク戦争へ早めに移ることで、早期に成果を出して終結する意向なのでしょう。よって国連決議は無視し、一方で話し合いをこなしながら、政権が納得する成果を挙げるまで兵力を投入する形となることが想定されます。
そして世界は少し前、再びローテク戦争の恐怖を目の当たりにしています。それがインドのムンバイで起きたテロです。わずかな兵力、兵器でも警戒の薄い民間施設を狙えば、一定の成果を出せる。今後世界は、ローテク戦争による民間人の犠牲について、真剣に考えなければいけない局面にあるのでしょう。大量破壊兵器が世界に分散され、相互確証破壊がある中では、局地戦でのみローテクによる衝突が起こる。その中で民間人の犠牲はほぼ確実に起こるのでしょうから。

そして今回でも米国が中東和平を成し遂げられるのか?という疑問が、今後の中東でも重要なのでしょう。米国によるイスラエル偏重主義は、政権内部にユダヤ系を多く抱える米国が変えられるはずもなく、そうした偏った面がある以上、米国による中東への介入が正当性をもつことはありません。結果的にテロ組織を肥大化させている米国やイスラエルによるテロ根絶作戦、共倒れになるか、一方が世界から消失するか、という選択ではない第三の道を求めることが求められているはずなのですけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 中東 | アメリカ

2009年01月08日

経済の話。米財政赤字が1兆越えへ

英国中銀(BOE)が政策誘導金利を0.5%引き下げ、1.5%としました。予想されたことでしたが、インフレ期待が低下し、金融や不動産で拡大した英国経済も未曾有の危機に陥ったことで、低金利政策に舵を切ったことになります。欧州中央銀行(ECB)も2.5%の現在の政策金利を引き下げる方向にあり、一時的には為替に影響を与えることになりそうです。

今日の日本市場は大きく下げましたが、昨日の大幅上昇が先物の動きに影響されたものだったので、これは仕方ありません。上昇波動に乗っても、上げ切れない場合には半ば強引に、こうした手口で相場を動かすことがあります。しかしそれは焦眉の急であり、SQ前に9000円台の推移を狙ったものだったため、反対売買が出るとこうして売り崩されることになります。
きっかけは昨晩米国で発表された民間雇用統計で、69万人の減と示されたことと言われます。しかしそれと同時に、オバマ次期大統領が市場期待より景気対策規模が小さくなる可能性を示唆したことで、オバマ政策期待が若干剥落したことも含まれていたのでしょう。現在、3000億$の減税、8000億$の景気対策を市場は織り込んできましたが、それでも足りないと認識されています。しかしオバマ氏がそれ以下だと発言したのですから、市場はやや懐疑的な見方へと変わっています。

オバマ氏の腰が引けた理由は、やはり1兆$を越える財政赤字、12兆$へと膨らむ債務残高への懸念です。赤字が続く企業の法人税、雇用悪化に伴う所得税、停滞する消費による税収減など、米財政の歳入は3重苦です。米議会予算局が提出したこの数字も、楽観的との見方もあり、米財政も人間の想像力を遥かに超えた、未知の領域へと突き進んでいくことになります。
それに呼応するかのように、米国債の応札でも外国勢の買いの勢いが衰えている、という現状があります。現在は国内からの買いが米国債を支えていますが、それが途絶えると厳しさを増しそうです。欧米の金融機関が、中国内にある銀行の株式持分を解消する動きもありますが、こうした動きが巡り巡って、中国が保有する米国債を売却、という流れになることが一番米国が恐れていることなのでしょう。

そして、国債が大量に発行されるという現状は、社債やCPなどの金融商品の価値を更に毀損していることになります。低金利とはいえ、安全資産への逃避が進む投資家にとって国債は有効な投資先です。それは社債やCPなどの発行を更に難しくし、結果的に国や中央銀行が保証をつける、そうした形にならざるを得なくなります。その結果、国も原資が必要となり、更に国債を発行することになる。ここにも負の連鎖があります。こうした負の連鎖を断ち切るための施策を示せない以上、この危機からの脱却もないのであり、米国も難しい舵取りが続くのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(6)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2009年01月07日

グリーン・ニューディール政策とは?

米国オバマ次期大統領が提唱するグリーン・ニューディール政策。それにあやかり、日本でも環境事業への投資を拡大するよう、検討が始まります。物真似ばかりで、独自の対策を打ち出せない日本の悪い癖ですが、これがムダな検討・投資に終わらないためには、その言葉がもつ真の意味や効果を知っておく必要があるのでしょう。
環境事業とは、独自で市場を開拓できる産業ではなく、そのほとんどが既存の事業に対する代替産業です。太陽光発電でも、それが火力、水力に代わる発電事業としてある場合、太陽光発電に置き換わる、ということは即ち火力、水力発電の建設を請け負っていた事業主、従業員の仕事がなくなることを意味します。つまり環境事業で雇用220万人を創出、ということを環境相は目標にしていますが、その分の雇用がどこかで失われていることになるのです。

公共工事でも、それに伴う街の発展、産業の活性化が導かれ、それによる税収への見返りがないとムダな工事です。短期的に仕事、雇用が生まれても、それが終わってしまえば失業者があふれることになり、継続的に公共工事を発注してきた、これまでと同じ失敗を繰り返すことになります。
環境事業も同様、これは付加価値事業でもありますから、生活に必ずしも取り入れなければいけないものではありません。特に、経済が危機に陥ると個人も企業も防衛に走り、無駄な出費は省きます。環境機器の導入が、投資とリターンとの関係でペイする状況でないと拡大は見込めず、ムダと認識されて導入は進まないでしょう。地球温暖化という大きな問題は、個人、企業が生き残れるか?という問題の前では非常に価値が低くなってしまうのが通常の行動なのです。

環境問題とは、継続的な取り組みが必要なものですが、短期的に雇用や成長に寄与するものではないのです。それを理解した上で、こうした施策は進めるべきです。例えばリサイクルは、日本では根付いていない現状があります。それはリサイクルにかかるコストより、割安で良い材料がたくさんあるからであり、これが通常の購買行動とも言えるのです。
上記のように、環境事業を景気対策とするには極めて不適当です。むしろ衛生面、健康面まで含めて、省庁、産業の枠を超えた横断的に合理化を進める必要があるものであり、景気対策とは真逆の対応も必要です。環境事業はゆっくりと、着実に世界に向けて浸透させるもの、という原則を外すのなら、投資額は10年で1500億$、といわれる米国の上を行く必要は最低でもあるのでしょう。
といって、見返りは非常に期待し難いものです。自動車産業も、IT産業も、それに代替するものがなく、新しく生まれた産業だったからこそ大きく発展しました。成長産業の創出、育成とは、こうした新たな需要を生み出す方向で見出す方が、より確実な方法なのですが、環境事業はそれに則しておらず、グリーン・ニューディールによる内需拡大は厳しいと言わざるを得ないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 行政 | 社会

2009年01月06日

政治家や官僚の発言について考える

通常国会の代表質問が始まりました。そんな中、自民党の細田幹事長が「定額給付金は景気対策なのだから国会議員ももらって使うべき」と述べ、麻生氏もこれまでの意見を翻す気配です。麻生氏の言葉を借りれば、高額所得者で支給を受ける人間は『さもしくて矜持がない』ということになります。
麻生氏は『矜持』という言葉を用いますが、これは誇りというほどの意味です。誇りですから、言葉通りにするかしないか、やるかやらないかは、この言葉だけでは確約していないことになります。つまり麻生氏のいう矜持とは、何ら実効性を約束するものではなく、決意を表しただけのものであって、誇りさえ捨てれば如何様にも改変可能というごく曖昧なものであることが、この定額給付金の経緯を見ても明らかなのです。

総務政務官が年越し派遣村を巡って、「本当にまじめに働こうとしている人たちが集まっているのか?」と発言し、今日になり撤回、謝罪しています。確かに一部には売名、主張を広めるための行動、そうした政治的なきな臭い動きもあります。ただ大多数は派遣切りに遭った生活困窮者であって、一部をとらまえて全てのように語れば、当然批判されることになります。
昨今の政治家、官僚からの発言の特徴ですが、これは制度をダメにしている一部を捉えて全体を語る、自己弁護のための論理展開です。学生運動にも例えていますが、社会に燻る背景が似ているという認識があるなら、そうした背景を一つ一つ潰すような施策が必要であり、安心も活力もない社会をどう転換するのか、という明確な方法論を示す必要があるのでしょう。
そして定額給付金でGDPを0.2%押し上げると麻生氏は説明していますが、支給総額が2兆円ですから、およそGDPの0.6%を配るのでその程度の消費押し上げ効果がある、と考えるのであればそれは甘い試算です。国民から給付を待つ声もある、とも述べていますが、これも一部をとらえて全てのように語る、そうした言い訳の1つでもあります。

例えば、福田政権から麻生政権に変わった今でも、明確な政権公約は示されていません。つまり政権は2期続けて、何を目指すのかを明確に示さない態度に終始しているのです。自分がこの国をどう導くのか、それがないので初めから議論が細分化され、結論が曖昧になります。これがリーダーの態度として適切かどうかは、考えるまでもなく分かることでしょう。
哲学者のデカルトは正しい認識を得る思考法として、即断や偏見を避け、疑う余地のないもの以外は自分の判断の中に入れない、ということを第一においています。様々な意見を通して見える政治家、官僚の言葉、それは疑いたくなるものばかりで正しい認識とは言いづらいものがあります。周囲の意見を聞き過ぎると言われる麻生氏、自身の無能さを補佐役が支え、忠言により正しい政治を導くという構図は今の自民党や官僚組織では描き難く、それが末期的な今の政治状況に現れている、ということなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年01月05日

米国経済の懸念について

通常国会が通常より早く、今日から召集されました。焦点の定額給付金が2次補正に盛り込まれたことで、冒頭から対決姿勢、混乱も予想されています。麻生氏の対決路線、3分の2頼みの戦略では突破口が見出せないことは確実であり、予算は年内通過できても関連法案含め、波乱を招くことになります。渡辺元行革担当相の動向もそうですが、今後も突発的に様々なことが起こりそうな気配が漂っていますね。

年末、年始の相場は、予想以上の期待値の乗った上昇となりました。米国は年末のお化粧買いとオバマ期待、日本も外国相場の落ち着きを好感した流れで、日米とも9000の大台を回復しています。ただ一部米国メディアでも流れたようですが、今年の経済は米国債とドル札の行方が焦点となってきます。米国債の暴落とそれによる金利の急騰、ドル紙幣の増刷によるインフレとドル安懸念。この二つの流れが現れた時が本当の試練、経済危機ということになります。
今はまだ金融不安に伴う実体経済への波及であり、消費や雇用にまで影響していますが、100年に一度の危機で済んでいます。しかし上記2つが起これば国家崩壊であり、1000年に一度の事態です。中国かロシアか、どちらかが米国債の売却を進める、またその噂だけでも米国債は小幅下落を起こし、その都度財務省やFRBが対策を打つ、それを繰り返す事態になるのでしょう。今年中に米国が危機を迎える、とまでは予想していませんが、こうした動きが出てきたとき、また現在の急速な景気悪化の流れからすると、年内に発生する可能性も十分にあります。

フランスでは、ナポレオンが出る前のルイ15世の時代、財政破綻に陥ったことがあります。ルイ15世は無用な戦争に介入して破れたり、好色で、政治を省みなかったりしたことで国家財政を傾けました。彼は「余の目の黒いうちは今のままだ。後は皇太子が何とかする」と言ってのけ、国民の怒りを買い、財政を破綻させたことでフランス革命を準備した人物としても知られています。
米国は父ブッシュによる世界新秩序宣言以来、中東の紛争に介入を続けてきました。その結果財政は悪化し、更にここへ来て金融不安により財政は破綻状態に近付いています。キリスト教国は多かれ少なかれ復活と再生、メシア期待も強いものですが、ブッシュの目の黒いうちは今のまま、後はオバマがやってくれる。それが通用しなくなった時、大革命の引き金を引くのでしょう。

ちなみに、ルイ15世の時代の財務長官はシルエット卿です。財政破綻の時代、メシアの如くに待望された人物でしたが、課税拡大と緊縮財政を推し進めたことで、わずか4ヶ月で辞職しています。それが言葉として形があっても中身がない、シルエットとして残りましたが、オバマ氏がどういう形で名を残すのか?それ次第では、米国でもまさに変革の時代を迎えることになるのかもしれません。
米国市場ダウは今年、10000〜4000$程度の推移と見ていますが、ドルの強弱によっては見た目以上に米国市場の価値も毀損することになり、価格以上に実態を見ていくことも大事になってくる、そんな一年なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 経済

2009年01月04日

法人税引き下げ議論について

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
お正月に国営放送で、経済に関する討論番組が行われていました。その中で、竹中氏が日本は法人税が高すぎる、企業は海外に逃げてしまう、と熱弁を振るっていました。以前も述べましたが、日本の法人税が先進国で割高なのはその通りですが、といって企業が海外流出するか、というとそれは大きな間違いです。そしてこの意見の中に、日本の抱える最大の問題点が含まれています。

まず世界が法人税を引き下げられたのは、それに見合う経済成長、『小さな政府』に基づく政府支出の縮小が前提となっています。逆に言えば、その前提条件が崩れると、税収減を伴うこうした政策を打ち出せないのです。世界各国は現状、金融危機を迎えて政府支援を進める、いわゆる『大きな政府』に移行しつつあります。そしてこれは、経済不安が続く限り世界の趨勢となります。
この時、先の前提条件が崩れるために各国は税収不足に陥ります。それを補う術は増税か、赤字国債です。米国は後者を模索していますが、限度もあるのでいずれ増税に舵を切らざるを得ません。各州ごとでは、すでに税収不足を増税で補おうとする動きもあり、いずれ国税としての法人税率も議論されることになります。つまり危機の深度、期間により、各国の法人税率も今後どうなるか分からないことになるのです。

企業の側からは各国の治安、為替、税制の変更などのリスクをどう捉えるのか、によって工場移転は議論されることになります。一方、政治の側からは『大きな政府』をどう捉えるのか、によって法人税率は変わってきます。つまり政策の優先度として、表層的な数字を諸外国に合わせることを優先すると、背後にある政府機能が縮減していない日本では、その後に増税という厳しい現実しか示せないことになるのです。
政府が先に歳出を見直し、法人税に言及するなら問題ありませんが、小さな政府を実現していない日本が、この次期に減税などの施策を打ち出すことがどれだけ危険か、少し考えれば分かります。この国の政策決定過程で圧倒的に不足しているもの、それは政策の効果、影響を議論する前に、まず政策の優先度を決めずに他者を真似ていればそれで良い、として他の議論を封殺してしまうところにあります。郵政民営化も同様ですが、先にやるべきことをやらずに実行してしまうと、国債購入者を探さなければならない今のようになるのです。

物真似は日本の得意芸ですが、政策の場合は特にその背景を探らないと、後でその歪が恐ろしい事態を引き起こします。2009年も始まったばかりですが、将来を見据えてこの国の有り様を考えていくことが大事です。日本には長い間失敗を繰り返したツケで、財政が危機的状態にある中で経済不安を抱え、再度の失敗を許容できるだけの余裕はあまり残されていないのですからね。

analyst_zaiya777 at 21:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般