2010年06月

2010年06月30日

雑感。参院選前半について

昨晩のW杯サッカーは惜しかったですね。少しだけ苦言すると、今回大会直前という重要な時期に、岡田監督はシステムを変更した。今回は成功したので批判もありませんが、失敗すればメディアから袋叩きにあったはずです。結果が全て、というのは勝負事の常ですが、大会前は世論を煽るかのようにバッシングしたメディア。その辺りをもう一度考え直さないと、いずれ大きな失敗を、サッカーのみならず日本は犯すことになるのかもしれませんね。

参院選が公示され、半分あまりが経過しました。私は慎重に言葉を選んでいるつもりですが、今回はネット選挙が事実上解禁されたためか、大手メディアの大胆な記事も目立ちます。例えば消費税、これを積極的な側から並べると自民、た日、民主、新党改革の順なので、批判の矛先を与党に向けるのは、少々違和感があります。抱きつき、ともされますが、消費税増税前には総選挙を行わざるを得ないので、今回の参院選の焦点でもありません。なのに、今や選挙戦は増税一色です。
各国の最高税率のみ並べ、5%が低いという議論にはウソがありますが、それを各メディアが増税必要の論拠として、横並びで流します。法人税減税の論拠にもウソがありますが、それを指摘するメディアがほとんどない、という点で、世論誘導を図っているとの見方も可能なのでしょう。

民主党で、前幹事長である小沢氏と、枝野幹事長との対立が取り上げられます。しかしこれなど、明らかに脱小沢の構図で信任を得た菅政権を後押しし、増税反対の受け皿として小沢派の存在感を示し、選挙を有利に戦う。小沢氏が選挙戦後半に仕掛けた動きであり、民主に注目を集める戦術です。つまり郵政解散時のように、党内対立を軸にメディアジャックする気なのです。
読売が自民党の当選予想を50前後と、他紙が40前後の中、突出して高い予想を出しました。これなど好悪両材料です。それだけの議席に足る政党なのか?という懐疑が出ればマイナス、そんな勢いがあるなら…と投票を誘発すればプラスです。しかし現状でもまだ民主批判の受け皿でしかなく、消費税議論でも波に乗れない状況。読売の行動は若干出すぎた部分もあるのでしょう。

菅首相がぶら下がり取材に応じない、と書かれます。これは失言というより、発言を切り取られ、イラ菅になることを警戒しているのでしょう。現状のメディアの報道姿勢は、与党勝ち過ぎの警戒が強く、ネガティブ面を強調する記事が目立ちます。公選法改正案は、結果的に国会提出を見送られましたが、どこまで可能かは手探り状態であり、メディアもそこを突いて政権批判だけは展開できる、という形で記事を上げているのかもしれません。
メディアが世論を作るのか、世論にメディアが迎合するのか、各紙ともこの二つの見方は分かれていると感じます。事実の羅列でない報道は、必ず主観が入ります。それが記者個人によるものか、メディアの大方針に添うものか、それは読者個人が各々感じ取らねばいけないのでしょう。いずれ大きな失敗を日本がしないために…投票は国民一人一人がもつ権利なのですからね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア

2010年06月29日

経済の話。再びの欧米不安

6月の相場は堅調、そう囁かれていたのが嘘のように、日経平均は9500円を窺う展開です。キッカケは米住宅市場が、支援策打ち切り前の数値であるにも関わらず、駆け込み需要が見られず弱含んだこと。また消費の回復も鈍く、景気指数も弱い米国の経済指標を受け、世界景気は堅調という期待を織り込んでいた相場が、再び二番底を意識する展開になったことがあります。
更に欧州では、昨日イタリア国債入札が不調、ギリシャが7月中旬に短期債償還のための借換債の発行を示し、国債への不安が台頭。ECBが7月1日に、資金供給オペとして拠出した1年物4420億ユーロを吸収することから、調達懸念が発生しています。そしてユーロ圏の金融機関に対する、ストレステストの結果公表に向け、G20でもユーロ国から発言があった公的資金注入が、現実味を帯びていることが挙げられます。某所の研究によると、独2130億、英1550億、スペイン970億、イタリア590億ユーロの金融機関の不良債権があるとされ、景気が回復基調だったにも関わらず、拡大傾向にあるとされます。

欧米で再び起こる不安、これにより逃避的な円高となります。円高となれば、外国人投資家にとって売り場。資金は引き上げ方向です。閑散に売りなしの格言と異なり、買い手不在で緩々と売られる展開。Wボトムの展開すら否定し、水準を次々切り下げる形で市場が下げています。
日本でも5月鉱工業生産指数が発表され、前月より0.1%低下です。数値以上に問題なのは、景気回復基調に一巡感があること、生産予測は増加を見込むものの、輸送機械の減などは海外需要も停滞する可能性が見えることです。今年末で切れるエコ減税、その後も見通し難い。半年先の相場を見据えると、かなりの不透明感が漂うため、市場自体が強気になれなくなって来ています。

日本の経営者は景気に強気の見方が増えています。個人の消費動向も上向き、ただ2極化が進み易く、相変わらず百貨店業態が厳しい環境なのは、選別に1クラス上を求める、楽観時に起きる傾向が見られます。欧米不安は、日本には遅行して現れます。新興国へ波及した後、企業業績に影響して来ますし、個人は業績の悪化で所得に影響する段階で、厳しくなるのでしょう。
残念ながら、参院選の各政党の景気対策は、あまり効果のないものばかり。欧米不安が直撃すれば、消し飛ぶぐらいの規模しか示せません。財政に余裕がない中、仕方ない面もありますが、政治の世界では増税を強く叫ばれる状況です。政治は三流、経済は一流の時代から、今は経済も二流、もしくは三流の判断しか出来ない経営者が、増えているようにも感じられます。株主総会集中日、企業が株主との応答に逃げの姿勢を示し、他人事のような態度をとる。そうしたものが常態化する限り、日本の株式市場が海外動向に左右され、自主性の無い動きをするのも尤もなことなのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2010年06月28日

日本の財政再建は世界の例外扱い?

相撲協会が調査委の勧告を受け入れる方針で、名古屋場所開催の見込みとなっています。しかしこれは賭博を開催していた元締めの顧客名簿、これを抑えて初めて全容解明が可能です。内部調査程度で処分者を決めましたが、刑事事件に発展し、名古屋場所出場力士の関与が判明した場合、一体どういう処分や方針を示すのか、今からそのことが心配になる決定です。

G8に引き続き、G20が開催されました。2013年までに財政赤字を半減、景気の観点から緊縮財政に警鐘は鳴らすものの、数値を掲げて目標を示しました。ただし世界最大の債務国、日本は例外扱い、です。これを国内で消化されているから、とする意見もありますが、そうではありません。先進国中、最大の債務国は同時に各国の債券保有国でもあり、日本が債務削減を本気で推し進めるなら、債券を売り払ってしまえば良い。それを各国も警戒しているのです。
更に日本は超低金利です。先進各国が政策金利を1%以下に引き下げても、市場の債券利回りがそこまで下がることは滅多にない。しかし日本の長期金利は1.2%切る水準にあります。逆に日本は国債をばら撒き、それで外国債を買えば、利回り分の収益確保が可能なのです。当然、債券は価格も変動しますので、利回りのみで判断できませんが、国内で債券を回せる限り安泰、という背景も存在します。これをごく単純に計算すると、国が米国長期債で運用すれば3%の利回りを確保し、1%を国債引受をしている国内金融機関に利回りとして流し、2%分は剰余金となるのです。

これが外為特会の剰余金ですが、この仕組みが続く限り、現状の900兆円に及ぶ債務も例外扱いが可能、ということになります。しかしこれまでは上手くいっても、この仕組みが永続するわけではない。インフレ誘導が新党改革のマニフェストでも謳われますが、仮にインフレになれば利回りが上昇、預金は引き出される傾向となるので、一気にこの仕組みが崩れる。日本がデフレ、超低金利、世界各国がインフレという状況でのみ成立するのであり、ここに安住してはいけないということです。
この仕組みは、財務省が借金をして外国債に運用する形であり、しばらく為替介入もないのに、こっそり外貨準備だけは積み上がる原因です。しかし上記の要因以外に、米国債格下げなどが起これば、日本は損失を抱えるだけでなく、米国債の保有比率が高いことを、売り材料視されることになる。だからこそ、例外扱いでも日本の財政再建は待ったなし、なのです。

更に云えば、増税しなければ財政再建が達成できないかのような幻想が、メディアの報道、誘導により一気に広がっています。ただ債務国と債券保有国、という二つの側面をもつ日本は、事情が異なることだけは意識しておくべきでしょう。新興国の成長により、過去の円借款も返済される可能性が高まり、それも将来の歳入となります。例外扱いされるのは、各国もそうした事情を見越している、単なる配慮だけの問題ではない、そのことだけは最低でも各メディアは正しく報じるべきなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:25|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2010年06月27日

米金融規制法が成立へ

大相撲名古屋場所の番付発表が延期されました。特別調査委が開催条件の9項目を掲げています。懲戒処分や謹慎を含め、現役力士や床山、親方の処分を相撲協会が受け入れれば開催か?といわれます。ただ単純に全容解明が為されていない段階で、開催すべきではないのでしょう。
第一は全容解明がまだ、即ち刑事事件に発展する可能性がある中、次に疑惑が発覚、事件が拡大したときに今回出場した力士と、処分を受けた力士に差を生じます。申告者のみならず、複数ルートでの関与を含め、実態が解明されない限り開催は難しいのでしょう。今日取り組みをしていた力士が、明日には逮捕されることもあり得る、という状態が最悪なのでしょうね。

米国で金融規制法案が成立する見込みです。銀行の自己勘定取引は原則禁止、ヘッジファンドやプライベートエクイティファンドへの投資は中核的自己資本の3%以内、出資比率も3%以内、といったところです。しかし高リスク取引の制限は緩和されるなど、G20を前に結果を出すため、オバマ政権が金融機関のロビイストに屈した、という印象が否めないほど中身は骨抜きされました。
中身は詳細に確認していませんが、上手く行えば6%は銀行がファンドに資金を拠出できる計算になり、これに抵触する金融機関は証券業態の強いゴールドマンサックスなど、一部と見られます。バーゼル靴亮己資本規制も、緩和される見通しとなるなど、欧州不安の高まりとともに、銀行収益を毀損することに警戒感が生じ、バランスを保たせたこともあるのでしょう。

しかしこのことから、当初の目論見にあったtoo big to fail(大き過ぎて潰せない)銀行をなくす、を果たせなくなっています。逆に言えば、再び銀行破たんが経済破綻に直結するリスクを、世界が負い続けることになります。オバマ大統領が銀行課税に前向きな姿勢を示しましたが、自ら金融規制に失敗した非を、そういう形で国民向けにアピールする必要に迫られたものでしょう。
銀証の完全分離など、やるべきことは幾つもあります。踏み込めない政治、というのは日本の政治が、財務省に切り込めない構図に似ています。最大の納税者であり、かつロビイストも活発、米経済を牛耳る銀行は国を滅ぼすほど巨大で、かつ屋台骨を支える構図です。一方で日本の財務省は納税情報を握り、政権に食い込み、日本経済を裏で支えていると勝手に自負している集団です。国がばら撒いた資金と、国に集められた資金という違いはありますが、どちらも巨大な権力を握り、国を傾けるほどの影響力をもつ存在まで肥大化してしまったことで、抑止が利き難いのです。

国に存在する獅子身中の虫、昨日はイノシシの牙、としましたが、どういう付き合い方をするか?今から真剣に議論しないと、その内政治以上の力を持つのかもしれません。いや、今でもすでにそうであり、対策を考えなければいけない段階に、来ているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:39|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アメリカ

2010年06月26日

雑感。サミットが開催

一部メディアで世論調査が出され、参院選の投票先で自民40〜50が示されました。やや意外であり、数値がメディアごとに幅広い。逆に言えば、これは読み難さを示していると感じます。民主が消費税議論で票を落とすなら、自民がそれを吸収するのは難しい。報道で、消費税議論で突出した自民の存在が薄められる形となりましたが、それでも税率に言及するのは自民とたちあがれ日本です。舛添氏の離党以来、内紛が収まったかと言えばそんなことはなく、大島幹事長への批判など、党内はまだゴタゴタしています。民主への不安票の受け皿だとすれば、動向は流動的であり、しかも序盤にこうした報道が出ると、票読みは更に難しくなる恐れがあるのでしょうね。

カナダで主要国(G8)首脳国会議(サミット)が開催されています。菅首相のデビューですが、今回のサミットは難しい課題を抱えます。財政健全化、銀行税導入を唱える欧州と、景気への配慮、金融規制強化法を成立させ、それを世界標準にしたい米国と、それに対抗する国、という構図をどう整理するか?です。どれも経済に直結する内容ですが、いずれも折り合いの難しい問題です。
これは今後の経済政策で、イニシアティブをどうとるか?という鬩ぎ合いの側面をもちます。ケインズや新自由主義など、ここ数年経済を主導した理論が破綻、矛盾が大きくなった。新しい経済学を志向する段階で、どういう方向性をもつか?仮に今後数年の間とはいえ、主流にならなければ国家が危険に陥る、それを回避しようと綱引きを始めた結果ともいえます。

経済の回復には国家の関与が必須、一方で財政は危機を迎える難しい状況です。金融規制で景気下押しを始める米国は、各国が堅調な状態であって欲しい。欧州は国家関与を出来るだけ減らす形で、銀行税も同様に民間の力で景気を持続したい。両者に共通するのは、現在の世界が大変な状態にある、ということであり、方法論は自国に都合よくまとめたい、という意思です。
日本は財政健全化と、経済成長を同時に成し遂げる方針です。金融に不安の少ない日本は、カナダとともに銀行規制に反対の立場ですが、少数意見であり、議論を主導できる立場にありません。最近のサミットは、具体的な決定はできない、形ばかりのものですが、今回も各国の立場、事情の違いを認識して通り一遍の内容となりそうな気配が濃厚です。

イノシシの仲間には下の牙が伸び続け、いずれ脳髄に突き刺さり死んでしまうものがいます。各国の金融とはこのイノシシの牙であり、大きくなり過ぎた結果、脳を突き刺すほどになっています。突き刺さって死ぬのが先か、自分で牙を折るか、生きている間は削れるだけ削り、致命傷を避けるのか?いずれにしろ、イノシシの牙となった金融部門の処遇を決めない限り、G8が同床異夢でいられる間は短いのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 海外

2010年06月25日

その他の政党のマニフェストについて

今朝のサッカーは素晴らしかったですね。私が見ているとロクなことがないので、早起きして結果だけ見ることにしましたが、そんな心配も要らないほど、素晴らしい試合でしたね。

これまで見てきた政党以外の公約について、ざっとですが考えてみます。
新党改革―政治のコスト削減を訴え、マニフェストトップに個人献金のお願いを載せるなど、よく言えばクリーン政治、悪く言えば金欠が目立ちます。しかし経済政策は一昔前の欧米型、米国の容積率並に大都市部で300%を、1400%にすると云いますが、地震大国で埋立の多い日本で、そんなことをすればどうなるかは一目瞭然。党首が国際政治学者で著作にも基づいていますが、国際比較も多く日本に当てはめた時の妥当性は懐疑的です。弱点は目ぼしい政策がない、財政健全化の道筋が見えない、小選挙区制の廃止など、自身に都合の良い発信が多くて信に足るか、でしょう。

国民新―連立内保守、としての位置づけを確立したい主張が目立ちますが、経済政策は滅茶苦茶。無利子非課税国債や、郵貯資金での大型公共工事など。更に小額無利子融資を、郵貯に行わせる提案など、郵貯優遇と同時に目を疑うような損失覚悟の方針を示す。亀井氏の個性が際立ちますが、消費税に反対しても郵貯マネーで財投肥大化、という構想は国民のウケが悪い。民主の影的存在としての保守、という位置づけは極めて難しい、支持が集まり難い構図です。
社民―政治の品質保証役、を訴えますが、財政に関する提言はない。バラマキ政策が多く、再建を掲げる割に芯は国民への阿り、と受けとられかねない部分があります。つまり再建が最も急がれる財政に提言できない点が、この党の弱点であり、経済政策もほとんどありません。弱者救済という理念はあっても、与党から切り離された今、独自性が薄れたことは間違いないのでしょう。

共産―論文形式ですが、法人税減税に反対するなど、云っている箇所は正しいことが多くても、この党は理念が国民に疑われています。民主主義を訴え、レーニン主義でも、スターリン型でも、毛主義でもないとしますが、現代社会とマルクス主義との整合、という難しい課題に応えていない。実はこの命題にはプラグマティズムが大事なのですが、そうした面の訴求がない限り、この党の主張が国民に受け入れられることはないのでしょう。各討論の場面でも「云っていることは正しいんだけど…」でまとめられてしまうのは、理論と実践が成立していない問題です。
それ以外の、いわゆる政党要件を満たさない党もありますが、今回は政権信任選挙であり、小政党の評価は高まらないでしょう。上記の政党も、個別政策で突出したものがない、あっても悪い評価がつくような場合、埋没懸念が漂います。特に新党改革と国民新は、党首の個性に対する評価となり易く、小政党では位置づけが低くなります。また民主の単独過半数か、連立の枠組みか、という焦点になり始めると、与党との距離感が投票行動にも影響するでしょう。政策実現力が初めから低い、ということも考え合わせると、個別政策に特化して深く掘り下げるような、そうした取り組みが今後は小政党の魅力となる、という点で今回は物足りないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:31|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年06月24日

参院選公示と景気対策

iPhone4が発売され、行列するほど人気とされます。しかし例えば新車販売でも、1ヶ月で月間予定受注の何倍達成、という書き方がされており、人気があるかの如き書き方です。しかしこれはディーラーが自社登録などで、頑張って登録台数を増やしており、その後鳴かず飛ばずの車種が大半です。飢餓感と祭りの演出、という点はiPhoneも同等であって、本当に人気を得られるのはこれからです。何より、今回はマイナーチェンジであり、米スマートフォン市場でiPhoneは決して1位ではないなど、市場占有率が低い点は、よくよく注意しておく必要があるのでしょうね。

第22回参院選が公示され、選挙区251、比例187の候補が確定しました。党派別では、民主108、自民84、共産64、みんなの党44、公明20、社民14、たちあがれ日本14、新党改革12、国民新9、諸派50、無所属21です。わざわざ数字を示したのも、これで面白い流れが見て取れるからです。
民主は政党助成金が増額され、支持母体が拡大するなど、資金は豊富です。自民は支持母体が去り、政党助成金も減額され、選挙費用捻出に苦労する中で、第一党を目指すには物足りない候補者数。みんなの党は当初勢いもあり、候補者自らが選挙費用を持ち出しでも、立候補者が集まったことが分かります。以前も指摘したように、今回は菅政権がまるで野党のように、期待感だけで支持を集められる状況であり、野党は厳しい。消費税は2大政党がそろって上げ方向、反対は小政党となるので、対立軸になり難い。政策の質で戦いたくとも、どの党も似通う政策ばかり並ぶ状況です。

各党がこぞって掲げる経済成長ですが、心配な話が米国から伝わります。FOMC声明で景気認識を下方修正、欧州不安の波及、雇用環境への不安に言及しました。更に金融で肥大化してきた米国で、デフレ懸念が台頭するなど、深刻な事態に陥りそうです。今週末開催のG20で緊縮財政に警鐘を鳴らし、経済成長に目配せをと訴える米国の内情は、想像以上に悪化している可能性が出てきています。
5月の住宅指標が軒並み悪化、差し押さえ件数は微減するも、住宅関連の不良債権化は加速しそうであり、そうなれば米金融機関に潜在化する不良債権が、噴出するかもしれません。6月の株式市場は需給環境がよく、上げていた相場も先行して買っていた層が売り急ぎ、急速に悪化してきています。6月の債券市場は反対売買が出て、利回りが上昇するというアノマリーが、今年は出ておらず、むしろ長期金利は低下傾向となっています。不安心理の高まりが、市場動向になって表れてきた形です。

国民新は3年で100兆円の景気対策、としますが、規模を誇るより今は内容が問われます。単純に公共工事に予算をばら撒けば、GDP上昇には寄与しても、景気回復へ回るパイは少ない。銀行も大手企業も、現金資金確保に躍起ですが、それを運用や設備投資に回さない。これも不安心理の高まりです。欧米の不安が解消されるまで、日本の資金循環も悪化するのは必定。この段階で、経済成長を達成するには相当バブル誘導策でもとらない限り、無理ということです。
G20で景気対策を訴える米国、日本がそれを振り切り、増税と緊縮財政に舵を切れるかもまた、政治の力にかかっています。甘い見通しと、経済運営で世界はどんどん窮地に陥っており、脱却するのに困難さを増している点で、各党の甘い経済政策には心配も漂うのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:24|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2010年06月23日

参院選は消費税が争点なのか?

明日の深夜はW杯の日本‐デンマーク戦です。国情に不安がある国は、大体スポーツの成績も振るわないもの。今大会の欧州勢が軒並み崩れるのも、そういう目で見ると面白いかもしれません。ギリシャはW杯出場を決めてから、ギリシャ不安が噴出した。フランスはBNPパリバ格下げなど、銀行に不安が出てきた。英国は財政健全化に舵を切らざるを得ない状況、スペインの不動産バブル崩壊、ドイツは各国支援で財政が苦しいなど。オランダ、デンマークには比較的悪材料が少ない、という一方でユーロ導入国として同様の不安を抱えます。日本は経済的に比較的落ち着いている、そういう面も踏まえて、明日は勝ち抜いて欲しいですね。

明日は参院選公示ですが、消費税が争点か?とも云われます。ただ与野党とも政権公約の中に財政再建は謳っており、幾ら批判してみたところで同じ穴の狢です。つまり経済成長を前提にしようと、見込みに足りなければ増税でとる、という姿勢は同じことになります。
そんな中、政府税調の中間報告が出ました。累進構造の弱まり、法人税率の見直しは財源確保が前提、など妥当な報告ですが、その中で消費税を社会保障へ、とも述べています。しかし今、目的税化することは注意して見る必要があります。即ち枠の決まった予算があれば、無駄遣いの温床となり易いことは、特別会計等の指摘でも明らかであり、増税における余剰分を何に使うかは、きちんと国会審議さえ経て正しい使い道さえ示せれば、特に目的税とする必要がないからです。

特別会計の事業仕分けも発表されましたが、その中の国債整理基金特別会計に焦点を当てます。財務省公表資料で、平成21年度当初予算では33兆円が一般会計の国債発行であり、80兆円強がこの基金の借換債です。つまり国債の発行総額は120兆円弱となります。一方で償還は150兆円に及び、全体では30兆円減少する計算でした。しかし補正予算で国債発行が増え、当初計画には及びませんでしたが、他の特別会計からの受入れ、一般会計からの組入れ、等を含めれば利払いを含めても借金は増えないはずです。しかしなぜかメディアで取り上げるのは、一般会計の国債発行額。44.3兆円と、20兆円の償還分のみです。規模や内容から見て、国債整理基金を議論しなければ日本の借金返済能力を語ることは出来ません。
逆に言えば、一般会計の2倍近い額の国債が、国会審議を経ずに財務省の権限で発行できるのであり、赤字が膨らむかどうかは財務省の匙加減一つなのです。なので政治家が国債発行枠を44.3兆円以内、などと述べても、それで財政赤字が減るわけではありません。つまり国の収入総枠は決して92兆円ではなく、それに近い額が特別会計として国債発行され、償還されている現状で、一般会計のみ議論しても無意味、というのはこうした点にあります。不必要なものは削減、という前に特別会計を国会審議の俎上に乗せる努力を、与党としてする必要があるのです。
菅氏の第三の道では、増税を雇用に回せば経済対策、という論法を用います。しかし予算の使い道にムダが多いことは、これまでの事業仕分けで指摘されており、徴収と分配には必ずコストがかかります。そのコスト削減がひいては行財政改革であり、ここを整理しない段階で増税は国民理解が得られません。そしてこれまでの民主党政権の成果は、来年度予算案が出る頃に判明する見込みです。そのとき、胸を張って増税を主張できるかどうか、それは取り組み次第ということであり、選挙の争点として国民に訴えるべき項目かどうかは、政治家やメディアが語るほどのことではないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(2)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年06月22日

みんなの党、たちあがれ日本のマニフェストについて

みんなの党のアジェンダをまず考えます。行政改革に積極的な党らしい項目が並びますが、どれも法改正が必要なものばかり。逆に見れば、現有勢力で無理なものばかりが並びます。かなり的をついているものもありますが、例えば官邸に内閣予算局を作り、ゼロベースから予算を見直しとしています。しかしこれをやれば、事業仕分けと同様、必要な予算が切られた、困るといった声がメディアから噴出し、袋叩きに合います。しかも財務省のサボタージュは相当で、協力なしでは推し進められません。問題は中抜きであり、予算配分過程におけるムダ抽出が優先ですが、その辺りの掘り下げはやや不足気味です。
こうした面は経済政策や、安全・外交でも目立ちます。増税なし、ムダ抽出や埋蔵金で財政運営としますが、目立つ成長戦略は無い。一般的な内容に留まります。また安全保障環境の国民議論を喚起、など肝心なところで態度が見え難い。これは党勢拡大のため、雑多な人材を集めるために個人的主張を封印しており、また経済政策に明るい有識者の協力が得られていない面もあるのでしょう。アジェンダなので、公約でない点もありますが、情報過多の時代に個別の制度に対する掘り下げ不足が、この党の弱点でもあります。公務員制度改革に伴う、巨大な官邸政策をとりますが、議員削減で成し遂げるとすれば、官邸職員を大量採用する必要も出ます。これは民主党が陥ったような、現実路線との整合に向けて、もっと積極発信する必要も出てきそうです。

次にたちあがれ日本の政権公約を考えます。個別に掘り下げているため、逆に矛盾が目立ちます。例えば高齢者の働き易さ、としているものの、働くほど年金が上がるスウェーデン方式採用を謳います。これでは高齢者を働かせない企業が増えます。子供手当てをやめ、税控除方式とするとしますが、保育所の整備が進まなければ働けないので、税控除としても対策は立ち遅れ、一度給付したものを取りやめた際のマイナス効果の方が、国民の声として厳しく上がるでしょう。
しかも減税項目が並び、一方で消費税増税を謳う。社会保障費や教育税など、目的税化を目指しており、硬直化した財政運営にとって、これはマイナスです。しかも経済政策は他党と大して変わらないため、経済成長を謳っても現実味が湧かない。目玉である保守アピールも、国民の中に根強い行財政改革が、保守の位置づけを薄めます。公務員経費2割削減、程度の取り組みでは、国民の納得が得難いのでしょう。

たちあがれ日本の矛盾の一つに、研究開発に重点があります。日本の場合、圧倒的に不足しているのはマーケティング力であり、開発費を収益に結びつける力が足りません。このためガラパゴス化が起き、日本独自技術やおかしな拘りが、世界に出る上で障害になります。先端技術が収益に結びつく時代は終わり、これからは新興国の成長に伴う、安価で汎用性の高い商品が貿易立国には必須です。
みんなの党も、たちあがれ日本も、個別に主張する点が弱いという点は共通であり、一方で中身は非常に似通ってしまう。これは両党とも、政党のプロデュース力の欠如であり、総合的な魅力の打ち出し方に失敗している姿なのでしょう。恐らく、今回の参院選は民主の2人区と過半数到達が、最大の焦点になりそうであり、メディアの報道もそちらに集中しそうな気配です。つまり小泉郵政解散時の、落下傘と同じ興味を2人区に抱き易いのです。その中で小政党が埋没せず、国民に魅力を訴えるには一ひねりした何か、が必要であり、それが風を起こせるかどうか?となるのでしょうね。

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2010年06月21日

中国人民元の改革について

先週末発表された中国人民元の切り上げ、今日は1$=6.7976元で終わり、約0.44%の上昇でした。年間7%程度、週ベースでも0.2%程度ではないか?と見られていたので、やや大きめの変動幅と見られます。初日ということもありますが、0.5%の変動幅以内に抑えようという中国当局も、当面は外向けのポーズとしても改善傾向を維持すると見られます。
この動きは来月に控えた中間層の渡航解禁に向け、人民元高に導くという国内向けの意図も含まれると見られます。それほど、労働争議に揺れる中国では、国民の憤懣が鬱積しており、それを外資系企業向けに解禁するという構図です。しかし外資系企業の給与体系が改善されれば、今度は国営企業に労働争議が向かう。賃金上昇はインフレを導くので、国内経済にも悪影響を及ぼし易い。そしてそれほど、中国は内外にガス抜きが必要な局面にある、ということです。

しかし米議会では、未だ為替操作国の認定と、制裁措置の検討がされており、中間選挙前の国民アピールですから、この程度の切り上げ幅では是認できません。選挙で苦境が伝わるオバマ政権もこの動きを容認しており、05年から中国がとったドルペッグ制で失われた米国益を取り戻すまで、やめないでしょう。当面1$=6元を目指すと見られ、後は時間軸の攻防になると予想されます。
しかし米国債の買い手、中国の離脱はある側面を映し出します。東南アジアは乱高下を繰り返し、為替介入を続けていますが、長期で米国債の買い手になり難い。日本も財政問題で、いつ売りに回ってもおかしくない。南欧の債券投資家が一部、米国債の買い手に回るも、欧州不安の再燃でいつ引き上げか先が見えない。金融規制で、リスク取引を規制するため、投資先を失う機関投資家の買いが入る、という見方もある一方、米国債バブルを指摘するレポートも散見されています。

当面は米国債売/株先買もあると見られますが、米国債の利回り上昇は、米住宅市場を悪化させ、住宅金融公庫の債務は膨大な量に及ぶでしょう。しかもこれは悪い金利上昇であり、経済への打撃も大きい。今後、米国債の動きは要注意であり、ドルが急変動する局面が訪れると見ます。
日本の市場は今日大幅高、6月は株主総会が集中し、取引が凹んで年金等がドレッシング買いを入れるので堅調ですが、良い面を織り込んだと見られます。しかし今後、確実に活発化する中国による企業買収の動き、それをどう評価するかもあり、必ずしも良い面ばかりではありません。しかも中国はバスケット制なので、円が有利になる保証はどこにもなく、中国向け貿易黒字の日本は、逆にドルやユーロの裏をとらされる可能性があるため、輸出入の正負は個別に見る必要があるのでしょう。

問題はドルペッグ制により、ドルを換金せず国内に人民元を大量にばら撒いた後始末であり、インフレ抑制を通貨高で成し遂げるとすれば、管理変動相場では国に批判が向かい易い、ということです。つまり賃金上昇カーブとインフレと、外資系工場が海外移転する条件が整い始めており、そうした負の面が通貨政策で失敗すると、一気に国への不満となるのです。バブルの収め方に舵を切った中国、ただ成長が足踏みし始めた後の動向が、為替政策を含めて困難さを増していることは、間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | アジア

2010年06月20日

公明党マニフェストについて

中国人民銀行が、人民元を通貨バスケット制に移行する方針を打ち出しました。26日のG20を前に米議会から高まる圧力、為替操作国の認定や、議会に制裁法案が出されてからでは、屈したとの印象を与えかねない。そこで弾力的な調整に切り替えた、という思惑が透けて見えます。
0.5%の変動幅は維持すると見られ、急変動はない見込みですが、緩やかなドル固定から離脱したことで幾つかの動きが想定できます。巨大な米国債の買い手が規模縮小を余儀なくされる。今年に入り、中国はすでに積み増しは手控えています。ただ昨今、米国債のバブルを指摘する声があり、いずれ暴落するとのレポートが散見され始めており、買い方の縮小は変動を大きくしそうです。人民元高への期待は相当程度高まっており、数日はそれに伴う動きも見られそうですが、バスケット制における介入程度によっては、再び人民元改革の機運が持ち上がり、それに伴う対応に中国は苦労することでしょう。

公明党のマニフェストについて考えます。トップに新しい福祉を掲げ、年金、医療、介護、雇用を謳います。弱者対策を前面に打ち出す、それ以外目ぼしい政策もなく、更に教育の無償化などが並びますから、チーム・ポリシーウォッチの言葉を借りれば「非常に大きな政府」。むしろ政策実現にかかる予算総枠で見れば、公明党が最大となるのかもしれません。
税制改革も型通りの文言が並び、9項目挙げる内の2項目、消費税増税と所得再配分を含めた見直し、という部分のみが財政健全化に寄与し、他の7項目は減税に伴うものです。これで基礎的財政収支の健全化を目指す、とする目標あって策はなし、の実態はこの党の最大の弱点でしょう。

公明は創価学会という強い支持母体があり、逆に嫌悪される傾向がある。外交・防衛は自民の真似?というほど似通っており、独自性はない。それでいて、改憲ではなく加憲という態度です。核なき世界、という創価学会名誉会長に配慮した考えも示しており、逆にそうしたものを特徴とすることも出来ます。支持母体の強固な結束に期待する一方、この党は今後も浮動票の取り込みには相当苦労するでしょう。
何より、弱者救済にかかる費用の捻出の財源がないため、バラマキ批判が強く出てきます。日本は中所得層が減り、社会的弱者が拡大する中ですが、公明が打ち出す方針には財源的裏付けがない。これは現状の民主党批判と同様の構図であり、元の嫌悪感と相まって票は集まり難いのでしょう。何より、マニフェストの信憑性が下がっている中、これだけバラマキを打ち出すことの損得論は、よく考える必要があるのでしょうね。

最後に、21世紀臨調が開かれました。民主党に厳しい点数と謳われますが、問題は昨年まで国民があれほど否定し、衆院大敗を招いた自民党の政策を、かなり高得点で評価していた団体もある、ということです。有識者であれば、政党との繋がりを捨て、無私の心で政策を見て、初めて国民の意思に沿う判断が出来るのです。それを忘れた団体の意見は、結果的に見るべき価値も低い、という点で重視すべきものではなくなってきているのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:41|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年06月19日

自民党マニフェストについて

自民党のマニフェストを考えてみます。前回もそうですが、自民党のマニフェストは随筆のような書き方で、更に今回は271項目に跨ります。矛盾を含むものや、これまで自民党政権で出来なかったのに、それをどのように成し遂げるのか?という5W1Hの最後の部分が常に抜けており、具体策は常に曖昧、という欠点を内包するものとなっている点を、考慮して見る必要があります。
つまり末尾が支援、強化、充実などと結ばれており、成果を見せ難くする操作がされているということです。実際、自民党政権下で大量の財団法人、公益法人が作られ、そこに業務を丸投げすることと、官僚が天下りすることとが行われてきました。どんな事業をどのように実現するのか?ということは、自民党が過去の反省も含め、国民にアピールする必要があり、そこは未だ示されていない。このマニフェストでは、それが読み取れない、ということになります。

一つ、官僚の天下り斡旋に罰則を設ける。天下り受け入れ企業、団体を契約などで除外する方針を打ち出したことは、評価に値します。ただ斡旋の基準や、それを判定する方法が示されない。それが随筆的書き方の欠点でもあり、責任政党の地位から滑り落ちたのに、未だにその責任から『逃げ』の姿勢が感じられる点となっています。
安全保障基本法や、国際平和協力法など、保守勢力の取り込みを図りたい意図と同時に、日米同盟を機軸に据えますが、沖縄や基地周辺住民の負担軽減を、どういうスキームで行うかが不明瞭。現状の日米関係が、米国を偏重する傾向にある以上、それを解決するには米国の妥協を引き出す努力が必要です。あくまで米国の協力を取り付けなければいけませんが、そこにグアム移転費の過大な出費があり、沖縄返還時の密約問題が絡むのですから、この点は明瞭にすることが求められます。

そして最大の問題は、対民主党の文言で彩られている点です。悪いことを言えば、そんなことをしている間に、自民党自体が第三極、小政党に転落しそうです。つまり問題意識の持ち方はマニフェストで理解できるものの、これまで出来なかったことを、どう実現するかを問われた際、国民には伝わらない。一方で、対民主党の政策ばかりなので、独自性も見出し難い。政党として、埋没が懸念される中で、独自性を打ち出さなければ国民から見捨てられる、ということです。
消費税10%も、日本は付加価値税が低いと云う図を載せますが、個人の納税額が諸外国と比べて低いかどうかが分からなければ、現状の税率を云々することは出来ません。こういう見た目に拘るのではなく、野党とは真剣に法案に向き合い、国民にアピールできる独自の政策を打ち出してこそ、国民の期待も集まるのです。自民党は与党時代から、やたら野党の動向ばかりを気にし、政権運営してきましたが、このマニフェストでもそれが垣間見える点で、重症ということになるのかもしれませんね。

analyst_zaiya777 at 23:42|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年06月18日

民主党マニフェストについて

民主党のマニフェストを考えてみます。特筆は特別会計の見直し、不要なものは廃止としたことです。消費税ばかりに焦点があたりますが、財務官僚の最も嫌がる特別会計に手を入れることが、本当にできるかが試金石です。民主党のマニフェスト内にも、来年度は国債発行額で今年を上回らない、5年後までに基礎的財政収支を半減、10年後には黒字化を謳います。
しかし一般会計の国債発行を議論するのではなく、約20兆円の返済資金が組み込まれる、特別会計の国債整理基金特別会計を含めて議論しなければなりません。即ち、この特別会計も借換債を発行しており、国債発行は単純に44.3兆円ではない、ということを含めて議論する必要があるからです。80兆円以上が、特別会計として国債発行されている現状を、もっと国民も知るべきでしょう。

消費税、法人税の税率もメディアでは10%、25%などと流れますが、マニフェスト上は数値の記載がありません。むしろメディアの報道には、民主党の増税路線を際立たせよう、との意図もあります。政策実現力がある政党は、常に責任を負います。そのため民主党は数値の記載は取りやめた。一方でそれを咎め立てし、そうした行為を許すまじ、とメディアが動いていることになります。
政治改革で、国会議員経費2割減、と述べる1つの施策に歳費の日割り、というものがあります。一方で通年国会を提案しており、経費をどう削減するか見えない提案もあります。給与制をやめても、通年国会で毎日歳費として支払われれば、あまり意味はありません。現在のように年間の約3分の2しか国会を開かない、となれば削減も可能ですが、この項目は若干矛盾を含むのでしょう。行政改革の項目に、公務員人件費2割減が残りましたが、こちらの進捗もムダ削減に繋がるかを見る、一つの指標となるでしょう。この辺りは廃案となった公務員制度改革にも関わります。

10年後までに実質成長率を、平均して2%超の経済成長を謳います。しかし昨日も取り上げたように、法人税減税を盛り込んでおり、逆にこの程度成長しなければ、税収減という仕組みです。インフラ輸出やEPA、FTAの締結も盛り込み、外向けに官民合同で積極姿勢となったことは評価できますが、日本ではむしろ国内での競争を前提に、企業が乱立した状況が継続しており、官民合同事業として一企業に肩入れすれば、それはそれで問題視されることになります。バランス感覚と、程よい官民の付き合いがなければ、この点は後に癒着の温床になり易い、ということは考慮すべきでしょう。
全体的に見て、前回の衆院選を現実路線に近づけた、という印象です。政権政党になって9ヶ月、理想論では済まない、地に足がつき始めたといった感じなのでしょう。ただそれであっても、国がこうなるという理想、夢を語れなければ政治ではありません。停滞やマイナス成長など、本来あってはいけないことです。この辺りは扱いが小さくなった、年金制度改革などの社会保障の充実に、今後どの程度具体策を打ち出し、国民を納得させられるかもあります。民主党が大きな政府型であることは、誰の目にも明らかですが、だとすれば社会保障の充実のために、弊害を生む規制や財源問題に積極的に取り組むべきでしょう。幼保一元化など、臨時、通常国会を経たのに未だ進まない政策を、今後どう進めるかを積極的に発信する必要があるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:34|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年06月17日

法人税減税は必要なのか?

各党の参院選マニフェストが、続々と発表されています。個別にはいずれ確認したいと思いますが、一つの政策について取り上げたいと思います。それは法人税減税です。某研究所が実効税率を10%下げると、10年目にGDPを1.1%押上げ、との試算を出しています。試算もこれだけ諸条件を無視できれば分析としては楽です。日本では以前から、税制の一つを取り上げて多寡を論じるケースが多く、それでは一義的なものの見方しかできず、効果を検討しても無意味と云わざるを得ません。

自民党マニフェストには法人税率20%台が乗るようです。ただこれは民主党も税制見直しの1つとなっており、自民の占有事項でもありません。問題は、法人税減税に見合う税収増を、どの政党も経済成長に置いている点です。某研究所も、企業の設備投資と外資の日本進出を取り上げ、経済成長に寄与すると説きますが、三角買収が解禁されても日本に買収の手が伸び難い中、外資が日本国内に新規投資するとは到底思えず、これは法人税の実効税率より、日本市場の見方としてデフレや福利厚生を含めた高い人件費に、積極投資をする魅力がないために見送られるのです。
法人税減税の果実は、日本企業による外国企業の買収と、外国への工場移転費に回ることは確実。現状では、中国進出企業による中国からの工場移転費として用いられます。それほど中国で労働争議が活発化しており、中国に工場を置くリスクに、現在企業は晒されているのです。なので、日本の法人税減税の最大の効果は、東南アジアか南アジア辺りで起きることでしょう。

更に国内で景気が上向かなければ、経済成長もなく、その分の増税を余儀なくされます。一方で消費税増税分は社会保障費、という流れですから、増税は所得税かそれ以外の税収で賄うしかありません。自民も財政に責任といい、民主も強い財政といいながら、どちらも経済成長という画餅を政策に組み込んでいる、という点で信が置けないことはとてもよく似ています。
法人税減税も、いずれ世界の情勢を見て必要だとは考えます。しかしそれは今ではない。経済が堅調な回復軌道に乗り、新規で生まれる需要と、雇用創出に対応する意味で法人税減税をするなら、初めて議論の俎上に乗ります。経済が下方トレンドを招き易いときは、ただの税収減を導くだけであり、財政を更に悪化させる要因になる。財政悪化による国の信用力に対する悪材料の方が、よほど日本経済にダメージであり、効果より最悪の結果を招き易いという、負の側面に目を向ける必要があります。

日本から企業が逃げる、とよく有識者が語りますが、実態が日本国内にあれば課税は可能です。税率の安い国にダミー会社を作り、役員が全員移住でもするのでなければ、税として徴収は可能なのです。国外利益にも日本の税率を適用していた以前ならともかく、日本企業が海外に流出する、というのは拙速に過ぎる議論です。税制は全て連関し、バランスの狂いが経済を成長させもしますが、一方でマイナスを招き易いものです。一面的な見方をやめる、ここから始めなければならないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:23|PermalinkComments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 政治

2010年06月16日

経済の話。株高は年金買いの流れか?

第174通常国会が閉会しました。異例ずくめ、与野党とも不慣れな試験飛行といった体です。自民党政権時代、形式的には和して同せず、即ち与野党が歩み寄りという形で国会が運営されましたが、予算案をあっさり通した反省から、野党が政治とカネを軸に徹底抗戦。委員会の開催が、音信不通でできないなど、子供の喧嘩の様相です。
以前から指摘しているように、野党は対案や政策を提示して国民にアピールする姿勢をとらなければ、期待は集まりません。欠席戦術や与党の追及も、それに付随して出てくるようでなければ、与党批判票の受け皿でしかないのです。そしてその受け皿は新党乱立で拡大しており、今回の支持率の高さで『強い政権』ができてしまえば、合従連衡型の政治に日本は陥るでしょう。野党は合従、与党は連衡を目指すという政党間政治であり、国民に分かり難く政治不信を招きかねません。郵政法案を数で押し切った与党の対応とともに、野党も国会を大人にする努力が必要なのでしょうね。

世界の市場で同時株高です。キッカケがあった訳ではなく、W杯で市場参加者が減ったことで、6月で半期の決算を迎える年金基金が、ドレッシングを入れ易くなったとの見立てが大勢です。年金は各国で債券を比率に組み入れており、欧州不安の中で南欧諸国の債券が価格低下、資産の目減りを招いています。またアクティブ運用で、米国債に逃避した流れが、米国債の価格上昇に伴い絶好の売り場となり、債先売/株先買を入れ易くなった点も指摘できるでしょう。
ユーロは突っ込んで売った層が買戻し、一方でドルはユーロ売/ドル買の流れに追随し、円に対してはユーロの戻りほど強くない。米国債の利回り上昇が円安を抑えている反面、原油や金はドル安を見込む流れとなるなど、直近の資金の流れは欧州系が主導していると見られます。

この流れが続くか?というと懐疑的です。日本市場は信用買残がつみ上がり、一方で裁定買は縮小です。欧州の調達金利はじんわり上昇しており、新規資金の流入は、この流れが一服するかで決まります。年金など、資産規模の大きい、調達して運用するタイプでない投信などは買い手になりますが、それ以外の運用は調達金利の高まりとともに、リターンが難しくなるからです。
欧州リスクが一服、とも伝わりますが、問題は何も解決されておらず、国債入札が好調であることなど、本来当然とも呼べる状況です。しかし今はそれを好感し、市場が上昇するなど思惑が走り易い状況にあるといえます。6月はこうした資金が入るものの、その後の市場動向は極めて不透明であり、むしろ買いの手が止まった後の、反動を心配するような状況なのでしょう。
菅政権が目指す「強い経済」へのリポートも続々と出ており、市場関係者からは菅政権の経済運営に、やや懐疑的な見方が増えています。期待感はあれど、手腕と手法が未知数であり、内容を精査する手立てがない。という点で、やはり評価がつけ難いことは否めませんが、少なくとも外国人投資家には伝わっていない、ということは裁定買の状況を見る限り、間違いないのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 経済 | 

2010年06月15日

日銀の新貸出制度

昨晩の日本対カメルーンのサッカー。日本が守り勝つ、というイケイケではない、久しぶりに忍耐の勝利をもぎ取った形です。無失点であれば負けない、という基本に立ち返って、下馬評を覆しての勝利であり、喜びも一入です。今後も期待をもたずに応援しよう、そう思わせましたね。

国会日程がもめています。与野党ともに上手くないのは、時間がないからと初めから妥協案を提案した与党と、これなら押せると、与党の支持率急進に焦る野党が強硬な態度で臨んで、決裂です。しかも野党は国会運営の非をならしますが、閉会間際に予算委を何日も開催することに、何の意味があるのか?国民にその真意が伝わらず、結果的に痛み分けの状況に陥っています。
以前も指摘したように、この政権に過去は問い難く、予算委を開いても未来志向の話しかできません。何日やっても継続審議となる法案以外、政策は概念論で終始せざるを得ない。無駄な質疑を省けば、1日で十分なのです。結局折り合えない、これが現状の与野党の関係なのでしょうね。

日銀の政策決定会合が開かれ、既報である新貸出制度が発表されました。総額3兆円、0.1%の固定金利で、金融機関経由で成長産業向けに融資するものです。菅政権が打ち出した強い経済の補完として、日銀が資金供給の対応をするものです。ただ現状、企業向け融資は滞っており、甘い審査で貸し出せば不良債権リスクを抱える金融機関も、貸出しを伸ばせないのが実情です。
ギリシャ国債の格下げで、グローバル・ソブリンの資金逃避が、更に加速する可能性が出ています。スペインも国や銀行が資金を得られない状況が続いており、こうしたところにも、資金の目詰まりが見られます。つまり貸出しなど、運用先に困る状況が各国で続々と創出されています。

英資源大手BPも、メキシコ湾原油流出事故で格下げされ、米政府が求める200億$規模の基金、という話も資金ショートを疑わせます。配当が滞れば年金運用などに影響しますし、米国では半分に落ち込んだADPの価格が、本国では10%の下落で済むのも、機関投資家が必死で買い支え、損失を出さないようにしていた面もありますが、格下げが相次げば、売りが加速する可能性さえあります。
日銀は流動性供給策ではないとしていますが、資金供給で景気回復を促すのか、景気回復で自然と融資が伸びるか、といえば前者の対策です。しかし世界でも資金が目詰まりを始め、更に金融機関に資金だけ積み上がる、という状態が今後も創出されます。問題はそれを均すことであり、そこは政治の役目。一方でモラトリアム法に見られる政府の対策は、やはり前者の対応が目立ちます。金融担当相が自見氏、という極めて不透明感が高い中で、政府への配慮だけで打たれる今回の対策。あまり意味がないものだけに、日銀は再び重い十字架を背負わされ、政治との圧力の中で金融政策を打たねばならない、ということを象徴する動きとして捉えられるだけなのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:27|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 経済

2010年06月14日

雑感、角界の野球賭博

はやぶさが地球に帰還しました。小惑星イトカワの土を持って帰る、その成否が鍵ですが、大きな星は水素から重水素、ヘリウムへと核融合し、エネルギーを放出しながら最後は鉄の状態まで核融合します。その後、超新星爆発を起こしますが、その時に鉄より重い原子が作られ、宇宙空間にチリとなって漂います。それが集まり、太陽系が生まれましたが、星まで成長したものは地表までマグマオーシャンのドロドロの状態となり、重粒子は地下へ沈みます。イトカワはそうした状態を経ず、太陽系が誕生した時のまま、表層には原子の組成が見られることが期待されています。
ただアポロが持ち帰った月の石は、地球のものと全く同じ。それが地球と月は元々一つで、グレートインパクトで分裂したとの説に繋がります。一方、アングラではNASAが月着陸を捏造し、石も地球のものだとも語られます。そうした論争にも『一石』を投じる可能性があります。ただ下衆の話ですが、今から映画、テレビ業界から『はやぶさ帰還譚』は垂涎の的となっており、商業的にはダイヤモンド以上の価値をもった、ということは熱狂ぶりを見ても確実なのでしょうね。

角界が野球賭博で揺れています。関与した力士が29人、賭け麻雀が36人いたと発表、暴力団の関与を認めた親方までいます。以前なら、野球賭博と言えばプロ野球選手の関与が疑われました。巨人戦以外注目もされず、薄給の選手数名が報酬を得ようと組み、チームの勝敗を操作していたというもの。ただ職業野球という文言が使われなくなり出した辺りから、野球選手の待遇が改善され、全試合が録画されるようになり、選手の関与は低下してきたのだと思われます。個人で勝敗を左右できるほどの、大選手がいなくなったという面も指摘できるのかもしれません。
力士はサラリーをもらい、生活します。基本的には薄給ですが、タニマチからの支援や勝利し、賞を獲得していくことで上乗せされる。弱かったり、そこそこの活躍では財をなすのも大変です。日本ではスポーツをしている人間を『健全』とみなしてしまいがちですが、早い段階から一つの世界に染まり、社会性をその世界だけで養う。これは極めて異常であり、誘惑にも弱くなるのでしょう。これは一人一人の意識の問題もありますが、体質全体を見直す必要があるのでしょう。

今回は野球賭博や賭け麻雀ですが、馬券の依頼など、暴力団との繋がりの中で賭け事は多様に存在します。浮上したのは氷山の一角、むしろ今回は自己申告であり、拡大する可能性があります。兄弟子が行っていれば、その下は疑いようもなく追随しますし、賭け事は一種の興奮剤と同じなので、外れた悔しさと当たった時の満足感は、勝敗に拘る世界にいれば自然にのめり込みます。
さらに言えば、角界の汚染が拡大している、ということは他のスポーツ団体でも、同様の問題を抱える可能性があります。角界だけが特殊、とするにはあまりに数が多く、かつ一般性の疑えるものです。これを『他山の石』とするには、すべての膿を出し、問題点を抽出しなければいけません。ただ相撲協会の記者会見を見る限り、石に立つ矢というほどの信念もない。これが事勿れ主義を貫いてきた組織的体質、とするにはあまりにチープな対応であり、解決の困難さを垣間見せる部分なのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:28|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会 | 一般

2010年06月13日

雑感。参院選の票読み

民主党に早くも醜聞が持ち上がっています。荒井国家戦略担当相の事務所費問題ですが、悪材料の割りに盛り上がりに欠けます。国民が、自民も民主もどうせ政治家は同じ穴の狢、と諦めているのか?それとも、それより行財政改革を重視するのか?ということで見れば、前者の方がやや分がありますし、それ以上の政治とカネの追求で、国民は飽き飽きしている面もあるのでしょう。

菅政権の高い支持率で、参院選の票読みが難しくなりました。民主は30台と見ていましたが倍増、単独過半数すらあり得そうです。ただこれだけ追い風が吹くと、国民のバランス感覚で票がバラけるとの予想もできますが、直近の選挙動向を見る限り、世論調査の支持はかなり高い確率で、風向きを教えてくれます。政党支持率も30%後半なら、今の小選挙区、比例と二重投票が可能な選挙制度では、単純に2倍という計算も可能であり、本当に60を超えてくるかもしれません。
自民・谷垣総裁は与党が過半数を獲得したら辞任、と述べています。自ら自民40を目標としましたが、厳しい選挙を意識した形です。一つは谷垣総裁は真面目さが売り、なのに実直に政策を訴えることをしていない。自民党は訴える看板も、掲げる幟も立たず、与党批判票に期待するしか手がありません。そこにきて与党の支持急回復ですから、古い時代の野党的国会対応が、ここに来てマイナスに作用しそうな雲行きとなっており、それを谷垣氏も自覚しているのでしょう。

小政党はさらに微妙です。新党改革もたちあがれ日本も、訴える政策の肝がない。理念や個人への期待だけでは得票数も伸びない。みんなの党も民主の脱小沢で、急速に改革期待が再燃したので支持を落とす形となっており、戦略の見直しが必要となりそうです。つまり行財政改革なら一緒に民主と仕事をできるかも、という与党の追い風に乗る戦略を、とる可能性すら出てきています。
社民は一部で支持が上昇していますが、連立離脱で存在感は示せても、政局としてみれば万年野党に転落なので、投票行動には結びつき難い。国民新は完全に埋没です。公明や共産は、既定票は手堅くとも、与党に票が集まり易くなれば不利なのは自明。それ以外の小政党も同様でしょう。

風が大きくうねらなければ、民主は60に上積みが可能か、自民は30超えられるか、公明、みんなの党が10前後、後を他の党が奪い合うという展開を、参院選では焦点として見ることが可能です。1ヶ月前に起きた政権交代、政治家にとっては一種の神風、暴風雨を巻き起こす、魔法のような手法として今後も認識されるのでしょう。これもまた日本の政権が長期化しない、そうした要因とならなければ良いのですけれどね。

analyst_zaiya777 at 23:26|PermalinkComments(4)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年06月11日

菅首相の所信表明演説について

亀井郵政・金融担当相が辞任です。これは小沢幹事長の辞任で、今後強気の態度がとれない亀井氏が、郵政でスジを通した形です。しかし今日の市場は亀井辞任を好感、金融関係の株価は上昇しました。財政出動論者であり、金融担当閣僚の辞任を悪材料としないのは、今日は外部環境もありますが、郵政改革法案が悪法との認識があるためです。つまり良い法案なら辞任で男を上げますが、悪法なら単に悪者が閣内から去る、というだけの話。社民はスジを通したもののタイミングを間違えた、国民新はスジの通し方を間違えた、連立離脱とはかくも難しいものです。

これで参院選日程は来月11日で確定です。野党は国会延長を要求していますが、幾ら見せ場作りと言っても、見せ場にならない可能性もあり、投票日を先送りしてもプラスかどうかは分からない。むしろ事務所経費が嵩むだけ、ということで恐らく衆参の予算委1日開催で手を打つでしょう。
そんな中、今日は菅首相の所信表明演説が行われました。従来の主張が主ですが、その中で財政健全化を超党派で議論しよう、と呼びかけています。税制を政争の具にしない、という意味ですが、本来これは与党に都合の良い提案です。しかし自民は消費税増税の明記を『責任』としているので、野党にも都合が良い。ただ争点がボヤけるという意味で、野党が受けることはありません。

ただ最小不幸社会との提案は、やや全体主義的な側面も見えます。全体主義とは公と私を一体と捉えるもので、マルクス主義は取り入れないものの、ファシズムと共通項が多いため批判も多いものです。本質的には保守的傾向に近いのですが、表層では社会主義的であり、H・アーレントは彼の著で「美しいからこそ恐ろしい」と批判しています。つまり理想型、ということです。
ただ文脈にも現れるように、全体は現実主義。踏襲という面が強いので、無難な内容です。公務員制度改革に触れなかったのは、やや意外ですが、無難すぎて攻め所も少ないでしょう。官僚の書いた原稿、という印象はありませんが、制度や仕組みの縦割り見直しをどの程度本気で取り組めるかが、公務員の利権に切れ込める一つの手段でもあり、重視と述べているので注目できる点です。

そして底流にあるのは内需拡大です。外需依存からの脱却、という政策が随所に見られ、それに導かれる雇用として最小不幸社会、という理想があるのでしょう。違う見方をすれば最大幸福社会とは高成長型、最小不幸社会とは低成長でも、実のある路線という形のようです。
現状は、確かに高成長型を目指した結果としての歪みが目立ちます。しかも世界は今後、暫く低成長型にならざるを得ない。バブルを創出してしまった以上、どんなに上手に収束させても、マイナス面を享受しなければなりません。日本も低成長型の、足元を固める期間に打ち出す政策としては、無理して背伸びをしない分、良い内容とも言えるのでしょう。ただ最終的な形が理想型であるだけに、方策としての政策などに矛盾が見えないかは、よく確認する必要があるのでしょうね。

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2010年06月10日

経済の話。最近の統計データ

国民新党が郵政関連法案の今国会成立を主張、国会会期が決まりません。国民新にとって、安易に呑んでは印象が悪いという意味もありますが、亀井氏の態度は郵政をカードにしている雰囲気を滲ませます。菅政権の下では、小沢氏頼みで組んだ連立なので覚書に頼らざるを得ない。郵政という強いカードで、連立の優位性を保つ。一方で多数党につかなければ郵政法案の成立はない。
この動きの中で、郵便局長会が国民新の動きをどういう目で見るか?ということが、今後の投票行動として現れてくるのかもしれません。成立を焦り、再び政局化すれば郵政法案もまた見直される可能性がある。成立でやれやれ、とならないことは直近の動きで振り回された、郵便局長会も身に染みているでしょう。郵政をカードに政局を動かそうとする国民新、というのは非常に危ない橋を渡るようなものです。脱小沢の動き、これは国民新も厳しい状況に置いたのでしょうね。

日本の1-3月期GDP改定値は、前期比1.23%と速報の1.21%から上方修正されました。個人消費、住宅投資が速報値より高く、一方で設備投資は下方修正。内閣府は「景気は回復局面に入りつつある」と、判断を上向きに示しましたが、世界各国が緊縮財政に舵を切り、景気対策が打たれない。購入補助制度の打ち切りなど、今後数年の間は確実に低消費社会が訪れることになります。
先日発表された景気ウォッチャー調査は、先行き判断指数(DI)が48.7と1.2ptの低下を示し、景気動向指数も101.7と0.2ptの低下です。4月でエコポイント対象商品が絞り込まれ、春先からの天候不順で季節ものの売れ行きが芳しくない。高校無償化など、一部は消費に回るものの、今後の景気には低消費の下での消費行動、という視点の目配せが必要となるのでしょう。

日本の株式市場は明日メジャーSQですが、ロールオーバーも終わり、無難に通過しそうです。ただ政府の示す景気判断とは別に、市場は取引ボリュームが縮小傾向にあり、海外投資家は資金引上げと、静観という姿勢がはっきり見て取れます。一方で米系と見られる買い、日本の年金と見られる買いなどもありますが、実需で買っている印象はなく、短期との見方が強まります。
米国でもバーナンキFRB議長や、政府要人が楽観を訴えますが、住宅購入支援制度が終了し、ローン申請件数が急減。影響はこれから出てきます。欧州不安の影響は小さい、と盛んに喧伝されますが、米国では小規模のファンドや特別目的企業(SIV)など、実態を掴み切れない部分もあり、あれだけの経済規模の国が影響を受けないはずがありません。逆に、大きな負債を抱える懸念を払拭したい、ということであるなら、バーナンキ議長発言も、まともに聞くことはできないのでしょう。

市場は当面、日米とも1万という数字に拘る展開が続きます。ただそれは、節目という意味であり、実態が伴うかどうかは、世界経済が財政出動のない、景気対策が打たれない中でどうなるか?という読みが必要なのでしょう。それでも順調に成長できるようなら、どこかで無理をしているのであり、それもかなり将来に禍根を残しそう、という点では厄介なのですけれどね。

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2010年06月09日

英独の歳出改革と日本の財政健全化

参院選日に関して、国会日程にも絡みますが、仮に7月25日とすると検察審査会の判断とも絡みますので、7月11日が現実的なのでしょう。所信表明演説、代表質問、野党に配慮すれば衆参で1日ずつ予算委を開いて、国会を閉会させるのが通常です。ただこれは自民党時代の判断で、民主党では異なる結果を導く可能性もあります。どちらにしろ、風が吹き始めたら止めるべきではない、という判断が克ちそうです。選挙モードに入っている以上、党利の方が優先されるのでしょう。

欧州では格付け機関が、英国財政に苦言を呈し、更にEU統計局がブルガリアの経済指標に疑問を投げ掛け、調査団を派遣することになりました。ブルガリアは隠れ債務があり、財政赤字の比率をGDP比1.9%から3.7%へ見直し、ギリシャの7分の1のGDPしかありませんが、小国に拡大する統計データへの不信。これが今後の経済に対して、暗い影を落としそうです。
更に英国ではGDP比11%の財政赤字削減策に、福祉部門への切込みを示唆、公的部門の年金引下げや、財政全般の歳出改革に取り組む姿勢を示しています。ドイツもユーロ圏の支援額を捻出するため、4年で800億ユーロの歳出削減を発表。こちらは軍事費削減に切り込んでおり、公務員1万人削減、賞与取りやめなどが柱となりそうです。

現状、菅政権から聞こえてくる日本の財政再建策は、消費税、法人税などの税制抜本改革が柱です。国債発行額44.3兆円ばかりがクローズアップされますが、これは前年実績を上回らない、という宣言であって財政面の効果は?です。44兆円国債を発行しても、50兆円償還すれば年度単位では6兆円の赤字削減です。逆に国債発行を20兆円に抑えても、10兆円しか償還しなければ10兆円の赤字増です。これはかつて用いたプライマリーバランスの改善、という言葉がが一人歩きし、国債発行枠にばかり目を奪われている、若しくは財務省がそう仕向けているに他なりません。
消費税増税と、法人税減税が同時に行われるなら、これは直間比率の見直しであり財政再建ではありません。比率の差で±は出ますが、トータルで財政再建を促すものではない。亀井氏の「経済が疲弊している時の増税は無意味」発言も、ならなぜ今預金受け皿である、郵貯の預金枠を変えるのか?ということと矛盾しますが、菅政権からはまるで税制改革が財政再建と一体であるかのような発言が、目立つのも事実です。

政府が使い道を間違えなければ経済は成長する。これが菅政権の経済・財政の柱ですが、問題はこれまで使い道を間違え続けていた行政機関に、国民の信頼がない点です。英独が打ち出す歳出改革、財政政策を見れば、日本との対比として浮かび上がります。公的機関への支出を減らし、赤字を減らす財源に不足する残りを増税に頼る、という形にしなければ国民に訴える根拠に欠けます。
各国が緊縮財政に舵を切れば、輸出主導の日本経済には深刻な打撃があります。4月機械受注は4%増、ただ非製造業が5%以上の伸びで、これが牽引した形です。鳩山政権が打ち出した10年度予算を見れば、内需の活性化がこうして現れた形です。しかし今後、国内経済の成長を阻害せず、財政再建をする手法のまず第一がどこにあるかは、英独に学んだ形で日本でも検討を進めなければいけないのでしょうね。

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2010年06月08日

菅政権が発足

菅内閣が発足です。東証はご祝儀買いが入り小幅上昇ですが、急落のきっかけになったハンガリーでは、政府が国外に向けて財政は健全と謳う態度と、国内向けに前政権の赤字隠しで財政が厳しい、と訴える姿勢の矛盾を指摘されています。選挙時に約束した減税を行わない、その口実にしているのではないか?という指摘ですが、これがハンガリー政府への不審に繋がっています。
米国でも、5月雇用統計発表前に、政府要人から雇用は強いと相次ぎ発言。それが予想外に低い数字となり、急落を演じました。ファンドマネージャーからは政府への恨み節も聞かれ、こうしたものが続けば、米政府に対する不信感が高まり、投資不適格となっていくことでしょう。

菅内閣に対し、メディアによるネガティブな報道も目立ってきました。政治とカネの追及は終わっていない、党内抗争、9月まで難局、など。これは緊急世論調査で、民主党支持が急騰したことによる警戒感、揺り戻しによる平滑化を引き出すため、の動きです。脱小沢で新政権発足を盛り上げ過ぎた、メディア側の反省の部分や、新政権がもつ厭らしさに気付いたため、でもあります。
選挙では政権与党には、政策実行力や国会運営の結果と今後の期待が、野党には国会対応と対案などの政策立案能力が、それぞれ問われることになります。しかし菅政権は期待のみで選挙を戦える。野党は党首の首をすげ替えようと、体制を変えようと、中々期待は高まらない。つまりこれだけ与党有利の選挙は未体験であり、メディアも期待を煽ることに、尻込みをし始めたのです。

メディアが小沢氏を悪と決め付け、徹底的に叩いた結果、小沢氏が党の要職を外れただけで、これだけ国民の期待が高まる。これは振り子です。小沢氏がでしゃばり過ぎて、参院選で敗北すれば小沢氏に責任論が降りかかる。党を割れば郵政選挙と同じ轍を踏むし、進行中の公判も、与党に居た方が有利に働くという読みもある。ただじっとしていれば、参院選で民主が勝利して党内に反小沢組が増え、更に党内の居場所をなくす。小沢氏は政局の場面で輝きますが、振り子が脱小沢に振り切った現在、身動きがとり難くなり、それが菅政権に有利に働いているのです。
自民からは左翼政権だ、と述べる人物がいますが、右も左も保守も革新も、日本の政党は色分けがし難いため、その主張で国民の支持を得ることは不可能なのでしょう。反小沢を対立軸に打ち出した新党も、軸を変更せざるを得ない。この時点で、期待が高い政権与党に対し、明確な対立軸を打ち出すのは、個別政策でも難しい。そうした判断が理念や定義づけに逃げてしまう理由です。

ただ菅政権の弱点は、菅氏が喋り過ぎることなのでしょう。先に示したハンガリー、米国政府要人の不用意な発言で、市場が混乱を来たすように、今は市場の動揺を容易く誘えてしまいます。円安容認発言や、財政への言及など、一歩間違えば売り浴びせの要因になります。この政権は、菅氏の個性とともに攻撃型にならざるを得ない。時に言葉を慎重に選び、守勢に回らなければならない政権与党の、その枠を守れるかどうかが長期政権を担えるかの鍵なのでしょうね。

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2010年06月07日

丹羽氏の中国大使内定について

中国大使に伊藤忠商事相談役・丹羽氏が内定しました。主要国へ民間人起用は初、しかも実際に商社を率いて政、官、民と交渉をしてきた人物です。外務省内ではチャイナ・スクールが存在し、中国に対して一定の派があると噂されます。しかしそうした中国寄りの派の頭を跳び越して、直接外交官が選定されれば、これは外務官僚にとって脅威となるでしょう。
実際に現地の人と交渉し、相手国の国情に詳しい人間は民間の方が多く、外交日程に応じて他国と協議する外務省では、明らかに見劣りします。駐露大使館や、それ以外でも豪勢な仕様が問題となりましたが、外交官には様々な特権があります。そこに外務官僚出身者が送り込まれる、即ち隠れ天下りとして放置されてきました。既得権益が剥がれ、やっと日本が外交面で実務型を配するようになる、という契機として捉えれば、これも好機と受け取ることが出来ます。ただ日本では、特に伊藤忠商事という1社の権益に繋がることを嫌い、批判する人間も現れます。丹羽氏は小泉政権から民間人の有識者として、政府に協力してきた。今回もそういう形で、収まれば良いのですけどね。

そんな中国では天安門事件から21年です。当時に比べ、経済が順調で政府への不満は少ない、というのが専らですが、『一犬、形に吠ゆれば、百犬、声に吠ゆ』という言葉が中国古典に出てきます。民衆煽動に容易いことを云う言葉ですが、中国はギリシャ型の財政問題を抱えると以前述べましたが、不動産バブル崩壊が顕著になり、6月内とされる地方財政への調査報告。そうしたものが出てきて、虚構の経済が判明すると、一犬が百犬になって、政府に噛み付くことになるのでしょう。
少し気になる動きが、北朝鮮による鴨緑江の密輸船銃撃です。北朝鮮にとって、中国政府との関係の拗れは本来避けたい段階です。密輸船を黙認してきたこれまでと異なり、銃撃という手段に及んだからには、北朝鮮にも何らかの主張があるはずです。それが後継人事なのか、経済支援なのか、どちらにしろ北朝鮮によるギリギリ外交が、中国へと向かい始めた点です。

しかも北朝鮮が最高人民会議を招集、首相を更迭したと伝わります。北朝鮮の動きは読み難くなっており、軍部も後継候補就任前に殊更強硬路線に舵を切り、結果を残したいとされています。その段階で、中国は何らかの対応を迫られており、韓国の安保理提起などに対する態度も、中国の動きを難しくしています。しかしもう一歩踏み込めば、ユーロ圏でドイツが陥っている域内国家をどこまで救済できるか?というレベルでの、中国の決断が迫られているのでしょう。
日本がこのタイミングで、中国外交に真剣に乗り出す。その端緒として丹羽氏の就任があれば、非常に良いタイミングなのでしょう。ただ中国バブルが弾けると、東アジアとの緊密な関係が、逆に作用する可能性も捨て切れません。あくまで、日本が優位を保つ戦略として、米国のポチとされた一犬としての状態ではなく、世界と上手く立ち回れるような外交を、外交官含めて描いていかなければいけないのでしょうね。

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2010年06月06日

雑感。菅政権の経済政策について

菅政権の骨格が、徐々に明らかになっています。枝野幹事長、仙谷官房長官、樽床国対委員長、安住選対委員長、細野幹事長代理辺りが確定といったところ。玄葉氏は政調、荒井氏を国家戦略相、蓮舫氏を行政刷新相、海江田氏も閣僚として名が挙がり、反小沢シフトが鮮明となっています。
一昨日、政権交代準備内閣か?としましたが、自民党の一部からは郵政選挙と構図が似てきた、という指摘があるようです。抵抗勢力として、党内対立を描き出した郵政解散と、この反小沢シフトが酷似するというのです。党を割り、落下傘候補を立てるような劇場型にはならないものの、これが小沢隠しなのか、小沢外しなのか、という見方によっても判断は違ってくるのでしょう。

ただ岡田外相、北沢防衛相が留任であり、普天間問題に関しては当面動きそうにない形です。個人的には田中真紀子氏、鈴木宗男氏を外務閣僚につけ、岡田外相を防衛相に横滑りさせる形が、波風の起き易い人事と期待する部分もあります。つまり外務官僚が執拗に追い落とした両名が、政権交代とともに復権する。これほど官僚にとっていやらしい人事はないからです。
菅首相の経済政策で、1つ注目したい点は党代表選で特別会計見直しを示唆した点です。ほとんど注目されませんでしたが、財務官僚の意見をよく聞く、とまで揶揄された菅氏が、財務省の最も嫌がることに言及した。これを財務閣僚時代はじっと陰に籠り、波風立てないようにしていたのか?それとも高揚し、口走ってしまっただけかは考察する必要があります。

メディアは消費税引上げと、法人税引下げに焦点を当てます。しかし財政を雇用、需要創出に向ける、自ら第3の道とした手法に、特別会計見直しの方が、効果があることは自明です。即ち重点投資を阻害する要因、特別会計を見直せば現状、必要な政策に予算をつぎ込めるからです。つまり経済全体に正負両面で影響を与える税制の前に、財政の仕組みで資金を捻出できるかどうか、実はこちらの方が事業仕分けも含め、民主党政権の生命線ともなってくる政策なのです。
日産・カルロス・ゴーン氏のリストラ路線も、菅氏は批判しています。企業体として生き残るために、リストラは必要です。ただ企業はそれでよくとも、国家は代替の受け皿を造る必要がある。その違いですが、竹中路線の最大の間違いは、富の集中を容認しつつ、経済が集中した富から投資によって拡大する、と説いた点です。社会的に縮減が必要になった企業以上に、国が新たな需要を造らなかったことが竹中氏が描いた経済戦略が、今の停滞を招いている原因でもあります。一私企業を捉えて、それを全体として語るのはやや行き過ぎ、誤りの部分でもあるのでしょう。
ただ財務官僚と本気で戦い、財政に目配せする気概が持てるなら、意外と『やる』政権になる可能性もあります。菅氏は変わり身が早いとの見方もありますが、財務大臣の時代に培った知識を、厚生相時代のように隠れ資料の提出に結び付けた手腕とともに、隠れ財産を見つけることができるのか?むしろそちらに注目した方が良いのでしょうね。

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2010年06月05日

中国が抱えるギリシャ型財政の問題

米国で4日発表された5月雇用統計で43万人増となり、市場予想50万以上に遠く及ばず急落を演じ、ダウは1万$を割れました。政府雇用も乗った数字であり、民間ベースの弱い雇用を嫌気した形です。景気回復が民間雇用に波及、そのシナリオの見直しを迫られています。
また欧州不安の再燃が影響しました。4月に政権交代した東欧のハンガリーが、ギリシャと同じ国家財政が捏造されている可能性を、現政権が認めたことが発端です。ハンガリーはEU加盟国ではありませんが、将来の加盟を見越した投資が欧州諸国から行われており、欧州金融機関への波及を懸念されています。また仏ソジェンがデリバティブ取引で問題があった、との報道もあります。これにより、菅氏就任で円安に触れていた為替市場が一気に円高に巻き戻され、ユーロは109円台に突入しています。

G20が共同声明を採択し、閉幕しています。財政問題を抱える国は再建を、これが合言葉のようになっており、英国、スペイン、ポルトガル、ギリシャなどはすでに歳出削減策を表明しています。しかし真に怖いのはギリシャ型の問題、即ち捏造などにより財政に懸念を生じる、信用不安です。そしてそのリスクの最大は、中国が負っているというのが現状です。
2年前に打たれた中国の景気対策、その中でインフラ整備として、地方政府から7兆元の融資が行われています。しかし中国社会では当然のように起きる流用、転用、誤魔化しなどにより、実際の整備費に回った金額が低い。また三セクのような仕組みを作り上げているため、負債額が把握し難いという問題があります。投下した資本に見合うリターンがなければ、地方行政は多額の負債に見舞われ、財政破綻するという懸念を生じており、中国政府も監督に乗り出す事態です。

植樹計画を立て、担当者は大地を緑に塗って誤魔化す、というのは典型です。中国は国家債務が少なく、健全とされるものの、隠れ負債は今回のバラマキ型景気刺激策を経て、莫大な額に上っている可能性があるのです。それが顕在化すれば、中国投資は止まり、資金の引上げが起きる可能性がある。膿が判明しても隠さざるを得ない、ギリシャ型の問題を中国が抱えることになるのです。
中国でホンダが労働争議をうけ、賃金を引き上げました。インフレが激しくなり、一方で投資を急速に引き締めているため、スタグフレーション懸念が起きています。財政問題を抱える国、というのは表層的なものではなく、経済全体に跨る問題を抱える国、という意味で捉える必要があるのでしょう。経済統計のデータさえ疑われる国、今後財政の問題で真実が国民、世界に知られることを、最も懼れる国になるのかもしれません。

世界は予想以上の早いペースで回復、という文言もG20で用いられましたが、その虚構が剥がれる前に、財政健全化を達成しなければならないのでしょう。発足もしていませんが、菅政権に与えられた課題は多い、ということだけは現状でもハッキリしているのでしょうね。

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2010年06月04日

菅政権は政界再編を目指すのか?

菅直人氏が民主党代表選に勝利し、衆参両院で内閣総理大臣に指名されました。樽床伸二氏が代表選で129票をとり、意外感も広がりましたが、中堅・若手を含めて40名のグループを持つとされますから、そこに90名近い小沢派が乗ったとしても、残る小沢派30名は流れたことになります。当然、小沢派にとって樽床氏では乗れない、という主張も多かったと見られ、一枚岩で統一候補を立てられなかった件は、9月とされる代表任期に向けて、小沢派も今後に問題を残しそうです。
組閣人事は週明けですが、漏れ伝わるところでは『反小沢シフト』が鮮明。仮に幹事長・枝野が実現すれば、まさに小沢派お目付け係です。政調復活など、小沢氏が手を突っ込んだ民主党の体制、体質を一新させることが目的ですが、これだけやれば当然反発も起きるでしょう。選挙対策内閣だ、と揶揄もされますが、ここまでやれば政界再編準備内閣に昇華される可能性さえ滲ませる、そんな強硬な態度に思えます。

1つ疑問なのは、小沢氏が鳩山首相辞任を迫った、という割に小沢派が候補一本化で躓いた件です。原口氏、海江田氏、田中真紀子氏、などが浮かびましたが、いずれも擁立に失敗です。想像できるのは小沢氏が幹事長留任、と高を括っていた点。それだと体制温存で人事にも口出しできる。仮に自らが幹事長から退いても、要職に懐刀を送り込めば満足できる、と判断されていたのかもしれません。
しかしそれが出来なかった。更に自ら築いた党内の手法さえ否定され、幹事長には反小沢の急先鋒。しかも菅政権が参院選で勝利すると、意外な結末が待っています。民主党内で菅氏を推す反小沢派が主流となり、それに反発すれば小沢派が離党組になってしまう。つまりこれまで舛添氏にしろ、反小沢派が民主党を離党して自分たちに合流、というシナリオを描いていたはずです。しかし小沢派が民主を出ると、自分たちが少数政党として民主に参入する、という形の政界再編シナリオを描かざるを得ないのです。

軽率な予想は好きではありませんが、その場合に小沢派に乗るのは社民、国民新、支持母体を取り戻したい自民の一部。それ以外の共産を除く政党は、反小沢派に乗るのかもしれません。先を読み過ぎですが、菅首相の組閣次第では、そういった政界再編機運が盛り上がりそうです。
政策面がまだ明らかでなく、先のマニフェストもどの程度反映するのか?参院選マニフェストでは、どう見直すのかも見る必要があります。国会会期を延長する公算も高いですが、重要法案は継続審議、就任早々いきなり強行採決は、余程成立を急ぐ法案でない限りとらないでしょう。特に郵政改革法案など、株式会社化されているので、法案自体の中身は薄っぺらいですが、政令として定める会社運営方針が審議されずに国会を通過すれば、民主政治の否定の謗りを免れなくなります。

緊急世論調査でも、概ね民主支持は上昇、自民は横ばい、新党は下落です。改革機運をもつ政党、として支持される新党ですが、これだけ小沢色を一掃すれば民主に革新の期待が高まるのは必然でしょう。ただ、これを良き慣例として選挙前に顔を変えるという手は、どの党であっても絶対に避けねばなりません。選挙とは政権への期待感だけでなく、政権が打った政策への通信票である。ということを履き違えて、期待感ばかりで選挙を戦うようになっては、それこそ民主政治の否定になるのでしょうね。

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2010年06月03日

鳩山政権退陣後の各所の動き

明日には民主党代表選ですが、民主以外の周辺の動きを取り上げてみたいと思います。市場の動きで昨日話題になったのは、鳩山氏辞任の速報より、小沢氏辞任の速報で株価は大きく上昇したというもの。ただこれは債先売/株先買が起きており、政局不透明感を嫌気して、最近増やした債券のポジションを減らしておこう、とする動きです。決してリスクテイクの動きではありません。
今日は、菅氏の就任を期待する円安/株高の流れが起きています。財務相就任時に円安容認発言を行い、日銀にも強い圧力をかけてきました。こうしたことで市場にはフレンドリーと見られます。一方で財政再建にも軸足を置き始め、消費税増税にも舵を切っており、こうした財務省主導の財政再建では市場にはややマイナス。円安誘導も政策的に限られ、また量的緩和は数年の実験的施行で、デフレに効果ないと証明されています。実際に打てる手は紙幣を刷りまくってばら撒くぐらいでしょう。それを市場がどう判断するかは、今日のアンワインドによる急上昇でもまだ不明と見ています。

米国はすぐに日米同盟の堅持を発表しましたが、中間選挙に向けて、共和党からオバマ政権の強硬な態度が、日本の政局をもたらしたと責められるのは必至です。それを回避する術は、次期政権と緊密なパートナーシップを演出するしかありません。5月に普天間問題が決着し、予算案が政権内を通過して米議会に提出できる目処が立った。この時期に日本の政局で、再び米軍再編費用が槍玉に上がる事態も避けたい。中間選挙までは、対日政策でゴタゴタしたくないのが本音です。
しかし政権交代とは、外交政策も違うのですから、合意事項の見直しなどよくあること。逆に、これだけ政権交代が多い国は、国際的に信用を失うのが本来です。ただ日本では前政権の政策を踏襲、継続性を示すため問題視されないだけです。共同声明はとりましたが、国会承認を経ない政権間の合意ですから、新政権が見直しと言い出すかもしれない。鳩山政権が日米関係に混乱を来たした、と米メディアに流すのも、そうした轍を踏まないための予防線となっています。暗にパックス・アメリカーナの枠内から出るなよ、という釘を次期政権にもさしているのです
しかし外務省が実施した「米国からみたアジアにおける最重要パートナー」の世論調査でも、中国がトップです。日本が米国の下に甘んじていれば、間違いなく今後も更に地位を低下させ、日本は存在感をなくします。米国が仕掛ける対日戦略を、殊更重視するばかりでもいけないのでしょう。

日本の新聞も多くは辞任を「当然」としており、批判が目立ちます。歴代の政権でも多くは退陣時、緩和的な表現に変わるものでしたが、今回の論調を見ると退陣後も、相当厳しい内容で書かれています。これは新聞ですから『紙怨』といったところでしょうか。既得権益に手を突っ込まれ、約半年の政権批判で退陣に追い込めた、「ざまあ見ろ」とでも云いたいのかもしれません。
しかもこれで、政治とマスコミとカネも、当分は注目が集まらず、無視できることになります。ただ、マスコミが言いがかりだ、問題ないというのなら、それを説明することが説明責任だと、これまでの政治とカネで散々に追及してきたはずです。結果的に、この国では言行不一致であることが、自らをクリーンに見せるための一つのツールと意識されている時点で、メディアも自らの歪みを認めていることになるのかもしれませんね。

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2010年06月02日

鳩山首相の辞任

鳩山首相が辞任の意向を示しました。霞ヶ関と新聞社屋の中から、高笑いが聞こえてきそうです。普天間問題で、党首は関わるべきでないと鳩山氏を排除し、官房長官、外務相、防衛相が官僚に唆されて辺野古路線を推し進め、気付いたときには鳩山氏だけが理想論を述べている。防衛相は机を叩いて辺野古決着を首相に迫った、と伝わるので、実はこの3人が戦犯なのです。
沖縄県外という想いを貫き、最後まで霞ヶ関に抵抗した人間が引責になる。自民党政権時代も、政権や閣僚を長く務めた人間は、官僚と上手く付き合った、官僚の既得権益を守った人間です。今回の決着も同様、官僚の意志にそぐわない主張を続ける人間は、不作為とサボタージュで行き詰まり、詰腹を切らされる。同じ力を見せ付けられた、ということで霞ヶ関は今晩宴会でしょう。

反小沢派にとっても最悪の事態です。選挙に敗北して幹事長が引責すれば、数年浮上の目はなくなり、権力を掌握するのは困難になったはずです。今回、仮に選挙で敗北しても小沢氏の責任論は及ばない。幹事長辞任で、参院選後になって院政を布くなり、自ら権力の座を狙うなり、如何様にも小沢氏も戦略が立てられます。当分、西松献金事件もあり、表舞台には立たないと思いますが、フリーハンドを与えられ、党内に留まる立場は120名を超える小沢派にとり、有利といえます。
国会運営では、仮に重要法案を通すとしても、自民党は衆院通過後の法案を新閣僚の下で審議する必要はない、と突っぱねれば参院での審議時間は0で通さざるを得ません。それを避けるには法案を飛ばすしかなく、誰がやっても国会運営を失敗して、参院選突入になります。自民党政権でも、これほど選挙日程が詰まってから内閣が総辞職した例はなく、多少は支持率も回復すると考えますが、参院民主が期待したほどには、新政権期待の浮上率は高くないと考えています。

ただ新党首を誰にするか?それ如何によっては、選挙結果も大きく変動しそうです。支持基盤固めた上に浮動票が乗れば大きな力です。しかも参院選後の政権の枠組みを探ると、安易に新党に票が流れることもなくなる。具体的には、反小沢を掲げた政党は主張する力を失い、争点は政策本位に移るので、国民には分かり難く風も起こり難い。棄権が増えれば、益々民主に有利でしょう。
しかし菅氏を初め、現閣僚は官僚の代弁者のような主張も多く、この辺りの誰がなっても行政改革の後退を意識されそうです。官僚に左右されず、国民の声が届き易い党首。これが選定できれば民主に追い風ですが、小沢色を排しつつ、そう主張できる人間は中々見当たらないのが現状です。

個人的には、鳩山氏は良い党首だったと考えています。事業仕分けなどが進んだのも、鳩山氏が枝野氏などにフリーハンドを与えたからで、官僚の言に左右されなかったためです。言葉が軽い、発言がぶれる、とされたのも知らないことでも答えてしまう、という悪い癖がそうさせます。ただ自分の非を認め、これほど率直に自分の考えを語った人物は、最近の政治家では少なかったのも事実です。これで党首を投げ出すのは2度目ですが、ピュアと受け止めるなら、それも好感できる材料なのですけどね。

analyst_zaiya777 at 23:37|PermalinkComments(8)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | 一般

2010年06月01日

メディアから消えた説明責任を求める声

鳩山首相、小沢幹事長、輿石参議員会長の3者会談が開かれました。鳩山氏の進退は先送り、国会情勢や参院選の独自調査による得票数など、話し合われたようです。結論から言えば、鳩山氏は留任する見方が強まったといえます。国会最終盤で突如、内閣総辞職する、というウルトラCは残りますが、進退を先延ばしすれば益々国会運営、選挙態勢を変更する方がマイナス面を大きくします。昨日ふれたように、問題が長期化すれば、鳩山氏辞任で小沢氏が党首に就任、という形がより強くなりますし、それを容認できない勢力が党内に存在することから、当面は鳩山降ろしの動きも沈静化する、ということになってきそうです。
野党も問責決議を出す公算ですが、社民は連立離脱の理由を「党首が罷免された」こととしており、これに賛成すれば私怨、党怨となります。つまり辺野古移設に反対して辞職、連立離脱でないところが、こうしたところで政治的に影響しているのです。問責決議が出ても、政権にとっては痛手ですが、それ以上に参院民主から造反が出る方が、屋台骨が揺らぐという意味で大きいでしょう。

メディアは鳩山辞職、を規定路線化した報道をしていますが、最近メディアの見出しから消えた言葉があります。それが『説明責任』。これには伏線があり、官房機密費の問題で、複数の証言が得られています。新聞、テレビの政治部記者に30万円、女性も世話する接待を、毎月行っていたとするものです。これを大手メディアは封殺し、説明責任を回避する態度をとっています。
これは『政治とマスコミとカネ』とされ、この記事に対してメディアの無視する態度が、逆に事実との認識を与えます。しかも、野中元官房長官の話は約10年前なので、各メディアの政治部、その上層部には恩恵を受けた人間がズラリ、とい可能性もあるのです。内閣から金を配られ、世論誘導を計っていた。これが事実なら大スキャンダルですが、大手メディアのほとんどが関わっていたとされるため、一斉にこの事実を封印する態度に出始めた。政治家に説明責任を迫っていたメディアが、説明責任から逃げ回る姿勢を鮮明にし、相手にもそれを問い難くなっているのです。

しかしメディアがこの事実から目を背け、公表を避けていれば、未だに世論誘導を続けていることになります。そんなメディアの報道に、幾許の真実ありや?そんな疑惑の目を国民が抱き続けるでしょう。そして、官房機密費がこうした使い方も容認されていた、とすると麻生政権では、この予算を敵対する他政党の追い落としに、利用していたのではないかとの懸念すら浮上させます。
つまり官房機密費は、世論誘導に利用したとはっきり認めており、それはメディア操作だけでなく、直接的な態度に出ていた可能性を滲ませるのです。官房機密費の使途に関して、民主党政権でも3億円以上が使われていますが、この使途は法的に整備してでも、数年後に明示させる必要があります。政治とマスコミとカネ、一極加わっただけで情勢も混沌としてきましたが、ハッキリしていることは政治にカネをかからないようにし、政党助成金を初めとした献金に至るまで全て明示、という姿勢を示した政党がより信が置ける政党、ということになるのでしょうね。

analyst_zaiya777 at 23:32|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 政治 | メディア