2009年12月

2009年12月30日

民主党の成長戦略について

鳩山政権が成長戦略を発表しました。2020年度までに国内総生産(GDP)を平均で名目3%、実質2%成長。4年間で失業率を3%以下にする目標です。その施策として、環境・エネルギー分野で50兆円の市場、140万人の雇用創出。医療・介護・健康産業で45兆円の市場、280万人の雇用創出です。
環境・エネルギー分野は消費の成長が見込めない場合、産業移転のみに終わります。つまりそれ自体が成長産業ではなく、成長を伴う社会を前提とした場合のみ、拡大が可能な産業です。介護は高齢化社会の成長産業ですが、待遇面が追いついておらず、こちらは国家の施策待ちです。若干報酬に補填があったものの、利用者の負担も拡大しており、結論としてパイの拡大に繋がり難い構造を、国家自らが構築してしまっています。どちらも受け皿産業としての機能は持ちますが、成長に資するためには、国家全体の成長を必要とする点で、具体的な諸施策の構築が必要です。

アジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)にも触れていますが、こちらの成長、需要を取り込めば確かに成長に寄与します。但し日本はODAによる巨大プロジェクトの受注は得意ですが、現地のニーズと合致しておらず、また民間受注は苦手な面があります。コストを抑えた良質な製品、という形の売り込みが出来ておらず、鉄道などは安全、安心を売りに出来ても、それ以外は弱い面を持ちます。
以上の部分は具体的数値を盛り込んだ点は評価できますが、前政権でも同じような内容が目立ち、特段の目新しさはありません。注目は1兆円の農産物輸出、木材自給率50%です。1次産業従事者が国内で最低3%に達し、成立できる環境が整えば、余剰の労働人口を吸収することが可能です。それには輸出ルートの整備、開拓などを国家プロジェクトとして進める必要があります。

幼保一元化や、羽田空港の拠点化を盛り込んだ点は評価できます。ただ総花的であり、練り込めていない部分は否めません。例えばローカル・ホリデー制度は、休日の分散化には繋がりますが、期間限定サービスなどが必須の日本で、特に割安感を求める傾向もあり、消費喚起に繋がるかは微妙です。交通や観光は集中を嫌いますが、それによりニュースで取り上げられ、注目を集めることは「りっくんランド」で証明済みです。最大の宣伝効果を失うと、観光面ではマイナスも想定されます。
鳩山政権は、自民党時代に出来なかったダム事業の見直しなど、先進的な取り組みも行っています。核密約など、自民党時代の隠避を明瞭にすることも、一定の評価が出来ます。一方で藤崎駐米大使のヤラセ疑惑も持ち上がるように、官僚の抵抗や入れ知恵を受け、閣内が右往左往する面も現れています。成長戦略を策定し、具体的な数値も盛り込んだのですから、達成までのプロセス、手法を明確にすることが今後、求められるのでしょう。日本を成長軌道に乗せるのは一朝一夕では不可能ですが、長期展望に立った戦略性が、今最も必要なのでしょうね。

明日からお休みして、来年は1月5日から始めたいと思います。皆さん、良いお年をお迎え下さいね。

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2009年12月29日

経済の話。日航支援と米国の動き

企業再生支援機構による日本航空への支援が、会社更生法を用いた事前調整型になる、との観測が伝わりました。日航への融資に対する政府保証がつく見込みがなく、巨額融資は半官半民の企業再生支援機構の重し、と判断されたようです。ただ決定ではなく、また会社更生法の下での再建を目指す形となるため、当面の運航には支障が出ないようにするとのことです。
ただ米航空機テロ未遂事件、原油価格など不透明要因も多く、航空業界はまだ冬の時代が続きます。政府や議員の海外視察もビジネスで十分とされるように、不景気で企業の出張経費も絞られます。会社更生法が適用されれば、年金負担も軽減できますし、リストラや経費節減を進め、再建計画を練り直し易くなることが期待されます。ただその間、借り入れが難しくなるため、現金決済のみが適用されるなど負の面があります。企業再生支援機構の保証で、どの程度金融機関から資金を集められるかが、再建策の成否を決定するのかもしれませんね。

世界は金融優位の状況であり、企業買収や経営統合の動きが活発です。会社更生法による負債軽減などで、貸付金の一部は消滅します。来年もこの傾向は続き、金融優位でありながら、貸し渋りを助長させます。そんな中、米国でも2Fと呼ばれる政府系住宅ローン保証企業に対し、2012年末までの損失全額カバーし、信用供与を拡大すると発表しました。
前政権で、支援は今年末と決定されていたものを延長した形です。モーゲージ担保証券(MBS)を財務省が今年末、FRBが来春に終了と発表されており、その間の負の効果を2F支援をすることで相殺しようということになります。しかし逆に見れば、住宅価格の反騰が低いままであり、政府保証をつけなければ住宅ローンの申請が受け難い、貸し渋りの状況が続いているともいえます。

今日の株式市場は、先物市場で約10分の間に1日の半数近い売り買いを交錯させる、という異常な動きを示しました。誤発注とも云われますが、個人的には来年度導入されるアローヘッドに伴う、アルゴリズム取引の一部を試運転する際、不整合が起きたとの見方をしています。薄商いの中、現物株にヘッジを立てない先物のみの取引であり、かなり異常性が認められるものでした。
テロ未遂事件で垣間見えることは、米国には今後も何かが起きる予兆です。標的が航空ではなく、危険物取扱の現場やそれを用いた重要拠点である場合、防ぎようがないことを見せ付けました。金融が肥大化し、国民の反発が強まればいずれ何らかの事件を引き起こしかねません。来年もリスクと、それに伴う急変動は意識すべきなのでしょう。FRBが資金吸収に向かうための、新制度導入の検討に入り始めました。来年の経済はこうした綱引きの狭間で、自縄自縛に向かう、若しくはそれでも資金が踊るのか、その見極めも重要になってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2009年12月28日

2009年の反省をこめて

2009年は、長期政権を担ってきた自民党から、民主党への政権交代が起きた年として歴史に記されます。そうしたウネリの中で、陳情一本化などの政治と企業、団体の結びつきにも変化が見られますが、変化の波動をより大きく受けているのは、大手メディアだと理解しています。
新聞でも、ニュースでも、それを見聞する時に気を使うのは『意見』と『認識』の違いです。意見はジャーナリズムに基づく行為として、認識はアカデミズムに基づく行為として、という意味です。批判や評価はジャーナリズムとして行われますが、それが知識に基づく、詳細な検討の結果かどうかは、記事を読み解く上でどちらに分類されるかを判断しなければなりません。

自由主義者として知られるハイエクの意見によれば、「指針を与える理論家は、自分が多数意見によって拘束されていると考えてはならない」とあります。掻い摘んで云えば、「世間の風潮に流されるな」ということです。しかし現代のジャーナリズムはこの逆、視聴率や購読者数、評判を気にして大衆迎合に陥りがちです。また派手な見出しや中傷で、人目を惹く場合もあります。
メディアが世論の代弁者である、と誤解したままオピニオンリーダーの如き文言が並び、判断を歪める内容も散見されるようになっています。民主主義は多数決を尊重する社会であり、世論誘導を指向すると、危険な面も否めません。ハイエクは「法の前の平等」を謳いますが、事物の正誤が正しく認識できる形で与えられない社会は、不幸と呼べるものです。

例えば鳩山政権における経済政策の批判があります。景気対策を打て、一方で財政規律を守れ、この相反する意見が、時と場合に応じて使い分けられています。鳩山不況という言葉も用いられますが、株価は現在年初来高値を窺う位置、年末ドレッシングの結果とはいえ、政策転換がない中での株高に不況の文言は影を潜めました。再び株価が下がると文言だけは復活してくるのでしょう。ただ株価だけで経済を語ることは出来ないはずであり、これも自分の都合よい指標を用いて、批判に用いているだけに過ぎません。
米国では、アカデミズムに代表される識者が、政策決定に意見を反映する機能があります。日本では、メディアに登場する識者の中にも、ジャーナリスト化した発言に終始し、知見は蔑ろにされている面が否めません。先の課題、景気対策と財政規律の堅持は、歯車の両輪にはなり得ず、一方でブレーキをかけながら、一方で加速させるような知恵が求められるものです。
来年は、様々な課題が更に深刻な状況で、日本に降り掛かるでしょう。世論の平易な意見に流されることなく、正誤を見極めて記事にしなければいけないと、自戒の念を篭めて考えています。反省のようになってしまいましたが、裏側にあるものを読み込む努力は、常に続けていかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2009年12月27日

経済の話。08年度の国民所得の減少

先週、内閣府が発表した08年度国民経済計算確報で、国民所得が前年度比7.1%減、352.5兆円になったことが判明しました。これは02年度レベルです。企業所得が23.3%減なので、その煽りを受けた形ですが、国民の懐は相当に痛んでいることが、統計の上からも示されました。09年度はボーナスの減少が顕著であり、更に悪化傾向を示すことが確実な状況です。
少し前に、菅副首相と竹中元総務相が成長戦略を巡り、議論を行っています。竹中氏は02〜07年まで百万人の雇用が生まれ、格差は拡大していないと主張していますが、外需により製造業の一時雇用、という特殊要因が生まれたことを考慮すると、その間に日本経済の成長はなかったと想定できます。むしろその後の落ち込みを見ると、脆弱な経済環境が生まれたとも云えます。

キャピタリズム(資本主義)がムーア監督により、ドキュメント映画となりましたが、現在の世界は産業資本主義と、消費資本主義に2極化されると考えています。前者は製造業を中心とし、必需消費を生産し、消費して行く一般的な産業構造の形。後者は選択消費としての贅沢品の志向、モノを売るのみではなく、サービスを売ることで消費される世界です。
日本の産業構造を見ると、72%が3次産業に集約され、27%以上が2次産業、残り1%にも満たない労働が1次産業に分類されます。つまり典型的な消費資本主義の国家形態をしています。竹中氏の誤りは、生産を主体とする27%の2次産業に注力し、企業を強化する方向で集約させたこと。その結果配分される賃金、という形での国民所得は増えず、3次産業が停滞を続けたことにあります。

この結果を見ると、先進国で消費が蒸発した理由も分かります。つまり選択消費は、所得に見合う水準に合わせて急変するものであり、3次産業でもたらされるモノは手控えられる傾向にあるからです。それを国家が補助をつけることで、消費喚起してきたのが今の経済です。所得の低下を、国家の支出で補う傾向であり、いつまでも継続できる環境ではありません。
来年の経済は、この動向をよく見極めることなのでしょう。日本でも国民所得が下がり続け、選択消費のモノは売れなくなり、国家に頼る傾向も高くなります。民主党政権の目指す、子供てあてを始めとした直接給付、それが消費喚起に繋がるのか?農家の戸別補償により、1次産業が成長産業になるのか?とにかく、今の日本の産業構造からみて、3次産業が活発にならないと、国民のムードも上がらないことは明白です。景気は気から、それがなければ来年も重苦しい空気に支配され、日本の停滞感も益々高まることは、確実なのでしょうね。


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2009年12月26日

鳩山批判について考える

鳩山批判が沸き起こっていますが、ここであえて擁護の論陣を張りたいと思います。これまでも政治資金規正法はザルと指摘していますが、この法律上、政治家が直接、政治資金を管理する仕組みにしてありません。あくまで資金管理者の選任・監督のみです。これは「小事(金)に拘っていて大事(国政)が為せるか」という、古い政治家の意見が反映されているためですが、この点が一般の企業や個人と大きく異なる点であり、法的な問題として「知らない」は許容されます。

古い良家の出の女性には、『奥』のことを男に心配させない。嫁入り道具を売ってでも、金は工面するという方がいます。つまり男を立てて、見栄をはらせます。かつての日活スターや、大物俳優の話として、奥さんが旦那の財布に札束を詰め込むなどは聞いたことがあるかもしれません。
鳩山家の母親はまさにこのタイプです。通常、こうした態度は夫に向かいますが、鳩山一郎氏は家庭を顧みず、愛情を息子に注いだとも云われます。息子を立てて、自分を捨てても尽くす。嫁入り道具のブリジストン株、その配当を息子に回す。裕福な家庭でたまに見られる母親像であり、息子に金の話をしないことも、金に頓着しない息子が育つことも、特段の不思議はありません。

庶民感覚が分からない、という話もありますが、極論に陥れば立候補に資産制限を設けるのか?ということになります。昨年、カップラーメンの値段が話題になりましたが、問題は金があるかより、行動や言動に庶民感覚からのズレが見られるか?です。これがポピュリズムに繋がるかの議論は、別の機会に移しますが、仮に政治家に資産制限が掛かれば、自民党議員の方が影響され易くなることは意識しておくべきです。
そして現状、政治家の説明責任は変容しています。これまで自民党が与党時代、政治腐敗が叫ばれ、疑惑が浮上しても警察・検察は捜査に二の足を踏み、その度国民は曖昧な決着に歯噛みしました。鳩山氏、小沢氏の問題も公判という場で、罪状認否が行われる。事件の経緯はそこで明らかにされます。逆に、それが説明と整合しない場合は問題ですが、これ以上の解明手法はありません。つまり司法の場で明らかにされることが第一義、説明責任は個人が持てる権限において行う、相手を納得させる手法のみであり、公判の補完的材料でしかなくなっています。

今回、メディアも一斉に批判の矛先を向け始めたのは、やはり民主党政権の可視化により、記者クラブ撤廃に向けた動きを感じ始めたためでしょう。ただ議論が一義的であり、自身に都合よい解釈を用いている場合も多く見られます。特に今回、私が問題と考えるのは過去の発言との整合程度ですが、この点も金科玉条の如く守るべきかはまた判断も別れます。
政治資金規正法も何度も改正が行われていますが、このザル法をきちんと修正しない限り、国民の不満が解消されることはまずありません。この件で個人攻撃に陥る前にやるべきこと、それは政治全体の改正です。鳩山氏に関しても、何の問題もないというつもりは全くありませんが、これを期に法制度を整えることが必要だ、という論調が少なかったために、あえて今回の記事としてみました。

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2009年12月25日

2010年度予算が決まる

2010年度予算が閣議決定されました。一般会計総額は92兆2992億円と過去最大、前年度当初予算より3兆7512億円も増えました。一方で歳入は37兆4千億円、新規国債44兆3千億円、税外収入10兆6千億円となります。辛うじて借金よりも高い収入を確保していますが、借金依存体質であることは明白、税収も来年は景気回復を織り込んだものであり、苦肉の策であることは否めません。
公共事業が6兆円以下に減り、社会保障関係費27兆円、高校実質無償化で文教費4兆円越え、地方交付金も17兆5千億円に拡大と、民主党政権の主張である「人からコンクリート」は守った形です。一方で初年度7.1兆円を必要とした目玉政策は、3.1兆円に目減りし、国・地方を含めた税収減に対応するためとはいえ、掲げた政策実現には厳しい内容が目立ちます。

以前も指摘しましたが、3ヶ月で、という前置詞つきであればよくまとめた方です。ただ予想外の税収の落ち込み、という逃げ口上を政府関係者が口にするのはは頂けません。リーマンショックが08年9月、企業業績は08年度下期から悪化しており、民主党とて税収減は予想できたはずです。
民主党の政策実現のために想定する税収を確保するため、どう政策効果を織り込むのか?つまり民主党の当初計画では歳出拡大が明白、これが大きな政府と揶揄される一因になっています。予算組み替えやムダ削減、借金返済に向けた道筋を描くことは来年度に向けて特に必要となってきます。先月の事業仕分けでは目標額を立てていなかったものの、今後は歳入・歳出のバランスを確保する上でも、歳出削減圧力を強くし、赤字国債の償還に向けた計画を立てねばなりません。

松沢神奈川県知事が、子供手当ての地方負担分、児童手当を残す形に対してボイコットし、新たな神奈川方式を導入する旨を示唆しています。一制度二方式並存、という形を問題視し、国と地方の問題を行政裁判にかける計画も示唆しました。ただこれは現行の児童手当に含まれる国負担分を拒否する形となり、仮に敗北すると神奈川県の行政負担は拡大することになります。、
確かに児童手当には所得制限があり、子供手当て内に含まれると、12歳以下の子供全てに支給する必要を生じ、地方負担も拡大する傾向です。但し、現行の地方交付税に頼る地方と国の関係では、自由裁量外にある地方負担として拡大するか、国が直接払うかの違いでしかなくなります。

国と地方の問題を、一制度に仮託して語ると本質を見誤ります。税収減に伴い地方交付金を厚くした、これがヒモつき財源でないなら、結局は補填した形です。地方の自由裁量枠を増やし、中央が規制する仕組みを改め、独自色を打ち出す地方を増やすこと。その実現には、特区を拡大しても良いでしょうし、制度を抜本的に改めることも必要となるのでしょう。国のみでなく、地方にもムダがあることを認識し、国と地方の関係にメスを入れていかねばいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 地方

2009年12月24日

鳩山首相の秘書が起訴される

鳩山首相の資金管理団体・友愛政経懇話会における問題で、東京地検特捜部は、元公設第1秘書を4億百万円の虚偽記載罪で在宅起訴、元政策秘書を重過失による虚偽記載として略式起訴しました。元政策秘書は即刻、罰金30万円と公民権停止3年の略式命令を受けています。
一部で説明が不十分との指摘もありますが、鳩山氏は本当に知らないのでしょう。選任・監督責任について裁判で係争しても、帰趨は不透明。地検も諦めたようです。実母からの資金11億5千万円について、記者会見で約6億円の納税を示唆しており、これ以上は事件の拡大もしないと想われます。公設秘書も罪を認めていることから、公判もすぐに結審し、事件としては終了です。
野党もこの件で弱いのは、事件は選挙前に判明しており、禊の形は済んでいることです。鳩山氏の過去の発言、秘書の罪は政治家に帰する、という点をつくしかありません。しかも追及し過ぎると、今度は自分たちに跳ね返ります。特に立場の差を考えた時、事件の発生した期間に政権与党の座にあり、より重い責任があった側はどちらか、という点に論点が向かうと自民党には不利です。結果的に政治資金規正法の虚偽記載で終わったため、それ以上の攻撃材料は見出せず、現職総理大臣の秘書が刑事罰を課されても、内閣総辞職や解散などには持ち込めそうもありません。

問題は小沢氏の件です。04年に3億4千万円で購入した土地を、05年に記載したこと。その原資は4億円の定期預金を組み、それを担保に借りたとされますが、受け取り前に支払いをしており、資金の流れが不透明な点が問題とされます。ただこの件で、仮に立件する場合難しい問題を孕みます。
まずこれは政治資金規正法違反です。しかし出所の不透明さを捜査するのは、政治家におけるアンタッチャブルゾーンに当たります。仮に捜査を行い、立件に失敗するか、起訴しても無罪を勝ち取られれば、検察のみならず法務省の責任論に及びます。これは政治介入ではなく、政局を騒擾させたことを問題視されるためであり、厳しい選択を迫られることになります。

しかし先の西松献金事件の補完的材料として、この件は立件したいのが検察です。ただこれは、検察もシナリオを描き切れておらず、まだ流動的でしょう。仮に後から個人の借用証書が出てきて、当座資金を手当てしたことなどが判明すると、引っ込みがつかなくなります。
一先ず政治資金規正法違反で捜査を進めると、別件逮捕等の主張を受け、捜査も行き詰ります。二階氏の秘書が略式起訴で済んでいる、即ち敬称略しますが、この件でも二階以上の悪質性を想定しないと、検察も立件が難しくなってきているのが現状です。不動産購入の件でも、それが三階なのか、四階なのか、ただの中二階なのかによって、検察の態度も変わってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(6)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 司法

2009年12月23日

来年の米国経済について

キャリーバッグの事故が増えているそうです。躓いて転ぶ人がいるとのこと。ただこれはバッグの側でも、使用者の問題でもありません。人間は足元を見て歩いておらず、常に3m以上先を見ています。他の人間がいると、頭や身体の位置から無意識に距離を測り、避けて通ります。しかしキャリーバッグとの距離は掴めておらず、足元でも視野外であり、気付けぬ場合があります。
キャリーバッグは音がするので、通常は気付きます。ただ注意力が散漫となり、聞こえているはずの音に、気付けないのが人間です。突然の事故に気をつけるためには、目や耳の感覚に鋭敏となり、そこに潜む問題をよく意識して、生活することが大事なのでしょうね。

来年の米国経済を考えてみます。米7-9月期GDP確定値が年率換算で前期比2.2%増と発表され、改定値から0.6%減少となりました。速報値で3.5%増と発表されたことから比べ、まともな数字に落ち着いた印象です。個人消費の推移が、3.4%増→2.9%増→2.2%増と、漸次引き下げられたことが引き下げの主因ですが、米経済がまだ不安定であることを、このGDPの推移は示しています。
クリスマス商戦も盛り上がらず、直前購入に期待との声もあったものの、寒波でネット通販以外は不調の予想です。住宅価格は下げ止まりとも云われますが、中古住宅販売は投資目的の購入が増えても、実勢価格は未だに上向かず、更に商業用不動産はまだまだ下落傾向が鮮明です。

地銀破綻で、引き継ぎ先が見つからず、全額米連邦預金保険公社(FDIC)の負担になったものもあります。まだ小規模な破綻ですが、抜本的対策を打たないと、いずれ取りつけ騒ぎを起こすでしょう。地銀は中小企業融資が多く、ここが揺らぐと経済全般を悪化させます。問題は来年も破綻が続くこと、地方行政の格下げが起きると、地銀にも影響する可能性が高いことです。
年末で、新興国やコモディティからの資金還流で株式は堅調、一方で債券売りが出ています。これが現在のドル高を引き起こしていますが、長くは続かないでしょう。来年も高成長の予想ですが、米国は地方からドミノ倒しに崩れる傾向、その端緒が来年辺りに垣間見られると見ています。その時、オバマ政権が選挙向けの対策に陥れば、ヒドイ危機を迎えることでしょう。

最初のキャリーバッグの話と同様、人の目は前を向き、歩いている時に足元は見えていません。全体経済という大きなものばかり見ていると、足元が疎かになり、躓いて転びます。足元を固めないまま、過剰流動性を引き起こし、前のめりに進もうとする米国経済、目や耳の感覚に鋭敏になって、その動向に気をつけていないと足元を掬われることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アメリカ | 経済

2009年12月22日

中国の財政赤字1兆元

平成22年度税制改正大綱が閣議決定されました。内容は、15歳未満の扶養控除を廃止し、子供手当てとする。一般扶養控除は維持、特定扶養控除は高校生世帯を高校授業料無償化があり、その分は廃止となります。これは実質減税ですが、中学卒業後に無職の子供がいる家庭は増税です。
これは消費性向の高い子育て世代に手厚く、一定の評価は出来ます。日本では年功序列の考えが根強く、また年金不信もあるため、高齢世帯ほど貯蓄性向が高まります。消費喚起の側面は満たすでしょう。ただタバコ税を税収増を目標に議論する辺り、財務よりの姿勢も見え隠れします。

中国の財政赤字が、今年9500億元(12兆6千億円)と指摘されています。来年は1兆元越えとも。中国は輸入増、輸出はまだ回復していません。財政出動効果は輸入により顕著に現れ、消費喚起を促す諸施策も国内向けですが、富裕層は国外の高級品に目を向ける事態です。債務状況の悪化は、中国の格付け見通しの変更を余儀なくさせますが、中国格付けはS&PでA+、決して高い方ではありません。
中国は外向けの債務が高く、輸出により外貨を稼ぐ構造です。ただ人材不足を露呈し始めており、今後は人件費高騰により、世界の工場の座から滑り落ちる可能性を示唆されています。中国はアフリカ、アジア各国に工場を新設、また外国企業の買収を活発化させていますが、今後中国に発注した製品は、そうした国々に外注されることも起こり得るのでしょう。

ハイテクが堅調で、日本の企業も年末休暇返上、という話もあります。ただ先進国や中国のような国が流動性供給を行い、補助を出すことで消費が堅調な側面は否めません。日本の11月貿易統計でアジア・中国向けが約1年ぶりに増と、輸出の減少に歯止めがかかったことを示しましたが、その背後に中国政府などの財政赤字があります。
問題は人民元ですが、来年は緩いドルペッグからの離脱が想定されます。米ドルの急変動、いずれは起きる事であり、人民元をドルから切り離す決断が必要という意味です。ドル安が人民元安を引き起こしており、輸出には有利。ただ輸入増が続く中国にとって、脆弱通貨との共倒れは避けたい。しかし人民元高に陥れば輸出に不利、そうしたジレンマを解消するのが、米国債やドルの動きになると見ています。ただ変動相場制への完全移行まで、時間稼ぎはするでしょう。

中国がいつまでも大国である可能性は皆無です。急速に進む少子高齢化、バブル化した住宅市場、特に土地取引がない中でウワモノだけの価値が高騰する、という市場は異常という他ありません。景気低迷をバブルでしか補えなかった中国、アジア、アフリカの懐柔策の継続度合いも含め、来年も波乱を起こす国であることだけは、間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:30|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2009年12月21日

暫定税率維持、子供手当て所得制限なし

鳩山首相がガソリン税の暫定税率を一旦廃止し、現状の25円/ℓを維持する新税導入。子供手当ての所得制限なし、たばこ税増税を示唆しました。暫定税率維持は再来年度の環境税導入までの繋ぎ、子供手当ての所得制限は行政コストの拡大を嫌って、という説明を行っています。
党要望書の兼ね合いでは、前者は従い、後者は反発という形です。ただこれを1勝1敗と考えてはいけません。元々政治的には何の効力もない要望書。各社の世論調査を見ても、暫定税率は廃止、子供手当ての所得制限は賛成が多かったのです。党の上に政府があるとはいえ、三権分立の視点では異例。小沢氏が助け舟を出した、とも云われますが、これは政府と党、どちらも打撃を受ける結論となります。

本当に党要望書が『国民の声』であれば、政府はそれを無視した形。『国民の声』でなければ、党が詐称した形となります。どちらに転んでも民主党に利がない、これを『助け舟』とするのは財務省だけです。鳩山-小沢会談が報告のみで、短時間で終わったことを、小沢氏の苛立ちとする見方もありますが、私は小沢幹事長が政局を読み違えたことに、引っ込みがつかないと見ています。
小沢氏が強硬に政権にねじ込めば、小沢支配とメディアに総叩きされるのは明白。それでも党要望書で、頑なな姿勢を見せたのは、政権への関与という高揚感が小沢氏を突き動かした。結果的に、政府がどういう選択肢を択んでも、政府と党が分裂、妥協案、小沢支配という三つの形でメディアに伝えられるしかなくなった。これは明らかに小沢氏の失態と呼べるものなのです。

小沢氏は来年の参院選を61議席以上と目標に立てました。鳩山氏の次は亀井金融担当相が次期首相候補とも噂されますが、そうなれば民主党は大敗します。小沢氏が政局の読みを鈍らせていなければ、まずとらない選択肢でしょう。それこそ小沢支配の極地の印象しか与えないからです。
小沢氏の問題では、羽毛田宮内庁長官との対立があります。羽毛田氏の手法は、世論操縦をする従来の行政側がとりうる政治への抵抗であり、確かに問題があります。しかし問題が可視化された、という点で世論も評価しています。行政は上意下達、内閣の指示に従うべきですが、天皇の国事行為で内閣の承認のみを主張すれば、憲法の象徴天皇制を揺るがす政治利用となります。
つまり行政機関も内閣からの命令に対し、調整は行えるのであって、特にそれがスケジュールに関するものである場合、無理なことも十分に有り得ます。これを分かり易い官僚の不作為と一緒に語ると、本質を見誤ります。ここ数日の小沢氏の動き、以前の豪腕に陰りも見え、焦っているようにも感じられます。検察の攻撃がジワジワ効いているのか、自分が政権運営すれば…という執着が出てきたか、小沢氏の動きは来年も要注意なのでしょうね。

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2009年12月20日

鳩山政権に対する評価

民主党・鳩山政権が誕生して三ヶ月、私の評価では百点満点で72点です。甘いと見られる方もいるでしょうが、政権交代をシステム的にサポートする術がなく、官業の秘匿主義が行き渡る日本で、いきなり全力疾走は無理な話です。しかもこの3ヶ月で、1次補正の見直し、2次補正検討、来年度予算と3本の予算関連を検討する慌しさ。従前の行政では有り得ないスピード感です。

外交では道筋を示せていないのでマイナス。但し核密約説など、日米間には不透明な関係があります。沖縄返還時の金銭解決の問題、ここから米軍グアム移転費の日本側負担の大きさは、同種の背景を感じさせるものとなっています。仮に鳩山政権が、そうしたことを念頭に時間稼ぎをしているとすれば、政権交代による情報公開を交渉材料に、米側を交渉のテーブルに引き戻せます。2国間の問題とはいえ、米側にとって金銭授受に基づく基地移転は、不透明な軍事予算という印象を与え、容認できない問題となります。これが普天間飛行場の問題に道筋をつけるのかもしれません。
また中国を動かして、北朝鮮との拉致問題が動き出す可能性があります。民主党は拉致実行犯の罪を問わない、という姿勢を打ち出しており、これは被害者返還に舵を切ったというメッセージになります。善悪の判断は別れますが、人質をとって立て篭もった犯人に対し、投降を呼び掛けるような効果です。問題はそれで、どこまで拉致被害者の救済、取り戻せるか?なのでしょう。

内政は事業仕分けが評価できます。ただ1度目より2度目はアナウンス効果が低く、全体の事業を仕分ければ、そこから20兆円以上の資金を捻出しなければ、国民の評価は低くなります。名称は異なれども内容は同じ、という事業は山ほどあり、そのほとんどの予算が独法などで消費されている現状を洗い出せば、事業の半数近くを削減が可能です。元々20兆円程度のムダがある、と宣言して選挙を戦っただけに、予定額に届かなければ厳しい判断が下るのでしょう。
しかも1年が経過すると、前政権が抱えていたムダ、膿と認識できていた悪材料、負の遺産を引き継いだという見方から、それを見抜けない現政権の問題と捉えられ始めます。特に全体の事業仕分けを行った後は顕著でしょう。来年の事業仕分けの結果、というのはそれほど重大なのです。

民主党政権のブレの問題では、閣僚発言は官僚が根回し、調整した上でのものではなく、私見という程度の内容です。つまり現状はまだ政治主導ではなく、政治家が勝手に、個別に省益を代表して動いている印象です。国民向けの発言も大事ですが、政治家同士が調整し、情報発信をしなければそれが軽さ、ブレとなります。鳩山首相を始めとした、閣僚の動きに反省が見られるか、が大事なのでしょう。
仮に政権交代が6月で、この時期にこの体たらくであれば、評価はもっと低くなります。来年、民主党政権には抱えている課題も多く、時間軸上の有利さも消えることから、試練を迎えるということだけは、上記を見ても間違いないことなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年12月19日

COP15における米中の差

コペンハーゲンで行われていたCOP15が「合意を留意」で合意しました。産業革命以前からの気温上昇を2度以内、来年1月末まで先進国は目標を、途上国は行動を挙げる。先進国は検証を受けるものの、途上国は支援事業以外の検証はなく、先進国は2012年まで300億$、20年まで年1千億$の途上国支援を行う。ただ2013年以降の京都議定書に関しての枠組みは、先送りされました。

ここで気付かされるのは、国際会議での物事の決し方の変遷です。国連では、常任理事国に振り回され、先進国間の対立が全てでした。しかし現在、先進国と途上国が同じ舞台に立ち、様々に小会議が立ち上がり、互いの利害を話し合う。NGOが情報発信を行い、各国のメディア以上の情報網を構築している。大と小が全く同じ立ち位置、それどころか小の方が数的に優位であり、大を飲み込むほどの力、勢いの強さというものをまざまざと見せ付けました。
途上国は三態、ポリネシアを始めとする高い削減目標を課そうとする国々。中国を始めとする検証を拒否したい国々。とにかく先進国からの支援を受けたい国々。前者は危急存亡の時に際して切実ですが、後者二つも事情は様々。すでに高い排出量を誇る新興国と、未開途上の国があります。しかしその両者の上に中国が居座り、リーダーシップをとることで、数の優位性で会議を圧倒した途上国側が、今回の留意でも高い成果を勝ち取ったことになります。
先進国側が失敗したのは、上記三態の取り込みに失敗したこと。例えば中印など先んじて発展した新興国を、GDPベースで選別して新たな枠組みとする、などの根回しを周到に行えば、中国&G77のような枠組みで強硬な態度をとらせずに済んだはずです。結果的に、米国が対立してきたスーダン、中東や、歯牙にもかけてこなかったアフリカが、米国の最大の敵に回ることになり、米国が敗北する歴史が始まったようにも見えます。対話重視のはずが、オバマ政権は外交交渉で敗北ばかりなのは、戦略性のない正攻法では、世界が動かなくなったことを意味しています。

何も決められないことを留意した、今回の合意。これは今後の世界の外交戦術の大切さを学ばせます。日本は単純に削減目標が課されず、安堵するという訳にはいきません。何より金だけ出す、日本の悪い形で国際合意を取り付けようとしたため、鼻白む向きも多く、25%削減でもODA資金が環境対策費に変わり、排出権を買うのみ、とした受け止め方で非常に評価の低いものとなりました。
国内法の整備も行われていない中とはいえ、今後の振る舞い方には余程気をつけないと、日本は国際社会の中で孤立します。票の重さが同じになれば、数を誇る側が有利。その鉄則を守りG77を取り込んだ中国に完敗した先進国は、民主主義に立ち返って多数派工作を練り直す必要に迫られた、というのが今回の会議なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 海外 | 政治

2009年12月18日

小沢秘書公判始まる

伊豆半島東方で群発地震が起きています。ただ今回、千葉南部、栃木南部、八丈島辺りでも地震が起きており、関東近辺に大きな変動、その要因が発生しているようにも感じられます。私の生活範囲では、気がつく程度の感じ方ですが、少し心配になってしまいますね。
豪州の研究者が、ココナツの殻を隠れ家に使うタコを発表しました。無脊椎動物で確認された高度な道具使用、ということですが、国営放送でも日本近海の同種のタコを放送していたので、見た方もいると思います。ただヤドカリや、糸で網を作ってエサをとる蜘蛛とどちらが高度なのか?は研究者の見方次第です。鯨の頭が良い、と言い張る豪州人の主張だけに、胡散臭さを感じてしまいますね。

小沢氏の公設第一秘書・大久保被告の公判が開始されました。検察側の描く事件の構図は、被告が『天の声』を出し、受注業者を選定していたというもの。その際、ダミー団体であることを被告は承知し、政治資金収支報告書に虚偽の記載をした、というところになります。
以前も取り上げましたが、検察には弱点があります。この構図では収賄で起訴しなければならず、実際の談合を仕切った人間の起訴、若しくは供述がとれていない、中途半端な解明で終わっています。仮にそうらしい、では推定無罪の壁があり、事件の構図が崩れると公判維持が難しくなります。そして新たに虚偽記載のみで追及を始めると、別の問題が生じる可能性があります。

鳩山邦夫元総務相への母親からの巨額献金、邦夫氏は収支報告書に問題ない、としています。納税に応じる、として準備を進めていますが、献金として政治団体を通じた処理の場合、秘書は母親からという献金元を知っていたことを明かしています。大久保被告の起訴状によると03〜06年に3500万円、これを大きく上回る規模の、6年間で14億円の虚偽記載ということになります。
母親として記載されていた場合、個人上限150万円以上の献金と知り、処理していたことになります。どちらにしろ、政治資金規正法違反で検察も処理しなければならない、ということです。これは鳩山由起夫首相も同様ですが、一部は個人に偽装されており、また金額は減ります。由起夫氏の秘書は虚偽記載で在宅起訴の方向ですが、どういう形であれ、邦夫氏の側も影響が出るでしょう。

以前も政治資金規正法違反で大久保被告を起訴すると、一般性が崩れると指摘しています。多くの政治家が同様の問題を抱え、かつ小沢氏秘書のみに絞った理由を献金額の多さ、悪質性に言及した検察。しかし鳩山家の献金額は桁違いの多さです。悪質性は低いものの、結果的に判明した事例、全てで検察は事件化しなければいけない、ジレンマに陥ることになりました。
タコはココナツで自分の身体を隠しますが、人間の方が、余程隠さなければいけないことも多いようです。政治資金規正法を改正し、政治家の資金の流れも透明性を高める努力は、与野党問わず必要なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:16|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 政治

2009年12月17日

経済の話。来年の市場予想

来年の市場予想を出してみたいと思います。来年は非常に難しい年になります。3月以降、世界は金融相場を形成して右肩上がり、これが来年には業績相場への移行期に差し掛かります。しかし企業業績が回復するのは早くて再来年と見られ、その間は雇用も期待できず、景気の下支え要因を失います。出口戦略に早く舵を切りたい中央銀行と、実体経済との綱引きが起きてきます。

日本ではアローヘッドという、新しい取引システムが導入されます。約定速度が上がることから、一瞬にして板が攫われる、という事態も起き得る取引です。これは見せ玉を張り付け、気配値を多く見せかける取引に不利。アルゴリズム取引の変更を余儀なくさせるものです。見せ玉潰しに資金力の豊富な、外国人投資家を利する結果となれば、思惑相場が形成され易くなります。また東証が100億円以上の損害賠償を出したような件では、誤発注が起きた場合はそれを発注側が取り戻す、そうしたことを考える暇も与えず、取引は全て終了することになるのです。
来年の相場を大きく動かす要件は2つ。過剰流動性相場の行方と、信用市場の混乱です。前者は中銀の態度にかかります。昨日、米FOMCで流動性供給を来年4月で予定通り終了、と打ち出されましたが、すでに新興国やコモディティがバブル化しているので解除するしかありません。しかし金融機関は商業用不動産などの爆弾を抱え、実体経済の悪化が見えてくると、時期的には厳しいと見ます。またカバードボンドの格付け手法が見直され、金融機関の資金調達手段が狭まることなども、過剰流動性相場の行方、資金供給量の点で不安を残します。

信用市場は各国の格付け、企業、債券も含めた混乱にまで及ぶかどうかです。起きれば今度は世界経済の破綻が近付きます。当然、各国も必死で対策を打つでしょうが、すでに過剰流動性、という禁断の手法に手を染めた各国政府に、更に打てる対策が少ないことが気懸かりです。
ドバイショックが起き、ゴールドが一気に1200$から1100$近辺に急落したように、金融相場は下げ難く、下げる時は急落という特徴を持ちます。デリバティブ規制が検討されていますが、過剰な資金を放置したまま、規制を強めれば資金が別の市場に移動するだけで、バブルの芽を他で起こすことになります。バブルと急落と、両面の考え方を要する難しい環境が、来年は更に強まるのです。

2010年は日経平均で5000〜12000円、今年の予想に上値を上げただけのようですが、中身は上記のように、決して平坦ではありません。春先までは流動性供給が効きますが、英国債市場が急変動したように、先進国の財政不安の顕在化次第で、急落のリスクを負います。他のアナリストの多くが下値8000円とする中ですが、あえて下を叩きに行くリスクを来年考慮します。二番底をとりに行くときは世界の危機ですが、日本の立ち位置を間違えないようにしないといけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年12月16日

民主党から政府への要望書

小沢民主党幹事長による、来年度予算と税制に関する要望書、なるものが政府へ手渡されました。民主党県連を通し、党に挙げられてきた陳情を整理し、公共工事や子供手当ての所得制限、暫定税率維持などが盛り込まれているようです。問題はマニフェストの変更より、政府と距離を置いてきた小沢氏が、初めて公的に政府に対して苦言、要望を提出した、という点です。
来年早々にも鳩山内閣退陣、小沢氏主導で新組閣なる噂もありますが、予算審議を新組閣で乗り切れるはずがありません。編成と国会審議が異なる政権で行うなど、到底無理だからです。むしろ財務省寄りを示してきた小沢氏が、財務省をも手足として使うよう舵を切り、今の政府に圧力をかけ始めた、と見ています。背景には財務省の影響が強まり過ぎることへの警戒、陳情一本化で支持を表明した組織・団体の取り込み、選挙対策としての一つの動きということです。

詳細は確認できていませんが、大枠では新税制による国民生活の混乱の最小化、公共工事によるバラマキという形が窺えます。ただこれを国民の要望としていますが、それは大きく異なります。財政全体の目配せが必要であることは多くの国民が認めており、高速道路や整備新幹線の復活にしろ、過当競争に陥った日本の交通行政上、不必要と談じられます。
つまり要望書に盛り込まれたものの一部はムダなのです。これは行政上のムダ削減を行い、国民生活に回すことを期待された政権が、その姿勢全体を転換することとなるため、必ず国民の離反を招きます。以前も指摘したように、小沢氏の選挙対策は王道、風のない地道な活動です。微修正ならまだしも、国民が期待したことと異なる方向に政治が動き始めると、大風により『地道』が土砂崩れで通れなくなる事態もあり得ることでしょう。

2012年にも導入が検討されてきたBIS規制、中核的自己資本比率の確保が、段階的導入で10年近く先延ばし、という報道があり、今日は銀行株が買われました。貸し渋り対策、とも伝わりましたが、これは欧米がギリシャ格下げ、スペイン見通し引き下げなどを受け、国債保有の割合の高い金融機関に不安が生じることを怖れた動き、と見るのが正しい視点ではないかと考えています。
以前も指摘したように、単なるバラマキに終わるだけの予算計上なら、日本はすぐ見通しを引き下げられるでしょう。その時ローン金利の上昇や、国の利払い拡大が起きれば、バラマキの負の効果として不信感を生じます。バラマキは既に、あらゆる綱引きの上でしか成り立ちません。財政健全化、国債の格付け、国内景気、世界市場、全ての関係を考慮して歳出枠を考えるようでないと、来年前半にはとてもヒドイ動きが起きることを、覚悟しなければならないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年12月15日

普天間基地移設は結論を先送り

普天間基地の移設先送りが、正式決定したようです。政府は辺野古か、沖縄県外か、国外かという全体像まで描き切れておらず、結論を先送りした形となりました。まず国外の動きとして、米国は2014年日米合意の履行である海兵隊8千人のグアム移転費は、議会を満額回答で通過しそうな気配です。これは米政府も一つの山場を越え、18日とされた結論も緩和される傾向となります。
国内では環境影響評価書の提出、地方の承認という手順が遅れ、現実問題として移設計画は日米合意に間に合わない可能性を高めます。米国はタイムスケジュールを重視し、日本が遅れを伴うと、外交上は不利。相手が強気に交渉できる材料を与える結果となります。

しかし日本の国内も地方と中央とのネジレ、米政府もジュゴン問題で環境配慮の観点で、米議会が辺野古移設に関し、法的拘束力のない決議を通しています。両政府ともアキレス腱を抱え、それでも米国が辺野古に拘るのは、再編計画全体の遅れと日本政府に対し、強硬な態度を示すことによる力関係の維持、という問題が絡んでいるためでもあります。今回、ソフト、ハードともに圧力をかけながら先送りになったことで、米政府も新たな対応にシフトせざるを得なくなります。
問題は兵数を削減できても、沖縄県内に2空港を米政府が志向していることであり、沖縄の負担軽減と謳いつつ、初めから米戦略上の要点として、沖縄県内に基地を造る合意だった、ということです。北朝鮮、台中衝突に対応するため、中間地点である沖縄本土に空港を多重化しておきたい。このため無人島案、硫黄島案などがあっても、米国は断固拒否の姿勢を貫くことになります。

一つの可能性ですが、有事における那覇空港の利用と、無人島飛行場における訓練の承認と、グアム移転・嘉手納統合をセットにするような、大胆な提案が必要なのかもしれません。まずは有事と平時に切り分け、平時の基地削減を進めるような提案をしなければ、有事の対応に拘泥していても、この基地問題における両者の差を埋めることは難しいのでしょう。
今回、米国に強硬に合意を押されたら…、そんな予防線を張ったために先送りとなってしまいました。元々の合意すら、危うい細い綱の上にあったのですが、それが更に細くなった印象です。米政府も輸出入規制などは現状の環境から見て、現実的ではありませんが、嫌がらせという意味では防衛情報を渡さない、など様々出てくるでしょう。根負けせずに、日本政府の決断を押し切る覚悟がなければ、今回の先送りで日本が失うものは多いのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:22|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年12月14日

経済の話、今年の反省

小沢民主党幹事長が、宮内庁長官に噛み付きました。怒りを露にする時は、大抵痛いところを衝かれたためですが、ルールは金科玉条ではない、と言ってみても日中関係は重要だから、という平野官房長官の発言が真実だとすれば、まさに政治への関与を疑わせます。国賓に会うことは特段政治的な動きでないとしても、ねじ込む様が政治主導、即ち政治利用ということになるのです。小沢氏の苛立ちには、まずかったという意識が相当に滲むものとなっていますね。

12月日銀短観が発表されました。業況判断指数が大企業製造業-24(前回-33)、非製造業-22(-24)、中小企業製造業-40(-52)、非製造業-35(-39)となりました。いずれも改善傾向、但し大企業製造業の設備投資計画が、前年度実績から28.2%減。大企業の来年度新卒採用計画が30.5%減と、景気回復を織り込めない経済環境が、企業の実態から窺える内容となってしまいました。
ドバイのナキールによるイスラム債が償還期限を迎え、UAEのアブダビが100億$を提供することで、債務不履行による破綻は一旦免れました。しかし先々も償還は続き、今回の41億$以外にも、何度も債務問題は浮上します。また金融以外の債務も、工事代金の取り付けなどで、日本だけでも6千億を越える、との報道もあります。それに中東系出資の東南アジアの工事が、今日も一つ停止されたと伝えられており、まだまだこの問題は尾を引きそうです。

来年の予想は近い内に出しますが、今年の反省から。昨年12月に日経平均で5000〜10500の予想を立てました。思った以上に早く米国のムードが好転したこと、金余り効果が新興国経済を先に回復させ、楽観ムードが醸成され易くなった点など、若干の読み誤りの部分もありました。
しかし短観を見て回復の足音は鈍く、実体経済はまだ低下気配を見せています。下げ止まり、程度の材料で市場がここまで戻すのは、過剰流動性が影響していると見られ、余剰マネーの行く着く先は中々読みきれないのが現状です。今年、垣間見えた底抜け懸念の影響が、仮に現実化すると来年には倍加されます。二番底懸念が今年、訪れなかったことは幸運ですが、金余りでは健全な調整が難しい、ということが今年の経済環境を見ても、よく理解できたことが今年の収穫です。

今年は世界が大いなる実験に舵を切った年です。過剰流動性を先進各国、新興国に至るまで普く行ったら、経済はある程度上手くいく。そうした実験的成果を得て、来年はどうなるか、という新たな実験が始まります。経済学者のPサミュエルソン氏が亡くなりました。不況時の公共投資という新古典派総合とも云われる経済学が、一つの終焉を迎えたことを感じさせます。
金融で肥大化した世界市場が、金融破たんにより縮退し、それ以上の金融強化に舵を切った世界。今年から来年へ、丑から寅へ、誰が弱肉強食の世界で生き残れるか?来年を考える上では、相当に難しい課題が横たわってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年12月13日

来年の政局について考える

小沢訪中・訪韓で、俄かに皇室の政治利用が取り沙汰されています。中国副主席の会見要請が11月26日、宮内庁が一度は断ったものの、中国は小沢訪中に合わせて再度要請、官邸も再三宮内庁に要請し、特例として認められたものです。自民党も何度か天皇陛下を外交上利用していますが、ルールは原則としてあるものであり、問題は特例を如何なる状況によって適用するか、です。
中国は古代から、過去の例に倣うことを重んじる傾向があります。胡錦濤国家主席に倣い、次期主席と目される習近平副主席も、今上天皇との会談を望んでいる。但し申請が遅れてゴリ押しに近い形になった。この時、日本として特例を認める、その見返りに何を得たのか?今回、単純に小沢氏が気を遣っただけに見え、相手に恩典を与える代償を持ち帰った形跡はありません。

小沢氏の動きは中国、韓国と組んで北朝鮮包囲網を組むのでは?とも云われます。中国人拉致も囁かれ、タイ空港で兵器密輸も明らかになった。デノミで混乱する北朝鮮に、中国の後ろ盾を得て、拉致事件を進展させることが出来れば、民主党政権の誇るべき功績となります。
小泉元首相の電撃訪朝以降、北朝鮮が盛んに日本の背信を訴えるのも、密約があったからだとも云われます。その後の政権は圧力重視、北も今度の民主党政権に期待をかけているフシが、一部で窺えます。小沢氏の描く参院選、勝利の方程式には北朝鮮が密接に絡むのかもしれません。

来年の政局は、参院選を中心とすることは間違いありません。民主は上記を足掛かりとする気配ですが、予算や法案で国民に不人気の施策を目くじら立てて通せば、支持を失う可能性があります。国民新は自民党の悪い部分をそのまま残したようであり、党としての支持を得難い。社民は閣内抵抗勢力となっている限り、地盤の強い選挙区以外での勝利も難しいでしょう。
自民党は1次補正の凍結は解除すべきとしたり、二階選対局長の問題など、旧態依然とした体質から脱却できていません。総選挙で否定されたのですから、古いものを切り捨て、新しい体制を構築できるまで票は集まりません。支持母体離れ、公明との連携も断たれればジリ貧、いつ新体制で挑むのか?という判断次第であり、仮に民主党が支持を落としても受け皿とはなり得ないのでしょう。

民主党に期待されたのは行財政改革です。その第一歩が事業仕分けであり、国民の高い支持を得ました。そして上記政党が軒並み支持を落とせば、第三極としてこの錦の御旗を掲げる党が大きな価値を持つかもしれません。それが比例では国民新や社民より高い得票を得た、みんなの党です。
資金力の問題で候補の数が少ないですが、参院で議席を得ると、みんなの党が第三局の柱として、与野党ともに綱引きが始まる可能性がある。財政に問題を抱えて出動も限られ、一方で実感としての増税も嫌。ならばやるべきは行財政改革しかありません。参院選前後で、政治の景色は全く変わっている可能性もあり、来年も波乱の政局ということになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年12月12日

経済の話、国債と格付け

昨日、今年の漢字が発表されました。個人的には『革』だと考えています。改革、変革のように『あらためる』意を持ちますが、稀少な例で『危篤になる』の意も有します。財政だけでなく、日本はシステミック・リスク(年金・医療・介護・雇用・教育、それらを全て含む行政)が至るところで顕在化しており、これらを放っておけば死に至る病となります。一時的なカンフル剤ではなく、処方箋を示し、根治療法を施せるのが誰なのか?来年、再来年と政治の世界は、与党、野党に関わらず、そこを中心に動いていくことになるのでしょうね。

ドバイショックで始まった国の信用格付け不安、欧州のスペインを格付け機関S&Pがネガティブ見通しとしたことで、問題が世界全体に波及しています。ドバイは来週返済期限が迎える債務があり、政府から要請された延期の見通しも、未だ不透明な状況です。ドバイ系企業も幾つか格下げされており、坂道を転げるように、取り付け騒動に発展する懸念を孕んでいます。
次にギリシャがフィッチによりA-からBBB+に格下げされました。09年財政赤字の見通しをGDP比12%超に修正、これを嫌気された形です。ギリシャはGDPで30兆円程度と財政規模の小さな国ですが、ユーロ導入国であり、これがユーロ安に波及しました。そしてスペインです。S&Pによるスペインの格付けはAA+、財政規模は130兆円と大きなものであり、こちらは影響の拡大が懸念されます。

債券を組み込むファンド、投信は、格付けを考慮して持分を決めています。米英を初めとする先進国は、S&Pの格付けを借りれば軒並みAAA。現状ギリシャ、スペインはEUが下支えするだろうとの見方もありますが、米英の格付けが揺らぎ、AAAから滑り落ちる時はEUでもカバーは不可能でしょう。また債券型は安全資産の割合が減るので、全体として縮小を余儀なくされるか、運用実態を開示して新たに投資家と協議する、などの動きも出てくるかもしれません。
米国では金融規制改革法案が、下院を通過しました。新たな監視体制として消費者金融保護庁(CFPA)が設立され、格付け機関等も監視対象となります。またFRBも議会の監査対象となります。これは機動的な金融諸施策への対応を困難とし、金融部門を縮退させる可能性があるものです。上院でも同種の法案が議論されており、決着は年明けと見られますが、巨大金融機関を監視する体制には、政府も相応の体制で挑む必要があり、細則に至っては難しい部分を含みます。

日本は邦銀系の国債保有量が多く、格下げになってもすぐに売りとはならないでしょう。ただ財政規律の緩みは、確実に格下げを誘発します。国債に頼り、財政出動規模を誇れば、来年早々にもAA格付けがネガティブとされ、厳しい状況に置かれます。日本はイタリアなどと同列の状況ですが、先進国最悪と呼ばれないためにも、財政規律の旗を降ろしてはいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2009年12月11日

来年度予算編成に関する動き

来年度予算編成について、様々な動きがあります。国民新、社民は95兆、補正を含めて102兆円を下回らない規模を要求しています。ですが、来年の政府見通しは38兆円、仮に税外収入が10兆円になっても、50兆円以上の新規国債発行規模を、明示して予算編成をすることになります。そうなると、ほぼ確実に国債が1段階、下手をすれば2段階引き下げとなります。
財政規律、景気対応、これは両睨みで行くべきものです。まず格付け機関は政府の態度を見ます。財政規律の旗を降ろせば、GDP比1.8倍を超える負債と財政健全化への道筋が見えないことで格下げ。景気対応の旗を降ろせば、市場はそれを嫌気して売り。どちらかに軸足を傾け過ぎれば、どんな形になっても経済にはマイナスの効果しかもたらしません。

まず国民新、社民が過っているのは、『下支え』と『浮揚』を一緒に議論していることです。公共工事は一時的な景気下支えであり、時間軸で景気改善を待つ、長期的な経済から見れば静的対応です。自民政権がこの20年誤り続けた施策でもあります。一方で民主党にない、と言われる成長戦略は浮揚効果を含むものであり、公共工事とは切り離して議論する必要があり、下支えした先に、どのようなビジョンを持つか?それがなければ経済政策は存在しないことになります。
民主の政策でも、家計への直接給付による景気浮揚効果は、早くて再来年です。しかも財源確保できず、規模が縮小されれば効果も限定的になる。事業仕分けで、従来型の予算慣行に一定の制限は設けても、全体として浮揚効果のある対策は、未だに見えていないのが現状です。

一つの対策は給与削減です。国会議員4割、国家公務員管理職2割、一般職1割を削減する。議員は文書・交通費の実費支給があり、総体として2割減なので、ほぼ均等割りしています。この対策でも数十億円しか国庫負担を削減できず、限定的な対応と言えますが、最大の効果は危機感の共有です。
独法の役員給与、嘱託社員の厚遇が問題視されますが、公務員が自らの給与を削られれば、官僚OBを養うための業務発注を減らすでしょう。2割はかなり大きい額ですが、財政均衡を目指す間の時限立法とすれば、行政の無駄を減らすための最短の効果が期待できます。またこれは政治家の意識改革を促し、かねのかかる政治からの脱却も促せます。行政が改革姿勢に乗り出せば、財政規律を志向する政権として、当面の国債格下げも防げます。また国民理解も進み易くなります。
増税已む無し、の風潮も国民にはありますが、負担を一方的に押し付けるのではなく、行政が一体となって痛みを受ける。それが危機意識の共有です。自治労との関係で、民主党もかなりの決断が必要でしょうが、国の上に立つ者が範を垂れることが、この対策の重要な点です。隗より始めよ、自治労すら説得できないようでは、国民に訴えることなどとても無理なのでしょうね。

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2009年12月10日

小沢訪中団が北京へ

小沢訪中団と呼ばれる民主党議員143人、一般参加とされる業界関係者を含め、626人が北京で胡錦濤国家主席等との会談に臨んでいます。親米派はこの事態を、中国傾斜、反米的態度として糾弾しますが、事態はそれほど簡単ではありません。まず小沢氏が親中派であることは間違いなく、経世会、田中角栄氏の側近時代からの古い付き合いです。中国が小沢訪中団に配慮を示すのも、長い関係から中国にとって安心できる相手、との思惑が働いています。
米国は普天間基地移設に関し、恫喝外交、次に会談拒否という段階を経てきました。これは当然の反応であり、悪い条件が出る会談には通常応じません。手詰まりが続く間は距離を保つのでしょう。米国としても、民主党政権の誰に話を通せば良いかが掴めておらず、この辺りは知日派とされる人間の間にも、混乱を招いています。岡田外相、北沢防衛相、会談に出てくる両大臣を叩いても、誰かがどこかで結論を覆す。連立云々より、交渉相手として相応しいのは、どうやら鳩山首相でもなさそうだ、ということが会談を拒否してきた、最大の理由となるのでしょう。

結論は簡単で、小沢氏を動かせば政権も動く。ただその小沢氏が親中派、嫌米とまでは云わないまでも米国には不信感を抱いている。ルース駐日大使が小沢氏に会談を申し込んだのか?は分かりませんが、作業部会が止まったのも、岡田・北沢では埒が明かないと悟った可能性があります。
しかも小沢訪中団で、日中が接近することは米国も看過できない事態です。日本が米国の戦略上の一国として機能せず、パックス・アメリカーナからの離脱を予兆させるからです。経済で世界第2、3位の国が連携する。米国経済が失速する中、これは脅威以外の何者でもなく、日米関係は従来通り、日本は米国の傘の下にだけ居れば良い、とする動きが今、米国内では起きています。

ただ国家間関係が永続することはなく、力関係で変化をします。中国が力をつけた今、対中の親密さを深めることは間違いではありません。しかし問題は、小沢氏が親中の先にどんな諸外国との関係を模索しているか?それが垣間見れる程度しか、国民には伝わっていないことです。
ガス田、尖閣、経済など日中に問題は山積、なのに今回は民間交流として、議論を避けました。政治家が動けば国費が浪費される、それなのに親睦度を深めるのみで、それ以上の効果は薄いものとなっています。確かに米国への牽制、という意味はとれますが、戦略上これをどう利用して対米交渉に臨むのかも分かりません。小沢氏が民主党で権力を握り、政権を維持していれば対中関係は良好、ではその間にどういう交渉を行い、どう決着していくかの結果を示す必要があります。
世界はすでに戦争ができない状態です。過剰流動性の唯一の効能は、誰かが資金を引くと世界経済が凋落し、目を覆うほどの状況を呈して戦争できなくなる、ということです。そしてこの中で、日米中というトップ3の経済大国のバランスをどう構築していくのかを、外交戦略上有する必要があるのでしょうね。

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2009年12月09日

雑感、GDPの大幅修正

二階元経産相の秘書が、政治資金収支報告書の虚偽記載で略式起訴され、罰金百万円で決着しました。9百万が少ないとされたこと、西松建設との関係深化はより重篤であるにも関わらず、企業側との癒着構造が全く解明されないまま終わったこと。それが問題です。検察がこの件で失った信用の分、誰が一体どんな得をしたのか?それはよく考えないといけないのでしょうね。

7-9月期GDP2次速報が発表され、実質が前期比0.3%増、年率換算1.2%増となり、速報(前期比1.2%増、年率換算4.8%増)から、大きな下方修正となりました。設備投資が1.6%増から2.8%減と大幅な引き下げとなり、在庫の減少も下方修正の原因です。一部で鳩山不況なる言葉も使われますが、これは7-9月期であり、この数字が示す意味は、麻生政権で打たれた1次補正は消費を喚起できたものの、企業マインドの好転までには至らなかった、ということです。
日本企業の供給能力は、あくまで海外の好景気時を想定したものであり、この点は継続して設備投資に重しとなります。統計上の癖もありますが、今回の大幅な下方修正の原因は、速報が高すぎたことです。08年度の実質GDP確報値も3.5%減から3.7%減へ修正されましたが、本来確報値が大幅に、しかも80箇所も訂正などあってはならないことで、これでは統計の信頼性を失わせる事態です。こんな大幅な下方修正になるようでは、調査手法を見直さねばいけないのでしょう。

今日はドバイ企業、ギリシャ、米イリノイ州の格下げが相場を冷やしました。しかもギリシャはネガティブ見通しを継続しており、今後も格下げの可能性を含むものです。日本も歳出拡大が続けば検討に入る、と以前から示唆されており、財政健全化の道筋を出さなければ、来年は格下げ方向で見直されることになります。東欧、米州にはネガティブウォッチが増えていますが、国として格下げされることは、あらゆる負の効果を含むという意味で、相当に経済を下押ししてきます。
来年の見通しを示す時期ですが、今少し悩んでいます。業務上知り得た情報も加味しますが、来年度予算や海外動向の見通し次第では、上下幅が拡大してしまうからです。格下げ、国債の急変動、為替動向、いずれも密接にリンクし、かつどれもが不安定な状態にあります。
以前から2番底になる時は、経済にかなり悪影響が出ると考えていますが、そうしたことも考慮する必要があります。それとは逆に、過剰流動性の継続状況、新興国の高成長など、相場を下支えする要因もあります。英国では『信用は資本なり』とも云われます。来年は日本経済の正念場、というより世界の信用市場、資本主義が正念場を迎える、そうした懸念を抱かせる点で、難しい環境に陥るのでしょうね。

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2009年12月08日

国民新党と民意のあり様

2次補正予算が7.2兆円に決定しました。菅副総理と亀井金融担当相が口論したようですが、これで分かるのは民主党内の亀井アレルギーが看過できなくなった、ということです。
9千億円の上積みが地方へのバラマキ、中身も旧態依然とした、やれば終わりの公共工事が柱であり、自民党時代の手法で1千億の建設国債発行を余儀なくされた。これは党間に禍根を残す事態です。今後、亀井氏が口を出せば感情論が先走り、拒否も増えてきます。最終的に亀井氏が頼るのは、連立支持の小沢幹事長ですが、頼り過ぎると選挙にはマイナスに影響してくるでしょう。
亀井氏はやり過ぎました。俺が政府だ、民意だ、と述べていましたが、数%の支持、8議席で大上段に構えるのは明らかに愚策です。国民新は連立を維持する気がないのでは?という憶測も、参院選を超えて議席数が変わると、国民新を排除する動きに繋がります。その前に政局にするか、離脱かは亀井氏の振る舞い次第、民主内の亀井アレルギー次第、というところなのでしょう。

民意という意味では、今日内閣府が発表した街角景気の判断指数(DI)が、前月より7pt低い33.9となり、最大の下落幅を示しました。こうした調査が実感に近いのは、メディアの世論調査も同様ですが、能動的なデータ収集を行うためです。逆に、ネット調査や事業仕分けに反発する記者会見、文科省の意見収集も、手法は受動的です。母集団に対し、寄せられたデータが少なければ少ないほど、民意とは乖離した積極的意見をすくい上げたというに過ぎなくなります。
積極的意見とは、即ち利権者や、主義主張と同意、若しくは反発の意見を強くする主体によって為されます。それがメディアに繰り返し流されると、民意と誤解されがちですが、これは本質論と乖離しています。特に亀井氏のように、繰り返しメディアに取り上げられ、金額ばかりが踊るような手法はメディアに好まれ、何度も流されますが、決して民意を得たものではないのです。

今日の債券相場は一瞬不安定さを見せました。それは09年度税収が見通し46.1兆円から36.9兆円に引き下げられ、国債発行も44.1兆円から53.5兆円に拡大した、と伝わった直後です。国債の大量発行が意識され、債券相場が変動する、今がこうした状況であると理解する必要があります。
民意と誤解し、突っ走った人間が世界でどれほど国民を不幸にさせてきたか、その歴史を踏まえた方が良いのでしょう。民主党が民意を映し出している、という訳では必ずしもありませんが、政党支持率や政策面の評価は、総じて国民新党より高いことは指摘できるものです。3党連立は対等な関係、というのならば選挙結果は全く無視されたことにもなる。それが民意かどうかは、考えるまでもなく分かることであり、国民新党の扱い方が、今後政局化に直結することになっていくのかもしれませんね。

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2009年12月07日

COP15が開幕

普天間基地移設問題、ルース駐日大使が怒りを露にしたと伝えられます。これで分かることは、米国は恫喝外交戦略に舵を切ったということです。通常、2国間合意と内政不干渉の狭間で、こういう場合米国は職業煽動家によるデモを行います。世論はこれだけ怒っている、だから政府が動くということを見せ付けるためですが、この問題では米国内のデモ対象が存在しません。
政権は議会との対立を深め、軍事予算でグアム移転費が削れれば、今後数年の移転計画も頓挫しかねない。他に日本を追い詰める手段も少ない、焦った末の恫喝外交ということです。ただ一国の外相、防衛相を、全権大使でもない外交官が叱り付ける、これが日米間の重大な問題なのでしょう。岡田外相の言動からも、これまでの作業部会でも相当の圧力を受けていたことが窺えますが、鳩山政権が従来通りの平伏外交に陥るかどうか、その瀬戸際なのでしょうね。

コペンハーゲンでCOP15が開幕しました。米国が2005年比17%削減、90年比で4%程度の削減、中国は90年比GDP辺り40〜45%、インドは90年比GDP辺り20〜25%、この辺りが焦点になりそうです。中印の目標は、高い成長が続けば今より排出量が増える、とも言われますが、逆に自信の表れなのでしょう。また先進国の技術供与が国内に入ればそれも投資として、成長を押し上げます。
一方で、これは新興国に進出している企業に影響する問題でもあります。中国では外資系企業に、高い削減目標を課す可能性もあり、代償は総じて世界に及びます。特に今回の経済混乱を、新興国まで流動性供給で支える構図は、永続できるものではありません。仮に新興国が低成長に陥った場合、この目標は新興国の首を締めかねず、様々な問題に波及する可能性が出てくるのです。

最大の懸案は、グリーンニューディール、スマートグリッド構想を謳う米国が90年比4%減に留まることです。米国は2013年以降も、3%程度の成長は可能とみており、この目標でも高い、と考えているフシがあります。しかし環境対策に出遅れた国が、高成長を維持するためには経済に無理も必要で、特に金融が弱ると米国は低成長に陥り、これが非常に甘い課題となってしまいます。
日本の場合、条件付で90年比25%削減を謳います。条件付なので、後出しで目標を変えることも可能ですが、その時は世界から信を失うのでしょう。状況の異なる各国が、互いの利害をぶつけ合うこの会議は、かなり外交手腕も必要な会議です。京都議定書は、結果的に議定書の取りまとめるために、日本は高い目標を呑まざるを得なくなりました。今回は削減目標でリーダーシップをとった形ですが、ただの先走りになるかは、会議の運営次第なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:12|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 海外

2009年12月06日

二次補正予算の混乱について

鳩山政権発足から凡そ百日、臨時国会も閉会し、政界は一先ず小康状態です。そんな中、2次補正の枠で亀井金融担当相が8兆円を強行に主張し、溝が埋まらない状況となっています。地方へ配分する9千億円を上積みが理屈ですが、地方の財源手当てはすでに組み入れられており、どの程度の税源不足見通しがあるから後9千億が必要か?という説明は一切ありません。
仮に財政出動が増え、日本国債が格下げされれば地方債は総じて格下げされます。利払いが拡大し、地方債の発行に支障を来たせば、益々交付金に依存する体質になり、地方の自立が進まなくなります。信用収縮が現実に起こった後、債券相場を安泰だと考えているような政治のあり方は、リスク管理の出来ない旧態依然とした手法だということは、理解しなければいけないのでしょうね。

米国で11月雇用統計が発表され、失業率10%、非農業部門の雇用者数が11000人と市場予想を10万人も下回っています。これを好感し、為替はファンド勢が円を買い戻し、ドルは90円台に戻してきました。株式市場も5日急騰、一気に1万を回復しました。背景にドバイショックで新興国投資の一部を、日本株でヘッジしてきた、とも語られますが、資金シフトというより円高、株安のシナリオに対し、その巻き戻しを促す流れが欧米の金融機関で起きた、と見ています。
しかしそれが1週間で日経平均を10%以上も押し上げる、ということが問題です。市場に資金が溢れた現状は、3Dと呼ばれる問題は解消されてない中、逆の流れを引き起こすリスクを抱えます。

需給ギャップを埋める議論もありますが、日本は外需に依存し、世界が高成長に沸く中で低成長を享受してきた構造です。無理にそこを埋めようと公共工事に依存すれば、ハコモノが増えるのみ、金融で埋めるよう強引に市場に資金を供給しても、運用先に困るだけ。環境投資、エコポイントなど需要を喚起しても、7-9月期6.7%、35兆円とも指摘される穴を埋めるほどではありません。
今の日本で打つべき対策は、残念ながら遅効性であっても、少子化や国の無駄抽出などの、国の元を高めることしかありません。これは経済政策を批判する、有識者の意見や記事の中でも、政権批判はしても対策が出て来ないことからも窺えます。誰も有効な対策をもっていないのが現状です。
外需と公共工事で高い成長を保つ、新興国投資を促す場面でも見られますが、この高度成長にはいずれ限界が来ます。日本がこの10年でそこから脱却できず、未だに新興国と同じ成長モデルを目指せば、それこそ財政に無理が来ます。経済政策は規模を誇るより、施策全体の内容で評価すべき、というのはこうした傾向を踏まえたことであり、亀井氏も国の全体像を語らねば、逆にスケールの小さな政治家に見えてしまう、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年12月05日

民主党政権と天下り

内閣府の男女の意識調査で、子供をもつ必要性を感じない人が増えているそうです。これが仮に、生活が苦しく子供をもつ余裕がないことの裏打ちだとすれば、大きな問題です。結婚をしなくても良い、とする意見も増えており、離婚すれば良いも増えていることから、生活実態として成立するかどうかを重視している傾向も見え、意識がより身近な方へ向いているのかもしれません。

政府が閣議で「日銀総裁人事は天下りに該当しない」旨の答弁書を決定しました。人事院の江利川元厚労事務次官、郵政の斉藤元大蔵事務次官、民主党政権で目立ち始めた、元官僚への甘い待遇。総務省が5代以上天下りが続く公益法人を338、422ポスト、2110人に上ると発表しましたが、更にカウントされない契約社員の存在なども、現政権でどう判断されるか、分からなくなっています。
これは閣議決定された天下りの定義が、府省庁が退職後の職員を企業、団体などに再就職させること、としたことに関連します。政務三役や官僚OBが斡旋した場合は天下りではない、これでは天下りはほぼ容認されたも同じです。結果的に、これは斉藤、江利川両氏の人事判断を後付で正当化しようとしたため起きた、言い訳に過ぎない閣議決定ですが、これは民主党政権の成立基盤すら危うくする内容を秘めています。

論語では『過って改めざる、これを過ちという』と説きます。虚構を虚構で塗り固める、ウソの上塗りとも言いますが、それが誤りだと気付いた段階で修正しなければ、それが『過ち』だと定義するのです。例えば両氏の人事案件は、すでに決定事項であり覆せないのだとすれば、例外措置として今後一切の天下り禁止を、改めて閣議決定しなければ全てが『過ち』になるのです。
事業仕分けが国民から高評価なのも、情報公開という手法とともに、これまでの膿を抽出できることです。有用な事業を切り捨てる危険はあっても、議論の俎上に乗せれば、それだけで効果が確認できます。またそれが、これまで甘い汁を吸ってきた官庁と公益法人の、緩んだ関係に楔を入れることにも繋がることが、国民の評価を高めています。前衆院選が、自民党への批判票であったことは自明ですが、その背後には官僚体制の脱却という目的も含まれていました。

そこを否定することは、民主党政権の国民に対する背信と映ります。平野官房長官が年金機構に処分職員の再就職を依頼した行為など、愚そのものです。どんな手法をとろうと、民主党が政権政党であり続けるためには、世論を無視しては成り立ちません。そのことを忘れて自治労、国民新を背景にした郵便局長会、など特定の団体への配慮、利権誘導を強めれば、次の選挙では確実に敗北することを、肝に銘じて政権運営をするべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2009年12月04日

普天間移設問題の年内決着見送りか?

米軍の普天間移設で、年内決着を見送りとの方針を米政府に伝えたそうです。この問題で日米関係が冷え込み、尖閣諸島問題でも日本に肩入れしない、などと一部で報じられていますが、領土問題で過度に他国に依存する方が間違いです。特に今は軍事で領土を主張する愚は侵しません。実効支配を強める相手をどう防ぐかは外交、軍事両面の戦略として、一国で当たるべき事柄です。
ただ問題は米軍事予算が年内決着できず、議会の圧力で米軍再編に支障が出た場合の米政府の出方です。現状、中台関係が改善、米中接近の中でアジア地域への米軍の位置付けが変わりつつあります。先にアフガン増派3万人、2011年7月に撤退開始がオバマ演説で発表されましたが、軍事予算が確保され、この計画が現実味を帯びてくると、更に情勢が変わることになります。

国内では社民党への配慮が目立ち、年内決着見送り。但し岡田外相の動きを見ると年内を模索しており、これは作業部会での取り決めを窺わせます。鳩山氏による県外との指示も、官僚ベースでは出されており、検討項目の段階であると推測します。ただ仮にそうだとしても、現状から慌てて移設先を検討しても、あらゆる条件を満たす移設先は容易に見つけられないでしょう。
そんな中、関西国際空港を移設先にする案が浮上しました。出島であり、騒音問題もクリア、滑走路を併用することは他基地でも行われています。最大の効果は交付金が地元に手に入り、赤字空港が解消されることです。一方で負の面は射撃場が近くにないこと、航空管制が米軍主導になること、米軍は関西圏で基地が少なく連携がとり難いこと、が上げられます。

特に、基地の分散や集中は戦略上の問題です。北海道は対露、沖縄は中台、横須賀は第七艦隊母港として機能し、首都防衛を果たす。として平時に関空に米軍がいることの意味を考慮せねばなりません。地方空港も日航の引き上げで苦境に陥り、米軍受け入れに傾く所もあると推測できますが、どこでも戦略上の重要性が問われます。移転先としてグアムを上げても同様、中台への警戒としては機能しますが、北朝鮮有事に備えた軍配置としては、機能しにくくなります。
ただ米国も世界各国に軍配備をする時代ではなくなりました。経済成長が止まれば産業である軍事も、お荷物産業でしかありません。独占企業が受注する高い軍事予算の構図、それを国家が賄い続けられなくなる現状が、いずれ軍縮という方向性を指向しなければならなくなるのです。

鳩山政権が韓国のノ政権と同じ、という指摘もあります。ただ当時と異なるのは、米側に余裕がないことです。もっと云えば、米が強気になれる材料は乏しく、今後は経済・軍事両睨みとなりながら、米側も着地点を探ってくるのでしょう。その間、日中韓の連携に楔を打つなど、不安定な動きも出てくる可能性は否めなくなるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | アメリカ

2009年12月03日

経済の話。日本市場の急騰

日経平均が1万円近くに戻ってきました。先週まで市場は3D、即ちデフレ、ダイリューション(増資、希薄化懸念)、DP(民主党)への不安が市場を覆っている、という話が専らでした。株価は9千円を試す水準まで下落、二番底懸念なども囁かれ、ムードはかなり悪いものでした。
今週になり一転したのは、11月までの信託からの換金売り圧力が解消されたこと、及び月末ドレッシングで9千円を蹴ったことで買い方が強気になれたこと、そして最大は日銀が動き出したこと、です。上記3Dが解消された訳ではありませんが、それを受けて今週4日間で900円近い上昇を演じています。背景には米系がかなり強い買いを入れている他にも幾つか要因がありそうです。

11月は9千円台の値動きでしたが、アット・ザ・マネーの動きは乏しく、オプション市場では1万か、9千円に傾きをかける層も多かった。つまり売り方、買い方にとって9千円台半ばは真空地帯だった、そこで一気買いが成功、日銀の後押しもあって一段高を演じたことになります。
為替も一度当局から「プライス」が宣言され、介入の気配を示したこと。また鳩山首相の発言、重い腰を上げた日銀からも、介入の気配を感じ取り、円安に動きました。但し昨日日銀が発表した実効為替レートでも前月比1.9pt上昇、371.7になるなど、90円は程遠い印象もあります。

しかし今日財務省が発表した法人企業統計は、7-9月期設備投資が24.8%減と、減少率はソフトウェアを除くベースで、1955年以降最大となるものです。GDPも2次速報は減少、それ以上に雇用や生産性の点で懸念を残すものでした。過去のデータとはいえ、悪い材料を無視しています。
現状は再び「リスクを認識できないリスク」に陥っています。07年3月のベア破綻からリーマン破綻へ、金融機関は反省もなく進みました。今回もドバイの問題で、最終的にはドバイ政府やUAE、アブダビなどが支援に乗り出すだろう、という楽観が市場を支配しています。ドバイ政府は支援を拒否、他の政府出資企業の格下げが起きており、ドバイは国家破綻に進むリスクを拡大させていますが、それを無視している形です。

リスクを無視できるのは、先進国では投資銀行にまで、政府保証がついているために起こります。金も1200$を越えてきたように、投機的な動きを助長しているのは、先進各国の量的緩和と、政府保証つき投資というマネーの歪みです。これが解消されるまで、こうした荒っぽい値動きも増えるのでしょう。新興国の中銀が外貨準備として、実物資産の金に資本シフトを起こし、実体の製造業に影響が出ても、昨年の原油高騰と同様に誰も抑制できない状態となっています。
投機、という言葉は元々仏教用語で、大悟して仏祖の機にかなうことを意味します。今は大量のマネーを扱う人間が、どういう意思をもっているか?それを理解することが肝心です。爆騰する市場が向かう先、売り方の買戻しを引き戻すための、大量の買いを入れた後の動き、SQや年末まではまだまだ思惑相場という形が続くのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2009年12月02日

政府の2次補正を巡る動き

鳩山献金事件が、鳩山家献金事件に変わりました。母親の気性からして、当然のように兄弟に均等に送っただろう、とは考えていました。自民党が邦夫氏を切ってでも、由起夫氏の首をとりにいく覚悟は現状まで見られませんので、これでこの事件は両者が贈与税分を納税して幕引き、となりそうな気配です。同根の材料を抱え、与野党ともに首を竦めて終わりとなるのでしょう。

鳩山首相と白川日銀総裁が会談を開きました。目立つ対策は昨日、日銀から出されましたので、現状の経済認識と今後の連携を確認したのみ、のようです。そんな中、2次補正予算の方針が出てきました。税収減に伴う財源不足の地方に2.7兆、中小企業への緊急保証制度の保障枠拡大に1兆、エコポイントの継続や省エネ住宅、公共施設の耐震化工事、なども項目として上がります。
財源は1次補正凍結分の2.7兆、国債利払いの余剰分1兆、埋蔵金や税外収入も含め、赤字国債も3兆円増額発行される見通しです。これで今年度の財政支出は100兆円越えが確実、税収見通しは38兆円程度、税外収入を含めても50兆円以上を国債に頼る状況です。2次補正は7兆円規模とも伝わりますが、国民新や社民は増額を求めており、未だに閣議決定する段階でもありません。

亀井金融担当相が2次補正で、電線などの地中埋設化を訴えます。しかし公共工事による景気対策では、将来的に行うべき必要性のある事業を前倒しすることが重要で、地中埋設化などの優先順位は、頗る低い対策です。財源に余裕があれば、見栄えと効率化の観点から地中埋設化を行っても良いのでしょう。ただ川崎市で水道管が破裂したように、電線やガス管などを一体埋設すると、一部の腐食、漏洩が他に影響する可能性も出てきます。今やるべき対策か?は精査する必要があります。
私は亀井氏を?古い政治家?としていますが、見栄えと規模を誇る政治は、もう通用しないのです。小泉元首相も同様の手法で、国民支持を得ましたが、結果は今の通りに不平不満が溜まっています。この手法では霞ヶ関ロジックを見抜けない。官僚の巧みな戦略に掛かり、政治家が自己満足している間に、国民が困窮し、声を上げないと対策が打たれないことになってしまうのです。

今回の2次補正が規模を誇り、内容が薄いものであれば、国家の危機に直面します。来年度の国債発行枠が44兆円、といった言葉も独り歩きしていますが、埋蔵金も無限でない以上、税収規模に見合う予算措置としなければならない時期が、遠からずやって来ます。
大正期から活躍した長谷川如是関は「生活事実としての国家をありのままに認識」することを命題としました。歳入・歳出を計画的に行うことは、生活事実を認識する第一歩であり、身の丈を超えた分は、いずれ自らの負担となるのです。これまでのように見通しも示さず、バラマキ型の景気対策を打つのではなく、いつから景気を上向かせ、財政健全化を進めるのかを計画として打ち出すことが、いずれ必要となってくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2009年12月01日

日銀の臨時会合について

日銀が臨時金融政策決定会合を開きました。決まった事項は、国債・社債を担保に固定金利0.1%で、期間3ヶ月で供給するというもの。毎週8千億円、総額10兆円の対策です。効果は現在3ヶ月物金利で0.3%程度、それを低下させることと、当面の低金利維持を市場に伝播する意味合いがあります。
日中は期待感が広がったものの、発表後は失望が漂いました。まず前回の会合で日銀は景気判断を上方修正、CP買い切りを年内で打ち切るなど、出口戦略に舵を切っていました。昨日やっとデフレを認め、翌日には広義の量的緩和に踏み切るなど、これは日銀にとって失敗、『恥』以外の何者でもありません。日銀プロパーの白川総裁が、日銀という看板に泥を塗った形となります。

しかも前場終了時に開催の発表があり、株は300円近く、為替は1円超、債券の長期金利は1.2%を切ってきました。日銀が国債買い切りの増額、時間軸政策を導入、当座預金残高の誘導目標発表など、目玉政策を盛り込む期待が膨らみ、荒っぽい値動きを仕掛ける、邦銀系の動きがあったと見られます。しかし効果が低そうな今回の発表で、仕掛けも失敗に終わる形となりました。
現在、金融機関は資金繰りに窮す状況ではありません。日銀はドバイショックの拡大で、信用市場が動揺するシナリオを警戒した印象が強く、一旦各行に資金を積み増すものの、落ち着けばすぐにでも平時の対応に戻りたい、とする意向が透けて見えます。しかし金融機関は資金の使途に困窮しておらず、必要性がなければ資金供給にも応じず、効果も限定的に終わるのでしょう。

明日の鳩山総理との会談、追加景気対策発表と歩調を合わせる必要があった。かつ今回の景気後退の責を日銀に押し付けられ、今後の政策が縛られないよう、2週間後の会合まで待てずに臨時開催となった。そのため非常に中途半端な内容に留まった、というのが今回の発表です。
このため、仕掛けに失敗した層が今後、どう動くかによっては市場の変動要因になります。メジャーSQ、年末のお化粧買いなど、思惑相場に陥り易い12月だけに、波乱要因がまた一つ増えた印象です。マインド面の向上がそれほど期待できない対策だけに、市場の効果よりも「日銀が恥も外聞もかなぐり捨てた」という面を、好感するしかないような状況です。
問題は日銀が今回の対策が第一弾で、二弾、三弾と打ち出せるのか?に掛かっていると云えるのでしょう。ただ白川総裁の決意が、それほど強く窺えなかった分、日銀の態度として打ち止め、が意識されることが日本市場の最大の懸念となってくるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:18|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治