2009年04月

2009年04月30日

オバマ政権の100日と麻生政権の200日

新型インフルエンザがフェーズ5に移行しました。すでに日本人も感染の疑いがもたれていますが、3千万といわれるタミフル備蓄。日本では政府機能の維持、医療機関関係者、海外の在留邦人等に先行配布されますので、国民に回るのは2千万強です。全国民の6分の1程度しか備蓄がありません。これが昨年辺りにかけ、策定されたインフルエンザの行動計画だからです。
昨今、夏にもインフルエンザが確認されていますので、季節性が当て嵌まるかは不透明です。国内感染が確認された場合、早急に行動計画を発表する必要があるのでしょう。何より、備蓄が全国民に回らないので、混乱を生じないためにも対応の発表は早めが良いのでしょうね。

米国ではオバマ政権が100日を迎えました。財政赤字の拡大以外、概ね評価も高く、国民の支持も未だに高い傾向にあります。これは一貫してオバマ政権は外交、内政、国会対策、国民に対してもフレンドリーを通しています。就任後すぐ『人間宣言』まで行い、自分が特別な人間でないこと、一人の人間として事態に対処することを広く喧伝するほど、それは徹底しています。
日本では麻生政権が発足から200日を越えました。概念的に、発足以来のメディアとの付き合い方に支持率の動きが現れます。当初高飛車な態度や高圧的な物言いで、メディアから総スカンを食いました。古い政治家の場合、大学を出ていてもその学歴に見合う能力に疑問符がつく場合も多々あります。そうした人間が、大学出でインテリを自負する記者に対し、オレ様の方が偉い、お前らは無能、という態度をとれば反発を食うのは必死となるからです。

このため当初、漢字の読み間違いや発言のブレ、知性に関する部分が大きく取り上げられました。その流れが一変したのは小沢氏の公設秘書逮捕です。麻生氏を責め、民主を批判するとメディアが政治と対決するイメージを与えます。ゆえに麻生氏への批評をやめ、支持率が回復しました。
しかし麻生氏は支持率回復とともに、一時なりを潜めていた高圧的態度が復活しています。これが今後、メディアの態度にどう影響するかは分かりません。麻生氏が誤解しているのは、大人たる態度は本人のパフォーマンスによって生じるものではなく、他者の評価によって生じるものであるにも関わらず、見かけの虚勢でそれを演じようとしていることです。

これをオバマ政権との比較してみると、親和性はパフォーマンス、態度、発言により広く浸透が可能です。『偉大さ』という陽の極、即ち人間の高みに対する評価ではなく、対等な相手として見られる安心感があるからです。一方で麻生氏は自分を高みにおき、見下す態度が多く目立っています。
そこには結果的に不安しか生まれない。仮に情報操作で某国の将軍様のようなことでも行えば別ですが、本当の意味で人間性が優れていないと、印象だけで操作するには限界もあるからです。朝日新聞の記者に「答えない」発言をしたのも、一部ネットでの批判を意識したものです。ただぶら下がりは代表者が質問しているのであり、所属は関係ありません。こうしたパフォーマンスで記者と敵対していると、いずれ再びバッシングに晒されることになるのでしょうね。

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2009年04月29日

三井住友FGによる日興買収

28日の株式市場は大きく調整しました。抵抗線と見られていた25日線を割り込み、下値不安が台頭したこと、それを意識させる幾つかの海外発の記事と、GLOBEX安が大きく影響した形です。しかし日本でも大きな記事がありました。三井住友FGによるシティ傘下の日興2社の買収です。

買収金額は公表されていないものの、5000億円と見られています。三井住友は08年決算で3900億円の赤字に陥っていますが、昨年末に7000億円を優先株の形で増資し、4月には8000億円の公募増資を発表しており、資金繰りは比較的余裕があり、それらの資金を用いた積極投資の形です。
確かに日興コーディアル、日興シティ2社を買収できれば顧客と同時に営業ノウハウを吸収でき、グループ内で出遅れと見られていた証券業の拡大が可能です。金融コングロマリットとして銀行、信託、証券、貸金を含め、グループ内に抱え込めば顧客情報や資金の融通など、効率的な面も多々ありますが、成否のカギは経済危機がどの程度継続するかに掛かっているのでしょう。

証券業は自己売買部門、信託などの売買手数料、M&A仲介や新規上場の際の手数料収入などがあります。しかし市場の混乱を受けて信託部門は低迷、企業もM&Aや上場見送りが相次ぎ、収益減少が響いています。シティが日興を三角合併で手に入れ、約一年半で手放すのも、結果的に収益環境の悪化で採算性が悪くなり、かつ不良債権問題で自己資本比率の低下が影響しています。
野村HDがリーマン破綻後、欧州・アジア事業部門の従業員を獲得したものの、効果が出ていないのも、資金の流動性低下が経営基盤に大きく響くからです。この問題は根深く、底打ちの兆し程度で解決する問題ではなく、信用が回復しない限り高収益に戻ることは想定し難いものです。今は落ち着いていますが、以前通りになるのはまだ先であり、収益環境の改善には程遠いものです。

三井住友FGの積極投資も、英銀大手バークレイズで失敗し、今回は失敗が許されないものです。まだ買収範囲など、不透明な部分もありますが、流動性低下を統合効果でカバーできるか?その結果次第では、日本の金融機関全体に関わる問題となるのでしょう。
新生銀行とあおぞら銀行との提携は、両行の事業形態が近く、補完と市場占有率の拡大という形で市場には一定の評価もされている面があります。ただし三井住友FGの場合、証券業の取り込みを銀行、信託などにどう提携させていくか、それが求められます。日興も不祥事が元でシティに売却を余儀なくされ、そして今回はシティの都合で売却という形になっています。これでは従業員のやる気も心配ですし、企業の垣根を乗り越えられず内に篭るようであれば、提携効果も出せなくなります。企業経営者がどういう形で提携効果を見出すのか、今後の発表は要注目でもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2009年04月28日

豚インフルエンザが拡大

豚インフルエンザについて、WHOがフェーズ4を宣言しました。世界の状況から考えれば、恐らくメキシコでは数十万から数百万が感染し、その一部が発症、重篤化していると見ています。このウィルスは感染力が強いものの弱毒性と見られ、それが問題を深刻にさせる懸念を孕みます。
空港では赤外線サーチを行い、発熱患者をチェックしていますが、潜伏期間を考えるととてもその程度の監視では流入を防げません。特に弱毒性で、潜在的患者の存在を考えれば尚更です。つまり発熱、発症しないまま世界に拡散される可能性があり、渡航制限がない中では、むしろ感染拡大はある程度やむを得ない事態として、想定しておく必要があるのでしょう。

養豚の事情は分かりませんが、牛や馬など他の家畜では、出産から一定期間を別の国で過ごし、成長してから輸入することが多々あります。原産地表示と絡み、人件費の安い地域である程度飼育した方が良いからですが、動物が生きたまま海を渡る機会が以前より確実に増えています。
これで起こる事態は豚→豚、豚→人、人→人感染です。牛骨粉が狂牛病を拡散させたと言われるように、豚肉というより豚の移動が感染を拡げる懸念があります。そして人→豚感染の可能性により、発症地域でない国からの豚の輸出入まで制限される恐れがあります。その結果、市場への豚の供給量が減少し、豚肉などの価格などにも影響するかもしれません。更に深く考えれば、豚由来のコラーゲン製品など、化粧品や健康食品にも豚は多く利用されていますし、豚での移植臓器製造なども研究されていますが、そちらの方面にも今回の問題は影響する可能性があります。

更に日本ではワクチン製造に鳥の卵が使用されていますが、鶏にしろダチョウにしろ、豚インフルエンザの構造が鳥に感染しない段階まで変容していれば、順調にワクチンが製造できない可能性もあります。免疫系に遺伝子型を憶え込ませたものがワクチンですが、ウィルスが鳥の卵で増殖するかは、得られたウィルス株の研究次第とも言えるのでしょう。
そして日本の問題は、今回の対策を見ても分かるように、豚の問題や動物検疫は農水省、医療機関、検疫は厚労省、産業面では経産省、外国の情報や在留邦人は外務省、空港や港は国交省、対象により地方公共団体も含まれます。つまり管轄がバラバラ、それを機能的、能動的に活用して対策を打とうとすると、内閣が横断的な対応をしなければまとまらないことにあります。

官邸に対策室も設置されましたが、現状では正確に事態を把握、今後起こる事象を想定して対策を打とうとする意見は聞こえてきません。あくまで対症療法、起こった事態に対してどうするか、のみです。危機管理の観点でも、この問題は政府の対応能力を測る指標ともなり得るものです。
タミフル備蓄が国民全員に行き渡る量の確保ができていない日本で、政府機関の人員に優先してタミフル配布をすると定められています。ですが、この問題は極めて難しい課題を、様々な方面に提起することになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 健康 | 政治

2009年04月27日

世論調査と選挙時期について

21年度補正予算が国会に提出されました。一般会計総額は約14兆円、それに伴う新規国債発行が約11兆円、今年度の国債発行額は44兆円に達します。更に企業の08年度決算発表が出てきましたが、想定より悪い内容が散見されます。今年度の税収減をどの程度織り込むのか、それが与謝野財務相の唱える消費税増税議論と重なり、選挙の焦点となってくるのかもしれません。

選挙時期を左右する世論調査、麻生内閣の支持率が、各メディアで軒並み30%近辺まで浮上しています。昨日も述べましたが、景気の底打ち観測、高速道路土日定額制などで現状、国民は不安があっても楽観的な環境にあります。この環境を大きく崩すような変革、体制転換を起こしたくないという一つの意識が、支持率回復という副作用となって表れているものと見ています。
ただ個別の政策や対応で麻生氏が評価されているわけではなく、小沢氏との相対的な評価で支持率が上昇、と見るのが正しい見方のようです。連休の狭間で急転解散、という目が幾分は残されていると見ていますが、麻生氏のサミットへの拘りから見ると8月がやはり濃厚でしょうね。

世襲制限について、世論の半数が賛成しているようです。地盤、看板、鞄と言われる世襲議員の特権に対し、これは地盤だけでも外すかどうかという議論です。しかし広義の意味では、世襲議員が能力値と関係なく、早くから要職を歴任できる『お世話になった議員の息子の面倒を見る』という、古い体質を引きずる政治の世界が能力主義に立ち返られるのか、という問題です。
特に補正予算の態度で象徴的なのが、景気対策は必要との意見が大半を占める中、今回の補正予算の評価は低く、財政圧迫から評価しないとの声が多くあります。定額給付金のように、もらえるものはもらうが、政策の中身にも国民の厳しい目が向かっていることが分かります。政治の世界も同様に、中身を問われねばならず、その意味で真に能力のある人物を見極め、選択していくことが選挙でも重要となってくるのでしょう。

最後に、党首討論の開催を望む国民の声も高くなっています。説明不足と指摘される小沢氏ですが、党首討論は与野党双方にとって諸刃の剣です。麻生氏が責め切れれば選挙の大きな力になりますが、下手に禊が済んだとの意識が国民に芽生えれば、それが民主党の追い風になります。
前回は麻生氏のクリンチ戦術で、党首討論も低調な内容に終始しましたが、ぶら下がりや記者会見を見る限り、本来の倣岸な態度が復活し始めた麻生氏が攻撃に転じたとき、どう効果的な攻めを見せるか?これは選挙へのキッカケの一つになり得るものです。むしろそこで麻生氏の能力値に疑問符がつけば、与党の党首の首のすげ替えに否定的な国民感情からも、与党は窮地に陥るでしょう。どちらにしろ、党首討論を早めに実施することが肝要なのでしょうね。

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2009年04月26日

雑感、豚インフルエンザについて

名古屋市長選で民主推薦の河村たかし氏が当選を確実にしました。民主の連敗ストップ、というより前衆院議員としての抜群の知名度と、メディアへの露出の多さが浮動票を確実に得た形です。昨今の地方首長選を見る限り、準備体制を早期に構築すること、即ち知名度と同時に、選挙区民への浸透力が強く投票行動に影響するようです。
これは経済への不安、政治への不信、将来への不透明感に対して安定を求める行動と推測されます。ある程度名の知れた、思想や行動を理解していると感じられる人間への安心。変革という大手術より、予測不可能性の排除、国民としては一か八かの賭けより、全体がダラダラと下落傾向を辿っても、落ち着いていたい。そんな心持の表れなのかもしれませんね。

メキシコで発生したと観測される豚インフルエンザが、世界に拡散する気配を見せています。早期の封じ込めに失敗し、感染を拡大させた原因は豚からの感染に警戒心が緩かった、H1N1という既知のウィルスだったというより、通報システムを機能させるべき人の判断力の問題と考えます。異常を感知してすぐ通報、このシステムは想定されるより脆弱と考えるべきでしょう。
現状の警戒態勢はフェーズ3、人-人感染の拡大は想定していませんが、仮に弱毒性であれこれだけの感染拡大は人-人感染が発生していると見て間違いありません。これも結果的に、風評被害を食い止めようという人の恣意的な判断であり、封じ込めを危うくする要因でもあるのでしょう。すでに感染拡大が確認されている大国が、自国民の渡航制限などの影響が出ないよう、動いている時点でパンデミックを防止する視点は薄くなってしまっているのでしょうね。

豚は10年以上前に欧州でドーピング豚の指摘があり、成長促進剤や、肉質を良くするホルモン剤、病気の感染を防ぐ抗生物質の投与が問題視されてきました。豚は加熱処理され、食用に回されますから今回のインフルエンザでも問題ありません。ただ昨今中国で拡大が指摘されている、安易なドーピングに頼った豚の飼育は、意識しておく必要もあるものです。
豚はイスラムやユダヤでも禁忌、不適正として食されないものですが、それ以外の国では、比較的人との接触が多い動物です。やや心配されるのが、人と豚の共通感染として、世界に拡散されることなのでしょう検疫体制の整っていない国の豚に、感染が拡大し、それが人へ拡大すればタミフルなどの治療薬の使い方が、人だけに限らず使用されることになります。ドーピング豚が人の健康に影響するかどうかは、まだ確定した見解が整っていませんが、薬に耐性をもつ病原体の存在などを考えると、乱用は控えるべきものです。
メキシコの事例と米国の事例で、重篤度に違いも見られますが、今回の事態が封じ込め体制の構築遅れなど、今後にとっての一つの教訓となりそうです。弱毒性であれば良いですが、そうでなければすでに世界へ拡散されたと見られる今回のウィルス、多くの問題を引き起こすかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 健康

2009年04月25日

経済の話。レンジ相場の見方について

昨日G7が開催されました。景気悪化ペースの鈍化も謳われていますが、先進各国の頼るところは中国の需要です。新興国の伸張が世界経済を発展させますが、それと平衡して相対的にG7の価値は低下します。傍観者的な観測論を述べるだけで、効果と対策を打ち出せない会議では、先進各国の財務相や中央銀行総裁が集まる意義はありません。それを今回も露呈した形です。

相場について考えてみます。現在、株式市場は9000円で頭打ち感が出ていますが、下げにも勢いがなく、レンジ相場に終始しています。上昇ピッチの早さから調整したい買い方と、売り方も今は様子見気分が強く、材料を探している段階です。そこで短期的にはセクター別の評価を高くして材料とし、先週の鉄鋼、今週はハイテク、自動車、24日は銀行などの個別業種に資金を集中させ、跳ね上げて値幅とり、という流れが多く散見されるようになっています。
しかし24日に代表される、みずほFGの業績悪化で悪材料出尽くし、公的資金注入観測で上げても、信用倍率が高いためうまみはありません。現状、セクター別の跳ね上げが成功するのは信用倍率の低い、売り方の買戻しが見込める場合に限られ、その分も相場全体の押し上げ効果に寄与しない部分である、ということも言えるのでしょう。

特に9日に相場全体を大きく動かした欧州系2社が、それ以来ボリュームを縮小させ、全体としての方好感を見失っていることもあります。動かないのではなく、動かさない相場展開と言えるのでしょう。買い方が勢いを失っても、相場全体を動かすよりセクター別の材も料相場で稼ぐ、それが現状の資金の向かい方であり、新たに大きな材料が出ない限りは動かさないつもりでしょうね。
しかし為替では、トリシェECB総裁の発言でEU内の量的緩和が示唆され、一旦円買いを試す動きも出ました。債券市場と重ねてみると、FRBが随時国債買い入れを進める中で、米10年債は再び3%に接近。ストレステストの結果次第で、更に国債増発懸念が出ればもう一段円高を試す可能性もあります。想定として1兆$程度必要、という悪いリポートもありますが、5/4に向けた動きには為替、債券ともに注意も必要でしょう。

そして世界の需要を支えるはずの中国が、情報技術関連のソフトウエア開示義務を導入する意向を示してます。いつまでも安価な下請け工場としてではなく、人件費高騰を賄う先端技術を担える産業育成、中国の悲願を、こうした強制的な制度導入で達成しようという戦略です。
高い経済成長に伴う潜在需要、各国もその期待と同時に、中国との距離感を考え始める時期に来ています。問題は貿易障壁だけでなく、中国が経済の分野でトップに立つと、中国共産党の一党支配に世界も牛耳られることになる、と気付くことです。幾ら開放路線を謳おうと、人権意識や知的財産権の保護に希薄な国家、それが共産主義アレルギーとして復活すれば、中国に向けた制裁が巻き起こる可能性もあります。中国も自国の存在価値が高い今こそ、の戦略なのでしょうが、先進各国との間の綱引きの結果がどう転ぶかが、やや不安要素として台頭するかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年04月24日

雑感、草なぎ氏の逮捕について

SMAPの草なぎ剛氏が釈放されました。人気者の逮捕であるゆえ、警察の手法やメディアへの批判も多く出ているようです。警察は当初から覚せい剤を疑っていましたし、メディアの中でもヒドイ中傷がありました。ですが、それ以上に問題と考えるのが、鳩山総務相の発言です。昨日は最低の人間と発言し、今日になり最悪、最低の行動と訂正しています。

行動批判をする場合、最も注意すべきは対象となる人により、自分の意見を変えてはいけないということです。中川前財務相の泥酔会見の後、閣僚は一斉に擁護に回りました。薬の影響、疲労、様々な理由が語られましたが、結果的に泥酔状態であったことに間違いなく、G7という国際会議の後の記者会見の場で、醜態を晒したことに違いはありません。今回も事情が判然としない中での発言であり、草なぎ氏の行動が薬や疲労の影響だった可能性もあるわけです。
確かに草なぎ氏が地デジ推進大使であり、総務省として損失はあるでしょう。が、酒の上での醜態という事象に対し、自らの損得で判断を変えるような人間は他者から信頼されません。人を起用、採用するのは採用した側にも責任があり、相手のみを責める行為では、自らの責任を放棄しているように見えます。特に他者の人格を責めれば、当然批判もされるのでしょうね。

警察の捜査に眼を向ければ、この手の事件としては草なぎ氏は初犯であり、また被害想定も低いことから留置し、翌朝には解放となるはずです。しかし今回、逮捕、家宅捜査にまで及び、明らかに覚せい剤を狙った動きとなりました。これは公人逮捕につきものの、警察が正義とならねばならない、という余計な思惑が警察内部にあることによります。一度逮捕したら何が何でも罪を負わす、重大事犯に拡張し、被疑者を悪者に仕立てる。強引な捜査と批判されようと、証拠さえ出れば正当化される、一度警察に狙われたら逃げ切れない、という警察の負の部分でもあるのでしょう。
犯罪は犯罪ですから、草なぎ氏を擁護する気は毛頭ありませんが、尿検査のみで済ませなかったのは、警察も批判されるべきものです。常習性を調べたとの理由を述べていますが、それらが家宅捜査で分かるはずもなく、下手をすれば別件捜査との批判も受けるところです。

昨今、京都の女子高生殺人事件や毒入りカレー事件、明確な証拠のない立件、公判が目立ちます。警察の捜査に疑問符がつき続けると、結果的に警察が正義とは見なされなくなっていきます。何事も行動で示すことが、最も大事な時があります。警察の捜査は思惑以上に、別件捜査や国策捜査と言われないため、最も必要なことであるともいえるでしょう。草なぎ氏も今後反省し、復帰してきた後の行動で今回の件を払拭していって欲しいですね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(4)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | メディア

2009年04月23日

海賊対処法案が衆院通過

海賊対処法案が衆院を通過しました。この法案では警護対象を全ての船舶に拡大、停船を求める危害射撃を認めます。与野党で決裂したのは事前に国会承認を得るか、そして主体を海上自衛隊か、海上保安庁か、ということです。与党は国会承認なし、海上自衛隊が主体であることを主張、野党はその逆を主張して協議が決裂しました。
個人的には折衷が良いと考えますが、まず国会承認は必要と考えます。これは有事の対応でなく、平時の盗賊行為に対するものです。有事であれば内閣が全権を掌握し、瞬時に即応する体制が必要ですが、平時対応であれば監視、監督の目を如何に確保するかが問われます。

内閣の承認のみとなることが情報統制上、危険であることは間違いありません。危害射撃を認めるのなら、尚更過剰防衛や誤射の問題に際し、全ての問題を内閣が被る形となります。その時、情報を出さない、という行為が往々にして起こるので、国会が承認する形にする方が、全ての情報の共有化、責任の明確化という点でも優れていることになります。
一方で海上保安庁が主体になれば、日本の領海に限定されていた行動が、公海に拡大されます。一時的に海自自衛官を転籍させる案もあるそうですが、歪んだ上下関係が上手くいった試しはありません。所属と管理を海上保安庁に移しても、公海上、国際法上の基準を適用しつつ活動するには、業態の拡大であり、限度もあります。スムーズな行動は難しいでしょう。
これはあくまで平時の対応です。国民の統制、情報公開という観点では国会が権限を握り、海自が対応するのが順当といえるでしょう。ただ与党は面倒な国会対応を嫌がり、野党も意見調整に難しい問題で当初の主張で突っ張り通してしまった。この法案はそうした悪い面が前面に出てしまっています。与野党が日本の財産、生命の問題に関して国益優先の考え方では動けない、日本の政治の悪い部分なのでしょうね。

政府が今年度のGDP成長率を0.0%から-3.3%に下方修正する見込みです。見込み通りで10兆円規模の税収減が予測されます。一方、IMFは-6.2%、OECDは-6.6%の見通しであり、まだ日本政府の見通しは甘めということがいえます。景気対策効果も、政府は2%程度の押し上げ効果と謳いますが、有識者は1%程度との見方が多く、この部分が見通しの甘さに繋がっているともいえます。
最善を織り込んで政策を組んではいけない、というのは政治の常道です。海賊対処法も、仮に人質をとられて銃口が突きつけられた場合、海自には狙撃手がいないはずですので、米海軍がとったような海賊犯の射殺は、現状できません。危害射撃程度で収まる内は良いですが、追い詰められた海賊が凶行に及ぶ場合まで含めた想定が必要なのでしょう。経済にしろ、海賊対策にしろ、事前想定に甘さが見られれば危険に陥るのは国民であったり、自衛官です。その点を認識し、こうした対策などは打たれるべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年04月22日

経済の話。公的資金の明と暗

米大手金融機関の決算が出揃ってきました。概ね黒字転換し、一見すると好調そうですが中身はあまりよくありません。多くが投資銀行部門の好調さを好業績の要因としていますが、商業銀行に業態転換しているのですから、高レバレッジでの運用は本来控えるべきもののはずです。
米国では公的資金の使途に厳しい眼が注がれるようになりました。銀行の貸し出しが伸びなければ危機が去ったといえず、その点でバンカメのように、貸し倒れ引当金が積み増されるようだと、米経済そのものの弱さを意識されます。公的資金を返済したい、という金融機関の本音とは別に、商業銀行が貸し出しで稼げるようにならなければ、今後も注文が多くなるのでしょう。

日本では産業活力再生特別措置法が参院で成立しました。別名ハイテク救済法とも呼ばれますが、パイオニア、東芝、日立、エルピーダメモリなどが活用の検討に入っています。それを受け、市場は好感する動きを見せましたが、企業が市場から資金調達する能力を失っている、ということは本来悪材料です。発表と同時に上がる不可解さは、むしろ破綻を織り込み売っていた向きが、公的資金注入と同時に経営が安定化するのを嫌気し、慌てて買い戻していることによります。
そしてこの動きの背景に、昨今の市場動向が含まれます。中国では2年間で57兆円、ロシアは準備金12兆円、日本も08年2次補正、09年補正と政府からの景気対策が盛んですが、その動きに応じて資金を投入してきた一部の流れがあります。つまり公的資金好感相場でもあったわけです。

しかし先週辺りからこの流れに一巡感が出ました。米TARPが残り1千億$に近付いたこと、ロシアの1-3月期失業率が9.5%に跳ね上がったこと、欧州で財政負担の拡大が意識され始めたこと、そしてIMFの世界に潜在損失400兆円との推計です。公的資金に限界が見え始め、逆に財政規律維持のための増税論議が活発化すれば、経済の下押し圧力は強まります。
NHKでも世界のGDPに対し、金融資産が3.7倍に膨れ上がりその一部が不良債権化した、と某番組で述べていましたが、仮に金融資産が半分に収縮しても国家が支えられる規模でないことはこの数字でも分かります。公的資金の限界懸念、来年辺りには顕著にその動きが出てくるでしょう。

相場的には下げ渋り感もありますが、これは下落傾向が鮮明になるとマネージドフューチャー(MF)型の順張り、つまり下げ相場では継続した売りが出る、との懸念が買い方の下支えに繋がっています。昨年の運用実績で見ても、MFはプラス運用を維持、資金的にも少し余裕がある層であり、ここが相場を作るようだと3月からの上昇基調が急速に巻き戻る可能性も意識されます。
日本政府は政投銀への出資を3.7兆円に積み増す意向ですが、日本政策金融公庫を通じて5〜8割の損失を補填する、と述べても政投銀も貸し出しには慎重にならざるを得ません。結果的に損失は被るのであり、貸し渋り対策である中小企業への貸し出しも期待ほど伸びていないのと同様、大企業とはいえ事業計画の甘い企業には応じられないはずです。公的資金の使い道の厳格さ、それと企業救済という社会への責務との狭間で、今後は政府と市場が綱引きすることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(5)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2009年04月21日

与党の動きが活発化

政府の景気対策の詳細が発表されました。まだ内容を精査していませんが、昨日の想定とやや異なる部分もあるようです。ただ5月15日からポイント付与、と大手メディアも一斉に同様の報じ方をしましたが、これは大きな間違いです。法案成立前に期限など切れるはずがありません。
これは国民の期待感を煽り、それが実現しなければ抵抗した野党の責任、と述べる明確な選挙戦術の一環です。そして法案の成立以前に、先の大都市圏を通過する高速道路料金の2重課金の問題が、システム修復後にも返還できない、という内容を見ても分かる通り、2900億円計上するシステム開発費、そのシステムの成立時期や内容により制度自体が大きく変わります。中身や実施時期は国対や制度設計により、今後も紆余曲折すると見て、まず間違いないことなのでしょう。

西松献金事件で民主党は沈黙気味ですが、与党は動きが活発です。与党内で持ち上がってきた世襲議員への、同一選挙区からの立候補制限案。与党内に世襲議員は多いですが、覚悟を示す必要があると一部議員が提案しています。ただこれは法案としてまとめることすら難しいでしょう。
政治資金規正法がザル法であるように、これは自戒が難しい問題です。昨今の内閣総理大臣の多くが世襲議員であることを見ても、早くから力を発揮し、それなりに経験を積んでいけるのは、お世話になった議員の息子の面倒をみるという名目で恩恵を受けられる、世襲議員に多いといえます。他の若手議員には不服でも、政治が危機的な状態にならないと、こうした国民にとって有益で、政治家にとって自爆的な内容の法案は出てこないのが現状ともいえます。

そして谷内氏の北方領土3.5島返還論があります。5月プーチン首相の来日に合わせ、一定の妥協案を作りたい政府が、原則を外して世論形勢を目指してメディアに公表した形です。ただ波紋が大きく撤回していますが、麻生政権の本音は2島でも3.5島でも日露外交で一定の前進があれば、外交の麻生、その成果として高らかに発表したかったのでしょう。先の樺太訪問も同様の流れにあり、成果という形を求めた末の谷内氏の行動は、外務省を飛び越えている感があります。
ただロシア経済を見ると、資源価格の下落で崩壊の危機にあったものの、4兆ルーブルの準備金取り崩し観測が出て、ロシア株は好調さを保っています。この時期、焦って妥協案を作る要件はロシア側になく、交渉を焦れば技術供与や、投資額の高値吊り上げを狙ってくる恐れがあります。日本の前掛かりの外交姿勢が、将来の禍根となりかねない雰囲気も強く滲んでいます。

西松献金事件以降、大きく変わったのはメディアの態度です。政治をコメディーとする集団の登場機会が減り、政府広報のような報道が増えました。5月15日もその一つでしょう。更にその雰囲気を察し、検察も二階氏への追及を静観する態度に変わっています。選挙が近付いて動き難い面もありますが、様々な動きの中で、日本にとって何が良いかは冷静に見ていかなければならないのでしょうね。

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2009年04月20日

エコポイントについて考える

日立製作所の家電子会社、日立アプライアンスの省エネ冷蔵庫9品が、景品表示法違反で排除命令を出されました。廃家電からのリサイクル樹脂の利用など、広告で謳われた内容を満たしておらず、二酸化炭素排出量48%削減、と銘打たれたものが実際は15%程度に留まるとのことです。企業側は製造と宣伝担当部署の情報伝達の不備を、この不適切表示の原因としています。
この省エネ冷蔵庫は財団法人「省エネルギーセンター」から、省エネ大賞を3年連続で受けていましたが、今回の公取委員会から指摘でこの財団法人のチェック体制にも、疑義が生じています。省エネ大賞は広告、宣伝に頻繁に登場しており、このお墨付きには一定の効果もありました。それが書類審査のみとなれば広告効果は著しく薄れます。制度全体に問題が大きいからですが、企業側にも情報伝達の不備があるとすれば、省エネの表示全体が信用性を失うこととなるのでしょう。

補正予算にも計上される予定のエコポイント制度。エコ家電への買い替えで薄型テレビなら最大13%、通常家電でも5%がつき、次回の買い物でポイントが利用できるという制度です。しかし上記でも分かるように、エコとはこれまで企業側の判断に委ねられ、明確な基準は存在していません。
当社従来製品比、という形で削減割合を示されても、消費者に俄かにその効果は伝わり難く、数字ばかりが一人歩きします。例えば冷蔵庫で2ドアを使っている人が、5ドアに買い換えて消費電力が増えても、エコ家電と認定されればそれで構わないことになります。エコとは本来相対的なものですが、判断は個別であり、管理できないのが現状で行政にはチェックする術がありません。

従来のエコポイントの考えは、このポイントでエコ事業への寄付や、省エネ家電との交換を目指したものでした。つまりポイント管理者と、ポイント運用が同一媒体であることが前提です。しかし今回のエコポイント制度では、管理は環境省、ポイント利用者は個人、もしくは販売店です。
多くの小売でもポイント制はありますが、カードは個人が管理します。そうしないと証明がとれないからですが、このエコポイント制は管理者と運用者が、完全に切り離される形となります。つまり個人であれ、販売店であれ、そこを環境省と結び付けるシステム開発が必要であり、そうでなければこのエコポイントによる割引は相当使い難いものとなるでしょう。特に個人情報として、購買記録を環境省がチェックするということは、制度全体の問題として存在します。

販売店がエコポイントを管理する場合は、横断的に各量販店を繋ぐシステムが必要となり、販売店同士で購入記録を共有されます。それを失くすため、あくまで個人の申請という形をとるなら、成り済まし詐欺や、返金方法で悩むことになります。購入時にポイントで還元するため、販売店に指示を出すなら、本人証明などの厳格な審査も必要となってくるでしょう。
エコとは相対的なものであるにも関わらず、それを制度として基準を決める作業は、相当に困難を極めるはずです。下手をすれば詐欺が横行するでしょうし、運用が困難になります。エコカーも同様、販促におかしな基準がつけば、今度はその認定が重要となってきます。省エネ大賞のように、その認定自体に疑問符がつけば、制度全体が可笑しくなっていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:03|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 行政

2009年04月19日

国民年金法改正案が衆院を通過

国民年金法改正案が衆院を通過しました。国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げに間して、09、10年度は埋蔵金、それ以降は税制改革による安定財源を求めるとされます。政府は11年度から消費税増税を財源に充てる方向ですが、2兆円強だと3%強の税率変更が意識されます。また消費税増税が先送りされることになると、この財源は国債発行で賄われます。どちらにしろ、日本の景気や財源に対して、今のままではマイナスであることに間違いありません。
また国民年金の追納について、社保庁職員による違法受付が2300件発見された、と舛添厚労相が認めました。ただしこれも2年分なので、実態はもっと多い可能性があります。年金の問題は、恐らく将来的にも全面決着にはならないものです。制度として欠陥を抱えたまま、不足分を公的な補填で埋め合わせる対策は、どこかの国の不良債権とそっくりです。この国庫負担分の引き上げも、100年安心プランと銘打った際の遺物です。それが消費税増税や国債発行で賄うなら、いずれ制度全体が破綻することになります。一度記録全体をキレイにするしか、抜本的な対策はないのでしょうね。

国の出先機関改革で工程表の取りまとめが先送りされたことを受け、地方合同庁舎10件を新築工事として、国交省が着工していたことが明らかになりました。耐震性能の低い建物の使用が、新築により移転をすすめるその理由としていますが、明らかに委員会の停滞を受けた先走りであり、予算執行を急いだ結果でもあります。
しかし、現状の不動産市況を見る限り、商業用不動産も価格が低下し、市場が冷え込んでいることが伺えます。この時、新たにビルを建てずとも、合同庁舎として用いることができる、不動産物件など幾つでもあるでしょう。REIT市場の冷え込みに公的資金注入も示唆されていますが、不動産価格の形成を歪め、尚且つ新規建造物を焦るという行為に正当性はありません。

問題は昨今見られる、官僚の暴走に対して政治が積極的に抑制に働かないことです。麻生政権は官僚を使いこなす、と述べていますが、郵政の問題で鳩山総務相が暴走気味に、東京中央郵便局の建て替えに意義を唱え、西川総裁の引き下ろしに動いたように、むしろ政治が官僚と一体となり、利益誘導団体になったかの印象を受けます。官僚人事の政令に盛り込まれた内容にしても、麻生政権が気付かなかったことは間違いないと思いますが、大事なことはそれで誰にもお咎めがない、ということです。
今回の年金の問題でも、一体どの程度の人間に処分が下るのか?地方合同庁舎の着工も同様、これは法的には違法ではありませんが、並列執行できないものを進んで行ったということは、認可した人物の降格程度の処分はあって然るべきでしょう。問題は内部のレイアウトを変え、出先機関改革の工程表が決まったらそれに合わせられる、ということではなく、それによるトータルコストとしてどれだけの損が計上されるのか、です。
出先機関改革がまとまり、着工するのであれば予算全体に齟齬はありません。今回のような、作り直し、という工程にはまた予算がかかりますし、規模の面からも不整合を生じる可能性があります。一つ一つの問題は軽く見られがちですが、官僚機構の統制という面では、いずれも深刻な問題を含んでいるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年04月18日

雑感、企業による増資について

米GM、クライスラーの問題が大詰めを迎えています。GMは来月末が再建策の提出期限ですが、今月末の伊フィアットとの提携交渉が挫折すれば、クライスラーは破産法11条申請に追い込まれます。すると部品メーカーへの補償の問題が噴出し、荒波はGMも襲うことになります。後2週間、クライスラーの提携交渉が折り合えば当面の小康が得られますが、そこが一つ目の山場です。
GMは50億$の追加支援の必要とし、政府と協議を続ける意向を示しました。ただこれは運転資金であり、事業構造の改革に用いられる見込みはありません。しかも昨年末からすでに4ヶ月、全米自動車労組(UAW)との協議がつかず、その間の労務費、退職者向け医療保険に資金を垂れ流し、また債権者への利払いに回されています。GM、クライスラー、どちらの問題も決着がついた後、議会からの追及を受けることは必然となってくるでしょう。それほど、現在米国民の公的資金の使途に向ける眼は、厳しくなってきているのですからね。

日本でも、東芝の1-3月期が3500億円となり、自己資本改善のために5000億円の増資計画を発表しました。公募増資で3000億、劣後債で2000億の調達です。これは当然のように、昨今目立つ日本企業の格下げ、そうした負の連鎖を断ち切るためのものです。株価の低下と大幅赤字で繰延資産の取り崩しを余儀なくされ、企業の自己資本が目減りした結果、債券の発行価額の高騰や、高い利回りを約束せざるを得なくなります。
将来に業績回復が見込めれば一時的な有利子負債の上昇も許容できますが、現行の企業の中期計画も、今回の経済危機を織り込んだものは策定されておらず、不透明感が漂います。増資計画とは、本来この中期計画に基づき行われるものであり、短期的な資金繰りのために行われるべきではありません。これはGMなどと重なる部分もあり、公的資金を運転資金に回している時点で、米ビッグ3の存続には大いに疑義が生じていることになるのでしょう。

そしてこれは金融機関にも当て嵌まります。金融機関が相次ぎ増資を発表していますが、この引き受け先は個人投資家や政府系を含むファンド勢になります。米国でも公的資金返済に向け、民間資金に頼る意向が鮮明ですが、資金の引き受け手が現れる内は問題ありませんが、昨秋からの一時期、完全に資金の流れが止まったように、再び信用市場が混乱すれば、資金の流れが滞らないとも限りません。欧州の問題への解決がどう着くかも、この問題には影響してくるのでしょう。
米金融機関が本当に公的資金が返済できるのか?私は甚だ疑問に感じています。ストレステストの結果でも、一年は返済を受け付けない可能性が高いでしょう。繰上げ償還は双方の合意が必要であり、金融機関側の都合のみでは進まず、特に返済はある程度各社の時期を揃えて行わなければ、強い2、3社のみ返済が優先して返済すると、米国の問題は更に深刻化することになります。
増資による資金調達は、利益計画と一体でなければなりません。特に相次ぐ増資は、本来向かうべき資金をそちらに集中させてしまう、不均衡を生む可能性も孕みます。世界が今、公的資金注入、民間資金による増資、と一方向で進み易くなっていることが、未だに危機は続いているのだと感じさせられます。増資計画の失敗などが出ないよう、注意する必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(4)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2009年04月17日

五輪の招致活動について考える

注目されていた米シティグループが、第1四半期の決算を発表しました。16億$の黒字ですが、やはり時価会計による不良債権の評価損が減少し、それが寄与した面も大きいようです。来月4日に公表とも伝わるストレステスト前、米金融機関では公募増資を行ってストレステストを乗り切る意向が鮮明であり、それらも好業績を発表せざるを得ない、そうした一側面でもあります。
ただ米国では、多額の公的資金の使い道について国民の側から疑義が生じており、今後の経済対策の足かせも大きくなりそうです。公的資金が投入された金融機関役員への高額報酬から始まった、公的資金の使途制限議論。米政府、金融機関、どちらの手足も縛り始めており、早期返済を目指した公募増資、不良債権が買取機構に出るのか、など課題が山積みになってきましたね。

国際オリンピック委員会(IOC)の評価委員が、東京を訪れています。確かに五輪招致が決まればお祭りですし、良いのでしょうが、稀に五輪を経済面で意義があると述べる人もいます。ただそれは良い面ばかりを強調し過ぎです。その1つは生産性を高めるはずの労働力を、ボランティアという形で賄っているからであり、賃金収入を伴わないボランティア活動による生産性の下落。それを賄うだけの観光や人の移動に伴う収益が上がらなければ、全体としてはマイナスとなります。特に北京五輪のような、工場操業の停止などを行えば、顕著にそれが現れることになるでしょう。
特に今回、東京は既存施設の改装等で賄うため、インフラ整備に回る予算、公共工事は極めて小さな額になります。施設屋上の緑化や、道路にも樹木を植えるなどエコで環境に優しい五輪を目指すようですが、それこそ経済面とは全く関係ありません。コンパクトでエコは、経済効果とは真逆の方向性を持たなければ、本来の意味と外れることになります。

バーチャルスコープなどで技術力をアピールしたようですが、逆に完成された都市との印象が、効果的かは大いに疑問に感じます。北京(アジア、新興国)、ロンドン(先進国)と続く五輪で、再びアジアの東京という選択肢はとり難いでしょう。北南米が候補として有力なのもそうした事情ですが、先進国から先進国へ、というテーマ性の欠如も最終段階で不利に働く面もあると見ています。
七年後のテーマ性が環境であれば、豪華なもてなしもマイナスの印象です。洞爺湖サミットでも、豪華な食事をとりながら環境や食糧問題を語った、として日本はマイナスの評価を受けました。G20でも素材を生かした、粗食に近い晩餐を饗するなど、欧州では過剰な接待から見切りをつける中で、日本のこの態度は金満体質、もしくは以前のような金権招致活動、との謗りも受けてしまうのかもしれません。

私も五輪は見たいですが、前回の戦後復興からの東京五輪から、如何なるテーマ性でアピールできるか?が重要と考えています。政治もあまり招致に積極的でない日本が、五輪招致に成功するのは『もてなし』ではなく、日本で開催することで世界に向け、何を発信できるかなのだと思います。完成された都市を緑化しても、環境でのアピールはあまり高くありません。もっと別の何か、それを見つけることが必要なのだと思いますね。

analyst_zaiya777 at 23:08|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2009年04月16日

経済の話。中国1-3月期GDPが6.1%

中国国家統計局が1-3月期の実質GDP速報値が、6.1%増だったと発表しました。市場予想は6.0〜6.3辺りでしたが、特にここ数ヶ月の中国の良好な経済指標の発表で、思惑が先走った形です。10-12月期を6.8%と低成長に抑え、09年は高成長に導くとの思惑もあり、かつ年8%成長という公約GDPを達成するためには、数字を操作して高めに出してくるとも見られていました。ただ3月の伸びが高いため、確報値では小幅に改善することも考えられ、8%達成のためには形振り構わず経済対策、その他の政策を打ち出してくることも考えられます。

日本の相場は朝から先物にボリュームのある、まとまった買いが入り、一時9000円を回復。これは昨晩の米国市場で、引け間際1時間で急騰した流れを引き継ぐものであり、当然中国GDPへの期待も含まれます。発表が予想通りだったことで、見切売りが相次ぎ、先日とほぼ同水準まで落ち込みました。日中値幅250円近くに上りましたが、売買高はあまり伸びていません。
相場全体の流れは現在、下落傾向が鮮明になりつつある中、買い方が8750で食い止めようとしている状況です。ただ外国人投資家の流れも、今週に入って変調を来たしており、買いに弾みがつきません。今日の先物のボリュームと、現物のボリュームの差がそれを如実に示すのでしょう。

特に今週、米国の経済指標にも悪いモノが目立ち始めました。3月小売売上高1.1%減、3月卸売物価指数1.2%減、3月消費者物価0.4%下落と、デフレ傾向が鮮明になっています。消費者物価のコアは上昇しているので、2月との前月比でみれば0.1%の下落と、逆に2月が高すぎた印象もありますが、地区連銀経済報告で一部落ち込みペースの鈍化が指摘されていますが、逆にこの斑模様が米経済にとって、対策の妥当性や強弱による経済格差の拡大に繋がっていくのかもしれません。
日本の3月工作機械受注が85.2%減ですが、中国向けの落ち込みが主因です。この状況から想定されるのは、中国は内需への補助制度が機能していますが、外需の落ち込みで企業は設備投資に回す余裕がなく、資金繰りにそれほど余裕がないのではないか?ということです。中国は貸し出しも伸びていますが、経済指標への信憑性とともに、実体としては安く作って安く売る、国内循環の中でしか経済が回っていないのかもしれません。それがGDP6.1%の正体でしょう。

日本も各国の経済対策で、外需の回復から一時的に製造業の生産調整が終焉したかに見えます。しかし大規模景気浮揚策が、そう何年も継続できるはずもなく、今後の帰趨は経済対策が出尽くした後の経済、として考えるべきです。奏功して上昇基調に乗れるか、低迷を続けて更に経済を悪化させるか、両面で経済を考えていく必要が出てきているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2009年04月15日

森田千葉県知事の告発状が提出される

森田健作千葉県知事が、刑事告発されました。告発状では自民党東京都衆議院選挙区第2支部長でありながら、完全無所属を表明したことが公職選挙法の虚偽記載にあたるというもの。また05、06年に外国人保有比率が50%を超える企業から、980万円の献金を受けた政治資金規正法違反です。
さらに告発状にはないようですが、第2支部が受けた企業・団体献金1億5千万円を、森田氏の資金管理団体「森田健作政経懇話会」に寄付しています。また、自民党山崎派の「近未来研究会」から300万円、甘利行革担当相の資金管理団体から100万円を、報告書に記載していなかった、という事実も報道されており、これらは事実を認め、返金や修正報告を検討しています。

告発状の前半部分、『完全無所属』の定義ですが、これは非常に難しい判断です。経歴詐称で議員辞職に追い込まれることはよくあります。ですが、大抵は公選法違反に問われる前、政党からの圧力で議員辞職をしており、公判で争うことは少ないものです。政党の党籍、しかも支部長という肩書きをもちながら、故意に隠蔽すれば法律の制定意義からすれば違法との判断もできそうです。
つまり有権者の判断を惑わす、そうした行為を公選法は禁止しています。本来、証明書の発行に基づき政党の届けを行いますが、それをしない状態を完全無所属と称することに、有権者の多くが疑問を抱けば公選法違反を問われるかもしれません。ただ無所属と称しつつ、党公認や推薦を受ける候補者も多く、この点は判断も分かれるかもしれません。

ただ資金の流れの不透明さは以前から森田氏につきまとっており、ドラマのクリーンなイメージとは裏腹に、かなり深刻な問題を含みます。政治資金規正法は、小沢氏の問題で少しややこしくなっていますが、これまでなら修正で済む話です。しかし認識を問われるのであれば、980万円という金額の大きさもあり、知らないで済まされるかを千葉地検も判断せねばなりません。
しかも支部から個人の資金管理団体へ、巨額資金の流れは小沢氏と酷似しています。特に森田氏の場合、支部長を努めていることから、企業献金の受け皿団体を自身が管理していたとの指摘もできそうです。つまり政党支部を隠れ蓑に企業・団体献金を受け、それを個人の資金管理団体に移せば、法的には要件を満たします。しかし西松献金事件で問われているのは、ダミー団体による迂回献金であり、その認識です。森田氏はこの支部の閉鎖を示唆していますが、ここがトンネル献金の受け皿であり、ダミーと認識できるかどうか?それも地検は判断せざるを得ないのでしょう。

対立候補支援者による告発とはいえ、この告発状は重大な問題を示唆するかもしれません。地検がどう応えるか、それによっては西松献金事件や、今後の各政治家の選挙活動にも影響してきます。無所属という立場や、献金の問題に対して地検の認識を問われている、そうした意味では意義のあることなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2009年04月14日

北朝鮮に対する議長声明が採択へ

国連安全保障理事会で、北朝鮮のミサイル発射に対する議長声明が採択されました。安保理決議1718に違反していると明記し、制裁委員会で禁輸品目と資産凍結の対象者リストの追加作成を要請し、六カ国協議の早期再開を求めています。これに北朝鮮は反発、六カ国協議の離脱を示唆し、自衛的核抑止力を行使するため、使用済み核燃料の再処理を進める、非核化プロセスからの転換を示唆する声明を出しています。

日本は議長声明に対し、決議という名より実をとったとして、強い文言が明記されたことで成果を強調しています。が、今回の場合は形式でも内容でもなく、議長声明を採択後の北朝鮮の出方にどう対応するか、が問題であり、この六カ国協議離脱と核開発の再開に対する行動が重要です。
日米韓が連携して…、といわれますが、突出して決議に拘ったのは日本です。韓国は同族意識もあり、日本に同調する態度を示しつつも静観に近く、米国は早くから妥協点を探り、日本だけが取り残された形になりました。この動きから分かることは、日本の上を飛び越していったのは、ミサイルだけでなく、米中間の協議という大国の合致した思惑で安保理が進められたことです。

北朝鮮の瀬戸際外交とはいえ、これで米国との2国間、もしくは中国を含めた3カ国協議という実をとれる形になります。北朝鮮を六カ国協議の場に戻すためにも、見返りが必要であり、下手をすれば六カ国協議は形骸化、見返りのための支援だけが要求されることになるのでしょう。
特に北朝鮮は日韓を外したい、との思惑が滲みます。拉致問題に固執する日本、太陽政策を転換したイ・ミョンバク政権。どちらも協議するに値しない、と北朝鮮は考えており、態度を硬直化させているのです。中露は弱めながら北朝鮮を非難していますが、北朝鮮に対する影響力の度合いを測っているだけであり、この両国に積極的な事態の打開を図ることは期待できません。

日本の対応は現在、議長声明を評価していることを見ても、戦略はここまでと見られます。制裁強化をしても、北朝鮮の目が米国に向いている以上、事態を進展させる手段とはなりませんが、打開の目処もないのでしょう。米中を巻き込みたくとも、今回の動きを見ても日本外しが鮮明です。
外交力は経済、軍事など様々な点が影響しますが、日本の最大の問題は時の政権の態度により外交政策が変わる、長期ビジョンがない点です。特に、米国に軍事、経済、中国に経済を依存する形となれば、外交面の力を失うのは当然といえます。これは北朝鮮の問題だけでなく、日本が築いてきた世界の中の位置付けの問題でもあり、短期で巻き直しも難しいでしょう。更に、麻生政権が短期の成果に焦り、安保理で突出すれば世界から日本外しの動きが起きないとも限りません。
主張を通すためには、正論を振りかざすだけではなく、存在感を示す。そうしたことも必要です。現状、それがない時点でこの北朝鮮問題に日本が関与できる、そうした条件は著しく少なくなってしまっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2009年04月13日

投資資金の減少について考える

先週4月のマイナーSQを9140円で通過し、幻のSQという形になっています。やや買い超と見られましたが、SQが高くなったのは前日の米相場が高く、買いに正当性が出たためでもあります。しかし9000円を意識した水準で、仕掛け的な買いは出るものの、上値を抑えられ重さも感じられます。
外国人はやや買いも増えましたが、日本の年金基金や企業からも持分を減らす動きが出ており、3月までの相場展開と一変しています。ですが、小型株の一部で動きも見られるように、相場の手詰まり感を示す相場つきであり、あまり歓迎すべき状況ではありません。ピッチの早さ以上に、現行水準に対する懐疑的な見方と、企業業績に対する懸念が上値を重くさせる原因でしょう。

08年度末で株式の投信が1年前から30%減の40兆円になった、と投資信託協会が発表しました。また3月に募集した5年もの、10年もの個人向け国債で販売額が3200億円と、低い水準に留まっています。国債は政策誘導金利を引き下げたことによる利率の低下もありますが、この二つの動きが示すことは、日本の個人資産が日本の株や債券から一斉に逃避してしまったということです。
外国の株や債券は、円高の影響もあり逃避傾向が強いですが、日本株や債券からの逃避は相対的な日本の魅力低下が理由となります。特に日本の国債は増発懸念の中で、国内で還流しないと消化できない体質であり、個人資金が集まらないと厳しい環境が当面は続くでしょう。

株は海外環境の好転から、2000円近く上昇して一部資金が戻り始めています。ただ国債は今後も深刻な問題を抱えます。日銀が法定準備金を増やし、自己資本を増強する方向で検討に入っています。社債やCPなど、一部リスクの高い資産の積み増しで健全性を確保する狙いですが、日銀には国債購入圧力もかかり、将来的にはそれを担保する狙いも含まれるのでしょう。しかしこの動きは、利益を国庫に納付してきた日銀が、その一部を内部留保する策に他なりません。
税収などの落ち込みが深刻化する国家財政、日銀も納付金を減額する流れとなり、結果的に国家の歳入を更に圧迫する見通しです。日本全体の資金の流れ、対症療法的な痛いところに絆創膏を貼るばかりでは、別のところの出血を止められなくなる恐れも出ています。

安心社会実現会議なるものが、与謝野財務相の下で立ち上がりました。「超然たる立場から自由な議論」だそうですが、それにしては意見の偏るメンバー構成であり、議論がまとまるかすら不透明です。しかし大事なことは、これを消費税増税の下地とするだけの思惑ではなく、安心社会とは何か?を真剣に考えられるかどうかです。
国債増発懸念とそれに伴う増税、日銀の資金供給枠の拡大とそれに伴う国庫納付金の低下、この資金の流れの悪循環を断ち切り、安心できる国家像を提言することも、安心社会と言えるでしょう。今の日本は、ただ目先の傷口ばかりに手を当て、根治の方向性は一向に示していません。投資資金が向かわない国は窮地にあると市場から判断されている、ということを肝に銘じるべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2009年04月12日

秋田県知事選と民主党の経済対策

タイで開催される予定だった東南アジア諸国連合(ASEAN)が、急遽中止に追い込まれました。タクシン元首相派によるデモが一部暴徒化し、非常事態宣言が出されたためですが、東南アジアは今後、出稼ぎ労働者の帰国による過剰労働力の捌け口を求める、そうした問題に直面します。
日本はアジア支援として、年初から2兆円の支出を表明していますが、国家が転覆、破綻すれば円借款などの債務は帳消しになります。アジアの発展が日本の成長にも寄与する、という理屈とは別に、各国家の動向に気をつけておく必要が、世界経済の混乱とともに今後も強くなるのでしょう。国家内の混乱が紛争を助長するときは、より注意が必要なのでしょうね。

秋田県知事選、自公の推す佐竹氏が初当選したことで、民主党内の動きも活発化しそうです。千葉県知事選は知名度に勝る森田氏が有利な側面もあり、また西松献金事件とともに選挙戦を争うことで、苦戦は予感されていましたので結果自体を問題視されませんでした。が、今回は秘書の起訴後に行った記者会見が、禊に近い形となり、それに基づく国民の審判という形になります。
民主党の問題は、小沢氏一人にほぼ集中しています。即ち金権体質をもつ小沢氏が政権の指揮をとることに、国民が不安を覚えている。選挙の争点が官僚機構の脱却から、政財界の癒着の構図へ問題シフトが起こっていることが見て取れます。結果的にクリーンさを訴えてきた民主党が、クリーンさで疑問符がついたことが、小沢氏への批判に集中的に起きているのでしょう。

民主党も自民に先んじて経済対策を発表していますが、内容は与党案に酷似しています。というより、与党が先に発表されていた民主党案を真似たために、酷似する内容が見られるのですが、与党案と民主党案の最大の違いは財源です。赤字国債と将来の増税を織り込む与党案、あくまで予算の枠組みの再構築で財源を捻出しようとする民主党案。どちらの案が正当性をもつかが焦点です。
私はこの景気回復はL字型、つまり3年後も低い経済成長に留まると見ています。更に法人税は赤字を翌年に繰り越して減免が受けられるので、税収減は複数年に跨ります。その時増税を敢行すれば、景気は更に冷え込み日本の財政は、税率変更以上に税収減に見舞われることになります。

民主党案とて、財源を示しているわけではありません。ただそう公約すれば、それに向けて努力する姿勢が必要となり、その態度を示している点でのみ、民主党案は評価できることになります。竹中氏は構造改革と言いますが、必要なことは歳出入改革により、必要な箇所に財源手当てを促すこと。即ち硬直化した官僚の予算枠にどう楔を打つのか、です。
自民党案では数年後、確実に財政は困窮し、経済環境に関わらず増税せねばいけない事態になります。それではダメなのです。今から官僚機構にメスを入れねば、日本は数年後酷い状況に陥るでしょう。今回の補正、評価できるという人は大量の国債発行に疑義が生じていることを、軽んじる人のみとも言えます。疑義が形になる前に、財政規律を考える必要が今の日本に求められていると感じていますね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年04月11日

雑感。ミツバチ不足について

今日はミツバチの話題を取り上げたいと思います。ミツバチは受粉に適した昆虫として、日本では果物を初めとする農家で利用されています。しかしミツバチの分類は家畜であり、このため豪州産で監視伝染病であるノゼマ病が確認、感染拡大を恐れて08年から輸入停止に陥っています。このためミツバチ不足となり、値段も3割近く高騰、入手も7割程度で農家からも悲鳴が上がります。
輸入女王蜂をアルゼンチン産に切り替える話もありますが、性質の問題もあり、難しい面もあるようです。ただ日本ミツバチもいる中で、輸入ミツバチに頼ろうとする日本の農水省にも大きな問題があります。問題発生は07年、農業と畜産、広義の意味では縦割りが生んだ事態把握の遅さが、現在の混乱に至る経緯の中には含まれているのでしょう。

女王蜂はよく知られたローヤルゼリー(王乳)を与えられ育ちます。分封の前、女王蜂候補の幼虫数匹が女王蜂として育ち、一番先に出てきた女王蜂が他の女王蜂候補を殺し、一匹の女王蜂が選ばれます。旧女王蜂は巣を分封して別の場所に巣を作り、こうして固有の個体は拡大します。
女王蜂は七年程度生存し、活動期は一日2000個もの卵を産みます。突然女王蜂が死んでも適当な幼虫を女王蜂として育てますが、適当な幼虫がいなければ女王物質(9オキソデセン酸)で抑制されていた働き蜂の卵巣が復活、卵が産める状態になります。ちなみに、オス蜂になるのは不受精卵であり、動物のようなXY染色体ではないため、遺伝的には交配による変化が少ない種でもあります。

未知の病原体説、ダニ説などありますが、突然死や集団脱走は遺伝子を追及するべきと考えます。ストレスを受けると遺伝子は傷つきます。修復作用や交配による補完機能もありますが、よほどの幸運がないと他の蜂群との間の交配が起きません。また農業に利用されるようになり、移動を余儀なくされ、最近の環境変化などもストレス要因となる。遺伝子が脆くなれば、生命として種を維持することが困難となり、突然死などの要因ともなるでしょう。
ハチそのものの問題解明は学者に任せるとしても、日本の対応は遅いといわざるを得ません。需要がある日本の農家に、海外の西洋ミツバチの女王蜂を供給する。そして海外の変化により日本の需要に応えられなくなる、日本でよく見られる構図です。大事なことは、平時から複数の供給法を準備し、不意の変化に即応できる態勢を行政としてとれるかどうかです。

結果的に、果物などの農産物に価格転嫁する事態となり、国民から怨嗟の声が上がれば、家畜だから、という理由で行動が遅れたことも全て農政事業の失敗になります。それでなくても、農家からは早くから悲鳴が上がっており、石破農水相の行動も遅きに失している感があります。ハチを道具として使うのなら、生態などを含め管理していなければ、こうした事態になるのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 行政

2009年04月10日

三井住友FGと米銀ウェルズ・ファーゴ

麻生氏が2020年までにGDP120兆円押し上げ、400万人の雇用を創出すると述べました。低炭素革命、健康長寿社会、日本の魅力発揮だそうですが、エコカーや省エネ家電の促進は労働移転は引き起こしますが、新規雇用でも新たな需要創出でもありません。あくまで職場替え、買い換えであり、エコでない商品の購買は減少するので経済全体のパイを拡大するような施策ではありません。
医療、介護分野の雇用促進の話も財源は示しておらず、11年度の消費税増税とセットの対策になります。つまり税収増の分を割り当て、医師や介護士の給与などに回すので、消費下押し効果を勘案すると経済対策とは呼べません。観光も訴えているようですが、地方でも同様に行政の打ち出す観光事業は、予算に応じて事業規模が決まる後付策であり、成功した事例は多くありません。

また子供給付金など、3〜5歳の幼児に36000円、定額給付金と合わせて56000円が直近でこの年齢の子供1人に支給されることになります。1、2歳児や小学生に支給がなく、12000円しかもらえない単身者も不公平感を生じるでしょう。うがった見方をすれば、子供が3歳になれば保育所に預けて働け、と言わんばかりです。自公の話し合いで決着した内容といえ、極めてスジが悪い政策です。
指摘してきたように今年度50兆円に迫る国債発行、法人税収を上回る公算です。定昇の停止やボーナス減額、失業率の増大で所得税収も減少する見込みですから、この経済対策、下手をすれば日本の鍋の底を抜く可能性もあります。楽観して見ない方が良いのでしょうね。

米銀大手ウェルズ・ファーゴが1-3月期決算で黒字見通しを示し、先にストレステストで19行が合格したとの観測記事と含め、米金融機関に楽観ムードが漂います。一方で三井住友FGが09年3月期で3900億円の赤字を発表し、日米で金融に対して両極端の反応になりました。
8000億円の普通株発行が1株価値の希薄化を懸念され、ストップ安売り気配で終わりましたが、これは邦銀への公的資金投入観測も影響しています。今回が公募増資でなく、普通株という点で資金繰り懸念が生じたのです。先の欧米への積極投資の際の増資、そうした邦銀の強気の経営戦略が、ここに来てマイナスに受け止められ、格付けにも影響してくることになるでしょう。

米ストレステストで不合格という判定は出ません。これは公的資金の更なる投入額を決めるものであり、テストを受けている19の機関は、最初から破綻を否定されています。国有化、或いはそれに近い待遇を迫られるかどうか、が4月末とも言われる結果に繋がります。ただ時価会計の見直しで米銀決算、自己資本比率にどの程度影響するかにより、それらも変わるのでしょう。
一方、邦銀に公的資金投入となれば日本の財政は更に悪化します。米国でもTARPが残り1千億$といわれ、保険業にも投入可能としたことで底をつく懸念があります。日米の財政が景気回復までもつかどうか?誰もがそのチキンレースの中で、景気と国の財政を両睨みする環境が、しばらく続いてしまうのかもしれませんね。

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2009年04月09日

ミサイルに対する敵基地攻撃論について

北朝鮮の最高人民会議で、金ジョンイル氏が国防委員長が三選されました。後継候補に対する動きはなく、健康不安説も回復をアピールするかの如く、映像として流されました。

北朝鮮のミサイル発射で、自民に再び敵基地攻撃の議論が出ています。ですが、極めて不毛です。まず日本が中・長距離ミサイルをもつと、射程の問題が生じます。北朝鮮まで届くミサイルは韓国、広げれば中国、ロシアも射程に含むことになり、これらの国から抗議を受けます。東アジアの緊張は、貿易立国を目指してきた日本に致命的な影響を与える可能性があります。
また今回と同様に、宣戦布告でもあれば別ですが、ミサイルに衛星なのか、核弾頭が搭載されているのか、それを端的に判断する術は日本になく、敵基地攻撃の能力を生かしきれないことが想定できます。浜田防衛相が監視衛星に言及していますが、現在2基といわれる衛星を、後2、3基増やすこと、及びスパイなどを用いて他国の情報を得る戦略を練ることなども必要です。

時の政権が自信をもってミサイルを撃てる根拠がなければ、保持しているだけの無用の長物です。特に基地というエリアを限定した攻撃では、抑止効果も期待できません。核武装議論は以前やりましたので取り上げませんが、撃たれる状況を如何に封じるかが議論の主題でなければなりません。
核を持たなくても、核による報復を演出することは出来ます。空母クラスの保有による空爆は、やはり先制攻撃論や使用制限もあり、10年議論を続けても結論は出ないでしょう。しかし潜水艦の保有は議論せずとも、現状でも可能です。やるべきは核搭載が可能な原子力潜水艦を、米国から中古で良いので何隻か購入し、日本に核が撃たれたら独自の作戦に移行し、報復攻撃を行うことを内外に宣言することです。

撃たれるまでは核を保有せず、撃たれたら米国などの同盟国と協定を結び、報復を可能としておく。これが現行制度と整合した、報復としての核を幻想的に作り出す最善の策でしょう。反撃の核は出来る限り領土と切り離すべきであり、また相互確証破壊としての抑止力も保てます。北朝鮮のミサイル技術の進展も、核武装も止められない、しかも外交政策、経済面から見ても日本の転換は難しいとなれば、整合できる提案をする、それが不毛ではない議論ということです。
衆参で北朝鮮への非難決議が採択されましたが、社民と共産は棄権、もしくは反対しています。緊張を高める、衛星だから、という理由ですが、仮に衛星であっても他国に被害が想定される場合、キチンと協議し、補償面をつめないで撃つ国に態度を示すことは外交として必要なことです。緊張を回避する術が対話であるなら、対話を促す場を作り出すことも外交であり、その点で2党の対応にはやや違和感がありますね。

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2009年04月08日

補正予算規模が真水15兆円へ

09年度補正予算について、政府・与党案では財政出動を15兆円、事業規模50兆円とする話が聞こえてきました。以前も今年度の国債発行が50兆円になるのでは?と試算しましたが、その額に近付きつつあります。問題は、今回の対策に見られるものは、ほとんど一時的なバラマキ的であり、いずれの対策を見ても日本の構造、経済環境を抜本的に改善させる策はない、ということです。

エコカーや省エネ家電の買替え助成は、消費を促すものですが、この対策が決裂して解散・総選挙になれば早くて9月、その頃までの買い控えも想定できます。また助成が出るものとそうでないもの、消費者の選別も起こり、総枠としてみると景気浮揚効果は低いものとなるでしょう。
贈与税減税は住宅購入の場合、500万円まで認めるとのことですが、この問題で感じるのは、高齢者の貯蓄率の高さを指摘するのなら日本の構造的問題。即ち恩給的な高額所得高齢者の立場を、如何に捉えるか?ということをハッキリ国が示す必要があります。国や企業に尽くしたとの理由で天下りであったり、役員待遇であったり、年齢の高い人間に高給が支払われる場合が数多く見られます。

高齢者は消費に回さない。一方で独立行政法人では多くの役員を抱え、高所得高齢者を生み出し続けています。所得再分配の原則、消費世代への支給、それを一時的な助成や手当てで済ますのなら、日本の内需は一時的には回復できても、低迷はしばらく続くことになります。
更に公共事業の拡大は、先に需要予測から見直された道路工事を復活させる案です。混乱を演出し、予算分捕りに成功した国交省はほくそ笑んでいるでしょう。そして地方負担を軽減するために、2.4兆円の交付金を地方自治体に配りますから、道路特定財源の一般財源化による穴を、これで完全に埋められることになり、それ以外の公共工事にも安易に支出できることになります。

麻生氏は官僚を使いこなす、と言い続けていますが、今回の対策が使いこなした結果なのかは極めて疑わしいものです。なぜなら、日本の構造転換に資する対策がない、というのは官僚機構にとって極めて都合いい内容だからです。公共工事の地方負担金が最近話題ですが、事業の優先度を地方が決められない中、負担を拒否する地方自治体は今後拡大することが見込まれます。
事業の発注形態、歳出入の一体改革、やるべきことは多くあります。特に今回、年度で50兆円の国債発行は、後の大増税を予感させるものであり、極めて多くの禍根を残す懸念を生じさせます。1.5%に迫る国債利回りで、早晩ローン利率も見直されるはずです。歳出を拡大して需給ギャップを埋める、という思考方法はもう通用しなくなっているのです。政府・与党がその点に気付けない限り、日本の財政は一向に改善することなく、危機は続くことになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(4)TrackBack(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年04月07日

経済の話、日銀の政策決定会合

北朝鮮がミサイル発射時の映像を公開しました。貫通力の不要な衛星発射であったこと、また第三国向けに自身のミサイルをアピールする目的が、この映像公開に秘められています。
一方で米国では防衛費削減に躍起で、F22の新規発注も停止しました。中露との間では数年間戦争は起こらない。テロとの戦争では、それほど高性能なステルス爆撃機も必要なく、これは戦争の質の変化を意味しています。ハイテクを誇る大国同士の戦争から、ローテクでも打撃力のある武器を量産する。この流れが米国で巻き起こっています。当然、それを後押しするのは拡がる米財政不安であり、再び10年債が3%に近付くように、拡大する米国債への需要不安です。

米で著名アナリストが銀行株をネガティブに引き下げ、また英紙でIMFが金融機関の損失見通しを引き上げ、再び海外から金融不安の話が聞こえてきます。海外で今回の景気後退がV字、もしくはU字回復するとの見通しが多いのも、海外では経済が負の連鎖を引き起こし、景気低迷が長期化する体験をしていないためでもあります。それを研究したバーナンキFRB議長が景気低迷は長引くといっても、市場関係者がそれを信じないのは無知の為せる業なのでしょう。
日本市場は4月マイナーSQに向け、少し買い超の状態にあります。特に最近は欧州系の買いが目立っており、ロールオーバーが進まないと波乱も予想されます。特に、これまでの相場を牽引してきた金融機関の安定が、上記の記事で否定される形となり、上昇の根拠を覆されるとやや大きめの調整もあり得ます。ただ4月半ばの金融機関の決算発表、時価会計が見直される中で、どう出てくるかも市場動向に影響してくるのでしょう。

欧州でユーロ高への懸念から、通貨介入が示唆されました。これにより一部、円・ドルキャリーの動きで政策金利の高いユーロを買う流れが止まり、ユーロの大幅な調整が起きています。実際、金融機関で余る資金の使い道は、儲けの出し易い市場へと向かい易く、先週政策金利を1.25%に下げたEUと、日米のゼロ金利との金利差をとれる安易な収益環境を構築し易い点が見られます。
日銀の政策決定会合も開かれ、金利据え置きを決めています。担保資産として新たに縁故地方債を含める内容を打ち出していますが、社債買い入れでは札割れが続き、日銀の思惑と金融機関の思惑とのすれ違いも見られます。日銀の条件に合致する資産は、切り離したくない安全な収益源であり、1兆円の対策も効果は限定的となっています。
金融機関に資金をダブつかせても、市場に資金は回らず、金融機関が好環境と考える市場へ資金が集中してしまう。これが世界の現状でしょう。その時、政府、中央銀行がどう手を打つか?次の検討課題は、まさにそこが焦点になってくるはずです。貸し渋りの監視に、金融機関に調査も入っていますが、大事なことは国が行うべきことと、民間に任せること、その線引きをきちんとし、業務のすみ分けを国、金融機関を含めて考えていくことなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年04月06日

09年度補正予算と解散時期

麻生氏が09年度補正予算について、真水、財政出動規模を10兆円とし、4月中の訂正に向けて与党に指示を出したようです。先のG20で、米国追随の流れの中でGDP比で2%の財政出動を公約として打ち出した手前、予定通りではありますが、米国は来年末までに総枠としてGDP2%を打ち出したのであり、すでに一部08年度補正で打たれた経済対策との合算で、日本は3%を越えるものとなります。
しかし優先項目の中であげられている太陽光発電の拡大、雇用対策など、すでに対策が打たれたものと被る部分も多く、実際にバラマキ懸念が付きまといます。3つのT、ターゲティング、タイムリー、テンポラリーだそうですが、その当たり前のことがこれまでは出来ずにいます。
その間、この一年で33兆円の国債発行、この追加の10兆円の財源は示されていませんが、国債で賄うようだと43兆円、しかも財源不足に陥ることが確実なので、50兆円の国債がばら撒かれる可能性すらある。日本の財政を考える時、極めて憂慮すべき事態に近付いている、といえるのでしょう。


問題は金額ではなく内容。以前からの指摘ですが、優先項目で挙げられた内容に見るべき点がない以上、今回も期待薄の状況です。諸外国で信用状況が好転し、一部株式も上昇して支持率もアップしていますし、WBC優勝も国民のムードを良くしたでしょう。ただ政治の世界で麻生政権に功績がないことに何ら変わりなく、公務員改革では危険とも見られる領域に足を踏み込んでいます。
現在の支持率上昇は、むしろ麻生氏に早めの解散に踏み切らせたい、そうした国民の意図が透けて見えるように感じます。都議選やサミット、そうした政治的都合で総選挙を先延ばしされれば、国民不在は一層強まります。この支持率上昇、解散期待もあるのかもしれません。

更に、二階経産相の西松問題でも、年度切替りで検察が動き難い状況であるのと同時に、政治的タイミングを計っている気配があります。秘書の逮捕、経産相辞任、新経産相就任と補正予算を打ち出して解散。閣僚の不祥事を覆い隠すには、このシナリオがベストといえます。漆間氏の発言で与党議員に人身御供が必要になったとはいえ、与党内に筋書きはすでに描けたのでしょう。
ただ不透明要因は、麻生氏のサミットへの拘りです。与党内でサミット勇退論が強まることになれば、麻生氏も決断するでしょうが、逆にそれがなければ8、9月まで解散はありません。政権支持率が20%台後半、これを解散にタイムリーととらえるか、テンポラリーととらえるか、それらも麻生政権のターゲティングにかかっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年04月05日

北朝鮮のミサイル発射

北朝鮮がミサイルを発射しました。一段目は日本海、二段目、三段目は切り離されたのか、定かではありませんが、太平洋へと落下した模様で、日本への直接の被害はありませんでした。
事前に発射期間を指定していたので、撃つことにサプライズはなく、米国の日曜深夜に撃つ、という選択肢は低かったようです。あくまで国威発揚、休日に合わせた国民の祭典としての発射、という見方が妥当なのでしょう。後に金ジョンイル氏だけでなく、噂される後継者の功績として刻むことになる、晴れがましい発射との認識で北朝鮮も動いていたようです。

側面的に考えると、幾つかの問題も考えられます。北朝鮮は中国の改革・開放路線を真似る形で開城工業地帯など、韓国との経済交流を強めつつありました。しかし今回、労働者の移動を禁止したり、思想上の問題で開城工業地帯で働く韓国人労働者を拘束したりしており、また先の金剛山観光での銃撃など、路線転換を打ち出さざるを得ない事態に追い込まれています。
北朝鮮は途上国並の経済環境と、政治的、思想的抑圧が強いために投資資金が集まり難いのです。そのため兵器技術の輸出で外貨稼ぎ、という話が出てきますが、北朝鮮の技術では命中精度が悪いのです。欧米の中長距離ミサイルは映像解析装置を搭載し、ピンポイント爆撃に利用していますが、北朝鮮の技術はそこまで達していません。仮に技術輸出をしても、核を搭載していない、命中精度の悪いミサイルでは、威嚇の効果も低くなります。長距離射程があろうと、反米勢力向けの技術輸出のビジネスとして、今回の発射がそれほど価値のある行動とは思えません。

北朝鮮としては、米国との対等外交の中で、支援を引き出したいという思惑が強いと見た方が良いのでしょう。投資拡大も無理、技術輸出もリスクが高く、かつ儲けとしても頼りない部分がある。特にイランが北の技術を取り入れたのだとしても、短、中距離ミサイル実験を繰り返して開発精度も上がっていくことから、益々その傾向は強まっていきます。米国と外交交渉を行い、日韓を対話の場に引きずり出して支援を受ける、そうした意図の行動と見るのが正しいのでしょうね。
日本は昨日の失敗もあり、今日は緊張感をもって発射に対応できました。ただ昨日は人的ミスが大きな要素であり、うかと喜べぬ状況です。戦争が起ころうと、起こるまいと、情報戦は日常の戦闘行為です。むしろ守勢を強いられる自衛隊だからこそ、情報戦の敗北は初動の遅さ、致命的打撃を被ってしまうことになります。戦わずに勝つことを望むなら、情報の大切さをキチンと理解し、行動することが日本には求められているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:07|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2009年04月04日

経済の話、4月に入った相場の動き

ミサイル発射の誤報、恐らく短期的に感度を上げたため、対応し切れない一部のシステムがヘリや小型機の機影を誤確認したのでは?と考えています。システムに依存し、異例な状況での訓練を怠っていた、抜本的な問題なのでしょう。敏感な時期のミスは、致命的な欠陥として映るので、国際的に日本の防衛網に疑問符がついたことは、大いに反省すべきところなのでしょう。
北朝鮮が今日撃たなかったのは、ある程度予想できました。国民の祭典にしたければ日曜の明日、米国を意識すれば日曜の深夜、つまり月曜日が予想されます。4日〜8日としているので、2、3日目の発射を想定する方が、対外的な圧力という面でもより有利に働くと考えるでしょうね。

世界の株式市場が上昇しています。信用の環境が若干改善していること、欧米で公的資金の支給規模が拡大し、金融機関がジャブジャブになる中で投資先を模索中、というところです。国債が安全資産、株式はリスク資産、と定義されたのは昔であり、現在のリスク資産はCP、社債、証券化商品などの格付けの低いものです。一方でインフレリスクと暴落懸念を孕む国債の価値低下と、PBRなどの歯止め要因がある株式の価値向上が安全資産との評価を高めます。金融商品の拡大により、価値の見え易い資産への投資魅力が高まっているために、世界でも株を見直す流れが出来ています。
昨日のコメントにも記載しましたが、米系金融機関の楽観リポートと、場中1万枚近い先物買いの手口で日本の相場は再び上昇基調です。時価会計の見直しで米金融機関も一息つき、高いところでは自己資本比率が2%近く回復するのでは?とも見られます。それが投資余力を増し、MBSや米国債買入れを始めたFRBの施策により、資金繰りにもかなりの余裕が生まれています。

逆にジャブジャブ過ぎる資金の使い道が、金融機関にも求められている。一方でリスクがとれる環境ではない。なぜならストレステストや、公的管理が強まる中で、自己資本の改善は絶対の命題だからです。金融機関が公的資金返済の流れを強めるのも、資金超過のこの状況と、公的管理からの脱却を目指す当然の過程にあります。金融機関が恐ろしいのは、厳しい査定に基づく不良債権の切り離しと、それに伴う自己資本比率の低下に基づく海外投資などの運用が出来なくなることです。
米国のこの状況が、楽観ムードを創出しています。安全資産としての国債、株への投資とリターン。懸念される不況時の株高、バブル的状況です。この楽観がいつまで続くかは、米国で基調転換するまで、と考えるのが良いのでしょう。期間でいうと難しいですが、不良資産買取り機構が立ち上がり、不毛な行動との批判が出始めると、楽観の巻き戻しもあるかもしれません。
ただ09年度業績見通しも、現状年後半からの回復を見込んでも低い水準であり、現状の株価は高過ぎる面もあります。9000円台後半は仕掛け的に上げられても、業績見通しに左右されることに違いはありません。特に米経済に時価会計基準の見直しなど、不透明要因が付きまとう中で、どの程度上値が追えるかは、どの程度こうした不透明さによる余分な資金を証券市場につぎ込めるのか、で決まるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年04月03日

G20が閉幕

明日から北朝鮮が指定した発射期間に入ります。衛星とする北朝鮮の主張、発射後の状況で世界がそれに同調し、日本が孤立する点が懸念されます。米国が太平洋を越えるミサイルの開発に懸念、と述べてみたところで、今の北朝鮮の兵器開発では米国も発射前に撃つことは確認できます。
米国が本気なら、潜水艦搭載の長距離弾道ミサイルなどで、ピンポイントで敵基地を破壊します。ただ今回の米国は静観の姿勢を崩しておらず、中露の離反を避けるためにも、突出した行動は避けるはずです。日本に被害が生じることを許してはいけませんが、発射後の戦略は相当厳しく練らないと、北朝鮮以外の国際関係にも、相当目配せが必要になるのかもしれませんね。

G20が閉幕しました。2010年末までに5兆$の財政出動、IMFによる新興国支援、ヘッジファンド、格付け会社、タックスヘイブンなどへの規制、監視も含むなど、多岐にわたる内容で合意が図られました。ただ財政出動に各国の義務はなく、規制や監視も具体的な各国の取り組みに温度差も出ることから、効果としては努力目標としての趣も強く、やや望みは薄いものです。
ただその中で評価できるのは、IMFの資金拠出に新興国の一部を引き込めたこと、及びそれによる途上国支援を決めたことです。東欧、アジア、アフリカなどの途上国が破綻し、治安が悪化すれば世界の不安定要因として残ります。最大の資金拠出国、米国の動向次第の面はありますが、条件面で米国の合意が取り付けられるようなら、途上国は一息つけることになるでしょう。

ただ昨日、米財務会計基準審議会(FASB)が、米金融機関の時価会計基準を見直しています。これは今年1-3月期の業績から適用され、金融機関が抱える不良資産の査定を、秩序だった取引に基づくものとし、金融機関独自の例外的な手法で行っても良い、とするものです。これにより米金融機関の資産、業績に不透明感が強まり、民間資金は金融機関に集まり難くなるでしょう。
ただすでに公的資金返済に動き始めたように、金融機関規制に急ぐ米政府に対し、金融機関も反発し始めています。当然ストレステスト、不良資産買取りを前にしたものですが、思惑の違いが結果的に対策の効果を薄めそうです。米金融機関に漂う不透明感、今後の米国の課題となるでしょう。

今回のG20、仲良く各国は手を結びましたが、各国の溝、世界合意と国内の動きとの乖離、などが如実に示されました。後生大事にこの合意を国内で通用させようとする日本のような国にとって、極めて難しい対応が今後出てくるでしょう。笑顔の裏で、周到に各国の利害が絡む中で、幼稚な日本外交がどこまで通用するかが、問われることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年04月02日

G20、補正予算の際の麻生氏の発言

G20が開催されて英紙において、独国を非難した内容が波紋を呼んでいます。麻生氏は相手を悪し様にいう悪い癖があり、先の『株屋』発言なども同様、反発や怒りを買います。もし仮に、独国で日本製品の不買運動などが起これば、日本は困った事態に陥るでしょう。

昨日の記事に絡めていえば、サービス業が拡大した米英は経済が好況でなければ非常に苦しくなります。そのため国が財政出動し、バブルを生み出しても好況を演出しようとします。しかし製造業の強い国は、社会保障さえ確保しておけば一定程度の消費が期待できるため、無理に財政を痛めて景気刺激する必要はありません。独仏の対応は国の構造から見ても正しいものです。
日本は米国の阿諛追従が目立ち、景気対策の規模ばかりを誇りますが、幾ら景気刺激をしても内需が活性化しない国の首相が、大きな顔で他国を非難はできません。経済対策は規模ではなく内容です、国が千兆円に近い借金を負っても、失われた10年という長期の低迷を強いられたのは、日本の明確な失敗を意味しています。海外の評価も日本の景気対策は失敗と認識されており、麻生氏が自慢げであればあるほど、海外からの評価もがた落ちすることになるでしょうね。

補正予算に絡み、麻生氏が解散を示唆したことで与野党が揺れています。麻生氏にとって、野党より与党内への牽制という面が大きいと思われます。7月サミットを越すと、麻生氏に勇退を迫る勢力が息を吹き返します。支持率回復といっても、20%台では選挙も戦い難いからです。
与党にとって怖いのは、解散と同時に小沢氏が勇退し、民主党の新党首との対決になることです。小泉郵政解散も、事前予想が覆されたように、選挙序盤の刺客作戦でメディアが与党に集中したことが、選挙戦にも大きく影響しました。新党首の新鮮さが前面にアピールされると、与党にとって選挙戦は極めて厳しくなります。更に、辞任大臣の選挙戦、という特集も予想されますから、過去の悪いニュースが蒸し返され、与党にとって今度の選挙は益々厳しくなります。

今回のG20でも麻生氏は最格下扱いです。国際慣例ですから、就任期間の少ない首相では致し方ありませんが、何より国民の支持の低い首相では国際公約にも力がありません。大事なことは、気に入らない相手をあげつらい、非難することではなく、相手から信頼されるために、どんな行動をとれるのか?ということです。残念ながら麻生氏にそれはありません。
麻生氏の最大の問題は、官僚主導の政治手法を踏襲する、古い政治体質を引きずっていることです。そして官僚への甘い態度が目立つ、行政改革に消極的な点にあるのでしょう。このままでは、サミット前の解散で駆け引きするより前に、大事な矜持を疑われることになるのでしょうね。

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2009年04月01日

日銀短観が悪化、G20など

3月日銀短観が発表されました。大企業製造業でDIが-58と、指数も前回からの落ち込み幅も過去最悪です。大企業非製造業は-31と小さいですが、一部小売などに良い企業業績が出ているように、輸入で安価な製品を売買する企業には追い風になった面もあるのでしょう。6月、大企業製造業の見通しで-51が示され、1-3月が底との判断も聞かれますが、雇用と設備に過剰感が強まった点でいうと、4-6月期も厳しい数字が出てくることは、ある程度織り込んでおいた方が良いのでしょう。
先行きに改善が見られるのも、一部で年央辺りに底打ち、年末初めから改善傾向という期待もあるからです。その期待を覆す指標はありませんが、期待に沿う内容である可能性も、依然として低いままです。特に経済政策に目ぼしい点がない以上、短期間の改善は望み薄でもあります。

明日からG20が開催されます。保護主義への懸念などが表明される予定ですが、米FRBでは、ターム物資産担保証券貸出制度(TALF)の利用に、外国人雇用の制限を示しています。バイ・アメリカン条項も同様、米国ではすでに保護主義的政策を幾つか打ち出しており、表向きの世界合意が得られた内容と、米国内法との間に乖離も見られる状況となっています。
更に、他国でも一部出稼ぎ労働者の帰国助成が行われるなど、どの国も過剰感のある労働力を削減するため、外国人労働者の追い出しにかかっており、国内の不満を外に逸らすことに躍起です。雇用の保護主義は今後の経済、世界を考える上で2つの問題を示唆しています。

1つは生産本位制からの転向です。先進国が安価な労働力を失う、ということは輸出競争力をなくし、外貨獲得を縮減させます。すでに消費本位制に移った米国は、金融という虚構のシステムで資産を拡大させ、不足分を穴埋めしてきました。産業よりもサービス業、外貨獲得手段が生産よりも投資へ、という流れです。しかし欧州で加速する流れは単に生産本位制を縮小しているのみです。
もう1つは新興国の外貨獲得手段であった労働力の輸出、という道が閉ざされたことです。先進国で蒸発した消費のため、生産本位である新興国は打撃を受けています。更に出稼ぎ労働者の戻りで、国内で労働力がダブつくと、治安悪化が深刻化します。英国ではG20を前にデモが頻発していますが、あれはまだ平和的であり、金融機関を悪とするだけで国家に批判の矛先は向いていません。

しかし新興国はサービス業が発展しておらず、経済不安はダイレクトに政府に向かいます。理解する素振りをしながら、先進国が保護主義にひた走るのも、自国の利という以上に、小競り合いが小国同士の戦争に発展してもらった方が良いとの判断もあるのでしょう。先進国は武器輸出国、この構図の中で経済回復というシナリオが今、見え隠れしているのかもしれません。
日本はこの世界構造とは少し異質で、生産本位制でありながら、サービス業も発展しています。それが成立していたのは高い貿易黒字があったからですが、ここが崩れたため、GDPを始めとする経済指標が一斉に悪化したのです。構造転換できるかどうかで、脱却の速度も変わるのでしょう。経済対策は速度も大事ですが、それ以上に内容も問われます。米経済も同様に、速度が早いと浮かれるより前に、内容をキチンと精査し、不況からの脱却タイミングを見極めねばならないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:11|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般