2009年05月

2009年05月31日

幸福実現党について

先週、宗教法人「幸福の科学」が政治団体「幸福実現党」を立ち上げ、次期衆院選に候補者を擁立する方向を発表しました。既存宗教の幾つかは、興味の対象として調べたことはありますが、残念ながら幸福の科学の教義や内容は知りません。ただ概念論として、この動きが衆院選にどのような影響を与えるかを考えてみます。
幸福の科学は信者数などが非公表ですが、出版物の購入などを通じ、信者を獲得してきた経緯があります。実際難しいのは政教分離の原則、宗教的教義と政治的決断の狭間にどう調整つくかですが、有権者から見てこの違いは極めて分かり難い。むしろメディアも警戒し、幸福実現党から発表される広報的な内容は報道を手控えるため、更に伝わり難くなります。政治への宗教の関与を嫌う国民性からも、多くの支持は集まらないと見た方が無難でもあるのでしょう。

ただ重要なことは、衆院選全300区、比例代表ブロックに候補者を擁立することです。しかも著名人が候補者に何人か含まれることから、浮動票は確実に食われることになります。今は与野党共に、確実に集票マシーンとなれる固定票が少ない中、浮動票が流れることには警戒もあります。
小選挙区制ですから、選挙区では大きな流れになり難くとも、比例は異なります。比例名簿の当落ライン、その読み方が与野党ともに難しくなります。しかもその中で、仮に数名でも幸福実現党が議席を得、更に過半数を確保する政党がないと、多数派工作に利用されることになり、一定の力をもつ可能性もあります。ただ出版物等で主張はされているとはいえ、政策が不透明な政党との連立はかなり強引な手法であり、マニフェスト次第では異端児扱いもあり得るのでしょう。

現状、総選挙は8月後半、真夏の選挙戦が予想されています。ただ自民党は先延ばししたい意向が強く滲み始めたので、10月も現実味を帯びてきました。ただ準備の遅れた政党が、先延ばしにより力を得、支持を伸ばし始めると厄介な面も生じます。どちらの意味でも、この幸福実現党は些か不透明要因との認識も、永田町では出てくることになるのでしょうね。
民主党は年金や発言のブレで麻生政権を追い詰め、このまま選挙戦というシナリオが濃厚です。自民は麻生政権を覆して新党首、という芽は薄いですが、まだ党を割る可能性は残っています。渡辺新党への合流、平沼新党への合流、これで衆院第一党の座は譲っても、連立して与党に留まる可能性はまだ残されていると見ています。麻生政権の不人気が鮮明になれば、益々そうした傾向が出てくるでしょう。
衆院で単独過半数、自民、民主がそのシナリオを描けなければ、政界は当面混乱する可能性があります。その中で出てきた不透明要因、幸福実現党の動き次第では、若干難しい局面も想定しておいた方が良いのかもしれませんね。

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2009年05月30日

経済の話。米住宅市場関連など

今週は米国の住宅市場を見る上で重要な指標が相次ぎました。まず先週発表の4月住宅着工件数が45万8千戸と前月比12.8%減、許可件数では3.3%減の49万4千戸。いずれも低い水準です。27日発表の4月米中古住宅販売は前月比2.9%増、ただし価格中央値が前年同月比で15.4%下落し、販価の低い低所得者用住宅、もしくは差し押さえ物件に投資としての買いが集まった印象です。
28日発表の4月新築住宅販売件数は35.2万件と市場予想を下回り、また1-3月の住宅ローン延滞率が前期7.88%から、9.12%へ増加しています。以上から窺えるのは、住宅市場の回復に基づく景気回復シナリオは崩れた、ということです。元々、投機的性格を帯びた投資案件が、住宅価格を押し上げていた側面があり、この点の回復は4月にもまだ効果として現れていないことになります。

資源価格が再び上昇の気配を示しています。金融はジャブジャブ、それでいて企業の資金繰り対策に資する範囲に、金融機関は資金を回しません。これはバブル崩壊後の日本の例に酷似しており、資金を海外に逃避させ、実体経済を上向かせるための対内投資は減少傾向になります。
国内は低成長、このためより高い成長を享受できる国、相場に投資する。金融機関に資金を回しても資金は国内に向かわない、というのがバブル後の日本が得た唯一の教訓です。しかし世界にこれを正しく伝えていないため、未だに世界はこの方向で進んでいます。これが現行の世界の状況です。
新興国、資源価格、上昇幅の大きなところは、こうした資金の流入先となっているがためであり、逆に云えばそこにバブルを生み出し、先進国も成長を享受しようとしていることになります。日本が低金利で円キャリーを生み出し、先進国もまた低金利を続けてバブル化し、日本が05年からの2年程度甘い汁が吸えたように、世界も同様の方向で歩みを続けていることになります。

この問題を解消するには、複数年かかるでしょう。バブルをやめてしまえば全て収束しますが、そうなれば経済は一気に悪化します。最近、出口戦略論も盛んですが、経済が順調に回復軌道に乗らない中で、出口を探らなければならないところに、この問題の難しさがあるのです。
現在、資本不足が企業破綻に繋がる、そうした懸念から企業の資金繰り対策が進むと、それを好感する動きが主流です。しかし通常の経済環境とは逆のことが起きている、そのことがまた現在の異常さを示しているのです。5月はファンド勢が買いでとる、との強い意志を示して29日は9500円乗せを達成しましたが、楽観せずこの動きに付き合うという程度で、今は十分なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2009年05月29日

麻生政権のブレについて

平成21年度補正予算が参院で否決、両院協議会後の衆院優先で成立しました。この補正予算は基金として複数年予算としているため、補正予算内に国債利払い費が含まれます。つまり積み上げられた資金を国債として運用しつつ、その都度換金して使用に充てることが決まっているのです。うがった見方をすると、この補正予算は国債増発懸念に対する、短期的な受け皿と見ることもでき、景気浮揚効果より財務官僚が調整した予算との印象が色濃く滲みます。
完全失業率が5%となり、4月消費支出も前年同月比で1.3%減です。これは政策効果で、高速道路定額サービスによる影響や、エコポイント制導入前の買い控えも含まれますが、個人所得も大幅減で支出は中々増えません。問題は消費を喚起する雇用、賃金に対する目配りですが、補正予算は総花的であり、重点配分ではないために効果も出難い点が懸念として残ります。楽観論も拡がりますが、この補正予算効果を高く見積もり過ぎない方が良いのでしょうね。

永田町では厚労省分割に対する、ブレ批判があります。どうやら麻生氏個人というより、麻生政権内の調整不足による、目玉政策作りの失敗という印象を受けます。根回し不足、不支持率の高さが招く党内求心力の欠如、こうしたものが小泉的手法に待ったがかかる原因です。
つまりトップダウン方式が麻生政権では通用しない、ということです。党首力の欠如を自民党が内外に明示しているのですから、問題は深刻です。逆に見ると、それほど党内の利権構造にメスを入れることが難しく、族議員の動きを抑止できないということになるのでしょう。

しかしこの問題のブレより、深刻なのが北朝鮮の核実験に対する日本の情報管理に対する発言のブレです。事前に米国から情報を受けていたのかどうか?当初は情報はなかったとしながら、後に受けていたと訂正しています。これは冷静になり、情報を精査したところ受けていたことを確認したというより、日米安全保障に関する不手際を指摘されることを恐れ、発言を転換したと考えられるものです。
仮に情報を得ていたとして、事は核実験ですから、公開せずの方針には疑問があります。一方で情報を得ていないのに、得ていたと主張するのは安全保障上の問題で隠蔽する体質、情報を捏造する可能性を想起させるものです。どちらの場合にしろ、これは当初の情報ナシの姿勢を貫く方が、よほど良かったともいえます。こうしたブレの結果、国民に対して不透明感を増してしまうことが、党首力以上に統制力のなさを認識させることになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年05月28日

GMとサイケン

米国GMの債務削減交渉が不調に終わり、破綻の2文字が近付いています。クライスラー破綻で見えた、全米自動車労組(UAW)に手厚く、債権者には手厳しい。この手の交渉が短期でまとまるはずがありません。しかも小口債権者が多く、GMは交渉という形でなく受け付る形で待ち、の姿勢を保ったので、債権者から債務削減に合意する内容の申し込みもほとんどなかったようです。
これは重大な問題です。つまり仮に連邦破産法11条を申請しても、小口債権者とこれから本格的な交渉に至ることになれば、いつ債務に整理がつくのか、目処が立ちません。債務整理に半年以上かかれば再スタートに支障が生じ、その間に起きる連鎖倒産により部品調達などに、重大な懸念となります。なぜ2ヶ月を空費したかは、大企業体質、受身の経営で、積極的に小口債権者に説明を果たして債務削減交渉をして来なかった、企業に染み付いた抜本的な問題でもあるのでしょう。

米国では10年債利回りが3.7%を越えてきました。これは住宅ローン、自動車ローンなど、米国の消費に影響する問題となります。背景には米国債の格下げ懸念もありますが、ここ最近の流れは不況時の株高を演出するため、商品投資顧問(CTA)が株先買のリスクヘッジとして、債先売を出すことによって起きています。つまり商品相場、株式相場と債券相場が逆相関になっているのです。
しかし米住宅ローンは5%未満、すでに影響ある範囲に来ています。そのためこの取引をしても、株は上昇余地をなくしており、これが昨今の米国株安、債券安の流れとして現れています。一方で日本も10年債利回りが1.5%を越えました。日本の債券相場は国内の年金基金やゆうちょ銀などが強く、債先売を出しても相場が比較的落ち着いているため、株先買の出易い環境になっており、月末ドレッシングを巻き込んで、これが意外高と呼ばれる相場の底堅さを演出しています。

しかしリスク資産への配分を増やした、といってもこの脆弱な経済環境下で、債券利回りの上昇は消費マインドを冷やします。むしろ自動車産業の行く末も、債券利回りの動向に大きく左右されるとも云えるのです。GM再建資金に500億$を準備する米国では、TARPの残り資金のカウントダウンが再び始まり、米国債増発懸念との両睨みの状況となっていくのでしょう。
米国ではコンファレンスボードの消費者信頼感指数が、予想外の大幅上昇となり、消費が戻るとの見通しが強まっています。各国でも景況感が改善、経済は底を打ったかに見えます。しかし坂道を下っている際、急坂の勾配が突然緩くなると、実際は下がっていても上っていると錯覚することはよくあります。今が単にそうした誤解で終わらせないためには、債券安による金利という面により慎重な見方と、対策が求められていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2009年05月27日

党首討論について

党首討論が行われましたが、やや鳩山氏有利と見ています。これは西松献金事件を取り上げた際、麻生氏が「違反」と述べたためでもあります。麻生氏が未だに誤解しているのは、逮捕・起訴・公判の段階では違反と断定することはできず、あくまで疑惑の段階に留まります。判決が出て、初めて違反したかどうかが結するのであり、立法府にいる者がこの程度の一般常識のなさを、党首討論の場でさらけ出してしまったことがマイナスの査定になります。

今朝の新聞には驚かされました。それは紙面の一頁を使い、自民党が広告を出していたからです。内容は鳩山民主党党首に問う形で、民主党の財源論、公務員制度改革などについての公開質問状でしたが、やや違和感もあります。まず財源として、先に補正予算を組んだ段階で、与党は赤字国債発行が主であり、財源について責任ある説明をしたとの認識が背景にあると考えます。
しかし財務省とのすり合わせもない野党が、財源を示そうとすれば、赤字国債か増税しか財源はありません。歳入枠が限られる中、新たな政策、対策を打ち出すためには歳出の組み換えしかなく、これは財務省との調整が必要な話です。問うべきは財源の根拠ではなく、財務省と鍔迫り合いをしてでも、自らが提唱する政策に予算を配分させるのか?その覚悟であるべきです。

今日の党首討論でもかみ合わないのは、野党の答えられる範囲を越えると、理念論に陥ることです。一方で、与党には実績という結果を伴いますし、政策実現力があるので、質問に答えられないと不完全燃焼に見えます。特にアニメの殿堂議論など、ハコモノ批判に対して、それを造る必然性と費用対効果について、明確に示せないと補正予算の妥当性全体に疑義を生じます。
自民党の広告で見える選挙戦略は、説明責任という言葉に代表される、小沢批判を民主党批判にすり替えようということです。しかし本来、説明責任という言葉は責任を生じる側にあるのであり、政策面では特に、政権与党に強くその責任が生じていることは言うまでもありません。

質問の多かった麻生氏、党首討論を野党の欠点を浮き彫りにする場としたかった、そうした印象も受けます。しかし野党へ問い掛けるより先に、与党が自らの実績を誇れない時点で、すでにマイナスなのです。どうして何十年にも亘り、与党の座にありながら誇るべき実績を積めなかったのか?その反省がなければ、選挙戦略以前に国民の心に訴えかけるものは何もないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(4)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年05月26日

年金に関する厚労省試算について

北朝鮮の核実験、今日も短距離ミサイルを撃つなど、以前北朝鮮の強気の態度は崩れていません。大きな問題は、日本が事前に情報を掴めなかったことです。米国も情報をもたらさず、日本政府も寝耳に水、これは敵基地攻撃を論じる以前の段階で、日本の防衛に重大な懸念となります。
これは日本の情報管理に疑義があったため、米国が情報伝達を怠った場合が最悪のシナリオです。少なくとも数十分前には米国に伝わっていたとされ、韓国もある程度動きを掴んでいたとされるので、近隣国で日本のみが蚊帳の外、との印象です。情報管理体制の強化と、米軍との情報の共有化という点は、日本でも急務の課題ともなってくるのでしょうね。

厚労省が厚生年金受給の試算を発表しました。40年平均的な収入を得ていた夫婦世帯で、専業主婦のいる家庭のみが2050年でも65歳で現役時賃金50%を確保され、それ以外の条件では軒並み50%割れとなります。共働きや単身者は現行でも50%割れしているものもあり、2025年では特殊な状況以外ほぼ50%を維持するのは難しい状況となります。
更に前提に給与水準の向上、4%以上の運用利回りがあり、年金制度はすでに公約と著しい乖離を生じている状態です。しかもマクロ経済スライドの導入で、現在年金を受け取っている人も、徐々に目減りする試算になります。ということは、物価上昇分を受取額が吸収できない状況となり、生活はますます困窮する形になります。

現在の環境下で、このような試算を出せば与党には瑕です。しかし厚労省がこれを出してきた背景は、与野党のマニフェストの中に年金制度改正、消費税を目的税化して年金財源を確保しよう、との思惑が透けて見えます。仮に政権交代があっても、厚労省が得をする方向での動きです。
更に与党が打ち出した厚労省分割案に対する抵抗、という面もあるのでしょう。04年に年金改正を行い、5年後の見直しが定められていたとはいえ、発表のタイミングをずらすことは出来たはずです。縦割り行政を改めるため、一省が多くの分野を内包することになった、その結果一省が抱える財源が肥大化し、官僚にとって有利な面も出てきました。それを統括する大臣の業務が煩雑になるから、との理由で今度は分断してしまうと、霞ヶ関利権という面ではマイナスです。

しかし厚労省の動きがどうであれ、年金制度が破綻していることは明らかです。しかもこの報告を受け、働くのが馬鹿らしくなり、就労をやめる主婦が増えれば経済にも打撃です。更に子供世代が年金を受給できる頃には、生活が困窮する程度しか受給できないとなれば、尚更不信感は強まるでしょう。年金制度は抜本改正が必要、これが選挙でも焦点化していくのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 行政 | アジア

2009年05月25日

北朝鮮が2度目の核実験

北朝鮮が2度目の核実験を行い、合わせて3発の短距離ミサイルを発射しました。六カ国協議離脱、核実験の実施を表明してから、慌しい動きとなっています。長距離ミサイルの発射から50日後、米国のメモリアルデイに合わせたこのタイミングは、規定路線ともいえるものだったのでしょう。
今回の動き、恐らく米韓に対するアピールと見られます。核実験は米国に対する揺さぶり。短距離ミサイルは開城工業地帯での待遇改善など、太陽政策を転換した韓国向けのアピール、という面が滲みます。交渉や支援の欲しいところを、ピンポイントで狙ってきたことからも、北朝鮮は戦略性をもっていると考えるべきです。ただ若干、北朝鮮の思惑外のことも起こりそうな気配です。

韓国のノ前大統領の自殺も、今回の件に連動していたのでしょう。暗殺とまでは考えませんが、北朝鮮支援を続けた結果、核実験やミサイル開発に利用されていた。これがノ氏への評価を下げます。事前に情報が入ったことで、ノ氏がジリ貧を覚悟した可能性が高いと考えます。
北朝鮮が弔意を述べたことで、核実験という強行路線との整合がないとの意見もありますが、結果的にイ政権に対して太陽政策への回帰を促している、と見ると両者の間に一貫性を見ることもできます。核実験のような、大掛かりな作戦を軍部のみで実施できるとは思えず、また成功との観測もあるように、かなり研究費をかけた一大プロジェクトとして実施されたと推測できます。

しかし米オバマ政権は核軍縮を打ち出した直後であり、泥を塗られた形になります。弱気を嫌う米国にとり、路線転換を促されて素直に従うわけにはいきません。また中国も事前通告を受けていた、とは推察されますが、世界世論を気にして声明発表が遅れました。両者の最大の懸念は、経済が不透明な中で一致協力して事に当たっている時、それに横槍を入れられることです。
話し合い路線を打ち出しながら、北朝鮮戦略を明示していないオバマ政権。イラクの出口戦略を探る中、アフガンに注力したい。そこに今回の問題ですから、新たな戦略も必要となります。米国は財政負担の拡大に耐え切れない、北朝鮮もそれを見越しているはずですが、この問題で困るのは中国も同様です。米国債大量放出で暴落、となることが債券保有国の懸念でもあるのです。

今回は人工衛星と言い張る長距離ミサイルと異なり、明確な安保理決議違反に当たります。強い決議がとれる可能性も高く、かつてのイラクやイランのように、輸出入制限に世界が同意すれば、この問題は解決に向けて動く可能性があります。ただ北朝鮮もここまでは想定の範囲内でしょうから、その後の動きが大事になってくるのでしょうね。

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2009年05月24日

雑感、メディアの態度について

さいたま市長選、民主党が支援する清水氏が当選しました。多選批判と健康不安のある現職、与党は票が割れた面もあり、必ずしも民主への追い風とはならない部分があります。昨今の地方選の場合、出遅れや票田固めに失敗すると、それがそのまま結果にはね返ります。事前の、地道な地固めが選挙戦における風向きの変化より、重要視されていることになります。

最近、ある傾向を見つけました。大連立構想に会長が関与したことで知られるメディアの、政治欄の見出しで特徴的なものを並べてみます。『気遣い麻生さん…「盟友」を訪問』『小沢代表代行…裏方も実権そのまま』『鳩山民主、「開かれた党」へ立ちはだかる黒い目隠し扉』。傾向とは、このメディアが与党支持を鮮明に打ち出していることが、見出しからも明らかだということです。
批判はしません。海外ではもっと露骨に支持政党を打ち出し、バックアップする国もあります。イタリアではメディア王が首相であり、この点は更に強調されています。ただ日本ではこれまで、反政権の立場が目立っており、政権寄りの態度はメディアの疑惑追及という視点、公平性の立場からも敬遠されてきたフシがあります。麻生首相を『気遣い』と持ち上げ、『黒い目隠し』と野党を貶める、小沢氏の献金問題からの継続性もあり、今回は態度を鮮明にしたといえるのでしょう。

ただ日本ではメディアが偏向すると、それを鵜呑みにしてしまう国民が多くいることが問題です。これは反政権の立場でも同様、記事に熱くなり、批判するのではなくそうしたフィルタが掛かっている、ということを理解しておく必要があります。実際、上記3件の中身は他の一般紙と大差ある内容ではなく、特に最後の記事の締め括りなど、首を傾げる内容であることは言うまでもありません。
メディアの態度が、世論を醸成する一助になるこの国は、祭好きで浮かれ易い面も影響しているのでしょう。新型インフルエンザの報道を見る限り、弱毒性であるとの見解がある程度固まった段階で、季節性インフルエンザとの相違を明確にし、態度を一にすることで、無用な混乱は避けられたはずです。昨今ではマスクの是非論も盛んらしいですが、薬局やコンビニからマスクが消えるなど、日本の対応は海外からも物笑いの種になりつつあるようです。

総選挙も近付き、メディアも今以上に自身の態度に気を配ることでしょう。郵政解散以降、メディアの報道姿勢をも選挙戦術として組み入れる、そうした傾向も強まっています。どちらの態度をとるか?政権との距離感も含め、今後もこうした傾向は強まっていくのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 政治

2009年05月23日

韓国のノ・ムヒョン前大統領が自殺

韓国のノ・ムヒョン前大統領が自殺しました。身内の金銭疑惑を追及され、悩んだ末の自殺とされています。韓国の大統領の末路は、悲劇に終わることが多く、常態化といっても良いぐらいです。韓国は氏族を中心として、出身地域による縁故が強く、裏を返せば癒着が起こり易い社会を継承しています。国民の体質や風土を変えない、もしくは変わらないまま、大統領制という強い権限をもつ専制政治の体制を導入したことから、こうして政権交代期に混乱を生じます。
政治は王権と異なり、禅譲がありません。それは選挙により、国民から選ばれるので当然ですが、大統領選に勝利することは、その後で前政権の権威を落として自らの基盤強化を図る必要があります。古代における王権交代期では、前政権の追放以外に歴史や記録の捏造、なども起こっています。前政権が悪であり、現政権が善、その評価を確固たるものとするため、現代の韓国では疑惑や事件を追及することが行われるようになっているのです。

しかしノ前大統領の自殺により、一部では現政権の行き過ぎた捜査に批判も集まっているようです。ただ、遺書と見られる簡易メモからは、身の潔白を信じさせる内容はなく、むしろ孤独と疲労が滲む内容となっています。本当に疑惑に相当するものがあったのかどうか?それでこの事件を判断しないと、感情論に流されるだけでは見誤る部分も出てくるのでしょう。
実際に疑惑の部分を判断する術はありませんが、ただ現イ・ミョンバク政権もクリーンなイメージはないので、現政権が退陣後に同じ状況を蒸し返される可能性もあります。最大の問題は、韓国の民族性に起因する部分もあるので、政治制度を変えるか政治と血縁、地縁を完全に分離する策をとる以外、韓国はこの手の問題を解決する術はないのかもしれません。悲しいことですが、『しがらみ』が強い社会は、それを呪縛と感じるとただの重しにしかならないのかもしれませんね。

話は変わりますが、日本では島サミットが開催されています。太平洋諸島の各国と、島国日本が協力や交流を進める場です。北海道アイランダーズ宣言も出され、今後3年間で500億円規模の太陽光発電や、海水淡水化支援。人材育成などで協力を約束しています。
こうしたものは進めるべきですが、ただ日本で行うことには違和感があります。つまり支援する側がされる側を招くと、呼びつけた形になってしまいます。有用な宣言なのですから、こうしたものは危機を実感する場で行うのが、世界の慣例でもあります。日本の環境関連企業支援の側面もありますが、沈む島を前に宣言を行う、そういう形が良かったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 一般

2009年05月22日

日本郵政を巡る混乱

日本郵政グループの3月期決算が出てきました。売上高19兆9617億円、純利益4227億円です。グループ内では金融2社が肥大化したアンバランスな事業構成の中で、郵貯銀が2千億円強、かんぽ生命が400億円弱の純利益しかなく、両者合わせて5千億の評価損計上が響いた形となっています。
しかし細かくみると、厳しい指摘も出来ます。かんぽの宿売却問題で明らかになったように、グループ全体としては今、資産を切り売りしている段階です。赤字事業のため簿価が低い、といってもそれ以上の価格で売却すれば、簿価との差額を特益として計上できます。しかしすでに指摘があるように、簿価ベースで算出した価格から上乗せは少なく、資産切売り効果は低くなっています。

郵政の問題では、鳩山総務相と西川社長の衝突もあります。これは本質論から逸れ、総務省と財界が綱引きを始めた印象も拭えません。財界は政治からの要請で送り出した、先の村瀬社保庁長官の時のように、政争の具としてつるし上げを喰らうことを警戒する向きもあります。
総務省は旧郵政省出身の現副社長を後任にしたい意向が見え隠れします。しかし大事なことは、西川氏であろうと後任であろうと、郵政経営者としての手腕が問われねばなりません。西川氏は経営という面で心許ない印象です。かんぽの宿売却や、カードローン事業の提携業者選定にまつわる部分まで、必ずしも経営手腕を評価できるものはありません。
一方で郵政省出身者となれば、従来の膿出しが進められるか?という不安も拭えません。結論として、功名心に逸る能力とやる気を備えた人物をどう据えるかであって、利益誘導型や旧来型の経営者ではなく、新たな郵政のスタートにどのような人物を選ぶのか?です。それには例えば、不正や疑惑の追及などを行う元記者やコメンテーターを経営陣に含める手もあるでしょう。

そして最大の問題は、ゆうちょ銀行の残高が4兆2千億円減少と発表されたことです。ゆうちょ銀は現行でもその8割を国債で運用することから、日本国債の最大の買い手となっています。巨大な貯蓄残高を抱えていたので、分散化が民営化方針の一つだったとはいえ、個人向け国債もふるわない中で新たな買い手発掘が必要となってきます。
郵政の問題は、麻生氏が小泉改革の見直しの過程で郵政見直しを示し、その後批判を浴びて撤回した経緯があります。その辺りから自民党内の混乱と、その中で総務省官僚が漁夫の利を得んとする動きに翻弄され、今は郵政民営化が正しかったのかどうかすら不透明な状況に至っています。
永田町と霞ヶ関の魑魅魍魎は、先の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の問題でも示されました。宇宙利用を民間や防衛に資する事業として内閣府に移管しようとしたところ、文教族議員と文科省の抵抗に遭い頓挫しました。厚労省の分割も出てきましたが、JAXAの問題を見る限り、この手の混乱の再燃が懸念され、あまり効果的な話し合いはこの国では出来ないのかもしれませんね。

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2009年05月21日

雑感、裁判員制度がスタート

裁判員制度がスタートしました。実際は今後発生する重大事件に対し、裁判員を導入するかどうかが決められますので、実質的には7月半ば以降の裁判から実施されます。FNN・産経の世論調査の数字を引用しますが、参加したくない45.8%、義務なので参加37.2%が多くなっていますが、日本人的傾向である面倒なことはしたくないが、仕方なくとのスタンスが目立っています。
正しい判断をする自信がない43%、人を裁くことに抵抗26%、参加に前向きでない理由もありますが、両者をまとめると『不安』という言葉に帰結します。参加することで見方が変わる、との意見もありますが、最近判決が下された2つの事件で少し考えてみます。

1つは福岡高裁で危険運転致死傷罪が認められ、懲役20年が言い渡された事件です。1審は飲酒ではなく脇見として、業務上過失致死傷と道交法違反による懲役7年6ヶ月が下されました。両者はともに飲酒を認めており、約12秒の脇見を認定するかの判断の差で、判決が大きく食い違っています。
つまり両者の差は裁判官の『主観』です。事件性や悪質性はともに認めながら、立証不可能な車内の状況を、裁判官が主観によって判断したために量刑に12年以上の開きを生じました。車を運転していれば、例え直線道路でも12秒も脇見をすることはほぼ不可能、それが一般の判断ですが、そう認定すれば量刑を低く抑えることも可能になることをこの事件は示しています。

そしてもう1つは和歌山県の毒入りカレー事件です。1、2審で死刑判決が出て今年4月に最高裁が上告を棄却、判決訂正申し立ても棄却され死刑が確定しました。事件から11年、動機と、鍋に混入された砒素と、鍋に近付いていたという目撃証言に焦点が当たった事件ですが、当初から個人的にこの事件における警察のシナリオには違和感を憶えていました。しかし仮に裁判員になったとしても、そこは考慮の範疇に入らず、あくまで起訴事由と弁護側の主張との相違、罪状認定が可能かどうかであり、それに基づく量刑判断が求められることになります。
裁判は正義の場ではありません。検察の描いたシナリオと証拠、その反証である弁護士の意見を忖度し、判断することです。事件のシナリオ全体を覆したり、新たな証拠の提出を求めたりも一部では可能ですが、そんなことをすれば裁判が長期化され、拘束も長くなるため中々踏み込めるものではありません。あくまで検察、弁護側の双方の意見の調整という意味合いが強くなります。

裁判員制度は米国の司法制度を真似たものですが、司法取引がなかったり、精神鑑定が重視されたりなどと、日本の裁判は長期化し易い傾向があります。過程を重視する国民性も、結論を重視する欧米の思考と異なる部分でもあります。恐らくこうした違いから当面は混乱するはずですが、今後日本人の考えとどう整合をとるか、見直しが大事になってくるのでしょう。
国民目線を取り入れるだけであれば、審査会や検証委員会のみに一般の国民を導入しても良かったはずです。そうではなくいきなり裁判という場に導入する、この思い切りが成功するかどうかは、検察、弁護士が一体となって国民目線を裁判に取り入れていく、そうした柔軟な取り組みが必要となってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 司法

2009年05月20日

1-3月期GDPは戦後最悪へ

日本の1-3月期GDP速報値が発表され、実質で年率15.2%減となり戦後最悪を記録しました。予想平均の16%減より良いものの、昨年の10-12月期の確報値が12.1%減から14.4%減に見直され、全体でみると予想通りの印象です。民間予想で4-6月期に+1.1%を見込んでおり、市場では悪材料出尽くしのムードも漂いますが、内容を見るとそれほど楽観できるものではありません。
今回大きいのが輸出の落ち込みで前期比-26%、それが4-6月期に+1.9%に改善する見込みです。基準は下がりましたが、海外の消費動向は中国が好調であるものの欧米などに改善の兆しはなく、自動車購入助成制度も全体の消費押し上げに寄与していない、との分析が出されています。また内需の個人消費が-1.1%から+0.3%に改善、としていますが、これは景気対策効果を織り込むものの、事前の買い控えや選別消費の影響を考えると、全体のパイを押し上げるものではありません。

今回の景気循環で読み違えてはいけないのは、通常の景気後退期は需要後退、設備投資の縮小などで経済活動が停滞。それに伴い企業倒産が増加、雇用と所得が圧迫されて更に消費が減少、金融機関は不良資産を蓄えるというフェーズになります。しかし今回の景気後退期は、突然金融機関が大量の不良資産を抱え、大手銀6行が3月期決算で合計1兆円越えの赤字を計上しています。
政府は景気後退期にとるべき諸施策を前倒ししており、大手銀も今期黒字見込みを示します。しかし今後、通常の景気後退期にある企業倒産増、雇用、所得の圧迫が始まると考えれば、楽観できない状況であることが分かります。景気後退期に打つべき対策が出たので終焉ではなく、再び時をおいて同じ規模の対策を打つことで、景気回復期への回帰が成し遂げられることになるのです。

しかし国債には懸念があります。格付け会社が円建ての日本国債をAa2に1段階引き上げ、逆に外貨建てを1段階引き下げてAa2にしました。この動きの背後には、諸外国の財務状況が悪化すること、それに伴って円が強くなること、米国債を格下げできない相対的な面など、様々な事情が含まれます。しかし一番大事なことは、今後も経済対策をうち出さなければ諸外国の景気は更に悪化する懸念があり、国債増発が今後の大きな問題であること、日本にはその懸念が少ないことです。
日本の金融機関は未だに国有化懸念が出ていません。米国では不動産ローンの金利を低く抑えていますが、10年物国債が3%を継続して越えており、付利分を考えても5%台は金融機関がかなり無理をした数字です。中小銀行に倒産ラッシュとの報道もありますが、通常の景気後退期が今から始まると、金融機関は更に不良債権をため、破綻する可能性がかなり高くなるのです。

しかし邦銀とて楽観は出来ません。8000億円の増資を発表したみずほも、増資分を含めても米国基準の中核自己資本比率で計算すると、2%を越えません。4%を基準とした米ストレステストを適用すれば、更なる増資が必要との計算になります。株式持合いと同様、資本構成には今後、注目が集まることになるのでしょう。
証券市場は一度買いに傾くと継続性のある欧州系が活発で、底堅い印象です。ムードが変わっても、それを拒否するだけのボリュームが掛かっていますが、売り方の買い戻し、債先売/株先買の流れなどあり、予断を許さない状況です。GDPに明確な底打ちの感触が抱けなかった以上、欧州系のこのボリュームの継続がどの程度かで、今後の流れは決まることになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年05月19日

雑感、郵便料金制度の悪用について

日本漢字能力検定協会の全理事長親子が逮捕されました。財団法人として公益性に資する業務を行い、収益を還元するのが本来の姿であるにも関わらず、親族企業へ利益を付け替えていた、漢検協会に対する背任の疑いです。しかしこれは公益性の高い漢字検定に、高額の検定料を払って受講させた、一般の受検者に対する詐欺と考えても良いものでもあります。
つまり、漢検協会は収益性を求めない組織であり、損失以外の被害想定は低いことになります。しかし安くて済むはずの検定料が高額になり、受検者が4500円の価値しかないものに5000円支払わされた、となれば一人一人は小さくても高額の損失となります。不特定多数の詐欺は立証が難しいですが、一番の被害者は誰か?という視点でこの事件は見た方が良いのでしょう。

日本郵政では障害者団体向け郵便料金割引制度の、不正取得の問題があります。民主党国会議員や、自民党都区議の関与も指摘されますが、それ以上に郵便事業の幹部が、安易に承認を与えていたということで担当者が逮捕されています。被害者は本来受け取るべき郵便料金を、割安にさせられた日本郵政グループ、得をしたのは申請をして不正使用した企業となります。
ただこの問題で透けて見えるのは、局員の事勿れ主義です。うるさ型の人間が詰め寄ってくると、それを拒絶し続けることができない。医療費の不正受給などの問題も同様ですが、行政機関は収支全体、収益を上げることが給与に影響しないため、甘い査定になりがちです。

しかし今回のように、不正を見逃した人間が逮捕される、となればチェックする眼も変わってくるでしょう。行政機関ではありませんが、郵政がその第一歩となり、行政機関も同様に、犯罪要件の一つに国の財政に対する損失を含めるべきなのです。そうすれば所員の遊興費や飲食費に資金を回すことでさえ、犯罪として立件できる可能性が高まることになるのです。
実際に犯罪かどうか、その判断はむずかしいですが、逮捕される恐れがあれば抑止が働きます。その効果が大きいのでしょう。例えば社保庁職員が年金機構に移る際、28人が不採用になる見込みです。しかし年金行政全体に損害を与えた、未払いや記録廃棄の問題を含め、これを悪質とすれば、犯罪要件は確実にもっと増えることになります。
大事なことは、ミスではなく怠慢や悪意で職務遂行上、国家に不利益を与えた行為はきちんと処分することです。それが職員の質の向上、ひいてはやる気に繋がります。不正をする者を助ける社会ではなく、厳しく監視する社会であることが、全ての面で必要なことなのですからね。

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2009年05月18日

5月17日の各社の世論調査

新型インフルエンザが拡大しています。GWから10日、2次感染の拡大として最も警戒されるタイミングだったことは間違いありません。そしてこれは、政府が発熱に絞って水際対策を進めた時から予測された結果でもあります。水際対策に抜けがあることは分かった、今後の強毒性、感染力の強いウィルスと向き合うための指針作りは、今後も含めて早めに進めるべきなのでしょう。
日本は握手や抱擁がないので、接触感染の危険は低いですが、満員電車や人が集まる場所、行列を作る国民性からも飛沫感染には弱い部分があります。またカードよりも現金を重視する傾向から、何気ない接触も多いものです。銀行や小売に影響が出ていますが、製造業も同様に影響が出ます。人、物、金が動く社会は、ウィルスも動く社会であるので、心配な面が増えましたね。

各社が世論調査の結果を出しています。鳩山氏への支持が高かく、結論を先に言えば政権交代はほぼ確実になったと云えるのでしょう。与党からはご祝儀との声も聞こえますが、野党は政策面のマイナス効果が低く、この支持率は高止まり傾向になると想像できます。特に麻生政権で高かった高速道路定額制の評価が、GWを過ぎて低下したことも、民主党にとって追い風になります。
GWで高速道が大渋滞を引き起こしたのも、使用率が高かったばかりでなく、土日祝日に割引が限定され、前後に休暇をとって渋滞回避をする、個人で行っていた分散効果が働かなかったためでもあります。経済対策で制限をつければ負の効果が出る。補正予算のエコポイントも同様ですが、限られた予算で効果を出そうと制限をつける、この手法を仮に『自民党システム』と称します。

エコであれば画面サイズは低い方が消費電力は低い。高速道路もレジャー喚起が目的であり、平日の通勤にまで使われては困る。この制限が結果的に使い難い制度となっています。そして国民にとって利便性の高い経済対策と同時に、道路建設などの国民ウケの悪い施策を盛り込む、不要なもの、条件もセットでつけられ、国民は否応なく受容しなければいけないことになっています。
これまでの政策、経済対策はこうしたセット販売が主流でした。しかしこの手法では財政出動の肥大化、という最大の問題を内包します。条件に制限をつけるエコポイントや高速道路定額制も、制度の複雑さによりコスト増という問題を含みます。この自民党システムでは、すでに日本の財政は耐え切れない状況であり、これらも反自民の動きとして世論調査に反映されているのでしょう。

経済循環を見ると、8月辺りは再び悪化の状況も想定されます。15兆円規模の対策効果もありますが、仮に諸外国の環境がここで一旦落ち着く、とすると半年続いた急落相場、そこからの反動上昇が2ヶ月で終了したことになります。これが弱気相場継続と意識されると、3、4ヶ月は弱い状況も想像できます。政権の支持率には経済環境も大きく影響します。人間は先に行けば良くなる、希望的観測も含めてそう思いがちですが、夏はインフルエンザの問題にしろ、様々な難しい問題が日本を襲うことになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年05月17日

3月期の業績発表ピーク日を過ぎて

15日は3月期決算企業の発表のピーク日でした。売り上げ高は概ね前期比8%減、経常利益は66%減、赤字転落した企業も3割強と、前期の業績転落振りが浮き彫りになっています。今期業績回復見通しの企業も多いですが、問題は想定以上に深刻と見ておいた方が良いでしょう。
日本の産業構造から、欧米向の輸出の伸びがないと収益性が上がりません。米国の4月小売売上高は、イースターの影響があったにも関わらず0.4%減、小幅プラス予想を覆しました。また欧州域内の1-3月期GDPが前期比2.5%減、年率にすると2桁マイナスとなります。欧米各国に回復の兆しは見えず、産業全体の収益性の回復は、まだしばらく先になります。

今回の業績発表で深刻なのが機械設備の減損処理です。工場の操業停止に陥り、停止した設備の価値が下落したとして減損処理をする、これを多くのメーカーが損失として計上しています。新興国効果で一部操業が回復していますが、一時的に拡大した世界需要に対応するため、積極的に設備投資を進めた結果、企業は過剰設備の状況に陥っています。これが元の通りに回復する見込みはなく、設備の過剰感は在庫の積み上がりよりも深刻な状況です。
その行方を探る3月機械受注が発表され、前月比1.3%減、4-6月期は前期比5.0%減の見通しです。減少のテンポが緩やか、との判断も示されましたが、反転なのか、底這いなのかで今後の見方は大きく別れます。現状、反転の兆しは各国政府の財政出動後の世界景気の読み方次第であり、その点は経済アナリストの間も、二極化の状態にあると言えるでしょう。

市場は景気回復を織り込んでいます。その動きを一部察知し、ベア相場でも堅調な推移を見せたマネージド・フューチャーズ型の投資スタイルの内、順張りの投資プログラムが復帰、原油や株式先物などに資金が流れ込みました。先物相場は市場ボリュームが減少し、板に厚い枚数を貼り付ける形の取引が復活し、4月後半からの上昇は海外からのこうした投資が主導した面があります。
しかしこの投資スタイルは、市場安定が前提です。継続した先高期待、先安観測が走るときは上手くいきますが、先週月曜日から市場の模様は変わりました。円高、金融関連銘柄の上値も抑えられ、上昇に歯止めがかかった形です。一部先高期待をもつ層が、今回は一時的な調整ですぐ上昇波動に戻る、としています。アイランドリバーサルを否定するための、やや強引な買いが15日には走りましたが、これらもそうした思惑が働いた所以でもあるのでしょう。

しかし上記に示した如く、マクロ指標には完全に底打ちしたという明確なサインはありません。大きく下がったものが緩やかになることは当然起こります。しかしそれが反転するかどうか、それはまだ誰も見極めていないのです。今はまだ短期の波動に一喜一憂する段階であり、景気回復を織り込むのは先で十分、ということでもあるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年05月16日

民主党代表に鳩山氏

民主党代表選が開催されました。鳩山由起夫幹事長124票、岡田克也副代表95票、鳩山氏が6年半ぶりに代表復帰です。短期決戦のため世論が醸成されない、反映されない、などの批判もありますが、約1週間メディアをジャックできたことは、民主党側にとって大きかったのでしょう。
ただ民主党にとって、小沢色を残すことは出直し、リスタートを宣する上ではマイナスです。小沢色を薄める手法としては、選対本部長につけて目前の選挙に向けて全力投球をさせ、小沢氏を党運営から一時的に外す、などが考えられます。鳩山氏が小沢氏に近いことは国民も周知なので、仮に小沢氏を重役に登用する場合、国民の不信感に小沢氏がどう答えるかによっては、国民の支持も集まり難いことが予想されます。

鳩山氏の代表選公約を考えてみます。友愛を掲げ、医療費・教育費の引き上げ。月額26000円の子供手当て。高校無料化。雇用保険強化。ガソリン暫定税率廃止と高速道路無料化。従来の民主党の主張ですが、これらは財源手当てが必要です。それを埋める一助が衆院比例定数80削減、国会議員の政治資金の継承に制限、行政刷新会議によるムダ抽出、などがあります。
世襲制限として同一選挙区から3親等以内の出馬禁止もあります。一方、政治資金が継承できることでカバンも後継候補に引き継げる、これは相続ではないため、現行法制上何の規制もなく行え、新たな世襲議員の優位性として持ち上がった問題です。現状はどのような手当てか判明していませんし、政治資金の扱いは難しいですが、何割かを国庫に収めるとすれば財政に寄与するでしょう。ただし、そんな規定を作れば引退前の資金移動が活発となるでしょうが…。

予算編成を政治主導、首相による機動的な省庁再編、などは首を傾げる提案です。前者はどの段階で政治が編成に携わるかもありますが、財務官僚との軋轢や、政治家が地元への利益誘導に動かないとも限らず、力点の置き方を間違えると不興を買いかねません。チェックは政治が行うことが望ましいですが、編成を主導すると、弊害の方が目立つことになるでしょう。
後者は省庁再編などを行えば、雑多の事務費の計上が嵩みます。各省庁の文書管理、事務連絡、果ては名刺に至るまで省庁再編にかかる準備、実施に伴う混乱に多大な影響が出る中では、容易に再編などをするべきではありません。政治がリーダーシップをとりたい事情は理解できますが、継続性を考えて20年ぐらい維持できる体制を造ることが必要だということです。

総花的との意見もありますが、年金問題や行政改革など、自民党が踏み込めない点を盛り込んだことは一定の評価もできます。外交や防衛面での発言が少なく、現状は国内政治向け、総選挙向けとの印象もあります。それらも含め、マニフェストにどう盛り込むか?という点が明確になるとハッキリしてくるのでしょう。鳩山氏は次期首相の可能性もある代表です。党首討論などを行い、その中で与野党が主張を戦わすことが、今後重要となってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年05月15日

全農林労働組合と中央職業能力開発協会

エコポイント制度が始まりました。ポイント還元が8月から、選挙に合わせた感が否めません。恐らく定額給付金のように、郵送したのに届いてない、添付資料漏れや記載ミスで確認作業に忙殺、詐欺的行為に対する警戒、それらで運用に多額の費用がかかることでしょう。更に証明書を失くした、本人証明をもらっていない等、混乱することが容易に想像できる制度になります。
売る側も大変ですが、更に商品券では政府発行の擬似通貨ですから、一時的なインフレ誘導政策であり、今度はそれを使用する場合の詐欺的行為にも警戒が必要です。確かに還元策なので、国民に利点もありますが、使い難い制度であっては何の意味もありません。制度全体を俯瞰すれば、これは必ずしもエコではないのですから、おかしな縛り、変則的な還元策を用いない方が、よほどスッキリした制度になるはずなのですが、こうした点も選挙目当ての部分なのでしょうね。

全農林労働組合で、幹部が労働金庫などの役員を兼任し、報酬を受領していたことが明らかになりました。公務員法では許可なく兼職や報酬を得ることを禁じており、法に抵触する形です。本来、国家公務員法82条二で、職務を怠った場合は懲戒、と定めているので、勤務時間に組合活動をすることは懲戒に当たります。今回は103条や104条の問題ですが、極めて悪質なものです。
また厚生労働省所管の中央職業能力開発協会に、会計検査院が入り、飲食費やコンパニオン費まで、会議費として処理する不正が発覚しています。法人格であり、国から補助金や事業委託費が投入されており、しかも補正予算で7000億円の基金設立が決められた、雇用促進のための協会でもあります。しかも慶弔費や目的外の支出まで発覚し、全体の使途にも不透明感が漂う始末です。

上記二件は、公費を得る側の倫理観を問うものです。法律で禁止されている行為と知りつつ、兼職や報酬を得ていた。業務外の支出にまで補助金を使い、職員が便宜を受けていた。これは言い逃れのできない不正であり、両者とも処分があって然るべき事例でもあります。
しかしこれまで、幾度もこうした問題の発覚がありましたが、ほとんど訓戒程度の軽い処分であり、降格や協会であれば代表交代など、そうした方向にはなりません。公務員を分限免職できる、とされていますが、抜けずの刀を振りかざすこともなく、問題をまるでなかったことのように収めてしまいます。しかし例え損害が軽微とはいえ、小さな事例を見逃せば大きな事件を招くことは、犯罪行為の助長という意味でも常々語られることでもあります。
処分を厳格化すれば士気を落とす、という人もいますが、悪事を処分すればそれを疎ましく思っていた、正しいことをしようとしていた人間のやる気を喚起します。景気対策の後の大増税が待つ今、少しでも財政負担を軽くするためにも、こうした件を軽々に扱ってはいけない、ということでもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:10|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 行政 | 社会

2009年05月14日

米ドルの動きについて

ハッブル宇宙望遠鏡の補修が行われようとしています。1990年4月に打ち上げられてから19年、主鏡の磨き精度の誤差、温度変化による震動など、2000億円をかけた壮大なプロジェクトが一時失敗と批判されました。ただその後、映像解析技術の向上などで鮮明な画像を得ることに成功、多くの成果を地球に伝えてきています。
ただ初期の制御装置の故障など、部品の補修やすでに耐用年数を越えてきているものもあり、補修で延命できても残り数年の命です。その間に次期計画が立ち上がるのか?今の経済環境や、巨費を投じた国家プロジェクトの難しさを見るとき、危惧する部分も出てきてしまうのでしょうね。

そんな米国経済を揺るがすドル安が進行中です。米国債の格下げ懸念が伝えられましたが、先にメキシコが見通しをネガティブに変更されており、これは将来の格下げ懸念を誘発するものです。メキシコの投資適格級は低いですが、米国はメキシコと人的、物的交流が盛んです。仮にメキシコがジャンク債級の扱いを受け、ペソが安くなると米国も影響を受けます。
米国は最上位の格付けですが、財務省が公表した高齢者医療保険が2017年に、年金が2037年に破綻の見通しを示し、更に財政赤字の拡大が続いています。特にFRBのバランスシートが拡大し、低位の債権まで抱え込む現状は、財政上の不透明感を強くしています。米国債の格下げは、自動的にポジションを落とさざるを得ないファンドや、日本を初めとする国外の債権保有者にも影響を与え、世界は一時的にパニック症状を引き起こしかねません。

世界は3月から楽観を織り込み、市場が安定したことで僅かな金利差を狙った円キャリーの動きも一部出ていましたが、今はそれを吐き出す方向になっています。ただ3月から散見される米国債の入札不調は、為替市場にもいずれ大きな影響をもつことになります。オバマ氏が高額所得者の優遇税制の見直しを、一部示唆していますが、先の医療保険、年金等も合わせ、米財政収支の行方は今後の世界経済の復調とも密接に関わる問題となるでしょう。
米国債、ドル、いずれの問題にしろ、今はまだトライアルな段階です。タダこの動きを看過すると危険です。金融機関が政府保証債のつかない資金調達ができたと市場で話題になっていますが、高いスプレッドを支払う資金調達方法が正しい選択肢なのか?公的資金返済のためとはいえ、厳しい状況であることに、何の代わりもありません。ここに再び不透明感が出る、米メディアではストレステストに疑問がつけられており、これらも米経済にとってマイナス面が出てくるのでしょう。

問題は米国債、米ドルを買う価値があるかどうかです。日本の民主党議員がドル建て米国債は買わないと発言したそうですが、手法は正しくとも、米国がそれを受領できるかは不透明です。米国はこれまで、自国通貨安を暗黙のうちに是認する方向にありました。つまり自国通貨の価値を高める努力を怠ってきたのであり、その結果自浄能力をなくしたドルの方向性は、安値をとり易くなっているのです。誰がドルを支えるのか?貧乏くじのようですが、その視点で世界が議論せねばならない状況が、いずれ来るのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2009年05月13日

民主党代表選について考える

補正予算が衆院を通過しました。延長含みの国会ですが、7月まで会期延長が現実味を帯びそうです。また鴻池官房副長官が辞任しました。女性問題でエラー2、しかも公費で支給される交通費を使ったので、言い逃れもできないでしょう。宇野元首相も女性問題で引責しましたが、英雄色を好むでは現状の政治家は通用しません。特に不倫では有権者もついていけないのでしょうね。

民主党の代表選が岡田氏、鳩山氏の一騎打ちとなりそうです。非小沢、親小沢との構図が描かれていますが、次期政権が小沢色を強く残すと、民主党の政権交代も一回先送りされるでしょう。小沢氏は草の根、と呼ばれる地道で不断の努力を強いる選挙活動を通じ、浮動票以外の取り込みに成功しています。しかし次期選挙は、浮動票が大きなカギを握ると見て間違いありません。政権交代の期待と盛り上がりは、この浮動票を得るかどうかが重要であり、特に代表選を議員の投票に絞ってサポーターの声が届かない以上、今後の投票行動にも影響が出てくることは必至となります。
クリーンさ、融和、どちらの旗頭にしろ、国民の中でこれだけ高まった反小沢の流れを無視すれば民主党は失速するはずです。永田町の論理に染まっている、そんな声が高まれば当然、古い自民党体質を揶揄された小沢問題を引きずります。新党首は誰がなっても小沢氏より評価が高くなりますが、国民目線を考える時、党内活動ばかりに躍起になると後の総選挙で痛い目を見るのでしょう。

そして民主党の党内事情以上に、メディアと検察の動きが注目されます。メディアは一斉に院政と書き立て、危険とのニュアンスを含ませました。実は小沢氏が党代表を辞し、フリーハンドでメディア、検察を攻撃できる状態の方が、小沢叩きを演じてきた側にとって恐怖を抱かせます。党代表の座にあれば国会対策や外交に忙殺されますが、一国会議員として、直接本人が事実調査に乗り出す、抑えの効かない豪腕の方がよほど性質が悪いのです。
検察は国策捜査との批判を避けるため、与党議員に手を伸ばす可能性があります。政治資金規正法の一般性を冒したので、立件するかどうかは、検察のさじ加減一つで決められます。根の深い小沢氏の不信感と、真っ向から対決し続けるかどうか、検察も判断を迫られます。メディアも検察の情報をそのまま流し、反小沢に手を貸した形になったので、危機感もあります。代表のときは抑え気味だった豪腕が、復活した感のある行動も目立ち始めています。力を残したままの代表辞任となれば、こちらも小沢氏との距離感に悩むことになるでしょう。

非小沢、親小沢、反小沢、どれも小沢氏を中心に据え、その関係性を探るものです。しかし幾ら稀有な政治家といえど、主義、主張に対してどういう態度をとるのかが、本来の政治としての立場でもあります。この視点を間違え、そこに対立軸をおくと可笑しな議論になり、何を為すべきかが見えなくなっていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年05月12日

中国経済への不安

露プーチン首相と麻生首相の会談が行われました。覚書も交わされましたが、領土問題に関して日本はロシアにボールがあると云い、ロシアは相互の信頼醸成が必要、と述べます。これではとても解決は無理で、ロシアに対して『協力』という名の技術移管、支援という手法に踊らされそうです。ロシア経済が回復すれば、サハリン2のような突然の政府介入、条件の変更が行われることは間違いなく、ウラン採掘権を得られるなどと呑気に構えていると危険なのでしょうね。

四川大地震から1年が経ちました。OECDでも中国の景気は回復基調にある、そう認められましたが、今日一つの経済指標が発表されました。4月輸出が前年比22.6%減、輸入が23%減となり、貿易黒字は続いていますが、景気回復を織り込むには拙い数字です。一方、1-4月期都市部固定資産投資は前年比30.5%増となりました。つまりこれは、新規融資が兆円規模で伸びを見せた結果、国内向け投資が加速され、外需の落ち込みをカバーしたことにより回復を醸し出していることになります。
また農村部への中国製家電の購入助成が功を奏し、新規需要を創出、都市部では国内需要が工場の操業を活発化させ、これが国内のムードを回復させている部分もあります。日本も中国向け輸出で在庫が減少し、一部楽観ムードも漂いますが、輸入減の数字を見ても分かる通り、中国の需要はそれほど回復していないので、投資効果がな無ければ日本製品を買う富裕層の需要も落ち込みます。

中国への不安は上記に含まれます。震災復興として特別融資5000億元近い額を投じたと伝わりますが、観光都市を目指して個人に豪奢な住宅を建設させ、一方で雇用が確保されず、返済の目処がつかない状態にあること。またこれだけ急速に投資が拡大すれば、再び経済悪化が起きるとその多くが不良債権化し、金融機関が大打撃を受けること。即ち投資バブル終焉後の状況が難しいことなどがあげられます。投資に失敗した個人、企業が負債を抱えたまま路傍に放置される、そうした懸念も、今後の中国経済には付きまとっていることになります。
4兆元(55兆円)規模の経済対策の次に、何が起こるかは予想しておかねばなりません。今年一杯は景気対策を打ち出す、と温首相は述べていますが、難しい舵取りは続くでしょう。経済規模に見合う金額でないだけに、外需の落ち込みが続けばいずれ禁断の手法に出そうであることは、中国、ロシアとも同じような状況であるのでしょうね。

日本市場にふれると、週末を通過して熱が冷めたことで、米金融株が悪材料を素直に織り込む形も出てきました。形振り構わず金融株を上昇させ、相場を引っ張る流れに一服感も出ています。TOPIXの買い板に厚い枚数を張り付け、金融株をドンドン買い上げる、そうした手法も見られましたが、こうした強引な手法が出るときは頭打ち感の強いときでもあります。ここから新たな循環物色が出ないようであれば、一旦は上昇傾向に歯止めが掛かることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2009年05月11日

小沢氏が民主党代表を辞任へ

小沢民主党代表が辞任を表明しました。余裕すらある会見には、幾つかの複線もあります。小沢氏は健康面に不安があり、首相の座は元々無理と見ています。仮に小沢氏が首相になって、野党が追い込みたければ委員会に連日引っ張り出せば良いのです。すぐにギブアップ、休憩、欠席などが起こり、集中審議などの強行日程が組めなくなり、政権運営に行き詰まります。
院政を布きたい小沢氏は選対か、党執行部が最も望むべきポジションです。党内に目配せする必要からも、外交や国対に忙殺される首相より、党の重鎮が良いと考えるはずです。離党や議員辞職などの質問もあったようですが、これまでの主張からもそれはないでしょう。

幾つかのメディアの世論調査を見ると、面白い傾向もあります。政党支持では一部民主が自民より高いものもあり、民主党の党勢は然程落ちていません。一方で麻生内閣の支持は30%に乗せるものもあり、麻生、小沢で首相に相応しい人物を聞くと、ダブルスコアで麻生氏に軍配が上がります。
党勢と党首への支持が合致していない。これで考えられる理由は一つ、麻生政権への支持は小沢批判票を取り込んだものであり、与党の政策への評価は高くないということです。実際、麻生政権への支持の理由として高いのが自公政権の首相だから、との理由が主流となっています。一方で不支持の理由は、政策面や人柄へのものが多く、底流では麻生氏に対する不満が渦巻いている状況も窺えます。反小沢票の動きが止まると、麻生政権への支持率も読み難くなるでしょう。

タイミング的には13日党首討論、その後の補正予算案の採決があり、補正予算を通すと言明する麻生政権では、早くて7月解散です。サプライズ辞任で風を起こすより、追い込まれ辞任より今、ということです。代表選も示唆しましたが、これでしばらく国民の目を民主党に向かせ、また参院審議が伸びても理由が出来たことになります。党代表選、都議選、衆院選、選挙戦術に聡い小沢氏の日程の組み方がここに見えます。
また自分の支持を落とした方が、後任に引き継ぐ点でも有利、という判断もあったのでしょう。下手に国会会期中に辞任し、国会を経ると新代表の査定が低くなる可能性もある。新代表就任後、即選挙という形を昨年の自民党、麻生政権誕生時に描いていたはずですが、それがそっくりそのまま民主党に移った形になります。ナゼこの時期?ではなく、辞任するならこの時期が最良なのでしょう。

これだけ小沢氏への不支持が高いので、次期代表は誰がなっても就任効果が出ます。麻生VS小沢の構図で選挙戦、それが与党にとって望ましい形であり、今回の動きによる痛みは与党の方が大きくなります。党首討論を逃げたという意見もありますが、麻生氏が下手に責めると誣告罪の可能性があり、そうした機微を踏まえた討論が可能かどうか?それが今回の焦点と見ていましたので、痛み別けの部分も有りそうです。
今後の与党の動きも活発になるでしょう。小沢氏の秘書の公判開始を早め、敵失をアピールすることも有り得ます。ただ今回の一連の動き、小沢氏は党内の調査も先延ばしし、党首討論をセットすることで補正予算の採決日程を限定させた、その上の辞任を読み切れなかった点も、与党にとっては痛いところでしょう。与党がこれを上回るサプライズを出すのは、容易ではないのでしょうね。

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2009年05月10日

臓器移植法改正について考える

先月、国会で突然盛り上がった臓器移植法案について考えてみます。国際移植学会が臓器移植を自国内で完結するよう求め、世界保健機構(WHO)が新指針を表明、5月にも採決の見通しでしたが、新型インフルエンザ関連の問題で1年先送り、日本も喫緊の課題ではなくなりました。
しかし臓器移植法に関して、日本では諸外国との違いが鮮明であり、特に若年層では臓器移植が認められていないことから、海外渡航が主流にあります。日本は映画『おくりびと』を見ても分かる通り、死出の旅路をキレイに送り出す、という思想があります。輪廻転生が死生観の根底にありながら、散り際の形式に拘る点が、日本人の死生観の特徴とも言えるのでしょう。

臓器を提供してもそうですが、司法解剖をされても、死に化粧などの送りはほぼ不可能となります。身体にメスを入れることは、中々一般には受け入れられない、というのが現状でしょう。ただ問題は、法案という制度設計の過程で、日本人のそうした死生観を取り入れ、従来通りの移植に厳しい体制を続けるのか?法案そのものは弾力化し、運用において判断を委ねるか?なのだと考えます。
現状A、B、C、D案が出されています。この内弾力化の内容がA案、B案が現状に近く、C案は厳しめの内容で、D案は折衷案です。まず法案そのものに縛りがあると、個人の裁量が働き難い部分があります。各党も党議拘束を外す意向ですが、死生観は個人単位で千差万別、それを一様に法で縛る必要はありません。臓器移植をしたいのに出来ない、そうした善的な行動が法律で規制されることが、法律の位置付けとして正しいかどうかは、極めて問題のあるところです。

つまりこれは、国が制度として構築すべき部分は、臓器移植をスムーズに進める仕組み造りに限定することが、最も効率的なのです。そして臓器移植をしたくない、という拒否したい人の考えをそこにどう反映させるのか?つまりABCD案でも同様ですが、法律が年齢制限や死の判定に一定の基準を設けることにより、本来有用であるべき態度を規制することが問題なのです。
臓器移植法が施行されて12年、死の定義も少しずつ変わっています。しかし法で縛っているため、臓器移植自体は変化なく来ています。法律は法律で良いのですが、その下に省令や指針を定め、時代に合わせて運用することは可能です。憲法13条にも幸福追求の権利が謳われますが、臓器移植により他の人が幸福になることが自分の幸福、という権利は、その他の細則の部分で制限をかけたり、留めてはいけないのだと考えます。それが違う考えに基づく、幸福追求の形なのですから。

私も今まではあまり意識していませんでしたが、今後少し移植について前向きに考えようかと思っています。こういう意識を国民に啓蒙していくことも、運用として国は真剣に取り組んでいくべきなのでしょうね。

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2009年05月09日

21年度補正予算について

日本国内にインフルエンザの感染例が出てきました。これだけ世界各国を旅行し、観光をする国民が感染しないはずがありません。観光とは、即ち人を集めることを意味し、飛まつ感染をする感染力の強い病は防ぎようがありません。ただ今回の事例は、別のA型インフルエンザの感染例が多いことでも分かるように、他のインフルエンザと何が違うのかをはっきりさせた上で、今後を考えていく必要があります。
あくまで非常事態として異例の警戒態勢を継続するのが良いか?それとも他の季節性インフルエンザと同等として新型も対処するのか?です。弱毒性であれば、被害想定は低く見積もることができます。費用対効果、他の多くの病の致死率との兼ね合いを考える必要が出てくるのでしょう。

衆院予算委が開催されています。平成21年度補正予算の審議ですが、4兆3千億円に亘る46基金の設立が出てきています。基金は一旦資金をプールし、使途については複数年に跨ることが出来るため、即効的な景気対策とは呼べないものです。更に予算の使途について、国会審議でも詳細を詰め切れないため、結果的にムダを生み易いシステムともなっています。
また国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議)への批判もあります。整備計画9324キロ以外に当たる4区間71キロ、2兆円近い額に達する事業の着工が決まりました。民営化された道路公団への公費投入であり、小泉内閣時代の閣議決定を覆す内容です。ただ麻生氏は着工される道路の採算性の問題として、閣議決定に抵触するものではなく問題なしとの見解を示しています。

今回の補正予算では、全般に官僚の歳出要求に対して、予算枠を積上げた感が否めません。先の基金など、名目だけが積み上がった悪い例の見本で、官僚内閣制を表出した形です。国幹会議など、道路特定財源が形式上一般財源化されましたが、歳出枠を確保して従来通りの道路建設を進めるための、予算獲得の方向で国交省が動いた結果であり、議事進行自体に多くの問題を抱えます。
この補正予算の問題は、官僚や族議員の予算分捕り合戦、それ以上に規模を重視した結果、予算貼り付け合戦に終始した点です。これほどの予算規模があるなら、継続した減税の方が経済効果も高かったはずです。つまり今回の補正予算は、官僚、族議員とそれに連なる独立行政法人、財団法人、企業などに手厚い反面、末端である個人には波及的な部分の効果しかなく、搾取の多い昨今の事情を考慮すれば、内需寄与度の低い内容でしか、計画がまとめられていないことになります。

原因はここで減税を打ち出すと、数年後に予定される増税で一気に国民の負担率が高くなり、不満が大きくなることが明白だからです。定額給付金でもめ、二番煎じも通用しない、減税も難しい、よって歳出拡大という規定路線が当初から出来ていたのでしょう。結果、こうした予算が出来上がったのです。ハコモノも多く盛り込まれ、官僚の喜ぶ内容が満載された補正予算、少なくとも審議を尽くす必要があるのでしょうね。

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2009年05月08日

米ストレステストの結果について

米4月雇用統計で失業率が8.9%に悪化しました。前月比54万人が職を失い、雇用者数は今後数ヶ月減少の見込みです。ストレステストの基準となる数値が失業率8.9%であり、今回のストレステストは経済環境が更に悪化した状況ではなく、現状の環境下を追認した形となっています。そのストレステストの結果が公表され、早くも各行から増資計画も出てきました。
ストレステストの結果、19行の内10行が資本不足、約750億$の増資が求められます。額が大きいのはバンカメ339億$、これを170億$を普通株、100億$を資産・事業の売却で賄い、70億$をその他の手段で調達する見込みです。モルガンスタンレーは18億$の資本不足に対し、20億$の普通株、30億$の社債で賄い、ウェルズファーゴは137億$の資本不足の内、60億$を普通株で賄うとしています。

一部詳細が出てきたのがシティで、資本不足は55億$とされます。しかし本来の資本不足は1050億$であり、この内延期されていた525億$の優先株の転換分、及び収益見通しにより残りは担保できるとされ、最終的に55億$と算出されたようです。つまり実質的にシティは580億$の普通株への転換が求められており、この一部が公的資金であるとすれば、実質的には国有化に近い形となります。
また問題が大きかったのはGMACであり、115億$の資本不足に対し、投入された公的資金は60億$。仮に全て普通株に転換しても足りないので、別の形で調達するか、新たに公的資金の注入が必要となります。一方で資本不足ではないと指摘されたゴールドマンサックス、JPモルガンは注入された公的資金の返還を示唆する、という二極化の状況が起きつつあります。

シティの状況で分かりますが、多くの金融機関は収益環境が改善する、それが資本不足と判定されなかった要因のようです。一方で今回のストレステストでは、昨日もふれたように普通株が重視されます。バンカメ、MS、ウェルズを合計しても、11月までに250億$の普通株での調達が予定されます。優先株を転換するシティも合わせると、830億$が市場に出てくるので、調達方法や時期について分散しないと、市場はこの規模に耐え切れなくなる事情も出てくるのでしょう。
米国では30年債の入札が不調となり、10年債利回りは3.3%を越えてきました。当然、景気楽観シナリオに基づき、早期利上げを織り込む動きもありますが、幾ら見かけを取り繕おうと、一時期より投資資金の規模が縮小したことは間違いありません。今後も増える国債発行と、金融機関の増資計画が重なると、結果的に投資資金が上手く回らない傾向も顕著に見られてくるのでしょう。

そして今回のストレステストに含まれない、実質国有化されたAIGや2Fも、ストレス環境下でどの程度の資本不足に陥るか?も重視されます。金融機関は現状の楽観シナリオに基づけば、資本不足でないことは確認できました。ただ今後、景気見通しが引き下げられた時が、米国が真に試される時になっていくのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:09|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2009年05月07日

米ストレステストについて

今日の日本市場は400円以上の上昇を見せました。連休中の米市場の強含みを受け、年初来高値の更新です。短期投資の資金が動いていることが原因ですが、ファンダメンタルズを繁栄し切れない相場なので、上下動の値幅とりが強く意識されます。米国ではFRBが国債買い入れを進め、債権での資金貸し出しも進めており、金融はジャブジャブの状況です。しかし金融機関から企業への貸付は伸びておらず、これらが投資銀行分野に回されている現状の投資資金になります。

そして米国のストレステストがあります。明朝の正式発表ですが、漏れ伝わる状況で記事を書きます。まず今回重視されるのがTier1リスクベースで6%、普通株リスクベースで4%の自己資本比率です。現在、各行は普通株の発行より債権発行での資金調達が主流です。ただし、中核的自己資本と認められるのはほぼ自己普通株です。つまり多額の債権の一部を普通株に転換すれば、今回のストレステストを通過できる、健全行として認められることになります。
しかし経済見通しとして、2月に米政府が描いたのは09年0%、10年は数%の成長軌道に戻るシナリオでした。しかし1-3月期米GDPは年率-6.1%となり、すでに前提は崩れています。またシティ、バンカメなど見かけ1-3月期業績は黒字ですが、債権の利払いなどを含めると実は赤字、という金融機関もあり、前提の収益見通しがどの程度かも、結果には大きく左右することになります。

そこでバンカメ350億$、シティ100億$、という判断は甘めといわざるを得ません。しかも債権を普通株に転換すれば足りる、としていますが、クライスラー交渉を見ても債権者が転換に応じることはまずなく、かつ国が関与する米企業は債権価値を容易に歪められることが明らかになり、新たな債権発行は封じられる形となっています。恐らく財務省、FDICが求める中核的自己資本を見たすためには、巨額の普通株発行か、国が保有する優先株を転換するしかありません。どちらにしろ、株式の希薄化と株主価値の低下は、否めない事実として今後金融株を襲います。
それでも米金融株が上昇したのは、今しか上昇のタイミングがないからです。ファンドが1年間停止した解約の期間が差し迫っており、絶好の売り場を作るため、相場をただひたすら楽観に傾けて上昇させてきたのです。しかし最初に述べたように、実体経済を反映し切れない相場は単に値幅とりだけであり、今後需給が緩むことは容易に想定できます。それが明日なのか、1ヶ月後なのかの違いだけになるのでしょう。

今回のストレステスト、米政府と金融機関が揃って「私たちは健全です」というためのセレモニーでしかありません。普通株を上昇させて資本基盤を確立、そうした思惑で資金投入がされているとすれば、米国株はすぐ下落することになるでしょう。19行の内10行が資本不足、それだけの普通株が増えることを考えると、米市場がそれをすぐ消化するのはほぼ無理と考えます。今回、思惑が走り過ぎて全体の価値が見え難くなっていますが、ロングの資金はまだないことを踏まえ、日本市場を考えておくべきではあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2009年05月06日

麻生氏の欧州歴訪

ほぼGW恒例となりつつある、首相の外遊日程から麻生氏が戻ってきました。チェコ、ドイツ、EUとの会談をこなしています。この時期は日本国内での政治への関心が低いこともあり、成果を出す外交より、訪問国数を順調に増やすため、ニコニコ外交で済む国を選ぶ傾向もあります。
現状、欧州と日本の間で喫緊の課題はなく、インフルエンザ対策、経済対策、北朝鮮問題など、必ずしも事情は重なっていないため、会談内容も見栄えがしない者が並びます。オバマ政権が核削減に舵を切り、それに呼応するかのように日本が核廃絶を訴えても、話題性は何もありません。なぜなら議論をリードするだけのカードが日本にないからです。

一方で都議選日程により解散時期を左右されない、という麻生氏の言葉は、公明党主導で選挙日程が変動すると見られることを嫌ったものです。ドイツの諺に『ストーブの後ろでは誰でも英雄』というものがありますが、ストーブを背に立つと胸が反り返り、悠然としているように見えます。しかし平和な時の大人然とした姿は、必ずしもその人を表さないというほどの意味です。今の自民党の実情から見て、公明支援のない選挙戦は考えられず、無視できるはずがありません。
同じドイツの諺で『カッコウは自分の名を呼ぶ』というものがあり、自分を吹聴し、自慢する者は笑い者になる、ということを戒める言葉です。記者との懇談中、チェコスロバキアと昔の国名を名乗って恥をかいたように、外交が得意と言いながら英語力に疑問符が呈され、大事な相手の国名すら誤るようでは外交力を吹聴しても唇寒くなります。そもそも核武装に関しても、麻生氏は以前異なる主張をしていたはずであり、こうした点も不可解さを与えることになるのでしょう。

そんな中、党首討論が開催される方向です。小沢氏が拒否していましたが、党内の小沢下ろしに耐え切れず、カードを切らざるを得なくなった面もあります。ドイツの諺を少しもじって使うと『狸が死ぬと毛皮が値打ち』(一人の不幸は他者にとり蜜の味)となり、小沢氏を切って民主党支持回復が実現するかが、民主党にとっての最大の関心事となりつつある証拠です。
しかし『一番悪い車輪が、一番酷く軋む』という諺もあり、これは役に立たない人間が一番うるさい、というほどの意味です。誰がそうかはあえて言及しませんが、与野党ともにこうした傾向も見られ、政治家全体としてみると、昔のように縁の下の力持ちのような実績が評価されるより、メディアに出て発言する機会が多い人間の方が、選挙に強い面も大きいのでしょうね。

麻生氏は補正予算成立を重視、としていますが、本来この補正予算が選挙戦の最大の争点であって然るべきです。むしろ経済が落ち着き、インフルエンザの侵入もない今が一つの契機であり、タイミングとして条件が整っていると言えます。この機会を逃せば、追い込まれ解散しか手は残されていないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 欧州

2009年05月05日

経済の話。米国で戻り始めた投資資金

高速道路は大渋滞です。私は高速道路を使わず、近場の小旅行だったのですが、流れてきた車で一般道も渋滞し、結局は遅くなってしまいました。メディアも一体となってサービスエリアの名物料理特集、などを行っていることもあり、今年のGWの乗用車使用率はかなり高かったのでしょうね。この件は好影響と悪影響がありますが、新幹線乗車率があまり目立たない、今回のGWは極めて特殊な影響が出易いところでもあるのでしょうね。

日本市場が休暇の間、米市場は跳ね上がり続けています。米ストレステストの結果では、シティ、バンカメに100億$の資本不足、他にも4行程度が資本不足と伝わりますが、それでも金融株が強い状況です。つまりこの程度の資本不足であれば、TARPの残り1千億$で賄える額であり、そうした面も安心感を与えています。想定される額より低くて済む、それが公的な金融機関の査定結果として、7日に公表される見込みであることが金融株を押し上げているのです。
また住宅価格、販売件数にも下げ止まりの兆しが見え、これが米経済全体の底打ち感に繋がっています。ただ自動車販売は未だに低いままであり、まだら模様であることに違いはありません。この違いは何かといえば、耐久消費財と投機的資金の向かい易い市場の差、ということになります。

ヘッジファンド破綻も未だにありますが、それでも富裕層、高額投資家は米国内に多く存在します。今はファンドの選別が起こっており、投資家は景気の下落傾向が緩やかになったことで、先行投資を始めた結果、住宅など一部の市場に明るさが出てきたのです。しかし個人は未だにローン残高に苦しみ、また失業率などに課題も多く、出費は控える傾向にあります。
投資資金の戻り、という面は米国債10年物が3%台を越えてきたことでも分かります。債先売/株先買の流れが起き、これが米国市場を安定させています。7日までは強含み観測もありますが、年後半回復シナリオは、財政出動後の増税を織り込んでいない面があり、この点との綱引きが今後の経済シナリオの課題となっていくのでしょう。

日本市場は連休明け、すぐ5月SQです。8750〜9000円の綱引きが強く、レンジ相場を続けていましたが、先週木、金曜日の取引で買い方がかなり頑張った印象です。9000円の上をとる、という明確な意思が見え隠れしました。当然、米市場の強含みを見込んだ強気の流れですが、まだ日本に大きな資金を投入してはおらず、6月までは世界動向に合わせたレンジ相場を継続しそうな気配です。
何より国内勢の現物株売り、が警戒されており、システマチックに出てくる売りを、先物買いだけでは吸収しきれない構図があります。それを連休明け、一気に突破する思惑が成功するかは、需給面も大きいといえるのでしょう。デッドクロスを拒否して上値おい、これらの思惑相場の面が強くなっていますが、まだ本格反騰でない段階でのこの動きは、値幅とりの面も否めないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2009年05月01日

新型インフルエンザの政府対応について

今日は明日から小旅行に出かけるので、もう一つ記事を上げます。新型インフルエンザの問題で、幾つかの課題も見えてきました。これを看過していると、いざ不測の事態になったとき、困った事態が多発することになるはずです。

まず舛添厚労相の未明の会見ですが、彼のパフォーマーとしての悪い部分が出た形です。不透明な情報を中途半端に流す、危機対応として最もしてはいけないことで、更に横浜市の対応を責め、発熱外来のない開業医を訪ねたことを批判しました。しかしこれは政府の問題です。
早くは3月から感染が疑われているのですから、当然4月に警戒地域から帰国した人間は、追跡調査をしても良かったのです。しかし現実的に数が膨大で追跡は不可能。そのため混乱を避け、過去を不問にし、水際対策に政府は絞りました。発熱外来の整備の遅れもあり、4月に渡航歴があり、感染、発症が疑われる人間への対応方法を積極的に発信して来なかった。結果的に、国内で混乱を避けるためにとった行動が、こうして現れたといえるのでしょう。

一方でメディアの狂乱ぶりを見る限り、日本の発症事例一号となることを恐れ、発熱外来を忌避する傾向も出てくるかもしれません。日本に感染を拡げた責任を問われ、周囲から冷たい眼で見られることを恐れ、発熱がひどくなっても病院にも行かない、という事態も考えられます。
また発熱外来までの交通機関も必要です。国内で人→人感染が拡大すれば、渡航歴に関わらず発熱はインフルエンザが疑われます。風邪による発熱かどうか、個人に判断する術はなく、そうすると発熱外来は受診者が急増します。発熱はその他の病のシグナルである場合も多く、発熱外来でウィルス検査を重視しすぎると、そうした病の可能性を見落とす恐れすら出てくるかもしれません。
しかも大病院にしか発熱外来はなく、そこに行くための交通機関も必要です。車があっても38度の高熱があれば運転は不可能。家族もいなければ、救急車の要請ということになります。拡大すれば、救急隊員の対応も追いつかなくなり、また厳重な防護での勤務は救急隊員の負担も増します。

舛添氏の対応は先の年金舛添私案でも現れたように、調整不足のままメディアに公表する、そうした動きの一つです。今回でも、横浜市職員を呼んで事情を聞き、情報のパスを確保した上で行うことも必要だったのでしょう。結果的に魔女狩りのような、疑わしきを断罪しろという風潮でメディアが動き、私生活の一部まで情報として流されてしまいました。これが安全のため、というなら愚かだといわざるを得ません。なぜなら新型インフルエンザではなかったからです。
新型インフルエンザについても、感染力が強く弱毒性である、との認識も出来てきました。そろそろ、季節性インフルエンザとの対比の上で、今回の日本政府の対応の方向性を示しても良いのでしょう。米国は現状、あくまで季節性インフルエンザとして扱うようです。水際対策に莫大な予算を使い、侵入ゼロで乗り切るのが正しいのか、すでに侵入を許している可能性を考慮し、拡大防止と重篤化防止に主眼を置くのか、判断も迫られるのでしょう。まだウィルスの性質が完全に解明できていませんが、強毒性のウィルスを元に作られた行動計画で、継続した対応をとり続けるのが良いか、いずれ考えるべきではあるのでしょうね。

2日から4日まで休止し、5日からの再開を予定しています。良いGWをお過ごし下さいね。

analyst_zaiya777 at 23:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 健康

クライスラー破産について考える

米自動車業界ビッグ3、クライスラーが連邦破産法11条を申請し、破産しました。伊自動車メーカー、フィアットと提携して再生を模索する計画ですが、今回の事前調整型、政府関与による破産劇に強い危機感を生じています。まずオバマ氏は会見で、債務圧縮に応じなかった債権者を「投機家」と呼び、悪人に仕立て上げ、世論操縦をして政府への支持を取り付ける構えです。
確かに破産させてCDSによる保証を受けた方が得策、そう判断した債権者もおり、一概には言えませんが、企業の継続性に関する交渉は経営者・債権者が行います。しかし一連の流れを見ると、米政府の考え方の変遷や新会社へ移行するにしろ、様々な問題を孕むことが分かります。

昨年12月、ブッシュ政権はつなぎ融資として運転資金40億$をクライスラーに投入しました。これは破産時に引き上げることを前提としたものであり、ムダにしないことを前提に納税者を納得させたのです。しかしオバマ政権ではこの資金を債権として扱い、破産を受けて2次的に追加した分も含め、その多くが不良債権化、回収不能に陥る公算になりました。更に今後、再建に向けて35億$を追加融資、50億$近い資金も準備すると伝わります。米政府の財政負担は100億$規模となる見込みです。
それにも関わらず、新会社の株主比率は55%がUAWなどの労組、35%近くをフィアット、残り10%を米加両政府となります。つまり今回の再建により、多額の公費を使って救われるのは米民主党の支持母体、全米自動車労組(UAW)となるのです。しかも本来、労務費は無担保債権にあたり、破産した企業では退職金、医療保険などは、有担保債権に資産が割り当てられた後、残りで賄われるべきものでもあります。しかし国が回収不能に陥るように、有担保債権への割り当ては少なく、債権価値全体を歪めるような交渉が、政府と一部大口債権者との間で行われていたことになるのです。

焼け太りしたのはUAW、それが今回の再建劇です。恐らく米政府と密約の上、一部労務費削減に同意し、債権者を悪とするよう事前に調整が行われていたのでしょう。納税者の目が厳しくなる中、財政負担拡大を晦ます口実になったのです。一方で新会社の筆頭株主が労組、という重大な問題を含みます。リストラや労務費削減、コストカットという重大な交渉が、経営者と労組から、株主と経営者という形に移行します。これでは安定した経営など、不可能と言わざるを得ないのでしょう。
今回の一連の交渉を見て、GM債権者も損失見通しを引き上げざるを得ません。またCDS発行体である金融機関や保険などにも、損失が広がることになります。そしてこれだけ政府がおかしな介入をすれば、今後米企業への投資は難しくなるはずです。景気楽観シナリオに浮かれる米国ですが、落とした影は大きい、それが今回のクライスラー破産ということなのでしょう。金融機関を痛めても従業員を救う、共和党と民主党の政策の違いが如実に現れた今回の結果、企業再建という視点で見ると、大きな禍根を残すことになってしまったのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:54|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 経済