2009年10月

2009年10月31日

日銀展望リポートについて

米国で大手ノンバンクCITが、プレパッケージ型の連邦破産法の適用を申請する見通しとなりました。29日には判明しているはずですが、未だに正式発表はなく、700億$の資産、650億$の負債とも云われる中で債務整理の手続き、若干もめているようです。米政府が投入した公的資金23億$は消え、新たに9つの地銀が破綻する米経済、不穏な動きが増えてきそうな気配ですね。

日銀展望リポートが出されました。、経済見通しは実質GDPが09年-3.2%、10年1.2%、11年2.1%と緩やかな回復を見込みます。ただ物価は11年でも0.4%の下落を見込みます。この点に関し、白川総裁は新興国の成長が輸入コストを上昇させ、物価に影響する可能性を見ていること。02-03年にも物価下落と経済成長が起きた点を指摘し、物価安定の下での持続的成長路線に自信を見せます。
しかし甘い見通しと云わざるを得ません。当時はITバブルが崩れ、米国が超低金利状態に突入、その中で景気は金融バブルへと向かう兆しが現れた時期です。現在がバブルかどうかは見方も別れますが、供給された資金は当時と比較にならない量です。その中で日本だけが物価下落に陥る理由を、このリポートでは明確にしていません。米国経済の見方も、低成長ながら新興国が牽引し、自律的回復を成し遂げるとの見方を背景にしていることが窺え、日本もその恩恵に浴すとしています。

それでいて潜在成長率を0.5%下方修正しています。問題は見通しがチグハグ、見方が分かれているということ。複数のシナリオが存在し、その中で日銀の金融政策が決定されることです。GDPにしろ米国と同様、大きく下落したので多少は切り返す、との見方が大勢にしろ、景気対策が終了した後の安定的回復には、審議委員も自信をもっていないことが鮮明となっているように見えます。
新興国の成長も、プラス成長を維持した国が景気対策を打ち、効果が高まっているとの想定も可能です。ただこれはバブル懸念を強くします。急成長後の反動を見込むと、元々の経済規模が小さいだけに変動幅を大きくする可能性も考慮せねばなりません。アジアでは通貨高を抑制するため、為替介入を続けていますが、これらの動向も変動要因となりうるでしょう。

国債の発行懸念も依然付きまといます。日銀の国債買取も、来年には資産規模の面で高水準に達し、日銀のバランスシートにも問題が生じる可能性があります。不確実性の高いことは認めますが、経済の舵取り役である日銀が今回のリポートで示したことは重要です。国の債務と経済成長という二つの側面から見て、困難な局面を認めた、そういうことになるのかもしれませんね。

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2009年10月30日

思想に関税はかからない

タバコ税が増税の見通しです。嗜好品であり、健康被害も指摘される中、欧米並みの課税水準であっても違和感はありません。COPD(肺気腫)も増加しており、呼吸器系の打撃は今回のインフルエンザでも、重症化し易い面があります。後は政治決断だけなのでしょうね。

行政刷新会議の事業仕分けチームが再開されました。国会議員は当初32人から7人へ、その分は民間人を多く登用する意向です。このチームが混乱したのは、小沢氏が1年生議員は国会で勉強、予算書など見ても分からない、と述べたことです。ただこれは論拠に乏しく、小沢氏と距離のある仙谷氏や枝野氏への面当てでは?と推測されても仕方ない横槍です。選考基準は議員経験ではなく、職歴、経歴で予算見積もりや、決算書のチェックなどをしたことがあるかどうかです。
国会にはあらゆるムダがあり、慣例や伝統という言葉で、それらが覆い隠されています。議会制民主主義では、政権と与党は一体なので代表質問はしない。そうした合理性があるなら、民主党はこの事業仕分けでも手法、結果に合理化を求めることが出来るはずです。民主党にはとにかく時間がない、合理的に物事を進めるためには、誰もが納得できる理屈を採らねばなりません。

ドイツの諺に『思想に関税はかからない』というものがあります。考えるだけなら自由という程度の意味です。しかもこの言葉の後に『しかし地獄からは自由でない』と続け、考えた結果として悪い結論を導く可能性を指摘する場合があります。多くのメディアが結果や成果を煽るのは、政権交代をした経験がなく、ハネムーン期間を考慮していないためですが、今は時間とコストを無駄にせず、最短距離で目的達成しなければネガティブキャンペーンも増えます。民主党は大きな改革を成し遂げようとしている、その力は業界や官僚からではなく、民意に基づく支持率で与えられることを忘れてはいけません。
暫定税率廃止も段階を踏んだ手順になりそうです。最近、民主党政権の閣僚の発言が軽い、と見られるのも個々の思惑を語っているに過ぎません。しかし閣僚の発言は、それで動く公務員がおり、常にコストがかかり税金が投入されている、ということに思い至らねばなりません。私はこう思う、頭の中から人の耳目に晒された時点で、税金が投入されていることを考えるべきです。

最近、会計検査員が活発にムダを洗い出しています。埋蔵金や、公益法人に依頼された調査の7割が未発表など。民主党政権は民意を失ったら終わりです。ムダ抽出には思想の限り、全てのマンパワーを尽くしても良い、とも言えるのでしょう。事業仕分けだけでなく、国民利益の最大化を目指す方向性を、いち早く打ち出すことが肝要なのでしょうね。

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2009年10月29日

経済の話、市場の動き

日航の再建が企業再生支援機構に委ねられることになりました。最初の躓きは、前原国交相が破綻させない、と述べたことでしょう。再生TFが企業年金積立不足を3300億円と見積もり、実はそれ以上との報道もありますが、厳しい査定を課すべき再生TFが甘めに見積もったのも、破綻させずに企業再生を促すには?という方向性に偏ったからと見られます。債権放棄や支援額も、厳格な査定の元で絶対に必要な分を算出すれば、混乱はしなかったはずです。破綻させずに生き残る道は総じて険しく、不良資産を切り離す英断を、いずれ下さねばいけないのでしょうね。

日経平均が3日間で500円強下げ、1万円を切ってきました。ポジションが崩れ、一部買い方が調整を余儀なくされた面、TOPIXリバランスによる持高の調整、NT倍率の拡大を引き起こしてきた投資主体の巻き戻し、など幾つかの要因が考えられます。ただ欧米で聞こえ始めた金融機関の問題が重しになり、世界の市場が不安定化したことが最大の原因だったのでしょう。
GMACに再度公的資金投入?ヘッジファンドへの捜査、欧州でも幾つか金融に問題を生じており、景気対策効果が切れる年後半にかけて、慎重な見通しが出始めたことが影響しています。7-9月期米企業の決算発表もあらかた終わり、材料出尽くしの面もありました。そんな中、7-9月期米GDP速報値が3.5%増(予想3.2%増)になった、と少し前に発表されています。

米国は昨年の7-9月期から確定値で0.5%減、6.3%減、5.5%減、前期は確報値までで1%減です。単純計算できませんが、基準が下がったことが高い成長に繋がった面は否めず、また消費回復が顕著ですが、自動車優遇は8月で停止、新規住宅購入支援も緩やかに廃止の方向です。新たな景気対策も検討され始めましたが、一方で増税議論も活発で、今後は企業の資金調達にも税負担という話があり、これは調達コストの増加と金融機関の手数料収入減、という大きな問題となります。
厳しい見通しを示せば、消費を先食いした分は、低成長に陥れば今後必ず負の効果を生み出します。米GDPが7-9月期高い、ということは逆にそうした印象を強くするものであり、危険を感じます。米国の消費者信頼感指数が伸び悩み、金融貸し出しが増えない中、米国の金回りが良いのは金融機関だけ、という現状はしばらく続いてしまうのでしょうね。

日本の相場は、短期的には10月SQ値を下回り、窓を開けたことで弱気とも囁かれます。ただ積み上った超緩和的状態は未だ存在し、一気に大きく下げることはないでしょう。しかし心理面にやや弱気の影も射したことから、売り崩しのポジションが動かないとも限りません。米大手ヘッジファンドの運用実績が悪化し、次々と逮捕、閉鎖される状況は資金ショートを引き起こし易い面もあります。年末にかけてやや不安定化する、ということだけは確実なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年10月28日

日本郵政の新体制が発足

衆院で各党の代表質問が始まりました。谷垣自民党総裁が普天間基地の問題に関し、「各国から不信、外交関係にも支障」と述べていますが、これはやや見解が異なります。パックス・アメリカーナの枠から外れ始めた日本の外交姿勢に対し、米国では現在、ソフト・デモを展開しています。
最初に頭を押さえつけ、屈服させておけば、民主党政権に変わっても米国に反抗できなくなる。逆にこの程度の問題で米国が強硬姿勢を示すのは、そうした思惑が働いています。それに屈して弱腰外交を繰り返してきたのは自民党であり、民主党でも一部、官僚に囁かれた人物が弱気に傾いています。しかしここで踏ん張らねば、対米追従外交を繰り返すこととなります。オバマ大統領来日まで、などと期限は切らずに、腰を据えて取り組まないと今後の足枷となることは確かでしょうね。

国会論戦にもある日本郵政の新経営体制が発足しました。就任した斎藤社長が「行政の拠点」と述べたように、株式売却は停止され、今後も特殊法人の扱いで運用する形となるのでしょう。民営化賛成派の竹中氏が、国民の負担が増えるという言い方をしていますが、これは間違いです。
サービス面の改革は公社であろうと可能であり、民営化と直接関係はありません。問題は公社時代に財投へ流れ、ムダ使いの温床となっていた資金をどう扱うかであり、これは現状国債に回ったに過ぎません。つまり運用実績のない郵政が、民間に資金を流すかどうかは郵政内部の問題で、民営化は関係ありません。また株式売却益の話も、時価総額ベースで見ても、他の金融から資金を吸い上げさせ、株式押し下げ効果があることを考えると±があるものです。郵政は大きな金融機関であり、日本全国に跨るネットワークからも、同業他社を圧倒し易い。大を強くして小を飲み込む思想が市場原理主義に含まれますが、それは世界でも今、否定され始めています。

郵政が行政と一体化するので官僚出身者を重用する。当然天下り批判をしてきた民主党でこれはマイナスですが、それ以上に問題なのは、取締役の数を18人と倍増させたことです。しかも月一回、これでは会合を開いても多種多様な意見をまとめ切れません。これは即ち数だけ揃えた、体裁を整えたのみ、官僚出身の2氏、坂氏と足立氏との三人で、実質的に運営すると明言した形になります。
現状での見直しは、『民から官へ』ではなく『官のまま』であり、混乱も少ないでしょう。ただ肥大化し過ぎたり、コストカットなど経営面で合理化を示さないと、どちらにしてもマイナス面を強くします。官のままでも、規模を縮小して銀行を圧迫しない形を目指すことは可能です。今後の事業のあり方、それ次第で郵政の見直しは評価する必要があるのでしょう。

しかも亀井金融担当相は無利子国債論者です。日本は待機資金、眠った個人マネーをどう動かすかが重要なのに、無利子国債は諸刃の剣となる施策です。弊害は手法により幾つかありますが、資金が回さない形になれば、それこそモラトリアム以上の問題を生じます。郵政を官のままとするのなら、早めに形、経営における透明性を含めた改善を行う必要が出てくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:17|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年10月27日

経済の話。世界の年金資産の減少

関門海峡で自衛隊の護衛艦くらまと、韓国コンテナ船が衝突しました。事情は分かりませんが、自衛隊関連で最近こうした事件が多く、不安に感じます。海自はこれからも国際貢献が期待される中ですから、どんな要因であれ、国民の安心に資するよう自らを律して欲しいですね。

米国から、地銀の破綻が今年106社を越えたと伝わります。また不動産投資を主体とするキャップマークも210億$の負債を抱え、破綻とのことです。米大手金融は政府保証がつき、投資銀行部門が好調。しかしリテール部門は負債が拡大する傾向にあり、体力の弱い地銀や、業態が限定される金融機関は厳しい環境が続きます。今月末のCITの結論まで、目が離せない状況が続きます。
また経済開発協力機構(OECD)が、年金資産の時価総額で08年に5.4兆$減となり、09年上期は1.5兆$回復した、との試算を発表しています。年金は運用利回りが±0になっても、総体としてはマイナスとなります。年金は運用利回りで4%以上を約束しており、今後日本でも企業会計基準が見直されると、企業年金の運用損を一括で損失処理せねばならず、年金関連の問題は大きくなりそうです。

財務省が09年7〜9月期の景気判断を上方修正しました。ただ雇用判断は据え置かれ、世界でも雇用なき景気回復、との言葉が聞かれます。雇用の減少とは、年金減資の縮小ともなり、投資運用資金の縮退を意味します。かつ3.9兆$の年金が消えた、という現実は企業負担となって跳ね返ります。この問題はいずれも関連しており、企業も2012年には確実に向き合うことになるのです。
米国では預金準備を積み上げ、市場に大量に資金を注入する形で、相場を下支えする姿勢を示した理由も分かります。ただ歪んだ市場が向かう先に、何が待っているかは冷静に見ておく必要があるのでしょう。企業年金の毀損は、JAL問題でもハッキリしてきましたが、すでに4%運用を維持することは難しく、低成長型の世界で大きな問題となって世界が考える必要が必ず出てくることになります。

日本の証券市場は、株先買いが一部で大量に積み上がっています。債先とのアビトラもありますが、欧米市場も高値警戒で上値が重く、商品市場も実態と乖離し過ぎて危険、新興国も中国の政策転換が出される文言から意識され、出遅れのイメージがある日本市場で仕方なく買った結果でもあるのでしょう。ただオプションとの兼ね合いで見ても若干違和感があり、継続性は今一つと感じます。
不浄なマネーの動き、それが相場の変動要因となり、益々年金などの公的運用に失敗するところが出てくるでしょう。日本の年金基金も同様ですが、運用における成否がそのまま企業、国家の継続に繋がる状況が、今後も出てきてしまうのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 年金

2009年10月26日

鳩山首相の所信表明演説について

臨時国会が鳩山首相の所信表明演説で始まりました。谷垣自民党総裁が「ヒトラー・ユーゲントのよう」と評しましたが、以前はこの逆を自民党も行っており、昔は野次も合いの手も演説の内、という風習もありました。こんな所にも自民党の勢いの無さ、野次にも元気のなさが窺えます。
冗長で中身が薄い、という批判もあるようですが、鳩山氏本人が自分の知り得る範囲で書き上げたことが、如実に現れた文章です。平易で分かり易さもあり、官僚言葉がないことは評価できます。中身もよく読むと、これまでとは少し変化も見られますので、内容について考えてみます。

アインシュタインの「人は他人のために存在する…」という言葉を入れ、その継続した流れで「新しい公共の概念」として、市民やNPOの活動をやり易くする規制緩和を盛り込みます。これまでの民主党の主張の一部にはありましたが、所信表明で述べられた意義は大きく、即ち規制緩和をはっきり明言した形になります。ただ自民党と異なる点は、民間企業に市場参入を促す規制緩和ではなく、営利活動でない参入であり、これは行政サービスに関する規制緩和です。
更に経済に関し、成長率に偏る評価をやめると提言しています。これは公共工事による短期的なGDP押上げ、そうした従来型の経済対策を打たないことを意味します。政治による部分はセーフティネットの確かさ、豊かさの実感、という質への評価に変えること、見た目の経済対策ではなく、制度設計に軸足を置いて政策を推し進めよう、ということになります。つまり仮に2次補正による景気対策でも、こうした方面に資金を振り向けることを明言しているのです。

コンクリートから人へ、人間のための経済、という文言にも繋がるように、公共事業には依存しない。一方で、地域が必要なことは地域が担うべきとして、地方分権も盛り込みます。基本方針として、国交省の役割低下が語られています。空港、港のハブ化もその一環ということです。
つまりマニフェスト至上主義、という批判もありますが、大枠の流れとしてマニフェストには民主党の主張が強く盛り込まれている。その一つ一つ、内容に批判はあっても、民主党の目指す方向性をぶらさない、ということがこれまでの閣僚の態度でも、この所信表明演説でも示した、ともいえるものとなっているのです。

全体が平板で、50分も語る必要があるかは別として、全体は上記の通り評価できます。ただ確かに諸施策に落とし込み、中身を精査するには内容に乏しい面があります。臨時国会は法案提出の本数を絞る意向ですが、具体策を出さないと画餅との批判も多くなり、速度が問題視されることになるでしょう。所信表明では方針を示すことが第一義ですが、国民に約束したことにどう道筋つけるかのが、政治における最も大事なことなのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:36|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年10月25日

東アジアサミットについて

静岡と神奈川の参院2補選、民主の2勝となりました。民主党政権の高い支持率から見れば当然の結果です。逆に、政権与党から失脚し、組織票が次々に崩れて建て直しがままならない中、自民党には厳しい選挙でした。結果は民主の勢いと自民の凋落ぶりを示すものですが、これは来年7月に向けた前哨戦であり、民主党が参院で過半数をとれるかどうかの戦いでもあります。
しかし裏を返すと国会が閉会中とはいえ、最近の自民党は目立つところがなく、意気消沈の気があります。鳩山氏の献金問題や郵政社長後任人事など、攻め手はありますが、本質論ではなく批判だけをする野党では国民理解を得られません。。政策面では政治主導を掲げる民主党のリードが大きく、大転換を図る流れは概ね国民に支持されており、自民も手掛かり難というところでしょう。

東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓、インド、豪州、ニュージーランドを含む16カ国の会議が開かれました。日本の提唱する「東アジア共同体構想」、豪州を含む「アジア太平洋共同体構想」まで含め、端緒についたことは評価できます。ただ日本が米国の関与に殊更配慮する発言を見せたのは、米政権内で流れる日本に対する懸念、その火消しをせざるを得なくなっためでもあります。
米オバマ政権には知日派と呼ばれる人材がいません。ブッシュ前政権では、対中、対北朝鮮政策のためにも日本重視、かつ米従属姿勢を示す自民党政権ですから、良好な関係が築けました。オバマ政権は多面外交、日本との関係を相対的に希薄化しようとしたところ、日本も自己主張を始めた。今は米国もどう接して良いか分からない、手詰まり感がそのまま危機意識に繋がります。

日本が独自路線を歩めば、米国は日本を組み込んだ戦略ではなく、日本も含む対外関係構築を余儀なくされます。中国などアジア諸外国も、日本が米国の下から離れて軍事大国化することを怖れている、といいます。しかし日本の財政状況から見て、軍事強国化が如何に難しいかは知れています。特に、日本には兵器関連産業がなく、軍事産業を育てるだけの余裕と、財源手当ても国会対応の難しさから出来ないのが現状です。それを説明できれば、こうした懸念も払拭できるのでしょう。
東アジア共同体にしろ、地域内で協力関係を築けば、軍事大国化せずとも防衛の任は足ります。そして世界規模の軍事分担のバランス、枠組みが、次の段階へと昇華することになり、日本やグアムに軍を置く米国も絡めざるを得なくなってきた、そんな事情もあるのでしょう。米国の世界防衛戦略が変わらざるを得ない、鳩山政権もそのことに気付き始めた面もあるのでしょう。
ただ米国を引っ張り込むと、中国の出方が難しくなります。人民元をアジア共通通貨とし、将来的には世界通貨にしたい野望をもつ中国。資源を抑え、世界の流通を牛耳る思惑が、米国との双極になればアジアの段階で躓きます。この東アジア共同体構想では、その点をどう整合つけるか?それが最大の難関になるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(0)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アジア

2009年10月24日

米国の高額報酬制限について

9月末に誕生したドイツ、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と自由民主党(FDP)の連立政権、2011〜13年に240億ユーロ(3兆円超)の減税を、政策方針として盛り込む見通しとなりました。減税規模が150億〜350億と連立政権内でもめていましたが、中道をとったようです。
08年のドイツ財政収支は均衡でが、09年には金融支援、自動車業界支援と財政出動も多く、赤字に転落する見込みです。事情は日本と同様、輸出依存の国であり、外需の落ち込みを内需、即ち減税で補うことも日本と類似します。ただドイツは国の債務が少なく、規模も拡大傾向にありますが、自動車部品メーカーなど多くが破綻、雇用情勢の悪化で収入の道を断たれた労働者が多くいます。納税すら難しい中で減税が景気対策となるのか?経済拡大を指向するFDPが、減税規模を意識し過ぎた面もあるのかもしれません。日本も参考に出来るはずで、ドイツの景気対策の推移を見て行くことも大事なのでしょうね。

米国では公的支援を受けた、金融・自動車メーカー7社の高額報酬上位者の、報酬制限を課すことを正式発表しました。基本報酬を50万$以下、ボーナスも現金支給は制限されます。ただし、ストックオプション型の株式支給は認める方向であり、一定期間の換金は認めないものの、金額自体に制限はないため、増加傾向にあるとも云います。
更にこの報酬制限の問題点は、株式は相対的な企業価値を重視しますから、より強い企業の株の方が価値をもつ。つまり米国の金融機関でも、投資銀行部門の強いGSなどに従業員が集まり易い傾向を更に助長することです。金融大手28社をFRBが監視するとも言われますが、問題はストックオプション型の報酬が続くことであり、長期に亘り企業が存続するかどうか、その選別が始まることです。

最近、FRBが大手金融機関の破綻に関して、幾つか注目する発言をしています。大手金融機関を破綻させることに関し、方策を検討するとのこと。逆に大手金融機関を破綻させる、準備段階を模索しつつあると見ています。破綻させ、再生させる通常の企業再生の手順は、金融機関に適用するのは危険ですが、公的に管理することは視野に入っているのでしょう。
シティやバンカメなど、高額報酬を模索する企業に公的支援を続けることに対し、州や市などから賛成の声も上がります。納税額が増える、その一点において高額報酬も国に寄与しているのでしょう。ただ米国は共和党政権時代に富裕層を優遇した、その点を民主党政権では受け入れ難いのです。
ドイツのような減税による経済対策、米国のような報酬制限、国の事情により対応も斑模様になってきました。G7やG20で協調した、世界で共通して難題に取り組む姿勢は、徐々に崩れていくのでしょう。日本でも、日銀がCP買い入れを延長しない方向性を模索し始めました。世界の流れを見つつ、日本も先を考えていくことが大事なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 欧州 | アメリカ

2009年10月23日

民主党政権考

亀井金融担当相が年明けに提出予定の2次補正予算に関し10兆円程度、更に来年度予算も100兆円規模、と述べています。政治センスが古過ぎますが、今は規模ではなく中身を吟味する時であり、額の多寡を語ることに意味はありません。1次補正を見直したのも、単に前政権への嫌がらせをするためではなく、中身が乏しく景気対策効果が低いと判断したからのはずです。規模を前面に打ち出せば前車の覆轍、使い道に困って余計な支出が増えるだけになりかねません。

一方で、行政刷新会議の事業仕分けチームが、一部停止しています。小沢幹事長が新人議員が事業仕分けチームに入ったことに、不快感を示したとも云われますが、これも古い政治センスです。新人議員は地元回りする、確かに全国津々浦々に民主党の顔を見せることに繋がり、来年の参院選に向けて必要かもしれませんが、政権が失敗すれば党の支持は落ちて選挙に不利となります。
朝日新聞が、概算要求に民主党が『ムダ』と指摘した事業がある、と指摘していますが、これらが国会提出時に残ると、通常国会が混乱して政権に打撃となります。今の民主党に必要なことは、どんな手を使っても予算を仕上げ、通常国会を乗り切ることです。仙谷行政刷新相が3兆円程度削るとも述べていましたが、一般会計95兆円の2割、20兆削減を目指す形でないと、JAL破綻や雇用創出などで歳出拡大が懸念され、債券市場がやや不安定化している中、危機も高まることになります。

前政権の麻生氏は漢字誤読やブレを指摘され、支持を落としました。本人が攻撃型、正面突破を目指すタイプなだけに目立ち、非難された面があります。一方で鳩山氏は金持ちの鷹揚さ、守勢タイプだけにブレも云い間違いも目立ちません。攻めは突破力が求められますが、受けははぐらかしなどの柔軟な対応が求められます。これは質の違い、国会対応には守勢が有利な面もあります。
ただ予算で躓く。ムダを削減できない、となると国民の見方も変わります。官僚出身者など、使える人材を使い、年末までに予算を仕上げること。特会や発注にまで切り込み、財政負担を軽減しつつ新規の政策に資金を回す、そのことが民主党躍進を促した要因であることを忘れてはいけません。

民主党政権では、藤井財務相と平野官房長官がヒールを演じています。藤井氏は公然と財務省の権限強化を謳い、平野氏は国民ウケの悪い提案、政府サイドの見解に強い拘りを見せ、両者とも主導権争いをしていると見えます。官房長官が批判の矢面に立つ、というのは決して態度として間違いではありませんが、国民に不利益な態度を示すことは、度が過ぎると政権への痛手となります。
まだ政権内の不協和音、というほど酷くはありませんが、メディアが閣内不一致と書き立てることも多くなっています。この辺りの匙加減、亀井氏も含めたヒール役の演じ方次第で、この政権の支持率が推移して行くことになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年10月22日

ゲーツ米国防長官の来日

亀井金融担当相が公取委に乗り込み、中小企業が分担する『良い談合』を取り締まらないよう、要請しています。談合は受注額を高く維持するか、カルテルを組む場合に行われます。談合は発注側の自治体に不利であり、受注に意欲あるカルテル外の企業にとっても参入障壁となります。既存の中小企業が生き残る場合にのみ、亀井氏のいう状況が当てはまるのでしょうが、縁故と地盤に頼る古い政治家にありがちな、論拠の薄い主張です。
郵政の西川社長退任で、財界にパイプのある西川氏の反撃があるのでは?とも囁かれます。亀井氏は政治資金に瑕があるとも囁かれ、情報戦術で追い込まれると厳しい面があります。ただ世論調査でも亀井氏は不人気、切っても民主党は痛し痒し、西川氏も亀井氏とだけの相討ちは望まないでしょう。やることは派手でも中身は古臭い、政権に返り咲いて、やりたい放題の感もありますが、亀井氏の動向は今後も不安定要因として存在しそうです。

米国のゲーツ国防長官が来日し、普天間飛行場の辺野古移設に関して会談が行われています。米国は50m沖合い移設は容認するものの、それ以外の選択肢はないと強い姿勢を示しています。背景には、沖縄本土の基地内にモールを作るなど拠点化しており、住宅地から外れることは合意できても、県外や離島など更に遠い基地への移設を呑めば、軍内部から強い反発が出る懸念があるからです。
少し極論ですが、ここで強硬姿勢に出ることも選択肢にはあります。日本では保守を名乗る人もあまり触れませんが、現状では本土防衛時も、自衛隊が主体となって軍事行動することは叶いません。それは米軍基地のある場所の多くは米軍に航空管制を握られ、首都東京も横田があるため、米軍が主体的に防衛することが、機能的にも決まってしまうからです。

以前から核武装を主張する人もいますが、本土防衛も出来ない部隊が、最終兵器を握っても何の価値もありません。やるべきはまず、監視などのレーダー網を日本が整備し、平時から官制を日本が主体的に行うことです。米軍が主体的に日本を守る、という状況で対等な日米関係など、築けるはずもありません。日本が主体性を見せ、強硬的態度に出れば、米国は確実に日本との関係を考え始めます。正負両面が付き纏いますが、ここで日本が先手を打って議論を主導しても良いのかもしれません。
グアム移転延期もちらつかせていますし、給油支援を打ち切るなら財政面での貢献も要求するようです。こうした圧力のかけ方は米国が一枚上手ですが、今は米国とて窮状にあることは間違いありません。しかもここで米国に貸しを作っても、今後見返り効果を期待することは難しい状況です。日本の国益を考えるなら、これまでの関係から一歩推し進めるべき時期です。思いやり予算の削減、米軍再編費の削減、というカードも財務から提案が可能でしょう。これまでの緩々の関係から、緊張しながらでも国益をぶつけ合う、そうした関係に成熟させることもまた、必要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2009年10月21日

日本の地位低下について考える

第41回東京モーターショーが報道陣向けに公開されました。ハイブリッド車や電気自動車で盛り上げ、といっても出展者数が108社と前回より半減、海外メーカーは急減、独アルピナや英ロータスなどのスポーツカーを得意とするメーカが一部です。国内トラックメーカも手を引き、以前は狭いブースにどう詰め込むかに悩んだのに、今は広々としたブースが逆に物悲しくなっています。
これも昨日の話と繋がります。4月の上海モーターショー、危機真っ只中でも出展するメーカーが多かったのは、消費社会としての中国を重視する姿勢です。逆に国家として、モノを作って売ったお金で消費する、という形でクローズしないのが日本です。貧困率を高めた背景には、財界と自民党が組み、企業競争力という名の下に雇用と賃金を切り捨て、設備投資と海外進出に収益を回してきたツケです。企業が生き残っても、消費が膨らまない国として、日本の魅力は確実に世界の中で低下した。それが東京モーターショーでも、如実に現れていると云えるのでしょうね。

それは市場にも現れています。今週、少し異なる動きが起きました。モラトリアムをきっかけに、資本不足による増資懸念、JAL問題を発端にした債務圧縮懸念で、銀行株は欧州系を中心に売られてきました。これが値がさハイテク株やファーストリテなどへの反対売買となり、NT倍率を上昇させ、歪んだ市場を形成してきました。それが今週、一部でアンワインドが起きています。
しかし同時に全体の売買代金は低下した。つまり売りを手仕舞って日本から資金を引く、更に円高傾向が落ち着いたことも、この流れを助長したのでしょう。相対的に日本の魅力は低下し、国債増発懸念も出て債先売が出ても、株は然程反応し難くなっています。昨年米国で起きた債券、証券、通貨のトリプル安ですが、これが国として投資不適格の烙印を表す最悪の事態となります。

少子高齢化、貧困率の高騰、そして低成長に加え、財政悪化。日本は今、大鉈を振るう必要もあるのでしょう。そんな中、日本郵政の次期社長に元大蔵官僚、斎藤氏の就任が発表されました。小沢幹事長や亀井郵政担当相と近く、また天下りとの批判に14年民間だった、財務省の紋々入りだからといって否定する理由はない、などとして、郵政改革の理念も一致する、としています。
ただ今後、この人事により郵政と財務省が接近するでしょう。民営化と云いつつ、財務省の権能を強く残す運用を強いられた郵政が、名実ともに一体運営が可能となります。小沢氏は財務省とのパイプを重視し、それを受けた藤井財務相も財務権限に省内の力を使うことに積極的です。

仮に今が危機対応で、不足する財源を捻出する手法として、郵政を活用するならそれもまた一つです。ただ永続的に財務省・郵政が手を結べば、緩んだ財政規律が悪い状況を生みます。まだ郵政の道筋が示されないので批評も難しいですが、財務省の機能が働かなかったからこそ、財政に膿が溜まり続けたことを考え合わせれば、政治主導の一番必要なところはどこか、自ずと明らかです。日本がこれ以上の地位低下を引き起こさないためにも、財務官僚の活用をどうして行くのか、それが日本の喫緊の課題なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年10月20日

日本の貧困率15.7%

日本郵政の西川社長が辞任を表明しました。苛立ちと無念さが滲む会見でしたが、地方は切り捨てない、とした政府答弁を外れ始めた時から、競争の概念で効率化を進める西川氏の攻めの姿勢は否定され始めた。一方で国債増発が視野に入った現状、民営化できるのか?という懸念もある。
聞く所によると郵便配達員が最近、公園などにバイクを止めて仲間で話していたり、タバコを吸う姿も見られるようになったのは、分社化の問題もあるとのこと。様々な弊害を含みつつ、漫然と道を歩むことは危険です。西川氏退任は小泉郵政改革で造ったレールの見直しであり、郵政をどういう形で残し、活用していくかはもう一度キチンと話し合うことが必要なのでしょうね。

厚労省が相対的貧困率を発表し、07年で15.7%、6.4人に1人が貧困と発表しました。先にOECD発表の04年は14.9%、統計の取り方は異なりますが、30カ国中でメキシコ、トルコ、米国に次ぐ下から4番目です。移民の多い米国と同程度、しかも悪化傾向であることも発表されており、自民党政権下では認めて来なかった日本の貧困が、経年的に上昇していることも確認されています。
背景の一つには、国際競争力を重視するあまり、外需を重視し内需を育てて来なかった国策と、国が貧困を認めず対策を怠ってきたためです。小泉政権時代からすでに萌芽があり、金融バブルの残滓がある07年でさえ高い貧困率となった。日本の低成長の負の部分が、全てこの貧困層拡大という犠牲となって、国内に膿を貯め続ける結果となってきたのです。

民主党政権では雇用対策や、1000円の最低賃金という貧困対策を打つ方針ですが、雇用のパイを増やす施策がまだ見えません。日本で期間工が役割を果たしてきたのは、農閑期の出稼ぎの面もありました。ただそれが企業の雇用バッファになった時点で、就労環境は不安定化せざるを得ず、一つの職を失うと生活が成り立たなくなります。派遣も同様、企業のバッファは増えて外需で稼げても、国際環境が激変すれば収益悪化が直撃する、脆弱な国の形にしかなりません。
問題は国に紐付いた公益法人や独立法人などは、継続して事業を受注し、安定した経営を行う。一方で民間は内外の競争に晒され、雇用すら維持し得ない現状です。しかも安定経営の公益法人は、天下り役員を何人も抱え、生産性のない人間を養い続ける構図、それを民主党政権が変えられるかどうか?なのでしょう。
一部、継続事業の2割減を長妻厚労相が大臣命令で指示したようですが、日本が生き残るためにはムダを廃し、成長性の高い労働力を如何に確保し、雇用を安定させるかが大事です。民主党政権に望まれることはそこ、政権交代の意義はこうした貧困を認め、この流れに楔を打つことなのです。赤字国債に過度に頼るのではなく、ムダを廃して国民に還元する、この姿勢を忘れてはいけないのでしょうね。

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2009年10月19日

新型インフルエンザのワクチン接種始まる

群馬県の八ツ場ダムを6都県の知事が視察しています。共同声明では中止撤回、森田千葉県知事が象徴的ですが、「中止を一時棚上げ」を主張しており、これはダム関連の公益法人が泣いて喜ぶ主張です。なぜなら事務費や維持費として予算がつき続けるからであり、この辺りを見てもこの知事連合にとっては、地域に金を落とし続ける公共工事を簡単に削減してくれるなよ、という思惑で一致した様子が窺えます。一方で各メディアの調査では、ダム中止に賛意を示すものが過半数を占めており、首長が必ずしも民意の代表者ではない、という様子が窺えます。

新型インフルエンザのワクチン接種が始まりました。医療従事者に先行摂取されますが、同規模の医院でも要求本数が異なったり、眼科医が申請していたり、など一部でおかしな動きも見られます。13歳以上は1回摂取で調整中でもありますが、それ以上に医療関係者の家族への優先摂取、という不正が行われる可能性も指摘でき、妊婦や持病のある人、子供に回るのが遅れることも考えられます。
現在でも蔓延が確認され、ワクチン接種はある意味特権的、利権の構図になり得るものです。国の方策が固まらなければ、それにつけこむ者も現れ、不正を行う者も出るでしょう。来春まで7650万人分確保、とも謳われますが、優先順位を覆した場合の罰則も用意する必要があります。

先の八ツ場ダムでも見られましたが、昨今は上手くやって利を得る行為を、極力嫌う一部の動きがあります。国の大方針だから反対するのはおかしい、として役場や住民に批判的な電話をする、などが一例ですが、この動きが起きたのはメディアの責任でもあります。八ツ場ダム中止が報じられた時、真っ先に住民感情を前面に打ち出し、反対する流れを助長した。それが不正に利益を得ようとする動きに見え、極端な反対の流れを生み出してしまったのです。
医師が大変な仕事である、というのは誰しも認めますが、医療不祥事や不正請求などが相次いで発覚し、地位低下も窺えます。不正が起き易い対策、政策を打ち出す場合は微に入り細を穿つ詳細な検討も必要であり、利権的であるだけに、下手をすれば先のような極端な流れを引き起こしかねないものでもあります。よくよく注意する必要があるのでしょう。

前車の覆轍、という言葉があります。先人の失敗を自分の戒めとする、という程度の意味ですが、故事の中でこの言葉の後には「お上が法を作って、その法を守らなくなったら大変です」と続きます。前政権では、発生当初の過剰対応、夏場は蔓延しないだろうという過信、ワクチン供給量の不足、弱毒性とはいえウィルス対策に関する抜け穴が、今回の動きでも露呈されました。前車の覆轍を後車の戒めとするためにも、きちんとルール作りをしていくことが大事なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 健康

2009年10月18日

雑感。JAL問題の行方

米財務省が発表した09会計年度の財政赤字は、単年度としては最悪の1兆4千億$を越えました。米国が厳しいのは、低成長予想が強い中で双子の赤字を抱える米国は、返済の目処がつかなくなることです。いずれ金融部門の課税を強化するか、税財政として一体運用を目指すか、どちらにしろ金融で膨らむしかなくなった米経済は、いずれ転換点を迎えることになるのでしょう。

企業再生支援機構が発足しました。資本金200億円、1兆6千億円の借入を受け、経営にまで立入り企業の再生を目指す方針です。しかも業界再編、地域再生にまで踏み込む意向であり、大企業の再生まで手がけるようです。この動きがJAL再建に直結する可能性があり、少し考えてみます。
現状、再生タスクフォースが資産の洗い出しを進めていますが、2500億円の債権放棄や、3000億円以上の資金が年末まで必要、などが流れています。いずれも憶測に近く流動的ですが、債権放棄には金融機関が抵抗しており、リストラ規模や年金拠出額の削減などにも、不満を持つと言われます。

ここに羽田ハブ化構想が絡みますが、JALは成田に強く、ANAは羽田に強い。JALが国際線を削減し、ANAがその一部を肩代わりすれば、羽田は相対的に本数が上がります。しかも成田で削減された分は、海外の格安航空会社による観光便に回し、ANAとJALは利益率の高いビジネス路線に経営資源を集中する。それが羽田ハブ化、成田との首都空港一体化の構図ではないか、と囁かれています。
つまり企業再生支援機構の理念がそのまま当て嵌まりますが、業界再編、地域再生です。航空業界をANA中心に再編し、減便分の成田と国内路線には極力配慮する形とする。恐らく企業再生支援機構マターとなれば、こうした方向性が打ち出されることになるのでしょう。

既に債務超過状態にあり、事業継続性に疑義をもたれてJALの長期債は格下げ、投機的との位置付けがされています。これは債権放棄と運転資金の確保、経営状態など多岐に亘る改革が為されない限り、更に引き下げの可能性もあります。米ビッグ3のGM、クライスラーの時も同様ですが、経営にメスが入らない限り格付けは変化せず、資金調達や利払いの増加という、負のスパイラルに陥るのみです。
すでに一部で取引停止が起きたように、JAL問題には早期に道筋をつけることが必要です。一度破綻させ、新会社に引き継ぐ形をとる確率も高まっていますが、ANAに国際線を全て移す案も検討されていると云われます。JALがどういう形になるのか、まだまだ紆余曲折が予想され、利権者をどう納得させるか、その落とし所を描くことも難しいのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 企業 | 社会

2009年10月17日

雑感。宗教とメディア

東京国際映画祭が開かれていますが、それとは異なりますが、少し気になる動きがあります。しばらく『仏陀再誕』というアニメ映画のCMが、テレビなどに流れていました。幸福の科学系の、宗教関係の映画ですが、以前から幸福の科学は出版や映画などのメディア系に力を入れています。問題はスポット広告とはいえ、これだけ宗教色の強い内容を流す、テレビ局の態度です。
以前からテレビにしろ、ラジオにしろ、宗教系のスポンサーがついたものはあり、内容も功徳や説法など、独自色が強く出ています。ただ番組であれば見る、見ない(聞く、聞かない)は個人の自由で選択も出来ますが、スポット広告はそうはいきません。映画だから、ということなのかもしれませんが、広告収入の減少に悩むテレビ局が、宗教関係CMも受け入れるようなことになれば、CMの大半がそうしたものになる、そんな日が来るのかもしれません。

史実として確認できる歴史上の人物で、初の教祖と呼ばれる存在は、ゾロアスターや仏陀、孔子などではなく、前14世紀頃のエジプトのアク・エン・アテン王と云われます。切り口は色々ありますが、中・新王国を通じたアメン=ラー信仰を捨て、従来の系譜とは全く異なる、唯一神アテンを崇拝し、都を移しすなど大規模な工事を促し、あまつさえ大神殿を建立、国民にもアテン神を崇拝するよう強制した王が、アク・エン・アテン王です。
強権政治、独裁とも見られがちですが、このアク・エン・アテン王が遷都を決意した背景には、神官団が国費の半分近くを独占し、その特権、窮屈さから逃れるためだったとも言われます。どの国でも、時代を超えても同じような問題があり、神(国)に仕える神官団(官僚)が、特権として財政を握る行為はあります。それを変えるためには、時に大胆な改革も必要なのかもしれません。ただアク・エン・アテン王の改革は失敗し、一代限りで終焉していますが…。

先の話に戻れば、幸福の科学は8月の総選挙で大量の候補者を出しながら、1人も当選者を出しませんでした。以前から国粋主義との指摘もありますが、アニメと保守主義ですから、戦略的には前政権である麻生氏の支持層と、バッティングした面もあるのかもしれません。
ただ宗教色の強い映画、出版などのCMが野放図に、テレビなどの一方向性のメディアで流れることが認められれば、また流れも異なってくるでしょう。信仰の自由も認められていますが、逆に個人には宗教と全く関わらないよう、生きることも保証されています。どのようなメディアであれ、選択権のない受容型のものであれば、やはり制限はあって然るべきなのでしょう。米国でも以前はエレクトリック・チャーチ、などがありましたが、一部では国家規模、世界規模に跨る宗教は、簡単にメディアを牛耳れる力を持ちうるものでもあります。メディアもこうした力との付き合い方を、間違えないようにしなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 宗教

2009年10月16日

民主党の打つべき景気対策を考える

来年度、概算要求が出てきて見れば95兆円を越え、更に事項要求という予算枠に入らないものもあるため総枠は98兆円程度と見られます。今年度税収が見込みで38兆円程度、仮に来年度も同様とすれば60兆円が新規国債発行、という異常事態です。ただシーリングもなく、省庁が盛り込みたい事業と、民主党マニフェストの目玉政策を盛り込めば、この程度に膨らむのも当然です。
ただ今後、財務省査定で恐らく継続事業に○ガケ削減がされ、事業仕分けで不要分を削減し、特別会計からの繰り入れも行われるのでしょう。逆に、それが出来ねば民主党は支持を失います。しかし別けて考えるべきは、赤字国債議論に今年度分も含めることです。本予算を途中で執行停止しては、補正予算の見直し以上に混乱を生じます。補正を含め44兆円の国債発行、それでも欠損するのは前政権の問題であり、民主党政権に関わるのは来年度の国債発行規模です。一緒にすると問題点の洗い出しにも影響しますので、この点は間違えないようにしなければなりません。

ただ民主党政権に、現状税収増を促す施策はなく、逆に暫定税率廃止など税収減の施策が並びます。少しここに提言すると、自民党政権は『上げ潮』、即ち高額所得者や企業を強くし、経済を引っ張る手法を目指しました。これに対抗するには『底上げ』しかありません。そのための施策は『資産倍増計画』です。ただ株は日本国民の一部しか保有しないので、この場合の資産は家屋となります。
諸外国では40、50年経っても建物にも価値がつきますが、日本では20年でほぼゼロ査定です。日本でも手を入れ、丁寧に使っている持ち家に資産効果を持たせる。中古価格が上がれば、新築にも影響しますが、ここには補助をつける。ただし自民党政権下の高額物件への補助ではなく、低額物件を新規に購入する場合により手厚い補助を出し、若者や低所得者が購入し易いようにする。しかも物件価値が下がらないのであれば、資産効果も望め、購入を考える人も増えるでしょう。

仮に国産木材を100%使用する物件には補助を多めに、とすれば日本の林業も助かります。保護貿易的ですが、環境に優しい施策との説明がつけば、世界の納得も得られ易く、外国産木材によるシロアリ被害も軽減できます。マンションではなく、土地を広く使い、かつリフォーム、新築等の需要が出れば建設業も潤う。これは土地でなく建物、今は消費財の位置付けにあるものに、高い資産効果を生み出す付加価値をつける、という考え方による『資産倍増計画』となります。
日本で逆資産効果が激しいのは、土地に頼る資産だからです。しかし路線価など、土地評価には様々な見方があるものの、建物だけは一般の不動産鑑定士の評価、一般的な年数による減殺のみです。しかし若者や低所得者が購入し易くなり、広く持ち家が行き渡り、土地利用が活性化されれば日本全体が底上げされます。当然、負の効果もありますし、民間の取引である住宅価格に、制度としてどう道筋をつけるかもありますが、民主党の思想、概念からは『底上げ』を目指すのが、合理的で説明をつけ易い道筋です。2次補正も囁かれ、経済対策として何をするかも分からない中、理念をもってバラマキにならないためには、キチンと筋を示すことが大事なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年10月15日

経済の話。ダウ1万ドル回復

昨晩、米証券市場が1年ぶりに1万$台に乗せ、市場は楽観ムードです。これまでの繰り返しですが、現状はバブル、過剰流動性相場に陥っています。これが分かるのは全ての市場が上昇傾向にあり、多少調整しても大きくは落とさず、常に右肩上がりを目指すことでも明らかです。
二番底を指摘する人もいますが、この過剰流動性の状況で、株価が下げることによる逆資産効果が出ることは、新たな景気循環入りを意味します。なので次に底をつけにいく時には、調整幅を大きくしてしまいます。期待値、上乗せ分の剥落と、ベア型の売り仕掛けも入るからです。
現状をバブルと認める経済評論家は、出口戦略を先伸ばしする提案をします。実体経済への波及が弱い段階では、負の効果を大きくするからです。しかも逆資産効果により消費、自己破産が拡大することは、市場の資金を凹ます要因となり、実体経済とのダブルパンチで景気は頗る悪化することになります。起こってしまったバブルの収束のさせ方を懸念しているのです。

昨日のJPMから始まる米大手金融の決算発表は、総じて良い方向のようです。消えたはずの投資銀行業務が堅調であり、これは右肩上がりの相場の影響と、社債、CP発行やM&Aを急ぐ企業の問題が直結しています。マネー事情が良い間に資金調達し、不穏な動きに備えたい。一方でtoo big to fail、国が潰さないと保証してくれる大企業の仲間入りをしたい、そんな事情も垣間見えます。
結果的に、これらも全てが過剰流動性に繋がります。一方でリテール部門の回復は遅く、貸倒引当金の積み増しも現状どこまで必要か、不足がないのかも見え難い部分があります。過剰流動性の及ばない範囲、そこに資金が流れ始めるのが何時か?逆に負の効果が出て、過剰流動性から撤退せざるを得なくなるのか?自発的に引き上げるのか?それが出るタイミングが1ヶ月後なのか、1年後なのか、もっと先なのかにより、今の相場の基調の変化時期を探ることも出来るのでしょう。

仏金融大手BNPパリバが不正取引の疑いを指摘されています。先に早稲田OBによる見せ玉事件もありましたが、アルゴリズム取引の中では、この見せ玉を使うものが未だに存在します。相場操縦の疑いは深刻で、正常な相場形成のためには、見掛け上大量に現れる注文、板情報をきちんと精査し、課徴金や業務停止などの罰則をしっかりと機能させていくことが必要なのでしょう。
日本の相場は現状、相場操縦に資するほど見方が一方通行でなく、交錯しているために気迷いや、崩しを狙った先物主導が多少出るのみで、方向感を失っています。ダウが水準抜けで楽観的見方もありますが、現状の過剰流動性相場の行方を正しく見極め、ついていくなら短期、長期では寝かせないようにすることが、今は投資資金を目減りさせないためには必要なことなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年10月14日

一般会計、概算要求は増額か?

昨日も取り上げた羽田ハブ空港化ですが、今日になり森田千葉県知事が「成田メインで」の言質をとり、満面の笑みを浮かべていました。ですが、羽田の国際線が解禁されれば、民間航空会社は当然そちらに乗り入れます。森田氏が何を喜んだのかは分かりませんが、国営航空会社でもなければ、離発着本数に限界のある成田は回避されることになるのでしょうね。

明日提出の来年度概算要求が90兆円超と伝わります。マニフェストで記載された財源増となる政策も盛り込まれますが、本予算で従前型の継続予算ではなく、重点施策に差配できるかどうかを試されています。今年度予算では税収が46兆円の見通しに対し、40兆円となる予想です。これは昨年8月の概算要求段階では、リーマンショックがなく0%成長を見込んでおり、通常国会に提出されるまで何度も見直しの機会がありながら、それが出来なかった。硬直化した予算編成があったためです。
補正の見直しでも、大臣、副大臣、政務官が調整して決めましたが、本予算にもそうした政治主導ができるか?一方でこのメンバーの増員する法案も国会で提出する見込みですが、人員補強には人件費増も伴います。議員を政府内に入れ、予算から政策までチェックするには、現状でも足りないことは理解できても、その効果として財政規律を達成するための施策は必要となってきます。
そんな中、エコポイント、エコカー減税などの経済、環境対策費で政府内の意見が分かれています。しかしこれは需要の先食いであり、政府の軸足の置き方で評価は変わります。環境対策としての効果は低いので、景気対策に軸足を置けば、本来景気が回復するまで続ける必要があります。ですが、この景気対策は一定の商品に限定し、9ヶ月以上も購入補助を出すのですから、終了後の需要低下、落ち込みを激しくさせるだけです。1、2年で景気回復の見通しを政府が立てないのであれば、やめる方が得策ですし、別の方面での景気対策に振り向けるべきです。

2次補正も検討されていますが、同時に今年度の税収減に伴う赤字国債発行にも含みを持たせています。しかし2次補正にしろ、景気見通しを立てない中で補正対策を出すことには反対です。米国の景気対策効果が、7〜9月期を過ぎると少しずつ剥げ落ちます。国慶節後の中国など、世界経済全体の動向にも目配せが必要な時期なのです。
日銀の白川総裁が異例の超低金利継続発言をしていますが、円高への言及としても、効果は低いものです。それは日銀が自らの健全性を重視し、施策を打ってきたことを変化させる、そうした機運が感じられないからです。今後の円高への懸念と同時に、何に予算を使い、日本をどう成長させるかをしっかりと議論し、対策を打つ必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年10月13日

羽田空港のハブ空港構想

鳩山政権下で今、もっとも貫通力のある閣僚が前原国交相ですが、羽田空港のハブ空港化を表明し、波紋を広げています。森田千葉県知事が「こんな大事なことを地元への説明無しに…」と述べていますが、この場合の地元は多岐に亘ります。利権者を一箇所に集めれば、事前に内容が漏れて新聞の一面を踊り、秘密は担保されなくなります。また電話などで幾つかの地方行政府に事前連絡すれば、うちは聞いていない、などの後先論に陥り、話がこじれるだけとなります。
そもそも公共事業は地元への説明、根回しなく決定され、強行されてきました。それに対し、地方行政府は上から公共工事が降って来るので歓迎し、地元民が蔑ろにされてきた歴史があります。問題は公益性の観点で、事業の必要性、不必要性を議論し、誰もが納得する事業分析が出れば、後はそれで推し進めるしかありません。地元と地方行政府に配慮し、順序を間違えていたら今の経済速度に太刀打ちできず、日本は事業整理もできないまま、世界から取り残されます。

なので日本にも世界との競争上、ハブ空港は絶対に必要です。それに資する空港は滑走路が拡大される羽田と、関西空港しかありません。成田は滑走路が短く、三本しかない。また夜間フライトが地元との話し合いで難しく、制約も多いので、国際、国内線を集約するのは不可能です。
関空と羽田では、地方分権の観点からは関空ですが、羽田の魅力には敵いません。都心からのアクセス、24時間稼動可能、しかも経済の動きが速まり、即効性が必要となれば羽田しかないのです。しかしこれにより関空の必要性は薄まり、予定より大幅増となった建設費が有利子負債となり、経営を圧迫する現状は深刻化するでしょう。橋本大阪府知事が脊髄反射で補助金カットを示唆しましたが、関空の雇用など、様々な場面で今後、難しさに直面することになるのでしょう。

しかも羽田がハブ空港になると、首都圏にある他の空港も立場が難しくなります。霧が多く立地の悪い静岡、98番目の空港として建設が進むものの、路線が決まらない茨城、いずれもハブ空港に近過ぎて魅力が低下します。日本にハブ空港は2つ必要、という人もいますが、高齢化とデフレで成長余力が低い国が拠点を分散させれば、それだけ競争力を落とします。資源も情報戦術も一極集中させて世界と戦う、そのための戦術性が求められているのです。
JAL問題もありますが、他にも航空管制を米軍から取り戻すことも、空の行政には必要です。またハブ港の選定と集中投資も必要な施策です。地方の求めに応じ、小さな空港、港を各地にばら撒く時代は終わりました。日本が国として、世界から見て魅力あるサービスを提供するための施策として、このハブ空港構想はあります。自民党政権下の公共工事バラマキ施策の恩恵に浴していた、地方行政府の抵抗に対し、どう突破力を見せるか?それが前原氏の発言先行、時間をかけない、根回しのない発言から浮かび上がってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:15|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2009年10月11日

オバマ大統領のノーベル平和賞受賞

岡田外相がアフガンの電撃訪問を果たしています。今週に予定される米オバマ大統領の訪日を前に、支援策を探ることと、具体的行動をアピールする狙いでしょう。被害は出ましたが、民生支援は続いており、民主党の主張では人的支援がメインとなると想定できます。ただ給油活動も岡田氏は「絶対ノーではない」、北沢防衛相は「延長しない」、長島防衛政務官は条件付で延長容認の姿勢を示しており、政府内でも対アフガン政策は揺れているのが現状です。

オバマ大統領のノーベル賞受賞の件に触れておきます。元々、ノーベル平和賞は政治的傾向を強くするものです。過去にはゴルバチョフ大統領が受賞していますが、欧米にとって都合よい判断をした人物を、『平和』という名の下で祀り上げ、言質をとったり行動に制約を与えるのが、このノーベル平和賞の意義でもあります。
オバマ政権発足後、ロシアと待機核兵器の削減に合意しています。古くなったり、実戦配備予定のない核を両国とも廃棄する取決めですが、従前からの継続した行動であり、特筆したものでないため日本ではあまり知られていないようです。ただ戦略核削減には米ロ両国のみならず、英仏中印パ、イスラエルと北朝鮮も含めた削減合意が必要であり、そこには道筋すらないのが現状です。平和に寄与したのではなく、祈念するだけでも受賞が可能、ということを今回は示してしまいました。

NHKでは原子力発電所の解体、廃棄計画のニュースが流れていましたが、除洗技術が確立されようと、一旦放射化された金属は再利用が利きません。米国では劣化ウランを通常弾頭に使用し、処分費を浮かしていますが、核爆弾にしろ原発にしろ、廃棄には時間と金がかかります。
政治的合意と同時に、核廃絶には経済的余裕と技術も必要です。証券化商品による損失で、ドル紙幣を刷りまくる米国には、現状核廃絶のための経済的余裕がない。しかも高レベル核廃棄物処分場として予定していた、ヤッカマウンテンでの計画も事実上断念。直接廃棄の計画だったため、解体技術も日欧が先行し、更に処分場すら失った米国が、どういう道筋で核廃棄を促すかも見通せません。

世界には、核処分場が事実上一つも存在しないとも云えます。裏を返せば、平和利用であろうと軍事利用であろうと、核は最終的に誰がどのように管理するのか?表向きの動きとは異なり、誰も道を描けてはいないのです。放射能をまだ人間は完全に制御し切れていない、その中で核廃絶のプロセスをどう描くのか?オバマ氏に課せられた課題は重いと云えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 社会

2009年10月10日

鳩山首相と韓国、中国歴訪とメディア

鳩山首相が日中韓歴訪に出ています。比較的関係が良好とされる鳩山氏ですが、その中で出てきた問題は二つ、地方参政権と東アジア共同体です。某大手メディアの取り上げ方が少し面白いので、取り上げてみます。在日外国人への地方参政権付与を「半ば国際公約とした」とするものと、東アジア共同体は「砂上の楼閣」とするものです。

前者ですが、鳩山氏は「前向きに結論を出していきたい」と述べています。文脈からも『前向き』は『結論を出す』に掛かります。前後を見ると、鳩山氏の意思は地方参政権の付与に積極的ですが、政府として結論を出すことを後段で述べているので、むしろ議論をして早めに政府として法案を提出するか、しないかの結論を出すということを述べているに過ぎません。
韓国よりも対中国シフトだ、とも記事中では語っています。後に触れますが、東南アジアに跨る華僑の問題は、日本にも存在します。地方議員が基礎票を固める日本の選挙では、地方といえど国政に直結します。しかも領土問題を抱え、離島は過疎化に悩む現状を考えれば、将来を考えても地方参政権の付与に国民が合意することはありません。民主党の党内合意、というより国民から批判の高い政策を支持基盤の弱い民主党が打てば、すぐに支持を落とします。鳩山氏の個人的思いは別として、政権維持には提出せずが必須であり、先の文脈からも公約とするには値しません。

東アジア共同体構想は東南アジア、インド、オセアニア、豪州を含む広大なものですが、域内では中国と並ぶ双璧として日本は位置付けられます。しかも中印という成長著しい新興国、資源国の豪州まで含めて一大経済圏の地位を得ることが可能です。しかし文化、イデオロギー、言語、人種等もバラバラなまま、経済傾斜も強く統合には時間がかかることは間違いありません。
米国の参加に対する岡田外相と鳩山氏の食い違いを指摘していますが、岡田氏は当面の米国を除く動きを、鳩山氏は将来の環太平洋構想まで踏み込んだだけで、食い違いとまでは云えません。重要なことは、自民党政権下で目指した『自由と繁栄の弧』では東南アジアから中央アジアへと跨る、対中国包囲網を目指したのに対し、民主党政権は中国、インドを取り込む戦略であることです。

EUとて未だに苦労しているように、統合には妥協と犠牲も必要です。ただそこに夢を抱ければ、大きな成長、未来への期待も可能でしょう。成功の鍵は東南アジア圏で拡大する華僑の問題、一国の大半、経済の大部分を華僑が占める国もある現状で、日本がこの共同体構想で存在感を保てるか?そこに何らかの戦略性があるかどうか?に掛かっているともいえます。
経済が混乱した時に、域内だけでも確実に成長の果実を掴むことは決して間違いではありません。砂上の楼閣、というほどの夢物語ではなく、問題は『自由と繁栄の弧』と『東アジア共同体』と、どちらが外交の選択肢として良いか、のみです。以前は政冷経熱ともされましたが、少なくとも今は政治経済が歩調を合わせた形です。日本としてどういう形であるべきか、批判のための批評に終わらず、しっかり議論しないと記事として中身の薄い、意味を為さないことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | メディア

2009年10月09日

経済の話、資源高

今日の日経平均は200円近く上昇し、1万円を超えてきました。SQまでは権利行使の9750円に虫ピンを押され、そこを抜けたことで値動きが軽くなったこと。買い方が3連休明け、世界の上昇基調で今より良い状況を夢想し易く、先物でとったこと。それが先週の外国人投資家による、先物に出ていた大幅売りの反対売買を呼び、今日の大幅な株高に繋がったと見ています。
世界株高に日本は出遅れ、という人がいますが、これは過剰流動性相場に毒された人の意見です。米国はドル安で輸出企業が好調で株高、日本は円高で業績悪化懸念があるので株安、国情に基づき経済判断は異なります。世界全体の好景気を好感する、ということは世界全体が不況に陥る可能性を受容することになります。グローバル化で世界が近くなったとはいえ、ポートフォリオ、運用実績の関係で金融の強い相場となれば、あらゆる相場は右肩上がりにならざるを得ない。問題はそれが長期に及べばバブルとなり、弾けた時は大きな調整が必要になる、ということです。

機械受注も先月比0.5%増と予想に届かず、前年比では8割程度の回復です。消費関連も頭打ち傾向が鮮明となり、外需はそこそこ好調なものの、円高ですから利益率は低下していることが想定できます。しかも資源輸入国である日本に懸念となるのが、資源高の問題です。
金は連日最高値を更新、1050$/1トロイオンスを越えてきました。豪中銀が政策金利を0.25%上げ、3.25%としたことで資源国の好調さが鮮明となり、弾みをつけた形です。中国は稼いだ外貨を米国債に振り向けず、金、銅、鉄などを買い漁る。資源国と新興国、両輪が世界経済を引っ張る形となり、更に強みである商品相場に規制はなく、高値をとり易くなっていることが資源高に繋がります。

日本は円高で若干緩和されるものの、資源に対してイニシアチブはなく、行方を見守るしかありません。しかも根本にあるドル安に対し、11月初旬のFOMCでメッセージが出るとの期待もありますが、米国が受ける恩恵から見ても、年内は据え置かれるでしょう。米経済は好調と盛んに喧伝されますが、利上げに関して適正な時期に、と述べるばかりで積極的な期待は抱けません。
外国が持分を減らし始めた米国債の持分を、債券投資が活発となり、凌いだ形の米国ですが、米国債には不安もあります。ドルペッグ制の離脱は今後も進み、今回は噂のみでしたが、中東オイルマネーのドル決済の停止もいずれは現実味を帯びます。ドルに付きまとう不安は、米政策金利のみではなく、これまでの優遇的地位からの見直しですので当然いつかは起こってきます。
今は調整も軽微で、右肩上がりの好調な経済に見えます。しかし当局が抱える不安の本質が何かは、出口戦略の行方とともに意識する必要があります。雇用のみではない、不安を顕在化させる不良債権の存在、地域経済の崩壊など、弱者にシワ寄せがいき易い経済環境に及び、問題を覆い隠せなくなったときがリスクを意識する時なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年10月08日

民主党、党内体制決まる

台風18号の爪痕は深刻ですね。台風は進行方向の右斜め前方の被害が大きい、とは昔から言われますが、竜巻も起こったようです。都心の交通網の脆弱性も改めて意識させられましたし、竜巻予報のあり方など、避けようのない災害でもアナウンスメントを早くする、等の対策は常に考慮していく必要があるのでしょうね。

民主党の党幹部人事が決まりました。幹事長代行を輿石氏、選対委員長を石井一氏、総務委員長を奥村氏、国対は山岡氏が引き続き行います。来年の参院選重視、小沢実効人事とも呼べるものです。副幹事長を14人とし、その中に目玉の細野氏、青木氏を入れていますが、全体の布陣は重厚、重すぎるぐらいの年功序列型となっています。
都議選、衆院選と続いた流れでも明らかなのは、経歴の長い政治家は敬遠される傾向があります。輿石氏、石井氏ともに有権者にとって見栄えが悪く、ウケも良くありません。この布陣は小沢氏が選挙区を飛び回る間、内を守る人間を要職に据えた、批判的な発言で党内不一致にならないよう配慮したともいえるのでしょう。逆に、政策にはタッチしないことを鮮明にしており、小沢氏は党内と選挙区を睨む、国内事情に向けた磐石の態勢を構築できた、その結果はまず補選で出ます。
公明が自民との選挙協力を拒否しましたが、自民党執行部体制を見れば、危険度も高いと覚悟したのでしょう。大島幹事長が自民党の再スタートを訴えていましたが、古い自民党体質を滲ます大島氏では、説得力がありません。2勝すれば小沢体制は勢いを増すことになるのでしょう。

一方で民主党の火種は、沖縄米軍再編問題に移りつつあります。すでに米側は難しいとの打診を入れている気配であり、鳩山氏は県外移設ではなく、県内移設容認ともとれる発言をしています。しかし社民が抵抗、連立離脱すら滲ませる勢いです。この板バサミの捌き方に失敗すると、民主党政権も支持を失いかねず、補選にも影響する可能性が出てきます。
社民党の原理原則論と、現実的外交を折衷するには、移転費用の負担拡大など目に見える形を示すことも必要となるのでしょう。県外移転としても、代替案はなく調整には時間を要します。先日、某大臣が「基地の負担はこんな重いのか…」と絶句していましたが、ジェットエンジンの爆音の問題や、基地を迂回して移動するなど、実際現地に赴けば観光客でも気付ける内容です。

前政権のツケでもありますが、日米地位協定や領空権の問題など、基地以外にも放置されてきた日米間の問題は多くあります。日米はこうした多くの問題の上で、見かけの良好さを謳ってきたのであり、課題は山積です。米軍再編問題に早期に決着をつけられるか、政権にとっては厳しい判断も必要となるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年10月07日

亀井発言とその火消し

台風が接近していますね。事前に雨が多いだけに、地盤が緩んでいて心配な部分があります。特に満潮が翌朝に当たるので、海岸や河口付近にも影響が大きそうです。対策を早めにして、明日を迎えるしか手がないので、通り抜けるまでは気が抜けないのでしょうね。
補正予算見直しに関し、地方から不満や不安、陳情が相次いでいます。ただ新規道路建設は、道路公団民営化の際に国費投入は否定されており、補正に盛り込まれた予算はその議論を覆す内容です。一過性の景気対策とはいえ、不必要な道路を造る必要はありません。特にこの台風で道路の補修も必要であり、災害対策費とは別に予算を確保しておく必要があります。補正を削れなければ本予算に影響する。とれる時はとる、そんな予算分捕りの考え方も変えていかなければ、国と地方とそれぞれが将来疲弊に喘ぐことになるだけです。それを首長も理解する必要があるのでしょうね。

亀井金融担当相が「家族間殺人が増加した責任は大企業」と発言し、波紋を広げています。確かに経済財政諮問会議には前経団連会長・奥田氏も携わり、その時期に市場原理主義、成果重視主義が語られ、政策に反映されていましたから一端は担うのかもしれませんが、風と桶屋ぐらいのものだと考えます。問題はもっと長いタームで教育や家族関係が変化したことであり、他者との関係が希薄化し、密な関係である家族に対する愛憎が歪となったため、と捉える方がより本質的です。
亀井氏は先のモラトリアムも同様、最初に花火を打ち上げて、拡がった火の粉の鎮め方を後に考える、昔の政治家の手法に近いものがあります。しかし現在、情報は上流からの一方通行の垂れ流しでなく、双方向であるため賛否の波が大きく襲います。後に中小企業の全てに返済猶予を適用するわけではない、と述べていますが、それでは金融業界の査定と同じことであり、基準だけの問題であって、貸し剥がし対策になるかどうかも分からなくなります。

政府による中小企業向け緊急保証制度では、すでに30兆円の半分15兆円を消費しており、活発な運用が見られます。例えば金融機関のディーリング部門の取引で得た収益には高い税をかけ、リテールの課税を低く抑えれば、貸し出しに回る資金は増えるはずです。金余りでも融資に回らないのは、収益環境の変化でより高い部門に積極投資する姿勢を、金融機関が変えないために起こります。
しかしこれは単独で行うと歪んだ市場を生みます。世界各国で高額報酬への規制が検討されていますが、税という形で抑制するのが、経済にとって最も負担の少ない仕組みとなります。世界各国でディーリングに規制をかけるのであれば、投機的な資金の動きは減り、リテール部門を強化する流れも生まれるでしょう。ノンリコースローンという問題もありますが、中小企業や個人、資本力の低いこうした層に資金が行き渡ることが、消費という経済活性化に繋がるのです。
亀井氏の下のワーキングチームで、中小企業を含む経済対策、という形でモラトリアムも変化しそうです。これは難しい問題だけに、火消しを間違えると、後に大火を起こします。江戸の町は何度か人為的に大火を起こした、とも噂されますが、焼け野原になるのではなく、新たな命が芽吹く焼畑的な手法を模索して行く必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(3)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年10月06日

補正見直しで2兆5千億円

補正予算の見直しによる財源確保で、公式に2兆5千億円を越えたと発表されました。上積みを目指す方針のようですが、仕分けすれば14兆7千億円からもう少し出るでしょう。本予算と補正予算、このすみ分けを前政権、及び予算獲得では間違えており、そこが出来るかどうかです。
自民党政権の予算編成とは、一つの予算枠に公益法人や民間企業が芋づる式に連なるために、経年的に一定額の予算を計上し、そこに流す必要が生じてきました。事業継続性というより、組織が収益を確保するための予算です。そのため耐震化工事など、短期的で旨みの少ない事業は先送りされてきた。今回の補正予算には、一過性のこうした事業がかなりの数で計上されています。

これは各省の基金も同様、一過性の予算を積み上げるのは、予算と組織が結び付かないためです。基金として積み上げ、当面は使わないなど緊急対策でないことは明白であり、それが真に必要な事業なら本予算で、そうでないなら停止すべき内容です。私は、改革の本丸は本予算と考えていますが、補正はあくまで緊急経済対策として打たれるべきであり、それ以外の予算は全て本予算とし、事業仕分けの中で語る必要があると考えているからでもあります。
例えば、JALが国内路線を廃止する記事では、必ず利用者から「困る」というコメントが流されますが、困るのは当然です。ただ地方空港の赤字補填、一人あたりの税金投入額を示せば、人々の判断も変わってくるでしょう。あれば便利、ただその利便性を得るためにどの程度、自分たちの負担を強いられるかを正しく示すことが、正しい判断を導くことになるのです。

補正の見直しは、今年の税収減とも大きく関わります。すでに44兆円の国債発行、更に上積みとなれば、必ず国家の信用に関わってきます。自民党のような外需依存、組織の維持を重視したために、内需拡大には国の関与を大きくする、過度な国債依存型の経済を目指したツケでもありますが、内需依存に移行するにしろ、歳入超過の状態で国債発行残高を減らさねばなりません。
国債の格下げはコスト高を招き、国の財政を更に痛めます。補正予算を見直し、本来の景気対策に戻した上で、本予算で結果を出す。ただばら撒くのではなく、重点投資の観点で、どう予算を執行するかが問われることになります。必要なら補正予算の見直しで浮いた分を、今年度の税収減の補填として考えても良いのかもしれません。
問題は国全体として財政をどう考えるか、です。組織を維持し、天下りを受け入れ、利益構造を保持しない形を、予算の上からもどう構築できるか。今回の補正見直しや本予算については、民主党政権のガンバリどころ、やる気の見せどころでもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年10月05日

イラン核開発の問題について

最近、俄かにイラン核開発の問題が再燃しています。ウラン濃縮施設を増設、IAEAによる核査察の受け入れを表明していますが、すでに核開発を可能とする情報を得ている、との報告も出ています。プルトニウム型の核爆弾はまだ不可能でも、濃縮ウラン型なら、イランは核爆弾を保有できる可能性が出てきた。先の国連総会でも、イランのアハマディネジャド大統領の演説の際、欧米各国が退席し、抗議の意思を示したように緊張が高まる状況となっています。

パキスタンの首都イスラマバードで国連施設へのテロがありました。同じ頃、インド政府が北朝鮮から、パキスタンへ向けた兵器開発に必要な部品を積んだコンテナを押収した、と発表しています。このパキスタン側からイランへの技術、人材の流出を防がない限り、イランの技術力は遅々としながらでも核技術を可能とするまで、進むことになります。
中距離弾の発射実験も繰り返していますが、仮に核弾頭と中距離弾を保有すれば、イスラエルを人質にとったようなものであり、欧米に睨みもきく。イスラエルは非公式で核を保有していると言われますが、オバマ大統領の国連演説、常任理事国の核廃絶の決意は全加盟国に向けたものであり、これはイスラエルにも及びます。イランとイスラエルが睨み合う状況が生まれた際、核廃絶の行方にも暗雲が漂いかねない事態となります。

しかもイラクに次いでアフガン撤退を決めれば、米国は中東の力を完全に失いますから、イラン情勢にも影響します。欧米が対決姿勢を強めるほど、中東の混迷度を高めており、世界が目指す方向とは逆行する形となる。欧米だけでなく、武器輸出のプレゼンスを高めたい北朝鮮、石油、ガスの統一市場を目指すロシア、世界で最も熱い注目を浴びるのが、中近東ということになるのでしょう。
日本も給油支援以外の、新たなアフガン貢献に向けて幾つか提案している、という話もあります。ただカルザイ大統領による、先の大統領選での不正疑惑が晴れない以上、単純支援は国としても難しいでしょう。元々、少数民族や宗教対立のある国で、民主主義の象徴たる選挙が根付くか?という問題から始めない限り、政治的統合は成り立りません。数の少なさが生存競争において深刻な事態になる以上、国家としての権力を多数派に与えるのは、危険極まりない行為です。
イラン情勢はペルシャ湾の治安にも影響します。原油を中東産に頼る日本にも、無縁ではない話です。イランの核開発へのまい進、平和利用を謳う中で欧米の堪忍袋がいつ切れるか、また切れたとして経済危機下、戦争状態に突入できるかなど、複合的に様々な面を今後も映すことになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 中東 | 一般

2009年10月04日

民主党政権への高い支持

中川昭一元財務相が今日亡くなりました。原因は分かりませんが、精神安定剤や睡眠薬の話もあり、薬に頼ることも多かったようです。酒の失敗で人生を棒に振った形で終わりましたが、どういう形であれ、もう一度国政にチャレンジして欲しかったですね。ご冥福を祈りします。

読売新聞の世論調査が出ています。鳩山政権はメディアの一部ネガティブキャンペーンでも、70%の高支持率を保っています。ただ連立政権については評価が低く、消費者庁の補正予算削減はゼロ、と発言してすぐに撤回した福島社民党党首。モラトリアム法案で混乱する亀井金融担当相、存在感を示すためのやる気が空回り気味で、国民理解も進んでいない点は注目に値します。
25日投開票の参院補選に向け、小沢民主党代表が意欲を見せているように、政権交代後初、というより参院単独過半数に向けた重要な戦いです。メディアのネガティブキャンペーンが顕著な八ツ場ダム中止、返済猶予制度も若干賛成が上回ります。経済団体や前政権が批判した温暖化ガス25%削減も、国民の支持は高いので、この流れでは確実に民主党候補が勝てる形が出来つつあります。後は目玉政策の高速道路無料化の反対が多い点を、どう説明がつけられるかどうかだけです。

この結果には、当然自民党の低迷もあります。谷垣氏への評価も低く、かつ党執行部が明らかに谷垣シンパと、協力的な人間で固めたために、具体的に野党として戦うかの形が見えません。しかも民主党の主張は、かなり国民支持が高い。八ツ場ダムも攻撃材料と出来そうにない今、自民党政権時代の負の遺産に跳ね返ることを恐れ、批判も腰砕けになる可能性も高くなります。
しかも自民党政権時代を引きずる人選をしたため、自民党は補選を捨てた感もあります。自民党の次の不安は年末、来年の政党助成金を受け取るため、新党を立ち上げる時期です。来年の参院選を自民党の看板で戦うか、補選の結果も影響してくるはずです。改革クラブもありますが、衆院選を見る限り評価も低く、合流はみんなの党が主流となります。そうなると中堅・若手がごっそり流れる可能性もある。野党としての自民党の立ち位置は当面かなり厳しいものとなるでしょう。

民主党政権への高い支持、失政もなく臨時国会の開催も先であり、当然ともいえますが、現状は期待に応えている点が最も大きいのでしょう。補正予算見直しで目標の3兆円に1兆円足りない、と盛んに報道されていますが、重要な問題は来年の本予算であり、そこで指導力を見せて予算組み替えによる財源捻出ができるか、が今後の試金石として出てくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:40|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年10月03日

五輪招致における東京の失敗

国際オリンピック委員会(IOC)総会における五輪招致、結果は想定通りですが、過程は予想外でした。北京→ロンドンと来れば次は南北米大陸、との予想を覆し、早くもシカゴが脱落、日本、マドリードと落ちてリオデジャネイロに決しました。政治的関与を嫌うIOCですが、国家元首のスピーチなどもあり、昨今は必ずしも政治色は薄くない部分もあります。
シカゴは準備不足も指摘されていましたが、オバマ大統領の演説は急拵えも目立ち、委員の心を捉えることが出来なかったようです。東京は、国民支持率が高くない国に加点する委員も少なく、最初から枠外でしょう。そもそも、なぜまた東京なのか?という問いに答えておらず、国民も石原都知事の訴える夢とは何か?がよく理解できていませんでした。

これは小泉-竹中路線の残滓です。東京に一極集中させ、東京を発展させることで地方を引っ張る、という構図の元で肥大化した東京のまい進が招いたことです。更に石原都知事が公約としたことで、東京が150億円と言われる予算をつぎ込まざるを得なくなった。選挙公約が150億円の形の残らない活動だったのですから、当然責任論に発展することになります。
問題は地方分権が叫ばれる昨今、企業の本社機能が集中し、財政上余裕のある東京で再び巨大な公共工事を行う必要があるか?ということです。コンパクトを謳っても、数千億の公共工事が東京に落ちるのですから、納得を得られない部分があります。これが仮に震災から復興した神戸、新潟、基地問題に揺れる沖縄が提案すれば、問題提起として様々な面が映し出せ、国民の間にも広く浸透したはずです。石原都知事が知事としてやりたいことが、結果として国民のやりたいことには繋がっていない。地方の意思を反映した意見ではなかった、ということです。

しかも民主党政権に散々ミソをつけた挙句、最後は鳩山首相のスピーチを懇願した点など、負け戦の負け方がよくありません。東京とて一地方自治体に過ぎず、国政に批判的であろうと、国に頼る部分もある。今回の失敗は、東京という肥大化した町が今後、どう生きて行くかを示した感もあります。地方分権となれば、東京の地位も相対的に低下せざるを得なくなる、小泉-竹中路線の見直しがこんなところでも始まるのかもしれません。
新銀行東京も見通しの甘さが招いた末です。アジア圏として北京の次の次を狙った戦術も、先の問題と同様です。内政に強気の首長は対外的な部分でそれが通用せず、敗北することが多々あります。強引に推し進める政策が是か非か、しっかりと見極めた上で戦略を描けなかった、今回の失敗は石原都政に大きな影響も出るはずです。コメントは若干強気ですが、上半期を終えた新銀行東京の行方など、石原氏への逆風は強まるばかりとなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 地方

2009年10月02日

経済の話、市場動向について

日経平均が1万円を切ってきました。先週末に為替が対ドル90円を割り、円高を意識し易くなったこと、及びドル、ユーロベースから見て円高は恰好の売り場になるので、標的にされた面もあります。この点は昨日の日銀短観でも、大企業製造業のDIが-33となり、6月から-15ポイントと好感される数字が出ましたが、為替想定レートが対ドルで94.50円と、企業の為替見通しを見て下期相場への不安が出たことも、影響しています。これまで円高を織り込んでこなかった相場が、急速に円高を意識し始めた、それが今週の500円を越す急落に繋がっています。

現状の相場は、8000円台であっても何ら不思議はない環境です。景気対策効果の薄れる年後半、失速は確実な状況になっています。米国ではちょうど財政年度切り替えのタイミングもありますが、新規の景気対策は出てきていません。剰え出口戦略が検討され始め、市場から資金は吸収される方向にあります。欧州も同様、ドイツ総選挙後の新政権の枠組みで不安も出ています。
9月米雇用統計は失業率9.8%、雇用者数26万3千減と市場予想より若干悪い数字です。最近は市場予想より指標が悪化傾向にありますが、期待と現実が乖離し始めた傾向が顕著であり、新規対策が出なければ市場は一段と弱含むでしょう。これまでは期待、今後は現実に上昇を確認する必要があり、低成長に陥るようでは確実に売り叩かれることになってきます。

例えばJALに国が支援する旨を緊急に発表していますが、ショート懸念から取引が停止される突然死の前兆が現れ、国を慌てさせました。先のGM、クライスラーも同様、企業が資金ショートで突然死する環境は未だに改善されておらず、健全な経済環境とはいえません。
約半年に及ぶ上昇局面を過去の景気回復局面と重ね、更に上値を追えると述べる人間もいますが、異常な経済政策と資金供給の結果生み出されたバランスであり、決して楽観はできません。最近の相場を、私の周囲では『虫ピン』という呼び方をしています。標本にするため生きたまま虫ピンを押され、手足をバタつかせる昆虫たちの行動が、今の分厚い建て玉を立てられ、売り方も買い方もその周囲でもがく様とそっくりだというのです。

金が余っているから相場が上昇する、というのは大きな間違いです。JALの件でも見え隠れするのは、不安に陥れば大きく売り叩かれるということです。今は急速に売り買いが思惑を走らせ、虫ピンを押して相場の防波堤を作り、水準維持に努めています。この環境は決して良好なものではなく、買い方の負けが続く現状は、後の負の効果も高める可能性があります。一気に水準を三つも下げた今週、悲観が強まることが最大の懸念となるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年10月01日

天下り人事の凍結について

広島地裁で鞆の浦海岸の埋め立て、架橋事業の差し止めの判断が下されました。修復不可能な景観や環境への配慮と、利便性向上に伴う高齢・過疎化対策とが焦点でしたが、前者に軍配です。これには公共工事一辺倒でない、民主党政権誕生も一考されたことでしょう。大事なことは、町の再生に対する工事の寄与度は低く、恒久的な利益としての景観、観光を覆すほどの理由は示されていない、と裁判官が判断していることです。都合よい数字を用いて公共工事を推進しようとする、それに着工前に司法の側から待ったがかかった、この事実は相当重いのでしょうね。

民主党政権が誕生して半月、若干官僚に取り込まれ気味の発言をする閣僚もいますし、一部で醜聞も出ていますが、概ね期待に副う内容です。その中の一つ、独法役員人事における天下り26法人で42人の凍結があります。ただ後任は公募、という点は残念な部分でもあります。
強い姿勢を示すなら、独法は10年以上の勤務実績がなければ役員とできない、等としても良いですし、天下り職員は複数年課長級以下の待遇とする、等を政令で出しても良かったはずです。問題は抜け道も許さぬ厳しい態度を示せるか、独法より天下りの多い公益法人への監視、規制のかけ方です。

例えば天下り法人へ7千億円の委託がされている失業対策、ムダ排除で凍結の意向ですが、本来失業者が拡大する今有用な事業のはずです。しかしそうならないのは、これまで啓発、周知活動はパンフレットを大量に刷り、事務所に置くだけという受身だったためです。これも印刷関連を委託する公益法人があり、そこに発注する必要があったからです。告知はテレビか新聞のみ、と決めれば大量に刷られて倉庫に眠るパンフレットの類が、ぐっと減ることになります。
また通常事業は一括発注ですが、本体事業と事務費を別けて発注し、本体事業は複数年度会計とし、事務費は単年度とすればチェックが楽で、使い切りによるムダな工事も防げます。事務費から人件費が出ますから、役員への給与が過大と見積もれば、削ることも可能です。事業の発注段階でチェックをかけるには、高度な能力も必要ですが、本来は必要な業務上の能力でもあります。

早期退職勧奨を止めると人件費が拡大する、という議論もあります。ですがこれまで公務員が甘い処分で済まされたところを、厳格に人事査定、考課を適用すれば抑制も可能です。業務上知り得た内容をリークすれば解雇、軽犯罪に自主的に手を染めれば解雇、など厳しい倫理観の下で安定と給与を得る。それが公務員の地位向上であり、やる気にも繋がってくることになります。
今は何も悪いことをしていなくても、契約社員や臨時雇用の職員は、パッと首を切られる時代です。高い能力と高い倫理観をもつ者が、安定と高給を得るのであれば、国民も文句を云いません。天下り禁止とは、公務員のためにある制度だということを認識できれば、もっと高いハードルを課していくことでも、理解は得られるはずなのですけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 司法