2009年02月

2009年02月28日

年金基金の第3四半期運用実績が示される

年金積立金管理運用独立行政法人が、08年度第3四半期の運用実績を発表しました。懸念されていたように、運用利回りが-6.09%、6兆円弱の赤字です。08年末の資産構成は国内債券68.91%、国内株式12.02%、外国株式8.59%、外国債券10.08%、資産総額は116兆6299億円になります。
利回りは上記順番通りに、+2.49%、-21.11%、-34.05%、-11.25%になります。国内債券は利回りが低下し、その分の価格上昇が寄与した形です。海外資産の大幅な目減りは円高が主因と見られますが、持分が低いはずの外国株式の損失は、市場下落率よりも高く、海外でも債券利回りの低下と価格上昇がありましたが、その分を割り引いて考えても、かなりの損失を抱えた形となります。

この独立行政法人が掲げる基本ポートフォリオは、上記通りの順番で67%、11%、9%、8%、それに短期資産5%が加わります。基本的に、この水準からの乖離率が定められており、一定の値以下になると、自動的に他の持分を減らすか、追加で資本投入しなければなりません。
H19年度からの推移を見ると、62.37%、15.11%、11.94%、10.58%でしたので、国内債券比率は利回りの上昇とともに持分が上がり、他は相対的に下げた形ですが、一点のみ持分があまり変化していない項目があります。それが外国債券です。基本ポートフォリオより高く、また利回りがマイナスであるにも関わらず、常に10%台で推移している外国債券、言わずもがな、政府の意向が強くここに反映されている、ということになるのでしょう。

問題は今後、国内でも海外でも、株式の配当利回りは低く、債券利回りも低い傾向が継続してしまうこと。また政策金利が上昇局面に至ると、債券の価格下落が同時に起きてしまうこと。そして最大の問題点は、今後も大量発行される米国債で見られたように、一部に入札不調も起き始めていることによる、資産逃避による相場の急変動リスクを負うことなどがあげられます。
日本でも、日本売りのそもそものキッカケは10-12月期GDPが、年率換算で-12.7%が示されたことです。この数値がちらつき始めてからGDS市場が急騰、まだ債券にそれほどの影響はありませんが、今後はリスクがつきまといます。高い利回りでなければ資金調達が出来なくなれば、これは財務全般に影響を与えますし、こうして年金の利回りにも影響する話となるのでしょう。

年金の前提は出生率1.26%、長期の運用利回り4.1%、15年度以降の実質経済成長率を0.8%と見込んでいます。いわば、いずれも努力目標であり、日本の現状からはかなりの難題ともいえる形で、支払いを約束するものでもあります。運用にリスクはつきものですが、今回のようにリスクをそのまま被る形での原資の毀損、年金制度全般に亘る転換を目指す、そういう形であれば良いのですけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 年金

2009年02月27日

小沢氏の第七艦隊発言について

衆院本会議でH9年度予算案が成立し、30日で自動成立のため年度内成立が確実となりました。一般会計予算が88兆5480億円。国債発行が前年度比8兆円拡大していますが、これは今年GDPで0%成長を見込む中での税収減を賄うものであり、実際はそれ以上の景気落ち込みを見せていますから、赤字国債の発行などが年度当初から議論されるかもしれません。早くも補正が議論の俎上に上がっているように、景気対策費の積み上がりに税収減が追いつかないのが現状です。
そんな中、自民党内の動きが活発です。予算案は年度内成立が確定し、2次補正予算と関連法案の中で、造反が出るかが焦点です。武部元幹事長が税制関連4法案で採決を棄権し、憶測も高まり、また石原幹事長代理も議連立ち上げです。麻生降ろしのスタート、そんな声も聞こえます。

民主党では、小沢代表の「在日米軍は第七艦隊だけで十分」との発言で揺れています。党内、連立を模索する中で、火種の燻る安保問題にあえて言及したことには幾つか理由も考えられます。この議論の前提として、現状米中で戦争は起こり得ないことを意識する必要があります。
米中間では米国債の存在があり、尖閣諸島の問題に米国が言及しないのも、他国間の領土問題には立ち入らない原則と、中国との無用な摩擦は避けたいとの思惑が働いています。中東における米軍事力保持の問題は残りますが、極東配備の軍事力が対中ではなく、東南アジアや北朝鮮向けのものと考えれば、米第七艦隊のみでも一定程度の抑止力は期待できると見ることは可能です。

しかし今回あえて小沢氏が取り上げたのは、党内の反小沢勢力の見極めと、社民党への牽制の位置付けもあるのでしょう。参院で過半数のない民主党は、仮に衆院第一党となっても連立が必要です。存在感を増す社民に対し、連立に加わる際の踏み絵を迫る内容を打ち出した。連立に加わるなら、この程度の議論はキチンと整理しておくようにとのことなのでしょう。
恐らく背景には、総選挙はまだ先との読みも働いています。現状、内閣不信任案の提出などもありますが、麻生政権が総辞職し、新総裁の元での選挙となると票は読み切れない。麻生政権で解散、このシナリオのためにはカード不足、キッカケ待ちの状況が民主党内に漂います。そこでわざわざ訊かれもしない安保問題というカードを先に切り、党内引き締めと他党に決断を迫ってみた、それが発言の真意なのでしょう。

政治の閉塞感、これを脱却する一つの手法があります。それは与党からの内閣不信任の提出です。このインパクトは相当なもので、一気に政局が流動化します。反麻生を巻き込み、誰もが曖昧な態度ではいられない。一か八かですが、自民党がどちらかでまとまる可能性があり、その時はどう採決されても解散になるのでしょう。
麻生氏も誤解していますが、解散は総理の専権事項ですが、専横を許すための条項ではありません。郵政解散以来、総理が解散権を握り、絶対的権力の象徴とも見られがちですが、解散とは本来、国民主権の立場を問う内容でもあります。国民に真を問う、誰もがそう感じるそのタイミングでも解散を引き伸ばせば、結果的に政権は益々死に体になっていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年02月26日

政府の市場対策について考える

中川前財務相の辞任により、先週より証券市場による外国人投資家の売りが拡大したことが今日、確認されました。91円台にあった為替も98円と、10日で7円もの円安です。しかし今週より東証では異なる動きも見られます。それを引き起こしたのが政府による市場対策、株買取の示唆です。

銀行等保有株式取得機構は、銀行が保有する株式を買取り、銀行の手元資金を厚くして貸付に回すために設立しています。これを企業の持合い株の買取りにまで拡充、また60年代に設立された『日本共同証券』などの官民共同の株買取機関創設、などが与党内で議論されているといいます。また対象は株のみではなく、ETFやREITなど、幾つかの市場への投入も検討されているようです。
某紙で20兆円とも伝えられる対策資金の規模、これは東証の時価総額が300兆円ですから約7%弱。ETF、REITなどを含めてもこの金額が投下されれば十分です。しかし、仮に来年度予算の予備費を充てるにしろ、この20兆円は当分塩漬けが確実となり、更にリスク資産を国が抱えることになります。

各国の景気対策でも株買取が行われないのは、破綻懸念が起きた時、保有株式の目減りを防ぐために国がインセンティブをつける、そうした思惑を誘発することなどがあります。しかも安定株主としての国の存在、企業側から保有延長を求められれば、売却時期の正確な見極めも難しくなります。また議決権や含み損を抱えた場合の対応など、問題は多くあります。何より、20兆円とも伝わるその資金の使途については、別に議論も必要となってくるでしょう。
60年代の官民共同の株買取機関でも、成果は疑問視されています。銀行等保有株式取得機構にしろ、銀行が景気回復とともに保有株式を積み増すようでは、同じことの繰り返しになります。日本では過去に同様の体験があり安易に傾きがちですが、国が市場介入する、その正当性、妥当性に疑問が残る以上、行うべきではありません。

3月危機に備える、ということなら若干遅きに失しています。野党も協調できる気配ですが、制度すら固まらず、効果についても検証不能で時間切れになるようでは、意味もありません。
市場は一部、この動きを好感して自己売買部門が動き、指数関連で上げ幅を拡大してきました。一部、ブルベアの買戻し、円安に伴うショートカバーもありますが、20兆円なら需給面で問題なく、今買って後で売るとの思惑もあったと見られます。ただ今日になり、対策に不透明感も出て一部で調整売りも出たようです。しかも年度末に間に合わなければ、見切売りも加速するでしょう。

厚労省が年金の予想運用利回りを3.2%から4.1%に引き上げ、それで厚生年金を給与水準の手取り50%確保、という記事がありました。これは努力目標であり、鉛筆を舐めた数字であると各所で言われているので、数値自体の批判はしませんが、景気後退期に買いしかもてない運用では、利回り確保は難しいのです。市場対策と銘打ち、買取りなどを進めるより、20兆円を使った有効な景気対策、これに向けて最大の知恵を絞るべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2009年02月25日

日米首脳会談について

日米首脳会談が行われました。昼食会や共同記者会見もない、国賓扱いは受けていませんが、これは日本側から強引にねじ込んだ日程が影響しています。一方で、ドル基軸通貨体制の維持、内需拡大など、与えられた課題は多く、またアフガン支援、クリーンエネルギーに伴う協力など、米国の政策に沿う形での日本の貢献には無言の圧力もかかっている口ぶりです。

一部、麻生氏の発言に真剣に耳を傾け…、とも聞かれますが、これは麻生氏の発音がカタカナ英語であるため、聞きとり難い点があります。問題は麻生氏の提案に、何か意味を見出せたのか?ということですが、残念ながら高速鉄道の提案程度しか、積極的なものはなかったようです。
米国では一部、工場を海外に移転して米国内の雇用減少を促す企業に対する減税見直し、なども議論されています。これも形を変えた保護主義であり、今後米国で販売される製品には、米国製の部品点数制限などがかかるのかもしれません。オバマ氏の議会演説でも、先の景気対策法でも、米民主党寄りの提言が目立ち、共和党の支持も得られていませんので、今後は保護主義色を鮮明にするでしょう。この時、高速鉄道などが仮に採用されても、技術移転や部品の問題など、課題も多く出るのでしょうね。

麻生氏の渡米の間、日本でも動きがありました。甘利行革担当相の内閣改造発言ですが、これに関して自民党内から反発も強く出ています。背景には、内閣改造があると政権延命になりますが、麻生シンパでそれを勝手に決めるな、という党内からの批判が出た形です。
特に2代続けて内閣改造後、辞任に至ったように、政権末期の改造に支持率浮揚の効果は薄く、党内でも容認できない問題です。予算成立後、森元首相が公邸を訪ねる、もしくは料亭に誘う、などがあれば退陣の説得となるはずです。民主がこの件を批判しないのも、内閣改造で政権延命し、麻生氏のまま解散してくれる方が都合がいい、そうした判断も含まれています。

一部、今回の日米会談は小沢民主党代表の行動に不信感を抱き、自民党援護のために急遽差し込んだ、という話も聞きます。ただ、最恵国待遇とは言わないまでも、今回の上から目線の日米会談に、米国がそれほど深い意図を篭めたとも思えません。三菱UFJによるモルスタ増資引き受けの答礼、という話も、時間差と意味合いが異なるので、積極的に支持できない話です。
やはり米国にとって、ドル基軸通貨体制という、これまでの日米同盟で言わずもがなのことを持ち出した点で、米国債の買い手としての期待、これがあるのでしょう。1月貿易統計が1兆円に近い赤字と、外貨を稼げない日本が鮮明ですが、この時外貨準備、米国債を積み増さなければいけない状況。これは財政に問題も生じそうです。日米関係について、今後の形が示せない中での1時間20分の会談、費用対効果や課題という点で考えると、ややマイナスと見るべきなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2009年02月24日

経済の話。米金融国有化について考える

米国市場でダウが12年ぶり安値更新、日本も日経平均でバブル後最安値を一時更新、TOPIX型ではすでに更新です。昨晩は米国で緊急声明が出され、金融機関の国有化を否定しましたが、AIGの巨額赤字報道で下落に転じています。米国では、企業の国有化にNOと言い、公的資金注入ばかりを促そうとする勢力と、それに対して具体策がないと批判するグループがいます。しかし両者とも同根であり、基本は『国有化なき具体策の構築』を政府に求めていることになります。
国が保有するシティ転換社債を株式にし、25〜40%まで保有比率を高める、という案もありますが、いずれも国有化なき、公的資金の再投入が前提です。この案では、景気低迷が長引くとの認識が高まるたび、破綻懸念が倍加して高くなる対症療法に過ぎず、景気回復は不可能と見ています。

バッドバンク構想も、資本分割では不良債権処理と業務継続に伴う資本再注入が必要となり、公的資本にしろ民間資金にしろ、多額の資金投下が必要となります。以前も述べましたが、この閉塞感を脱却するには、業態分割による一部国有化、という案が最適と考えています。
分割により債権者や株保有者も一部損を被りますが、国有化され全損になるより、受け入れ易い案です。国有化された商業銀行は、民営化前の郵貯がビジネスモデルとなります。預金を国債、公債に回し、低利でも着実なビジネスを行い10年計画で不良債権を処理する。国有化に伴い増える国の債務は、不良債権処理が終わった後に上場資金で賄うとすれば、返済にも目処がつきます。これが具体案のある、一部国有化による長期的な不良債権返済計画となるのでしょう。

そんな中、日本市場は意外な底堅さを見せています。円安の影響、というのもありますが、為替はやや円持ちに偏り過ぎたポジションの調整、という局面にあり、一部で仕掛けてきな動きも見られ、予断を許しません。外国人は為替とともに、株式でも日本売りに来ていることは間違いありませんが、それを支えているのが今、指数関連に証券、保険と見られる自己売買部門の大口です。どうやら年度末を控え、幾らか調整と見られる枚数を入れているのかもしれません。
証券市場では底値と見られていた水準を割り始め、一方で金価格は1000$を越す勢いです。マネーシフトは大枠半年程度で起きますが、ドル買い、金買い、という今回の流れが一時的な逃避先なのか、継続性があるかはまだ読めません。一部に朝鮮半島の緊張を織り込み始めたものなら、有事のドル、という形でしょうが、ドル買いの状況ではない中で高値をとると逃げ足も早そうです。

与謝野財務相が市場対策を示唆しましたが、政投銀が昨年10月に変更しているので、新たな形を作らなければなりません。そして、それより大事なのが経済という大元を立て直すことが、最善の対策であるということです。財政規律と財政出動、その狭間で何が出来るかは知恵の見せ所、というところなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2009年02月23日

麻生政権の高い不支持率について

SFCG(旧商工ファンド)が民事再生法を申請しました。予てより貸し剥がしが問題視されていましたが、資金繰りと貸金業法改正による打撃が影響したようです。問題は、これが日本で初の大型ファンド破綻、という点です。つまり諸外国から日本でも今後、資金繰り問題で企業破綻が増えるとの懸念が広がればマイナスの影響も考えられます。政局不安、金融機関の破綻懸念の広がりを表すように、円安が進み易い地合となっており、日本売りが加速するかもしれません。

政局不安の一つ、麻生政権の支持率低下ですが、以前より注目しているのが不支持率です。支持、不支持ともに基底層があり、一定水準以上には下がり難いものですが、上昇に関しては異なる見方が出来ます。不支持率が軒並み80を超える水準、これはすでに『何をやっても鼻につく』段階であり、大人ぶってガハハと笑うその態度にさえ、国民の8割は不信感を抱くことになります。
麻生氏は総理を続ける意向が強いと伝わります。しかしこれは、総理周辺のみの発言であり、裏を返せば党の重鎮たちがオベンチャラを並び立て、持ち上げていることによります。今、予算案を放って政権投げ出しなどがあれば、間違いなく自民党は地盤沈下する。予算成立までは麻生氏に意欲をもって政権を続けさせる必要があり、麻生氏もそれを鵜呑みにしているだけです。

一部、自民党内のおかしな動きとしては、ツーショットポスターに舛添厚労相を採用している方がいることです。舛添氏はメディアに出ていたこともあり、人気があるように見えますが、発言のブレ、官僚に上手く手懐けられている点など、麻生氏と極めて近いタイプの人間です。もしここで舛添氏が次期総裁など党要職となれば、その時点で自民党は終わりになるでしょう。
麻生氏は自民党青森県連のセミナーで講演していましたが、空席が目立ちました。こうしたものは、動員をかけてでも満席にするか、席の数を減らして満席に見せかけるのが通常です。そしてその中で「民主党では不安」と述べていますが、国民は「自民党では不満」なので不支持率が高いのであり、不安と不満では実害のある不満の方が、より力を持つことは言うまでもありません。

今日麻生氏は渡米していますが、この日米会談は正式に記者会見もない、顔見せの儀礼的な内容です。今後も米国債の買い手として機能して欲しい日本の、顔を立てているに過ぎません。その時、成果を焦る麻生氏が再び手土産などを表明しないか、不安も抱いてしまいます。
歴史的高不支持率に喘ぐ麻生政権、森内閣と同様の退陣方法が有力視されていますが、総裁選には否定的な見方が、今回の世論調査でも示されています。それでも強行するか、それとも麻生氏で突っ込めるのか、与野党ともに世論形成を見極める上でも、予算成立後、というのが慌しくなりそうですね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年02月22日

雑感、サーブの民事再生申請

スウェーデンのGM傘下の自動車メーカー、サーブが事実上破綻しました。GMは540億円規模の支援を要請していましたが、スウェーデン政府がNOをつきつけた形です。GM傘下のドイツのオペル、韓国の大宇も政府支援を求めていますが、厳しい状況にあることは変わりありません。親会社が苦境の時、子会社の支援をするなど通常ありえませんし、またそれが米政府の胸算用で決まるとなれば、民事再生して親会社と切り離そうと考えるのは当然の判断といえるでしょう。
米国にとって都合の良い解決法は、世界で通用しなくなりつつあります。そんな中、08年末の米国債保有国が発表され、中国が約7千億$、日本が約6千億$でした。中国は先に、米国債の積み増しに難色を示しており、売却まで言及せずとも、今後のドルの動きに応じては新たな意向を滲ませています。クリントン国務長官の訪中も、ほぼこの一点の話し合いが重要だったといえます。

日本は米国債の買い手として、今後も機能していくのでしょう。ただし、日本とて国債発行に苦労しており、特に郵政という国債の買い手が口座減少により規模を縮小、個人国債の発行枠を増やしても低金利のため、人気が出ません。更に郵政も今後、大揺れになりそうな気配があります。
かんぽの宿問題で、簿価と固定資産評価額が大きく乖離し、売却価格や契約への不透明感が強まっています。随意契約で売却されたものもあり、また個人や特定の不動産会社への売却が多いなど、とにかく契約形態なども含めてその実態を解明する必要性に迫られる問題に発展しています。

郵政は民営化されているので、これは今まで省庁が安値売却した諸施設とは異なります。民間企業として、保有資産の売却は特別利益として計上できます。それを不当に廉売すれば、株主として国が経営陣の総退陣などを求めることが可能ですし、背信などで現経営陣を訴えることも可能です。
ですが、国が株主であるその企業が、国債の大量保有者です。この不透明な構図の中で、経営責任を追及できるのか?結論としては難しいと言わざるを得ません。これは日米の構図と似ていますが、例え立場が上であっても国債保有者に対し、無碍な提案はし難いのです。現状、郵政の場合は経営陣を国が選任しているので、経営戦略の転換は考えられませんが、完全民営化を前にすればどこまで経営責任を追及できるのかも分かりません。それが国債保有者との関係になります。
国債による互いの縛り、関係性の中で切っても切れない、不透明な関係が今後は更に増えることになります。国債増発懸念とは、それだけ世界を不安定にさせる要因であり、今後この動きには要注意でもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 社会

2009年02月21日

朝鮮半島の緊張が高まる

英軍事誌が2月中に北朝鮮からテポドン2号を発射する可能性を示唆し、朝鮮半島からは緊張が伝わってきます。韓国では、李ミョンバク政権が対北強硬姿勢を強めており、北朝鮮では朝鮮人民軍が「全面対決態勢」を示唆、それに応じて韓国も国境付近の警備を固めており、従来とは異なる緊張状態に見えます。更に3月9日から12日間の米韓合同軍事演習を控え、この段階で何らかの動きを北朝鮮が見せるのでは?との警戒も高まる水準まで達しています。

独裁国のトップ交代期には、特に緊張が高まります。体制の変動期には、軍・官・民が今後のパワーバランスを有利に働かせようと、様々な動きを見せます。特に今回、後継者問題に決着がついていないと見え、その分不足の事態も置き易い環境にある、ともいえるのでしょう。
今回、北朝鮮側から挑発的、散発的攻撃も韓国側に行われる可能性があります。これまでの六カ国協議、ライス-ヒルのラインはブッシュ政権末期という事情もあり、比較的北朝鮮に融和的でした。米国ではオバマ政権に代わり、北朝鮮も対話路線がもっと加速する、との期待もあったのでしょう。しかし米国が内政問題に軸足をおき、北朝鮮への言及がない。一方でクリントン国務長官が拉致問題に言及するなど、期待が剥落した後の虚無感すら滲ませている段階です。

今回はミサイル発射だけでなく、軍が価値観を高めるために結果を残すことを目指すことは充分に想定できます。その際、テポドンより怖いのは日本海、東シナ海における短距離ミサイルだと考えます。現状、日本向けより韓国向けのメッセージが強いでしょうが、日本も警戒が必要です。
日本政府の対応としては、事前通報もなく日本の領空を通過するミサイルは、安全を担保するためにも撃ち落とす、そうした覚悟を示すこともあるでしょう。MD配備の精度と効果、それを計るのは危険な賭けでもありますが、仮に人工衛星のつもりで北朝鮮が打ち上げ、失速して日本に墜落しても、戦争に至るプロセスが日本では整備されていないので、日本に落とさないことが重要となります。

これは、宣戦布告のない不意の攻撃は、例え米軍でも完璧に防げるものではない、という議論と同列です。つまりそれが人口衛星であろうと、日本に落ちてきたら撃ち落とし難いのが、軍事装備の実情です。それをやる、というのが覚悟ですが、北朝鮮に発射する際の通報を求める行動でもあります。その時、出来るなら米国を交えた三国間交渉を提案する、という策がセットで行えれば及第点でしょう。
ただ現状、北朝鮮に挑発的な行動は逆効果の可能性もあり、見極めも重要です。韓国も売り言葉に買い言葉、双方が危険な段階に近付きつつあります。互いに対応を間違えると、そのまま泥沼化する可能性もあります。朝鮮半島有事に備え、日本も戦略的に動けるよう、対策を練っておくことが大事になるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2009年02月20日

受精卵誤移植について考える

今日、民事再生法を申請したあおみ建設ですが、以前から決算に対して、会社継続に疑義が出されていたものの、最終的には先週破綻した不動産開発のニチモとの取引で損失を抱えたことも示されました。これは景気後退期に懸念すべき『連鎖倒産』という形であり、3月期末の資金繰りに向けて、企業は不測の事態も想定しておくべきなのかもしれませんね。

香川の病院で、体外受精を行った患者に対し、異なる受精卵を提供し、妊娠途中で人工中絶という形になった事件がありました。香川地裁に損害賠償請求が出され、正式に発表されていますが、対応が遅いことと、妊娠九週目に入った胎児を堕胎した後、正式に遺伝子を調べて事実関係を解明しなかったこと、日本の制度不備が明らかになったことなどが問題として挙げられます。
しかも、当事者となった患者の方は当然不幸でもありますが、この事件で他の多くの体外受精の治療を受ける患者、妊娠、出産した方にも不審が拡がったことが、この問題の影響の大きさを感じさせます。制度や手法を確立し、患者が安心して治療を受けられる体制作りが求められるのでしょう。

哺乳類では現在、オスを決定するY染色体の欠損が大きく、分子生物学の観点から数万年後にはオスが不足して種が滅ぶ、とされる動物もいます。女性は23番目の染色体がXXなので、片方が欠損しても補い、補修することが可能ですが、男性はXYであるため補修できません。結果として、Y染色体のみ欠損が大きくなり、オスとして生命維持が出来なくなるというのです。
人間ではここ数年、若年層の精子数減少が叫ばれます。かなりの数が不妊と判定される精子数しかなく、子孫を残すためにはどうしても不妊治療などが必要となります。また一夫一婦制が強い遺伝子を残す、という種の保存の法則から、本来外れているとの主張もあります。

いずれの場合でも、不妊治療は今後重要な位置付けにあることは間違いありません。日本では新しい手法、治療法の確立に制度設計が追いついてない現状があります。これも官制不況、官の怠慢による利便性の悪化、という点で語れるものなのかもしれません。
少子化対策、というのは生む環境を整える、ということでもあります。子供が欲しいという人に、国がどう手当てしていくか、その与えられた課題の一つがこの不妊治療であり、もっと制度設計や補助を増やしても良いのでしょう。先に高田・向井夫妻が代理出産で問題になりましたが、日本でも生命誕生をタブー視せず、議論を深めてより良い制度設計をしていかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:06|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 医療問題

2009年02月19日

経済の話。市場全般の動き

2月の月例経済報告も、5ヶ月連続の下方修正です。日銀の政策決定会合でも、4-6月までは厳しい状況、と正直に認めており、今年前半の景気回復は官民とも否定した形となってしまいました。
同様に米FRBも09年の実質GDP見通しを下方修正し、-1.3%〜-0.5%と、何とかプラス圏を維持するとした前回の見通しから、マイナス成長を甘受した形です。ただし、米国では景気対策の効果が年後半から出るとして、来年の成長を上方修正するなど、市場に対して一定の配慮は見せています。

米市場ではオバマ氏が重要な局面で、ダウが大幅下落という日が続いています。就任時に332$、景気対策法では382$や298$などが目立つ下落です。これは期待が高過ぎ、現実に目覚めると状況は何も変わっていないことに気付き、失望してしまう流れの渦中にあります。更に景気後退が長期化する懸念、銀行の国有化懸念、自動車メーカーの破綻懸念などでマインドは下がり気味です。
そんな中、為替で動きがありました。アイルランド、東欧のデフォルトリスクの高まりなどからユーロが下落、同時に日本の政局不安から円も下落、ドルが独歩高に向かいました。一部には、クリントン氏の来日で米国が円売り介入を約束する、との憶測もありますが、これまでの円独歩高から少し流れも変わるかとの期待感もあり、輸出企業への期待も高まったようです。

春闘も始まりましたが、物価高騰を賃上げの理由としてもデフレ懸念の強い今、労組側の主張も弱いものです。FRBではバーナンキ議長の従来の主張である、インフレ目標論も出てきましたが、日本ではこうした議論は出てきません。そこは賃金体系に年功序列などの縛りがあるためであり、賃金の面からもインフレが置き難くなってしまっているのです。
日本市場の動きとしては、7000円の動きも少し増えてきたように、需給悪を見越した売りも想定される時期に来ています。しかも政局不安であり、外国人投資家の売りが増える傾向にあります。年金基金とて買い越しが嵩み、調整が必要となれば買い手が消え、大幅に調整せざるを得なくなります。円安の動向、円売り、株売りの過程の中で買い方に個人がどこまで頑張れるかで、今後の相場展開としても重要ともなってくるのでしょう。

3月危機も叫ばれますが、現状の不安は低いとしても、企業も保有株が更に下落すれば負の影響も出てきます。日本の踏ん張り所で始まった政局不安、麻生政権の迷走が更に日本経済に打撃となると、益々支持率も低迷することになるでしょう。麻生政権に足りないのは、危機意識と必死でやり抜くという覚悟です。ただこれまでの経済政策の評価が低く、新たな対策も中々出て来ない時点で、麻生政権は政局だけでなく末期症状とも言えるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年02月18日

クリントン氏の訪日と麻生氏の訪露

日本外交が重要な局面を迎えています。クリントン米国務長官の訪日、麻生氏の訪露です。クリントン氏の場合、第一の訪問国に日本を選んだのも、日本重視というより無難にこなせる国としての選択肢です。外交面をプッシュしたい麻生氏に対し、オバマ氏によるホワイトハウス招待が手土産として、円満外交に終始しています。
北朝鮮に対しても、従来のオバマ氏の主張に沿ったものであり、特段強いメッセージ性は見出せませんでした。日本の意見に配慮を示し、親密さをアピールして成功裏に終わらせる。これが今回の訪日の要諦です。民主党の小沢代表に会談を求めたのも、今後の対日戦略を描く上で民主党の出方を伺っておこう、というしたたかさであり、これからレポート作成に着手するはずです。

麻生氏の訪露は大きな問題を残しました。樺太は戦後しばらくの間、地図を見ると下半分は空白で描かれていました。間宮海峡で知られるように、樺太が島であることを発見したのは日本の間宮林蔵であり、その後ロシアと割譲した背景があります。大戦後にソ連が調印しなかったことから、樺太の主権は宙に浮いた形となっており、そこに今回麻生氏が訪露として出掛けていったのです。これでは主権がロシアにある、と認めた形となり、樺太の領土を日本が主張する目はなくなりました。
更に北方領土に関し「独創的なアプローチ」で一致していますが、これでロシア経済危機下における2島返還、というロシア側の妥協がリセットされたことになります。日本は一時段階的に2島返還に傾き、ロシアの提案を受け入れた背景があり、その後4島返還にゆり戻した件をリセットすることになります。ただ、これでは当時せっかく北方領土返還の好機を迎えたのに、10年経って日本は全て放棄した形になります。日本外交の失敗、という捉え方も出来るものです。

更に、ロシアはトヨタなど、ロシアへ工場建設を発表した企業の撤退は避けたい。グルジア侵攻で欧州は投資資金を引き上げ、日本に資金面での支援も欲しい。当然、その件で小泉元首相をモスクワに招き、友好国アピールもしています。ただ注意すべきは、サハリン2も最終的に資本の面でもめたように、そしてガスパイプを締めたことでも分かるように、旧共産圏との繋がりを深め過ぎる経済運営は民間も同様、相手国の顔色を伺う不安定なものとなってしまう、ということです。
今回、麻生氏が功を焦り過ぎて先走った結果、ロシアに得点を与えてしまったようです。役人に任せず政治家の決断で…、とも述べていますが、日本向けに政治主導をアピールしたつもりでも、麻生氏が5月にプーチン首相の訪日を迎えられるかさえ不透明な中、説得力はありません。むしろ再び成果を焦り、日本に良い条件を引き出すのも難しいと感じてしまいます。
日本外交に戦略性がないのは、外務省の問題もありますが、それと同程度に政治家も問題を多く抱えていることが影響しています。今回の訪露も、自ずとそうした問題を露呈する結果となってしまったのでしょうね。

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2009年02月17日

中川財務相の辞任

中川財務相が辞任です。今回の一連の流れでは、憤りを感じる部分が多々あります。風邪薬に始まり、腰の薬、睡眠薬、時差ボケ、時間経過とともに増える原因。急遽病院へ向かい、入院してそこからの通院まで示唆しました。しかしこれは与党幹部から禁酒令が出され、入院して監視つきになるだけの話です。メディアが押しかけないよう、病院に逃げ込むのは政治家の常でもあります。
その後の会見では、予算案が衆院通過後に辞任とのことですから、これでは自分の首と引き換えに参院審議を拒否し、予算案を通してくれと述べているに過ぎません。参院軽視というより、自分の置かれた立場を理解せず、都合の良い理屈を並べ立てただけに過ぎません。結果、野党の不信を買って審議拒否、問責決議案が提出され、辞任せざるを得なくなっています。

中川氏に必要だったのは『身命を賭して予算は通す。予算成立後速やかに辞任する』という、強い決意を示すことでした。経済危機の最中、予算案成立に政治生命すら滲ませれば、野党も審議拒否や問責提出などを躊躇せざるを得ません。人が一身を賭すとはそれだけの覚悟であり、受け止めざるを得ないものですが、今回中川氏が見せた態度は終始中途半端なままでした。
予算審議の中ですが、私は中川氏が辞任して良かったと感じています。むしろこの程度の覚悟で、未曾有の経済危機に臨んで欲しくない、と強く感じました。一部でG7は無事通過したから問題ない、という人もいましたが、明らかにロシア財務相との会談時には異変が感じられたので、問題ないはずがありません。辞任は致し方ないというところなのでしょうね。

与謝野経財担当相が財務・金融相を兼務するとのことですが、いくら緊急時の対応とはいえ、人材不足を露呈しています。麻生政権では政権誕生の論功と、党内一致を目指して対抗馬を任用していますが、仲良しクラブ的側面もあり、それ以外の選択肢が狭いというのが実情です。
しかも中川氏が本当に体調不良でリタイアするなら、少しでも業務を軽減できるよう金融・経財担当相を別の人間に譲る、という配慮も必要でしょう。結果として、場当たり的な人事と受け止められれば、それも政権の打撃となります。今日になり、議員名簿を眺めている辺りが如何にも後手後手の対応であり、泥舟となった麻生政権には誰も乗りたがらない、ということを示しています。

森元首相が16日の朝のメディアで、早くも中川氏の飲酒を示唆したように、党幹部としては麻生政権が低迷すればするほど、総裁選後の新政権が輝いて見える、との算段も働き出したようです。麻生政権は党からも見放され、それでも予算成立まで総辞職も許されない、これは日本にとって最悪の事態なのでしょうね。

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2009年02月16日

08年10〜12月期GDPが発表される

中川財務相はお酒を飲んでいたようですね。風邪薬のせいとの説明も、昼食時に酒を飲んでいたとすれば、それは理由になりません。一杯なのか、ゴックンなのかは分かりませんが、諸外国から間抜けな財務大臣とのレッテルを貼られ、日本の財政政策にも疑問符がつく問題となります。
麻生氏は続投を指示しましたが、支持率低迷の中で一閣僚を替えても仕方ないという判断と、来年度予算案、2次補正、H21年度補正、と立て続けに財務省関連の対応が続く中で交代も難しい、ということもあるのでしょう。問責決議を食い止めるために話し合い解散、というシナリオが急浮上してきましたが、中川財務相は今回の件で、今後国際舞台に立つことはなくなりましたね。

08年10〜12月期GDPが発表され、実質で前期比-3.3%、年率換算-12.7%と35年ぶりの落ち込みです。総倒れの状況であり、その中でも輸出の落ち込み幅が大きく、外需依存の脆さを露呈しています。1〜3月期GDPもマイナスが予想されており、今年一杯の回復は難しいとの予想も出されています。
そんな中、政府与党からH21年度補正予算の話が出ましたが、野党がこの話に反発するのは当然です。来年度の予算編成は夏頃から年末にかけて組まれますが、その段階でも景気の落ち込みは実感できており、本予算に景気対策分を組み込めなかった、これは政権の失態でもあります。

来年度成長率0%を目指す政権が、成長戦略に2次補正や本予算で足りる、だから今審議しているのです。つまりこれは法案や予算案作成とその提出時期、それと景気の落ち込みがリンクしていないことを示しています。予測できなかったというのは簡単ですが、その対策の当の本人が泥酔したまま記者会見をしているなど、言語道断であり弁明の余地などありません。
そして、特に問題があるのは道路建設などの公共工事と環境、福祉という即効性のない、寄与度が低いとされる対策にこの補正が使われそうだということです。今、世界は負のスパイラルに陥っており、消費減少に伴う設備過剰感からのリストラ、それによる内需低迷と税収減による財政負担への圧迫、これが世界の経済規模を一気に縮める要因になっています。

今必要なことは安定した就労環境の確保であり、一時的な内容では意味がありません。例えば、やるべきは住宅減税ではなく小規模からの住宅補修、改修費用に国の負担分を増やすなど、個人も国も応分の負担を伴いながら全体としての消費拡大を促すなどの諸施策です。
消費マインドが低下した今、高負担の支出を促そうとしても難しい。小口でも国民が負担しても良い、そう感じる施策をどう国が仕向けていくのか、それが試されています。2兆円の使い道も同様ですが、H21年度補正にしろ、国が打ち出す策に効果が見出せない以上、この不況は戦後最悪、最長のものとなってしまう公算が、益々高まってしまうのでしょうね。

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2009年02月15日

米GM再建計画について考える

G7が閉幕しました。具体策がなく、各国の政策に頼る部分が大きいものであることは事前予想通りでした。ただ少し酷かったのが中川財務・金融担当大臣です。時差ボケや煩雑な業務などで、寝不足なのは理解しますが、緊張感が不足していたことと、あそこまでの状況であれば10分程度の中途退席をしてでも、国際舞台では無様な姿を晒すべきではありませんでした。
国内では、予算案と2次補正を同時に審議するため、財務相が忙殺され過ぎる件があげられます。2次補正を臨時国会に提出し、継続審議にしておけば財務相の仕事はある程度は分散できたはずです。そこにまたH21年度補正予算の話まで与党からは持ち上がりそうなので、財務相は倒れるかもしれません。財務と金融を分離するか、予算審議の仕組みを改めない限り、未曾有の経済危機への対応を1人で行っていくのは、土台不可能な話なのかもしれませんね。

米国では17日に自動車業界から経営再建計画が提出されます。しかし今日になり、GMが全米自動車労組(UAW)との交渉が不調、と伝わります。米民主党の支持母体でもあるUAWにとって、強気の態度を崩さずとも支援が得られるとの算段もありますが、不透明感も強まっています。
恐らく、現状では自動車産業に今の形のまま支援することは難しくなっています。景気対策法に対する国民の反応が薄く、更に自動車産業まで米民主党主導の、なし崩し的な解決策に終われば、国民の不信感は更に高まります。オバマ大統領への支持と、議会民主党の支持は同列ではないので、議会も民間企業への支援は慎重にならざるを得ません。

しかも米自動車産業への更なる支援には、景気対策や金融安定化法の資金とは異なる、新たな財政支出になります。米国債、ドル懸念の回避のためには、財政支出規模に歯止めをかけねばなりません。民間企業への支援が拡大すれば、懸念により再び米国債への売りも拡大するでしょう。
この様々な問題を解決する策は多くないと考えます。その1つは、米金融機関を商業銀行と投資銀行に別け、商業銀行を国有化し、投資銀行は規模を縮小させて経済成長に寄与する部分についてのみ、適正な規制の下での投資業務継続だと考えています。未だに傘下ファンドの含み損の存在に怯え、金融機関の株価は破綻を織り込んだ価格帯でしか推移していません。市場には一旦悪材料となりますが、金融機関が抱える投資事業を整理するには国有化せざるを得ないと考えています。

そして分割された投資銀行に、破産法11条を申請した米自動車産業への支援を行わせる。産業再生は米金融機関の得意項目であり、再生のための賃金体系、労組との関係に切り込めるはずです。現状、米国では財政問題や企業破綻、金融再生などそのどれもを同時に行おうとしているため、無理が生じています。何かを切り捨てる覚悟をすることが、米再生への第一歩となるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 経済

2009年02月14日

米景気法案と日本の政治

米国で7870億$規模の景気対策法案が上下両院で可決されました。36%が減税で約3000億$弱、64%が財政支出で5000億$となり、インフラ整備に1200億$、省エネや代替エネルギーに約400億$、教育分野に約1000億$などが重点配分されています。ただ財政年度の切り替えがないと動かない諸施策もあり、また雇用や景気には直接関係ない、研究や環境保護面への支出も目立ち、最大と目される規模以上に、その内容においては研究機関や共和党からも批判が上がっているところです。

これを受け、日本では麻生氏が「議員、国会が素早く対応して羨ましい」と述べています。しかし米国と日本は国会運営自体大きく異なります。今回の法案が紆余曲折した背景には、超党派の法案にするつもりが米民主党主導の法案となり、共和党が退去して反対姿勢を示したためです。
上院で議事妨害(フィリバスター)をされないよう、60票を集めるために腐心しましたが、議会で過半数を持つ米民主党でさえ、共和党との妥協点を探りつつ議会運営をしています。翻って日本の政治は、2次補正の与党案に対する修正もなく、議会を通そうとするばかりです。委員会における財務相の手が足りない、という以前に、与党案を修正する意思を示さず、それを3分の2条項を使った再可決で済ましてしまうのが、日本の議会運営の手法なのです。
問題は、日本では与党も野党も、未だに政局マターでしか景気対策は語られていないことです。国民の意思と乖離した与党案、国民から最善ではないと判断されているからこそ、野党の主張に魅力が出ます。それが議会運営の首を絞め、与党は自ら泥沼にはまり込んでいるのです。

一部で、小泉発言から自民党に注目が集まり、小泉劇場の再来との声があります。確かに、自民党勝利のシナリオは小泉氏に支持されたポスト麻生を戴いて、総選挙を戦うことでしょう。そうなれば小泉Jr.の処遇も約束され、小泉氏も満足します。怒ったように見せた森元首相とて、小泉氏の発言は事前に聞いており、自民党総裁選までのシナリオを与党内で描いていることでしょう。
しかし意識しなければいけないのは、小泉氏の推すポスト麻生は、改革派が有力となるということです。官僚支配、国の無駄遣い、天下り、一向に改まる気配のないこれらと反比例し、国民はすでに痛みを受けている。小泉時代に改革されたことは、市場経済の導入による混乱の拡大と、外需による好景気でも国の赤字は増加傾向にあった、という二つの側面です。

小泉氏は渡辺元行革担当大臣と同じ轍を踏まない、即ち麻生氏を追い込んで党内に居場所を失くすことまでを望んでいないことからも、小泉氏は自民党の範囲内の人間であることが分かります。小泉改革がもたらしたものの成否、それを充分に理解せず、ただ小泉劇場という祭りに踊らされていると、ハーメルンの笛に導かれるまま路頭に迷うことになってしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2009年02月13日

G7ローマ会合について

EU統計局が発表したEU圏15カ国、27カ国ともに10〜12月期GDPが前期比1.5%減となり、これで2期連続の減少であり、EU圏の不況入りが確実視されるようになりました。先月末の米国第4四半期GDPが3.8%減だったので、それに比べればマイナス幅は小さいですが、欧州全体で良好な景気を示す地域がない、というのが今回の危機の大きさを改めて意識させられます。
来週発表の日本の10〜12月期GDPは、前期比年率で9〜13%減程度が予測の中心値であり、日本の凋落ぶりが顕著となってきました。1〜3月期も大きな落ち込みと見られ、戦後最悪との噂も立ちます。そんな時、日本では2次補正予算さえ不透明です。外国人投資家の売りが止まらず、それを年金が買う。この構図で一体どの程度年金基金が運用損を抱えたのか、心配な面が増えてしまいますね。

ローマでは7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が開催されます。今回メインで協議されると見られるのが、保護主義への対応です。バイ・アメリカン条項は、内容について調整代は残るものの議会は通る予定ですし、新興国ではすでに自国産業保護に動き、また欧州でも自動車産業への支援などを含め、各国ともすでに保護主義へと舵を切っているのが現状で、先進国のリーダーシップの欠如、というより先進国自らが保護主義の旗振り役となっている状況です。
すでにG7は形骸化していますが、本来この経済危機に対策を持ち寄る場が、G7だったはずです。今必要なことは、国際決済通貨であるドルの不足を引き起こし、自国通貨安に陥る通貨危機の防止、及び不良債権への道筋を見つけることです。その提案がなければ、むしろ各国とも財務相は国に残り、自国のみの経済対策に勤しむべきでもあるのでしょう。

パナソニックでも、自社幹部に対してバイ・パナソニック指令が出たそうです。トヨタなどの自動車メーカーも同様ですが、自社製品を買え、という流れにあり、パナソニックでは10万、20万円の指令が出ているそうですから、額としても大きいものです。各社がそうして動けば、自社製品の開発を自社内でクローズする悪い循環に陥りますが、今は緊急事態ということなのでしょう。
GDPの落ち込みでも示されるように、外需依存の強い国は外国経済の都合に影響され易い傾向があります。内需喚起を社員による自社製品買いで賄う、という奇妙な構図に陥っており、これは国でも企業でも、その在り方の構築に失敗したことの証左です。経済が悪化するとき、こうして内向きになってしまう。保護主義を否定しつつ、保護主義に向かう世界経済の回復は、更に先送りされることが確実となる、ということだけが今回のG7でも明らかにされるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2009年02月12日

小泉元首相の麻生首相批判

日銀が発表した1月企業物価指数が前年同月比0.2%の低下となり、前月比だと1%以上の低下です。輸入物価が前年同月比20%以上の低下であり、デフレが企業業績に直結する事態にありませんが、需要減からのダブつきが影響しており、長期で見れば極めて憂慮すべき事態になっています。

そんな中、政治の世界で動きがありました。郵政民営化の推進を求める議員連盟における、小泉氏の発言で自民党内には激震が走っています。麻生氏はこの動きを前に、小泉氏に電話をして郵政発言の釈明をするなど、押さえ込みに動いた中での小泉発言です。2次補正の再可決に反対する含みを持たせ、麻生批判とも取れる内容ですから、党内が揺れるのは致し方ありません。
小泉氏の真意は、小泉改革を悪とする党内風潮に対し、楔を打っておかなければ小泉Jr.の当落、当選後の党内での扱いに影響するとの懸念だと思われます。世襲議員の風当たりが強くなる中、自民党凋落とともに後継者が落選してはたまらない。一部で改革派議員への配慮、とも語られますが、そうであれば中川元幹事長の派内更迭の前、小泉チルドレンの立場が悪くなる前に動いても良いはずです。つまりわざわざ舞台を整え、このタイミングで確信的に麻生批判を展開したのは、小泉批判が渦巻く中に大切なJr.を送り込みたくない、という個人的な理由が強く影響しているのでしょう。

そして今、自民党議員の中で応援演説の頼りになるのは小泉氏のみ、という事情が麻生批判に雪崩を打つ懸念を強めます。ですが、小泉氏の言にも違和感があるのであって、2次補正の衆院採決では賛成しており、再可決では反対というその態度です。単に麻生氏への面当てでないのなら、再可決で態度を翻すその理由、実際にそうならなくともそれは明らかにする必要があるのでしょう。
しかし麻生氏は、景気対策が第一と述べつつ、小泉発言について我関せずを演じています。実際、腸が煮えくり返る思いなのか、困惑なのか、で言えば前者が強いのでしょう。2次補正への言及とは、麻生氏の景気対策にNOというのと同じです。仮に今回党内融和に成功しても、燻る火種は今後麻生氏が打ち出す景気対策にも影響する問題となります。改革派への配慮が必要となりますからね。

政局は混沌としてきました。8月に華々しく自民党総裁選、その後総選挙がメインシナリオと見ていましたが、今後の支持率が10%台を切る可能性もあり、そうなれば総裁選スケジュールが早まります。出来れば自民党総裁選、即総選挙と考えるでしょうから、4月新総裁選出とともに景気対策を打ち出し、それを争点に解散というスケジュールが有力となるのでしょう。
小沢民主党代表はクリントン国務相との会談を拒否する意向のようです。この時期、米国の要求を聞けば政策に縛りが出る、自民党と異なり米依存ではない、とする態度表明のためでしょうが、表に出ない党首としてのイメージ定着はマイナス面も大きいものです。前に出すぎて煙たがられる党首と、前に出ない党首、現状の2大政党の対比としては面白いですが、日本の行方が託されていることを考えると、複雑な気持ちになってしまいますね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年02月11日

米経済政策が発表される

オバマ政権で初となる経済政策が発表されました。金融安定化策として、金融安定化法のTARP残金3500億$を用いて民間基金を募り、バッドバンク的な投資ファンドの立ち上げ。またFRBによるターム物資産担保証券貸出制度(TALF)を現行2千億$から1兆$に拡大、対象もモーゲージ担保証券まで含める。そして上院では8380億$の景気対策法案が可決されました。ただ景気対策法の金額は、上院と下院との整合が必要であり、今後見直される可能性のあるものです。

まずTALFの拡充について、これは証券、債券をFRBに積上げ、それを元手に資金を貸し出す策であり、流動性対策と呼べる制度です。ただこれではFRBの資産劣化が進み、金融政策当局としての健全性に疑義を生じさせます。これは流動性対策であり、各金融機関が得られた資金で新規貸し出しに運用しなければ、効果は極めて薄くなってしまいますが、特に現状、景気悪化が長期化する懸念が強まり、新規貸し出しには各金融機関も慎重なため、それが悪循環に繋がる悪い流れとなっています。
次にバッドバンクに代わるファンド構想ですが、民間基金であれば、政府による金融救済という側面が薄れ、金融機関が保有する不良債権の査定が厳格化されます。政府は直接資金でなく、保証に重点を置くようですが、当面5千億$、1兆$規模まで拡大する可能性を示唆されても、民間からどのように資金を集めるのか、それをどう保証するかの具体策の発表はありませんので、効果は見極め難いものでした。
景気対策法案も、共和党の追及で景気対策に寄与しない資金拠出が取り沙汰され、民間人からの支持も急落しています。共和党員の賛成が集まらなかったことから見てもそうですが、法案の中身についての不満は共和党、国民の間にも深く根付いてしまっています。

市場の反応は冷静です。政府による国債発行が拡大する懸念が薄れ、金利が上昇、代わってダウは規模が足りないとして急落です。この発表で当面、好感するようなサプライズはない、とする材料出尽くし感もありますが、債先買/株先売の流れが相場を支配しました。
今回の対策に失望感が強いのは仕方なく、国債への懸念が強まり、歳出に限界が見え始めたことから、規模を限定せざるを得ませんでした。ロシアが外貨準備を3分の2に縮小、今後も取り崩し傾向にあり、中国も外貨準備の積上げを手控えています。今後は日本に米国債購入圧力が強まる、とする懸念は尤もなことであり、それだけ米国債の問題は深刻になりつつあります。

景気対策には財政出動が必要、この意見の前提には国家破綻はない、とする妄信が必要です。しかし過去を紐解いても、国家が破綻した例は幾つも見出せます。その都度新たな制度、新たな国家の誕生が引き起こされてきました。今必要な制度は、ドル建て決済を廃止し、各国の通貨バスケットによる新通貨制度の創設です。一国の破綻で世界が大混乱しないためには、ドルを切り離す決断をいつ出来るのか、ということも世界の指導者に今後求められていくのでしょうね。

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2009年02月10日

ロシア経済に関する記事の信憑性

麻生氏による郵政発言で、大手メディアでも『ブレ』という言葉が目立ちます。悪ふざけが過ぎるかもしれませんが、どうせなら皮肉って、麻生氏が言い間違えたトニー・ブレア英前首相をもじって『トニカク・ブレル首相』や、『発言ブレ補正機構つき首相』という呼び方も面白いかもしれません。カメラで撮る時より、発言のブレを修正する方がよほど難しいので、この機構はかなり複雑でもあるのでしょうね。

某メディアの記事で、ロシアが政府支援で最大4千億$の民間債務に対し、欧州などの外国銀行へ返済繰り延べを要請する、と伝わりロシア危機が一気に広がる形となりました。ロシア投資に積極的だったユーロ圏の懸念を呼び起こし、ユーロが急落、という事態を引き起こしています。
発信者はあくまでアイデアであり、政府と協議したことはない、と否定しており真偽の程は定かではありません。しかしロシアはグルジア侵攻以降、通貨危機時に迫るルーブルの急落を受け、41ルーブル水準での当局の介入も示唆されており、予断を許さぬ段階です。そこに債務繰り延べの話が伝われば、当然のようにロシア経済への懸念が強まることになります。
特にロシアは1兆4千億$程度のGDP規模ですから、4千億$の民間債務を繰り延べしなければならない、となればかなり厳しいと認識されます。ロシアはガスなど資源に依存する経済構造であり、資源価格の上下動が国の収益に大きく影響する、脆弱な経済基盤が指摘できます。ユーロ圏もロシア経済が潰れては、対岸の火事ではなくなりますから支援はするでしょうが、今回の動きは経済危機下にあるユーロ・ロシア経済圏の危険度を俄かに示す形となってしまいました。

また米国ではバッドバンク構想も紆余曲折しています。オバマ大統領が日本の「失われた10年」を悪い例として引用していますが、不良債権の処理方法について、米国内でも議論が割れていることを示しています。ディストレス債の購入に積極的なファンドなどと組んで民間で、という構想もありますが、不良債権問題への回答は米国経済の行方に大きな影響をもたらすことでしょう。
今回、この両者の記事で、メディアも右往左往しています。これは記事の信憑性の問題、裏づけ取材の有無などもありますが、それ以上に発信者の思惑、都合なども大きく影響しています。ただメディアがそれに吊られ、一部の組織、団体の利益誘導のような形となってはいけないのでしょう。特に経済面では今、1つの報道で市場を大きく動かすファクターとなるほど、心理面が弱っている状況です。誤報で国家破綻まで導かれることがないよう、報道には慎重な姿勢が必要な時期なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | ロシア

2009年02月09日

麻生氏の郵政を巡る発言について

今日の国会では、麻生氏の郵政発言のブレが目立ちました。「最終的に解散署名に応じたが、郵政民営化には反対だった」との発言から今日になり、「最初は反対だったが賛成するようになった」と意見を変えています。一方で、「総務大臣だったが郵政民営化担当大臣ではなかった」との発言は、昨年9月の自民党総裁選における「(郵政民営化では)自分が担当大臣だった」と、胸を反らした発言との食い違いがあり、これでは票欲しさに意見を変えているようにしか見えません。

麻生氏は当時、郵政民営化に反対だったために担当大臣から外れたことは事実です。ですがこれを『濡れ衣』とすると、厳密な意味ではおかしなことになります。濡れ衣とは本来、男女の仲を勘繰られた際に用いられますが、昨今ではあらぬ疑いをかけられた際の言い訳全般に用いられます。ですが、犯罪における容疑への反論という形が、やはり一般的な形となります。
つまり麻生氏は心根に『郵政民営化が悪いこと』との意識があることが、この言葉で分かります。かんぽの宿売却問題や、小泉路線見直しの中、郵政民営化を悪いことだった、として政権運営の起爆剤、反転攻勢のキッカケとして考えていたのでしょう。これは口が滑ったのではなく、麻生氏なりの秘策、むしろ党内の流れから見て当然の答弁だったと見られます。

しかし世論だけでなく、党内も総スカンになってしまった。郵政解散の時の誓約書もそうですが、郵政反対派議員が党内に戻るときも厳しい誓約があり、私は反対だったが署名だけはした、では済まない問題です。東南アジアの方の言葉で、『濡れた衣類を着たまま乾かす』というものがあります。腰巻をつけたまま水浴びをしたが、替えの腰巻がない、というこれは貧困を指す言葉であり、今回の発言も同様に麻生氏から決定権を奪い、全てを失ったことになるのでしょう。
またサミットまで政権を続けるという憶測もありますが、今週末のG7など、重要な国際会議はそれまでも目白押しです。現状、麻生氏は経済危機下でIMFや新興国支援などを盛り込み、世界にアピールしていますが、経済危機は日本に訪れていないとの認識がそうさせています。

しかし来週発表の10-12月期GDP速報値が2桁マイナスと予想され、IMF予想でも日本は今年-2.8%成長とされます。決して危機が小さい訳ではなく、むしろこれからバタバタと企業倒産が起きる可能性が滲みます。この時、甘い認識の首相がトップにいることの危険は誰しも感じるでしょう。
麻生氏は次の選挙の焦点は景気対策、そう考えているようですが、それ以前に総選挙後も麻生氏は政権の座にいるの?という、これは仮に自公が過半数を獲得しても素朴な疑問として残る話であす。郵政を巡るゴタゴタとは、それだけ重大なものを麻生氏に突きつけることになったのでしょうね。

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2009年02月08日

雑感、最近の詐欺事件について

経済規律が緩むときは、多くの詐欺的事件が起きます。これは運用に対して多くの人が高いリターンを求め、自分が有利な投資先を探し、跋扈することもその一因としてあります。しかも経済が好調ですから、リターンを上げていると信じ込まされても、それを疑うことがありません。

円天会員3万7千人のうち、利益を得たのは3千人との話があります。一部で円天理論は正しい、と述べる人間がいます。擬似通貨を発行し、経済規模を見かけ上倍に増やすのですから、一見すると効率は良さそうに見えます。日本ではポイント制をとる企業も多いですが、こうした擬似通貨は将来の収益性を落とします。顧客の繋ぎとめに寄与しない限り、営業戦略上の価値はありません。
円天の場合、通常の貨幣と等価で擬似通貨を得られる、更に元本保証、リターンまでつくというのですから、相当高い運用収益が上がらなければなりません。しかし仮にプロが運用しても、そう易々と毎年高収益を上げることなどなく、自虐的に言えば毎年プラスを続けられればかなり腕の良いディーラーであるとも言えます。円天の仕組みが運用益ではないなど自明であり、自転車操業であることは火を見るより明らかでした。

関西一の女相場師が15億、元バレー選手の実業家が73億、などと伝わりますが、出資を募る手口は大抵似ています。それはネズミ算、紹介料を払う代わりに出資者を増やすやり方です。こうした勧誘をするよう促された場合、それは怪しい団体と思って間違いありません。いつか呆気なく破綻する、詐欺的行為の一つであり、三世代目か四世代目までしか有利になることのない仕組みです。
そしてもう一つ、見抜く手がかりは資本金と引当金です。どんなに元本を保証しても、この両者が揃わなければまず口約束だけです。個人であろうと、団体であろうとこれは同じ、逆にそこに信用がおけなければ例え毎年高い運用益を出している、とされても出資すべきではありません。

擬似通貨議論は、政府紙幣や無利子国債などにも波及していますが、信用度の低い組織、継続性のない団体には法的規制も必要なのかもしれません。仮に円天会員が数十万に膨らんだ場合、円天そのものが消失することでマネタリーベースの縮小、などの事態に陥るかもしれません。
同じように政府紙幣や無利子国債なども、その場限りでやるつもりなら、やるべきではありません。経済規模を恣意的に弄ろうとすることは、結果的に国の政策にも影響してきます。経済とは、継続性も大事な要素であり、同様に一時的な利潤追求のための投資で低リスク、高リターンなどないということを踏まえ、資金の使途などは決めていかなければいけないのでしょうね。

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2009年02月07日

経済の話。米雇用統計と景気対策

注目されていた米1月の雇用統計で、非農業部門の就業者数が前月比60万人弱の減、失業率も7.6%と高水準に陥りました。就業者数の減少は360万人弱と、戦後最悪の数字が並びました。ただ予測の中間値に近く、ダウは来週の米政府の景気対策による期待から、200$以上の上昇を見せています。

米景気対策は上院の修正協議で7800億$規模に落ち着きそうです。その内3300億$が減税、残りが雇用対策などの財政支出と予想されます。更に新たな金融安定化に向け、1000億$規模の支出を打ち出す方針と伝わります。一時噂されたバッドバンクについては、TARP資金の活用と、新たな政府保証の付与や不良資産の買取などの一部資金で相殺される方向となっています。
そんな中、今度は商業用不動産ローン(CMBS)にも格下げの方向で見直しが示唆されました。3000億$規模とも伝わるこの見直しで、金融機関の不良債権比率は更に高まる方向ですので、バッドバンクの見直しもやむを得ないのかもしれません。それ以上に、米財政が危機的状態になることを怖れた形であり、米国は1年前と同じ方向性で動いている、そんな懸念も漂います。

現状、相場は堅調に見えますが、これは不況時の株高が起きていることによります。それを示唆するキーワードは『期待』『兆し』『キッカケ』です。米政府の景気対策期待、底打ちの兆し、反転のキッカケ、という使われ方が一般的ですが、このワードが相場を引っ張る時は、総じて暗い世相の中で明るい話題を探し、そこに光明を見出したいとする意識の現われです。
それと、現状では債先売/株先買の流れが重なります。これはリスク資産への回帰ではなく、投資先を失った資金が逃げ場を求めて動いている結果です。何本か、債券への懸念を示すリポートが出された後なので、この動きを見て株式にも資金流入が起きているのでしょう。

企業の業績発表も山を越えつつあります。一部では、今の相場は2011年度の業績を見ている、という超楽観も聞こえますが、赤字決算などもあり落ちたものは倒産しない限り、いずれ上がることもあるでしょう。ただ三菱東京UFJなどのように、簿価基準年の見直しで辛うじて黒字、などもあるように、企業は今期、来期の業績を粉飾とは言わないまでもかなり苦心している様子が窺えます。
相場が一段と下がれば、負の効果が強くなる。米国からもその危機感が伝わります。結果として、不況時の株高とは主にマインド面に訴えかけ、実体のないキーワードに頼る要素が強くなるのでしょう。ただここ数ヶ月は実体面でも重要な局面であり、米金融機関の国有化観測や、ビッグ3の行方など、企業の先行きについては慎重な見方をしておいた方が間違いは少ないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年02月06日

無利子国債の発行について

郵政に関して国会が荒れ模様です。かんぽの宿、4事業化の見直し、麻生氏は郵政解散まで否定的な見解を述べました。国民に対して郵政民営化が是か、非かと問うたけれども、自分は否定的だったがサインした。では、あの3年半前の選挙とは?誰しもこれでは悩むことになります。
そんな中、政治の世界で出てきた話が無利子国債の発行の議論です。これは郵政民営化にも絡む話ですが、昨年来懸念している国債発行に対する問題に対し、財務省が動き出した形です。相続税の支払いに無利子国債を購入し、購入者は相続税の支払いをその分減免され、国は利息分の財政負担を減らす形がこの国債発行の狙いです。ですがこれは、当座の財政負担は減らしますが、将来の税収を先食いして当座の対策に回す形ですので、決して褒められた類の話ではありません。

米国でも、CDSスワップでみると米国債はデフォルトに近付いています。今後も増え続ける国債発行と、買い手不在の状況により、政策金利を0%に引き下げても10年物国債は3%に上昇しつつあります。このため、国債発行方法に弾力化を求められており、これは日本でも同じ状況です。
日本国債の場合、この問題に対して超短期債が検討されています。3ヶ月などのタームで償還する国債の発行、これはデフォルトリスクを減らして買い手を増やしますが、一方で国債は残期間が金利に影響するため、高コストでの発行になります。しかしそこまでしないと国債の買い手不在は解消されず、日本でも金利はジリジリと上昇傾向にある、ということになります。

郵政民営化を構造改革の本丸、としたのは国債発行の最大の引き受け手が郵政だったからです。財政支出がいつまで経っても減らない、だから歳入を絞るのだ、というのがその理屈でした。しかしここで発行条件を見直し、必死で国債発行枠を確保しようとする態度には、構造改革など進んでいない様子が見て取れます。本丸のはずが外堀ですらなかった、しかもその対策で出てきた案が将来の歳入の先食いですから、日本を破滅に導く態度にさえ思えてしまいます。
政府紙幣も同様ですが、無利子国債などを善とする人間は、それで円の信用度が少し低下し、円安になるのだから良いではないかと述べます。しかし英国がポンド安に見舞われたように、今の経済環境下ではその少しの動きが、コントロールの利かない状態になる可能性を誰も否定できません。

今の経済は異状なのだから異常な対応、という言葉の裏側には、異常な対応による異変も含まれていることになります。コール市場の残高が低水準に陥り、市場への短期資金供給が低下気味ですが、これも当座預金に付利する日銀の異例の対応が影響しています。今の金融市場では何が起こるか分からない、だからこそこの時期、やるべきはムダを省く歳出カットなどの諸施策です。
危機的状態の時はむしろ悪い膿を出すチャンスです。この際、おかしな無利子国債発行などに頼るのではなく、天下り団体への業務発注などを見直し、歳出改革に取り組むことこそが、真の改革の本丸ということでもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年02月05日

人事院総裁とその発言について

昨日は私見として、人事院総裁の動きと政治の動きを絡めて見ました。今日はその人事院総裁の発言について考えます。昨日コメントもいただきましたが、一部に誤解があるようです。
谷人事院総裁は憲法15条に由来する重要な機能が果たせないことに、懸念を表明しています。憲法15条とは仝務員選定と罷免は国民の権利、公務員は全体の奉仕者、8務員選挙の普通選挙、ち挙の規程、です。実は谷氏の懸念は項のみが該当することになりますが、それ以外の ↓、い聾従の制度下において、憲法違反の恐れすらあるほど乖離のあることが分かります。

これが憲法違反にならないのは、細則があるからです。それが国家公務員法、ここに人事院も規定されます。では人事院の規定とは、抜粋しますが『内閣の所轄』による『給与、勤務条件の改善に関する勧告』や『人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護等に関する事務』を司ることです。
谷氏の憲法違反という主張であれば、法律問題に関しては裁判所への出訴が認められています。しかしそれをしないのは、憲法は基本原則ですが、如何様にも解釈できる内容です。人事院や公務員に関して立脚すべき国家公務員法では、立法府と争っても改正されてしまうだけ。つまり労働基本権の付与には、国家公務員法の改正が必要ですが、同時に人事院の存在価値にまで踏み込まれたくない。そんな思いが滲みます。だから国家公務員法ではなく、『憲法』違反と主張するのです。

先に指摘したように ↓、す爐亡悗靴討老法と乖離しています。仮に人事院の人選が国民選挙により選ばれるのであれば、憲法と合致するかもしれません。また仮に内閣人事局をおくのであれば、国会議員が選任されることで、憲法とは整合するでしょう。そしてあまり触れられませんが、憲法73条、内閣の職権として『法律の定める基準に従い、官吏に関する事務を掌理すること』があります。内閣が公務員の人事を掌理、取りまとめることは憲法上の規定とよく合致します。
以上で分かりますが、人事院の存在自体が国家行政組織法にも規定のない、特殊な存在であり、憲法上内閣と区分されていては不都合も生じることになります。この部分を正しく理解しないと、谷氏の意見があたかも正当性をもち、公務員の権利を主張しているように聞こえてしまうのでしょう。

公務員制度改革には、必ず国家公務員法改正が付きまといます。そこで政権与党と官僚が結び付き、不利であってはいけませんが、有利な法改正が行われてはいけないのです。公務員が『全体の奉仕者』である、という原則に立つなら、よって立つ所は常に明らかであり、何が正しいかは自ずと分かるはずなのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 行政 | 一般

2009年02月04日

人事院総裁と政治の動き

最初に、今回は私見の強い内容であることをお断りしておきます。問題は渡り、天下りなどの公務員制度改革ですが、話の重点はそこではなく、谷人事院総裁に絡む政治の動きです。

甘利行革担当相が強い言葉で谷人事院総裁を批判し、谷氏もそれに応じる形で、公務員制度改革議論が熱を帯びています。人事院機能の内、省庁別の級別定数管理、職員任用などの企画立案行為を内閣人事局に移す。これに反対する谷氏が工程表作成に異議を唱え、俄かに活発化しました。
谷氏の主張は、労働基本権の制約による不利益があり、公務員の人事権まで内閣府に移すのはおかしい、とするものです。人事院総裁は中立性が要求されるため、罷免できないことから強気だとも言われます。谷氏はミスター霞ヶ関、ミスター渡り、などとも言われ、官僚の代表者として意気軒昂だとも語られます。ですが、この動きが俄かに起きたのには違和感があります。

官僚にとっては1年間天下り容認、と宣言した麻生政権の方が、天下り撤廃を訴える民主党政権よりも都合が良い。特に麻生氏は官僚攻撃になってはいけない、とより寛容的な態度です。財務省官僚との対立も囁かれますが、与謝野氏が経財担当相にいるため消費税増税議論に言及するなど、一定程度の理解は得られています。実は、麻生政権は官僚にとって極めて居心地の良い政権とも言えます。
谷氏の動きを、政治の動きに絡めると微妙なタイミングで起きたことが分かります。中川元幹事長の離党行動がトーンダウンしたタイミングで、谷氏がフューチャーされた。特にそれは甘利氏でや菅自民選対が対立を先鋭化させています。つまりこれは、4年前党内対立を煽って成功した郵政解散と同様にしたい。しかし党内対立では危険と判断し、官僚との対決姿勢を示すことで行政改革は自分たちの手で、という機運を盛り上げる、そんな自民党の選挙戦略だと見て取ることができるのです。

官僚は本来、表立って政治と対立しません。それは谷氏が述べているように、中立・公平性が求められるからで、族議員などを通じて圧力をかけるか、不作為や情報漏えいなどで大臣退任にまで追い込めるからでもあります。特に、渡辺元行革担当相が就任していた時の方がよほど官僚にとって都合の悪い状態であり、当時と今回の動きの違いには、ある意思の存在が感じられるのです。
官僚は自民政権に抵抗することでその存続に力を貸す。これが自民選対と官僚との一致した思惑なのでしょう。谷氏は狡猾で、記者会見の席からテレビを追い出すなど、表情の変化を映像に残さないという配慮まで見せています。麻生氏は失言癖もあり、この動きの蚊帳の外に見えますが、恐らく天下り禁止まで1年の猶予を置いたのは、選挙で自民党はこうするつもりだ、とマニフェストや演説で訴える狙いがあるのでしょう。今回の記事はあくまで憶測の域を出ませんが、表面上の動き以上のものも感じ取ることも大事なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年02月03日

経済の話、日銀による銀行保有株買取について

日本では決算発表シーズンです。これまで予想されていたものより質の悪い内容が多く、相場の下落基調に歯止めが利かない状況です。日経225ベースで見ると、現在までの企業業績などから判断すると6000円台にあっても不思議はなく、現行水準では上値の重さが目立つ展開となっています。
そんな中、日銀による1兆円規模の銀行保有株式の買取枠が示され、一時8000円台に戻す展開もありました。オプションで見ても未だに攻防は8000円台ですが、戻りの鈍さや今日の買い負けを見ても、8000円水準では重さが目立ちます。何より日銀の施策には違和感もあります。

02年からの2年間、日銀が2兆円規模の株式を簿価で買取ました。この時は株式の保有制限などが行われ、無理やりでも金融機関が保有株式を減らす必要があり、それが市場の強い下落圧力として機能していました。現在はそうした環境ではなく、また日銀の白川総裁も金融システム安定のためとし、市場対策でも金融救済でもない、との見方を示しています。
政府からの依頼で日銀が動いた形ですが、これは世界の流れと大きく乖離しています。世界は今、優良資産を残して不良資産を切り離すバッドバンク構想が基本です。今回は日銀が財務悪化を懸念し、優良資産の買取のみであって、銀行に資金を積上げる対策以外の何ものでもありません。つまり世界と逆行し、優良資産を金融機関から切り離そうとしているのです。
金融救済でなければ時価買取でしょうし、格付けの高い株を銀行も手放したくはない。1兆円という規模も、政府にお付き合いする程度の意味合いですから、この対策で効果が上がることはまず考え難いものです。そもそも、日銀が安定株主だと考える経営者はまずいません。いずれ日銀も放出に動くでしょうから、これを安全弁と考えるのは早計で、危機対応以外の意味はないのでしょう。

企業決算で気になるのが保有株式の評価損です。企業はこれまで3つの段階で株購入を進めました。日経225ベースで16000円以上のときは三角持合い解禁に伴う防衛的な自社株買いや持合い、14000〜12000で株下落に伴う下支え買い、8000円近辺でも下支え買いです。現状計上されているのは1段階目のものであり、今後も下落が続けば更なる評価損計上ということになるのでしょう。
日銀、銀行、企業いずれも株などは本来持つべきでありません。元々リスク資産であり、適正な管理が難しいからです。年金基金も同様、今回下支えとして形振り構わず買いを入れていますが、今後大幅損失などが発表されれば、年金不安が更に消費を下押しする可能性もあります。リスクが顕在化したとき、それをカバーすべき策を持たなかった銀行、企業。政府や日銀に頼る前に、バブル崩壊後の過ちを繰り返したことについて、自戒の念を持つ必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年02月02日

中国による米国債購入見直しについて

経済危機のアイスランドでヨハンナ・シグルザルドッティル首相に就く見通しです。同性愛者として有名ですが、北ゲルマン人が早くに移住したアイスランドでは、接尾辞がつく姓が一般的です。ドッティルは英語のドウターと同じ、娘という意味であり、シグルザルの娘、ヨハンナと名乗っていることになります。アイスランドは島国であるだけに昔の命名法が残っている、この名前を見てそう感じさせられましたね。

中国の温首相が米国債の購入方針の見通しと、52兆円規模の景気対策に続く、新たな景気対策に言及しました。先週の米国債入札が一部低調であったこともあり、今後に波紋を及ぼしそうです。追加景気対策では、先月から出てきた話題の幾つかを総合して考えると、やや懸念もあります。
中国では春節の消費が堅調だと伝わります。ただ以前取り上げた人民元偽札事件と重ねると、少し見方が変わります。12月の企業向け貸出増加の記事にも違和感を覚えましたが、仮に金融機関が大量の偽札を抱えた場合、早く処理しようと企業にばら撒くこともあるでしょう。特に、地方の金融機関では検札機をすり抜ける精巧なものであり、当面の流通に支障はありません。

情報に敏い富裕層も、そんな怪しげな資金は大量に持ちたくない。それが消費を喚起します。この時期、中国から伝わる情報はいずれも懸念を想起させるものです。軍事費については、常に懸念を示されますが、中国政府が発表する経済指標に疑義を唱える人は少ないのが現状です。
しかし報道を統制している国は、国家が発表する経済指標も疑う必要があり、この辺りに中国経済の弱点もあります。景気対策により、中国も歳出拡大による赤字決算に陥る見通しです。景気対策の規模と、成果についてまで、中国が国家として発表する内容には警戒も必要なのでしょうね。

米国債の大型購入者が減ることになる米国では、大きな問題であるバッドバンク構想について、紆余曲折しています。値つけの問題もそうですが、違和感があるのはこれまで、米金融機関は数四半期連続で赤字計上しているにも関わらず、自己資本に大きな変動が見られていないことです。確かに増資や公的資金注入もありましたが、資産査定の面での不透明感も強く、この辺りも損失を確定させるバッドバンク構想を難しくさせています。
格付けなど、市場の透明性を増そうとする提言が多い現在、実は金融機関や国の態度には不透明感が増しているのです。保護主義も同様ですが、組織防衛に傾くと最終的には大きな不利益を被る、ということを各々が意識して行動する必要が、今は求められていることなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2009年02月01日

政府紙幣発行議論について考える。

気象庁は浅間山の噴火警戒レベルを2から3に引き上げました。世界規模の地殻変動が大地震や噴火、という形で現れ始めています。経済危機の昨今ですが、温暖化や気候変動などの被害が拡大することで、更に経済が悪化することなどを考え合わせると、暗くなる話題ばかりとなってしまいますね。

最近、メディアで話題なのが政府紙幣の発行についてです。一部経済評論家やコメンテータが唱える政策ですが、従来の日本銀行券ではなく、政府が紙幣を発行して強制的に市場の資金量を増やそうという、これは劇薬です。資源価格の下落、消費マインドの低下、そして派遣切りやワークシェアリングを初めとする賃金の低下傾向を受け、日本は一気にデフレ懸念が強まっています。
そこで、法的には問題のない政府紙幣を発行し、政府は手元資金を得て経済対策を打つ。また一気に市場に流通する資金が増え、インフレ傾向になる。一石二鳥の対策に見えますが、大きな落とし穴もあります。まず通貨の番人たる日銀との政策不一致、経済政策上の多面化が、諸外国からの日本に対する不信感を醸成します。格下げ懸念が広がれば、日本も通貨危機が起きる可能性があります。

第二に、通貨としては使い勝手が悪く一般には流通しません。紙幣か、硬貨であるかに関わりなく、かつての2千円札と同様、自動販売機が発達した日本では機械に対応しない通貨に価値はありません。第三に、日本は通貨量が足りなくてデフレ懸念が起きている訳ではありません。
日本は個人、企業に至るまで自己防衛本能が強く、流通させた資金はどこかで必ず滞留するためにデフレが起き易いのであり、見かけの流通量を増やすことは意味がありません。仮に、それを元手に政府が景気対策を打つとすれば、金融機関に滞留し続けるその政府紙幣を、いつ市場から償却するのかで今後は悩むことになります。

政府紙幣とは都合の良い名前ですが、結局これは国債発行制度に代わる仕組みを新たに構築することと、何ら変わりありません。制度が複雑化すれば、いずれ弊害が出ることは今回の一連の経済危機でも明らかなように、通貨制度の根幹を揺るがすような議論はすべきではありません。
それ以上に問題と考えるのが、麻生氏がダボス会議で表明した170億$規模の、アジア向けODAの表明です。自国の経済危機下で諸外国に支援する、この矛盾だけでなく、今後危機が長引けばアジアでも経済基盤の弱い国は、危機に晒されます。ODAは投資を回収することが前提ですが、それを償却せざるを得なくなる事態が、今後は想定されます。日本が世界に向けていい顔ばかりし続けられる状況ではない中での、今回の一連の動き。私はやや危機意識をもって、政府の動きを注視してしまいますね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済