2009年07月

2009年07月31日

自民党のマニフェストについて

自民党のマニフェストが発表されました。驚くほど財源に資する提案がなく、閣僚の批判からすれば、自民党は他党より『無責任』になります。新規で打たれる対策には必ず予算の組換え、ムダ削除をしない限り財源が必要になる。そこに対する手当ては示されませんでした。

足の長い対策、2017年道州制導入、2019年議員定数3割以上削減、等は麻生政権が続く見込みもなくほぼ意味を為しません。政権が変われば政策も変わる、党としての一体感がなく、昨日のマニフェスト検証でも明らかになった実体との乖離。長期の政権公約には、詳細な工程表がない限り検証も不可能であり、かつ達成度も明らかにできないことが示されています。
2015年に国家公務員8万人削減、10年後には可処分所得100万円アップ、も舌を舐めて書かれた印象です。公務員は出先機関の整理・統廃合により地方公務員に転出するので減り、また純減がありますから達成も可能でしょう。所得も経済成長2%約束が達成され、かつ税制の直間比率を変えれば可能です。極端には消費税を20%とし、所得税減税を行えば単純な所得は向上します。インフレ誘導等、金融政策上の諸施策すら示されないので、単純な評価も難しい面があります。

3年間で40〜60兆円の需要、200万人の雇用も謳いますが、経済対策はこれまで経済財政諮問会議でも議題に上がった内容が多く、細分化されて記述されないため、実効性は上がらないでしょう。特にこのマニフェストで感じる問題は、これまで出来ていないことを、どう進めれば出来るようになるか?という政権与党こそが抱える悩みに、何も答えていないことです。
雇用面も企業へサポートし、ハローワークの活用等、従来の政策の延長上にしかありません。年金も抜本改革は超党派で協議、など従来の政策の手直しで済まそうとしている。つまり現在の社会、仕組みを大きく変えないことが、『責任』だと述べているようにしか読み込めないのです。

現状に不満がある、だから政権交代が意識されるのに、自分たちがやってきた政策は間違っていない、という開き直りにも受け取れそうです。その最たる部分はプライマリーバランスの10年以内黒字化であり、財政を悪化させたツケを解消する術を、自ら率先して提示することもありません。過去の約束は先送りし、これからの課題、構造に関わる部分については政策優先度が見えず、いつになったら出来るかも分からない長期の対応でしかありません。
夢がないことが現実、責任というならこのマニフェストはそうなのでしょう。麻生氏は総選挙の敗北についての責任論も、自ら棚上げしてしまいました。責任とは、行動における義務のみではなく、悪い結果に対しての身の処し方を示すことも意味しています。日本に閉塞感をもたらした、その結果に対して十分に考察できないと、誰も納得できないことになるのでしょうね。

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2009年07月30日

社民党、共産党のマニフェストについて

自民党が前回のマニフェスト検証を出しました。達成を意味するAが55、取り組み中のBが65、未着手なしとのことです。ただこれは諸刃の剣であり、そんなに達成したのにこんな世の中?と意識されれば反発を招きます。公約自体が無価値であり、社会全体を悪化させたとなれば、明日発表のマニフェストにも影響する問題となるでしょう。野党対策の身贔屓の故とはいえ、国民は正しく現状認識できる政治家を欲しているのであり、言葉や形を取り繕って中身がない政治家にはコリゴリしている。それがこんな評価を下していれば如実に自民党に向かうでしょうね。

社民党、共産党のマニフェストを確認しました。言葉や数字は違えど、似通う内容も多く、全体として現状把握は似通っていることを感じます。共産党で気になるのは、多くの項目の中で「先進国の水準で見ると…」として、日本と比較している点です。確かにその項目だけを見れば先進国との乖離もありますが、制度全体が同一な訳ではないため、評価が難しい点があります。
例えば法人税率の問題でも、諸外国は現状日本より低く、それを見直す方向性です。よって日本も34.5%に戻すか?となると税収全体の考え方、個人、法人税率、直間比率から積み上げて考える必要があります。全体として議論の正当性、それに伴う影響が評価し難く、雇用、社会保障も含めてこの『先進国水準』が日本にとって妥当か?が判断されることになります。また国民への伝え易さが求められる現在、「国民が主人公」のキャッチフレーズも非常に弱いのでしょう。

壊れた社会の回復には、社会民主主義が有利な側面をもちます。変革を遂げつつある中国を例にとると分かり易いですが、国家関与を大きくし、適切な予算配分と強引な改善の方が対応は早いのです。しかし社民党に有利な風を感じないのは、ネックとなる9条問題が挙げられるのでしょう。
気になるのが「北東アジア地域の安全保障機構の創設」です。米国依存からの脱却に則り、中朝との結び付きを強めるこの構想は国民に受け入れ難いでしょう。特に母艦を建造し、軍事力では核武装も含めて中国優位となりつつあります。軍事力のバランスが悪い中で円卓に座っても、日本にとって得るものは少なく、諸外国を利することは明らかでもあります。

社民党は「地方行財政会議の法制化」や「税源配分5:5」など、地方に配慮した内容も目立ちますが、基本の国家像に違いがあり、評価もされ難い点もあります。景気をよくして税収増、といっても基本的な経済運営自体が明らかでなく、中学生までの医療無料化や子供手当てなど、財源議論を埋めるだけの議論は、いずれの党もはっきりした提案がないのが現状です。
両党とも法人税増税(中小企業は軽減措置)、高額所得者増税などを盛り込み、無駄遣い廃止や特別会計の見直しで、財源捻出をうたいます。ただ他より行政コストの増加に陥り易いだけに、民主党以上に財源に不安を抱えることになります。個別の政策で夢をうたうことも戦術ですが、それ以上に党としての魅力を端的に提案できないと、現在の選挙制度では両党とも苦しいのでしょうね。

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2009年07月29日

経済の話、市場動向と業績

日経平均が1万円を越えて3日、上値も重い中で値を保っています。ブル型の短期資金が入り、7月半ばから一気に値を飛ばして9連騰もしましたが、今回に限っては以前と異なる動きも見られます。日系の証券各社が今回の上昇は先物の振り回し、上値を追い難いと明言することも多く見られ、以前のような強気一辺倒の予想が比較的影を潜めています。
これまでは株価が上昇すると、上値追い推奨で先高期待を煽れましたが、今回に限っては全く異なる動き、つまり先高期待が萎む傾向があります。つまり個人投資家の逃避が顕著になっているのです。現行の株価水準でいくと、期末の上方修正が相次がないと妥当性がありませんが、今日の新日鉄のように通期見通しが下方修正されると、先高期待も描き難くなってしまうことになります。それが短期資金のみ、先物で相場水準が決定する、長期資金の入り難い市場を生み出しており、証券各社も商いが細って業績に影響してきた。そこが以前とは異なる状況です。

特に今回問題なのは、コストカットに伴う業績回復が、経済において深刻な打撃を与える点が指摘できます。経済全体に余裕がなく、受け皿もないためそれが失業率や雇用、賃金にはね返ります。特にそれが業績を回復させた経営陣へ、報酬という形で支払われることになれば、国民の怨嗟も高まります。以前なら企業は業績確保が至上命題でしたが、今後は社会的責任との狭間で、幾つかの報酬制限のような形が出てくることになります。
その一つが米の役員報酬制限法案です。どの企業も業績連動型、成功報酬型の賃金体系にメスが入ることになります。問題は企業に利益をもたらすことが、社会全体の利益に則すかどうかであり、低成長社会の中でやむを得ぬ選択も出てくることになるのかもしれません。

財務省が4-6月期経済情勢報告をまとめました。5年3ヶ月ぶり上方修正、という見出しも並びましたが、先に底打ち宣言をした政府の内容とともに、最悪期は脱したものの底這いに近い内容であり、評価できるものではありません。問題は低水準で安定する傾向が見え始めており、それが更に成長余力を阻害し、ミクロの好調さをマクロが享受できない環境も生み出し易くするのです。
市場環境的には、暴れ易い相場つきは金余りが続く限り、今後も続くでしょう。ただ証券各社が先物の動きを嫌がり、投資家保護の正しい情報を提供し続ければ、誤った情報に踊らされない分、個人投資家の傷も少なくて済みます。その点だけは良い評価をすることが出来ると考えます。
しかし今年度、企業の通期予想は以前と異なり、多くが年末から経済回復を織り込んで立てられており、上方修正が出難い環境でもあります。バブルに付き合う短期資金で回転売買をするデイトレなら良いですが、長期は価格妥当性を考慮し、今は力を蓄えるぐらいの付き合いが、ちょうど良いのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年07月28日

米中戦略・経済対話について

米中戦略・経済対話がワシントンで開催されています。?経済再建、?エネルギー・環境、?核拡散防止、?テロ抑止、が重点的に話し合われ、オバマ大統領が「どの2国間関係より重要」と述べるなど、最大限の賛辞で中国側を出迎えています。加重的にはまさに?が最も高く、米国債や米ドルの問題は互いに疎ましかろうと呉越同舟、それ以外はやや議論が平行線となる予想です。
?の問題は、米中ともにテロ発生の原因を抱えます。人権問題も絡み、政治的思惑の違いからも容易に妥協できない事情があります。?も同様、北朝鮮問題で米中が迎合できれば、どういう形であれ解決の道筋は見えます。?など、米国は環境インフラとして重点政策に舵を切っても、未だに中国は新興国の立場を訴え、改善の兆しも見せません。環境投資はコスト増であり、かつ資源獲得に向けて大きな投資をしてきた中国が、短期で政策転換できる問題ではありません。

先にクリントン国防長官は訪中していますが、オバマ大統領は訪中していません。今回中国は150名の訪米団ですが、副首相クラスで対応するのも、実務ベースの話合いという以上に、中華思想もあると考えます。朝貢外交をするのは格下の国、オバマ訪中の前に中国国賓クラスが訪米することには、プレミアをつける戦略的意向も見え隠れします。ブッシュ政権末期に米中首脳会談は行われていますが、国際会議と電話会談以外の米中首脳会談は、オバマ訪中によって成し遂げる意向です。
中国が強気の理由は、今週も大量に発行される米国債、動向に神経質な米国の弱みにつけ込んでいることが上げられます。米国債を売らない日本より、売ってしまう可能性のある中国が最大保有国になった時点で、PB商品を売る大手スーパー並の価格決定力を中国が握ってしまったということです。現在の世界情勢で、経済を握られれば外交面では軍事より性質が悪い。サイレント・ドミネイターの存在を感じた時、政策束縛力は相当に強くなってしまうのです。

オバマ大統領は孟子の一節、クリントン氏、ガイトナー氏も中国の故事・成句を用いて最大の配慮を示しました。個人的に、両国の状況は杜甫の詩に表れていると考えます。「国破れて山河あり」有名な一節ですが、この後には「城春にして草木深し 時に感じては花にも涙をそそぎ…」と続いています。唐が安禄山の乱で破れたときのことを詩にうたったものです。
金融バブル崩壊で危機的状況に陥った米国。それに続いて個人投資を促し、バブルを生み出している中国。両国は同床異夢ですが、結論としてはバブルはいつか弾けてマイナスの影響を強くします。バブル発生を懸念され、その抑制に成功した例は世界にもありません。形的には春を迎えているように見えても、草木はいつか自然と人工的なものを覆い隠します。花に涙をそそぐような、そんな状況になる前に両国がより良い道を探し当てることを、現状では祈るしかないのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | アジア

2009年07月27日

民主党のマニフェストについて

民主党が政権公約(マニフェスト)を発表しました。まだ現物を手に入れておらず、報道ベースの内容ですが少し考えてみます。金額と工程表を示し、責任という言葉を用いましたので、このマニフェストは強固な政策束縛力を持ちます。次期選挙に向けた足枷として、自民党が嫌ってきたマニフェストの明瞭化を民主党が行い、違いを際立たせる、その目的には資するのでしょう。
5つの約束として無駄遣いの排除、子育て支援、年金・医療制度改革、地域主権、雇用対策を挙げています。従来の主張通りですが、工程表がついた点で、来年の参院選やその間の地方選にも、公約の達成度が評価できる形になります。子供手当ての半額実施など、来年度の目標として掲げており、国民は効果を点検できる。むしろ公共工事など、発表される経済指標ベースでない点で国民に分かり易い政治に近付きますが、これは諸刃の剣であることは云うまでもありません。

問題は財源です。対策に総額16.8兆円と試算されますが、これは政策対応であり、経済対策などの不意の支出は含みません。また景気低迷が続くと、一般会計の財源不足が顕著となり、新規国債発行も余儀なくされます。この過程で、国債発行に頼らず無駄遣いを排除し、財源を確保できるかが、政権の行方にも深く関わってくることになります。
その一つに、内閣に政策決定を一元化する案があります。本来は当然の内容ですが、これまでは党内の族議員と官僚が調整し、根回しの結果として政策が打ち出されてきました。大臣経験者や業界団体の支持を受けた政治家が、政権与党を長く続けることで溜まった、その膿がない点で民主党には有利なようですが、民主党内にも自民よりは少なくとも族議員は存在します。

官僚主導の事務次官会議の廃止は可能でも、閣僚委員会に次官から提出される政策の優劣、それを判断するには政治家にも高い能力を必要とします。仮に民主党政権が誕生した時、再選組を含めて新たに100人以上が国会議員となる。その議員の能力的な問題が、成否のカギを握ることになるのでしょう。そこに族議員がいれば、これまでと同じことにもなります。
閣僚と丁々発止のやりとりを行い、矛盾をつき、利権を外して国民利益に資する政治家。官僚出身者も多いので、見抜く目はあるという言い方も出来ますが、自民党の一部にも官僚出身者はおり、それが族議員化した経緯もあります。その辺り、民主党では成し遂げられるという根拠をきちんと示すことが、マニフェスト自体の評価にも影響するのでしょう。

中身をしっかり読んでから、もう一度取り上げたいと考えますが、政策実現までの体制の面では、能力的な不安はあっても期待値も高いと思われます。それは意思決定機関に変化が生じれば、確実に霞ヶ関も変化を求められるからです。ただそれを良いように、官僚に手の平の上で転がされないようにするためには、政治家個々の能力を有権者が見抜いていかなければいけない、そういうことでもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年07月26日

公明党のマニフェストについて

今度の総選挙、小政党には非常に厳しい選挙戦となっています。与党批判であれば野党というだけで強みを持ちますが、テーマが政権選択のため、極端な社会の変化が混乱を想起させます。社民党、共産党、幸福実現党など、現実乖離が大きい主張が含まれると敬遠される傾向があります。

そんな中、公明党がマニフェストを公表しました。意外な部分は民主党の主張に鞘寄せした点であり、例えば世襲制限は党独自としていますが、三親等同一選挙区内禁止をうたいます。また年金の最低補償分として上乗せも示唆、高速道路定額サービスの恒久化も盛るなど、個別に見ると極めて政策が自民、民主の折衷案的様相を呈しています。これは財源議論に説明がつき難いのですが、一方で中選挙区制の採用と議員定数の削減による国会経費の削減、特別会計の見直し、行政のムダを抽出なども盛り込み、読めば民主党に近い主張であることが分かります。
中選挙区制の導入は、小政党の生き残り戦術としては必須です。民主党と主張を近づけ、争点をぼやかす戦術も選挙後の連立を意識して、と考えると理解できますが、支持基盤からどう判断されるかは分かりません。公明党は創価学会による献身的支えで議席を獲得してきましたが、献身は政治的離合集散、妥協的行動を受け入れ難く、古来から宗教的紐帯は政治への関与から崩れています。利権への執着と、精神的純粋さは対立の構図を生み易い点が、問題を難しくするでしょう。

マニフェスト全体を俯瞰すると、総花的である一方、「実現を目指す」など目標的な書き方も多く、一部で数値目標も盛り込まれていますが、努力代の感が否めません。一つは実質GDP成長率2.2%と努力目標を上げますが、達成は確約していないので公約の言質をとられない工夫が、全体の価値を下げます。実現できれば素晴らしい内容も多いですが、逆に云うと政権与党に約10年籍をおき、実現できなかった内容ばかりであり、公約実現に向けた筋立てがなければ単なる絵空事として終わる可能性も指摘できてしまいます。
政策実現力とは、達成度も判断の根拠として含まれます。年限が設けられたものも少なく、この辺りも実現へのプロセスが読み込めない、抽象的で曖昧との評価ができてしまうのです。

政権与党の座にいた。その旨みはこの政権公約でも十分に感じられます。官僚との調整がついた内容は、数値や年限を盛り込める。ICT産業が現在100兆円市場、2015〜20年までに倍、と極めて具体的に記されています。一つには成長産業に育てたい、経産省の意向も含まれており、こうした与党詣でを行い、丹念に説明をしてくれる官僚、産業界との付き合いが政権与党の旨みです。
しかし先に論じたように、献身は自己を正当化することでしか導けず、自民から民主へ乗り換えて政権与党の座にしがみつけば、旨みは得られても心は離れます。実は今回の選挙、公明党が最も難しい立ち位置にあり、立ち回り方を失敗すればかつての社会党と同じ轍を踏む、そんな危険性も孕んでいることになるのでしょうね。

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2009年07月25日

市場原理主義からの脱却とは?

早くも麻生氏の失言癖が頭をもたげたようです。ただ麻生氏は『揶揄』で相手を楽しませようとする癖がありながら、本人がもつ権限と影響を推し量れない、という致命的な欠陥によるものです。なので、原稿を読ませるか、口を封じるか以外、これを改めさせることは不可能です。

解散当日、麻生氏は会見で「市場原理主義からの脱却」を高らかに宣言しました。ただこの言葉のもつ本質、意味を理解せず、単なるリーマンショックを引き起こした、その原因としてただ用いているだけのような気がしてなりません。市場原理主義の真相とは、米国の一国主義の現われであり、多国が米国に追従するだけの世界になることを意味します。
規制を緩和し、市場原理が世界を席巻すれば、それで得をするのは巨大にして、かつ世界標準の市場を有する米国です。WTIを始めとし、市場動向を米国が牛耳っているのですから、市場原理が優先するとは米国が世界を左右することに他なりません。これは市場原理主義の一側面ですが、市場原理主義に加担するとは、米国追従の姿勢を鮮明にしたことにも繋がるのです。

欧州は市場原理主義を導入しても、戦略として米国と対抗する、巨大組織作りを目指しています。結果的に東欧、ロシア、中東などに投資を手広く進めて傷を深くしましたが、米一国主義に陥らない手立てを考えていました。しかし日本は戦略性もなく米国追従を繰り返した。米国との間に交わされた要望書、その延長に郵政民営化を始めとする諸施策が含まれていたのですから、米国の属国と呼ばれても、致し方ない状態を自民党政権は堅持してきたのです。
次期駐日大使と目されるルース氏が、民主党の主張する「対等な日米関係」に対し、「ここ数日発言を和らげている」と公聴会で述べるのも、米国にとってこれまでの日米同盟が対等とは考えられていない証拠です。つまり日本は米国の影に隠れて経済発展のみを追及してきた、とされても経済面では米国の二番手であり、トップを抜こうというやる気を阻害してきた、それが現状の閉塞感であり、低成長に甘んじながら政治に問題意識が欠ける元凶でもあるのです。

本気で市場原理主義からの脱却を目指すのであれば、何を目指し、どうやって成長を促すのか、そのビジョンを示すべきです。ただ失敗したからやめる、では子供の反省文です。日本が目標を失った段階から、米国の二番手に甘んじていればそれで良し、と政治が考え始めた段階から、日本は停滞を始めた。いつの間にか、経済面では中国に追い抜かれる水準にまで来ています。
対等な日米関係とは、米国を競争相手とし、切磋琢磨する関係を構築することです。今の米国にはそう見られていない。ではどうやってそうなるのか?市場原理主義からの脱却、という言葉のもつ意味は、それほど深いということを考えて使うべきでもあるのでしょうね。

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2009年07月24日

経済財政白書にみる過剰雇用

09年度経済財政白書が閣議に提出されています。まだ通覧も出来ていませんが、報道ベースでは過剰雇用者が600万人強に及ぶ、とされます。労働分配率は企業業績の悪化と、賃金下落の速度の差から上昇していますが、残業カットやワークシェアで可処分所得は減少、更に完全失業率や採用の抑制により、家計は今後も厳しい状況が続くことを示唆しています。

戻し減税やエコポイントなど、家計への還元策も打ち出されていますが、雇用が安定しなければ支出は控えられます。つまり景気対策とは、雇用の安定と可処分所得向上に資する、国内消費を拡大させる方向で、初めて効果があると言えます。それを成し遂げる施策は、雇用拡大や賃金アップを図った企業に、法人税減税という特典を与える案があります。
企業に申告させて審査する形式であれば、行政負担も軽く済みます。また減税による税収の落ち込みも、所得税増と景気拡大が見込めれば相殺が可能です。企業はコスト負担のようですが、雇用者が増えれば優秀な人材を集め易くなり、また企業の社会的責任を果たすことで、一定程度のメリットもあります。法人税減税は海外との比較で語られることも多いですが、安易に施すよりもハードルをクリアした企業が受けられるようにすれば、企業努力も進み易くなります。ただ黒字企業しかメリットがないなど課題もありますが、検討の余地はあると考えます。

一方で、ヤミ専従の問題を抱える公務員は労働対価が高過ぎる面が否めません。また出先機関の統廃合により、公務員の過剰感が今後顕著になります。それを解決する策は二交代制の導入です。国会対応で遅くなる場合、最初から二交代で対応すれば残業代を削減できます。つまり公務員にワークシェアを導入し、健康面への配慮と労働力の分散を図れる一石二鳥の案です。
公務員は社宅などが完備されており、二交代勤務で定期バスを出せば、交通費も然程必要としないなど民間企業より、制度を導入し易い環境にあります。行政のスリム化と、ワークシェアなどの余剰人員を解決する策は一体でなければなりません。天下り禁止で終身雇用、と訴えるのであれば、人件費カットは自然減を待つしかなく、こうした制度を導入する必要があるのでしょう。

期待成長力にも言及していますが、日本は今後も低成長が続きます。雇用拡大が見込めない中、世界で需要が喪失すると日本の雇用に過剰感が生まれる。これでは日本はいつまで経っても世界に阿らねばならない国となります。一方で、日本の貿易依存度は米国より高いがEUより低い、と推計されています。域内貿易が高い水準にあるEUと単純比較はできませんが、国内経済を回復する施策は、貿易と内需の両輪でなければなりません。日本が怠ってきた内需の成長、変化はこうした面にも必要なのかもしれませんね。

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2009年07月23日

雑感、投資・詐欺事件の摘発

麻生氏が経団連を初めとする業界団体巡りをしています。これが『異例』とされますが、応援演説依頼の少なさも異例であり、公邸で時間が余っていることも、こうした行動の一端に見え隠れします。謝罪で潮目が変わった、という人もいますが、あれは党内向けであり、国民に対するものではないため支持率に変化の兆しがないことは、多くの世論調査でも証明済みです。
業界団体とは、いわば利権構造に依拠する圧力団体です。構造が変化すれば、対応してくるのは当然であり、拮抗する状況ならまだしも、凋落が鮮明になれば利のある側につきます。付き合って共に下野することは有り得ず、この辺りは縁故による支持と異なります。ドライな判断として、大差のついた選挙戦で甘い判断をする財界人なら、とっくに引退を余儀なくされているでしょう。

最近、再び投資・詐欺事件の摘発が相次ぎます。無登録FX業者や、年金たまごと称する出資法違反、数え上げればキリがないほど、全世界で増えています。これは経済が好調な時は自転車操業を続けても、新たな投資家が現れて資金繰りがつきますが、一度不安に陥ると新規出資が減り、解約が増えることから、詐欺的行為が表面化し易いことがあげられます。
以前、こうした詐欺を見抜くためにはリターンの高さ、つまり収益性ではなく、自己資本比率を確認すること、と述べたことがあります。金融庁への登録は、一般の方だと誤魔化しを見抜けない可能性がありますが、監査法人による決算報告書を確認するなど、自衛を図ることが大事です。何より、自分の大事なお金を投資するのに、儲かるから、損しないから、という説明よりも、取り返せるかを重視して選択することが一般の方では重要だと考えています。

特に今、米国の新たな金融規制法の一つに、高リスクの貸付には保険料を支払う案が提案されています。法案なので見直される可能性も高いですが、投資環境は劇的に変化の時を迎えています。今回の金融バブルは、インフレをもたらし難くとも、企業の生殺与奪の権利を金融が完全に握ることは、ほぼ確実な状況です。日本でも昨年末から多発した不動産業の突然死、一方で米国ノンバンクCIAは破綻させ債務整理した方がいい、と報告されていても延命されました。
つまりある日突然、一般投資家が大損することを、政府だけでなく金融業からもアプローチすることが可能な社会に変貌しつつある、ということです。貸し渋りや貸し剥がしを行政が監視し切れないことは、経済が好調のときに投資詐欺の拡大を、未然に防ぐことが出来ないのに似ています。
金融は、仕組みを把握しパラメータを弄ることを覚えると、将来予測は同じ計算式で破綻とバラ色、両者を描くことも可能だからです。少なくとも、今はまだ膿を出し切れない環境であり、はしゃぎながら上げていく状況でないことだけは、確かです。マネーが暴走中で気付き難いことですが、投資詐欺事件が見せてくれる現在の状況の方が、正しい環境を認識させてくれるのかもしれませんね。

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2009年07月22日

経済の話、米国市場について

米証券市場が暴走気味に上昇を続け、日本もそれに連れて上昇に転じています。ダウは7日続伸、NASDAQは10日続伸と異例の強さを示しています。これはインテル決算で基調転換し、誰もが強気派に転じたことも一因ですが、すでにマネーの暴走が始まっていることも原因の一つです。
米ノンバンクCITに30億$を、大口債権者が支援し小康を得ました。ただ米財務省からは40億$の資本不足を指摘されており、また7兆円という資本規模に比べても、当座の運転資金との印象を拭えません。10.5%とも云われる利回り、CDSプレミアムも急上昇しており、コスト高が直撃しています。今夏に迎える債務借り換えに失敗すれば破綻も指摘されており厳しい状況が続きます。

それでも今、過剰流動性による金融バブルで、社債発行やローン担保債券、安全で利回りの高い商品には高い需要が待ち受けます。つまりリーマン破綻で潮目が変わったのではなく、今はまだリーマン破綻以前と同列の経済環境下にある、と言っても良いのでしょう。それが一部、証券市場に流れ込み、CTAなどの先物投資関連が幅を利かせ、一気に資金をつぎ込む流れとなっています。
しかし4-6月期の米企業決算を見ると、予想を上回る黒字を計上した企業は、総じて人件費やコストカットなどの、固定費削減が寄与した形です。また国外の売上が大きく寄与しており、ここから業績が回復しても経済全体はシュリンクする、米国内の事情が窺えます。バーナンキ議長が議会証言で、利上げ時期を失業率回復においていますが、経済成長のない中で業績確保を目指す企業の姿勢からも、失業率が回復するのは相当に先となります。その間に起きる金融バブルの影響の方に、強く目配せしておいた方が良いのかもしれません。

インドが中国製品の輸入に規制をかける方向で検討に入っています。中国の外貨準備が6月末で2兆$を突破しましたが、為替操作国と認定されれば、ますます中国も貿易がやり難くなるでしょう。人民元は金融危機以来対ドルで、ほとんど上下動することなく安定的に推移しています。この間ドルは急変動しており、そこで蓄えられたドルを米国債に振り分けているとすれば、経済規模に見合わない額として、中国経済の変動要因、貿易規制要因となる可能性も出てきます。
そして中国が下支えする米国債、ドル相場。ここから脱却できなければ、米国が利上げに向かうなど、まだ先のことになります。誰もが、米国が二番底をつけにいくと、不良債権が拡大して危機意識が強まることを認識しています。だから二番底をとらせない、というのも金融バブルの資金が向かう、一つの理由でしょう。ただ壊れ始めた米国市場の動き、暴れる投資資金の抑制をしないと、次に経済危機に陥った時は破綻に直結し易くなることもまた事実です。バブルは適正な段階で抑制する、バーナンキFRB議長に求められることは、極めて難しい選択なのでしょうね。

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2009年07月21日

衆院解散について

国会が解散されました。事前に自民の両院懇談会が公開され、どんな劇的サプライズを用意するかと思いきや、通り一遍の謝罪とそれを称賛する声。呆れて声も出ないほど、つまらない内容で終えました。反麻生グループも、戦犯にされることを恐れて声を潜めた。これで自らの譲れぬ政治理念、政策で反麻生を唱えたわけではない、ということを露呈した形になります。
更に麻生政権にはシナリオライターがいない、ということも露呈しました。両院懇談会で反麻生を唱えたのは1人、後は結束や団結力を訴え、シャンシャンと手打ちしました。優秀なシナリオライターがいれば、反麻生グループにドンドン発言させ、最後に麻生氏が涙で結束を訴え、その情熱の中で全員が拍手すればお涙頂戴のドラマチックな展開が可能でした。むしろ波風の立たない、空虚なまとまりが自民党の解体的出直しも已む無し、との意識を国民の間でも強くしたことでしょう。熱情もなく、自らの利のみで動く、まさに自民党議員が国会議員の座にしがみつきたいとの思いで結び付いた瞬間が、この両院懇談会に象徴的に現れたのですから。

私は今回の解散、大相撲解散と名づけます。土俵に上がるのは二人しかいません。これまで横綱として長く番付のトップに位置してきた自民党と、大関の地位まで上り詰めた民主党の戦いです。しかし横綱は力が衰え、土俵に上がる前から立会いの変化や引き落とし、うっちゃりなどしか頭にありません。このため品格が問われますが、横綱に番付を落とすことはなく、横審である国民から引退勧告を受けた。それが今の支持率であり、戦う前から下馬評は低くなっています。
しかし40日の長丁場、風向きの変化を期待する向きもいます。ただ二番煎じは出涸らし、エンジ色のカーテンを前にした麻生会見も迫力がありません。これは先の通り、政治理念や政策が自民党内から見えてこないために、従来型の日本しか想像できないことに起因します。郵政解散が当時は評価されていたのも、政策による変化への期待であり、閉塞感を脱却するイメージでした。

今回、民主党の政権交代は変化を予感させ、自民党の安心実現社会に変化の期待はありません。むしろ医療、年金、介護の面でその安心を壊してきた政党が、どのように再構築するかが伝わらない、ともいえます。しかも土石流が発生した山口県への対応にも、政府が積極的に動いた形跡がありません。安心実現というなら、災害時の危機対応も含める必要があります。
自民党はやるべきことを怠った。そのツケが今出ていることになります。品格などは一朝一夕で身につくものではなく、組織としての根幹が崩れた以上、風向きは変えようがないのでしょう。後は民主党圧勝を懸念した票に期待、というところでしょうが、横綱相撲もとれない政権政党に、今更票が流れるとも思えません。小選挙区制の中、世論を押し切れない政党は土俵から押し出される、ということになるのでしょうね。

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2009年07月20日

雑感。天体イベントについて

今週、政治の世界の最大イベントは解散ですが、天体の世界では皆既日食があります。天候が心配ですが、個人的には仕事中でも窓のある場所に行き、何とか空を見上げたいと考えています。部分日食だけでも、大きく欠けている太陽はやはり見てみたいですからね。

天体イベントと絡め、少し前にマヤ暦の終期である2012年12月に絡み、終末予言があるとする番組がありました。少しその件で考えてみます。2012年は太陽活動が活発化する時期と重なっており、地磁気の穴も散見されていることから、何らかの影響があるのでは?との話もありました。
元々、28億年前から地磁気の影響が強くなったと言われ、実際諸説あってなぜその時期に強まったか、その理由は特定されていません。ただ原因はコアと呼ばれる地核が高温、高圧下で流動化し、イオン化されたコアを構成する主要鉱物である鉄の流動によって起こる、電磁気が地磁気として強まった、との見方がなされています。しかし純度の高い鉄を主成分とするコアにも、10%程度の軽元素が含まれ、地磁気の変動にはその影響もあるのかもしれません。

よくフォトンベルトなども語られますが、実在証明がされていない怪しげな論説を除き、2012年に何が起きるか?その考えられる科学的アプローチは、太陽風の強まりと地磁気の消失による、大気層への影響でしょう。地球の大気は誕生時から一度、全て消失したと考えられています。原因は不明ですが、地球の半分の質量の火星、4分の1の月には大気がなく、約80%の質量をもつ金星は硫酸などのガスが覆われています。大気の纏い方、存在は惑星にとって絶対的なものではない、ということは考慮に入れておく必要があると考えています。
特にオゾン層など、大気の重要な部分の破壊が進めば、紫外線の影響も今より考慮する必要がありますし、赤外線も入り易くなりますから、地表も熱しられて温暖化するかもしれません。2012年、劇的な変化が起こることは想定していませんが、大規模地震が多発し始めている地球ダイナミズムとともに、上空の変化にも注意しておく必要があるのでしょう。

また海洋にも、一時期スーパーアノキシアと呼ばれる、酸素が大きく不足していた時期があり、原因は不明ですが、海洋生物は大打撃を受けています。過去の地球を考える時、今の地球は恵まれた環境にあることは確実です。逆にその恵まれたバランスが崩れれば、生態系は大きな影響を受けます。様々な科学的知見を駆使し、変化に対応する世界を目指すことも、国民の安全、安心に寄与する一つでもあるのでしょうね。

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2009年07月19日

政治での説明責任

解散前の日曜日、各党も幹事長クラスがメディアに勢揃いするなど、早くも選挙モードの舌戦です。ただ自公は野党準備とも言われる、民主党の政策に対する執拗な攻撃に終始し、政権運営の総括が出てきません。以前から指摘しているように、民主党政権になったからといって、世の中が180度変わり独裁政権になる訳でも、夢のような状況が展開される訳でもありません。
現行制度、体制に国民は不満を持っている。自民党政権ではそれが継続してしまう、という意識が批判票に含まれます。それを無視して野党批判をしても、自己批判による反省がない政党、として余計に票を落とすでしょう。大事なことは変化の兆しを誰が与えてくれるのかであり、それについて党内の反麻生勢力に配慮し、国民に向けてマニフェストも示さない政党では、誰も見向きもしないということです。

最近、政治の世界で『説明責任』という言葉が多く用いられています。ただ少し誤用もあると考えています。これは事実を解明する便利なツールではなく、あくまでその責任の範囲内において、合理的かつ整合性を伴って事情を説明できるかどうか、が問われるものです。
例として、中川前財務相の泥酔会見の言い訳に、薬の影響が一部語られたことがあります。そんな危険な薬と酒の関係であれば、自身の行動の結果として説明する必要が生じます。逆にそれが為されなければ、説明不十分であり、糾弾されても致し方ないということになります。

民主党の新旧代表の場合、鳩山氏の件では事実を認めた上で、秘書が個人献金した理由や、その原因についての説明が二転、三転し、また内容も納得できるものはありません。この件について、説明責任が足りないとの国民判断は正しいのですが、それが刑事事件になるとは思えない点で、自民党の攻めも不発気味です。虚偽記載はあくまで認識事犯であり、この点は与野党ともに脛に傷があるので、決め手に欠く部分でもあるのですね。
小沢氏の件では、先に強制捜査、逮捕で事件が始まったので、法廷マターの行動が要求されます。この場合、説明責任は最初から存在せず、事実関係は法廷でのみ明らかにされます。つまり責任が初めから制限されており、おかしな情報操作は逆に批判を受けることになります。それが検察のリークであった部分もあり、批判が高まった点でもあるのでしょう。

先に西松建設前社長、国沢氏の判決が出ましたが、小沢氏側の関与も認める内容となっています。ただあくまで公訴内容は虚偽記載であり、談合事件ではないので、公判を有利に導く材料にはなり難いものです。つまり国沢氏側の期待と、実体との乖離が証明されれば判決自体の価値は低いものとなります。説明責任ではなく、法廷での立証は並大抵のものではなく、むしろこの事件は説明責任を省いた時点で、検察は捜査を難しくしてしまっているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年07月18日

選挙の争点になり難い日本経済

米証券市場が1週間で597$、7.33%と大幅上昇する中、日本市場の上昇力の弱さが目立ちました。解散が見えてくると、不透明さが嫌気され一旦売り、その後勝者が鮮明になり、経済対策効果など業種別物色が盛んになると上昇、というのが多いパターンです。すでに一部では民主党銘柄が囃されていますが、マニフェスト、景気対策などが出揃うと上昇を志向し易くなります。
ただ民主党政権では国債増発懸念により上値を抑えそうです。ただこれは日本の制度が政権交代に対応していないため、財務省と調整がつかず、野党が打つ新規対策には財源の裏づけが出来ないので当然です。むしろ削られる予算、道路建設、アニメの殿堂などにより売りが嵩みそうです。更に日本では政権交代の経験が少なく、官側に混乱を生じる懸念が問題となるかもしれません。

米市場はインテル決算でハイテクが牽引、金融決算もまずまずで、高い伸びを見せています。しかし金融部門は投資銀行部門の収益がメインで、商業銀行部門は依然引当金を積み増しが続きます。これは過剰流動性により、リーマン破綻前の状況に戻っただけであり、更にこの余剰資金が債先売/株先買を引き出し易くし、金利差がユーロ-ドルに影響している。つまりドル安による米株高でもあり、相対的な米市場の強さを確認するのは決算発表後になると考えます。一部に見られる、米株買/日本株売の動きや円-ドルの動きも気になっており、この辺りの落ち着きもその頃なのでしょう。
特に米市場では金融規制の流れがあります。その前に企業は如何に資金調達できるか、金融機関は収益を上げておくか、今はその競争であり、インテルなどの楽観見通しは世界経済がそれまでに好環境になって欲しい、という期待も見られ、それが現在の米市場の環境でもあるのでしょう。

しかし欧米では金融規制の最中、日本では未だに規制緩和、市場開放が叫ばれます。これは経済成長路線を与野党ともに打ち出しておらず、今はただ景気対策規模を誇ることでのみ経済政策が語られるだけです。選挙でも争点となり難いのは、具体的戦略性がないためでもあります。
しかし郵政民営化の失敗を考えると、新たな経済成長に寄与する部分も見えてきそうです。国鉄民営化では事前に大規模な人員整理を行いましたが、郵政は単純に官から切り離しただけ、つまり規模を維持したままであり、それは単に民業圧迫となります。しかも民営化された後では、競争力強化のために不良資産売却、新規事業の立ち上げに意欲的であり、それを公的な関与により抑えている、極めておかしな経営ともなっています。

単純な規制緩和は、タクシー業界を見ても分かるように過当競争を引き起こします。そのサバイバルを待って市場規模との適正化が図られる前に、運転手などの労働者にしわ寄せがいき、見直しが検討されています。規模が拡大しない社会で規制緩和が進むと、結果的に敗者の衰退が問題となります。それを傍観者的に眺めることは、情報化社会の政治として有り得ないのです。
つまり本来必要な規制緩和は、官業縮小に伴う民業拡大であり、それを成し遂げることが霞ヶ関改革、天下り禁止、独立行政法人改革に繋がるのです。これを成し遂げるのはどの党か?マニフェストでもそうした視点で、チェックすると経済分野からの評価も出来るのでしょうね。

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2009年07月17日

雑感、自民党内の混乱について

自民党内紛劇場も、収束の気配です。両院総会ではなく、懇談会へ。切り崩しは選挙に向けた公認、比例名簿順位等の決定権を執行部が握っているのですから、当然ありえる話です。選挙費用の上積みなどの話もあったかもしれません。それを卑怯だと言ってみたところで、金と権力で寝技を仕掛ける、それが政治です。結果が全て、両院総会潰しが決まった時点で執行部の勝ちです。
しかし今回晒した醜態は、名簿提出段階では党則が適用されず、執行部が精査して結論を導いて良い、という新たなルールの付加となります。つまり、より執行部に有利な制度に近付いたのであり、今後こうした動きも起こり難くなったことを意味します。高圧的態度で締め付けが行われる。党内のダイナミズムは失われ、閉塞性を強めた印象が更に票離れを起こす原因になりそうです。

小泉郵政解散以降、党首に求められるのは情報発信力です。説明責任が重視され始めた時期と合致しますが、新聞、テレビ、ラジオだけではなくネットという双方向の情報共有、保存が主流となり、それに耐えられる人材のみが評価されることになります。現状、麻生氏が国民から評価されないのは、情報伝達能力において、一方通行の力しか持たないことによります。
今回の混乱も、麻生氏が狭い説明の枠内に留まり、一向に解決の道筋を見つけ出せないように見えることによります。それが党執行部の強行的手法と相まり、独善的傾向として映ってしまうのです。郵政民営化路線の見直しに関して、これまでは土壇場で推進派に配慮し、態度を翻してきましたが、今回のみ中川元幹事長たちの流れに抵抗しました。政権の危機意識と同時に、解散だけは譲れない、それが矜持というか、むしろ狭量さが表れていると穿った見方をすることを可能としています。人間的に非常に小さく見えてしまうのですね。

反麻生勢力の失敗は、錦の御旗に閣僚クラスを据えなかったことです。解散詔書にサインする閣僚を推戴し、麻生氏に迫れば今回の解散には大きな打撃となります。つまり反麻生側がバラバラ、と認識されたのも、結束に伴う御旗が見当たらないことが大きな原因です。ただ選挙前に、麻生氏では戦えない程度の理由で両院総会を開いても、執行部のもつ権限の力、その寝技で押さえ込まれて終わりになるだけです。
逆に党執行部側も、麻生氏を御旗として担いでいません。総選挙が御旗となり始めており、今更麻生氏を推戴する意識もないのでしょう。現状、それが麻生氏を取り巻く状況です。各々がマニフェストを掲げる、などの動きもありますが、誰も選挙応援に麻生氏を必要としておらず、結果的にそれが分裂選挙という印象を、更に国民に与えることに繋がることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年07月16日

中国の4−6月期GDPについて

中国の4-6月期GDPが発表されました。実質成長率が前年同期比7.9%、相変わらず事前予想通りの着地です。固定資産投資の伸びが1-6月で、前年同期より33%強の増加、個人消費が小売総額で15%増、昨年打たれた56兆円、2年間の景気対策効果が依然強く表れている形です。
年間28兆円は国内総生産ベースで10%弱にあたり、潜在成長から見ると、今回のGDPの伸びは若干弱い点が気になります。また銀行貸出は1-6月で7兆元強となっており、投機的なマネーの流れも窺えます。財政支出は26%増、収入は2.4%減、貿易黒字が縮小していく中で、本当に内需転換できているのか?という懸念もこの数字から窺えます。

財政出動後の世界経済が弱いままだと、余力を失くしつつある中国財政が、世界経済の懸念となる可能性もあります。問題は、強い経済指標がマネー過多によるインフレ傾向の一端によるものなのか?そうではなく本当に内需が強固に育つ、国力増加によるものなのか?を見極めることであり、それが判明するのは来年前半辺りになるだろうということです。
例えば米国ではノンバンクCITが、国の支援を受けられず破綻懸念に陥っています。日本のSFCGのような中小企業に融資する業態であり、経済危機下でそうした債券が不良資産化し、財務状況を急速に悪化させています。米財務省も様々な形を模索したようですが、結果的に支援を放棄しました。連鎖破綻の懸念はあっても、大企業は救っても、中小企業は民間資本も入り難く、短期の回復が難しいのが現状です。焦げ付き懸念の高いノンバンクに、残り少ないTARPを使う余力、意識は少なくなっています。

これは先進国に共通の課題です。大企業は工程管理能力と最終組立てが主ですが、規模が大きく、合併などを促してでも、民間投資を呼び込んででも国が救わざるを得ない。しかしその最終製品になる部品、一点一点は中小企業が製造しています。それでも、事業規模と従業員数の関係で救わない。その結果、内製品が益々少なくなり、外部調達がメインとなっていきます。
これまでは人件費の安い中国が部品製造を担う面もありましたが、貿易黒字の縮小と財政収入の面から見て、中国に部品調達のための注文は入っていないようです。先進国で縮小する中小企業、その代替需要を取り込むためには、早すぎる経済成長と人件費の高騰、それに見合うだけの技術力が伴わない現状では難しい面があります。更に中国が世界に進出する過程で衝突する、様々な問題への対応にも、世界は不安を抱くことでしょう。

米国で尖閣諸島領有を日本と認める、公聴会発言があったようです。大陸棚による領海主張や、チベット、ウィグルの問題など、対外的に強気を貫く中国。矛盾を抱えつつ肥大化していくには、極めて難しい課題を幾つも内包しており、それを情報統制と軍部の圧政で押さえ込むこれまでの手法では、極めて不安定な国との意識から、中国離れが加速し易くなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:14|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 経済

2009年07月15日

キリンとサントリーの統合について

今日も自民党内が荒れていますが、気になるのは船舶貨物検査法や肝炎対策基本法など、廃案になる法案の行方です。北朝鮮関連の貨物検査法など、14日に衆院を通過していますから、廃案の責任を野党に帰すのは間違いです。14日には解散を視野に入れていたのであり、1週間延ばしたからその間に参院で採決してくれ、では参院軽視として与野党ともに参院議員が面白くありません。肝炎対策基本法も、被害者対策としてもっと早く議決する努力が必要だったのでしょう。これはどちらも政局で潰す話であり、双方が力を尽くして成立に向けた努力を怠った結果です。

話は変わってキリンとサントリーに統合話が持ち上がっています。清涼飲料、酒類、医薬品、食品、健康関連食品など、手広く事業を展開し、ライバルと目されてきた企業の統合だけに、市場の話題をさらいました。現状、持ち株会社を統合して傘下に入る、対等な統合になるようですが、バッティングする事業や工場も多いために、まだ紆余曲折しそうな気配もあります。
企業風土の違い、というよりこうした強者同士の統合話では、縄張り争いが最も厄介です。起業以来の伝統だ、基幹事業だ、等の主張が本来の収益性重視の統廃合を、著しく阻害します。日本では安売り競争に晒され、収益性が悪く、かつ少子高齢化で市場も縮小気味。だから海外に打って出る資本規模と、経営体質を作ろうという時に、国内産業時代を基に議論しては統合も前に進みません。

すでに証券会社等が統合の引き合いに動いていますが、上場会社と非上場会社、しかも同族経営と、ハードルの高い案件です。ただ統合規模から見た成功報酬は、今年最大の案件であり、各社も食指を伸ばしています。ただ最大困難なのは、強者同士の統合では社員に行動の必要性、必然性が伝わり難く、閉鎖性が高まり易い点だと見ています。そうなると保身に走り易くなり、統合によるスケールメリットが存分に発揮し難くなる。それがマイナスの要素として考えられます。
しかも国内では公正取引委員会が目を光らせます。連結売上高4兆弱、シェアでみると各事業で1位に踊り出るものも多くあります。寡占化は世界でも懸念されており、独禁法違反で罰金などは、特に欧州系で続発する事態です。日本単独では、公取委の判断もそう厳しくありませんが、参入をし難くなるという点で外資からの指摘があると、若干その判断を厳しめに変更するかもしれません。

自己資本に厚みを増し、海外に打って出るという大枠の戦略は間違いありません。ただ統合までは苦難の道でしょう。特に日本のような、企業に仕えるという意識の強い働き方が多い国では、企業体の変化に敏感に反応し易い面があります。そうした意識を汲み取り、従業員の意志を如何に一致させられるかどうかが、経営者に求められてくることなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2009年07月14日

雑感、政治の動き、幾つか

今日も政治の動きが活発です。自民党・古賀選対委員長と、尾辻参院銀会長が辞意を表明しました。古賀氏はある程度本気で、東国原宮崎県知事擁立に動いていた、ということは逆に考えると、次期総裁候補の申し出もある程度容認していた可能性があります。つまり影で麻生降ろしに加担していました。しかし解散が目前となり、麻生降ろしを事実上封印するに至りました。
忠言を聞き入れない麻生政権に拘る必要はない。旧宏池会の主流である自分が、いつまでも麻生氏の下、という境遇にも不満がある。選対として、自身の選挙に集中できずに落選すれば悔いが残る。比例復活では領袖として恰好もつかない。一方で、麻生氏での総選挙実施と選挙日程の厳守を訴え、麻生政権に一定の忠義は尽くした。これが古賀氏の思いでもあるのでしょうね。

全国知事会が注目されています。国直轄事業の地方負担金、そのお手盛りが指摘され、一気に地方分権の波が加速しています。資金の拠出を迫るものなのに、使途が不明なまま通用してきた、これまでの異常な慣例が通用しなくなり、知事会も追い風を受けて意見を通し易くなっています。
橋下大阪府知事のように、支持政党表明するというのは、本人はハッキリ言いませんが知事会が圧力団体として機能したい、ということです。医師会など、代表的な企業、組織団体もありますが、それを県民から投票によって選ばれた知事が、集まって形成するということになります。
知事の背後には県民がいるとはいえ、投票時にそこまで企図して県知事を選んだわけではありません。一部では有権者に対する背信、と映る人も出てきます。特に国政は地方分権だけがテーマではなく、強い圧力団体が機能することで、他の争点が見え難くなるのは、先の郵政選挙で身に染みています。もし知事会が圧力団体と化せば、今はよくても何れ問題が起きてきます。経団連も自民支持を取り下げるようであり、一時的な立場が与える後の影響まで考慮すれば、有権者との立ち位置まで含めた考え方をもつ、そうした必要があるのでしょう。

とはいえ、政権交代が主題となればまた違った見方も出来ます。かつて仏国で「国家は私よりも重態だ」と酷評された、七月革命で誕生した復古王政ルイ・フィリップ公は、経済危機下で富裕層を優遇、選挙権を制限し、利権の奪い合い、醜聞・汚職も頻繁に報じられ、末期症状を呈しました。後に民衆蜂起の2月革命が起き、ウィーン体制が崩壊、仏国は共和制へと踏み出します。
「財布の王」とまで蔑まれたルイ・フィリップ公、仏国の置かれた社会的な状況は今の日本とよく似ています。今は民主的な選挙で、改革が推し進められるということを考えれば、先の都議選は七月革命と評することもでき、これからの政治には劇的な展開、改革が求められることになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年07月13日

麻生氏の解散への言及

麻生首相が7/21解散、8/30総選挙を正式に表明しました。事前予告型の解散に打って出たのは、麻生降ろし封じと野党への国会運営協力を求めるためですが、党内には火種が燻ります。空白の1週間には、まだまだ様々なことが起こることも予想されます。

麻生氏が自身の手で解散したいのは名を残したい、という以上に自身の危機感があるのでしょう。仮に麻生降ろしが成功すれば、引きずり下ろされた前党首、というレッテルを貼られて選挙戦に挑みます。事前に伝えられる選挙の厳しさを感じ、党総裁は落とせないという運動員の意識、一体感が選挙戦でどうしても必要になってきた。沈滞気分では戦えないという危機感の表れです。
これは党重鎮にも当て嵌まります。比例名簿順位を高くしてくれる党首に付きたい。今、麻生降ろしをする人間では、きっと重鎮クラスには退場の声が高まります。党執行部が麻生氏の行動を容認するのも、麻生氏でなければならない理由が存在します。これが党分裂選挙でも致し方なし、小選挙区制では負けても、比例で何とか復活当選したい、そんな行動として表れています。今後、党執行部は批判の声の押さえ込みに掛かりますが、無理だと悟れば一部は離党、脱党してでも、分裂選挙でも、党重鎮は結束モードでこのまま突っ込む意志を固めているのでしょう。

しかし以前は分裂で勝てても、今の与党に吹く風はそんな生易しくありません。特に今回は大義なき解散になります。政権選択選挙ですから、未来に向けたマニフェストと同様、過去の政策への評価も投票行動に乗ります。麻生政権がここ一年で誇れる実績をあげたか?08年度2次補正、09年度予算、09年度補正と予算案は目白押しで通しましたが、いずれもあまり評価の高くないものです。特に市場が二番底を探るような低迷をすれば、米国のような再度の景気刺激策が求められる、そんな程度の内容でしかありません。
また公明党もカギを握ります。都議選に全力投球し、総選挙まで一ヶ月半という期間は極めて微妙です。しかもこの結果を受け、公明党議員は今日のメディアの番組でも政権与党への拘りを見せました。今後、選挙協力を渋る可能性もあります。今の公明党は解散詔書への署名を拒否し、自民党と距離をおく、そんな戦術も見え隠れしています。そうなれば自民はジリ貧でしょう。

野党が内閣不信任案を提出しています。正攻法でも勝てる、その自信が窺えます。麻生氏が前のめりになるほど、野党にとって有利であり、今の自民党の動きは願ったり叶ったりです。むしろそう考えられている時点で、麻生氏は負けなのですが、更にそこにしか乗れない自民党議員の存在が自民党自体の衰退を示しています。小泉時代からこんな党になった、という意味では、小泉氏は本当に自民党をぶっ潰すことになった、ということなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年07月12日

東京都議選について

東京都議会選挙、勢いの差がそのまま出る結果となりそうです。与党候補者は国政と切り離したいのに、党幹部クラスが応援に来ると、嫌でも国政が意識される。そのジレンマの中で、麻生氏に政権交代を連呼され、苦虫を噛み潰す思いだったでしょう。ワンフレーズの強みは、メディアで何度も繰り返し流れるすり込み効果です。麻生氏の都議選応援映像が流れるたび、国政との一体感が生まれました。これは選挙ブレーンが悪いか、麻生氏の口が軽いかのどちらかです。
また一部メディアで静岡県知事選の分析が流れたことも、多少影響を与えたと思われます。静岡空港建設に対するオール与党体制の危険性、東京も新銀行東京という火種を抱え、対岸の火事ではありません。ムダな公共工事、負債に直結する大型案件の行方には敏感です。石原都知事の支持はしても、築地移転、五輪招致、新銀行東京などに監視機能が働かなければ、お手盛りで全て進められてしまう、そうした懸念を誘発することに繋がったのでしょう。

メディアとネットの世論調査の結果に乖離がある、との指摘があります。大きな差は消極的支持か、積極的支持か、ということです。ネット調査は自発的に支持を表明する、いわば強固な支持層をもつ党が強い調査です。ここで与党系が強いのは、支持母体の大きさでも明らかです。
一方で国民の大多数は無党派層に位置します。これは聞かれれば答える、程度のその時々で態度を変える曖昧な支持層に該当します。メディアの無作為抽出された電話調査では、この意見の吸い上げが一部可能です。このため選挙をすればメディアの世論調査が選挙結果に近い形となります。特に東京では浮動票が多く、仮に2割が支持政党有りとした場合、投票率が4割を超えれば浮動票が半数以上を占める形になります。これが今回の結果でも如実に表れ、ネット調査の支持よりも得票率に近い形で現れている、と言えるのでしょう。

また民主党でも、一部現職より新人が強い選挙区もあります。これは交付金不正や選挙カーのガソリン問題など、与野党関わらず旧来の議員に嫌気が差した有権者も多くいた、ということでもあるのでしょう。これは国政に重ねることも出来ます。与党は都議、衆院議員でも現有議席、ベテランの古株も多く、民主党への風はこんな所にも吹いているのかもしれません。
ただ全力投球を指示した公明が強く、逆に共産、生活者ネットは埋没した形です。中選挙区制では、支持母体が強い政党は滑り込んでくるものであり、逆に与党批判が政権交代という目標に集中すると、浮動票の取り込みが厳しい小政党には票が集まり難くなるものです。
この結果が国政に直結する、と考えると今後、政党毎に選挙戦術の練り直しが迫られることでしょう。臓器移植法が通って14日解散、なども囁かれていましたが、船舶検査法もあり、後ズレは確実です。1人区がとれないと、小選挙区制では厳しい結果が見込まれます。そんな中で解散ができるほど、自暴自棄の党首であれば党内からも見放されるでしょうからね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2009年07月10日

雑感、今後の政局

中国雲南省でM6の地震がありました。この地域は耐震性の低い、日干し煉瓦が建築の主流と見られ、大きな被害も考えられます。中国のこの地域ユナと沖縄の古名ヨナには共通点がある、と指摘するものがあります。実際、中国の古書では南中国から日本に至る地域の住民を倭族、と呼んでいたフシもあり、米の渡来等も考え合わせると、この地域と日本には古くから交流があったことはほぼ間違いないことでもあります。早い復興を願いたいですね。

都議選が明後日に迫ってきました。自公は過半数、民主は第一党と、互いにハードルを下げた形の目標としています。民主は単独過半数を狙える候補を立てていないので当然かもしれませんが、大勝して自民党内の麻生下ろしが加速しても困ることになります。党独自の世論調査をやっても、麻生相手では大勝できても、他の総裁が立つと票読みも難しくなるからです。
週明けに内閣不信任案を出し、与党に麻生氏を信任させる計画も、麻生氏自ら退陣を表明すれば効力はありません。麻生政権では、閣僚が離反するので解散はできず、調整好きの元首相の出番となるのが、通常考えられる幕引きです。公明との調整でも、描くのは早くて8月後半の選挙、そうなると総裁選をする時間的余裕もあり、麻生下ろしなどなくても退陣となるはずです。

平沼新党構想もどうやら今回は立ち消えです。一方で鳩山前総務相の動きも、党設立には至らない様子です。後は渡辺元行革担当相が党を作るかどうかですが、自民党脱党組を組み入れるとしても厳しいでしょう。東国原宮崎県知事も世論の風を感じ、意見を後退させ始めました。人気でもっている知事が、世論を無視すれば手痛いしっぺ返しを受ける。当然の結果であり、当初の強気の姿勢が彼の腹黒い部分を晒したことになるので、今後の国政転出は厳しくなったのでしょうね。
鳩山民主党代表の脱税疑惑も、総務省から税控除の書類を受け取ったまでで、参考人招致は難しいでしょう。実際、鳩山氏側が税控除を受け、その書類が今回の書類だという懸念などが広がれば、国政の調査権を行使することは可能と見ていますが、ここでそれを行使すると今後、仮に自民党が下野した後で官僚と民主党が組み、自民党の不正を暴き立てる戦術をとると自民党は極めて困ることになります。族議員との関係を売れば、官僚は民主党と仲良くできる。それは政局というより、官僚側の手口として多いにあり得ることでもありますからね。

明日は一日お休みします。6月は忙しくて体調を崩したりしていましたが、少し時間的余裕もできたので遠出をする予定です。明後日には再開しますので、皆さんも良い休日をお送り下さいね。

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2009年07月09日

ラクイラ・サミットについて

イタリア・ラクイラで主要国首脳会議(サミット)が開催されています。麻生首相は記者との懇談を断り、各国首脳との2国間協議を調整していましたが、米国は立ち話程度、事前に決定していた日露会談さえ、麻生氏の「ロシアは不法占拠」発言などを取り上げられ、体よくあしらわれました。

国内で力のない元首は、国外の発言力もありません。功を焦って不利な条件の約束を結ぶ、という諸外国からの淡い期待すらもたれないのは、むしろ外務省が抑えているからでしょう。つまり内外から次の国際会議の場に出るのは、麻生氏ではないと評価されていることになります。
更に、先のG8における中川前財務相の酩酊会見も、現状の日本の評価が高くない原因です。国際会議で信を失う、とは国家的損失も大きく、米国が立ち話に応じてくれたのは、親米国に対する配慮でしかありません。日米において重要議題は特になく、北朝鮮に対する厳しい宣言も、国連決議の延長であって、日本の意見は世界で突出したものと受けとられています。

景気対策として打たれた緩和的金融政策、財政出動に関する出口戦略では、必要性を認めながらも各国の取り組みに任せる、という程度の内容です。安定化の兆しを認めながら、それでも出口に迎えないのは7月立ち上げが決まっていた米バッドバンクも、規模を縮小した形でのスタートになりそうです。予想以上に景気が回復しない、ストレステストが甘すぎた、という認識が拡がる中、拡大する不良債権を買取る側は上手く機能するかどうかすら不透明な状況です。
1814年ナポレオン没落後のウィーンの会議では、利権の綱引きや舞踏会が主となり、時間ばかりが経過して「会議は踊る」の名文句が生まれました。今のサミットは「笛吹けど誰も踊らず」というより、誰も積極的に笛すら吹かない会議も増えています。この言葉の出展は聖書であり、その後は「弔いの歌を唄っても、胸を打ってくれなかった」と続いています。

麻生氏はカトリックで、ローマ法王と会談しています。この言葉を知っているかは分かりませんが、弔いの歌は今、どういう形で世界に響いているかは、よく聞こえたことでしょう。外交で内政の不人気を補う、というのは愚の骨頂です。むしろ内政すらまとめ切れないのに、外交で有利な条件を得ることは至難の業、と言えるでしょう。中国の胡錦濤氏が帰国しただけで、議論が進まないと懸念されるほどの存在感が、今の日本には足りません。ジャパン・パッシングは経済、外交の面で深刻化しており、もう一度『日本』という戦略を練り直す必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年07月08日

経済の話。市場動向について

5月機械受注が前月比3%減6682億円となり、市場予想を大きく下回りました。製造業は5.4%増ですが、非製造業が6.9%減と足を引っ張った形です。一方で6月景気ウォッチャー調査では、現状判断指数が前月比5.5pt上昇の42.2となり、基調判断は「下げ止まっている」に上方修正されました。
これは同じ内容を示唆しています。5月は政府の定額給付金やエコポイントがあり、雇用や生産を縮小させた製造業が、ある程度活性化された時期です。一方、政府の対策では非製造業にまで影響が及ばず、未だに過剰設備が重しです。6月は製造業の好調さと、日経平均が1万円を窺う気配を見せ、誰もが復調を意識した期間でした。しかし7月に入り日経平均は続落、今日になり9500円を割り込み、調整が意識されています。

市場は6月半ばから基調転換していました。良い材料に反応し難くなり、悪い材料にも素直に反応する。3月から約3ヶ月続いた上昇相場は、一旦打ち止めの気配を見せたのです。決して米雇用統計で変わったのでないことは、米市場のトレンドを見ればすぐ分かります。しかし日本ではそれを嫌う層が再び上昇を狙い、それがダブルトップという強い反転を示す材料となりました。
そしてこの動きの背景には、買い方の1社が突出している事情もあります。売り崩せば面白い、だからSQ前の水曜日に大きな売りでとってきたのです。仮にロールオーバーするにしろ、売り推奨サインが連発すれば、間違いなくポジションを落とす、そんな思惑も働いていたのでしょう。

7000からの上昇相場が10000で止まりましたので、次のターゲットは8500です。ここで切り返せばしばらくもみ合い、または10000越えも狙えます。一方、8500を下抜くと長い調整と二番底を探る展開です。まだ大きな下落トレンドの途上であり、完全に上にブレイクした水準にはありません。13週線や一目の雲下限という短期のものより、中期のトレンドに変化がない、これが今の相場の方向性、まだ完全に回復基調に乗っていないことを示しています。
米で再び景気対策の議論が出ているのも、あまりに脆弱な経済に対するてこ入れを促したい一面があります。後は財務状況次第ですが、債券売り圧力との綱引きです。この流れは9月、米財政年度の切り替えを乗り切れるか?という状況とも重なり、重要な局面を迎えるかもしれません。

日本市場の先を読めば、8月に切り返せるなら強い動きですが、総選挙の結果がどちらに転んでも、それまでは調整しそうです。となると9月までは仕掛け的な買いが出ても基調は下落。それ以降の政府の景気対策が出て来ないと、中々上を見るのも難しいでしょう。現状、今年の市場予測10500〜5000円内に下半期も収まりそうです。基調が変わると、リスクマネーもすぐに手を引く、そんな値動きの大きい展開も続きそうですが、実体とかけ離れすぎるとしっぺ返しも大きい、そういう状況なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年07月07日

戦略核削減と中国の暴動

イタリア・ラクイラでサミットが開催されます。経済では保護主義の阻止、金融緩和の出口戦略、地球温暖化の排出量規制、先ごろ米露で合意された核削減も、宣言に盛り込まれる見通しです。議題は盛り沢山でも、結論の出ない会議であり、各国の事情に応じて諸対策を考慮する、大きな流れのみ確認する、というのが現状のサミットの位置付けです。
米露首脳が第一次戦略兵器削減条約(START1)の後継条約として、戦略核弾頭数を1500〜1675に、運搬手段(ミサイル等)を500〜1100に削減する案に合意しました。しかし実戦配備から外れる核弾頭も、「解体を進める」との文言で進展は窺えません。米2202発、露2787発の核弾頭、古いものはある程度再濃縮も必要かと見られ、単純にその分がカウントされている懸念もあります。

両国にはロシア危機の間に、ミサイル防衛(MD)という技術力の差がつきました。そこを埋める妥協はなく、互いが主張を繰り返すばかりです。MDを最重要輸出品として東欧に売り込みたい米国、東欧へのインセンティブを残したい露国、どちらにとっても戦略上、譲れない部分です。
この核削減、現在中国で起きている新疆ウィグル自治区の暴動にも関係があります。中国は核実験をこの自治区で行いました。今でも残留放射性物質はあり、それが人体にも影響しているはずです。中国は様々な面でこの自治区に不利益を押し付け、それが暴動に繋がっています。

しかも今回、中国はメディアの取材をオープンにしていますが、これはチベットは世界世論が人権抑圧を叫びますが、ムスリムの多いウィグル族は過激分子との世論誘導がし易いことが影響しています。しかし武器をもつ漢族の映像が流れ、世界世論も中国に自制を促す方向に動きつつあります。経済では中国頼みで強く云えない世界各国も、人権を蔑ろにすると国内から批判が出ます。それが中国への圧力となり、国連が組織する調査団体の派遣もあるかもしれません。
一部で中国が太平洋の覇権を握ろうと、母艦建造を進めているという意見もあるようですが、まだ10年以上先の議論です。ロシアが凋落し、艦隊が余り気味の米国と対等の海軍力を得るまで軍事力を増大させれば、中国とていずれ経済的破綻を迎えます。米露中とも核兵器を含めた軍事力と、その維持については経済面と国家運営のバランス上、多くの問題を抱えています。

軍事力の削減は急務です。それは、世界経済が今後成長に限界を迎えることが確実だからであり、低成長で効率の良い社会へと移行する過程で、現行の軍事力を支え切るだけの力がないからです。それに気付けない国は、今は良くてもいずれ凋落することになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | アジア

2009年07月06日

静岡県知事選について

注目の静岡県知事選、調整遅れと分裂という戦略上の問題を跳ね除け、民主・社民・国民新推薦の川勝氏が当選しました。浮動票が動いた、この県知事選の意義はまさにここにあります。麻生首相や河村官房長官は地方選と国政は別、との判断を示しており、静岡県知事選でも坂本氏は県民党を訴え、自民色を消していましたが、その中で都議選の応援演説の映像「政権交代は景気後退」のフレーズが流れ、選挙戦には自然と国政選挙並みの緊張感が漂いました。
ここまでの一連の地方選、与党内の中央と地方との選挙戦略上の乖離が見られます。都議選でも国政の影響を消そうとしている中、麻生首相の演説は国政直結の話ばかりです。これは選挙ブレーンが演説の一々に細かい指示を出す、ということを行っていないためであり、麻生首相に気兼ねして進言しないのか、言っても聞かないかのどちらかです。各陣営巡りも不評のようでしたし、「惜敗を期す」のオマケまでつけました。麻生政権の、この辺りの戦略性のなさは驚愕に値するほどであり、これが与党離れを急速に引き起こす原因の一つでもあるのでしょう。

自民党のマニフェスト骨子も出来つつあるようです。麻生政権で解散するのか?という基本戦略もグラつく中、内容は変更の可能性もありますが、全国知事会の要望7項目の内、5項目を盛り込む見通しです。重要な税源配分は盛り込まないので、東国原宮崎県知事との間に、意見の亀裂も生じる気配です。この辺り、財務省との調整がつかない面もあり、最後まで全国知事会と、自民党マニフェストとは平行線を辿る見通しとなっています。
そんな中、自民党に知事会の要望受け入れを迫った、東国原氏の国政進出に関する支持も高くありません。これは当初の条件を徐々に引き下げる、そのいやらしさが旧来型の政治手法を意識させること。一方で宮崎県に利益誘導する、田中角栄型の政治家の匂いを感じさせること、なども不人気の理由として挙げられます。その心根が疑われ始め、報道番組では滅多にいない視聴率をとれる知事という位置付けから、距離を置き始めたメディアの態度も影響しているのでしょう。

民主党政権では地方分権できない、かのような発言も疑われるところです。自分の都合の良い捉え方をし、それで国民が納得するほど、政治に向けられる目は現状甘くありません。つまり静岡県知事選でも、幾ら与党色を消しても、参院からの転出や党員であるという事実が消せるわけでもなく、これが今後続く地方選や国政にも影響する、投票行動となるはずです。
これは現状の消費行動とも合致します。騙された、損したと思いたくない、顧客満足度を求める態度には、胡散臭さを排除して本質を見抜こうとする、そんな冷徹さが窺われます。そうなると今の与党・麻生政権の不支持率とを見比べ、自民候補者への目が厳しくなり、地方分権などを訴えても財務省との調整がつかない、そうした懸念を拭えなくなっているのです。
地方から国を変える、という動きは今まさに投票行動から現れています。知事らの行動より、率直に自分たちの抱える閉塞感を脱却したい、という国民の意識が、政権交代に向けた原動力として機能している、という見方で今回の知事選の結果も見ることが出来るのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2009年07月05日

エルピーダメモリへの政府支援

年も後半に入り、そろそろ市場予測もしたいところですが、過剰流動性相場もあり難しい局面です。過剰流動性をやめれば、世界は強烈なデフレに陥り、経済は失速します。誰もがこんな経済運営をやめるべきとは考えていても、それをすれば景気回復の芽を摘み、世界は酷い状況に陥る。今はその綱引きの中で、片翼飛行のまま滑走路なしで軟着陸を目指す、それが現状です。

日本でも民間企業に公的資金が注入されました。エルピーダメモリに、日本政策投資銀行が300億、民間銀4行が1000億、提携予定の台湾メーカーが200億を出し、再建を目指す戦略です。しかし半導体市場は、かつて日本が主導していたものの、台湾、韓国などの企業が台頭し、今や価格競争と技術競争の波に晒される、もっとも厳しい事業環境を強いられる業種です。
今回、政投銀の出資が少ないとはいえ、損失は補填される特約つきです。逆に見るとエルピーダメモリが存続し、赤字を続ける限り財政支出が増え、国に潰すか残すかの選択肢が生じることになります。これは米国ビッグ3と同様、国が関与することに伴う弊害、政治家という世論の波を被る政治家と行政機関の綱引きが、将来的な決断の難しさを引き起こすことが確実でもあります。

しかも現在の過剰流動性で各金融機関に資金をダブつかせても、企業の増資や融資には応じ難い環境です。数多くある金融商品と、企業に資金を融資することでは、リスク環境が異なります。それが今は金融商品の方が、リスクが低くなっているのです。つまり経済がシュリンクしていく時は企業が淘汰されていく時であり、経済規模に見合う企業数になるまで、倒産リスクが付きまといます。
特に先進国から新興国へ、生産移転が起きている時はそうであり、付加価値型の生産を獲得しない限り市場からは淘汰されます。しかも半導体はこれ以上の性能向上を目指しても、頭打ちの状況も見えており、その分価格面での訴求力が重要視されているのが現状です。

年後半はWindows7の投入がありますが、Vistaのように多機能性より、速度が求められるのはマン-マシンインターフェイスとのバランスの狂い、という見方もできます。半導体搭載機器の増加という追い風もありますが、寡占化の状況は当面続きます。半導体は製造でも前工程、後工程、検査、と多様なメーカーが存在しますが、買収や合併で規模を拡大し、管理費を縮小するぐらいしか当面戦略も描き難いでしょう。
そんな中、国家が企業経営に責任をもつ、ということがどの程度難しいのか?来年辺りには厳しさも実感できるはずです。過剰流動性で、国が更に民間企業の経営にまで立ち入る。そうした大きな政府の流れの中で、縮小する市場規模とのバランスを崩した時が、国家的な危機にも繋がるのであり、この点は国の動きをきちんと見ていかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2009年07月04日

雑感、幸福実現党について少し考える

以前少し取り上げた幸福実現党、大手新聞の1頁を使って広告を打つなど、資金力のある活動を続けています。まだマニフェストが出ていませんが、広告やチラリと目を通したものでは、幾つか気になる内容も見受けられます。憲法改正や中国、北朝鮮への備えを訴える点は、リベラルな印象も受けますが、意見の中の一つに大統領制を唱えていることがあります。
国王を推戴する国は、一部小国では異なる場合もあるかもしれませんが、総じて行政長官のトップは首相です。大統領制にも様々な形がありますが、議会から独立し、強い権限をもつのが大統領ですが、そうなると天皇制とのすみ分けの問題が生じます。厳密には並存も不可能ではありませんが、天皇制に手をつけると、憲法改正どころでは済まない事態となるでしょう。

更に宗教と政治は補完し合う、という主張をしていることがあります。政教分離は日本の大原則ですが、これは日本の偉大な文学者であり、思想家でもある司馬遼太郎氏の言葉を要約して引用します。「イデオロギーは宗教と同様、それ自体が虚構である。虚構は人がそれに酩酊するときしか実在しない。イデオロギーは水でなく酒、酩酊できる者以外には幻である」
同様に「酩酊できる人間は一割に満たず、稀少であり、孤高であり、悲壮であるが故に酩酊しない者を恫喝する」と談じます。これは特徴的に日本に当て嵌まりますが、日本では宗教、イデオロギーを声高に叫ぶ人間は一部です。世界では習慣、思想信条にまで入り込み、多数派を形成しますが、国の形としてそれは必ずしも幸福なものとはなっていません。

つまり酩酊者が支配する国は、それに反対の意見、思想をもつ者にとって、恫喝以上のものが存在する国でもあります。特に日本において酩酊者は一部でしかなく、それが政治を握ることには危険を感じるでしょう。宗教で補完されることは背骨が通る、という表現もあるようですが、血の通わない政治では何の意味もありません。血が通う、とは体の各部に栄養を行き渡らせることであり、骨ばかり太くても脆弱な身体にしかならない、ということでもあります。
以前も指摘しましたが、資金力はかなりありそうなので、小選挙区や比例に多数の議員を送り込めば、数名の当選はあるかもしれません。ただ意見の中に、多数に受け入れ難いものがある以上、多数党になることはないでしょう。議員の少ない少数政党は政党助成金もなく、厳しい運営が見込まれます。また得票によっては供託金の没収もありうる立候補、その資金力による活動の継続性如何により、様々な評価もできるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(9)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年07月03日

党首の責任について

東京都議選が告示されました。麻生首相が「何となく気分で選ぶ問題ではない」と述べていますが、何となく自民党に任せ、現状に至っていることを考えれば、この言葉はそのまま自民党にはね返ります。「政権交代が景気後退」が好きなフレーズのようですが、理屈は語られず、また世界的に見て日本の景気後退が大きい原因は政権運営の結果でもあり、韻を踏んでいて響きは良いかもしれませんが、国民の心に響くものとはならないのでしょうね。

民主党の党首に再び政治と金の問題、という話もありますが、両者は明確に別けて考えた方が良いものです。タレントの不祥事と重ねることができますが、罪を認めず第三者からの告発を受け、係争中の問題では、番組を降板してもタレントは廃業しません。小沢氏はこの状況であり、党首は辞めても議員は辞めていません。代表代行という処遇の正当性は色々ありますが…。
一方で鳩山氏の場合、本人が非を認めていますが被害想定が低く、悪質性を問えるかどうかは微妙です。ただ不祥事は確実なので、説明責任を果たせば良いということにはならず、議員報酬の何割かを返納、なりの懲罰的なものは必要です。その上で誰も得しない、このようなことを何故したのかを解明し、国民に発表すべきです。自民党が参考人招致を検討しているようですが、それを行えば今後誤記は通用せず、金額の多寡で区分することも難しくなります。むしろそれでも唯一の責めどころとしたい、自民党の窮状を示す行動なのでしょう。

自民党に話を移します。党役員人事が棚上げされましたが、基盤の弱い、重鎮に担がれている政権が独断で、人事を行えるはずがありません。麻生氏の問題は、誤解していることを本人も周囲も気付かず、動き出しては常に失敗してきたことです。しかも本人が失敗と認識していない様子も窺えます。記者会見で苛立つのは、抗弁でなく本人の中では、単純に周囲の無理解さを嘆いているだけなのかもしれません。
人を率いるリーダーとしての資質に、結果に責任をもつことなら、麻生氏はその手前にも至っていません。半径1.5mの男とは、首相としての威厳を認め、構えて会うと上から目線や鷹揚な物言いが心地いいものの、首相の格がないと判断した人間にとっては鼻につくばかりです。つまり麻生氏は周囲との調和に難があり、それは本人の無自覚と独善性の表れ、と見るのが正しいのかもしれません。

秘書がやった、取り巻きが勝手に話をすすめた、としても人選と仕事を委任した責任は、それを取りまとめる人間が負わねばなりません。麻生政権は閣僚辞任が相次ぎ、その点でもリーダーとしての資質が欠けている、と言えるのでしょう。言葉の上手さや、メディアの露出ばかりでなく、真の政治家を見抜く目を、今国民は求められているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年07月02日

20年度の歳入欠陥と、22年度概算要求

世界銀行が09会計年度の支援額が約6百億$、前年比54%増と発表しました。アジア経済危機時の金額(2百億$強)を越え、更に途上国からの支援要請は続いているので、来年も拡大するとの見通しを示しています。IMFが約700億$近い、SDR建て債券の発行を企図しており、全額を発言権を強めたい中、露、ブラジルが引き受ける見通しです。しかし国際機関が金利の発生する債券を発行、という事態は異例であり、極めて厳しい状況であると言えるのでしょうね。
更に米国カリフォルニア州で、財政非常事態宣言が出されました。米国では財政年度が6月で切り替わりますが、その際議会の同意が得られず、予算執行が停止したことに端を発します。当面、支払いは借用書になりますが、約2兆5千億円に膨らんだ財政赤字で、格下げから財政破綻を懸念される状況は、米国の歩む道のりを先取りしている印象もあります。経済規模が新興国を軽く凌駕する、米加州は国際機関からの支援は受けられず、米国でも行政機関の、それも州単位で破綻する状況は想定外でしょう。米50州の内48州が赤字と言われる米国、警戒しておくべきなのでしょうね。

そんな中、財務省が発表したH20年度一般会計決算概要で、歳入見積もりからの不足が2兆5千億円、歳入欠陥が7千億円になったと発表されました。法人税収が前年比5兆円近い減少ですが、低金利政策で2兆円近く利払い費が圧縮され、これが財源不足を補った形です。
低金利政策は財政への寄与度が高いものですが、一方で預金への利息には不利な面があります。また日本は長期低金利状態であり、ローン金利などへの恩恵も甘受し難くなっています。結果、資金還流のない日本から投資資金は逃げ、日本でデフレが起こり易い元凶の一つともなっています。結果的に企業は日本で安売り競争に晒され、収益を確保できず、海外の景況感に左右されてしまう。日本の悪い形の産業構造に繋がる政策上の問題が、ここに垣間見られます。

そんな中、政府がH22年度概算要求基準(シーリング)を決定しました。一般歳出は過去最大の52兆6700億円に膨らんでいます。法人税収は複数年度で相殺が可能ですので、今回の赤字企業は来年も納税を免れますし、現在の経済環境から来年も歳入改善は見込めません。歳出増分は昨年度の歳入欠陥と合わせ、赤字国債で補填されることになります。
低金利と、債券発行と、それに伴う企業業績等、経済に与える効果と、一体で議論される場が今はとにかく少なくなっています。財務状況が各国、地方行政、さらには国際機関にまで及ぶ現状は、持てる者のみが生き残る極めて厳しい環境です。来週のサミットで、一体何が議論の主体になるのか?未来にとって積極的な議論を、今まさに進めるべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2009年07月01日

6月日銀短観について

6月日銀短観が発表されました。大企業製造業DIは-48pt、これを受けて2年ぶり改善と各紙で踊りましたが、-58pt悪化した前回が異例であり、決して喜べぬ数値です。先行きは-30ptと更なる改善を見込みますが、設備投資計画は9.4%減、経常利益に至っては08年度で6割減から、今年度も4割減と収益環境の改善は、まだ全く不透明な状況が続きそうな雲行きです。
しかも中小企業製造業は-57ptと前回と同じ。9月予測も-53ptと回復の遅さが顕著に目立ちます。一方、非製造業では大企業が-29ptと2pt改善、9月は8ptの改善を見込みます。中小企業では-44ptと2pt悪化、9月は更に1pt悪化を見込みます。大企業製造業の力強さが目立ちますが、これは外需に支えられた回復であり、内需は依然低迷傾向が続くことが一連の数字で分かります。

更に問題なのは売上高利益率が1.89と、第一次オイルショック時の1.55に迫る低水準となっています。これは収益性の高かった欧米市場が壊滅、利幅の薄いアジアへの輸出が増え、在庫状況や工場稼働率に関わらず、企業収益は当面低位のままであることを示唆しています。当然、この数字は設備投資にも影響しますし、雇用などの固定費削減に企業を向かい易くさせます。
雇用環境には若干の改善も見られますが、過剰感は当面続く見通しです。新規、中途採用の減少と同時に、正規社員へ退職勧告等が懸念される水準です。設備と雇用は、企業が拡大する両輪ですから、両者に過剰感がある現状は企業が縮小傾向にあり、規模と均衡していないことを意味します。

そんな中で違和感のある数値が、CP発行環境10ptの改善です。増資、社債発行も活発ですが、それは本来企業が規模を拡大するための資金調達です。得られた資金で収益を拡大させなければ、企業価値全体としては低下します。つまり設備と雇用に過剰感があり、企業収益は縮小していく環境で、増資により事業規模だけは着実に拡大していく状況が、現出されていることになります。
財務リスクの減少が好感される面もありますが、プロは買いたがらない、矛盾のある企業増資が今や個人に売られる時代です。この流れは警戒しておくべきでしょう。増資による増収が見込めない中、金融機関向けでない債権の借り換えをどうするのか?いずれ必ず問題が生じます。

路線価も発表されましたが、REIT指数が再び連騰を続け、日経平均が先物の仕手化で乱高下する現在、金融ミニバブルが起きていることは間違いありません。過剰流動性の消失を、再び過剰流動性で埋める現在、製造業など実体経済への波及効果は低い、ということが短観でも示されました。つまり金融バブルは、個人の資産価値向上という面でしか実体経済、消費に寄与しないことは明らかであり、この点を踏まえて今後の経済を考える必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(0)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般