2010年05月

2010年05月31日

明日、政局は動くのか?

俄かに鳩山首相の辞任論が噴出しています。退陣にならないのは、会期末まで2週間となった国会で、仮に総辞職となれば重要法案が全て止まります。有りうるのは鳩山首相のみ辞任、他の閣僚は留任という形しかありません。これは党幹部も同様であり、体制変更は選挙目前で起こり難いのです。しかし現役閣僚から党首が出ると、消費者担当相と国交副大臣含め、政権も3人の欠員となるので補充が必要です。郵政担当の総務や財務閣僚が総裁になると、重要法案の審議に影響するので、このタイミングで党首選びをすると条件が限られることになり、非常に困難さを極めます。
恐らく一部で出た政権支持率20%割れを、参院側が重視した結果なのでしょう。しかし参院選日程を動かすならまだしも、この時期の党首交代はやはり厳しいと言わざるを得ません。明日、政局が動くともされますが、結果如何では参院選は大荒れ、その後の政局も読み難くなりそうです。

個人的には参院選後に鳩山政権は総辞職、と見ていましたが、この段階であえて提案できることがあるとすれば、外務、防衛の官僚の数名を、普天間問題で首相の指示に従わず、独自路線をとった件で更迭するという手があります。閣僚が人事権を行使して、統制のあり方を示してから辞める。こうした事例を刻み、後人に引き継げばその後立ち上がる政権の運営が、楽になるはずです。
これは自民党政権で出来ず、鳩山政権で出来ていることから可能な手です。何が出来ているか?それは『謝罪』です。つまり鳩山政権では、辺野古決着を謝罪しており、悪いこととの認識があります。これまで政権が罪を認めると、閣僚が辞任して終わり。つまり情報リークによる混乱や、サボタージュによる遅滞も、官僚側の責任論に置き換えられることはありませんでした。民主党政権では官僚も責任が及ぶ。それを示せば不作為の歯止めにはなります。

普天間問題の混乱について、毎日に経緯が詳しいですが、鳩山氏側近が渡米した際、掴んだ感触では米国が軟化して妥協すると読んでいたところ、その見通しが甘かったこと。腹案の件も、徳之島の名が先にメディアに流れ、腹案になり得なかったこと。米国は妥協しない、地元調整もついていない、外務・防衛両省は鳩山氏の意向を無視して独自に沖縄県内移設で動いていた、と気付いた段階では取り返しがつかなかったことが語られています。鳩山政権が戦略上で致命的ミスを犯したのは、感触だけで動き出した見通しの甘さ、根回しの悪さということになります。ただその過程で、責任ある立場で不作為を示した人間には、何らかの処罰が必要となってくるのです。
日本では目の前で起きる事象より、背後に流れるドラマ性に、より感化され易い面があります。謝罪が軽く聞こえるのは、一所懸命努力した跡が見られない、そこに共感できるものがないからでしょう。ただ鳩山氏が辞任しても、小沢氏は辞任しないどころか、そのまま党首になる可能性がある。この事態を米国を初め、この件に関わった人間たちが、一様にどう見るかは重要です。このタイミングで動き出した政局、小沢氏がギリギリまで待って、狙って動き出したのだとすれば、やや難局になるという面で明日以降の動きは、より注視していかなければいけないのでしょうね。

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2010年05月30日

社民党の政権離脱

先週、プロ野球・ヤクルトスワローズの高田監督が13勝31敗1分の責任をとり、休養しました。1962年南海ホークスの鶴岡監督が「指揮官の悪い部隊は全滅する」といって休養し、その後チームは快進撃しています。野球では往々にして監督が休養すると、その後チームは勝ち進みます。
これは選手のリフレッシュの意味があり、成績が伴わず監督が休養するので、普通の成績に戻るだけで勢いがつく。監督は寝ていた方がいい、という意見もありますが、基本的に税法上個人事業主であり、チームとは契約しているだけの選手に監督(マネージメント)が必要か?という問題もあります。ただ監督の休養がチームに好影響をもたらす、ということは重要な示唆を与えます。

社民党が政権離脱です。選挙協力に関しては検討中、参院選まで2ヶ月を切っており、すでに動いている選挙区、候補者を含めて混乱を回避したい意向です。福島氏は女を上げたと考えているのでしょうが、沖縄県外移設が社民党の党是であれば、本来その時点で閣僚辞任と政権離脱を発表すべきでした。鳩山氏を二枚舌と表現しましたが、社民を切るのは沖縄を切ること、と辞任のカードでは自分も二枚腰を使ったことになり、他者に責任をなすりつける悪い癖が出た形です。
社民党も離脱の原因を「党首が罷免された」こととしており、党是に反したことではない、という曖昧なものです。一つはっきりしたことは、これで仮に数合わせとしても、今後社民党が政権政党に組み込まれる目はなくなりました。連立合意で曖昧決着としたツケを、相手に責任を押し付けて終わり、自己主張のみという政治決着は後味が悪く、連立相手に相応しくないと判断されるからです。

小沢氏が福島氏を持ち上げ「筋が通っている」としたのも、選挙協力を考えてのことです。これを本気で問題視すれば、鳩山下ろしになりますが、外交や国会日程を見ても党首を変える時間はない。また誰がなっても、参院選に効果あるとは思えません。それより参院選は鳩山氏で乗り切り、連立の枠組み合意時の段取りで、鳩山氏の去就は決まってきそうです。
しかし民主党では、今回の一件で大きな懸念が浮かんでいます。それは官僚の統制が出来ているか?ということです。メディアがこれを報じないのは、外務官僚からのリークで記事が書けており、官僚叩きに繋がる内容を控えているためです。しかし明らかに民主党では、官僚の意向に沿わない方向に政権が向かうと、リークやサボタージュで政権が行き詰る傾向が見えています。

つまり公務員制度改革で後退した結果、事業仕分けを初めとする行政のムダ抽出に関し、実効性が問われることになるのです。あらゆる事業、予算でも参院選まで行政改革の結果は出ない、しかし結果に対して疑問だけが付き纏う、という形になれば投票結果にも効いて来るでしょう。指揮官の悪い部隊は全滅する、これは個人事業主である政治家ではなく、サラリーマン化し、国家を動かすのは自分たちだと誤って考えている官僚に対して、指揮能力をどう発揮するかの問題であり、それが出来なければいつか責任をとらされる日が来る、ということなのでしょうね。

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2010年05月29日

経済の話、欧州金融機関とCP市場

iPadに各店舗で行列とメディアも盛んに報じましたが、売れ残りが出たようです。平日ですし、転売目的とサクラを除けば並ばずとも買えた、といったところでしょう。電子書籍はコンテンツが出揃わず、Flashも使えない。今後アンドロイド端末も出るので、慌てて買わずに様子見を決め込んだ、という面もあるでしょう。しかもノートPC市場を食い合う側面があるので、買替え需要は取り込めますが、ネットブックが普及している日本では、急速に市場を席巻できる段階にはありません。それでも米国発の魅力的な製品を、煽動でも何でもして売り込みたい、市場活性化に繋げたいというのが、メディア側の一致した見解でもあるのでしょうね。

スペインの長期国債格付けを、フィッチが最上級AAAから一段階下げてAA+としたことで、世界の市場は弱含みました。緊縮財政が景気回復を遅らせる、というのが理由で「安定的」は維持しています。こうした格下げは今後も散発的に起き、市場を弱気に傾かせます。5月末のドレッシングを意識し、切り返しの動きも見せた証券市場ですが、こうした弱気を意識し易い傾向は続くのでしょう。
現状、気になる動きがCP市場に出て来ています。欧州系金融機関も資金調達するCP市場で、スプレッドが拡大して資金繰りが悪化しているというもの。つまり南欧諸国の国債がデフォルトする懸念があり、金融機関が痛手を被ることを、CP市場が先取りして動いていることになります。ここに金融規制が重なり、より流動性が高く安全な資産保有が求められ、CP市場に手が出ない状況を生み出しています。CP市場の縮小は長期で見れば07年に始まりますが、経済危機の前兆との見方が強まっています。

更に、最近の米株市場は引け間際30分で大商い、上下の値幅を大きくします。ファンド勢が順張り、という見方もありますが、大事なことは時価総額最大の米株市場を、ファンド勢が動かせるほどに資金が余っている現状です。一方で資金不足に悩む金融機関、という色分けがされたまま、経済が均衡成長できるのか?これが今後、問題視されることになるのかもしれません。
弱肉強食、金融機関の淘汰が今後進むのかもしれません。欧州では、銀行特別課税をかけ、破綻した金融機関の整理としての基金を積む計画です。但し米国では地銀破綻が続いており、昨年で預金保険は枯渇、3年の前払いを要請して賄っているのが現状です。課税額が増えれば健全な金融機関の収益を悪化させ、不足すれば破綻時の処理に不安を残します。逆に、今回の動きはすでに破綻する、という前提に立って成立を急いでいるとしか思えず、逆にそれが不安を高めてしまっています。
日本の株式市場では、6月メジャーSQを控えますが、年金の下支えだけでは厳しいと言わざるを得ません。9千円は底固い、が合言葉のようになりつつありますが、欧州金融機関の不安が顕在化すれば、意外とあっさり抜いてくる可能性もあります。背後で起きている不穏な動き、CP市場の動向なども含めて、動向を見極めていかなければいけないのでしょうね。

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2010年05月28日

雑感。日米合意で辺野古を明記

日米両政府は外務・防衛閣僚(2+2)の共同文書を発表しました。普天間飛行場の移設先を「辺野古崎地区及び隣接する水域」と明記。8月末までに工法含めて検討を完了。米軍訓練は県外移転を拡充、移設先は徳之島やグアム、日本の自衛隊基地を検討とされています。
辺野古移設が明記されたことで福島消費者担当相は閣議決定を拒否し、罷免されました。社民は連立離脱を示唆していますが、頑なな福島氏に対し、鳩山政権も小手先の細工は諦めたような閣議文書です。社民は30日に連立残留か、離脱かを判断するとしていますが、若干離脱側が有利と見られます。ただし党を割る可能性や福島党首を更迭する案など、幾つかの選択肢が考えられます。

少し雑感的にこの問題を捉えてみたいと思います。この動きで一番切歯扼腕したのはソフトバンク・孫社長でしょう。せっかくのiPad販売が、この記事でプライムタイムを独占されます。また郵政見直し法案は審議1日で衆院通過、これも扱い的には小さくなり、亀井氏はシメシメです。
最もホッとしたのは外務省。昨年12月、藤崎駐米大使が米国務省に呼び出された、と大騒ぎし、米国は怒っているとの演出までしました。ぶら下がりを拒否するほどのメディア嫌いが、わざわざ連絡して国務省に入る場面まで撮影させ、その前でインタビューも受けるという徹底ぶり。しかし米国務省は呼び出しを否定、外務省の捏造が明らかにされています。ただこうした動きを通し、外務省は鳩山政権が打ち出す現行案見直しに、歯止めをかけたかったことが窺えます。省庁特有の一度決定したことを覆さない、という流れに岡田外相も取り込まれ、一貫して現行案を主張してきました。

次に胸を撫で下ろすのは財界です。米国の機嫌を損ねるな、とメディアを使って国家間合意を変えるのか?とキャンペーンを打つ。政権交代があれば、当然政策や主張が異なるため合意の見直しなど頻繁に起きます。事は安全保障全般ではなく、基地移設先なので変更も可能なはずでした。
ここにトヨタの事情が重なります。米電気自動車(EV)メーカー・テスラ・モーターズに出資しました。加州のNUMMI跡地を製造拠点にする意向です。EV技術を…ともされますが、本音は資金繰りに窮していたテスラの救済です。そのことにより、相次ぐリコールで米側にかった怒りを緩和する狙いであり、トヨタが米側の圧力に屈した結果です。これを米側の戦略と見ることも可能ですが、財界に与えた影響は大きく、トヨタを含めて米側の意向を重視する姿勢に傾かせたのでしょう。

情報リーク、という話もあったようですが、鳩山政権は敵だらけの状況に、自ら身を曝してしまっています。政治主導は、首相主導と必ずしもイコールではありませんが、問題が紛糾すると首相の指導力を問われます。むしろ鳩山氏は指導力を期待された首相ではないため、閣僚が官僚をコントロールし、政治が求める合意を得なければいけませんが、それが出来ていない。昨日は意見集約型としましたが、まず手足となるべき官僚の意見を差配できる能力が、各閣僚に問われているのかもしれませんね。

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2010年05月27日

普天間問題に関する知事会について

普天間に関連し、全国知事会が開催されました。18府県の知事が欠席ということと併せ、会議の中身が鳩山政権の陥ったジレンマ、失敗の経緯を垣間見せ、日本の抱える問題の本質を明らかにします。鳩山首相は冒頭、概略ですが「安全保障を認識し、訓練移転の可能性を各知事に提案して欲しい」と述べています。つまり鳩山政権は意見集約型、立場の違う人間にも現状認識を一にし、より良い提案を求める形で議論を進めようとします。
しかし米国は頑なに辺野古に拘り、以前米側と調整したことのある外務、防衛省もこぞって辺野古しか有り得ない、という結論に至る。この段階で意見集約型の調整が崩れたことを意味します。そこで地元推進派も含め、意見の上がった徳之島案を推した、ということなのでしょう。

しかし高橋北海道知事「知事からは無理」、森田千葉県知事「火の粉が分散」というのが知事の本音。有権者に説明が必要な知事に、主体的に悪役を演じることは不可能であり、知事会全体が沖縄に配慮して言葉を選びながら、拒否の姿勢を滲ませます。松沢神奈川県知事「国の安全保障は?」、石原都知事「米軍が安保履行するのか?」は潜在的に、米軍と自衛隊の姿勢を問題にします。つまり日本国内であっても、省庁間でも現状認識は一致しない、という事態が露呈しているのです。
更に湯崎広島県知事「米軍訓練が安全・安心に対応するのか?」、広瀬大分県知事「米軍兵士の不祥事は?」は、これまで地元合意を無視して訓練を実施してきた米軍、兵士の質を問題にします。米軍が国を守るに足るか、仮に米軍に任せるとしても、平時の不安が脅かされては意味がありません。戦時を議論する以前の問題、とした提案があるのも、意見集約型で結論を出すには不利です。

つまりこの国は、安全保障さえ国の方針が一枚岩となっていないのに、意見を集約して結論を得ようとした。ここに初めから無理があります。橋下大阪府知事「協力する」は、安全保障と応分の負担を取り入れた考えですが、これで都道府県をまとめ切れる首長は、恐らく橋下氏一人です。首長個人の意見でさえ、民主主義ではかき消されてしまう、その意見を幾ら聞いても百家争鳴で落ち着き場所を失います。それが迷走とされる今回の取りまとめだったのでしょう。
今回の知事会への要請は、為にするものです。明日の日米合意、その後のロードマップに備えて形をつけたものなのでしょう。しかし外務、防衛の抵抗やリーク等があれば、集約型でこの問題に決着をつけることは不可能です。機械的に1年おきに持ち回りで関東、関西など地域毎に訓練を行う、等の大胆な提案を行い、知事会にブラッシュアップさせるなどが必要なのでしょう。
しかし例えば日米地位協定、訓練のあり方、思いやり予算などの、見直しすべき日本から米国へ提案できる数々の材料が、未だに議論の俎上に乗っていません。そこに手が入り、米側の同意を求める汗をどれだけかいたのか?日米の今後の関係においては、意見集約型ではなく突破力で物事を決めていかないと、後々もこの問題では難しい局面を迎えることになるのでしょうね。

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2010年05月26日

北朝鮮が韓国との断絶を発表

社民党・福島党首が沖縄訪問、普天間基地の辺野古移設が日米合意、閣議決定に明記されれば、閣議に署名しない意向を示しました。一方で、来月3日の代表者会議まで連立離脱の判断は持ち越し、それまで政権に留まる意向のようです。鳩山氏は連立維持の方向ですが、閣僚の更迭も可能であり、その場合に社民党は閣外協力という形になるか、連立離脱の判断を改めて問われます。
民主党も社民300万票と云われる、社民党議員のいない選挙区での協力を得たい方向です。また現状、社民がいなくても参院過半数は維持できますが、選挙後の情勢は不透明です。日米合意を優先するなら、社民に閣外協力を約束させる、等の動きは出てくるのかもしれません。

韓国哨戒艦沈没事件で、北朝鮮は一切の関係断絶を発表。南北の連絡手段である電話回線も遮断、開城工業地帯の事務所も閉鎖、韓国側を追放を発表しており、通路も封鎖される恐れがある。気になるのは、北朝鮮が黄海付近に独自で設定している境界線を侵犯した際、軍事措置を講じるとしていることです。北朝鮮がこの海上境界線の存在に強い言及をし、日本海に面した基地から、潜水艦4艦を軍事作戦で動かしたことは、ある示唆を与えている可能性があります。
北朝鮮が軍事的緊張を高めても、今回諸外国が支援策を講じる可能性は皆無です。なぜなら、詳細な検証で韓国側が休戦協定違反、ということを明らかにしているためです。下手をすれば賠償、屈辱的な条件を呑まなければ、新たな支援は得られません。一方、米国が今の段階で米朝協議に応じる可能性も低く、今回の軍事的緊張が日米韓向けでない、ということをこれらは示します。

先の金正日総書記の訪中、健康不安が囁かれる中、無理を押して訪中を果たしたのは世襲の承認があったとの見方があります。しかし金日成→金正日への世襲の際も、中国は難色を示しており、今回は更にその傾向が強まっているはずです。中国共産党は党支配、個人崇拝と世襲を繰り返す北朝鮮とは異なります。北朝鮮が中国にとっても扱い難いのは、独裁政権ゆえの問題が強いものです。
恐らく、北朝鮮の動きの背景には中国に向けて、世襲承認があるのでしょう。そうなると、今回は軍事衝突の可能性が出てきます。韓国、北朝鮮とも戦争はしたくない。ただニアミスによる小競り合い程度の小戦闘を、東シナ海で演じるのではないかと見ています。つまり東シナ海での緊張は中国も望まない、その海域で戦闘行為があれば中国との交渉の余地も出てくるのです。
あくまで推測ですが、今回の瀬戸際外交は中国向けなのかもしれません。しかし人民解放軍が国境付近に展開し、圧力をかけた場合どうなるか?そこに一抹の不安を残します。米国と異なり、瀬戸際が通用する相手かどうか、それ次第で北朝鮮の行動も決まるのかもしれません。どちらにしろ、権力の継承に向けた動きの渦中にあり、北朝鮮にしろ引けない、突っ張りきらねばならない事情が、今回の強い反発には含まれているのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 アジア | 政治

2010年05月25日

経済の話。市場動向について

事業仕分け第二弾の後半戦が終了しました。未だにパフォーマンス、議論が拙速、と批判をする人もいますが、これは良い制度です。ただ仕分け内容が今後、反映されるかどうかがパフォーマンスに留まるか、実質的なムダの削減や国や地方行政の体質改善になるかどうか、を決めます。
26日から各府省で、予算執行を検証する『行政事業レビュー』を行うと発表されました。予算執行にメスが入れば独立行政法人、公益法人に跨る各府省全体の資金の流れが審らかにされます。廃止とされた事業に予算をつけようとすれば、それを糾弾できる。そうして行政のムダ削減に寄与できるか、その結果はすぐ来年度予算の概算要求に現れてきます。それを見て、日本が財政健全化スキームに乗れるか?これまでのことがパフォーマンスに終わるか?それが決まるのでしょうね。

今日の日経平均は大きく下げ、9500円を割りました。きっかけは、北朝鮮の暴発懸念と、スペインが貯蓄銀行(カハ)のカハスールを管理下に置いたことです。カハスールは不動産関連の不良債権があり、他行との合併交渉が破談、国の救済は已む無き措置ですが、これを受けて市場は欧州金融不安を改めて意識した恰好です。欧州各国が続々と緊縮財政策を発表する中、銀行の不良債権処理を国が抱えれば、国家債務は益々膨らみます。それが危機の連鎖を予感させました。
少し先を見れば、現在の弱気相場が7月まで続くと、4-6月期の企業業績に響きます。今はあらゆる市場が一斉に弱含み、国債に買いが集まる異常相場です。これは運用で補えない、つまり市場が悪化すると、金融機関に直接影響するものです。そうなると不良債権処理が遅れ、貸し倒れ引当金の取り崩しで好業績を演出してきた、各金融機関を直撃する。それが7月半ばから現れてきます。

しかも、先進国ではデフレ懸念に陥っています。世界全体で時価総額が減少、これは資産循環の効果を剥落させ、インフレによる投資促進の流れを断ち切ります。今回が調整局面で終わるかは、弱気局面の継続次第であり、すぐ切り返すという言葉は懐疑的に聞くべきです。
日経平均の9500割れ、リンク債のノックイン価格、投信のリバランス等の問題も語られますが、下げ相場で買い支えた層が売り崩される、という今は非常に悪い展開が起き始めています。水準を云々するのは危険ですが、昨年3月に7千円で切り替えした相場が、11300円で跳ね返されたとすると、2分の1押しに近付いています。しかも1年と少し続いた上昇相場なので、調整が深まれば半年程度は続きます。その間、悪い状況がドミノ倒しに起きる可能性を排除できない、という意味ではリーマンショックを脱し切れていない、脆弱な相場環境が露呈するということになるのでしょう。
更に、ここで米地方財政が破綻すれば、まさに危機です。しかもファンダメンタルズを悪化させ、買いの動意もつけ難くなる。景気が底抜けすれば、2番底どころではなく、国家破綻が頻出するでしょう。緊縮財政と低消費と金融破綻と、3重苦に陥れば最早、危機では済まなくなります。相場下落が世界破綻に直結しないよう、世界全体での対策が必要な段階になってきた、と云えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:35|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2010年05月24日

韓国が対北朝鮮への対応を発表

米中戦略・経済対話が開催されています。人民元切り上げに対し、外圧を避けるという配慮を見せる米国にとっても、そろそろ形が欲しいところ。一方で中国も、ユーロ安が進むことで欧州への輸出が、かなり苦しい立場に陥っており、固定相場崩しに躊躇する姿勢を示しています。
その他、中国政府の調達物資で内製品を優先する政策やプログラム開示義務化政策、対北朝鮮、イランを初めとする外交政策が今回の議題です。高成長を続ける中国に配慮し続けた結果、米国が握ったカードは多く、改善に向けた努力は中国側に多いといえます。逆に今後、中国側が改善しなければ、米国内の対中強硬論者の勢いが強まり、弥が上にも圧力が高まります。景気回復に一巡感が見られ、調整局面入りする中で不動産投資や、人民元切り上げを議論せざるを得ない。中国にとっても、北朝鮮が悪いタイミングで動いたことなど、今後正念場が訪れることになるのでしょうね。

一方で、対北朝鮮への対応を発表した韓国も、難しい状況を迎えています。これは軍事的挑発で、今後の応接次第では韓国も自衛権の発動と示唆し、宣伝放送の再開と米韓合同訓練を発表しています。一方で開城、金剛山の韓国からの渡航は認め、対北支援事業は凍結するものの、経済面に配慮せざるを得ない姿勢を示しました。しかしウォン安、海外からの投資資金の引上げが起きており、影響の長期化によっては、経済面への打撃を覚悟しなければならない状況です。
韓国は日本より外需依存の強い国。これまでウォン安誘導を行っており、それ自体は輸出産業に有利ですが、投資資金の引上げは苦しいところです。国内を見ても、北朝鮮との交戦を望まない声が高く、これも長い太陽政策の間、国内に蔓延した統一の機運と、輸出産業に従事する人間が多く、対外的な不安感を与えることが、産業全体に与える悪影響に配慮したものともなっています。

今回の件で、日本が突出した立場をとる必要はありません。現状、日本の打てる手も限られており、また日本自身が今回の事件で、被害を受けた訳ではない為です。米国でも、再びテロ支援国家に再指定するかどうか、議論はされるでしょうが、日本はそれを見守れば十分です。
ただ現状、支持率低下を対外的な強硬路線で食い止めたい、という意図が働き易い環境です。また左派とも見られがちな民主党が、弱腰との批判や社民党への配慮、といった声に反発するためにも、強気な姿勢を打ち出し易い面もあります。しかし外交上、有力な案を有力なタイミングで、ということからが重要。韓国が強硬路線に二の足を踏む中、日本が孤立化する恐れもあります。
北朝鮮も今回、強い反発を見せるのは危機感が高いためなのでしょう。韓国が完全に経済封鎖をすれば、北朝鮮にも様々な悪影響がある。緊張の高まりは軍事費を増大させ、経済破綻を招きかねない。だから反発せねばならない、という事情です。ただ現状、北朝鮮に向けて一押しをするのは韓国の役割です。日本は後方支援、変化に即応する態度でいる方が無難で、間違いの少ない戦略といえるのでしょうね。

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2010年05月23日

鳩山首相の辺野古移設の言及

沖縄訪問した鳩山首相が、正式に米軍普天間飛行場の、辺野古沿岸への移設を言及しました。仲井真沖縄県知事「極めて厳しい」としながら、話し合いの継続は示唆、稲嶺名護市長は「断固反対」、連立を組む社民党も強く反発しています。鳩山氏は「断腸の思い」と沖縄側に陳謝しており、訓練水域の返還に取り組む姿勢を示し、5月で全てが決着ではないとしています。

米国はこの問題を鳩山政権の試金石とし、米メディアを通じてネガティブ・キャンペーンを展開。凡そ大国らしからぬ表現まで用い、鳩山氏を酷評しました。オバマ政権も地方予備選で有力議員が敗退するなど、中間選挙は厳しいと予想されます。日本の我儘を聞く余裕はないという訳です。米国は9月に会計年度の切り替えがきます。オバマ政権にとっても、予算案を計上し、それを決着させなければ政権は厳しい。5月末の合意は何としても必須だったことになります。
ただどうやら合意文書を作っても、工法は先送り、V字滑走路かどうかも分かりません。埋立は知事、市長の合意がなければ出来ない。無理やり特例を認める法律を作れば、それこそ政権は保てないでしょう。どちらにしても、今回の合意は日米とも、問題の先送りに過ぎません。
再度のヤマ場は10月に来ると考えます。予算を通した後、中間選挙までの間は米国も日本の離反は避けたい。日本のカードが出せるのはその時です。ただ日本が出す付随条件次第で、11月以降の合意内容が変化する可能性も出てくるのでしょう。日米ともこのままでは事態が動かないことは分かっており、過去の合意に拘るだけ無意味。話し合う余地も出てくるのかもしれません。

もう一つ、米軍再編に欠けているのは、米訓練水域や射爆場の返還です。鳥島など、無人島であるだけに日本が禁止条約に調印した、クラスター爆弾まで使用しており、これだけでも返還を要求する内容です。この射爆場で使用されたものが、禁止条約の一部に該当するかは不明ですが、仮にそうだとすれば、不発弾の問題で安全を確認するまで上陸を許さない島になってしまいます。
個人的には、普天間飛行場の移設先は鳥島が最適だと考えます。無人島に飛行場だけ作る。陸地だけでは距離が足りませんが、浅瀬を少し埋め立てれば、飛行場として使用できるでしょう。海兵隊はローテーションで、常駐はしない部隊です。基地機能が担保され、沖縄本島との距離も近い。辺野古のキャンプ・シュワブとの関係でも、一定の理解は得られるはずです。

沖縄県外に移設することになりませんが、米軍が沖縄に拘る以上、議論の中心にくる必要があります。今のように射爆場として地形すら歪めるより、滑走路を引くことは選択肢になるでしょう。徳之島や日本全体で反対運動が起きる。在日米軍が日本に必要かどうか、今回の事態を受け、議論の俎上に乗ってくるのかもしれません。その時、必要と政府が訴え、抑止力に言及して国民を納得させるなら、それ相応の態度を示す必要が、今後の地元との交渉には必須なのでしょうね。

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2010年05月22日

日経平均の1万円割れ

今週の市場は各国で大荒れ。日経平均は1万を割れ、21日終値は9784円となりました。21日の米株市場はダウが125ドル高し、一旦歯止めが掛かったように見えます。しかしここ1週間、ダウは200日移動平均線タッチで切り返し、引け間際に買い、と下支えする勢力がおり、20日は持ち堪えられず処分売り。そこで余裕ができた買い方が21日は支えた形です。決して強い切り返しではありませんし、ダウ1万$台を挟んで、買い方と売り方が玉を撃ち合う構図となりそうです。

今週の下げの要因はドイツの空売り規制の提案です。空売り規制は米国、日本でも導入されていますが、効果のほどは定かではありません。これはリスクヘッジのための売りも規制してしまうためであり、ヘッジファンドも買うことが出来なくなり、逆に処分売りが進んでしまうためです。投資不適格となった市場が縮小し、流動性を失った市場からは益々資金が引き上げられます。市場規模の小さい欧州の一部は導入が難しく、一枚岩となれないユーロ圏の印象を強くしました。
ユーロ圏は財政規律の悪化した国に課す制裁を強化する意向です。しかし行うべきは財政と金融が分離した、ユーロのシステム不安に何らかの目処をつけることです。EU、ECBからは口先介入で安定化を促そうとする動きがありますが、最早その段階は過ぎてしまっています。

日本市場は円高が進み、日経平均が下げてもドル、ユーロ建てで見ると高い水準にあり、絶好の売り場に見えます。特に外国人投資家が6割、1万円より上に買い上げた層でもあるので、躊躇ない売り浴びせが起きています。これがヘッジファンドが6月解約するための45日ルールを過ぎても、売りが止まらない背景ですが、下落局面で10500円付近で買い支えた日本勢も、この辺りにくると売りに回っている可能性があります。年金?と見られる国内勢の買いも見られますが、相場を下支えするまでには至らず、沈静化の兆しは見えません。水準を抜いて大きく下げており、テクニカル面の下げ過ぎ感が多少出てきているのが、唯一の支えとなってくるのかもしれません。
しかし今回は、最も恐れていた事態。景気対策を打てばソブリンリスクを拡大させ、金融政策はゼロ金利、流動性供給策にすでに手を染めており、他方でインフレ期待が高まっている。打つ手が限られる状況となっています。しかも世界各国が同一の状況であり、米国でさえその渦中にあります。色々なものが同時に弾ける、連鎖株安というより、連鎖景気破綻の様相を強くするものです。

日銀が新たな流動性供給策、低利で金融機関に貸し付ける、という的外れな対策を発表しました。こうした見せ掛けの対策がまかり通り、各国の中央銀行が景気対策と称して、流動性供給策でお茶を濁したことが今回の危機を招いています。それと同時にシステム再構築を行い、景気の失速を防ぐ手立てを打てなかったのは、危機が過ぎ去ると安心してしまう、人間の心理によるものなのでしょう。そして危機と同時にシステム再構築せざるを得なくなった、今がそういう状況である以上、打てる手は限られてくるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:33|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2010年05月21日

小沢氏不起訴と赤松農水相

小沢民主党幹事長に対し、検察が不起訴の判断を下しました。判断が早かったと批判する向きもありますが、裏を返せば検察は、検察審査会で起訴相当の判断を下して欲しいのかもしれません。つまりそれは、『民意』という名の下に、取調べ段階の一部の人間の自白のみで、例え物証がなくとも容疑者を起訴して良い、というお墨付きを得られることになるからです。
昨今、検察に疑惑の目が向くのは自白偏重主義が冤罪を引き起こした、というものです。この事件は検察が自ら描く事件のシナリオをメディアに垂れ流し、それをメディアも『関係者』からの言葉として野放図に流す、という異常なものであり、最早そうでないこと、を立証するのがとても困難です。それを裁判で明らかにする、といっても事態は何も変化しないでしょう。この事件は物証がなく、起訴しても有罪は無理。しかし民意が自白のみで起訴しても良い、と容認してくれるなら、検察も痛し痒しですが、早めにそう判断してもらいたいと考える公算が高いのです。

民主党の小林議員が公選法違反と、違法献金事件の責任で辞職、と伝わったと同時に政権に打撃か、とも報じられました。ただ自民党では派閥組織が強く、派閥に担ぎ上げられた総裁という立場に、責任論が及び易い構図でした。本来は派閥の長が責任をとるべきですが、そちらより立場の弱い党総裁の方が、見栄えとしても引責で幕引きというシナリオを描き易かった、と云えます。一方、民主党は個人主義が強いので、一議員の辞職も党代表に及び難い面があります。こうしたものは、政権交代後の事情が考察されていない、と言えるのでしょう。
しかし閣僚は異なります。宮崎口蹄疫の問題では、責任論は不毛な議論なので加担する気はありません。宮崎の家畜保険衛生所が、初期の封じ込めに失敗したことは明らかで、精緻な検証を行ったところで、感染範囲の拡大の責任がどこか?ということを論じる材料にならないからです。

ただ問題は対策、対応の方であり、これに不手際があれば赤松農水相の責任論に及びます。現時点で、やたら国の対応が遅いとの論調が目立ちますが、初期の封じ込めに失敗した後の防衛線の張り方は、非常に難しい部分があります。健康な牛、豚を殺処分されることに抵抗もありますし、逆にどこまで範囲を拡げれば、完全に封じ込めが可能なのかも分かり難いためです。
責任論が不毛、としたのもこうした対策、対応の最中に余計な時間を割くことが、どれほど地域や経済にとってマイナスか?ということです。封じ込めに成功した後、総合的な検証過程で問題がある個所を見つけたのならいざ知らず、責任者の首をすげ替えて沈静化に成功した例は、まずありません。そうした論調を煽ったりすることも、また不毛な行動と呼べるのでしょう。

少し気になるのは、赤松農水相が責任回避する姿勢を鮮明にすることです。第三者の検証を受けたわけではなく、自己保身に走る姿はこれまでの政権の閣僚や、官僚と同じです。むしろこの政権は、閣僚の責任と向き合いながら、国民と対話を続ける方が違いが鮮明になりますし、政治主導がよりハッキリするでしょう。責任者が無責任な発言を繰り返す、それは国民が最も嫌気します。今は対策、対応に全力を尽くしながら、後の検証を待つ姿勢の方がよほど国民に理解され易い、と言えるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:20|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年05月20日

日本の1-3月期GDPについて

韓国海軍哨戒艦の沈没に関し、北朝鮮製魚雷による、バブルジェット効果によるものだったと発表されました。北朝鮮は反発、制裁なら全面戦争含む強硬措置を示唆しています。推測ですが、この方法なら韓国海軍に攻撃を仕掛けても証拠は残らず、問題ない。軍統率のためにも成果が欲しい。といった条件を伝えて、金総書記の了解を得た上での作戦行動だったのでしょう。
捏造、調査団を派遣、全面戦争にまで言及するほど、北朝鮮軍上層部の慌てようが見てとれます。中国からの支援を断られ、今は戦争する状態ではない。制裁が北朝鮮経済に堪える、ということも窺えます。後一押しで金体制も崩れそうですが、逆にここからの数年、後継への移譲もありそうですが、北朝鮮の崩壊まではかなり難しい道程になることを、覚悟しなければいけないのでしょうね。

日本の1-3月期GDP速報値が発表されました。実質GDPは1.2%増、年率換算で4.9%となり、若干ですが名実逆転、即ちデフレ傾向も解消されています。個人消費が0.3%増、と一見堅調なようですが、一部終了するエコポイントの駆け込み需要と、住宅版エコポイント制度により、もっと上昇する予想が意外と低く、政策効果が剥落してきている傾向も見て取れます。設備投資1.0%増、輸出6.9%増とともに堅調な伸びを示し、波及効果が見られると分析する一部の意見も見られます。
しかし昨年12月、今年3月と日銀が流動性供給策を実施しており、金融政策の効果が一定程度現れた、と見ると先行きに懸念もあります。デフレ傾向の改善も、半導体の品薄感による価格上昇が、最終製品の価格も押し上げたと見ることが可能であり、この寄与も来年辺りに剥落すると見られます。現在の設備投資も、この業界に支えられる一面があり、一巡すればその効果も剥げ落ちます。

米国では消費者物価の伸びが鈍化、景気に一巡感が出ています。そこへ来ての欧州不安、新たな対策が出るや、通貨ユーロへの介入話など、与太話に近い噂も市場に流れるほど、不透明感が強まる事態です。7500億ユーロの実施規模さえ危ぶまれるのに、それ以上金額を上積みしても意味がありません。ユーロ介入は、ECB単独では実施も難しく、各国の財務相の同意をとる必要があります。先の財務相会談でも、そうした話は聞きませんが、それが出来る環境にもないでしょう。
しかも世界の株式市場は下落傾向。資産効果で拡大した経済だけに、中国の不動産引き締めや、ゴールド、原油価格の下落も含め、市場の弱含みが直接的に景気下押しとして現れます。著名投資家は米国債売りを示唆するなど、ソブリンリスクを意識させる展開であり、経済がギリシャ不安から、一気に世界経済の仕組みに対する危機に波及する懸念があります。今、経済の目配せを怠ることは危険であり、楽観も禁物です。今回のGDP発表、堅調を確認や成長率の下駄を履いた、と喜ぶ向きもありますが、過剰流創生相場の負の側面が、間近に迫っているリスクには敏感になっておいた方がよい、局面ではあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2010年05月19日

3月期の企業業績に見えるもの

タイで混乱が拡大しています。17日の退去期限を過ぎ、調停案を飲まない反政府・タクシン派に対して、アピシット政権側が強硬路線に転じたためです。元々、政権の退陣と選挙を求める、という民主的な要求だったものが、混乱の過程で死者が出るなど、感情的対立を強めています。
今回の強制排除とデモの終結を宣言したことにより、一部が暴徒化していますが、それ以上に問題なのは、タクシン首相や今回の指導者が力を失うと同時に、反政府派が分裂、一部が先鋭化、強硬路線に転じる懼れでしょう。暴力を恐れず政権転覆を目指す。これが闇勢力と組み、テロ組織へと昇華する流れは、多くの国でも見られたことです。民主的な手順を踏んでおらず、基盤が軍というアピシット政権は、徹底的に要求を拒否したことで、今後に重い課題を背負ったのでしょうね。

東証1部に上場した企業の約60%が、2010年度決算で増益。今年のボーナスも微増という記事もあります。その中で気になるのが、新銀行東京の3月期決算で黒字化を達成できそう、というものです。本業は赤字、但し貸し倒れ引当金の戻しで、収益を確保した形となります。
大手銀の決算でも、不良債権処理費用が減少して収益が回復しています。3月期決算段階までは信用が緩んでおり、また経済指標も堅調。金融機関は保有株の回復も手伝って堅調な決算を迎えています。しかし巨額の増資を行い、財務体質が改善されたにも関わらず貸出金は減少、債券市場も短期売買が中心であり、長期投資やリスク選好姿勢は一向に見られません。即ち、新銀行東京も同様ですが、金融機関が貸し出しという本来経済の根幹に関わる部分の業務が、一向に改善しない中で何とか黒字を確保している、現在の経済の危うさが銀行決算に垣間見られるのです。

関西国際空港が黒字、という記事もあります。ただ90億円の補助金を受け、9億円の経常利益という危ういものです。一部では、民主党政権で社会主義化する、との批判も見受けられますが、公的資金が投入された企業は他にもJALなどあり、それは今後も拡大するでしょう。むしろ日本は間接金融、即ち企業は銀行からの借り入れが主であるのに、その貸し出しが増えない現状は、市場で調達する形の直接金融に移行する途上にあるのであり、それに適合できない企業は淘汰の宿命にあります。しかしインフラなどに必要な企業は存在し、それを国で支える構図は今後も増えるはずなのです。
日本は長らく社会民主主義に近い政策をとってきました。護送船団方式、メインバンクの存在、財閥系の流れなどです。それが変わり始めた、その変化の途上で世界経済の混乱が直撃する、という難しい舵取りが必要な段階が、今は日本経済に存在しているのです。銀行は貸し出し以外の収益確保を求められ、一方で銀証分離が再び議論される。企業は資金調達に市場との対話を求められ、益々コンプライアンスや経営戦略が重要となってきます。2010年の企業決算発表、見た目は良い数字が並びますが、その中身と今後を見据えると、厳しさが覗く内容でもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 企業

2010年05月18日

経済の話。欧州不安と産業構造ビジョン

財政に不安のあるギリシャに対し、EUを通じて145億、IMFを通じて55億ユーロが融資されました。ギリシャが短期の資金繰りに困ることはありませんが、当初EU域内で最大の経済大国、ドイツがギリシャ支援に後ろ向き、と捉えられていました。ですが、アジア・南米などかつてのIMF支援対象国と、EU支援に前向きな勢力との間で対立があり、支援を滞らせる恐れが出て来ています。
IMFは2500億ユーロ、EU側の要請に応じて支援額が決定されました。しかしかつての厳しい財政政策の締め付けに比べ、EUが承認したギリシャの緊縮財政策は、見劣りするものです。欧州財務相会議でも、財政運営の相互監視は提唱されても、罰則はありません。上手くいかねば支援金を引上げる、IMFの融資にはそれだけ強い意向が含まれていたのであり、今回それがないのです。

しかもECBが国債引受を表明、一方でインフレ抑制のため、ターム物預金を積み上げて流動性を吸収する策を打ち出します。このため、ギリシャは単独で債務不履行の判断が行えず、仮に実施すればECBのバランスシートを痛める。EU全体の問題に波及する形となりました。
今回の欧州不安、すでに財政・金融が分離した現在のシステム不安と語られており、逆にそこに手が充てられなければ、一旦小康状態となっても危機の火種はいつまでも燻ることになります。しかも欧州は緊縮財政と不況、という景気が下降線を辿るのに刺激策を打てない、最悪の状況を迎えつつあります。これは全世界同様であり、大規模な景気刺激策が財政不安を想起させ、ヘッジファンドの売り崩しによる狙い撃ちを喰らう、という展開が今後は予想されます。一旦、ユーロ安も落ち着いていますが、まだ先の長い問題である、ということだけは現段階でもハッキリしていますね。

経産省が産業構造ビジョンを発表しています。法人税引き下げも訴えますが、工場の海外移転を食い止めるにも、日本の問題は人件費です。また海外企業の誘致に、優遇措置を謳いますが、企業の海外流出に歯止めをかける方が先決であり、優遇措置は産業全体に必要となります。
個人金融資産の活用、という提言も貯蓄率で見れば引退世代の割合が高く、これから取り崩しが起きることは確実。長期運用に回る資産は少なくなっています。郵政改革法案の行方もありますが、世界の市場は今後ボラタイルな展開が予想され、インフレとの組み合わせや成長市場の減少など、安全運用を可能とするには高いハードルがあることも、また間違いないことです。

かつて英国やスペインは『太陽の沈まない国』と呼ばれ、栄華と隆盛を極めました。しかしその両国は今、欧州不安の波及先として警戒されるほど、危うい状態です。10年先を見据えれば、今は財政を健全化させ、次のステップに向けた仕組みを作ることを優先すべきです。しかし政治はそれを許さず、経産省の態度としても金のかかる提案ばかりです。財政出動がソブリンリスクをを助長するようになった現在、もう一度制度や仕組みで成長戦略を描くよう、これまでの焼き直しに留まらない、新たなビジョンを打ち出す必要を感じてしまいますね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2010年05月17日

5月政局は起こり得ず?

辺野古に普天間飛行場移設する案を閣議決定する際、社民・福島消費者担当相が反対する意向を示し、署名方式ではない閣内合意という形を、模索する意向を平野官房長官が示しました。これは福島氏に重大な決断を迫るものであり、政権に留まるか、離脱かを問われることになります。
参院選後の政権枠組みに対し、様々な憶測も流れます。現在、著名人以上に新党乱立状態ですが、争点はシンプルです。即ち、民主党対反小沢。どの党も小沢民主党幹事長と距離を置くことで支持を得たいと考えており、アジェンダ(政策課題)よりも、こちらの主張の方が目立つ展開です。これも、メディアから目の敵にされる小沢氏に近付けば、自身も批判される懸念を払拭できないからです。しかしこの動き、実は小沢氏にとって願ったりの展開、と見ることが可能です。

メディアは5月政局を煽ってきましたが、最近その動きが鎮静化、普天間移設が先送りされようと、小沢氏の政治資金規正法違反事件がどう動こうと、政局にはならないとの見方が大勢です。通常メディアがこれだけ煽れば、党内でバタバタして政局になる、というのが一般の読みです。しかし民主党内は静か、若干の反発はあっても、政局になりそうな雰囲気はありません。
原因は6月の外交日程や、通常国会後の参院選を控えて時間的猶予がない、とするのが一般的ですが、参院選に仮に敗北しても、小鳩体制は意外と強固ではないか?との読みも可能です。それが政権の枠組みを変えることであり、その際力を発揮、期待されるのは小沢氏だからです。

既存の枠組みを切る際も、新たな枠組みを作る際も、小沢氏の力なくしては有り得ません。メディアは一貫して、小沢氏引き摺り下ろしのキャンペーンを展開してきましたが、実は益々小沢氏にとって有利な状況が構築されつつある、といえるのでしょう。自民党を50年支えた強固な支持基盤を作り、後は連立などで議席を買えば、政権維持は可能、という手法に小沢氏は最も適任なのです。
悪い例え話ですが、宮崎の口蹄病の問題にしても、農協がもっと民主党政権と風通しをよくしておけば…。との意見が農協内で出れば、新たな支持層になることも想定できます。小沢氏の描く選挙戦術と、政局とは、メディアの思惑さえ逆手にとる手法であるのかもしれません。

しかも普天間問題で、沖縄県民が鳩山政権にそれほど批判的ではない、という事情も重なります。メディアが煽り、地元が一体となって政権に反発…これが風を起こす要件ですが、5月に拘らなくても沖縄の基地負担を軽減してくれれば…という地元の声に、メディアも力をもち得ていません。
官房機密費が政治評論家に流れていた問題や、メディアの態度に懐疑的な見方も増えた、ということも影響しているでしょう。煽動が成功しているのは、現状では政権支持率ですが、これが1桁になっても、小沢氏は動じないのかもしれません。今日の定例記者会見で見せた余裕、むしろ政局は参院選後の政権枠組み、というところに移りつつあることを示すのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年05月16日

軍事力と経済力

日中外相会談が行われました。中国艦船の妨害、嫌がらせ行為に対して岡田外相が抗議したところ、中国側からあしらわれたとされています。しかしこれを、普天間問題などで日米関係が弱体化し、抑止力が低下したため。とするものがありますが、仮にそうだとすると、中国がこの場面で殊更日中関係を緊迫させ、日米関係の重要性を印象づけようとする意図を読み誤らせます。
米中戦略対話もありますが、両国が危惧するのは日本が米国の傘の下を離れ、独自で軍事力をつけることです。国情を除けば経済力、技術力で両国と比肩できる軍事力を持ち得る、世界で唯一の大国。米中接近という事実が、日本が独立路線を歩むことに対する両国の協力を生みます。

カルタゴの話をします。地中海派遣を争い、大国ローマと戦った国。アルプス越えをしてイタリア半島に攻め込んだハンニバル将軍が有名ですが、この名はキリスト教の忌み嫌うバールを含み(語源的には『バールの恵み』)、西洋史観では悪役です。しかし辿った歴史は意味深いものです。
長き戦争に敗北したカルタゴは、ローマから多額の戦費賠償と軍事力の保有を禁じられます。カルタゴは軍隊を放棄、地中海貿易に専念し、経済力をつけて繰り上げ償還を果たします。しかしこれがローマにカルタゴを危険視させることに繋がり、再び賠償金を要求、兵器を全て提出させます。しかも港湾都市を放棄し、内陸部への都市の移転を要求。カルタゴはこれに反発し、3年間の篭城戦の後に敗北。生き残ったカルタゴ市民は捕虜となり、都市には草木が生えないよう塩が巻かれ、神官が乗り込んで呪いまでかけ、徹底的に破壊の限りを尽くされたという歴史があります。

経済力は時に、軍事力と同じ脅威を与えます。北朝鮮も動きが活発のようですが、この時期は最も食糧に困るので、5〜7月の期間は戦争を構えるのも難しい。食糧危機のある国は、前線の兵士に食糧を送ることが難しく、士気に影響することが想定できます。北朝鮮が戦争できる条件は、闇討ち以外は中国支援があった時ですが、今は東アジアで軍事的緊張が高まると、一見堅調な中国経済に影響してきます。戦費を融資して暴利を貪れるほど、北朝鮮経済は強固ではなく、これは中国への投資引上げが活発化します。人民解放軍が出ても、北朝鮮の暴発は抑えにかかるはずであり、これも中国経済が堅調であるが故にとれる戦略、ということです。
いずれの国も、一旦現状の市場経済に組み込まれた後は、戦争も経済面で有利・不利を論じ、得があると算出したときのみ実行が可能です。人民元の上昇期待で、投資資金が集まる中国。急速にそれが引き上げられれば、すぐに危機に陥ります。単純な軍事力の緊張や、抑止を論じるより、全体の中の一端として、軍事・経済面の関係と影響を考察する必要があります。カルタゴのような非ローマ人のフェニキア系の国が、パックス・ローマーナの一翼でいられなかった原因、それは日本にも繋がります。
米国も他の各国が米と距離を持ち始め、英国の新政権とも殊更に親密さをアピールしようと懸命です。パックス・アメリカーナの日本が、カルタゴと同じ道を歩まぬよう、外交と同時に様々な展開を、今から考慮しておく必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:39|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2010年05月15日

ユーロキャリーが始まったか?

小沢民主党幹事長が、三回目の事情聴取を受けました。月内に検察が判断とも報じられますが、今のところこの事件は物証ゼロ、公判も取調べ段階の供述内容が争点となります。昨今の公判でも度々現れる、検察の作文疑惑にどう応えるか?今回の起訴判断もその辺りが考慮されるはずです。この事件はすでに心象や、供述自体が重要ではなく、物証がないまま裁判が維持できるか?が問われます。家宅捜索が行われないなら、検察は相当に自信がない、ということになるのでしょうね。

先週の世界市場は欧州不安に、一喜一憂の展開でした。欧州金融安定メカニズムによる巨額資金も、不安の沈静化に至らなかった、という評価ですが、これは逆に見ることが可能です。つまり欧州不安が高まったのではなく、ユーロ安期待が高まっているということです。
米国では1ユーロ、1ドルという言葉が実しやかに囁かれます。現在は1.23ユーロ/ドルですから、20%以上も下落すると予想されていることになります。欧州金融安定メカニズムも、国債の長期金利を低下させ、通貨安を導く施策です。このことでユーロを借りて資源国、新興国で運用するユーロキャリーが発生、通貨防衛に及ぶ各国の努力を無に帰し、ユーロ安が進み易くなるのです。

これもそれだけ世界に資金が余っている、運用に回す資金がジャブジャブ、という影響です。経済危機を迎えると、各国政府はよく通貨安に誘導して危機を脱するのですが、欧州は域内経済で輸出に強い国が限られ、通貨安が輸出競争力に直結しません。一方で米国のように、景気回復期待で貿易赤字が改善傾向にありましたが、ユーロ安でその恩恵もスポイルされ、景気悪化が進みます。
円キャリーが起こった当時は、世界経済は堅調。ドルキャリーと云われたときも、米国債の見方がマチマチで、大きな売りは目立ちませんでした。しかしユーロキャリーは3年は安定して、運用が可能と来ています。資源国、新興国が資金流入観測から、利上げ方向にあるなら、ユーロキャリーは高い収益が確保できる、安心な運用方法になる、ということになります。

ですがこの動きも、世界経済が破綻しない、という前提で成り立ちます。世界は年金や保険、ファンドが集める資金など、高い運用成績を約束した資金が跋扈しています。しかし先進国は低成長、高い運用成績を求めるなら、資源国、新興国に求めるしかない状況であり、それが更に無理をした運用をさせる原因となります。そして今はその資金がユーロ売りに向かっているのです。
ユーロキャリーは、景気回復期待を剥落させるでしょう。そしてそれは、世界経済の破綻に直結しかねません。各国の政府の対応如何では、本当の危機を迎えてしまうのでしょう。日本企業の1-3月期業績も改善傾向にありますが、ユーロ安が深刻になれば利益が吹き飛ぶ企業も増えます。為替への目配せと、輸出企業の業績が今後どうなるかは、注視していかなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:35|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 一般

2010年05月14日

雑感、公務員採用枠の半減について

B型肝炎訴訟で、国が和解に応じる方向を示しました。但し条件面は先送り。難しいのは国の不作為と、母子感染との違いの判別であり、救済範囲や賠償額など補償面の条件は、折り合いの難しい話となっています。ただ注射器の使い回しの危険性を、WHOに指摘されながら感染を拡大させた国の責任は大きく、これは年金と同じで支払う必要を原告側に証明させるのではなく、支払わなくて済むかどうかを、国が立証する形でなければ不満や問題が多く生じるものとなります。

国家公務員の一般職採用数に関し、半減目標に対して財務、法務、国交などが反対して、閣議決定が見送られています。半減とは早期退職勧奨がなくなることにより、公務員の自然減が限られ、それに伴う人員整理の意味を持ちます。ただ公務員の年齢構成バランスが崩れるという問題があり、また高齢就労が増えることにより、人件費が増えることが指摘されています。
ただ天下りシステムは独法や公法に人を送り込み、事業費として還元する。云わば隠れ人件費です。もしこれが根絶され、適正水準で業務発注ができれば、後段の問題は解消されます。問題は前段ですが、これが小さな政府、行政機関のスリム化を目指す第一歩と考えれば評価できます。今後、早期退職勧奨に変わる、企業と同様の条件をもつ転職先を斡旋しない形の希望退職制度などを作り、年金を上乗せして高齢世代を減らす、そうした運用をしていくことが肝要でしょう。

ただ新規採用を絞ったとて、公約にある公務員人件費2割減には程遠いものです。ギリシャを初めとする南欧が、財政再建策の一環として公務員給与の削減を打ち出すように、これは外部の圧力で達成するか、自助努力で達成するかの違いです。消費税を明記するかでもめていますが、財政再建とはパッケージであり、歳入と同時に歳出改革に着手しなければ、片手間で反発を受けます。
来週から始まる事業仕分けも、隠れ人件費の削減が含まれており、政府支出に関する固定費削減にどこまで踏み込むか?が求められるのです。民主党は公務員庁を新設し、公務員の定員や給与を管理する方向を模索するようですが、人事院との差や内閣人事局とのすみ分けなど、これが組織の肥大化に繋がらないか、注視する必要もあるものです。

この公務員庁は、公務員に労働基本権を付与し、労使交渉を行う窓口にする意向のようですが、現状でも人事院勧告通りに公務員給与は決められています。人事院は財政に目配せしない組織、国と公務員が労使関係に至ったとしても、赤字財政の現状で賃金交渉など機能するかは不透明です。むしろギリシャのような、ストで混乱する可能性すら予見できます。ギリシャで学ぶことは多い、それも視ずに制度を構築していけば、いずれ対岸の火事では済まない問題も、日本には出てくるのでしょうね。

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2010年05月13日

09年の日本の借金883兆円

欧州の1-3月期GDP速報値が実質で0.2%増、年率換算0.8%増となりました。先に財政悪化で付加価値税を上げていたギリシャは、財政赤字が前年比108億→63億ユーロの削減に寄与、但し実質GDPは前年同期比0.8%減、というマチマチの内容です。更に緊縮の追加政策により2%引上げ方向ですので、税収を確保するための増税が、経済全体を冷やすことになりかねない数字です。
欧州不安も小康。ただ今回の危機では金価格が高騰、史上最高値をつけ、また米市場関係者の間で、欧州を逃避したマネーが米国に流れるとの意見が大勢を占めるなど、楽観も強く残るものでした。信用リスクが起きたときは、投資資金全体が萎むので、資金移転や逃避マネーを議論できる間は、実はまだ本格的な危機ではない、ということになります。つまり今回、大きく下落したのも調整の範囲、というだけの話であり、日本では明日のマイナーSQも傾きが少なく、若干買い超と見られますが、波乱なく通過できそうな範囲にはあります。

日本では、財務省が09年度末の国の借金が約883兆円と発表されています。前年比36兆円の増加です。ただ政府短期証券など、国の借金にカウントされないものを含め、実態はもう少し多いと試算するべきです。ギリシャを他山の石とできるかは、今後の財政運営次第と言えるでしょう。
ただ財政運営全体を考えるとき、隠れ借金の存在を見逃しては、全体の判断を暗くします。例えば米国では政府系住宅金融(GSE)の2Fが、1-3月期も赤字を計上、政府支援を求めています。現在までに支援額は800億$を超え、年内に1千億$を超えると見られます。米政府は住宅市場を支えるため、無条件で3年の支援を約束していますが、未だ住宅差し押さえ、価格も回復せずにいます。いずれ2Fの抱える負債は政府債務として付け替える必要が出てくるもの、と見られています。

日本も本四連絡橋などの赤字補填に、国の税金が投入されました。民主党政権では独法改革が行われており、埋蔵金探しに躍起ですが、独法も全てが黒字経営をしている訳ではありません。中には負債を抱えた独法もあり、整理・縮減の先に負債処理が迫られる可能性もあるものです。
ギリシャ不安により、世界ではソブリンリスクが強く意識されるようになりました。菅財務相が来年度の国債発行枠を、今年度44.3兆円以下に抑えたい、と目標を出しましたが、税収もまだリーマンショックの傷が深く、来年度も増加幅は低いと見られ、仮に38兆円程度としてもまだ赤字です。特別会計の見直しも示唆せず、一般会計のみで議論しても、最早国の形として歪に過ぎます。

日本もCDSのスプレッドが中国を上回ってきており、これは世界が日本のリスクを意識し始めた、ということを意味しています。まだ低い水準であり、危機と呼ぶべきではありませんが、IMFが介入すればどうなるか?ということはギリシャ問題でも参考に出来るでしょう。財務省の改革の歩みは遅い、外部の血を入れるための政権交代が、その実を果たせなければ、結果として政権に悪い影響を与えます。普天間ばかりが取り沙汰されますが、財政の問題は日本の破綻に直結するものであり、こちらの政策で失敗することがないよう、より注意しなければいけないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2010年05月12日

参院選からネットによる情報選挙?

小沢民主党幹事長に対し、検察審査会において起訴相当の議決が出されたことで、地検特捜部が任意の事情聴取を要請しました。新証拠が出なければ、嫌疑不十分とした前回の判断を覆せない。供述で何かを得るというより、家宅捜索に向けた手掛かりを得たい、との地検の思惑でしょう。
小沢氏は政倫審の出席を匂わせていますが、検察と世論の両睨みで牽制をかける思惑です。しかし現状、世論もメディアも小沢氏が有罪になるか、議員辞職しないと納得しない、というムードが蔓延しており、政倫審だろうと裁判だろうと、結果に国民が満足することはまずありません。逆に、無罪釈明をしたり、無罪判決が出たりすると火に油、というぐらいこの問題は拗れています。原因の一端には、検察も絡んでいるのですが、検察がどういう動きを見せても、参院選に影響は出てくるのでしょう。

一方で山岡民主党国対委員長が、週刊新潮を相手にして起こした民事訴訟を、請求放棄しています。物理的余裕がない、ことを理由としていますが、確かに通常国会中の国対は忙しく、また終わってすぐに参院選公示など、多忙を極めます。ですが、一審は諦めて二審にかける、という戦略もあり、民事であり、確定して始めて事実認定されるものですから、公判を維持しても良かったはずです。これは勝てる見込みもなく、問題が長引くことを嫌っただけなのでしょうね。
参院選から政党、候補者がホームページ、ブログの更新を許可される方向になりそうです。一方でメールとツイッターは見送りです。メールは迷惑メールと同一視されたり、悪用も懸念されます。つまり成り済ましでウィルスを送り込まれたり、本人以外の支援者が、他候補を装って悪い内容のメールを送る可能性を考慮すれば、必要ないと云えます。ツイッターは行間を読む作業を省くため、短絡的で浅薄な物言いとなり、他の手法より誤解を生み易い癖をもつ伝達法です。正負両面で、風を起こし易いという点で見れば、選挙が勢いに支配され易くなることを考慮すべきです。

最終的には全面解禁が望ましいですが、規制をかければ使い難く、かけなければ悪用を招く。という点で折り合いが難しいものです。政治家のもつ資質の1つである、情報発信力ばかりが重視される、というのも些か選挙制度全体を可笑しくするものです。しかも現職の方がより有利となり、無名の候補には厳しい制度となるなど、運用まではかなり難しいハードルもあるのでしょう。例えば、ツイッターで次の演説先を呟くなどして人集めに利用するなどし、それをする人としない人で大きな差がついては、何を根拠に選択するのか、選挙自体を危うくするものとなるのでしょう。
一部で、戸別解禁を可能とする条項は、民主が公明と連立を組む布石だ、という記事もあります。ただその程度が連立の条件であるなら、随分と連立条件が軽いと云わざるを得ません。事実、近所に住む創価学会員は選挙前にしか訪ねて来ませんが、「1票を」とは云わずとも、マニュアル化された訪問を繰り返しています。今更、戸別訪問解禁程度で連立に至ることはないのでしょうね。

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2010年05月11日

雑感。著名人乱立の選挙について

トヨタの3月期決算が営業利益で1475億円の黒字となりました。北米ではゼロ金利キャンペーンやリコールで、利益率として考えれば苦戦、と見ていたのでややサプライズです。ただ原価低減や人件費削減で1兆円規模の効果があり、その背後には下請け、孫請けが相当泣いたであろうこと、リストラではない首切りが行われたことを推測すると、素直に喜べない数字です。設備が過剰なまま、出遅れた新興国市場に乗り出すため、設備投資を進めなければならないジレンマの中、トヨタ本社だけではなくグループ全体の収益環境を見通した、新たな戦略が求められるのでしょうね。

7月の参院選に向け、各党の候補者が続々と発表されていますが、著名人選挙とも揶揄される状況です。昨日の谷亮子氏に関して、一部で現役続行を非難する意見もありますが、橋本聖子参院議員も一時、議員でありながら五輪出場を果たしており、前例がない訳ではありません。一部、民主党批判と一緒くたにされていますが、比例一本で当選を目指す議員は、地元の陳情や政策の説明会がないため、小選挙区と絡まなければ、時間的猶予は他の議員よりもあります。
谷氏は若い頃からソツなく記者会見をこなし、リップサービスも忘れないなど、プロ意識の高い人物です。政治家としても申し分ない、という点が逆に脅威に映り、否定的な見解を述べたくなるのでしょう。ただ目指すことと、五輪出場権が得られるかは別であり、政治家としての資質も本人の努力次第です。そういう個人に対する評価でなければならないのでしょう。

しかし今回の著名人選挙はピンきりで、志大才疎の人物も多く、選択肢として多いことは評価できても、良し悪しは別なのでしょう。情報過多の時代、ネームバリューだけで当選しても、態度が伴わなければ国民から非難の声が集まります。先の参院選挙でも、民主党の横峯氏がかなりのバッシングを受けたように、著名人であるからこそ監視の目が集まり易い、という指摘もできます。
ただ、著名人本人が出馬する以外にも、芸能人を用いて応援演説させる、等の行為全般を否定しなければ、著名人選挙を否定したことにはなりません。逆に、人気が収入のバロメーターに直結する著名人の場合、不人気が判明すると、その後の仕事にも影響するはずで、重大な決断が迫られることになります。多くの候補が、今最前線で活躍している組ではない、ということを見れば、事情は自ずと知れるというもので、だからこそ一線で活躍する谷氏に注目が集まるのでしょう。

個別の評価は避けますが、プロフィールなどは参考であって、選挙には候補者の主張や政党であれば、マニフェストを確認して投票先を決めることが大事です。ただ民主党政権がマニフェスト見直しを迫られるように、参院選でマニフェストがどの程度、重視されるかは不透明です。むしろ益々選択の条件が分かり難い、という時点で選挙の結果もまだまだ流動的、でもあるのでしょうね。

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2010年05月10日

欧州安定メカニズムとFRBドルスワップ協定

EUが市場安定化策を発表しました。欧州安定メカニズムで600億ユーロ、3年の期間限定で特別目的事業体(SPV)を設立、これが4400億ユーロ、国際通貨基金(IMF)も参加して2500億ユーロ、合計7500億ユーロ(89兆円)における危機対応策です。資金調達は欧州安定メカニズムが各国が発行する国債で賄われ、SPVは各国に比例配分される保証に基づき自ら債券を発行する形をとります。
また欧州中央銀行(ECB)が域内の政府債、民間債券の買入れを表明。合わせて米連邦準備理事会(FRB)がECB、カナダ、英国、スイス、日本とドルスワップ協定を再締結しています。禁じ手とされる対策を各国中銀が打ち、世界的に株は全面高、為替も戻りを試す展開です。しかしこの対策、一旦は小康を得ると思われますが、不安を抱えた上での展開が続くと予想されるものです。

これは米国の対策に準えると分かり易いものです。サブプライム問題でFRBは住宅ローン担保証券(MBS)買取を、リーマンショックで不良債権買取プログラム(TARP)を発動、7000億$の拠出を決めました。これは危機に際し、より信用の高い組織に債務を付け替え、信用不安を解消するものです。
LIBOR金利が跳ね上がり、銀行間のドル調達が不安に陥ったため、欧州金融機関が抱える不良債権をECBが引き受ける。欧州域内の経済規模から見て、6%程度の規模なので吸収可能、という見方もありますが、健全な国と破綻しそうな国を混ぜて、信用の高い方に合わせて資金調達可能な仕組みを作っても、根本原因である債務拡大に歯止めがかかる訳ではありません。

短期的に資金調達能力は担保できてもSPVは3年限定であり、延長には欧州各国も難色を示すでしょう。またSPVの運用先は不良債権化しそうな国の財務です。財政再建に失敗すれば、結局債務再編を迫られ、投資した資金が失われる可能性がある。こうしたリスク運用が確実な資金であり、尚且つ5千億ユーロもの資金を市場から吸い上げる形となりますから、利回りが多少低くても、SPVを通じてPIIGS債券を買おうとする動きも出てくるでしょう。それはECBが流動性吸収オペを行う意向を示しているからでも表れます。弱い市場は益々高い利率を設定しなければ、資金が集まり難くなる傾向となり、利回りと信用との狭間で資金が動かなければならない市場が出てきます。
今回は規模と対策の連動が目を惹き、売り方の買戻しが出ていますが、早晩この動きも止まるでしょう。大事なことは、EUにしろ米国にしろ、不良債権化しそうな金融システムを抱えたまま、この危機を乗り切るしか現状手がないことです。そしてそれが再び危機として意識された時、更に大きな組織を作って信用を付け替えるしか、手がないことにいずれ気付くことになります。

日本の危機が終結したのは、銀行に厳しい不良債権処理を求めた、その後からだと言うことが良い教訓です。サブプライム問題は不良債権の実態が見えなかったが、今回は各国国債なので規模が明白、という人もいますが、直接銀行が抱える債権だということが大きな違いです。SPVなどのように、いざとなれば危機を切り離せる体制ではないだけに、ECBの買取プログラムの実態次第では、不良債権は残ったままとなります。一時的な小康と、将来的な安泰とを混ぜて考えるのではなく、今回の反応に安堵して気が緩むことがないよう、中銀は対策を継続していく必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(3)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2010年05月09日

心が麻痺する前に…

たちあがれ日本が中畑清氏の擁立を決めました。背後には党設立時に動いた、読売会長の意向も働いているはずです。自民党に堀内氏を送り込み、力の均衡を図りたい。この人物の願うところは、自民党を中心とした強力な大連立、そのための布石と見て間違いないのでしょうね。

少し産経の記事にふれます。『心が麻痺…』という記事の一節に「民主党の批判本が売れない、どうしようもない政権だとバレたから…」という内容がありました。しかしこの記事の論調は全般に誤りです。以前の政治記事とは、週刊誌が政権批判に対して先鋭化し、新聞はそれを丸めて書き、テレビは奥歯にものが挟まったような言い方で、やんわりと批判するのが常でした。
しかし小泉政権以降、政治がワイドショーの芸能部門と同じ扱いになり、新聞、テレビも批判を強めます。特に民主党政権となり、大々的に政権批判がキャンペーン化され、連日のように報道される。実は、この行為で多くの国民は、ある程度溜飲を下げてしまっており、それ以上の批判に至る必要性を感じない、だから継続した興味を抱けないでいるのです。

国民が最も不満を溜めるのは、誰もが正論と思うことを誰も述べないこと。闇に隠してしまうことです。そこに何か隠蔽された事実があると邪推し、疑惑の目を向けながら苛立ち、声なき声として怒りの度合いを高めます。現状の政権批判はこの新聞社でも先鋭化しており、かなり厳しい論調に傾いているため、現状それに追随する必要はありません。逆に、先鋭化された記事に阿諛追従することで、人から愚かだと思われることを嫌う、そうした傾向があります。
これだけメディアが批判するのであれば、何か裏があるのでは?そうした読みの方が強く働きます。逆に、表層に現れるメディアの政権批判より、その背景を探る方が興味の対象が向かい易く、それを明らかにする態度にこそ自身の能力を発揮したいと考える。つまりメディア自身の態度が、国民の興味や態度と合致する以上、国民の意思として継続して批判はしないものであり、麻痺しているのはそうしたことに気付かないメディアの態度、ということなのでしょう。

国民が政権に対して怒りを内在し、徐々に高めるものではない。だから批判本を出しても、二番煎じや批判記事が巷に溢れる現状では、新規性が感じられない。だから売れないということです。世の中の消費や興味の傾向とは、常にそういう動きを辿ります。全員が一方向に向かい、それでも更にそれを推し進めるのは煽動しかありませんが、煽動により政権交代の波を起こしたい、しかしどうしてそれが起きないとの苛立ちを、記事として取り上げたということかもしれません。
特に日本人は中庸を旨とし、傾き過ぎた意見や行動を改めよう、調整しようと無意識に意識を働かせます。自分の意見が通らないことを「麻痺」などと論じる前に、正しく人間の行動を学ばないと、メディアの方が国民との乖離を大きくしてしまうだけなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:41|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 メディア | 政治

2010年05月08日

雑感。臭いものに蓋をすること色々

英総選挙が実施され、野党・保守党が306議席、与党・労働党が258議席、第三極の自民党が57議席となりました。ハング・パーラメント(宙ぶらりん議会)とされますが、大胆な政策がとれずに経済分野の停滞が意識され、ポンドは下落しています。英国は米国と同様に経済の傷が深い国、政策が宙に浮けば収まり所を失い、更に悪化を助長する引き金となりかねない状況です。
欧州ではギリシャ危機を受け、欧州安定化メカニズムの創設を合意しています。しかしこれはユーロ導入16カ国に対し、新たな財政負担を意味するばかりでなく、規模の面で見劣りすると失敗します。財政赤字をGDP比3%以内に抑える、ユーロ導入国に課された義務に違反すれば罰金、ですがそれをすれば赤字国はユーロ圏離脱を余儀なくされます。臭いものへの蓋の仕方だけ議論しても意味がなく、財政事情、経済情勢が異なる国を同一経済圏に収める手法、そのものの見直しが必要です。

臭いものに蓋をする策を模索しているのが、米メキシコ湾ルイジアナ州沖の原油流出事故です。水深1500mの流出現場に、4階建て相当の箱を被せる計画です。しかし深海掘削の手法は確立しても、事故の対応方法は未決定、というお粗末さが環境破壊や原油をムダにする事態に繋がります。
今回の対策も、流出拡大を防ぐのみで、流出を食い止める術ではありません。海水の混じった油を再利用するにはコストがかかる。なのでこの作業は全て、継続して企業の損失になります。海底油田の掘削は、コストとリスクがある。それが新たな油田権益の承認を遠ざけます。深海掘削を続けるには事故にどう対応するか?これはその試金石になる事象、と考えるのが良いのでしょう。

宮崎県では口蹄疫の感染が拡大しています。日本で初の豚への感染が確認され、殺処分になるのは6万頭に及びます。移動制限区域内とはいえ、43農場で感染が確認される事態です。しかも埋立個所の確保や殺処分の人員、しかも人には感染しないとは云え、多くの人が動けば強い感染力が確認されている病気であり、移動制限外に感染が拡大する恐れも出てきます。
こうした事態は、常に最初が肝心です。被害が少ない段階で過剰ともいえる封じ込めを行い、最小限で止める。この移動制限範囲を破られると、影響は深刻となります。非常事態宣言という話もありますが、農水省に留まらず政府が一体となって、危機対応することが肝要です。
これは臭いものに蓋、では済みません。臭くなりそうなものを徹底的に排除し、安全な範囲を宣言する。現段階でも、風評被害や損失の補填も必要です。しかし今以上に拡大することで受ける損失と、今封じ込めることで生じる費用対効果を考えれば、後者が断然有利であることは言うまでもありません。発生段階の封じ込めには失敗した、初期段階で済むかどうかは、今後の政府の対応次第でもあるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:39|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 海外

2010年05月07日

某紙による経済への緊急提言について

米株式市場が一時1000$近い急落となりました。原因は、シティGによる先物Eミニへ誤発注された大量の売りでアルゴリズム取引が発動、現物の持分を減らす自動売買が働いた、という見方が出ています。取引事実を取り消されるなど、混乱も出ますが、当面は原因探しとなるのでしょう。

今日、友人たちと話題になった『読売新聞緊急提言』にふれます。経済政策に対して独自の提言をするというもの。目的は崇高ですが、内容は暴論に近いものです。まず民主党の政策をマニフェスト至上主義、大衆迎合主義とまで酷評します。しかし民主主義とは本来、大多数の意見を採用する大衆迎合型です。マニフェストの問題は、これが政策集であり、1つ1つの項目に選挙で有権者が賛否を示すものではない、ということにあります。一方でマニフェスト違反と批判し、一方でマニフェストを採用するなと責める。報道機関が自身に都合よいよう評価しているに過ぎません。
その顕著な例が?法人税を20%台へ?というもの。一方で消費税率引上げを謳うので、現状これを行えば大不況、つまり税負担を個人に移転する形となり、所得上昇がなければ購買余力を減らし、モノが売れずにデフレが深刻化します。企業は少しでも人件費の安い国へ、という点では積極投資が盛ん。固定費の削減を目指し、一方で昇給に応じられる企業も少ない。これは国内経済への寄与率は逆にマイナスと試算できます。しかし新聞がこの案に積極的なのは、広告主である法人格に阿る姿勢と、読者にそこまで見抜く目はないという部分が大きいのでしょう。

この提言の最大のウソは、あたかも民主党政権の政策不況、のような全体のニュアンスにまとめていることです。しかし民主党政権の予算は1次補正の見直しと2次補正ですが、2次補正は民主党の独自色がほとんどなく、1次補正の継続が主でした。また本予算は3月に決まったばかりで、新年度入りしたこれから影響が出るものです。つまり現状の否定と、今後の展望がゴチャゴチャにされているため、論点が制度設計の不備なのか、財源措置の問題なのか、という判定になっていないのです。このため全体を民主党政権の問題に帰す、という形でまとめてしまっているのです。
子供手当ても本来良い制度です。問題は民主党政権が公約した行政機構、独立行政法人、公益法人、特別会計への切り込みが弱く、財源措置がないことです。医療・介護の雇用不足も、点数制度で報酬が決まるため昇給し難く、労働環境に対する報酬に見合わない、というこれは制度上の問題です。こうした問題点の抽出と、対処についての考察が残念ながら皆無、従来の議論の延長線上にしかありません。

うがった見方をすれば、この提言は読売新聞社主筆の念願である、大連立による強い政府の構築を求める意見に聞こえます。『内需と外需の二兎を追え』など、官民で海外需要を取り込むなど当たり前であり、むしろ日本では自民党一党支配が長く、自民党に寄りかかり過ぎていた企業の問題が大きいものです。これは与党、野党という問題ではなく、政治に関わる法人格全体の態度に帰すのであり、これまでの日本では出来ていなかった、というだけの話です。
成長戦略も在り来たり、目立つ意見はありません。1面を使って大々的に出してきた割に中身は薄い。友人との間でも、何を訴えたいかよく分からない、という意見でまとまりました。世界同時株安、ソブリンリスクなどに見られる、現在のグローバル経済に対応した提言でなければ意味はないのでしょう。実はそれに即すと、現在の経済界では主流派でないため、暴論とみなされ易いという面はあります。ですが、展望を掲げるなら従来型の提言に留まるのではなく、大胆な仮説に基づく進取の気に富むものでなければ、やはり暴論に留まってしまうのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | メディア

2010年05月06日

ギリシャ不安の拡大懸念

ギリシャ不安が世界を覆っています。今日の日経平均は3%以上、連休明けとはいえ今年最大の下落幅となります。ただ今日のゲ下落はブル(強気)派がベア(弱気)派の3倍、と言われるほど超楽観に傾いた市場の修正であり、ブル派の意識が低下するだけで調整し易かった結果です。この後、ギリシャ不安が本格的に直撃すれば、リーマンショック以上の荒波が世界を襲うことになるのでしょう。

ギリシャから学ぶべきは危機管理の失敗です。情報を小出しにし、市場の動揺を抑え込むために「ギリシャは安全」と言い続けた結果、国民は楽観を、市場は不安を抱いたままです。いざ危機に陥ると、国民は緊縮財政を受け入れ難く、市場は財政再建の道筋への不安を意識することになります。
しかも世界は大量の資金供給による過剰流動性相場の表出により、無理やり信用不安を解消した状態です。金余りで運用先に困った金融機関が、甘い危機管理で多額の資金を金利の高いギリシャなどのソブリン債につぎ込む。背後にある構図は、アジア通貨危機やサブプライム問題と同様、各国の金融機関に飛び火する懸念と同時に、小国を吹き飛ばすほどの資金が、世界全体で余っていることで起きているとも云えるのです。

しかもユーロ安で輸出国のドイツは潤い、ユーロ圏の他の輸入国は物価高です。緊縮財政と物価高騰、それが財政健全化を遅らせます。また3年間で1100億ユーロの貸し込みは、結果的に各国で大量のソブリン債発行を伴います。信用格付けの低い国は、金利を上げなければ資金調達が出来ず、それが結果的に負の連鎖に陥る懸念を拭い去れない、との連鎖破綻を意識させることになります。
またユーロ安は欧州向け輸出で潤ってきた国の景気回復を停滞させます。中国の預金準備率引上げ、米国住宅金融機関の赤字、等の不安材料とともに、世界全体に波及する可能性を示唆している。これは人為的に、歪んだ市場を創出してブルとベアの歪んだ比率が生み出す相場、実はリーマンショックの前後で、何ら変わりない経済構造である結果が、今こうして新たな危機を生み出すのです。

失敗したはずの経済構造が未だに続く。これは当局の失敗でもあります。ギリシャが早めに債務整理を行い、債務の一部棒引き、などを債権団と膝を詰めて話し合っておけば、これほどの混乱は拡大していないでしょう。大事なことはここ数年の経済危機は、当局が生み出した歪んだ市場の結果として、ブルとベアの本来もつべき機能が失われていることによって起きている、ということです。
仮に今回のギリシャ不安、欧州財政不安を乗り切っても、この構図を続ける限りいつか来た道、を繰り返すことになるでしょう。つまり危機の連鎖です。誰がこの構図に楔を打ち、こうした経済の体質から脱却させるのか?むしろ人類はこのまま経済危機を繰り返すのか?という選択を、今後も常に求められることになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 欧州

2010年05月05日

鳩山首相が沖縄を訪問

鳩山首相が4日、沖縄を訪れました。具体策の提示はなく、むしろ普天間基地から辺野古、徳之島分散移転を容認した、ともとれる発言を行っています。地元からは強い反発、徳之島にも不信感が漂っています。「海兵隊が抑止力とは思っていなかった…」等発言もありますが、外務省や防衛省官僚に囁かれ、米国に対する正面突破を断念したかのような受け止めも可能です。

鳩山政権からウルトラCが有るや無しや、という話もありますが、有るとすれば次の想定ができます。5月末の完全決着が不可能な場合、平野官房長官の更迭を行い、鳩山政権が続く間に沖縄の基地負担を段階的に縮小すると宣言。そのプランを米国と合意してみせると公約することです。
沖縄で盛り上がる基地反対の動きを更に加速させる。すると米軍は嫌が上にも米軍再編の再考を迫られます。米国が地元合意を念頭に置くのは、愛される米軍を目指すためでもあります。地元から反発を受け、作戦行動をとるのは米兵の心的負担が強いものです。ベトナム、イラクの駐留兵が後遺症に悩むのも、正義の戦いが出来ないからでもあります。それが退役軍人となり、投票行動でも大きな力を有する。オバマ政権が日本バッシングを強めることで、日本の反対姿勢が鮮明になると米国内からも不満が出る。3年の任期をまっとうできるなら、そうした戦略も可能という訳です。

しかし当然、国内や海外からのバッシングに忍耐する時期が必要。その間、沖縄の強制接収された土地への補償を打ち出す、ここまですればウルトラCです。自民党政権では官僚機構が強く、国は悪くない、という姿勢が鮮明でした。水俣病、肝炎などの国の非を認める方向の民主党政権では、沖縄が米国占領下にある中とはいえ、戦時ではない中で強制接収を認める法律はありません。借料や防衛補助と合わせ、戸別補償に応じれば相当のインパクトがあります。また移設先も、段階的縮小の間の経過措置として、土地買取や戸別補償に重点を置くことも出来るでしょう。
しかし財源問題は出てきます。そのためにも鳩山政権は在日米軍の規模縮小を、政権公約として掲げる。その中には日米地位協定の見直し、も入るかもしれませんが、国内の不満で外交を動かす1つの手にはなります。沖縄を訪れた鳩山氏の表情は、ある程度腹を括った感じも見られ、一方で完全には見えない?腹案?の存在もあり、何か仰天が飛び出す可能性は依然捨てきれないと見ます。

メディアは鳩山政権退陣キャンペーンが盛んですが、米国の思惑が本当にそうか?というとやや疑問もあります。この問題、表層だけの動きをなぞると、後にとんでもないことも起こりうる点で、見方を誤る可能性もあります。ただ鳩山政権が本当に官僚機構に取り込まれたのなら、仰天どころか国民の失望も加速し、政権は保たなくなるでしょう。正面突破を模索するなら、十重二十重に伏線を張ることも必要であり、そうした伏線で誤った判断に陥らないよう、正負両面から最終決着にどんな手があるか?ということを注視していかなければいけないのでしょうね。

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2010年05月01日

雑感。アイスランドの噴火、その後

ギリシャ支援が3年で1200億ユーロに及ぶと発表されました。ギリシャは追加緊縮財政策を発表、年金受給を53歳から67歳へ、昇給と一時金を凍結、公務員賞与のカットも含むもの。付加価値税も2%程度アップされる見込みです。欧州諸国と同程度の内容にギリシャも踏み込むわけですが、ギリシャ国民は受け入れられず、デモが頻発する事態に陥っています。
ドイツとフランスが支援で合意、議会工作は必要ですが、選挙を控えて難しい局面にはあります。ただ企業も支援に乗り出すなど、ギリシャ支援は必須との見方が欧州内にあり、支援は実施されるでしょう。ただ今回、金融機関が名乗りを上げないことが今後、欧州の金融規制の支援材料となります。つまり金融機関は経済効率しか追求しない、となれば国が救済する必要はありません。ギリシャ破綻にベットし、売りに傾いた金融機関ですから、規模の縮小を含めて議論が進むことは、ほぼ間違いなくなってきているのでしょうね。

アイスランドで15日起きた火山は、氷河がほとんど解け、現在は火山灰の噴出も小康状態です。ただカトラ火山に飛び火する可能性もあり、予断を許さない状況です。過去の状況を見ると、歴史上に現れた噴火で大きいものは、インドネシアのクラカタウ島で起きた噴火です。
1883年、約200年ぶりに起きた噴火は約4万mまで噴煙を巻き上げ、爆音はインド洋を覆ったと伝わります。津波はフランスまで到達、日本でも気圧低下が起こり、火山灰で北半球の気温は1度近く低下しています。世界の各地で火山灰による乱反射で異常な夕焼けが現れ、それを見たムンクが『叫び』を描いたのではないか?とも噂されるほどに、全世界に影響を与えました。

この噴火は5月に始まり、間欠的に続いた後、8月が最大の噴火となっています。つまりアイスランドもまだ噴火の初期段階である可能性があり、未だに警戒が必要であることがわかります。航空業界だけで2千億円規模、とも云われる損失額ですが、経済全体に与える影響は気温低下や、それ以外を含めて今後も膨らむと予想され、どれぐらいになるかは噴火の継続状況次第です。
地震・雷・火事・親父と云われる怖いものの代表は本来、地震・雷・火事・大山嵐(台風)でした。自然災害は予測のつかないものであり、時として大きな被害を与えるのですから、備えは必要です。この4つに火山が入らなかったのは、宝永の大噴火はあれども、人が一生の内で体験する噴火は、数えられるほどもなかったことを意味するのかもしれません。ただ今は世界中に地震が頻発しており、何かおかしいと感じられるだけの兆候は現れています。注意するといっても難しい話ですが、心の備えだけはしておいた方が良いのでしょうね。

明日から旅行に行き、5日に再開予定です。皆さんも遠出する時は気をつけて出かけて下さいね。

analyst_zaiya777 at 23:38|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 欧州 | 社会