2009年09月

2009年09月30日

経済の話、米FDICによる保険料前倒し

サモアとスマトラ沖で、大きな地震がありました。地球ダイナミズムが、大きく動く時期にあることは確実であり、日本も注意していかなければいけないのでしょうね。

米連邦預金保険公社(FDIC)が、登録する金融機関に対し、3年分の預金保険料を前倒しで支払わせることを承認しました。正式発行したものではありませんが、総額450億$を調達する見込みで、更に銀行の破綻損失処理に、13年までに1千億$かかる見通しも明らかにしました。
重要なことは2点、前払い保険料でも損失処理額が不足すること、これにより財務省負担が発生すること、です。FDICの決定は明らかに異常であり、短期的に財政負担を膨らませないための、苦肉の策でしかありません。特別な積み増しや財務省与信ではなく、通常の保険料の前払い、という形に留めましたが、単年度の金融機関のバランスシートには影響してくる問題です。

10月末にも資金が枯渇する模様ですが、背景には金融サービスCITグループの問題があるのでしょう。昨年末に公的資金23億$が注入され、7月に破綻回避のため30億$を資本調達しています。しかしこの時、公的機関からの支援は拒否されており、当座の運転資金が調達できなければ、10月辺りに破綻かどうかの選択が必要となります。中小企業向け貸付が多い、CITグループが再生法を申請すれば、預金者だけでなく借り手にも不安が拡大する可能性も出てきます。CITグループが大き過ぎて潰せない金融機関なのか、見極めも必要となってくるのでしょう。
同時期に国際通貨基金(IMF)が、世界の金融機関の潜在損失3.4兆$、経常損失は2.8兆$に膨らみ、その内の1.3兆$しか処理が進んでいないと報告しています。ただ経済環境次第でこの数字も大きく変化するものであり、金融破たんなどが起きれば、一気に拡大するものでもあります。

米国経済紙で、日本破綻の懸念が示されました。負債が217%となり、今後も歳出拡大が続くことから危険が高いというものです。財政赤字の数字は国際的に示された中で最大であり、過剰感はあるものの、背後には日本の財務省が負債としてカウントしない政府短期証券の発行が膨らんでおり、政府系機関でやりくりしていたこの証券の、外部発行が拡大していることが上げられます。
この政府短期証券は外貨準備、為替介入にも関わる問題です。日本の財政が破綻する前、米国の危険性の方が高いとは思いますが、国債発行残高のみでなく、保有残高も含めて、様々な面で経済が動く可能性を往々にして秘める問題です。今年度不足すると見られる一般歳入も含め、世界から懸念が示される状況は異常であり、早期に脱却する道を模索する必要が高いのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(3)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2009年09月29日

経済の話、消費者物価指数と為替

総務省発表の8月全国消費者物価指数が前年比2.4%低下でした。昨年9月まではWTIでも百$を越えており、こうした原油価格下落分も大きいのですが、食糧・エネルギーを除く総合指数でも0.9%の低下なので、はっきり言えばデフレと認識できるものです。日銀は前回のゼロ金利時代でも、マネーを積ませる量的緩和は行いましたが、供給量自体は減らしており、ひたすらインフレ警戒に対する目配せばかりを強くする、そんな現状が続いています。
一部の円高、現在は藤井財務相発言を囃し、水準を調整する所謂仕掛けがメインですが、中長期の流れは中央銀行の態度によります。米FRBは国債買取り、住宅ローン担保証券の買取りなどで、規模を変えずに期間を延ばす出口戦略に舵を切っていますが、資金供給量自体は減らす方向性を打ち出しておらず、これが長期トレンドのドル安、ひいては円高に繋がっています。

米国の消費者物価は、前年比ベースではマイナスであるものの、前月比ベースでは横ばいか上昇ペースにあります。しかし対米証券投資はここ最近、低下傾向にあり、マネー流入量はそれほど拡大していません。この辺りの関係から考えると、まだ詳細は詰めていませんが、高まるMMFとの関係から見ても、ドル供給量は予想以上に拡大している可能性があります。
円高はこうした実効ベースで見る必要があります。藤井財務相は原理原則論を掲げているのみであり、本質的な円高要因というより、過剰流動性相場の中で暴走するマネーの呼び水となっている。大きな流れはドル安、円を買うのはただ相対通貨として、デフレと資金供給量の観点から、買い易くなっている部分もあります。

例えば昨晩、ドイツが総選挙で中道右派政権誕生の運びとなり、証券市場は好感しましたが、為替はユーロ高とはならず、パッとしない値動きです。この動きにはドイツは貿易黒字国であり、G20で合意された不均衡是正における影響があること、及びユーロ圏内における金融不安等の材料もあり、一義的には好感し難い部分もあるからです。国力を反映する為替、そうした視点も必要なのでしょう。
日本はデフレ、こうした方向性を早期に見直し、低成長でもインフレを軌道に乗せていく必要もあります。国の債務も、デフレ傾向ではより深刻に、重石となってくる可能性もあるからです。日銀の施策は重要であり、インフレ傾向が現れてくれば、円高も自然に解消に向かうことにもなるのでしょう。ただ金余りの状況の中で、デフレに陥る日本という国の根本から改めていかないと、いずれ大きなしっぺ返しも来ます。今回の消費者物価指数、受け止めを正しくしておかないと、より危険な経済の舵取りを強いられることになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2009年09月28日

自民党総裁選について

円高と株安が進みました。これには中国が国慶節までは景気対策を打つだろう、金、銅、原油なども買い増すだろう。でもその後は?という不安も一部で含まれます。ドル安なのに資源、株が調整を始めた。これが新たな潮流となるのか?G20合意のようにまだまだ過剰流動性を続け、景気対策を打ち続けるのか、マネーが動向を見定め始めたということなのでしょう。
現在が過剰流動性相場で、バブルが起き始めていることは誰しも分かっています。どこが最初に出口戦略に向かえるのか?各国は横睨みで、ゴールの形を模索しながら、テープは切れない状況が続くのかもしれません。経済・金融が難しい舵取りとなることは、確実なのでしょうね。

自民党総裁選で、谷垣禎一氏が選ばれました。議員票を取りまとめ、手堅い印象もありますが、逆に没個性化して総裁選も低調に終わっています。全員野球、党内融和の姿勢はある意味、これまでの切り捨てられなかった自民党と被る部分もあり、国民ウケは悪いでしょう。
特に谷垣氏は09年度補正予算の見直しや公共工事見直し、民主党が進める政策について、一部理解を示す発言をしています。それらはいずれも自民党がとってきた政策であり、反発するか、同意するにしても根拠を示す必要があります。今から政権政党時代の諸施策を見直す、野党になれば族議員の力も弱く、思い切った見直しが出来る、では誰も納得しないでしょう。

真正保守や新保守主義を訴える場合も、自民が訴える保守とは何か?が国民もよく理解できていません。逆に、長期政権を担う間に様々な思惑、政策を取り込んだため、主義・主張が見え難いのです。二大政党制における対立軸、それが自民党が掲げる旗になるはずで、保守かどうかはそこで描く政党の形により、後に評価されるものとなってくることになるのでしょう。
今必要なことは、民主党の凋落や失政を待ったり、批判するだけの野党に陥らないことです。健全野党とは、政策立案能力を示すこと、委員会や審議の場で個々の政治家が能力を示すこと、調査能力を示すことになります。しかし現状、このいずれの能力にも自民党は欠けており、厳しい道のりが続きます。ただここを基盤として育てないと、野党としての評価も高まらないのです。

ネット調査ではよく、自民党支持率が高い場合があります。これを見て大手メディアの調査が信用できない、とする人もいますが、これはこう考えるべきです。ネットやテレビの調査で集まる結果は、積極的支持層を映し、電話調査による聞き取りは消極的支持層の掬い上げが可能です。
日本では圧倒的に消極的支持層が多く、この意見を反映することで結果に近くなるのです。つまりこの、流動的な消極的支持層を如何に取り込むかが、今後の選挙では結果に大きく影響してくるのです。郵政選挙で国民は、国の動きを大きく変える果実の味を覚えた。民主党政権誕生で、政権交代という高揚感を得た。閉塞感が強まれば、この浮動票である消極的支持層は大きく動くでしょう。その受け皿になれるかどうかが、自民党再建には掛かってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年09月27日

雑感、モラトリアム法案について

横浜開港150周年を記念して開催された「開国博Y150」が閉幕しました。友人から「行く気にならないほどつまらない」と云われましたが、かなり不評だったようです。税金も投入されており、かつ入場料収入も予想に届かない状況で、更なる補填も必要な状況です。横浜市の中田市長は開国博の失敗の責任追及前に、なども揶揄される状況であり、イベントを公的機関が主導することには、やはり限界があるのでしょうね。

亀井金融担当相によるモラトリアム法案、今日も各メディアで取り上げられ、本人もテレビ出演するなど、未だ波紋が広がります。三年猶予は元本のみではなく、金利も含まれると発言しており、法案作成における紆余曲折は予想されるものの、亀井金融担当相の強気の態度が目立ちます。
本人の意見を聞いていて、気付いたことがあります。結論を先に云えば、この法案に含まれるのは新たな護送船団方式の構築ではないか、ということです。かつて金融機関は株式を持ち合い、大株主として経営権にも立入り、重役クラスを送り込むことさえありました。その代償として、金融機関は企業を潰さない、融資・増資には応じる姿勢を積極的に示してきました。しかし護送船団方式が批判され、各行は政府系金融機関に株式の一部を譲り、持ち合い解消に努めてきました。

しかしモラトリアム法案は中小企業が対象であり、影響は大手銀行より地銀、信金に及びます。法案が通過すると貸付を行うには、三年は対象企業が存続すること、及び財務体質のみでなく経営方針、企業体質までを検討する必要があります。逆に信頼を醸成するには、企業が太いパイプを地銀・信金と築くことが手っ取り早い手法、ということもいえるわけです。
亀井氏がそこまで考えている風はありませんが、実現に向けてはそうした方向性が含まれる可能性が高くなります。亀井氏は合意事項として強気ですが、民主党の志向する大きな政府との対比が、法案作成に影響するのでしょう。新たな護送船団方式とは、株式持合いではなく債権保有に伴う、一定の経営へのタッチの中で導くものとなるのでしょう。

自己資本規制も2010年末までにルール策定、景気回復との前提も盛り込まれましたが12年末までに改善、ということもG20で決まりました。金融機関が株式を発行して自己資本を高め、中小企業に貸し付ける。その際政府保証がつき、経営にもタッチしながら推し進めることになるのかもそれません。
ただ地銀、信金にそこまでの体力はなく、またノウハウも人材も不足しています。実現への道のりは遠い、その中で手法を考えるには相当の困難を伴う、ということになってしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年09月26日

G20が閉幕。日本に対して何が?

国連からG20、鳩山首相の外交デビューは成功に終わりそうです。就任したて、戦後日本で初の政権交代を達成し、議会も大多数を占める勢いのある国家元首に、各国も一先ず笑顔で近付いた、というところです。詳細な国家間交渉は、国連ではなく別の場で、というのがほぼ慣例ですので、今後諸問題の詳細に移ったとき、各国の態度がどう変化するかが注目されます。

そのG20、米国がホスト国で注目が集まりましたが、不均衡是正という米国の主張が盛り込まれ、日本にも内需主導の経済成長を求めてきました。これは重要な問題を含んでおり、非常に難しい対応を迫られます。罰則や義務はありませんが、各国が評価、監視することで、新たな外交圧力カードを各国に対して与えた形ともなるからです。
日本は世界でも最悪の少子高齢化社会です。しかも生活必需品は行き渡り、買換え需要しか掘り起こせない、新規需要が成立し難い環境です。更に給与水準は下がり、購買力は益々低下する状況であり、当然内需により経済成長に移行するのは数年、数十年先のことになります。

つまりその間、内需主導型経済かどうかを常に世界各国から監視され、達成度が低ければ圧力がかかる。この不均衡是正には、日本の産業構造の大転換が含まれる、ということになるのです。この記事の扱いが各メディアで低いのは残念ですが、政治家や政党が目標として掲げたことではなく、G20により世界の同意事項として、日本の転換を促す内容が合意されたということなのです。
これは円高容認とも見られる、藤井財務相発言とも整合します。輸出ではなく輸入、現在の輸出依存型の産業界ではなく、個人に直接給付をして需要喚起する、これが民主党のマクロ経済政策、ということなのでしょう。これは長期的な視野では間違いありませんが、短期では大きなリスクを孕みます。先にも触れたように、日本が内需主導型になるための社会構造、産業構造には、未だ転換していないためです。

各国の評価、監視。この影響はすぐには出てきません。よって気づき難いかもしれませんが、いずれ外交カードとなり、ことある毎に市場開放の圧力となる可能性もあります。一つはFTA交渉の推進という形で、一つは輸入数量の拡大という形で。ただ日本製品が優秀、という認識のある日本人が、たとえ輸入数量が増えたとして外国製品を買うかどうかも分かりません。
今回のG20における不均衡の是正、昨日の米国でも述べたように、仮に日本の貿易黒字が減少すれば経済成長における借金返済、という形に日本が移行せねばなりません。民主党政権における国の形は、これだけを見てもこれまでとは全く異なることは確実であり、それをこのG20でも内外に示した、ということになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年09月25日

G20とモラトリアム法案

福知山線脱線事故における事故調査委員会で、当事者との不透明な関係や、報告書の書き換えを提案していたことが発覚しました。裁判にも影響する事故調報告書を、捏造される可能性もあるものであり、極めて重い責任があります。これまでも事故調の人選や報告の取りまとめには、お手盛りではないかという指摘もありましたが、禁則事項はあっても罰則がないという関係者との個別接触禁止、秘密保持の原則については、見直しが必要となるのでしょうね。

G20が開催されています。マイナス金利状態の先進各国が異常状態から抜け出す、出口戦略が重要テーマですが、俄かに不均衡の是正にも焦点が集まります。米国の過剰消費に依存した輸出国が成長する構図、それを正そうとする流れですが、これは低成長に陥った米国の再建案に関わります。
双子の赤字を抱える米国は、経済成長して将来の経済のパイを大きくすることで、借金が返済できるという目算で経済が成り立ちます。現行の多額の借金が、国内が低成長に陥ることで返済見通しがつかないのです。FOMCが成長軌道に戻ったとの声明を出した後も、今一つはっきりしない動きになったのは、将来の高成長を予感させる内容に乏しく、材料出尽くしに陥ったためでもあります。
低成長の米国は新たな国債の返済計画を立てる必要性を生じている。日本のように低成長でも貿易黒字、歳入超過であれば返済も可能であり、米国の求める経済構造ともいえます。しかしドルキャリー取引の加速が不透明感を増しており、株、債券、商品市場の連動性が強まっており、過剰流動性相場が新たなステージに入った、その予兆が出てきています。こうした動きに今手を打たなければ、円キャリーの時と同様に、後に大きな禍根となって世界を襲うことになるでしょう。

そんな日本では亀井金融担当相のモラトリアム法案の懸念があります。この法案単独では貸し剥がし対策にしかならず、経済にとってはマイナスです。特に今日、野村HDが今年2度目、合計8千億円に及ぶ増資計画を発表して嫌気されたように、金融機関には新たな自己資本規制の波があり、ただでなくとも貸付を制限し易い環境にあります。貸し渋りを政府保証で支える現状、益々貸し渋りを増す方向性すら、金融機関は模索してくることになるのでしょう。
野村HDの5千億円に及ぶ増資、攻めの経営のためといっても、発行済み株式の20%以上が希釈化されるのですから、S安でも致し方ありません。ただ公募価格決定までは売り込む、というのがヘッジファンドの動きであり、金融機関全般も増資計画を発表するたび、こうした売りを浴びる懸念は付きまといます。また報酬制限やアイフルの私的整理、金融売り/ハイテク買いの仕掛けもあり、今後も金融業界には厳しい市場環境、株価の動きが続いてしまいそうではあります。
政策はタイミングを間違えてはいけません。亀井金融担当相は金融機関の過去の貸付の問題で、現在に懲罰的な内容を与えようとしています。それが現在の環境で効果ある対応かは、よほど中身と関連法案を整備しないと、厳しい状況を招くことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2009年09月24日

八ツ場ダムの問題について

八ツ場ダム問題、メディアは記事を盛り上げるため、住民感情を殊更に大きく取り上げがちですが、公共工事は冷徹な合理性に基づき判断するものであり、感情論は次に来るものです。つまり補償の部分に感情論を持ち込んでも良いですが、継続か中止かの判断を感情論で左右してはいけない、ということになります。
これは地元住民の悲願だから、として建設される空港も同様です。JALの問題でもありますが、不採算路線として定期便が廃止され、空港というハコモノが残れば将来世帯に負担を付回すことになる。正しい需要予測と、それに基づく収益性により事業の必要性を精査すべきものです。

その観点から、前原国交相が先に中止を示唆した行為も強ち間違いではありません。これまで国交省案件は、甘い試算で事業計画が立てられました。つまり事業継続に正当性をもたす根拠を、自らの試算によって保っていたことになります。しかし今回中止が先に出た、これは政治家の我がままで正論から外れた行為を省庁が強いられる、という初めてのケースになります。
それを回避する術は、改めて試算し直し、中止する根拠となる数字をそろえるしかありません。治水では、すでに福田政権下で効果なしとされていますが、ゲリラ豪雨が多発する現在、一定水量以上の治水には効果が低いとされるダムに、どれほどの効果を期待するかも疑問視されます。利水では、酸性の強い水を品木ダムで中和しているものの、湖底予定地には温泉があることから、水質がどの程度改善できるかは、水が溜まってみないと分かりません。また水需要は増えておらず、エコを意識する以上、今後も水を大量に使う事業は想像し難いものがあります。

本当に建設費4600億円で済むのか?周辺整備も含め、総事業費は1兆円越えとも言われますが、それらも検討課題です。こうした試算を経て、また維持費も含めて事業全体の金額を試算し、中止した場合と比較する必要があります。しかし現状、メディアもそうしたものを用いた形跡がなく、国交省からも出てきていません。しかし継続にしろ、中止にしろ根拠を改める必要があります。
一部で水力発電もあり、CO2削減に効果あるとも言われますが、伐採される森林による吸収量の低下や、真夏のピーク電力を賄えるか?という問題があります。ダムはそれ以外にも、海岸線の減少にも影響します。何を捨て、何をとるかは全体の事業における効果が、日本の未来にとって良いかどうかで見ていかなければなりません。

哲学の分野ではニヒリズム、という言葉があります。この世界に真理や価値などない、ということを認める考えで虚無主義ともいいます。しかし行動には必ず理由が存在し、それには正当性を主張できるだけの根拠が必要です。事業継続における正当性がなければ、中止することが必要であり、ニヒリズムにおける前向きな行動の根拠とはなり得ないものです。全ては事業計画全体の試算し直しであり、それもなく継続、中止を語ることは何の意味もないことなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:13|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2009年09月23日

鳩山政権の高支持率について

鳩山首相の国連演説、世界から喝采を浴びています。米欧中など、諸外国の顔色を伺うばかりで明確な発信がなく、各国から組み易しと見られていた日本が、初めて前に出てそれが評価されたのですから、効果は別にして一先ず好感できる内容です。ただ問題がある点は、前政権の試算した国民負担増や、それ以外の不都合な内容が今後、起こるのかどうかです。
排出量取引など諸施策も合わせて打ち出していますが、最も重要な点は環境保護における、各国への技術支援での所有権保護です。つまりこの提案の背後には、経済のパイが増えない中で環境ビジネスは拡大し、他の産業は衰退する、という思惑が含まれています。産業置換が起きる中で、日本が環境分野でのパイを拡大させ、経済を活性化させようということを内包しているのです。これは従来型の経済発展、産業構造ではなく、産業置換により2020年には日本の形が大きく転換している可能性があり、そこに上手く乗れない企業は淘汰されることになるのでしょう。

民主党新政権への批判は、組織的、制度的混乱に集中しています。しかし手法が大きく変化するのですから、混乱はむしろ当然であり、するべきです。重要なことは混乱の中からどうより良い手法を見出すか、そこに先んじた組織が抜け出し、有利な立場を得るということです。
これは省庁間、産業界も同様です。幾ら不平不満を垂れて旧来の手法を望んでも、元に戻ることはないのですから、変化の波を上手く捉えた者が勝者となります。行政で云えば、補正見直しに焦点が当たりますが、本筋は概算要求が終わった来年度本予算です。つまり民主党政権の手法に乗った省庁が、予算獲得にイニシアティブをとれるということになるのです。

現在の日本には『変化』がある。変化に伴う混乱は、今後数年続くでしょう。鳩山政権が評価できる点は、出来っこないとみられていた、この変化を引き起こしていることです。従来型の『ご説明』で政治家が云うことを聞いてくれる、という甘い官僚側の目算は、矢継ぎ早に出される閣僚からの発信で思惑が覆されました。これにより資金の流れ、人の動き、情報の伝達法などあらゆるものが変化します。
人、物、金の動きが変わる。これは大きなことであり、ある意味チャンスと受け取ることも可能です。それを理解できなかったり、旧来の手法に便益を受けていた者は不安を感じ取りますが、変化には乗れば良いのです。するとこれが期待に変わることになります。

鳩山政権の支持率が軒並み70%を超えました。ご祝儀と、自らの手で政権交代を成し遂げた、という国民の間にある高揚感がそうさせています。この期待値を今後、どう維持するかが重要です。それには『変化』を『良化』させ、国民の利益として還元できるか、が問われることになります。内外から好評価を受けると、政策の自由度も異なってきます。やるべきことを速度を持って実行する、ということが大事なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 22:44|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年09月19日

経済の話。日銀政策決定会合とバブル

日銀が17日政策決定会合を開き、0.1%の政策金利の据え置きと、景気認識を「下げ止まっている」から「持ち直しに転じつつある」に引き上げました。同時にデフレスパイラル懸念は否定し、異例の措置についての出口戦略は見送る判断を示しています。

消費者金融大手アイフルが事業再生ADRの活用を発表しました。裁判所の関わらない、私的整理で事業再生をする意向です。利息制限法が厳密に適用され、過払い金の返還請求により、経営環境が悪化したためです。しかし企業としては株価下落により、自己資本に対する有利子負債が多く、貸し倒れ引当金の積み増しばかりでなく、債務の借り換えなどの資金繰り悪化も重篤な状況です。
現在は中央銀行が低金利と異例な措置で、市場に資金は溢れています。大企業は資本力、格付けも高く増資も集まりますが、そうでないと資金繰り懸念が生じる。非常に歪な経済構造を呈しています。超緩和的な状況とはいえ、米地銀のように破綻は脆弱な金融機関から企業まで、大きく広がっている環境といえるでしょう。

内閣府が試算した需給ギャップ、1-3月期-8.0%、4-6月期-7.4%となっています。簡単に云えばこの数値は需要と供給の差であり、マイナス方向だと需要が低く、デフレ傾向に陥ります。つまり供給サイドが過多であり、現状は景気政策で需要が喚起されていますが、それでもマイナスが続きます。
逆に云えば、日銀の景気判断にある「持ち直し」や「デフレスパイラルではない」は、この数値を否定するものであり、根拠を疑わせるもの、ということになります。しかし日銀の打つ手は限られており、口先介入をした、というのが今回の政策決定会合の要旨なのでしょう。米国でも要人クラスが口先介入を行うように、楽観をばら撒く程度しか政府・中央銀行に打つ手はないのです。

現在の相場はまともな調整期間もなく、ジリ高を続けることでも分かるようにバブルです。下げを許容できないのはマネーの都合であり、一旦本格的な調整基調に入ると耐え切れない、即ち次の下落は二番底になり得ない、長期低迷を懸念させるものとなっています。これがいつ弾けるかは、誰にも予想できませんが、個人的には米金融や地方州、市などに破綻懸念を生じ始めると、楽観に傾いた金融市場が巻き戻り、信用市場が収縮して金融危機が再燃することが想定されます。
しかも懸念は商業用不動産に拡大しており、金融機関からは一切この手の不良債権の話が出てこない。即ち不良債権隠しが横行している状況であり、これはサブプライム破綻、発覚直前の時と近似しています。来週の金融サミットは、現在のバブルの収束のさせ方と、欧米金融機関にどの程度の不良債権があるか、正しく把握することから始めなければいけないのでしょう。現在は再度のバブル崩壊に耐えられる経済環境ではありません。当局は破裂寸前でどう火を消すか、より重要な決定を強いられることになるのでしょうね。
明日から小旅行に出るため、22日までお休みします。23日から再開したいと思います。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2009年09月18日

民主党政権と情報の扱い方

自民党総裁選、谷垣禎一氏、河野太郎氏、西村康稔氏が立候補しました。ですが多くの議員が谷垣氏に乗り、西村氏は河野氏潰しではないか?などと囁かれている時点で失敗です。裏の動きや議員の支持などは、ギリギリまで押さえ込まないと、地方票に影響します。結局そうした寝技的な活動を続けている限り、自民党は古い体質の政党との見方が続いてしまうのでしょうね。

民主党では副大臣、政務官も発表されましたが、実務型でバランスの取れた配置との印象を強くするものです。ベテランが睨みを利かし、副大臣が動く流れが出来ると、本当の意味で強い政権が出来るのでしょう。ただ藤井財務相のように財務相はかくあるもの、という古い固定観念に捉われて縄張り争いを展開すると、非常に危険です。鳩山内閣は新しい形を構築するのですから、拘りを捨てるよう、早めに誰かが口添えする必要が出てくるのでしょうね。
そんな中、事務次官会議が廃止され、事務次官、外交官などの記者会見も中止されました。これに対し、一斉に情報統制との記事も流れましたが、結果は官僚側が自粛したことであり、今日になり閣僚が必要と認めた場合は容認する、と政権も方針転換しています。

問題は、政権が情報発信の一元化を図ろうとの考えで大臣会見に一本化しても、それは官僚に都合よく利用されることです。都合の悪い情報を隠し、閣僚の責任にする。本来、情報を隠す官僚が諸悪ですが、官僚は族議員に守られ、派閥順送りの閣僚では首を切ることも適わない、がこれまでの流れでした。実はそこに楔が打てれば、事務次官の記者会見の有無など、それが情報統制に関わるものでも何でもない、ということになるのです。
細かいデータを説明する場合や緊急会見など、事務次官の方が適任である場合もあります。ただ事務次官などが記者会見をする場合に、情報隠し、意図的な指向性の創出を官僚が行うかどうか、それを閣僚がチェックできるのか?が問われているのです。情報を扱う場合、発信者側、受信者側の問題と両面がありますが、この場合情報の受発信を一本化すると、両者に高い能力が要求されるのであり、負担が大きい点は間違いないのですが、統制であるかは別問題です。

ただ民主党の情報公開のあり方で問題なのは、記者クラブとの関係があります。既存のメディアに固定された記者クラブは、すでに特権団体へと堕しており、日本固有のこうした記者クラブ制度は、諸外国から見ても異常と見られます。先にフリーランスの記者も会見に受け入れる旨を示唆しており、公約かどうかは別にして、既得権益団体を排除する方が、民主党の主張がはっきりするでしょう。
既存メディアも、広告費収入の減少から赤字転落に陥り、政治情報は既存メディアの手で発信したいとの意図があっても、本質的にメディアは政権に対して距離を置かねばならない立場にあります。それが政党に阿り、記者クラブ解放を阻止すれば、それだけ政権との間に問題を抱えることになり、報道の自由度も奪われることになります。情報統制を騒ぐ前に、自分たちが情報に対して権利を主張するようでは、メディアの態度として不適切である、といわざるを得ないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年09月17日

民主党政権と外交

鳩山内閣の命名、色々と考えましたが、私は『洗剤内閣』としておきます。酸性、アルカリ性、中性と様々に取り揃えてみたものの、何が各省庁に合って汚れを落とすのか、まだよく分かっていません。手探りで試してみて、官僚と癒着しそうなダメな大臣をすぐ取替え、きちんと汚れ落ちの良い組み合わせを作れるのか?副大臣人事を含めてこれから、といことなのでしょう。

内閣の動きを少し見てみます。岡田外相が核密約の徹底解明を示唆しています。ですが、外交ではそれ以外にも沖縄返還時の米国側への支払い、等の有耶無耶なままの問題があります。外交上の機密事項ですから、全て明らかにしろということではありませんが、ODAや外国調達物資の不透明な契約など、外務省関連は掘り下げれば幾つも出てきます。在外日本人を招いたパーティの数、国・地方の議員を接待した回数、それらも公表していくことも必要です。国費がどの程度浪費されているのか、それらを明らかにすることが、外相としての第一の仕事です。
この件では、外務委員長に新党大地の鈴木宗男氏が就任していることからも、加速する可能性があります。外務に精通し、質問状の多さが群を抜く鈴木氏がこのポストを得たことは、外務省にとって恐怖以外の何ものでもないでしょう。政権からの追い出しに成功したはずの相手が、トップとなって戻ってくる。これは文科の田中真紀子氏も同様ですが、官僚にとって厄介な相手が民主党には目白押しです。今日も猫撫で声で、オベンチャラを語る次官クラスが多かったように、早く閣僚を取り込んで味方にしないと身分保障もない、という官僚たちの心の動きがよく現れています。

米国でもクリントン国務長官が、幾分トーンダウンした、日本の主権を認めるかの声明を出していますが、意外と民主党の外交姿勢が崩れないため、対応を変えた印象です。米軍が恐れているのは支持率の高い政党に正面から挑むと、日本の国粋主義に火を点けるのでは?という懸念なのでしょう。米側からは今後、日本でのCIAの行動を活発化させるのかもしれません。醜聞で政権の弱体化を狙ってくる、米側と対立する政権が現れると、必ずそうした動きが起こります。
日本はスパイ天国、と言われるように、スパイ活動を罰する法律がありません。これは国家機密に関わることばかりでなく、諜報活動や煽動など、国家を揺るがす行為を罰する法律を、早めに制定する必要があります。どうも同盟国の思惑を気にしてきたとも見られますが、米国の動きでメディアが一斉に不安を煽ったように、この国ではどこでどんな圧力が掛かり、情報を牛耳られるかも分かりません。情報統制にならない範囲で、国外の関与は排除する方向で動くべきなのでしょう。

問題は日本の立ち位置、外交で如何に日本の存在感を示すかです。日本の国際貢献は海外で評価されない、それは米国の影で常にコソコソやってきたからです。給油活動も継続しないなら、早めに方向性を出さないと、来年の1月には期限が切れます。外交は待ったなし、海外との関係は現在進行形ですので、見直すならば早急な結論を出すことが重要なのでしょうね。

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2009年09月16日

鳩山政権が誕生

第93代内閣総理大臣に鳩山由起夫氏が就任し、鳩山政権がスタートしました。閣僚の顔ぶれは、驚きがないのがサプライズというほど固い、予想通りの陣容です。党要職クラスが横滑りで面白みは何もありませんが、むしろ初入閣ばかりで、わざわざ話題作りをせずとも注目度は高く、その点は意気込みをそのまま反映した印象です。一部で小沢幹事長の意向も含まれる、とも云われますが、逆にそれがあった方がサプライズだったのかもしれません。

閣僚が重鎮、ということは副大臣が重要となってきます。実務、実働を担当する副大臣の差配は、大臣が引きをとる形ですが、上手く調整できないと厳しいでしょう。政策に暗いと見られる閣僚もチラホラいるので、副大臣が支えないとすぐに官僚に取り込まれることになります。
省益を守ることが大臣の利益に繋がる。そう誤解するよう官僚は仕向けてきます。例えばこの分野、業務はうちの省がやるべき、この説明で大臣を縦割り行政に加担させることができます。これは一例ですが、時には省庁自らの業務を縮減させ、予算も削減し、重点分野に振り向けるよう、閣僚が差配しなければいけません。閣僚が省益を代弁しないよう、行政刷新会議や国家戦略局が舵をとり、時に大胆な切込みをしてこそ、政権交代の意味が出てくることになるのでしょう。

また民主は人材不足の面もあるので、政権に軸足をおき過ぎると国会内での委員会対応が疎かになり、野党に足元を掬われます。副大臣、党役員人事、戦略局の様態を見る必要もありますが、新人議員を育て、即戦力にするためにも委員会など、議員が勉強する場も必要です。自民では勉強会と称すると、派閥以外の枠組み構想と見られましたが、そういう形になるとまさに小泉チルドレンの二の舞。若手の育たない、古い政治体質を引きずる形となってしまいます。
何かを変えよう、変えたいと思う力がなければ、強固な行政機関に変化をもたらすことなど不可能です。一部の閣僚に、早くも官僚に頼ろうとする悪い傾向も見られますが、これまでの問題点においては今出せば不問に伏すが、その後問題が出てくれば現在の事務次官に責任をとらせる、ぐらいの強い態度で臨み、早めに膿を出す動きをとるべきではあるのでしょう。

政治主導を実現するために絶対に必要なことは、公務員トレーサビリティ制度の導入です。社会番号を国民につける前に、公務員のやり逃げ、放り出し、怠慢を防ぐ制度を構築しておかないと、悪しき制度が出来て国民が苦労した後で、誰にも責任を追及できないというこれまでの切歯扼腕、歯痒い思いを国民は繰り返すことになります。
何年経っても不都合な情報を隠したり、悪い決定を下したりする公務員の責任を追及する。それが出来て初めて政治と官僚が、互いにウィンウィンで良い制度を構築していける基盤作りが出来るのです。政治家は選挙で責任をとりますが、官僚は責任をとらない。そうした立場の違いを無くし、国家運営に誰しも責任をもつ、そういう国家作りをこの政権は目指して欲しいですね。

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2009年09月15日

円高と民主党との関連について

民主党の閣僚人事が僅かに伝わってきます。亀井国民新党代表が郵政・金融担当相、福島社民党代表が少子化・消費者・食品安全・男女共同参画担当相です。福島氏は社民党の主張通り、消費者に近い位置で実務を担当したいという意志がほぼ通った形ですが、亀井氏に金融がついた点は驚きました。支払猶予制度などの中小企業を保護策を打ち出すことを言明していますが、国民新のマニフェストは経済政策、特に介護と中小企業対策に特徴がありました。貸し剥がし対策としては有効かもしれませんが、貸し渋りには逆行する可能性もあり、こうした政策の有効性については、今後少し見ていかなければいけないのかもしれません。

そんな中、少し為替の変動について見てみます。一部で円高の流れを、民主党の円高志向に軸足を置いた論調で理由付けするものも見られますが、今回の流れは円高ではなくドル安です。直近の米債券市場では、債先買/株先買という、通常では見られない流れが起き、金利が低下してドルを売る流れが出ています。米国では社会保障制度の改正に伴う財政出動拡大と、オバマ氏が再度の景気対策に難色を示すという、財政出動に関する二つの側面を有しています。
この株と債券の先物を同時に買う、というのはCTA筋では考え難く、この辺りもドルキャリーへの懸念として語られています。つまり昨年は対外債権の回収が活発で、一時過剰となった米国内の債券投資の一部が、米国債に流れている。また買いが出ないことによりドル売りを誘発し易くなり、更に今年に入って増加を始めた対外債権投資が、今度はドル売りを加速させている。即ち昨年からの継続した流れの中で、ドルの強弱感が今回強い方向で出ている、という懸念です。

円と同様の規模のキャリートレードが起きれば、円は80を割る可能性もあります。ただ当時は日本の個人投資家がスワップ金利を稼ごうと、大挙して為替相場に流れ込み、円を売る方向で動いた経緯もあるので、それと必ずしも同等とはならないでしょうし、失敗を目の当たりにしているので、規制にも早く動くはずです。ただ先の、米国からの対外債権投資を規制する術はなく、米国は国内金融市場に資金を垂れ流しても、国内で貸付には回らないバブル崩壊後の日本と、同様の低成長を享受する可能性を十分に含むものとなっています。
現状、米国から流出する資金は日本に流れ込んでおらず、円高はドル不安に基づくものとの解釈も可能です。円が強くなる要素は、現状の日本の財政政策上も有り得ないことであり、介入がないとの思惑だけで買えるものでもありません。米国から英国に持ち出された資金、それによるユーロ高・ドル安に引きずられた円高、という理解で良いのだと考えます。
ただ民主党の財政・経済政策において、人員が明らかになってくると、今後どのように動くかは分かりません。金融部門では若干貸し手に不利、業界にとっては厳しい人事と見られますが、今後の政権運営によっては、本気で80円の扉を叩くことも視野に入ってくるのでしょうね。

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2009年09月14日

日航への資本・業務提携話について

イチローが9年連続200本安打、少し嬉しいニュースです。記録を伸ばしていって欲しいですね。

経営に懸念が示されていた日本航空に、外国の航空会社、全米1位のデルタ航空と2位のアメリカン航空の親会社AMRが、資本・業務提携する話が持ち上がりました。日航はアメリカン航空の属するワンワールドにおり、デルタのいるスターチームとは異なります。ただデルタの経営基盤は安定しており、国交省の意向もあり、デルタが優位とも囁かれています。
航空法による外資規制は、株式の3分の1までの保有しか認めないというものです。一方、外為法では重要企業は、外資を10%までの出資しか認めておらず、4千億円弱の資本をもつ日航だと、資本提携も枠が限られてきます。すでに6月、1千億円の融資を日本の3メガバンクより受けており、契約内容次第では、銀行側との調整も必要な気配です。合わせて5千人以上のリストラも実施する見込みですが、子会社含めて10分の1程度の社員の首を切ると、特損の計上などもあり、12月の不足分が1千億円とも言われる中、もう少し膨らみそうな情勢でもあります。

難しいのは日航の経営環境です。円高で海外旅行は容易ですが、国内の経済情勢から需要は然程増えていません。国内は高速道路無料化が進めば飛行機を使う理由に乏しい。また企業も出張を自粛し、インターネットの普及でテレビ会議も増え、航空需要は縮減する傾向にあります。
日本では地方空港が乱立し、不採算路線からの撤退と向き合うにも、政治からの外圧もあって難しい。国交省官僚が副社長として天下りする民間企業であり、経営自由度は極めて低くなっています。またグループ傘下の組織が多く、労組も複雑に入り組む体質です。仮に外資が参入しても、この辺りの風通しが良くならない限り、決して何の効果も上がらないのでしょう。

インターネットは世界を近づけましたが、一方で人的交流をバーチャル、ネット間通信でも可能としました。この需要減を、資本・業務提携によるスケールメリットで解消しようとしても、重要分野への外資規制の流れで、頓挫する可能性もある。最大は現政権となる民主党の判断も、外資に売り渡すな、という従来型の路線に傾く可能性も十分に有り得るものとなっているのです。
日航に必要なことは、企業をスマートな意思決定機関で統一し、不採算路線は徹底的に切る、冷徹なビジネスモデルの構築なのでしょう。それには国交省の天下りを受け入れるより、大胆かつ繊細にスリム化を進めるべきです。恐らく資本・業務提携を行っても、体質改善までは多額の増資など、資金繰りも重要となってきます。かつては一度破産し、再生させた方が良いとまで云われましたが、外資の圧力に頼るよりは余程健全な方向性であるのかもしれませんね。

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2009年09月13日

自民党再生に必要なこと

読売の世論調査で民主党への期待が72%に上りました。ただこれは民主に票を投じた有権者が、自己正当化のために民主に頑張って欲しいという側面と、これから新政権発足、日本を託すという段階ですから前向きに捉えた面があります。オバマ政権が支持率を落としているように、政権運営を続けると支持率は確実に下がります。スタートの数字より経過で見るべきでしょうね。

自民党総裁選、谷垣氏が出馬表明しました。「捨石となって党再生」を訴えていますが、道筋は険しいものがあります。気が早いですが、次の衆院選で今回残った古株をどう処遇するのか?野党の役割としては、根回しや人事の差配などの調整は必要なく、特に閣僚経験者の多くは利権構造に染まり、政策立案の能力も無いまま族議員化してしまっています。
政策に明るいと見られている政治家も、官僚との繋がりが切れれば、個人の能力が問われます。野党とは、政府与党が出す法案に対し、対案作りを各議員の手で行わなければならないのです。政策立案の力量がない議員は野党に必要ありません。比例名簿で古株、党実力者を上位に置く、そんな慣習を続けていては、自民党再生なども難しくなってしまいます。

一部で保守政党としての立ち位置を明確にする、という意見もありますが、自社さ、自公を経て、自民党を保守と認識する有権者も少なくなっています。日本では保守、革新などの区分けを厳密には定義し難く、社会主義・共産主義というイデオロギーが消失した後の世界で、保守とは何かから問われます。結党理念が保守合同でも、現代に即した主張かどうかには懐疑的です。
今後、自民党が行うべきことは、対案作りと独自の法案を提出し、民主党との対立軸を明確化していくことなのでしょう。新自由主義の失敗で、自民党の政策全体に懐疑的な見方が拡がりましたが、そこに回答を見出すのは政策、法案で国民に示していくしかありません。

民主では危険、が選挙中の自民の主張でしたが、国会運営でも民主が失敗すれば、という期待より自身がキチンと政権担当能力を示すことが必要です。それには官僚に頼らずとも、政治主導で国家が運営できることを、アピールすることが何より重要です。自民党にとって、というよりそれが出来なければ政局が流動化するだけで、日本という国のためにもならないでしょう。
いずれ、政界再編などのドラスティックな動きも想定されますが、民主党が行政改革という至上命題、難局に立ち向かっている間は課題の大きさが結束を促し、政界が流動化することはないのでしょう。むしろその間に、自民党が政権担当能力をつけるためには、政治家生命の短い人間を抱えるより、将来性のある若手をキチンと育てていくことこそ、自民党再生に必要なことなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年09月12日

経済の話、リーマンショックからおよそ1年

4-6月期実質GDP改定値が前期比0.6%増、年率換算で2.3%増となり、速報値と比べてそれぞれ0.3、1.4の下方修正となりました。昨年9/15リーマンショックからおよそ1年、世界は小康を保っているかに見えます。ただ過去と見比べ、今回は特に問題を感じる内容も幾つか見られます。

97年のアジア通貨危機を迎え、98年にLTCMが破綻懸念に陥ったことにより、米国ではFRBが急速に金利を低下させて経済を下支えしました。更にLTCMの運用とその規模の拡大が、破綻させれば米経済に多大な影響を与えることから、運用手法を当面は継続させ、一部を模倣、或いは取り込んで運用する金融機関まで現れました。その後、LTCMは緊急融資を即時返済して周囲を驚かせるとともに、低金利が00年に及ぶITバブルを生む結果に繋がりました。
現在、07年のサブプライム危機から08年にリーマンショックとなり、FRBが金利を0〜0.25%まで引き下げて経済を下支えしています。金融工学に基づく証券化商品は未だに継続されており、リーマン以外の証券業は投資を拡大傾向にあります。金融危機を迎えて公的資金が投入された金融機関は、すでに返済に向けて動き出しており、現状DRAM価格が急騰する中で、IT関連企業はダウを超えるパフォーマンスを見せています。

10年前をキレイに踏襲する流れであることが分かりますが、10年前は米国が世界経済の牽引役、現在は新興国が台頭する形となっています。しかも世界各国で超低金利状態に突入し、バブル崩壊を世界全体でバブルにすることで下支えする状況です。10年前のダウの動きは、00年初頭に11千$後半を高値に下落を始め、02年後半に7千$台前半が大底という形になりました。
全て同じ動きではありませんが、思考形態は極めて類似しています。金融不安が起こるとIT関連へ、逆に云えば米国では10年経っても成長産業が変わっていない、危険な状況です。しかも金融バブル崩壊を繰り返し、再度同じ失敗をしても、米国は経済建て直しを優先させ、失敗を省みない体質が続いています。今はバブルですが、今度これが崩壊した時は真の危険に陥るのでしょう。

DRAM価格の上昇に、ネットブックの販売好調などが上げられますが、これが仮に金融危機後のITバブルだとすると、次の展開も想定すべき時なのでしょう。リーマンショックから1年、米高官からは楽観的な発言もありますが、流れが10年前と類似していることは確実であり、そこに対策を考えていくことが、次のバブル崩壊を防ぐ術でもあります。
楽観に傾くより、悲観に備えて対策を整えておく。政府の本来あるべき姿が取り戻せない限り、次の危機を考えておく方が無難、ということになってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2009年09月11日

民主党関連で色々と

民主党新人議員の田中美絵子氏に醜聞が続きます。ただ政治家になる前、貧乏な頃にキャバ嬢やAV嬢をしていようと、犯罪や政治家の能力に関わる以外、特に問題とは考えていません。ただメディアによる政治家の扱いが新人タレントを追うようであり、財界(広告主)の圧力がないと、質が低いと感じるのみです。問題点は何か?が明確でなく、選挙で隠した事と述べるなら、逆に正直に語れば注目が集まり当選した可能性もあるわけです。公選法で経歴詐称もありますが、経歴にも値しない、犯罪でもないことではただの見出し記事でしかないのでしょうね。
上記に関係する話で、米国防省報道官が「インド洋給油継続を強く働きかけたい」と述べた件で、日本のメディアは一斉に『懸念』と報じました。月末の日米首脳会談を控え、ハードルを上げておくことはよくある外交戦術ですので、特段の懸念ではありません。米国向け給油活動は、実績ベースで1桁しか実施されていないとの話もありますし、元々交渉余地のある話です。これも過剰に世論の不安感を煽り、交渉ごとが外国ペースで進み易い日本の欠点でもあります。

来週になる予定の閣僚人事ですが、社民が環境相、国民新が総務相の要求をしています。恐らく自公連立の公明を参照しているようですが、自公は選挙協力も含めた連立ですので、全く立場が異なります。公明のような重要ポストを歴任するだけの力は両党に最初からありません。
閣内協力は人質ですので、実務に携わりたい意向は理解できても、CO2削減25%を公言した環境相、地方分権でもめた総務相、どちらも難しい提案です。特にどちらかに省庁つき閣僚を渡すと、片方に不満も強まりますので担当相辺りが無難な落とし所なのでしょう。友愛や小沢氏の力に頼るより、党の力と立場を弁えないと、他の連立準備政党にとって代われらることになります。
閣僚人事でもう一つ、財務相に藤井氏を推す案があります。小渕内閣で大蔵大臣を務めた宮沢氏が78歳だったので、77歳でも大丈夫との意見もありますが、グローバリズムに対応し、国際会議も多い中で高齢には不満も付きまといます。ただ海外にも通用するネームバリューは生かすべきであり、少なくとも国家戦略局などで財務関連を担当すべきではあるのでしょうね。

政権交代の実は、幾つか現れています。当選した自民党政治家に、公費で祝電を送っていた省庁が、今回それを廃止しました。また補正予算の執行状況が明らかになり、複数年度に跨るといわれた支出が、一部で国債を買うなど省庁内で停滞していたことも分かってきました。
後は執行停止に伴う、地方や独法の混乱をどう収束させるかですが、一部で地方には内示を受けた段階で「期待権」が生じる、とするものがあります。ただこれは本予算ではなく、5月末に成立した予算ですから、法律上期待権に伴う損害賠償が成立するかどうかは不透明です。むしろ複数年度に跨る事業継続に関し、停止することによる損失なら有り得ることなのでしょう。ただ公共工事の試算は、必ず国にとって甘め、予算低めで通っていることからも、正しい試算をいち早く出すことが混乱回避のカギとなってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2009年09月10日

経済の話。直近の市場の動き

米国の夏休み明けからドル安、金高、原油高が一気に進んでいます。背景の一つに米医療保険制度改革による、財政出動の拡大に伴う不安があります。債券安には陥っておらず、10年債で3.5%程度ですが、ただこれは金余りによる消極的な運用先、債券需要が強いことがその理由です。
金余りで運用先に窮している、という話は最近市場でも活発です。規制も予想され、先行き不透明感の中、消去法で一部の市場に偏りが生まれている。OPEC議長も原油在庫は高水準といい、金も中国の外貨準備の代替先と言われ、売り方が規制された株には思惑買いが入り易い。このバブルを何とかしないと、先々危険なことが訪れることになるのかもしれません。

日本では内閣府発表の7月機械受注で、船舶・電力を除いた民需受注額が前月比9.3%減となり、予想を大きく下回りました。6月の反動減もありますが、金額は最低ベースであり、年後半からの景気回復はこの機械受注で示唆されていません。日銀発表の8月企業物価指数が前年比8.5%低下、昨年の原油高による反動減もありますが、デフレスパイラルの状況といって良い水準に達しています。
今日の株価は上記のように弱い指標が続きましたが、メジャーSQの思惑で上昇しました。10430円付近に空いていた窓、10450円付近にあったSQの清算値、この辺りを抜けば一気に行くとCMEから狙われており、10500円台回復です。ただこうした動きは、仮に今晩の米市場で100$程度の下げになると否定され、明日大きく動く可能性もあるので、注意が必要なものとなっています。

民主党で経済面の指南役とも言われる榊原早大教授が、年末〜来年にかけ二番底を打つ懸念を示しました。新規国債の発行をしても景気対策を打つべき、との意見です。背景には現状の資金調達水準の安定があり、逆に先行きバブル懸念で引き締めが起きれば、調達を難しくする中で景気対策が打ち難くなる、との懸念も潜むようです。確かに、次に二番底をとりにいくときは余裕が必要です。昨年末から始まる金融危機の前、資金調達した企業が一時期優位に立ったように、資本に厚みを持つことが大事な時期であることはその通りなのでしょう。
ただ米住宅差し押さえが高水準で推移し、商業用不動産に拡大する中、確実に米金融業は再度破綻懸念を生じます。いつかは予想し難いですが、ストレステストを受けた20行の内、2〜3は国有化か合併という道を辿るでしょう。地銀の破綻が続くように、またストレステストより高水準に失業率が続くように、更なる不良債権拡大が今後も圧迫するからです。
そのとき、金融機関の債券保有比率が、国債への懸念となってくるはずです。少し説明が難しいのですが、吸収のバッファを得難い中で償還時期の長い債券は、売り圧力が強まるはずです。今、国債に頼るべきかは経済学者でも意見の分かれるところですが、少なくとも年度計画を変えるより、今年は補正の予算執行停止と埋蔵金で乗り切る期間ではないかと考えますね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年09月09日

連立合意と郵政見直し

民・社・国の連立協議が合意しました。明文化し、態度を鮮明にしたい社民が態度を硬化させていましたが、外交面で政権交代後、いきなり態度が変化すると混乱を生じます。経年的に事態を進展させるなら別ですが、外交交渉の重しとなる明文化など、初めから呑めない提案をしても仕方ありません。方向性として、民主のマニフェストに『沖縄県民の負担軽減の観点から』という文言が追加され、日米地位協定や米軍再編、基地問題を検討していくことになっています。

そしてもう一つ動き出すのが、郵政事業の抜本見直しです。株式売却を統括し、経営実態の精査と、それに基づく具体策の検討が行われます。郵政グループでは、すでにチーム西川のメンバーが9月末日で退任しますし、西岡三菱重工取締役を会長職に昇格する人事が決定していますが、鳩山氏が西川社長の退任を示唆したように、人事面からも流動的な情勢になっています。
先週末、三井住友FGと大和證券Gの、法人向け証券業務における提携解消の動きがありました。共同出資の大和証券SMBCの株式を大和Gが買取り、三井住友FGは人員を引上げる完全解消です。三井住友FGがシティGから日興コーディアル証券を買い取った段階で想定されたシナリオとはいえ、銀行主導で証券業を取り込みたい三井住友FGと、独立性を維持したい大和。原則論がぶつかり、証券業態を2つ抱えることになる三井住友FGが結論を急ぎ、今回の解消に繋がっています。

11年前、この三井住友と大和の提携を進めたのが西川氏です。当時は金融コングロマリットが囁かれても、実現性が疑われる中それを推進し、豪腕との評価に繋がりました。郵政でも西川氏は業容拡大を訴え、攻めの姿勢を貫く方向性でしたが、かんぽの宿売却で躓き、経営手腕を疑われています。しかも未だに売却先選択の問題を説明していないので、更迭も仕方ない状況に自ら追い込みました。
大和との関係でも、4:6の出資比率から三井住友FG側に不満が多く、西川時代との決別の思いがあったかもしれません。提携合意という実が薄れ、収支を原則として判断すれば同様の業態を2社抱えることは、グループ内に重過ぎます。大和も格下げされていますので、マイナスの印象もあるものの、三井住友FG傘下になるなら大和単体で野村を追随したいところなのでしょう。

経営者のタイプとしては、攻めと守りがあります。攻めの西川氏が法律で縛られ、雁字搦めの郵政を率いても、能力を生かすことは難しいのでしょう。問題は郵政の新経営陣が、どういった方向性を示すかです。200兆円の郵貯マネーは未だに国債を8割程度買っており、民営化の目的を見失っています。
簡保や郵便、事業統合などで拡大を目指せば、民業圧迫の懸念を生じます。4分社化見直しも提案されていますが、国鉄民営化のような地域毎に経営を別けるとしても、全国一律サービスの壁が立ちはだかります。現状、郵政は市場で運用するノウハウもないまま、巨大な民営金融機関となり、ガリバーのように小人の国で立ち往生した状況です。何かを捨て、規模を縮小しながら証券業を取り込むなり、構造を見直さないと厳しい経営が続くことになるのでしょうね。

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2009年09月08日

政界の動きについて

自民党で両院議員総会が開かれ、16日首班指名に両院議員総会長の若林参院議員を記名することが決まりました。白票は最も愚かですが、首相に推す気もない人物を挙げることも愚かです。「麻生太郎」が敗軍の将で嫌、自民党総裁選も先、一致団結の姿勢を見せたい、こんな党内の我儘で日本のリーダーを恣意的に扱ってはいけません。鳩山民主党代表を挙げることはプライドに関わるのなら、総裁選出馬を表明した人物に自由投票させる手もあったはずです。
これは国会議事堂内の控え室明け渡しに抵抗する姿勢にも、端的に表れますが、小事に拘り大事に思い至らない、政治家のスケール感の無さです。大事とは国事であり、小事とは党内事情です。控え室を明け渡すには数千万円の税金がかかると、まるで盗聴器でも仕掛けてあるかのような、電気設備まで変更する見積もりを拒否の根拠にしていますが、意味の通らない説明を繰り返し、支持を減らしたことを未だに反省できていない姿勢が鮮明となっています。

そんな中、公明党が山口那津男参院議員が党代表に就任しました。党幹部が悉く民主党に討ち取られましたが、集票マシンである創価学会も、70%に迫る浮動票が投票する政権交代を争点とする選挙では機能し難い。また自民党も支持団体離れに悩み、連立による果実も得難くなった。山口氏は独自路線を歩む姿勢を見せ、自民、民主の両睨みで運営していく意向のようです。
この動きで、自民にとっても公明票を失うことは痛いですが、最も怖いのは社民党でしょう。民・社・国の連立協議が決裂していますが、ネックは沖縄基地問題などの安保、外交的には本来変更が難しい項目です。それを衆参合わせても11議席しかない政党が、注文をつけて変えさせようとしているのですから、政権、国会運営においても違和感を生じるものとなっています。

社民党の弱い部分は、支持母体がそれほど強くなく、議員も小選挙区では弱いことです。仮に政権内で強い権限を得ても、国政、外交に混乱を生じると責任論が噴出し、収拾がつかなくなるでしょう。その場合、公明、みんなの党など連立予備政党が動き出す、どちらにしろ使い捨て懸念は拭い去れなくなります。社民は独自路線を貫き過ぎ、連立も地獄、離脱も地獄に陥りそうな気配です。
選挙で独自性を打ち出すことは、決して戦略上の間違いではありませんが、連立に際しては足枷となります。折り合いをつけたつもりが、かつての自・社・さの政権のように独自性を消された点を懸念しても、独自性が政権内で浮き上がる懸念もまた、残るということになるのでしょうね。

ローマ帝政期では没落した自作農民が首都に集まり、「パンとサーカスを寄越せ」と叫びました。職を失い、生活に困窮する人々に食べ物と娯楽を提供した者が、政治家として力を持ったのです。国民の期待に応えるとは何か?政治家が考えるべき視点でもあるのでしょうね。

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2009年09月07日

米雇用統計と子供手当て

米8月雇用統計で失業率9.7%(前月より+0.3%増、予想9.5%)、非農業部門の就業者数は21万6千人減(予想23万人減)となりました。ただ就業者数の7月改定値を含めると、総じて予想より悪い印象です。ただ米レイバーデイ前後は上昇する、というアノマリーで米相場は上昇しています。これは短期の売り方が、夏休みシーズン明けを見越してポジションを手仕舞うから、というのが一般的な見方ですが、円売りも進みましたのでそうした動きと見られます。
更に雇用統計外の動きとして、就職待機期間中に就学し、失業者から外れる傾向も見られます。米国ではスキルを上げるため、一旦働いてから就学する人も多く、また企業も中途採用に積極的です。日本で失業者が就学しないのは、学業が業務に直結しない、また採用にプラスとならないなどの理由があります。就職の基本はあくまで新卒採用であり、この点も再就職のためのスキルアップに、職業訓練施設が別途大量に必要な理由ともなっています。米雇用統計から学ぶべきは、多様な働き方と学び方の双方であり、経験の評価の仕方です。ただ米国でも、スキルアップが今後の再就職に生かされない、との懸念も出ており、その点は注意が必要なのでしょうね。

日本では政権交代に向け、予算の見直しが盛んです。農水省が21基金の予算執行を停止し、補正予算も見直しが進みます。ただ注意すべきは、この間の駆け込み執行であり、後懸かりとなっても必要性から事業継続を精査することです。その結果、ムダとされるものは中止を英断する。これは八ツ場ダムも同様、事業が真に必要なものなのか、維持費も含めて詳細に検討し、継続性を審議してそれを情報公開することです。
これは全ての国の事業に当て嵌まります。インド洋給油活動でも、不透明な商社との取引が指摘されながら政府は説明を拒否し、曖昧にされました。説明責任、という言葉に置き換えることも可能ですが、情報公開をすれば例えマニフェストに反しても、事業継続する、廃止することの正当性を国民が主体的に考えることが出来ます。それが民主党政権では可能かどうか?むしろ自民党政権との違いを打ち出すためにも必要なことなのでしょう。

例えば国民からは批判の強い、子供手当てがあります。言葉は悪いですが、子育てを労働ととらえ、国が労働対価を払うと考えれば、国策として少子化対策を行う一事業となります。仮に扶養控除が削られ、増税感が強まっても人口増社会が実現すれば、大きな国益に繋がります。この大枠で国、国民に資する制度かを冷静に試算したものは、寡聞にして未だに見聞きしていません。
先の米雇用統計でも、就学してスキルアップという話をしましたが、子育てを労働と捉え、子育てが終わった世代が保育所で働けるようになればそれも一つの方策です。地方分権改革推進委員会で全国一律の法令を見直しが提案され、参入緩和にも繋がりそうです。規制緩和と労働、スキルまで含めて一元的に、省庁横断的に判断する仕組み、それらを通して国民利益の最大化を図れるようにしていかなければいけないのでしょうね。

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2009年09月06日

高速道路無料化に対する国交省の試算

財務相・中央銀行総裁会議(G20)が閉幕しました。世界経済は改善傾向でも警戒、当面の金融政策を維持、出口戦略、金融機関の高額報酬制限の国際基準作り、自己資本比率の強化など、現状の課題を再確認するものの具体策には踏み込めない状況が続きます。高額報酬制限は、短期利益により報酬を計算すると、不良債権処理が進まないことが最大の弊害です。
約2兆$とも云われる商業用不動産ローン関連の金融商品、その延滞率が3.14%に上昇する中、金融機関は処理を遅らせています。ストレステストが終了した米金融機関ですが、この問題で健全性が揶揄されると、再び売り込まれます。自己資本を株式重視にすれば、利払い抑制は可能でもより変動が大きい資本により、運用が縛られる可能性も考慮し、今後の推移を見ていかねばなりません。現状のG20の議論の推移も、良い方向性ばかりでないことは認識しておくべきでしょうね。

国交省が2年前、高速道路の無料化に関して試算していました。経済効果を1.走行時間の短縮、2.燃費など走行経費の減少、3.交通事故の減少、を3割引、5割引、無料の料金体系で試算して割り出しています。全割引で効果が上がり、無料化では高速道-2.1兆円、一般道4.8兆円、差し引き2.7兆円の経済効果を期待できるとのことです。
道路利用に関する経済効果は、無料化になれば確実に上がります。東京や大阪など、都市部の課金を借金返済や維持費に回せば、税負担も軽減できますし、全体の仕組みを考える上でも計算が成り立ちます。ただ問題は、Co2排出量の問題と鉄道、フェリーなどの代替輸送に対する影響です。補助金を出すのか、輸送量を減らして存続を目指すのか、廃止するのか、そのいずれの選択肢でも国民負担と、業務削減による雇用喪失の影響を国民は受けねばなりません。
国交省の試算はこの全体像がなく、これらは他の省庁でも当て嵌まります。つまりどこの省庁も独自にデータを抱え込み、横断的に判断する術がない。その結果、国民全体の利益に資するか、という総括的な計算が出てこない面があります。今回の試算も国土技術政策総合研究所ですが、民間を活用するなどして全体の効果を算定していくことも、官僚主導からの脱却に帰するものとなります。

つまり省庁傘下の政策研究所に業務を丸投げせず、能力に応じて民間を含め、発注することが必要です。道路に限らず、高速道路無料化は大きな国策の転換になります。その時、効果に対する見込みもないまま、見切り発車をしてはいけません。これまでは公共工事にしろ、甘い試算や査定で進められてきました。その結果、ムダな工事が増えてきてしまったのです。
それらも全て正しい試算があれば、効果をキチンと国民に説明することが出来ます。逆に日本ではこうした試算を正しく開示してこなかったのです。今回も自民党政権では怖くて出せない、民主党政権に阿った、と穿った見方も可能です。効果を正しく試算し、国民に情報開示することも、政治主導の政権運営に繋がるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:41|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 行政 | 経済

2009年09月05日

雑感。若者の自殺について

今日は若者の自殺が増えている、という記事に関連して書いてみます。経済が混乱し、派遣切りなどが増えて中高年の自殺者が増えているか、というとH20年は減少傾向にあります。それより若者の自殺者が増え、未成年者で前年比11.5%増、20代で3.9%増となっており、20代になると経済的側面も考えられますが、未成年者の方が深刻な増加であることが分かります。

日本では90年代に言葉が知られるようになりましたが、AC(アダルト・チルドレン・オブ・ディスファンクション・ファミリー:機能不全家族)という言葉があります。現状はサラリーマンは企業戦士、として家庭を省みず、仕事一筋に生きた父親に育てられた世代が、ちょうど自身が親になる時期に差し掛かる。つまり少量の機能不全を引き起こしていた家族、その第2世代目に当たります。
父親のいない家庭が、全て問題ある訳ではありません。ただ社会の歪は、弱者である子供に向かい易く、対人関係を良好に築くことを阻害します。イジメをする者も同様に、誰かを傷つけても厭うことがない。何が正しいかを教えられない親、そうした面が、こうして子供たち同士を追い込んでいるような気がしてなりません。

人間にはペルソナ(仮面)とシャドウ(影)がある、といわれます。外面の良い人間が、良き家庭人でもあるか、というとそんなこともありません。そうして家庭のほんの僅かな部分、親の態度や行動により『家庭』が機能不全に陥れば、子供が無意識のうちにペルソナを使い分け、一転して別の人間にシャドウをぶつける。両親からは見捨てられることを恐れ、善良さを装いながら、どこかでその歪をイジメとして向けてしまうことも、想定できるのです。
自殺の問題とは、家庭や外部の環境全体の問題として捉え、解決しなければいけないと考えます。対人関係だけに限定したり、家庭環境の改善だけではなく、社会という仕組みを変える方向が必要なのでしょう。それには自分の思考、心情がどう動くかを正しく理解し、行動することに考察を加えていけるようにならないと、いけないのかもしれません。

個人的な話をすれば、私もあまり良い家庭環境ではありませんでしたが、高校生の頃に飼い始めた犬と両親との関係、ちょうどその当時調べ始めた心理学などにより、自分が幼少時受けたことと、それによる自分の心の動きが理解できたこともありました。今は兄の子供たちとも非常に仲良くしていますが、当時のことも踏まえて、子供とは向き合うようにしています。
少子化で、子供手当てに議論が集まりますが、子供たちの環境を整えることも大事なことです。保育所が足りない、そうした施設面だけではなく、啓発作業により子供たちの心を守ることも、取り入れていかなければいけないことなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 心理

2009年09月04日

農水省関連の問題が幾つか

民主党人事の話がチラホラ聞こえていますが、人事とは全体のバランスを見ないと評価も難しいことから、今はコメントも控えます。ただ2重権力との批評は、小沢氏にそれほどの体力と時間が残っているか?という考察が些か不足気味と思われます。ただ強い理念をもつ人ですから、そこから外れた方向に党全体が進み始めた時、どう動くかなのでしょう。マニフェスト作成にも携わっているので、その政策に沿う限り2重権力などの懸念はないと思われます。

それ以上に現状懸念があるのは自民党の態度です。G20、WTOなどの国際会議に出席しない、駆け込み天下り人事を許す、など行政長官としての閣僚が全く機能していません。自民はこれから、健全野党として次の政権政党へ至るための準備を始めねばならず、その一歩目は官僚統制力を示し、スムーズに民主へ引継ぎできるよう、下地を整えることにあります。
麻生氏がぶら下がり会見でキレるのは毎度のことですが、全てにおいて身の退き方がその後の人物評価を決めます。元々、9月は国際会議が立て続けにあることを知って、総選挙を8月30日にセットしたのですから、新政権発足までは責任をもって、自民党政権が対応せねばなりません。
農水次官の天下りの件を、民主党に訊くのは未来志向で良いのかもしれませんが、本来はそれを許す現政権に責任は帰します。これでは自民党政権に戻ると天下りが止められない、との懸念を国民に生じさせるでしょう。小沢氏の幹事長就任で、2重権力の懸念を語るより、足元の自分たちの態度を改めるべきです。ためにする批判なら、自民は万年野党に転落するのでしょう。

農水省の組織改変案があります。事故米の不正転売問題から、米のトレーサビリティ実施のため、組織は肥大化し、他部門を合理化して人員確保するといいます。しかしトレーサビリティにしろ、流通の過程に乗れば消費者庁に移管しても良く、転売が繰り返される現状の米取引で、偽装を見抜けるかは全く不明です。システムに問題がある中、人員を確保しても何の意味もありません。
地方にある道路整備局や農政事務所、それ以外でも国が直接管理する必要があるか、それとも地方に移管すべきかは、分権にも関わる問題です。特に減反、公共工事などが縮減され、データ収集や管理だけとなれば、益々国が直接管理する必要はなくなります。戸別補償にしても、一括交付なら地方自治体が対応するのですから、国の出先機関については再考の必要もあるものです。

会計検査院が指摘した、独法・家畜改良センターと社法・家畜改良事業団の不透明な取引。これらは他の独立行政法人でも膿が出る問題です。日本に溜まった膿を出し切るためにも、引継ぎは重要となっており、現政権の閣僚はしっかり実行する必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 社会

2009年09月03日

経済の話。9月相場の動き

今週末に予定されるG20、日本から閣僚は出席しない予定です。重要な決定はない見通しですが、銀行の資本増強、レバレッジ制限、幹部への報酬制限などが話し合われ、今後の経済の舵取りには重要な内容です。直近の日本に影響しそうなのは会計基準の見直しですが、国際機関や欧米でも様々な議論があり、未だに結論はでそうにはありません。ただ海外の基準に準拠すると自己資本が低くなる邦銀は、いずれ何らかの対応を迫られることになるのでしょう。

今日の証券市場は14日続いた鯨幕相場が終焉し、続落となりました。9月相場は弱気、が市場コンセンサスですが、これは米系ヘッジファンドの決算対策など、売り材料が頻出し易いことが上げられます。9月に入り米市場が軟調に陥ったのは、保険大手AIGの格下げもありましたが、米ファンド、サーベラスが約48億$の解約請求を受け、破綻懸念を受けた影響もありました。
サーベラス全体の投資運用資金、約2割が解約となればかなり苦しくなります。しかもディストレスト資産への投資が拡大する同社は、経済環境の悪化を受けると解約され易い傾向もあり、上昇局面の継続性に疑義が呈される現状、難しい局面を迎えています。それが破綻懸念となり、金融機関全体の不良債権処理が進まない現状と相まって、前週上げた金融関連が大きく売られました。

日本市場はCTA筋の振り回しで大きく動く展開が続きます。民主党政権誕生でも、米国であれだけネガティブキャンペーンが起これば新規資金は減り、すでに織り込み済みの面もあって反応薄となっています。更に米国に続き、ドイツの新車購入補助も資金がつき、受付が停止されました。購入支援策が各国でも打ち切られる中、雇用回復はまだ先であり、消費に懸念が生じています。
しかもチャート的にはダブルトップに近付いており、9月相場の特性から見ても、SQに悲観的な意見が増えてきました。3月以降、高値誘導を図ってきた欧州系の動きに変化が生じるのか?それがしばらくの値動きに利いてきそうです。ここ数ヶ月、一貫して外国人投資家が買う相場が続いており、外国人の日本市場の見方が変化する時は、注意すべきサインとなってきます。

若干落ち着きを取り戻していますが、世界は経済を初めとし、環境が激変する状況です。インドで開催されるWTO会議も同様ですが、重要な場に閣僚がいない、話し合いすらできない状況は、極めて危険と云えるでしょう。総選挙を経て、いきなり意気消沈しているようですが、現閣僚は党益を超えた国益で動くべきであり、引継ぎも含め、特に国際会議は自ら対応しなければならない事柄でもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年09月02日

連立政権の難しさ

自民党総裁選で、舛添厚労相が不出馬を表明しました。仮に民主党政権が成功裏に進むと4年後が総選挙ですから、今から総裁になって数度の選挙をこなし、また醜聞が出ることで失点を重ねる必要はない。現状、エースは温存しておくが本人、幹部クラスの意向のようです。
ただ舛添氏は支持が不明確で現場が混乱しているように見え、かつ不都合なことを責任転嫁して、自己弁護する傾向があります。これはトップとして最悪の性向であり、舛添氏が総裁に立つことが自民にとって良いかどうかは別問題です。最悪は人気で選んでまた失敗、という自民党負の連鎖です。しかも2、3期、解散権の及ばない参院議員を務めた程度の経験で、勉強会などを立ち上げて党内をまとめたこともない人物が、いきなり自民党総裁はどう考えても違和感がある人選なのですけれどね…。

民主、社民、国民新が連立に向けて動き出しています。社民が与党協議機関を要求していますが、埋没懸念もある中で閣内、閣外協力に揺れる社民が、ギリギリ要求できる範囲です。しかし明らかに政策立案、検討機関が複数立ち上がることになり、これは民主も呑めません。連立する小政党の場合、強く主張する政策の優先度を決め、最重要課題の部分において多数党に合意を迫るべきですが、それが安全保障や憲法問題なので、社民との連携には難しい側面をもちます。
逆に国民新の場合、郵政見直しは合意し易く、連携もスムーズです。郵政も道路公団も、結果的に民営化した果実を国民は中々意識できない。一部はSA、PAのサービス向上もありますが、公的資金を再度投入して道路建設が進められる、郵政も郵貯マネーが財投に流れる、など民営化効果は上がっていません。再度公社化、ということは難しくとも、郵政民営化の仕組みは見直しが必要であり、預貯金も保険も物流も公的な巨大企業が市場占有率を高める、最悪のシナリオも想定できるものとなっています。この点、国民新と民主は手を結び易い面があります。

民主の場合、衆院で3分の2を越えて懸念を高めることから、みんなの党との連携には後ろ向きです。ただ総選挙の得票数だけを見ても、既存政党を超えるものがあり、来夏の参院選で議席を得ると、一気に連立を組む可能性も高まります。みんなの党は行政改革の優先度が高く、その点では合意し易い面があります。その場合、社民との連立は解消が進むのかもしれません。
どの国でも政党間の連立は難しい。それは政権与党との距離感を間違えると、小政党には致命的にもなるからです。連立を組むなら死に物狂いで成果を上げねばならず、腰が引けていれば、すぐに連立解消となるのでしょう。難しいのは、国民の最大支持を受けていない小政党が、自身の主張を強引に押し通すことに正当性はなく、連立内で自分たちの意見をどう生かすか、です。

自民に寄った改革クラブは政党要件を失い、多くの候補者を立てた幸福実現党は、党首の過度な演出による政見放送で、政教分離を強く意識させたために埋没しました。政党としての立ち位置を考えるとき、国民の最大公約数は何か?そこを見失うと支持も減り、当落にその結果が現れてきます。連立だけではなく、今後の政局面は様々な展開も想定でき、しばらく流動的になることはほぼ確実なのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年09月01日

民主党政権と米ネガティブキャンペーン

鳩山民主党代表がニューヨークタイムズ(NT)に寄稿したと言われる論文、実は他紙へ寄稿されたものの抜粋、という話もありますが、米国有識者やメディアの間で問題視されています。内容は目にしておらず、憶測も混じるので控えますが、こうした動きが出る背景は探ることも可能です。
日米の間では長らく年次改革要望書をやりとりして来ました。郵政民営化もこの要望書に記載されていた項目であり、米国からは微に入り細を穿つ、非常に詳細な内容の改革を実行するよう迫ってきたのです。つまり米国でネガティブキャンペーンが起きる背景には、日本政府の意思決定過程が変更することにより、要求が通らなくなることを怖れる動きが出た、ということです。

これは政府・金融両面からの動きがあります。米政府は直接的ですが、金融界は実害が伴うだけに切実です。つまりこれまで日本の情報収集をせずとも、政府に直接働きかけをしなくても、米政府へのロビイスト活動だけで日本の政策を変更させ、規制緩和や優遇政策を引き出し、利益を得ることも可能でした。それだけ年次改革要望書を日本は忠実に実行してきたからでもあります。
しかし対等外交に至れば、金融界は日本の情報収集を密にし、日本で政策実現するためには日本国内でロビイスト活動を行わねばならない、即ちコスト増となります。しかもリーマンショック前なら日本支部も多く、情報収集を可能としていましたが、今は規模も縮小し、更にロビイスト活動まで、となると体力もありません。中国に抜かれようと、日本は世界第3位の経済規模を誇る国、分散投資の観点からもファンドマネージャーが素通りすることは出来ない。従来の関係の継続、それが米国の願いであり、ネガティブキャンペーンをうって日本に圧力をかけてきた狙いなのでしょう。

民主党政権誕生で、批判的だった地方首長や議員、官僚に至るまで手の平返しをしています。節操がない、という言い方も可能ですが、日本では直接交渉で中央への陳情・折衝を行うため、政権政党との対立は致命傷となります。政権が最大の利権であり、ロビイストという第三者機関を持たない日本では、政治家が長いものに巻かれざるを得ない傾向も見え隠れするのです。
しかも日本では長らく政権交代がなかったため、政治の風通しが極めて悪い面があります。政官財の癒着の構図も同様、一角が崩れたことにより、政権交代による混乱を殊更に強調する財界人や、東国原宮崎県知事のような例もあります。しかし自民党という軸が崩れたからには、様々な点で新たな関係構築に向けた動きが重要であり、そこに乗れない人材は時代に取り残される、そうした傾向を強く滲ませるものです。

既得権益維持のため、今後も様々な動きがあるでしょう。それは国内だけでなく、国外も同様です。一喜一憂したり、右往左往したりするのではなく、国益、国民利益の最大化を優先していけば、自ずと答えも見えてきます。結果としてそれが、政権交代を実現した最大の効果であり、国民の選択が正しかったのかどうかの基軸にもなるのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般