2009年08月

2009年08月31日

民主党政権の課題について

民主党大勝を受け、側面的な動きを少し追ってみます。株式市場は円高もありましたが、小幅反落です。寄付き30分は上昇しましたが、現物の買い指値が増えない、所謂イベントドリブンによる先物買いのみでしたので、反対売買に崩れた形です。円は従前の流れを踏襲した買いが進み、民主政権なら円高を素直に体現した形ですが、継続性には疑問符がつきます。
諸外国の反応は概ね好感、新政権へのご祝儀だとしても、今後の外交関係の期待値として否定的見解は影を潜めています。一部米メディアや専門化が「対等外交」に懸念を示していますが、これを見ても米国は日本を属国扱い、対等では都合が悪いとでも言いたげな論調となっています。

H22年度概算要求、過去最大の約92兆円と発表されましたが、民主党では特別・一般会計の見直しを示唆しており、予算編成は止まる意向です。様々に云われますが、現状の民主党の不安の根幹は、意思決定の仕組みが変わることにより、どの程度混乱するかだと見ています。
小泉政権下では、小泉氏が書いた看板、その法案の中身は全て官僚が書く仕組みでした。よって与党議員は中身がよく分からず、修正協議にも応じられない。その後の政権も、すでに与党議員に法案を協議する力もなく、意思決定が官僚主導になりがちでした。民主党では国家戦略局をトップダウン方式の頭に据え、事務次官会議を廃止し、閣僚委員会を立ち上げて政治主導を謳います。

この国家戦略局の位置付けが確立し、機能するようになれば予算、法案に関する政治のイニシアチブが高まり、マニフェストも達成し易くはるはずです。内閣人事で、閣僚には睨みの利く重鎮をおき、国家戦略局の意向を官僚に遵守させる形がベストですが、官僚は人事権を握る閣僚にすり寄り、取り込もうとするはずです。情報を握る官僚からどうボトムアップし、それを政策のトップダウンとしていくかは、閣僚と国家戦略局の力関係に関わってくるのかもしれません。
国家戦略局には現職、新人、民間を問わず、有能な人材がつく必要があります。それを差配できる調整役としての閣僚の存在、このバランスを崩せば、自ずと機能不全に陥るのでしょう。色々といわれますが、後衛に小沢氏が控え、ここに睨みを利かす体制が築けると、民主党の官僚コントロールが上手くいく可能性が高まります。影の総理とも揶揄されますが、歴史上軍師を上手く使いこなした人物は名を成しており、裏の仕事をする人間が組織には絶対に必要なのです。

組織はどんなに良いものでも、時間経過とともに堕する宿命を持ちます。法律で縛れない部分をどう監視し、機能を維持するか?それが閣僚委員会、国家戦略局、その他意思決定に関わるあらゆる組織で重要となってきます。そうして早めに仕組みを造り、いち早く日本の国難に対応せねばなりません。昔、小泉政権の後は誰がやっても苦労する、と述べたことがありますが、自民党の後はどの党がやっても政権運営は大変です。そんな中、指揮命令系統の確立はいの一番で構築せねばならない、最重要案件となってくるのでしょうね。

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2009年08月30日

総選挙、自民惨敗の理由を考える

第45回衆院選の投票率が69%台、過去最高に達する見通しの中、民主党圧勝の報が伝わります。自民党は100を切る大惨敗という報道もありますが、今日は自民党敗北の理由を考えます。
自民党の選対に関してはこれまでも無能さに触れてきましたが、自民が頑張れる唯一の戦略は、まず首相交代でした。麻生氏を『古き良き保守』と評する人もいます。解散後すぐ、講演したある県連で「謝らないで、攻めの姿勢が麻生氏らしい」との声がありました。つまり麻生氏の信条は攻めであり、逆風のさ中、風を切って前に進むのはそもそも無理があったのです。

河村官房長官のような人材が、訥々と自民党改革と国をどう変えるかを、解散後一ヶ月かけて訴える。残り10日間程度で戦略を転換、野党攻撃に切り替えていけば、メディアも豹変した自民党が面白いので扱いも増え、自民党を選挙戦の主役に据えたはずです。しかし就任後、一気通貫で野党批判を繰り返した。メディアも取り上げるのは野党批判のシーンのみです。結果的に今回の選挙は、自民・麻生首相が民主党を主役として取り上げ続けた側面があるのです。
しかも麻生氏は「政局より政策」を訴えながら、他の部分では一貫して政局面でのアピールしか出来ないことも、自民への失望に繋がっています。新聞広告では、全面が民主党批判という質の低さ。特に公示後、HPでモラルの低い野党攻撃をする。自分たちの政策は何かが訴えきれない。結果的に自民党の政治家の質が低下したことを露呈し、政策では戦えない印象を国民に与えました。

自民党は変わらない、国も変わらない、そうしたイメージをマニフェストでも、選挙戦でも拭えない。それが選対の無能であり、今回の結果に直結した大きな原因なのでしょう。民主の選挙戦術は小沢イズムと呼ばれる地道で王道、これは風を起こし難い手法であり、逆風はむしろ自民党が吹かせていたのであり、変化を予感させない党は国民から見放されるということです。
以前、自民党の選挙戦術は旧社会党のようだ、としたこともありますが、他者の批判などいつでも出来るものです。自分のやりたいこと、やるべきことを真摯に訴える姿勢がなかった時点で、自民党は自ら下野の準備をしていたということになります。閉塞感が漂う中、変化を期待させない、そんな自民党では誰もがお灸を据えねば、と考えることになるのでしょう。

今回の自民党は負けるべくして負けました。上手くやれば、150は確保すると見ていましたが、そこにも達しない様相です。郵政選挙の逆の結果、これが小選挙区制のダイナミズムですが、戦術が可笑しければ箸にも棒にも掛からなくなる。政治家には、利権のみではなく、選挙、政策において真の実力が問われているという意味で、この結果を受け止めるべきなのでしょうね。

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2009年08月29日

明日の総選挙の前に

いよいよ明日、総選挙の投開票日です。民主党優勢の世論調査を受け、最近ではそれを熱狂とし、冷静さを呼びかける記事や、自民の肩をもつ記事まで、大手メディアでは散見されるようになりました。民主党政権誕生を「パンドラの箱」と呼び、民主は政権を手放さず、その間に日本のシステムが大きく変質し、取り返しがつかないとするものまで。
しかしこの論調には『小選挙区制のダイナミズム』という視点が、完全に抜け落ちています。僅かな優劣が議席数の差に大きく跳ね返る。郵政選挙時と同様であり、むしろ今回は郵政という可笑しな争点でないだけ、まだマシな選挙といえます。熱狂は当時の方が余程酷いものでした。更に民主党政権が長期化するかどうかは、全く根拠なきものであり、小選挙区制下では簡単に政権交代が起きます。民主党は比例定数の削減を謳っており、今後は小政党が更に厳しい選挙戦となり、二大政党制による政権交代が選挙戦の大きな争点となることが鮮明となるはずです。

バラマキが大衆迎合という話にしても、財源なきバラマキに陥れば国民は失望し、そんな政党に次の選挙で票を入れることはありません。問題は、手をつければどれだけの膿が出て、改革を遅らせるか分からない日本のシステムに、どうメスを入れるのかです。年金、医療、介護、経済に至るまで取り返しがつかないところに行く前に、国民はメスを入れて欲しいと思っている。それが『政権交代』という言葉の裏に隠された、総選挙における真の争点、意味です。
消費者庁、年金機構、外交、どれも政権交代となれば混乱する、という視点での記事も増えていますが、混乱するのは当然です。むしろ政権交代を可能とする受け皿のシステムがないことが問題です。省庁と直接交渉する権限もなく、ある日突然政権交代によりトップが代われば、一から説明する必要が生じます。そしてそれは、官僚との結びつきの弱さとして国民は好感しています。先の都議選を見ても、官僚との間の利権集約型を望んでいない傾向が見られます。

問題は外交ですが、対米関係がおかしくなるという人もいます。ですが米国はすでに対中国重視シフトを組んでおり、政権交代により外交政策が変わるのは、当然です。今後は蜜月ではなく、本気で米国と国益をかけた関係を強化する必要があるのでしょう。何より、米経済が低成長に陥り、経済力の結びつきが弱まれば、必然的に新たな関係を構築する必要性が生じるのです。
総選挙、政権交代による変化は、良い結果と悪い結果の両面をもたらします。肝心なことは、その両方を必ず受容しなければならない国民は、選挙によってしか意志表明を出来ないことです。今回行使する一票が、次の選挙でどう変わるかは、選ばれた政党がどういった政権運営をするのか、それに掛かっているということなのです。前回の郵政選挙、それからの4年間国民の期待に応えたのかどうか、それが今回現れるということになるのでしょうね。

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2009年08月28日

雇用悪化に見るデフレスパイラルへの懸念

米自動車買替支援制度は日本車が最大の恩恵を受けました。GM、クライスラーが民事再生法提出の時期であり、生産を絞った影響もあったようです。但しこの結果、同種の支援制度は今後、米議会で承認される見込みがなくなりました。低燃費支援を銘打てば、現状アメ車は不利であり、仮に復活するとしても条件付、米国内生産車などになる可能性があります。
そんな中、トヨタが米自動車生産工場NUMMIの閉鎖を決めました。25年来のGMとの共同生産でしたが、GM撤退により採算が合わなくなったことが理由です。NUMMIはトヨタが米国で有する工場の内、唯一の全米自動車労組(UAW)に加盟する工場です。UAWが強くとも、逆に強いからこそ撤退してしまう。コスト削減が急務の企業において、労組に縛られて経営自由度が低いと、激変する世界の需要に対応できず致命的になります。GMと折半できる今しか、決断のタイミングがなかったと見ています。

厚労省発表の有効求人倍率0.42倍も、総務省発表の7月完全失業率5.7%も、実質消費支出2.0%減も、総合的には雇用・消費の悪化を示しています。昨年の原油高と重なり、前年比で見ると厳しい面はありますが、明らかにデフレ・スパイラルの傾向を示しており、対策が必要です。
しかし企業支援を強化してもリストラ費用に代わるのみであり、人件費削減で得たコストを販価の低下に回す、悪い循環が続きます。この点は今回の選挙でも、どの党も触れていない視点であり、一旦スパイラルに陥れば外部環境が好転するか、しか手がない状況です。職業訓練や失業保険拡充も、雇用に直接結び付くものではなく、経済の拡大という実がない中で企業が採用に踏み切らない限り、それだけでは有効な手立てではありません。

新興国と競争する、とは即ちそういうことであり、先進国の低成長はそのまま労働環境の新興国化を進めます。トヨタがNUMMI撤退のみではなく、世界の生産台数を減少させる意向であるのは、結果的に世界経済の縮小規模に対応するものであり、企業判断としては間違いではありませんが、そこで失われる雇用と、設備投資の低下は今後の経済にも影響するのでしょう。
経済対策が総選挙でも焦点でありながら、雇用対策は目ぼしいものがないのが現状です。政治の無策、というより世界規模の課題となりつつありますが、まだ欧米では認識できていない。経済が拡大し、その内雇用も良くなるというのがコンセンサスとなっています。日本が優秀な人材で世界を席巻する、そうした方向性を持つのなら、いち早く先進的な雇用対策を打ち出し、世界に範を垂れることも必要なことなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2009年08月27日

米国バーナンキFRB議長が再任か?

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、4-6月期運用実績を発表し約4兆5千億円の黒字となった、と発表しました。内外株式で4兆円の荒稼ぎです。3月までの暴落時、相当買い支えに動いたことも影響していますが、右肩上がりの相場環境が大きく寄与した形です。
内外債券は約5千億円の黒字ですが、相場が安定しているとはいえ、不安感が台頭すると債券が買われ、それが寄与しています。ただ債券相場は応札不調が頻発する米国債を見ても、急変には注意せねばなりません。先進国のどこか1つでも債券相場が急変すると、それは全世界を大津波に巻き込みます。債券の持合は、一国の事情に留まらない一蓮托生を示唆していると言えます。

債券相場にも影響する、米バーナンキFRB議長の再任をオバマ大統領が発表しました。議会承認が必要ですが、市場もバーナンキ氏を支持しており、すんなり決まりそうな気配です。但しリーマンショックを引き起こした張本人であること、またベアスターンズ買収、AIG国営化に関して、情報公開しなかったFRBの手法が違法との判決が出ており、若干の不透明要因を残しています。
そして最大の問題は、肥大化したFRB資産とバブル化した米経済の出口戦略です。恐らく年末に向け、拡大したFRB資産と金融監督権限付与の話で、FRBの力関係は一旦ピークを打ちます。その後縮小に転じるのか、更なる拡大方向に至るのか、により米国におけるFRBの位置付けも変わります。FRBという国の行政機関でもない組織が、どこまで権限を拡大し続けるのか?今の高い信任が、仮に二番底をつけに行く時まで継続できるか?が重要となってくるのでしょう。

バブルの兆しは日本の証券市場にも存在します。民主党関連銘柄、インフル関連銘柄など、最近は関連セクターの株価が跳ね飛ぶことがあります。これはイベント・ドリブン型の資金が、全体相場の上値の重さと、それでも運用せざるを得ない事情で値をとる動きも一部に関係しています。金余り状況における、好材料が出易い銘柄に資金が振り向けられているのです。
理由をこじつけてでも楽観が続くような相場は、バブル環境下における動きです。問題は継続性ですが、バーナンキ氏はバブル継続を示唆しており、金余り相場はしばらく継続の見込みです。ただイベント・ドリブン型は、悪材料に際して激しく売りを入れる傾向があるので、超緩和的金融環境でも、決して楽観ばかりでいてはいけないのでしょう。

金融バブル崩壊を、自身が「信用緩和」と称する超緩和的金融バブルで、一旦は凌いだかに見える世界経済。しかしその間にも不良債権処理が進まず、短期利益に走る金融機関の監督さえままならない中では、逆に問題を蓄積している状況ともいえます。一国の破綻が世界に波及する、そんな環境で生み出された世界規模の金融緩和措置、先行きは相当に難しい舵取りが必要となってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2009年08月26日

農業政策について考える

この時期、政治を取り上げる場合は公選法もあり、個人のブログでも候補者名を記載しない、論評に留め公正を期すため単一の政党のみを取り上げない、など難しい側面があるのですが、自民党はその壁を突き崩しているようです。所謂民主党へのネガティブキャンペーンを展開中であり、選挙活動と切り離した政治活動、としてHP更新や新たな文書図画の頒布も可能としています。
公選法では『総選挙における政治活動の規制』もあるのですが、どうも済し崩し的に選挙機関中のネットでの活動も、拡大する方向なのかもしれません。ただ旧社会党のようなネガティブ・キャンペーンばかりで、国民が振り向くかどうかは懐疑的です。不満に答えられず、不安を煽るばかりの政党では、そこに抱くものに期待はなく、批判票の受け皿のみの存在となります。特に野党の政策には不透明感があるものの、そこに不満はないのですから、今回批判票も多くありません。この戦略だけで一ヶ月以上戦い続けるのは、やはり無理があるのでしょう。

農業政策について考えてみます。自民は抽象的な記載で目標だけが載っていますが、食糧自給率50%、農家の所得を最大化、減反は不公平感を改善、などが挙げられます。一方で民主は戸別所得補償制度が目玉で、米国との自由貿易協定(FTA)締結を、交渉促進に変更しました。
FTAは農業だけでなく産業界からは締結の要望も出ています。それは外需依存の日本では、輸出を高めることが必須であり、相手国の関税が低下すれば、産業界にとっては願ったりの状況となるからです。ただ現状のように課税対象範囲が削られること、それにより高い関税をかけて国内を保護してきた、従来の農業政策は米国に限らず、見直しを迫られることになります。

欧米では補償を与えて大規模農業を促し、その結果安い農産物を海外に売り込んできました。日本でこの方式をとることは、現状適いません。大戦後の農地改革、減反に見られる農家の小型化、兼業化を推し進めた結果、農業のみでは生計を立て難い環境を築いてきたからです。
つまり戸別補償制度が農業を産業として育成するには、ただの補填ではなく、育成に軸足を置かねばなりません。しかし先日メディアで取り上げていたように、カロリーベースの計算では、外国産の安価な飼料や肥料で育てられる作物では、自給率自体は上がらない旨を取り上げていました。つまりすでに安価な農産物は日本に大量に入り込んでおり、FTA締結の影響が自給率を大きく変動させるかどうかは、詳細な検証を必要とする問題となっています。

つまり現状までの日本がとってきた政策に足を縛られつつ、新政権は新たな策を施す上で相当厳しい状況から始めねばならない、という制約つきなのが現状です。いきなり戸別補償だけではなく、制度として農家が自立できる環境作り、下地作りから始めねばなりません。FTAを導入しても、低コストでの製造、輸送を促進してきた防カビ剤や防腐剤の制限を課すことで、ある程度対策も可能なのでしょう。日本は米国の圧力で禁止されていた薬品を解禁してきた歴史があり、国民の健康と農家の努力を無にしないためにも、こうしたところから見直すべきなのでしょうね。

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2009年08月25日

雑感、宇宙開発について

新型インフルエンザの対応について、厚労省の対応はどうもチグハグです。10月末まで準備できるワクチン1700万人分の優先摂取の内訳試案が出ました。1千万を基礎疾患のある人、百万を妊婦、6百万を乳幼児、としています。ですが8月に秋の気配を感じる中、10月末ではすでに大流行をきたしているかもしれず、更に言えば既に感染して免疫を有している人も多くいるはずです。
現状でも拡大傾向にある中、2ヶ月先であれば免疫検査とワクチン摂取の2段階を踏まねばならず、流行期であればどれほど効果があるかも分かりません。また特例で、日本で認可が下りていない海外のワクチンを輸入すれば、副作用が出た場合、全額国が弁済の責を負うことになります。最終的にワクチン接種は自己判断、というのは良いのですが、予見を怠り慌てて対応を検討している時点で、厚労省の怠慢さを指摘できるものとなっています。

今朝の緊急地震速報の誤報には驚かされました。技術に絶対はありませんが、誤報を訂正するシステムがない、という点に強く問題を感じました。気象庁の対応には誠実さがなく、揺れを20倍に増幅して伝えたが、実際揺れたからとして訂正情報は1時間以上流しませんでした。
そんな気象庁は先日、次期気象衛星の運用を民間委託する意向を示しました。コスト節減のためですが、むしろ民間にノウハウが溜まることが、今後の日本の宇宙ビジネスの事業展開の上でも有利です。そんな中、政府は中型ロケットGXについて、今後の事業に暗い展望を示しました。

宇宙開発は巨額ビジネスです。GXも官民共同で計画が進められましたが、H2Aより安価で、市場占有率が高まる見込みがたたない中、撤退は已む無しです。特に金融危機後に各国政府も財政が逼迫し、宇宙開発はしばらく停滞する見込みです。10年先の需要を見通しても、巨額の開発費がペイするだけ、宇宙ビジネスが拡大するかは冷静に判断する必要があります。
但し概算要求ではエンジン開発が盛り込まれ、事業全体の計画と個別部品の製造にズレも生じています。軍事、航空機に転用する計画が先に立てば良いですが、そうした方向性も有していないようです。LNGが調達し易いエネルギーだとしても、整合性のない計画では、これも行政のムダ遣いと指摘することも可能です。

韓国が人工衛星搭載ロケットを打ち上げ、失敗しています。沖縄上空を通過していますが、日本ではほとんど記事にならず、注目度も低かったようです。ただ北朝鮮にしろ、安全に宇宙に飛ばすのはとても難しい技術であり、限界環境に耐える素材、システム造りと、高度の情報処理による制御技術を必要とします。それは先端技術の粋を集めて行われる国家ビジネスでもあるのです。
日本が数十年先の国益を考えたとき、宇宙でどれほどのビジネスチャンスを掴もうとしているのか?しっかりと議論し、それに沿った計画をたて、遂行していく必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 

2009年08月24日

経済の話。選挙と市場の動き

投票日まで一週間を過ぎ、市場から見た選挙後の姿についても、一部で語られるようになってきました。民主政権が誕生すれば、短期的にはネジレが解消され政権が安定するから買い。イヤイヤ、政治マネーが先物で下支えに動いているから、選挙が終わればその巻き戻しが起きる。外国勢は郵政解散並に買いを蓄えてきたので、一旦は材料出尽くしになる。イヤイヤ、まだまだ好感して買い上がる、等が、私が耳にした中では一考に値する内容でした。
あくまで噂の類ですが、○政マネーといえば、昔は仕手系と同じ、個別銘柄で値をとる形が一般的でした。選挙マネーを稼ぐための一手法という位置付けです。それが今は、見掛け上好景気を演習するよう先物に資金を振り向けていると言われる。確かに登録制になり、大量の資金を運用し難くなったとはいえ、時代の変化と、政治の都合との間で市場も変化したと感じます。

米国でも同様の事情があり、バーナンキFRB議長は来年の議長再選に向け、市場に優しい発言を繰り返すようになっています。景気は回復に向かっている、ただし回復テンポは緩やか。これは超緩和的金融状態を継続し、一方で底打ち宣言をした形となりました。発言で市場をコントロールするのも議長の役目ですが、自分の立場が重なるだけに、恣意的な意図も感じます。
しかも緩やかな回復では、性急な設備投資や人件費拡大を必要としない。つまり雇用と消費は拡大しない景気回復を示唆しており、浮いた企業コストは新興国との競争に晒される、製品の販価引下げに向かいます。それが更にデフレ傾向を強め、超緩和的金融状態に正当性を与える。その循環が続くことを、この発言では強く訴えたという形になるのでしょう。

唯この発言で市場は一気に楽観に傾きました。ですが、選挙後の月末ドレッシング、9月メジャーSQを控えており、夏枯れを乗り切った市場には強気ムードも漂います。ただ買いは一気に走るものの持続性がなく、先物大手の仕掛けが目立つ点では、本格回復とは指摘できない環境が続いています。むしろ現物株の取引量が増えない時点で、日本勢の見送りも目立っています。
当面の不安材料は、超緩和的状態で潤う欧米金融機関ではなく、中国バブルの行方と欧米の地方行政機関の財政赤字に移っています。国より格付けが低い地方債の発行状況が、現状の経済を図る一つの指針ともなりそうです。欧米が楽観に振れる中、欧米にも不安材料が内包されており、それが市場に影響するという点では、目配せしておいた方が良いのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2009年08月23日

経済の話、為替市場の動き

為替で一時ドル/円が93円台をつけるなど、若干不安定な動きを強めています。今年、一部企業の想定為替レートが95円もあり、この水準を大きく抜くと業績に影響してきます。
しかしドル以外の主要通貨で見ると、円安か横ばい傾向を示しており、一時的な円キャリーの巻き戻しから戻ってきた感もあります。つまり直近の動きは、円に対するドルの弱さが際立っており、この背景には中国経済への不安があったと見ています。上海市場が20%近く急落しましたが、人民元はドル固定されており、外貨準備もドル偏重です。中国経済に不安が生じるとドルも影響され易くなっている、そうした環境を想定することが可能です。

ユーロ/ドルで見ると、若干ドル安傾向を示していることからも、ドル不安が直近の流れを決していたのでしょう。先週末、バーナンキFRB議長が景気回復を示唆し、ドル不安が晴れたことで若干値を戻していますが、今後も不安定な値動きが続きそうです。スワップ協定で世界にドルの供給不安は起こり難くなっているものの、米国債の行方とともにドルは供給サイドからも、需要サイドからも不安定さを増しそうです。
上海市場は取引者に対する情報量も少なく、かつ売りヘッジもなく諸外国に門戸も開かれていない、特殊な市場です。それが世界に影響するのは、中国の資金供給量が細ることにより、需要が落ち込むことを懸念するからです。しかし市場としてみれば、未成熟な上海市場の上下動に引きずられるのは、やはり不健全な印象も受けます。

為替市場の変動には、一部で民主党政権誕生の要因も含まれるといいます。バラマキ政策で歳出拡大が見込まれる、と言いますが、自民党も当面は景気対策として歳出拡大を示唆しており、為替は3年も4年も長いスパンで取引するものではないため、この点は当たらないでしょう。ただ民主党が米国債購入に難色を示唆し、為替介入せず、という印象を為替ディーラーに与えた影響はあるかもしれません。中国の動向とともに、米国債の買い手として日本の位置付けが変わることは、為替に少なからず影響してくるのかもしれません。
日本が為替介入をイメージするには、80円台に突入して初めて可能です。現状、云々するレベルにありませんが、200日移動平均線が上向かないドル/円、95円の水準を抜き、当面円高局面を意識され易い中で、諸外国の動向次第でまた不穏な動きも出てきそうです。世界が不安定になると、安全通貨として円が買われ易い、という傾向は欧米が自分たちの経済に自信がない、その裏返しの動きでもあります。少し懸念しつつ、動向を見守る必要があるのでしょうね。

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2009年08月22日

民主党のバラマキは効果があるか?

世論調査の結果を見ても、民主の強さが際立ってきました。選挙は水物、とはいえここから大きく情勢を変えるのも難しい状況です。民主党は内需主導の経済成長を訴えていますが、子供手当てなどを含めたバラマキとの批判もあります。ただ、定額給付金が想定以上に消費を喚起した、との調査も一部で出されています。プレミア付きの地域振興券に変えられ、定説通りに貯蓄に回ったのは10%にも満たないとの結果まで。この原因を少し考えてみます。

毎月勤労統計調査の推移を見ると、6月給与総額は前年同月比で7.1%減、夏季賞与14.5%減、所定外給与17.7%減が大きく、過去最大の落ち込みです。この給与総額を月毎に追うと、5月2.9%減、4月2.5%減、3月3.7%減、2月2.7%減、1月1.3%減となります。この数字は6月で13ヶ月連続の減となっており、家計はリーマンショック前から給与所得が減り、痛み続けています。
これと並行するように消費者物価も下落していますが、物価は価値なので価格下落を伴わない場合もあります。その結果、一時的にしろ所得が減った分の家計の補填として、定額給付金は消費されたと推測が可能です。また低所得者層の拡大があります。生活に余裕もなく、元々貯金もない。その結果、数万円程度ではそのまま消費に回ることも増えたと考えられます。

つまり現状、定額給付金に見られるように、政府支出を個人に回すと消費され易い傾向があります。これはエコ対象減税などでも顕著であり、お得感が今の消費傾向を決定します。金曜日の相場の下げも、米新車購入補助の打ち切り、国内のエコポイント等の補助制度が年度内で打ち切りになることなどが材料視され、消費に懸念が生じたためでもあったのでしょう。
民主党のバラマキも一定程度効果がありそう…とはいえ、これは経済面から見て決して好感できる材料ではありません。それは毎月勤労統計の数字を見ても分かりますが、消費が拡大して製造業が活性化し、賃金が増え、それが経済全体を潤す好循環に入らなければ、決して景気対策とは言えません。民主党は次の総選挙までの4年間の公約としていますが、この視点は抜け落ちているといえます。

しかし自民のいうプラス成長に戻した、ことも決して好材料ではありません。それは財政出動に比べ、内需全体の効果は低く、外需依存であることがより鮮明になったからです。
民主の内需主導型では、根本的な少子高齢化の対策が遅れる限り、低成長のままとなります。内需拡大型の経済成長、が目指すべき本来の姿であり、仮に民主党が政権をとった場合は、次の4年にその姿をどう国民に見せるかが大事になるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:36|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年08月21日

世論調査の結果について

朝日、読売の世論調査で民主党300議席、の数字が紙面を踊りました。以前から自民選対の戦略の無さは指摘しています。終盤に民主党の国旗切り刻み問題を持ち出し、保守層に訴えかけていますが、一般人は何が悪いのか、ピンと来ていない人も多いでしょう。それは最近、旗日に日本国旗を立てる家庭も少なくなったように、自民党の長期政権の間に国旗自体の価値に、日本人が鈍感になった面があります。確かに強い保守層は同調できますが、国家に対する信を失った人間も多いように、国旗に対する念は以前と比べても、大分変わってきているのです。

これは景気対策にも言えます。GDPベースでは実質2%程度の成長を達成しましたが、実質的な個人所得はほとんど上昇しませんでした。非正規の拡大等もありますが、10年で100万円所得増を訴えても、明確にアウトバーンが示されないと、中々同調はできません。不満が懐疑となり、不信へと変わる。自民はこれまでを反省し、未来を語る。即ち『出直し』でなければいけなかったのに、他者の攻撃ばかりに集中している。悪く言えば『開き直り』をしているようにしか見えません。
舛添厚労相が「インフルエンザ拡大は個人の怠慢」と、訳の分からない攻撃をしていますが、他人を攻撃して自己を正当化する行為ほど愚かなものはありません。それは誰も評価しないのです。自分がどうしたいのか、どう変わるのかを訴え、この時期から批判に転じても遅くはなかったのでしょう。自民は色々な意味で、敗戦への道を歩んでいるといえるのです。

一方、民主は王道です。時期を図り、田中真紀子氏の入党を公表する。マニフェストの変更も、ブレと揶揄されますが、結果的に民主党への関心を引き続けることになりました。真夏の長期戦で、厭きさせることなく選挙の注目を引くには、上手い戦略だったと云えるでしょう。逆に、こうした選挙戦術はかつての自民党が得意としたものであり、最終的に民主の弱点とされた経済、外交面に一定の記述を載せ、党内を纏め上げることに成功しています。
しかし民主が注目を集め続けたのとは逆に、他の政党は埋没懸念に晒されています。元々、政権交代が主題になると小政党には目が向き難いのですが、マニフェストにも新奇性が少なく、また目新しい材料もないため、中盤戦は完全に置いていかれた形です。王道といえば王道ですが、政権与党を批判する野党的対応では、やはり国民の目はひきつけられないのでしょう。

恐らく、自民党候補はここから泣き落とし、情に縋る戦術が増えるでしょう。それほどこのタイミングで出た世論調査の結果としては、インパクトが大き過ぎます。勝たせ過ぎは良くない、等の責め方も考えられますが、お涙頂戴の悲壮感だけで、国民の不満が解消できるわけではありません。自分たちが何をするのか、明確に国民に伝えて来なかった時点で、やはり戦術が間違っているといえるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年08月20日

新型インフルエンザの拡大

沖縄で初の新型インフルエンザの死亡例が出てから、俄かに行政機関も新型インフルエンザに慌しく対応しています。夏場に感染は拡大しない、と高を括っていたようですが、発生場所が3月のメキシコであったことから、個人的には夏場の感染を危惧していました。発の感染が確認されたメキシコ・ラグロリアは、北緯20度よりやや下に位置し、また高地の多いメキシコの中では比較的低地にある町です。高温、高湿度には当初から強かったのかもしれません。
しかも現在、意見交換会を開いてワクチンの優先順位を、今から決める始末です。4月のバイオテロかと思わせる重装備による入国管理、医療機関の警戒は何だったのか?奇妙な対応と云わざるを得ないのでしょう。しかもワクチンは1300万〜1700万人程度しか確保されていません。感染力は強いが、重篤化は少ないとの理由で検討すらされていなかったとすれば、行政は怠慢の謗りを受けるのでしょう。特に各国は対策を発表しており、日本の遅さが目に付きます。

ちょうど昨年の今頃、政府はパンデミック前のワクチン接種に対して試案を公表しています。カテゴリー1には医療、保健所、救急・消防隊員、自衛隊、警察、等の対策、拡大防止に従事する人や在外公館職員、空輸、海運など海外との接触の多い人が当てられます。カテゴリー2は首相を含む知事、市町村長、国会・地方議員、報道機関、法曹関係者など、いわゆる意思決定機関を防護する人が並びます。カテゴリー3には国民の生活維持に資する製造業、運送業、公務員、インフラ関連従事者が含まれます。お気づきと思いますが、この中に持病を抱えた人、高齢者、インフルエンザ脳症を発生し易い子供、乳幼児を抱える家庭、などに対して目配せはされていません。
これはあくまでパンデミックを想定したものですが、社会システムを守るだけでは、国民も納得しません。特にワクチン不足が著しく、また十代へのタミフル投与が手控えられる中です。タミフル耐性も確認され、今後治療薬の欠如がパニック的対応を引き起こしかねないのです。

更に穿った見方をすれば、弱毒性とはいえ、政府が集会を禁止しないのは選挙への思惑が透けて見えることになります。与党が厳しい選挙戦で、結束力に最も強く訴えかける集会は、絶対外せないとの判断が含まれているように感じます。街頭演説は聴衆が一方向に向き、また屋外であることから多少影響は少ないかもしれませんが、狭い空間に多くの人が集まって行う集会のようなものに関しては、最低限一定程度の規制、抑制があって然るべきなのだと考えます。
選挙戦にしろ、国民が安全で、安心な生活を送ることが第一です。学校が始まって感染拡大が心配、という以前に、大人の責任として集会に参加してウィルスを家に持ち帰る機会を増やすことないよう、配慮することも必要なのでしょう。心配しすぎも、過剰な対応も不必要だと考えますが、少し気にする程度の対策は必要なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 行政

2009年08月19日

今後の経済の読み方

総選挙でも焦点になりつつある景気。しかし昨今の相場環境は中国睨みであり、悪い形で下落に転じています。かつては米国のコピー相場、とまで揶揄されましたが、今は米、中、印、など一体どの国の経済を見ているのか?と感じるほど、他国の市場動向を気にする脆弱な環境に堕しています。日本の景気は外需依存、それが市場コンセンサスとなっています。

今後の経済環境を考えるには、超緩和的な金融市場の出口戦略の行方です。米国はFRBによる米国債、住宅ローン担保証券(MBS)購入、その他政府保証つきの債券発行などで、公的部門の純債務が短期的に肥大化しています。この段階で政策金利引上げは、自らの首を絞めるので不可能であり、これを縮減しない限り、超緩和的状態からの脱却に至る道筋はない、とも言えます。
現状、米国債は10月末、MBSも来年初めには終了となる計算です。両者で総額155百億$になりますが、利回り上昇で価格が下落すれば、それだけで多大な損を抱えます。特にMBSは110bp程度の改善は見込めた、と評価されるものの国債は効果が低い、と断じられています。財務状況の悪化は、金融政策にも不安材料となり、マイナスの効果も意識されるでしょう。

しかし穿った見方をすると、FRBが大量の利子収入を得ることは見逃せません。つまり自身が低金利政策を続ける限り、国債利回りを上回るMBSからの利息で、当面FRBの収支は補填されます。失業率が増加すればREPOが拡大するので、資産運用に不安はあるものの、金利との関係で言えば、これも利上げを手控える要因になってきそうです。
そしてまた各国の財政赤字が減税、財政出動による景気対策の手控え要因となり、かつ税収減が各国でも重荷となってきます。今後、政策対応での景気回復は不可能、これが鮮明になってくるのでしょう。そしてこれを解決する策が、超金融緩和となってきます。金融グローバル化により、先進国単独のインフレは起き難い。一方で金融収益は拡大しますので、そこに課税することで税財源とする。つまり超金融緩和が常態化してしまうことが考えられます。

これは日本の体験からも想定できます。一見バラ色のようですが、その副作用は低金利のため、金融が貸付ではなく運用益により重点を置いた、投機的な値動きが増えることなのでしょう。欧米、中国でも中小企業向け融資は伸びておらず、逆に融資を業態の中心に据える地銀、CITなどは実際に破綻懸念、破産申請も増えています。これは日本でも同様の傾向といえます。
全世界で陥った超緩和状態は、数年の間は継続するでしょう。むしろその中でビジネスを考える必要があります。金融バブルが弾けた後も、より金融の強いビジネスモデルを世界は構築しなければ、当面の財政難、失業率拡大に伴う実体経済悪化は食い止め難いことになります。米国の富裕層向け増税、などの動きはより世界で顕著になります。金融錬金術と、政府の規制、課税強化との狭間で、経済は右往左往していく展開がしばらくは続くことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2009年08月18日

衆院選が公示になる。

韓国の金大中元大統領が亡くなりました。日本とも関係の深い方だっただけに、残念ですね。金大中事件、革新政権の樹立、太陽政策など、様々な面で賛否、謎を残しての逝去だけに、本人には書籍などを通じて色々と残しておいて欲しかったですね。ご冥福をお祈りします。

第45回衆院選が公示されました。小選挙区では自民289、民主271、公明8、共産152、社民31、国民新9、みんなの党14、改革ク1、新党日本2、幸福実現党288、比例は重複も多いので記しませんが、民主党が擁立候補数でトップに立ちました。各政党とも大体読み通りですが、幸福実現党は比例が少なく、小選挙区制での当選が難しい中、選挙戦略としては異例の対応と感じられます。
若干麻生政権の支持率が回復していますが、危機感を抱いた自民支持層の上積みと、麻生氏の非露出化が奏功した形です。ただ小選挙区制の下、僅かな差はそのまま大きな議席数に繋がります。むしろ麻生政権の支持率は、日本人らしいバランス感が生じた結果、と見ることもできるものであり、郵政選挙の反省から勝たせ過ぎは良くないとの懸念が芽生え始めたのかもしれません。

現状、選挙戦はほぼ凪の状態です。民主に追い風、自民に逆風は選挙前から吹いていたものであり、解散から現在に至るまでその流れが変わっていません。一部、民主党へのネガティブキャンペーンもありますが、これも日本人のバランス感覚の故と見ています。特に週刊誌、新聞は国民の関心がある方を取り上げることで、読者を惹きつけようとします。つまり民主党の政策、党内事情に強い関心があるのであり、好悪両材料が出る時点で、国民の興味は民主党に向いている、ということが分かるのです。
公開討論でも同様、関心は民主に向いていました。思惑は様々であり、不安の解消であったり、助長であったりするのですが、政権政党がこれまでの総括をほとんど出しておらず、また政策にも新奇性はないので仕方ない面もあります。しかし未来志向で見ても、民主への興味が強まるのです。

2週間で風向きは変わる、1日で変わる、という人もいますが、情報過多の時代に社会をひっくり返すインパクトを、唐突に求めることは難しくなっています。新聞や週刊誌から、一方的に情報を与えられる時代ならまだしも、双方向の情報交換が可能となった今、検察でさえ情報操作に失敗する時代です。風はメディアからも作り難くなったと云えるのでしょう。
自民の既存政策に則った経済成長路線、民主の内需主導型経済への転換、その効果に対する国民一人一人の判断も重要です。政策の中に、変化の期待をどう織り込むのか?マニフェストによる政権選択選挙とは、現状に不満がある以上、そうした視点で見ていくことが大事なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年08月17日

4-6月期GDPは5四半期ぶりにプラス

日本の4-6月期GDPが発表されました。実質GDPは前期比0.9%増、年率換算3.7%増です。寄与率の高いのは輸出6.3%増、公共投資8.1%増、個人消費0.8%増です。一方押し下げたのは住宅投資-9.5%、設備投資-4.3%、輸入-5.1%となっています。数字を羅列しても分かり難いですが、外需と公的支出に頼った部分が成長を押し上げ、民間の投資環境は依然低いままということになります。
今日の相場は大きく下げましたが、GDPで明らかになったのは外需依存が鮮明であり、しかもアジア向け輸出の寄与度が高いということです。それが中国バブルの影響であり、中国の金融引き締め策懸念が強い中では、日本の成長も危ぶまれることになる。これが無理して買っていた外国人に、一旦手仕舞いを出させたのでしょう。先物主導の側面があるとはいえ、ダラダラと売る嫌な展開は、早晩先週までの相場水準に回帰しないと、下落相場入りを模索することになります。

今回、個人消費と住宅投資が予想以上に低く、全体の数字を押し下げた形です。住宅投資は減税もありましたが、高額物件により効果が出る施策のため、中々恩恵を被れません。また個人消費は、エコポイント以上に所得の減少の影響が出ており、回復のペースも弱いものです。
それ以上に、世界経済の拡大、米国の過剰消費に対応するために過剰設備に陥った企業の設備投資が、成長の足を引っ張っていることも明らかになっています。しかも設備に過剰感がある、ということは雇用にも影響します。冷夏の影響で夏物衣料、クーラーの消費が鈍っていますが、更に野菜、魚介類の価格高騰が個人の余力を殺ぎ、7-9の個人消費は、4-6のプラスの影響からマイナスの懸念すらあります。問題の根幹は所得が減ることであり、この点にプラスの見込みが出てこないと、安心して消費には向かわない部分もあるのでしょう。

10年度にはプラス成長、という予測もありますが、実体は厳しいと見ます。企業が本業の儲けで稼ぎ、人員拡大計画を打ち出すようにならないと、政策対応だけで長期の経済成長を夢想することは不可能です。政権交代の可能性もあり、将来予測は難しいですが、中国のバブル引き締めから2番底を意識され始めた世界経済を考えると、輸出に期待するのも極めて不安です。
GDPが示したものは、今回は財政出動が効いた。しかし長期の展望は描けていない、ということです。与謝野財務相が日本の外需依存は15%程度と指摘していましたが、日本では部品を内製しており、企業間取引が増えるのであって、それが最終製品を輸出することで収益を稼ぐ環境に、以前変わりないということになります。そしてGDPの依存度からもそれが明確となっているのです。
為替相場も、強く円高を指向し易くなっています。金融業界に蓄えられた過剰マネー、2番底をとりにいくことがコンセンサスになると、それが今度は売り浴びせに回る可能性もあるのです。投資環境とマネー流通量が、今は見合う形となっていない。そんなマネーの動向により、不規則な動きを強いられる市場展開が、しばらく続いてしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年08月15日

終戦の日と日本の安全保障

終戦の日に靖国神社に参拝した閣僚は、野田消費者担当相一人となりました。これは外交を柱に据える麻生政権が、中韓との間で政治問題化し、総選挙に影響する流れを嫌ったものでしょう。中韓の反発は異常ですが、日本の戦後処理も世界的に見て異常であり、中国の遺棄化学兵器の回収を申し出るなど、政府による戦争に対する考え方に整理のついていない点が、諸外国からの侮りにも繋がります。特殊法人化なのか、慰霊碑なのか、実は自・民両党の党首の意見にも隔たりがあるように、政府見解が定まらない問題ともなっています。

安全保障を考えてみますが、最初に自民の「米国に向かうミサイルの迎撃」という意見は明らかに違憲と考えます。仮に同盟国とはいえ、第三国として戦争への介入を示唆すれば、防衛という権利を逸脱します。つまり米国から要請があった場合、政府が行動方針としてミサイル防衛を意図する場合は特に問題ありませんが、要請もなく介入すれば、自衛権の逸脱となります。これは日米関係も同様、米軍が日本政府からの要請もなく、日本の護衛をすることはない、という戦争に対する国際的な条件を意識する必要があります。
経済、外交分野における日本パッシング、という話もあります。これは米中接近によるものですが、在日米軍の位置付けには、中台の接近も影響しています。中国と台湾が関係改善に向け動き出したことで、在日米軍は対北朝鮮が主要な仮想敵国となります。中国の規模に比べ、北朝鮮は兵士の数は約半数、軍事費の推計では、中国と比べ物にならないぐらい低いものです。

この段階で、米国との関係を見直すことには何ら違和感はないでしょう。特に日米地位協定など、未だに敗戦国の位置付けを引きずる問題となっており、日本で罪を犯した米兵を日本で裁けない、という治外法権の存在は見直されるべきです。テロ対策の協力にしろ、米軍追従だけの戦略では早晩行き詰まりを迎えることは必定であり、米中、中台の関係からも在日米軍規模は、米国の経済環境次第で一層の縮小もあり得るのとなっています。
民主の「対等」の位置付けも不明確ですが、米国が民主党の対米戦略に興味をもっている、ということは重要です。つまり今後は膝をつめ、米国と渡り合っていかなければいけない、そうした外交の位置付けの中で、国益を追求することも必要であり、米国をその席に着かせるだけでも有益です。米軍追従さえしていれば、外交判断をせず経済だけにまい進できた、そうした時代は終わったのであり、戦後処理を含めて日本の立ち位置をもう一度見直す時期には来ているのでしょうね。

明日は一日お休みして、17日から再開しようと思います。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2009年08月14日

経済の話、欧米の経済指標と日本市場

日経平均が10500円を越えてきました。今年、私が上限として考えていた水準であり、バブルの末とはいえ強い相場が継続しています。7月のインテル決算発表以降、外国人投資家の買いが現物、先物合わせて大量となってきており、一段高をとってきたというのが実情です。
外国人投資家による民主党買い、中国のバブル懸念で資金の一部を日本市場に振り向けている、等も囁かれますが、最大の理由は供給された資金を使い切れない金融機関が運用先を世界に求めていることでしょう。金融機関はバブル、しかし実体経済は昨日の米7月小売売上高でも弱い材料が示され、回復基調に至っていないことが明らかとなっています。

米国の7月小売売上高は前月比0.1%減、プラスの市場予想を裏切りました。補助のある車購入には資金が向かいましたが、反比例して他の支出が手控えられた形です。7月雇用統計でも、雇用を諦めた労働者が失業率を押し下げたことが明らかとなり、依然厳しい環境が続きます。先のFOMCで超低金利の継続、10月末まで国債買取りの継続が決まりましたが、3千億円の内すでに4分の3を消費、残りを2ヶ月半で弾力的に運用する意向です。しかし7月財政収支で1800億$超の赤字となり、09会計年度では1.8兆$の赤字を見込みますので、財政全般としては苦しいところです。
そんな中、先んじて欧州の独、仏が0.3%の経済成長を達成し、景気後退を脱却しています。民間・公共投資の増加が寄与した形ですが、拡大する財政赤字と失業率が不安材料として残ります。また東欧の回復が遅れており、斑模様が目立つ内容である点も気掛かりです。特に懸念は欧米とも不良債権の洗い出しに消極的なままであり、未だに問題の根幹には手がついていないことです。

米金融サービスのCITが再び経営危機に陥ったように、短期の資本増強で延命が図られても、不良債権がその効果を減殺します。今はバブル的環境で、金融機関に危機意識が遠退いていますが、今の内に不良債権を処理する体制を作るべきです。しかし甘い見通しが目先の利益を優先させ、処理を先延ばしし、結果として危機からの脱却を容易ならざるものとするのでしょう。日本の経験を研究し、早い段階で量的緩和に踏み切った欧米も、日本の不良債権処理が後ズレして景気回復を阻害した経験まで、まだ生かし切れていないのです。
しかしバブルで株は上がる。悪い形の上昇が続きそうです。何より、下げ基調になると大量の先物買いで相場を下支えする、そんな思惑をもった主体がいる限り、相場は底固い、として買い推奨する人間も多くいるのでそれに乗る形となります。問題は実体との乖離であり、今後どの程度金融バブルが実体との乖離を許容できるか?が上値メドとして意識されてくることになるのでしょう。

バブルなので上値は読みきれませんが、欧米も大幅に上値を追うことが難しい環境であり、日本の上値もそう易々と高値をとることは難しいと見ます。特に日本の4-6月期GDPも個人消費がそれほど伸びない、と見ていますので個人的には3%前後、市場予想よりやや悪い水準を見込んでいます。2期連続2桁マイナスを計上した後だけに、プラスでも景気回復を喜ぶ水準ではなく、7-9月の落ち込みも予想される中、厳しい経済情勢が当面は継続してしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年08月13日

地方分権について考える

幸福実現党がドタバタ劇を演じました。久しぶりにこれだけ露骨な話題作りを見ましたが、大川氏が出馬を表明してもメディアに取り上げられなかった、今回は露出が増えた分戦略的には成功なのでしょう。一部、新自由主義的な主張を取り入れていますが、幸福実現党が保守?という素朴な疑問とともに、小政党は埋没懸念から話題作りに躍起なのでしょうね。

地方分権について考えてみますが、日本の前にまず米国について。先に予算案が6月中に成立せず、借用書(IOU)が出され、財政危機宣言が出されたカリフォルニア州も無事予算が通りました。しかし歳出減による行政サービスの低下が著しく、非常に問題あるものとなっています。しかも加州の公務員退職年金を賄う公的年金基金(カルパース)が、金融危機で損失を拡大させ、支給を減額させるか、州政府による負担金を拡大させるか、という可能性に直面しています。両者とも問題を抱えており、財政危機は当分継続されそうな雲行きとなっています。
また州政府は大半が赤字に陥っており、財政危機宣言を出し、格下げを受けることはどこも似たようなものです。米国の州制度では、IMFなどの国際機関から支援は受けられず、州が破綻懸念に陥れば国家に直結します。市単位では一時破綻したものもありますが、州単位の財政破綻は初めてであり、地区連銀や財務省の対応が危機の連鎖を防ぐためにどう機能するか、が注目されます。

日本の場合、道州制も注目されますが、自民、民主ともに地方分権の項目に盛り込まれるのは財源移譲です。自民では『都道府県から市町村への権限委譲』?と意味が分からない文言もあり、国から地方への流れは明記されていません。『法案提出』、『見直す』、『取り組む』という官僚用語で、所謂検討するが実施できる所までやるとは云っていない、という難解な解釈を要する文言があるのみで、地方への権限委譲には消極的な姿勢が鮮明になっています。
民主党も地域主権、という一言があるのみで、権限委譲については積極的ではありません。ただ地方分権の根幹とは、行政サービスにおいて地域の特性にあったやり方を目指し、国と地方の役割を明確とする、即ち行財政改革の一端という側面をもちます。つまり行財政改革と同時、もしくは行財政改革が先行しなければ、地方に権限も財源も委譲できないことになります。それにより行政コストが拡大しては、国も地方も生き残れない、最悪の事態を迎えてしまうのです。

米州政府に見られる問題のように、現状の地方が財政赤字を抱えたまま、スケールメリットを目指して統合しても厳しい運営が予想できます。政策の優先度を間違えると、郵政民営化の過ちと同じ、要・不要の議論が骨抜きにされる可能性も十分あるのです。行財政改革と合わせた、国のあり方を見直すその一環として、きちんと議論されることが大事なことなのでしょう。地方分権が一人歩きし、それが目的化するととても危険なことになってしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(1)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2009年08月12日

自民、民主の財源議論について考える

東名高速道路の静岡県牧之原付近の土砂崩れ、急ピッチの復旧が続きます。確かにお盆休みや物流に関わるので、早い復旧に越したことはありませんが、盛り土の一部を強固にすると、反対側や周囲に歪が出易くなります。きちんと計算された上でなく、行き当たりバッタリで修復計画が変更されているように見え、今後に起こると予想される東海地震に、今回の補修で本当に対応できているのか?政治日程絡みで焦り過ぎではないか?やや心配になってしまいますね。

21世紀臨調主催で、自・民の党首討論が行われました。財源議論では、麻生氏は名目経済成長2%達成に伴う消費税増税で、鳩山氏は無駄遣い削減、予算組み替えで、という基本姿勢に終始しています。これはどちらも水掛け論であり、たら、れば、の話をしているので、どちらが責任あるかではなくどちらの主張が現実的か、というだけの話になります。
消費税を何%上げるかは明記されていませんが、引き上げは景気を下押しするので、仮に一時期2%を達成してもその後は低迷する可能性があります。特に今は世界各国で需要を先食いしており、来年、再来年の反動減を見込むと、2%の経済成長がどの段階で達成可能かは微妙なところです。

無駄遣い削減では、民主の主張する企業会計に準じる財務書類の作成が、どの程度機能するかでしょう。行政刷新会議や契約適正化に向けた委員会の設置、等もありますが、これまでもチェックが機能し難い問題があります。財務書類を作らせても、傘下の法人に積み増して誤魔化す可能性はあるものの、不正会計は国家利益に反する行為として罰することが可能となります。
民主の財源議論は行政改革と一体であり、逆に云えば行政改革が出来なければ、政策がどん詰まりに陥ることが確実です。むしろそこが決意であり、官僚のもつ利権構造から、どの程度国民利益に資する財源を確保できるのか?なのでしょう。これは財源が無責任というより、行政改革に責任をもって行動できるかであり、言い方を変えれば両党とも政治の責任とは何か?が問われていることになります。

しかし残念なことは、両党とも財政には責任をもっていないことです。自民は歳出拡大を当面続ける、というこれまでの成長路線を堅持する姿勢を持ち、民主は再配分という形で財政については現状維持を打ち出しています。国債の利払い増が懸念される中、政治が責任を明示しない部分となっています。特に両党とも年金問題で支出の拡大が見込まれますが、その財源は明らかにしていません。
財源議論はどちらにとっても脛に傷であり、かじる脛も細くなり、どこから搾り出すかでもめているのみです。政治が責任をもつというなら、行政の情報を全て公開するぐらいの気概も必要なのでしょう。情報を公開すれば、不正やその他が国民に向けて詳らかになることを意味します。それに耐えられてこそ、責任ある行政運営ができたということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(13)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年08月11日

中国経済指標に対する不安

今日は朝から緊急災害通報システムで起こされ、寝惚けた頭で揺れを感じました。十数秒では対応もままならず、寝ているよりマシ、という程度でしかありませんでした。東海沖地震のシミュレーションとしては役に立ちましたが、今回は否定されたマグニチュード8クラスの東海沖地震が実際に起きた時は、本当に大変なことになる。逆にそんな実感を強めてしまいましたね。

中国の国家統計局が経済指標を一括して発表しました。これはとても不可思議な動きであり、統計局の人的負担と、広大な国土からの情報収集能力、という両面で不必要なものです。経済指標はどの国もタイミングをずらして発表しますが、それは経済が指標によって激変する、その緩衝材の意味をもちます。先にGDPで偽装疑惑もありましたが、鉛筆舐めて数字を作り出しているのではないか?そうした疑念も起こさせる対応となっています。
内容は7月消費者物価指数が1.8%、生産者物価指数が8.2%前年比で下落し、インフレ傾向ではありませんでした。一方1-7月固定資産投資は前年比32.9%増、7月鉱工業生産が10.8%増と高水準ですが、前月比では下落、市場予想よりも低いものでした。その中で小売売上高が15.2%増と高い伸びを示し、家電や車の購入補助が未だ機能していることを、この経済指標は示しています。

穿った見方をすると、景気対策と超金融緩和策により、市場に資金を投下して投資を促進してもインフレにもならないし、伸びも高水準で安定推移すると示しています。それでいて政策は上手くいき小売は堅調。全てが上手くいっている、そんな中国共産党の手腕を誇るかの内容には、数字が操作された印象も受けます。一括発表により、統計の取り方や集計の方法に不透明感が強くなり、数字全体の信憑性が低くなった、と感じるのは私だけではないでしょう。
以前は電力生産が中国経済の本当の姿を示す、という方もいましたが、これだけ家電が普及すると産業に傾注される分を割り出し、正しい数値を得るのは当面難しいでしょう。そして気になるのは前年比23%減の輸出、7月粗鋼生産量が前年比12.6%増の怪です。輸出の落ち込みを内需でカバーする、といっても中国製鉄鋼には各国警戒を強めており、特に素材関連は先進各国でもまだ回復の兆しがない中で、粗鋼生産が拡大する状況にはやや違和感をもってしまいます。

一躍世界経済のけん引役として、注目され始めた中国。マネーサプライの伸びも前年比28.4%の伸び率となり、市場予想は下回りましたが、相変わらず強い数字です。ただ頼るべき成長国家の経済統計に不信感が強まると、結果的に不透明な市場から資金は逃げます。
日本の4-6月期GDPの予想が+3.03の見込みですし、米国では7-9月から景気は回復基調を辿る予想です。が、前提にある世界経済の安定を脅かす要因が、経済統計に潜んでいることは、極めて危険な状態です。冷静に中国経済を分析し、付き合っていく戦略が必要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2009年08月10日

自民、民主の経済政策について考える

21世紀臨調が自・民のマニフェスト検証大会を開きました。焦点を絞って私も分析したいと思いますが、まずは経済分野です。一部で自民党に成長戦略がある、という言い方もありますが、それは間違いです。今後数年は財政出動を行い、10年度後半に2%成長、3年間に40〜60兆円の需要創出、と謳うのみで具体案は少なく、これは成長目標を掲げたというに過ぎません。
気になるのが、自民マニフェスト内に散見される官僚主導と見られる文言です。『真に必要なインフラの整備』など、必要でないインフラに予算がつくはずもなく、何をもって『真に必要』と判断するのか?全く見えません。細かい部分を除き、全体像を示すのであれば、外需依存を継続するのか、内需充実なのか、は最低限マニフェスト内で示すべき事柄でもあるのでしょう。

普通の国家であれば、2%成長など目標にもならない低い数値です。高齢化とはいえ人口が増加傾向にあれば、全体の所得のパイが増加して消費が拡大するからです。しかし日本は賃金を抑制し、増える就労人口を低賃金で使える非正規、外国人に置き換えたことにより、国内で資金が循環する社会が作り出せなかったのです。非正規は最低水準以下の低賃金も多く、また外国人労働者は仕送りを行い、国内での浪費は多くない。その結果、成長寄与度の高い分野は外需となり、それをマイナスの内需、公共投資が下押しして2%にも満たない低成長に喘いできたのです。
戦略であれば、この構造にどうメスを入れるか?に言及せねばなりません。一方で自民は企業、民主は個人と指摘されるように、民主は個人に手厚い施策が目立ちます。子供手当て、最低賃金の引き上げなど、個人に資金が行き渡れば確実に消費には影響してきます。一部は貯蓄に回るので、確実ではありませんが、民主は内需主導の経済成長を描いていることが読み取れます。

しかし民主の経済戦略は好悪両材料があり、悪い材料は一時的にマクロを下押しすることです。減る公共工事、大企業の収益も悪化するので設備投資計画も減少します。中小企業支援や個人への還付で収益の移転は促進できても、内需がその他の落ち込み分をカバーできなければマイナス成長に陥るでしょう。ただし、金融政策は現在のような、超緩和的状態を続けても経済成長しないという矛盾から、脱却できる可能性は高くなります。つまり国内がメインの経済成長に至れば、金融政策の機動性が経済に直結し易くなる、というメリットが想定できるのです。
両党ともバラマキという指摘も出来ますが、ばら撒けばその分内需には寄与します。問題はバラマキのための財源と、その後の経済運営です。財源議論は後に回しますが、経済運営面で自民の政策には目新しいものがなく、効果は従来型の低成長時代のものが予測できます。

つまり日本では本来成長産業であったはずの医療、介護の分野を点数制にして、成長を阻害したのは従来型の社会、外需依存の企業収益を確保したい、という財界・政界の一致した思惑があり、そこに未だに依拠した部分が自民マニフェストに見え隠れするのです。民主マニフェストによれば、最低限その部分は脱却できますが、後は経済の下押し圧力にどう目配せできるか?なのでしょう。評価としては、効果が限定的の自民と、効果が読み切れない民主、変化の期待という点を加味すると、民主がやや勝る部分でもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2009年08月09日

雑感、最近の覚せい剤犯罪について

押尾学容疑者、酒井法子容疑者が逮捕され、俄かに覚せい剤汚染の深刻さが、日本全国にも広がっています。ただ少し考える点は、出演映画や裁判員制度PRビデオなど、芸能活動の結果として生じる作品の取りやめや中止など、波及的効果とそれについてのコメンテーターの評価です。
二人は俳優であり、演技することが仕事です。確かに作品のイメージとしては悪くなりますが、個人の私生活を取り扱うドキュメンタリーでない限り、作品全体に関して役者はその一部でしかありません。CMならイメージ重視であり、自粛も理解できますが、映像芸術を追及するのであれば、役者の不祥事で作品の評価が変わるものでない以上、中止の必要性には是非もあります。

確かに映画には配給、協賛、協力会社なども含めた判断も必要ですし、今回のような裁判員制度PRビデオなど、イメージが必要でしょう。ただこうした判断の中に、日本人は中庸を好む特質とは別に、意外とグレーな曖昧さを嫌う点が含まれている、そう感じる部分もあります。
つまり白いことが当たり前、一点が黒に染められると、全体まで真っ黒になると意識してしまう傾向が見て取れるのです。コメンテーターの評価にも、作品の中止や停止は致し方ない、という論調が見られますが、私生活を含めて役者を拘束したのであれば、逮捕という事実は契約違反に当たります。イメージでも良いですが、それを作品の一部として使うかどうか、その判断は様々でもあるのでしょう。しかしこうした事件が起きると、一様に決まった方向に判断が傾くのは、日本人全体の傾向に合わせようとする、そうした意図が見て取れるのです。

これは例えば政党の考え方でも同様です。ロシア利権のあった鈴木宗男氏、北朝鮮とのパイプを自認する山崎拓氏、これらを批判する人もいますが、グレーゾーンを抱えて利用する、という戦略性はなく、追い出すか批判するかの二点、つまりそこを悪として捉えてそこで終わり、という風潮があります。
外交など、善悪入り混じっても国益を得なければいけない場面と、今回の件は全く異なりますが、一点のシミもないことを求める国民性が、逆に多様で広範な活動の制限となってしまっている点を、これまでも何度か感じています。犯罪は許せないことであり、猛省が必要なことですが、影響力をいう前に役者に求めることは何か?道徳心を役者から学ぶべきものなのかを、もう一度問い掛けても良いのかもしれません。

覚せい剤を始め、麻薬は絶対にいけないことです。これは初犯でも実刑に処す、などの強い対応が必要なのでしょう。常習性を問題視するのではなく、安易な入手も可能な今は、単純所持でも強い罰則を適用することが必要だと考えます。社会復帰の道を閉ざしてはいけませんが、犯罪によるペナルティを意識することが、あらゆる犯罪でも抑止の第一歩ですからね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2009年08月08日

経済の話、米雇用統計

酒井法子容疑者が出頭、覚せい剤取締法違反容疑で逮捕されました。個人的には、夫逮捕による家宅捜索の結果が報道されず、こうした結末も想定していました。子供の安否が確認されると、堰を切ったように悪材料が出されましたが、早い段階で所属事務所による悲劇のヒロイン像が演出され、それが崩れるタイミングを警察も待っていた印象があります。
任意同行拒否、逮捕状が請求されてからの出頭と、今回は初犯ですが心証は圧倒的に悪く、通常は執行猶予の判決もどう転ぶか分かりません。仮に覚せい剤を抜くため、逃走していたとなると更に心証も悪くなります。事実を認めているようですが、今回は自首が成立しませんので、心証自体から判断すると、最悪の状況を自ら作り出してしまったことになるのでしょうね。

注目の7月米雇用統計が発表され、失業率9.4%と0.1%改善、非農業部門の雇用者数が24万7千人と、市場予想よりも良い内容に債先売/株先買の流れが出て円安が加速、一気に水準を抜いてきました。全体的に民間の減少幅が小さくなったこと、政府系の雇い入れも加速し、これが寄与した形です。ただ自動車業界が雇用増など、若干違和感もある数字であり、今後どの程度この数字の裏づけが出来るかが、今後の焦点に移っていくことになりそうです。
日本の証券市場は、相場の基調が転換しそうになると英銀大手の、大量の先物買により相場が支えられる展開が続いています。ここは買い超となっており、来週のマイナーSQに向けて、整理がつくかが鍵となりそうです。また債先売/株先買の流れも継続しており、それを日銀などの買取りで支える、といった展開がどの程度継続するかも影響しそうです。

一つに、日米の企業業績が意外と堅調だったことが、上昇相場の流れを作りましたが、米国のローン借換え促進が寄与した話があります。低金利ローンへの借換えで、単純な収入環境が改善され、それが消費に回ったとのことです。ただ一時拡大した貯蓄が再び減少傾向となるなど、経済が比較的堅調との意識をもった個人が、再び消費社会を夢想した影響もあるのでしょう。何よりそれを生み出すマネーの絶対量が、今は世界に溢れています。
相場は今、バブルを意識しつつそれが実体経済に波及する可能性を探っています。私の周辺でも、どうせバブルなのだから就いた方が得、という意見も見られます。英国でも中央銀行が国債買取枠を増やし、更に過剰流動性供給を約束しました。今後の世界経済は、金余りの中で蠢く資金の行方、それはインフレではなく、そうした環境が前提の社会に移行する、ということになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年08月07日

小政党の立ち位置の難しさ

渡辺元行革担当相が「みんなの党」を立ち上げました。無所属の江田氏、自民離脱2、民主離脱1を含め、政党要件を満たしていますが、当初の目論見よりは迫力が出ませんでした。支持基盤が壊れたとはいえ、県連単位の支持を得られる政党に属した方が、逆風下でも当選には近道、自民党内もこの思惑で分裂騒動が収束したためですが、更に云えば渡辺氏の行動が、分裂気配も見せた自民党が最後には結束した、最大の要因だったのかもしれません。
みんなの党は結党理念が見えません。行財政改革は喫緊の課題ですが、それは政策であり、大枠で政党の方向性が見出せないのです。これは小政党が抱える悩みであり、メディアに登場する機会も少なく、よほど独自色を打ち出さないと注目も集まりません。しかも渡辺氏が麻生氏と距離があったことは既知であり、ケンカして飛び出した人間は、一方が悪であり善を貫くイメージが添わないと、行動の是非が国民から見えず、グレーな曖昧さを残してしまうことになります。

これは改革クラブも同様、離党して小政党を立ち上げても、政党としての主張自体が矮小化されます。小政党で政策実現能力が低い、ということ以上に、支持者を裏切った点が政治家としての評価を低くしてしまうのです。それを乗り越え、国民に受け入れてもらうには、新党大地や新党日本のような、党首と政党が一体化して主張するような、パーソナリティも必要なのでしょう。
これは諸派として一括りにされる政党も同様です。政権交代がメインテーマの中、それに即さない政党の価値は、今度の選挙は相対的に低くなります。驚くべき候補者数を立てる幸福実現党も同様、都議選の流れを見ても完全に埋没です。今は非現実的な事柄、夢想的な高い目標はむしろ敬遠されます。何より政権政党として必要な要件が求められているのであり、そこには現実との極端な乖離が、むしろ悪材料として敬遠される傾向もあるのです。

民主党の政策は不安、という声もありますが、一部で支持されるのも天下りや年金問題など、丁寧に拾ってきた点がムダ削減、という声に一定程度の信憑性を与えていることがあります。こうした積み重ねがない、ポッと出の野党では今回の選挙、見向きもされないことになるのでしょう。
更に以前も指摘しましたが、自民党の選対、ブレーンは今回特に酷すぎます。麻生首相で総選挙を戦うなら、石原都知事が三選を目指した時に行ったような『お詫び行脚』が絶対に必要でした。しかし麻生氏は自民党内にのみ、自身の失言癖を謝ったのみで、国民の不満には一向に答えませんでした。これが選挙戦で風がない最大の理由であり、素直に政権交代というテーマを踏襲する流れになっています。

メディアも郵政解散の愚は犯すまいと、注目選挙区の選択にも腐心しているようですが、自民大物と民主新人や、チルドレンと民主、などの二大政党制の中で変化を期待させる内容も多くなっています。その中でも、諸派の扱いは低くなっており、小政党の悲哀は、選挙資金と組織力と情報発信能力、あらゆる点で今回は厳しいことになっているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年08月06日

裁判員裁判について

東京地裁で行われた裁判員裁判が終わりました。検察の求刑に近い懲役15年の実刑判決でした。当初から成功を期し、裁判所、検察、弁護士の準備も怠りなく、極めて順調に進んだとの印象です。判決についても妥当な線に落ち着いており、このシナリオを描いた法務省としては、一先ずホッとしているところでしょう。
若干違和感があったのは、選ばれた裁判員に高齢者や若者がおらず、無難な人選だったことです。コンピュータに選出されたのですから、バラつきが出ても良さそうですが、そうでない点に意図的なものも感じます。実体は不明ですが、議論が紛糾することを嫌がったとの懸念を払拭するためにも、面接などの過程での篩い分けのやり方を、もう少し具体的に示しても良いと考えます。

また初日からメディアで批判を受けた、裁判員から質問が出ないとの対応に、質問が出易いよう環境を整えた、むしろ質問させたとの印象も受ける三日目の変化が、何らかの意向を感じさせるものとなっています。裁判員裁判を成功裏に収めるため、質問を促したのなら、これは裁判員に選ばれた人に、大きな負担となって圧し掛かってくるでしょう。
一般の裁判員が対する相手は、犯罪者です。今回の事件でもご近所トラブル、つまり些細なモメゴトが殺人まで発展しています。東京であればまだしも、地方に行けば顔見知りの割合が高く、裁判に関与することで、恨みを買い易くもなるでしょう。特に直接面識がなくても、傍聴席に集まった親族など、誰にどこで見られて身元が突き止められるか分かりません。

暴力団関連の事件には考慮されますが、今は一般人も犯罪に手を染め易くなり、何が事件を誘発するかも分かりません。キレ易い大人、自暴自棄による犯罪の増加は、事件へと誘発され易い環境を意味します。特に今回、匿名性をもつべき裁判員の撮影や会見が行われ、裁判員が事件へと結び付けられたような印象も受けました。冷静に見れば切り離すべきであり、特に日本では守秘義務もあり、裁判員はメディアの前に立たせるべきではないのでしょうね。
そして、裁判員による判決では、死刑が出難くなり懲役、禁錮などの拘束刑が長くなる可能性も指摘できます。死刑の判断は、自己のもつ宗教、価値観、罪悪感などから出すことに躊躇いますが、逆に長く刑務所に留まらせれば反発も受け難い、との判断を下してしまいがちです。

まだ手探り状態ですが、裁判員が正しい判断を下すための仕組みは、まだ幾つか考えられます。例えば裁判員を別室において、直接被告と顔を合わせないやり方など、事件によっては考慮すべきでしょう。弁護士への負担増など、まだ及第点を出すには課題も多いのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 司法

2009年08月05日

クリントン元大統領の訪朝

米国のクリントン元大統領が訪朝しました。米国人女性記者二人の解放、という成果を得てとんぼ返りで帰国しています。米政府は徹底的に私人の行動であり、記者の釈放以外交渉権限はない、としています。ただポデスタ元首席補佐官の存在など、チーム・クリントンの匂いが強い今回の交渉団が、ただ人質を受け取りに行っただけの『お使い』とも思えない部分があります。
以前、クリントン国務長官が二記者の罪を認めるような発言をし、これが今回の訪朝を促した経緯と言います。つまり二記者がどこで拘束されたか、中朝国境の手前か、向こうかについて問い質さないことを確約したことを意味します。犯罪者として特赦で放免する、北朝鮮は元大統領の訪朝と同時に、米国に恩を売った形を構築することに成功しています。

一方で米国は国内事情に妥協した形ですが、国際的な合意には反する行動であり、二重に損を被った形となります。拉致問題にも言及したと伝わりますが、国際世論を無視して自国民の解放にまい進した姿は、かつての超大国の面影を感じさせない、弱腰外交との印象を与えます。
オバマ政権は戦争のできない政権です。話し合い路線ではなく、財政赤字の拡大とアフガン政策の失敗により、軍事の多方面作戦が不可能だからです。外交の痛みを伴って人質解放、という戦略をとることは本来、その後の軍事作戦を予感させますが、そうした傾向は一切ありません。米国がとった実とは、経済政策への不満から支持率が低下傾向にあるオバマ政権が、人権問題には積極的というアピールができたこと、ぐらいなのでしょうね。

昨日、首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」で、敵基地攻撃能力の保有を検討することが謳われました。しかし同時に話し合わねばならないのは、日本は拉致問題を抱え、その条件下でどういう手が打てるかです。もし仮に、拉致被害者を人柱にされた時、果たして日本の政治家に、それでも敵基地を攻撃するミサイル発射のスイッチを押せるのかどうか?です。
自衛隊で被害者が出たらどうするのか?海外派兵で常に反対意見に含まれるものですが、軍を動かす、兵器を動かすというのは、何かを捨てる覚悟がないと出来ません。逆に云えば、その覚悟がない者が『持てば安心』程度の軽い気持ちで、兵器保有を議論することは相当に危険なものです。

自民党のマニフェストにも米国、艦艇への攻撃に対し、防護が謳われています。しかし北朝鮮が日米と事を構える時は、形振り構わず作戦を立ててくるでしょう。民間人の楯など当たり前、拉致被害者にどういう影響が及ぶか分かりません。そこまで見極め、どうするかを述べなければ何の意味もないのでしょう。プライドを捨てて二記者を釈放させた米国の態度。批判もありますが、学ぶべき点もあるのではないかということを、日本も考えるべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | アメリカ

2009年08月04日

中国経済バブルの行方

日銀が7月マネタリーベースを発表し、前年比+6.1、11ヶ月連続の伸びとなりました。紙幣、貨幣の流通高と日銀当座預金の合計であり、当座預金残高が前年比+63.2と高い伸びを示してこれが寄与した形です。ただオペなどで大量に資金を供給しても、政府が懸念するのはデフレです。6月全国消費者物価は前年比-1.7%、コアコアでも-0.38%となり、物価の下落幅は大きいものです。また6月の毎月勤労統計では、現金給与総額が7.1%減となり、賃金デフレも顕著となってきました。

これは欧米でも顕著であり、EUが発表した6月生産者物価指数(PPI)は6.6%低下と、デフレリスクを孕みます。供給に対し、国内に滞留して経済を活性化させる兆しがないのは、先進国金融機関が国際化を進めた結果、簡単に資金を移す仕組みをすでに構築しているためです。
その向かう先は中国です。上海株が年初来90%上昇、6月住宅販売が0.2%上昇、4-6月期対中投資枠が1200億$、今年上半期の投資がGDPの45%程度を占めるとされ、まさに先進国から資金が流れ込み、国内の融資緩和策と加えたバブルの様相を呈しています。中国では新規公開株(IPO)が再開されましたが、売買集中と乱高下により、市場に過剰マネーが流れていることを見せ付けました。

通常、バブル懸念が生じると資金を引き上げますが、融資抑制懸念が生じたときにWTIが一瞬大きく下落した程度で、すぐに値を戻しています。これは先に日米欧で指摘したデフレ懸念が、超緩和的金融政策を継続させ、マネーは大量に垂れ流されるとの観測があることと、中国がバブル引き締めに動けるはずがない、という二つの要素が影響しています。
中国は天安門事件が再び起こることを怖れている。経済格差と政権への不満が、経済が悪化することにより暴発する懸念を強く持っています。GDPの投資の内には公共投資を含みますが、歪んだ経済構造が次に何を生むかは、考えるまでもなく明らかです。重要なことは中国バブルに先進国が乗り、そこに資金をつぎ込み、作った製品を販売し、その間に自国を安定的な状況に持ち上げる、その戦略で世界全体が動いているという危険性を、中国一国が抱えていることです。

中国の上半期融資は7兆4千億元、その融資を正当化するため、中国の各行は劣後債を発行してきました。自己資本比率を改善させるためですが、先に米国で適用された国際基準からも、この劣後債の組み込みは逸脱しています。実体に見合わぬ融資を続けた時、再び経済が悪化すればサブプライム以上の問題が、中国で起きることになるかもしれません。
今は強い、だから乗ってしまえ、というのは一つの考えですが、中国の経済運営がソフトランディングできるかは、今後十年の経済の行方を大きく左右する問題です。連騰や年初来高値が続く中ですが、危機は静かに潜行し、蓄えられているということなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:21|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2009年08月03日

雑感、米の新車買い替え対策

米国で低燃費車買替え制度が機能し、10億$を使いきり、新たに20億$を追加する法案が下院を通過する見込みです。燃費7.6km/ℓ以下の車を、それ以上に燃費が向上する新車に買い替えた場合、最大4500$が支給される仕組みです。日本の燃費基準で日本車を眺めると、7.6など余程古くて大きい車しかありませんが、米国ではピックアップトラックなどの4WDが主流であり、賃金の低下とガソリン価格高騰に悩む家計が多いことからも、助成効果が高く出ているようです。

日本のハイブリッド車が好調なのも、助成効果と2百万円前後の価格設定に、妙があります。軽自動車でも、上位クラスは車両本体価格が150万円を超えるものがあり、小型車でも2百万円近いものがあります。中型セダンで大体2百万円、大型セダンに乗れば3百万円近く、この辺りの購買層を一気に獲得する価格が2百万円です。燃費という実利と、環境に優しいイメージと、多くの人が気になる車に、更に政府から助成金が出るのですから売れて当然です。
日本でもエコカー減税の延長が検討され始めました。一方で電気自動車も三菱、スバル、日産が参入を示唆しており、世界は今エコカーブームと言える状況です。しかしその影で衰退する傾向にあるのが、水素燃料車です。排気ガスが水、という環境に優しい車ですが、一方で水素は天然ガスから取り出すなど、効率がネックとなってホンダやマツダなどが行うのみとなっています。

しかし車の特性上、水素燃料とモーターのハイブリッドが、個人的には最も効率の良い仕組みと考えます。水素燃料の獲得で、最近注目なのが触媒を用いて水から水素を取り出す手法があります。実は、生体内では細胞内小器官であるミトコンドリア内にクエン酸回路と呼ばれるものがあり、ブドウ糖から水素と二酸化炭素を遊離する仕組みがあります。
これらは酵素の仕組みですが、エネルギーを使わず、水素を取り出す仕組みは幾つか見出されており、効率が高まれば安価に水素が利用できる環境が整うことになります。触媒にしろ酵素にしろ、水素を取り出し、利用できるようになれば車は新たな段階に発展することになるのでしょう。電気自動車の航続距離の問題を、温暖化ガスを出さない水素燃料が解決できるのですから。

今のエコカーブームは、あくまで燃費性能に偏った評価です。将来的には、各家庭で水素を取り出す仕組みがあり、エネルギーとして利用できることが、エコに繋がると考えます。太陽光発電も良いですが、蓄電の技術を各家庭がもち、発電した分を無駄にしないことと、時間がかかっても無からエネルギーに還元できる仕組みを作るような研究も、大事なのでしょうね。
ちなみに動物は酸素を吸って、二酸化炭素を吐きますが、酸素はミトコンドリアから出てきた水素と反応して水となり、遊離した二酸化炭素が呼気になります。生態の仕組みを見ると、実にエネルギー効率が良く、こうしたことから学ぶことも多いのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 社会

2009年08月02日

雇用と賃金とマニフェスト

6月完全失業率が発表され、5.4%と過去最悪まで後0.1%です。更に有効求人倍率が0.43倍と最低水準に陥っており、雇用環境は悪化の一途です。政府は雇用調整助成金を出し、企業は解雇せずに一時休業を行う。これが失業率悪化を食い止めており、実際はもっと高いと見られます。
更に失業保険の給付期限を向かえ、生活保護に移行する世帯も今後、増加すると見られることから、失業率の計算自体の妥当性も問われそうです。そんな中、自民党マニフェストにある経済成長で年2%達成、10年で可処分所得100万円増、という政策について考えてみます。

労働派遣法により非正規が拡大、労働者の賃金環境は2000年以降、悪化の一途を続けてきました。賃金デフレ、これが日本を覆う元凶であり、経済成長を阻害してきた要因でもあります。企業は高コスト体質を改め、福利厚生費用を削り、賃金を抑制して収益を確保してきました。
現状も同様、コストカットによる賃金削減で企業は収益を確保しています。これは政府が抑制をしない限り、永続的な傾向です。歴史的に見ても、ソビエト崩壊で共産主義との対立が終わり、資本主義の悪い癖である資本家、経営陣が強い力をもち始め、労働者階層への圧力が生まれ易い現状があります。イデオロギー対立が消失し、特に自民党などは企業支援による雇用維持を謳う結果、経営者の緩んだ規律が雇用調整という形で向かい易くなっていることを意味します。

これは政府主導のバブル相場にも端的影響が見えます。過剰流動性によるインフレ懸念を防ぐため、商品市場は規制強化の流れ。ローン担保証券には政府保証をつけ、不動産価格の下げ止まりを指向し、証券市場は空売り規制、国債は中央銀行の買取りで資金をつぎ込んでいます。これが投資資金の行き先にも影響し、インフレ懸念の中でも金、原油は値動きが悪く、CTAを始めとするコモディティ投資は株や債券への先物へと向かう。それが今の資金の流れになっているのです。
英国で不動産価格が上昇しつつありますが、これは一部投資資金が向かっていることによります。雇用と賃金が悪化する中、実需取引以外の要因が相場を牽引する。これは持てる投資家層と、持たざる貧困層との乖離を引き起こしますが、現状の世界はその方向に一直線で進んでいると言えるでしょう。労働者階層は痛みを受け、資本家は益々収益機会を高める傾向です。

また行政機関も非正規雇用、臨時雇用で行政コストを軽減させてきました。人手不足が指摘されると、フィリピンと協定を結び、安い労働力を受け入れようとした面もあります。日本は低コスト体質に向かう中で、雇用という大事な果実を育てず、その結果多くのことを失いました。今もまだ企業という大きな木を支えても、実りを結ぶことまでは考慮されていません。
雇用と賃金を確保するために何が必要か、真剣に考えるべき時に、各政党のマニフェストにもその具体的方策が示されないことが、日本の不幸と呼べるものなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2009年08月01日

各党の政権公約概要が出揃う

国民新党のマニフェスト、5ヶ年で財政出動150兆、減税50兆、更に地方へ配る交付金の増額などを含めると、既存政党では最大のバラマキ的政策が並びます。その財源として無利子国債、特別会計備蓄の活用債、新規建設国債などが並びます。更に多額の財政出動による年6%の経済成長により、5年後には80兆円の税収増を見込むことで賄う計算になります。
国民新党は郵政民営化見直しが党是ですが、老々介護者への現金支給や、介護士の給与を公務員程度の水準まで引き上げを盛るなど、介護に目配せした政策が目に付きます。ただやはり5年で200兆円、年間約40兆円の歳出入合わせた国費の減少を、経済成長と国債で賄うのは、相当に無理があります。経済政策自体が明らかではなく、この点は国民新党の描く国家像として、国が関与を強めるビジョンと同時に、不透明さが残る部分でもあるのでしょう。

昨日の自民でマニフェスト概要は出揃いましたが、検証可能性という観点で順位付けをすると、1民主、2共産、3社民、4公明、5自民、6国民新となります。3と4は微妙ですが、具体的な数値と期間、内容の具体性を考慮すると、詳細な記述順であるともいえます。逆にキャッチーかどうか、という点では簡便で数字を盛り込まない方が有利で、順位は逆転することになります。
マニフェスト選挙の様相も呈していますが、具体例まで示すのは民主のみです。一部共産も盛り込みますが、ビジョンのみの記述に拘り、検証を難しくする政権与党と、マニフェストを売りにしたい民主党との思惑の差、と見ることも可能です。意欲という点で、政権与党になった場合の心構えを民主党は国民に明らかにした、自民はこれまでの政権与党の立場を、再確認したということなのかもしれません。

ただそんな民主党が地方分権に割いた項目が一番少なく、橋下府知事の反発を受けました。元々この次期は概要版であり、公示までに変更も可能ですが、慌てて修正の意向を示したのは、まさに意欲が空回りした印象です。しかし地方分権における道州制が必ずしも良い制度なのか?その検証なしに導入議論を進めても、郵政民営化と同様、官僚に都合よく内容が書かれてしまいます。
道州制導入のメリットは地方行政のスリム化、広域行政による現行の国家機能を肩代わりできる点です。民主党は自治労の関係で、スリム化には後ろ向きでその点が批判を浴びています。ただ出先機関の統合を含め、行政コスト削減がムダの抽出と示されていることから、この点を蔑ろにしては政権公約全体の整合性がつきません。

政権公約とは、次の選挙までの国家ビジョンです。国民が政策で選び、人柄や縁故でしか候補者を選べない、という弊害を取り除くために示すものです。実現可能性で選ぶなら、自民党がトップに来るのかもしれませんが、実現しても国民が住み易い国家になるのかどうか、がこの政権公約で最も重視しなければいけない点でもあるのでしょう。検証可能であると同時に、有権者が支持できる政策を掲げた党はどこか?それを見抜く目が大事なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般